JP6954861B2 - 圧電素子、圧力検出装置、圧電部材の温度測定方法、圧電部材の出力補正方法 - Google Patents

圧電素子、圧力検出装置、圧電部材の温度測定方法、圧電部材の出力補正方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧電素子、圧力検出装置、圧電部材の温度測定方法、圧電部材の出力補正方法に関する。
例えば内燃機関を有する自動車等の装置に対し、内燃機関の燃焼圧を検出する燃焼圧検出装置を搭載することが検討されている。
この種の燃焼圧検出装置として、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する圧電体を含む圧電素子を用いたものが知られている。ここで、圧電体の圧力感度には温度依存性が存在し、同じ圧力を受けた場合であっても、そのときの温度によって、出力される電荷の量に違いが発生し得る。
例えば特許文献1には、エンジンのシリンダ内圧を直接計測する筒内圧検出装置(燃焼圧検出装置)において、圧電素子等で構成された筒内圧センサに、温度センサを付設することで、筒内圧とともに筒内温度も測定し、所定の温度以上において、筒内圧のセンサ出力を温度で補正することが記載されている。また、特許文献1では、筒内圧検出装置のうち、筒内圧を受ける受圧面と、受圧面の直後に配置される圧電素子との間に、熱電対からなる温度センサを配置している。
特開昭63−286733号公報
しかしながら、圧電素子から離れた位置に温度センサを配置した場合、実際の圧電素子の温度と温度センサによる温度測定結果とに違い(誤差)が生じる。このため、圧電素子の出力に対し、温度センサの出力に基づく補正(温度補正)を行ったとしても、その補正結果には、温度の測定位置に起因する誤差が含まれることになってしまう。
ここで、圧電素子を構成する圧電体に、温度センサを接触して配置することが考えられる。しかしながら、圧電体は、上述したように、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力するものであることから、この電荷が、圧電体に接触する温度センサに供給されてしまうおそれがある。すると、今度は、温度センサの出力に、圧電体の電荷が混入することとなってしまう。このため、圧電素子の出力に対し、温度センサの出力に基づく補正(温度補正)を行ったとしても、その補正結果には、圧電体が出力する電荷に起因する誤差が含まれることになってしまう。
本発明は、圧電性を有する酸化物単結晶で構成された圧電部材の温度の測定誤差を低減することを目的とする。
本発明の圧電素子は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、前記圧電部材の前記非出力面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材とを含んでいる。
このような圧電素子において、前記圧電部材はランガサイト系単結晶からなり、前記出力面が前記ランガサイト系単結晶のX面であり、前記非出力面が当該ランガサイト系単結晶のZ面であることを特徴とすることができる。
また、前記測温部材は、熱電対からなることを特徴とすることができる。
また、前記熱電対は、K熱電対またはE熱電対であることを特徴とすることができる。
また、前記測温部材は、測温抵抗体からなることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電素子は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、無機材料、金属または合金で構成され、前記圧電部材の前記非出力面に積層される薄膜部材とを含んでいる。
このような圧電素子において、前記薄膜部材は、前記圧電部材のうち外部から受けた圧力が作用する圧力作用面の面方向に沿って、前記非出力面に積層されることを特徴とすることができる。
また、前記圧電部材はランガサイト系単結晶からなり、前記出力面が前記ランガサイト系単結晶のX面であり、前記非出力面が当該ランガサイト系単結晶のZ面であることを特徴とすることができる。
また、前記薄膜部材は、金属または合金で構成され前記圧電部材の前記非出力面に積層される第1層と、当該第1層とは異なる金属または合金で構成され当該第1層と接合するように当該非出力面に積層される第2層とを有することを特徴とすることができる。
また、前記薄膜部材は、白金、銅またはニッケルで構成されることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電素子は、ランガサイト系単結晶で構成され、結晶学上のz軸に直交するZ面を有する圧電部材と、前記圧電部材の前記Z面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材とを含んでいる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電素子は、ランガサイト系単結晶で構成され、結晶学上のz軸に直交するZ面を有する圧電部材と、無機材料、金属または合金で構成され、前記圧電部材の前記Z面に積層される薄膜部材とを含んでいる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧力検出装置は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、前記圧電部材の前記非出力面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材と、前記圧電部材からの電気的な出力に対し、前記測温部材からの電気的な出力に基づく補正を施す補正部とを含んでいる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電部材の温度測定方法は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材の当該非出力面に、熱電対または測温抵抗体を接触させ、前記熱電対または前記測温抵抗体からの電気的な出力に基づいて、前記圧電部材の温度を測定する。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電部材の出力補正方法は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材の当該非出力面に、熱電対または測温抵抗体を接触させ、前記熱電対または前記測温抵抗体からの電気的な出力に基づいて、前記圧電部材からの電気的な出力を補正する。
本発明によれば、圧電性を有する酸化物単結晶で構成された圧電部材の温度の測定誤差を低減することができる。
実施の形態が適用された圧力検出システムの概略構成図である。 圧力検出装置の斜視図である。 圧力検出装置のブロック図である。 圧電素子の斜視図である。 (a)、(b)は、実施の形態1の薄膜部材を説明するための図である。 (a)、(b)は、実施の形態2の薄膜部材を説明するための図である。 第1の変形例の薄膜部材を説明するための図である。 第2の変形例の薄膜部材を説明するための図である。 第3の変形例の圧電素子を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
[圧力検出システムの構成]
図1は、実施の形態が適用される圧力検出システム1の概略構成図である。
この圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置80と、圧力検出装置20と制御装置80とを電気的に接続するケーブル70とを備えている。
ここで、圧力の検出対象となる内燃機関10は、内部にシリンダが形成されたシリンダブロック11と、シリンダ内を往復動するピストン12と、シリンダブロック11に締結されてピストン12等とともに燃焼室Cを構成するシリンダヘッド13とを有している。また、シリンダヘッド13には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔13aが設けられている。この連通孔13aの内部には雌ねじ(図示せず)が形成されており、圧力検出装置20の外周面に形成された雄ねじ(図示せず)をねじ込むことで、内燃機関10に対して圧力検出装置20を取り付けている。なお、連通孔13aの両端部側には、シリンダヘッド13と圧力検出装置20との間に介在して、燃焼室C内の気密性を保つためのシール部材(図示せず)が設けられている。
[圧力検出装置の構成]
図2は、圧力検出装置20の斜視図である。
圧力検出装置20は、受けた圧力に応じた圧力信号と自身の温度に応じた温度信号とを出力する圧電素子30と、圧力信号および温度信号に電気的な処理を施す電子回路等が搭載された処理部40と、圧電素子30および処理部40を内部に収容する筐体50とを備えている。そして、この圧力検出装置20は、図1に示す内燃機関10に対し、圧電素子30が燃焼室C(図1において下方)を向くとともに処理部40が外部(図1において上方)を向くように取り付けられる。なお、以下の説明では、図2において、図中左下側(圧電素子30側)を圧力検出装置20の「先端側」と称し、図中右上側(処理部40側)を圧力検出装置20の「後端側」と称する。また、以下の説明では、図2に一点鎖線で示す圧力検出装置20の中心線方向を、単に中心線方向と称する。
図3は、圧力検出装置20のブロック図である。ただし、図3には、圧力検出装置20に加えて、ケーブル70および制御装置80も記載している。
(圧電素子)
圧電素子30は、圧電体で構成される圧電部材31と、圧電部材31の外周面のうちの一部の領域に積層される薄膜部材32とを備えている。すなわち、本実施の形態の圧電素子30は、圧電部材31と薄膜部材32とを一体化した構成を有している。本実施の形態の圧電素子30において、圧電部材31は、圧力検出装置20の外部から受けた圧力に応じた圧力信号を出力し、薄膜部材32は、圧電部材31の温度に応じた温度信号を出力する。なお、圧電素子30の詳細については後述する。
(処理部)
処理部40は、圧電素子30の圧電部材31から入力される圧力信号(本実施の形態では電荷信号)を積分することで電圧信号に変換する積分回路41と、積分回路41から入力される電圧信号を増幅する増幅回路42とを備えている。また、処理部40は、増幅回路42から入力される増幅後の電圧信号に、圧電素子30の薄膜部材32から入力される温度信号(本実施の形態では電圧信号)に基づく補正(温度補正)を施す補正回路43をさらに備えている。そして、補正部の一例としての補正回路43が出力する補正後の電圧信号(以下では、出力信号と称する)は、ケーブル70を介して制御装置80に出力される。
(筐体)
筐体50は、例えば全体として筒状を呈しており、その内部に圧電素子30と処理部40とを収容している(図2参照)。この筐体50は、耐熱性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。ただし、本実施の形態の圧力検出装置20では、導電性を有する金属材料で構成された筐体50と、圧電素子30および処理部40とが、電気的に絶縁されている。これにより、内燃機関10に圧力検出装置20を取り付けた際に、内燃機関10のシリンダヘッド13と、圧力検出装置20の筐体50とが接触することに起因して、シリンダヘッド13側から筐体50側に伝達されるノイズが、圧電素子30による検出結果(圧力信号および温度信号)や処理部40による処理結果(出力信号)に、影響を与えるのを抑制している。
[ケーブルの構成]
ケーブル70は、制御装置80から圧力検出装置20の処理部40に供給される電源電圧Vccを受電するための受電線71と、圧力検出装置20のグランド(GND)を制御装置80と共通にするための接地線72と、圧力検出装置20に設けられた処理部40からの出力(OUT)を制御装置80に供給するための出力線73とを有している。ここで、受電線71、接地線72および出力線73は、それぞれ絶縁電線で構成されており、ケーブル70は静電遮へいされている。
[圧電素子の構成]
では、本実施の形態で用いた圧電素子30の詳細について説明を行う。
図4は、圧電素子30の斜視図である。
本実施の形態の圧電素子30は、四角柱状(この例では立方体状)に成形されてなる圧電部材31と、圧電部材31が有する複数の面(この例では6つの面)のうちの1つの面に積層されてなる薄膜部材32とを有している。
(圧電部材)
本実施の形態の圧電部材31は、圧電性を有する酸化物単結晶のバルク体で構成される。ここで、圧電部材31として用いられる酸化物単結晶は、圧電性を有する一方で、焦電性を有していないことが好ましい。また、圧電部材31として用いられる酸化物単結晶は、自身の融点まで相転移がないことが好ましい。さらに、圧電部材31として用いられる酸化物単結晶は、キュリー点を持たないことが好ましい。
また、圧電部材31に用いられる酸化物単結晶としては、種々の結晶構造を有するものを用いても差し支えないが、三方晶系の結晶構造を有するものを用いることが望ましい。そして、本実施の形態の圧力検出装置20が、比較的高温となり得る内燃機関10で使用されることを考慮すると、三方晶系の結晶構造を有する酸化物単結晶の中でも、ABC14で表されるランガサイト型の結晶構造を有するものを用いることがさらに望ましい。さらに、ランガサイト型の結晶構造を有する酸化物単結晶の中でも、LaTa0.5Ga5.514で表されるランガテイト(LTG)を用いることが望ましく、ランガテイトにおいてGaの一部をAlで置換した、LaTa0.5Ga5.5−xAl14で表されるAl置換ランガテイト(LTGA)を用いることがさらに望ましい。以下の説明においては、ランガサイト型の結晶構造を有する酸化物単結晶を、『ランガサイト系単結晶』と称する。また、以下では、ランガサイト系単結晶を、圧電部材31として用いた場合を例として説明を行う。なお、ランガサイト系単結晶としては、ディスオーダー型であるLGS、PGS、NGS、LTG、LTGA、LNG、SGG、NCG等や、オーダー型であるCNAS、CTAS、CNGS、CTGS、SNGS、STGS等を挙げることができる。
次に、ランガサイト系単結晶の結晶構造および結晶軸について説明を行う。
ランガサイト系単結晶を含む三方晶系の結晶構造は、c軸と、c軸と直交する面において120°の間隔で放射状に延びるa軸、a軸およびa軸とを有している。ここで、三方晶系の結晶構造において、c軸をz軸とし、a軸、a軸およびa軸のうちのいずれか1つ(例えばa軸)をx軸とし、これらx軸とz軸とに直交する軸をy軸とすることで、直交座標系における結晶学上のx軸、y軸およびz軸を定義することができる。ここで、結晶学においては、x軸を「電気軸」、y軸を「機械軸」、そして、z軸を「光学軸」、と称することがある。
続いて、本実施の形態の圧電部材31の切り出し方について説明を行う。
本実施の形態の圧電部材31は、チョクラルスキー(Cz)法等で製造されたインゴット状のランガサイト系単結晶を、y軸およびz軸に沿うyz平面(2箇所)、z軸およびx軸に沿うzx平面(2箇所)、x軸およびy軸に沿うxy平面(2箇所)、に沿ってそれぞれ切り出すことにより、直方体状(ここでは立方体状)を呈するようになっている。したがって、本実施の形態の圧電部材31は、x軸に沿う4つの稜線と、y軸に沿う4つの稜線と、z軸に沿う4つの稜線とを有していることになる。なお、以下の説明においては、圧電部材31に設けられた、2つのyz平面をそれぞれX面311と称し、2つのzx平面をそれぞれY面312と称し、2つのxy平面をそれぞれZ面313と称する。また、見方を変えれば、x軸と直交する面がX面311であり、y軸と直交する面がY面312であり、z軸と直交する面がZ面313であるといえる。なお、これらX面311、Y面312およびZ面313の切り出し角は、それぞれの面に対応する軸(x軸、y軸およびz軸)に対し、±2°の範囲内でずれていてもかまわない。そして、圧電部材31の結晶方位は、例えば結晶方位測定装置Multi−XCO(株式会社アールイーエス・ラボ社製)によって測定することができる。
また、本実施の形態の圧電部材31では、圧電体の圧電縦効果を利用している。ここで、圧電縦効果とは、圧電体の電気軸と同一方向に外力を作用させると、電気軸と直交する圧電体の表面に電荷が発生する作用をいう。したがって、ランガサイト系単結晶を用いて構成した圧電部材31で圧電縦効果を利用する場合、電気軸であるx軸と直交するX面311が、圧力作用面および電荷出力面の両者として機能することになる。そして、本実施の形態の圧電部材31は、そのx軸が圧力検出装置20の中心線方向(図2参照)と平行となる(一致する)ように、筐体50内に収容される。その結果、圧電部材31では、x軸と直交するX面311に、外部から受けた圧力Pが作用することになる。そして、圧電部材31のうち、一方のX面311には、筐体50の内部に収容された正の電極(図示せず)が接触して配置され、他方のX面311には、筐体50の内部に収容された負の電極(図示せず)が接触して配置される。
ここで、ランガサイト系単結晶を用いた圧電部材31において、X面311に圧力を作用させた場合、X面311よりは少なくなるものの、Y面312にも電荷が出力される。ただし、ランガサイト系単結晶を用いた圧電部材31において、X面311に圧力を作用させた場合、Z面311には電荷が出力されない。したがって、ランガサイト系単結晶を用いて圧電部材31を構成した場合、X面311およびY面312は出力面の一例となり、Z面313は非出力面の一例となる。
(薄膜部材)
測温部材の一例としての薄膜部材32は、圧電部材31の2つのZ面313のうちの一方のZ面313(図4において右下手前側)に形成されている。なお、薄膜部材32は、圧電部材31の他方のZ面313(図4には図示せず)には形成されていない。ここで、薄膜部材32を構成する材料は、圧電性を有していないことが好ましい。また、薄膜部材32は、圧電部材31の一方のZ面313に対し、例えば各種気相成長法(スパッタ法、真空蒸着法、CVD法等)を用いて積層することが望ましい。
ここで、薄膜部材32は、圧電部材31の一方のZ面313のうち、2つのX面311の中間となる部位(x軸方向においてZ面313のほぼ中央となる部位)に形成されている。また、薄膜部材32は、圧電部材31の一方のZ面313に対し、x軸方向の長さよりもy軸方向の長さが大きくなる(図4において横長となる)ように、矩形状に形成されている。すなわち、薄膜部材32は、圧電部材31において圧力作用面となる、X面311の面方向に沿って形成される。
次に、本実施の形態で用いた、薄膜部材32の詳細について説明を行う。
図5は、本実施の形態の薄膜部材32を説明するための図である。ただし、図5には、圧電部材31と薄膜部材32とを含む圧電素子30を記載している。ここで、図5(a)は、薄膜部材32を圧電部材31のz軸方向下流側(図4において右下手前側)からみた図であり、図5(b)は、薄膜部材32を圧電部材31のx軸方向上流側(図4において下側)からみた図である。
本実施の形態の薄膜部材32は、圧電部材31の一方のZ面313の上に積層される下地層320と、下地層320の上に積層される第1金属層321および第2金属層322とを備えている。本実施の形態では、第1金属層321(第1層の一例)と第2金属層322(第2層の一例)とが、異なる組成の金属材料で構成されており、y軸方向の下流側に第1金属層321が、y軸方向の上流側に第2金属層322が、それぞれ配置されている。そして、薄膜部材32におけるy軸方向の中央部には、第1金属層321と第2金属層322とを接合して(重ねて)なる接合部323が形成されている。その結果、第1金属層321および第2金属層322は、接合部323を測温接点(熱接点)とする熱電対を構成している。なお、この例では、接合部323において、圧電部材31と近い側に第2金属層322が、圧電部材31から遠い側(第2金属層322の上)に第1金属層321が、それぞれ配置されている。
また、本実施の形態では、図5(a)に示すように、第1金属層321に、導電性を有する第1リード線331が接続されており、第2金属層322に、導電性を有する第2リード線332が接続されている(図5(b)では記載を省略)。これら第1リード線331および第2リード線332は、薄膜部材32によって構成された熱電対から、温度信号を取り出すために用いられる。
〔下地層〕
下地層320は、圧電部材31と、第1金属層321および第2金属層322との密着性を高めるために、下地として設けられる層である。下地層320には、例えば共晶はんだとして知られるAuSn合金等を用いることができる。
〔熱電対〕
第1金属層321および第2金属層322によって構成される熱電対としては、B熱電対、R熱電対、S熱電対、N熱電対、K熱電対、E熱電対、J熱電対、T熱電対等を用いることができる。ここで、内燃機関10が動作している場合、燃焼室C内の温度は数百度程度まで上昇することがあり、その場合に、圧力検出装置20において筐体50内に収容される圧電素子30(圧電部材31)は、+300〜400℃程度となることがあり得る。また、内燃機関10を搭載した自動車等が、例えば北海道やアラスカ等の寒冷地で使用される場合、内燃機関10の始動時に、圧力検出装置20に設けられた圧電部材31の温度が、−50℃程度まで低下していることがあり得る。そこで、このような範囲での温度を測定可能とするためには、K熱電対(使用温度範囲:−200℃〜+1000℃程度)あるいはE熱電対(使用温度範囲:−200℃〜+700℃程度)を採用することが望ましい。例えばK熱電対の場合は、第1金属層321および第2金属層322をクロメル(合金)およびアルメル(合金)で構成することとなり、また、例えばE熱電対の場合は、第1金属層321および第2金属層322をクロメル(合金)およびコンスタンタン(合金)で構成することとなる。
(圧電部材と薄膜部材との関係)
ではここで、圧電部材31と薄膜部材32との関係について説明を行う。
本実施の形態において、圧電部材31はバルク体で、薄膜部材32は薄膜で、それぞれ構成されている。ここで、圧電部材31の大きさは、例えば、x軸方向が2mm、y軸方向が2mm、z軸方向が2mmである。これに対し、薄膜部材32の大きさは、例えば、x軸方向が0.1mm、y軸方向が1.2mm、z軸方向が0.001μmである。その結果、薄膜部材32は、圧電部材31よりも体積が小さくなっており、熱容量も小さくなっている。
また、薄膜部材32を構成する各材料(本実施の形態では金属材料)の融点は、圧電部材31が置かれ得る温度の最高値(最高温度:例えば+400℃)よりも高いことが好ましい。
[圧力検出装置による圧力検出動作]
では、本実施の形態の圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
(圧電部材の動作)
内燃機関10が動作しているとき、圧力検出装置20に設けられた圧電素子30には、先端側から後端側へと向かう、中心線方向に沿った圧力が付与される。このとき、圧電素子30を構成する圧電部材31には、x軸に沿った圧力Pが2つのX面311間に加えられることになる。すると、圧電部材31では、受けた圧力に応じた電荷が発生する。本実施の形態では、圧電部材31がランガサイト系単結晶で構成されていることから、圧力に応じて生じた電荷は、X面311およびY面312には出力される一方、Z面313には出力されない。そして、圧電部材31に生じた電荷は、圧電部材31の2つのX面311に接触する正負の電極(図示せず)を介して、圧力信号(電荷信号)として処理部40に伝達される。
(薄膜部材の動作)
この間、圧電部材31とともに圧電素子30を構成する薄膜部材32では、第1金属層321と第2金属層322とが接する接合部323において、薄膜部材32の積層対象である、圧電部材31の温度に応じた熱起電力が生じる。このようにして発生した熱起電力(電圧信号)は、第1金属層321および第1リード線331と、第2金属層322および第2リード線332とを介して、温度信号として処理部40に伝達される。
(処理部の動作)
処理部40には、制御装置80から、ケーブル70(受電線71および接地線72)を介して、積分回路41、増幅回路42および補正回路43等を動作させるための電源電圧Vccが供給されている。そして、処理部40では、積分回路41が、圧電素子30の圧電部材31から供給される圧力信号(電荷信号)を積分して、電圧信号に変換する。次に、増幅回路42が、積分回路41から供給される積分後の電圧信号を増幅する。続いて、補正回路43が、増幅回路42から供給される増幅後の電圧信号に対し、圧電素子30の薄膜部材32から供給される温度信号(電圧信号)に基づく出力の補正(温度補正)を行う。補正回路43から出力される補正後の電圧信号は、ケーブル70(出力線73および接地線72)を介し、出力信号として制御装置80に出力されることになる。
[実施の形態1のまとめ]
以上説明したように、本実施の形態では、酸化物単結晶(ランガサイト系単結晶)で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面(X面311、Y面312)と圧力に応じた電荷を出力しない非出力面(Z面313)とを有する圧電部材31と、圧電部材31の非出力面(Z面313)に積層して設けられ、圧電部材31の温度測定に用いられる薄膜部材32とを含む圧電素子30を用いた。
これにより、外部から受けた圧力を圧電部材31で検出できるとともに、圧電部材31の温度を薄膜部材32で測定することができる。ここで、本実施の形態では、圧電部材31に薄膜部材32を積層(接触)させているため、圧電部材31の温度を非接触で測定する場合と比較して、温度の測定誤差を低減することができる。また、本実施の形態では、圧電部材31における電荷の非出力面(Z面313)に薄膜部材32を積層しているため、電荷の出力面(X面311、Y面312)に薄膜部材32を積層した場合と比較して、薄膜部材32から出力される温度信号に、圧電部材31から出力される圧力信号(電荷)が混入しにくくなる。その結果、圧電部材31の温度の測定誤差をより低減することが可能になる。
そして、本実施の形態では、圧電部材31が出力する圧力信号を、薄膜部材32が出力する温度信号を用いて補正するようにした。これにより、圧力信号を補正しない場合と比較して、圧電部材31を構成する酸化物単結晶(ランガサイト系単結晶)の温度特性に起因する圧力の検出誤差を低減することができる。
また、本実施の形態では、圧電部材31に薄膜部材32を積層することで、両者を一体化した圧電素子30を用いた。さらに、本実施の形態では、薄膜部材32を、圧電部材31のZ面313のうち、2つのX面311の中間となる位置に形成するようにした。さらにまた、本実施の形態では、圧電部材31のZ面313に形成される薄膜部材32を、x軸方向の長さよりもy軸方向の長さが大きい横長形状とした。ここで、本実施の形態の圧電素子30は、中心線方向すなわちx軸方向に沿って圧力を受けることから、圧電部材31は、受けた圧力に応じてx軸方向に圧縮・伸長され、圧電部材31に積層される薄膜部材32も、x軸方向に沿う力が付与されることになる。これに対し、本実施の形態では、薄膜部材32を、上述したような横長形状とすることにより、例えばy軸方向の長さよりもx軸方向の長さが大きい縦長形状とした場合と比較して、受けた圧力に起因する、圧電部材31からの薄膜部材32の剥がれを抑制することができる。
さらに、本実施の形態では、圧電部材31よりも体積および熱容量が小さい薄膜部材32を用いて、圧電部材31の温度を測定するようにした。このため、例えば一対の金属線で構成された熱電対を用いて圧電部材31の温度を測定する場合と比較して、その応答性を高速化することができる。特に、本実施の形態では、圧電素子30を内蔵する圧力検出装置20が、「吸入」→「圧縮」→「燃焼」→「排気」の4行程を繰り返す内燃機関10に装着されており、これら各行程において、燃焼室C内の温度は刻々と変化する。このため、薄膜部材32を用いることにより、各行程における温度を、より正確に把握することが可能となる。
また、本実施の形態では、薄膜部材32を用いて熱電対を構成するようにした。熱電対の場合、接合部323において熱起電力が生じることから、測温抵抗体等とは異なり、定電流の供給等は不要である。このため、圧電部材31の温度測定用の回路構成を簡易なものとすることができる。
さらに、本実施の形態では、薄膜部材32によって構成される熱電対として、K熱電対またはE熱電対を採用するようにした。これにより、他の熱電対を使用する場合と比較して、圧力検出装置20が取り付けられた内燃機関10および内燃機関10を搭載する自動車の使用環境(−50℃〜+400℃)において、より正確な温度を測定することが可能になる。
<実施の形態2>
実施の形態1の圧力検出装置20では、薄膜部材32によって構成された『熱電対』を用いて、圧電部材31の温度を測定していた。これに対し、本実施の形態では、薄膜部材32によって構成された『測温抵抗体』を用いて、圧電部材31の温度を測定するようにしたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
[圧電素子の構成]
本実施の形態の圧電素子30の基本的な構成は、実施の形態1と同じである(図4参照)。すなわち、圧電素子30は、ランガサイト系単結晶で構成され、2つのX面311、2つのY面312および2つのZ面313とを有する圧電部材31と、圧電部材31の一方のZ面313に積層される薄膜部材32とを備えている。なお、圧電部材31については、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
(薄膜部材)
次に、本実施の形態で用いた、薄膜部材32の詳細について説明を行う。
図6は、本実施の形態の薄膜部材32を説明するための図である。ただし、図6には、圧電部材31と薄膜部材32とを含む圧電素子30を記載している。ここで、図6(a)は、薄膜部材32を圧電部材31のz軸方向下流側(図4において右下手前側)からみた図であり、図6(b)は、薄膜部材32を圧電部材31のx軸方向上流側(図4において下側)からみた図である。
本実施の形態の薄膜部材32は、圧電部材31の一方のZ面313の上に積層される下地層320と、下地層320の上に積層される金属層324とを備えている。本実施の形態では、金属層324を、温度変化によって電気抵抗値が変化する金属材料で構成しており、金属層324は測温抵抗体として機能するようになっている。なお、下地層320については、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
また、本実施の形態では、金属層324の一端側(y軸方向の下流側)に、導電性を有する第1リード線331が接続されており、金属層324の他端側(y軸方向の上流側)に、導電性を有する第2リード線332が接続されている。これら第1リード線331および第2リード線332は、薄膜部材32によって構成された測温抵抗体から、温度信号を取り出すために用いられる。
〔測温抵抗体〕
金属層324を構成する金属材料としては、白金、ニッケル、銅等を挙げることができる。ここで、実施の形態1と同様に、例えば−50℃〜+400℃の範囲において、安定的に温度を測定するという観点からすれば、金属層324を白金(例えばPt100)で構成すること、換言すれば、白金測温抵抗体を用いることが望ましい。
[圧力検出装置による圧力検出動作]
では、本実施の形態の圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
(圧電部材の動作)
内燃機関10が動作しているとき、圧力検出装置20に設けられた圧電素子30には、先端側から後端側へと向かう、中心線方向に沿った圧力が付与される。このとき、圧電素子30を構成する圧電部材31には、x軸に沿った圧力Pが2つのX面311間に加えられることになる。すると、圧電部材31では、受けた圧力に応じた電荷が発生する。本実施の形態では、圧電部材31がランガサイト系単結晶で構成されていることから、圧力に応じて生じた電荷は、X面311およびY面312には出力される一方、Z面313には出力されない。そして、圧電部材31に生じた電荷は、圧電部材31の2つのX面311に接触する正負の電極(図示せず)を介して、圧力信号(電荷信号)として処理部40に伝達される。
(薄膜部材の動作)
この間、圧電部材31とともに圧電素子30を構成する薄膜部材32では、第1リード線331および第2リード線332を介して、金属層324に電流が流されている。なお、この電流は、処理部40(例えば補正回路43)から供給される。すると、薄膜部材32では、その積層対象である圧電部材31の温度に応じて、金属層324の電気抵抗値が変化することに伴い、金属層324に流れる電流値に変化が生じる。金属材料の場合、温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加することから、温度の上昇に伴って金属層324に流れる電流値は減少する。金属層324に流れる電流信号は、第1リード線331および第2リード線332を介して、温度信号として処理部40に伝達される。
(処理部の動作)
処理部40には、制御装置80から、ケーブル70(受電線71および接地線72)を介して、積分回路41、増幅回路42および補正回路43等を動作させるための電源電圧Vccが供給されている。そして、処理部40では、積分回路41が、圧電素子30の圧電部材31から供給される圧力信号(電荷信号)を積分して、電圧信号に変換する。次に、増幅回路42が、積分回路41から供給される積分後の電圧信号を増幅する。続いて、補正回路43が、増幅回路42から供給される増幅後の電圧信号に対し、圧電素子30の薄膜部材32から供給される温度信号(電流信号)に基づく出力の補正(温度補正)を行う。補正回路43から出力される補正後の電圧信号は、ケーブル70(出力線73および接地線72)を介し、出力信号として制御装置80に出力されることになる。
[実施の形態2のまとめ]
以上説明したように、本実施の形態でも、実施の形態1と同等の効果を得ることができる。
ここで、本実施の形態では、薄膜部材32を用いて測温抵抗体を構成するようにした。測温抵抗体の場合、熱電対とは異なり、第1金属層321、第2金属層322およびこれらの接合部323は不要となる。このため、圧電部材31の温度測定に用いる薄膜の構成を簡易なものとすることができる。また、測温抵抗体の場合、1種類の金属(例えば白金)で構成することが可能であり、複数種の金属の合金が必要となることが多い熱電対(例えばK熱電対の場合は、クロメル(Ni、Cr、Fe、Mnの合金)/アルメル(Ni、Mn、Al、Si、Feの合金)の場合と比べて、薄膜の組成を簡易なものとすることができる。
さらに、本実施の形態では、薄膜部材32によって構成される測温抵抗体として、白金測温抵抗体を採用するようにした。これにより、他の測温抵抗体を使用する場合と比較して、圧力検出装置20が取り付けられた内燃機関10および内燃機関10を搭載する自動車の使用環境(−50℃〜+400℃)において、より正確な温度を測定することが可能になる。
次に、上記各実施の形態の変形例について説明を行う。
<第1の変形例>
第1の変形例は、実施の形態1の変形例であって、薄膜部材32が構成する熱電対(第1金属層321および第2金属層322)の形状を、実施の形態1(図5参照)とは異ならせたものである。
図7は、第1の変形例の薄膜部材32を説明するための図である。ただし、図7には、圧電部材31と薄膜部材32とを含む圧電素子30を記載している。ここで、図7は、薄膜部材32を圧電部材31のz軸方向下流側からみた図(図5(a)に対応)となっている。
第1の変形例の薄膜部材32も、実施の形態1と同様に、圧電部材31の一方のZ面313の上に積層される下地層(図7では記載を省略)と、下地層の上に積層される第1金属層321および第2金属層322とを備えている。ただし、第1の変形例では、これら第1金属層321および第2金属層322の両者が、y軸方向に沿って平行に伸びている。そして、第1金属層321が逆L字状を呈するとともに第2金属層322がL字状を呈することにより、y軸方向の上流側で、第1金属層321と第2金属層322とが接合された接合部323を形成している。また、第1の変形例では、これら第1金属層321および第2金属層322がこのような配置となっていることにより、第1金属層321に接続される第1リード線331および第2金属層322に接続される第2リード線332が、y軸方向の下流側に並べて配置されている。
<第2の変形例>
第2の変形例は、実施の形態2の変形例であって、薄膜部材32が構成する測温抵抗体(金属層324)の形状を、実施の形態2(図6参照)とは異ならせたものである。
図8は、第2の変形例の薄膜部材32を説明するための図である。ただし、図8には、圧電部材31と薄膜部材32とを含む圧電素子30を記載している。ここで、図8は、薄膜部材32を圧電部材31のz軸方向下流側からみた図(図5(a)に対応)となっている。
第2の変形例の薄膜部材32も、実施の形態2と同様に、圧電部材31の一方のZ面313の上に積層される下地層(図8では記載を省略)と、下地層の上に積層される金属層324とを備えている。ただし、第2の変形例では、金属層324がジグザグ形状に配置されている。また、第2の変形例では、これら金属層324がこのような配置となっていることにより、金属層324に接続される第1リード線331および第2リード線332が、y軸方向の下流側に並べて配置されている。
<第3の変形例>
第3の変形例は、実施の形態1、2の変形例であって、圧電部材31の形状を、実施の形態1、2(図4参照)とは異ならせたものである。また、圧電部材31の形状を異ならせたことに伴って、薄膜部材32の形状も、実施の形態1、2とは異ならせたものである。
図9は、第3の変形例の圧電素子30の斜視図である。
第3の変形例の圧電素子30は、円柱状に成形されてなる圧電部材31と、圧電部材31の円筒状の側面のうちの一部の領域に積層されてなる薄膜部材32とを有している。
第3の変形例において、圧電部材31は、実施の形態1、2と同様に、ランガサイト系単結晶で構成される。
そして、本実施の形態の圧電部材31は、それぞれが円形状を呈する表面および裏面と、円筒状を呈し且つ表面と裏面とを接続する側面とを有しており、表面および裏面が、それぞれX面311となっている。そして、圧電部材31のうち、一方のX面311には、筐体50の内部に収容された正の電極(図示せず)が接触して配置され、他方のX面311には、筐体50の内部に収容された負の電極(図示せず)が接触して配置される。
そして、圧電部材31において曲面で構成される側面のうち、xy平面となるZ面313に対応する領域に、薄膜部材32が積層されている。この例において、薄膜部材32は、圧電部材31の一方のZ面313に対し、y軸方向の長さよりもx軸方向の長さが大きくなる(図中において縦長となる)ように形成されている。
また、第3の変形例において、薄膜部材32には、実施の形態1および第1の変形例で説明した熱電対や、実施の形態2および第2の変形例で説明した測温抵抗体を用いることができる。
第3の変形例では、圧電部材31を円柱状とすることで、圧電部材31を角柱状とした場合と比べて、圧電部材31にx軸方向に沿う圧力Pが加えられた際の、圧電部材31の割れを生じにくくすることができる。
<その他>
実施の形態1、2では、圧電部材31の圧電縦効果を利用していた。ただし、これに限られるものではなく、圧電部材31の圧電横効果を利用することもできる。ここで、圧電横効果とは、圧電体の電気軸に対して直交する位置にある機械軸に外力を作用させると、電気軸と直交する圧電体の表面に電荷が発生する作用をいう。例えばランガサイト系単結晶からなる圧電部材31を用いる場合は、機械軸であるy軸と直交するY面312を圧力作用面とし、電気軸であるx軸と直交するX面311を電荷出力面とすればよい。この場合も、Y面312が受けた圧力に応じた電荷は、Z面313からは出力されないため、圧電部材31のZ面313に薄膜部材32を設ければよいことになる。
実施の形態1では、薄膜部材32において、第1金属層321と第2金属層322とを用いて熱電対を構成する場合を例として説明を行った。また、実施の形態2では、薄膜部材32において、金属層324を用いて測温抵抗体を構成する場合を例として説明を行った。ただし、これに限られるものではない。
例えば、薄膜部材32において、p型不純物を含むp型シリコンからなる第1半導体層と、n型不純物を含むn型シリコン薄膜からなる第2半導体層とを接合させることで、温度測定に使用可能なシリコンダイオードを構成するようにしてもよい。
また、例えば、薄膜部材32において、金属酸化物等の無機材料からなる半導体層を設け、この半導体層により、温度測定に使用可能なサーミスタ(PTCサーミスタ等)を構成するようにしてもよい。
また、実施の形態1、2では、圧電素子30を構成する圧電部材31を、直方体状すなわち四角柱状としていたが、これに限られるものではなく、三角柱状あるいは五角以上の角柱状としてもかまわない。このとき、圧電部材31の側面のうちの少なくとも1つの面を、電荷の非出力面(ランガサイト系単結晶の場合はZ面313)とし、この非出力面に、温度測定用の薄膜部材32を形成すればよい。
また、実施の形態1では、熱電対を構成する第1金属層321および第2金属層322を外部に露出させ、実施の形態2では、測温抵抗体を構成する金属層324を外部に露出させていたが、これに限られるものではない。例えば、このような金属からなる層に対し、絶縁体からなる保護層を被覆するようにしてもかまわない。
また、実施の形態1、2では、圧電部材31の一方のZ面313に薄膜部材32を積層することで、圧電部材31および薄膜部材32を一体化した圧電素子30とする構成を採用していたが、これに限られるものではない。例えば、圧電部材31の一方のZ面313に、熱電対(の測温接点)あるいは測温抵抗体を接触して配置するようにしてもかまわない。すなわち、圧電部材31と、熱電対あるいは測温抵抗体のような温度測定部材とを別体としてもよく、この場合、温度測定部材は、上記各実施の形態で説明したような薄膜(薄膜部材32)でなくてよい。
また、実施の形態1、2では、圧電部材31として、ランガサイト系単結晶を用いていたが、例えば、オルトリン酸ガリウム(GaPO)や、ゲーレナイト(CaAlSiO)等も、圧力を作用させた場合に電荷が出力される面と電荷が出力されない面とを有していることが知られている。したがって、圧電部材31としてこれらの結晶を用いた場合にも、本実施の形態で説明した手法を適用することができる。
また、実施の形態1、2では、圧力信号(電荷信号)を積分回路41で積分し、得られた電圧信号を増幅回路42で増幅した後、増幅後の電圧信号を補正回路43で補正していたが、処理の順番はこれに限られない。例えば、圧力信号(電荷信号)を積分回路41で積分し、得られた電圧信号を補正回路43で補正した後、補正後の電圧信号を増幅回路42で増幅するようにしてもかまわない。
また、実施の形態1、2では、内燃機関10の燃焼圧を、圧力検出装置20による圧力の検出対象としていたが、これに限られない。例えば、上述した圧力検出装置20を、タイヤの空気圧センサや各種産業機器における圧力の検出に用いることもでき、また、加速度を応力として検出することでガスタービン等の加速度の検出に用いることもできる。
1…圧力検出システム、10…内燃機関、20…圧力検出装置、30…圧電素子、31…圧電部材、311…X面、312…Y面、313…Z面、32…薄膜部材、320…下地層、321…第1金属層、322…第2金属層、323…接合部、324…金属層、40…処理部、41…積分回路、42…増幅回路、43…補正回路、50…筐体、70…ケーブル、80…制御装置

Claims (10)

  1. 結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、
    前記圧電部材の前記非出力面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材と
    を含む圧電素子。
  2. 前記圧電部材はランガサイト系単結晶からなり、
    前記出力面が前記ランガサイト系単結晶のX面であり、前記非出力面が当該ランガサイト系単結晶のZ面であることを特徴とする請求項1記載の圧電素子。
  3. 前記測温部材は、熱電対からなることを特徴とする請求項1または2記載の圧電素子。
  4. 前記熱電対は、K熱電対またはE熱電対であることを特徴とする請求項3記載の圧電素子。
  5. 前記測温部材は、測温抵抗体からなることを特徴とする請求項1または2記載の圧電素子。
  6. 前記測温部材は、前記圧電部材のうち外部から受けた圧力が作用する圧力作用面の面方向に沿って、前記非出力面に形成されることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項記載の圧電素子。
  7. ランガサイト系単結晶で構成され、結晶学上のz軸に直交するZ面を有する圧電部材と、
    前記圧電部材の前記Z面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材と
    を含む圧電素子。
  8. 結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、
    前記圧電部材の前記非出力面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材と、
    前記圧電部材からの電気的な出力に対し、前記測温部材からの電気的な出力に基づく補正を施す補正部と
    を含む圧力検出装置。
  9. 結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材の当該非出力面に、熱電対または測温抵抗体を接触させ、
    前記熱電対または前記測温抵抗体からの電気的な出力に基づいて、前記圧電部材の温度を測定する
    圧電部材の温度測定方法。
  10. 結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材の当該非出力面に、熱電対または測温抵抗体を接触させ、
    前記熱電対または前記測温抵抗体からの電気的な出力に基づいて、前記圧電部材からの電気的な出力を補正する
    圧電部材の出力補正方法。
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