JP6955243B2 - ネクローシスの検出キット及びその使用 - Google Patents

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本発明は、ネクローシスの検出キット及びその使用に関する。
細胞死の機構には、アポトーシス、ネクローシス等が存在する。アポトーシスは、不要な細胞や損傷を持つ細胞を積極的に排除する能動的な細胞死である。一方、ネクローシスは、生化学的に制御されない受動的な細胞死である。例えば、癌の放射線治療による細胞死の多くはネクローシスであり、アポトーシスは主たる細胞死ではないことが知られている。
ところで、プロテインスプライシングとは、ポリペプチド鎖上のインテインと呼ばれる領域が取り除かれ、エクステインと呼ばれる領域が連結する反応機構である(例えば、非特許文献1を参照。)。
エクステインのアミノ酸配列にはほとんど制限がなく、インテインはその両側に連結したエクステイン同士を連結することができる。また、プロテインスプライシングは外部からのATP等のエネルギーの導入を必要とせず、自発的に進行することが知られている。
プロテインスプライシングの1態様は、1本の直鎖状ポリペプチドから、当該ポリペプチドの中央に位置するインテインが取り除かれ、その両側に位置するエクステイン同士がアミド結合により連結するものである。
プロテインスプライシングの別の態様として、分割されたインテインがゲノム上の離れた位置に存在するものが知られている。この場合、2本の直鎖状ポリペプチドから、トランススプライシング反応によりインテインが取り除かれ、エクステイン同士が連結する。
Perler F. B., et al., Protein splicing elements: inteins and exteins - a definition of terms and recommended nomenclature, Nucleic Acids Research, vol. 22 (7), 1125-1127, 1994.
上述したように、例えば、癌の放射線治療による細胞死の多くはネクローシスである。このため、例えば放射線治療条件は、放射線照射後早期に誘起されるネクローシスを指標に最適化すべきである。しかしながら、現在、ネクローシスを効率よく検出する技術は存在しない。
このような背景のもと、本発明は、ネクローシスを効率よく検出する技術を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を含む。
[1]ネクローシスの検出方法であって、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、を備え、前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
[2]ネクローシスの検出方法であって、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、を備え、前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
[3]前記レポータータンパク質が蛍光タンパク質又は酵素である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記第1のプロテインスプライシングドメインが配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、且つプロテインスプライシングを行う活性を有するドメインである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記第2のプロテインスプライシングドメインが配列番号2に記載のアミノ酸配列、又は配列番号2に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、且つプロテインスプライシングを行う活性を有するドメインである、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤のスクリーニング方法であって、被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤の候補であると判断する工程と、を備え、前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
[7]癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤のスクリーニング方法であって、被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤の候補であると判断する工程と、を備え、前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
[8]放射線増感剤のスクリーニング方法であって、被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞に放射線を照射する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は放射線増感剤の候補であると判断する工程と、を備え、前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
[9]放射線増感剤のスクリーニング方法であって、被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、前記細胞に放射線を照射する工程と、前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は放射線増感剤の候補であると判断する工程と、を備え、前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
[10]放射線照射プロトコルの評価方法であって、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞に評価対象の放射線照射プロトコルで放射線を照射する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記放射線照射プロトコルは癌細胞の治療効果が高いと評価する工程と、を備え、前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
[11]放射線照射プロトコルの評価方法であって、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、前記細胞に評価対象の放射線照射プロトコルで放射線を照射する工程と、前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記放射線照射プロトコルは癌細胞の治療効果が高いと評価する工程と、を備え、前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
[12]ネクローシスの検出キットであって、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質の発現ベクター、又は、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質の発現ベクター、を備え、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、キット。
[13]ネクローシスの検出キットであって、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質を発現する細胞、又は、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質を発現する細胞、を備え、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、キット。
[14]ネクローシスの検出キットであって、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質、又は、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質、を備え、前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、キット。
本発明により、ネクローシスを効率よく検出する技術を提供することができる。
実験例2におけるルシフェラーゼの発光量の測定結果を示すグラフである。 (a)は、実験例3におけるルシフェラーゼの発光量の測定結果を示すグラフである。(b)は、実験例3において、ルミノイメージアナライザーを用いて試料を可視化した結果を示す画像である。
[ネクローシスの検出方法]
1態様において、本発明は、ネクローシスの検出方法を提供する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るネクローシスの検出方法は、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、を備える。
本明細書において、スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側にレポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせである。
ここで、レポータータンパク質のN末端側領域と第1のプロテインスプライシングドメインとの間にはスペーサー(ヒンジ領域)が挿入されていてもよい。同様に、第2のプロテインスプライシングドメインとレポータータンパク質のC末端側領域との間にはスペーサー(ヒンジ領域)が挿入されていてもよい。
そして、第1の融合タンパク質と第2の融合タンパク質とが接触すると、第1のプロテインスプライシングドメインと第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、レポータータンパク質のN末端側領域とレポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される。
従来、ネクローシスを効率よく検出する技術は存在しなかった。これに対し、実施例において後述するように、本態様の検出方法により、プロテインスプライシングによるレポータータンパク質の再構成を利用して、ネクローシスを効率よく検出すること等が可能となる。
スプリットレポータータンパク質とは、レポータータンパク質を分割したタンパク質である。本態様の検出方法においては、プロテインスプライシングを利用して、分割したスプリットレポータータンパク質同士を連結し、活性型のレポータータンパク質を再構成させる。
レポータータンパク質としては特に限定されず、蛍光タンパク質、酵素等が挙げられる。分割することによりレポータータンパク質としての機能が不活性化し、プロテインスプライシングにより再構成されることにより活性型のレポータータンパク質となるものであれば使用することができる。
より具体的なレポータータンパク質としては、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、インベルターゼ、β−ガラクドシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸還元酵素、β−ラクタマーゼ、これらのタンパク質の誘導体等が挙げられるがこれらに限定されない。
本態様の検出方法において、スプリットレポータータンパク質は、レポータータンパク質のN末端側領域とC末端側領域の組み合わせで使用する。より具体的には、レポータータンパク質をN末端側領域とC末端側領域に分割し、そのN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側にレポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせで使用する。ここで、第1の融合タンパク質は、レポータータンパク質のN末端側領域に対応する。また、第2の融合タンパク質は、レポータータンパク質のC末端側領域に対応する。
プロテインスプライシングドメインとしては、トランススプライシングを行うことができるドメインであることが好ましい。このようなプロテインスプライシングドメインとしては、例えば、シネコシスティスsp.PCC6803株のdnaE遺伝子由来のプロテインスプライシングドメインである、DnaEn及びDnaEcとの組み合わせ等が挙げられる。
例えば、第1のプロテインスプライシングドメインがDnaEnであってもよい。また、第2のプロテインスプライシングドメインがDnaEcであってもよい。DnaEnのアミノ酸配列を配列番号1に示す。また、DnaEcのアミノ酸配列を配列番号2に示す。
ここで、第1のプロテインスプライシングドメインとしては、プロテインスプライシングを行う活性を有するドメインである限り、DnaEnに変異が導入されたドメインであってもよい。例えば、配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上、例えば95%以上の配列同一性を有し、且つプロテインスプライシングを行う活性を有するドメインであってもよい。
また、第2のプロテインスプライシングドメインとしては、プロテインスプライシングを行う活性を有するドメインである限り、DnaEcに変異が導入されたドメインであってもよい。例えば、配列番号2に記載のアミノ酸配列と90%以上、例えば95%以上の配列同一性を有し、且つプロテインスプライシングを行う活性を有するドメインであってもよい。
本態様の検出方法において、レポータータンパク質の存在の検出は、使用したレポータータンパク質に応じた方法により行えばよい。例えば、レポータータンパク質が蛍光タンパク質である場合には、当該蛍光タンパク質の励起波長の光を照射し、発生される蛍光を測定すればよい。また、例えば、レポータータンパク質が酵素である場合には、当該酵素の基質を反応させ、その反応物を検出すればよい。ここで、酵素反応の反応物が蛍光物質である場合には、当該蛍光物質の励起波長の光を照射し、発生される蛍光を測定すればよい。また、酵素反応の反応物が発光する場合には、当該発光を測定すればよい。また、酵素反応の反応物が色素である場合には、吸光等を測定することにより当該色素の存在量を測定すればよい。
特に、蛍光や発光の測定によりレポータータンパク質の存在を検出する場合、ネクローシスをリアルタイムに可視化し、その時間的、空間的評価を行うことが容易である。
(第2実施形態)
第2実施形態に係るネクローシスの検出方法は、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、を備える。
第2実施形態の検出方法は、第1実施形態の検出方法と比較して、スプリットレポータータンパク質の一方が外部から供給される点が主に異なる。第1実施形態の検出方法によれば、スプリットレポータータンパク質を発現する細胞を2種類準備する必要がある。これに対し、第2実施形態の検出方法では、スプリットレポータータンパク質を発現する細胞を1種類準備すればよい。
第2実施形態の検出方法において、レポータータンパク質としては、第1実施形態の検出方法と同様のものを用いることができる。また、第2実施形態の検出方法において、スプリットレポータータンパク質のプロテインスプライシングドメインとしては、第1実施形態の検出方法と同様のものを用いることができる。
第2実施形態の検出方法において、外部から添加するスプリットレポータータンパク質は、ネクローシスにより細胞から放出されたスプリットレポータータンパク質の一方と接触することができる限り、どのタイミングで添加してもよい。
例えば、レポータータンパク質が酵素である場合、外部から添加するスプリットレポータータンパク質は、レポータータンパク質の存在の検出に使用する基質と共に添加してもよい。また、外部から添加するスプリットレポータータンパク質は、例えば、組換えタンパク質等として予め調製しておき、使用すればよい。
[抗癌剤のスクリーニング方法]
1態様において、本発明は、抗癌剤のスクリーニング方法を提供する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る抗癌剤のスクリーニング方法は、癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤のスクリーニング方法であって、被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤の候補であると判断する工程と、を備える。
第1実施形態のスクリーニング方法は、上述した第1実施形態に係るネクローシスの検出方法を利用して、癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤をスクリーニングする方法である。
従来、ネクローシスを効率よく検出する技術は存在しなかった。これに対し、本態様のスクリーニング方法により、プロテインスプライシングによるレポータータンパク質の再構成を利用してネクローシスを効率よく検出し、癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤をスクリーニングすることができる。これにより、従来とは異なる薬効を奏する抗癌剤をスクリーニングすることが可能となる。
本態様のスクリーニング方法において、被験物質としては特に制限されず、例えば化合物ライブラリー等を用いることができる。
また、細胞としては、例えば治療標的である癌組織に由来する癌細胞株等が挙げられる。また、細胞にスプリットレポータータンパク質を発現させる方法は特に制限されず、例えば、発現ベクター、レトロウイルス発現ベクター等を用いて、スプリットレポータータンパク質をコードする遺伝子を細胞に導入し、一過性に又は安定的に発現させればよい。
また、細胞の培養方法は特に制限されず、2次元培養であってもよく、マトリゲル等を使用した3次元培養であってもよく、担癌モデルマウス等を利用して生体内で培養するもの等であってもよい。また、共培養の方法は、第1の細胞及び第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、各細胞から放出されたスプリットレポータータンパク質同士が接触可能である限り、特に制限されない。例えば、第1の細胞及び第2の細胞を均一に混合して培養してもよいし、第1の細胞の集団と第2の細胞の集団とを近接させて培養してもよい。
本態様のスクリーニング方法において、プロテインスプライシングにより形成されたレポータータンパク質の存在の検出は、上述したネクローシスの検出方法と同様に行えばよい。そして、検出されたレポータータンパク質の量を、対照におけるレポータータンパク質の量と比較し、対照よりも増加していた場合には、当該被験物質は、癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤の候補であると判断することができる。
本態様のスクリーニング方法において、対照としては、例えば、ネクローシスの誘導の程度が予め明らかとなっている抗癌剤の存在下で培養した細胞等を用いることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る抗癌剤のスクリーニング方法は、癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤のスクリーニング方法であって、被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤の候補であると判断する工程と、を備える。
第2実施形態のスクリーニング方法は、上述した第2実施形態に係るネクローシスの検出方法を利用して、癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤をスクリーニングする方法である。
第2実施形態のスクリーニング方法は、第1実施形態のスクリーニング方法と比較して、スプリットレポータータンパク質の一方が外部から供給される点が主に異なる。第1実施形態のスクリーニング方法によれば、スプリットレポータータンパク質を発現する細胞を2種類準備する必要がある。これに対し、第2実施形態のスクリーニング方法では、スプリットレポータータンパク質を発現する細胞を1種類準備すればよい。
第2実施形態のスクリーニング方法において、被験物質、細胞、対照としては、第1実施形態のスクリーニング方法と同様のものを使用することができる。
[放射線増感剤のスクリーニング方法]
1態様において、本発明は、放射線増感剤のスクリーニング方法を提供する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る放射線増感剤のスクリーニング方法は、被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞に放射線を照射する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は放射線増感剤の候補であると判断する工程と、を備える。
第1実施形態のスクリーニング方法は、上述した第1実施形態に係るネクローシスの検出方法を利用して、癌細胞のネクローシスを誘導する放射線増感剤をスクリーニングする方法である。
癌の放射線治療による細胞死の多くはネクローシスであることが知られている。しかしながら、従来、ネクローシスを効率よく検出する技術は存在しなかった。このため、ネクローシスを誘導する放射線増感剤を見出すことは困難であった。
これに対し、本態様のスクリーニング方法により、プロテインスプライシングによるレポータータンパク質の再構成を利用してネクローシスを効率よく検出し、癌細胞のネクローシスを効率よく誘導することができる放射線増感剤をスクリーニングすることが可能となる。
本態様のスクリーニング方法において、被験物質としては特に制限されず、例えば化合物ライブラリー等を用いることができる。
また、細胞、細胞の培養方法、共培養については、上述した抗癌剤のスクリーニング方法におけるものと同様である。
本態様のスクリーニング方法において、放射線の照射条件は、癌の放射線治療で患者の体内の癌細胞が受ける放射線と同様の条件であることが好ましい。例えば1回あたり1〜10グレイの放射線を照射する条件が挙げられる。
また、本態様のスクリーニング方法において、対照としては、被験物質の非存在下で培養し、評価対象の細胞と同条件の放射線を照射した細胞等を用いればよい。
被験物質の存在下で放射線を照射し、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、当該被験物質は放射線増感剤の候補であると判断することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る放射線増感剤のスクリーニング方法は、被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、前記細胞に放射線を照射する工程と、前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は放射線増感剤の候補であると判断する工程と、を備える。
第2実施形態のスクリーニング方法は、上述した第2実施形態に係るネクローシスの検出方法を利用して、放射線増感剤をスクリーニングする方法である。
第2実施形態のスクリーニング方法は、第1実施形態のスクリーニング方法と比較して、スプリットレポータータンパク質の一方が外部から供給される点が主に異なる。第1実施形態のスクリーニング方法によれば、スプリットレポータータンパク質を発現する細胞を2種類準備する必要がある。これに対し、第2実施形態のスクリーニング方法では、スプリットレポータータンパク質を発現する細胞を1種類準備すればよい。
第2実施形態のスクリーニング方法において、被験物質、細胞、細胞の培養方法、対照、放射線の照射条件としては、第1実施形態のスクリーニング方法と同様のものを使用することができる。
[放射線照射プロトコルの評価方法]
1態様において、本発明は、放射線照射プロトコルの評価方法を提供する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る放射線照射プロトコルの評価方法は、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞に評価対象の放射線照射プロトコルで放射線を照射する工程と、前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記放射線照射プロトコルは癌細胞の治療効果が高いと評価する工程と、を備える。
第1実施形態の評価方法は、上述した第1実施形態に係るネクローシスの検出方法を利用して、評価対象の放射線照射プロトコルによる、癌細胞のネクローシスの誘導能を評価する方法である。
癌の放射線治療による細胞死の多くはネクローシスであることが知られている。しかしながら、従来、ネクローシスを効率よく検出する技術は存在しなかった。このため、ネクローシスを効率よく誘導する放射線照射プロトコルを見出すことは困難であった。
これに対し、本態様の評価方法により、プロテインスプライシングによるレポータータンパク質の再構成を利用してネクローシスを効率よく検出し、癌細胞のネクローシスを効率よく誘導することができる放射線照射プロトコルを検討することが可能となる。
本態様の評価方法において、細胞、細胞の培養方法、共培養については、上述した抗癌剤のスクリーニング方法におけるものと同様である。
評価対象の放射線照射プロトコルは任意である。例えば、1回あたりの照射線量を変更したプロトコル、総照射線量を変更したプロトコル、特定の放射線増感剤の投与下での放射線照射を行うプロトコル、放射線増感剤の濃度を変更して放射線照射するプロトコル等が挙げられる。
また、本態様の評価方法において、対照としては、例えば、ネクローシスの誘導の程度が予め明らかとなっている放射線照射プロトコルで放射線を照射した細胞等を用いることができる。
レポータータンパク質の存在を検出した結果、対照と比較してレポータータンパク質の存在が増加していた場合に、評価対象の放射線照射プロトコルはネクローシスの誘導効率が高いと評価することができる。ネクローシスの誘導効率が高い放射線照射プロトコルは癌細胞の治療効果が高いと考えられる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る放射線照射プロトコルの評価方法は、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、前記細胞に評価対象の放射線照射プロトコルで放射線を照射する工程と、前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記放射線照射プロトコルは癌細胞の治療効果が高いと評価する工程と、を備える。
第2実施形態の評価方法は、上述した第2実施形態に係るネクローシスの検出方法を利用して、癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤をスクリーニングする方法である。
第2実施形態の評価方法は、第1実施形態の評価方法と比較して、スプリットレポータータンパク質の一方が外部から供給される点が主に異なる。第1実施形態の評価方法によれば、スプリットレポータータンパク質を発現する細胞を2種類準備する必要がある。これに対し、第2実施形態の評価方法では、スプリットレポータータンパク質を発現する細胞を1種類準備すればよい。
第2実施形態の評価方法において、細胞、細胞の培養方法、対照、放射線照射プロトコルとしては、第1実施形態の評価方法と同様のものを使用することができる。
[ネクローシスの検出キット]
1態様において、本発明は、ネクローシスの検出キットを提供する。以下の第1実施形態〜第3実施形態のキットのいずれか1つ又は2つ以上を組み合わせて用いることにより、ネクローシスを効率的に検出することができる。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るネクローシスの検出キットは、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質の発現ベクター、又は、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質の発現ベクター、を備える。
あるいは、第1実施形態に係るネクローシスの検出キットは、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質の発現ベクターと、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質の発現ベクターと、の双方を備えていてもよい。
ここで、レポータータンパク質、第1及び第2のプロテインスプライシングドメイン、第1及び第2の融合タンパク質としては、上述したネクローシスの検出方法におけるものと同様のものが挙げられる。
発現ベクターの形態は特に制限されず、一過性の発現に適したものであってもよいし、安定発現に適したものであってもよい。また、例えばプラスミドであってもよいし、レトロウイルスベクターであってもよい。
具体的な第1の融合タンパク質の発現ベクターとしては、例えば、実施例において後述するLucNタンパク質の発現ベクターが挙げられるがこれに限定されない。また、具体的な第2の融合タンパク質の発現ベクターとしては、例えば、実施例において後述するLucCタンパク質の発現ベクターが挙げられるがこれに限定されない。
本実施形態の発現ベクターは、細胞に導入して発現させて、上述したネクローシスの検出、抗癌剤のスクリーニング、放射線増感剤のスクリーニング、放射線照射プロトコルの評価等に用いることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係るネクローシスの検出キットは、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質を発現する細胞、又は、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質を発現する細胞、を備える。
あるいは、第2実施形態に係るネクローシスの検出キットは、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質を発現する細胞と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質を発現する細胞と、の双方を備えていてもよい。
第2実施形態に係るネクローシスの検出キットは、第1実施形態に係るネクローシスの検出キットが遺伝子レベルで供給されるものであるのに対し、細胞レベルで供給される点において、第1実施形態に係るネクローシスの検出キットと異なっている。
ここで、レポータータンパク質、第1及び第2のプロテインスプライシングドメイン、第1及び第2の融合タンパク質としては、上述したネクローシスの検出方法におけるものと同様のものが挙げられる。
また、細胞としては特に制限されず、ネクローシスを検出する対象となる細胞を適宜選択すればよい。また、細胞に第1又は第2の融合タンパク質(スプリットレポータータンパク質)を発現させる方法も特に制限されず、例えば、発現ベクター、レトロウイルス発現ベクター等を用いて、第1又は第2の融合タンパク質をコードする遺伝子を細胞に導入し、一過性に又は安定的に発現させればよい。
本実施形態の細胞は、上述したネクローシスの検出、抗癌剤のスクリーニング、放射線増感剤のスクリーニング、放射線照射プロトコルの評価等に用いることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係るネクローシスの検出キットは、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質、又は、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質、を備える。
あるいは、第3実施形態に係るネクローシスの検出キットは、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質と、の双方を備えていてもよい。
第3実施形態に係るネクローシスの検出キットは、第1実施形態に係るネクローシスの検出キットが遺伝子レベルで供給され、第2実施形態に係るネクローシスの検出キットが細胞レベルで供給されるのに対し、タンパク質レベルで供給される点において異なっている。
ここで、レポータータンパク質、第1及び第2のプロテインスプライシングドメイン、第1及び第2の融合タンパク質としては、上述したネクローシスの検出方法におけるものと同様のものが挙げられる。
第1及び第2の融合タンパク質(スプリットレポータータンパク質)は、例えば、組換えタンパク質等として製造することができる。ここで、第1及び第2の融合タンパク質は、精製を容易にするためのタグを更に備えていてもよい。このようなタグとしては、例えばヒスチジンタグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)タグ等が挙げられるがこれらに限定されない。
本実施形態の融合タンパク質は、例えば、上述した第2実施形態のネクローシスの検出方法、第2実施形態の抗癌剤のスクリーニング方法、第2実施形態の放射線増感剤のスクリーニング方法、第2実施形態の放射線照射プロトコルの評価方法等に用いることができる。
あるいは、本実施形態のタンパク質は、例えばリポソームに封入して細胞と融合させることにより細胞に導入したり、マイクロインジェクションにより細胞に導入すること等により細胞に導入することができる。
その後、第1及び第2の融合タンパク質を導入した細胞を用いて、上述したネクローシスの検出、抗癌剤のスクリーニング、放射線増感剤のスクリーニング、放射線照射プロトコルの評価等に用いてもよい。
(変形例)
本実施形態のネクローシスの検出キットは、上述した第1実施形態〜第3実施形態のキットのいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせであってもよい。
例えば、ネクローシスの検出キットは、スプリットレポータータンパク質の一方の発現ベクターと、精製されたスプリットレポータータンパク質の他方とを含んでいてもよい。
このような発現ベクター及びタンパク質の組み合わせは、例えば、上述した第2実施形態のネクローシスの検出方法、第2実施形態の抗癌剤のスクリーニング方法、第2実施形態の放射線増感剤のスクリーニング方法、第2実施形態の放射線照射プロトコルの評価方法等に用いることができる。
次に、実験例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
[実験例1]
(スプリットレポータータンパク質の発現ベクターの作製)
ルシフェラーゼをレポータータンパク質とし、スプリットレポータータンパク質の発現ベクターを作製した。
具体的には、スプリットレポータータンパク質の一方として、ルシフェラーゼをN末端側領域とC末端側領域の2つに分割し、ルシフェラーゼのN末端側領域のC末端側にヒンジ配列を介してプロテインスプライシングドメインであるDnaEnが結合した融合タンパク質(以下、「LucNタンパク質」という。)を設計し、この発現ベクターを作製した。ここで、DnaEnとは、シネコシスティスsp.PCC6803株のdnaE遺伝子由来のプロテインスプライシングドメインである。DnaEnのアミノ酸配列を配列番号1に示す。また、LucNタンパク質をコードする塩基配列を配列番号3に示す。
また、スプリットレポータータンパク質の他方として、プロテインスプライシングドメインであるDnaEcのC末端側にヒンジ配列を介してルシフェラーゼのC末端側領域が結合した融合タンパク質(以下、「LucCタンパク質」という。)を設計し、この発現ベクターを作製した。ここで、DnaEcとは、シネコシスティスsp.PCC6803株のdnaE遺伝子由来のプロテインスプライシングドメインである。DnaEcのアミノ酸配列を配列番号2に示す。また、LucCタンパク質をコードする塩基配列を配列番号4に示す。
LucNタンパク質及びLucCタンパク質が接触すると、DnaEnドメインとDnaEcドメインとの間でプロテインスプライシングが起き、活性型のルシフェラーゼが再構成される。
[実験例2]
(プロテインスプライシングの確認)
HeLa細胞の亜株であるChang細胞に、実験例1で作製したLucNタンパク質の発現ベクターを一過性に発現させた。一方で、Chang細胞に、LucCタンパク質の発現ベクターを一過性に発現させた。続いて、各細胞に細胞溶解用試薬を添加し、細胞内容物をそれぞれ抽出した。
続いて、各細胞の抽出液を混合し、混合直後(0分後)、混合から5、15、30、60、120、180分後に発光基質であるルシフェリンを添加して、ルミノメーターを用いて発光量を測定した。抽出液のインキュベートは、37℃及び22℃でそれぞれ行った。
図1は、各温度における発光量の測定結果を示すグラフである。その結果、発光量にピークが存在することが明らかとなった。また、インキュベート温度により、発光量のピークの時間が変化することが明らかとなった。これは、再構成されたルシフェラーゼが細胞抽出液に含まれるプロテアーゼにより分解されることに起因すると考えられた。
以上の結果から、細胞から放出されたLucNタンパク質及びLucCタンパク質を混合することにより、プロテインスプライシングにより活性型のルシフェラーゼが再構成されることが確認された。
この結果は、本実験系によりネクローシスを検出できることを示す。すなわち、細胞がネクローシスを起こすと、LucNタンパク質及びLucCタンパク質を含む細胞内容物が放出される。続いて、LucNタンパク質及びLucCタンパク質のプロテインスプライシングにより活性型のルシフェラーゼが再構成される。そこで、再構成されたルシフェラーゼの活性を指標として、ネクローシスを検出することができる。
細胞内容物に含まれるプロテアーゼにより、スプリットレポータータンパク質が分解され、レポータータンパク質の検出が全くできない可能性もある。しかしながら、本実験例の結果から、プロテアーゼの存在下であっても、スプリットレポータータンパク質のプロテインスプライシングにより、レポータータンパク質を再構成できることが明らかとなった。
[実験例3]
(スプリットレポータータンパク質の安定発現細胞株の作製)
Chang細胞にLucNタンパク質の発現ベクターを導入した安定発現細胞株を作製した。また、Chang細胞にLucCタンパク質の発現ベクターを導入した安定発現細胞株を作製した。
LucNタンパク質及びLucCタンパク質の発現ベクターは、いずれもpIRES−EGFPを基本骨格として作製した。CMVプロモーターの下流にLucNタンパク質又はLucCタンパク質をコードする遺伝子を連結し、更にその下流にInternal ribosome entry site(IRES)配列をはさんでEGFPをコードする遺伝子を連結した。また、各発現ベクターには、薬剤選択用のネオマイシン耐性遺伝子の発現カセットが組み込まれていた。
Chang細胞に、LucNタンパク質の発現ベクター又はLucCタンパク質の発現ベクターを導入し、遺伝子導入細胞をG418含有培地で3週間培養することにより、安定発現細胞株を選択した。
更に、得られた細胞におけるGFPタンパク質の蛍光を指標としてLucNタンパク質又はLucCタンパク質を発現する細胞株を選択した。
その結果、LucNタンパク質の安定発現細胞株として、クローン2−15、2−22、4−21、5−21、6−17の5株が得られた。また、LucCタンパク質の安定発現細胞株として、クローン3−23、5−22の2株が得られた。
続いて、各細胞クローンに細胞溶解用試薬を添加し、細胞内容物をそれぞれ抽出した。 続いて、各細胞クローンの抽出液を様々な組み合わせで混合し、発光基質であるルシフェリンを添加して、ルミノメーターを用いて発光量を測定した。
図2(a)は、発光量の測定結果を示すグラフである。その結果、クローン3−23の抽出液を用いた場合に、クローン5−22の抽出液よりも高い発光量が得られることが明らかとなった。また、クローン3−23の抽出液とクローン2−15の抽出液を混合した場合に最も高い発光量が得られることが明らかとなった。
図2(b)は、各細胞株の抽出液の混合物に発光基質を添加した試料を、ルミノイメージアナライザーを用いて可視化した結果を示す画像である。その結果、発光量に対応した画像を取得することができることが明らかとなった。
この結果は、本実験系を用いて、実験動物のインビボイメージングが可能であることを示す。
本発明により、ネクローシスを効率よく検出する技術を提供することができる。

Claims (14)

  1. ネクローシスの検出方法であって、
    スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、
    前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、を備え、
    前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
  2. ネクローシスの検出方法であって、
    スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、
    前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、
    前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、を備え、
    前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
  3. 前記レポータータンパク質が蛍光タンパク質又は酵素である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記第1のプロテインスプライシングドメインが配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は配列番号1に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、且つプロテインスプライシングを行う活性を有するドメインである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第2のプロテインスプライシングドメインが配列番号2に記載のアミノ酸配列、又は配列番号2に記載のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、且つプロテインスプライシングを行う活性を有するドメインである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤のスクリーニング方法であって、
    被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、
    前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、
    検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤の候補であると判断する工程と、を備え、
    前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
  7. 癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤のスクリーニング方法であって、
    被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、
    前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、
    前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、
    検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は癌細胞のネクローシスを誘導する抗癌剤の候補であると判断する工程と、を備え、
    前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
  8. 放射線増感剤のスクリーニング方法であって、
    被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、
    前記第1の細胞及び前記第2の細胞に放射線を照射する工程と、
    前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、
    検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は放射線増感剤の候補であると判断する工程と、を備え、
    前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
  9. 放射線増感剤のスクリーニング方法であって、
    被験物質の存在下で、スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、
    前記細胞に放射線を照射する工程と、
    前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、
    前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、
    検出されたレポータータンパク質の量が、対照と比較して増加していた場合に、前記被験物質は放射線増感剤の候補であると判断する工程と、を備え、
    前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
  10. 放射線照射プロトコルの評価方法であって、
    スプリットレポータータンパク質の一方を発現する第1の細胞と、前記スプリットレポータータンパク質の他方を発現する第2の細胞とを共培養する工程と、
    前記第1の細胞及び前記第2の細胞に評価対象の放射線照射プロトコルで放射線を照射する工程と、
    前記第1の細胞及び前記第2の細胞がネクローシスを起こした場合に、前記第1の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の一方が放出され、前記第2の細胞から前記スプリットレポータータンパク質の他方が放出され、放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、
    検出されたレポータータンパク質の量が、対照プロトコルで放射線を照射した場合と比較して増加していた場合に、前記放射線照射プロトコルは前記対照プロトコルと比較して癌細胞の治療効果が高いと評価する工程と、を備え、
    前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
  11. 放射線照射プロトコルの評価方法であって、
    スプリットレポータータンパク質の一方を発現する細胞を培養する工程と、
    前記細胞に評価対象の放射線照射プロトコルで放射線を照射する工程と、
    前記細胞の培地に前記スプリットレポータータンパク質の他方を添加する工程と、
    前記細胞がネクローシスを起こした場合に、前記細胞から放出された前記スプリットレポータータンパク質の一方と前記スプリットレポータータンパク質の他方とが接触し、プロテインスプライシングを起こすことにより形成される、レポータータンパク質の存在を検出する工程と、
    検出されたレポータータンパク質の量が、対照プロトコルで放射線を照射した場合と比較して増加していた場合に、前記放射線照射プロトコルは前記対照プロトコルと比較して癌細胞の治療効果が高いと評価する工程と、を備え、
    前記スプリットレポータータンパク質は、2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質と、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質との組み合わせであり、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、方法。
  12. ネクローシスの検出キットであって、
    2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質の発現ベクター、及び
    第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質の発現ベクター、を備え、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、キット。
  13. ネクローシスの検出キットであって、
    2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質を発現する細胞、及び
    第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質を発現する細胞、を備え、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、キット。
  14. ネクローシスの検出キットであって、
    2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質、及び、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質を発現する細胞、又は
    2つに分割されたレポータータンパク質のN末端側領域のC末端側に第1のプロテインスプライシングドメインが結合した第1の融合タンパク質を発現する細胞、及び、第2のプロテインスプライシングドメインのC末端側に前記レポータータンパク質のC末端側領域が結合した第2の融合タンパク質、を備え、
    前記第1の融合タンパク質と前記第2の融合タンパク質とが接触すると、前記第1のプロテインスプライシングドメインと前記第2のプロテインスプライシングドメインとがプロテインスプライシングを起こし、前記レポータータンパク質のN末端側領域と前記レポータータンパク質のC末端側領域とが結合して活性型のレポータータンパク質が形成される、キット。
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