JP6954581B2 - 回転増速部を有する発電機 - Google Patents

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Description

本発明は、海中または水中で使用される発電機、特に流速の遅い海中での使用に有利な磁気ギア機構による回転増速部を有する発電機に関するものである。
自然エネルギーを利用した発電は太陽光発電、風力発電、水力発電等が実用化あるいは検討されている。
このうち水力発電ではダム等による大規模な水力発電所による発電以外に、用水路等を利用した小水力発電、海流や海の満ち引きを利用した潮流発電や潮汐発電等がある。この様な水力発電は太陽光発電のような夜間の発電停止や、風力発電のような天候による発電量の大幅な変化がないので、出力が比較的安定している安定電源となるので好ましい。
その反面、これらの小水力発電や潮流発電等では利用できる水流の流速が小さいことが多く、様々なタービンやプロペラを使用しても充分な回転数を得る事は困難で、発電機の前に回転増速部を組み込み、タービンやプロペラの回転を増速することがしばしば行われる。
例えば特許文献1に示されるバルブ形水車発電装置では、図10に示すように、筒状の発電機本体901の中に回転自在に保持された水車ランナ902が潮流等により回転させられ、この回転が増速機構903を介して発電機904に伝えられる構造が提示されている。この様な構成の発電装置では、設置される河川等の水量や流速に応じて適切な増速比の増速機構903、および適切な容量の発電機904を選定使用することが可能で、好適な稼動状態で発電させることが可能となる。
しかしながら、特許文献1に示されているような発電装置では水車ランナ902と発電機904の間に増速機構903が組み込まれるため、発電機本体901の長さが長くなり発電装置が大型化する、また水車ランナ902の回転軸と増速機構903の入力軸、及び増速機構903の出力軸と発電機904の入力軸を、軸心を合わせた状態で接続する必要があり、組立ての工数が増加するという課題があった。
これに対し、非特許文献1に示されている磁気ギアード発電機は、図11に示すように、外部の水車911に接続された、軟磁性体で複数の極を有する略リング状の低速ロータ912が回動可能に保持されており、低速ロータ912の外側には軟磁性体で複数の極を有する略リング状の固定部914が低速ロータ913と同心に固定され、固定部914の複数の極にはそれぞれ発電用のコイル915が装着され、低速ロータ912の内側には複数の磁石を有する略円柱状の高速ロータ913が回動可能に取付けられている。
この磁気ギアード発電機では、低速ロータ912が水車911で回転駆動されると、磁気ギアの動作原理により高速ロータ913が高速回転させられ、この高速回転する高速ロータ913の磁石の磁力により、固定部914の極に取付けられたコイル915が起電し、増速装置つきの発電機として動作する。
この様に、非特許文献1に示されている磁気ギアード発電機は、複数の極を有する2つの略リング状の部品すなわち低速ロータ912と固定部914と、複数の磁石を有する1つの略円柱状の部品すなわち高速ロータ913と、固定部914の複数の極にそれぞれ装着されたコイル915という簡略な構成で、増速機構が組み込まれた発電機を実現している。
ところで、図11に示す磁気ギアード発電機では、低速ロータ912の極数は20極、高速ロータ913の磁石数は8極となっており、この2つの極数から磁気ギアとしての増速比は20/8で2.5となることが非特許文献1に示されている。また、「低速ロータの極数は高速ロータの磁石数と固定部の極数の和」であるという関係式が示されており、この関係式から固定部914の極数は12となり、コイル915の数も12となる。この12個のコイル915より3相交流出力が取り出せ、各相あたりのコイル915の数は4つである。この様に、非特許文献1に示されている磁気ギアード発電機は、増速比2.5の増速機構を内蔵した3相交流発電機が簡略な構造で実現されている。
しかしながら、上記の磁気ギアード発電機では製品の仕様を少しでも変更しようとすると、基本構成が変わってしまうという課題がある。例えば水量は豊富であるが水流が小さい潮流中で使用するために増速比をもう少し大きくしたいというような場合、以下に示すようにコイルの構成が変わり、場合によっては発電出力が取り出せなくなる。
例えば、増速比を大きくするために、高速ロータ913の磁石数は8極のままで低速ロータ912の極数を20極から24極に変更すると、増速比は24/8で3となる。この時「低速ロータの極数は高速ロータの磁石数と固定部の極数の和」であるという関係式から固定部914の極数を16極とする必要があり、これに伴いコイル数は16個となる。
この構成では、高速ロータ913の磁石数が8極、すなわち4極対であることから、高速ロータ913が1回転すると各々のコイルには360°×4=1440°分の起電力が発生する。すなわち高速ロータ913が1回転する間の電気角は1440°である。また、コイル915は1周に等間隔で16個配置されるので、隣接コイル間の位相差は1440°÷16=90°となる。
上記の増速比変更例では、コイル915の数が必然的に16個となり16は3で割り切れないため、3相出力の各相に同じ数のコイル915を割り当てることができない。また、隣接コイル間の位相差が90°であることから、各相の位相差が240°である三相交流を取り出すことが出来ない。
以上の状況から、上記の増速比変更例では、あまり一般的ではない4相交流出力または最大起電圧が低くなることを許容して2相交流出力とすることになる。
また、増速比を大きくする方法として高速ロータ913の磁石数を少なくするという方法も考えられ、高速ロータ913の磁石数を6極に変更し、固定部914の極数を12極のままとすることも可能である。この場合、「低速ロータの極数は高速ロータの磁石数と固定部の極数の和」であるという関係式から低速ロータ912の極数は18極となり、増速比は18/6で3となる。
しかしながら、高速ロータ913の磁石数を6極、すなわち3極対としたため、高速ロータ913が1回転する間の電気角は360°×3=1080°となる。したがって、隣接コイル間の位相差は1080°÷12=90°となり、各相の位相差が240°である三相交流を取り出すことは出来なくなる。
他の例として、増速比をより大きくするために、高速ロータ913の磁石数は変更せずに低速ロータ912の極数を30極に変更すると、増速比は30/8で3.75となるが、固定部914の極数は22極となる。これによりコイル915の数も22個となり、コイルの隣接コイル間の位相差は1440°÷22=65.4545・・・・°となる。
従ってこの構成では3相出力を取り出すことも4相出力を取り出すことも困難で、全く異なる発電出力取り出し形態を採用する必要がある。
以上のように、非特許文献1に示されている磁気ギアード発電機は、簡略な構造で増速機構を内蔵した発電機が実現できる優れた構造ではあるが、用途先の状況に対応して、例えば増速比を変える様な仕様変更を行うと、構成部品の極数の変更が生じ、これにより発電コイルの出力状態が大きく変わってしまい、発電機の構成が都度変わってしまうと言う課題があった。
特開平10−115278号公報
磁気ギアード発電機の提案 平成24年電気学会全国大会 5-043、pp71-72、2012.03 鴛海、平田 他
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、回転増速部を有しながら小型で、増速比等の仕様を変更しても発電機の構成変更の必要がない発電機を提供することを目的とする。
本発明の回転増速部を有する発電機における請求項1に係る発明は、
外部から回転駆動されて発電する発電機であって、前記発電機は、回転駆動を増速する回転増速部と、回転により起電する発電部を有し、複数の極対の磁石を有する低速ロータと、前記低速ロータの前記磁石の極対より少ない極対の磁石を有する高速ロータと、前記低速ロータと前記高速ロータの中間に配置され、複数の軟磁性体のポールを有するステータを有し、前記低速ロータの前記磁石の極対数をNL、前記高速ロータの前記磁石の極対数をNH、前記ステータの前記ポールの数をNSとしたとき、NS=NL±NHの関係を有し、前記低速ロータが回転すると、前記高速ロータが前記低速ロータのNL/NH倍で増速回転する磁気ギア機構による前記回転増速部と、前記回転増速部により増速回転させられる発電磁石と、前記発電磁石の回転により起電する発電コイルよりなる前記発電部を有する、回転増速部を有する発電機において、
前記低速ロータの前記磁石の極対数、前記高速ロータの前記磁石の極対数および前記ステータの前記ポールの数とは独立した極対数の前記発電磁石が前記高速ロータに取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、磁気ギア機構の磁石数構成に係わらず、最適な磁石数およびコイル数の発電機が構成できる。例えば磁気ギア増速機付き発電機をシリーズ品として製品化するような場合に、種々の増速比や発電容量の製品を製造する必要があるが、本発明の回転増速部を有する発電機では、磁気ギアの磁石構成に影響されない独立した自由な数の発電磁石を備えたので、磁気ギアの増速比や発電機の容量を様々に変化させても、発電機の磁石数およびコイル数を自由に選べる。これにより複数の発電コイルの起電力が同一位相となる構成が可能となり、複数のコイルを直列または並列のいずれの形態で接続することも可能となる上に、複数のコイルを接続しても起電力の最大電圧が低下せず、ロスの少ない発電機構成をとることができる。
また、磁気ギアの高速ロータに発電磁石が取付けられる構成としたので磁気ギア機構と発電機を接続する構造が不要となり、コンパクトな回転増速部を有する発電機を提供することができる。
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記発電磁石の極対数をNMとし、前記発電コイルの個数をNCとしたとき、前記発電磁石の極対数に対する前記発電コイルの個数の比率が、NM:NC=2:3、またはNM:NC=1:3、またはNM:NC=4:3であることを特徴とする、請求項1に記載された回転増速部を有する発電機である。
本発明では、発電磁石の極対数NMに対する発電コイルの個数NCの比率を1:3または2:3または4:3としたので、隣接するコイルの位相差が120°または240°または480°、すなわち360°+120°となるので、複数の発電コイルのうちの3つ目ごとのコイル、例えば1番目のコイルと4番目のコイルは同一位相となる。従って複数の発電コイルを3つ目ごとに接続すると、直列または並列のいずれの形態で接続することも可能で、複数のコイルを接続しても起電力の最大電圧が低下せず、ロスのない自由なコイル接続が可能となる。
また、隣接するコイルの位相差は120°または240°であるので、隣接するコイルおよびさらにその隣のコイルをそれぞれ3つ目ごとに接続することにより、ロスのない自由なコイル接続で3相交流を取り出すことが出来、より発電効率の良い回転増速部を有する発電機を提供することができる。
また、本発明における請求項3に係る発明は、
前記発電磁石の極対数をNMとし、前記発電コイルの個数をNCとしたとき、前記発電磁石の極対数に対する前記発電コイルの個数の比率が、NM:NC=1:1、またはNM:NC=1:2であることを特徴とする、請求項1に記載された回転増速部を有する発電機である。
本発明では、発電磁石の極対数NMに対する発電コイルの個数NCの比率を1:2または1:1としたので、隣接するコイルの位相差が180°または360°となり、ロスなく、また自由なコイル接続で単相交流を取り出すことが出来、より発電効率の良い回転増速部を有する発電機を提供することができる。
また、本発明における請求項4に係る発明は、
前記磁気ギア機構が前記低速ロータ、前記ステータ、前記高速ロータが同心状に配置されるラジアルギャップタイプで、前記高速ロータが最内周に配置され、前記高速ロータの前記磁石より内側に前記発電磁石が取付けられていることを特徴とする、請求項1に記載された回転増速部を有する発電機である。
磁気ギア機構の磁気ギア用の磁石は、最大伝達トルクを大きくするため径方向の外側に配置され、径方向の内側は使用されないことが多い。このため本発明によれば、発電部用の磁石を径方向の内側に配置することにより、磁気ギア機構に発電部を組み込んでも全体が大きくなることを回避できる。これによりさらに小型の、回転増速部を有する発電機を提供することができる。
また、本発明における請求項5に係る発明は、
前記磁気ギア機構の前記低速ロータの前記磁石の回転軸方向の長さの中心と、前記高速ロータの前記磁石の回転軸方向の長さの中心と、前記発電磁石の回転軸方向の長さの中心が同一線上にあることを特徴とする、請求項4に記載された回転増速部を有する発電機である。
本発明では高速ロータの磁石、ステータ、低速ロータの磁石、発電機の磁石の全ての軸方向長さの中心が同一線上にあるので、軸方向の長さを最小限とでき、装置の長さが短くなり、より小型の回転増速部を有する発電機を提供することができる。
また、本発明における請求項6に係る発明は、
前記低速ロータおよび前記高速ロータはそれぞれ、回転軸方向に離れた2つ以上の軸受けで回転可能に保持され、前記低速ロータの前記磁石の回転軸方向の長さの中心、および前記高速ロータの前記磁石の回転軸方向の長さの中心はそれぞれを保持する2つ以上の前記軸受けの間にあることを特徴とする、請求項5に記載された回転増速部を有する発電機である。
磁気ギア機構では、通常は低速ロータの回転軸および前記高速ロータの回転軸はいずれも側圧は受けないが、例えば回転軸の中心がずれた場合や高速ロータまたは低速ロータの複数の磁石の磁力に大きなばらつきがある場合等には、低速ロータや前記高速ロータの回転軸にラジアル方向の側圧が発生する。この様な場合でも本発明による回転増速部を有する発電機では、各々の回転軸の中心が2つの軸受けの間にあるので、ラジアル方向の側圧が2つの軸受けで受けられ、ラジアル方向の側圧で各々の回転軸が傾斜することが回避でき、安定した動作が維持できる。これにより回転増速部を有する発電機の信頼性を高めることができる。
本発明による回転増速部を有する発電機では、回転増速部を有しながら小型で、増速比を変更しても発電機の構成変更の必要がない発電機を提供することができる。
本発明の実施例1の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は中央断面図である。 本実施例の構成を示す分解斜視図である。 本実施例の回転増速部の構成を示す図で、(a)は低速ロータの磁石配置を示す図、(b)はステータのポール配置を示す図、(c)は高速ロータの磁石配置を示す図である。 本実施例の発電部の構成を示す図で、(a)は発電磁石の配置を示す図、(b)は発電コイルの配置を示す図である。 本実施例の変形例の発電部の構成を示す図で、(a)は発電磁石の配置を示す図、(b)は発電コイルの配置を示す図である。 本発明の他の変形例の内部構成を示す、発電機の一部を切り開いた斜視図である。 他の変形例を説明する図で、(a)は構成を示す断面図、(b)は発電部の詳細な構成を示す部分詳細図である。 本発明の実施例2の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は中央断面図である。 実施例2の構成を示す断面図である。 特許文献1による水車発電装置の構成を示す断面図である。 非特許文献1によるギアード発電機の構成及び動作を説明する概念図である。
以下、図1から図4を参照に、本発明に係る回転増速部を有する発電機の実施例1を詳細に説明する。
はじめに、本実施例による回転増速部を有する発電機の外観および概略構造を、図1を参照に説明する。
本実施例による発電機100は、図1(a)に示すように、平面視が略正方形の直方形で、入力軸52が略正方形の面の略中央に突出している。
発電機100は、図1(b)に示すように、積層構造をしており、入力軸52が突出する側の最外端は軸受け55を介して入力軸52を回動可能に保持する前側板51である。入力軸52が突出する面と反対側の前側板51の内方面にはステータ15が取り付けられる。ステータ15は複数の軟磁性体のステータポール14と、ステータポール14を保持する非磁性のポールホルダ13よりなる。
前側板51の内方面側には軟磁性体の低速ロータ11を収容する低速ロータ収容部54が設けられており、入力軸52に回動不能に保持された低速ロータ11が低速ロータ収容部54に収容される。
低速ロータ11のステータ15に対向する面には複数の低速ロータ磁石12が取付けられ、低速ロータ磁石12の磁極面は、わずかな隙間、すなわちギャップを介してステータポール14の一方側の面と対向している。
ステータ15の、前側板51が取付けられている面の反対側の面には、間隔を空けて軟磁性体の後側板59が取付けられる。ステータ15のポールホルダ13の略中央には、回転中心軸53が回動不能に取付けられ、回転中心軸53の先端部は後側板59の中央孔59bに挿通される。
後側板59には複数のコイルヨーク59aが突出して設けられており、複数のコイルヨーク59aにはそれぞれ発電コイル32が取付けられる。
ステータ15と後側板59の間の間隔部には軟磁性体の高速ロータ16が軸受け56を介して回転中心軸53に回動可能に保持される。高速ロータ16のステータ15に対向する面には複数の高速ロータ磁石17が取付けられ、高速ロータ磁石17の磁極面はわずかなギャップを介してステータポール14の他方側の面と対向している。また、高速ロータ16の後側板59に対向する面には複数の発電磁石31が取付けられ、発電磁石31の磁極面はわずかなギャップを介してコイルヨーク59aの上面と対向している。
次に、図2を参照に、本実施例による発電機100のより詳細な構造と動作を説明する。
低速ロータ11は略円板状で、中央で入力軸52に回動不能に保持されている。低速ロータ11のステータ15に対向する面には、平面形状が略台形である複数の低速ロータ磁石12が入力軸52を中心とした円環状に並んで取付けられている。
なお、図2では、低速ロータ磁石12の形状および取り付け状態を明確にするため、低速ロータ11の視野後方にある複数の低速ロータ磁石12のうちの数個の低速ロータ磁石12の形状を破線にて表示した。
ステータ15は、非磁性体で略中央に回転中心軸53を固定する貫通孔を有するポールホルダ13に、軟磁性体で平面形状が略台形である複数のステータポール14が貫通孔を中心とした円環状に並んで取付けられている。
なお、図2では、ステータポール14の形状および取り付け状態を明確にするため、ポールホルダ13の視野後方にある複数のステータポール14のうちの数個のステータポール14の形状を破線にて表示した。
高速ロータ16は略円板状で、中央に軸受け56を有し、ステータ15に対向する面には、平面形状が部分リング状である複数の高速ロータ磁石17が軸受け56の中央孔を中心とした円環状に並んで取付けられている。
また、高速ロータ16の、後側板59に対向する面には、平面形状が略台形である複数の発電磁石31が軸受け56の中央孔を中心とした円環状に並んで取付けられている。
なお、図2では、発電磁石31の形状および取り付け状態を明確にするため、高速ロータ16の視野後方にある複数の発電磁石31のうちの数個の発電磁石31の形状を破線にて表示した。
後側板59は、略中央に回転中心軸53が挿通される中央孔59bを有し、複数のコイルヨーク59aが中央孔59bを中心にして円環状に並んで設けられている。複数のコイルヨーク59aにはそれぞれ発電コイル32が取付けられ、これにより後側板59の高速ロータ16に対向する面に複数の発電コイル32が中央孔59bを中心にして円環状に並ぶ。
発電機100は組み立て状態で入力軸52と回転中心軸53が同芯となるので、それぞれ複数の低速ロータ磁石12、ステータポール14、高速ロータ磁石17、発電磁石31、発電コイル32の円環形状は全て同一中心となる。加えて低速ロータ磁石12、ステータポール14、高速ロータ磁石17、発電磁石31の円環形状の平均直径、およびコイルヨーク59aの中心位置の直径は略同一となるように設定されている。
上記の構成部品のうち、低速ロータ磁石12を有する低速ロータ11及びステータ15及び高速ロータ磁石17を有する高速ロータ16により磁気ギア機構による回転増速部80が構成されており、高速ロータ16に取付けられた発電磁石31と後側板59に取付けられた発電コイル32により発電部90が構成されている。
以上の構成により、本実施例による発電機100は入力軸52が外部より回転駆動されると磁気ギアの動作原理により高速ロータ16が増速回転し、増速回転する高速ロータ16に取付けられた発電磁石31により発電コイル32に大きな起電力が発生する。
次に、図3および図4を参照して、本実施例に係る発電機の低速ロータ磁石12および高速ロータ磁石17の磁石配列とステータポール14の数、および発電磁石31の磁石配列と発電コイル32の数の関係を説明する。
図3は発電機100の回転増速部80の磁気ギア機構を構成する主要部品の磁石またはポールの配置を示す図で、(a)は複数の低速ロータ磁石12が取付けられた低速ロータ11の、ステータ15と対向する面の磁石配列を示す図、(c)は複数の高速ロータ磁石17が取付けられた高速ロータ16の、ステータ15と対向する面の磁石配列を示す図である。また、図3の(b)はポールホルダ13に複数のステータポール14が組み込まれたステータ15の、低速ロータ11と対向する面及び高速ロータ16と対向する面のポール配列を示す図である。
なお、図3の(b)に示すステータ15のポール配列は、低速ロータ11と対向する面でも高速ロータ16と対向する面でも略同一であるため図は1枚のみとした。
図4は発電機100の発電部90を構成する主要部品の磁石またはコイルの配置を示す図で、(a)は複数の発電磁石31が取付けられた高速ロータ16の、発電コイル32と対向する面の磁石配列を示す図、(b)は複数の発電コイル32が取付けられた後側板59の、高速ロータ16と対向する面のコイル配列を示す図である。
図3(a)に示す複数の低速ロータ磁石12は隣り合う磁石の極性が互いに逆となるように等間隔で配置される。すなわち、図3(a)に磁石面に文字にて記載したように、ある磁石の極がNであればその隣の磁石はSでその更に隣の磁石は再びNとなる様に配置される。なお、複数の低速ロータ磁石12の極対数をNLと表すと、図3(a)に示す実施例1の場合、低速ロータ磁石12の数は全部で26個あり13極対であるので、NL=13である。
図3(c)に示す複数の高速ロータ磁石17は隣り合う磁石の極性が互いに逆となるように等間隔で配置される。すなわち、図3(c)に磁石面に文字にて記載したように、ある磁石の極がNであればその隣の磁石はSでその更に隣の磁石は再びNとなる様に配置される。なお、複数の高速ロータ磁石17の極対数をNHと表すと、図3(c)に示す実施例1の場合、高速ロータ磁石17の数は全部で6個あり3極対であるので、NH=3である。
図3(b)に示す複数のステータポール14は略円環状に等間隔で配置される。ただしステータポール14は軟磁性体で極性はない。ステータポール14のポール数をNSと表すと、図3(b)に示す実施例1の場合、ステータポール14のポール数は16個で、NS=16である。
実施例1に記載したような形式の磁気ギア機構では、低速ロータ磁石の極対数をNL、高速ロータ磁石の極対数をNH、ステータのポール数をNSとしたとき、NS=NL±NHの関係を満足する必要がある。
上記の如く、実施例1ではNL=13、NH=3、NS=16となっているのでNS=NL+NHとなっており、NS=NL±NHの関係を満足している。これにより本実施例の磁気ギア機構は回転増速動作し、増速比はNL/NHで、実施例1の場合では13/3で4.333となる。
図4(a)に示す、複数の発電磁石31は隣り合う磁石の極性が互いに逆となるように等間隔で配置される。すなわち、図4(a)に磁石面に文字にて記載したように、ある磁石の極がNであればその隣の磁石はSでその更に隣の磁石は再びNとなる様に配置される。複数の発電磁石31の極対数をNMとすると、図4(a)に示す実施例1の場合、発電磁石31の数は全部で16個あり8極対であるので、NM=8である。
図4(b)に示す複数の発電コイル32は後側板59に略円環状に等間隔で配置される。発電コイル32のコイル数をNCとすると、図4(b)に示す実施例1の場合、発電コイル32の数は12個で、NC=12である。
図4(a)に示す、複数の発電磁石31が取付けられた高速ロータ16を、図4(b)に示す複数の発電コイル32が取付けられた後側板59に、わずかなギャップを介して対向させ高速ロータ16を回転させると、複数の発電コイル32にはそれぞれ交流の電圧が発生する。
複数の発電コイル32のうちの、ある発電コイル32の直上を複数の発電磁石31のうちの例えばあるN極の磁石が通過したのち、隣のS極の磁石が通過し更に次のN極の磁石が通過する間に、その発電コイル32に発生する交流電圧の位相角の変化量は360°である。したがって極対数がNMの発電磁石31が取付けられた高速ロータ16が1回転すると、それぞれの発電コイル32には位相角が360°×NMの交流電圧が発生する。
また、複数の発電コイル32は後側板59に等間隔で配置されている。それぞれの発電コイル32に発生する交流電圧の位相はずれており、隣接するコイル間の位相差は高速ロータ16が1回転する間に発生する位相角をコイル数で除した値となる。したがって、発電磁石31の極対数がNM、発電コイル32のコイル数がNCであるときの隣接コイル間の位相差は
360°×NM/NC となる。
発電出力として3相交流を取り出す場合、3相交流の各相の位相差は240°であるから、隣接コイルの位相差が240°であれば、効率よく起電力を取り出すことが出来る。
隣接コイル間の位相差が240°となるということは
360°×NM/NC=240° が成立する事である。したがって
NM/NC=240/360=2/3 となり、これより
NM:NC=2:3 であればよい。
図4に示す実施例1の場合、発電磁石31は8極対であるのでNM=8、また発電コイル32の数は12個であるのでNC=12である。したがって
NM:NC=8:12=2:3 であるので、隣接コイル間の位相差は240°となり、3相交流を効率よく取り出すことが出来る。
また、隣接コイル間の位相差が240°であるので、ある発電コイルとその3つ先の発電コイルの位相差は240°×3=720°となり同一位相となり、さらに3つ先の発電コイルも同相となる。
この様に、隣接コイル間の位相差が240°の場合は3つ先ごと、すなわち2つ飛ばしごとに発電コイルは同相になる。したがって複数の全ての発電コイルのうち、2つ飛ばしの複数の発電コイルは全て同相となる。
複数の同相の発電コイルは直列にも並列にも、または直並列にも接続可能で、自由な接続が可能である。
なお、3相交流は隣接コイル間の位相差が240°の場合以外に、120°、480°でも効率よく取り出すことが出来る。これらの場合
360°×NM/NC=120°または360°×NM/NC=480° が成立する必要がある。これらの関係式から
NM:NC=1:3、またはNM:NC=4:3
であれば、3相交流を効率よく取り出すことが出来る。
以上より、発電磁石31の極対数NMと発電コイル32の個数NCの比率を2:3または1:3または4:3とすることにより、隣接するコイルの位相差は120°または240°となり、ロスのなく3相交流を取り出すことが出来る。
〔実施例1の変形例〕
図5に実施例1の変形例における発電部190を構成する主要部品の磁石またはコイルの配置を示す図で、(a)は複数の発電磁石131が取付けられた高速ロータ16の、発電コイル32と対向する面の磁石配列を示す図、(b)は複数の発電コイル32が取付けられた後側板59の、高速ロータ16と対向する面のコイル配列を示す図である。
なお、実施例1の変形例では高速ロータ16に取付けられた複数の発電磁石131の数は実施例1の場合と異なるが、磁気ギア機構による回転増速部、および複数の発電コイル32が取付けられた後側板59は実施例1と同一である。
実施例1の変形例では、図5(a)に示すように、複数の発電磁石131は、実施例1と同様に、高速ロータ16に隣り合う磁石の極性が互いに逆となるように等間隔で配置される。なお、図5(a)に示す実施例1の変形例の場合、発電磁石131の数は全部で12個あり6極対であるので、発電磁石131の極対数はNM=6である。
この6極対の発電磁石131が取付けられた高速ロータ16が1回転すると、発電コイル32には位相角が360°×6=2160°の交流電圧が発生する。これに対し発電コイル32のコイル数は実施例1の場合と同一の12個で、隣接コイル間の位相差は
2160°/12=180°
となる。すなわち、隣接する発電コイル32に発生する交流電圧は逆相になる。したがって隣接する発電コイル32を互いに逆極性にして接続すれば、効率よく単相交流を取り出すことが出来る。
なお、隣接コイル間の位相差が360°の場合でも、効率よく単相交流を取り出すことが可能で、この場合は全ての発電コイル32を同極性で接続すればよい。
上記の内容を一般式で記述すると、高速ロータ16の1回転で発生する交流電圧の位相角は360°×NMとなる。したがってMC個の発電コイル32に発生する隣接コイル間の位相差は
360°×NM/NC
となる。
単相交流を取り出すためには、以上の隣接コイル間の位相差が180°または360°となれば良いので、
360°×NM/NC=180°または360°×NM/NC=360°
が成立すればよい。これらの関係式から
NM:NC=1:2、またはNM:NC=1:1
であれば、単相交流を効率よく取り出すことが出来る。
以上より、発電磁石131の極対数NMと発電コイル32の個数NCの比率を1:2または1:1とすることにより、隣接するコイルの位相差は180°または360°となり、ロスのなく単相交流を取り出すことが出来る。
〔実施例1の他の変形例〕
次に図6と図7を参照に、本発明に係る発電機の実施例1の他の変形例を説明する。図6は実施例1の他の変形例による発電機300の一部を切り開いた、発電機300の構成を示す斜視図である。図7(a)は実施例1の他の変形例による発電機300の積層構造を示す断面図、(b)は発電部290の詳細な構成を説明する断面図の部分拡大図である。
なお、実施例1の他の変形例では、発電部290の構成が実施例1の場合と異なるのみで、磁気ギア機構による回転増速部80は実施例1と同一である。
実施例1の他の変形例では、図6に示すように、発電部290は複数の発電コイル232と、複数の発電磁石31と、複数の後側発電磁石234を有する。
複数の発電磁石31は、実施例1の場合と同様に、高速ロータ16の発電コイル232に対向する面に略円環状に等間隔で並んで取付けられている。また、発電磁石31と同数の複数の後側発電磁石234がバックヨーク251の発電コイル232に対向する面に略円環状に等間隔で並んで取付けられており、バックヨーク251は高速ロータ16に固定されている。これにより複数の発電磁石31と複数の後側発電磁石234は一体となり回転する。
発電磁石31と後側発電磁石234はいずれも略円環状に取付けられており、発電磁石31の各々の磁石と後側発電磁石234の各々の磁石は円周方向に同一の位置となるように取付けられる。すなわち複数の発電磁石31と複数の後側発電磁石234は平面視にて見通すと同一位置となる。
発電磁石31と後側発電磁石234の間には、図6および図7(a),(b)に示すように、コイル基板235上に略円環状に等間隔で配置された発電コイル232が配置され、発電磁石31と発電コイル232、および後側発電磁石234と発電コイル232の間にはギャップが設けられている。また、発電コイル232をはさみ対向する発電磁石31の磁極と後側発電磁石234の磁極は、図7(b)に示すように、極性が互いに逆となるように配置される。すなわち、発電磁石31の発電コイル232に対向する面がN極であれば、同じ位置の後側発電磁石234の発電コイル232に対向する面はS極となる様に配置される。
発電磁石31と後側発電磁石234の極性は発電コイル232をはさみ磁性が逆となる様に配置されているので、例えば、ある発電磁石31のN極から出た磁束は発電コイル232を通過して対向する後側発電磁石234のS極に流れ込むので、磁束を無駄なく使用することができ効率の良い発電が可能となる。
この様に、実施例1の他の変形例では発電部の構造を大きく変形させたが、低速ロータの磁石の極対数、高速ロータの磁石の極対数およびステータのポールの数とは独立した極対数の発電磁石が高速ロータに取り付けられている構造としたので、磁気ギア機構による回転増速部を変更することなく、発電部の構造を変形させることが可能となった。
なお、実施例1の他の変形例では発電コイルの中央にヨークがない、いわゆるコアレスの構造を例示したが、発電コイル中央に軟磁性体のヨーク等を設けても良い。
以上の実施例1、および実施例1の変形例、および実施例1の他の変形例では、発電部の構成を種々に変更したが、本発明では発電磁石の極対数を、低速ロータ磁石の極対数、高速ロータ磁石の極対数およびステータのポールの数とは独立して設定できるようにしたので、回転増速部は全て同一のまま発電部の構成を変更することが出来る。
同様にして、本発明によれば、発電部の構成を同一としたまま回転増速部の構成を変更することも可能である。
以下、図8および図9を参照に、本発明に係る回転増速部を有する発電機の実施例2を詳細に説明する。
図8は本実施例の概略構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は中央断面図である。図9は本実施例に係る発電機の低速ロータ磁石312および高速ロータ磁石317の磁石配列とステータポール314の数、および発電磁石331の磁石配列と発電コイル332の数の関係を説明する図8(a)の平面図と平行な面での断面図である。
本実施例に係る発電機400は、図8に示すように、平面視が略円形の円柱形で、略円形の前側板351の略中央から入力軸352が突出しており、略円筒形状の各構成部品が入力軸352を中心に同心状に積層している。
図8(a)に略円形で示した前側板351は、図8(b)に示すように、略円板状の上面の中央に孔部を有し、孔部の周囲が下方に大きく突出する筒部351aとなっている。
筒部351aの内側には2つのすべり軸受け355,356が組み込まれ、2つのすべり軸受け355,356の内径部に入力軸352が挿通される。この2つのすべり軸受け355,356と抜け止め部材により、入力軸352が定位置にて回動可能に保持される。
前側板351の筒部351aの端部から下方に突出した入力軸352の下端側には有底円筒状の低速ロータ311が取付けられ、これにより入力軸352が回転すると低速ロータ311も回転する。
低速ロータ311の円筒形状外径部にはリングヨーク318が組み込まれ、複数の低速ロータ磁石312がリングヨーク318の内径面に取付けられる。
低速ロータ311の内周側には、複数のステータポール314と有底円筒状のポールホルダ313からなるステータ315が配される。ポールホルダ313の底部は中央に孔部を有し、この孔部が前側板351の筒部351aの先端部に取付けられ、これによりステータ315が前側板351に固定される。
ステータ315の内周側には、略円筒状の高速ロータ316が2つの玉軸受け357により回動可能に保持される。
高速ロータ316の外径面には複数の高速ロータ磁石317が取付けられ、内径面には複数の発電磁石331が取付けられる。
高速ロータ316の内周側には、略円筒状のコイルバックヨーク333が前側板351の筒部351aに回動不能に保持されている。コイルバックヨーク333は突出する複数のコイルヨーク333aを有し、複数のコイルヨーク333aには発電コイル332がそれぞれ取付けられ、それぞれの発電コイル332の図示しないコイルリードから起電力が取り出される。
次に図9を参照に、実施例2による発電機400の、より詳細な構造と動作を説明する。
本実施例による発電機400は、図9に示すように、最外周の低速ロータ311の内側に略円筒形状で軟磁性体のリングヨーク318が組み込まれ、リングヨーク318の内径面には複数の低速ロータ磁石312が、等間隔でわずかな隙間を有し円周方向に並んで配置されている。
低速ロータ磁石312は断面が略台形の磁石で、隣り合う磁石の着磁方向が互いに逆となるように配置される。すなわち、図9に白抜き矢印で示したように、ある低速ロータ磁石312において磁束が外径側から中心に向かう方向に着磁されていると、隣接する低速ロータ磁石312は磁束が中心から外径側に向かうように着磁されている。
なお、図9に示す実施例2では低速ロータ磁石312の個数は56個で28極対である。
低速ロータ311の内周側のステータ315は略円筒形状で非磁性体のポールホルダ313に、軟磁性体の複数のステータポール314が隙間を空けて等間隔で円周方向に並んで配置されている。
ステータポール314は断面が略四角形で、ステータポール314の外周側の面と低速ロータ磁石312の内周面の間にはわずかな隙間、すなわちギャップを有する。
ステータ315の内周側には略円筒形状で軟磁性体の高速ロータ316が配置される。高速ロータ316の外径面には複数の高速ロータ磁石317が隙間を空けて等間隔で円周方向に並んで配置され、高速ロータ磁石317の外周側の面とステータポール314の内周面の間にはギャップを有する。
高速ロータ磁石317は断面が部分リング状の磁石で、隣り合う磁石の着磁方向が互いに逆となるように配置される。すなわち、図9に白抜き矢印で示したように、ある高速ロータ磁石317において磁束が外径側から中心に向かう方向に着磁されていると、隣接する高速ロータ磁石317は磁束が中心から外径側に向かうように着磁されている。なお図9では、高速ロータ磁石317は円周方向に長いため、ひとつの高速ロータ磁石317中に着磁方向をあらわす白抜き矢印を複数個記入した。
また、図9に示す実施例2では高速ロータ磁石317の個数は6個で3極対である。
本実施例による発電機400の回転増速部380は、上記の低速ロータ磁石312を有する低速ロータ311、ステータポール314を有するステータ315、高速ロータ磁石317を有する高速ロータ316などより構成される。
ステータ315は発電機400中で固定されており、低速ロータ311は入力軸352とともに回転する。また、高速ロータ316は磁気ギアの動作原理により、低速ロータ311の回転速度の28/3=9.333倍に増速され、反対方向に回転する。
高速ロータ316の内径面には複数の発電磁石331が隙間を空けて等間隔で円周方向に並んで取付けられる。また、高速ロータ316の内周側には、軟磁性体で略円筒状のコイルバックヨーク333が回動不能に保持されており、コイルバックヨーク333には複数の発電コイル332が取付けられる。
上記の複数の発電磁石331と複数の発電コイル332は発電部を構成し、回転増速部380により増速されて回転する高速ロータ316に取付けられた発電磁石331により、発電コイル332に大きな起電力が発生する。
発電磁石331は断面が部分リング状の磁石で、隣り合う磁石の着磁方向が互いに逆となるように高速ロータ316の内径面に取付けられる。すなわち、図9に白抜き矢印で示したように、ある発電磁石331の磁束が外径側から中心に向かう方向に着磁されていると、隣接する発電磁石331は磁束が中心から外径側に向かうように着磁されている。
なお、図9に示す実施例2では発電磁石331の個数は16個で8極対である。
コイルバックヨーク333には円周方向に等間隔にならぶ複数のコイルヨーク333aが径方向外側に突出しており、複数のコイルヨーク333aには長円形に巻かれた発電コイル332がそれぞれ取付けられ、発電コイル332の図示しないコイルリードから起電力が取り出される。
なお、図9に示す実施例2ではコイルヨーク333aの数および発電コイル332の個数はいずれも12個である。
なお、コイルヨーク333aの外周側の面と発電磁石331の内周面の間にはギャップを有する。
図9に示す実施例2では、発電磁石331の極対数は磁気ギア機構の磁石数とは独立した8極対となっており、発電コイル332の個数は12個となっている。これより発電磁石331の極対数と発電コイル332の個数の比率は 8:12=2:3となっており、3つ目ごとの発電コイル332を接続することにより、3相交流発電に適した交流起電力が得られる。
上記の様に実施例2による発電機400では、図9に示すように、回転増速部380の各構成部品は、外径側から順に低速ロータ311、ステータ315、高速ロータ316が同心状に積層しており、発電部390を構成する発電磁石331および発電コイル332は最内周側の高速ロータ316の更に内周側に配置されている。
ところで、磁気ギア機構で最大伝達トルクを出来るだけ大きくするには、低速ロータ磁石、ステータポールおよび高速ロータ磁石はすべて、回転中心から極力離れた位置に配置することが有利である。このため、低速ロータ磁石、ステータポールおよび高速ロータ磁石は最大径部近傍に集中し、回転中心部近傍には磁気ギア機構の構成部品が配置されないことが多い。
本実施例による発電機400でも、上述の理由により、磁気ギア機構による回転増速部380を構成する低速ロータ磁石312を有する低速ロータ311、ステータポール314を有するステータ315、高速ロータ磁石317を有する高速ロータ316を最大径部近傍に配置した。一方、発電部390を構成する発電磁石331および発電コイル332は磁気ギア機構が使用していない高速ロータ316の更に内径側に配置し、発電部を組み込むことにより発電機の外形が大きくなることを回避した。
これにより、磁気ギア機構に発電部を組み込んだ回転増速部を有する発電機をコンパクトに製作することが可能となった。
また、本実施例による発電機400では、図8(b)に示すように、低速ロータ磁石312の軸方向長さの中心位置である低速ロータ磁石中心位置CL1と、高速ロータ磁石317の軸方向長さの中心位置である高速ロータ磁石中心位置CL2と、発電磁石331の軸方向長さの中心位置である発電磁石中心位置CL3を同一線上とした。
磁気ギア機構で最大伝達トルクを出来るだけ大きくするには低速ロータ磁石312と高速ロータ磁石317が対向する面積を出来るだけ大きくする方が有利である。本実施例による発電機400では低速ロータ磁石中心位置CL1と高速ロータ磁石中心位置CL2を同一線上としたので、磁石サイズが同一であれば低速ロータ磁石312と高速ロータ磁石317が対向する面積が最大となり、最大伝達トルクがより大きい磁気ギア機構が実現できる。
また、本実施例による発電機400では低速ロータ磁石中心位置CL1と高速ロータ磁石中心位置CL2および発電磁石中心位置CL3を同一線上とした。これにより低速ロータ磁石312、高速ロータ磁石317または発電磁石331の、何れかの磁石の一方端のみが他の磁石の端部から飛び出すことが回避できるので、3つの磁石全体の軸方向長さを最小限とすることが出来、発電機400を小型とすることが出来る。
ところで、本実施例による発電機400の構造では、理想的には複数の低速ロータ磁石312および複数の高速ロータ磁石317にはラジアル方向の力が均等に働き、低速ロータ311および高速ロータ316にはラジアル方向の力は生じず、2つのすべり軸受け355,356および2つの玉軸受け357にはラジアル方向の荷重は発生しない。
しかしながら、低速ロータ磁石312、複数のステータポール314および複数の高速ロータ磁石317の外径寸法、半径位置、磁力または磁気特性にばらつきがあると、各々の低速ロータ磁石312または高速ロータ磁石317に働くラジアル方向の力に差が生じ、これにより低速ロータ311または高速ロータ316にラジアル方向の側圧が生じる虞がある。
本実施例による発電機400では、図8(b)に示すように、低速ロータ磁石中心位置CL1が低速ロータ311を回動可能に保持する2つのすべり軸受け355,356の間隔の間となるように配置し、高速ロータ磁石中心位置CL2が高速ロータ316を回動可能に保持する2つの玉軸受け357の間隔の間となるように配置した。
これにより、低速ロータ311または高速ロータ316にラジアル方向の側圧が生じた場合でも、2つのすべり軸受け355,356および2つの玉軸受け357によりラジアル方向の側圧を分担して受けられるので安定した動作が実現できる。また、低速ロータ311および高速ロータ316が傾斜することを回避できるので、発電機の信頼性をより高めることが出来る。
以上、実施例1および実施例2により本発明の詳細を記載したが、本発明は実施例1または実施例2に記載された事項に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
本発明により、回転増速部を有しながら小型で、増速比を変更しても発電機の構成変更の必要がない発電機の提供が可能となる。
11 低速ロータ
12 低速ロータ磁石
13 ポールホルダ
14 ステータポール
15 ステータ
16 高速ロータ
17 高速ロータ磁石
31 発電磁石
32 発電コイル
51 前側板
52 入力軸
53 回転中心軸
54 低速ロータ収容部
55 軸受け
56 軸受け
59 後側板
59a コイルヨーク
59b 中央孔
80 回転増速部
90 発電部
100 発電機
131 発電磁石
190 発電部
232 発電コイル
234 後側発電磁石
235 コイル基板
251 バックヨーク
290 発電部
300 発電機
311 低速ロータ
312 低速ロータ磁石
313 ポールホルダ
314 ステータポール
315 ステータ
316 高速ロータ
317 高速ロータ磁石
318 リングヨーク
331 発電磁石
332 発電コイル
333 コイルバックヨーク
333a コイルヨーク
351 前側板
351a 筒部
352 入力軸
355 すべり軸受け
356 すべり軸受け
357 玉軸受け
380 回転増速部
390 発電部
400 発電機
901 発電機本体
902 水車ランナ
903 増速機構
904 発電機
911 水車
912 低速ロータ
913 高速ロータ
914 固定部
915 コイル
CL1 低速ロータ磁石中心位置
CL2 高速ロータ磁石中心位置
CL1 発電磁石中心位置

Claims (3)

  1. 外部から回転駆動されて発電する発電機であって、
    前記発電機は、回転駆動を増速する回転増速部と、回転により起電する発電部を有し、
    複数の極対の磁石を有する低速ロータと、前記低速ロータの前記磁石の極対より少ない極対の磁石を有する高速ロータと、
    前記低速ロータと前記高速ロータの中間に配置され、複数の軟磁性体のポールを有するステータを有し、該ステータを構成するポールホルダを非磁性材とし、
    前記低速ロータの前記磁石の極対数をNL、前記高速ロータの前記磁石の極対数をNH、前記ステータの前記ポールの数をNSとしたとき、NS=NL±NHの関係を有し、
    前記低速ロータが回転すると、前記高速ロータが前記低速ロータのNL/NH倍で増速回転する磁気ギア機構による前記回転増速部と、
    前記回転増速部により増速回転させられる発電磁石と、前記発電磁石の回転により起電する発電コイルよりなる前記発電部を有する、回転増速部を有する発電機において、
    前記高速ロータと前記低速ロータはそれぞれ2個以上の軸受けで回転自在に保持され、前記高速ロータの形状は、図1(b)に示すように断面L字状で、
    軸と平行に伸びる延在部の両端側に軸受けが配置され、該延在部の一方が、発電部を構成する環状に配置された突状のコイルヨークの内径側に入り込んでおり、
    前記低速ロータの前記磁石の極対数、前記高速ロータの前記磁石の極対数および前記ステータの前記ポールの数とは独立した極対数の前記発電磁石が前記高速ロータに取り付けられていることを特徴とする、
    回転増速部を有するアキシャルギャップ構造の発電機。
  2. 前記発電磁石の極対数をNMとし、前記発電コイルの個数をNCとしたとき、前記発電磁石の極対数に対する前記発電コイルの個数の比率が、
    NM:NC=2:3、またはNM:NC=1:3、またはNM:NC=4:3
    であることを特徴とする、請求項1に記載された回転増速部を有する発電機。
  3. 前記発電磁石の極対数をNMとし、前記発電コイルの個数をNCとしたとき、前記発電磁石の極対数に対する前記発電コイルの個数の比率が、
    NM:NC=1:1、またはNM:NC=1:2
    であることを特徴とする、請求項1に記載された回転増速部を有する発電機。
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