JP6957152B2 - 情報処理装置、抽出方法およびプログラム - Google Patents

情報処理装置、抽出方法およびプログラム Download PDF

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Description

本明細書の開示は、情報処理装置、抽出方法およびプログラムに関する。
計算機で医用画像を解析し、医師に読影の助けとなる情報を提示する技術(Computer Aided Diagnosis:CAD)が知られている。
このCAD技術が支援対象とする読影作業の一つに、肺結節の鑑別診断がある。肺結節の鑑別診断では、胸部X線CT画像中に写された肺野領域内に結節が存在している場合に、その結節が良性か悪性かの判断を行う。この判断を行う際、判断材料の一つとして医師は胸膜引き込み(胸膜陥入)の有無を確認する。胸膜引き込みは結節が周囲の正常な胸膜を結節内部に引き込むことにより生じる所見であり、結節が悪性であることを示唆する。そのため、医師は結節の周囲を観察し、胸膜引き込みの有無を判断する。
医師が目視で行う胸膜引き込みの有無の判断を計算機で支援するためには、CADシステムは医用画像中に胸膜引き込みが存在する場合にその胸膜引き込みの領域を抽出する必要がある。特許文献1では、医用画像中に存在する胸膜引き込みの領域を抽出するための技術が開示されている。特許文献1に記載されている技術では、医用画像から結節を抽出後、結節表面から伸びる棒状の解剖学的構造物を抽出する。そして抽出された解剖学的構造物が胸膜に接続している場合、すなわち抽出された解剖学的構造物が結節と胸膜との双方に接触している場合に、該解剖学的構造物を胸膜引き込みとして抽出する。
特開2009−273644号公報
結節と胸膜との双方に接触している解剖学的構造物は胸膜引き込み以外にも存在するため、結節表面から伸びる棒状の解剖学的構造物は必ずしも所望の解剖学的構造物(例えば、胸膜引き込み)とは限らない。すなわち、特許文献1に記載の技術では所望の解剖学的構造物を高い精度で抽出することができないという課題がある。
本明細書の開示は、解剖学的構造物を高い精度で抽出することを目的の1つとする。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本開示の他の目的の1つとして位置付けることができる。
本明細書に開示された情報処理装置は、医用画像における第1領域および前記第1領域とは異なる第2領域を取得する取得手段と、前記第1領域と前記第2領域とを繋いでいる第3領域の抽出を、前記第1領域に基づいて定まる方向を含む範囲に制限する制限手段と、
前記制限手段により制限された前記範囲内において前記第3領域を抽出する抽出手段と、
を備える。
本明細書の開示によれば、所望の構造物を高い精度で抽出することが可能となる。
第1の実施形態に係る画像処理装置の機能構成の一例を示す図。 第1の実施形態に係る画像処理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。 図3(a)〜(d)は肺野構造物の抽出処理の一例を説明する模式図。 図3(a)〜(d)は画像の切り出し処理の一例を説明する模式図。 図5(a)〜(c)は抽出方向と抽出範囲を設定する処理の一例を説明する模式図。 図6(a)〜(b)は胸膜の存在を確認する処理の一例を説明する模式図。 第2の実施形態に係る画像処理装置の処理手順の一例を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る画像処理装置が設定する抽出範囲の一例を説明する模式図。 第1の実施形態に係る画像処理装置で実施する画像処理で用いる画像の座標系の一例を説明する模式図。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない構成要素、部材、処理の一部は省略して表示する場合がある。
以下の実施形態では、X線CT装置で撮影された3次元胸部CT画像を処理する例を説明する。しかしながら、本発明の適用範囲は3次元胸部CT画像に限定されるものではない。例えば体幹部全体を撮影したCT画像に対しても、本発明は適用可能である。また、結節、胸膜、胸膜引き込みが視認できる画像であれば、他の撮像装置で撮影された画像であっても本発明は適用可能である。また、本発明は2次元画像にも3次元画像にも適用可能である。さらに、本発明の実施形態は以下の実施形態に限定されるものではない。
<第1の実施形態>
本実施形態に係る画像処理装置は、操作者が指定した医用画像(元画像)を読み出し、その画像中に存在する胸膜と、肺結節(結節)が存在する場合はその結節を抽出する。その後、画像処理装置は、結節表面の各画素について、該結節が引き込んでいる胸膜の一部(胸膜引き込み)を抽出する。より具体的には、画像処理装置は、結節表面の各画素について、該画素を開始点として後述の方法で領域拡張処理を行い、該画素に連結している領域を抽出する。そして、画像処理装置は、もし抽出した領域が胸膜に接しているなら、その領域を胸膜引き込みとして取得する。
本実施形態における画像処理装置は、結節表面の各画素に一定の範囲(抽出範囲)を設定し、各々の抽出範囲の中で胸膜引き込みの抽出処理を実行することを特徴とする。抽出範囲は胸膜引き込みの解剖学的性質に基づいて設定される。具体的には、抽出範囲は次の2点に基づいて設定される。(1)結節が胸膜を引き込む時、結節は近傍に存在する胸膜を引き込む。(2)胸膜引き込みは2次元の膜構造を有する胸膜が比較的小さな(胸膜と比べると点状の塊である)結節に引き込まれることにより生じるため、胸膜引き込みを結節側から見た場合、胸膜引き込みは結節を頂点とする円錐状の領域内に存在する。
このような胸膜引き込みの解剖学的性質(医学的特徴)に基づき、本実施形態における画像処理装置では、抽出範囲を例えば結節表面上の画素を起点とし、所定の方法で定められる方向(抽出方向)で定義される範囲とする。
第1の実施形態に係る画像処理装置では、抽出方向は結節表面の各画素位置における結節表面の法線に基づいて設定される。これは結節が球もしくは楕円体のような形状をしており、結節表面上の各位置における結節表面の法線が向かう方向に近傍の胸膜が存在することが期待されるためである。
以下、図1を参照して本実施形態に係る画像処理装置の機能構成について説明する。画像処理装置100は、上述のように画像から胸膜の引き込み領域を抽出する。画像処理装置は情報処理装置の一例に相当する。画像処理装置100は、画像処理部110、画像取得部120および記憶部130を含む。
なお、画像処理装置100は不図示のCPUおよびROMを含んでいる。このCPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで画像処理部110および画像取得部120として機能する。
なお、画像処理装置100が備えるCPUおよびROMは1つであってもよいし複数であってもよい。すなわち、少なくとも1以上のプロセッサと少なくとも1つのメモリとが接続されており、少なくとも1以上のプロセッサが少なくとも1以上のメモリに記憶されたプログラムを実行した場合に画像処理装置100はで画像処理部110および画像取得部120として機能する。なお、処理装置はCPUに限定されるものではなく、GPU等であってもよい。
画像処理部110は、画像から胸膜の引き込み領域を抽出する。画像処理部110は、肺構造物抽出部111、画像サイズ変更部112、抽出処理制御部113、抽出範囲設定部114および胸膜引き込み抽出部115を含む。さらに、画像処理装置100への入力となるデータおよび画像処理装置100が出力するデータを格納するためのデータサーバ140が画像処理装置100と通信可能に接続されている。
画像取得部120は、データサーバ140から元画像(例えば3次元胸部CT画像)を取得する。取得された元画像は、記憶部130に格納される。
記憶部130は、画像を保存するメモリである。なお、記憶部130はデータを記憶することが可能であればよく記憶部130を構成する媒体の種類は問わない。
肺構造物抽出部111は、記憶部130から元画像を取得する。そして、肺構造物抽出部111は、元画像に対して画像処理手法の一つである画像セグメンテーション法(画像分割法、領域分割法、領域抽出法とも呼ばれる)を適用し、元画像中に存在する肺野、結節および胸膜の各領域を取得する。なお、肺野、結節および胸膜の各領域の取得方法は公知の種々の手法により実現可能であるため詳細な説明は省略する。すなわち、肺構造物抽出部111は、医用画像における第1領域および前記第1領域とは異なる第2領域を取得する取得手段の一例に相当する。ここで、第1領域は結節を示す領域であり、第2の領域は胸膜を示す領域である。
この処理により、肺構造物抽出部111は、元画像中に存在する肺野の領域を表す肺野マスク画像と、結節の領域を表す肺野マスク画像、胸膜の領域を表す胸膜マスク画像とを取得する。ここで、マスク画像とは2値画像のことであり、各画素の画素値はその画素が対象領域に属する画素か否かを示す。
例えば、肺野マスク画像では、例えば元画像を構成する画素のうち肺野を表す画素(肺野画素)が画素値1で、それ以外の画素(肺野外画素)が画素値0で表されている。同様に、結節マスク画像では、例えば結節を表す画素(結節画素)が画素値1で、それ以外の画素(結節外画素)が画素値0で表されている。また、胸膜マスク画像では、例えば胸膜を表す画素(胸膜画素)が画素値1で、それ以外の画素(胸膜外画素)が画素値0で表されている。なお、これらのマスク画像はいずれも元画像と同じ画像サイズである。取得された肺野マスク画像、結節マスク画像および胸膜マスク画像は、記憶部130に格納される。
なお、マスク画像は注目物体(肺野マスク画像における肺野など)を表す画素とその他の画素が識別可能であれば、画素値としてどのよう値を与えても構わない。例えば、マスク画像の画素値として1または2のいずれか一方を与えてもよい。また、マスク画像の画素値に3つ以上の値の中から1つを割り当ててもよい。これは、本明細書で利用されるすべてのマスク画像において同様である。
画像サイズ変更部112では、2種類の画像サイズ変更処理を行う。1つ目の画像サイズ変更処理は、画像の切り出しである。肺構造物抽出部111が処理を終えた後、画像サイズ変更部112は記憶部130から元画像、肺野マスク画像、結節マスク画像および胸膜マスク画像を取得する。そして、画像サイズ変更部112は、それらの画像の一部分を切り出し、切り出した部分を新たな画像として生成する。画像の切り出し範囲は、例えば結節マスク画像中の結節領域の重心位置をおおよそ中心とし、所定の方法で決定された大きさの矩形で囲まれる範囲とする。この切り出し処理により、元画像から局所画像が生成される。同様に、肺野マスク画像、結節マスク画像および胸膜マスク画像から、それぞれ局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像および局所胸膜マスク画像が生成される。こうして生成された4つの画像は記憶部130に格納される。
2つ目の画像サイズ変更処理は、胸膜引き込み抽出部115で生成されるマスク画像(局所胸膜引き込みマスク画像)の画像サイズを元画像と同じ画像サイズにする処理である。詳細は後述するが、胸膜引き込み抽出部115では局所画像中に存在する胸膜引き込みを領域抽出する。局所画像は元画像から切り出された画像であるため、胸膜引き込み抽出部115で取得される局所胸膜引き込みマスク画像は、元画像とは異なるサイズである。そこで、画像サイズ変更部112で局所胸膜引き込みマスク画像の画像サイズが元画像と同じ画像サイズになるように、局所胸膜引き込みマスク画像の画像サイズを変更する。この処理は、第1の画像サイズ変更処理と逆の手順の処理となることに注意されたい。
抽出処理制御部113は、記憶部130から局所画像、局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像および局所胸膜マスク画像を取得する。そして、抽出処理制御部113は抽出範囲設定部114と胸膜引き込み抽出部115とを制御して、局所画像中に存在する胸膜引き込み領域の抽出処理を実行する。
抽出範囲設定部114は、胸膜引き込みの医学的特徴を利用して胸膜引き込み抽出部115が胸膜引き込み領域を抽出する範囲を設定する。すなわち、抽出範囲設定部114は胸膜引き込みの医学的特徴に基づいて、医用画像から胸膜引き込み領域を抽出する範囲を医用画像に含まれる結節と胸膜との間の領域のうち一部の領域に制限する制限手段の一例に相当する。具体的には抽出範囲設定部114は、記憶部130から局所画像、局所結節マスク画像、局所胸膜マスク画像および結節表面座標リストを取得する。そして、結節表面座標リストに格納されている結節表面の画素について、胸膜引き込み領域の抽出処理を適用する画像範囲(抽出範囲)を設定する。抽出範囲の設定の詳細については、本実施形態に係る画像処理装置100の処理手順を説明する際にあわせて説明する。
胸膜引き込み抽出部115は、記憶部130から局所画像、局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像および局所胸膜マスク画像を取得する。そして、抽出範囲設定部114で設定された抽出範囲内で胸膜引き込み領域を抽出する。肺構造物抽出部111と同様、抽出された胸膜引き込みの領域はマスク画像(局所胸膜引き込みマスク画像)として記憶部130に格納される。
ここで図3を参照して、本実施形態に係る画像処理装置100によって処理される元画像の一例について説明する。図3(a)に元画像の一例を示す。図3(a)の画像300は、3次元胸部CT画像(元画像)を構成する複数の断面(冠状断面)画像中の1つの断面画像である。図面の制約から本図では元画像中の代表的な1つの断面画像を示しているが、元画像には多数の断面画像が含まれる。また本図では理解が容易なように元画像が冠状断面像から構成されている例を示したが、元画像はその他の断面像(例えば横断面像や矢状断面像)から構成されていてもよい。元画像は、少なくとも左右何れかの肺野の全体を示す画像の一例である。
元画像300には、患者の胴体301と胴体周辺の空気領域302、303、304、305が写っている。さらに胴体301の内部には、右肺306、左肺307が存在する。CT画像では右肺が画像の左側に、左肺が画像の右側に写っている。本実施形態に係る画像処理装置100では、人体内部に存在する解剖学的構造物のうち、右肺306、左肺307に関係する解剖学的構造物に着目しており、両肺の外側に存在する解剖学的構造物を区別する必要はない。そのため、図3(a)に示した通り、人体を右肺306、左肺307、胴体301(人体のうち右肺306、左肺307の外側の領域)の3つの領域から成るものと見なす。
右肺306、左肺307と胴体301とを隔てる閉曲線308と閉曲線309とが胸膜である。胸膜は薄いため、冠状断面像では線状の構造物として観察される。そして、患者の右肺302に存在する塊状の構造物が結節310である。さらに、結節310と胸膜308との双方に連結している線状の構造物311が胸膜引き込み領域311である。本実施形態に係る画像処理装置100は、この胸膜引き込み領域311を抽出する。
次に図2を参照して、本実施形態の画像処理装置100の処理手順の一例を説明する。
(ステップS110)
ステップS110において、画像取得部120はデータサーバ140から元画像を取得する。そして取得した元画像を記憶部130に格納する。
(ステップS120)
ステップS120において、肺構造物抽出部111は元画像を記憶部130から取得する。そして、元画像中に存在する肺野、結節および胸膜の領域をそれぞれ抽出する。
肺構造物抽出部111は、最初に元画像中に存在する肺野と結節の各領域を抽出する。肺野と結節の領域は、CT画像内でそれぞれ一定のCT値を有している。そのため、肺構造物抽出部111は、公知の画像セグメンテーション法(しきい値処理、領域拡張法、Level−set法、Graph−cut法等)を利用することで、これらの領域を抽出することができる。
なお、肺野と結節の領域抽出では、画像処理装置100に付属しているマウス等のポインティングデバイスを利用することも可能である。例えば、操作者にマウスで元画像中に存在する肺野や結節の位置を指定させる。操作者が肺野または結節の位置を指定すると、肺構造物抽出部111はそれらの位置座標を取得する。そして、肺構造物抽出部111は、取得した位置座標を画像セグメンテーション法のための情報(例えば領域拡張法の拡張開始点)として利用する。このような方法により、肺構造物抽出部111は、肺野と結節の各領域を高い精度で抽出できる。
肺野と結節の各領域を抽出した後、肺構造物抽出部111は胸膜領域を抽出する。胸膜は肺野を包む非常に薄い膜状構造物である。そのため、一般にはCT画像では観察することができない。そこで肺構造物抽出部111は、肺野領域の外側の領域のうち、肺野領域の辺縁(または外周)上の一定の厚みを持つ閉曲線領域を胸膜として抽出する。
最後に、肺構造物抽出部111は取得した肺野領域、結節領域および胸膜領域をそれぞれ、肺野マスク画像、結節マスク画像および胸膜マスク画像に格納する。そして、肺構造物抽出部111は、それらのマスク画像を記憶部130に格納する。
元画像300から取得された肺野マスク画像の一例を図3(b)に示す。図3(b)の肺野マスク画像320では、元画像300中の右肺306が右肺野領域321として抽出されている。ただし、右肺306に存在している結節310に対応する領域323は、右肺野領域321に含まれていない。これは、右肺野領域321と結節領域323とでは画素値が大きく異なっており、それゆえ上述の肺野抽出処理では結節領域323が抽出されないためである。左肺307の領域は、左肺野領域322として抽出されている。
次に、元画像300から取得された結節マスク画像の一例を図3(c)に示す。図3(c)の結節マスク画像330では、元画像300中の右肺306に存在する結節310が結節領域331として抽出されている。
最後に、元画像300から取得された胸膜マスク画像の一例を図3(d)に示す。図3(d)の胸膜マスク画像340では、元画像300中の右肺306の胸膜308が胸膜領域341として抽出されている。また、左肺307の胸膜309が胸膜領域342として抽出されている。
なお、図3(b)、(c)、(d)の肺野マスク画像320、結節マスク画像330および胸膜マスク画像340では、元画像中の胴体部301、胸膜308および胸膜309に対応する位置に破線が描かれている。これらの破線は本図の理解を助けるために描かれたものであり、実際のマスク画像中には存在しない。
(ステップS130)
ステップS130において、画像サイズ変更部112は記憶部130から元画像、肺野マスク画像、結節マスク画像、胸膜マスク画像を取得する。そして、取得した画像のそれぞれから画像中の所定の範囲(切り出し範囲)を切り出し、局所画像、局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像および局所胸膜マスク画像を生成する。なお元画像が3次元画像であるため、ここで述べる切り出し範囲とは直方体領域のことである。また、本ステップで生成される画像は3次元画像である。もし元画像が2次元画像であれば、切り出し範囲は長方形領域となり、生成される画像は2次元画像となる。なお、直方体領域と長方形領域にはそれぞれ立方体領域と正方形領域が含まれる。
本実施形態に係る画像処理装置100では、切り出し範囲の中心位置を結節領域の重心位置とし、切り出し範囲の大きさを結節領域の大きさに基づいて決定する。図4を参照して、画像を切り出す処理の詳細について説明する。図4(a)の画像400は、結節マスク画像である。この画像400は、図3(a)の結節マスク画像330と同一のものであるが、説明の便宜上、結節画像400として再掲している。
はじめに画像サイズ変更部112は結節の重心位置を決定する。今、結節マスク画像中の画素のうち、結節領域に属する画素を結節画素、その他の領域に属する画素を結節外画素と呼ぶ。図4(a)の画像400では、領域401に属するそれぞれの画素が結節画素である。そして、画像400中の領域401以外の領域402に属する画素が結節外画素である。次に、結節画素の集合をSnoduleとし、それぞれの結節画素の座標値をPnodule [i]=(xnodule [i],ynodule [i],znodule [i])とする。ただしi=1,...,#(Snodule)であり、#(Snodule)はSnoduleに格納されている座標値の数である。すると、重心Gnodule=(Gnodule ,Gnodule ,Gnodule )は、
Figure 0006957152
で計算される。画像サイズ変更部112は、計算された結節の重心位置を、元画像、肺野マスク画像、結節マスク画像、胸膜マスク画像における切り出し範囲の中心位置とする。
次に、画像サイズ変更部112は切り出し範囲の大きさを決定する。ここで切り出し範囲の大きさは、直方体領域の一辺の長さで定義される。直方体領域の一辺の長さは公知の方法で決定する。もっとも単純な方法は、所定の方法で事前に定めた値をそのまま使用することである。例えば、画像サイズ変更部112は、画像処理装置100の構築時に、結節と胸膜引き込みが写っている複数の胸部CT画像から結節と胸膜との間の平均距離を計算し、得られた値をデータサーバ140に格納しておく。ステップS130において画像サイズ変更部112は切り出し範囲の大きさを決定する際、データサーバ140から平均距離を取得し、この値に基づいて直方体領域の一辺の長さを設定する。今、平均距離の値がWvoiであった場合、画像サイズ変更部112は直方体領域のX軸、Y軸、Z軸方向の長さをそれぞれ2Wvoiとする。なお、結節と胸膜との間の距離の標準偏差σvoiを考慮して、直方体領域のX軸、Y軸、Z軸方向の長さをそれぞれ2(Wvoi+2σvoi)としてもよい。
また、切り出し範囲の大きさを決定する異なる方法としては、結節径に基づいて決定する方法がある。結節マスク画像中の結節領域より、画像サイズ変更部112は結節径を計測することが出来る。今、結節の半径をrとする。すると、画像サイズ変更部112は、切り出し範囲の大きさをrの2kvoi倍とする。ここで、kvoiの値は、結節径rの結節が引きこんでいる胸膜(すなわち胸膜引き込み)の平均的な長さから決定される。具体的には、kvoixrの値が結節径rの結節の胸膜引き込みの平均長の値よりも大きな値になるように、kvoiの値を決定する。
図4(a)の画像400では、結節領域401について設定された切り出し範囲403が図示されている。本図を見ると分かる通り、切り出し範囲403の中心位置は結節領域401の重心位置と一致している。また、切り出し範囲の大きさは結節の半径の8倍になるように設定されている。
切り出し範囲の中心位置Gnoduleと大きさが決定された後、画像サイズ変更部112は元画像、肺野マスク画像、結節マスク画像および胸膜マスク画像のそれぞれから、上記の方法で決定された切り出し範囲内の画像を切り出す。そして、切り出した画像をそれぞれ、局所画像、局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像、局所胸膜マスク画像とする。切り出された画像は、左右いずれかの肺野の一部を示す画像の一例である。
最後に、画像サイズ変更部112は生成した局所画像、局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像および局所胸膜マスク画像を記憶部130に格納する。
図4(b)に肺野マスク画像から取得された局所肺野マスク画像の一例を示す。図4(b)の局所肺野マスク画像410は、図3(b)の肺野マスク画像320から本ステップで設定した切り出し範囲で切り出された画像である。肺野マスク画像320の肺野領域321の一部が、肺野領域411として写っている。一方、結節が存在するために結節外の領域となっている領域323は、局所肺野マスク画像410においても結節外の領域412として存在している。
次に、図4(c)に結節マスク画像から取得された局所結節マスク画像の一例を示す。図4(c)の局所結節マスク画像420は、図3(c)の肺野マスク画像330から本ステップで設定した切り出し範囲で切り出された画像である。結節マスク画像330の結節領域331が、局所結節マスク画像420においても結節領域421として存在している。なお、局所結節マスク画像420には図3(a)の元画像300の胸膜308に対応する位置に破線が引かれている。この破線は本図の理解を助けるために描かれたものであり、実際のマスク画像中には存在しない。
最後に、図4(d)に胸膜マスク画像から取得された局所胸膜マスク画像の一例を示す。図4(d)の局所胸膜マスク画像430は、図3(d)の胸膜マスク画像340から本ステップで設定した切り出し範囲で切り出された画像である。胸膜マスク画像340の右肺の胸膜領域341が、局所結節マスク画像430においても胸膜領域431として存在している。なお、本ステップで設定した切り出し範囲は左肺を覆ってはいないため、局所結節マスク画像430には胸膜マスク画像340の胸膜領域342に対応する胸膜領域は写っていない。
(ステップS140)
ステップS140において、抽出処理制御部113は局所結節マスク画像中に存在する結節領域から結節表面上の画素を取得し、その画素の座標値を1次元のリスト(結節表面座標リストLsurface)に格納する。この1次元のリストは記憶部130に保存されていてもよいし、画像処理装置100が備える不図示のメモリに保存されていてもよい。詳細は後述するが、ステップS150からステップS200までの処理は、結節表面上のそれぞれの画素に対して反復的に実行される。この反復実行を効率的に行うために、本ステップでは抽出処理制御部113はマスク画像中に存在する結節領域から結節表面上の画素を取得し、その画素の座標値を結節表面座標リストLsurfaceに格納する。
結節表面座標リストLsurfaceの作成方法は、次の通りである。抽出処理制御部113は、局所結節マスク画像(図4(c)の画像420)を先頭の画素から順番に走査する。もし、走査の途中で結節画素(図4(c)の領域421に含まれる画素)が見つかったら、抽出処理制御部113はその結節画素に隣接する画素を確認する。この時、隣接する画素の中に結節外画素が存在すれば、抽出処理制御部113は該結節画素を結節表面上の画素と見なす。逆に近傍に結節外画素が存在しない場合は、抽出処理制御部113は該結節画素を無視し、走査を継続する。抽出処理制御部113は、以上の処理を局所結節マスク画像の最後の画素に到達するまで実施する。
以上の処理により取得された結節表面の画素の一例を図5(a)に示す。図5(a)の画像500は、図4(c)の局所結節マスク画像420を処理した結果である。画像500において、結節表面に描かれている四角形(画素501、画素502、画素503、画素504および画素505等)が結節表面の画素である。図5においては、図面の見やすさを考慮してすべての四角形に符号を付与していないが、合計で20個の四角形が結節表面の画素として抽出されている。
(ステップS150)
ステップS150において、抽出処理制御部113は記憶部130に格納されている結節表面座標リストLsurfaceを取得する。そして、抽出処理制御部113は、結節表面座標リストLsurfaceに少なくとも1つ以上の結節画素の座標値が格納されていることを確認する。もし結節画素の座標値が格納されている場合は、ステップS160の処理が実行される。逆に、結節表面座標リストLsurfaceに1つも結節画素の座標値が格納されていない場合は、ステップS210の処理が実行される。
(ステップS160)
ステップS160において、抽出範囲設定部114は記憶部130に格納されている結節表面座標リストLsurfaceを取得する。そして、抽出範囲設定部114は、結節表面座標リストLsurfaceから結節画素の座標値を1つ取得する。抽出範囲設定部114は取得した結節画素の座標値を記憶部130に格納し、ステップS170に進む。
以下の説明では、結節表面座標リストLsurfaceから取得した結節画素の座標値をPsurface [i]で表す。ただしi=1,...,#(Lsurface)であり、#(Lsurface)はLsurfaceに含まれる座標値の数である。
(ステップS170)
ステップS170において、抽出範囲設定部114は抽出方向を設定する。はじめに、抽出範囲設定部114は記憶部130に格納されている結節画素の座標値Psurface [i]を取得する。
次に、抽出範囲設定部114は抽出方向D[i]を設定する。本実施形態に係る画像処理装置100では、抽出方向D[i]を結節表面の法線の方向とする。ここで、結節表面の法線方向は結節の内部から外部に向かう方向とする。結節表面の法線方向は、さまざまな方法で計算することが出来る。最も単純な方法は、Psurface [i]に隣接している結節表面の画素から計算する方法である。すなわち、抽出範囲設定部114は、第1領域の輪郭に対する法線方向を計算する。
法線方向の計算方法を説明する前に、ここで、図9を参照して本実施形態に係る画像処理装置100の座標系の一例を説明する。本実施形態に係る画像処理装置100では、元画像が冠状断面像の集合から成る例を説明している。これを踏まえ、以下の説明では図9(a)に示すように、各冠状断面像(図9(a)中の破線の長方形)の左から右に向かってX軸を、上から下に向かってY軸を設定する。そして、各冠状断面像に直交する方向にZ軸を設定する。以上のように座標系を設定した時、元画像を横断面で再構成すると、横断面と座標系の関係は図9(b)のようになる。すなわち、各横断面像(図9(b)中の破線の長方形)の左から右に向かってX軸の正の方向が向き、上から下に向かってZ軸の正の方向が向く。そして、各横断面像を貫く方向にY軸の正の方向が向く。また、元画像を矢状面で再構成すると、矢状面像と座標系の関係は図9(c)のようになる。すなわち、各矢状面像(図9(c)中の破線の長方形)を原点側から見たとき各矢状画像の左から右に向かってZ軸の正の方向が向き、上から下に向かってY軸の正の方向が向く。そして、各矢状断面を貫く方向にX軸の正の方向が向く。
図5(b)を参照して、法線方向の計算方法を説明する。図5(b)は結節表面の画素511について抽出方向514を設定している様子を示している。図5(b)では、画像510の左から右に向かってX軸の正の方向、上から下に向かってY軸の正の方向とする。
今、Psurface [i]を通る冠状断面像を考える。そして、Psurface [i]に隣接する2つの結節表面の画素のうち、画像上で反時計回りの位置に存在する画素をPsurface [i][1]=(xsurface [i][1],ysurface [i][1])とする。また、画像上で時計回りの位置に存在する画素をPsurface [i][2]=(xsurface [i][2],ysurface [i][2])とする。図5(b)の画像510では、画素512が画素511に対して反時計回りの位置に存在する画素Psurface [i][1]である。また、画素513が時計回りの位置に存在する画素Psurface [i][2]である。次に、抽出範囲設定部114は、取得した2つの結節表面の画素から、Psurface [i]における冠状断面内での法線ncoronalを計算する。法線ncoronalは、
Figure 0006957152
で計算される。
抽出範囲設定部114は、同様の計算方法で、Psurface [i]を通る横断面像内での法線naxial=(naxial ,naxial )と、矢状断面内での法線nsagittal=(nsagittal ,nsagittal )を取得する。ここで、抽出範囲設定部114は、naxialまたはnsagittalの向きが結節の内部に向かう方向になった場合は、法線の成分の符号を反転することで法線の向きを反転させる。
すべての断面で法線を計算した後、抽出範囲設定部114は抽出方向D[i]を計算する。抽出方向D[i]=(D,D,D)は、
Figure 0006957152
で計算される。
以上、結節表面の画素の法線に基づいて抽出方向D[i]を設定する方法について述べたが、抽出方向D[i]の設定方法は上述の方法に限定されるものではない。他の方法として、Marching−cubes法を用いた方法がある。例えば、抽出範囲設定部114は、最初に、Marching−cubes法を用いて、結節領域の表面を三角形パッチの集合で近似する。次に、抽出範囲設定部114は、生成された三角形パッチの集合からPsurface [i]を覆う三角形パッチを取得し、さらにその三角形パッチに直交する方向を計算する。こうして得られた方向を、Psurface [i]における抽出方向D[i]とする。
さらに抽出方向D[i]を設定するための別の方法として、局所画像の濃度勾配を用いてもよい。今、局所画像をIvoiで表す。すると、抽出方向D[i]はPsurface [i]におけるIvoiのx,y,zの偏微分値、
Figure 0006957152
で与えられる。
また、抽出方向D[i]を設定するための別の方法として、局所結節マスク画像中の結節領域の重心(第1領域の重心)を利用してもよい。今、局所結節マスク画像における結節領域の重心位置をGnodule’=(Gnodule’ ,Gnodule’ ,Gnodule’ )とする。すると、D[i]は、
Figure 0006957152
で計算される。すなわち、重心と第1領域の輪郭上の所定の点とを結ぶ方向を抽出方向としてもよい。
さらに結節表面の法線に基づいて決定した抽出方向(数式3または数式4)と、結節領域の重心位置に基づいて決定した抽出方向(数式5)の少なくとも一方に対して重みをつけて足し合わせて抽出方向D[i]を設定してもよい。なお、これらの抽出方向に重みをつけることは必須ではなく重みをつけないこととしてもよい。すなわち、第1領域の輪郭上の所定の点における法線方向および第1領域の重心と第1領域の輪郭上の所定の点とを結ぶ方向を抽出方向としてもよい。また、前記法線方向および第1領域の重心と第1領域の輪郭上の所定の点とを結ぶ方向の和または前記法線方向および第1領域の重心と第1領域の輪郭上の所定の点とを結ぶ方向の少なくとも一方に重み付けを行った後の前記法線方向および第1領域の重心と第1領域の輪郭上の所定の点とを結ぶ方向の和を抽出方向としてもよい。
本実施形態では、ステップS130で結節マスク画像中の結節領域の重心位置を中心とする範囲で局所結節マスク画像の切り出しを行っているため、局所結節マスク画像の中心に結節領域の重心位置が位置しているはずである。今、局所結節マスク画像の画像サイズをWMnodulexHMnodulexDMnoduleとする。すると、Gnodule’はGnodule’=(Gnodule’ ,Gnodule’ ,Gnodule’ )=(WMnodule/2,HMnodule/2,DMnodule/2)で計算される。一方、もし局所結節マスク画像の中心に結節領域が位置していない場合は、ステップS130で実施した処理と同じ処理を局所結節マスク画像に適用することで、抽出範囲設定部114は局所結節マスク画像における結節領域の重心位置Gnodule’を取得することが可能である。
抽出方向D[i]の決定に結節領域の重心位置を用いる利点は、結節表面の法線の局所的な変化に対して抽出方向D[i]を安定的に決定するためである。結節は全体としては球形もしくは楕円体の形状であるが、結節表面には小さな凹凸が多数存在する。そのため、結節表面から得られる情報のみに基づいて抽出方向D[i]を決定すると、結節表面の小さな凹凸の影響で抽出方向D[i]が近傍の胸膜の方向に向かないことがある。
しかしながら、結節領域の重心位置は結節表面の小さな凹凸の影響を受けず、比較的安定して取得することが出来る。そのため、数式5のように、結節領域の重心位置を利用して抽出方向D[i]を決定した場合、結節表面の小さな凹凸の影響を除外することができる。その結果として、抽出方向D[i]が近傍の胸膜の方向を向くことが期待される。
また、抽出範囲設定部114は、単純に結節表面の画素から胸膜領域431を構成する画素までの距離が最小となる方向を抽出方向D[i]としてもよい。すなわち、第1領域の輪郭上の所定の点から第2領域までの距離に基づいて抽出方向D[i]が定められることとしてもよい。具体的には、第1領域の輪郭上の所定の点から第2領域までの距離が最小となる方向を抽出方向D[i]としてもよい。
以上の処理で得た抽出方向D[i]は、抽出範囲設定部114により記憶部130に格納される。
(ステップS180)
ステップS180において、抽出範囲設定部114は結節表面の画素Psurface [i]に対して抽出範囲を設定する。図5(c)を参照して、抽出範囲の設定について説明する。図5(c)では、画素521を現在注目している結節表面の画素Psurface [i]とする。すると、本ステップでは、抽出範囲設定部114は画素521に対して抽出範囲を設定することになる。また、矢印522がステップS170で設定された抽出方向D[i]である。
本実施形態に係る画像処理装置100では、例えば、抽出範囲を「結節表面の画素Psurface [i]を基点とし、抽出方向D[i]から所定の角度(抽出角度)の範囲内の領域」とする。すなわち、抽出範囲設定部114は、第3領域を抽出するための範囲を、第1領域に基づいて定まる方向を基準として所定の幅を有する範囲に制限する。
より具体的には、抽出範囲は、結節表面の画素を基点とし、抽出方向に進むに従い徐々に開がりを持つ領域として定義される。すなわち、抽出範囲設定部114は、前記所定の幅を第2領域に近づくほど広くする。以下では、抽出範囲設定部114は抽出範囲として円錐の領域を設定する場合を説明する。
最初に、抽出範囲設定部114はデータサーバ140から抽出角度の値θを取得する。抽出角度の詳細については後述する。
次に、抽出範囲設定部114は抽出範囲を定義する境界を配置する。境界は結節領域の外側で、かつ肺野領域内に配置される。さらに、境界は抽出方向とのなす角度が抽出角度θとなるように配置される。すなわち、抽出範囲設定部114は、第1領域と第2領域とを繋いでいる第3領域の抽出を、第1領域に基づいて定まる方向を含む範囲に制限する制限手段の一例に相当する。ここで、第3領域は胸膜の引き込みを示す領域である。図5(c)を参照して抽出範囲の設定方法について説明すると、線分523と線分524が抽出範囲を定義する境界である。線分523と線分524は現在の注目画素521を基点として、結節領域の外側で、かつ肺野領域内に設定される。そして、線分523と線分524は抽出方向522とのなす角度が抽出角度θになるように配置される。なお、図5(c)中の角度525と角度526が抽出角度θを表している。
抽出範囲を定義する境界を設定した後、抽出範囲設定部114は抽出範囲を設定する。抽出範囲は、抽出範囲を定義する境界と胸膜領域で囲まれた領域とする。図5(c)では、画素521を基点とし、線分523と線分524、および局所胸膜マスク画像中の胸膜領域527で囲まれた範囲528が抽出範囲となる。取得した抽出範囲は、記憶部130に格納される。
図面の制約から図5(c)の抽出範囲528は扇形で示されているが、現在処理している画像はすべて3次元画像であるため、抽出範囲528は画素521を頂点とする円錐となることに注意されたい。もし処理している画像が2次元画像の場合は、抽出範囲527は画素521を頂点とする扇形となる。なお、図5(c)では抽出範囲を抽出方向D[i]に対して対称な形状として描いたが、必ずしも対称な形状である必要はない。例えば、結節の肺野領域内での位置や抽出方向D[i]の向きに基づいて、非対称な形状としてもよい。抽出範囲を非対称な形状にする場合は、角度525と角度526を異なる値とする。
ここで、抽出角度について説明する。第1の実施形態に係る画像処理装置100では、すべての結節表面の画素について共通の抽出角度を使用する。抽出角度はデータサーバ140に格納されている。そこで、ステップS180において、抽出範囲設定部115は最初にデータサーバ140から抽出角度を取得する。その後、抽出範囲設定部115は上述の通り抽出範囲を設定する。
次に、抽出角度の決定方法について説明する。抽出角度の決定には、例えば、事前に収集した複数の学習用画像を利用する。ここで、学習用画像とは胸膜引き込みが含まれる画像である。画像処理装置100は、それぞれの学習用画像に存在する胸膜引き込みについて、結節に接している点(結節端)と胸膜に接している点(胸膜端)を取得する。なお、結節端および胸膜端はユーザにより決定されることとしてもよい。そして、ステップS170で説明した方法で画像処理装置100は結節端における抽出方向D[i]を求める。抽出方向D[i]を求めた後、画像処理装置100は結節端から胸膜端に向かう方向と抽出方向D[i]とのなす角度を求める。ここまでの処理により、学習用画像のすべての胸膜引き込みについて、結節端から見た胸膜端の位置が抽出方向D[i]からの角度で表現される。次に、画像処理装置100は得られた角度に基づいて抽出角度の値を決定する。今、得られた角度の最小値と最大値をθmin,θmaxとすると、画像処理装置100は最初に範囲[θmin,θmax]の中で値を一つ選択する。そして、第1の実施形態に係る画像処理装置100が実施する処理ステップS110からS200を学習用画像中のすべての結節に適用し、胸膜引き込み領域を実際に抽出する。このとき、先ほど選択した値を仮の抽出角度として利用して胸膜引き込み領域の抽出を行う。抽出の後、画像処理装置100は仮の抽出角度での胸膜引き込み領域の抽出精度を計算する。この処理を範囲[θmin,θmax]の様々な値で実行し、画像処理装置100はそれぞれの値について胸膜引き込み領域の抽出精度を求める。なお、抽出精度はユーザが判定することとしてもよい。そして、画像処理装置100は最も抽出精度が高い抽出角度をステップS180で使用する抽出角度とする。なお、ステップS180で使用する抽出角度はユーザが選択することとしてもよい。上述の処理で得られた抽出角度は、データサーバ140に保存される。最後に、ここで述べた抽出角度の決定処理は、例えば、第1の実施形態に係る画像処理装置100を構築する段階で1度だけ実施すればよく、元画像を処理する段階では実施する必要がないことに注意されたい。
ここまで、抽出範囲が円錐(元画像が2次元画像の場合は扇形)である場合を説明したが、抽出範囲の形状は円錐(扇形)には限らない。例えば、抽出範囲の形状を三角錐や四角錐などの角錐で表現してもよい。この場合、結節表面の画素Psurface [i]を頭頂点とし、抽出方向D[i]を角錐の底面への垂線とする。そして、抽出角度で底面の広がり(抽出範囲の広がり)を表す。また、抽出範囲を抽出方向D[i]をひとつの軸とする直方体(元画像が2次元画像の場合は長方形)で表現してもよい。この場合も、抽出角度で底面の広がりを表現することが可能である。
さらに、抽出範囲の形状を、結節表面の画素Psurface [i]を基点とし、抽出方向D[i]の方向に開いた二次曲面(楕円放物面や双曲面)で表現してもよい。この場合、抽出範囲は抽出角度ではなく二次曲面を数式表現した時の係数で表される。すなわち、抽出範囲はax+by+cz+2dxy+2eyz+2fzx+2gx+2hy+2iz+j=0の係数(a,b,c,d,e,f,g,h,i,j)で表現される。同様に、元画像が2次元画像の場合は、二次曲線(放物線や双曲線)で囲まれた領域でもよい。この場合は、抽出範囲をax+by+2cxy+2dx+2ey+f=0の係数(a,b,c,d,e,f)で表現する。
(ステップS190)
ステップS190において、抽出範囲設定部114は抽出範囲内に胸膜が存在することを確認する。本ステップでは、抽出範囲設定部114は最初に胸膜が存在していることを確認する範囲を設定する。以下、この範囲のことを胸膜存在確認範囲と呼ぶ。次に、胸膜存在確認範囲の中にステップS120で取得された胸膜領域が存在することを確認する。もし胸膜存在確認範囲の中に胸膜領域が存在している場合、画像処理装置100はステップS200を実行する。逆に、胸膜存在確認範囲の中に胸膜領域が存在していない場合、画像処理装置100はステップS150を実行する。すなわち、第3領域を抽出するための範囲に第2領域が存在しない場合には、抽出手段は第3領域の抽出を行わない。
具体的な処理手順の一例について説明する。今、ステップS180において、図5(c)の画像520の画素521について抽出範囲528が設定されている。本ステップでは、抽出範囲設定部114は最初に抽出範囲528を抽出方向522に沿って画像の端まで延長させる。より具体的には、抽出範囲528を定義している境界523と境界524を画像の端まで延長させる。図6(a)の画像600に、境界523と境界524を延長させた時の様子を示す。画像600中の画素601、抽出方向602、抽出範囲の境界603、同604および抽出範囲605はそれぞれ、画像520の画素521、抽出方向522、境界523、境界524および抽出範囲528と同一である。また、太線606、太線607および太線608はステップS120で取得された胸膜領域である。本ステップでは、抽出範囲設定部114は境界523(図6(a)では境界603)と境界524(境界604)をそれぞれ延長させる。延長された境界が、境界609と境界610である。このように境界を延長させることにより、境界609と境界610に囲まれた領域611が新たに生じる。こうして得られた領域611と抽出範囲605を胸膜存在確認範囲とする。
次に、抽出範囲設定部114は胸膜存在確認範囲(領域605と領域611)に胸膜領域606、胸膜領域607および胸膜領域608のうち少なくともいずれかの領域が存在するか否かを確認する。本図では、胸膜領域607が胸膜存在確認範囲の中に存在していることが分かる。そのため、抽出範囲設定部114は胸膜存在確認範囲に胸膜領域が存在していると判定する。そして、本ステップの終了後、画像処理装置100はステップS200を実行する。
本ステップでの処理の効果を理解するために、図6(b)では胸膜存在確認範囲の中に胸膜領域が存在しない例を示している。図6(b)の画像620では、画素621について胸膜存在確認範囲622が設定されている。今、胸膜存在確認範囲622には胸膜領域623がまったく存在しない。このような場合は、抽出範囲設定部114は胸膜存在確認範囲に胸膜領域が存在していないと判定するため、本ステップの終了後、画像処理装置100はステップS150を実行する。
(ステップS200)
ステップS200において、胸膜引き込み抽出部115は局所画像中に存在する胸膜引き込み領域を抽出する。局所画像(CT画像)では、胸膜引き込みは一定画素値を有する線状構造物、もしくは面状構造物として描画される。そこで、胸膜引き込み抽出部115は、例えば領域拡張法を用いて胸膜引き込み領域を抽出する。なお、胸膜引き込み抽出部115は領域拡張法以外の公知の種々の手法を用いることとしてもよい。
領域拡張法における拡張開始点は、結節表面の画素Psurface [i]とする。拡張条件は以下の3つの条件をすべて満たすことである。(条件1)拡張候補画素が局所肺野マスク画像中の肺野領域内に存在する。(条件2)拡張候補画素の画素値が所定の範囲内にある。(条件3)拡張候補画素がステップS180で設定された抽出範囲内に存在する。とくに条件3の拡張条件が、本実施形態における胸膜引き込み領域の抽出処理で特徴的な条件となる。条件3は、胸膜引き込み抽出部115がステップS180で設定された抽出範囲内で胸膜引き込み領域を抽出することを示すものである。すなわち、胸膜引き込み抽出部115は、制限手段により制限された範囲内において第3領域を抽出する抽出手段の一例に相当する。なお、拡張の停止条件は、「拡張候補画素が存在しない」である。
領域拡張処理が終了した後、胸膜引き込み抽出部115は抽出された領域が局所胸膜画像中の胸膜領域に到達していることを確認する。もし抽出された領域が胸膜領域に到達している場合は、胸膜引き込み抽出部115は、その領域を胸膜引き込み候補領域Mindentation [i]とし、さらに以下の処理を実行する。逆に抽出された領域が胸膜領域に到達していない場合は、胸膜引き込み領域は存在しなかったと見なし、以下の処理を実行することなくステップS150に戻る。なお、胸膜引き込み抽出部115は、拡張条件の条件3を用いずに領域拡張法を実行した後に、領域拡張法により抽出された領域のうち抽出範囲内に収まる領域に対して局所胸膜画像中の胸膜領域に到達していることを確認することとしてもよい。
胸膜引き込み候補領域Mindentation [i]を取得した後、胸膜引き込み抽出部115はその領域が本当に胸膜引き込みであることを確認する。胸膜引き込みは、直線的、もしくは平面的な形状を有している。このような特徴を考慮して、胸膜引き込み抽出部115は例えば2つの判定条件を評価して、胸膜引き込み候補領域Mindentation [i]が本当に胸膜引き込みであることを確認する。
第1の判定条件は、「胸膜引き込み候補領域Mindentation [i]の長さが所定の長さよりも短い」である。今、Mindentation [i]に属する画素のうち、胸膜領域に接している画素をPindentation [i][j]とする。ただし、j=1,2,...,Nindentation [i]であり、Nindentation [i]は胸膜領域に接している画素の数である。また、マスク領域M中に存在する2点a,bについて、a,b間のマスク領域内での最短距離を返す関数をdist(a,b;M)とする。すると、Mindentation [i]の長さDist[i]は、
Figure 0006957152
で計算される。胸膜引き込み抽出部115は、数式6で計算されるDist[i]が所定の長さTindentationよりも小さな値である場合に、第1の判定条件は満たされていると見なす。
indentationの値は、例えば事前に収集した複数の学習用画像から決定される。すなわち、それぞれの学習用画像に存在する胸膜引き込み領域を本実施形態に係る画像処理装置100で抽出を行ったときに、もっとも高い精度で胸膜引き込み領域を抽出するDist[i]へのしきい値をTindentationとして採用する。なお、もっとも高い精度で胸膜引き込み領域を抽出するDist[i]へのしきい値は画像処理装置100が決定してもよいし、ユーザが決定することとしてもよい。なお、当該しきい値は、例えば、データサーバ140に保存される。
第2の判定条件は、「胸膜引き込み候補領域Mindentation [i]に属するそれぞれの画素で、領域の走行方向の変化率が所定の値より小さい」である。今、Mindentation [i]に属する画素のうち、Psurface [i]を始点としPindentation [i][j]を終点とする画素をPindentation [i][j][k]とする。ここで、k=1,2,...,dist(Psurface [i],Pindentation [i][j];Mindentation [i])である。次に、胸膜引き込み抽出部115はPindentation [i][j][k]からd画素(d>0)だけ離れた2つの画素を参照して、Pindentation [i][j][k]におけるMindentation [i]の走行方向v [i][j][k]とv [i][j][k]を求める。ここで、v [i][j][k]はv [i][j]「k」=Pindentation [i][j][k+d]−Pindentation [i][j][k]で計算される。そして、v [i][j][k]はv [i][j]「k」=Pindentation [i][j][k]−Pindentation [i][j][k−d]で計算される。v [i][j][k]とv [i][j][k]より、変化率は
Figure 0006957152
で計算される。胸膜引き込み抽出部115は、数式7で計算されるθ[i]が所定の値Tdirectionよりも小さな値である場合に、第2の判定条件は満たされていると見なす。なお、Tdirectionの値は、例えば、Tindentationと同様、事前に収集した複数の学習用画像から決定する。
胸膜引き込み抽出部115は、胸膜引き込み候補領域Mindentation [i]について、以上で説明した2つの判定条件を評価する。そして、2つの判定条件が満たされている場合には、胸膜引き込み抽出部115は、胸膜引き込み候補領域Mindentation [i]を胸膜引き込みであると見なす。なお、本実施形態においては胸膜引き込みであるか否かを判定する判定条件として上記の2つの判定条件を用いたが何れか一方のみを用いることとしてもよいし、他の判定条件を用いることとしてもよい。抽出精度の要求に応じては、上記の判定条件を用いないこととしてもよい。
最後に、胸膜引き込み抽出部115は取得された胸膜引き込み領域Mindentation [i]をマスク画像(局所胸膜引き込みマスク画像)に格納する。生成された局所胸膜引き込みマスク画像は記憶部130に格納される。
(ステップS210)
ステップS150〜200の処理が結節表面の据えての画素に対して繰返し実行された後に、ステップS210において、画像サイズ変更部112は記憶部130より局所胸膜引き込みマスク画像を取得する。そして、画像サイズ変更部112は局所胸膜引き込みマスク画像を元画像と同じ画像サイズに変更する。なお、ステップS130の処理を実行しなかった場合は、本ステップの処理を行う必要はない。
ステップS130において、元画像中の2点(x,y,z),(x,y,z)を対角線とする直方体の範囲を切り出して局所画像を生成したとする。ここでx,x,y,y,z,zは1<=x<x<=W,1<=y<y<=H,1<=z<z<=Dを満たす正の整数である。また、W,H,Dはそれぞれ元画像のX,Y,Z方向の画素数である。
本ステップにおいて、画像サイズ変更部112は最初に元画像と同じ画像サイズWxHxDのマスク画像を作成する。このマスク画像の画素値は、すべて胸膜引き込み外画素とする。次に、画像サイズ変更部112はこのマスク画像の(x,y,z),(x,y,z)を対角線とする直方体の範囲に、局所胸膜引き込みマスク画像の画素値をコピーする。最後に、画像サイズ変更部112は得られたマスク画像(胸膜引き込みマスク画像)を記憶部130に格納する。
以上の手順に従い、第1の実施形態に係る画像処理装置100は胸膜引き込みの抽出処理を行う。
第1の実施形態にかかる画像処理装置100では、胸膜引き込みの特徴に基づいて抽出範囲を限定しているため、画像から胸膜引き込み領域を従来に比べて高い精度で抽出することが可能となる。より具体的には、第1の実施形態に係る画像処理装置100では、結節表面の各画素について抽出方向を設定し、さらに抽出方向に基づいて抽出範囲を設定した。そして、抽出範囲内で胸膜引き込み領域の抽出を行った。抽出方向は結節表面の法線と結節領域の重心を用いて設定される。このように抽出方向を設定すると、抽出方向は結節表面の各画素で近傍の胸膜の方向を向くことが期待される。また、抽出範囲は、結節表面の画素を基点とし、抽出方向に進むに従い徐々に開がりを持つ領域として定義される。このように設定された抽出方向および抽出範囲は、結節に引き込まれた胸膜(胸膜引き込み)が存在する可能性が高い領域を適切に覆う。さらに本実施形態に係る画像処理装置100では抽出領域に基づいて胸膜存在確認範囲を設定し、この胸膜存在確認範囲の中に胸膜が存在している場合のみ、胸膜引き込み領域の抽出を行う。以上の処理により、本実施形態に係る画像処理装置100は胸膜引き込みと結節の周りに存在するその他の解剖学的構造物を区別することが可能となる。その結果、画像から胸膜引き込み領域を高い精度で抽出することが可能となる。
<変形例>
上述の画像処理装置100はステップS130において元画像の一部分を切り出し、切り出された画像(局所画像)から胸膜引き込み領域を抽出していた。そして、画像処理装置100は、抽出された胸膜引き込み領域をマスク画像(局所胸膜引き込みマスク画像)の形式で保存し、そのマスク画像を元画像のサイズに戻すことにより、元画像中の胸膜引き込み領域を抽出していた。
ステップS130の処理は、記憶部130の使用量や、画像処理に費やす計算時間の削減を目的として行うが、第1の実施形態に係る画像処理装置の効果の観点からは必須の処理ではない。そのため、計算機資源の削減の必要性が低い場合は、画像処理装置100はステップS130の処理を実行しなくてもよい。すなわち、画像処理装置100に画像サイズ変更部112は必須の構成ではなく、本変形例における画像処理装置は画像サイズ変更部112を有さない。なお、本変形例における画像処理装置は、画像サイズ変更部112を有さないこと以外は画像処理装置100と同様の構成である。
ステップS130の処理を実行しない場合、本変形例における画像処理装置の抽出処理制御部113、抽出範囲設定部114および胸膜引き込み抽出部115は、ステップS140、S150、S160、S170、S180、S190、S200において元画像、肺野マスク画像、結節マスク画像、胸膜マスク画像を処理する。そして、本変形例における画像処理装置100はステップS210の処理を実行しない。
以上の方法によれば、本変形例における画像処理装置は、肺野領域全体が写っている画像(元画像)から画像の切り出しを行うことなく、胸膜引き込みと結節の周りに存在するその他の解剖学的構造物を区別することが可能となる。また、本変形例における画像処理装置は、もともと肺野領域の一部と結節領域しか写っていない画像においても胸膜引き込みと結節の周りに存在するその他の解剖学的構造物を区別することが可能となる。その結果、これらの画像において胸膜引き込み領域を高い精度で抽出することが可能となる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る画像処理装置でも、抽出範囲を設定し、その範囲内で胸膜引き込みの抽出を行う。ただし、第1の実施形態に係る画像処理装置100とは2つの相違点がある。1つ目の相違点は、抽出範囲の設定方法である。第2の実施形態に係る画像処理装置では、抽出範囲は結節表面の画素と抽出方向に加え、結節表面の画素からの距離(抽出距離)によって抽出範囲が決定される。この抽出距離は結節領域の性状に基づいて決定される。2つ目の相違点は、抽出範囲をそのまま胸膜存在確認範囲として利用する点である。
以下、第2の実施形態に係る画像処理装置について説明する。本実施形態の画像処理装置の機能構成は、第1の実施形態に係る画像処理装置100に準じる。次に図7を参照して、本実施形態の画像処理装置の処理手順の一例を説明する。本実施形態に係る画像処理装置は、第1の実施形態に係る画像処理装置100で実行されるステップS110、S120の処理を実施する。その後、ステップS130(元画像の画像サイズの変更)の処理を実行するかわりに、以下で説明するステップS1030の処理を実行する。
(ステップS1030)
ステップS1030において、抽出範囲設定部114は抽出距離を設定する。抽出距離は、結節の性状に基づいて設定される。
結節の性状のいくつかが、胸膜引き込みが存在する領域と関係している。その1つが結節の半径である。一般に、小さな結節は結節の近くに存在する正常胸膜を引き込む。逆に、大きな結節は近くの正常胸膜に加えて、遠くの正常胸膜も引き込む。このような性質を考慮して、ステップS1030の一例では結節の半径に基づいて抽出距離を設定する。なお、結節の大きさを示す指標であれば、半径以外の直径等の他の指標を用いることとしてもよい。すなわち、抽出範囲設定部114は、第3領域を抽出するための範囲の大きさを、第1領域の特徴(第1領域の半径または直径で規定される大きさ)に基づいて定める。
はじめに、抽出範囲設定部114は結節マスク画像中の結節領域から結節の平均半径を計算する。ここで結節の平均半径は公知の単純な画像処理で計算可能であるため、説明を省略する。
結節の平均半径の計算が終わった後、抽出範囲設定部114はデータサーバ140から抽出距離と結節の半径の組の集合(Rnodule [k],Rindentation [k])を取得する。ここで、k=1,2,...,Nsetであり、Nsetはデータサーバ140に格納されている抽出距離と結節の半径の組の数を表す。(Rnodule [k],Rindentation [k])の値の間には、半径Rnoduleの結節が胸膜引き込みを有する時、その胸膜引き込みの典型的な長さがRindentationである、という関係がある。具体的には、Rnoduleが大きいほどRindentationが大きくなるという関係がある。すなわち、抽出範囲設定部114は、第1領域の大きさが大きいほど第3領域を抽出するための範囲の大きさを大きくする。
このような関係を持つ抽出距離と結節の半径の組を複数個、事前にデータベース140に格納しておく。そして、ステップS1030で抽出範囲設定部114はデータベース140から(Rnodule [k],Rindentation [k])を取得する。
次に、抽出範囲設定部114は、それぞれのRnodule [k]と結節の平均半径を比較することにより、結節の平均半径にもっとも近い結節の半径Rnodule [k’]を探す。ここで、1<=k’<=Nsetである。そして、抽出範囲設定部114は、Rnodule [k’]に対応付けられているRindentation [k’]を取得する。こうして得られたRindentation [k’]を抽出距離とする。取得した抽出距離Rindentation [k’]は、記憶部130に格納される。
ここで、データサーバ140に格納されている抽出距離と結節の半径の組の集合(Rnodule [k],Rindentation [k])について、さらに説明する。これらの値の組は、例えば、事前に収集された複数の学習用画像から決定される。はじめに、それぞれの学習用画像について、抽出範囲設定部114は、その画像中に存在する結節の半径と胸膜引き込みの長さを計測する。ここで、胸膜引き込みの長さとは、例えば胸膜引き込みの結節端から胸膜端までの距離のことである。次に、抽出範囲設定部114は、結節の半径に応じて結節を分類する。例えば、結節の半径が5mm未満の結節をグループ1に、5mm以上10mm未満の結節をグループ2に、...、45mm以上50mm未満の結節をグループ10に、50mm以上の結節をグループ11に分類する。すべての結節を半径に基づいて分類した後、抽出範囲設定部114は、それぞれの結節のグループについて、胸膜引き込みの長さの平均値を計算する。そして、抽出範囲設定部114は、計算された胸膜引き込みの長さの平均値とそのグループの結節の半径の代表値を1組の値とする。ここで、結節の半径の代表値とはそれぞれのグループを定義している結節の半径の範囲の中間値とすればよい。例えば、グループ2の結節(5mm以上10mm未満の結節)であれば、Rnodule [2]=7.5mmとする。抽出範囲設定部114は、このようにして得られた結節の半径の代表値と胸膜引き込みの長さの平均値を、順番に1組の値(Rnodule [k],Rindentation [k])としてデータサーバ140に格納する。
以上、平均半径に基づいて抽出距離を設定する処理について説明を行ってきた。次に、ステップS1030において、抽出距離に加えて抽出角度も結節の平均半径に基づいて設定する処理の一例について説明を行う。抽出角度を結節の平均半径に基づいて設定する場合には、抽出範囲設定部114は結節の平均半径の計算が終わった後、データサーバ140から3つの値、結節の半径、抽出距離、抽出角度の組の集合(Rnodule [k],Rindentation [k],θ[k])を取得する。ただし、k=1,2,...,Nsetである。(Rnodule [k],Rindentation [k],θ[k])を取得した後は、平均半径に基づいて抽出距離を設定する処理と同様である。すなわち、平均半径Rnoduleに結節の平均半径Rnoduleに対応する値(例えば平均半径Rnoduleに最も近い)の組(Rnodule [k’],Rindentation [k’],θ[k’])を取得し、その組に含まれている角度θ[k’]を抽出角度として利用する。ここで、1<=k’<=Nsetである。取得した抽出角度θ[k’]は、記憶部130に格納される。そして、ステップS1080において抽出角度として利用される。
データサーバ140に格納する(Rnodule [k],Rindentation [k],θ[k])の値は、例えば、事前に収集された複数の学習用画像から決定される。はじめに、抽出範囲設定部114は、Rnodule [k]とRindentation [k]の値を、(Rnodule [k],Rindentation [k])の決定方法と同様の方法で決定する。次に、抽出範囲設定部114は、θ[k]の値を第1の実施形態に係る画像処理装置100での抽出角度の決定方法を用いて決定する。この決定方法の詳細については、ステップS1030の説明の中で述べた通りである。なお、θ[k]の値の決定では、Rnodule [k]を代表値とするグループkに属する結節を利用することに注意されたい。
以上で、ステップS1030の処理の説明を終える。なお、上記の例では結節の平均半径に基づいて、抽出距離および抽出角度を決定することとしたが、いずれか一方のみを決定することとしてもよい。例えば、抽出範囲設定部114は、結節の平均半径に基づいて抽出距離および抽出角度のうち抽出距離のみを決定し、抽出角度は第1の実施形態と同様の方法で決定することとしてもよい。
ステップS1030の処理を実行した後、第2の実施形態に係る画像処理装置はステップS1040、S1050、S1060の処理を実行する。これらのステップでの処理は、第1の実施形態に係る画像処理装置100におけるステップS140、S150、S160と同等である。ただし、これらのステップでは局所画像、局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像、局所胸膜マスク画像ではなく、元画像、肺野マスク画像、結節マスク画像、胸膜マスク画像を処理する。これは、第2の実施形態に係る画像処理装置ではステップS130の処理(元画像の画像サイズの変更)を実施しないためである。
ステップS1040、S1050、S1060の処理を実行した後、第2の実施形態に係る画像処理装置は次に説明するステップS1070の処理を実行する。
(ステップS1070)
ステップS1070において、抽出範囲設定部114は抽出方向D[i]を設定する。第2の実施形態に係る画像処理装置では、抽出方向は結節表面の画素と該画素からもっとも近い胸膜上の画素から決定される。
図8を参照して、抽出方向の設定方法の一例について説明する。図8の画像800には、胸膜マスク画像中の胸膜領域801と同802、結節マスク画像中の結節領域803が重畳表示されている。これらはステップS120で取得されたものである。また、結節803の境界線804はステップS1040で取得された境界画素である。
今、ステップS1060において画素805に注目しているとする。抽出範囲設定部114は、胸膜領域の画素の中で結節表面上の注目画素に最も近い画素を探す。図8では、抽出範囲設定部114は、胸膜領域801と同802の画素の中で注目画素805に最も近い画素を探す。この処理により、注目画素805に最も近い画素として、胸膜領域801上の画素806が見つかる。
次に、抽出範囲設定部114は抽出方向D[i]を設定する。ここで、胸膜領域をMpleuraとする。そして、注目画素(画素805)の座標値をPsurface [i]とする。また、画素Psurface [i]にもっとも近い胸膜の画素(画素806)の座標値をPpleura [l]とする。ここでl=1,2,...,#(Mpleura)であり、#(Mpleura)は胸膜領域に属する画素の数を表す。すると、抽出方向D[i]はD[i]=Ppleura [l]−Psurface [i]で計算される。図8では、画素805から画素806に向かう矢印807が抽出方向D[i]である。
以上で、ステップS1070の処理の説明を終える。
ステップS1070の処理を実行した後、ステップS180、S190の処理を実行せず、以下で説明するステップS1080とS1090を実行する。
(ステップS1080)
ステップS1080において、抽出範囲設定部114は抽出範囲を設定する。第2の実施形態に係る画像処理装置では、抽出範囲設定部114は、抽出範囲を、結節表面上の画素と抽出方向に加えて、ステップS1030で計算された抽出距離に基づいて決定する。
図8を参照して、抽出範囲の設定処理の一例について説明する。ステップS1070において、抽出方向D[i]が設定された。図8では矢印807が抽出方向D[i]を示している。
最初に、抽出範囲設定部114は抽出角度を取得する。もしステップS1030において抽出角度を結節の半径に基づいて設定した場合は、その値は記憶部130に格納されている。そこで、抽出範囲設定部114は記憶部130より抽出角度を取得する。逆に、ステップS1030で抽出角度の設定を行っていない場合は、第1の実施形態に係る画像処理装置100でのステップS180での処理と同様、データサーバ140に格納されている抽出角度を使用することになる。そのため、抽出範囲設定部114はデータサーバ140より抽出角度を取得する。
次に、抽出範囲設定部114は記憶部130より抽出距離を取得する。
抽出角度と抽出距離を取得した後、抽出範囲設定部114は抽出範囲を定義する境界を設定する。ここで、境界は抽出方向D[i]とのなす角度が抽出角度と同じになるように設定される。図8では、矢印807が抽出方向D[i]である。そして、線分808と線分809が境界を表す。すると、矢印807と線分808とのなす角度は抽出角度と同じ値になるよう、線分808が設定される。同様に、矢印807と線分809のなす角度も抽出角度と同じ値となるよう、線分809が設定される。また、抽出範囲設定部114は、抽出範囲を定義する境界(線分808と線分809)の長さを、ステップS1030で取得した抽出距離と同じ長さにする。
最後に、抽出範囲設定部114は抽出範囲を設定する。ここまでの処理で、抽出範囲を定義する境界(線分808と線分809)が設定されている。この境界で囲まれた領域を抽出範囲とする。ここで、抽出範囲は結節表面上の画素から抽出距離以内の範囲とする。図8を参照して説明すると、領域810が抽出範囲である。本図を見ると分かる通り、抽出範囲810は、線分808と線分809に囲まれた領域になっている。そして、抽出範囲810は注目画素805から抽出距離以内の範囲になっている。
以上で、ステップS1080の処理の説明を終える。
(ステップS1090)
ステップS1090において、抽出範囲設定部114は胸膜存在確認範囲を設定する。そして、設定された胸膜存在確認範囲内に胸膜が存在することを確認する。胸膜存在確認範囲内で胸膜領域が存在している場合、ステップS2000を実行する。逆に、胸膜領域が存在していない場合、ステップS1050を実行する。ここで、第2の実施形態にかかる画像処理装置では、ステップS1080で設定された抽出範囲を抽出方向に沿って延長させず、そのまま胸膜存在確認範囲として利用する。
ステップS1090での判定処理の結果に応じて、第2の実施形態に係る画像処理装置はステップS2000の処理を実行する。ここで、ステップS2000の処理は、第1の実施形態に係る画像処理装置100におけるステップS200と同等である。ただし、ステップS2000で処理される画像が局所画像、局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像、局所胸膜マスク画像ではなく、元画像、肺野マスク画像、結節マスク画像、胸膜マスク画像である点が異なる。
以上の手順に従い、第2の実施形態に係る画像処理装置は処理を行う。
第2の実施形態に係る画像処理装置では、結節の大きさに基づいて胸膜引き込みの抽出範囲を設定するため、より精度よく胸膜引き込み領域を抽出することが可能となる。具体的には、第2の実施形態に係る画像処理装置では、抽出方向を、結節表面の注目画素を始点とし、該結節表面の注目画素から最も近い位置にある胸膜画素を終点とするベクトルに沿う方向とする。このように抽出方向を設定することで、抽出方向は結節表面の各画素で近傍の胸膜の方向を向く。また、抽出範囲を結節表面の画素から一定距離(抽出距離)内に限定する。ここで、抽出距離は胸膜引き込みの典型的な長さとする。このように設定された抽出方向および抽出範囲は、結節に引き込まれた胸膜(胸膜引き込み)が存在する可能性が高い領域を適切に覆う。また、抽出範囲が胸膜引き込みの典型的な長さで制限されているため、抽出範囲は胸膜引き込みが存在しないような領域を覆わない。さらに、胸膜存在確認範囲を抽出領域と同じ範囲とする。これにより、第2の実施形態に係る画像処理装置では、結節から胸膜までの距離が胸膜引き込みの典型的な長さ以上の領域では胸膜引き込み領域の抽出を行わない。以上の処理により、本実施形態に係る画像処理装置は、肺野領域がすべて写っている画像(元画像)において、胸膜引き込みと結節の周りに存在するその他の解剖学的構造物を区別することが可能となる。また、本実施形態に係る画像処理装置は、もともと肺野領域の一部と結節領域しか写っていない画像においても、胸膜引き込みと結節の周りに存在するその他の解剖学的構造物を区別することが可能となる。その結果、これらの画像において胸膜引き込み領域を高い精度で抽出することが可能となる。
<変形例>
ここまで、第2の実施形態に係る画像処理装置において、第1の実施形態に係る画像処理装置100のステップS130(元画像の画像サイズの変更)の処理を行わない例を説明した。しかしながら、ステップS130の処理を実行しても、第2の実施形態に係る画像処理装置の効果は失われることはない。そのため、必要に応じてステップS130の処理を実行してもよい。この場合、本変形例における画像処理装置はステップS110、S120の処理を実行した後、ステップS130の処理を実行する。その後、本変形例における画像処理装置はステップS1030、ステップS1040、S1050、S1060、S1070、S1080、S1090、S2000の処理を順次、実行する。ただし、ステップS1030からS2000までの処理では、局所画像、局所肺野マスク画像、局所結節マスク画像、局所胸膜マスク画像を処理する。最後に、本変形例における画像処理装置は第1の実施形態に係る画像処理装置100のステップS210の処理を実行する。
以上の方法によれば、本変形例における画像処理装置は、肺野領域全体が写っている画像(元画像)から胸膜引き込みと結節の周りに存在するその他の解剖学的構造物を区別することが可能となる。その結果、胸膜引き込み領域を高い精度で抽出することが可能となる。
最後に、第1、第2の実施形態、およびそれらの変形例に係る画像処理装置の利用例について述べる。本画像処理装置は、医師の読影作業を支援するための技術(CAD技術)の一部として利用可能である。例えば、本画像処理装置で取得した胸膜引き込みの領域を元画像上に重畳表示したり、元画像において胸膜引き込みの領域に対応する箇所に目印を表示したりして、医師に提示する。これにより、医師は元画像中に存在する胸膜引き込みを見落とすことなく読影を行うことが可能となる。
また、本画像処理装置で得られた胸膜引き込みの有無に関する情報を、結節の良悪性鑑別診断システムに渡してもよい。良悪性鑑別診断システムは、胸膜引き込みの有無に関する情報、医用画像から得られる画像特徴量、患者の臨床情報などの臨床データに基づいて、注目している結節の良悪性を判定する。そして、その判定結果を医師に提示する。これにより、医師は高い精度で肺結節の良悪性鑑別を行うことが可能となる。
さらに、本画像処理装置により得られた胸膜引き込みの有無に関する情報を、読影レポートの自動作成システムに渡してもよい。読影レポートの自動作成システムは、受け取った胸膜引き込みの有無に関する情報を読影レポートに記述する。これにより、医師は読影レポートの作成時間を短縮することが可能となる。
また、上述の画像処理装置は抽出方向および抽出角度に基づいて抽出範囲を決定することとしていたが、結節と胸膜との距離に基づいて抽出範囲を決定することとしてもよい。例えば、抽出範囲設定部114は、結節表面の画素と胸膜の画素との距離を計算し、この距離が閾値未満となる範囲を抽出範囲とする。すなわち、抽出範囲設定部114は、第1領域と第2領域とを繋いでいる第3領域の抽出を、第1領域と第2領域との距離が閾値以下の範囲に制限する。
このようにすれば、結節表面の画素から離れた胸膜とを結ぶ構造物を胸膜引き込みであると誤って抽出する可能性を低減することが可能となる。すなわち、胸膜引き込み領域を精度よく抽出することが可能となる。
さらに、上述の画像処理装置では、結節の表面上の画素を起点として用いることとしているが、起点は必ずしも結節の表面上の画素でなくともよい。例えば、結節の表面から数画素だけ結節内部の画素を起点として用いても上述の効果と略同様の効果を得ることが可能である。
<その他の実施形態>
以上、実施形態例を詳述したが、開示の技術は例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記録媒体(記憶媒体)等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、撮像装置、webアプリケーション等)から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、本発明の目的は、以下のようにすることによって達成されることはいうまでもない。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコード(コンピュータプログラム)を記録した記録媒体(または記憶媒体)を、システムあるいは装置に供給する。係る記憶媒体は言うまでもなく、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
110 画像処理部
120 画像取得部
130 記憶部

Claims (15)

  1. 医用画像における第1領域および前記第1領域とは異なる第2領域を取得する取得手段
    と、
    前記第1領域と前記第2領域とを繋いでいる第3領域を抽出するための範囲を、前記第1領域の輪郭上の所定の点における法線方向、前記第1の領域の重心と該所定の点とを結ぶ方向の少なくとも一方で定まる方向を含む範囲に制限する制限手段と、
    前記制限手段により制限された前記範囲内において、前記範囲内の画素の画素値に基づいて前記第3領域を抽出する抽出手段と、
    を備えることを特徴とする情報処理装置。
  2. 医用画像における第1領域および前記第1領域とは異なる第2領域を取得する取得手段
    と、
    前記第1領域と前記第2領域とを繋いでいる第3領域を抽出するための範囲を、前記第一の領域の輪郭上の所定の点から前記第二の領域までの距離が最小となる方向を含む範囲に制限する制限手段と、
    前記制限手段により制限された前記範囲内において、前記範囲内の画素の画素値に基づいて前記第3領域を抽出する抽出手段と、
    を備えることを特徴とする情報処理装置。
  3. 前記制限手段は、前記法線方向および前記重心と前記所定の点とを結ぶ方向の和または前記法線方向および前記重心と前記所定の点とを結ぶ方向の少なくとも一方に重み付けを行った後の前記法線方向および前記重心と前記所定の点とを結ぶ方向の和を前記方向とすることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 前記制限手段は、前記第3領域を抽出するための範囲を、前記方向を基準として所定の幅を有する範囲に制限することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
  5. 前記制限手段は、前記所定の幅を前記第2領域に近づくほど広くすることを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
  6. 前記制限手段は、前記第1領域の大きさが大きいほど前記第3領域を抽出するための範囲の大きさを大きくすることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
  7. 前記第1領域の大きさは、前記第1領域の半径または直径で規定されることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
  8. 前記第3領域を抽出するための範囲に前記第2領域が存在しない場合には、前記抽出手段は前記第3領域の抽出を行わないことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
  9. 前記第1領域は結節を示す領域であり、前記第2領域は胸膜を示す領域であり、前記第3領域は前記胸膜の引き込みを示す領域であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の情報処理装置。
  10. 医用画像における第1領域および前記第1領域とは異なる第2領域を取得する取得工程と、
    前記第1領域と前記第2領域とを繋いでいる第3領域を抽出するための範囲を、前記第1の領域の輪郭上の所定の点における法線方向、前記第1の領域の重心と該所定の点とを結ぶ方向の少なくとも一方で定まる方向を含む範囲に制限する制限工程と、
    前記制限工程において制限された前記範囲において、前記範囲内の画素の画素値に基づいて前記第3領域を抽出する抽出工程と、
    を備えることを特徴とする抽出方法。
  11. 医用画像における第1領域および前記第1領域とは異なる第2領域を取得する取得工程
    と、
    前記第1領域と前記第2領域とを繋いでいる第3領域を抽出するための範囲を、前記第一の領域の輪郭上の所定の点から前記第二の領域までの距離が最小となる方向を含む範囲に制限する制限工程と、
    前記制限手段により制限された前記範囲内において、前記範囲内の画素の画素値に基づいて前記第3領域を抽出する抽出工程と、
    を備えることを特徴とする抽出方法。
  12. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の情報処理装置の各手段をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  13. 前記医用画像は左右いずれかの肺野の一部を示す画像であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の情報処理装置。
  14. 前記医用画像は少なくとも左右何れかの肺野の全体を示す画像であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の情報処理装置。
  15. 医用画像における第1領域および前記第1領域とは異なる第2領域を取得する取得手段と、
    前記第1領域と前記第2領域とを繋いでいる第3領域を抽出するための範囲を、前記第1領域と第2領域との距離が所定の閾値以下の範囲に制限する制限手段と、
    前記制限手段により制限された前記範囲内において、前記範囲内の画素の画素値に基づいて前記第3領域を抽出する抽出手段と、
    を備えることを特徴とする情報処理装置。
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