JP6967807B2 - 浮屋根式タンクの自動空気抜き - Google Patents
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前記自動空気抜き17は、浮屋根式タンク内への液体の導入を円滑に行うために、浮屋根板1下に滞留する空気や付属配管からタンク内に流入した空気をタンク外へ自動的に排出するための通気装置である。
また、通常浮屋根式タンクは揮発性の高い原油等の液体を貯蔵しており、浮屋根板1下面と内容液の液面との間隙に内容液が揮発して発生した蒸気Vが蓄積し、その圧力で浮屋根板1を損傷する可能性があるため、前記自動空気抜き17で自動的に蒸気Vをタンク外へ排出している。
前記自動空気抜き17の従来の構造を図7に示す。
前記自動空気抜き17は、浮屋根板1上に設ける装置であり、浮屋根板1の上部に設置した円筒状の自動空気抜き取付ノズル3と、該自動空気抜き取付ノズル3の上部に起立状に接続した弁筒4とを備え、該弁筒4の上部に弁口4aを有した外郭構造を有し、浮屋根板1の昇降に伴い前記弁筒4上端部と密着又は離脱して前記弁口4aを開閉する下向凹形状をした蓋状の弁体5と、該弁体5の中心部に設けた貫通孔5aに挿通して縦状に配置したスリーブ管6と、該スリーブ管6内を貫通して挿通する支柱7とから構成された弁構造であって、前記スリーブ管6及び支柱7はそれぞれに設けたボルト孔6a、7aにボルト18を挿通して連結した構造となっている。
前記自動空気抜き17は、その支柱7下端がタンク底板に到達して浮屋根板1が降下した状態において、弁口4aと弁体5が離脱して開弁し、内容液の円滑な受入の実施、或いは浮屋根板1の損傷の防止を目的として、浮屋根板1下に滞留する空気や蒸気Vを自動的に排出する。また、浮屋根板1が浮上している状態においては、支柱7等の自重によって弁口4aを弁体5で密着して閉弁し、外気と遮断する構造となっている。
加えて、弁筒4内でスリーブ管6及び支柱7が一体となって安定して上下動できるように、前記自動空気抜き17は、通常スリーブ管6の外周面に複数のフィン13及びスライドプレート14を備えており、かつ前記弁筒4上端部には、リング状のガスケット19が嵌合されており、閉弁時において確実に外気と遮断する。
図8は図7のC−C部の詳細構造を示す平面説明図であり、通常フィン13は平板で構成され、スリーブ管6外周面に放射状に固定された構造である。また、図8に示す通り、通常フィン13と平板状のスライドプレート14は、任意の重ね代でボルト・ナット15で接合されている。
すなわち、前記自動空気抜き17の取付状況を鑑みると、図9に示す通り、該自動空気抜き17は、その弁体5及び支柱7等が弁筒4の径方向に対して振動Sし易く、その振動Sが大きい場合、フィン13に接合されたスライドプレート14の外縁の側面部と弁筒4の内面側の特定の部位が繰返し接触する構造となっている。また、弁筒4内面側は、内容液の蒸気Vが充満した腐食環境にあるため、前記弁筒4内面側の特定の部位が前記フィン13と繰返し接触して摩耗する場合、当該摩耗部位の腐食が加速して貫通穴Pを生ずるおそれがあった。そして、弁筒4に損傷や貫通穴Pが生じた場合、既設弁筒4の補修や取替等の必要が生じていた。
上記の通り、前記自動空気抜き17のスライドプレート14と弁筒4内面側が接触する原因は、支柱7が弁筒4の径方向に対して振動Sすることであり、その理由として以下の理由が挙げられる。
1つには、通常浮屋根式タンクは、原油等の粘性が高い液体を貯蔵しており、内容液の沈降防止、温度の均一化等を目的として側板にタンクミキサー等の撹拌装置を備えている場合が多く、浮屋根板1から懸垂状に設置された自動空気抜き17はタンクミキサー等の撹拌流Mにより振動Sを生じ易い構造であることが挙げられる。
また、浮屋根式タンクは風の強い沿岸地帯に設置されている場合が多く、浮屋根板1が強風で揺動し、それに伴って浮屋根板1に固定されている自動空気抜き17等の付属物も揺動する構造であることも挙げられる。更に、地震による内容液のスロッシング現象によっても前記浮屋根板1は大きく揺動する。これらの理由により、浮屋根板1から懸垂状に設置された該自動空気抜17は振動Sし易い装置である。
浮屋根板1の揺動に伴う問題の他には、従来の浮屋根式タンクの浮屋根板1は、薄板を溶接で一体化した柔構造であるため、溶接歪によって撓んで凹凸状態となることがあり、自動空気抜き取付ノズル3及び弁筒4で構成される自動空気抜き17の外郭構造が鉛直方向から傾斜しているという問題がある。自動空気抜き17の外郭構造が傾斜している場合、浮屋根板1昇降時において、弁体5による弁口4aの開閉が十分に行われず、当該自動空気抜き17による空気と蒸気Vのタンク外への排出やタンク内外の密封が不十分となるおそれがあった。
このような理由から、従来の自動空気抜き17の構造では、弁筒4の損傷や貫通穴Pが発生する可能性が高いうえ、閉弁時の密封が不十分となること等が問題となっていた。
また、前記2段構造のフィンで支柱の弁筒内での上下移動が確実にガイドされる構造であるため、浮屋根昇降時に前記弁体が傾くことがなく、該弁体による弁口の密封を確実に行うことができる。
前記振れ止めプレートが前記弁筒の上部外周面と前記弁体の内側面部の間に位置する構造となり、長くて重量のある支柱を自動空気抜き取付ノズル及び弁筒から引き抜くことなく該振れ止めプレートの点検や交換が可能である。そのため、長くて重量のある支柱を引き抜くための仮設架台等を設ける必要がなくなり、点検や交換に掛かる手間や労力を軽減することが可能である。さらに、振れ止めプレートの状態を浮屋根上で容易に確認することが可能となり、保守管理が容易である。
さらに、前記フィン又はスライドプレート又は振れ止めプレートをノンスパーク材で構成することによって、鋼製の弁筒と接触した際に火花が生じない。
自動空気抜き2は浮屋根板1上に複数個立設した状態で設ける装置である。
前記自動空気抜き2は、浮屋根板1の上部に設置した自動空気抜き取付ノズル3と、該自動空気抜き取付ノズル3上部に起立状に接続した弁筒4によりその外郭を構成する。前記弁筒4は、上部に開弁時に空気や蒸気Vを排出する弁口4aを有している。
前記自動空気抜き2は、浮屋根板1の昇降に伴い前記弁筒4上端部と密着又は離脱して前記弁口4aを開閉する下向凹形状をした蓋状の弁体5と、該弁体5の中心部に設けた貫通孔5aに挿通して縦状に配置したスリーブ管6と、該スリーブ管6内を貫通して挿通する支柱7とから構成される。また、前記弁体5とスリーブ管6は貫通孔5aの外周を溶接等で固定して連結した構造である。さらに、前記スリーブ管6及び支柱7は、それぞれに設けたボルト孔6a、7aにボルト・ナット18を挿通して連結した構造である。前記弁筒4上端部には、リング状のガスケット19が嵌合されており、閉弁時においては確実に外気と遮断する構造となっている。また、前記ガスケット19は、弁体5内面側に設置しても良い。さらに、閉弁時において、弁筒4と弁体5が確実に密着され、外気と遮断することが可能であれば、ガスケット19を設けない構造としても良い。
前記自動空気抜き2は、その支柱7下端がタンク底板に到達して浮屋根板1が降下した状態において、弁口4aと弁体5が離脱して開弁し、内容液の円滑な受入の実施、或いは浮屋根板1の損傷の防止を目的として、浮屋根板1下に滞留する空気や蒸気Vを自動的に排出する。また、浮屋根板1が浮上している状態においては、支柱7等の自重によって弁口4aを弁体5で密着して閉弁し、外気と遮断する構造となっている。
図1及び図3は、自動空気抜き2が開弁している状態を示している。
第1事例の自動空気抜き2aは、前記スリーブ管6の外周面に複数の平板を放射状に溶接等で固定した上下2段構造のフィン8を備えた構造である。前記2段構造のフィン8は、スリーブ管6外周面上部に設置した上部フィン8aと該上部フィン8aと間隔をおいて下部に設置した下部フィン8bとで構成される。また、上部フィン8aと下部フィン8bの取付位置は、弁筒4の上端部から下端部までの高さの範囲内とし、上部フィン8a上端部と下部フィン8b下端部が弁筒4から突出しないようにする。さらに、弁体5及び支柱7等の傾き角を小さくするため、前記上部フィン8aと下部フィン8b相互の間隔は出来るだけ大きくする。
スリーブ管6の上下外周面に設けたフィン8a、8bは、それぞれ平板状のスライドプレート9a、9bと任意の重ね代でボルト・ナット15等で接合した構造とする。
また、前記第1事例の自動空気抜き2aは、前記上下2段構造のフィン8で支柱7の弁筒4内での上下移動が確実にガイドされる構造であるため、浮屋根板1昇降時に前記弁体5が傾くことがなく、確実に弁体5が弁筒4上端部と密着して閉弁することが可能となる。
スリーブ管6の外周面に設けたフィン8は、弁筒4内壁側となる先端部をL字状やU字状等に折り曲げた平板状のスライドプレート9と任意の重ね代でボルト・ナット15等で接合した構造とし、支柱7等が振動Sした場合に該フィン8外縁の側面部が前記弁筒4内面側と広い面積で面接触する構造である。また、前記スライドプレート9を設けずに、フィン8の弁筒4内壁側となる先端部をL字状やU字状等に折り曲げた構造としても良い。
また、通常浮屋根式タンクは、原油等の引火性液体を貯蔵している場合が多く、そのような場合は前記フィン8と弁筒4が接触した際に火花が生じない構造とする。弁筒4を鋼板で構成する場合は、フィン8を銅、アルミニウム、真鍮等の金属、或いは硬質ゴムや硬質プラスチック等の合成樹脂等の硬質ノンスパーク材で構成する。但し、スライドプレート9を設ける構造とする場合は、フィン8を鋼板で構成しても良いが、その場合は、スライドプレート9を硬質ノンスパーク材で構成する。
また、図2では、前記フィン8及びスライドプレート9の数量を1段でそれぞれ4枚、2段合計でそれぞれ8枚としているが、弁筒4内に設置した支柱7の動きが拘束される数量であれば、フィン8及びスライドプレート9の数量を増減しても良い。さらに、前記フィン8又はスライドプレート9の外縁の端部を面取りした構造としても良い。
さらに、前記フィン8又はスライドプレート9は、その外縁の側面部と前記弁筒4内面側との間に必要なクリアランスL1を確保し、支柱7等の自動空気抜き取付ノズル3及び弁筒4からの抜き差しを容易にし、点検・交換作業に手間や労力を掛けない構造とする。
第2事例の自動空気抜き2bは、前記弁体5の内側面部5bに複数の平板状の振れ止めプレート10を放射状に固定した構造である。また、第2事例の自動空気抜き2bは、前記振れ止めプレート10とともに、スリーブ管6外周面にフィン又はスライドプレートを設ける構造としても良い。
前記振れ止めプレート10が前記弁筒4の上部外周面と前記弁体5の内側面部5bの間に位置する構造となるため、長くて重量のある支柱7を自動空気抜き取付ノズル3及び弁筒4から引き抜くことなく該振れ止めプレート10の点検や交換が可能である。そのため、長くて重量のある支柱を引き抜くための仮設架台等を設ける必要がなくなり、自動空気抜き2bの点検や交換に掛かる手間や労力を軽減することが可能である。また、振れ止めプレート10の状態を浮屋根板1上で容易に確認することが可能となり、自動空気抜き2bの保守管理が容易である。
振れ止めプレート10aは、弁体5の内側面部5bと上下2箇所のボルト16aで固定する構造であり、浮屋根板1が降下した状態において、該振れ止めプレート10aと弁筒4との高さ方向の重ね代が確保できる長さを有すものとする。
また、前記振れ止めプレート10aは、その内縁の側面部と前記弁筒4外面部との間に必要なクリアランスL2を確保し、支柱7等の自動空気抜き取付ノズル3及び弁筒4からの抜き差しを容易にし、点検・交換作業に手間や労力を掛けない構造とする。また、前記クリアランスL2は、タンク供用時或いは支柱7等の点検・交換時に、前記振れ止めプレート10aがガスケット19と干渉して該ガスケット19が外れない大きさとする。
さらに、振れ止めプレート10aは、弁体5が上昇して万が一振れ止めプレート10aが弁筒4上端部に載置した場合に弁体5が滑降して正規の位置に戻るように、図4に示すような下部に傾斜を設けた構造としても良い。
振れ止めプレート10bは、弁体5の内側面部5bと上下2箇所のボルト16aで固定する構造である。
弁体5の内側面部5bに設置した振れ止めプレート10bは、弁筒4外壁側となる先端部をL字状やU字状等に折り曲げた平板状のスライドプレート11と任意の重ね代でボルト・ナット12等で接合した構造とし、支柱7等が振動Sした場合に、該スライドプレート11内縁の側面部が前記弁筒4外面側と広い面積で面接触する構造である。また、前記スライドプレート11を設けずに、振れ止めプレート10bの弁筒4外壁側となる先端部をL字状やU字状等に折り曲げた構造としても良い。
前記振れ止めプレート10b及びスライドプレート11は、浮屋根板1が降下した状態において、該振れ止めプレート10b及びスライドプレート11と弁筒4との高さ方向の重ね代が確保できる長さを有すものとする。
また、前記スライドプレート11は、その内縁の側面部と前記弁筒4外面部との間に必要なクリアランスL2を確保し、支柱7等の自動空気抜き取付ノズル3及び弁筒4からの抜き差しを容易にし、点検・交換作業に手間や労力を掛けない構造とする。また、前記クリアランスL2は、タンク供用時或いは支柱7等の点検・交換時に、前記スライドプレート11がガスケット19と干渉して該ガスケット19が外れない大きさとする。
さらに、スライドプレート11は、支柱7等が振動Sして弁筒4外面側と接触した際に、弁筒4外面側を損傷するリスクを抑えるため、図5に示すように該スライドプレート11下端部の角を面取りした構造としても良い。
振れ止めプレート10bは、弁体5の側面部5bに下部から嵌合させる溝10cを有す構造であって、該溝10cに弁体5の側面部5bを嵌合させた状態で該溝10cと弁体5を上下2箇所のボルト・ナット16bで固定した構造である。
前記振れ止めプレート10bと溝10cは、相互が溶接等で固定された構造である。
前記振れ止めプレート10b及びスライドプレート11は、浮屋根板1が降下した状態において、該振れ止めプレート10b及びスライドプレート11と弁筒4との高さ方向の重ね代が確保できる長さを有すものとする。
また、前記振れ止めプレート10をボルト16で着脱自在に固定する構造を採用することにより、浮屋根板1上で自動空気抜き2を開放することなく該振れ止めプレート10及びスライドプレート11を交換することが可能となり、前記自動空気抜き2の保守管理が容易である。
また、振れ止めプレート10を弁体5に固定する方法はボルト・ナットに限定せず、溶接等で固定する構造としても良い。
2 自動空気抜き
2a 第1事例の自動空気抜き
2b 第2事例の自動空気抜き
3 自動空気抜き取付ノズル
4 弁筒
4a 弁口
5 弁体
5a 貫通孔
5b 弁体側面部
6 スリーブ管
6a ボルト孔
7 支柱
7a ボルト孔
8 2段構造のフィン
8a 上部フィン
8b 下部フィン
9 2段構造のスライドプレート
9a 上部スライドプレート
9b 下部スライドプレート
10 振れ止めプレート
10a 第1事例の振れ止めプレート
10b 第2事例の振れ止めプレート
11 スライドプレート
12 ボルト・ナット
13 従来のフィン
14 従来のスライドプレート
15 ボルト・ナット
16 ボルト
16a ボルト
16b ボルト・ナット
17 従来の自動空気抜き
18 ボルト・ナット
19 ガスケット
M タンクミキサーによる内容物の撹拌流
S 弁体5の振動
P 貫通穴
V 空気又は蒸気
Claims (1)
- 浮屋根式タンクの浮屋根板に設ける自動空気抜きであって、該浮屋根板の上部に設置した自動空気抜き取付ノズルと、該自動空気抜き取付ノズルの上部に起立状に接続した弁筒と、該弁筒の上部にある弁口と、前記浮屋根板の昇降に伴い前記弁筒上端部と密着又は離脱して前記弁口を開閉する蓋状の弁体と、該弁体の中心部に設けた貫通孔に挿通して縦状に配置したスリーブ管と、該スリーブ管内を貫通して挿通する支柱と、前記スリーブ管の外周面に複数の平板を放射状に固定した上下2段構造のフィンとを備え、
前記上下2段構造のフィンは、前記スリーブ管の外周面に設置した複数の上部フィンと、該上部フィンの下方にあって間隔をおいて該外周面に設置した複数の下部フィンとで構成され、前記上部フィンと前記下部フィンのそれぞれ側外縁と前記弁筒内面側との間に一定のクリアランスを確保し、前記支柱の前記自動空気抜き取付ノズル及び前記弁筒からの抜き差しを容易にする構造とし、
前記上部フィンと前記下部フィンの取付位置は、前記弁筒の上端部から下端部までの高さの範囲内とし、前記上部フィン上端部と前記下部フィン下端部が前記弁筒から突出しない取付位置とし、
前記フィンは、前記弁筒内面側に当接する端部がL字状又はU字状に折り曲げられた平板状のスライドプレートを任意の重ね代でボルト・ナットで着脱自在に接合した構造であって、前記スライドプレートをノンスパーク材で構成し、前記支柱が振動し、前記スライドプレートの外縁側面部が前記弁筒内面側に接触する際に、広い面積で面接触して前記弁筒側に掛かる負荷を分散する構造を有する浮屋根式タンクの自動空気抜き。
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