JP6952998B2 - 日射量推定システム及び日射量推定方法 - Google Patents
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また、特許文献1、2に開示されているシステムは、太陽光発電量の導出を、雲による太陽光の遮蔽率に基づいて行っており、従来では、雲が太陽光による日射を低下させる要因として扱われている例が多く見られる。
しかしながら、本願の発明者らの研究を進める中で、雲と太陽の位置関係によっては雲の存在が日射量を上昇させる要因になりうることが判明した。よって、雲が日射量を低減させる存在として一律に扱われると、日射量の正確な推算が難しくなるおそれがあることが分かった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、日射量を正確に推算できる日射量推定システム及び日射量推定方法を提供することを目的とする。
当該日射量推定システム及び当該日射量推算方法では、上記で述べた、太陽の周辺の、太陽光の反射により強く光る雲を含みうる領域を、「日射量算出領域」として設定し、日射量算出領域の明るさと日射量の実測データとに基づく当該明るさの日射量に対する寄与度を用いて、日射量を推算することができる。
図1、図2(A)に示すように、本発明の一実施の形態に係る日射量推定システム10は、空を撮像する撮像手段11と、撮像手段11によって撮像された画像内に太陽S及び太陽Sの周囲を含む日射量算出領域Mを設定し、日射量算出領域M内の明るさを求める画像解析手段12と、画像解析手段12が求めた日射量算出領域M内の明るさを基に日射量を推算する演算手段13とを備えて、日射量を推定するシステムである。以下、詳細に説明する。
情報処理端末14はCPU、メモリ、ハードウエアデバイスを具備し、画像解析手段12及び演算手段13は主としてCPUとハードウエアに格納されたソフトウエアとによって構成されている。撮像手段11と情報処理端末14の接続はインターネットを介した接続でもよいし、ローカル接続であってもよい。
本発明の発明者らが研究を進める中で、強い明るさの雲が太陽Sの周りに存在する際の日射量が、太陽Sの周りに雲が存在しない快晴等の場合に比べ大きくなる状況が多数見られた。この状況について、得られたその他のデータと共に詳細に分析すると、太陽光の反射により強く光る雲が太陽の周辺に存在する場合に、快晴時に比べ日射量が上昇することが判明した。
そこで、この結果を踏まえ、日射量の正確な推定を可能とするために、日射を明るさで捉えながら、上記直達日射と共に上記散乱日射の寄与を加味し、太陽を中心として、太陽の周辺の、太陽光の反射により強く光る雲の部分を含みうる範囲を上記の日射量算出領域Mとして設定した。
また、本実施の形態では日射量算出領域Mが楕円形状であるがこれに限定されず、太陽の周辺の、太陽光の反射により強く光る雲の部分を含みうる形状であればよく、例えば、日射量算出領域Mは、真円形状であってもよいし、楕円形状又は真円形状に該当しない円状の形状であってもよい。
中央領域Cの大きさは、研究結果から、画像内の太陽Sの大きさの1.0〜1.2倍程度を想定しているが、太陽Sを含みうる範囲に設定されればこれには限定されず、例えば、先に述べたように閾値を設けることによっても可能である。更に、中央領域Cの大きさは、季節や時間帯に応じて調整するようにしてもよい。
様々な天候、雲の状況において、既存の日射計による日射量の実測と日射量算出領域Mの撮像を同時に行い、日射量算出領域M内の明るさに対する日射量の実測データを取得、蓄積する。そして、これらの予め、取得したデータに対して近似計算等の統計的な処理を行い、当該明るさと日射量との関係を求め、上記寄与度として導出する。当該寄与度は記憶手段15に格納される。なお、近似計算としては、例えば、最小二乗法や、疑似逆行列等の一般的な近似法を用いることができる。
関数Fを導出することによって、演算手段13は、画像解析手段12が求めた日射量算出領域M内の明るさを基に、関数Fを用いて日射量を推算することができる。
そして、画像解析手段12は、撮像手段11が撮像した画像内に、日射量算出領域Mを中央領域Cと周辺領域Rとで区別し、中央領域C内の各ピクセルの明るさを合算して中央領域C内の明るさを求め、周辺領域R内の各ピクセルの明るさを合算して周辺領域R内の明るさを求める。
次に、演算手段13は、画像解析手段12が求めた中央領域C内の明るさ及び周辺領域R内の明るさを基に、関数G、Hを用いて(中央領域C内の明るさ、周辺領域R内の明るさ及び寄与度A、Bに基づいて)日射量を推算する。
この点、画像解析手段12は、日射量算出領域M内で明るさが予め定めた所定値(例えば、明度200〜253の範囲の一の値)未満の部分を暗部Dとして特定し、暗部Dを日射量算出領域M内の暗部D以外の部分とは異なる扱いにして、日射量算出領域M内の明るさを求めるようにしてもよい。
なお、図3(A)、(B)、図4(A)、(B)、図5(A)、(B)、図6(A)、(B)に示す各画像において、破線は中央領域の外縁を示し、実線は周辺領域の外縁を示す。
1)2月6日の11時6分、11時10分、12時5分及び12時8分の、周辺領域に所定以上の明るさの雲が存在する日射量の計測値(日射計による計測値)と、快晴時の2月3日の同時刻での値とを比較すると、2月6日の日射量の計測値の方が大きいことが分かる。2月6日の画像では、太陽を薄く覆う雲が存在するものの、本結果から、周辺領域に所定以上の明るさの雲の存在が日射量の増加に寄与していることが確認できる。
2)上記の、周辺領域に所定以上の明るさの雲が存在する場合において、上記計測値と推算値を比較すると、わずかに差の大きいものが見られるものの、全体としては同程度の値を示し、日射量の推定精度を有していることを確認した。
これは、同日の11時15分の中央領域内の一部、及び12時24分の中央領域及び周辺領域内のそれぞれの一部に所定未満の明るさの暗部となる暗雲が存在するのに対し、同日の他の時刻の中央領域内または周辺領域内には、暗部となる暗雲が存在しない、あるいは、暗雲が存在するものの、その明るさが所定以上の大きさであることによると考えられる。これに対して、2月6日の日射量推定システムによる日射量の推算値についても、上記計測値と同様に、11時15分の値及び12時24分の値が他の時刻の値に比べ大幅に小さくなり、暗雲の影響についても推定可能であることを確認した。
例えば、1つの情報処理端末に複数の撮像手段を接続し、1つの情報処理端末で各撮像手段の設置場所の日射量を推算するようにしてもよい。
Claims (8)
- 空を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像内に太陽及び太陽の周囲を含む日射量算出領域を設定し、太陽の直達日射と太陽周辺の雲の散乱日射による前記日射量算出領域内の明るさを求める画像解析手段と、
前記日射量算出領域内の明るさと日射量の実測値との関係から予め導出された、日射量に対する前記日射量算出領域内の明るさの寄与度を格納した記憶手段と、
前記画像解析手段が求めた前記日射量算出領域内の明るさ、及び、前記寄与度に基づいて、日射量を推算する演算手段とを備えることを特徴とする日射量推定システム。 - 請求項1記載の日射量推定システムにおいて、前記画像解析手段は、前記日射量算出領域を、太陽を含む中央領域と前記中央領域の周りの周辺領域とに区分し、前記中央領域内の明るさ及び前記周辺領域内の明るさを求め、
前記記憶手段は、前記寄与度として、日射量に対する前記中央領域内の明るさの寄与度A、及び、日射量に対する前記周辺領域内の明るさの寄与度Bを格納し、
前記演算手段は、前記中央領域内の明るさ、前記周辺領域内の明るさ及び前記寄与度A、Bに基づいて日射量を推算することを特徴とする日射量推定システム。 - 請求項1又は2記載の日射量推定システムにおいて、前記画像解析手段は、前記日射量算出領域内で明るさが所定値未満の部分を暗部として特定し、前記暗部を前記日射量算出領域内の前記暗部以外の部分とは異なる扱いにして、前記日射量算出領域内の明るさを求めることを特徴とする日射量推定システム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の日射量推定システムにおいて、前記撮像手段によって連続的あるいは間欠的に撮像された画像から将来の前記日射量算出領域内の雲の配置を予測して、前記日射量算出領域を収めた将来の画像を導出する予測手段を更に備え、
前記画像解析手段は、前記予測手段が導出した前記将来の画像から将来の前記日射量算出領域内の明るさを求め、
前記演算手段は、前記将来の前記日射量算出領域内の明るさ、及び、前記寄与度に基づいて、将来の日射量を推算することを特徴とする日射量推定システム。 - 空を撮像した画像内に太陽及び太陽の周囲を含む日射量算出領域を設定し、画像解析により太陽の直達日射と太陽周辺の雲の散乱日射による前記日射量算出領域内の明るさを求める工程s1と、
前記日射量算出領域内の明るさと日射量の実測値との関係から予め導出された、日射量に対する前記日射量算出領域内の明るさの寄与度、及び、前記工程s1で求めた前記日射量算出領域内の明るさに基づいて、日射量を推算する工程s2とを有することを特徴とする日射量推定方法。 - 請求項5記載の日射量推定方法において、前記工程s1で、前記日射量算出領域を、太陽を含む中央領域と前記中央領域の周りの周辺領域とに区分し、該中央領域内の明るさ及び該周辺領域内の明るさを求め、
前記寄与度には、日射量に対する前記中央領域内の明るさの寄与度A、及び、日射量に対する前記周辺領域内の明るさの寄与度Bが存在し、
前記工程s2で、前記寄与度A、B、前記中央領域内の明るさ及び前記周辺領域内の明るさに基づいて日射量を推算することを特徴とする日射量推定方法。 - 請求項5又は6記載の日射量推定方法において、前記工程s1で、前記日射量算出領域内で明るさが所定値未満の部分を暗部として特定し、
前記工程s2で、前記暗部を前記日射量算出領域内の前記暗部以外の部分とは異なる扱いにして、前記日射量算出領域内の明るさを求めることを特徴とする日射量推定方法。 - 請求項5〜7のいずれか1項に記載の日射量推定方法において、連続的あるいは間欠的に空を撮像した画像から将来の前記日射量算出領域内の雲の配置を予測して、該日射量算出領域を収めた将来の画像を導出し、該将来の画像から画像解析により将来の前記日射量算出領域内の明るさを求める工程s1’を前記工程s1の代わりに有し、
前記寄与度、及び、前記将来の前記日射量算出領域内の明るさに基づいて、将来の日射量を推算する工程s2’を前記工程s2の代わりに有することを特徴とする日射量推定方法。
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