ここで、本発明は、以降に、付随する図面および実施例に関して説明されて、そこに本発明の実施態様が示される。この説明は、本発明が実施され得る全ての異なる手段または本発明に加えられ得る全ての特徴の、詳細な一覧であることを意図しない。例えば、一実施態様に関して説明される特徴は、他の実施態様に取り込まれ得て、特定の実施態様に関して説明される特徴は、その実施態様から取り除かれ得る。したがって、本発明は、本発明の一部の実施態様では、本明細書において示される任意の特徴または特徴の組み合わせを除外または省略することができることを検討する。加えて、本明細書において示唆される様々な実施態様に対する非常に多くの変更および追加は、本開示に照らして当業者に明らかであり、本発明から逸脱しない。それ故に、以下の説明は、本発明の一部の特定の実施態様を説明することを意図し、それらの全ての並べ替え、組み合わせ、および変更を徹底的に特定することを意図しない。
別段の定義がされない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者の一人により一般に理解されるのと同一の意味を有する。本発明において本発明の説明に用いられる専門用語は、特定の実施態様を説明する目的のためのみであり、本発明の限定を意図しない。
本明細書において引用される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照が提供される文章および/または段落に関連のある教示に関して、それらの全体で参照により援用される。本明細書において採用される技術に対する言及は、これらの技術に対する変形または当業者にとって明らかな同等技術の置換を含んで、当該分野において一般に理解される技術を言及することを意図する。
文脈が別段の指示をしない限り、本明細書に説明される本発明の様々な特徴は、任意の組み合わせで用いられ得ることが明確に意図される。さらにまた、本発明は、本発明の一部の実施態様では、本明細書において示される任意の特徴または特徴の組み合わせは、除外または省略され得ることも検討する。説明すると、明細書が、組成物は構成要素A、BおよびCを含む、と述べる場合、A、BまたはCのいずれか、またはそれらの組み合わせが、単独でまたは任意の組み合わせで、省略および放棄され得ることが明確に意図される。
本発明の説明および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形を同様に含むことが意図される。
本明細書において用いられる「および/または」は、関係がある列挙された項目の1つまたは複数の任意および全てのあり得る組み合わせ、ならびに、選択肢で(「または」)解釈された場合は組み合わせの欠失を指し、および包含する。
本明細書において用いられる用語「約」は、例えば用量または期間のような測定可能な値を言及する場合、規定の量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、または実に±0.1%の変動を指す。
本明細書において用いられる、「XおよびYの間」および「約XおよびYの間」のような語句は、XおよびYを含むと解釈されるべきである。本明細書において用いられる「約XおよびYの間」のような語句は、「約Xおよび約Yの間」を意味し、「約XからYまで」のような語句は、「約Xから約Yまで」を意味する。
本明細書において用いられる用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および、「含む(comprising)」は、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、エレメント、および/または、構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、エレメント、構成要素、および/または、それらの群の存在または追加を排除しない。
本明細書において用いられる、移行句「から本質的になる」は、クレームの範囲が、クレーム内に挙げられた規定の材料またはステップおよびクレームされた発明の基本的および新規の特徴(単数または複数)に実質的に影響を及ぼさないものを包含すると解釈すべきであることを意味する。したがって、用語「から本質的になる」は、本発明のクレームにおいて用いられる場合、「含む(comprising)」と同等であると解釈されることを意図しない。
本明細書において用いられる「キメラ」は、少なくとも2つの構成要素が、異なる供給源(例えば、異なる生物、異なるコード領域)に由来する、核酸分子またはポリペプチドを指す。
本明細書において用いられる「相補」は、比較ヌクレオチド配列との100%相補性または同一性を意味することができ、または、100%未満の相補性(例えば、約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%などの相補性)を意味することができる。
本明細書において用いられる用語「相補」または「相補性」は、塩基対合による、許容的な塩および温度条件下でのポリヌクレオチドの自然な結合を指す。例えば、配列「A−G−T」は、相補配列「T−C−A」と結合する。2つの一本鎖分子間の相補性は、ヌクレオチドの一部のみが結合する「部分的」であってよく、または、一本鎖分子間に全体的な相補性が存在する場合は完全であってよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に重大な効果を有する。
本明細書において用いられる用語「発現する(express)」、「発現する(expresses)」、「発現される(expressed)」または「発現(expression)」などは、核酸分子および/またはヌクレオチド配列(例えば、RNAまたはDNA)に関して、核酸分子および/またはヌクレオチド配列が転写されること、および任意選択で、翻訳されることを示す。したがって、核酸分子および/またはヌクレオチド配列は、例えば、目的のポリペプチドまたは機能性未翻訳RNAを発現し得る。
ヌクレオチド配列の「フラグメント」または「部分」は、参照核酸またはヌクレオチド配列に対して縮小された長さのヌクレオチド配列を意味すると理解され(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはそれよりも多くのヌクレオチドが縮小される)、参照核酸またはヌクレオチド配列と同一または実質的に同一(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一)の連続したヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む、から本質的になる、および/またはからなる。本発明によるそのような核酸フラグメントまたは部分は、適切な場合、それがその構成成分である、より大きなポリヌクレオチド内に含まれてよい。
本明細書において用いられる用語「遺伝子」は、mRNA、アンチセンスRNA、RNAi(miRNA、siRNA、shRNA)、抗−マイクロRNAアンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチド(AMO)などを生産するために用いることが可能な核酸分子を指す。遺伝子は、機能性タンパク質または遺伝子産物を生産するために用いることが可能であってよく、または可能でなくてよい。遺伝子は、コードおよび非コード領域の両方(例えば、イントロン、調節エレメント、プロモーター、エンハンサー、終結配列および/または5’および3’非翻訳領域)を含むことができる。遺伝子は、「単離」されてよく、それによって、その天然の状態で核酸と関連して通常見られる構成要素から実質的または本質的にフリーである核酸が意味される。そのような構成要素は、他の細胞物質、組み換え生産による培養培地、および/または、核酸を化学合成するのに用いられる様々な化学物質を含む。
「異種」または「組み換え」核酸は、それが導入される宿主細胞と天然に関連しないヌクレオチド配列であり、天然起源でない多コピーの天然起源ヌクレオチド配列を含む。あるいは、異種ヌクレオチド配列は、それが関係する別のヌクレオチド配列とは天然に生じないものであり得る。例えば、核酸分子と動作可能に関連する「異種プロモーター」を含む核酸構築物は、それが関係する前記核酸分子とは天然に生じないプロモーターである。
相同性を有する異なる核酸またはタンパク質は、本明細書において「相同体」と呼ぶ。相同体という用語は、同一および他の種由来の相同配列、および、同一および他の種由来のオルソロガス配列を含む。「相同性」は、位置同一性(すなわち配列類似性または同一性)のパーセントの観点からの、2以上の核酸および/またはアミノ酸配列の間の類似性のレベルを指す。また、相同性は、異なる核酸またはタンパク質間の類似の機能特性の概念を指す。したがって、本発明の組成物および方法は、本発明のヌクレオチド配列およびポリペプチド配列に対する相同体をさらに含む。本明細書において用いられる「オルソロガス」は、種分化の間に共通の祖先遺伝子から生じる異なる種における相同ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列を指す。本発明のヌクレオチド配列の相同体は、本発明の前記ヌクレオチド配列と実質的な(例えば、少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%)配列同一性を有する。一部の実施態様では、内因性BBLeポリヌクレオチドは、配列番号3のヌクレオチド配列と、約97%同一性(例えば、約97、98、99、または100%同一性)を有してよく、一部の実施態様では、内因性BBLd−1ポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列と、約97%同一性(例えば、約97、98、99、または100%同一性)を有してよい。一部の実施態様では、内因性BBLd−2ポリヌクレオチドは、配列番号2のヌクレオチド配列と、約97%同一性(例えば、約97、98、99、または100%同一性)を有してよい。
本明細書において用いられる、ハイブリダイゼーション(hybridization)、ハイブリダイズする(hybridize)、ハイブリダイズする(hybridizing)、およびそれらの文法的変形は、2つの完全に相補のヌクレオチド配列またはいくつかのミスマッチの塩基対が存在し得る実質的に相補の配列の結合を指す。ハイブリダイゼーションの条件は当該分野でよく知られていて、ヌクレオチド配列の長さおよびヌクレオチド配列間の相補性の程度に基づき変化する。一部の実施態様では、ハイブリダイゼーションの条件は、高ストリンジェンシーであってよく、または、それらは、ハイブリダイズされる配列の長さおよび相補性の量に応じて、中ストリンジェンシーまたは低ストリンジェンシーであってよい。ヌクレオチド配列間のハイブリダイゼーションの目的に関して低、中および高ストリンジェンシーを構成する条件は、当該分野でよく知られている(例えば、Gasiunas et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.109:E2579−E2586;M.R.Green and J.Sambrook(2012)Molecular Cloning:A Laboratory Manual.4th Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYを参照)。
本明細書において用いられる用語「増大する(increase)」、「増大する(increasing)」、「増大した(increased)」「増強する(enhance)」「増強した(enhanced)」「増強する(enhancing)」および「増強(enhancement)」(およびそれらの文法的変形)は、コントロールと比べて、少なくとも約15%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%またはそれよりも高い上昇を表す。
本明細書において用いられる、「改変する(modify)」、「改変する(modifying)」または「改変(modification)」(およびそれらの文法的変形)は、核酸の発現および/またはポリペプチドの生産および/または活性の低減または除去をもたらす、BBLポリヌクレオチド(例えば、BBLe、BBLd−1、BBLd−2)および/またはBBLポリペプチドまたは他のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの任意の変更を意味する。そのような改変は、限定されないが、1つまたは複数のヌクレオチドまたは全体的な核酸領域(転写および非転写領域)の欠失または挿入、および/または、核酸の発現および/またはポリペプチドの生産および/または活性を低減または除去する1つまたは複数の点突然変異の導入を含んでよい。
本明細書において用いられる用語「調整する(modulate)」、「調整する(modulates)」、「調整される(modulated)」または「調整(modulation)」は、特定の活性(例えば、調整されたニコチン生産/含有量)における、増強(例えば増大)または阻害(例えば低減)を指す。したがって、一部の実施態様では、コントロールと比較して、約15%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%またはそれよりも多い活性(例えば、ヌクレアーゼ活性)における上昇または増大が観察され得る。他の実施態様では、コントロールと比較して、約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の発現レベルまたは活性(例えば、BBLe、BBLd−1、BBLd−2発現レベルまたはBBLe、BBLd−1、BBLd−2ポリペプチド活性)における低減。
「ネイティブ」または「野生型」の核酸、ヌクレオチド配列、ポリペプチドまたはアミノ酸配列は、天然起源または内因性の核酸、ヌクレオチド配列、ポリペプチドまたはアミノ酸配列を指す。したがって、例えば、「野生型mRNA」は、生物において天然起源または内因性であるmRNAである。「相同」核酸配列は、それが導入される宿主細胞と天然に関連するヌクレオチド配列である。
また、本明細書において用いられる用語「核酸」、「核酸分子」、「核酸構築物」、「ヌクレオチド配列」および「ポリヌクレオチド」は、直鎖または分岐の一本鎖または二本鎖であるRNAまたはDNA、またはそれらのハイブリッドを指す。また、用語は、RNA/DNAハイブリッドも包含する。dsRNAが合成的に生産される場合は、一般的でない塩基、例えば、イノシン、5−メチルシトシン、6−メチルアデニン、ヒポキサンチンおよびその他もまた、アンチセンス、dsRNA、およびリボザイム対合に用いることができる。例えば、シチジンおよびウリジンのC−5プロピンアナログを含むポリヌクレオチドは、高アフィニティでRNAと結合し、遺伝子発現の強力なアンチセンス阻害剤となることが示されている。他の修飾、例えば、ホスホジエステル主鎖、またはRNAのリボース糖基内の2’−ヒドロキシに対する修飾もすることができる。本開示の核酸構築物は、DNAまたはRNAであってよいが、好ましくはDNAである。したがって、本発明の核酸構築物は、DNAの形態で記載され用いられ得るが、使用目的に応じて、RNAの形態で記載され用いられてもよい。
本明細書において用いられる「ニコチン性アルカロイド」は、ニコチン酸から得られるアルカロイドを指す。これらのアルカロイドは、一般に、3−ピリジル環構造を含み、ニコチン、ノルニコチン、アナタビンおよびアナバシンは、ニコチアナ属内で優勢のニコチン性アルカロイドを示す。一部の実施態様では、ニコチン性アルカロイドは、ニコチン、ノルニコチン、アナタビンおよび/またはアナバシンを含んでよく、から本質的になってよく、またはからなってよい。
本明細書において用いられる「アルカロイド含有量」は、例えば、乾燥重量パーセント(乾燥重量%)または新鮮重量パーセント(新鮮重量%)の観点から、植物内に見られるアルカロイドの合計量を意味する。
本発明で有用な植物は、ニコチンおよび/または他の関連するアルカロイドを生産する任意のニコチアナ植物であってよい。したがって、一部の実施態様では、植物は、Nicotiana tabacum、Nicotiana rusticaまたはNicotiana benthamianaであってよい。制限されないが、アロマティック火力乾燥、ブライト葉タバコ、バーレイ種;Cavendish;Corojo;Criollo;Orientalタバコ;Perique;Shadeタバコ;Thuoc lao;Type22;NC95、K326、K346、ホワイトバーレイ種、Wildタバコ、Y1などを含む、任意の様々なタバコが、本発明で有用である。
明細書において用いられる用語「ヌクレオチド配列」は、ヌクレオチドのヘテロポリマーまたは核酸分子の5’から3’末端のこれらのヌクレオチドの配列を指し、DNAまたはRNA分子を含み、cDNA、DNAフラグメントまたは部分、ゲノムDNA、合成(例えば化学合成)DNA、プラスミドDNA、mRNA、およびアンチセンスRNAを含み、そのいずれも一本鎖または二本鎖であってよい。また、用語「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書において交換可能に用いられて、ヌクレオチドのヘテロポリマーも指す。本明細書において与えられる全ての核酸は、5’および3’末端を有する。さらに、別段の指示がされる場合を除き、本明細書において提供される核酸分子および/またはヌクレオチド配列は、本明細書において、5’から3’の方向で左から右に示され、米国の配列規則(連邦規則法典第37巻セクション1.821〜1.825)および世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25に示されるヌクレオチド文字を表すための標準的なコードを用いて表される。
本明細書において用いられる用語「パーセント配列同一性」または「パーセント同一性」は、2つの配列が最適に並べられた場合の、試験(「対象」)ポリヌクレオチド分子(またはその相補鎖)と比較した、参照(「クエリー」)ポリヌクレオチド分子(またはその相補鎖)の直鎖ポリヌクレオチド配列内の同一のヌクレオチドのパーセンテージを指す。一部の実施態様では、「パーセント同一性」は、アミノ酸配列内の同一のアミノ酸のパーセンテージを指し得る。
本明細書において用いられる用語「植物部分」は、制限されないが、生殖組織(例えば、花弁、萼片、雄ずい、雌ずい、花托、葯、花粉、花、果実、花芽、胚珠、種子、胚);栄養組織(例えば、葉柄、茎、根、根毛、根端、髄、子葉鞘、葉柄、シュート、枝、頂端分裂組織、えき芽、子葉、胚軸、および葉);維管束組織(例えば、師部および木部);特殊化細胞、例えば、表皮細胞、実質組織細胞、厚角組織細胞、厚膜組織細胞、気孔、孔辺細胞、クチクラ、葉肉細胞;カルス組織;および挿し木を含む。また、用語「植物部分」は、植物および/または植物の部分、植物プロトプラスト、植物組織、植物器官、植物細胞組織培養物、植物カルス、植物クランプなどにおいて無傷の植物細胞を含む、植物細胞も含む。本明細書において用いられる「シュート」は、葉および茎を含む、地上部を指す。本明細書において用いられる用語「組織培養物」は、組織、細胞、プロトプラストおよびカルスの培養物を包含する。
本明細書において用いられる「植物細胞」は、植物の構造的および生理学的単位を指し、それは典型的に細胞壁を含むが、プロトプラストも含む。本発明の植物細胞は、単離された単一細胞の形態であってよく、または培養細胞であってよく、または、例えば、植物組織(カルスを含む)または植物器官のような、より高く組織化された単位の部分であってよい。一部の実施態様では、植物細胞は、藻類細胞であってよい。
「植物細胞培養物」は、例えば、プロトプラスト、細胞培養細胞、植物組織、花粉、花粉管、胚珠、胚嚢、接合体、および発達の様々な段階の胚における細胞のような、植物単位の培養物を意味する。本発明の一部の実施態様では、トランスジェニック組織培養物またはトランスジェニック植物細胞培養物が提供されて、ここで、トランスジェニック組織または細胞培養物は、本発明の核酸分子/ヌクレオチド配列を含む。
本明細書において用いられる「植物器官」は、根、茎、葉、花芽、または胚のような、植物の別個の視認可能な構造をした分化した部分である。
本明細書において用いられる「植物組織」は、構造的および機能的単位に組織化された植物細胞のグループを意味する。植物体内または培養物中の植物の任意の組織が含まれる。この用語は、制限されないが、植物全体、植物器官、植物種子、組織培養物、および、構造的および/または機能的単位に組織化された植物細胞の任意のグループを含む。上記に挙げられる任意の特定のタイプの植物組織またはこの定義によって他の方法で包含されるものを伴うまたは不存在下でのこの用語の使用は、いかなる他のタイプの植物組織の除外も意図しない。
本明細書において用いられる用語「縮小する(reduce)」、「縮小された(reduced)」、「縮小する(reducing)」、「縮小(reduction)」、「減少する(diminish)」、「抑制する(suppress)」、および、「低減する(decrease)」(およびそれらの文法的変形)は、例えば、コントロールと比較して、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、35%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%の低減を説明する。特定の実施態様では、縮小は、検出可能な活性または量をもたらすことができず、または本質的にもたらすことができない(すなわち、ほんのわずかな量、例えば、約10%または実に5%未満)。したがって、例えば、標的DNAの縮小された転写は、コントロール(例えば、BBL核酸内に突然変異を含まない植物)と比較して、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の標的遺伝子の転写の縮小を意味し得る。
本明細書において用いられる「配列同一性」は、2つの最適に並べられたポリヌクレオチドまたはペプチド配列が、構成要素(例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸)のアライメントのウインドウ全体で不変である程度を指す。「同一性」は、制限されないが:Computational Molecular Biology(Lesk, A.M.,ed.)Oxford University Press,New York(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,ed.)Academic Press,New York(1993);Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.)Humana Press,New Jersey(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,ed.)Academic Press(1987);and Sequence Analysis Primer (Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.)Stockton Press,New York(1991)に記載のものを含む公知の方法により、容易に計算することができる。
本明細書において用いられる、「標的DNA」、「標的領域」または「ゲノム内の標的領域」は、任意のクラスのカスタムデザインヌクレアーゼ(例えば、ZFN、TALEN、メガヌクレアーゼ、CRISPR−Casなど)がそれに対して結合および切断するように改変されている遺伝子の領域に対して、完全に相補または実質的に相補である(例えば、少なくとも70%(例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも高い)相補である)、生物のゲノムの領域を指す。
本明細書において用いられる語句「実質的に同一」、または「実質的な同一性」は、少なくとも2つの核酸分子、ヌクレオチド配列またはタンパク質配列の関連において、最大一致に関して比較および整列した場合に、以下の配列比較アルゴリズムの1つを用いてまたは目視検査によって測定して、少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および/または100%ヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有する2以上の配列またはサブシーケンスを指す。
配列比較のために、典型的に、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列としての役割がある。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験および参照配列がコンピューターに入力され、必要な場合はサブシーケンス座標が指定されて、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。それから、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づき、参照配列に対する試験配列(単数または複数)のパーセント配列同一性を計算する。
比較ウインドウを並べるための配列の最適なアライメントは当業者に広く知られ、Smith and Watermanのローカル相同性アルゴリズム、Needleman and Wunschの相同性アライメントアルゴリズム、Pearson and Lipmanの類似性検索方法などのツールにより、および場合により、GCG(登録商標)Wisconsin Package(登録商標)(Accelrys Inc.,San Diego,CA)の一部として利用可能なGAP、BESTFIT、FASTA、および、TFASTAなどのアルゴリズムのコンピューター実施により、行なわれ得る。試験配列および参照配列の並べられたセグメントに関する「同一性分数」は、2つの並べられた配列が共有する同一の構成要素の数を、参照配列セグメント(すなわち、参照配列全体または参照配列のより小さな規定部分)内の構成要素の全数で割った数である。パーセント配列同一性は、同一性分数に100をかけて表される。1つまたは複数のポリヌクレオチド配列の比較は、全長ポリヌクレオチド配列またはその一部に対して、または、より長いポリヌクレオチド配列に対して、され得る。本発明の目的に関し、「パーセント同一性」は、翻訳ヌクレオチド配列のためのBLASTX version 2.0およびポリヌクレオチド配列のためのBLASTN version 2.0を用いて決定されてもよい。
BLAST解析を行なうためのソフトウェアは、国立生物工学情報センターを通じて一般に利用可能である。このアルゴリズムは、データベース配列内の同じ長さのワードと並べた場合に、一部の正の値の閾値スコアTと一致する、または満たす、クエリー配列内の長さWのショートワードを特定することにより、高スコア配列ペア(HSP)を最初に特定するステップを含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.,1990)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つけるためのサーチを始める種として作用する。それから、ワードヒットは、累積アライメントスコアが増加し得る限り、各配列に沿って両方向に伸びる。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメーターM(一致する残基のペアに関する恩恵スコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基に関するペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列については、スコアマトリックスを用いて累積スコアを計算する。各方向でのワードヒットの伸長は、累積アライメントスコアがその最大達成値から量X低下した場合、1つまたは複数の負のスコアの残基アライメントの蓄積に起因して累積スコアが0以下になった場合、または、いずれかの配列が終わりに到達した場合に、停止する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関して)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、カットオフ100、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、ワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコアマトリックスを使用する(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915(1989)を参照)。
パーセント配列同一性の計算に加え、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計分析も行う(例えば、Karlin&Altschul,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA90:5873 5787 (1993)を参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの評価基準は最小和確率(P(N))であり、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間で一致が偶然に生じる確率の示度を提供する。例えば、参照ヌクレオチド配列に対する試験ヌクレオチド配列の比較における最小和確率が約0.1未満〜約0.001未満である場合に、試験核酸配列は参照配列と類似すると考えられる。したがって、本発明の一部の実施態様では、参照ヌクレオチド配列に対する試験ヌクレオチド配列の比較における最小和確率は、約0.001未満である。
また、2つのヌクレオチド配列は、2つの配列がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズする場合にも、実質的に相補であると考えてよい。一部の代表的な実施態様では、実質的に相補であると考えられる2つのヌクレオチド配列は、高度にストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズする。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」および「ストリンジェントなハイブリダイゼーション洗浄条件」は、サザンおよびノーザンハイブリダイゼーションのような核酸ハイブリダイゼーション実験の関連において、配列依存性であり、異なる環境パラメーター下で異なる。核酸のハイブリダイゼーションの広範なガイドは、Tijssen Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes 第I部 第2章「Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays」Elsevier,New York(1993)に見られる。一般に、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、規定されたイオン強度およびpHでの特定の配列に関する温度融点(Tm)よりも約5℃低く選択される。
Tmは、(規定されたイオン強度およびpH下で)標的配列の50%が完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度である。非常にストリンジェントな条件は、特定のプローブに関するTmと等しいように選択される。サザンまたはノーザンブロットにおいてフィルター上に100よりも多い相補残基を有する相補ヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションに関するストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、42℃で、1mgのヘパリンを含む50%ホルムアミドであり、ハイブリダイゼーションを一晩行なう。高度にストリンジェントな洗浄条件の例は、72℃で、0.15M NaCl、約15分間である。ストリンジェントな洗浄条件の例は、15分間、65℃で0.2×SSC洗浄である(SSCバッファーの説明に関して、Sambrook、下記を参照)。度々、高いストリンジェンシーの洗浄は、バックグラウンドのプローブシグナルを除去するための低いストリンジェンシーの洗浄によって先行される。例えば100ヌクレオチドを超える二本鎖に関する中度のストリンジェンシーの洗浄の例は、45℃で、1×SSC、15分間である。例えば100ヌクレオチドを超える二本鎖に関する低いストリンジェンシーの洗浄の例は、40℃で、4〜6×SSC、15分間である。短いプローブ(例えば、約10〜50ヌクレオチド)については、ストリンジェントな条件は、典型的に、pH7.0〜8.3で、約1.0M未満のNaイオン、典型的に約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(または他の塩類)の塩濃度を伴い、温度は典型的に、少なくとも約30℃である。また、ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の付加によっても達成され得る。一般に、特定のハイブリダイゼーションアッセイにおける、関係のないプローブに関して観察されるものよりも2倍の(またはそれよりも高い)シグナル・ノイズ比は、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示す。ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしないヌクレオチド配列は、それらがコードするタンパク質が実質的に同一であるならば、なおも実質的に同一である。これは、例えば、遺伝コードによって許容される最大コドン縮退を用いてヌクレオチド配列のコピーが作られる場合に生じ得る。
以下は、本発明の参照ヌクレオチド配列と実質的に同一の相同ヌクレオチド配列をクローニングするために用いられ得るハイブリダイゼーション/洗浄条件のセットの例である。一実施態様では、参照ヌクレオチド配列は、50℃での2×SSC、0.1%SDS中の洗浄により、50℃で7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中で、「テスト」ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。別の実施態様では、参照ヌクレオチド配列は、50℃での1×SSC、0.1%SDS中の洗浄により、50℃で7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中で、または、50℃での0.5×SSC、0.1%SDSの洗浄により、50℃で7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中で、「テスト」ヌクレオチド配列にハイブリダイズする。さらに、さらなる実施態様では、参照ヌクレオチド配列は、50℃での0.1×SSC、0.1%SDS中の洗浄により、50℃で7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中で、または、65℃での0.1×SSC、0.1%SDS中の洗浄により、50℃で7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO4、1mM EDTA中で、「テスト」ヌクレオチド配列とハイブリダイズする。
本明細書に記載される任意の実施態様では、目的のヌクレオチド配列(例えば、BBL核酸を突然変異させるのに有用なヌクレアーゼをコードする核酸)は、植物細胞における発現のための、様々なプロモーター、ターミネーター、および/または他の調節エレメントと動作可能に関連され得る。植物細胞において機能性の任意のプロモーター、ターミネーターまたは他の調節エレメントは、本発明の核酸とともに用いられ得る。代表的な実施態様では、プロモーターは、本発明を実施するのに有用なポリヌクレオチドおよび/または核酸に動作可能に連結され得る。一部の実施態様では、ターミネーターは、本発明のポリヌクレオチドおよび/または核酸に動作可能に連結され得る。
「プロモーター」は、プロモーターと動作可能に関連するヌクレオチド配列(すなわち、コード配列)の転写を制御または調節するヌクレオチド配列である。コード配列は、ポリペプチドおよび/または機能性RNAをコードしてよい。典型的に、「プロモーター」は、RNAポリメラーゼIIまたはRNAポリメラーゼIIIに関する結合部位を含むヌクレオチド配列を指し、転写の開始を指示する。一般に、プロモーターは、対応するコード配列のコドン領域のスタートに対して5’または上流に見られる。プロモーター領域は、遺伝子発現のレギュレーターとして作用する他のエレメントを含んでよい。これらは、TATAボックスコンセンサス配列、およびしばしば、CAATボックスコンセンサス配列を含む(Breathnach and Chambon,(1981)Annu.Rev.Biochem.50:349)。植物では、CAATボックスは、AGGAボックスによって置換されてよい(Messing et al.,(1983)in Genetic Engineering of Plants,T.Kosuge,C.Meredith and A.Hollaender(eds.),Plenum Press,pp.211−227)。
本発明で有用なプロモーターは、組み換え核酸分子、すなわち、「キメラ遺伝子」または「キメラポリヌクレオチド」の調製での使用のための、例えば、構成的な、誘導性の、時間的に制御された、発生的に制御された、化学的に制御された、組織好適および/または組織特異的なプロモーターを含んでよい。これらの様々なタイプのプロモーターは、当技術分野で知られている。プロモーターの選択は、発現に関する時間的および空間的要求に応じて、および、形質転換されるべき宿主細胞にも応じて変化する。多くの異なる生物に関するプロモーターは、当技術分野でよく知られている。当技術分野に存在する広範な知識に基づいて、目的の特定の宿主生物のために適切なプロモーターが選択され得る。したがって、例えば、モデル生物において、高度に構成的に発現される遺伝子の上流のプロモーターについて多くが知られていて、そのような知識は、必要に応じて他のシステムにおいて容易にアクセスおよび実施され得る。一部の実施態様では、目的のヌクレオチド配列の発現は、任意の植物および/または植物部分内(例えば、葉内、葉柄または茎内、穂内、花序内、根、種子および/または苗内など)であってよく、それによってプロモーターが選択される。
本明細書に記載される実施態様では、本発明のポリヌクレオチドおよび核酸の1つまたは複数は、プロモーターならびにターミネーター、および/または、植物細胞における発現に関する他の調節エレメントと、動作可能に関連し得る。植物細胞内で機能性である任意のプロモーター、ターミネーターまたは他の調節エレメントは、本発明の核酸とともに用いられ得る。本発明で有用なプロモーターの非限定的な例は、Arabidopsis thalianaのU6 RNAポリメラーゼIIIプロモーター、35Sプロモーター、アクチンプロモーター、ユビキチンプロモーター、ルビスコ小サブユニットプロモーター、制限されないが、AlcR/AlcA(エタノール誘導性)プロモーター、グルココルチコイド受容体(GR)融合、GVG、pOp/LhGR(デキサメタゾン誘導性)プロモーター、XVE/OlexA(β−エストラジオール誘導性)プロモーター、ヒートショックプロモーターおよび/または双方向性プロモーターを含む誘導性プロモーターを含む(例えば、Gatz,Christine.Current Opinion in Biotechnology 7(2):168−172(1996);Borghi L.Methods Mol Biol.655:65−75(2010);Baron et al.Nucleic acids research 23(17)(1995),3605;Kumar et al.Plant molecular biology 87(4−5):341−353(2015)を参照)。
本明細書において用いられる「動作可能に連結される」または「動作可能に関連する」は、示されるエレメントが機能的に互いに関係すること、および、一般に物理的にも関係することを意味する。したがって、本明細書において用いられる用語「動作可能に連結される」または「動作可能に関連する」は、機能的に関係する単一の核酸分子上のヌクレオチド配列を指す。したがって、第二のヌクレオチド配列に動作可能に連結された第一のヌクレオチド配列は、第一のヌクレオチド配列が、第二のヌクレオチド配列と機能的関係で配置されることを意味する。例えば、プロモーターがヌクレオチド配列の転写または発現に作用するならば、プロモーターは前記ヌクレオチド配列と動作可能に関連する。制御配列(例えば、プロモーター)は、制御配列がその発現を指示する機能を果たす限り、それが動作可能に関連するヌクレオチド配列と連続する必要はないことを、当業者は理解するであろう。したがって、例えば、介在する非翻訳の、また転写されていない配列が、プロモーターとヌクレオチド配列との間に存在してよく、および、プロモーターは、なおも、ヌクレオチド配列と「動作可能に連結される」と考えられ得る。
一部の実施態様では、BBL核酸および任意の他の目的のポリヌクレオチド(例えば、ニコチン性アルカロイド生合成を正に調節するニコチン性アルカロイド生合成酵素転写因子をコードする他のポリヌクレオチド)を改変または突然変異するための構成要素は、「発現カセット」内に含まれてよい。本明細書において用いられる「発現カセット」は、目的のヌクレオチド配列を含む核酸構築物(例えば、BBL核酸の突然変異に有用であるヌクレアーゼ)を意味し、ここで、前記ヌクレオチド配列は、少なくとも制御配列(例えばプロモーター)と作動可能に関連する。発現カセットは、キメラであってよく、その構成要素の少なくとも1つが、それの他の構成要素の少なくとも1つに対して異種であることを意味する。したがって、例えば、発現されるべき核酸は、発現されるべき核酸に対して異種(例えば、CRISPRガイドDNAに対して異種)である、プロモーターまたは他の調節エレメントに動作可能に連結され得る。また、発現カセットは、天然起源であるが異種発現に有用な組み換え体において得られたものであってもよい。
プロモーターに加えて、発現カセットは、任意選択で、制限されないが、転写および/または翻訳終結領域(すなわち、終結領域)を含む、植物細胞において機能性のさらなる調節エレメントを含んでもよい。様々な転写ターミネーターが、発現カセットでの使用に利用可能であり、目的の異種ヌクレオチド配列を超えた転写の終結および正しいmRNAポリアデニル化を担う。終結領域は、転写開始領域にネイティブであってよく、動作可能に連結された目的のヌクレオチド配列にネイティブであってよく、宿主細胞にネイティブであってよく、または、別の由来(すなわち、プロモーターに対して、目的のヌクレオチド配列に対して、宿主に対して、または任意のそれらの組み合わせに対して、外来または異種)から得られてよい。植物において機能性であって本発明で有用なターミネーターの非限定的な例は、アクチンターミネーター;ルビスコ小サブユニットターミネーター、ルビスコ大サブユニットターミネーター、ノパリンシンターゼターミネーター、および/または、ユビキチンターミネーターを含む。
ウイルス由来の多くの非翻訳リーダー配列は、遺伝子発現を高めることが知られている。特に、Tobacco Mosaic Virus(TMV、「ω−配列」)、Maize Chlorotic Mottle Virus(MCMV)およびAlfalfa Mosaic Virus(AMV)由来のリーダー配列は、発現を高めるのに効果的であることが示されている(Gallie et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:8693−8711;およびSkuzeski et al.(1990)Plant Mol.Biol.15:65−79)。当技術分野で知られている他のリーダー配列は、限定されないが、ピコルナウイルスリーダー、例えば、脳心筋炎(EMCV)5’非コード領域リーダー(Elroy−Stein et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6126−6130);ポティウイルスリーダー、例えば、Tobacco Etch Virus(TEV)リーダー(Allison et al.(1986)Virology 154:9−20);Maize Dwarf Mosaic Virus(MDMV)リーダー(Allison et al.(1986)、同上);ヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)リーダー(Macejak&Samow(1991)Nature 353:90−94);AMVのコートタンパク質mRNA由来の非翻訳リーダー(AMV RNA 4;Jobling&Gehrke(1987)Nature 325:622−625);タバコモザイクTMVリーダー(Gallie et al.(1989)Molecular Biology of RNA 237−256);およびMCMVリーダー(Lommel et al.(1991)Virology 81:382−385)を含む。Della−Cioppa et al.(1987)Plant Physiol.84:965−968も参照。
また、発現カセットは、任意選択で、植物において機能性である転写および/または翻訳終結領域(すなわち、終結領域)を含んでもよい。様々な転写ターミネーターが、発現カセットでの使用に利用可能であり、目的の異種ヌクレオチド配列を超えた転写の終結および正しいmRNAポリアデニル化を担う。終結領域は、転写開始領域にネイティブであってよく、動作可能に連結された目的のヌクレオチド配列にネイティブであってよく、植物宿主にネイティブであってよく、または、別の由来(すなわち、プロモーター、目的のヌクレオチド配列、植物宿主、またはそれらの任意の組み合わせに対して、外来または異種)から得られてよい。適切な転写ターミネーターは、限定されないが、CAMV 35Sターミネーター、tmlターミネーター、ノパリンシンターゼターミネーター、および/または、pea rbcs E9ターミネーターを含む。これらは、単子葉植物および双子葉植物の両方において用いられ得る。加えて、コード配列のネイティブの転写ターミネーターが用いられ得る。
また、発現カセットは、形質転換された宿主細胞を選択するために用いられ得る選択可能マーカーのためのヌクレオチド配列を含んでもよい。本明細書において用いられる「選択可能マーカー」は、発現された場合に、マーカーを発現している宿主細胞に個別の表現型を与えて、およびしたがって、マーカーを有さないものから、そのような形質転換された細胞が区別されるのを可能にする、ヌクレオチド配列を意味する。そのようなヌクレオチド配列は、化学的手段によって、例えば選択的薬剤(例えば抗生物質など)を用いることによって選択され得る特性をマーカーが与えるかどうか、または、単にマーカーは観察または試験を通して、例えばスクリーニング(蛍光など)によって同定することのできる特性であるかどうかに応じて、選択可能またはスクリーニング可能なマーカーのいずれかをコードしてよい。適切な選択可能マーカーの多くの例が当技術分野で知られていて、本明細書に記載の発現カセットにおいて用いられ得る。
発現カセットに加えて、本明細書に記載の核酸は、ベクターと関連して用いられ得る。用語「ベクター」は、1つまたは複数の核酸を細胞中に移行、送達、または導入するための組成物を指す。ベクターは、移行、送達、または導入されるべきヌクレオチド配列(単数または複数)を含む核酸分子を含む。宿主生物の形質転換での使用のためのベクターは、当技術分野でよく知られている。一般的なクラスのベクターの非限定的な例は、限定されないが、ウイルスベクター、プラスミドベクター、ファージベクター、ファージミドベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、バクテリオファージ、人工染色体、または、自己で伝染可能または可動であってもなくてもよい二本鎖または一本鎖の直鎖または環状形態でのアグロバクテリウムバイナリーベクターを含む。本明細書において定義されるベクターは、細胞のゲノム中への組込みによって真核生物宿主を形質転換することができ、または、染色体外に存在することができる(例えば、複製起点を有する自律複製プラスミド)。2つの異なる宿主生物における複製が天然または設計により可能なDNAビヒクルを意味する、シャトルベクターがさらに含まれる。一部の代表的な実施態様では、ベクター内の核酸は、適切なプロモーターまたは宿主細胞での転写のための他の調節エレメントの制御下であり、それに動作可能に連結される。ベクターは、多数の宿主において機能する二機能性発現ベクターであってよい。ゲノムDNAの場合では、これは、それ自身のプロモーターまたは他の調節エレメントを含んでよく、cDNAの場合では、これは、適切なプロモーターまたは宿主細胞での発現のための他の調節エレメントの制御下にあってよい。したがって、ポリヌクレオチドおよび/または発現カセットは、本明細書に記載されて当技術分野で知られているベクター内に含まれ得る。
「導入する(introducing)」、「導入する(introduce)」、「導入される(introduced)」(およびそれらの文法的変形)は、目的のポリヌクレオチド(例えば、BBL核酸を突然変異するのに有用なヌクレアーゼ)の関連において、目的のポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチドが細胞の内部へのアクセスを取得する様式で、宿主生物または前記生物の細胞(例えば、宿主細胞)に提供することを意味する。1よりも多いポリヌクレオチドが導入される場合は、これらのポリヌクレオチドは、単一のポリヌクレオチドまたは核酸構築物の部分として、または、別個のポリヌクレオチドまたは核酸構築物として集められ得て、同一または異なる発現構築物または形質転換ベクター上に配置され得る。したがって、これらのポリヌクレオチドは、単一の形質転換イベントで、別個の形質転換/トランスフェクションイベントで、細胞中に導入され得て、または、例えば、それらは、従来の増殖プロトコルによって生物内に取り込まれ得る。したがって、一部の態様では、BBL核酸を改変または突然変異するのに有用なヌクレアーゼ(例えば、Crispr−Casヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、および/または転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN))をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドは、宿主生物または前記宿主生物の細胞中へ、単一で、または単一の発現カセットおよび/またはベクター内の組み合わせで、導入され得る。
本明細書において用いられる用語「形質転換」または「トランスフェクション」は、細胞への、ヌクレアーゼをコードする核酸などの異種核酸の導入を指す。細胞の形質転換は、安定または一過的であってよく、または、部分的に安定して形質転換されて部分的に一過的に形質転換されてよい。したがって、一部の実施態様では、植物ゲノムに対する改変は、安定であってよく、一部の実施態様では、改変は一過的であってよい。一部の実施態様では、安定した形質転換後に、植物ゲノムに導入された核酸構築物は、例えば、改変されていない植物との交差または非ホモ接合型植物の分離によって除去され得る。
ポリヌクレオチドの関連における「一過的な形質転換」は、ポリヌクレオチドが細胞に導入されて、細胞のゲノム内に組み込まれないことを意味する。
ポリヌクレオチドの関連における「安定に導入される(stably introducing)」または「安定に導入された(stably introduced)」は、導入されたポリヌクレオチドが細胞のゲノム内に安定して取り込まれ、したがって、細胞がポリヌクレオチドで安定して形質転換されることを意味する。
本明細書において用いられる「安定した形質転換」または「安定して形質転換される」は、核酸構築物が細胞内に導入されて、細胞のゲノム内に組み込まれることを意味する。したがって、組み込まれた核酸構築物は、その子孫により、より具体的には、複数の後に続く世代の子孫により、受け継がれることが可能である。本明細書において用いられる「ゲノム」は、核、プラスチド、および/または、ミトコンドリアゲノムを含んでよく、したがって、核、プラスチド、および/または、ミトコンドリアゲノムへの核酸構築物の組込みを含んでよい。また、本明細書において用いられる安定した形質転換は、染色体外に例えばミニ染色体またはプラスミドとして維持される導入遺伝子も指し得る。
一過的な形質転換は、例えば、植物または植物細胞内に導入された1つまたは複数の導入遺伝子によりコードされるペプチドまたはポリペプチドの存在を検出することのできる酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)またはウエスタンブロットにより、検出され得る。細胞の安定した形質転換は、例えば、生物(細菌、古細菌、酵母、藻類など)に導入された導入遺伝子のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする核酸配列を用いた、細胞のゲノムDNAのサザンブロットハイブリダイゼーションアッセイにより、検出することができる。細胞の安定した形質転換は、例えば、植物または他の生物に導入された導入遺伝子のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズする核酸配列を用いた、細胞のDNAのサザンブロットハイブリダイゼーションアッセイにより、検出することができる。また、細胞の安定した形質転換は、例えば、導入遺伝子の標的配列(単数または複数)とハイブリダイズする特異的なプライマー配列を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または当技術分野でよく知られている他の増幅反応により検出することもでき、導入遺伝子配列の増幅をもたらし、標準的な方法に従って検出することができる。また、形質転換は、当技術分野でよく知られているダイレクトシーケンスおよび/またはハイブリダイゼーションのプロトコルにより検出することもできる。
植物を形質転換するための手順は当該分野においてよく知られていて日常的であり、文献全体を通じて説明されている。植物の形質転換のための方法の非限定的な例は、細菌が介在する核酸送達を介する(例えば、アグロバクテリウムを介する)形質転換、ウイルスが介在する核酸送達、炭化ケイ素または核酸ウィスカーが介在する核酸送達、リポソームが介在する核酸送達、マイクロインジェクション、微粒子衝撃、リン酸カルシウムが介在する形質転換、シクロデキストリンが介在する形質転換、エレクトロポレーション、ナノ粒子が介在する形質転換、超音波処理、浸潤、PEGが介在する核酸取り込み、ならびに、植物細胞への核酸の導入をもたらす任意の他の電気的、化学的、物理的(機械的)および/または生物学的メカニズムを含み、任意のそれらの組み合わせを含む。当技術分野で知られている様々な植物形質転換方法に対する一般的なガイドは、Miki et al.(Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology,Glick,B. R.and Thompson,J.E.,Eds.の「Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants」(CRCPress,Inc.,Boca Raton,1993),67〜88頁)およびRakowoczy−Trojanowska (Cell.Mol.Biol.Lett.7:849−858(2002))を含む。
アグロバクテリウムが介在する形質転換は、その高い形質転換効率および多くの異なる種でのその広範な有用性のために、植物、特に双子葉植物を形質転換するために一般に用いられる方法である。アグロバクテリウムが介在する形質転換は、典型的に、宿主アグロバクテリウム株によって共在Tiプラスミドまたは染色体上に保有されるvir遺伝子の相補性に依存し得る、目的の外来DNAを保有するバイナリーベクターの適切なアグロバクテリウム株への移行を伴う。(Uknes et al.(1993)Plant Cel l5:159−169)。アグロバクテリウムへの組み換えバイナリーベクターの移行は、組み換えバイナリーベクターを保有するEscherichia coli、組み換えバイナリーベクターを標的アグロバクテリウム株に動かすことが可能なプラスミドを保有するヘルパーE.coli株を用いたトリペアレンタルメイティング手順によって達成され得る。あるいは、組み換えバイナリーベクターは、核酸形質転換によってアグロバクテリウムに移行され得る(Hofgen&Willmitzer(1988)Nucleic Acids Res.16:9877)。
組み換えアグロバクテリウムによる植物の形質転換は、通常、植物由来の外植片とアグロバクテリウムの共培養を含み、その後に当技術分野でよく知られている方法を続ける。形質転換された組織は、バイナリープラスミドT−DNAボーダーの間に抗生物質または除草剤耐性マーカーを保有する選択培地上で再生される。
植物、植物部分および/または植物細胞を形質転換するための別の方法は、不活性または生物学的に活性の粒子を植物組織および細胞において推進させるステップを含む。例えば、米国特許第4,945,050号;第5,036,006号および第5,100,792号を参照。一般に、この方法は、細胞の外側表面を貫通してその内部での取り込みを提供するのに効果的な条件下で、不活性または生物学的に活性の粒子を植物細胞において推進させるステップを含む。不活性粒子が使用される場合、ベクターは、目的の核酸を含むベクターによって粒子をコーティングすることによって細胞中に導入され得る。あるいは、細胞(単数または複数)は、粒子の後流(wake)によってベクターが細胞中に運ばれるように、ベクターによって囲まれてよい。また、生物学的に活性の粒子(例えば、乾燥した酵母細胞、乾燥した細菌またはバクテリオファージ、それぞれ、導入されようとする1つまたは複数の核酸を含む)は、植物組織中に推進されてもよい。
したがって、ヌクレオチド配列は、当技術分野でよく知られている任意の数の方法で、植物、植物部分および/または植物細胞中に導入され得る。本発明の方法は、1つまたは複数のヌクレオチド配列を植物中に導入するための特定の方法に依存せず、植物の少なくとも1つの細胞の内部へのアクセスを得るという点だけである。したがって、本発明の特定の実施態様では、無傷の植物が、任意の様々な公知技術を用いて、これらの形質転換された細胞から再生され得る。植物細胞、植物組織培養および/または培養されたプロトプラストからの植物再生は、例えば、Evans et al.(Handbook of Plant Cell Cultures,Vol.1,MacMilan Publishing Co.New York(1983));and Vasil I.R.(ed.)(Cell Culture and Somatic Cell Genetics of Plants,Acad.Press,Orlando,Vol.I(1984),and Vol.II(1986))に記載される。形質転換されたトランスジェニック植物、植物細胞および/または植物組織培養を選択する方法は、当該分野において日常的であり、本明細書に提供される本発明の方法において用いられ得る。
本明細書において用いられる「タバコ産物」は、ニコチアナ植物によって生産される材料を含む産物を指し、例えば、ニコチンガムおよび禁煙パッチ、拡大(パフ)および再構成タバコを含むシガレットタバコ、シガータバコ、パイプタバコ、シガレット、シガー、および、チューイングタバコ、スナッフ、スヌース、および、トローチのような全ての形態の無煙タバコを含む。「シガレット」は、電子シガレット、および、タバコを燃やすのではなくタバコを加熱するシガレット様デバイスである「燃やさずに加熱する(heat not burn)」産物を含む。
本発明は、生産されるポリヌクレオチドおよび/または任意のポリペプチドの発現および/または活性を低減または除去するように、BBLe、BBLd−1またはBBLd−2をコードするポリヌクレオチドを改変することは、前記改変を含まない植物と比較して、ニコチン性アルカロイド含有量が低減した植物をもたらすことができるという知見に部分的に向けられる。
1930年代以来、タバコの研究者らは、ニコチンおよび他のアルカロイドのレベルに影響を与えるようにタバコ遺伝子を変更することに携わっている。タバコアルカロイドレベルの大きな減少は、歴史的に、Nic1およびNic2遺伝子座(一部の文献ではAおよびB遺伝子座とも指定される)における天然起源の劣性対立遺伝子の使用を通して達成されている。これらの遺伝子座の両方における劣性対立遺伝子は、アルカロイドレベルを、1.5%〜4.5%合計乾燥重量から、およそ0.2%もの低さまで低減することができる(Legg et al.,1969;Legg and Collins,1971;Chaplin and Weeks,1976)。Nic1遺伝子座は特性化されないままであるが、Nic2遺伝子座は、最近になって、エチレン応答因子(ERF)遺伝子ファミリーの転写因子のクラスターをコードすることが示された(Shoji et al.,2010)。しかしながら、劣性nic1またはnic2対立遺伝子を保有するタバコ品種は、収量および品質との負の関連性のせいで、広く用いられていない(Legg et al.,1970;Chaplin and Weeks,1976;Chaplin and Burk,1983)。突然変異体nic1およびnic2遺伝子座に関してホモ接合型のタバコ植物の負の属性は、それらは、アルカロイド生合成に関与する遺伝子の発現だけでなく、関係のない遺伝子のアレイにも同様に影響を及ぼすという事実の結果であると考えられる(Kidd et al.,2006)。
この20年にわたり、タバコアルカロイドの生合成の基礎となる分子生物学に関する多くの知識が得られている(Dewey and Xie,2013によるレビュー)。ニコチン生合成の特定のステップをコードする遺伝子が解明されたので、これらは、植物のニコチン含有量を低減するための標的となっている。アルカロイド生合成経路におけるいくつかのステップの、導入遺伝子が介在する下方制御は、ニコチン蓄積の低減をもたらすことができることが示されているが、これらの摂動のほとんどは、望ましくない副作用、例えば生長の低減、または、典型的に少数のアルカロイドアナタビンのレベルの付随する増大を伴う(Dewey and Xie,2013でのレビュー)。タバコでは、ベルベリンブリッジ酵素様(BBL)タンパク質と呼ばれる酵素が、アルカロイド生合成の最後のステップの1つを触媒する(Kajikawa et al.,2011)。現在までに、以下に要約されるこの遺伝子ファミリーに関する我々の研究は、アルカロイド生合成経路のこの特定のステップは、高品質で低アルカロイドのタバコの開発のための特に魅力的な標的であることを示した。
したがって、本発明の一部の実施態様では、ニコチン性アルカロイド含有量が低減されたニコチアナ植物または植物部分を生産する方法が提供されて、ニコチアナ植物または植物部分に、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLeポリヌクレオチドにおける突然変異、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−1ポリヌクレオチドにおける突然変異、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を導入して、それにより、(a)、(b)、または(c)の突然変異を含まないコントロールのニコチアナ植物または植物部分と比較して、ニコチン性アルカロイド含有量が低減したニコチアナ植物または植物部分を生産するステップを含む、から本質的になる、またはからなる。一部の実施態様では、前記の少なくとも1つの組み換え核酸は、植物のゲノム内に安定して取り込まれ得て、それはそれから、前記の少なくとも1つの組み換え核酸を含まないニコチアナ植物によってトランスジェニックニコチアナ植物を戻し交配することによって、植物のゲノムから除去される。一部の実施態様では、導入するステップは、突然変異を植物細胞に導入するステップ、および、植物細胞を植物に再生して、それにより、ニコチン性アルカロイド含有量が低減された植物を生産するステップを含む。他の実施態様では、当該方法は、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも97%同一性を有するBBLeヌクレオチド配列における突然変異、(b)配列番号1(BBLd−1)のヌクレオチド配列と少なくとも97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド配列における突然変異、および/または(c)配列番号2(BBLd−2)のヌクレオチド配列と少なくとも97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチド配列における突然変異を含む、ニコチアナ植物または植物部分を選択するステップをさらに含む。一部の実施態様では、ニコチン性アルカロイドは、ニコチンを含む、から本質的になる、またはからなる。
一部の実施態様では、ニコチアナ植物または植物部分内のニコチン性アルカロイド含有量を低減する方法が提供されて、ニコチアナ植物または植物部分に、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLeポリヌクレオチドにおける突然変異、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−1ポリヌクレオチドにおける突然変異、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を導入して、それにより、(a)、(b)、または(c)の突然変異を含まないコントロールのニコチアナ植物または植物部分と比較して、ニコチン性アルカロイド含有量が低減したニコチアナ植物または植物部分を生産するステップを含む、から本質的になる、またはからなる。一部の実施態様では、前記の少なくとも1つの組み換え核酸は、植物のゲノム内に安定して取り込まれ得て、それはそれから、前記の少なくとも1つの組み換え核酸を含まない植物によって植物を戻し交配することによって、植物のゲノムから除去される。さらなる実施態様では、導入するステップは、突然変異を植物細胞に導入するステップ、および、植物細胞を植物または植物部分に再生して、それにより、ニコチン性アルカロイド含有量が低減された植物または植物部分を生産するステップを含む。他の実施態様では、当該方法は、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも97%同一性を有するBBLeヌクレオチド配列における突然変異、(b)配列番号1(BBLd−1)のヌクレオチド配列と少なくとも97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド配列における突然変異、および/または(c)配列番号2(BBLd−2)のヌクレオチド配列と少なくとも97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチド配列における突然変異を含むニコチアナ植物または植物部分を選択するステップをさらに含む。一部の実施態様では、ニコチン性アルカロイドは、ニコチンを含む、から本質的になる、またはからなる。
ニコチン性アルカロイド含有量を決定する手順は、よく知られていて当該分野において日常的であり、文献全体を通じて記載される。そのような方法の非限定的な例は、ガスクロマトグラフィー、質量分析(Domino et al.1992 Med Sci Res.20:859−860;Sheen et al.2006 J Food Sci 53(5):1572−1573)、HPLC(Keinanen et al.2001 J Agric Food Chem 49:3553−3558;Halitschke and Baldwin 2003 Plant J 36:794−807)、UV吸収(Willits et al.2005 Analytical Chemistry 22:430−433)などを含む。
一部の実施態様では、突然変異は、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドの発現を低減または除去し得る。一部の実施態様では、突然変異は、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの活性を低減または除去し得る。代表的な実施態様では、BBLe、BBLd−1、BBLd2ポリヌクレオチドの発現、および/または、BBLe、BBLd−1、BBLd2ポリペプチドの活性は、少なくとも約30%(例えば、約30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%、またはその中の任意の範囲または値)、低減され得る。
突然変異を導入するステップは、本発明のBBLポリヌクレオチドをコードする野生型またはネイティブのヌクレオチド配列(例えば、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチド)の1つまたは複数の植物体における改変を含んでよく、から本質的になってよく、またはからなってよい。植物体におけるヌクレオチド配列の改変の任意の方法を本発明で用いて、これらのBBLポリヌクレオチドをコードする遺伝子の発現を変更することができる。したがって、一部の実施態様では、突然変異をニコチアナ植物に導入するステップは、植物または植物部分の、化学突然変異誘発、挿入突然変異誘発、および/または、照射を含んでよく、から本質的になってよく、またはからなってよい。化学突然変異原の非限定的な例は、エチルメタンスルホネート(EMS)、ニトロソグアニジン、重亜硫酸塩、N4−ヒドロキシシチジン、および/またはアミノプリンを含む。照射突然変異原の非限定的な例は、γ線、x線、および/または高速中性子照射を含む。挿入突然変異誘発技術は、限定されないが、T−DNAタグ化、トランスポゾンタグ化および突然変異誘発性オリゴヌクレオチドを含む。代表的な実施態様では、突然変異は、欠失または挿入であってよく、任意選択で、3で割ることができないヌクレオチドの獲得または純損失をもたらし、それにより、タンパク質が少しでも生産されると非機能性タンパク質を生じ得るフレームシフト突然変異を発生させる、欠失または挿入であってよい。
一部の実施態様では、突然変異をニコチアナ植物または植物部分に導入するステップは、ニコチアナ植物または植物部分に、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(b)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチド、を標的化するヌクレアーゼをコードする少なくとも1つの組み換え核酸を導入するステップを含む。一部の実施態様では、組み換え核酸の導入は、安定または一過的であってよい。一部の実施態様では、導入が安定である場合は、導入される構築物(例えば、前記の少なくとも1つの組み換え核酸)は、例えば、形質転換された植物を改変されていない植物と交差させることにより、または、非ホモ接合型植物の分離を通して除去され得る。本発明の内因性BBLポリヌクレオチドにおける突然変異体を発生させるのに有用なヌクレアーゼの非限定的な例は、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、および/または、clustered regularly interspaced,short palindromic repeat(CRISPR)関連(Cas)ヌクレアーゼを含む。標的化された突然変異を作製するためのそのようなヌクレアーゼの使用は、当技術分野でよく知られていて日常的である。代表的な実施態様では、突然変異は、欠失または挿入であってよく、任意選択で、3で割ることができないヌクレオチドの獲得または純損失をもたらし、それにより、タンパク質が少しでも生産されると非機能性タンパク質を生じ得るフレームシフト突然変異を発生させる、欠失または挿入であってよい。
メガヌクレアーゼ、エンドデオキシリボヌクレアーゼ、またはホーミング酵素は、二重鎖DNAの約12〜40塩基対からの認識部位を含む。これらの大きな認識部位は、これらのヌクレアーゼをそれらの標的部位に関して非常に特異的にさせる。ゲノム改変において有用である例示的なメガヌクレアーゼは、I−SceI、I−DmoI、およびI−CreIを含む。一部の実施態様では、メガヌクレアーゼは、標的DNAを認識するメガヌクレアーゼのアミノ酸配列の部分を変更するように改変され得て、それにより、異なるDNA配列を認識するメガヌクレアーゼを生じる(例えば、米国特許第8,021,867号を参照)。遺伝子配列の標的化されたDNA改変のためのメガヌクレアーゼの使用は、当技術分野でよく知られている(Stoddard,B.L.Quarterly Reviews of Biophysics 38(1):49−95(2006).doi:10.1017/S0033583505004063;Arnould et al.Journal of Molecular Biology 355(3):443−58(2006).doi:10.1016/j.jmb.2005.10.065;Delacote et al.PloS One 8(1):e53217(2013−01−01).doi:10.1371/journal.pone.0053217;de Souza,N.,Nat Meth 9(1),27−27(2011);and Antunes et al.BMC Biotechnology 12:86(2012)を参照)。したがって、一部の実施態様では、ヌクレアーゼがメガヌクレアーゼである場合は、標的領域は、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチド由来の、約12〜約40の連続する塩基対の長さ(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40の連続する塩基対、またはその中の任意の範囲または値)であってよい。例示的な実施態様では、標的領域は、約14〜40の連続する塩基対の長さ、約15〜約35の連続する塩基対の長さ、約18〜約30の連続する塩基対の長さ、または、約20〜約30の連続する塩基対の長さであってよい。特定の実施態様では、標的領域は、約22連続する塩基対の長さであってよい。一部の実施態様では、ヌクレアーゼは、I−CreIメガヌクレアーゼであってよい。
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、DNAを切断することが可能な少なくとも1つのヌクレアーゼに結合した少なくとも1つのジンクフィンガーDNA結合ドメインを含むキメラタンパク質である。ZFNにおいて有用である例示的なヌクレアーゼは、FokI制限酵素である(Urnov et al.Nature Reviews Genetics 11,636−646(2010))。ジンクフィンガー結合ドメインは、所定のヌクレオチド配列に結合するように「操作」され得る(例えば、同上、米国特許第6,140,081号;第6,453,242号;および第6,534,261号を参照;また、WO98/53058;WO98/53059;WO98/53060;WO02/016536およびWO03/016496も参照。標的核酸におけるZFNによる切断は、典型的に、標的部位において二重鎖切断を生じさせる。とりわけ、ZFNは、それらのDNA標的部位が常に3で割ることができるという点で独特である。一部の実施態様では、DNA標的部位は、約9の連続する塩基対〜約30の連続する塩基対の長さ(例えば、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30の塩基対の長さ)の範囲であってよい。したがって、一部の実施態様では、ZFNに関する標的部位は、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチド由来の、約9の連続する塩基対〜約30の連続する塩基対(またはその中の任意の範囲または値)であってよい。
転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、転写アクチベーター様タンパク質(TAL)(すなわち、TALエフェクターDNA結合ドメイン)と融合したFokIヌクレアーゼを含むキメラタンパク質である。TALタンパク質は、特定のヌクレオチドに関する強い認識を有する可変の位置を有する33〜35個のアミノ酸繰り返しモチーフからなる(Deng et al.Protein Cell 5(4):297−306(2014))(結合ドメインあたり、およそ10〜30の繰り返しユニット)。1つの特定のDNA塩基は、TALリピート内の固定された位置において高度に可変の残基を通して認識される。それぞれのTALEN融合は、したがって、そのC末端に融合したFok1触媒ドメインを有するTALエフェクターDNA結合ドメインからなるTALENモノマーを提供する。FokIは二量体として切断するので、TALエフェクターヌクレアーゼは対で機能して、標的部位の間に位置するギャップにわたって反対のDNA標的部位に結合して、その上に、FokIドメインが一緒に来て切断を作製する。したがって、TALENのペアは、部位の間にスペーサー領域を有するDNAの反対の鎖上で5’から3’に配向された候補の標的部位に結合して、ここで、スペーサー領域は、2つのFok1ドメインが二量体化してDNAを切断するのに十分に大きいが、2つのFok1ドメインが接触しないようにそれほど大きくはない(Cermak et al.Nucleic Acids Res.39(12):e82(2011))。DNA改変のためのTALENの作成および使用の方法は、よく知られていて当該分野において日常的である(例えば、米国特許第8,440,432号;第8,507,272号;第8,912,138号;Miller,J.C.et al.Nat.Biotechnol.29,143−148(2011);およびChristian,M.et al.Genetics 186,757−761(2010)を参照)。一部の実施態様では、TALENに関するDNA標的部位は、約9の連続する塩基対〜約40の連続する塩基対の長さ(例えば、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40の塩基対の長さ)の範囲であってよい。したがって、一部の実施態様では、ZFNに関する標的部位は、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチド由来の、約9の連続する塩基対〜約40の連続する塩基対(またはその中の任意の範囲または値)であってよい。
また、Clustered regularly interspaced,short palindromic repeat(CRISPR)関連(Cas)ヌクレアーゼも、内因性BBLポリヌクレオチドの改変に有用である。TALENS、ZFNおよびホーミングメガヌクレアーゼと対照的に、新たに改変されたCRISPR−Casヌクレアーゼは、それぞれの使用のために要求されない。CRISPR−Casシステムを用いた切断およびDNA改変に関する要求は、よく知られていて日常的である(米国特許第8,906,616号;第8,895,308号;第8,993,233号;Jiang et al.2013.Nat.Biotechnol.31:233−239;Briner et al.Mol.Cell 56:333−339(2014);Cong et al.Science 339:819−823(2013);Gilbert et al.Cell 154:442−451(2013);Jinek et al.Science 337:816−821(2012);Qi et al.Cell 152:1173−1183(2013);Ran et al.Nature Protocols 8:2281−2308 (2013);および、Sander et al.Nat. Biotechnol 32,347−355(2014))。II型CRISPRシステムは、ゲノム編集に最も一般的に用いられている。細菌性II型CRISPRシステムは、2つのRNA構成要素、CRISPR RNA(crRNA)およびトランス活性化RNA(tracrRNA)を含む。ゲノム操作の適用での使用を促進するために、これらの2つのRNA構成要素は、ガイドRNA(gRNAまたはsgRNA)と呼ばれる単一RNAに組み合わせられ得る。最も一般的に用いられるゲノム操作システムは、Streptococcus pyogenesに由来するCRISPR−Cas9システムである。
成功的な切断のために、ガイドRNAは、「プロトスペーサー隣接モチーフ」(PAM)配列の隣の(例えばすぐ下流の)標的DNA配列(プロトスペーサー)に相補である「認識モチーフ」を含むように設計される。一部の実施態様では、PAM配列はNGGであってよい。一部の実施態様では、CRISPR−Casシステムに関するgRNAの認識モチーフは、標的DNA(プロトスペーサー)(例えば、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチド)に相補である約10の連続する塩基対〜約30の連続する塩基対(例えば、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30の連続する塩基対、およびその中の任意の範囲または値)の長さを有する配列を含んでよい。一部の実施態様では、スペーサーは、標的DNAに相補性を有する、約15〜約30、約15〜約25、約15〜約20、約18〜約30、約18〜約25、約18〜約20、約20〜約30、約25〜約30などの長さの連続する塩基対を含む。一部の実施態様では、極めて接近して反対の方向に配置された(TALENの2つのモノマー同様)、2つのgRNA構築物が生産されて、単一のニッカーゼ活性を有するCas9ヌクレアーゼとともに用いられ得る。そのようなデザインは、標的特異性を増大させ得る。一部の実施態様では、Cas9のニッカーゼ活性は不活化されてよく、2つのfCas9「モノマー」ユニットが二量体化した場合にのみFok1ヌクレアーゼが機能するようにCas9はFok1ヌクレアーゼに融合されてよい(fCas9)。再度、そのようなデザインは、標的特異性を増大させ得る(Guilinger et al.Nature Biotechnol.32:577−588(2014))。
一部の実施態様では、本発明は、ニコチアナ植物または植物部分における、少なくとも1つのさらなるニコチン性アルカロイド生合成酵素の活性の低減、および/または、少なくとも1つのさらなるニコチン性アルカロイド生合成酵素をコードするポリヌクレオチドの発現の低減をさらに含む。したがって、一部の実施態様では、ニコチアナ植物または植物部分に、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLeポリヌクレオチドの少なくとも1つにおける突然変異、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−1ポリヌクレオチドにおける突然変異、および/または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を導入するステップに加えて、ニコチアナ植物または植物部分は、さらなるニコチン性アルカロイド生合成酵素の活性を低減させるように、または、さらなるニコチン性アルカロイド生合成酵素をコードする核酸の発現を低減させるように、さらに改変されてよい。そのようなさらなるニコチン性アルカロイド生合成酵素は、限定されないが、さらなるベルベリンブリッジ酵素様ポリペプチド(例えば、BBLa、BBLb、BBLc)、アスパラギン酸オキシダーゼ、キノリン酸シンターゼ、キノレートホスホリボシルトランスフェラーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ、プトレスシンN−メチルトランスフェラーゼ、メチルプトレスシンオキシダーゼ、およびA622を含む。したがって、例えば、ニコチアナ植物または植物部分に、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLeポリヌクレオチドの少なくとも1つにおける突然変異、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−1ポリヌクレオチドにおける突然変異、および/または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を導入するステップに加えて、ニコチアナ植物または植物部分は、BBLa、BBLb、および/またはBBLcの発現を低減させるように、および/または、BBLa、BBLb、および/またはBBLのようなさらなるベルベリンブリッジ酵素様ポリペプチドの活性を低減させるように、さらに改変されてよい。一部の実施態様では、ニコチアナ植物または植物部分に、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLeポリヌクレオチドの少なくとも1つにおける突然変異、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−1ポリヌクレオチドにおける突然変異、および/または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を導入するステップに加えて、ニコチアナ植物または植物部分は、BBLa、BBLb、および/またはBBLcの発現を低減させるように、および/または、BBLa、BBLb、および/またはBBLのようなさらなるベルベリンブリッジ酵素様ポリペプチドの活性を低減させるように、さらに改変されてよく、ここで、BBLa、BBLb、および/またはBBLcの発現またはBBLa、BBLb、および/またはBBLの活性を低減するための改変は、BBLa、BBLb、および/またはBBLcをコードするヌクレオチド配列のメタンスルホン酸エチル(EMS)突然変異を含む、から本質的になる、またはからなる。
一部の実施態様では、本発明は、ニコチアナ植物または植物部分において、ニコチン性アルカロイド生合成を正に調節する転写因子をコードするポリヌクレオチドの発現の低減をさらに含む。したがって、一部の実施態様では、ニコチアナ植物または植物部分に、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLeポリヌクレオチドの少なくとも1つにおける突然変異、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−1ポリヌクレオチドにおける突然変異、および/または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を導入するステップに加えて、ニコチアナ植物または植物部分は、ニコチン性アルカロイド生合成を正に調節する転写因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの発現を低減させるようにさらに改変されてよい。ニコチン性アルカロイド生合成を正に調節する転写因子の非限定的な例は、ERF189、ERF221およびERF32のようなERFファミリー転写因子、および/または、NtMYC1およびNtMYC2、およびCOI1のようなbHLHファミリー転写因子を含む。
一部の実施態様では、本発明は、ニコチアナ植物または植物部分における、ニコチン性アルカロイド生合成を負に調節する転写因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの過剰発現をさらに含む。したがって、一部の実施態様では、ニコチアナ植物または植物部分に、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLeポリヌクレオチドの少なくとも1つにおける突然変異、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−1ポリヌクレオチドにおける突然変異、および/または配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有する内因性BBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を導入するステップに加えて、ニコチアナ植物またはその部分は、ニコチン性アルカロイド生合成を負に調節する転写因子をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを過剰発現するようにさらに改変されてよい。ニコチン性アルカロイド生合成を負に調節する転写因子の非限定的な例は、JAZを含む。
本明細書において用いられる、「過剰発現する(overexpress)」、「過剰発現(overexpression)」、過剰発現される(overexpressed)、(およびそれらの文法的変形)は、コントロールのニコチアナ植物または植物部分における同一の遺伝子産物の生産レベルを超える、トランスジェニックニコチアナ植物または植物部分における遺伝子産物の生産を指し、トランスジェニックニコチアナ植物または植物部分は、遺伝子産物の増大した生産を与える組み換え核酸構築物によって形質転換されて、一方で、コントロールのニコチアナ植物または植物部分は、前記組み換え核酸構築物によって形質転換されない。
本発明のニコチアナ植物または植物部分において変更されるべき任意のさらなるポリヌクレオチドの発現および活性は、BBLe、BBLd−1、BBLd−2に関して本明細書において記載される突然変異を導入することによって低減され得て、または、制限されないが、さらなるニコチン性アルカロイド生合成酵素をコードする核酸から開発される干渉RNAの使用を含む、ポリヌクレオチドの発現およびポリペプチドの活性を低減させる他の良く知られた手段によって低減され得る。当技術分野でよく知られているように、「干渉RNA」は、遺伝子サイレンシングを生じさせることが可能なRNAである。本明細書において用いられる干渉RNAは、標的ニコチン性アルカロイド生合成核酸の発現を下方制御またはサイレンシングすることが可能な任意のタイプのRNA分子を含み、制限されないが、センスRNA、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ヘアピンRNA(RNA)などを含む。
さらなる実施態様では、本発明は、本発明の任意の方法によって生産される低減されたニコチン性アルカロイド含有量を含むニコチアナ植物および/または植物部分をさらに提供する。一部の実施態様では、ニコチアナ植物部分は、ニコチアナ植物細胞であってよい。したがって、一部の実施態様では、本発明は、ニコチン性アルカロイド含有量が低減された本発明のニコチアナ植物または植物部分を提供し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、から本質的になる、またはからなる。一部の実施態様では、突然変異は、欠失または挿入突然変異であってよい。一部の実施態様では、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチドの発現は、約30%〜約100%低減されてよく、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチドの発現は、約30%〜約100%低減されてよく、および/または、配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドの発現は、約30%〜約100%低減されてよい。一部の実施態様では、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチドによって生産されるポリペプチドの活性は、約30%〜約100%低減されてよく、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチドによって生産されるポリペプチドの活性は、約30%〜約100%低減されてよく、および/または、配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドによって生産されるポリペプチドの活性は、約30%〜約100%低減されてよい。一部の実施態様では、ニコチアナ植物または植物部分は、(1)少なくとも1つのさらなるニコチン性アルカロイド生合成ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの、それぞれ、低減された活性および/または低減された発現、および/または、(2)ニコチン性アルカロイド生合成を正に調節する転写因子をコードする低減された発現、および/または、(3)ニコチン性アルカロイド生合成を負に調節する転写因子をコードする増大された発現(過剰発現)をさらに含んでよい。
一部の実施態様では、本発明のニコチアナ植物または植物部分のニコチン含有量(例えば、少なくとも低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む)は、約10mg/g(例えば、約1%)〜約100mg/g(例えば、10%)(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mg/g、およびその中の任意の範囲または値)の乾燥重量ニコチンであってよい。特定の実施態様では、本発明のニコチアナ植物または植物部分のニコチン含有量は、約20mg/g(例えば、約2%)〜約100mg/g(例えば、10%)の乾燥重量ニコチン;約30mg/g〜約100mg/gの乾燥重量ニコチン、約40mg/g〜約100mg/gの乾燥重量ニコチン、約50mg/g〜約100mg/gの乾燥重量ニコチンなどであってよい。さらに他の実施態様では、本発明のニコチアナ植物または植物部分のニコチン含有量は、少なくとも約30mg/gの乾燥重量ニコチン、少なくとも約40mg/g(例えば、約4%)の乾燥重量ニコチン、少なくとも約50mg/g(例えば、約5%)の乾燥重量ニコチン、少なくとも約60mg/g(例えば、約6%)の乾燥重量ニコチンなどであってよい。一部の実施態様では、ニコチン含有量は、10mg/g未満(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0mg/gニコチン)まで低減されてよい。
一部の実施態様では、本発明の植物のニコチアナ種子およびその種子から生産されるニコチアナ植物が提供されて、ここで種子は、配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチドにおける突然変異、配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチドにおける突然変異、および/または、配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む。
一部の実施態様では、本発明は、本発明のニコチアナ植物から生産されるニコチアナ植物の子孫を提供する。一部の実施態様では、圃場内に一緒に植えられた本発明の複数のニコチアナ植物を含む作物がさらに提供される。
本発明のさらなる態様は、本発明のニコチアナ植物または植物部分から生産される収穫産物、ならびに、前記収穫産物から生産される加工産物を含む。収穫産物は、植物全体または任意の植物部分であってよく、ここで前記収穫産物は、本発明の組み換え核酸分子/構築物を含む。したがって、一部の実施態様では、収穫産物の非限定的な例は、種子、果実、花またはそれらの部分(例えば、葯、柱頭など)、葉、茎などを含む。
一部の実施態様では、本発明はタバコ産物を提供し、ここで、産物は、ブレンドされたタバコ産物であってよい。本発明の他の実施態様では、本発明のタバコ産物は、低減されたニコチンタバコ産物であってよい。さらに他の実施態様では、本発明のタバコ産物は、ニコチン含有量が低減された、ブレンドされたタバコ産物であってよい。したがって、本発明のタバコ産物は、ブレンドされた低減されたニコチンタバコ産物であってよい。
一部の実施態様では、タバコ産物は、制限されないが、葉タバコ、刻みタバコ、切りタバコ、挽きタバコ、粉末タバコ、タバコ抽出物、無煙タバコ、モイストまたはドライスナッフ、クレテック、パイプタバコ、シガータバコ、シガリロタバコ、シガレットタバコ、チューイングタバコ、シガレット、シガー、ビディ、ビット、およびタバコ含有ガムおよびトローチを含んでよい。特定の実施態様では、タバコ産物は、シガリロ、通気孔のない凹所フィルターシガレット、通気孔のある凹所フィルターシガレット、シガー、スナッフ、および、チューイングタバコであってよい。一部の実施態様では、タバコ産物は、制限されないが、葉タバコ、刻みタバコ、切りタバコ、挽きタバコ、粉末タバコ、タバコ抽出物、および、それらの任意の組み合わせを含むタバコの形態から生産されてよい。一部の実施態様では、本発明のタバコ産物は、ブレンドされたタバコ産物、低減されたニコチンタバコ産物、および、それらの任意の組み合わせを含む。
当業者は、タバコ植物、またはその部分は、伝統的に、タバコ産物での使用の前に乾燥されることを理解する。したがって、本発明のさらなる実施態様は、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から作られた乾燥タバコを含むタバコ産物を含む。タバコ植物および植物部分は、したがって、当業者に公知のプロセスに従って乾燥され得る。そのようなプロセスは、限定されないが、空気乾燥、地面乾燥、ラック乾燥、ピット乾燥、火力乾燥、太陽乾燥および鉄管乾燥を含む。
本発明は、乾燥タバコを提供するステップ(ここで、乾燥タバコは、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物の葉を含む);および、前記乾燥タバコから前記タバコ産物を生産するステップを含む、タバコ産物を生産する方法をさらに提供する。
一部の実施態様では、本発明は、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物または植物部分から生産される、低減されたニコチン性アルカロイドタバコ産物を提供する。
本発明は:a)第一のタバコを提供するステップ;b)第二のタバコを提供するステップ(ここで、第二のタバコは、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から生産される);および、c)前記のブレンドされたタバコを生産するように、前記の第一のタバコを前記の第二のタバコとブレンドするステップ、を含む、ブレンドされたタバコを生産する方法をさらに提供する。一部の実施態様では、第一および第二のタバコは、本発明のニコチアナ植物から生産されてよく、ここで、一部の実施態様では、第一のタバコおよび第二のタバコは、異なるニコチアナ植物品種由来であり、両方とも、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む。
本発明の他の態様では、ブレンドされた低減されたニコチンタバコを生産するための方法が提供されて、当該方法は:a)第一のタバコを提供するステップ;b)第二のタバコを提供するステップ(ここで、第二のタバコは、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から生産される);およびc)前記のブレンドされた低減されたニコチンタバコを生産するように、前記の第一のタバコを前記の第二のタバコとブレンドするステップ、を含む。一部の実施態様では、第一および第二のタバコは、本発明のニコチアナ植物から生産されてよく、ここで、一部の実施態様では、第一のタバコおよび第二のタバコは、異なるニコチアナ植物品種由来であり、両方とも、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む。例として、鉄管乾燥および空気乾燥タバコの両方とも、一般的なアメリカンブレンドシガレットの構成要素である。したがって、本発明の一部の実施態様では、低ニコチン性アルカロイドタバコ産物は、低ニコチンバーレイ種品種を、高ニコチン鉄管乾燥品種とブレンドすることによって生産されてよく、それぞれの品種は、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおいて突然変異を含み、それにより、低アルカロイドタバコ産物の全体的なニコチン性アルカロイド(例えば、ニコチン、アナタビン、ノルニコチン、アナバシンなど)含有量を低減する。
当技術分野でよく知られているように、タバコ産物のためのタバコの調合は、タバコに加えて、調合の苦味、甘味、酸味または塩味を変更;調合の知覚される乾燥または湿潤を高める;または、調合によって表されるタバコの風味の程度を高めることのできる他の成分を取り込むことができる。そのような他の成分は、塩類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど);天然甘味料(例えば、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトースなど);人工甘味料(例えば、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムKなど)、有機および無機充填剤(例えば、穀物、加工穀物、膨化穀物、マルトデキストリン、デキストロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ラクトース、マニトール、キシリトール、ソルビトール、細かく分けられたセルロースなど);バインダー(例えば、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび他の改変されたセルロースタイプのバインダー、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、デンプン系のバインダー、アラビアゴム、レシチンなど);pH調整剤または緩衝剤(例えば、金属水酸化物、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、および他のアルカリ金属バッファー、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど);着色剤(例えば、カラメル色素を含む色素および顔料、および二酸化チタンなど);保湿剤(例えばグリセリン、プロピレングリコールなど);防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウムなど);シロップ(例えば、ハチミツ、高フルクトーストウモロコシシロップなど);崩壊補助剤(例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、α化コーンスターチなど);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、ブドウ種子抽出物および油、ポリフェノール含有材料、例えば、緑茶抽出物および紅茶抽出物、ピーナッツ内果皮、ジャガイモ皮など(Santhosh et al.,Phytomedicine,122:16−220(2005)を参照;参照により本明細書中に援用される);および香料であってよい。香料は、天然または合成であってよく、限定されないが、新鮮、甘味、薬草、砂糖菓子、花、果実または薬味を含む。特定のタイプの風味は、限定されないが、バニラ、コーヒー、チョコレート、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ヒメコウジ、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、ハチミツ、ジャスミン、ショウガ、アニス、セージ、カンゾウ、グレープ、レモン、オレンジ、アップル、ピーチ、ライム、チェリー、およびストロベリーを含む(Leffingwill et al.,Tobacco Flavoring for Smoking Products,R.J.Reynolds Tobacco Company(1972)を参照)。香味は、湿潤剤、冷却剤または平滑剤と考えられる成分を含んでもよく、制限されないが、ユーカリを含む。これらの風味は、単独または混成(例えば、スペアミントおよびメントール、またはオレンジおよびシナモン)で提供され得る。代表的なタイプの成分は、米国特許第5,387,416号(White et al.)およびPCT出願公報番号WO2005/041699(Quinter et al.)にも示され、それぞれの関連のある部分は参照により本明細書中に援用される。したがって、一部の実施態様では、本発明のタバコ産物は、香味成分または芳香を含んでよい。
タバコ調合内のタバコの量は変化し得る。特定の実施態様では、タバコ調合内のタバコの量は、乾燥重量ベースで少なくとも約25パーセント〜少なくとも約40パーセント(例えば、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40%乾燥重量、およびその中の任意の値または範囲)である。タバコ調合内の他の成分の量は、好ましくは、乾燥重量ベースで約25パーセント〜約40パーセント過剰である。
本発明の一部の実施態様では、タバコを使用するヒトにおけるニコチンの量が低減される方法が提供されて、当該方法は、本発明の任意のタバコ産物を前記ヒトに提供するステップを含む。
本発明のさらに他の態様では、タバコ使用者のニコチン消費を低減するための方法が提供されて、当該方法は:(a)低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から生産されたタバコを含む第一のタバコ産物を前記タバコ使用者に提供するステップ;および(b)低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から生産されたタバコを含む第二のタバコ産物を前記タバコ使用者に提供するステップ、を含み;ここで、前記の第二のタバコ産物は、前記の第一のタバコ産物よりも少ないニコチンを含む。
本発明の一部の態様では、タバコ使用者は、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から生産されたタバコを含むさらなるタバコ産物が提供され得て;ここで、前記のさらなるタバコ産物は、前記の第一または第二のタバコ産物よりも少ないニコチンを含む第三の産物で始まって連続して低減された量のニコチンを含む。
本発明の他の実施態様では、タバコ常用中止キットが提供されて、ここで、タバコ常用中止キットは、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から生産された本発明の任意の産物のタバコ産物から選択されるタバコ産物を含む。
さらに他の実施態様では、本発明は、ニコチンを含む第一のタバコ産物および第一のタバコ産物における量よりも少ない量のニコチンを含む第二のタバコ産物を含むキットを提供し、前記の第一または第二のタバコ産物は、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から生産されたタバコ産物を含む。
さらに他の実施態様では、本発明は、低減されたニコチン性アルカロイド含有量を有し、(a)配列番号3のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLeポリヌクレオチド、(b)配列番号1のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−1ポリヌクレオチド、および/または(c)配列番号2のヌクレオチド配列と97%同一性を有するBBLd−2ポリヌクレオチドにおける突然変異を含む、本発明のニコチアナ植物から生産される産物を提供し、ここで、生産される産物は、工業用酵素、医薬品、化粧品成分、ヒトおよび家畜の飼料、食品添加剤および発酵産物からなる群より選択される。
ここで、本発明は、以下の実施例に関して説明される。これらの実施例は、本発明に対する特許請求の範囲の制限を意図しないが、むしろ、特定の実施態様の例示であることを意図することが理解されるべきである。当業者が想到する例示された方法における任意の変型は、本発明の範囲内であることが意図される。
[実施例1.BBL突然変異]
BBL遺伝子ファミリーのサイレンシングが、従来の圃場栽培条件下で低減されたニコチンタバコ植物を得る実行可能な手段を示すかどうか確立するために、我々は、RNAi手法(Lewis et al.,2015)を用いた。Kajikawa et al.,(2011)は、BBLa、BBLb、BBLcおよびBBLdと指定される4つの独特なBBLアイソフォームを報告した。遺伝子ファミリー全体を抑制する可能性を最大にするために、最も高い保存領域由来の212bpフラグメントを選択した。GenBankで示されるタバコEST配列のインシリコ分析が、BBLアイソフォームの最高の発現であることを示唆したので、抗−BBL RNAi構築物がBBLa配列に対して特異的に生産された。BBLa由来の212bpフラグメントは、BBLb、BBLcおよびBBLdの類似領域と、それぞれ94%、93%および84%同一であった。抗−BBL RNAi構築物は、BBLdと同一の最も少ない配列を共有したが、Kajikawa et al.(2011)によって行われたインシリコEST分析および逆転写酵素PCR分析の両方とも、BBLdアイソフォームは他のアイソフォームと比較して最小限で発現されることを示唆した。
鉄管乾燥タバコ栽培品種「K326」を、抗−BBL RNAi構築物によって形質転換して、10個の非依存性の35S:BBL−RNAi DH株を、アルカロイドプロファイル、収率、および乾葉の質に関する反復した圃場実験での評価のために選択した。10個の試験されたRNAi株のうち6個が、形質転換されないコントロール株、K326(表1)に関して観察されるよりも有意に低い(P<0.05)乾葉におけるニコチンレベルを示した。残りの4個のRNAi株は、K326とおよそ同等のニコチンレベルを生産した。これは、RNAiメカニズムが、これらのトランスジェニック株において機能していなかったためと考えられる。トランスジェニック株DH32は、乾葉において最も低いパーセントのニコチン(0.414%)を示し、一方で、形質転換されないK326は、2.454%ニコチンを生産した。最も低いニコチンレベル(0.299%)は、LAFC53、鉄管乾燥タバコ栽培品種NC95のnic1/nic1 nic2/nic2同質遺伝子系統によって生産された。
K326と比較して有意により低いパーセントのニコチンを有する6個のRNAi株は全て、乾葉において、有意に(P<0.05)より低いアナタビンおよび合計アルカロイドレベル(表1)も示した。これらの6個の株のうちの5個は、有意に(P<0.05)より低いレベルのアナバシンも示した。6個は全て、ノルニコチンのパーセントおよびジヒドロメタニコチン(DMN)のパーセントに関してより高かったが、これらの数字の違いは非常に小さかった。K326と比較して有意により低いニコチンおよび合計アルカロイドレベルを示す6個のRNAi株は、形質転換されないK326と比較して有意により低い(P<0.05)乾葉の収量を生じ、693kg ha−1の平均の違いだった(表1)。しかしながら、還元糖のパーセント、ハンドレッドウェイトあたりの値($ cwt−1)、またはグレード指標によって測定される乾葉の品質に関するK326および任意のRNAi株の間に、有意差は検出されなかった。対照的に、nic1およびnic2に関してホモ接合型のLAFC53植物は、それらの全体的により低いグレード指標および還元糖含有量に基づき、より低い品質が明らかであった。LAFC53で観察される品質の低下のほとんどは、圃場で生育した場合にこの株と関連する遅い熟成の表現型に起因すると考えられた。全体的に、この実験の結果は、BBL遺伝子発現の阻害は、重要な品質特性を保持しながらニコチンが有意に低減したタバコ植物を生じさせることができることを示す(Lewis et al.,2015)。
BBL遺伝子活性のRNAi抑制は、高品質で低減したニコチン株の生産に効果的であったが、莫大な費用および規制撤廃プロセスと関連する長いタイムライン、ならびに、遺伝子組換え(GM)作物に対して哲学的に反対している消費者による拒絶のおそれのような、トランスジェニック作物の商業化と関連する多くの障害がある。非GMの代替を提供するために、我々は、BBL遺伝子ファミリーの最も活発に転写される3つの遺伝子であるBBLa、BBLbおよびBBLc内の突然変異に関して、バーレイ種タバコ繁殖株DH98 325−6のエチルメタンスルホネート(EMS)によって突然変異誘発された集団をスクリーニングした。我々は、BBLd内の突然変異に関しては、上述のように、このアイソフォームは他の3つと比較して最小限に発現されると考えられるので、スクリーニングしなかった。この集団に関する何千ものハイスループットPCRおよびDNAシーケンシング反応を行なった後に、我々は、スクリーニングされた3つのBBL遺伝子のそれぞれにおけるノックアウト(トランケーション)突然変異の同定に成功した(Lopez,2011;Lewis et al.,2015)。
突然変異誘発されたDH98−325−6遺伝的背景における全てのあり得るホモ接合型の組み合わせにおいて、BBLa、BBLb、およびBBLc内の同定されたトランケーション突然変異を組み合わせるために、SNP遺伝子型決定を伴う性交差を用いた。アルカロイドプロファイルを、全ての7個のあり得るbbl突然変異体遺伝子型クラスならびに単一の圃場環境内で生育した野生型(WT)分離個体の植物の間で比較した(表2)。広範な数値範囲が、ニコチン、ノルニコチン、アナタビン、および合計アルカロイドのパーセントに関する遺伝子型クラスの間で観察された。CYP82E4と指定される活性のニコチンデメチラーゼ遺伝子に起因して、DH98−325−6は、ニコチンをノルニコチンに変換する高い遺伝的潜在性を有するので(Lewis et al.,2010)、ノルニコチンは、これらの遺伝子型の全ての中で最も普及しているアルカロイドであった。単一の突然変異に関してホモ接合型の遺伝子型は、軽度から中度の合計アルカロイドの低減を示した。3つの単一の突然変異遺伝子型のうち、bbla/bbla突然変異は、最も大きな数的効果を有することが見いだされて、一方で、bblb/bblb突然変異は、2番目に大きな効果を有することが見いだされた。bblc/bblc突然変異は、それ自体で、合計アルカロイドのパーセントに少しの低減のみ与えた。二重の突然変異体の組み合わせbbla/bbla bblb/bblb BBLc/BBLc、および、三重のホモ接合型突然変異の組み合わせbbla/bbla bblb/bblb bblc/bblcは、それぞれ、2番目に最も低い、および、最も低いレベルの合計アルカロイド蓄積を示した。これらのレベルは、WT DH98−325−6分離個体に関するものよりも、実質的および有意に低かった(表2)。ノルニコチンは、これらの特定の材料の中で主なアルカロイドであったが、これらの突然変異が、正常な、非変換タバコ株に移行された時点で、ノルニコチンよりむしろニコチンが優勢アルカロイド種を代表することを除き、同様の結果が予期される。これらの結果は、BBL遺伝子機能の不活化は、低アルカロイドタバコ植物を生産する効果的な手段を代表すること、および、これは非GM戦略を用いて達成され得ることを確認する(Lewis et al.,2015)。
[実施例2.BBL遺伝子ファミリーの新規メンバーの同定]
Kajikawa et al.(2011)は、タバコのBBL遺伝子ファミリーを、彼らがBBLa、BBLb、BBLcおよびBBLdと指定する4つのメンバーからなると説明した。我々は、タバコゲノム内に任意の他のBBLファミリーメンバーの存在の証拠があるかどうか決定するために、GenBankに見られる様々なデータベースのBLASTに基づく分析を行なった。これらの結果は、2つのさらなるBBLファミリーメンバーの存在を明らかにした。これらのうちの1つは、BBLdと95%ヌクレオチド同一性および94%の予測アミノ酸同一性を共有する。BBLdおよびこの新規のアイソフォームが、互いに非常に密接に関連し、他のBBL遺伝子とかなり異なることを考慮して(任意の他の遺伝子ファミリーメンバーと80%未満の同一性を共有する)、我々は、これらの配列を、BBLd−1(Kajikawa et al.,2011によって報告されたオリジナルのBBLd)およびBBLd−2(新規のアイソフォーム)と称す。我々が同定した他の新規のBBLファミリーメンバーは、以前に特徴付けられたBBLa、BBLbおよびBBLc配列と90〜92%ヌクレオチド同一性を共有する。我々は、この新規のファミリーメンバーBBLeと指定する。BBLe、BBLd−1およびBBLd−2のDNAおよび予測タンパク質配列を以下に示す。スタートおよびストップコドンは、ボールド体、下線タイプである。カスタムデザインされたメガヌクレアーゼ酵素の22bp標的部位の位置は、灰色で強調される。
ESTデータベースのインシリコ分析は、全体的な転写プールに対する遺伝子ファミリーの個々のメンバーの相対的寄与を予測するための有用な指標としての役割を果たし得る。BBLファミリーの我々のインシリコ分析の結果を以下の表3に示す。
Kajikawa et al.(2011)によって報告されたBBL遺伝子ファミリーの特性と一致して、インシリコ分析は、BBLa、BBLbおよびBBLcが、この遺伝子ファミリーの最も高く転写されるメンバーであることを示唆する。これはまた、これらの3つの遺伝子座において突然変異されたタバコ植物において観察されるアルカロイド含有量の劇的な低減とも一致する(表2)。BBLd−1およびBBLeに対応する、より少ないESTが見いだされたが、ESTデータベースにおけるそれらの存在は、それらが実際に転写されて、したがって、タバコ植物の全体的なBBL活性に向けて寄与している可能性があることを証明する。これは、BBLa、BBLbおよびBBLcに対するそのより大きな配列類似性、ならびに、BBLd−1と比較してインシリコ分析におけるその増大した現れ方(representation)を考慮すれば、BBLeに関して特に当てはまる。BBLd−2に相当するESTは見いだされなかったが、我々は、このアイソフォームも低レベルで転写されていて、それにより全体的な細胞のBBL活性に向けて寄与するという可能性を無視できない。
実施例1に記載されてLewis et al.(2015)で報告される研究は、BBLファミリーの遺伝子の機能を阻害することによって好都合な品質特性を維持する低アルカロイドタバコ植物を生産することが可能であることを示す。この領域においてなされてきた相当な進歩にもかかわらず、既存の技術は未だに、多くの低ニコチンタバコ適用に最適であるものには届かない。主な欠点は、現行技術のままであるアルカロイドレベルが、特定の適用に所望されるほどには未だに低くないことである。例えば、表1においてニコチン含有量の最も大きな低減を示しているRNAi株の乾葉は(DH32)、まだなお、正常のK326植物において観察されるニコチンの約17%を保有した。EMSによって突然変異誘発されたDH98 325−6材料については、三重突然変異体bbl植物は、ヌル分離個体コントロールにおいて観察された合計アルカロイド含有量の約7.5%を保持した。高品質タバコのバックグラウンド内で、以前に説明されているよりも、または既存技術を使用しても可能であるよりも、いっそう少ない量のニコチンを生産および蓄積する、タバコ栽培品種を開発する必要性が残っている。
[実施例3.BBL遺伝子の標的化された突然変異誘発]
現行技術での別の欠点は、最終産物が非トランスジェニックであることが好ましい状況のために植物において遺伝子突然変異を産生するために、EMSのような標的非特異的な突然変異原に頼っていることである。EMSのような突然変異原は、ゲノム全体にわたり突然変異をランダムに分配するように機能する。標的非特異的な薬剤を用いて目的の遺伝子における突然変異を見つける合理的な可能性を得るためには、突然変異がゲノム全体にわたって高密度で取り込まれる様式で植物を処理しなければならない。目的の遺伝子内の突然変異が、そのような突然変異誘発された集団由来の植物において同定された時点で、その結果、広範囲の戻し交配が、その植物に同様に見られるゲノム全体にわたって分配された望ましくない突然変異を全て除去しようとするために必要とされる。もし、望ましくない二次的な突然変異が目的の突然変異と密接に関連するならば、所望の突然変異体の形質からそれを分離することは困難になり得る。ランダム突然変異育種手法を用いて頻繁に遭遇する問題は、関連する有害な二次的突然変異が、重要な農学および/または品質の形質に負の影響を及ぼさない様式で、高品質の市販栽培品種に目的の突然変異体の形質を取り込むのを防ぐということである。分子生物学に基づく精度の突然変異誘発技術の最近の出現により、現在では、ゲノム全体にわたる不要なランダム突然変異を導入せずに突然変異を特定の遺伝子または目的の遺伝子に誘導することが可能である。これらの技術は、レシピエント親の好ましい属性に他の方法で負の影響を与えない様式で特異的な所望の突然変異を目的の作物のゲノム内に導入する能力を大きく増大させて、ならびに、伝統的な突然変異育種手法に関して現在のところ必要とされる広範囲の戻し交配の実施に関与する時間を低減または除去することを約束する。
現在までに、真核生物における標的化された遺伝子改変の目的のために開発された4つの別個のクラスのデザイナーヌクレアーゼが存在している:(1)ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN);(2)カスタムデザインされたホーミング酵素、または「メガヌクレアーゼ」;(3)転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);および(4)clustered,regularly interspaced,short palindromic repeats(CRISPR)関連(Cas)ヌクレアーゼ(Puchta and Fauser,2014)。植物細胞内に導入されると、カスタムデザインされたヌクレアーゼは、その標的部位(単数または複数)に結合して、その位置でDNA内に二本鎖切断を作製する(Curtin et al.,2012;Puchta and Fauser,2014)。植物は、DNA切断に応答して機能する2つの個別の細胞の修復機構:非相同末端結合(NHEJ)および相同組み換え(HR)を有する。NHEJ修復システムは、切断末端を再ライゲーションすることによって機能し、一方で、HRが仲介するシステムは、相同配列をドナー鋳型として利用して、組み換えを介して切断を修復する。ほとんどの植物細胞では、NHEJシステムが優位である。しかしながら、NHEJはエラーを起こしやすいので、ヌクレアーゼによる標的部位の繰り返し切断およびNHEJによる再ライゲーションは、切断部位において高頻度の短い欠失および/または短い挿入をもたらす。ヌクレアーゼが遺伝子のエクソン領域を標的化する場合、これらのインデル頻度は、遺伝子機能の喪失を効果的に引き起こすフレームシフト突然変異をもたらす。したがって、植物細胞へのカスタムデザインされたヌクレアーゼの導入は、標的化された遺伝子の機能をノックアウトするための強力なツールとして役割を果たすことができる。デザイナーヌクレアーゼを保有する導入された導入遺伝子は、ほぼ常に、標的化される遺伝子(単数または複数)と連結していない部位で組み込むので、自己受精および/または交差の次の世代において分離され得て、標的化された内因性遺伝子(単数または複数)が不活化されている植物をもたらすが、もはやいかなる外来DNAも保有しない。
[1.カスタムデザインされたヌクレアーゼを用いたbblファミリーメンバーの標的化された突然変異誘発による、超低ニコチンタバコ栽培品種の開発]
[A. BBLe、BBLd−1およびBBLd−2を標的化するメガヌクレアーゼをコードする構築物]
BBLe、BBLd−1およびBBLd−2遺伝子内の特定の配列を切断するように設計されたメガヌクレアーゼをコードするプラスミドは、Precision Biosciences社によって生産された(表4)。構築物BBL 1−2x.81は、BBLe内の独特の22bp配列を認識するように改変されたヌクレアーゼをコードする。BBLd−1とBBLd−2との間で共有される高い配列同一性に起因して、これらの遺伝子の両方を標的化することが可能な単一のヌクレアーゼ(BBL 7−8x.90)を設計することができた。それぞれのカスタムデザインされたヌクレアーゼに関して、意図された遺伝子標的を除き、最近になって公表されたNicotiana tabacum参照ゲノム内のどこにも存在しない22bpの標的部位を選択した(Sierro et al.,2014)。独特の標的部位の選択は、ゲノム内の他のどこかでのオフターゲット切断の可能性を最小限にするのを助けるべきである。さらに、選択された標的部位は、高く保存されたFAD結合ドメインをコードする配列の上流の、遺伝子配列の上側3分の1に生じる(上記の実施例2における配列を参照)。したがって、これらの位置でフレームシフトをもたらす突然変異イベントは、完全に非機能性のタンパク質産物を生産することが予測される。構築物BBL 1−2x.81およびBBL 7−8x.90を、植物発現ベクターpCAMBIA2300(www.cambia.org)内にクローニングした。pCAMBIA2300内では、デザイナーヌクレアーゼの転写は、増強された35Sカリフラワーモザイクウイルスプロモーターによって駆動されて、選択は、抗生物質カナマイシンに対する耐性を与えるnptII遺伝子を介して仲介される。
[B.三重突然変異体bbla、bblbおよびbblcバックグラウンド内の、BBLe、BBLd−1およびBBLd−2の標的化された突然変異誘発]
BBLe、BBLd−1および/またはBBLd−2遺伝子内の突然変異の導入が、3つの以前に特徴付けられたBBL遺伝子(BBLa、BBLbおよびBBLc)内のノックアウト突然変異に関してホモ接合型の植物において達成可能なものよりも下にニコチンレベルを低下させることができるかどうか決定するために、標準的なアグロバクテリウムが介在する形質転換プロトコル(Horsch et al.,1985)を用いて構築物BBL 1−2x.81およびBBL 7−8x.90を株TN90(bbla/bblb/bblc)内に導入した。TN90(bbla/bblb/bblc)は、オリジナルの三重突然変異体bbla/bblb/bblc個体を、そのEMSによって突然変異誘発されたDH98 325−6バックグラウンド(Lewis et al.,2015)において、市販のバーレイ種栽培品種TN90中に戻し交配することによって生産された。7世代の戻し交配を行なって、TN90反復親をタイプに戻して、スタートのDH98 325−6(bbla/bblb/bblc)材料内に存在するゲノムワイドのEMS突然変異の数を大幅に減らした。それぞれの戻し交配世代では、衰弱性(debilitating)bbla、bblbおよびbblc突然変異に特異的なSNPマーカーを用いて、所望のbbl遺伝子座を保有する子孫を同定して;7つの戻し交配世代の完了の際に、個々のBC7F2を同一マーカーでスクリーニングして、3つのbbl突然変異全てに関してホモ接合型である株TN90(bbla/bblb/bblc)を同定した。
150個を超えるカナマイシン耐性T0植物を、BBLe、BBLd−1またはBBLd−2内の突然変異に関してスクリーニングした。突然変異スクリーニングは、非常に若いT0植物の葉からゲノムDNAを単離して、標的切断部位に隣接するプライマーを用いたPCRを通した目的の領域を複製することによって行なわれた。生じたPCR産物を、続いてDNA配列分析によって分析した。ゲノム編集イベントが、形質転換の直後および最初の細胞分裂の前に生じた場合は、これらの配列は編集部位において野生型(WT)と異なるため、これは配列クロマトグラム上で容易に検出され得る。配列相違の部位において等しい強度の2つの別個のシーケンシングパートナーが存在する(一方はWT、他方は編集される)場合は、我々はこの植物を、標的遺伝子の2つの対立遺伝子のうちの1つのみが突然変異されていると考えられるので、「単一アレル」であると分類する。単一の編集された配列パターン、または、両方ともWTとは異なる2つのオーバーラップするパターンを保有する植物は、「両アレル」イベントと指定される。若いタバコ葉を含む多数の細胞を考慮すれば、後期の形質転換後に生じて少数の細胞にのみ存在する編集イベントは、このスクリーニング方法を用いて検出されない。後期イベントの突然変異を含む植物は、「キメラ」と考えられて、これらの編集イベントは、生殖細胞系に存在して子孫による遺伝される可能性がよりいっそう低いので、より低い関心である。
構築物BBL1−2x.81またはBBL7−8x.90によって仲介されるゲノム編成イベントを含むT0植物を図1に示す。ヌクレアーゼが介在する編集は、酵素の予測される切断部位から発生する短い欠失および/または挿入として明白である。BBLe内の突然変異で同定された8個のT0植物のうち、7個は突然変異に関して単一アレルであり、1個は両アレルであった(植物#143)。8個のT0植物は、示されるヌクレアーゼによって誘導されたBBLd−1内の突然変異は、その全てが、単一アレルであると予測されることも同定された。BBLd−2については、9個の単一アレルイベントおよび1個の両アレルイベント(植物#36)が、スクリーニングされたT0植物の中で観察された。BBL7−8x.90構築物を用いて形質転換された2個の植物が、BBLd−1およびBBLd−2の両方に突然変異を保有した(#36および#100)。全体的に、BBL1−2x.81またはBBL7−8x.90を用いて形質転換されたT0植物のおよそ18%が、意図されたBBL遺伝子座における突然変異に関して陽性とスクリーニングした。このレベルの突然変異効率は、植物における標的化された突然変異誘発のために、カスタムデザインされたメガヌクレアーゼ酵素を用いた他人によって報告されるものと同様である(Gao et al.,2010;Dewey and Lewis,2014)。特定の興味は、ヌクレオチドの獲得または純損失が3で割れない数であるBBLe、BBLd−1およびBBLd−2遺伝子内の欠失/挿入突然変異を保有する植物である。この特性の突然変異は、突然変異部位の上流の遺伝子配列のリーディングフレームが突然変異の下流のものとフレームに収まらないため、完全に非機能性のタンパク質産物をもたらすと予測される。この説明に合致するT0イベントを図1で下線を引く。
[2. BBLe、BBLd−1およびBBLd−2突然変異による植物の評価]
標的化された目的の突然変異を含むT0トランスジェニックを、交差および/または自家受精して、様々な可能な突然変異体の組み合わせに関してホモ接合型であり突然変異誘発性導入遺伝子(単数または複数)も分離されている子孫を生産する。いかなる外来DNAもなくて、bbld−1、bbld−2およびbble突然変異の様々な組み合わせを保有する(全て、なおも、三重突然変異体bbla/bblb/bblcバックグラウンド内である)植物を生育させて、標準的な業界慣習に従って乾燥させて、アルカロイド含有量について分析する。関連のあるオリジナルの野生型遺伝子型(例えばTN90)、ならびに、bbla、bblbおよびbblc突然変異体遺伝子座についてのみホモ接合型であるその関連のある親遺伝子型(例えばTN90(bbla/bblb/bblc))に対して、比較を行なう。加えて、全ての植物は、グレード指標および還元糖パーセントについて評価される。成果は、BBLeおよび/またはBBLd−1および/またはBBLd−2遺伝子座におけるノックアウト突然変異のピラミッド化および導入に起因して、それらのそれぞれの親植物(bblabbla/bblbbblb/bblcbblc)よりも有意に少ないニコチンを蓄積する、商業的に実現可能なバックグラウンドにおける高品質タバコ栽培品種の開発である。
前述は本発明の例示であり、その制限と解釈されるべきでない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって、その中に含まれるべき特許請求の範囲の等価物とともに定義される。