以下、本発明の一実施形態に係る物品反転送出システムについて説明する。
図1〜図3には、表裏面を有する物品1を吸着しつつその表裏を反転させた後、吸着された物品1を受け取って目的の場所に送り出す物品反転送出システム2が示されている。表面1a(裏面1b)を有する物品1としては、例えば、はがき、封書や小包などの郵便物、その他の小荷物などが想定される。図1では一例として、表面1aに切手が貼られた物品1が、裏面1bを表にして作業台3に載置されている。作業台3としては、例えば、テーブルやベルトコンベヤなどが想定される。なお、吸着された物品1を受け取って送り出すとは、後述する吸着機構9の吸着力によって物品1を支えていた状態から、後述する送出機構11及び弾性保持機構12によって物品1を支える状態に移行することを意味する。
物品反転送出システム2は、物品検出装置SEと、ロボットアーム4と、物品反転送出装置5と、制御装置6と、を有している。ここで、ロボットアーム4のエンドエフェクタとして、物品反転送出装置5は、ロボットアーム4の先端(取付部4p)に取り付けられる。制御装置6は、予め設定された物品反転送出プログラムに従って、ロボットアーム4及び物品反転送出装置5の動作を制御する。物品検出装置SEは、例えば、市販のRGBカメラを適用することが可能であり、作業台3上における物品1の状態(例えば、形状、大きさ、位置、姿勢、向き(表面1aが表向き、裏面1bが表向き))を検出することができる。以下、具体的に説明する。
図1に示すように、ロボットアーム4は、その先端に取付部4pを備え、取付部4pには、物品反転送出装置5が取り外し可能に取り付けられる。図1には、ロボットアーム4の一例として、アーム支持台4a上に構築された第1軸〜第7軸から成る7軸ロボットが示されている。ここで、例えば、表面1aに切手1pが貼られた物品1(郵便物)が、裏面1bを表にして作業台3に載置されている場合、かかる物品1の状態が、物品検出装置SEによって検出され、その検出結果に基づいて、制御装置6が、ロボットアーム4及び物品反転送出装置5を制御することで、物品1を180°表裏反転させ、切手1pが貼られた表面1aを表にして目的の場所(例えば、コンベア)に送り出すことができる。つまり、切手1pが貼られた表面1aを表にしてコンベアに送り出すことで、後の工程において、切手1pに対して消印を押印することが可能となる。かかる構成によれば、例えば、作業台3上にばら積みされた複数の物品1から1つ取り出した際に、裏面1bが表だったら反転させて目的の場所(コンベア)に載置することができる。この場合、作業台3がベルトコンベアであれば、当該ベルトコンベアによって流れてきた物品1の中に裏面1bが表になっているものがあれば、その物品1を反転させて再度ベルトコンベアに載置することができる。
ロボットアーム4は、ベース4bに設けられた第1軸A1を中心に回動可能なアーム本体と、アーム本体4cの第2軸A2を中心に回動可能な第1中継アーム4dと、第1中継アーム4d先端の第3軸A3を中心に回動可能な第2中継アーム4eと、第2中継アーム4e先端の第4軸A4を中心に回動可能な第3中継アーム4fと、第3中継アーム4f先端の第5軸A5を中心に回動可能な第4中継アーム4gと、第4中継アーム4g先端の第6軸A6を中心に回動可能な取付部4pと、を備え、取付部4pは、ここに取付けられた物品反転送出装置5を、自身の第7軸A7を中心に回動させることができる。
なお、ロボットアーム4としては、上記した7軸ロボットに限定されることはなく、例えば、8軸以上或いは6軸以下のロボット、スカラロボット、XYZステージなどを適用することができる。また、図1では一例として、ロボットアーム4を定位置に固定させているが、これに限定されることはなく、例えば、リニアステージや自走台車に搭載させて移動可能としてもよい。
図1〜図2に示すように、物品反転送出装置5は、駆動機構7と、把持本体8と、吸着機構9と、反転機構10(回動機構とも言う)と、送出機構11と、弾性保持機構12と、を有している。図1〜図2では一例として、吸着機構9、反転機構10、送出機構11、弾性保持機構12は、把持本体8に搭載され、反転機構10は、駆動機構7に連結されている。
駆動機構7は、上記したロボットアーム4の先端(即ち、取付部4p)に取り外し可能に取り付けられ、取付部4pに取り付けられた状態で、当該取付部4pと共に、第6軸A6を中心に回動可能に構成されている。図1では一例として、駆動機構7は、機構本体部7aと、駆動部7bと、往復可動部7cと、を備えている。機構本体部7aは、ロボットアーム4の取付部4pに取り外し可能に取り付けられる。駆動部7bは、後述する反転機構10に駆動力を伝達させることができる。往復可動部7cは、機構本体部7aと駆動部7bとの間に延出され、例えば、駆動部7bの駆動力を利用することで、後述する把持本体8を、予め設定された方向に沿って直線的に往復移動させることができる。
把持本体8は、第1搭載面8aと、第2搭載面8bと、第3搭載面8cと、第4搭載面8dと、を有している。第1搭載面8aと第2搭載面8bとは、互いに平行な位置関係を維持しつつ間隔を存して配置されている。換言すると、第1搭載面8aの反対側に第2搭載面8bが位置付けられている。また、第3搭載面8c及び第4搭載面8dは、第1搭載面8a及び第2搭載面8bに直交した方向に沿って構成されている。第3搭載面8cと第4搭載面8dとは、互いに平行な位置関係を維持しつつ間隔を存して配置されている。換言すると、第3搭載面8cの反対側に第4搭載面8dが位置付けられている。
吸着機構9は、把持本体8の第1搭載面8aに搭載され、物品1を吸着して把持可能に構成されている。第1搭載面8aは、凹凸の無い平坦面として構成されている。吸着機構9は、物品1の複数個所に吸着可能な複数の吸着パッド9pを備えている。各吸着パッド9pは、第1搭載面8aに亘って搭載(配置)され、円板状の吸着部9aと、蛇腹状の伸縮部9bと、を備えている。吸着部9aは、物品1の表面1a(裏面1b)に隙間無く接触可能な中空円形状の接触端9tを有し、伸縮部9bは、伸縮自在に構成されている。
この場合、全ての吸着部9aは、同一方向に向けて開口され、それらの接触端9tは、平坦状の第1搭載面8aと平行な仮想平面に沿って整列されている。かくして、後述する吸着(第1状態)に際し、全ての吸着部9aの接触端9tは、物品1(裏面1b)に対して同一タイミングで接触可能となる。また、後述する真空破壊(第2状態)に際し、全ての吸着部9aの接触端9tは、物品1(裏面1b)に対して同一タイミングで離間可能となる。
吸着パッド9pは、図示しないエアチューブを介して、図3に示す真空システム13に配管接続されている。図3では一例として、真空システム13は、圧力センサ14と、真空発生器15と、バルブ16と、コンプレッサ17と、を有し、これらは制御装置6によって制御されている。吸着パッド9pには、圧力センサ14を介して真空発生器15が接続されていると共に、バルブ16を介してコンプレッサ17が接続されている。
ここで、バルブ16の開状態において、コンプレッサ17からバルブ16を介して真空発生器15に圧縮空気を供給する。これにより、吸着機構9(吸着パッド9p)の吸着部9a(接触端9t)に接触した物品1を、負圧によって、当該吸着部9a(接触端9t)に吸着させることができる。このとき、伸縮部9bは、負圧によって縮んだ状態に維持される。なお、真空発生器15としては、既製品をそのまま利用できるため、ここでは特に説明しない。
一方、バルブ16の閉状態において、コンプレッサ17から吸着パッド9pに圧縮空気を直接供給する。これにより、吸着パッド9pの真空が破れることで大気圧となる。この結果、吸着機構9(吸着パッド9p)の吸着部9a(接触端9t)による物品1の吸着が解除される。同時に、後述する送出機構11及び弾性保持機構12によって、物品1が、当該吸着部9a(接触端9t)から離間した非接触状態に保持される。かくして、送出機構11によって物品1を送り出すことが可能となる。このとき、伸縮部9bは、大気圧によって延びた状態(初期状態)に復元する。
同時に、コンプレッサ17を閉鎖させる。かくして、圧縮空気の供給が停止される。なお、上記したようなバルブ16の切換動作、真空発生器15のON/OFF動作に際し、吸着パッド9pの内部における空気圧は、圧力センサ14によって測定され、その測定結果は、制御装置6にフィードバックされる。
図2では一例として、6個の吸着パッド9pが縦横に格子状に配列されている。吸着パッド9pは、例えば、シリコンゴムなどの剛性の低い材料で構成することが好ましい。これにより、吸着パッド9pは、物品1の吸着時において、当該物品1の表面形状に追従して変形可能となるだけでなく、せん断力やモーメント力に対して、一定の強度を確保することが可能となる。なお、吸着パッド9pの個数や大きさ、配列は、例えば、物品反転送出システム2(物品反転送出装置5)の使用目的や使用環境に応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。
反転機構10(回動機構)は、把持本体8の第2搭載面8bに設けられ、当該把持本体を180°反転(回動)させること、換言すると、吸着機構9(吸着パッド9p)が搭載された第1搭載面8aの向きを180°反転(回動)させること、別の捉え方をすると、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tの向きを重力方向で下向きから上向きに反転(回動)させることが可能に構成されている。反転機構10は、1本の反転軸10aと、反転軸10aの両端部を回動不能に支持する軸受10bと、を備えている。
反転軸10aは、第2搭載面8bの中央部分に沿って当該第2搭載面8bと平行に対向させて配置され、その両端部は、第2搭載面8bを超えて延出されている。反転軸10aの両端部は、2つの軸受10bによって回動不能に支持されている。これらの軸受10bは、第2搭載面8bの両側に1つずつ固定され、互いに対向させて配置されている。図2では一例として、2つの軸受10bは、第3搭載面8cと第4搭載面8dに1つずつ固定され、反転軸10aは、その両端部が当該軸受10bを介して、把持本体8に回動不能に連結されている。
更に、反転機構10は、駆動機構7の駆動部7bに連結されている。図1〜図2では一例として、反転軸10aの一方の端部が駆動部7bに連結されている。ここで、駆動部7bの駆動力を反転軸10aの一方の端部から入力すると、これに伴って、反転軸10aが回動する。反転軸10aの回動運動に追従して、双方の軸受10bが同方向に同時に回動する。当該軸受10bの回動運動に追従して、把持本体8(第2搭載面8b)が同方向に回動する。把持本体8(第2搭載面8b)の回動運動に追従して、吸着機構9(吸着パッド9p)が搭載された第1搭載面8aが同方向に回動する。かくして、第1搭載面8aの向きが、吸着機構9(吸着パッド9p)と共に、180°反転される。この結果、反転機構10は、複数の吸着パッド9pで物品1を吸着させた状態で、吸着機構9を反転させることが可能となる。なお、かかる反転動作は、後述する制御装置6が駆動部7bを制御することで行われる。
送出機構11は、第1搭載面8aを上向きにした状態で、吸着機構9(吸着パッド9p)の吸着部9a(接触端9t)に吸着された物品1を支持しつつ(即ち、受け取って)、目的の場所に送り出すことが可能に構成されている。送出機構11は、複数の送出ローラ18を有し、送出ローラ18は、円柱状の送出部18aと、送出支持部18bと、を備えている。送出ローラ18(送出部18a)は、上記した反転軸10aに沿って平行な位置関係を有しつつ、吸着パッドの相互間に沿って第1搭載面8aに平行に対向させて延在されている。送出ローラ18(送出部18a)の両端は、送出支持部18bを介して、後述する弾性保持機構12に接続されている。かくして、送出ローラ18は、その送出部18aが第1搭載面8aから離間した非接触状態で回動可能に保持される。
この場合、送出ローラ18が弾性保持機構12に保持された状態において、送出部18aは、その一部が上記した吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tよりも第1搭載面8aに交差する方向に沿って突出した状態に維持されている。図1及び図4には、送出部18a(送出機構11)の一部が、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tよりも第1搭載面8aに直交する方向に沿って突出した状態が示されている。なお、送出部18aの突出量(突出距離)は、例えば、物品反転送出装置5の用途、使用目的や使用環境に応じて設定されるため、ここでは特に限定しない。また、図2では一例として、2本の送出ローラ18が示されているが、これに代えて、3本以上の送出ローラ18を適用してもよい。
弾性保持機構12は、上記した送出機構11、即ち、送出ローラ18(送出部18a)の両端(送出支持部18b)を弾性的に保持可能に構成され、スプリング12aと、中空のガイドカバー12bと、を有している。スプリング12aは、ガイドカバー12bに収容された状態で、伸縮自在に構成されている。この場合、スプリング12aは、第1搭載面8aを上向きにした状態で、送出機構11(送出ローラ18、送出部18a)の一部を吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tよりも突出させるように、送出ローラ18の両端(送出支持部18b)を弾性的に保持する。スプリング12aとしては、例えば、圧縮コイルばねを適用することができる。
かかる構成において、ガイドカバー12bは、送出ローラ18の両側に1つずつ設けられ、当該送出ローラ18(換言すると、上記した第1搭載面8a)に直交する方向に沿って配置されている。図2では一例として、2本の送出ローラ18が適用されているため、ガイドカバー12bは、第3搭載面8c及び第4搭載面8dに2つずつ設けられている。第3搭載面8c及び第4搭載面8dに2つずつ設けられたガイドカバー12bは、互いに平行に対向させて位置付けられている。
更に、スプリング12aは、その一端が送出ローラ18の両端(送出支持部18b)に接続され、その反対側がガイドカバー12bに収容されて支持されている。このため、スプリング12aの伸縮動作は、ガイドカバー12bによって一定方向(例えば、上記した第1搭載面8aに直交する方向)に規制される。この状態において、送出ローラ18の両端(送出支持部18b)は、スプリング12aの一端に回動可能に保持されている。このとき、スプリング2aは、第1搭載面8aに直交する方向に沿って伸縮しつつ送出ローラ18(送出部18a)を弾性的に保持する。かくして、送出ローラ18(送出部18a)は、常に一定の姿勢を維持しつつ回動可能に弾性的に保持される。
この場合、物品1を吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tに吸着して把持させる吸着力をF1、スプリング12a(弾性保持機構12)の反発力(弾性力とも言う)をF2、物品1の重量をF3とすると、下記の2つの関係(1)(2)を同時に満足させるように、スプリング12a(弾性保持機構12)の反発力(弾性力)F2を設定することが好ましい。
F1>F2>F3 (或いは、F1>F2)…(1)
物品1の反転後に、吸着パッド9pに吸着された物品1を受け取った状態で、送出機構11(送出ローラ18、送出部18a)の一部を吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tよりも突出させる …(2)
これにより、例えば図8に示すように、物品1を反転させた後、吸着パッド9pに吸着された物品1を受け取った状態において、スプリング12aの反発力(弾性力)F2によって、上記した2本の送出ローラ18の送出部18aの一部が、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tよりも突出して物品1に接触する。このとき、例えば吸着パッド9pの吸着力を解除或いは弱めることで、物品1は、送出ローラ18(送出部18a)によって、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tから離間した状態に保持される。かくして、物品1を、当該送出ローラ18(送出部18a)によって支持しつつ目的の場所に送り出す(リリースする)ことが可能となる。
制御装置6は、予め設定された物品反転送出プログラムに従って、ロボットアーム4、物品反転送出装置5(駆動機構7)の駆動部7b、真空システム13(圧力センサ14、真空発生器15、バルブ16、コンプレッサ17)などを制御する。ここで、駆動部7bとしては、例えば図3に示すように、市販のサーボモータ19及び回転角センサ20を適用することができる。また、ロボットアーム4の制御では、コントローラ21が、ロボットアーム4(7軸ロボット)の各軸A1〜A7の回動を制御し、取付部4pを任意の方向に移動・回動させる。これにより、当該取付部4pに取付けられた物品反転送出装置5の位置や姿勢などが制御される。
制御装置6は、例えば図1に示すように、ROM6a、RAM6b、CPU6cを内蔵し、ROM6aには、上記した物品反転送出プログラムが記憶されている。この場合、物品反転送出プロセスの実行に際し、ROM6aに記憶された物品反転送出プログラムが、RAM6bを作業領域として、CPU6cによって実行される。これにより、ロボットアーム4及び物品反転送出装置5の動作が制御され、その結果、表面1a(裏面1b)を有する物品1は、物品反転送出装置5によって、吸着されつつ表裏が反転された後、吸着が解除されて送り出される。
ここで、上記したサーボモータ19は、自身のエンコーダによって、リアルタイムに回動状態(例えば、回動量、回動方向など)を検出することができる。この場合、例えば、サーボモータ19、回転角センサ20、制御装置6が相互に協働することで、上記した反転軸10aを、より高精度に180°反転させることができる。これにより、吸着機構9(吸着パッド9p)が搭載された第1搭載面8aの向きを180°反転させること、換言すると、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tの向きを、重力方向で下向きから上向きに反転させることができる。
次に、本実施形態の物品反転送出システム2(物品反転送出装置5)の反転動作について、図1〜図10を参照して説明する。ここでは、表面1aに切手1pが貼られた物品1(郵便物)が、その裏面1bを表にして作業台3に載置されている状態において、当該物品1を表裏反転させるプロセスを想定する。
図1及び図4に示すように、制御装置6(コントローラ21)によってロボットアーム4を動作させて、取付部4pに取付けられた物品反転送出装置5の位置や姿勢などを制御する。これにより、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tの向きを重力方向で下向きにしつつ、当該接触端9tを物品1の裏面1bに接近させる。なお、接触端9tを物品1の裏面1bに接近させる微妙な制御は、上記した往復可動部7cによって、把持本体8を直線的に往復移動させることで行うことができる。
図5に示すように、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tを物品1の裏面1bに接触させる直前に、送出ローラ18の送出部18aの一部が物品1によって押圧されて後退し、当該接触端9tが物品1の裏面1bに隙間無く接触する。この状態において、コンプレッサ17から真空発生器15に圧縮空気を供給する。これにより、物品1を接触端9tに吸着させる。このとき、伸縮部9bは、負圧によって縮んだ状態に維持される。かくして、伸縮部9bが縮んだ分だけ、送出ローラ18の送出部18aの一部が物品1によって更に押圧されて後退する。
図6に示すように、制御装置6によって駆動部7b(サーボモータ19)を動作させ、反転軸10aを180°反転させる。これにより、吸着機構9(吸着パッド9p)を搭載させた第1搭載面8aの向きを180°反転させる。この結果、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tの向きが、重力方向で下向きから上向きに反転する。かくして、当該接触端9tに吸着された物品1が、その表裏を180°反転させた状態に維持される。
図7〜図8に示すように、コンプレッサ17から吸着パッド9pに圧縮空気を直接供給する。これにより、吸着パッド9pの真空を破壊する。このとき、伸縮部9bは、大気圧によって延びた状態(初期状態)に復元する。そして、伸縮部9bが延びた分だけ、物品1による送出ローラ18への押圧が解除される。かくして、送出部18aは、弾性保持機構12(スプリング12a)の弾性力によって、その一部が接触端9tよりも突出した状態に維持される。このとき、物品1は、吸着機構9(吸着パッド9p)の吸着部9a(接触端9t)から離間した状態に保持される。かくして、物品1は、送出ローラ18によって送出可能となる。なお、伸縮部9bの初期状態への復元と、送出ローラ18による物品1の保持とは、同時タイミングで完結する。
図9に示すように、制御装置6によって駆動部7b(サーボモータ19)を動作させ、反転軸10aを上記180°を超えて回動させる。即ち、吸着機構9(吸着パッド9p)を搭載させた第1搭載面8aを傾斜させる。このとき、送出ローラ18は、回動フリーな状態であるため、傾斜した物品1の重力落下に伴って回動する。この結果、物品1は、送出ローラ18によって、予め設定された部位(目的の場所)に向けて送り出される。ここでは、予め設定された部位(目的の場所)として、物品1が当初載置されていた作業台3を想定する。ここで、吸着パッド9pの吸着力を物品1に作用させるタイミングは、例えば、物品1が自重で滑り落ちることが可能な程度まで、吸着パッド9pの吸着力を物品1に作用させ続けることが好ましい。これにより、当該物品1を、反転させること無く安定して作業台3に送り出すことができる。
図10に示すように、送出ローラ18によって送り出された物品1は、切手1pが貼られた表面1aを表にして作業台3に載置される。この後、制御装置6(コントローラ21)によってロボットアーム4を動作させて、再び、取付部4pに取付けられた物品反転送出装置5の位置や姿勢などを制御する。そして、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tの向きを重力方向で下向きに位置付ける。これにより、再び、上記した反転送出プロセスを行うことが可能となる。
次に、上記した一実施形態の効果について説明する。
本実施形態によれば、物品1を吸着しつつ180°表裏反転させて送り出すことができる。これにより、例えば、物品1が表裏関係なくばら積みされている状態において、任意の物品1を吸着し、必要に応じて反転することが可能となり、その結果、物品1の表裏を揃える工程や当工程に係る機器やスペースを省略することができる。従って、物品1の表裏反転処理を効率的に行うことができる。
本実施形態によれば、物品1を吸着しつつ180°表裏反転させて送り出すための構成としては、吸着機構9、反転機構10、送出機構11、弾性保持機構12のみで足りる。これにより、最小限の部品点数で、最大の効果を得ることが可能な低コストの物品反転送出装置5を実現することができる。
本実施形態によれば、スプリング12aの弾性力(ばね力)は、物品1を吸着して把持させる吸着力F1、スプリング12a(弾性保持機構12)の反発力(弾性力)F2について、F1>F2なる関係を満足させるように設定する。これにより、例えば、図8に示すように、物品1を反転させた後、吸着パッド9pに吸着された物品1を受け取った状態において、スプリング12aの反発力(弾性力)F2によって、送出ローラ18の送出部18aの一部を、吸着パッド9p(吸着部9a)の接触端9tよりも第1搭載面8aに交差(直交)する方向に沿って突出させて物品1に接触させることができる。このとき、例えば吸着パッド9pの吸着力を解除或いは弱めることで、物品1は、接触端9tから離間した状態に保持される。かくして、物品1が、これらの送出ローラ18によって目的の場所に送出(リリース)可能となる。
次に、本発明の変形例に係る物品反転送出システム2(物品反転送出装置5)について説明する。
上記した一実施形態では、送出機構11として、2本の送出ローラ18を想定したが、これに代えて、第1変形例として、図11に示すように、幅広の送出ベルト22(無端ベルトとも言う)を、本変形例の送出部として、2本の送出ローラ18(送出部18a)の相互間に無端状に架け渡してもよい。この場合、各送出ローラ18は、弾性保持機構12(スプリング12a、ガイドカバー12b)によって、把持本体8の両側に対向させて保持させる。更に、送出ベルト(無端ベルト)22は、そのベルト表面の摩擦係数が大きいものを使用することが好ましい。
第1変形例によれば、吸着を解除して物品1を送り出す際に、当該物品1は、幅広の送出ベルト(無端ベルト)22でズレ無くしっかりと支持される。これにより、物品1を安定して送り出すことができ、その結果、物品1を、予め設定された部位(目的の場所)に向けて正確に送り出すことができる。なお、他の構成及び効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
上記した一実施形態では、送出機構11として、回転フリーな2本の送出ローラ18を想定したが、これに代えて、第2変形例として、図12に示すように、複数の送出レール23を、本変形例の送出部として、物品1の送出方向に沿って配置させてもよい。この場合、レール支持部材24を、弾性保持機構12(スプリング12a、ガイドカバー12b)によって、把持本体8の両側に対向させて保持させる。そして、各送出レール23を、レール支持部材24の相互間に架け渡す。
第2変形例によれば、吸着を解除して物品1を送り出す際に、当該物品1を、複数の送出レール23で支持することができる。これにより、物品1を安定して送り出すことができ、その結果、物品1を、予め設定された部位(目的の場所)に向けて正確に送り出すことができる。なお、他の構成及び効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
上記した一実施形態では、送出機構11として、円柱状の送出部18aを有する2本の送出ローラ18を想定したが、これに代えて、第3変形例として、図13に示すように、送出部18aの表面に沿って複数の溝25を構成してもよい。この場合、各溝25は、送出部18aの周方向に沿って等間隔に配列し、かつ、送出ローラ18の両端相互間に沿って互いに平行に配置する。別の捉え方をすると、送出部18aの表面を縦断面視で歯車形状にする。
第3変形例によれば、吸着パッド9pに吸着された物品1を受け取って送り出す際に、複数の溝25が滑り止めのグリップ機能を発揮する。これにより、物品1を安定して送り出すことができる。この結果、物品1を、予め設定された部位(目的の場所)に向けて正確に送り出すことができる。なお、他の構成及び効果は、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
更に、上記した一実施形態の他の変形例として、上記した送出ローラ18を、制御装置6によって回動制御可能な駆動ローラとしてもよい。この場合、吸着パッド9pに吸着された物品1を受け取って送り出す際に、図9に示すように第1搭載面8aを傾斜させる必要はない。例えば、図8に示すように第1搭載面8aの向きを180°反転させた後、吸着パッド9pに吸着された物品1を受け取った状態において、送出ローラ18を回動させる。これにより、送出ローラ18の回動運動に従って物品1を、予め設定された部位(目的の場所)に送り出すことができる。
更に、上記した一実施形態の他の変形例として、図11に示すように送出ベルト(無端ベルト)22を、2本の送出ローラ18(送出部18a)の相互間に無端状に架け渡した仕様において、送出ベルト(無端ベルト)22を回動させる駆動部を、送出機構11に有するような構成にしてもよい。この場合、駆動部として制御装置6を適用し、送出ローラ18を制御装置(駆動部)6によって回動制御可能な駆動ローラとする。これにより、例えば、図8に示すように第1搭載面8aの向きを180°反転させた後、吸着パッド9pに吸着された物品1を受け取った状態において、制御装置(駆動部)6によって、送出ローラ18を回動させることで、送出ベルト(無端ベルト)22を回動させることができ、その結果、送出ベルト(無端ベルト)22の走行運動に従って、物品1を目的の場所に送り出すことができる。
更に、上記した一実施形態の他の変形例として、上記した弾性保持機構12を、スプリング12aに代えて、例えば、圧縮空気を利用した空気バネ、油圧を利用した油圧バネ、電動力で伸縮する電動バネなどで構成してもよい。
更に、上記した一実施形態の他の変形例として、上記した送出機構11(送出ローラ18、送出ベルト(無端ベルト)22、送出レール23)の材質を、例えば、金属や樹脂、ゴムなど各種の材料で構成してもよい。
以上、本発明の一実施形態及びいくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。