JP6954861B2 - 圧電素子、圧力検出装置、圧電部材の温度測定方法、圧電部材の出力補正方法 - Google Patents
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Description
この種の燃焼圧検出装置として、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する圧電体を含む圧電素子を用いたものが知られている。ここで、圧電体の圧力感度には温度依存性が存在し、同じ圧力を受けた場合であっても、そのときの温度によって、出力される電荷の量に違いが発生し得る。
本発明は、圧電性を有する酸化物単結晶で構成された圧電部材の温度の測定誤差を低減することを目的とする。
このような圧電素子において、前記圧電部材はランガサイト系単結晶からなり、前記出力面が前記ランガサイト系単結晶のX面であり、前記非出力面が当該ランガサイト系単結晶のZ面であることを特徴とすることができる。
また、前記測温部材は、熱電対からなることを特徴とすることができる。
また、前記熱電対は、K熱電対またはE熱電対であることを特徴とすることができる。
また、前記測温部材は、測温抵抗体からなることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電素子は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、無機材料、金属または合金で構成され、前記圧電部材の前記非出力面に積層される薄膜部材とを含んでいる。
このような圧電素子において、前記薄膜部材は、前記圧電部材のうち外部から受けた圧力が作用する圧力作用面の面方向に沿って、前記非出力面に積層されることを特徴とすることができる。
また、前記圧電部材はランガサイト系単結晶からなり、前記出力面が前記ランガサイト系単結晶のX面であり、前記非出力面が当該ランガサイト系単結晶のZ面であることを特徴とすることができる。
また、前記薄膜部材は、金属または合金で構成され前記圧電部材の前記非出力面に積層される第1層と、当該第1層とは異なる金属または合金で構成され当該第1層と接合するように当該非出力面に積層される第2層とを有することを特徴とすることができる。
また、前記薄膜部材は、白金、銅またはニッケルで構成されることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電素子は、ランガサイト系単結晶で構成され、結晶学上のz軸に直交するZ面を有する圧電部材と、前記圧電部材の前記Z面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材とを含んでいる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電素子は、ランガサイト系単結晶で構成され、結晶学上のz軸に直交するZ面を有する圧電部材と、無機材料、金属または合金で構成され、前記圧電部材の前記Z面に積層される薄膜部材とを含んでいる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧力検出装置は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、前記圧電部材の前記非出力面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材と、前記圧電部材からの電気的な出力に対し、前記測温部材からの電気的な出力に基づく補正を施す補正部とを含んでいる。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電部材の温度測定方法は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材の当該非出力面に、熱電対または測温抵抗体を接触させ、前記熱電対または前記測温抵抗体からの電気的な出力に基づいて、前記圧電部材の温度を測定する。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧電部材の出力補正方法は、酸化物単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材の当該非出力面に、熱電対または測温抵抗体を接触させ、前記熱電対または前記測温抵抗体からの電気的な出力に基づいて、前記圧電部材からの電気的な出力を補正する。
<実施の形態1>
[圧力検出システムの構成]
図1は、実施の形態が適用される圧力検出システム1の概略構成図である。
この圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置80と、圧力検出装置20と制御装置80とを電気的に接続するケーブル70とを備えている。
図2は、圧力検出装置20の斜視図である。
圧力検出装置20は、受けた圧力に応じた圧力信号と自身の温度に応じた温度信号とを出力する圧電素子30と、圧力信号および温度信号に電気的な処理を施す電子回路等が搭載された処理部40と、圧電素子30および処理部40を内部に収容する筐体50とを備えている。そして、この圧力検出装置20は、図1に示す内燃機関10に対し、圧電素子30が燃焼室C(図1において下方)を向くとともに処理部40が外部(図1において上方)を向くように取り付けられる。なお、以下の説明では、図2において、図中左下側(圧電素子30側)を圧力検出装置20の「先端側」と称し、図中右上側(処理部40側)を圧力検出装置20の「後端側」と称する。また、以下の説明では、図2に一点鎖線で示す圧力検出装置20の中心線方向を、単に中心線方向と称する。
(圧電素子)
圧電素子30は、圧電体で構成される圧電部材31と、圧電部材31の外周面のうちの一部の領域に積層される薄膜部材32とを備えている。すなわち、本実施の形態の圧電素子30は、圧電部材31と薄膜部材32とを一体化した構成を有している。本実施の形態の圧電素子30において、圧電部材31は、圧力検出装置20の外部から受けた圧力に応じた圧力信号を出力し、薄膜部材32は、圧電部材31の温度に応じた温度信号を出力する。なお、圧電素子30の詳細については後述する。
処理部40は、圧電素子30の圧電部材31から入力される圧力信号(本実施の形態では電荷信号)を積分することで電圧信号に変換する積分回路41と、積分回路41から入力される電圧信号を増幅する増幅回路42とを備えている。また、処理部40は、増幅回路42から入力される増幅後の電圧信号に、圧電素子30の薄膜部材32から入力される温度信号(本実施の形態では電圧信号)に基づく補正(温度補正)を施す補正回路43をさらに備えている。そして、補正部の一例としての補正回路43が出力する補正後の電圧信号(以下では、出力信号と称する)は、ケーブル70を介して制御装置80に出力される。
筐体50は、例えば全体として筒状を呈しており、その内部に圧電素子30と処理部40とを収容している(図2参照)。この筐体50は、耐熱性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。ただし、本実施の形態の圧力検出装置20では、導電性を有する金属材料で構成された筐体50と、圧電素子30および処理部40とが、電気的に絶縁されている。これにより、内燃機関10に圧力検出装置20を取り付けた際に、内燃機関10のシリンダヘッド13と、圧力検出装置20の筐体50とが接触することに起因して、シリンダヘッド13側から筐体50側に伝達されるノイズが、圧電素子30による検出結果(圧力信号および温度信号)や処理部40による処理結果(出力信号)に、影響を与えるのを抑制している。
ケーブル70は、制御装置80から圧力検出装置20の処理部40に供給される電源電圧Vccを受電するための受電線71と、圧力検出装置20のグランド(GND)を制御装置80と共通にするための接地線72と、圧力検出装置20に設けられた処理部40からの出力(OUT)を制御装置80に供給するための出力線73とを有している。ここで、受電線71、接地線72および出力線73は、それぞれ絶縁電線で構成されており、ケーブル70は静電遮へいされている。
では、本実施の形態で用いた圧電素子30の詳細について説明を行う。
図4は、圧電素子30の斜視図である。
本実施の形態の圧電素子30は、四角柱状(この例では立方体状)に成形されてなる圧電部材31と、圧電部材31が有する複数の面(この例では6つの面)のうちの1つの面に積層されてなる薄膜部材32とを有している。
本実施の形態の圧電部材31は、圧電性を有する酸化物単結晶のバルク体で構成される。ここで、圧電部材31として用いられる酸化物単結晶は、圧電性を有する一方で、焦電性を有していないことが好ましい。また、圧電部材31として用いられる酸化物単結晶は、自身の融点まで相転移がないことが好ましい。さらに、圧電部材31として用いられる酸化物単結晶は、キュリー点を持たないことが好ましい。
ランガサイト系単結晶を含む三方晶系の結晶構造は、c軸と、c軸と直交する面において120°の間隔で放射状に延びるa1軸、a2軸およびa3軸とを有している。ここで、三方晶系の結晶構造において、c軸をz軸とし、a1軸、a2軸およびa3軸のうちのいずれか1つ(例えばa1軸)をx軸とし、これらx軸とz軸とに直交する軸をy軸とすることで、直交座標系における結晶学上のx軸、y軸およびz軸を定義することができる。ここで、結晶学においては、x軸を「電気軸」、y軸を「機械軸」、そして、z軸を「光学軸」、と称することがある。
本実施の形態の圧電部材31は、チョクラルスキー(Cz)法等で製造されたインゴット状のランガサイト系単結晶を、y軸およびz軸に沿うyz平面(2箇所)、z軸およびx軸に沿うzx平面(2箇所)、x軸およびy軸に沿うxy平面(2箇所)、に沿ってそれぞれ切り出すことにより、直方体状(ここでは立方体状)を呈するようになっている。したがって、本実施の形態の圧電部材31は、x軸に沿う4つの稜線と、y軸に沿う4つの稜線と、z軸に沿う4つの稜線とを有していることになる。なお、以下の説明においては、圧電部材31に設けられた、2つのyz平面をそれぞれX面311と称し、2つのzx平面をそれぞれY面312と称し、2つのxy平面をそれぞれZ面313と称する。また、見方を変えれば、x軸と直交する面がX面311であり、y軸と直交する面がY面312であり、z軸と直交する面がZ面313であるといえる。なお、これらX面311、Y面312およびZ面313の切り出し角は、それぞれの面に対応する軸(x軸、y軸およびz軸)に対し、±2°の範囲内でずれていてもかまわない。そして、圧電部材31の結晶方位は、例えば結晶方位測定装置Multi−XCO(株式会社アールイーエス・ラボ社製)によって測定することができる。
測温部材の一例としての薄膜部材32は、圧電部材31の2つのZ面313のうちの一方のZ面313(図4において右下手前側)に形成されている。なお、薄膜部材32は、圧電部材31の他方のZ面313(図4には図示せず)には形成されていない。ここで、薄膜部材32を構成する材料は、圧電性を有していないことが好ましい。また、薄膜部材32は、圧電部材31の一方のZ面313に対し、例えば各種気相成長法(スパッタ法、真空蒸着法、CVD法等)を用いて積層することが望ましい。
図5は、本実施の形態の薄膜部材32を説明するための図である。ただし、図5には、圧電部材31と薄膜部材32とを含む圧電素子30を記載している。ここで、図5(a)は、薄膜部材32を圧電部材31のz軸方向下流側(図4において右下手前側)からみた図であり、図5(b)は、薄膜部材32を圧電部材31のx軸方向上流側(図4において下側)からみた図である。
下地層320は、圧電部材31と、第1金属層321および第2金属層322との密着性を高めるために、下地として設けられる層である。下地層320には、例えば共晶はんだとして知られるAuSn合金等を用いることができる。
第1金属層321および第2金属層322によって構成される熱電対としては、B熱電対、R熱電対、S熱電対、N熱電対、K熱電対、E熱電対、J熱電対、T熱電対等を用いることができる。ここで、内燃機関10が動作している場合、燃焼室C内の温度は数百度程度まで上昇することがあり、その場合に、圧力検出装置20において筐体50内に収容される圧電素子30(圧電部材31)は、+300〜400℃程度となることがあり得る。また、内燃機関10を搭載した自動車等が、例えば北海道やアラスカ等の寒冷地で使用される場合、内燃機関10の始動時に、圧力検出装置20に設けられた圧電部材31の温度が、−50℃程度まで低下していることがあり得る。そこで、このような範囲での温度を測定可能とするためには、K熱電対(使用温度範囲:−200℃〜+1000℃程度)あるいはE熱電対(使用温度範囲:−200℃〜+700℃程度)を採用することが望ましい。例えばK熱電対の場合は、第1金属層321および第2金属層322をクロメル(合金)およびアルメル(合金)で構成することとなり、また、例えばE熱電対の場合は、第1金属層321および第2金属層322をクロメル(合金)およびコンスタンタン(合金)で構成することとなる。
ではここで、圧電部材31と薄膜部材32との関係について説明を行う。
本実施の形態において、圧電部材31はバルク体で、薄膜部材32は薄膜で、それぞれ構成されている。ここで、圧電部材31の大きさは、例えば、x軸方向が2mm、y軸方向が2mm、z軸方向が2mmである。これに対し、薄膜部材32の大きさは、例えば、x軸方向が0.1mm、y軸方向が1.2mm、z軸方向が0.001μmである。その結果、薄膜部材32は、圧電部材31よりも体積が小さくなっており、熱容量も小さくなっている。
また、薄膜部材32を構成する各材料(本実施の形態では金属材料)の融点は、圧電部材31が置かれ得る温度の最高値(最高温度:例えば+400℃)よりも高いことが好ましい。
では、本実施の形態の圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
(圧電部材の動作)
内燃機関10が動作しているとき、圧力検出装置20に設けられた圧電素子30には、先端側から後端側へと向かう、中心線方向に沿った圧力が付与される。このとき、圧電素子30を構成する圧電部材31には、x軸に沿った圧力Pが2つのX面311間に加えられることになる。すると、圧電部材31では、受けた圧力に応じた電荷が発生する。本実施の形態では、圧電部材31がランガサイト系単結晶で構成されていることから、圧力に応じて生じた電荷は、X面311およびY面312には出力される一方、Z面313には出力されない。そして、圧電部材31に生じた電荷は、圧電部材31の2つのX面311に接触する正負の電極(図示せず)を介して、圧力信号(電荷信号)として処理部40に伝達される。
この間、圧電部材31とともに圧電素子30を構成する薄膜部材32では、第1金属層321と第2金属層322とが接する接合部323において、薄膜部材32の積層対象である、圧電部材31の温度に応じた熱起電力が生じる。このようにして発生した熱起電力(電圧信号)は、第1金属層321および第1リード線331と、第2金属層322および第2リード線332とを介して、温度信号として処理部40に伝達される。
処理部40には、制御装置80から、ケーブル70(受電線71および接地線72)を介して、積分回路41、増幅回路42および補正回路43等を動作させるための電源電圧Vccが供給されている。そして、処理部40では、積分回路41が、圧電素子30の圧電部材31から供給される圧力信号(電荷信号)を積分して、電圧信号に変換する。次に、増幅回路42が、積分回路41から供給される積分後の電圧信号を増幅する。続いて、補正回路43が、増幅回路42から供給される増幅後の電圧信号に対し、圧電素子30の薄膜部材32から供給される温度信号(電圧信号)に基づく出力の補正(温度補正)を行う。補正回路43から出力される補正後の電圧信号は、ケーブル70(出力線73および接地線72)を介し、出力信号として制御装置80に出力されることになる。
以上説明したように、本実施の形態では、酸化物単結晶(ランガサイト系単結晶)で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面(X面311、Y面312)と圧力に応じた電荷を出力しない非出力面(Z面313)とを有する圧電部材31と、圧電部材31の非出力面(Z面313)に積層して設けられ、圧電部材31の温度測定に用いられる薄膜部材32とを含む圧電素子30を用いた。
実施の形態1の圧力検出装置20では、薄膜部材32によって構成された『熱電対』を用いて、圧電部材31の温度を測定していた。これに対し、本実施の形態では、薄膜部材32によって構成された『測温抵抗体』を用いて、圧電部材31の温度を測定するようにしたものである。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
本実施の形態の圧電素子30の基本的な構成は、実施の形態1と同じである(図4参照)。すなわち、圧電素子30は、ランガサイト系単結晶で構成され、2つのX面311、2つのY面312および2つのZ面313とを有する圧電部材31と、圧電部材31の一方のZ面313に積層される薄膜部材32とを備えている。なお、圧電部材31については、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明を省略する。
次に、本実施の形態で用いた、薄膜部材32の詳細について説明を行う。
図6は、本実施の形態の薄膜部材32を説明するための図である。ただし、図6には、圧電部材31と薄膜部材32とを含む圧電素子30を記載している。ここで、図6(a)は、薄膜部材32を圧電部材31のz軸方向下流側(図4において右下手前側)からみた図であり、図6(b)は、薄膜部材32を圧電部材31のx軸方向上流側(図4において下側)からみた図である。
金属層324を構成する金属材料としては、白金、ニッケル、銅等を挙げることができる。ここで、実施の形態1と同様に、例えば−50℃〜+400℃の範囲において、安定的に温度を測定するという観点からすれば、金属層324を白金(例えばPt100)で構成すること、換言すれば、白金測温抵抗体を用いることが望ましい。
では、本実施の形態の圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
(圧電部材の動作)
内燃機関10が動作しているとき、圧力検出装置20に設けられた圧電素子30には、先端側から後端側へと向かう、中心線方向に沿った圧力が付与される。このとき、圧電素子30を構成する圧電部材31には、x軸に沿った圧力Pが2つのX面311間に加えられることになる。すると、圧電部材31では、受けた圧力に応じた電荷が発生する。本実施の形態では、圧電部材31がランガサイト系単結晶で構成されていることから、圧力に応じて生じた電荷は、X面311およびY面312には出力される一方、Z面313には出力されない。そして、圧電部材31に生じた電荷は、圧電部材31の2つのX面311に接触する正負の電極(図示せず)を介して、圧力信号(電荷信号)として処理部40に伝達される。
この間、圧電部材31とともに圧電素子30を構成する薄膜部材32では、第1リード線331および第2リード線332を介して、金属層324に電流が流されている。なお、この電流は、処理部40(例えば補正回路43)から供給される。すると、薄膜部材32では、その積層対象である圧電部材31の温度に応じて、金属層324の電気抵抗値が変化することに伴い、金属層324に流れる電流値に変化が生じる。金属材料の場合、温度の上昇に伴って電気抵抗値が増加することから、温度の上昇に伴って金属層324に流れる電流値は減少する。金属層324に流れる電流信号は、第1リード線331および第2リード線332を介して、温度信号として処理部40に伝達される。
処理部40には、制御装置80から、ケーブル70(受電線71および接地線72)を介して、積分回路41、増幅回路42および補正回路43等を動作させるための電源電圧Vccが供給されている。そして、処理部40では、積分回路41が、圧電素子30の圧電部材31から供給される圧力信号(電荷信号)を積分して、電圧信号に変換する。次に、増幅回路42が、積分回路41から供給される積分後の電圧信号を増幅する。続いて、補正回路43が、増幅回路42から供給される増幅後の電圧信号に対し、圧電素子30の薄膜部材32から供給される温度信号(電流信号)に基づく出力の補正(温度補正)を行う。補正回路43から出力される補正後の電圧信号は、ケーブル70(出力線73および接地線72)を介し、出力信号として制御装置80に出力されることになる。
以上説明したように、本実施の形態でも、実施の形態1と同等の効果を得ることができる。
<第1の変形例>
第1の変形例は、実施の形態1の変形例であって、薄膜部材32が構成する熱電対(第1金属層321および第2金属層322)の形状を、実施の形態1(図5参照)とは異ならせたものである。
第2の変形例は、実施の形態2の変形例であって、薄膜部材32が構成する測温抵抗体(金属層324)の形状を、実施の形態2(図6参照)とは異ならせたものである。
第3の変形例は、実施の形態1、2の変形例であって、圧電部材31の形状を、実施の形態1、2(図4参照)とは異ならせたものである。また、圧電部材31の形状を異ならせたことに伴って、薄膜部材32の形状も、実施の形態1、2とは異ならせたものである。
第3の変形例の圧電素子30は、円柱状に成形されてなる圧電部材31と、圧電部材31の円筒状の側面のうちの一部の領域に積層されてなる薄膜部材32とを有している。
そして、本実施の形態の圧電部材31は、それぞれが円形状を呈する表面および裏面と、円筒状を呈し且つ表面と裏面とを接続する側面とを有しており、表面および裏面が、それぞれX面311となっている。そして、圧電部材31のうち、一方のX面311には、筐体50の内部に収容された正の電極(図示せず)が接触して配置され、他方のX面311には、筐体50の内部に収容された負の電極(図示せず)が接触して配置される。
実施の形態1、2では、圧電部材31の圧電縦効果を利用していた。ただし、これに限られるものではなく、圧電部材31の圧電横効果を利用することもできる。ここで、圧電横効果とは、圧電体の電気軸に対して直交する位置にある機械軸に外力を作用させると、電気軸と直交する圧電体の表面に電荷が発生する作用をいう。例えばランガサイト系単結晶からなる圧電部材31を用いる場合は、機械軸であるy軸と直交するY面312を圧力作用面とし、電気軸であるx軸と直交するX面311を電荷出力面とすればよい。この場合も、Y面312が受けた圧力に応じた電荷は、Z面313からは出力されないため、圧電部材31のZ面313に薄膜部材32を設ければよいことになる。
Claims (10)
- 単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、
前記圧電部材の前記非出力面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材と
を含む圧電素子。 - 前記圧電部材はランガサイト系単結晶からなり、
前記出力面が前記ランガサイト系単結晶のX面であり、前記非出力面が当該ランガサイト系単結晶のZ面であることを特徴とする請求項1記載の圧電素子。 - 前記測温部材は、熱電対からなることを特徴とする請求項1または2記載の圧電素子。
- 前記熱電対は、K熱電対またはE熱電対であることを特徴とする請求項3記載の圧電素子。
- 前記測温部材は、測温抵抗体からなることを特徴とする請求項1または2記載の圧電素子。
- 前記測温部材は、前記圧電部材のうち外部から受けた圧力が作用する圧力作用面の面方向に沿って、前記非出力面に形成されることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項記載の圧電素子。
- ランガサイト系単結晶で構成され、結晶学上のz軸に直交するZ面を有する圧電部材と、
前記圧電部材の前記Z面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材と
を含む圧電素子。 - 単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材と、
前記圧電部材の前記非出力面に接触して設けられ、当該圧電部材の温度測定に用いられる測温部材と、
前記圧電部材からの電気的な出力に対し、前記測温部材からの電気的な出力に基づく補正を施す補正部と
を含む圧力検出装置。 - 単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材の当該非出力面に、熱電対または測温抵抗体を接触させ、
前記熱電対または前記測温抵抗体からの電気的な出力に基づいて、前記圧電部材の温度を測定する
圧電部材の温度測定方法。 - 単結晶で構成され、外部から受けた圧力に応じた電荷を出力する出力面と当該圧力に応じた電荷を出力しない非出力面とを有する圧電部材の当該非出力面に、熱電対または測温抵抗体を接触させ、
前記熱電対または前記測温抵抗体からの電気的な出力に基づいて、前記圧電部材からの電気的な出力を補正する
圧電部材の出力補正方法。
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