本開示に従って幾つかの実施の形態の技術的解決手段をより明確に示すために、実施の形態において述べる図について簡単に説明する。なお図面の以下の説明は、本開示の実施形態のうちのいくつかを示すだけのものであって、本開示の範囲を制限するものではないことは明らかである。当業者は、創造的な活動を経ずとも、本開示に基づいて他の同様の応用例においてこれらの図面を適用することができる。
本願および特許請求の範囲において、特に明記のない限り、単数の形態は複数の形態の場合をも含む。一般に、「備える」および「含む」という用語は明確に特定されたステップや要素しか含んでいないが、これらのステップや要素は排他的なものではなく、方法または装置は、他のステップや要素を含むことができる。「に基づく」という表現は「少なくとも部分的に基づく」という意味である。「実施(の)形態」という用語は、「少なくとも1つの実施(の)形態」を意味し、「別のある実施(の)形態」という用語は、「少なくとも1つの更に別の実施の形態」を意味する。他の用語の定義は、下記の発明の詳細な説明において示す。
骨伝導についての関連する技術の説明においては、「骨伝導スピーカー」または「骨伝導ヘッドセット」という用語を用いることができる。当業者に対し、明細書の説明は単に骨伝導の応用の一形態を説明するものに過ぎず、「スピーカー」や「ヘッドセット」は、他の類似の文言(例えば「プレーヤー」、「補聴器」など)に置き換えることができる。実際に、本開示の様々な実施形態は、スピーカー以外の他の聴覚装置に容易に適用することができる。例えば、骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後で、当業者は、様々な形態及び詳細な部分を変更及び改変してもよい。具体的には、骨伝導スピーカーが周囲環境から音を受け取り処理する能力を有している場合、スピーカーを補聴器として使用してもよい。例えば、マイクロホンは、そのマイクロホンのユーザーまたは装着者から発せられる音を拾い上げることができる。その音はアルゴリズム(または発生する電気信号)に従って処理され、骨伝導スピーカーに伝達されてもよい。すなわち、骨伝導スピーカーには、音を拾い上げ、その音を処理した後、ユーザーまたは装着者に伝達する機能が付加されていてもよく、その結果、骨伝導スピーカーは骨伝導補聴器の機能を果してもよい。単に例示に過ぎないが、上記アルゴリズムには、ノイズキャンセレーション、自動利得制御、音響フィードバック抑制、広ダイナミックレンジ圧縮、能動的環境認識(active environment recognition)、能動的騒音防止(active anti−noise)、指向処理(directional treatment)、耳鳴防止処理、マルチチャネル広ダイナミックレンジ圧縮、能動的笛吹き音抑制(active whistle suppression)、音量調節など、またはそれらの組み合わせが含まれてもよい。
骨伝導スピーカーは、人間の骨を通じてその人間の聴覚系に音を伝達することができ、それによって音が聞こえているという感覚を生じさせてもよい。図1には、聞こえているという感覚を生じさせるための骨伝導スピーカーのためのプロセスが示されている。上記プロセスは、次の工程を含んでもよい。ステップ101において、骨伝導スピーカーは、音声情報を含む信号を得てもよく、また生成してもよい。ステップ102において、骨伝導スピーカーは、信号に従って振動を生成させてもよい。ステップ103において、その振動は、伝達システムによって、センサ端子104に伝達される。いくつかの実施形態において、骨伝導スピーカーは、音声情報を含む信号を拾い上げてもよく、または生成してもよい。また骨伝導スピーカーは、トランスデューサーによって、その音声情報を音波振動に変換してもよい。それから、その音を人間の感覚器官に伝達してもよく、それにより音が聞こえるようにしてもよい。一般に、上述の聴覚系や感覚器などは、人間のまたは動物の一部であってもよい。後述する骨伝導スピーカーの説明は人間に限定されたものではなく、他の動物にも適用できる点に留意されたい。
骨伝導スピーカーの作用プロセスの上記説明は単に特定の実施の形態を示したものに過ぎず、唯一の実現可能な実施の態様であると解釈されるべきものではない。当業者が骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後に、骨伝導スピーカーの実施の形態の実施態様及びステップについて様々な改変や変更を行うことができることは明らかである。但し、これらの変更や改変についてもまた、上記した通り本開示の範囲に属する。例えば、信号の改変または信号の増強を行う追加のステップを、ステップ101とステップ102の間に追加してもよい。追加のステップは、ステップ101において得られた信号を特定のアルゴリズムまたはパラメータに従って増強または改変してもよい。更に、上記追加のステップは、ステップ102とステップ103の間に追加されてもよい。追加のステップは、ステップ102において生成された振動を、ステップ101の音声信号または環境パラメータに従って改変又は増強してもよい。同様に、例えば、ノイズキャンセレーション、自動利得制御、音響フィードバック抑制、広ダイナミックレンジ圧縮、能動的環境認識、能動的騒音防止、指向処理、耳鳴防止処理、マルチチャネル広ダイナミックレンジ圧縮、能動的笛吹き音抑制、音量調節など、またはそれらの組み合わせなどの上記振動増強又は振動改変の追加のステップをステップ103及びステップ104の間に行ってもよい。そのような改変および変更もまた、本開示の範囲に属する。本願において、記載されている方法およびステップは、どのような好適な順序で行ってもよく、同時に行ってもよい。さらに、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱しない範囲において、いずれかの方法から個別のステップを省いてもよい。上記のあらゆる実施の形態の態様は全て、互いに組み合わせることにより、所期の効果を失わない範囲で更に別のある実施の形態を構成してもよい。
具体的には、ステップ101において、骨伝導スピーカーは、様々な様式で音声情報を含む信号を得るか、生成してもよい。上記音声情報とは、特定のデータフォーマットを有するビデオ・ファイルまたはオーディオ・ファイルを指してもよく、最終的に特定のアプローチを通じて音声に変換され得る一般的なデータまたはファイルを指してもよい。音声情報を含む信号は、骨伝導スピーカー自体の記憶装置から取り込んでもよく、または骨伝導スピーカーの外部にある情報生成システム、記憶システム、またはデリバリーシステムから取り込んでもよい。特に限定されないが、本願において議論される音声信号は、電気的信号、光学的信号、磁気的信号、機械的信号など、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。原則として、信号が振動を生成するために用いることができる音声情報を含む限り、その信号を音声信号として処理してもよい。信号は1つの信号源由来のものに限られず、複数の信号源由来のものであってもよい。上記複数の信号源は、それぞれ独立していてもよく、互いに従属していてもよい。音声信号を生成する、または送信するためのアプローチは、有線でもよく、また無線でもよく、またリアルタイム型であってもよく、遅延型であってもよい。例えば、骨伝導スピーカーは、配線を通じて、または無配線で音声情報を含む信号を受信してもよく、または記憶媒体から直接データを得てもよく、音声信号を生成してもよい。骨伝導型補聴器は周囲環境から音を拾い上げるための構成部品を含んでいてもよく、また骨伝導型補聴器は音の機械的振動を電気信号に変換してもよい。このとき、特別な要求に達するように、電気信号をアンプにより処理してもよい。特に限定されないが、有線接続は、金属ケーブル、光ケーブル、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。それらの例としては、例えば、同軸ケーブル、通信ケーブル、フレキシブルケーブル、スパイラルケーブル、非金属シースケーブル、金属シースケーブル、多芯ケーブル、ツイストペアケーブル、リボンケーブル、シールドケーブル、電気通信ケーブル、対ケーブル、二芯平行配線、およびツイストペアなどが挙げられる。
上述の例は、例示を目的として使用してもよい。有線接続は、他のタイプのもの、例えば電気的または光学的に信号伝送を行うための他のタイプのキャリアを含んでもよい。特に限定されないが、無線接続には、無線通信、自由空間光通信(free space optical communication)、音声通信、電磁誘導などが含まれる。無線通信は、IEEE802.11、IEEE802.15(例えばブルートゥース(登録商標)やジグビー(ZigBee)技術など)、第1世代モバイル通信技術、第2世代モバイル通信技術(例えば、FDMA、TDMA、SDMA、CDMA、およびSSMAなど)、一般パケット無線サービス技術、第3世代モバイル通信技術(例えばCDMA2000、WCDMA(登録商標)、TD−SCDMAおよびWiMAX)、第4世代モバイル通信技術(例えばTD−LTEおよびFDD−LTEなど)、衛星通信(例えばGPS技術など)、近距離無線通信(NFC)技術、およびISMバンド(例えば、2.4GHzなど)における他のオペレーティングが含まれてもよい。自由空間光通信には、可視光信号および赤外線信号などが含まれてもよい。音声通信は、音波信号および超音波信号などを含んでもよい。特に限定されないが、電磁誘導には近距離通信技術が含まれてもよい。上述の例は例示を目的として使用するものであり、無線媒体には他のタイプ、例えば、Z−Wave技術、一般市民向け又は軍事用の他の有料無線周波数帯、若しくは他の無線周波数帯域、またはそれらの組み合わせを含まれてもよい。例えば、幾つかの適用シナリオにおいて、骨伝導スピーカーは、ブルートゥース技術を介して他の装置から音声信号を得てもよく、骨伝導スピーカー自体の記憶ユニットからデータを得てもよく、音声信号を生成してもよい。
記憶装置/記憶ユニットには、ダイレクトアタッチドストレージ(Direct Attached Storage)、ネットワークアタッチドストレージ、ストレージエリアネットワーク、およびその他の記憶システムが含まれてもよい。特に限定されないが、記憶装置には、汎用タイプの記憶装置、例えばソリッドステート記憶装置(SSDソリッドステート・ハイブリッド・ドライブなど)、メカニカルハードディスク、USBフラッシュメモリ、メモリースティック、メモリーカード(例えばCF、SDなど)、他のドライバ(例えばCD、DVD、HD DVD、ブルーレイなど)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、およびリードオンリーメモリ(ROM)など、またはそれらの組み合わせなどが含まれる。特に限定されないが、RAMには、10進カウンタ、セレクトロン、遅延線記憶装置、ウィリアムス管、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、サイリスタランダムアクセスメモリ(T−RAM)、およびゼロキャパシタランダムアクセスメモリ(Z−RAM)等、またはそれらの組み合わせなどが含まれる。特に限定されないが、ROMには、磁気バブルメモリ、磁気ボタンラインメモリ(magnetic button line memory)、フィルムメモリ、磁気プレートラインメモリ(magnetic plate line memory)、コアメモリ、磁気ドラムメモリ、CD−ROM、ハードディスク、磁気テープ、初期NVRAM(不揮発性メモリ)、相変化メモリ、磁気抵抗ランダムメモリ、強誘電ランダムメモリ、不揮発性SRAM、フラッシュメモリ、電子イレーサブル・リライタブル・リードオンリーメモリ、イレーサブル・プログラマブル・リードオンリーメモリ(EPROM)、プログラマブルリードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリのフローティングゲートに接続されたリード・シールドディッド・ヒープメモリ(read shielded heap memory)、ナノ・ランダムメモリ、レーストラック・メモリ、可変抵抗メモリ、プログラマブル金属化セルなどが含まれる。上述の記憶装置/記憶ユニットは単にいくつかの例に過ぎず、記憶装置/記憶ユニットにおいて使用される記憶媒体に特に制限はない。
ステップ102において、骨伝導スピーカーは、音声情報を含んでいる信号を振動に変換してもよく、音を生成してもよい。骨伝導スピーカーは、特定のトランスデューサーを使用することにより、信号を、エネルギー変換を伴いながら機械的な振動に変換してもよい。転換プロセスは、複数のタイプのエネルギー共存およびエネルギー転換を含んでもよい。例えば、トランスデューサーによって、電気信号を、機械的振動に直接変換することにより音を生成してもよい。別の例として、音声情報は光信号に含まれてもよく、その音声情報は特定のトランスデューサーによって機械的振動に変換してもよい。トランスデューサーが作動するときに変換が可能でかつ共存が可能な他のタイプのエネルギーには、磁気エネルギー、熱エネルギー等が含まれる。特に限定されないが、トランスデューサーのエネルギー変換モードには、可動コイルモード、静電気モード、圧電モード、可動鉄片モード、空気圧モード、電磁気モードなどが含まれる。骨伝導スピーカーの周波数応答範囲および音質は、トランスデューサーの物理的構成部品のエネルギー変換モードおよび物性によって影響を受けることもある。例えば、可動コイルトランスデューサーにおいて、柱状コイルが振動ボードに接続された際、振動ボードがコイルにより駆動されるときに振動ボードが振動して音が生成されるようにしてもよい。振動ボードの材料伸縮、屈曲変形、サイズ、形状、および固定方法、並びに永久磁石の磁気密度などの要因は、骨伝導スピーカーの音質に、大きな影響を及ぼすことがある。別の例として、振動ボードは、左右反転構造、中心対称構造、または非対称構造を有していてもよい。振動ボードは不連続な多孔質構造であってもよく、それにより振動ボードの変位がより大きくなるようにして、骨伝導スピーカーの感度をより高くし、振動及び音の出力を向上させてもよい。さらに別の例として、振動ボードは、環の中心において収束する2本以上のロッドを有していてもよい環構造を有していてもよい。
当業者が骨伝導スピーカーの音質を改善する基本原理を理解した後に、その当業者が上述の要因に対して、選択、組み合わせ、修正、または変更を実行することによって、理想の音質が得られるようにしてもよいことは明らかである。例えば、高密度の永久磁石、およびより理想的な板状材料や構造デザインを用いてより良い音質が得られるようにしてもよい。
「音質」という用語は音の質を示すものであり、後処理、伝達等の後の音声の忠実度をいう。オーディオ装置において、音質には、音声の強度および大きさ、可聴周波数、音声の上音または調和成分等が含まれていてもよい。音質が評価される際、客観的に音質を評価するための測定方法や評価基準を使用してもよく、音質の様々な性質を評価するための、音や主観的な感じ方に関する様々な要素を組み合わせた他の方法を使用してもよい。このように、音質は音の生成、音の伝達および受音の過程の間、影響を受ける可能性がある。
骨伝導スピーカーの振動を実行するための様々な方法が存在する。図2−Aおよび図2−Bは、本開示の特定の実施の形態に係る骨伝導スピーカーの振動生成部の構造の例を示す。骨伝導スピーカーの振動生成部は、ハウジング210、パネル220、トランスデューサー230、およびコネクタ240を含んでもよい。
パネル220は組織や骨を通じて振動を聴神経に伝達することができ、これにより人間は音を効くことができるようになる。パネル220は、人間の皮膚に直接接触させてもよく、または特定の材料からなる振動伝達層を通じて人間の皮膚に接触させてもよい(以下に詳細に記載する)。上記特定の材料は、低比重材料、特に限定されないが、例えばプラスチック(ポリエチレン、ブロー成形ナイロン、エンジニアリングプラスチックなど)、ゴム、または同様の性能を達成可能な単一の材料または複合材料などの低比重材料から選択してもよい。特に限定されないが、ゴムには汎用ゴムおよび特殊ゴムが含まれる。特に限定されないが、上記汎用ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどが挙げられる。特に限定されないが、上記特殊ゴムには、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリスルフィドゴム、ウレタンゴム、クロロヒドリンゴム、アクリルゴム、プロピレンオキシドゴムなどが含まれる。特に限定されないが、スチレン−ブタジエンゴムには、乳化重合および溶液重合などにより得られるスチレン−ブタジエンゴムが含まれる。特に限定されないが、複合材料には、例えばガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、グラファイト繊維、繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維またはアラミド繊維などの強化材料が含まれる。複合材料は、不飽和ポリエステルおよびエポキシ、フェノール樹脂マトリクスを有するガラス繊維によって補強された様々なタイプのガラス繊維などの他の有機および/または無機材料の複合物であってもよい。振動伝達層として使用される他の材料は、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネートまたはそれらの組み合わせを含んでもよい。トランスデューサー230は、特定の原則に基づいて電気信号を機械的振動に変換してもよい。パネル220は、トランスデューサー230に接続してもよく、トランスデューサー230によって駆動されて振動するようにしてもよい。コネクタ240は、パネル220とハウジング210とを接続してもよく、ハウジング内にトランスデューサー230を固定してもよい。トランスデューサー230がパネル220に振動を伝達する際、その振動はコネクタ240を介してハウジング210へと伝達されてもよい。それによりハウジング210を振動させてもよく、パネル220の振動モードを変更して、パネル220を介して皮膚に伝えられる振動に影響を与えることができる。
トランスデューサーおよびパネルをハウジングに固定する方法は、図2−Bに示される方法に限られない点には留意されたい。当業者にとって、コネクタ240を使用するかどうか、コネクタ240を製造するために使用する材料が異なるかどうか、トランスデューサー230またはパネル220をハウジング210に固定する方法としてどの方法を使用するかによって機械的インピーダンス特性が異なってもよく、その結果、別の振動伝達効果が生じてもよい。このように、振動システム全体の振動効果に影響が及び、異なる音質が生まれてもよい。
例えば、コネクタを使用する代わりに、接着剤を使用してパネルをハウジングに直接貼り付けてもよく、あるいは圧締若しくは溶接によって、パネルをハウジングに直接固定してもよい。適切な弾性力を有するコネクタを用いる場合、そのコネクタは衝撃を吸収してもよく、ハウジングに伝わる振動エネルギーを低減してもよく、それによりハウジングの振動によって起こる音漏れを効果的に抑制し、起こり得る異常な共鳴によって生じる異音が発生するのを回避しやすくし、音質を改善してもよい。ハウジング内部またはハウジング上のコネクタの位置が異なると、それに伴い振動伝達効率に対する効果が異なってもよい。また好ましくは、コネクタによって、トランスデューサーの状態が、例えば吊り下げられた状態(サスペンド)、支持された状態(サポート)などのように異なる状態になるようにしてもよい。
図2−Bは、接続の一実施の形態である。コネクタ240は、ハウジング210の頂部を接続してもよい。図2−Cは、接続の別のある実施の形態である。パネル220は、ハウジング210の開口部から外側に突出していてもよい。パネル220は、接続部250を介してトランスデューサー230に接続されてもよく、コネクタ240を介してハウジング210と結合されていてもよい。
ある他の実施の形態において、トランスデューサーは、他の接続手段を有するハウジング内に固定されていてもよい。例えば、トランスデューサーはハウジングの内側底部にコネクタを介して固定されていてもよい。またはトランスデューサーの底部(トランスデューサーのパネルと接続されている側を頂部と定義し、その反対面側を底部と定義する)は、吊り下げられたバネによってハウジングに取り付けられていてもよく、トランスデューサーの頂部がハウジング上に固定されていてもよく、あるいは異なる位置にある複数のコネクタによってハウジングに接続されていてもよく、またこれらの組み合わせであってもよい。
ある実施形態においては、コネクタは弾性を有していてもよい。コネクタの弾性は、コネクタの素材、厚み、構造、および他の状態に影響されることがある。特に限定されないが、コネクタの素材には、鋼材(特に限定されないが、例えばステンレス鋼や炭素鋼)、軽合金(特に限定されないが、例えばアルミニウム、ベリリウム銅、マグネシウム合金、チタン合金)、プラスチック(特に限定されないが、例えばポリエチレン、ブロー成形ナイロン、プラスチックなど)などが含まれる。上記コネクタの材料は、同様の性能を達成する単一の材料または複合材料であってもよい。特に限定されないが、そのような複合材料には、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、グラファイト繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維等の強化材料が含まれる。複合材料は、不飽和ポリエステルおよびエポキシによって補強された様々なタイプのガラス繊維、フェノール樹脂マトリクスを含有するガラス繊維などの他の有機および/または無機複合材料であってもよい。コネクタの厚みは、0.005mm以上でもよく、好ましくは、上記厚みは0.005mm〜3mmであってもよく、より好ましくは、上記厚みは0.01mm〜2mmであってもよく、更に好ましくは、上記厚みは0.01mm〜1mmであってもよく、更により好ましくは、上記厚みは0.02mm〜0.5mmであってもよい。
コネクタは、環状構造を有していてもよく、好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つの環状リングを含んでいる環状構造を有していてもよい。環状リングは、同心円状のリングまたは非同心円状のリングでもよく、それらは外輪から内輪の中心に向かって収束している少なくとも2本のロッドを介して互いに接続されていてもよい。より好ましくは、少なくとも一つの楕円状のリングがあってもよく、更に好ましくは、少なくとも2つの楕円状のリングがあってもよい。楕円状のリングは、リングごとにそれぞれ異なる曲率半径を有していてもよく、その楕円状のリングは互いにロッドを介して接続されていてもよい。より好ましくは、少なくとも一つの角リングがあってもよい。コネクタの構造は、プレートとして構成されていてもよい。好ましくは、プレート上に中空パターンを構成してもよい。より好ましくは、中空パターンの面積は、コネクタの非中空部分の面積以上であってもよい。上述のコネクタの材質、構造、厚みはどのような態様でも組み合わせることができ、それにより新たに別のコネクタを得ることができる点に留意されたい。例えば、環状のコネクタは異なる膜厚分布を有していてもよく、好ましくは、リングの厚みがロッドの厚みと等しくてもよく、より好ましくは、ロッドの厚みはリングの厚みより大きくてもよく、更に好ましくは、内側リングの厚みは外側リングの厚みより大きくてもよい。
当業者はコネクタの素材、位置、接続手段を適用するシナリオごとに選択することができ、コネクタの様々な特性を改変、改良、または組み合わせてもよい。これらについても上記説明の範囲に属する。ある実施形態においては、上述のコネクタが必ずしも必要というわけではなく、パネルはハウジングに直接接続してもよく、接着剤を使用してハウジングに接着してもよい。骨伝導スピーカーの実際の適用状態における、振動生成部の形状、大きさ、比率等は、図2−A、2−Bまたは図2−Cに記載されている内容に限定されない点には留意されたい。当業者は、音漏れの程度、周波音の発生、装着方法等の他の考えられ得る音質の影響因子を考慮して、図に記載されている内容に従って、内容を変更してもよい。
優れたデザインの、充分にテストされたトランスデューサーおよびパネルにより、骨伝導スピーカーがしばしば直面する多くの課題を解決することができる。例えば、骨伝導スピーカーには音漏れの問題が生じる場合がある。本願において、漏れた音(leaked sound)とは、スピーカーの振動によって生じ得る音であって、骨伝導スピーカーが作動するときに周囲の環境に伝導され、その環境にいる他人がスピーカーからその音を聴き取ることができる音をいう。音漏れの理由としては、トランスデューサーおよびパネルからコネクタを介して伝導される振動によって生じるハウジングの振動、またはハウジング内の空気の振動によって生じるハウジングの振動などが含まれる。なお空気の振動はトランスデューサーの振動によって生じる。図3−Aは、骨伝導スピーカーの振動生成部の等価振動モデルを示す。振動生成部は、固定端301、ハウジング311、およびパネル321を含んでもよい。固定端301とハウジング311との間の接続は、エラストマー331および減衰エレメント332によって形成される接続と等価であってもよい。ハウジング311とパネル321との間の接続は、エラストマー341によって形成される接続と等価であってもよい。固定端301は、振動の間も比較的安定した位置にある点または領域であってもよい(以下に詳細に説明する)。エラストマー331および減衰エレメント332は、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードとハウジングとの間の接続手段に応じて決定されてもよい。エラストマーおよび減衰エレメントを決定するための上記影響因子には、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの剛性、形状または材質、およびヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードとハウジング間の接続部の材料特性などが含まれてもよい。ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードは、骨伝導スピーカーとユーザーとの間に圧力を加えてもよい。パネル321(または、パネルおよびトランスデューサーによって形成されるシステム)とハウジング311との間の接続手段に応じて、エラストマー341が決定されてもよい。上記影響因子は、上述のコネクタ240を含んでもよい。振動方程式は、以下に示すようなものであってもよい。
式中、mはハウジング311の質量であり、x
1がパネル321の変位であり、x
2はハウジング311の変位であり、Rは振動減衰であり、k
1はエラストマー341のスチフネス係数であり、k
2はエラストマー331のスチフネス係数である。定常振動(但し過渡応答は考慮していない)において、ハウジングの振動の、パネルの振動に対する比x
2/x
1は以下のように表される。
ハウジングの振動の、パネルの振動に対する比x2/x1は、音漏れをある程度反映することができる。一般にx2/x1の値が大きくなればなるほど、ハウジングの振動は、聴覚システムに伝わる有効な振動に相関して大きくなる場合があり、同音量下では音漏れがより大きくなる場合がある。x2/x1の値が小さくなればなるほど、ハウジングの振動は、聴覚システムに伝わる有効な振動に相関して小さくなる場合があり、同音量下では音漏れがより小さくなる場合がある。このように、骨伝導スピーカーの音漏れに影響する要因には、パネル321(またはパネルおよびトランスデューサーを含むシステム)とハウジング311(エラストマー341のスチフネス係数k1)との間の接続手段、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード、および収容システム(k2、R、m)が含まれてもよい。ある実施の形態において、エラストマー331のスチフネス係数k2、ハウジングの質量m、減衰Rは、骨伝導スピーカーの形状および骨伝導スピーカーの装着状態に相関してもよい。k2,m,R,が決定されたあとの、x2/x1とエラストマー341のスチフネス係数k1との間の関係が図3−Bに示される。図3−Bに示されるように、スチフネス係数k1が異なると、パネルの振幅に対するハウジングの振幅の比率x2/x1に影響を及ぼすことがある。周波数fが200Hzを超える場合、ハウジングの振動はパネルの振動より小さい(x2/x1<1)。fが増加すると、ハウジングの振動が徐々に小さくなることがある。特に、図3−Bに示すように、k1(左から右に向かってスチフネス係数k1は、k2の値の5倍、10倍、20倍、40倍、80倍、および160倍である)の値が異なると、周波数が400Hzを超える場合に、ハウジングの振動はパネルの振動の10分の1よりも小さくなる(x2/x1<0.1)。特定の実施の形態においては、(例えば、スチフネス係数の小さいコネクタ240を用いて)スチフネス係数k1の値を低下させるとハウジングの振動が効果的に減少し、それにより音漏れが減少する場合もある。
一部の実施形態において、音漏れは、特定の材質で、特定の接続手段を有するコネクタを用いて減じてもよい。例えば、パネル、トランスデューサー、およびハウジングは弾性コネクタを介して接続されていてもよく、パネルの振幅がより大きい場合であってもハウジングの振幅をより小さくして音漏れを減らすようにしてもよい。コネクタに使用する材料には、ステンレス鋼、ベリリウム銅、プラスチック(例えばポリカーボネート)などが含まれるが、これらに限定されない。コネクタの形状は、多種多様なものであってもよい。例えば、コネクタは円環状であってもよく、少なくとも2本のロッドが円環の中心で収束してもよい。上記円環の厚みは、0.005mm以上でもよく、好ましくは、上記厚みは、0.005mm〜3mmでもよく、好ましくは、上記厚みは0.01mm〜2mmでもよく、更に好ましくは、上記厚みは0.01mm〜1mmでもよく、更により好ましくは、上記厚みは、0.02mm〜0.5mmでもよい。他の実施形態では、コネクタは、複数の不連続な環状の穴により構成される環状のプレートであってもよい。2つの隣接する環状の穴の間に間隔があってもよい。別の例として、ある要件を満たしている、ある数の音誘導孔が、ハウジング上またはパネル上に(または振動伝達層(以下に詳細に説明する)の外側に)構成されていてもよい。トランスデューサーが振動すると、音誘導孔が音響振動をハウジングの外部に伝え、ハウジングの振動により形成される漏れた音波を干渉して骨伝導スピーカーの音漏れを抑制するようにしてもよい。別の例として、ハウジング、またはハウジングの少なくとも一部は吸音材からなるものであってもよい。吸音材は、ハウジングの内側または外側の表面のうち少なくとも一つの表面、またはハウジングの内側または外側の表面の一部において用いることができる。吸音材とは、例えばそれらの物性(例えば、限定されないが、有孔率など)、膜作用、反響作用などのメカニズムに基づいて音響エネルギーを吸収することができる材料を指してもよい。特に、吸音材は、多孔質材料または多孔質構造を有する材料であってもよい。特に限定されないが、吸音材の例には、有機繊維状材料(特に限定されないが、例えば天然繊維、有機合成繊維など)、無機繊維状材料(特に限定されないが、例えばグラスウール、スラグウール、ロックウール、およびケイ酸アルミニウムウールなど)、金属吸音材(特に限定されないが、例えば金属繊維吸音プレート、金属製フォームなど)、ゴム吸音材、フォーム吸音材(特に限定されないが、例えばポリウレタンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリアクリレートフォーム、フェノール樹脂フォームなど)が含まれる。吸音材は、共鳴によって音を吸収する柔軟性材料であってもよい。その例には、特に限定されないが、独立気泡フォーム、膜状材料(特に限定されないが、プラスチックフィルム、布、画布、布地、または皮革など)、板材(特に限定されないが、硬板、プラスターボード、プラスチックシート、金属プレートなど)または有孔板(例えば板材を穿孔することによって得られる有孔板など)が含まれる。吸音材は、一以上の材料の組み合せでもよく、または複合材料でもよい。吸音材はハウジング上で使用してもよく、振動伝達層上に構成されていてもよい。
本願において、ハウジング、振動伝達層、およびパネルは、骨伝導ユニットの振動ユニットを構成してもよい。トランスデューサーは、振動ユニット内に配置されてもよく、ハウジングおよびパネルを接続することによって、振動ユニットに振動を伝えてもよい。好ましくは振動ユニットの1%以上が吸音材であってもよく、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上が吸音材であってもよい。ハウジングの好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは40%以上、更により好ましくは80%以上が吸音材で構成されていてもよい。さらに別の実施形態においては、漏音の性質に応じて漏音に対して逆の位相を有する逆信号を生成することによって能動的に音漏れを制御するために、骨伝導スピーカーに補正回路を導入してもよい。なお、骨伝導スピーカーの音質を改善するためには、上記実施の形態が選択されてもよいし、上記実施の形態を他の種々の実施の形態と組み合わせてもよい。これらの実施の形態も本開示の範囲内である。
骨伝導スピーカーの振動生成部の構造に関する上記説明は単に特定の実施の形態を示したものに過ぎず、唯一の実現可能な実施の態様であると解釈されるべきものではない。当業者にとって、上記基本原理を理解した後、その原則から逸脱することなく振動を生成するための特定の構造および接続手段を改変および変更を行うことができ、またこれらの変更や改変についても、上述の通りに本開示の範囲に属することは明らかである。例えば、図2−Bおよび図2−Cの接続部250はパネル220の一部でもよく、接着剤を用いてトランスデューサー230に接着されていてもよい。接続部250もまた、トランスデューサーの一部(例えば、振動ボード上の凸部)であってもよく、接着剤を用いてパネル220に接着されていてもよい。接続部250は別の構成部品でもよく、接着剤を用いてパネル220およびトランスデューサー230に接着されていてもよい。当然ながら、接続部250とパネル220、または接続部250とトランスデューサー230とを接続する方法は接着に限られず、当業者は、他の接続手段(この手段も本開示の開示の範囲内である)、例えば、型締やはんだ付けなどで接続することもできる。パネル220とハウジング210とは、接着剤を用いて直接接着されているのが好ましく、弾性部材240のような構成部品によって直接接着されているのがより好ましく、パネルの外側(以下に詳細に説明する)に振動伝達層220を追加してハウジング210を接続してもよい。なお接続部250は、様々な構成部品の間の接続を例示する概略図であって、当業者であれば形が異なっているが同様の機能を果たす類似の構成部品を用いて接続部を置き換えることができる。またこれらの代替物および変更もまた本開示の範囲内である。
ステップ103において、音は、デリバリーシステムによって聴覚システムに伝達されてもよい。デリバリーシステムは、媒体を介して聴覚システムに直接音波振動を伝達してもよく、また音が聴覚システムに伝達される前に特定の処理操作を実行してもよい。
図4は、音伝達システムを示す一実施の形態である。骨伝導スピーカーが作動するとき、スピーカー401は耳、頬または額、および他のパーツと接触していてもよく、皮膚402、皮下組織403、骨404、蝸牛405に音波振動を伝えてもよく、音は、聴神経によって最終的には脳に伝達されてもよい。人が受け取る音質は、伝達媒体や、伝達媒体の物性に影響を及ぼす他の要因によって影響を受けることがある。例えば、皮膚および皮下組織の密度および厚み、骨の形状および骨の密度、伝達過程で振動が横切るその他の組織は、最終的な音質に影響を及ぼすことがある。更に、伝達過程において、骨伝導スピーカーの一部が人体と接触していてもよく、ヒトの組織の振動伝達効率は最終的な音質に影響を及ぼすことができる。
例えば、骨伝導スピーカーのパネルは、ヒトの組織を通してヒトの聴覚系に振動を伝達することがある。そのため、パネルの材質、接触面積、形状および/またはサイズ、並びにパネルと皮膚との間で相互に及ぼされる力が変わると、音の伝達効率に影響が及ぶ場合があり、その結果、音質にも影響が及ぶ。例えば、同じドライブの下、異なるサイズのパネルを介して伝達される振動は、パネルと装着者との間の接触表面上で異なる分布を有する場合がある。その結果、音量と音質に違いが生じる。パネルのサイズは0.15cm2以上であるのが好ましく、0.5cm2以上であるのがより好ましくは、2cm2以上であるのがさらに好ましい。例えば、トランスデューサーが振動したときにパネルが振動してもよく、パネルとトランスデューサーの間の接触点は、パネルの振動中心であってもよい。好ましくは、振動の中心周辺のパネルの質量分布は均一であってもよく(振動の中心はパネルの物としての中心であってもよく)、より好ましくは、振動の中心周辺のパネルの質量分布は均一でなくてもよい(振動の中心はパネルの物としての中心から逸脱していてもよい)。ある実施の形態においては、振動板が複数のパネルに接続されていてもよく、この複数のパネルは、形状と材質が同じであっても異なっていてもよい。これらの複数のパネルは、互いに連結されていてもよく、されていなくてもよい。上記複数のパネルは、異なる様式で振動を伝達してもよい。定常的な周波数応答を生成するために、異なるパネルの間の振動信号は、コンプリメンタリー(相補的)であってもよい。実施形態の一部においては、大きな振動板をより小さな複数の振動板に分割した場合、高周波の下でのパネルの変形によって生じる不均質な振動を減少でき、理想的な周波数応答を得ることができる。
なおパネルの物性(例えば質量、サイズ、形状、剛性、および振動減衰など)の物性がパネルの振動効率に影響を及ぼし得る点には留意されたい。当業者であれば、実際の要求に従ってパネルを作成するのに適した材料を選ぶことができ、また射出成形によって、異なる形状のパネルを得ることもできる。好ましくは、パネルの形状は、矩形、円形、長円形であってもよく、より好ましくは、パネルの形状は矩形、円形、長円形の端部が切断された(例えば、対称的に円を切断することにより長円形を得る、などの)後、パターン化されたものであってもよく、更に好ましくは、パネルは、パネル上に中空部を有するように構成されていてもよい。特に限定されないが、パネルの材料には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン(PE)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フェノール樹脂(PF)、尿素樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、金属合金(例えば、アルミニウム、クロムモリブデン鋼、スカンジウム合金、マグネシウム合金、チタン、マグネシウム、リチウム合金、ニッケル合金など)、複合材料などが含まれる。関連するパラメータには、相対密度、引張強度、弾性率、ロックウェル硬さなどが含まれる。好ましくは、パネル材料の相対密度は、1.02〜1.50であってもよく、1.14〜1.45であるのがより好ましく、1.15〜1.20であるのが更に好ましい。パネルの引張強度は30MPa以上でもよく、より好ましくは33MPa〜52MPaであってもよく、更に好ましくは60MPa以上であってもよい。パネル材料の弾性率は、1.0GPa〜5.0GPaであってもよく、1.4GPa〜3.0GPaであるのがより好ましく、1.8GPa〜2.5GPaであるのが更に好ましい。同様に、パネル材料の硬度(ロックウェル硬さ)は、60〜150の範囲であってもよく、80〜120であるのがより好ましく、90〜100であるのが更に好ましい。特に、材料と引張強度の両方を考慮して、相対密度は1.02〜1.1であってもよく、引張強度は33MPa〜52MPaであってもよく、より好ましくは、相対密度は1.20〜1.45であってもよく、引張強度は56〜66MPaであってもよい。
実施の形態の一部において、パネルの外側は、振動伝達層によって包まれていてもよい。振動伝達層は皮膚と接触してもよく、パネルを含む振動システムと振動伝達層が人間の組織に対して音波振動を発信してもよい。好ましくは、パネルの外側は1枚の振動伝達層で覆われていてもよく、より好ましくは複数の振動伝達層で覆われていてもよい。振動伝達層は一種類以上の材料からなるものであってもよく、それぞれの振動伝達層は異なる材料からなるものであってもよく、同一の材料からなるものであってもよい。複数の振動伝達層は、パネルに対して垂直な方向に積層されていてもよく、またはパネルに対して平行な方向に配置されていてもよく、またはその両方の組み合わせであってもよい。
振動伝達層の材料は、特定の吸着力、柔軟性および特定の化学的性質を有していてもよく、例えば、プラスチック(特に限定されないが、ポリエチレン、ブロー成形ナイロン、プラスチックなど)、ゴム、または他の単一の材料または複合材料などであってもよい。特に限定されないが、上記ゴムには汎用ゴムおよび特殊ゴムが含まれる。特に限定されないが、上記汎用ゴムには、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムなどが含まれる。特に限定されないが、上記特殊ゴムには、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリスルフィドゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、プロピレンオキシドゴムなどが含まれる。特に限定されないが、スチレン−ブタジエンゴムには、乳化重合体および溶液重合体などが含まれる。特に限定されないが、複合材料としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、グラファイト繊維、繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維、またはアラミド繊維などの強化材料などが挙げられる。複合材料は、不飽和ポリエステルおよびエポキシによって補強された様々なタイプのガラス繊維、フェノール樹脂マトリクスを含有するガラス繊維、などの他の有機および/または無機複合材料であってもよい。振動伝達層を形成するために使用される他の材料には、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネートまたはそれらの組み合わせが含まれる。
振動伝達層は、システムの周波数応答に影響を及ぼしてもよく、骨伝導スピーカーの音質を変えてもよく、またハウジングの中の要素を保護してもよい。例えば振動伝達層は、パネルの振動モードを変えることによって、システムの周波数応答を滑らかにすることができる。パネルの振動モードは、パネルの特性、パネルと振動伝達層の間の接続手段、振動周波数などにより影響を受けてもよい。パネルの特性には、質量、サイズ、形状、剛性、振動減衰などが含まれる。好ましくは、パネルの厚みは均一でなくてもよい(例えば、中心の厚みは端部の厚みよりも大きくてもよい)。パネルと振動伝達層の間の接続手段には、接着剤による接合、型締、溶接等が含まれてもよい。パネルは、接着剤を用いて振動伝達層に接続されていてもよい。周波数ごとに、パネルの異なる振動モード(変形、および変形−ねじりなど)に対応させてもよい。特定の振動周波数における特定の振動モードを有するパネルによって、骨伝導スピーカーの音質を変えることができる。上記特定の周波数の範囲は、20Hz〜20000Hzであるのが好ましく、400Hz〜10000Hzであるのがより好ましく、500Hz〜2000Hzであるのが更に好ましく、800Hz〜1500Hzであるのが更により好ましい。
好ましくは、上述の振動伝達層は、パネルの外側で包まれて振動ユニットの一つの側になるようにしてもよい。振動伝達層上の領域ごとに異なる振動伝達特性を有するようにしてもよい。例えば、振動伝達層は、第1の接触面および第2の接触面を含んでもよい。好ましくは、上記第1の接触面はパネルと共に組み合わせられていなくてもよく、上記第2の接触面がパネルと互いに組み合わせられていてもよい。より好ましくは、振動伝達層がユーザーと直接的に又は間接的に接触するとき、第1の接触面上の締め付け力は第2の接触面上の締め付け力より小さくてもよい(本願において、締め付け力とは振動ユニットとユーザーとの間の圧力を指すことがある)。更に好ましくは、第1の接触面は、直接ユーザーと接触していなくてもよく、第2の接触面がユーザーと接触して振動が伝達されるようにしてもよい。第1の接触面の面積は、第2の接触面の面積と等しくなくてもよい。好ましくは、第1の接触面の面積は、第2の接触面の面積より小さくてもよい。より好ましくは、第1の接触面は、穴を有するように構成して、その面積を小さくしてもよい。振動伝達層の外端表面(ユーザーに対向する面)は、滑らかであってもよく、滑らかでなくもよい。好ましくは、第1の接触面および第2の接触面は、同一面上になくてもよい。より好ましくは、第2の接触面は、第1の接触面より上方にあってもよい。更に好ましくは、第1の接触面および第2の接触面は、ステップ構造を構成してもよい。更により好ましくは、第1の接触面はユーザーと接触してもよく、第2の接触面はユーザーと接触しなくてもよい。第1の接触面および第2の接触面は、異なる材料で形成されていてもよく、同一の材料で形成されていてもよく、また上述の振動伝達層において使用される材料のうちの一種以上で形成されていてもよい。締め付け力に関する前記説明は本開示の一実施の形態に過ぎず、当業者は実際の要求に応じて上述の構造および方法を改変してもよい。但し、そのような改変もやはり本開示の範囲内である。例えば、振動伝達層は必須でなくてもよく、パネルはユーザーと直接接触してもよく、またパネルは別々の領域と接触する接触面を有するように構成されてもよい。また上述の第1の接触面および第2の接触面のように、別の接触面同士が類似の特性を有していてもよい。別の例として、接触面には第3の接触面の領域が含まれてもよい。そして、第3の接触領域は第1の接触領域および第2の接触領域上の構造とは異なる構造を有するように構成されていてもよい。また、これらの構造は、ハウジングの振動を減らし、音漏れを抑制し、周波数応答を改良するのを助けるものであってもよい。
図5−Aおよび図5−Bは、振動伝達層とパネルとの間の連結体の正面図および側面図をそれぞれ示す特定の実施形態である。パネル501および振動伝達層503は接着剤502を使用して接着されてもよい。また、接着剤により形成される接合はパネル501の2つの端部に位置していてもよい。パネル501は、振動伝達層503およびハウジング504により形成されるハウジング内に位置していてもよい。好ましくは、第1の接触面は、振動伝達層503上の、パネル501が投影される領域であってもよく、第2の接触領域は、第1の接触領域の周囲の領域を指してもよい。
振動伝達層とパネルとは接着剤によって完全に接着されていてもよい。このとき、パネルの特性(例えば質量、サイズ、形状、剛性、振動減衰、振動モードなど)も同様に変化し得ることから、それにより振動伝達効率を高くすることができる。また振動伝達層とパネルとは接着剤によって部分的に接着されていてもよい。このとき、パネルと、伝達層領域間のうち接着されていない領域との間の空気が低周波の振動の音の伝導を増加させ、低周波〜中周波での音の伝導効果を高めてもよい。好ましくは、接着された面積は、上記パネルの面積の1%〜98%であってもよい。より好ましくは、接着された面積は、上記パネルの面積の5%〜90%であってもよい。好ましくは、接着された面積は、上記パネルの面積の10%〜60%であってもよい。そして、更に好ましくは、接着された面積は、上記パネルの面積の20%〜40%であってもよい。実施形態の一部においては、接着剤がパネルと伝達層との間に用いられていなくてもよい。また、振動伝達効率が接着剤を用いる場合と異なっていてもよく、音質が変化してもよい。特定の実施態様において、接着剤を使用する方法を変えることによって骨伝導スピーカーの構成部品の振動モードが変わってもよい。このようにして、音を発生させて伝達する効果を変えてもよい。更に、接着剤の物性(硬度、剪断強度、引張強度、および延性など)は、骨伝導スピーカーの音質に影響を及ぼしてもよい。好ましくは、接着剤の引張強度は、1MPa以上でもよい。より好ましくは、上記引張強度は、2MPa以上でもよい。より好ましくは、上記引張強度は、5MPa以上でもよい。好ましくは、破断伸びは、100%〜500%の範囲であってもよい。より好ましくは、破断伸びは、200%〜400%の範囲であってもよい。好ましくは、接着剤の剪断強度は、2MPa以上であってもよく、より好ましくは3MPa以上であってもよい。接着剤のショア硬さは、25〜30であるのが好ましく、30〜50であるのがより好ましい。接着剤は、一種の接着剤を含んでもよく、異なる物性を有する複数の種類の接着剤の組み合わせを含んでもよい。パネルと接着剤との間の、または接着剤とプラスチックとの間の接着強度もまた、特定の範囲に内に制限してもよく、特に限定されないが、その接着強度は例えば8MPa〜14MPaであってもよい。なお、特に限定されないものの、振動伝達層の素材には、例えばシリカ、プラスチック、または特定の生物学的吸収性、柔軟性、および耐薬品性を有するその他の材料が含まれる。当業者は、実際の要求に従って、異なるタイプで異なる特性を有する接着剤、パネルの材料、および振動伝達層の材料を選んでもよい。それによって音質をある程度決定してもよい。
図6は、骨伝導スピーカーの振動生成部の構成部品の接続手段を示す特定の実施の形態を示す図である。トランスデューサーはハウジング620上に接続されていてもよく、パネル630は接着剤650を用いて振動伝達層640に接着されていてもよい。また、振動伝達層640の端部がハウジング620に接続されていてもよい。別の実施の形態においては、接着剤650の分布、硬さ、および量を変えるか、または振動伝達層640の硬さを変えることによって周波数応答を変えてもよい。このようにして音質を変えてもよい。好ましくは、パネルと振動伝達層の間には接着剤がなくてもよい。より好ましくは、パネルと振動移転の間に接着剤が完全に塗布されていてもよい。更に好ましくは、パネルと振動伝達層の間に部分的に接着剤が塗布されていてもよい。更により好ましくは、パネルと振動伝達層の間の接着剤が塗布された面積は、パネルの面積よりも大きくなくてもよい。
当業者は、実際の要求に応じて接着剤の量を決定してもよい。ある実施の形態においては、図7に示すように、周波数応答は、接着剤を用いた別の接続手段の影響を受けることもある。3本の曲線は、振動伝達層とパネルの間の接着剤の量が異なる状態での周波数応答に対応し、それぞれ接着剤が塗布されていない状態、接着剤を部分的に塗布した状態、接着剤を完全に塗布した状態での周波数応答を示す。振動伝達層とパネルの間に接着剤を完全に塗布した状態に対し、振動伝達層とパネルとの間に接着剤が塗布されていないとき、または塗布される接着剤の量が少ないときには骨伝導スピーカーの共振周波数がより低い周波数領域へとシフトし得る、と結論付けることができる。振動伝達層とパネルとの間の接着剤の接合が、振動システム上での振動伝達層の効果を示す場合もある。このように、接着剤の接合を変化させることによって周波数応答曲線を変えることができる。
当業者であれば、周波数応答の実際の要求に応じて接合の態様および接着剤の量を調整したり改変したりすることができ、それによりシステムの音質を改善することができる。同様に、別のある実施の形態において、図8は、振動応答曲線において、振動伝達層が異なる硬度を有する場合の影響を示す。実線は、より硬い振動伝達層を備える骨伝導スピーカーに対応する応答曲線であり、点線は、より柔らかい伝達層を備える骨伝導スピーカーに対応する応答曲線である。振動伝達層の硬度が異なると、骨伝導スピーカーの周波数応答も異なる、と結論づけることができる。振動伝達層の硬度がより大きいほど、より高周波数の振動を伝達することができ、振動伝達層の硬度がより小さいほど、より低周波数の振動が伝達される。振動伝達層の材質(シリカ、プラスチックなどに限定されない)が異なると、音質も異なることがある。例えば、45度のシリカゲル製の骨伝導スピーカーの振動伝達層はより良好な高周波の音響効果を有していてもよい。また75度のシリカゲル製の骨伝導スピーカーの振動伝達層はより良好な低周波の音響効果を有していてもよい。本明細書において使用するように、低周波数の音とは500Hz未満の可聴周波数の音をいい、中間周波数とは500Hz〜4000Hzの範囲の可聴周波数の音をいい、高周波数の音とは4000Hzより大きい可聴周波数の音をいう。
当然ながら、振動伝達層および接着剤についての上記説明は、骨伝導スピーカーの音質に影響を及ぼす一実施の形態に過ぎず、唯一の可能な実施形態と解釈されるべきではない。当業者が骨伝導スピーカーの音質の基本原理を理解した後に、その原理から逸脱しない範囲で骨伝導スピーカーの振動生成部の構成要素および接続手段を調整または改変してもよく、またこれらの変更や改変についても、上述の通りに本開示の範囲に属することは明らかである。例えば、振動伝達層は、いかなる素材からなるものであってもよく、ユーザーの使用習慣に応じてカスタマイズされてもよい。振動伝達層とパネルの間に配置される接着剤の硬化後の硬度が異なると、骨伝導スピーカーの音質に影響を与えることがある。さらに、振動伝達層の厚さが増すと、振動システムの質量を増加させるのと同等の効果を有することもある。これによりシステムの共振周波数を減少させることもある。好ましくは、伝達層の厚さは0.1mm〜10mmであってもよい。好ましくは、上記厚みは0.3mm〜5mmであってもよい。更に好ましくは、上記厚みは0.5mm〜3mmであってもよい。更により好ましくは、上記厚みは1mm〜2mmであってもよい。伝達層の引張強度、粘度、硬度、引裂強度、伸び率などは、システムの音質に影響を及ぼすことがある。「引張強度」とは、振動伝達層の試料の単位面積を断裂するのに必要な力をいう。好ましくは、引張強度は3.0MPa〜13MPaであってもよい。より好ましくは、引張強度は4.0MPa〜12.5MPaであってもよい。そして、更に好ましくは、引張強度は8.7MPa〜12MPaであってもよい。好ましくは、伝達層のショア硬さは5〜90であるのが好ましく、10〜80であるのが好ましく、20〜60であるのが更に好ましい。伝達層の伸び率とは、伝達層が断裂したときの、元の長さに対する伝達層の長さの増加率(%)をいう。好ましくは、伸び率は90%〜1200%であってもよい。より好ましくは、伸び率は160%〜700%であってもよい。更に好ましくは、伸び率は300%〜900%であってもよい。引裂強度とは、伝達層に外力を加えたときに、伝達層についた刻み目または切れ目が拡がるのを防ごうとする抵抗力をいう。好ましくは、引裂強度は7kN/m〜70kN/mであってもよい。より好ましくは、引裂強度は11kN/m〜55kN/mであってもよい。更に好ましくは、引裂強度は17kN/m〜47kN/mであってもよい。
パネルおよび振動伝達層からなる上述の振動システムにおいて、パネルおよび伝達層の物性と接続手段とを変更することに加え、他の観点から骨伝導スピーカーの性能を向上させてもよい。
振動伝達層を含む、優れたデザインの振動生成部は、骨伝導スピーカーの音漏れを更に効果的に減らすことができる。好ましくは、多孔面を有する振動伝達層は、音漏れを減らすものであってもよい。図9に図示された実施の形態において、振動伝達層940は接着剤950を用いてパネル930に接着されていてもよく、振動伝達層940上の接合領域の凸部は、振動伝達層940上の非接合領域の凸部よりも大きくてもよい。空洞が非接合領域の下方に構成されていてもよい。振動伝達層940の非接合領域およびハウジング920の表面に、音誘導孔960を有するように構成されていてもよい。好ましくは、いくつかの音誘導孔を有するように構成された非接合領域がユーザーと接触しなくてもよい。一方では、音誘導孔960は振動伝達層940上の非接合領域の面積を減少させ、内側と外側の間に空気が流れるようにし、内側と外側の間の気圧差を減少させてもよい。それにより、非接合領域の振動が減少するようにしてもよい。他方では、音誘導孔960は、ハウジング920内の空気の振動から生じる音波を誘導し、ハウジング920の外へと流し、ハウジングから出た空気により生じる音漏れの音波を打ち消し、音漏れの振幅を減少するようにしてもよい。具体的には、空間内のいずれかの位置における骨伝導スピーカーの音漏れは、その点における音圧Pと比例していてもよい。
式中、P
0は、上記位置においてハウジング(振動伝達層の、皮膚と接触していない部分を含む)が生み出す音圧であり、P
1はその点におけるハウジングの側面上にある音誘導孔から伝達された音の音圧であり、P
2は振動伝達層上にある音誘導孔から伝達される音の音圧である。そして、P
0、P
1およびP
2は以下のように表される。
式中、kは波動ベクトルであり、ρは空気の密度であり、ωは振動角周波数であり、R(x’,y’)は音源の位置と、空間内のある位置との間の距離であり、S
0は人間の顔と接触していない領域の面積であり、S
1はハウジング上の音誘導孔の開口面積であり、S
2は振動伝達層上の音誘導孔の開口面積であり、W(x,y)は単位面積内での音源の強度を表し、φは、空間内のある点における異なる音源によって生じる音圧の位相差を表す。なお、パネルおよびハウジングからの振動によって振動する、人間の皮膚と接触しない領域(例えば、図9において、音誘導孔960が位置する振動伝達層940の端部)が存在し、そのため外部に音が伝達される場合があることには留意されたい。上述のハウジング表面領域は、そのような部分を、人間の皮膚と接触しなくてもよい振動伝達層上に含んでもよい。(角周波数ωを有する)空間の任意の位置における音圧は、次のように表すことができる。
本発明者らの最終目標は、Pの値を最小化し、音漏れを減少させる効果を成し遂げることにある。実際の応用において、音誘導孔のサイズおよび数を調整することによって、係数A1、A2を調整することができる。また音誘導孔の場所を調整することによって、位相値φ1、φ2を調整することができる。パネル、トランスデューサー、振動伝達層およびハウジングを含む振動システムが骨伝導スピーカーの音質に影響を及ぼし得る原理を理解した後に、当業者は、実際の要求に従って音誘導孔の形状、開口位置、数、サイズ、および制振性を調整し、音漏れを抑制するという目的を達成することができる。例えば、音誘導孔は一つ以上あってもよく、二つ以上の音誘導孔があるのがより好ましい。ハウジングの側面に環状に音誘導孔を配置するために、各領域(例えば4〜8)に音誘導孔が1つ以上あってもよい。音誘導孔の形状は、円形、長円形、矩形、または細長い形状であってもよい。骨伝導スピーカー上の音誘導孔の全てが同一の形状を有していてもよく、または複数の異なる形状の組み合わせであってもよい。例えば、振動伝達層およびハウジングの側面は異なる形状および数の音誘導孔を有するように構成されていてもよく、振動伝達層上での音誘導孔の密度は、ハウジングの側面表面上での音誘導孔の密度より大きくてもよい。別の例として、振動伝達層上に構成される複数の孔によって、人間の皮膚と接触をしない振動伝達層の面積を減少させてもよく、それによって、その部分から生じる音漏れを減少させてもよい。別の例として、更に音漏れを抑制するために、振動伝達層またはハウジングの側面表面上の音誘導孔に制振材料または吸音材が配置されていてもよい。更に、音誘導孔を他の材料および構造にまで延長し、ハウジングからの空気振動の伝達を促進してもよい。例えば、ハウジング上で使用される位相調整材(特に限定されないが、例えば吸音材)はハウジングからの空気の振動およびハウジングの他の部品からの振動の位相を90°〜270°の範囲で調整してもよい。このようにして、音を打ち消す。音誘導孔を有するように構成されるハウジングの側面に関する記述は、2014年1月6日に出願の中国特許出願第201410005804.0号(発明の名称:「骨伝導スピーカーおよびその音漏れを抑制する方法」、その内容は引用して本願に援用される)に見ることができる。また更に、トランスデューサーとハウジングの間の接続手段を調整することによって、ハウジングの他の部分の振動位相を調整してもよく、振動位相差は90°〜270°の範囲内にあってもよい。これにより音を打ち消してもよい。
実施形態の一部においては、トランスデューサーとハウジング間のコネクタは、フレキシブルな(柔軟性のある)コネクタであってもよい。特に限定されないが、コネクタの材料には、鋼材(特に限定されないが、例えばステンレス鋼や炭素鋼など)、軽合金(特に限定されないが、例えばアルミニウム、ベリリウム銅、マグネシウム合金、チタン合金など)、プラスチック(特に限定されないが、例えばポリエチレン、ブロー成形ナイロン、プラスチックなど)を含んでもよい。上記コネクタの材料は、同様の性能を達成する単一の材料または複合材料であってもよい。特に限定されないが、そのような複合材料には、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、グラファイト繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維等の強化材料が含まれる。上記複合材料は、不飽和ポリエステルおよびエポキシによって補強された様々なタイプのガラス繊維、フェノール樹脂マトリクスを含有するガラス繊維などの他の有機および/または無機複合材料であってもよい。
コネクタの厚みは、0.005mm以上でもよく、好ましくは、上記厚みは0.005mm〜3mmであってもよく、より好ましくは、上記厚みは0.01mm〜2mmであってもよく、更に好ましくは、上記厚みは0.01mm〜1mmであってもよく、更に好ましくは、上記厚みは0.02mm〜0.5mmであってもよい。コネクタは、環状構造を有していてもよく、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの環状リングを好ましくは含んでいる環状構造を有していてもよい。環状リングは、同心円状のリングまたは非同心円状のリングでもよく、それらは外側の輪から内側の輪の中心に向かって収束している少なくとも2本のロッドを介して互いに接続されていてもよい。より好ましくは、少なくとも一つの長円形のリングがあってもよい。より好ましくは、少なくとも2つの長円形のリングがあってもよい。長円形のリングは、それぞれ異なる曲率半径を有していてもよく、その長円形のリングは互いにロッドを介して接続されていてもよい。更に好ましくは、少なくとも一つの角リングがあってもよい。コネクタの構造は、プレート状であってもよい。好ましくは、中空のパターンがプレート上に構成されていてもよい。より好ましくは、中空パターンの面積の大きさは、コネクタの非中空部分の面積の大きさ以上であってもよい。なお、上述のコネクタの材質、構造、厚みはどのような態様でも組み合わせることができ、新たに別のコネクタを得ることができることには留意されたい。例えば、環状のコネクタは、異なる膜厚分布を有してもよい。好ましくは、リングの厚みは、ロッドの厚みに等しくてもよい。更に好ましくは、ロッドの厚みはリングの厚みより大きくてもよい。より好ましくは、内側の輪の厚みは外側の輪の厚みより大きくてもよい。
吸音孔の上記説明は単に本開示の一実施の形態を示したものに過ぎず、骨伝導スピーカーの音質を改善し、音漏れを抑制するような態様を限定することもある。当業者は上述の実施の形態を改変または改良することができる。但し、これらの改変および改良はなお上述の範囲内である。例えば、好ましくは、音誘導孔は、振動伝達層上に配置されていてもよい。好ましくは、振動伝達層の領域上にのみ音誘導孔を配置し、パネルとは一致させなくてもよい。さらに好ましくは、ユーザーと接触しない領域にのみ音誘導孔を配置してもよい。さらに好ましくは、音誘導孔は、振動ユニットの内側に配置して、空洞を形成してもよい。別の例として、音誘導孔はハウジングの底壁に配置されていてもよく、底壁の中心に1つの音誘導孔が配置されていてもよく、底壁の中心部の周囲に、環状に均等に配置される2以上の音誘導孔であってもよい。
骨伝導スピーカーの振動伝達についての上記説明は単に特定の実施の形態に過ぎず、唯一の実現可能な実施の態様であると解釈されるべきものではない。当業者が骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後に、骨伝導スピーカーのタイプや詳細な部分について様々な改変や変更を行うことができるとともに、これらの変更や改変についても、上述の通りに本開示の範囲に属することは明らかである。例えば、埋込み型の骨伝導補聴器を骨に直接密接させて、皮膚や皮下組織を介さずに直接音波振動を骨に伝達させることもできる。これにより、振動伝達プロセスにおける、皮膚や皮下組織によって生じる周波数応答の減衰や変質を回避してもよい。別の例として、適用シナリオの一部において、歯を音の伝導のために使用してもよい。すなわち、骨伝導デバイスを歯と接触させて、歯を介して骨や周辺組織に音の振動を伝達してもよい。このようにして、振動プロセスの間の、周波数応答への皮膚の影響を減らしてもよい。骨伝導スピーカーの適用についての上記説明は単に特定の実施の形態に過ぎず、当業者は、骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後に、異なるシナリオにおいて骨伝導スピーカーを使用してもよい。上記説明によると、適用シナリオにおける音の伝達は、上記説明に従って部分的に変更することができる。但し、これらの変更もなお上記説明の範囲内である。
ステップ104において、人間が感じる音質は、その人間の聴覚系にも関係する。それぞれの人間において、周波数の異なる音に対する感受性は変わり得る。実施形態の一部においては、周波数の異なる音に対する感受性のレベルは、等ラウドネス曲線によって示されてもよい。なかには、特定の周波数範囲の音声信号に対する感受性が低い人もおり、そのとき、等ラウドネス曲線は、対応する周波数の応答強度が他の周波数の応答強度に比べて低くなることがある。例えば、なかには高周波数の音声信号に対する感受性が低い人もおり、そのとき、高周波数の音声信号の応答強度が他の周波数の音声信号の応答強度に比べて低くなることがある。なかには低周波数の音声信号に対する感受性が低い人もおり、そのとき、低周波数の音声信号の応答強度が他の周波数の音声信号の応答強度に比べて低くなることがある。本明細書において、低周波数の音とは周波数が500Hz未満の音をいい、中間周波数の音とは周波数が500Hz〜4000Hzの音をいい、高周波数の音とは周波数が4000Hzを超える音をいう。
当然ながら、音の低周波数および高周波数というのは相対的なものであり、特定の人にとって、その聴覚系が、音の周波数範囲が異なるたびに異なる応答を示してもよい。骨伝導スピーカーによって生成される対応の周波数範囲内の音の強度の分布を選択的に変更し、または調整することによって、特定の人ごとの聴覚経験を得ることができる。なお、高周波数、中間周波数、または低周波数の、上で議論した音声信号は、普通の人の聴き取り範囲を述べるのに使用してもよく、またスピーカーが伝達を必要とする、自然界からの音の範囲を述べるのに使用してもよい。
ある実施の形態において、特定の人の聴覚系の等ラウドネス曲線は、図10に示す曲線3であってもよい。ピーク近点Aは、これらの人々の、点Aに対応する周波数の音に対しての感受性が、異なる周波数の他の点(例えば図10に示す点B)に対しての感受性よりも高いことを示している。人間の聴覚系にとって感受性の低い周波数は、骨伝導スピーカーを設計するときに補償することができる。曲線4は、曲線3に対する補正式周波数応答曲線であり、点Bの近くに共鳴ピークが現れている。音を耳で聴き取るときに、骨伝導スピーカーによって生成される周波数応答曲線4を周波数応答曲線3と組み合わせてもよく、それにより人間が聴き取る音をより理想的なものとし、かつ可聴周波数範囲をより広くしてもよい。実施形態の一部においては、点Aの周波数は、約500Hzであってもよく、点Bの周波数は約2000Hzであってもよい。なお、骨伝導スピーカーの特定の周波数を補償するための上記実施の形態が唯一の現実的な実施の形態であると解釈すべきではなく、また当業者は、その原理を理解した後、実際の用途に従って適切なピーク値や周波数を補償するための方法を設定してもよい点に留意されたい。
当業者が骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後に、骨伝導スピーカーの振動のタイプや詳細な部分について様々な改変や変更を行うことができ、またこれらの変更や改変についても、上述の通り本開示の範囲に属することは明らかである。例えば、上述した骨伝導スピーカーの周波数応答の補償方法は、骨伝導補聴器に適用されてもよい。聴覚に障害のある人に対して、骨伝導補聴器の1種以上の周波数応答特性を設計することによって、特定の周波数範囲に対する感受性の低さを補償してもよい。実際の用途において、骨伝導補聴器は、ユーザーの入力に基づいて周波数応答を知的に(インテリジェントに)選択または調整してもよい。例えば、システムはユーザーの等ラウドネス曲線を自動的に得てもよく、またはユーザーが自身の等ラウドネス曲線を入力してもよい。その後、システムは、その等ラウドネス曲線に基づいて骨伝導スピーカーの特定の周波数応答を補償してもよい。一実施の形態において、等ラウドネス曲線の、ラウドネスが比較的低い点(例えば、曲線上の最小の点)に対し、その点の近くの骨伝導スピーカーの周波数応答の振幅を増幅して、所望の音質を得てもよい。同様に、等ラウドネス曲線の、ラウドネスが比較的高い点(例えば、曲線上の最大の点)に対し、その点の近くの骨伝導スピーカーの周波数応答の振幅を減幅してもよい。更に、上述の周波数応答曲線または等ラウドネス曲線上に複数の極大点または極小点があってもよく、対応する補償曲線(周波数応答曲線)は複数の極大値または極小値を有していてもよい。当業者にとって、聴覚感度に関する上記説明において、「等ラウドネス曲線」は、「ラウドネス曲線」、「聴覚応答曲線」などの類似の文言に置き換えてもよい。実際、聴覚感度は音の周波数応答とみなしてもよく、本開示の様々な実施形態の説明において、骨伝導スピーカーの音質は、音に対する人間の感度と、骨伝導スピーカーの周波数応答とを組み合わせることによって得てもよい。
一般に、骨伝導スピーカーの音質は、例えば構成部品の物性、構成部品間の振動伝達の関係、スピーカーと外部環境との間の振動伝達の関係、振動伝達システムの振動伝達効率等の様々な要因により影響を受けることがある。骨伝導スピーカーの構成部品には、振動生成部材(例えばトランスデューサー)、スピーカーを固定するための部材(例えばヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードなど)、振動伝達部材(例えばパネルおよび振動伝達層)が含まれる。構成部品間、およびスピーカーと外部環境との間の振動伝達の関係は、スピーカーがユーザーに接触する様式(例えば締め付け力、接触領域、接触形状)によって決定され得る。図11は、骨伝導スピーカーの振動生成および振動伝達システムを示す等価図である。骨伝導スピーカーの等価システムには、固定端1101、センサ端子1102、振動ユニット1103、およびトランスデューサー1104が含まれてもよい。固定端1101は伝達関係K1(すなわち、図4のk4)を通じて振動ユニット1103に接続されてもよく、センサ端子1102は伝達関係K2(すなわち、図4のR3およびk3)を通じて振動ユニット1103に接続されていてもよい。振動ユニット1103は伝達関係K3(図4のR4,k5)を通じてトランスデューサー1104に接続されていてもよい。
振動ユニット1103は、パネルおよびトランスデューサーを含んでもよい。伝達関係K1,K2およびK3は、骨伝導スピーカーの等価システムにおける、対応する構成部品間の関係を説明するために用いてもよい(以下に詳細に説明する)。等価システムの振動方程式は以下のように表される。
式中、m
3は振動ユニット1103の等価質量であり、m
4はトランスデューサー1104の等価質量であり、x
3は振動ユニット1103の等価変位であり、x
4はトランスデューサー1104の等価変位である。k
3はセンサ端子1102と振動ユニット1103との間の等価弾性係数である。k
4は固定端1101と振動ユニット1103との間の等価弾性係数である。k
5はトランスデューサー1104と振動ユニット1103との間の等価弾性係数である。R
3はセンサ端子1102と振動ユニット1103との間の等価減衰である、R
4はトランスデューサー1104と振動ユニット1103との間の等価減衰である。f
3およびf
4は振動ユニット1103とトランスデューサー1104間の相互作用力である。振動ユニットA
3の等価振幅は、以下の式にように表される。
式中,f
0はユニット推進力を表し、ωは振動周波数を表す。骨伝導スピーカーの周波数応答に影響を及ぼす要因には、振動の生成(特に限定されないが、振動ユニット、トランスデューサー、ハウジング、および各々間の接続手段、例えば式(10)におけるm
3、m
4、k
5、R
4)、振動の伝達(特に限定されないが、皮膚との接触の様式、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの特性(式(10)のk
3、k
4、R
3など)が含まれ得る。骨伝導スピーカーの周波数応答および音質は、各構成部品の構造や、骨伝導スピーカーの各構成部品の間の接続のパラメータを変えることによって影響を受けることもある。例えば、締め付け力のサイズを変えることはk
4を変えることと同等である場合があり、接着剤での結合を変えることはR
4およびk
5を変えることと同等である場合があり、関連する材料の硬度、弾性力、減衰を変えることは、k
3およびR
3を変えることと同等であり得る。
ある実施の形態において、固定端1101の位置とは、振動プロセスにおいて幾つかの位置に相対的に固定される点または領域をいう。これらの点または領域は、固定端とみなしてもよい。固定端はある特定の構成部品からなるものであってもよく、あるいは骨伝導スピーカーの構造によって決定されてもよい。例えば、骨伝導スピーカーは、人の耳の周囲に吊り下げられるか、付着されるか、あるいは吸着されていてもよく、骨伝導スピーカーの上記構造または上記外見を実現するための特別なデザインを通じて人間の皮膚に固定されるものであってもよい。
センサ端子1102は、音声信号を受信するための人間の聴覚系であってもよい。振動ユニット1103は、トランスデューサーを保護し、支持し、接続するために使用してもよい。振動ユニット1103は、振動をユーザーに伝達するための振動伝達層と、ユーザーと直接的に又は間接的に接触しているパネルと、他の振動生成構成部品を保護し、支持するためのハウジングとを含んでもよい。トランスデューサー1104は、音波振動を生成してもよい。
伝達関係K1は固定端1101と振動ユニット1103とを接続してもよい。伝達関係K1は、固定端と振動生成部の振動伝達関係を示す。K1は、骨伝導スピーカーの形状および構造に基づいて決定されてもよい。例えば、骨伝導スピーカーは、U字形状のヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードによって、人の頭部に装着されてもよい。骨伝導スピーカーは、ヘルメット、消火マスク、または特定のマスク、眼鏡等に配置されてもよい。骨伝導スピーカーの構造や形状が異なると伝達関係K1に影響する場合がある。さらに、骨伝導スピーカーの構造には、骨伝導スピーカーの異なる部分の材質、質量などが含まれてもよい。伝達関係K2は、センサ端子1102と振動ユニット1103とを接続してもよい。
K2は、伝達システムの構成部品に依存していてもよい。特に限定されないが、伝達には、ユーザーの聴覚系に対して、ユーザーの組織を通じて音を伝達することを含んでもよい。例えば、音が皮膚、皮下組織、骨などを通じて聴覚系へ移されるときに、様々な部品の物性および様々な部品の相互の接続関係がK2に影響を及ぼすことがある。更に、様々な実施形態において、振動ユニット1103が組織に接触していてもよく、その場合の接触面は振動伝達層またはパネルの側面であってもよく、接触面の形状や大きさ、振動ユニット1103と組織との間の力が伝達係数K2に影響してもよい。
振動ユニット1103とトランスデューサー1104との間の伝達係数K3は、骨伝導スピーカーの振動発生ユニット内部の接続特性に依存していてもよい。トランスデューサーおよび振動ユニットは堅固に接続されていてもよく、柔軟に接続されていてもよい。また、振動ユニットとトランスデューサーとの間のコネクタの相対的な位置を変更することで、振動ユニットに振動を伝えるトランスデューサー(特にパネルの伝達効率)に影響を及ぼすことができ、それによって、伝達関係K3にも影響を及ぼすことができる。
骨伝導スピーカーを使用するときに、音の生成および伝達の方法は、ユーザーが感じる音質に影響を及ぼすことがある。例えば、上述の固定端、測定端子、振動ユニット、トランスデューサー、および伝達関係K1、K2およびK3などは音質に影響を及ぼすことがある。なおK1、K2およびK3は単に装置の異なる部分を接続する様式を述べたものに過ぎず、また特に限定されないが、上記システムには物理的な接続方式、力の伝導様式、音の伝達効率などが含まれることには留意させたい。
骨伝導スピーカーの等価システムについての説明は単に特定の実施の形態に過ぎず、唯一の現実的な実施の形態であると理解してはならない。当業者が骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後に、骨伝導スピーカーのタイプや詳細な部分について様々な改変や変更を行うことができ、またこれらの変更や改変についても、上記の通りに本開示の範囲に属することは明らかである。例えば、上述のK1、K2およびK3は、単純な振動、または機械的な伝達モードを指してもよく、または複雑な非線形伝達システムを含んでもよい。伝達関係は、各部分間の方向接続により形成されてもよく、非接触様式で伝達されてもよい。
図12は、本開示の実施の形態の一部に係る骨伝導スピーカーの構造を示す図である。図に図示したように、骨伝導スピーカーは、ヘッドセットブラケット(headset bracket)/ヘッドセットランヤード(headset lanyard)1201、振動ユニット1202、およびトランスデューサー1203を含んでもよい。振動ユニット1202は、接触面1202aおよびハウジング1202bを含んでもよい。トランスデューサー1203は、振動ユニット1202内にセットされて、振動ユニット1202に接続される。好ましくは、振動ユニット1202はパネルおよび振動伝達層(上述したものであってもよい)を更に含んでもよい。また接触面1202aは振動ユニット1202とユーザーの両方に接触する面であってもよい。好ましくは、接触面1202aは、振動伝達層の外側表面であってもよい。
骨伝導スピーカーは、その使用中、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード1201によって、ユーザーの身体(例えば頭部)の特別な部分に固定されてもよい。それによって振動ユニット1202とユーザーとの間に締め付け力が付与されてもよい。接触面1202aは、トランスデューサー1203に接続されていてもよく、ユーザーに振動を伝達するためにユーザーとの接触が保たれていてもよい。骨伝導スピーカーが作動するときの相対的な固定位置は、図11にて図示したような、固定端1101として選択されてもよい。本開示の一部の実施形態において、骨伝導スピーカーは対称形の構造を有する。また2つの側面に設けられたトランスデューサーにより提供される駆動力は等しくかつ正対する。したがってヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの中間点は等価な固定端として選択することができる(例えば位置1204)。他の一部の実施の形態においては、2つの側面に設けられたトランスデューサーにより提供される駆動力は不均一である。骨伝導スピーカーはステレオを生成するか、または骨伝導スピーカーは非対称構造を有し、かつヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード上、またはそれらから離れた他の位置または領域を等価な固定端として選択してもよい。本願において説明する固定端は、骨伝導スピーカーが作動するときに相対的に固定されている等価な端部であってもよい。固定端1101と振動ユニット1202とはヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード1201により接続されていてもよい。また伝達関係K1はヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード1201と、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード1201によってもたらされる締め付け力とに関連づけられていてもよい。なお締め付け力はヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード1201の物性に左右される。好ましくは、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード1201の物理的変位パラメータ(例えば、締め付け力、重量等)は、骨伝導スピーカーの音の伝達効率を変えることができ、特定の周波数範囲の周波数応答に影響を及ぼすことができる。例えば、強度の異なる材質のヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードを適用することで、異なる締め付け力を与えることができる。(例えば、弾性力を有する補助デバイスを追加して)ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの構造を変化させることにより、締め付け力を変え、そして音の伝達効率に影響を与えてもよい。ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードのサイズが異なることにより、締め付け力に影響を与え得る。2つの振動ユニットの間の距離が減少するにつれて締め付け力は大きくなる。
ある特定の締め付け力を有するヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードを得るために、当業者は、実際の状況に基づいたバリエーションまたは改変を実行してもよい。例えば、本開示の教示に基づいて、剛性や弾性係数が異なるヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードを選択したり、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードのサイズを変更したりしてもよい。なお締め付け力を変えると音の伝達効率だけでなく、低い周波数範囲のユーザー体験にも影響を及ぼし得る点には留意されたい。本願における締め付け力とは、接触面とユーザーとの間の圧力を意味する。好ましくは、締め付け力は0.1N〜5Nの間である。好ましくは、締め付け力は0.1N〜4Nの範囲である。より好ましくは、締め付け力は0.2N〜3Nの範囲である。より好ましくは、締め付け力は0.2N〜1.5Nの範囲である。更に好ましくは、締め付け力は0.3N〜1.5Nの範囲である。
ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの締め付け力は、材料によって決定されることもある。好ましくは、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードに使用する材料には、特定の硬度を有するプラスチックであって、特に限定されないが、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン(PE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、メラミンホルムアルデヒド(MF)等、またはそれらの組み合わせが含まれる。より好ましくは、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード用の材料には、金属、合金(例えば、アルミニウム合金、クロム−モリブデン合金、スカンジウム合金、マグネシウム合金、チタン合金である。マグネシウム−リチウム合金、ニッケル合金)、または補償(compensate)などが含まれてもよい。
更に、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの材料は、記憶材料を含んでもよい。特に限定されないが、記憶材料には、記憶合金、記憶ポリマー、記憶無機材料などが含まれてもよい。記憶合金としては、チタン−ニッケル銅記憶合金、チタン−ニッケル−鉄記憶合金、チタン−ニッケル−クロム記憶合金、銅ニッケル系記憶合金、銅−アルミニウム系記憶合金、銅−亜鉛系記憶合金、鉄系記憶合金などが含まれてもよい。特に限定されないが、記憶ポリマーには、ポリノルボルネン、トランス−ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、架橋ポリエチレン、ポリウレタン類、ラクトン類、フッ素含有ポリマー、ポリアミド、架橋ポリオレフィン、ポリエステルなどが含まれていてもよい。特に限定されないが、無機材料には、記憶セラミック、記憶ガラス、ガーネット、マイカなどが含まれていてもよい。
さらに記憶材料は選択された記憶温度を有していてもよい。好ましくは、記憶温度は10℃以上であってもよい。より好ましくは、記憶温度は40℃以上であってもよい。より好ましくは、記憶温度は60℃以上であってもよい。更に好ましくは、記憶温度は100℃以上であってもよい。ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード中の記憶材料の割合は、5%以上であってもよい。より好ましくは、上記割合は7%以上であってもよい。より好ましくは、上記割合は15%以上であってもよい。より好ましくは、上記割合は30%以上であってもよい。更に好ましくは、上記割合は50%であってもよい。
本願において、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードとは、骨伝導スピーカーに締め付け力を与える後ろ掛け型の構造を意味する。記憶材料は、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの位置とは異なる位置にあってもよい。好ましくは、記憶材料は、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの、圧力が集中する位置にあってもよく、特に限定されないが、例えばヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードと振動ユニットの間のジョイント、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの対称中心、またはヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの中の線が集中的に分布する位置にあってもよい。実施形態の一部においては、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードは、記憶合金からなるものであってもよく、これによって異なるユーザー間での締め付け力の差が低減され、締め付け力に影響を受ける音質の整合性が改善される。実施形態の一部においては、記憶合金からなるヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードは、十分な弾性を有していてもよく、それにより大きく変形させた後に元の形状に戻ることができるようにしてもよい。加えて、長い時間変形させた後も締め付け力を安定的に維持することができるようにしてもよい。実施形態の一部においては、記憶合金からなるヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードは、大きな変形や歪みを与えるのに充分に軽く、充分な柔軟性を有していてもよく、ユーザーによりよく装着されるのがよい。
締め付け力は、骨伝導スピーカーの振動生成部の表面とユーザーとの間に圧力を付与する。図13−Aおよび図13−Bは、接触面とユーザーとの間の異なる圧力に対する振動応答曲線を示す実施の形態である。締め付け力が一定の閾値より低いと、高周波数振動の伝達に適さない場合がある。図13−Aに図示するように、同じ振動源(音源)に対して、締め付け力が0.1Nである場合にユーザーが受け取る中間周波数振動(音)および高周波数振動(音)は、締め付け力が0.2Nおよび1.5Nの場合と比較して少ないことがある。すなわち、0.1Nでの中間周波数および高周波数の部分の効果は、0.2Nから1.5Nまでにおける効果に比べて弱いことがある。同様に、締め付け力が一定の閾値より高いと、低周波振動の伝達に適さない場合がある。図13−Bに図示するように、同じ振動源(音源)に対して、締め付け力が5.0Nである場合にユーザーが受け取る中間周波数振動(音)および低周波数振動(音)は、締め付け力が0.2Nおよび1.5Nの場合と比較して少ないことがある。すなわち、5.0Nでの低周波数の部分の効果は、0.2Nから1.5Nまでにおける効果に比べて弱いことがある。
実施形態の一部において、接触面とユーザー間の圧力は、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの材料の適切な選択、および適当なヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード構造に基づいて特定の範囲内に保たれていてもよい。接触面とユーザーとの間の圧力は、閾値より大きくてもよい。好ましくは、閾値は0.1Nである。好ましくは、閾値は0.2Nである。より好ましくは、閾値は0.3Nである。更に好ましくは、閾値は0.5Nである。当業者にとって、骨伝導スピーカーにより与えられる締め付け力が骨伝導システムの周波数応答を変える、という原理に照らし、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの材質や構造に対して一定の量の改変や変更を行ってもよく、異なる音質要求を満たす締め付け力の範囲を設定してもよい。しかしながら、それらの変更態様と改変は、本開示の範囲由来のものではない。
骨伝導スピーカーの締め付け力は、ある特定のデバイスまたは方法でテストされてもよい。図14−Aおよび図14−Bは、骨伝導スピーカーの締め付け力を試験する実施形態の例を示す。点Aおよび点Bは、骨伝導スピーカーのヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの振動ユニットの近くにあってもよい。試験プロセスにおいて、点Aまたは点Bのうち1つを固定し、固定された点を除く点Aまたは点Bのうちの別の点を圧力計と接続してもよい。点Aと点Bとの間の距離が125mm〜155mmの範囲である場合、締め付け力を得ることができる。図14−Cは、骨伝導スピーカーの異なる締め付け力に対応する3本の周波数振動応答曲線を示している。3本の曲線に対応する締め付け力は、それぞれ0N、0.61N、および1.05Nであってもよい。図14−Cは、ユーザーの顔によって発生することがある、骨伝導スピーカーの振動ユニットにかかる負荷は、骨伝導スピーカーの締め付け力が増大するにつれて大きくなり、振動領域からの振動は減少し得ることを示している。締め付け力があまりにも小さい、または締め付け力があまりに大きい場合、締め付け力をもつ骨伝導スピーカーにおいては、振動中における周波数応答のムラが生じる(例えば、0N、1.05Nにそれぞれ対応する曲線上の500Hzから800Hzの範囲)。締め付け力が大き過ぎる場合(例えば、1.05Nに対応する曲線の場合)、ユーザーは不快と感じる場合があり、骨伝導スピーカーの振動が減少し、音量が小さくなる。また締め付け力が小さ過ぎる場合(例えば、0Nに対応する曲線の場合)、ユーザーは骨伝導スピーカーが振動しているのをよりはっきりと感じるようになる場合がある。
なお骨伝導スピーカーの締め付け力を変更することについての上記説明は単に例示の目的のために提供されるものであり、唯一の可能な実施の形態を示すものではない点には留意されたい。当業者にとっては、骨伝導スピーカーの原理に照らして、骨伝導スピーカーの締め付け力を変更することについて複数のバリエーションが実施できることは明らかである。しかしながら、それらのバリエーションは、本開示の範囲由来のものではない。例えば、記憶材料を骨伝導スピーカーのヘッドセットブラケットに用いることができる。これにより、骨伝導スピーカーが別のユーザーの頭部に適応できるような角度を有するようにしてもよく、良好な弾力を有してもよく、骨伝導スピーカーを着用するときの快適さを高めてもよく、また締め付け力の調整を容易にしてもよい。更に、図15に示すように、締め付け力を調整するために用いる弾性包帯1501を、骨伝導スピーカーのヘッドセットブラケットに備え付けてもよい。弾性包帯によって、ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードがバランスのとれた位置から離れるように圧縮されるか、または伸長されるときに、追加の回復力を付与することができる。
センサ端子1102と振動ユニット1103との間の伝達関係K2は、骨伝導システムの周波数応答に影響を及ぼすことがある。ユーザーの耳によって聴き取られる音量は、ユーザーの蝸牛によって受け取られるエネルギーに左右される。そのエネルギーは、伝達の間の様々なパラメータに影響を受け得る。そのエネルギーは以下の式により表すことができる。
Pは蝸牛によって受け取られるエネルギーに対して線形な関係にある。Sは接触面502aとユーザーの顔との間の接触面積である。αは寸法変化の係数である。f(a,R)は接触面上の点の加速度aと、エネルギー伝達時における、接触面とユーザーの皮膚との間の接触密着性Rとの間の作用を示す。Lは機械的波動の伝達上の任意の接触点の減衰、すなわち単位面積あたりの伝達インピーダンスをいう。
(11)に関して、伝達インピーダンスLは音の伝達に影響を及ぼすことがある。また、骨伝導システムの振動伝達効率は伝達インピーダンスLに関係づけられてもよい。骨伝導システムの周波数応答曲線は、接触面上の複数の点における周波数応答曲線の重ね合わせであってもよい。インピーダンスを変える要因には、エネルギー透過領域のサイズ、エネルギー透過領域の形状、エネルギー透過領域の粗さ、エネルギー透過領域への圧力、またはエネルギー透過区域への圧力分布などが含まれてもよい。例えば、音の伝達効果は、振動ユニット1202の構造および形状を変えると変動することがあり、それにより骨伝導スピーカーの音質が変わることがある。単なる一例に過ぎないが、振動ユニット1202の接触面1202aの対応する物理的特性を変えることによって音の伝達効果を変えてもよい。
優れたデザインのある接触面は勾配構造を有していてもよい。このとき、勾配構造は接触面上の様々な高さを有する領域を指してもよい。上記勾配構造は、接触面の外側(ユーザーを向いた側)または内側(ユーザーと逆側)に存在する凹凸部であってもよく、または階段状の形状であってもよい。骨伝導スピーカーの振動ユニットの一実施の形態は、図16−Aに図示されるものであってもよい。凹凸部(図16−Aには示していない)は、接触面1601(接触面の外側)に存在していてもよい。骨伝導スピーカーの操作中において、凹凸部はユーザーの顔と接触していてもよく、それにより接触面1601上の位置ごとに、その位置とユーザーの顔との間の圧力を変えてもよい。このようにして、凸部はユーザーの顔とより密接に接触していてもよく、これにより凸部と接触するユーザーの皮膚や組織にかかる圧力が大きくなってもよい。また凹部と接触するユーザーの皮膚および組織への圧力が小さくなってもよい。
例えば図16−Aの接触面1601上の3つの点A、BおよびCは、それぞれ、凸部がない部分、凸部の端部、および凹部に位置していてもよい。ユーザーの皮膚と接触するときに、上記3つの点上の締め付け力FA、FB、およびFCは、FC>FA>FBであってもよい。実施形態の一部においては、点B上の締め付け力は0、すなわち、Bがユーザーの皮膚と接触していなくてもよい。ユーザーの顔の皮膚および組織は、圧力が異なるとインピーダンスや応答も異なってもよい。圧力がより大きい部分は、インピーダンス率がより小さい部分に相当してもよく、音波に対してハイパスフィルタリング特性を有してもよい。圧力がより小さい部分は、よりインピーダンス率がより大きい部分に相当してもよく、音波に対してローパスフィルタリング特性を有してもよい。
接触面1601において、部分が異なると、インピーダンス特性Lも異なってもよい。式(1)に従って、部分が異なると、音の伝達に対する周波数応答も異なってもよい。接触面全体を介する音の伝達効果は、接触面の各部分を介する音の伝達効果の合計に等しくてもよい。音がユーザーの脳に伝達されるときに、滑らかな曲線を形成し、それにより低周波または高周波の下で過大な調和ピークが発生するのを回避してもよい。このように、バンド幅全体にわたって理想的な周波数応答を得ることができる。同様に、接触面1601の材質および厚みは音の伝達効果に影響を及ぼすことがあり、それにより音質に影響を及ぼすことがある。例えば、接触面が柔らかい場合、低周波数域での音の伝達効果は高周波数域より良好な場合がある。また接触面が固い場合、高周波数域の音の伝達効果が低周波数領域においてよりも良好な場合がある。
図16−Bは、異なる接触面積を有する骨伝導スピーカーの応答曲線を示す。点線は、接触面上に凸部を有する骨伝導スピーカーの周波数応答に対応してもよい。実線は、接触面上の凸部がない部分の骨伝導スピーカーの周波数応答に対応してもよい。低周波〜中間周波の周波数範囲において、凸部がない部分の振動は凸部の振動に対して弱くなってもよい。それにより「くぼみ(ピット)」が周波数応答曲線の上に形成されることがある。その結果、周波数応答は理想的でないものとなり、音質に影響することがある。
図16−Bについての上記説明は特定の実施の形態に過ぎず、当業者は、骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後に、その構造や構成部材に対して様々な改変または変更を行い、異なる周波数応答効果を達成することができる。
なお当業者にとって、接触面の形状および構造が上記説明のものに限定されないことには留意されたい。実施形態の一部においては、凸部または凹部は、接触面の端部に位置していてもよく、接触面の中心に位置していてもよい。接触面は凸部または凹部を一つ以上含んでいてもよい。凸部または凹部は、両方共接触面にあってもよい。凸部または凹部を構成する材料は、接触面を構成する材料とは異なる材料であってもよく、例えば柔軟材料、硬質材料、特定の圧力勾配を生み出すのが容易な材料などであってもよい。上記材料は、記憶材料または非記憶材料でもよい。また材料は、単一の材料であてもよく複合材料であってもよい。接触面の凸部または凹部の構造パターンには、特に限定されないが、軸対称パターン、中心対称パターン、回転対称形パターン、非対称のパターンが含まれる。接触面上の凸部または凹部の構造パターンは、1つのパターン、2つのパターン、または2つ以上のパターンの組み合わせを含んでもよい。特に限定されないが、接触面は、ある程度の滑らかさ、粗さ、うねり等を有していていもよい。特に限定されないが、接触面上の凸部または凹部の分布には、軸対称、中心対称、回転対称、非対称が含まれる。凸部または凹部は接触面の端部に位置するように構成されていてもよく、接触面の中心に配置されていてもよい。
図17における1704〜0709は、接触面の構造の実施の形態である。
図17の1704は、接触面上において同様の形状および構造を有する複数の凸部を示す。凸部は、パネル上の他の部分と同一の材料または類似の材料からなるものであってもよく、異なる材料からなるものであってもよい。特に、凸部は記憶材料および振動伝達層の材料からなるものであってもよく、このとき、記憶材料の割合は10%以上であってもよい。好ましくは、上記割合は50%以上であってもよい。一つの凸部あたりの面積は、総面積の1%〜80%であってもよく、好ましくは5%〜70%であり、より好ましくは8%〜40%である。凸部の面積の合計は、総面積の5%〜80%であってもよく、好ましくは10%〜60%である。少なくとも一つの凸部が存在していてもよく、好ましくは、1つの凸部、より好ましくは2つの凸部、更に好ましくは少なくとも5つの凸部が存在していてもよい。凸部の形状は、円形、長円形、三角形、矩形、台形、不規則な多角形、または他の類似のパターンであってもよい。また凸部の構造は対称形でもよく、非対称でもよい。凸部の分布は対称的な分布であってもよく、非対称的な分布であってもよい。凸部の数は一つ以上であってもよく、凸部の高さは同一でもよく、異なっていてもよい。凸部の高さの分布は特定の勾配を形成していてもよい。
図17の1705は、二つ以上の構造パターンを有する接触面上の凸部の実施の形態を示す。異なるパターンの一つ以上の凸部があってもよい。二個以上の凸部の形状は、円形、長円形、三角形、矩形、台形、不規則な多角形、その他の形状、または二個以上の形状の組み合わせであってもよい。凸部の材質、量、大きさ、対称性は、1704について説明したものと同様であってもよい。
図17の1706は、接触面の端部または接触面内に分配されていてもよい凸部の一実施の形態を示す。接触面の端部に位置する凸部の数は、凸部の合計数の1%〜80%であってもよく、好ましくは5%〜70%、より好ましく10%〜50%、より好ましくは30%〜40%であってもよい。凸部の材質、量、大きさ、対称性は、1704について説明したものと同様であってもよい。
図17の1707は、接触面上の凹部の構造を示す。凹部の構造は対称形であってもよく、非対称であってもよい。また凹部の分布は対称でもよく、非対称であってもよい。また凹部の数は1個または2個以上でもよく、凹部の形状は同じであってもよく、異なっていてもよい。また凹部は中空であってもよい。一つの凹部の面積は、接触面の総面積の1%〜80%であってもよく、好ましくは5%〜70%であり、より好ましくは8%〜40%である。凹部の面積の合計は、総面積の5%〜80%であってもよく、好ましくは10%〜60%である。少なくとも一つの凹部が存在していてもよく、好ましくは、1つの凹部、より好ましくは2つの凹部、更に好ましくは少なくとも5つの凹部が存在していてもよい。凹部の形状は、円形、長円形、三角形、矩形、台形、不規則な多角形、その他の同様のパターンであってもよい。
図17の1708は、凸部および凹部を含む接触面を示す。一つ以上の凸部と一つ以上の凹部があってもよい。凸部に対する凹部の数の比率は0.1%〜100%であってもよく、好ましくは1%〜80%、より好ましくは5%〜60%、更に好ましくは10%〜20%であってもよい。各凸部または各凹部の材質、量、大きさ、対称性は、1704について説明したものと同様であってもよい。
図17の1709は、特定のうねりを有する接触面の実施の形態を示す。うねりは、二つ以上の凹凸部により形成されたものであってもよい。好ましくは、隣接する凹凸部の間の距離は等しくてもよい。より好ましくは、凹凸部の間の距離は、等差数列で表すことができてもよい。
図17の1710は、接触面上の広い面積を有する凸部の実施の形態を示す。凸部の面積は、接触面の総面積の30%〜80%であってもよい。好ましくは、凸部の端部の一部は、接触面の端部の一部と実質的に接触してもよい。
図17の1711は接触面上の大きい面積を有する第1の凸部と、第1の凸部上に設けられた、より小さな面積を有する第2の凸部とを示す。より大きい面積を有する凸部の面積は、総面積の30%〜80%であってもよく、より小さい面積を有する凸部の面積は総面積の1%〜30%でもよく、好ましくは5%〜20%である。より小さい領域の面積は、より大きい領域の面積の5%〜80%でもよく、10%〜30%であるのが好ましい。
骨伝導スピーカーの接触面の構造についての上記説明は単に特定の実施の形態を示したものに過ぎず、唯一の実現可能な実施の態様であると解釈されるべきものではない。当業者が骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後に、骨伝導スピーカーの接触面のステップや詳細な部分について様々な改変や変更を行うことができ、またこれらの変更や改変についても、上述の通りに本開示の範囲に属することは明らかである。例えば、凸部および凹部の数は図17に示したものに限られず、凸部、凹部、または接触面のパターンになされる改変はなお上述の説明の範囲内である。さらに、骨伝導スピーカーの少なくとも一つの振動ユニットの接触面は、同じ形状および材質を有していてもよく、異なる形状および材質を有していてもよい。異なる接触面を介して伝達される振動の作用は、接触面の特性によって異なっていてもよく、その結果、異なる音響効果が生じていてもよい。
図11に示すように、骨伝導スピーカーの振動システムのトランスデューサー1104の振動モード、およびトランスデューサー1104と振動ユニット1103との間の接続手段K3は、システムの音響効果に影響を及ぼすことがある。好ましくは、トランスデューサーは、振動ボード、振動伝導プレート、コイル一式、および磁気循環システムを含んでもよい。より好ましくは、トランスデューサーは、複数の振動ボードおよび振動伝導プレートを有する複合振動デバイスを含んでいてもよい。音を発生させるためのシステムの周波数応答は振動ボードおよび振動伝導プレートの物性により影響され得る。また実際の要求に合うように、特定のサイズ、形状、材料、厚み、振動の伝達様式等を備える振動ボードおよび振動伝導プレートを選択してもよい。
図18−Bおよび18−Aは複合振動デバイスの実施の形態である。複合振動デバイスは、振動伝導プレート1801および振動ボード1802から構成される複合振動構成部材を含んでいてもよい。振動伝導プレート1801は、第1の環1813として構成されていてもよい。また第1の環の中心で収束する3本の第1ロッド1814を有するように構成されてもよい。また3本の第一ロッドの収束中心は第1の環の中心で固定されてもよい。振動プレート1802の中心は、収束中心および3つの第1の環1813に適した溝1820を含んでもよい。振動ボード1802は、第2の環1821および3本の第2ロッド1822を有するように構成されてもよい。第2の環1821の半径は、振動伝導プレート1801の半径と異なっていてもよい。第2ロッド1822の厚みは、第1ロッド1814の厚みと異なってもよい。第1ロッド1814と第2ロッド1822は、特に限定されないが、60度の交錯角度で交錯するように組み立てられていてもよい。
第1ロッドおよび第2ロッドは直線状のロッドであってもよく、特定の要求を満足する他の形状であってもよい。また経済的または実用的な要求を満たすように、対称的または非対称的に配置された3本以上のロッドがあってもよい。振動伝導プレート1801は、薄く、弾性を有していてもよい。振動伝導プレート1801は、振動ボード1802の溝1820の中心に配置されていてもよい。振動ボード1802に結合される第2の環1821の下にボイスコイル1808を構成してもよい。複合振動ユニットは、環状の磁石1810が構成される基板1812をさらに含んでもよい。内側磁石1811は、環状の磁石1810の範囲内に同心状に構成されていてもよい。内側磁束伝導プレートは内側磁石1811の頂面に構成されてもよい。また環状の磁束伝導プレート1807は、環状の磁石1810内に構成されていてもよい。ガスケット1806は環状の磁束伝導プレート1807の上に固定されていてもよく、振動伝導プレート1801の第1の環1813はガスケット1806と接続されていてもよい。複合振動ユニット全体が、パネル1830を介して外付け部品またはユーザーと接続されていてもよい。複合振動デバイスはパネル1830を介して外付け部品と接触していてもよく、パネル1830は収束中心で固定されていてもよく、振動伝導プレート1801および振動ボード1802の中心に型締めされていてもよい。
振動ボードおよび振動伝導プレートから構成される複合振動ユニットは、図19に示すように、2つの振動源からの振動を重ね合わせることにより、2つの共振ピークを生じさせてもよい。共振ピークは、2つの構成部材のサイズ、材質、または他のパラメータを調整することによってシフトすることができる。低周波内の共振ピークはより低い周波数の方向へシフトさせることができる。また高周波を有する共振ピークはより高い周波数の方向へシフトさせることができる。好ましくは、振動ボードの剛性は振動伝導プレートの剛性よりも大きくてもよい。理想条件においては、図19の点曲線として示すような滑らかな周波数応答を得ることが可能である。
これらの共振ピークは、人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内に設定されていてもよく、人間の耳では聴きとれない周波数範囲に設定されていてもよい。好ましくは、2つの共振ピークは、人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよい。より好ましくは、一方の共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一方の共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは、人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよい。更に好ましくは、2つの共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、ピークの周波数は80Hz〜18000Hzの範囲内にあってもよい。更に好ましくは、2つの共振ピークは、人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよくて、ピークの周波数は200Hz〜15000Hzの範囲内にあってもよい。更に好ましくは、2つの共振ピークは、人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよくて、ピークの周波数は500Hz〜12000Hzの範囲内にあってもよい。更に好ましくは、2つの共振ピークは、人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよくて、ピークの周波数は800Hz〜11000Hzの範囲内にあってもよい。
共振ピークの周波数の値の間には間隔があってもよい。例えば、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は500Hzであってもよく、好ましくは1000Hzであり、より好ましくは2000Hzであり、より好ましくは5000Hzである。
より良好な効果を成し遂げるために、2つの共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよい。また2つの共振ピークのピーク値の間の差は少なくとも500Hzであってもよい。好ましくは、2つの共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも1000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも2000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも3000Hzであってもよい。そしてより好ましくは、2つの共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも4000Hzであってもよい。
一方の共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一方の共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも500Hzであってもよい。好ましくは、一方の共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一方の共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも1000Hzであってもよい。より好ましくは、一方の共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一方の共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも2000Hzであってもよい。より好ましくは、一方の共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一方の共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも3000Hzであってもよい。より好ましくは、一方の共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一方の共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも4000Hzであってもよい。
2つの共振ピークは両方とも5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも400Hzであってもよい。好ましくは、2つの共振ピークは両方とも5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも1000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも2000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも3000Hzであってもよい。そしてさらに好ましくは、2つの共振ピークは両方とも5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも4000Hzであってもよい。
2つの共振ピークは両方とも20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも400Hzであってもよい。好ましくは、2つの共振ピークは両方とも20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも1000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも2000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも3000Hzであってもよい。そしてさらに好ましくは、2つの共振ピークは両方とも20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも4000Hzであってもよい。
2つの共振ピークは両方とも100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも400Hzであってもよい。好ましくは、2つの共振ピークは両方とも100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも1000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも2000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも3000Hzであってもよい。そしてさらに好ましくは、2つの共振ピークは両方とも100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも4000Hzであってもよい。
2つの共振ピークは両方とも200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも400Hzであってもよい。好ましくは、2つの共振ピークは両方とも200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも1000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも2000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも3000Hzであってもよい。そしてさらに好ましくは、2つの共振ピークは両方とも200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも4000Hzであってもよい。
2つの共振ピークは両方とも500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも400Hzであってもよい。好ましくは、2つの共振ピークは両方とも500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも1000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも2000Hzであってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは両方とも500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも3000Hzであってもよい。そしてさらに好ましくは、2つの共振ピークは両方とも500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔は少なくとも4000Hzであってもよい。これにより、スピーカーの共鳴応答の範囲を広げてもよく、その結果、より理想的な音質を得ることができる。
なお実際の使用においては、異なる範囲の周波数応答に対応する複層振動構造を形成するための複数の振動伝導プレートおよび振動ボードがあってもよく、それにより、スピーカーは全音階的な、範囲全体をカバーする高品質の振動を得ることができ、また、周波数応答曲線を特定の周波数範囲における要求に合致するようにしてもよいことには留意されたい。
例えば、通常の聴力に対する要求を満たすために、骨伝導補聴器は、100Hz〜10000Hzの範囲に共振周波数を有する一つ以上の振動ボードおよび振動伝導プレートを備えたトランスデューサーを有するように構成してもよい。振動ボードおよび振動伝導プレートを備える複合振動ユニットに関する説明は、2011年12月23日に出願された中国特許出願第201110438083.9号(発明の名称:「骨伝導スピーカーおよび複合振動ユニット」)において見出すことができる。その内容は引用して本願に援用される。
図20に示すように、別の実施の形態において、振動システムは、振動ボード2002、第1の振動伝導プレート2003、および第2の振動伝導プレート2001を含んでもよい。第1の振動伝導プレート2003は、振動ボード2002および第2の振動伝導プレート2001をハウジング2019上に固定してもよい。振動ボード2002、第1の振動伝導プレート2003、および第2の振動伝導プレート2001を含む複合振動システムは、2つの以上の共振ピークおよび聴覚系の範囲内のより滑らかな周波数応答曲線を生じさせることができる。その結果、骨伝導スピーカーの音質を改善することができる。振動システムの等価モデルを図21−Aに示す。
2101はハウジングであり、2102はパネルであり、2103はボイスコイルであり、2104は磁気回路振動であり、2105は第1の振動伝導プレートであり、2106は第2の振動伝導プレートであり、2107は振動ボードである。第1の振動伝達性プレート、2枚目の振動伝達性プレート、および振動ボードは、弾力および減衰性を有する構成部材として抽出されていてもよい。またハウジング、パネル、ボイスコイルおよび磁気循環方式は、等価質量ブロックとして抽出されていてもよい。システムの振動方程式は以下のように表される。
式中、Fは駆動力であり、k
6は第2の振動伝導プレートの等価スチフネス係数であり、k
7は振動ボードの等価スチフネス係数であり、k
8は第1の振動伝導プレートの等価スチフネス係数であり、R
6は第2の振動伝導プレートの等価減衰であり、R
7は振動ボードの等価減衰であり、R
8は第1の振動伝導プレートの等価減衰であり、m
5はパネルの質量であり、m
6は磁気循環システムの質量であり、m
7はボイスコイルの質量であり、x
5はパネルの変位であり、x
6は磁気循環システムの変位であり、x
7はボイスコイルの変位である。また、パネル2102の振幅は以下のように表すことができる。
式中、ωは振動の角周波数であり、f
0は単位駆動力である。
骨伝導スピーカーの振動システムは、パネルを介してユーザーに振動を伝達することができる。式(15)によれば、振動効率は、振動ボード、第1の振動伝導プレートおよび第2の振動伝導プレートのスチフネス係数、および振動減衰と関連付けてもよい。好ましくは、振動ボードのスチフネス係数k7は、第2の振動伝導プレートのスチフネス係数k6よりも大きくてもよく、振動ボードのスチフネス係数k7は第1の振動伝導プレートのよりスチフネス係数k8よりも大きくてもよい。第1の振動伝導プレートを有する複合振動システムによって生じる共振ピークの数は、第1の振動伝導プレートを有していない複合振動システムによって生じる共振ピークの数よりも大きくてもよく、3つ以上の共振ピークが存在するのが好ましい。より好ましくは、少なくとも1つの共振ピークは人間の耳によって聴き取れる範囲の外にあってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークは、人間の耳によって聴き取ることができる範囲内にあってもよい。さらにより好ましくは、共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる範囲内にあってもよく、周波数のピーク値は18000Hz以下であってもよい。より好ましくは、共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる範囲内にあってもよく、周波数のピーク値は100Hz〜15000Hz以下であってもよい。より好ましくは、共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる範囲内にあってもよく、周波数のピーク値は200Hz〜12000Hz以下であってもよい。より好ましくは、共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる範囲内にあってもよく、周波数のピーク値は500Hz〜11000Hz以下であってもよい。
共振ピークの周波数の値の間には間隔があってもよい。例えば、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が200Hzを超える2つ以上の共振ピークがあってもよい。好ましくは、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が500Hzを超える2つ以上の共振ピークがあってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が1000Hzを超える2つ以上の共振ピークがあってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が2000Hzを超える2つ以上の共振ピークがあってもよい。より好ましくは、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が5000Hzを超える2つ以上の共振ピークがあってもよい。
より良い効果を達成するために、共振ピークは全て人間が聴き取れる範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が500Hz以上である2つ以上の共振ピークがあってもよい。好ましくは、共振ピークは全て人間が聴き取れる範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が1000Hz以上である2つ以上の共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て人間が聴き取れる範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が2000Hz以上である2つ以上の共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て人間が聴き取れる範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が3000Hz以上である2つ以上の共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て人間が聴き取れる範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が4000Hz以上である2つ以上の共振ピークがあってもよい。
3つの共振ピークのうち、2つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一つの共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が500Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。好ましくは、3つの共振ピークのうち、2つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一つの共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が1000Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、3つの共振ピークのうち、2つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一つの共振ピークは人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が2000Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、3つの共振ピークのうち、2つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一つの共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が3000Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、3つの共振ピークのうち、2つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、もう一つの共振ピークは人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が4000Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。
3つの共振ピークのうち、1つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、残りの2つの共振ピークが人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が500Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。好ましくは、3つの共振ピークのうち、1つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、残りの2つの共振ピークが人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が1000Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、3つの共振ピークのうち、1つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、残りの2つの共振ピークが人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が2000Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、3つの共振ピークのうち、1つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、残りの2つの共振ピークが人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が3000Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、3つの共振ピークのうち、1つが人間の耳によって聴き取ることができる周波数範囲内にあってもよく、残りの2つの共振ピークが人間が聴き取れる周波数範囲の外にあってもよく、2つの共振ピークの間の周波数の値の間隔が4000Hz以上の少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。
共振ピークは全て5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも400Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。好ましくは、共振ピークは全て5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも1000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも2000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも3000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。そしてさらに好ましくは、共振ピークは全て5Hz〜30000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも4000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。
共振ピークは全て20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも400Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。好ましくは、共振ピークは全て20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも1000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも2000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも3000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。そしてさらに好ましくは、共振ピークは全て20Hz〜20000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも4000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。
共振ピークは全て100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも400Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。好ましくは、共振ピークは全て100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも1000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも2000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも3000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。そしてさらに好ましくは、共振ピークは全て100Hz〜18000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも4000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。
共振ピークは全て200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも400Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。好ましくは、共振ピークは全て200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも1000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも2000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも3000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。そしてさらに好ましくは、共振ピークは全て200Hz〜12000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも4000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。
共振ピークは全て500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも400Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。好ましくは、共振ピークは全て500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも1000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも2000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。より好ましくは、共振ピークは全て500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも3000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。そしてさらに好ましくは、共振ピークは全て500Hz〜10000Hzの周波数範囲内にあってもよく、2つの共振ピークの周波数の値の間隔が少なくとも4000Hzの少なくとも2つの共振ピークがあってもよい。
ある実施の形態においては、振動ボード、第1の振動伝導プレート、および第2の振動伝導プレートを含む複合振動システムは、結果として図21−Bに示すような周波数応答を生じさせてもよい。第1の振動伝導プレートを有する複合振動システムは、結果として3つの明らかな共振ピークを生じさせてもよい。それによって、低周波数の範囲(約600Hz)における周波数応答の感度を改善してもよく、より滑らかな周波数応答を得るようにし、音質を改善してもよい。
共振ピークは、第1の振動伝導プレートのパラメータ(例えばサイズや材質)を変えることによってシフトさせることができ、最終的に理想的な周波数応答を得ることができる。図21−Cに示すように、第1の振動伝導プレートのスチフネス係数(剛性係数)が徐々に低下すると(すなわち、第1の振動伝導プレートが硬いものから柔らかいものになるにつれて)、共振ピークが低周波方向にシフトし、低周波数帯域での骨伝導スピーカーの感度が大幅に改善される。好ましくは、第1の振動伝導プレートは弾性プレートであってもよく、弾性は、材質、厚み、構造などに基づいて決定されてもよい。特に限定されないが、第1の振動伝導プレートの材料には、鋼材(特に限定されないが、例えばステンレス鋼や炭素鋼など)、軽合金(特に限定されないが、例えばアルミニウム、ベリリウム銅、マグネシウム合金、チタン合金など)、プラスチック(特に限定されないが、例えばポリエチレン、ブロー成形ナイロン、プラスチックなど)が含まれる。またその材料は単一の材料であってもよく、同じ性能を達成する、材料の複合体であってもよい。特に限定されないが、複合材料には、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、グラファイト繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維等の強化材料が含まれる。複合材料は、不飽和ポリエステルおよびエポキシによって補強された様々なタイプのガラス繊維、フェノール樹脂マトリクスを含有するガラス繊維などの他の有機および/または無機複合材料であってもよい。
第1の振動伝導プレートの厚みは0.005mm以上でもよい。好ましくは、上記厚みは0.005mm〜3mmであってもよい。より好ましくは、上記厚みは0.01mm〜2mmであってもよい。より好ましくは、上記厚みは0.01mm〜1mmであってもよい。更に好ましくは、上記厚みは0.02mm〜0.5mmであってもよい。第1の振動伝達プレートは環状構造を有していてもよく、好ましくは少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの環状リングを含んでいてもよい。環状リングは、同心円状のリングまたは非同心円状のリングでもよく、それらは外側の輪から内側の輪の中心に向かって収束している少なくとも2本のロッドを介して互いに接続されていてもよい。より好ましくは、少なくとも一つの長円形のリングがあってもよい。より好ましくは、少なくとも2つの長円形のリングがあってもよい。長円形のリングは、それぞれ異なる曲率半径を有していてもよく、その長円形のリングは互いにロッドを介して接続されていてもよい。更に好ましくは、少なくとも一つの角リングがあってもよい。
第1の振動伝達プレートは、プレート状であってもよい。好ましくは、中空のパターンがプレート上に構成されていてもよい。そしてより好ましくは、中空パターンの面積は、非中空部分の面積以上であってもよい。なお、上述の振動伝達性プレートの材質、構造、厚みはどのような態様でも組み合わせることができ、新たに別の振動伝達性プレートを得ることができることには留意されたい。例えば環状の振動伝達性プレートは、異なる膜厚分布を有してもよい。好ましくは、リングの厚みは、ロッドの厚みに等しくてもよい。更に好ましくは、ロッドの厚みはリングの厚みより大きくてもよい。そしてさらにより好ましくは、内側の輪の厚みは外側の輪の厚みより大きくてもよい。
(実施例1)
骨伝導スピーカーは、U字形状ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤード、2つの振動ユニット、および各振動ユニットに接続されたトランスデューサーを含んでもよい。振動ユニットは、接触面およびハウジングを含んでいてもよい。接触面は、シリカゲル伝達層の外側面にあってもよく、凸部を含んだ勾配構造を有するように構成されていてもよい。ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードによる皮膚との間の締め付け力は接触面上において不均一に分布してもよい。勾配構造を有する部分の音伝達効率は、勾配構造のない部分と異なっていてもよい。
(実施例2)
この実施例は、以下の点において実施例1と異なっていてもよい。上述のヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードは、記憶材料を含んでもよい。ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードには、ユーザーごとに頭部の曲線に適合するようにしてもよく、それにより良好な弾性およびより良好な装着感をもたらすことができる。ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードは、ある特定の期間持続される変形の状態から、その原形に回復できるものであってもよい。本願において、上記特定の期間とは、10分、30分、1時間、2時間、5時間のことを指してもよく、または1日、2日、10日、1ヵ月、1年、またはより長い期間を指してもよい。ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードがもたらす締め付け力によって安定な状態に保たれ、時間が経過しても徐々にずれ落ちないものであってもよい。骨伝導スピーカーとユーザーの体表との間の圧力強度は適切な範囲内であって、ユーザーが骨伝導スピーカーを着用するときに過度の圧力によって痛みが生じないような圧力強度であってもよい。骨伝導スピーカーの締め付け力は、骨伝導スピーカーが使われる際、0.2N〜1.5Nの範囲内であってもよい。
(実施例3)
この実施例と上記2つの実施例との相違点には次のような点が含まれていてもよい。ヘッドセットブラケット/ヘッドセットランヤードの弾性係数は特定範囲に保たれてもよい。その結果、低周波(例えば、500Hz未満)における周波数応答曲線の値は、高周波(例えば、4000Hz超)の周波数応答曲線の値よりも高くなってもよい。
(実施例4)
実施例4と実施例1との相違点には次のような点が含まれていてもよい。骨伝導スピーカーは、眼鏡のフレームに、または、特殊機能を有するヘルメットまたはマスクに結合されてもよい。
(実施例5)
この実施例と実施例1との相違点には次のような点が含まれていてもよい。振動ユニットは2枚以上のパネルを含むことができ、異なるパネルの間の振動伝達性プレートは、ユーザーと接触する接触面上の異なる勾配構造を備えていてもよい。例えば、一方の接触面は凸部を有していてもよく、他方は凹部を有していてもよい。また、両方の2つの接触面上の勾配構造は凸状または凹状構造であってもよい。但し、凸部の形状や数のうち、少なくとも一つに違いがあってもよい。
(実施例6)
携帯用骨伝導補聴器は、複数の周波数応答曲線を含んでもよい。ユーザーまたは試験者は、人間の聴覚系の実際の応答曲線に従って聴力補償を行うために適切な応答曲線を選択することができる。加えて、実際の要求に応じて、骨伝導補聴器の振動ユニットによって、骨伝導補聴器が特定の周波数範囲(例えば500Hz−4000Hz)の理想的な周波数応答を生成するのを可能にしてもよい。
(実施例7)
骨伝導スピーカーの振動生成部は、図22−Aに示されるものであってもよい。骨伝導スピーカーのトランスデューサーは、磁束伝達性プレート2210を含む磁気循環システム、磁石2211および励磁器2212、振動ボード2214、コイル2215、第1の振動伝達性プレート2216、並びに第2の振動伝達性プレート2217を含んでもよい。パネル2213は、ハウジング2219から突出していてもよく、接着剤を用いて振動ボード2214と結合してもよい。吊下構造を形成している第1の振動伝達性プレート2216を介して、トランスデューサーは、ハウジング2219に固定されていてもよい。
振動ボード2214、第1の振動伝達性プレート2216、および第2の振動伝達性プレート2217を含む複合振動システムは、より滑らかな周波数応答曲線を生成することで、骨伝導スピーカーの音質を改善するようにしてもよい。第1の振動伝達性プレート2216を介して、トランスデューサーがハウジング2219に固定されることにより、トランスデューサーがハウジング2219に伝達する振動を減少させ、ハウジングの振動によって起こる音漏れを効果的に減少し、音質へのハウジングの振動の影響を減少させてもよい。図22−Bは、振動生成部のハウジングおよび周波数をもつパネルの振動強度の周波数応答曲線を示す。太線は第1の振動伝達性プレート2216を含む振動生成部の周波数応答を指す。また細線は第1の振動伝達性プレート2216のない振動生成部の周波数応答を指す。図22−Bに示すように、周波数が500Hzより高いときには、第1の振動伝達性プレートのない骨伝導スピーカーのハウジングの振動強度は、第1の振動伝達性プレートを有する骨伝導スピーカーのハウジングの振動強度より大きくてもよい。図22−Cは、骨伝導スピーカーが第1の振動伝達性プレート2216を含む状況と、骨伝導スピーカーが第1の振動伝達性プレート2216を含んでいない状況との間の、音漏れの比較を示す。中間の周波数範囲(例えば、約1000Hz)において、伝導スピーカーが第1の振動伝達性プレート2216を含む場合の音漏れは、骨伝導スピーカーが第1の振動伝達性プレート2216を含んでいない場合の音漏れよりも小さくてもよい。パネルとハウジングの間の第1の振動伝達性プレートの使用によって、ハウジングの振動を効果的に減らすことができ、それによって漏音を減らすことができる、と結論付けることができる。
第1の振動伝達性プレートは、例えば、特に限定されないが、ステンレス鋼、銅、プラスチック、ポリカーボネート等からなるものであってもよく、厚みは0.01mm〜1mmの範囲内であってもよい。
(実施例8)
この実施例は、以下の点において実施例7と異なっていてもよい。図23に示すように、パネル2313は、振動伝達層2320(特に限定されないが、例えばシリカゲル)を有するように構成されていてもよく、特定の変形を生じて、ユーザーの皮膚の上に固定されるようにしてもよい。振動伝達層2320上のパネル2313と接触している接触部分が、振動伝達層上のパネル2313に接触していない部分よりも高くてもよく、これによりステップ構造が形成されていてもよい。振動伝達層2320上の、パネル2313と接触していていない部分は、孔2321を一つ以上有するように構成されていてもよい。振動伝達層上の孔により、漏音を減らすようにしてもよい。振動伝達層2320を介するパネル2313とハウジング2319との間の接続を弱めてもよく、伝達層2320を介してパネル2313からハウジング2319へ伝達される振動を減らし、それによりハウジングの振動によって引き起こされる音漏れを減少させてもよい。突起を有していない部分の上に穴を有するように構成された振動伝達層2320の領域を減らすことにより、空気の振動によって引き起こされる空気漏れおよび音漏れを減らしてもよい。ハウジング内の空気の振動は外へ導出することができ、ハウジング2319によって引き起こされる空気の振動を打ち消し、それにより音漏れを減らすようにしてもよい。
(実施例9)
この実施例と実施例7との相違点には次のような点が含まれていてもよい。パネルがハウジングから突出するにつれて、第1の振動伝達性プレートを介してハウジングとパネルが結合するようにしてもよい。パネルとハウジング間の結合の程度は激的に減らすことができる。また第1の振動伝達性プレートが一定量の変形をもたらすにつれて、(図24−Aの右図に示すように)パネルがより高い自由度をもってユーザーと接触できる。第1の振動伝導プレートは、ハウジングに対してある特定の角度で傾いていてもよい。スロープの角度は5度を超えないのが好ましい。
振動効率は、接触の状況によって異なってもよい。接触の状況がより良くなることにより、結果として振動伝達効率がより高くなってもよい。図24−Bに示すように、太線はより良好な接触状況における振動伝達効率を示し、細線はより悪い接触状況を示す。接触の状況がより良くなることにより、結果として振動伝達効率がより高くなる可能性がある、と結論付けることができる。
(実施例10)
この実施例と実施例7との相違点には次のような点が含まれていてもよい。ハウジングの周囲に拡張部を追加してもよい。ハウジングがユーザーの皮膚と接触する場合、周囲の拡張部によって負荷される力の分布が均一化され、ユーザーの装着感を改善できる。図25に示すように、周囲の拡張部2510と、パネル2513との間に高さ差d0があってもよい。皮膚からパネル2513への力によって、パネル2513と、周囲の拡張部2510との間の距離dを減少させることができる。骨伝導スピーカーとユーザーと間の力が、変形度d0の第1の振動伝導プレートに係る力よりも大きい場合、余剰の力は、振動部の締め付け力に影響されることなく周囲の拡張部2510を介してユーザーの皮膚に伝達されてもよい。また、締め付け力の調和を改善し、それによって音質を確保してもよい。
(実施例11)
パネルの形状は図26に示されるものであってもよい。パネル2610とトランスデューサー(図26に図示せず)との間のコネクタ2620は点線で例示されるものであってもよい。トランスデューサーはコネクタ2620を介してパネル2610に振動を伝達してもよい。またコネクタ2620はパネル2610の振動中心に位置していてもよい。コネクタ2620の中心Oとパネル2610の2つの面との間の距離は、それぞれL1およびL2であってもよい。パネル2610のサイズおよびパネル2610上におけるコネクタ2626の位置を変化させることによって、パネルとユーザーの皮膚との間の接触特性、および振動伝達効率は変えることができる。L2に対するL1の比は1より大きいのが好ましい。L2に対するL1の比は1.61より大きいのがより好ましい。L2に対するL1の比は2より大きいのがさらに好ましい。別の例としては、大パネル、中パネル、または小パネルが振動ユニット中に構成されていてもよい。本願にて使用される大パネルは、図26に示すパネルのようなものであってもよい。その面積は、コネクタ2620の面積よりも大きくてもよい。中パネルの面積は、コネクタ2620の面積よりも小さくてもよい。小パネルの面積は、コネクタ2620の面積よりも小さくてもよい。パネルのサイズが異なり、かつコネクタ2620の位置が変わることにより、装着者の表面上の振動の分布を変化させ、音量および音質を変えることができる。
(実施例12)
この実施例は、接触面の外側の勾配構造の複数の構成に関するものであってもよい。図27に示すように、勾配構造は、接触面の外側の異なる位置にある、異なる数の凸部を含んでもよい。スキーム1において、接触面の一つの端部に近接する一つの凸部があってもよい。スキーム2において、接触面の中心に近接する凸部があってもよい。スキーム3において、接触面の両端部に近接する2つの凸部があってもよい。スキーム4において、3つの凸部があってもよい。スキーム5において、4つの凸部があってもよい。凸部の数および位置は振動伝達効果に影響するものであってもよい。図28−Aおよび図28−Bに示すように、凸部のない接触面の周波数応答曲線は、凸部を有するスキーム1−5における周波数応答曲線と異なっていてもよい。勾配構造(凸部)が追加されたあと、300Hz〜1100Hzの範囲内の周波数応答曲線が明らかに立ち上がっており、これは勾配構造が追加されたあと、低周波数〜中間周波数における音が明らかに改善されていることが示されている、と結論づけることができる。
(実施例13)
この実施例は、接触面の内側の勾配構造についての複数の構成に関するものであってもよい。図29に示すように、勾配構造は、ユーザーの後ろ側の、接触面の内側に位置していてもよい。スキームAにおいては、振動伝達層の内側がパネルと接触していてもよく、接触面は振動伝達層の外側に対して特定の傾斜角度を有していてもよい。スキームBにおいては、振動伝達層の内側は、振動伝達層の端部に位置するステップ構造を有するように構成されていてもよい。スキームCにおいては、振動伝達層の内側は、振動伝達層の中心部に位置する別のステップ構造を有するように構成されていてもよい。スキームDにおいては、振動伝達層の内側は、複数のステップ構造を有するように構成されていてもよい。振動転写層の内側の勾配構造によって、パネルおよび接触面の異なる位置ごとに、異なる振動伝達効率が対応するようにしてもよく、それにより周波数応答曲線を広げることができ、特定の範囲における周波数応答をより滑らかにし、それによって音質を改善してもよい。
(実施例14)
本実施形態と第8の実施形態との相違点は、図30に示すように、振動伝達層3020とハウジング3019に音誘導孔を形成し、ハウジング内の空気の振動によって形成されたハウジング内の音波を音誘導孔に導くことである。ハウジング外では、ハウジング3019による空気の振動により形成された、漏れた音波が互いに打ち消し合って音漏れが低減される。
上述の実施の形態は単に本開示の実施例に過ぎず、説明は具体的かつ詳細ではあるものの、これらの説明が本開示を限定するものではない。当業者であれば、骨伝導スピーカーの基本原理から逸脱することなく、例えば、本願において説明した音の伝達のためのアプローチに対して様々な変更や改変を行うことができ、但し、これらの変更や改変についてもなお本開示の範囲に属することは留意されたい。