以下の詳細な説明では、説明の目的のため、開示された実施形態の完全な理解を提供するために、多くの特定の詳細が述べられている。しかしながら、1つまたは複数の実施形態が、これらの特定の詳細なく、実施され得ることは明らかである。以下のいくつかの例は、本開示の観点をさらに詳細に説明するが、これらの例は、本開示の限定としてみなされるべきではない。
本開示は、ガス検出装置およびガス濃度検出方法を提案する。以下では、ガス検出装置の第1実施形態を始めに説明し、続いて、ガス検出装置の第1実施形態に適用されるガス濃度検出方法の2つの例を説明する。次に、ガス検出装置の第2実施形態を説明し、続いて、ガス検出装置の第2実施形態に適用されるガス濃度検出方法の4つの例について説明する。
図1を参照する。図1は、本開示の第1実施形態のガス検出装置100の構成図を示す。ガス検出装置100は、被試験ガス中のターゲットガスの濃度を検出することができる。ガス検出装置100は、ヒータ10、誘電体層20、基準検出部30、ターゲット検出部40、およびコントローラ70を含む。図2を参照する。図2は、ヒータ10、誘電体層20、基準検出部30、およびターゲット検出部40を含む素子の側面図を示す。
例えば、ヒータ10は、コントローラ70を介して、外部電源(図示せず)から電力を受け取ることができる。ヒータ10は、その表面101上で熱を発生する。例えば、ヒータ10は、基準検出部30およびターゲット検出部40をともに加熱するための単一の加熱素子を有する。別の例では、ヒータ10は、基準検出部30およびターゲット検出部40のそれぞれを加熱するための複数の加熱素子を有する。ヒータ10を配置する目的は、基準検出部30およびターゲット検出部40の両方を同時に同じ温度で加熱することであり、その目的が達成される限り、本開示において、ヒータ10の加熱素子の数は限定されない。また、基準検出部30およびターゲット検出部40によって使用される検知材を加熱する必要がない場合、言い換えると、被試験ガス中のターゲットガスが室温で検出され得る場合、または周囲温度が検知材の動作温度に達している場合には、ヒータ10の設置がなくてもよい。本開示は、ヒータ10が設けられるか否かに限定されない。
誘電体層20は、ヒータ10の表面101上に配置される。誘電体層20は、支持面201を有する。支持面201は、ヒータ10の表面101から離れていることが好ましい。基準検出部30およびターゲット検出部40の両方は、支持面201に配置される。
基準検出部30は、第1の検出層301および第1の導電層303を含む。第1の検出層301は金属酸化物であり、ターゲットガスに対して低感度である。第1の導電層303は第1の検出層301と接続し、第1の導電層303によって伝導された電流は、第1の検出層301を介して流れることができる。したがって、コントローラ70は、第1の導電層303のイミタンス値を検出することができ、抵抗値または直流のコンダクタンス値などのこのイミタンス値は、以下では、「測定基準イミタンス値」と呼ぶ。図示の便宜上、以下の内容におけるイミタンス値の例としては、抵抗値が好ましい。基準検出部30を配置することは、環境要因の影響を含んだ金属酸化物の検出されたイミタンス値に対し、その後の補正において、空気中の湿度などの現在の環境を反映することである。
ターゲット検出部40は、第2の検出層401および第2の導電層403を含む。第2の検出層401は、金属酸化物であり、ターゲットガスに対して高感度である。第2の導電層403は第2の検出層401と接続し、第2の導電層403によって伝導された電流は、第2の検出層401を介して流れることができる。したがって、コントローラ70は、第2の導電層403のイミタンス値を検出することができる。同様に、このイミタンス値は、以下では、「測定ターゲットイミタンス値」と呼ぶ。図示の便宜上、以下の内容におけるイミタンス値の例としては、抵抗値が好ましい。ターゲット検出部40を配置する目的は、ターゲット検出部40の金属酸化物のイミタンス値を検出することで、金属酸化物が被試験ガスと接触したときのターゲットガスの濃度を検出することである。また、ガス検出装置100は、ターゲット検出部40が破損したときのバックアップとして、別のターゲット検出部をさらに含んでいてもよい。この状況では、ヒータ10によるこの2つのターゲット検出部に対する加熱動作は無関係であり、加熱動作は、同時に実行されてもよく、同時に実行されなくてもよい。
本明細書において、「低感度」とは、ターゲットガスに対する基準検出部30の感度が、ターゲットガスに対するターゲット検出部40の感度よりも低いことをいう。ターゲットガスに対する検知材の感度を調整するために、特定の金属による成膜が適用されていてもよい。例えば、酸化タングステン(WO3)および酸化スズ(SnO2)などの検知材を、誘電体層20の支持面201に成膜することができる。成膜方法は、「滴下コート」または「スパッタリング成膜」である。酸化タングステンが成膜された支持面201の部分は、基準検出部30の第1の検出層301として機能することができ、検知材の粒径は30ナノメートルであり、厚さは0.1マイクロメートルである。酸化スズが成膜された支持面201の部分は、ターゲット検出部40の第2の検出層401として機能することができ、検知材の粒径は7〜10ナノメートルであり、厚さは1マイクロメートルである。本開示においては、第1の検出層301および第2の検出層401の成膜された検知材の面積および種類は限定されず、第1の導電層303および第2の導電層403の面積および厚さも限定されない。低感度の検出部および高感度の検出部に関しては、ターゲットガスに対する高感度と低感度との差が大きいほど、検出部のこれらの感度が大きくなるため好ましい。すなわち、ターゲットガスに対する基準検出部30の感度は低いことが好ましく、最良の場合は非感度である。一方、ターゲットガスに対するターゲット検出部40の感度は大きいことが好ましい。
図1を参照する。コントローラ70は、ヒータ10、基準検出部30およびターゲット検出部40と電気的に接続する。例えば、コントローラ70は、ヒータ10の1つまたは複数の加熱素子を駆動する加熱ドライバ(図示せず)をさらに含む。ヒータ10が基準検出部30およびターゲット検出部40を加熱し、被試験ガスがガス検出装置100に向けられると、コントローラ70は基準検出部30の測定基準イミタンス値およびターゲット検出部40の測定ターゲットイミタンス値を検出する。また、コントローラ70は、複数のデフォルトデータの少なくとも1つを取得する。したがって、コントローラ70は、測定基準イミタンス値、測定ターゲットイミタンス値、およびデフォルトデータに応じて、被試験ガス中のターゲットガスの濃度値を計算することができる。
デフォルトデータの記憶に関しては、例えば、コントローラ70の内蔵記憶素子を採用することができる。別の例では、コントローラ70の外部にある記憶装置を採用することができる。この記憶装置は、コントローラ70がデフォルトデータを取得するために、コントローラ70と通信可能に接続する。
デフォルトデータは、基準検出部30に関連付けられた複数の初期基準抵抗値(初期基準イミタンス値)、ターゲット検出部40に関連付けられた複数の初期ターゲット抵抗値(初期ターゲットイミタンス値)、複数の指定濃度値、基準検出部30およびターゲット検出部40に関連付けられた複数の相関関数、および少なくとも1つのターゲットガス濃度変換関数を含む。デフォルトデータの各々の具体的な内容については、本開示のガス濃度検出方法の例とともに説明する。
図3Aを参照する。図3Aは、本開示の第1例のガス濃度検出方法のフローチャートである。ガス濃度検出方法は、本実施形態で説明されるターゲットガスを検出することができるガス検出装置100に適用される。ガス検出装置100は、ヒータ10、ターゲットガスに対して低感度の基準検出部30、ターゲットガスに対して高感度のターゲット検出部40およびコントローラ70を含む。以下のステップにおいて、基準検出部30およびターゲット検出部40によって取得されるものは抵抗値であるが、それらは単なる例であり、他の種類のイミタンス値によって実施されてもよく、本開示においては限定されない。
ステップS31を参照する。ヒータ10は熱を発生し、基準検出部30の温度およびターゲット検出部40の温度を上昇させ、被試験ガスは、基準検出部30およびターゲット検出部40と接触する。
ステップS32を参照する。基準検出部30およびターゲット検出部40の温度が上昇し、基準検出部30およびターゲット検出部40が被試験ガスと接触すると、コントローラ70は、基準検出部30およびターゲット検出部40のイミタンス値、すなわち、基準検出部30の測定基準抵抗値Rref(測定基準イミタンス値)およびターゲット検出部40の測定ターゲット抵抗値Rsen(測定ターゲットイミタンス値)を検出する。例えば、コントローラ70は、第1の導電層303を介して第1の検出層301の測定基準抵抗値Rrefを検出し、第2の導電層403を介して第2の検出層401の測定ターゲット抵抗値Rsenを検出する。
ステップS33を参照する。コントローラ70は、測定基準抵抗値Rrefおよび初期基準抵抗値Rref0(初期基準イミタンス値)に応じて、基準変動係数αを計算する。初期基準抵抗値Rref0は、基準検出部30に関連付けられている。例えば、ガス検出装置100が出荷される前において、0ppmなどの指定濃度値のターゲットガスが、加熱された基準検出部30と接触するようにする。このとき、コントローラ70は、基準検出部30の抵抗値(イミタンス値)を検出するが、この抵抗値は、初期基準抵抗値Rref0として機能し、コントローラ70の内蔵記憶素子に、または記憶装置に記憶される。例えば、基準変動係数αは、式1に示すように、初期基準抵抗値Rref0に対する測定基準抵抗値Rrefの比であり、または上述した2つの抵抗値RrefとRref0との差である。基準変動係数αは、基準検出部30に対して、酸素の不安定な吸着、湿度または温度の変動などの現在の環境変動の影響の程度を反映するものである。
ステップS34を参照する。コントローラ70は、基準変動係数α、相関関数F、測定ターゲット抵抗値Rsen、およびターゲットガス濃度変換関数に応じて、ターゲットガス濃度値を計算する。相関関数Fは、基準検出部30とターゲット検出部40との相関を表す。例えば、相関関数Fは、測定基準抵抗値Rrefと測定ターゲット抵抗値Rsenとの間の依存関係を表す。別の例では、相関関数Fは、測定基準抵抗値Rrefの変動率と測定ターゲット抵抗値Rsenの変動率との間の依存関係を表す。ターゲットガス濃度変換関数は、校正抵抗値(校正イミタンス値)をターゲットガス濃度値に変換するものである。
図3Bを参照する。図3Bは、図3AのステップS34の詳細なフローチャートである。ステップS341を参照する。コントローラ70は、基準変動係数αおよび相関関数Fに応じて、ターゲット変動係数βを計算する。例えば、コントローラ70は、式2に示すように、基準変動係数αを相関関数Fに代入して、ターゲット変動係数βを取得する。
ステップS343を参照する。コントローラ70は、測定ターゲット抵抗値Rsenおよびターゲット変動係数βに応じて、校正抵抗値Rcalを計算する。例えば、コントローラ70は、式3に示すように、測定抵抗値Rsenをターゲット変動係数βで割った商を校正抵抗値Rcalとして使用する。
ステップS345を参照する。コントローラ70は、校正抵抗値Rcalをターゲットガス濃度変換関数に代入して、ターゲットガス濃度値を取得する。
図4を参照する。図4は、本開示の第2例のガス濃度検出方法のフローチャートである。ガス濃度検出方法は、第1実施形態で説明されるターゲットガスを検出することができるガス検出装置100に適用される。ガス検出装置100、ヒータ10、ターゲットガスに対して低感度の基準検出部30、ターゲットガスに対して高感度のターゲット検出部40およびコントローラ70を含む。
図4を参照する。基本的に、この例は、イミタンス取得段階A1、範囲計算段階A3、範囲比較段階A5、および濃度計算段階A7を主に含む。イミタンス取得段階A1では、コントローラ70は、基準検出部30の測定基準イミタンス値およびターゲット検出部40の測定ターゲットイミタンス値を検出することができる。範囲計算段階A3では、コントローラ70は、測定基準イミタンス値および複数の相関関数に応じて、複数の予測ターゲットイミタンス値を計算する。ここで、これらの相関関数およびこれらの予測ターゲットイミタンス値は、複数の指定濃度値に対応する。範囲比較段階A5では、コントローラ70は、これらの指定濃度値から1つを選択するため、測定ターゲットイミタンス値と複数の予測ターゲットイミタンス値とを比較する。濃度計算段階A7では、コントローラ70は、複数のターゲット変動係数の1つおよび測定ターゲットイミタンス値に応じて、ターゲットガス濃度値を計算する。
図5Aおよび図5Bを参照する。図5Aおよび図5Bは、本開示の第2例のガス濃度検出方法のフローチャートおよび詳細なフローチャートである。図5AのステップS41〜S42は上述のイミタンス取得段階A1に属し、ステップS43、S441およびS443は上述の範囲計算段階A3に属し、ステップS445は上述の範囲比較段階A5に属し、ならびにステップS447およびS449は上述の濃度計算段階A7に属する。
図5AのステップS41〜S43は、基本的には、図3のステップS31〜S33と同一である。つまり、コントローラ70は、基準検出部30の測定基準抵抗値Rref(測定基準イミタンス値)およびターゲット検出部40の測定ターゲット抵抗値Rsen(測定ターゲットイミタンス値)を検出する。上記2つの抵抗値RrefおよびRsenは、イミタンス取得段階A1で説明されるイミタンス値であり、コントローラ70は、測定基準抵抗値Rrefおよび初期基準抵抗値Rref0(初期基準イミタンス値)に応じて、基準変動係数αを計算する。
ステップS44を参照する。コントローラ70は、基準変動係数α、複数の相関関数F(k ppm)、複数の初期ターゲット抵抗値Rsen0,(k ppm)(初期ターゲットイミタンス値)、測定ターゲット抵抗値Rsen、およびターゲットガス濃度変換関数に応じて、ターゲットガス濃度値を計算する。相関関数F(k ppm)の数および初期ターゲット抵抗値Rsen0,(k ppm)の数は、両方とも指定濃度値の数に依存する。例えば、百万分率(ppm)で表される指定濃度値が0ppm、20ppm、100ppmおよび200ppmを含む4つの値を有する場合、4つの対応する相関関数F(k ppm)は、F(0 ppm)、F(20 ppm)、F(100 ppm)、およびF(200 ppm)であり、ならびに4つの対応する初期ターゲット抵抗値Rsen0,(k ppm)は、Rsen0,(0 ppm)、Rsen0,(20 ppm)、Rsen0,(100 ppm)、およびRsen0,(200 ppm)である。複数の相関関数F(k ppm)の各々は、複数の指定濃度値の1つを有するターゲットガスと接触している基準検出部30とターゲット検出部40との相関を表す。例えば、相関関数F(k ppm)の各々は、各濃度値における、測定基準抵抗値Rrefと測定ターゲット抵抗値Rsenとの間の依存関係を表す。別の例では、相関関数F(k ppm)は、各濃度値における、測定基準抵抗値Rrefの変動率と測定ターゲット抵抗値Rsenの変動率との間の依存関係を表す。例えば、ガス検出装置100が出荷される前において、0ppm、20ppm、100ppm、および200ppmなどの複数の指定濃度値のターゲットガスが、それぞれ、加熱されたターゲット検出部40と接触するようにする。このとき、コントローラ70は、これらの指定濃度値における、ターゲット検出部40の抵抗値(またはイミタンス値、Rsen0,(0 ppm)、Rsen0,(20 ppm)、Rsen0,(100 ppm)、およびRsen0,(200 ppm)など)を検出するが、これらの抵抗値は、初期ターゲット抵抗値Rsen0,(k ppm)として機能し、コントローラ70の内蔵記憶素子に、または記憶装置に記憶される。
図5Bを参照する。図5Bは、図5AのステップS44の詳細なフローチャートを示す。ステップS411を参照する。コントローラ70は、基準変動係数αおよび複数の相関関数F(k ppm)に応じて、複数のターゲット変動係数β(k ppm)を計算する。ターゲット変動係数β(k ppm)の数は、指定濃度値の数に依存する。先の例に従い、コントローラ70は、下記の式4〜7に示すように、基準変動係数αを4つの相関関数F(k ppm)のそれぞれに代入して、β(0 ppm)、β(20 ppm)、β(100 ppm)、およびβ(200 ppm)、を含む4つのターゲット変動係数β(k ppm)を取得する。
ステップS443を参照する。コントローラ70は、複数の初期ターゲット抵抗値Rsen0,(k ppm)および複数のターゲット変動係数β(k ppm)に応じて、複数の予測ターゲット抵抗値Rsen,pre,(k ppm)(予測ターゲットイミタンス値、すなわち、範囲計算段階A3で説明される複数の範囲基準値)を計算する。ステップS443の計算アプローチに関しては、先の例に従い、下記の式8〜11に示すように、0ppm、20ppm、100ppm、200ppmなどの複数の指定濃度値の各々において、複数の指定濃度値の1つに対応する初期ターゲット抵抗値Rsen0,(k ppm)と複数の指定濃度値の1つに対応するターゲット変動係数β(k ppm)との積が、Rsen,pre,(0 ppm)、Rsen,pre,(20 ppm)、Rsen,pre,(100 ppm)、およびRsen,pre,(200 ppm)を含む予測ターゲット抵抗値Rsen,pre,(k ppm)として利用される。
ステップS445を参照する。コントローラ70は、測定ターゲット抵抗値Rsenに応じて、複数の予測ターゲット抵抗値Rsen,pre,(k ppm)の1つを決定する。例えば、コントローラ70は、測定ターゲット抵抗値Rsenと複数の予測ターゲット抵抗値Rsen,pre,(k ppm)の各々との間で複数の差を計算し、差の最小値(または差の絶対値の最小値)に対応する予測ターゲット抵抗値Rsen,pre,(x ppm)を選択する。
ステップS447を参照する。コントローラ70は、測定ターゲット抵抗値Rsenおよびターゲット変動係数β(x ppm)に応じて、校正抵抗値Rcal(校正イミタンス値)を計算する。ここで、ターゲット変動係数β(x ppm)は、複数のターゲット変動係数β(k ppm)の1つであり、ターゲット変動係数β(x ppm)に対応する指定濃度値は、予測ターゲット抵抗値Rsen,pre,(x ppm)に対応する指定濃度値に等しい。校正抵抗値Rcalの計算アプローチに関しては、例えば、コントローラ70は、式12に示すように、測定ターゲット抵抗値Rsenをターゲット変動係数β(x ppm)で割った商を校正抵抗値Rcalとして使用する。
ステップS449を参照する。コントローラ70は、校正抵抗値Rcalをターゲットガス濃度変換関数に代入にして、ターゲットガス濃度値を取得する。
図6を参照する。図6は、本開示の第2実施形態のガス検出装置200の構成図を示す。上述の第1実施形態のガス検出装置100の基準検出部30およびターゲット検出部40のそれぞれは、第2実施形態において、第1の基準検出部30および第1のターゲット検出部40と呼ばれる。第2実施形態のガス検出装置200は、第2の基準検出部50および第2のターゲット検出部をさらに含み、第2実施形態のコントローラ70’は、第2の基準検出部50および第2のターゲット検出部とさらに電気的に接続する。第2のターゲット検出部60は、第1のターゲット検出部40のバックアップ検出素子として機能する。したがって、ガス検出装置200の第2実施形態に適用されたガス濃度検出方法の以下の説明では、第2のターゲット検出部60の例は繰り返されないものとする。
具体的には、ガス検出装置200は、被試験ガス中のターゲットガスの濃度を検出することができる。ガス検出装置200は、ヒータ10、誘電体層20、第1の基準検出部30、第1のターゲット検出部40、第2のターゲット検出部60、およびコントローラ70’を含む。図7を参照する。図7は、ヒータ10、誘電体層20、第1の基準検出部30、第1のターゲット検出部40、第2の基準検出部50、および第2のターゲット検出部60を含む素子の側面図を示す。
例えば、ヒータ10は、コントローラ70’を介して、外部電源(図示せず)から電力を受け取ることができる。ヒータ10は、その表面101上で熱を発生する。例えば、ヒータ10は、第1の基準検出部30、第1のターゲット検出部40、および第2の基準検出部50をともに加熱するための単一の加熱素子を有し、第2のターゲット検出部60は、単一の加熱素子によって加熱され、または好ましくは別の加熱素子によって加熱される。別の例では、ヒータ10は、第1の基準検出部30、第1のターゲット検出部40、第2の基準検出部50、および第2のターゲット検出部60のそれぞれを加熱するための複数の加熱素子を有する。ヒータ10を配置する目的は、第1の基準検出部30、第1のターゲット検出部40、および第2の基準検出部50を同時に同じ温度で加熱することであり、第2の基準検出部60は、独立して同じ温度で加熱されることが好ましい。その目的が達成される限り、本開示において、ヒータ10の加熱素子の数は限定されない。
誘電体層20は、ヒータ10の表面101上に配置される。誘電体層20は、支持面201を有する。支持面201は、ヒータ10の表面101から離れていることが好ましい。基準検出部30、ターゲット検出部40、第2の基準検出部50および第2のターゲット検出部60は、支持面201に配置される。
第2実施形態において、第1の基準検出部30は、第1実施形態の基準検出部30と同一であり、第1のターゲット検出部40は、第1実施形態のターゲット検出部40と同一であるため、説明は繰り返さないものとする。本実施形態において、第1実施形態における測定基準イミタンス値および測定ターゲットイミタンス値は、「第1の測定基準イミタンス値」および「第1の測定ターゲットイミタンス値」と呼ばれる。
第2の基準検出部50は、第3の検出層501および第3の導電層503を含む。第3の検出層501は金属酸化物であり、ターゲットガスに対して感度がある。第3の導電層503は第3の検出層501と接続し、第3の導電層503によって伝導された電流は、第3の検出層501を介して流れることができる。したがって、コントローラ70’は、第3の導電層503のイミタンス値を検出することができ、このイミタンス値は、以下では「第2の測定基準イミタンス値」と呼ばれる。図示の便宜上、以下の内容におけるイミタンス値の例としては、抵抗値が好ましい。第2の基準検出部50は、第1のターゲット検出部40(すなわち、第2の検出層401)の検知材の変動の程度を反映するものである。
第2のターゲット検出部60は、第4の検出層601および第4の導電層603を含む。第4の検出層601は、金属酸化物であり、ターゲットガスに対して感度がある。第4の導電層603は第4の検出層601と接続し、第4の導電層603によって伝導された電流は、第4の検出層601を介して流れることができる。したがって、コントローラ70’は、第4の導電層603のイミタンス値を検出することができ、このイミタンス値は、以下では「第2の測定ターゲットイミタンス値」と呼ばれる。図示の便宜上、以下の内容におけるイミタンス値の例としては、抵抗値が好ましい。第2のターゲット検出部60は、第1のターゲット検出部40のバックアップとして機能する。例えば、コントローラ70’が、第1のターゲット検出部40が異常であると判定したとき、コントローラ70’は、被試験中のターゲットガスの濃度値を計算するため、被試験ガスと接触している第2のターゲット検出部60のイミタンス値を検出するように変更することができる。別の例では、コントローラ70’は、ヒータ10によって加熱された第2のターゲット検出部60の温度が第1および第2の基準検出部30、50の温度に達した後で、第2のターゲット検出部60のイミタンス値を検出する。他の実施形態では、第2のターゲット検出部60の配置がなくてもよく、複数の第2のターゲット検出部60を含んでいてもよい。本開示においては、第2のターゲット検出部60の数は限定されない。
ターゲットガスに対する第1の基準検出部30の感度は、ターゲットガスに対する第1のターゲット検出部40、第2の基準検出部50、および第2のターゲット検出部60の感度のいずれよりも低い。ターゲットガスに対する検知材の高い感度または低い感度を調整するために、特定の金属による成膜が適用されていてもよい。例えば、酸化タングステン(WO3)および酸化スズ(SnO2)などの検知材を、誘電体層20の支持面201に成膜することができる。成膜方法は、「滴下コート」または「スパッタリング成膜」である。酸化タングステンが成膜された支持面201の部分は、第1の基準検出部30の第1の検出層301として機能することができ、検知材の粒径は30ナノメートルであり、厚さは0.1マイクロメートルである。酸化スズが成膜された支持面201の部分は、第1のターゲット検出部40の第2の検出層401、第2の基準検出部50の第3の検出層501、および第2のターゲット検出部60の第4の検出層601として機能することができ、第2の検出層401における検知材の粒径は7〜10ナノメートルであり、厚さは1マイクロメートルであり、第3の検出層501における検知材の粒径は7〜10ナノメートルであり、厚さは2.5マイクロメートルであり、および第4の検出層601における検知材の粒径は7〜10ナノメートルであり、厚さは3マイクロメートルである。本開示においては、第1の検出層301、第2の検出層401、第3の検出層501、および第4の検出層601の成膜された検知材の面積および種類は限定されず、第1の導電層303、第2の導電層403、第3の導電層503、および第4の導電層603の面積および厚さも限定されない。ターゲットガスに対する第1のターゲット検出部40、第2の基準検出部50、および第2のターゲット検出部60の感度に関しては、それらとターゲットガスに対する第1の基準検出部30の感度との差が大きいことが好ましく、第1の基準検出部30の最良の場合は非感度である。一方、ターゲットガスに対する第1のターゲット検出部40、第2の基準検出部50、および第2のターゲット検出部60の感度は大きいことが好ましい。
図6を参照する。コントローラ70’は、ヒータ10、第1の基準検出部30、第1のターゲット検出部40、第2の基準検出部50、および第2のターゲット検出部60と電気的に接続する。例えば、コントローラ70’は、ヒータ10の1つまたは複数の加熱素子を駆動する加熱ドライバ(図示せず)をさらに含む。ヒータ10が第1の基準検出部30、第1のターゲット検出部40、および第2の基準検出部50(第2のターゲット検出部60は同時に加熱されてもよい)を加熱し、被試験ガスがガス検出装置200に導入されると、コントローラ70’は第1の基準検出部30の第1の測定基準イミタンス値、第1のターゲット検出部40の第1の測定ターゲットイミタンス値、および第2の基準検出部50の第2の測定基準イミタンス値を検出するが、第2のターゲット検出部60の第2の測定ターゲットイミタンス値も含まれていてもよい。また、コントローラ70’は、複数のデフォルトデータの少なくとも1つを取得する。したがって、コントローラ70’は、第1の測定基準イミタンス値、第1の測定ターゲットイミタンス値、第2の測定基準イミタンス値、(第2の測定ターゲットイミタンス)、およびデフォルトデータに応じて、被試験ガス中のターゲットガス濃度値を計算することができる。
デフォルトデータの記憶に関しては、例えば、コントローラ70’の内蔵記憶素子を採用することができる。別の例では、コントローラ70’の外部にある記憶装置を採用することができる。この記憶装置は、コントローラ70’がデフォルトデータを取得するために、コントローラ70’と通信可能に接続する。
デフォルトデータは、複数の初期基準抵抗値(イミタンス値)、複数の初期ターゲット抵抗値(イミタンス値)、複数の指定濃度値、複数の相関関数、および少なくとも1つのターゲットガス濃度変換関数を含む。デフォルトデータの各々の具体的な内容については、本開示のガス濃度検出方法の例とともに説明する。
図8を参照する。図8は、本開示の第2実施形態に適用されるガス濃度検出方法のフローチャートを示す。ガス濃度検出方法は、第2実施形態で説明されるターゲットガスを検出することができるガス検出装置200に適用される。ガス検出装置200は、ヒータ10、ターゲットガスに対して低感度の第1の基準検出部30、ターゲットガスに対して高感度のターゲット検出部40(すなわち、先に説明したように第1のターゲット検出部40)、ターゲットガスに対して高感度の第2の基準検出部50およびコントローラ70’を含む。
図8を参照する。以下では、ガス検出装置の第2実施形態に適用されるガス濃度検出方法の4つの例について説明する。基本的には、上述の第1実施形態の第2例と同様であり、以下で説明する4つの例は、図8に示すように、イミタンス取得段階B1、範囲計算段階B3、範囲比較段階B5、および濃度計算段階B7を主に含む。イミタンス取得段階B1では、第1の基準検出部30およびターゲット検出部40が被試験ガスと接触しているとき、コントローラ70’は、第1の基準検出部30の第1の測定基準イミタンス値、第1のターゲット検出部40の第1の測定ターゲットイミタンス値、および第2の基準検出部50の第2の測定基準イミタンス値を検出することができる。範囲計算段階B3では、コントローラ70’は、第1の測定基準イミタンス値、第2の測定基準イミタンス値、および複数の相関関数に応じて、複数の範囲基準値を計算する。ここで、複数の相関関数および複数の範囲基準値は、複数の指定濃度値に対応する。範囲比較段階A5では、コントローラ70’は、上述の複数の範囲基準値と比較ベースライン値とを比較し、この比較ベースライン値が指定濃度値のどの範囲に属するかをさらに決定する。すなわち、複数の指定濃度値から1つを選択する。濃度計算段階B7では、コントローラ70’は、ターゲット変動係数および測定ターゲットイミタンス値に応じて、ターゲットガス濃度値を計算する。すなわち、被試験ガス中のターゲットガスの濃度を計算する。ここで、ターゲット変動係数は、複数の指定濃度値の1つに対応する。
図9Aおよび図9Bを参照する。図9Aおよび図9Bは、本開示の第1例のガス濃度検出方法のフローチャートおよび詳細なフローチャートである。図9AのステップS71〜S73は上述のイミタンス取得段階B1に属し、ステップS73、S741およびS743は上述の範囲計算段階B3に属し、ステップS745は上述の範囲比較段階B5に属し、ならびにステップS747およびS749は上述の濃度計算段階B7に属する。
ステップS71を参照する。ヒータ10は熱を発生し、第1の基準検出部30、ターゲット検出部40、および第2の基準検出部50の温度を上昇させ、被試験ガスは、第1の基準検出部30、ターゲット検出部40および第2の基準検出部50と接触する。
ステップ72を参照する。第1の基準検出部30、ターゲット検出部40、および第2の基準検出部50の温度が上昇し、第1の基準検出部30、ターゲット検出部40、および第2の基準検出部50が被試験ガスと接触すると、コントローラ70’は、第1の基準検出部30の第1の測定基準抵抗値Rref1(第1の測定基準イミタンス値)、ターゲット検出部40の測定ターゲット抵抗値Rsen(測定ターゲットイミタンス値)、および第2の基準検出部50の第2の測定抵抗値Rref2(第2の測定基準イミタンス値)を検出する。つまり、第1の測定基準抵抗値Rref1、測定ターゲット抵抗値Rsen、および第2の測定基準抵抗値Rref2は、イミタンス取得段階B1で説明されるイミタンス値である。例えば、コントローラ70’は、第1の導電層303を介して第1の検出層301の第1の測定基準抵抗値Rref1を検出し、第2の導電層403を介して第2の検出層401の測定ターゲット抵抗値Rsenを検出し、および第3の導電層503を介して第3の検出層501の第2の測定基準抵抗値Rref2を検出する。
ステップS73を参照する。コントローラ70’は、第1の測定基準抵抗値Rref1および第1の初期基準抵抗値Rref1,0(第1の初期基準イミタンス値)に応じて、第1の基準変動係数αを計算する。第1の初期抵抗値Rref1,0は、第1の基準検出部30に関連付けられている。例えば、ガス検出装置200が出荷される前において、0ppmなどの指定濃度値のターゲットガスが、加熱された第1の基準検出部30と接触するようにする。このとき、コントローラ70’は、第1の基準検出部30の抵抗値(イミタンス値)を検出するが、この抵抗値は、第1の初期基準抵抗値Rref1,0として機能し、コントローラ70’の内蔵記憶素子に、または記憶装置に記憶される。例えば、第1の基準変動係数αは、式13に示すように、第1の初期基準抵抗値Rref1,0に対する第1の測定基準抵抗値Rref1の比である。第1の基準変動係数αは、第1の基準検出部30に対して、酸素の不安定な吸着、湿度の変動などの現在の環境変動の影響の程度を反映するものである。
ステップS74を参照する。コントローラ70’は、第1の基準変動係数α、複数の第1の相関関数F1(k ppm)、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)(第2の初期基準イミタンス値)、測定ターゲット抵抗値Rsen、第2の測定基準抵抗値Rref2(第2の測定基準イミタンス値)、複数の第2の相関関数F2(k ppm)、およびターゲットガス濃度変換関数に応じて、ターゲットガス濃度値を計算する。
複数の第1の相関関数F1(k ppm)の数、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)の数、および複数の第2の相関関数F2(k ppm)の数は、指定濃度値の数に依存する。例えば、指定濃度値が0ppm、20ppm、100ppmおよび200ppmを含む4つの値を有する場合、4つの対応する第1の相関関数F1(k ppm)は、F1(0 ppm)、F1(20 ppm)、F1(100 ppm)、およびF1(200 ppm)であり、4つの対応する第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)は、Rref2,0,(0 ppm)、Rref2,0,(20 ppm)、Rref2,0,(100 ppm)、およびRref2,0,(200 ppm)、であり、ならびに4つの対応する第2の相関関数F2(k ppm)は、F2(0 ppm)、F2(20 ppm)、F2(100 ppm)、およびF2(200 ppm)である。指定濃度値ごとのターゲットガスの条件に基づき、複数の第1の相関関数F1(k ppm)の各々は、第1の基準検出部30と第2の基準検出部50との相関を表す。例えば、第1の相関関数F1(k ppm)は、第1の測定基準抵抗値Rref1と第2の測定基準抵抗値Rref2との間の依存関係を表す。別の例では、第1の相関関数F1(k ppm)は、第1の測定基準抵抗値Rref1の変動率と第2測定基準抵抗値Rref2の変動率との間の依存関係を表す。複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)に関しては、例えば、ガス検出装置200が出荷される前において、0ppm、20ppm、100ppm、および200ppmなどの複数の指定濃度値のターゲットガスが、それぞれ、加熱された第2の基準検出部50と接触するようにする。このとき、コントローラ70’は、Rref2,0,(0 ppm)、Rref2,0,(20 ppm)、Rref2,0,(100 ppm)、およびRref2,0,(200 ppm)などの第2の基準検出部50の抵抗値を検出するが、これらの抵抗値は、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)として機能し、コントローラ70’の内蔵記憶素子に、または記憶装置に記憶される。指定濃度値ごとのターゲットガスの条件に基づき、複数の第2の相関関数F2(k ppm)の各々は、第2の基準検出部50とターゲット検出部40との相関を表す。例えば、第2の相関関数F2(k ppm)は、第2の測定基準抵抗値Rref2と測定ターゲット抵抗値Rsenとの間の依存関係を表す。別の例では、第2の相関関数F2(k ppm)は、第2の測定基準抵抗値Rref2の変動率と測定ターゲット抵抗値Rsenの変動率との間の依存関係を表す。
図9Bを参照する。図9Bは、図9AのステップS74の詳細なフローチャートを示す。ステップS741およびステップS743は範囲計算段階B3に属し、ステップS744は範囲比較段階B5に属し、ならびにステップS746、S747、およびS749は濃度計算段階B7に属する。
ステップS741を参照する。コントローラ70’は、第1の基準変動係数αおよび複数の第1の相関関数F1(k ppm)に応じて、複数の第2の基準変動係数γ(k ppm)を計算する。第2の基準変動係数γ(k ppm)の数は、複数の第1の相関関数F1(k ppm)の数に依存する。先の例に従い、コントローラ70’は、下記の式14〜17に示すように、第1の基準変動係数αを4つの第1の相関関数F1(k ppm)のそれぞれに代入して、γ(0 ppm)、γ(20 ppm)、γ(100 ppm)、およびγ(200 ppm)を含む4つの第2の基準変動係数γ(k ppm)を取得する。
ステップS743を参照する。コントローラ70’は、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)および複数の第2の基準変動係数γ(k ppm)に応じて、複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)(第2の予測基準イミタンス値、すなわち、範囲計算段階B3で説明される複数の範囲基準値)を計算する。ステップS743の計算アプローチに関しては、先の例に従い、下記の式18〜21に示すように、0ppm、20ppm、100ppm、200ppmなどの複数の指定濃度値の各々において、複数の指定濃度値の1つに対応する第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)と複数の指定濃度値の1つに対応する第2の基準変動係数γ(k ppm)との積が、Rref2,pre,(0 ppm)、Rref2,pre,(20 ppm)、Rref2,pre,(100 ppm)、およびRref2,pre,(200 ppm)を含む第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)として利用される。
ステップS745を参照する。コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2(すなわち、範囲比較段階B5で説明される比較ベースライン値)に応じて、複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)から1つを選択する。例えば、コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2と複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)の各々との間で複数の差を計算し、差の最小値(または差の絶対値の最小値)に対応する第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(x ppm)を選択する。
ステップS746を参照する。コントローラ70’は、測第2の測定基準抵抗値Rref2、第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)、第2の予測基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)、および第2の相関関数F2(x ppm)に応じて、ターゲット変動係数β(x ppm)を計算する。第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)、ステップS745で選択された第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(x ppm)、および第2の相関関数F2(x ppm)は、同じ濃度値xに対応する。すなわち、このターゲット変動係数β(x ppm)は、濃度計算段階B7におけるパラメータとして機能する。ターゲット変動係数β(x ppm)の計算アプローチに関しては、例えば、コントローラ70’は、式22に示すように、第2の相関関数F2(x ppm)によって出力された値をターゲット変動係数β(x ppm)として使用する。ここで、第2の相関関数F2(x ppm)には、第2の測定基準抵抗値Rref2を第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)で割った商が入力される。
ステップS747を参照する。コントローラ70’は、測定ターゲット抵抗値Rsenおよびターゲット変動係数β(x ppm)に応じて、校正抵抗値Rcal(校正イミタンス値)を計算する。校正抵抗値Rcalの計算アプローチに関しては、例えば、コントローラ70’は、式23に示すように、測定ターゲット抵抗値Rsenをターゲット変動係数β(x ppm)で割った商を校正抵抗値Rcalとして使用する。
ステップS749を参照する。コントローラ70’は、校正抵抗値Rcalをターゲットガス濃度変換関数に代入にして、ターゲットガス濃度値を取得する。
図10Aおよび図10Bを参照する。図10Aおよび図10Bは、本開示の第2例のガス濃度検出方法のフローチャートおよび詳細なフローチャートを示す。図10AのステップS81〜S82は上述のイミタンス取得段階B1に属し、ステップS841〜S843は上述の範囲計算段階B3に属し、ステップS845は上述の範囲比較段階B5に属し、およびステップS847は上述の濃度計算段階B7に属する。
図10AのステップS81〜S82は、基本的には、図9AのステップS71〜S72と同一である。つまり、コントローラ70’は、第1の基準検出部30の第1の測定基準抵抗値Rref1(第1の測定基準イミタンス値)、ターゲット検出部40の測定ターゲット抵抗値Rsen(測定ターゲットイミタンス値)、および第2の基準検出部50の第2の測定基準抵抗値Rref2(第2の測定基準イミタンス値)を検出する。
ステップS84を参照する。コントローラ70’は、第1の測定基準抵抗値Rref1、複数の第1の相関関数F1(k ppm)、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)(第2の初期基準イミタンス値)、測定ターゲット抵抗値Rsen、第2の測定基準抵抗値Rref2、複数の第2の相関関数F2(k ppm)、およびターゲットガス濃度変換関数に応じて、ターゲットガス濃度値を計算する。
図10Bを参照する。図10Bは、図10Aのステップ84の詳細なフローチャートを示す。ステップS841を参照する。コントローラ70’は、第1の測定基準抵抗値Rref1および複数の第1の相関関数F1(k ppm)に応じて、複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)(第2の予測基準イミタンス値、すなわち、範囲計算段階B3で説明される複数の範囲基準値)を計算する。第1の相関関数F1(k ppm)の数は、指定濃度値の数に依存する。例えば、指定濃度値が0ppm、20ppm、100ppmおよび200ppmを含む4つの値を有する場合、4つの対応する第1の相関関数F1(k ppm)は、F1(0 ppm)、F1(20 ppm)、F1(100 ppm)、およびF1(200 ppm)である。複数の第1の相関関数F1(k ppm)の各々は、第1の基準検出部30と第2の基準検出部50との相関を表す。例えば、第1の相関関数F1(k ppm)は、第1の測定基準抵抗値Rref1と第2の測定基準抵抗値Rref2との間の依存関係を表す。ステップS841の計算アプローチに関しては、先の例に従い、コントローラ70’は、下記の式24〜27に示すように、第1の測定基準抵抗値Rref1を4つの第1の相関関数F1(k ppm)のそれぞれに代入して、Rref2,pre,(0 ppm)、Rref2,pre,(20 ppm)、Rref2,pre,(100 ppm)、およびRref2,pre,(200 ppm)を含む4つの第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)を取得する。
ステップS843を参照する。コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2(すなわち、範囲比較段階B5で説明される比較ベースライン値)に応じて、複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)から1つを選択する。例えば、コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2と複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)の各々との間で複数の差を計算し、差の最小値(または差の絶対値の最小値)に対応する第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(x ppm)を選択する。
ステップ845を参照する。コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2、第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)、および第2の相関関数F2(x ppm)に応じて、ターゲット変動係数β(x ppm)を計算する。第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)、ステップS745で選択された第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(x ppm)、および第2の相関関数F2(x ppm)は、同じ濃度値xに対応する。すなわち、このターゲット変動係数β(x ppm)は、濃度計算段階B7におけるパラメータとして機能する。ターゲット変動係数β(x ppm)の計算アプローチに関しては、例えば、コントローラ70’は、式28に示すように、第2の相関関数F2(x ppm)によって出力された値をターゲット変動係数β(x ppm)として使用する。ここで、第2の相関関数F2(x ppm)には、第2の測定基準抵抗値Rref2を第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)で割った商が入力される。
ステップS847を参照する。コントローラ70’は、測定ターゲット抵抗値Rsenおよびターゲット変動係数β(x ppm)に応じて、校正抵抗値Rcal(校正イミタンス値)を計算する。校正抵抗値Rcalの計算アプローチに関しては、例えば、コントローラ70’は、式29に示すように、測定ターゲット抵抗値Rsenをターゲット変動係数β(x ppm)で割った商を校正抵抗値Rcalとして使用する。
ステップS849を参照する。コントローラ70’は、校正抵抗値Rcalをターゲットガス濃度変換関数に代入にして、ターゲットガス濃度値を取得する。
図11Aおよび図11Bを参照する。図11Aおよび図11Bは、本開示の第3例のガス濃度検出方法のフローチャートおよび詳細なフローチャートを示す。図11AのステップS91〜S92は上述のイミタンス取得段階B1に属し、ステップS93およびステップS941は上述の範囲計算段階B3に属し、ステップS943は図8の範囲比較段階B5に属し、ならびにステップS945、S947、およびS949は図8の濃度計算段階B7に属する。
図11AのステップS91〜S93は、基本的には、図9AのステップS71〜S73と同一である。つまり、コントローラ70’は、第1の基準検出部30の第1の測定基準抵抗値Rref1(第1の測定基準イミタンス値)、ターゲット検出部40の測定ターゲット抵抗値Rsen(測定ターゲットイミタンス値)、および第2の基準検出部50の第2の測定基準抵抗値Rref2(第2の測定基準イミタンス値)を検出する。コントローラ70’は、第1の測定基準抵抗値Rref1および第1の初期基準抵抗値Rref1,0に応じて、第1の基準変動係数αを計算する。
ステップS94を参照する。コントローラ70’は、第1の基準変動係数α、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)(第2の初期基準イミタンス値)、測定ターゲット抵抗値Rsen、第2の測定基準抵抗値Rref2、複数の第2の相関関数F2(k ppm)、およびターゲットガス濃度変換関数に応じて、ターゲットガス濃度値を計算する。
図11Bを参照する。図11Bは、図11AのステップS94の詳細なフローチャートである。ステップS941を参照する。コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)、および複数の第1の相関関数F1(k ppm)に応じて、複数の第1の予測変動係数α(k ppm)(すなわち、範囲計算段階B3で説明される複数の範囲基準値)を計算する。例えば、指定濃度値が0ppm、20ppm、100ppmおよび200ppmを含む4つの値を有する場合、これらの指定濃度値に基づき、コントローラ70’は、式30〜33に示すように、第2の測定基準抵抗値Rref2を第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)の各々で割った商のそれぞれを、第1の相関関数F1(k ppm)に代入して、α(0 ppm)、α(20 ppm)、α(100 ppm)、α(200 ppm)を含む4つの第1の予測変動係数α(k ppm)を取得する。
ステップS943を参照する。コントローラ70’は、第1の基準変動係数α(すなわち、範囲比較段階B5で説明される比較ベースライン値)に応じて、複数の第1の予測変動係数α(k ppm)から1つを選択する。例えば、例えば、コントローラ70’は、第1の基準変動係数αと複数の第1の予測変動係数α(k ppm)の各々との間で複数の差を計算し、差の最小値(または差の絶対値の最小値)に対応する第1の予測変動係数α(x ppm)および第1の予測変動係数α(x ppm)に対応する濃度値xを選択する。
ステップS945を参照する。コントローラ70’は、第1の予測変動係数α(x ppm)、および第2の相関関数F2(x ppm)に応じて、ターゲット変動係数β(x ppm)を計算する。ステップS943で選択された第1の予測変動係数α(x ppm)および第2の相関関数F2(x ppm)は、同じ濃度値xに対応する。ターゲット変動係数β(k ppm)の計算アプローチに関しては、例えば、ステップS943で選択された第1の予測変動係数α(k ppm)に対応する指定濃度値xに基づき、コントローラ70’は、式34に示すように、ステップS941で計算された商から1つを選択し、対応する指定濃度値の第2の相関関数F2(k ppm)に代入して、ターゲット変動係数β(k ppm)を取得する。
ステップS947を参照する。コントローラ70’は、測定ターゲット抵抗値Rsenおよびターゲット変動係数β(k ppm)に応じて、校正抵抗値Rcal(校正イミタンス値)を計算する。校正抵抗値Rcalの計算アプローチに関しては、例えば、コントローラ70’は、式35に示すように、測定ターゲット抵抗値Rsenをターゲット変動係数β(k ppm)で割った商を校正抵抗値Rcalとして使用する。
ステップS949を参照する。コントローラ70’は、校正抵抗値Rcalをターゲットガス濃度変換関数に代入にして、ターゲットガス濃度値を取得する。
図12Aおよび図12Bを参照する。図12Aおよび図12Bは、本開示の第4例のガス濃度検出方法のフローチャートおよび詳細なフローチャートを示す。図12のステップS101〜S102は上述のイミタンス取得段階B1に属し、ステップS103、S1041、およびS1043は上述の範囲計算段階B3に属し、ステップS1044は上述の範囲比較段階B5に属し、ならびにステップS1047は上述の濃度計算段階B7に属する。
ステップS101を参照する。ヒータ10は熱を発生し、第1の基準検出部30、ターゲット検出部40、および第2の基準検出部50の温度を上昇させ、被試験ガスは、第1の基準検出部30、ターゲット検出部40および第2の基準検出部50と接触する。
ステップ102を参照する。第1の基準検出部30、ターゲット検出部40、および第2の基準検出部50の温度が上昇し、第1の基準検出部30、ターゲット検出部40、および第2の基準検出部50が被試験ガスと接触すると、コントローラ70’は、第1の基準検出部30の第1の測定基準抵抗値Rref1(第1の測定基準イミタンス値)、ターゲット検出部40の測定ターゲット抵抗値Rsen(測定ターゲットイミタンス値)、および第2の基準検出部50の第2の測定基準抵抗値Rref2(第2の測定基準イミタンス値)を検出する。例えば、コントローラ70’は、第1の導電層303を介して第1の検出層301の第1の測定基準抵抗値Rref1を検出することができ、第2の導電層403を介して第2の検出層401のターゲット抵抗値Rsenを検出することができ、および第3の導電層503を介して第3の検出層501の第2の測定基準抵抗値Rref2を検出することができる。
ステップS103を参照する。コントローラ70’は、第1の測定基準抵抗値Rref1および第1の初期基準抵抗値Rref1,0(第1の初期基準イミタンス値)に応じて、第1の基準変動係数αを計算する。第1の初期基準抵抗値Rref1,0は、第1の基準検出部30に関連付けられている。例えば、ガス検出装置200が出荷される前において、0ppmなどの指定濃度値のターゲットガスが、加熱された第1の基準検出部30と接触するようにする。このとき、コントローラ70’は、第1の基準検出部30の抵抗値(イミタンス値)を検出するが、この抵抗値は、第1の初期基準抵抗値Rref1,0として機能し、コントローラ70’の内蔵記憶素子に、または記憶装置に記憶される。例えば、第1の基準変動係数αは、式36に示すように、第1の初期基準抵抗値Rref1,0に対する第1の測定基準抵抗値Rref1の比である。第1の基準変動係数αは、第1の基準検出部30に対して、酸素の不安定な吸着、湿度の変動などの現在の環境変動の影響の程度を反映するものである。
ステップS104を参照する。コントローラ70’は、第1の基準変動係数α、複数の第1の相関関数F1(k ppm)、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)(第2の初期基準イミタンス値)、測定ターゲット抵抗値Rsen、第2の測定基準抵抗値Rref2、複数の第2の相関関数F2(k ppm)、およびターゲットガス濃度変換関数に応じて、ターゲットガス濃度値を計算する。
複数の第1の相関関数F1(k ppm)の数、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)の数、および複数の第2の相関関数F2(k ppm)の数は、指定濃度値の数に依存する。例えば、指定濃度値が0ppm、20ppm、100ppmおよび200ppmを含む4つの値を有する場合、4つの対応する第1の相関関数F1(k ppm)は、F1(0 ppm)、F1(20 ppm)、F1(100 ppm)、およびF1(200 ppm)であり、4つの対応する第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)は、Rref2,0,(0 ppm)、Rref2,0,(20 ppm)、Rref2,0,(100 ppm)、およびRref2,0,(200 ppm)、であり、ならびに4つの対応する第2の相関関数F2(k ppm)は、F2(0 ppm)、F2(20 ppm)、F2(100 ppm)、およびF2(200 ppm)である。指定濃度値ごとのターゲットガスの条件に基づき、複数の第1の相関関数F1(k ppm)の各々は、第1の基準検出部30と第2の基準検出部50との相関を表す。例えば、第1の相関関数F1(k ppm)は、第1の測定基準抵抗値Rref1と第2の測定基準抵抗値Rref2との間の依存関係を表す。別の例では、第1の相関関数F1(k ppm)は、第1の測定基準抵抗値Rref1の変動率と第2測定基準抵抗値Rref2の変動率との間の依存関係を表す。複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)に関しては、例えば、ガス検出装置200が出荷される前において、0ppm、20ppm、100ppm、および200ppmなどの複数の指定濃度値のターゲットガスが、それぞれ、加熱された第2の基準検出部50と接触するようにする。このとき、コントローラ70’は、Rref2,0,(0 ppm)、Rref2,0,(20 ppm)、Rref2,0,(100 ppm)、およびRref2,0,(200 ppm)などの第2の基準検出部50の抵抗値を検出するが、これらの抵抗値は、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)として機能し、コントローラ70’の内蔵記憶素子に、または記憶装置に記憶される。指定濃度値ごとのターゲットガスの条件に基づき、複数の第2の相関関数F2(k ppm)の各々は、第2の基準検出部50とターゲット検出部40との相関を表す。例えば、第2の相関関数F2(k ppm)は、第2の測定基準抵抗値Rref2と測定ターゲット抵抗値Rsenとの間の依存関係を表す。別の例では、第2の相関関数F2(k ppm)は、第2の測定基準抵抗値Rref2の変動率と測定ターゲット抵抗値Rsenの変動率との間の依存関係を表す。
図12Bを参照する。図12Bは、図12AのステップS104の詳細なフローチャートである。ステップ1041を参照する。コントローラ70’は、第1の基準変動係数αおよび複数の第1の相関関数F1(k ppm)に応じて、複数の第2の基準変動係数γ(k ppm)を計算する。第2の基準変動係数γ(k ppm)の数は、複数の第1の相関関数F1(k ppm)の数に依存する。先の例に従い、コントローラ70’は、下記の式37〜40に示すように、第1の基準変動係数αを4つの第1の相関関数F1(k ppm)のそれぞれに代入して、γ(0 ppm)、γ(20 ppm)、γ(100 ppm)、およびγ(200 ppm)を含む4つの第2の基準変動係数γ(k ppm)を取得する。
ステップS1043を参照する。コントローラ70’は、複数の第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)および複数の第2の基準変動係数γ(k ppm)に応じて、複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)(第2の予測基準イミタンス値、すなわち、範囲計算段階B3で説明される複数の範囲基準値)を計算する。ステップS1043の計算アプローチに関しては、先の例に従い、下記の式47および式41〜43に示すように、0ppm、20ppm、100ppm、200ppmなどの複数の指定濃度値の各々において、複数の指定濃度値の1つに対応する第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)と複数の指定濃度値の1つに対応する第2の基準変動係数γ(k ppm)との積が、Rref2,pre,(0 ppm)、Rref2,pre,(20 ppm)、Rref2,pre,(100 ppm)、およびRref2,pre,(200 ppm)を含む第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)として利用される。
ステップS1044を参照する。コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2(すなわち、範囲比較段階B5で説明される比較ベースライン値)に応じて、複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)から1つを選択する。例えば、コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2と複数の第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(k ppm)の各々との間で複数の差を計算し、差の最小値(または差の絶対値の最小値)に対応する第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(x ppm)を選択する。
ステップS1045を参照する。コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2、第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)、測定ターゲット抵抗値Rsen、および複数の初期ターゲット抵抗値Rsen 0,(k ppm)の1つが抵抗変動相関(イミタンス変動相関)を満たすかどうかを判定する。ここで、第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)および複数の初期ターゲット抵抗値Rsen 0,(k ppm)の1つであるRsen 0,(x ppm)に対応する指定濃度値xは、第2の予測基準抵抗値Rref2,pre,(x ppm)に対応する指定濃度値xに等しい。例えば、抵抗変動相関は、第2の基準検出部50の抵抗値の変動とターゲット検出部40の抵抗値の変動との間の依存関係である。別の例では、抵抗変動相関は、第2の基準検出部50の抵抗値の変動率とターゲット検出部40の抵抗値の変動率との間の依存関係である。抵抗値の変動は、測定抵抗値と初期抵抗値との間の差を表す。抵抗値の変動率は、測定抵抗値を初期抵抗値で割った商を表す。抵抗値の変動率を例にとると、式44に示すように、コントローラ70’は、式44の等号の両側の値が許容誤差範囲eの範囲内にあるかどうかを判定する。
式44において、第1の比はRsen/Rsen 0,(k ppm)であり、第2の比はRref2/Rref2,0,(k ppm)である。
ステップS1045の判定結果が「いいえ」(イミタンス変動相関を満たさない)である場合、すなわち、ターゲット検出部40および第2の基準検出部50の1つが正常に動作していない場合、他のターゲット検出部または他の第2の基準検出部に置き換えるステップS1046が次に実行される。ステップS1046が終了すると、ガス濃度検出方法の第4例を再実行するステップS101が次に実行される。ステップ1045の判定結果が「はい」(イミタンス変動相関を満たす)である場合、ステップS1047が次に実行される。
ステップS1047を参照する。コントローラ70’は、第2の測定基準抵抗値Rref2、第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)、および第2の相関関数F2(k ppm)に応じて、ターゲット変動係数β(k ppm)を計算する。ターゲット変動係数β(x ppm)は、濃度計算段階B7におけるパラメータとして機能する。第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)、ステップS1045で選択された第2の予測基準抵抗値Rref2,0,(x ppm)、および第2の相関関数F2(x ppm)は、同じ濃度値xに対応する。ターゲット変動係数β(k ppm)の計算アプローチに関しては、例えば、コントローラ70’は、式45に示すように、第2の相関関数F2(k ppm)によって出力された値をターゲット変動係数β(k ppm)として使用する。ここで、第2の相関関数F2(k ppm)には、第2の測定基準抵抗値Rref2を第2の初期基準抵抗値Rref2,0,(k ppm)で割った商が入力される。
ステップS1048を参照する。コントローラ70’は、測定ターゲット抵抗値Rsenおよびターゲット変動係数β(k ppm)に応じて、校正抵抗値Rcal(校正イミタンス値)を計算する。校正抵抗値Rcalの計算アプローチに関しては、例えば、コントローラ70’は、式46に示すように、測定ターゲット抵抗値Rsenをターゲット変動係数β(k ppm)で割った商を校正抵抗値Rcalとして使用する。
ステップS1049を参照する。コントローラ70’は、校正抵抗値Rcalをターゲットガス濃度変換関数に代入にして、ターゲットガス濃度値を取得する。
以上、ガス検出装置100の第1実施形態に適用されるガス濃度検出方法の2つの例およびガス検出装置200の第2実施形態に適用されるガス濃度検出方法の4つの例について説明した。6つの例では、ターゲットガス濃度値が取得された後、コントローラ70または70’は、ターゲットガス濃度値および校正抵抗値Rcalに応じて、標準曲線をさらに更新することができる。標準曲線は、ターゲットガス濃度変換関数の関数曲線である。
実際には、ガス検出装置100または200が出荷される前に、本開示は、複数の指定濃度値と接触するターゲット検出部40の複数のデフォルト抵抗値(デフォルトイミタンス値)を検出することができる。換言すれば、デフォルトイミタンス値の各々は、ターゲット検出部40と関連付けられ、指定濃度値の各々は、これらのデフォルトイミタンス値の1つに対応し、ターゲットガス濃度変換関数は、これらの指定濃度値およびこれらのデフォルトイミタンス値に関連付けられている。前述した指定濃度値とデフォルトイミタンス値は、下記の表1のように記録されている。ガス検出装置100または200が実際に適用され、ターゲットガス濃度値が取得された後、コントローラ70または70’は、校正濃度値が表1の指定濃度値に対応する更新範囲の1つに属するかどうかを判定する。判定結果が「はい」である場合、コントローラ70または70’は、指定濃度値に対応するデフォルト抵抗値を校正抵抗値Rcalに置き換える。判定結果が「いいえ」である場合、コントローラ70または70’は、校正抵抗値Rcalおよびターゲット濃度値を含む新しい行を表1に追加する。
例えば、更新範囲が5ppmである場合、n回目の測定で、校正抵抗値(校正イミタンス値)Rcalは3749KΩであり、ターゲット濃度値は22.5ppmである。この例では、コントローラ70または70’は、指定濃度値が25.1ppmであるフィールドが更新要件(25.1−5<22.5<25.1+5)を満たしていることを見出す。したがって、コントローラ70または70’は、デフォルト抵抗値が3576KΩであるフィールドを更新する。
先の例に続いて、n+1回目の測定で、校正抵抗値Rcalが2013KΩであり、ターゲット濃度値が124.0ppmである場合である。この例では、コントローラ70または70’は、指定濃度値の更新範囲にこの校正値(107.1−5<124.5であるが、107.1+5<124.5)に含まれるフィールドを見出すことはできない。したがって、コントローラ70または70’は、の「抵抗−濃度」の形式で(2013、124.0)の測定データを表1に追加し、表1は、上記2つの例に従って、下記の表2に更新される。
コントローラ70または70’が、校正イミタンス値、ターゲットガス濃度値、複数のデフォルトイミタンス値および更新範囲に応じて、これらのデフォルトイミタンス値を更新し、および指定濃度値を選択的に更新する更新戦略に基づくと、ガス検出装置100または200が校正抵抗値および校正濃度値を生成するたびに、標準曲線または標準曲線に対応する表にフィードバックすることができる。上記更新戦略は、本開示のガス濃度検出方法においては、動的な校正効果を有する。また、ターゲットガスに対する検知材の感度が変化したとき、ガス検出装置100または200は、正確なターゲットガス濃度値を出力し続けることができる。
図13を参照する。図13は、ターゲットガス濃度変換関数を確立する標準曲線のフローチャートである。
ステップS111を参照する。ステップS111は、「指定濃度値を有するターゲットガスをガス検出装置100または200に導入すること」を示す。例えば、指定濃度値25ppmのターゲットガスがガス検出装置100または200に導入され、ヒータ10が熱を発生し、検出部30〜60の温度を上昇させ、ターゲットガスがガス検出装置100または200に導入される。
ステップS113を参照する。ステップS113は、「ターゲット検出部の抵抗値を検出すること」を示す。具体的には、コントローラ70または70’は、3576KΩなどの測定ターゲット抵抗値Rsenを検出する。
ステップS115を参照する。ステップS115は、「指定濃度値および抵抗値を書き込むこと」を示す。具体的には、コントローラ70または70’は、データ(25ppm、3579KΩ)をコントローラ70または70’の内蔵記憶素子に記憶し、または記憶装置に記憶する。このステップは、座標点を増加させる。
ステップS117を参照する。ステップS117は、「データ量が十分であるかどうかを判定すること」を示す。具体的には、コントローラ70または70’は、増加した座標点がターゲットガス濃度変換関数の標準曲線を確立するのに十分かどうかを判定する。判定結果が「はい」である場合、標準曲線を確立するためのステップS118が実行される。判定結果が「いいえ」である場合、ステップS119が次に実行される。
ステップS119を参照する。ステップS119は、「別の指定濃度値を有するターゲットガスをガス検出装置100または200に導入すること」を示す。例えば、コントローラ70または70’は、指定濃度値100ppmを有するターゲットガスをガス検出装置100または200に導入し、ステップS117の判定結果が肯定的になるまでステップS113〜S117の処理を繰り返し、別の指定濃度値の標準曲線の確立を完了することができる。
以上、本開示は、ドリフトした抵抗値が修正されるため、基準検出部を使用して、ターゲット検出部に自己補償情報を提供し、自動的に校正することができるガス検出装置およびガス濃度検出方法を提案する。また、本開示は、各校正後の抵抗値および濃度値に応じて、ガス検出装置によって予め確立された標準曲線を動的に修正することができ、次回の検出動作において、より正確なガス濃度検出結果を提供することができる。全体として、本開示は、検出結果を効果的に校正することができ、ガス検出素子によって出力されたデータは、デフォルトデータの更新情報を提供することができる。これは、環境、劣化、または不完全なバーンイン処理などの要因により、ガス検出装置の検知材の感度が変化した場合でも、変化を検出し、動的に校正することができることを意味する。さらに、検知材が劣化または汚染された場合でも、検知材の標準曲線を修正することによって感度変動が追跡できるため、ガス検出装置の寿命が延びる。
本開示は、上述の実施形態で説明したが、実施形態は本開示を限定するものではない。本開示の意図および範囲から逸脱することなく行われた変更および修正は、本開示の特許請求の範囲に属する。本開示によって定義される保護範囲については、添付の特許請求の範囲を参照する。