以下、図面とともに一実施形態に係る撮像計画作成装置について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態に係る撮像計画決定装置の構成を示す図である。撮像計画決定装置10は、複数の建築物に対する撮像計画を決定する装置である。建築物は、橋梁又は建物等の構造物である。撮像計画は、複数の建築物それぞれを撮像装置によって撮像することで得られる画像(本実施形態では、動画像)によって各建築物を点検するために立案される。建築物の点検では、例えば、取得された動画像によって建築物の異常の有無が確認される。あるいは、取得された動画像によって建築物の劣化状態(劣化度)又は建築物の健全状態(健全度)が確認される。例えば、取得された動画像から、POC(Phase Only Correlation)等の従来の技術によりサブピクセル単位での変位を検出することによって、建築物の複数の箇所についての振動が検出される。動画像から検出された各建築物の振動に基づいて、各建築物が点検される。
撮像計画決定装置10は、撮像計画の対象となる区域である対象区域に存在する複数の建築物を撮像する撮像計画を決定する。撮像計画決定装置10が決定する撮像計画には、各建築物における撮像時刻(撮像開始時刻)が含まれる。例えば、撮像計画決定装置10は、各建築物における撮像時刻に基づいて複数の建築物に対する撮像順を、ユーザに提示する。図1に示されるように、撮像計画決定装置10は、機能的には、入力部11と、撮像範囲算出部12と、撮像可能度算出部13と、経路計画部14と、出力部15と、を備える。また、撮像計画決定装置10は、撮像装置情報DB16と、建築物情報DB17と、環境情報DB18と、ユーザ設定保持部19と、を備える。
入力部11は、ユーザからの入力を受け取る。具体的には、入力部11は、撮像計画を決定するための制約条件を示す制約情報をユーザから受け取る。本実施形態では、撮像装置の種別情報、対象区域情報、及び撮像設定時間が、制約情報として入力部11に入力される。撮像装置の種別情報は、撮像に用いられる撮像装置の種別を示す情報である。撮像装置の種別情報は、例えば、装置本体の種別を示す情報、光電変換を行う半導体素子であるイメージセンサの種別を示す情報、及びレンズの種別を示す情報を含む。対象区域情報は、対象区域を示す情報である。撮像設定時間は、各建築物において撮像を継続する時間を示す。撮像設定時間は、例えば、点検の種類に応じてユーザによって任意に設定される。入力部11は、取得した制約情報を撮像範囲算出部12及びユーザ設定保持部19に出力する。なお、ユーザ設定保持部19は、入力部11から出力された制約情報を保持する。
撮像範囲算出部12は、撮像範囲を算出する。撮像範囲は、建築物毎に設定され、撮像装置を用いて点検に必要な建築物の画像を取得することが可能な範囲である。撮像範囲は、撮像に用いられる撮像装置の種別(性能)によって定まり、建築物を中心として画定される。点検に必要な動画像とは、例えば、サブピクセル単位での建築物の各箇所における変位を検出することが可能な動画像である。
図2は、撮像範囲を模式的に示す図である。図2には、ユーザによって入力された対象区域内に建築物C1〜C3が存在する場合の撮像範囲が模式的に示されている。撮像範囲算出部12は、撮像装置の種別情報及び対象区域情報に基づいて、建築物C1に対する撮像範囲R1、建築物C2に対する撮像範囲R2、及び建築物C3に対する撮像範囲R3を算出する。
撮像範囲の算出方法を詳細に説明すると、撮像範囲算出部12は、まず、入力部11から制約情報を受け取ると、撮像装置情報DB16を参照することで、制約情報に含まれる撮像装置の種別情報に対応する性能情報を取得する。図3は、撮像装置の情報の一例を示す図である。図3には、撮像装置情報DB16に格納された撮像装置の情報がテーブル形式で示されている。撮像装置情報DB16は、撮像装置の種別情報と性能情報とを対応づけたDB(データベース)である。例えば、撮像装置情報DB16には、撮像装置の種別情報と性能情報とがユーザによって予め格納されている。
撮像装置の性能情報は、撮像装置の性能を示す情報である。ここでは、撮像装置の性能情報は、撮像装置の焦点距離と、水平方向及び垂直方向における画角と、を含む。撮像装置情報DB16には、撮像装置の性能情報から予め算出された最大撮像距離dmaxが格納されている。最大撮像距離dmaxは、点検に必要な動画像が得られる建築物と撮像装置を配置する位置である撮像位置との間の最大距離である。最大撮像距離dmaxは、建築物の周囲状況の影響を考慮しないで算出され、例えば、撮像装置の焦点距離及び画角によって定まる。従って、撮像装置情報DB16では、撮像装置の種別情報と最大撮像距離dmaxとが対応づけられている。
なお、撮像範囲算出部12は、制約情報に含まれる撮像装置の種別が撮像装置情報DB16に存在しない場合、例えば出力部15を介して、当該撮像装置の種別に対応する性能情報の入力をユーザに要求する。この場合、ユーザによって撮像装置の性能情報が入力されると、撮像範囲算出部12は、入力された性能情報を、制約情報に含まれる撮像装置の種別情報に対応付けて、撮像装置情報DB16に記憶する。
撮像範囲算出部12は、建築物情報DB17を参照することで、制約情報に含まれる対象区域情報によって示される対象区域に存在する複数の建築物の位置情報を取得する。建築物情報DB17は、対象区域情報と対象区域に存在する複数の建築物の位置情報とを対応づけたデータベースである。建築物の位置情報は、例えば建築物が位置する経度及び緯度である。例えば、建築物情報DB17には、対象区域情報と対象区域内の建築物の位置情報とがユーザによって予め格納されている。ここでは、撮像範囲算出部12は、建築物C1〜C3それぞれの位置情報を取得する。
なお、撮像範囲算出部12は、制約情報に含まれる対象区域情報が建築物情報DB17に存在しない場合、例えば出力部15を介して、当該対象区域情報によって示される対象区域に存在する建築物の位置情報の入力をユーザに要求する。この場合、ユーザによって建築物の位置情報が入力されると、撮像範囲算出部12は、入力された建築物の位置情報を、制約情報に含まれる対象区域情報に対応付けて、建築物情報DB17に記憶する。
撮像範囲算出部12は、撮像装置の性能情報に基づいて撮像範囲R1〜R3を算出する。まず、撮像範囲算出部12は、最大撮像距離dmaxを取得する。具体的には、撮像範囲算出部12は、撮像装置情報DB16を参照することによって、制約情報に含まれる撮像装置の種別情報に対応する最大撮像距離dmaxを取得する。なお、ユーザによって新しく撮像装置の性能情報が入力された場合、撮像範囲算出部12は、撮像装置の性能情報に基づいて最大撮像距離dmaxを算出し、最大撮像距離dmaxをその性能情報に対応付けて撮像装置情報DB16に記憶する。なお、撮像範囲算出部12は、撮像範囲を算出する際に、撮像装置の性能情報から最大撮像距離dmaxを算出してもよい。例えば、点検の種別又は点検対象の建築物に応じて点検に必要な動画像の解像度が異なる場合、撮像範囲算出部12は、撮像装置の性能情報に基づいて、動画像の解像度に応じた最大撮像距離dmaxを算出してもよい。
続いて、撮像範囲算出部12は、各建築物の位置を中心点として最大撮像距離dmaxを半径とする円を算出し、算出した円を外縁とする範囲を撮像範囲として設定する。撮像範囲算出部12は、建築物C1〜C3のそれぞれに対して、半径が最大撮像距離dmaxである円を外縁とする撮像範囲R1〜R3を設定(算出)する。撮像範囲算出部12は、算出した撮像範囲R1〜R3を示す撮像範囲情報を撮像可能度算出部13に出力する。
撮像可能度算出部13は、対象区域に含まれる複数の分割範囲のそれぞれに対して、環境情報に基づいて各時刻における撮像可能度(撮像可能確率)を算出する。撮像可能度は、分割範囲のそれぞれに対して時刻ごとに算出される。分割範囲は、対象区域を一定の大きさで区切ることで得られる。ここでは、分割範囲は、矩形形状を有する。撮像可能度は、その時刻において、当該分割範囲から点検に必要な画像を取得できる可能性を示す値である。言い換えると、撮像可能度は、その時刻において分割範囲が撮像に適している度合い(程度)を表す値である。例えば、撮像可能度は、各分割範囲の中心点の位置から建築物を撮像する場合の、点検に必要な画像を取得できる可能性を示す。撮像可能度算出部13は、各時刻における各分割範囲の撮像可能度を算出する。
環境情報は、撮像に影響を与える建築物の周囲の状況を示す。環境情報は、時間の経過とともに変化し、同じ時刻でも場所によって変化し得る。本実施形態では、環境情報は、天候を示す天候情報、地盤の振動の大きさを示す振動情報、太陽の方位を示す方位情報、及び交通量を示す交通量情報である。環境情報DB18には、外部のサーバから対象区域(各建築物の周囲)における天候等の状況の予測を示す環境情報を撮像計画決定装置10が取得することによって、天候情報、振動情報、太陽の方位情報、及び交通量情報が格納されている。交通量は、時間帯によって異なり得るので、交通量情報は、例えば、過去の同じ時間帯の交通量に基づいて算出される。振動情報についても同様である。
撮像可能度の算出方法を詳細に説明すると、撮像可能度算出部13は、各時刻の各分割範囲における環境情報に応じて各時刻の各分割範囲における撮像可能度を算出する。ここでは、撮像可能度算出部13は、一定の時間間隔で時刻tから時刻t+N(Nは正の整数)までのそれぞれの時刻において撮像可能度を算出する。また、撮像可能度算出部13は、時刻tから時刻t+Nまでのそれぞれの時刻において、対象区域における分割範囲毎の撮像可能度を示す撮像可能度マップPt〜Pt+Nを生成する(図5参照)。例えば、撮像可能度マップPtは、時刻tにおける分割範囲毎の撮像可能度を示すマップである。
図4は、撮像可能度の算出方法を模式的に示す図である。図5は、撮像可能度マップの一例を示す図である。図4には、1つの建築物(例えば、建築物C1)の周囲における時刻tでの撮像可能度マップPtの算出方法が示されている。図4では、x軸及びy軸が各分割範囲の位置を示す位置座標に対応し、x軸及びy軸に直交する軸が係数に対応する。例えば、x軸及びy軸のいずれか一方は経度を示し、他方は緯度を示す。
撮像可能度算出部13は、初期分布Pi,tと、各環境情報によって設定される畳込フィルタと、に基づいて撮像可能度マップPtを算出する。畳込フィルタは、環境情報に応じて各分割範囲に設定された重み係数を示す係数分布である。本実施形態では、畳込フィルタとして、天候情報フィルタFw,t、振動情報フィルタFb,t、太陽情報フィルタFs,t、及び交通情報フィルタFc,tが用いられる。
初期分布Pi,tは、時刻tにおける撮像可能度の初期値を示す分布である。撮像装置の性能上、撮像範囲内では、点検に必要な動画像を取得することが可能であるが、撮像範囲外では、点検に必要な動画像を取得することが不可能である。この点を考慮して、本実施形態の初期分布Pi,tでは、例えば、撮像範囲内に位置する分割範囲に1が設定され、撮像範囲外に位置する分割範囲に0が設定される。
撮像可能度算出部13は、撮像範囲算出部12から撮像範囲情報を受け取ると、撮像範囲情報によって示される撮像範囲に基づいて、初期分布Pi,tを生成する。つまり、撮像可能度算出部13は、撮像範囲に含まれる分割範囲に初期値として1を割り当て、撮像範囲に含まれない分割範囲に初期値として0を割り当てる。なお、撮像可能度算出部13は、例えば、分割範囲の中心点が撮像範囲に含まれる場合に、分割範囲が撮像範囲に含まれると判定し、分割範囲の中心点が撮像範囲に含まれない場合に、分割範囲が撮像範囲に含まれないと判定する。撮像可能度算出部13は、初期分布Pi,tと同様に、時刻t+1から時刻t+Nまでの各時刻における初期分布Pi,t+1〜Pi,t+Nを生成する。本実施形態では、撮像範囲R1〜R3が時刻に関わらず一定に設定されるので、初期分布Pi,t〜Pi,t+Nは、互いに同一である。
なお、図4では、初期分布Pi,tは、撮像範囲算出部12によって算出される撮像範囲R1〜R3の外縁が建築物C1〜C3の位置を中心とした円であるので、円柱状に示されている。分割範囲が矩形形状を有する場合には、初期分布Pi,tは、角柱状に示されてもよい。以降では、説明の便宜のために(3×3)個の分割範囲が撮像範囲に含まれるとして説明を行う。
天候情報フィルタFw,tは、時刻tにおける天候情報に応じた重み係数を示す係数分布である。天候情報フィルタFw,tの係数が大きいほど、分割範囲での撮像が天候の影響を受けにくいことを示す。天候が曇りであるときは、動画像に対する太陽光の影響が晴れの場合よりも小さい。この点を考慮して、本実施形態の天候情報フィルタFw,tでは、分割範囲の天候情報が示す天候が晴れである場合にその分割範囲に0.75が設定され、分割範囲の天候情報が示す天候が曇りである場合にその分割範囲に0.99が設定される。
撮像可能度算出部13は、環境情報DB18を参照することによって、各分割範囲の時刻tでの天候情報を取得する。そして、撮像可能度算出部13は、時刻tでの天候情報に基づいて天候情報フィルタFw,tを生成する。具体的には、撮像可能度算出部13は、天候情報が示す天候が晴れである分割範囲に係数として0.75を割り当て、天候情報が示す天候が曇りである分割範囲に係数として0.99を割り当てる。撮像可能度算出部13は、時刻t+1から時刻t+Nまでの各時刻における天候情報フィルタFw,t+1〜Fw,t+Nを、天候情報フィルタFw,tと同様に生成する。なお、単一の分割範囲において、天候情報が時刻によって互いに異なる場合、それぞれの時刻おける天候情報フィルタの係数は互いに異なる。
振動情報フィルタFb,tは、時刻tにおける振動情報に応じた重み係数を示す係数分布である。振動情報フィルタFb,tの係数が大きいほど、分割範囲での撮像が地盤の振動の影響を受けにくいことを示す。動画像から検出された建築物の振動に基づいて建築物が点検される場合、撮像位置での地盤の振動が大きいと、建築物の振動による変位が適切に検出されずに、建築物を適切に点検できないおそれがある。この点を考慮して、本実施形態の振動情報フィルタFb,tでは、分割範囲の振動情報が示す地盤の振動の大きさが45dB以上である場合にその分割範囲に0.75が設定され、分割範囲の地盤の振動の大きさが45dBよりも小さい場合にその分割範囲に0.99が設定される。
撮像可能度算出部13は、環境情報DB18を参照することによって、各分割範囲の時刻tでの振動情報を取得する。そして、撮像可能度算出部13は、時刻tでの振動情報に基づいて振動情報フィルタFb,tを生成する。具体的には、撮像可能度算出部13は、振動情報が示す地盤の振動の大きさが45dB以上である分割範囲に係数として0.75を割り当て、振動情報が示す地盤の振動の大きさが45dBよりも小さい分割範囲に係数として0.99を割り当てる。撮像可能度算出部13は、時刻t+1から時刻t+Nまでの各時刻における振動情報フィルタFb,t+1〜Fb,t+Nを、振動情報フィルタFb,tと同様に生成する。なお、単一の分割範囲において、振動情報が時刻によって互いに異なると、それぞれの時刻における振動情報フィルタの係数が互いに異なる場合がある。
太陽情報フィルタFs,tは、時刻tにおける太陽の方位情報に応じた重み係数を示す係数分布である。太陽情報フィルタFs,tの係数が大きいほど、分割範囲での撮像が太陽の影響を受けにくいことを示す。撮像装置の水平方向における画角に太陽が位置するときは、撮像装置の画角(レンズ)に太陽光が入る。撮像装置の水平方向における画角の近傍に太陽が位置するときは、撮像装置の画角(レンズ)に太陽光が入るおそれがある。撮像装置の水平方向における画角及び画角の近傍に太陽が位置しないときは、撮像装置の画角(レンズ)に太陽光が入らない。
これらの点を考慮して、本実施形態の太陽情報フィルタFs,tでは、分割範囲から建築物に撮像装置(レンズ)を向けたときに、撮像装置の水平方向における画角内に太陽が含まれる場合に、その分割範囲に0.25が設定される。同様に、分割範囲から建築物に撮像装置(レンズ)を向けたときに、撮像装置の水平方向における画角の近傍に太陽が位置する場合、その分割範囲に0.50が設定される。また、分割範囲から建築物に撮像装置(レンズ)を向けたときに、撮像装置の水平方向における画角及び画角の近傍に太陽が含まれない場合、その分割範囲に0.99が設定される。
なお、画角の近傍の範囲を定める近傍角度は、例えばユーザによって任意に設定される。太陽の方位情報とともに太陽の仰角情報が用いられ、太陽情報フィルタFs,tの係数が設定されてもよい。
撮像可能度算出部13は、環境情報DB18を参照することによって、時刻tにおける方位情報を取得する。また、撮像可能度算出部13は、撮像装置情報DB16を参照することによって、ユーザ設定保持部19に保持された撮像装置の種別情報に対応する性能情報(画角)を取得する。そして、撮像可能度算出部13は、撮像装置の画角及び方位情報に基づいて時刻tでの太陽情報フィルタFs,tを生成する。具体的には、撮像可能度算出部13は、方位情報、それぞれの分割範囲の中心点の位置、及び撮像対象である建築物の位置の互いの関係に基づいて、太陽情報フィルタFs,tを生成する。
より具体的には、撮像可能度算出部13は、分割範囲の中心点と建築物の位置とを結ぶ直線と、分割範囲の中心点と太陽の方位によって定まる太陽の水平方向における位置とを結ぶ直線とが成す角度が、画角の半分以下である場合には、その分割範囲に係数として0.25を割り当てる。また、撮像可能度算出部13は、上記角度が画角の半分に近傍角度を加えた角度以下である場合に、その分割範囲に係数として0.50を割り当てる。撮像可能度算出部13は、上記角度が画角の半分に近傍角度を加えた角度よりも大きい場合に、その分割範囲に係数として0.99を割り当てる。撮像可能度算出部13は、時刻t+1から時刻t+Nまでの各時刻における太陽情報フィルタFs,t+1〜Fs,t+Nを、太陽情報フィルタFs,tと同様に生成する。なお、太陽の方位は時刻に応じて変化するので、単一の分割範囲において、それぞれの時刻における太陽情報フィルタの係数が互いに異なる場合がある。
交通情報フィルタFc,tは、時刻tにおける交通量情報に応じた重み係数を示す係数分布である。交通情報フィルタFc,tの係数が大きいほど、分割範囲での撮像が交通量に応じた地盤の振動による影響を受けにくいことを示している。交通量が大きいほど、撮像位置での地盤の振動が大きくなり、適切に建築物が点検されないおそれがある。この点を考慮して、本実施形態の交通情報フィルタFc,tでは、分割範囲の交通量情報が示す交通量(値)が大きい場合にその分割範囲に0.25が設定され、分割範囲の交通量情報が示す交通量(値)が中程度である場合にその分割範囲に0.50が設定され、分割範囲の交通量情報が示す交通量(値)が小さい場合にその分割範囲に0.99が設定される。なお、交通量(値)が大きいか中程度であるかを判断するための閾値である第1閾値、及び交通量(値)が小さいか中程度であるかを判断するための閾値である第2閾値は、例えばユーザによって任意に設定される。第1閾値は、第2閾値よりも大きい。
撮像可能度算出部13は、環境情報DB18を参照することによって、各分割範囲の時刻tでの交通量情報を取得する。そして、撮像可能度算出部13は、時刻tでの交通量情報に基づいて交通情報フィルタFc,tを生成する。具体的には、撮像可能度算出部13は、交通量情報が示す交通量が第1閾値以上である分割範囲に係数として0.25を割り当て、交通量情報が示す交通量が第1閾値よりも小さく、かつ、第2閾値以上である分割範囲に係数として0.50を割り当てる。また、撮像可能度算出部13は、交通量情報が示す交通量が第2閾値よりも小さい分割範囲に係数として0.99を割り当てる。撮像可能度算出部13は、時刻t+1から時刻t+Nまでの各時刻における交通情報フィルタFc,t+1〜Fc,t+Nを、交通情報フィルタFc,tと同様に生成する。なお、単一の分割範囲において、交通量情報が時刻によって互いに異なると、それぞれの時刻によって交通情報フィルタの係数が互いに異なる場合がある。
撮像可能度算出部13は、式(1)に示されるように、初期分布Pi,tに、各種環境情報に応じて生成した天候情報フィルタFw,t、振動情報フィルタFb,t、太陽情報フィルタFs,t、及び交通情報フィルタFc,tを乗算することによって、時刻tにおける撮像可能度マップPtを生成する。また、撮像可能度算出部13は、時刻t+1から時刻t+Nまでのそれぞれの時刻において、撮像可能度マップPtと同様に、撮像可能度マップPt+1〜Pt+Nを生成する。
Pt=Pi,t×Fw,t×Fb,t×Fs,t×Fc,t (1)
図5には、撮像可能度マップPt〜Pt+Nから構成される撮像可能度マップPallが示されている。撮像可能度算出部13は、撮像可能度マップPall(撮像可能度マップPt〜Pt+N)を経路計画部14に出力する。
経路計画部14は、撮像候補時刻を建築物毎に算出するとともに、複数の建築物のそれぞれに対して算出された撮像候補時刻に基づいて撮像計画を決定する。具体的には、経路計画部14は、撮像可能度算出部13によって生成された撮像可能度マップPallに含まれる分割範囲と時刻との組合せに対して設定されている撮像可能度に基づいて、撮像候補時刻を算出する。ここでは、経路計画部14は、撮像可能度マップPallから撮像可能度が相対的に大きい複数の時空間座標を選択する。時空間座標は、時刻と分割範囲との組合せを示す情報であり、ここでは時刻と分割範囲の中心点の位置座標(x座標、y座標)との組合せによって表される。
経路計画部14は、選択された複数の時空間座標のうち、建築物C1に対応する時空間座標に含まれる時刻を建築物C1の撮像候補時刻として算出する。同様に、経路計画部14は、選択された複数の時空間座標のうち、建築物C2に対応する時空間座標に含まれる時刻を建築物C2の撮像候補時刻として算出し、建築物C3に対応する時空間座標に含まれる時刻を建築物C3の撮像候補時刻として算出する。経路計画部14は、算出した撮像候補時刻に基づいて建築物C1〜C3それぞれでの撮像時刻を決定する。
撮像計画の決定方法を具体的に説明すると、経路計画部14は、撮像可能度の大きい順に、撮像可能度マップPallから複数(ここでは6個)の時空間座標p1〜p6を選択する。時空間座標p1は、時刻t1における位置座標(x1,y1)の中心点を有する分割範囲を示す。時空間座標p2は、時刻t2における位置座標(x2,y2)の中心点を有する分割範囲を示す。時空間座標p3は、時刻t3における位置座標(x3,y3)の中心点を有する分割範囲を示す。時空間座標p4は、時刻t4における位置座標(x4,y4)の中心点を有する分割範囲を示す。時空間座標p5は、時刻t5における位置座標(x5,y5)の中心点を有する分割範囲を示す。時空間座標p6は、時刻t6における位置座標(x6,y6)の中心点を有する分割範囲を示す。時刻t1〜t6のそれぞれは、時刻tから時刻t+Nまでのいずれかの時刻に相当する。
位置座標(x1,y1)及び位置座標(x2,y2)は、撮像範囲R1に含まれ、位置座標(x3,y3)及び位置座標(x4,y4)は、撮像範囲R2に含まれ、位置座標(x5,y5)及び位置座標(x6,y6)は、撮像範囲R3に含まれる。つまり、時空間座標p1,p2は建築物C1に対応し、時空間座標p3,p4は建築物C2に対応し、時空間座標p5,p6は建築物C3に対応する。
経路計画部14は、時刻t1〜t6を撮像候補時刻に設定する。なお、選択される時空間座標が属する撮像範囲が、偏ることを避けるために、1つの撮像範囲において既に複数(例えば、2個)の時空間座標が選択されている場合に、経路計画部14は、当該撮像範囲に次に順位が高い撮像可能度を有する時空間座標が含まれていても、当該時空間座標を選択しなくてもよい。
続いて、経路計画部14は、複数の時空間座標p1〜p6から建築物の数(ここでは3個)と同じ数の時空間座標を抽出して構成される組合せの全てから、最も効率的に建築物C1〜C3を撮像できる組合せを選択する。具体的には、経路計画部14は、複数の時空間座標p1〜p6のうちの3つの時空間座標で構成される組合せの全てから除外対象となる組合せを除いたうえで、残りの組合せ毎に想定される総作業時間を算出し、総作業時間が最も短い組合せを選択する。経路計画部14は、1つの組合せに含まれる3つの撮像候補時刻のうちの最も早い時刻と最も遅い時刻とに基づいて、その組合せの総作業時間を算出する。
具体的には、経路計画部14は、3つの撮像候補時刻のうちの最も遅い時刻に撮像設定時間を加えた時刻から3つの撮像候補時刻のうちの最も早い時刻を減算することによって得られる時間を総作業時間として算出する。例えば、時空間座標p1,p3,p5から構成される組合せにおいて、時刻t1,t3,t5の順で時刻が早いとすると、総作業時間は、時刻t5に撮像設定時間を加えた時刻から時刻t1を減算することによって得られる。
除外対象となる組合せは、全ての建築物を撮像することができない組合せである。具体的には、経路計画部14は、組合せに含まれるいずれか2つの時空間座標に対応する分割範囲が互いに同じ撮像範囲に含まれる組合せを除外対象として除外する。また、経路計画部14は、2つの建築物における撮像候補時刻同士の差が、1箇所での撮像設定時間とその1組の建築物間の移動時間とを合算した時間よりも短い組合せを除外対象として除外する。
3つの時空間座標で構成される組合せにおける2つの建築物間の移動時間は、例えば、その1組の建築物間の移動経路(道路)に沿った距離を所定速度で除算することにより算出される。所定速度としては、例えば、移動経路における法定速度が用いられてもよい。また、所定速度は、例えばユーザによって任意に設定されてもよい。建築物C1と建築物C2との間の移動時間は、建築物C1と建築物C2との間の移動経路に沿った距離を所定速度で除算することによって得られる。建築物C2と建築物C3との間の移動時間及び建築物C3と建築物C1との間の移動時間も、建築物C1と建築物C2との間の移動時間と同様にして得られる。
例えば、時空間座標p1,p4,p5から構成される組合せにおいて、時刻t1,t4,t5の順で時刻が早いとした場合を用いて詳細に説明する。建築物C1での撮像設定時間と、建築物C1と建築物C2との間の移動時間と、を合算した時間が、時刻t4と時刻t1との差よりも大きい場合、時刻t4において建築物C2の撮像を開始することができない。この場合、時空間座標p1,p4,p5から構成される組合せは、除外対象となる。
また、例えば、時空間座標p1,p2,p3から構成される組合せでは、時空間座標p1,p2に含まれる位置座標はともに撮像範囲R1に含まれるので、時空間座標p1,p2,p3から構成される組合せは、除外対象となる。例えば、経路計画部14は、3個の時空間座標のうちの1組の時空間座標に対応する建築物同士の間の移動距離が0であると算出される組合せを除外する。
総作業時間は、作業者が勤務先等の開始地点から建築物を順に撮像し、終了地点に戻るまでの時間であってもよい。開始地点と終了地点とは同じ場所(位置)であってもよい。この場合、経路計画部14は、撮像候補時刻のうちの最も遅い時刻に撮像設定時間を加えた時刻から撮像候補時刻のうちの最も早い時刻を減算することによって得られる時間に、開始地点と撮像候補時刻が最も早い建築物(例えば建築物C1)との間の移動時間、及び、撮像候補時刻が最も遅い建築物(例えば建築物C3)と終了地点との間の移動時間を加えた時間を、総作業時間として算出してもよい。
なお、経路計画部14は、撮像可能度マップPallにおいて、撮像範囲R1〜R3のそれぞれに対して、撮像可能度が最も大きい時空間座標から順に、複数(例えば、2個)の時空間座標を選択してもよい。経路計画部14は、所定閾値よりも大きい撮像可能度を有する時空間座標を選択してもよい。所定閾値は、例えば、過去に行った実際の点検結果とその時の撮像可能度とに基づいて設定されてもよい。
経路計画部14は、総作業時間が最も短い組合せにおける各撮像候補時刻を、建築物C1〜C3それぞれの撮像時刻(撮像開始時刻)として設定する。例えば、時空間座標p1,p3,p6から構成される組合せの総作業時間が最も短いと判断された場合、経路計画部14は、建築物C1での撮像時刻を時刻t1に設定し、建築物C2での撮像時刻を時刻t3に設定し、建築物C3での撮像時刻を時刻t6に設定する。例えば、時刻t3,t1,t6の順で時刻が早い場合、建築物C2,C1,C3の順で撮像順(撮像経路)が設定される。
また、経路計画部14は、総作業時間が最も短い組合せにおける位置座標を、建築物C1〜C3それぞれに対する撮像位置として設定する。そして、経路計画部14は、各建築物の撮像時刻、撮像順、及び撮像位置を設定することで、撮像計画を決定する。例えば、時空間座標p1,p3,p6から構成される組合せの総作業時間が最も短いと判断された場合、経路計画部14は、建築物C1での撮像位置を位置座標(x1,y1)に設定し、建築物C2での撮像位置を位置座標(x3,y3)に設定し、建築物C3での撮像位置を位置座標(x6,y6)に設定する。
なお、経路計画部14は、建築物C1〜C3それぞれにおいて、撮像候補時刻から撮像設定時間の半分の値を減算することによって得られる時刻を、撮像時刻(撮像開始時刻)として設定してもよい。例えば、時空間座標p1,p3,p6から構成される組合せの総作業時間が最も短いと判断された場合、撮像設定時間が1時間であるとすると、経路計画部14は、時刻t1,t3,t6から30分を減算することで得られる時刻を、建築物C1,C2,C3での撮像時刻(撮像開始時刻)に設定してもよい。経路計画部14は、決定した撮像計画を示す計画情報を出力部15に出力する。
出力部15は、計画情報を出力する。出力部15は、例えば、撮像計画決定装置10が備える出力装置に計画情報を出力し、撮像計画を表示させる。この出力によって、撮像計画が作業者又はユーザによって参照され、建築物の点検に用いられる。なお、出力部15は、上記以外の装置に計画情報を出力してもよく、また、上記以外の形態で計画情報を出力してもよい。
図6は、図1に示された撮像計画決定装置による出力の一例を示す図である。この例では、対象区域内に32個の建築物が含まれている。計画情報を表示する出力装置は、例えば、タッチパネルである。図6に示されるように、計画情報は、出力装置に表示される。出力画面20では、計画情報が地図上に表示される。具体的には、出力画面20では、地図上に対象区域を示す境界線BLが表示され、地図上に点検対象である複数の建築物Cが表示される。また、経路計画部14によって決定された撮像計画(撮像時刻)に基づいて、撮像順(例えば図6の1〜4)が示される。この例では、3日間の撮像計画が示されている。出力画面20に含まれる画面20aは、計画情報の全般を数値等によって表示する。全般の情報として、対象区域、対象区域に含まれる建築物の数、及び撮像設定時間が示されている。
図7は、図1に示された撮像計画決定装置による出力の別の例を示す図である。図6に示される出力画面20においてユーザがタッチスクリーンに表示されている建築物Cのいずれかを選択すると、図7に示されるように、出力画面20において選択された建築物に対する撮像計画の詳細情報20bが表示される。撮像計画の詳細情報20bには、例えば、建築物の名称、撮像の順番、撮像時間帯、撮像位置、及び予想される撮像画像等が含まれる。撮像時間帯には、撮像開始時刻と撮像終了時刻とが含まれる。本実施形態では、撮像開始時刻は経路計画部14によって設定された撮像時刻であり、撮像終了時刻は、撮像開始時刻に撮像設定時間を加えることによって得られる時刻である。また、詳細情報20bには、撮像に用いられる撮像装置の情報を確認するためのアイコン、点検調書を確認するためのアイコン、及びその他情報を確認するためのアイコンが表示されている。これらのアイコンをユーザが選択することによって、対応する情報が表示される。
次に、図8を参照して、一実施形態に係る撮像計画決定装置10が実行する撮像計画の決定方法を説明する。図8に示される一連の処理は、例えば、ユーザによって、制約情報(例えば、撮像装置の種別情報)が撮像計画決定装置10に入力されることによって開始される。
本処理では、まず、入力部11は、制約情報をユーザから受け取る(ステップS01)と、取得した制約情報を撮像範囲算出部12及びユーザ設定保持部19に出力する。そして、ユーザ設定保持部19は、入力部11から出力された制約情報を保持する。
続いて、撮像範囲算出部12は、撮像範囲を算出する(ステップS02)。ステップS02では、まず、撮像範囲算出部12は、入力部11から制約情報を受け取ると、撮像装置情報DB16を参照することで、制約情報に含まれる撮像装置の種別情報に対応する性能情報を取得する(ステップS21)。このとき、撮像範囲算出部12は、制約情報に含まれる撮像装置の種別が撮像装置情報DB16に存在しない場合、当該撮像装置の種別に対応する性能情報の入力をユーザに要求する。そして、ユーザによって撮像装置の性能情報が入力されると、撮像範囲算出部12は、入力された性能情報を、制約情報に含まれる撮像装置の種別情報に対応付けて、撮像装置情報DB16に記憶する。
続いて、撮像範囲算出部12は、建築物情報DB17を参照することで、制約情報に含まれる対象区域情報によって示される対象区域に存在する複数の建築物の位置情報を取得する(ステップS22)。このとき、撮像範囲算出部12は、制約情報に含まれる対象区域情報が建築物情報DB17に存在しない場合、当該対象区域情報によって示される対象区域に存在する建築物の位置情報の入力をユーザに要求する。そして、ユーザによって建築物の位置情報が入力されると、撮像範囲算出部12は、入力された建築物の位置情報を、制約情報に含まれる対象区域情報に対応付けて、建築物情報DB17に記憶する。
撮像範囲算出部12は、撮像装置の性能情報に基づいて撮像範囲を算出する(ステップS23)。具体的には、撮像範囲算出部12は、撮像装置情報DB16を参照することによって、制約情報に含まれる撮像装置の種別情報に対応する最大撮像距離dmaxを取得する。そして、撮像範囲算出部12は、各建築物の位置を中心点として最大撮像距離dmaxを半径とする円を算出し、算出した円を外縁とする範囲を撮像範囲として設定する。そして、撮像範囲算出部12は、撮像範囲を示す撮像範囲情報を撮像可能度算出部13に出力する。
続いて、撮像可能度算出部13は、対象区域に含まれる複数の分割範囲のそれぞれに対して、環境情報に基づいて各時刻における撮像可能度を算出する(ステップS03)。ステップS03では、まず、撮像可能度算出部13は、撮像範囲に応じて対象区域に初期分布を割り当てる(ステップS31)。具体的には、撮像可能度算出部13は、撮像範囲算出部12から撮像範囲情報を受け取ると、撮像範囲情報によって示される撮像範囲に含まれる分割範囲に撮像可能度の初期値として1を割り当て、撮像範囲に含まれない分割範囲に撮像可能度の初期値として0を割り当てる。
続いて、撮像可能度算出部13は、環境情報に基づき撮像可能度マップPallを生成する(ステップS32)。具体的には、撮像可能度算出部13は、環境情報DB18を参照することによって、各分割範囲の各時刻での環境情報を取得する。撮像可能度算出部13が取得する環境情報には、天候情報、振動情報、方位情報、及び交通量情報が含まれる。そして、撮像可能度算出部13は、環境情報それぞれに基づいて、各時刻における天候情報フィルタ、振動情報フィルタ、太陽情報フィルタ、及び交通情報フィルタを生成する。そして、撮像可能度算出部13は、各時刻において、初期分布に、天候情報フィルタ、振動情報フィルタ、太陽情報フィルタ、及び交通情報フィルタを乗算することによって、撮像可能度マップPallを生成する。そして、撮像可能度算出部13は、撮像可能度マップPallを経路計画部14に出力する。
続いて、経路計画部14は、撮像計画を決定する(ステップS04)。ステップS04では、まず、経路計画部14は、撮像可能度マップPallに基づいて、建築物毎に撮像候補時刻を算出する(ステップS41)。具体的には、経路計画部14は、撮像可能度算出部13から撮像可能度マップPallを受け取ると、撮像可能度マップPallから撮像可能度が高い複数の時空間座標を選択する。経路計画部14は、選択した時空間座標の時刻を撮像候補時刻として設定することで、撮像候補時刻を算出する。
そして、経路計画部14は、算出した撮像候補時刻に基づいて、選択した時空間座標のうち総作業時間が最も短い組合せを抽出する。続いて、経路計画部14は、抽出した組合せに含まれる撮像候補時刻を、各建築物に対する撮像時刻として設定することによって、撮像計画を決定する(ステップS42)。そして、経路計画部14は、撮像計画を示す計画情報を出力部15に出力する。
続いて、出力部15は、経路計画部14から計画情報を受け取ると、計画情報を出力する(ステップS05)。例えば、出力部15は、撮像計画決定装置10が備える表示装置に計画情報を送信し、撮像計画を表示させる。以上のようにして、撮像計画決定装置10が実行する一連の処理が終了する。
以上説明したように、撮像計画決定装置10では、撮像範囲の状況を示す環境情報に応じて撮像に適した撮像候補時刻が建築物毎に算出される。そして、撮像計画が、複数の建築物のそれぞれに対して算出された撮像候補時刻に基づいて決定される。このため、撮像計画に含まれる撮像時刻は、撮像に適した時刻に設定される。従って、複数の建築物に対する効率的な撮像計画を決定することが可能となる。その結果、撮像計画を決定するために消費される各種ハードウェア資源を効率的に利用することが可能となる。
撮像範囲を分割することによって得られる複数の分割範囲に対して、環境情報に基づいて各時刻における撮像可能度が算出される。そして、複数の分割範囲それぞれと時刻との組合せに対する撮像可能度に基づいて、上述の撮像候補時刻が算出される。撮像可能度が大きい時刻が撮像候補時刻として算出されることによって、撮像時刻で建築物を撮像する場合に点検に必要な画像を取得できる可能性が高くなる。従って、建築物を実際に撮像するときに、天候等の各建築物の周囲状況によって建築物を撮像できない可能性を低減することが可能となる。
環境情報には、太陽の方位を示す方位情報が含まれ、各建築物の位置、複数の分割範囲それぞれの位置、及び各時刻における方位情報に基づいて上述の撮像可能度が算出される。従って、太陽の影響が考慮された撮像候補時刻を算出することが可能となる。
環境情報には、撮像範囲における天候を示す天候情報が含まれる。従って、天候の影響が考慮された撮像候補時刻を算出することが可能となる。
環境情報には、撮像範囲における地盤の振動の大きさを示す振動情報が含まれる。従って、地盤の振動による影響が考慮された撮像候補時刻を算出することが可能となる。
環境情報には、撮像範囲における交通量を示す交通量情報が含まれる。従って、交通量に応じた地盤の振動による影響が考慮された撮像候補時刻を算出することが可能となる。
撮像装置の性能情報に基づいて撮像範囲が算出される。従って、点検に必要な建築物の画像を取得することが可能な範囲は撮像装置の性能情報によって定まるので、容易に撮像範囲を算出することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
上記実施形態では、建築物の振動に基づいて建築物が点検されるが、他の点検手法が用いられてもよい。他の点検手法は、画像を用いた点検であればよい。例えば、建築物の表面に生じているひび割れ等に基づいて、建築物が点検されてもよい。上記実施形態では、建築物の振動を検出するために、動画像が用いられているが、点検手法によっては静止画像が用いられてもよい。
撮像可能度算出部13は、天候情報、振動情報、太陽の方位情報、及び交通量情報のうち少なくとも1つの情報を用いて撮像可能度を算出してもよい。撮像可能度を算出するために用いられる環境情報は、天候情報、振動情報、太陽の方位情報、及び交通量情報に限られない。
撮像可能度算出部13は、各建築物の撮像範囲における複数の分割範囲それぞれでの撮像可能度を算出することなく、各時刻において各建築物の撮像範囲に対して1つの撮像可能度を算出してもよい。
撮像範囲算出部12は、BIM(Building Information Modeling)情報を用いることで、点検対象の建築物に撮像装置を向けたときに建築物に対する死角が生じる領域を、撮像範囲から除外してもよい。撮像範囲算出部12は、各時刻において互いに異なる範囲を有する撮像範囲を算出してもよい。撮像可能度算出部13は、撮像範囲を含む対象区域を円形状の複数の分割範囲によって分割してもよい。
経路計画部14は、GIS(Geographic Information System)情報を利用することによって、2つの建築物間の移動時間を算出してもよい。撮像を開始する日時及び撮像を終了する日時が、制約情報として撮像計画決定装置10に入力されてもよい。点検を行う作業者の勤務時間帯が、制約情報として撮像計画決定装置10に入力されてもよい。ユーザが指定する経由地が、制約情報として入力されてもよい。
経路計画部14は、総作業時間が短い組合せを算出する際に、総当たり計算(繰り返し計算)ではなく、偏微分によって総作業時間が短い組合せを算出してもよい。
撮像可能度を算出する時刻間の時間間隔は、環境情報のうち時刻間の時間間隔が最も短い情報に合わせられてもよい。この場合、各時刻での情報が不足する環境情報は、線形補間等によって補われてもよい。あるいは、撮像可能度を算出する時刻間の時間間隔は、環境情報のうち時刻間の時間間隔が最も長い情報に合わせられてもよい。この場合、撮像可能度を算出する時刻以外の環境情報は、用いられなくてもよい。
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
例えば、本発明の一実施形態における撮像計画決定装置10は、本実施形態の撮像計画決定装置10の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図9は、本実施形態に係る撮像計画決定装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の撮像計画決定装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。撮像計画決定装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
撮像計画決定装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、並びにメモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、撮像計画決定装置10の各機能は、プロセッサ1001で実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、及びデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、撮像計画決定装置10の各機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、撮像計画決定装置10の各機能は、通信装置1004で実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、撮像計画決定装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって)行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
本明細書で使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本明細書で「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書において、文脈又は技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。