JP6969682B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、多重極型イオンガイド等のイオン輸送光学素子を備えた質量分析装置に関する。
一般に質量分析装置では、イオン源において試料成分由来のイオンを生成し、生成されたイオンをイオンレンズ或いはイオンガイドなどと呼ばれるイオン輸送光学素子により質量分離部まで輸送する。そして、質量分離部においてイオンを質量電荷比m/zに応じて分離し検出器により検出する。質量分離部としては、四重極マスフィルタや飛行時間型質量分離器などが用いられることが多い。
こうした質量分析装置において発生する問題の一つにチャージアップ現象(帯電)がある。
例えばエレクトロスプレーイオン源などの大気圧イオン源を用いた質量分析装置では、イオン源で溶媒が十分に気化していない状態の試料液滴が後段に送られ、イオン輸送光学素子の表面に付着して堆積する。イオン輸送光学素子の表面に汚れや異物が付着して絶縁性の皮膜が形成されると、その部分にイオン(荷電粒子)が衝突したときにチャージアップし易くなる。また、四重極マスフィルタやイオンガイドなどのイオン輸送光学素子は、セラミック等の絶縁性材料から成る構造体に保持されることでそれぞれ空間内の所定の位置に固定されており、こうした絶縁性の構造体にイオンが接触すると、やはりチャージアップが生じる。
チャージアップがひどくなるとイオン輸送光学素子に印加された電圧によってイオン通過空間に形成される電場に乱れが生じてしまい、イオンが通過しにくくなったりイオンが適切に収束或いは加速されなくなったりして、最終的に検出器に到達するイオンの量が減少する。その結果、イオンの検出感度が低下してしまう。
特許文献1には上述のチャージアップを解消する又は軽減する一つの手法が開示されている。一般に四重極マスフィルタにおいては、イオンを質量電荷比に応じて分離する四重極電場(高周波電場と直流電場とが重畳された電場)を形成する主ロッド電極の直前に、縁端電場の乱れを軽減するために、プリロッド電極が配置されている。上記特許文献1に記載の質量分析装置では、プリロッド電極の表面やそれを保持する絶縁性構造体のチャージアップを軽減するために、1回の測定と次の測定との間の待機時間中に、プリロッド電極に印加される直流バイアス電圧の極性をその前後の測定時における直流バイアス電圧の極性とは短時間だけ反転させる。このように直流バイアス電圧の極性を一時的に反転させるとその極性はチャージアップしている電荷と同極性となるため、絶縁性構造体表面等に溜まっていた電荷が離散してチャージアップが解消されるとされている。
国際公開第2014/181396号パンフレット
しかしながら、本発明者の実験に基づく検討によれば、特許文献1に記載の手法は確かに多くの場合において検出感度の改善に有効であり、チャージアップの軽減に有効であると推定されるものの、場合によっては、必ずしも十分な効果が得られないこともある。
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、上記従来の方法では十分にチャージアップを解消できない場合であっても、より確実にチャージアップを解消又は軽減することができ、それにより、検出感度の低下等を回避することができる質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、試料成分由来のイオンを生成するイオン源と質量電荷比に応じて分離されたイオンを検出する検出器との間に、イオン光軸を取り囲むように配置された複数の電極を含み、該複数の電極により形成される高周波電場の作用によりイオンを収束しつつ輸送する一以上のイオン輸送光学素子を具備する質量分析装置において、
a)前記一以上のイオン輸送光学素子の少なくとも一つに対し、該イオン輸送光学素子に含まれるイオン光軸の周りに隣接する電極同士に異なる極性の直流電圧を印加する直流電圧発生部と、
b)一つの測定と次の測定との間の実質的に測定を実施していない測定準備期間中に、前記直流電圧発生部から前記一以上のイオン輸送光学素子の少なくとも一つに含まれる複数の電極にそれぞれ所定の直流電圧を印加する一方、測定を実施している測定期間中には該直流電圧の印加を停止するように前記直流電圧発生部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴としている。
ここでいう「イオン輸送光学素子」は、典型的には、複数のロッド電極を含むイオンガイドである。また、四重極マスフィルタは一般には質量電荷比に応じたイオンの分離動作を行うものであるが、四重極マスフィルタを構成するロッド電極に質量分離用の直流電圧を印加せずに高周波電圧のみ又は高周波電圧と直流バイアス電圧とを印加するときには該四重極マスフィルタは実質的にイオンガイドと同様に動作する。したがって、質量分離動作を実施させない駆動状態であるときの四重極マスフィルタはここでいう「イオン輸送光学素子」に相当する。
例えば、コリジョンセルを挟んでその前後にそれぞれ四重極マスフィルタを有するトリプル四重極型質量分析装置では、前段の四重極マスフィルタにおいてイオンを素通りさせ後段の四重極マスフィルタでイオンの質量分離を行うMS1モードや、前段の四重極マスフィルタでイオンの質量分離を行い後段の四重極マスフィルタではイオンを素通りさせるMS1モードを実行する場合があるが、そうした場合、前段の四重極マスフィルタ又は後段の四重極マスフィルタは実質的に上記「イオン輸送光学素子」である。
また、コリジョンセルを挟んでその前段に四重極マスフィルタ、後段に飛行時間型質量分離器を有する四重極−飛行時間型(Q−TOF型)質量分析装置では、前段の四重極マスフィルタにおいてイオンを素通りさせ後段の飛行時間型質量分離器でイオンの質量分離を行うMS1モードを実行する場合があるが、そうした場合、前段の四重極マスフィルタは実質的に上記「イオン輸送光学素子」である。
上記特許文献1に記載の手法の場合、チャージアップ解消のためにイオンガイドを構成するロッド電極等に印加されている直流バイアス電圧の極性が一時的に反転されるが、そのときイオン光軸の周りに隣接するロッド電極の直流電位の極性は同じである。したがって、そのイオン光軸の周りに隣接するロッド電極の間には電位差がなく、電位勾配が生じない。そのため、例えば複数本のロッド電極を保持する環状のロッドホルダにおいて隣接するロッド電極の間の部分に溜まっている電荷のうちロッド電極にごく近接して存在している電荷はロッド電極から離れる方向に移動するものの、隣接するロッド電極の間から除去されずに残るものと推測される。
これに対し本発明において制御部は直流電圧発生部を制御し、実質的に測定を実施していない測定準備期間中に、一以上のイオン輸送光学素子の少なくとも一つに含まれる複数の電極のうちのイオン光軸の周りに隣接する電極同士に異なる極性の直流電圧を印加させる。そのため、イオン光軸の周りに隣接するロッド電極の間には電位勾配が生じ、上述したように環状のロッドホルダにおいて隣接するロッド電極の間の部分に溜まっている電荷は上記電位勾配によって円滑に移動し、隣接するロッド電極の間から良好に除去される。これにより、従来の手法では十分に解消されなかったチャージアップをより確実に解消することができる。
なお、本発明の一実施態様は、上記MS1モードにおいて、測定を所定回数繰り返し行ってその複数の測定でそれぞれ得られたデータを積算して所定の質量電荷比範囲のマススペクトルを作成するものであり、
上記制御部は、一つのマススペクトルを得るための複数の測定と別のマススペクトルを得るための複数の測定との間の測定準備期間中に、直流電圧発生部から四重極マスフィルタに含まれる複数の電極にそれぞれ所定の直流電圧を印加する一方、測定期間中には該直流電圧の印加を停止するように直流電圧発生部の動作を制御する構成とすることができる。
この構成によれば、或る決められた測定回数毎に上述したチャージアップ解消のための直流電圧印加動作が実施されるので、常にチャージアップが解消された良好な状態での測定を実行して精度や感度の高いマススペクトルを取得することができる。
本発明によれば、上述した従来の方法では十分にチャージアップを解消できない場合であっても、より確実にチャージアップを解消する又は軽減することができる。それにより、検出感度の低下等を回避して良好な質量分析結果を得ることができる。
本発明の一実施例であるQ−TOF型質量分析装置の概略構成図。 本実施例のQ−TOF型質量分析装置における四重極マスフィルタ及びその制御系の概略構成図。 四重極マスフィルタのイオン光軸に直交する面での断面図。 1回の分析サイクルにおけるタイミング図。
本発明の一実施例であるQ−TOF型質量分析装置について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のQ−TOF型質量分析装置の概略構成図、図2は図1中の四重極マスフィルタ及びその制御系の概略構成図、図3は四重極マスフィルタのイオン光軸に直交する面での断面図である。
本実施例のQ−TOF型質量分析装置は多段差動排気系の構成を有しており、チャンバ1内には、略大気圧雰囲気であるイオン化室2と、最も真空度の高い第2分析室6と、イオン化室2から第2分析室6に向かって順に真空度が高くなる、第1中間真空室3、第2中間真空室4、及び第1分析室5が設けられている。
イオン化室2には、エレクトロスプレイイオン化(ESI)法によるイオン化を行うためのESIスプレー7が設けられ、目的化合物を含む液体試料がESIスプレー7に供給されると、該スプレー7の先端から帯電液滴が噴霧され、該帯電液滴が分裂し溶媒が蒸発する過程で目的化合物由来のイオンが生成される。なお、イオン化法はこれに限らず、大気圧化学イオン化(APCI)法、大気圧光イオン化(APPI)法などの他のイオン化法を用いてもよい。
イオン化室2内で生成された各種イオンは加熱キャピラリ8を通して第1中間真空室3へ送られ、第1中間真空室3内に配置されているアレイ型イオンガイド9により収束されてスキマー10を通して第2中間真空室4へ送られる。さらに、イオンは第2中間真空室4内に配置されている多重極型イオンガイド11により収束されて第1分析室5へ送られる。第1分析室5内には、四重極マスフィルタ12と、多重極型のイオンガイド14が内部に配置されたコリジョンセル13とが設けられている。
試料由来の各種イオンは四重極マスフィルタ12に導入され、MS/MS分析時には、四重極マスフィルタ12に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンが該四重極マスフィルタ12を通り抜ける。このイオンはプリカーサイオンとしてコリジョンセル13に導入され、コリジョンセル13内に供給されるコリジョンガスとの接触によってプリカーサイオンは解離し各種のプロダクトイオンが生成される。一方、イオン解離を伴わない通常の質量分析(MS1分析)時には、試料成分由来のイオンは四重極マスフィルタ12をほぼそのまま通過してコリジョンセル13に導入され、コリジョンセル13内に供給されるコリジョンガスとの接触によってエネルギが減じられる(つまりはクーリングされる)。
コリジョンセル13内で試料成分由来のイオン(解離により生成されたプロダクトイオン或いは解離していないイオン)は収束されつつ輸送される。そして、コリジョンセル13から排出されたイオンは、イオン輸送光学系16により案内されつつイオン通過口15を経て第2分析室6内に導入される。第2分析室6内には、イオン射出部である直交加速部17、リフレクタ19が配置された飛行空間18、及びイオン検出器20が設けられており、イオン光軸Cに沿って直交加速部17にX軸方向に導入されたイオンは所定のタイミングでパルス的にZ軸方向に加速されることで直交加速部17から射出される。この射出されたイオンは、図1中に2点鎖線で示すように、飛行空間18内を自由飛行したあとリフレクタ19により形成される反射電場で折り返され、再び飛行空間18内を自由飛行してイオン検出器20に到達する。
イオンが直交加速部17を出発した時点からイオン検出器20に到達するまでの飛行時間は、そのイオンの質量電荷比に依存する。イオン検出器20は入射したイオンの量に応じたイオン強度信号を時々刻々と出力する。データ処理部21はイオン検出器20からイオン強度信号を受けて該信号をデジタル化した飛行時間スペクトルデータを蓄積したあと、複数回の測定でそれぞれ得られた飛行時間スペクトルデータを積算して飛行時間スペクトルを作成し、飛行時間を質量電荷比に換算することでマススペクトルを作成する。なお、ここでいう「測定」とは、1回のイオン射出に対応する所定飛行時間範囲に亘るイオン強度信号の取得のサイクルをいう。
図2に示すように、四重極マスフィルタ12は、実質的にイオンの分離に寄与する4本の主ロッド電極(図3中の符号12B1〜12B4)を含む主四重極マスフィルタ部12Bと、4本の主ロッド電極のそれぞれ前方に位置する4本の短いプリロッド電極を含むプレ四重極マスフィルタ部12Aと、を含む。4本の主ロッド電極12B1〜12B4とその前方のプリロッド電極とはそれぞれ、セラミック(又はそれ以外の非導電材料)から成る連結ロッド121により接続されている。また、4本の主ロッド電極12B1〜12B4はセラミック(又はそれ以外の非導電材料)から成る、2個の環状のロッドホルダ122により保持されている。即ち、ロッドホルダ122は4本の主ロッド電極12B1〜12B4をイオン光軸Cの周りの所定の位置に高い精度で保持するものであり、連結ロッド121は主ロッド電極12B1〜12B4の前方にプリロッド電極を高い精度で保持するものである。
四重極電圧発生部30は四重極マスフィルタ12に含まれる主ロッド電極12B1〜12B4及びプレロッド電極にそれぞれ所定の電圧を印加するものである。四重極電圧発生部30は、U電圧発生部31、V電圧発生部32、直流バイアス電圧発生部33、及び第1〜第3なる電圧加算部34〜36を含む。制御部40はU電圧発生部31、V電圧発生部32、直流バイアス電圧発生部33の動作を制御するものである。
U電圧は質量電荷比に応じたイオン分離のための直流電圧であり、U電圧発生部31は制御部40の指示に基づいて所定の電圧値である正負の直流電圧(±U)を発生する。V電圧は質量電荷比に応じたイオン分離のための高周波電圧であり、V電圧発生部32は制御部40の指示に基づいて所定の振幅値である互いに逆極性の高周波電圧(±Vcosωt)を発生する。直流バイアス電圧発生部33は制御部40の指示に基づいて、所定の直流バイアス電圧(VB)を発生する。この直流バイアス電圧はイオンの分離には寄与しないが、前段のイオンガイド11との直流的な電圧差を利用してイオンを加速したり減速したりすることができる。
四重極マスフィルタ12において所定の質量電荷比を有するイオンを選択的に通過させる際には、U電圧発生部31、V電圧発生部32、及び直流バイアス電圧発生部33はそれぞれ所定の電圧を発生し、主ロッド電極12B1〜12Bにはそれらが電圧加算部34、35で加算(重畳)された電圧+(U+Vcosωt)+Vb又は−(U+Vcosωt+Vbが印加される。一方、プリロッド電極には、U電圧が加算されていない電圧+Vcosωt+Vb又は−Vcosωt+Vbが印加される。U電圧の電圧値、V電圧の振幅値は選択するイオンの質量電荷比に応じた値である。
プレ四重極マスフィルタ部12Aを構成するプリロッド電極に印加される高周波電圧により形成される高周波電場は、主として主ロッド電極12B1〜12B4による端縁電場を補正するものであり、主ロッド電極12B1〜12B4で囲まれる空間へのイオンの良好な導入を助ける。導入されたイオンは主ロッド電極12B1〜12B4で囲まれる空間を通過する際に四重極電場により振動し、所定の質量電荷比を有するイオンのみが安定的に該空間を通過し、他のイオンは途中で発散する。こうして質量電荷比に応じて選択されたイオンが四重極マスフィルタ12を通過して後段へと送られる。
なお、当然のことながら、図1中の、ESIスプレー7、イオンガイド9など、四重極マスフィルタ12以外の構成要素にもそれぞれ所定の電圧が印加されるが、そのための構成要素は本発明において重要ではないので記載を省略している。
本実施例のQ−TOF型質量分析装置では、コリジョンセル13においてイオンを解離させることでMS/MS分析を行うことができるが、上述したように、コリジョンセル13内でイオンを解離させないMS1分析を行うことも可能である。本実施例のQ−TOF型質量分析装置では、通常のMS1分析を実行する際に特徴的な制御を実施する。
以下、その特徴的な制御動作について図1〜図3に加え図4を参照して説明する。図4はMS1モードにおける1回の分析サイクル中のタイミング図である。
MS1モードでは、図4に示すように、1回の分析サイクル中に複数回(ここではn回)の測定を繰り返し、そのn回の測定においてそれぞれ得られた飛行時間スペクトルデータを積算し、その積算により得られた飛行時間スペクトルからマススペクトルを求める。MS1モードでは、四重極マスフィルタ12でイオン分離を行わないので、主ロッド電極12B1〜12B4にはU電圧を印加せず、V電圧を所定の質量電荷比範囲のイオンを収束させつつ輸送できるような電圧に設定する。そのため、MS1分析モードにおける測定時には、主ロッド電極12B1〜12Bに電圧+Vcosωt+Vb又は−Vcosωt+Vbが印加される。1分析サイクル中のn回の測定において測定条件、具体的には四重極マスフィルタ12やイオンガイド9、11、14を通過させるイオンの質量電荷比範囲を同一にすれば、高い感度のマススペクトルを得ることができる。
また、通常、イオンガイド9、11、14やイオンが素通りするように駆動される四重極マスフィルタ12を通過可能なイオンの質量電荷比範囲は限られており、特に低質量電荷比のイオンを通過させようとすると質量電荷比範囲が比較的狭くなる。そこで、1分析サイクル中のn回の測定において、四重極マスフィルタ12やイオンガイド9、11、14を通過させるイオンの質量電荷比範囲を変更することにより、より広い質量電荷比範囲に亘るマススペクトルを得ることができる。
上述したように、MS1分析モードにおける1回の分析サイクル中のn回の測定の間には、四重極マスフィルタ12の4本の主ロッド電極12B1〜12B4にはU電圧を印加しないが、1回の分析サイクルにおけるn回の測定と次の分析サイクルにおけるn回の測定との間には、所定の時間の測定準備期間を設ける。そして、制御部40はこの測定準備期間中の所定の時間だけ、U電圧発生部31を動作させ、4本の主ロッド電極12B1〜12B4にそれぞれU電圧を印加する。重要なのは、イオン光軸Cの周りに隣接する主ロッド電極12B1〜12B4同士に異なる極性の直流電圧を印加することであるから、このときに印加するU電圧の電圧値は、主四重極マスフィルタ部12Bを通過させるイオンの質量電荷比のいずれに相当するものでもよい。
イオン光軸Cの周りの隣接する主ロッド電極12B1〜12B4に極性が異なるU電圧が印加されると、その隣接する主ロッド電極、例えば図3における主ロッド電極12B1と12B4との間、或いは主ロッド電極12B1と12B2との間などに、大きな直流電場が形成される。ロッドホルダ122にあって隣接する主ロッド電極12B1〜12B4の間の部位に溜まっている電荷は、この電場の作用によって、迅速に一方の主ロッド電極12B1〜12B4の方向に移動して消滅する。これにより、ロッドホルダ122のチャージアップが解消される。なお、このチャージアップ解消動作の際には、溜まっている電荷の円滑な移動を妨げないように、主ロッド電極12B1〜12B4へのV電圧の印加は停止したほうが好ましい。
測定準備期間中にU電圧を印加している時間は、そのU電圧の印加を停止したあと主ロッド電極12B1〜12B4の電位が次の測定における電位に静定するのに要する時間を予め考慮して決めておくことが望ましい。具体的には例えば、測定準備期間を1msecとしたとき、測定準備期間の初めの200μsecの間だけ4本の主ロッド電極12B1〜12B4にU電圧を印加し、200μsecが経過した時点で次の測定において各主ロッド電極12B1〜12B4に印加すべき電圧に切り替えればよい。
なお、上記実施例では1分析サイクル中に1回、U電圧を印加することによるチャージアップ解消動作を実施していたが、必ずしも1分析サイクル毎に行う必要はなく、例えば所定回数の分析サイクル毎に実施してもよい。
また上記実施例は、Q−TOF型質量分析装置における四重極マスフィルタのロッド電極を保持しているロッドホルダに溜まっている電荷を除去するものであるが、高周波電場の作用でイオンを収束させつつ輸送するイオンガイドを構成するロッド電極を保持するロッドホルダ等の構造体に溜まっている電荷を除去するのにも本発明は有効である。ただし、一般的にそうしたイオンガイドには、上記U電圧発生部31に相当する回路が備えられていないため、こうした回路を特別に付加する必要がある。
また、Q−TOF型質量分析装置に限らず、トリプル四重極型質量分析装置や、シングルタイプの四重極型質量分析装置などにも本発明を適用できることは明らかである。
さらにまた、上記実施例はいずれも本発明の一例であるから、上記記載以外の点について、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
1…チャンバ
2…イオン化室
3…第1中間真空室
4…第2中間真空室
5…第1分析室
6…第2分析室
7…ESIスプレー
8…加熱キャピラリ
9…アレイ型イオンガイド
10…スキマー
11…多重極型イオンガイド
12…四重極マスフィルタ
12A…プレ四重極マスフィルタ部
12B…主四重極マスフィルタ部
12B1〜12B4…主ロッド電極
121…連結ロッド
122…ロッドホルダ
13…コリジョンセル
14…イオンガイド
15…イオン通過口
16…イオン輸送光学系
17…直交加速部
18…飛行空間
19…リフレクタ
20…イオン検出器
21…データ処理部
30…四重極電圧発生部
31…U電圧発生部
32…V電圧発生部
33…直流バイアス電圧発生部
34…電圧加算部
40…制御部
C…イオン光軸

Claims (4)

  1. 試料成分由来のイオンを生成するイオン源と質量電荷比に応じて分離されたイオンを検出する検出器との間に、イオン光軸を取り囲むように配置された複数の電極を含み、該複数の電極により形成される高周波電場の作用によりイオンを収束しつつ輸送する一以上のイオン輸送光学素子を具備する質量分析装置において、
    a)前記一以上のイオン輸送光学素子の少なくとも一つに対し、該イオン輸送光学素子に含まれるイオン光軸の周りに隣接する電極同士に異なる極性の直流電圧を印加する直流電圧発生部と、
    b)一つの測定と次の測定との間の実質的に測定を実施していない測定準備期間中に、前記直流電圧発生部から前記一以上のイオン輸送光学素子の少なくとも一つに含まれる複数の電極にそれぞれ所定の直流電圧を印加する一方、測定を実施している測定期間中には該直流電圧の印加を停止するように前記直流電圧発生部の動作を制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記一以上のイオン輸送光学素子は、質量分離動作を実施させない駆動状態であるときの四重極マスフィルタであり、
    前記直流電圧発生部は、前記四重極マスフィルタに含まれる複数のロッド電極にイオン分離用の直流電圧を印加するものであることを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項2に記載の質量分析装置であって、
    イオンを解離させるコリジョンセルの前段に前記四重極マスフィルタを、該コリジョンセルと前記検出器との間に、イオンを質量電荷比に応じて分離する飛行時間型質量分離部を備え、前記四重極マスフィルタでイオンの分離を行わず前記飛行時間型質量分離部でイオンの分離を行う通常の質量分析モードにおいて、前記制御部は、実質的に測定を実施していない期間中に、前記四重極マスフィルタに含まれる複数の電極にそれぞれ所定の直流電圧を印加し、測定期間中には該直流電圧の印加を停止するように前記直流電圧発生部を制御することを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項3に記載の質量分析装置であって、
    前記通常の質量分析モードにおいて、測定を所定回数繰り返し行ってその複数の測定でそれぞれ得られたデータを積算して所定の質量電荷比範囲のマススペクトルを作成するものであり、
    前記制御部は、一つのマススペクトルを得るための複数の測定と別のマススペクトルを得るための複数の測定との間の測定準備期間中に、前記直流電圧発生部から前記四重極マスフィルタに含まれる複数の電極にそれぞれ所定の直流電圧を印加する一方、測定期間中には該直流電圧の印加を停止するように前記直流電圧発生部の動作を制御することを特徴とする質量分析装置。
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