JP6948667B1 - 通気防水靴 - Google Patents

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Abstract

【課題】特許第6777675号の通気防水靴は、甲皮だけに通気防水効果を付与していたという問題があった。これを、本底にまで拡大させ、甲皮及び本底に通気防水効果を付与し、完全通気防水靴とする。【解決手段】ポリウレタン系弾性繊維等を原糸として布帛を形成し、前記布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない直径0.0004μm〜600μmの範囲の微孔を多数穿孔した厚さ0.2〜3.0mmの通気防水材を製造し、前記通気防水材を所定の甲皮表材及び甲皮裏材の間に挿入し、前記通気防水材を前記甲皮表材及び甲皮裏材の両方に固着することによって、甲皮表材及び甲皮裏材から構成された甲皮全体に通気防水加工を施し、靴の通気防水効果が施された甲皮の中底に対応する下方にポンプ効果がある所定の厚さのメッシュ部材を配設し、さらに、前記メッシュ部材と本底の間に靴底用通気防水材を挿入し、前記中底、メッシュ部材、靴底用通気防水材及び本底を接合一体化する。【選択図】図1

Description

本発明は、通気防水靴に関する。より詳細には、甲皮のみならず靴底にも通気防水機能を持たせた、いわば「完全通気防水靴」に関する。
本論に入る前に、靴の部品の名称に関して説明しておく。靴の場合、安全靴及び靴のサイズに関してはJIS規格がある。然しながら、通常履く、いわゆる「靴」を構成する各部品の用語(名称)、素材、縫合、縫製等製法、物性等に関してのJIS規格は、未だにない。靴底を構成する各部品の用語も統一がとれておらず、製靴メーカー、職人等によって異なる場合があり、特に、用語とその対応英語との間に混乱がある。本明細書では、靴底に関して、地面又は床面に接する面を有する底を「本底」と定義する。本底と、直接或いは間接的に接して固着され、本底と一体化される底材を「中底」と定義する。従って、「本底」と「中底」は、分離不可能である。尚、製靴メーカーや他の特許明細書等には「本底」を英語で「アウトソール」又は「アウターソール」と呼称していることもあるが、本明細書の「本底」は、「アウトソール」又は「アウターソール」をも包含する。また、「中底」を「ミッドソール(mid-sole)」と表記することもあるが、本明細書の「中底」は、「ミッドソール」をも包含する。又、「中底」の表面に着脱可能に載置される部材があるが、本明細書では、それを「インソ−ル」と呼称する。「インソール」は、従来から「敷き皮」あるいは「中敷き」と呼称されていた底材である。「敷き皮」あるいは「中敷き」と呼称されていた底材は、使用者が、雑貨店や靴屋で購入して、自由に裁断して、中底の表面に載置して、歩行時のクッション効果、寸法調整、汗取り等に使用するものである。尚、本明細書にて使用する用語「甲皮」は「アッパー」と同義である。
本発明は、いわゆる、広義での靴、即ち、足を包み、足を保護し、歩行、走行等各種運動を補助或いは向上させる履物を対象とし、そのデザイン、使用場所、用途、男女別、年齢別等に制約されない。また、材料に関しては、靴底は、天然、又は(EVAを含む)合成ゴム、ウレタンスポンジ等、甲皮は、天然皮革又は人工皮革、或いは各種繊維から製造された編織布又はそれらの複合材等を対象とする。従って、本発明では、形状、用途、デザイン、素材等に限定されることなく包括的に「靴」と総称する。
靴の主要部材に甲皮がある。甲皮は、足の甲全体を包み込む部品で、単一の素材で製造されているものではなく、靴の外装材としての「甲皮表材」、及び直接、又は靴下等各種衣料品を介して、靴の内部で足の甲と接触する「甲皮裏材」から成る少なくとも2枚の素材から構成されている。甲皮は、甲皮表材及び甲皮裏材になる原反を一緒にして、裁断パターンに従って打ち抜き型で打ち抜き、縫製して全体として1枚の甲皮に形成される。
甲皮表材或いは甲皮裏材になる材料には、各種天然皮革、人工皮革、織物・編物・不織布等各種繊維製品、或いは天然または合成ゴム、或いは各種合成樹脂の成形品から、製造しようとする靴の用途、或いは要求される性能等に応じて適宜選択される。特に、近年、ポリエステル繊維等の合成繊維を経編(タテアミ)によって3次元構造に編んだ、いわゆるダブルラッセル、或いはナイロンメッシュ等が、特にスポーツシューズ等の甲皮表材及び甲皮裏材の両方に使用されてきている。上述した甲皮表材或いは甲皮裏材は、防水処理或いは撥水処理されていることが望ましい。
従来から靴は、主として、衝撃緩衝特性、安定性、防滑性、質量軽減等諸機能を付加する開発が行われてきた。その中で重要な開発課題の一つとして、靴内環境の改良がある。靴内環境改良とは、主として、靴の内部で発生した水蒸気を靴外に放出し、いわゆる「蒸れ」を防止又は軽減し、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する靴、即ち、通気防水靴が各種提案されている。
従来の通気防水靴の主流は、甲皮表材、及び直接又は靴下等を介して足に間接的に接触する甲皮裏材の少なくとも2層から成る甲皮の間に、靴内で発生した水蒸気を靴の外部に放散させ、雨その他が発生源の水滴が靴内に浸透するのを防止する「透湿・防水フィルム」を間挿させるタイプである。尚、用語「通気防水」は「透湿・防水」と同義である。
用語「フィルム」の厚さに関しては、学術的にも、また業界の規格でも、確定された定義はなく、「フィルム」と「シート」との明確な相違もない。いずれにしても、当業界では、100〜200μmの範囲を境界として、それよりも薄い膜体を「フィルム」、厚い膜体を「シート」と呼称しているので、本発明でもその慣例に従うものとする。
いわゆる「通気防水」機能を持たせた構造の靴の先行技術文献としては、下記の特許文献が例示される。
特許第3474468号公報 特公平06−044884号公報 特開平10−033203号公報 特開2002−291501号公報 特開2004−290653号公報 特許第6777675号公報
特許文献1に記載された発明は、収納部材4の周縁部8の周縁に立設された収納枠2で形成されたほぼ楕円形をした凹陥部(図4)の中に、靴底方向に向かってメッシュシート5及び防水性通気シート6を積層させた靴底用通気部材9(図2)、又は収納部材4の周縁部8の周縁に立設された収納枠2で形成されたほぼ楕円形をした凹陥部の中に、靴底方向に向かってメッシュシート5、防水性通気シート6、及びクッションシート(7)を積層させた靴底用通気部材9(図3)を、中底(13)と外底(15)との間に嵌挿することを特徴としている([図2]及び[図3])。また、特許文献1に記載された発明では、甲皮は、袋物甲皮である(段落[0027])。いずれにしても、特許文献1に記載された靴底用通気部材は、3個又は4個の部品から構成された複雑な立体構造である。また、「防水性通気シート6は、多孔性の合成樹脂でなり、具体的には、合成樹脂を焼結したもの、または、合成樹脂の不織布に合成樹脂を含侵させたものである(段落[0009]第1〜第4行)。さらに、特許文献1に記載された発明の目的は、専ら靴の底材の通気防水効果を企図したもので、甲皮の通気防水効果を企図したものではない。
特許文献2に記載された発明は、甲皮(1)の中底(3)内に通気性の良いパッド(4)を挿入することを発明の要件としている([請求項1]、第1図他。特許文献2に記載された発明で使用される通気性パッドには、「ポリアミド繊維織物(ダイユー(株)製、商品名「フローリアン」、厚み3mm〜5mm)或いは必要に応じてポリウレタンやゴム等の連続気泡のスポンジとの積層体が用いられる。」(特許文献第(2)頁、第4欄第23行〜第26行。)特許文献2に記載された発明では、シャンクブロック(7)は、その鍔(17)及び空室(8)を有する蓋(19)付の本体(18)がそれぞれ不踏部及び踵部に埋設されていることを発明の必須の構成要件としている(請求項1、他)。
特許文献3に記載された発明の換気性中底(11)は、概略、上面(1)と下面(2)とに透孔(3)を有する靴中底袋体(4)と、当該中底袋体(4)とに挿入されている通気性弾性部材(5)とよりなり、上記通気性弾性部材(5)は、前方部材(51)と後方部材(52)とより構成されており、当該後方部材(52)は、荷重を加えることにより、前方に向けて空気流を噴出しうる空気ポンプ(6)を特徴とする(段落[0007]、図面等)。そして、空気ポンプ(6)は、「偏平状の袋状体(61)と、当該袋状体(61)に挿入されている通気性弾性体(62)と、上記袋状体(61)の前方部に、上記袋状体(61)の内部と外部とを連通するように設けられているチューブ状体(63)とからなることを特徴とする。(請求項3,図4,図5他)。
特許文献4に記載された発明は、それぞれ、特定の立体構造(通気溝構造)を持たせたミッドソ−ルとヒール部材との組み合わせから構成され、歩行時の体重移動による加重動作に応じて、靴底に靴内の空気の還流機能と、歩行時の衝撃吸収効果を同時にもたせた靴底に関する。
特許文献5に記載された発明は、いわゆるプッシュプル方式のエア流れ構造を利用した通気靴で、第1エアポンプ本体1と第2エアポンプ本体2の2個のエアポンプが並置され、通気防水エアフィルター7、第1エア吸入管8、第1エア排出管9、第2エア排出管10、第2エア吸入管11、吸気用逆止弁12、排気用逆止弁13等々複雑な作動機構を有する多くの部品が靴内の踵部底部に配設されている(請求項1、及び図面の記載)。
ところで、前記特許文献6の特許第6777675号は、本願の出願人の保有する特許である。特許第6777675号の書誌的事項及び履歴は下記の通りである。
[特許番号] 特許第6777675号
[登録日] 令和2年10月12日(2020.10.12)
[特許公報発行日] 令和2年10月28日(2020.10.28)
[出願番号] 特願2018−75734(P2018−75734)
[出願日] 平成30年3月22日(2018.3.22)
[公開番号] 特開2019−166295号(P2019−166295A)
[公開日] 令和1年10月3日(2019.10.3)
[特許権者] 広島化成株式会社
[発明者] 舟橋裕一及び桑田恒洋
[発明の名称] 通気防水靴を製造する方法
特許第6777675号の[特許請求の範囲]には、請求項1〜3の3項の請求項が記載されている。即ち、請求項1は「ポリウレタン系弾性繊維、アクリロニトリルとブタジエンとのコポリマー繊維、ビスフェノールA由来のポリカーボネートとポリエステルグリコールカーボネート由来ブロックコポリマー、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルからのブロックコポリマー繊維、ポリウレタンとポリアミドの複合紡糸による芯鞘型複合繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリエステルとポリブチレンテレフタレートのコンジュゲートヤーン及びポリメチレンテレフタレートから成る群から選択された弾性繊維、又はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びナイロンのフィラメント糸から成る群から選択された非弾性繊維に撚りをかけた後、加熱して固定し、撚りを戻すことによってクリンプを形成して伸縮性、弾力性、或いは嵩高性を付与した非弾性繊維を原糸として布帛を形成すること;
前記布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない直径0.0004μm〜600μmの範囲の微孔を多数穿孔した厚さ0.2〜3.0mmの通気防水材を製造すること;及び
前記通気防水材を、所定の甲皮表材及び甲皮裏材の間に挿入し、前記通気防水材を、前記甲皮表材及び甲皮裏材の両方に固着することを含む通気防水靴を製造する方法。」である。
また、請求項2は「前記甲皮表材の厚さは0.2〜5.0mmの範囲、前記甲皮裏材の厚さは0.2〜5.0mmの範囲である請求項1に記載された通気防水靴を製造する方法。」である。
さらに、請求項3は「前記原糸は、原糸の段階で撥水加工を施すか、或いは布帛に編織した段階で撥水加工が施されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載された通気防水靴を製造する方法。」である。
前述したように、特許文献1〜5に記載された発明では、いずれも、特殊な機能及び構造を有する付帯部品、たとえば、特許文献1に記載された発明では「メッシュシート5及び防水性通気シート6を積層させた靴底用通気部材9」等を使用することを発明の必須の構成要素としている。普通、雨の日では、高級な革靴を履くのを控える人でも、「防水機能がある」と商品標示してあると、敢えて使用する消費者心理が生まれる。即ち、通気防水靴の使用環境は、非通気防水靴に比べて厳しく、部品等の劣化等も早いものと想定される。靴の部品、或いは、構成材料等は、一旦不具合が発生したり、或いは劣化すると、家電製品のように簡単に部品交換したり修理或いは補修することが、ほぼ不可能であり、結果として、靴自体を廃棄することになる。そのような観点からも、特殊な機能及び構造を有する付帯部品を使用する特許文献1〜5に記載された発明には改良の余地があった。
従って、発明が解決しようとする第1の課題は、靴の通気防水効果を付与するにあたって、特許文献1〜5に記載された発明のように、特殊な機能及び構造を有する付帯部品を使用すること極力避けることである。また、特許文献6に記載された発明は、請求項1等に記載された特定の通気防水材を、所定の甲皮表材及び甲皮裏材の間に挿入し、前記通気防水材を、前記甲皮表材及び甲皮裏材の両方に固着して、専ら靴の甲皮全体に通気防水効果を付与することを目的とするものである。但し、特許文献6に記載された発明は、甲皮のみならず、靴底にも通気防水性能を付与するべく研究開発を展開する必要があった。
従って、発明が解決すべき第2の課題は、特許文献6に記載された発明を改良して、特定の通気防水材を甲皮のみならず、靴底にも適用して、甲皮及び靴底の両方に通気防水性能を付与することである。特許文献6に記載された発明は、平成30年3月22日に出願され、令和1年10月3日に公開され、令和2年10月12日に特許登録された。特許登録された後も発明者は、特許第6777675号公報に記載された特定の通気防水材を甲皮のみならず、靴底にも適用して、甲皮及び靴底の両方に通気防水性能を付与する方法を鋭意研究してきた。その結果、完成したのが本発明である。
ところで、前記特許文献1〜5に記載された従来技術を含め、従来市場に出回っている通気防水靴には、主として、下記のタイプ1及びタイプ2の2つのタイプがある。
タイプ1:甲皮全体の表材と裏材の間に透湿防水フィルムをライニング、いわゆる「裏張り」又は「内張り」をしている。従って、その断面は、甲皮表材、透湿防水フィルム及び甲皮裏材が一体となって袋を形成した状態になっている。一方、底に関しては、袋状の透湿防水フィルムがあるので、特段の防水加工を施していない。
タイプ2:甲皮に関してはタイプ1と同じく、甲皮全体の表材と裏材の間に透湿防水フィルムをライニング、いわゆる「裏張り」又は「内張り」をしている。従って、その断面は、タイプ1と同じように、甲皮表材、透湿防水フィルム及び甲皮裏材が一体となって袋を形成した状態になっている。一方、底には通気用の孔を設け、孔の部分には通気防水フィルムを貼って防水機能を付与している。
タイプ1及び2の欠点を例示すると下記の通りである。
a.靴底の通気性はあるが、靴内全面を、ライニングとしての透湿
防水フィルムが袋状に覆っているため、通気はほとんど無い。わずかに透湿があるレベル。
b.靴内の蒸れは、透湿防水フィルムのレベルにより大きく左右される。
c.透湿防水フィルムをライニング用に加工するためには、設備、
費用が多く掛かり、結果として全体の製造コストを引き上げる。
d.ライニングとしての透湿防水フィルムは、踏付部、踵部に圧力が掛かり、インソールと擦れるため、穴が開きやすい。
e.通気効果を優先すると、水が漏れる。透湿防水フィルムが破れやすい。
f.底に通気孔のある透湿防水タイプの場合は、底の構造が複雑になる。
前記課題は、下記のいずれかの項に記載された手段により解決することができる。
1.特許第6777675号の[特許請求の範囲]に記載されている請求項1に記載された、ポリウレタン系弾性繊維、アクリロニトリルとブタジエンとのコポリマー繊維、ビスフェノールA由来のポリカーボネートとポリエステルグリコールカーボネート由来ブロックコポリマー、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルからの ブロックコポリマー繊維、ポリウレタンとポリアミドの複合紡糸による芯鞘型複合繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリエステルとポリブチレンテレフタレートのコンジュゲートヤーン及びポリメチレンテレフタレートから成る群から選択された弾性繊維、又はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びナイロンのフィラメント糸から成る群から選択された非弾性繊維に撚りをかけた後、加熱して固定し、撚りを戻すことによってクリンプを形成して伸縮性、弾力性、或いは嵩高性を付与した非弾性繊維を原糸として布帛を形成し、前記布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない直径0.0004μm〜600μmの範囲の微孔を多数穿孔した厚さ0.2〜3.0mmの通気防水材を製造し、前記通気防水材を所定の甲皮表材及び甲皮裏材の間に挿入し、前記通気防水材を前記甲皮表材及び甲皮裏材の両方に固着することによって、甲皮表材及び甲皮裏材から構成された甲皮全体に通気防水加工を施し、靴の前記通気防水効果が施された甲皮の中底に対応する下方にポンプ効果がある所定の厚さのメッシュ部材を配設し、さらに、前記メッシュ部材と本底(アウトソール)の間に、防水加工を施した所定の厚さのメッシュを、防水加工を施したポリウレタン(スパンデックス)弾性フィラメント織物で挟持し、3層を接合一体化した積層体である靴底用通気防水材を挿入し、前記中底、メッシュ部材、靴底用通気防水材及び本底(アウトソール)を接合一体化する。
2.前記1項に記載した課題を解決するための手段において、本底(アウトソール)の接地面から前記靴底用通気防水材に向けて通気孔を貫穿する。
3.前記1又は2項に記載した課題を解決するための手段において、本底(アウトソール)の左右の側面から前記靴底用通気防水材の下面に向けて通気経路を形成する。
4.前記1乃至項のいずれか1項に記載した課題を解決するための手段において、前記メッシュ部材に接して中底を設ける。
5.前記項に記載した課題を解決するための手段において、前記中底の縦方向に向けて少なくとも1個の通気孔を貫穿する。
本発明により、下記に例示した効果を奏効する。
1.本発明では、靴底に入れる通気防水材は、従来技術で使用されている透湿防水フィルムではなく、特許第6777675号公報の[特許請求の範囲]に記載されている通気防水材である。この通気防水材を所定の甲皮表材及び甲皮裏材の間に挿入し、前記通気防水材を、前記甲皮表材及び甲皮裏材の両方に固着することによって甲皮自体に通気防水加工を施している。従って、甲皮に透湿防水フィルムをライニング加工(裏張り)して、甲皮全体を袋状に形成する従来技術に比べて、通気性が改良され、通気性も長時間保持される。また、甲皮に透湿防水フィルムをライニング加工(裏張り)する従来技術に比べて材料コスト及び製造コスト等が低減する効果がある。
2.靴の横断面図において、中底の下方において、靴の前記通気防水効果が施された甲皮の中底に対応する下方に防水(撥水)加工を施した所定の厚さのポンプ効果があるメッシュ部材を配設してあるので、歩行運動により前記メッシュ部材にポンプ効果が発生し、靴内の湿潤空気を効率よく靴外へ排出する効果が奏効される。
3.前記1項に記載した課題を解決するための手段において、本底(アウトソール)の接地面から前記靴底用通気防水材に向けて通気孔を貫穿してあるので、靴内の湿潤空気を地面に向けて垂直方向に排気する。
4.前記1又は2項に記載した課題を解決するための手段において、本底(アウトソール)の左右の側面から前記靴底用通気防水材の下面に向けて通気経路を形成してあるので、靴内の湿潤空気を靴の左右横方向に排気する。
5.前記1乃至項のいずれか1項に記載した課題を解決するための手段において、前記メッシュ部材に接して中底を設ける。
6.前記項に記載した課題を解決するための手段において、前記中底の縦方向に向けて少なくとも1個の通気孔を貫穿してあるので、靴内に発生した湿潤空気の滞留を防ぎ、靴外への排気を促進する。
本発明の1態様による靴の横断面図である。 従来技術の1態様を示す断面図である。 本発明の靴で路面を踏み付けた場合の通気作用のメカニズムを示す説明図である。 本発明の靴で路面を蹴上げた場合の通気作用のメカニズムを示す説明図である。 本発明と、前述した代表的な従来技術の靴内湿度の時間毎の変化を示す比較試験結果を示すグラフである。
以下、添付した図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明の実施例1による靴の横断面図である。
図1において、1は、通気防水効果を施した甲皮である。通気防水効果を施した甲皮は、主として、甲皮表材2及び甲皮裏材3から構成されている。甲皮表材2及び甲皮裏材3は、それぞれ、各種天然皮革、人工皮革、織物・編物・不織布等各種繊維製品、或いは天然または合成ゴム、或いは各種合成樹脂の成形品から、製造しようとする靴の用途、或いは、要求される性能等に応じて適宜選択される。特に、近年、ポリエステル繊維等の合成繊維を経編(タテアミ)によって3次元構造に編んだ、いわゆるダブルラッセル、或いはナイロンメッシュ等が、特にスポーツシューズ等の甲皮表材及び甲皮裏材の両方に使用されてきている。上述した甲皮表材2或いは甲皮裏材3は、防水処理或いは撥水処理されていることが望ましい。4は、通気防水材である。通気防水材4は、本願の出願人が特許権者たる特許第6777675号に開示されたものを使用する。即ち、通気防水材4は、ポリウレタン系弾性繊維、アクリロニトリルとブタジエンとのコポリマー繊維、ビスフェノールA由来のポリカーボネートとポリエステルグリコールカーボネート由来ブロックコポリマー、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルからの ブロックコポリマー繊維、ポリウレタンとポリアミドの複合紡糸による芯鞘型複合繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリエステルとポリブチレンテレフタレートのコンジュゲートヤーン及びポリメチレンテレフタレートから成る群から選択された弾性繊維、又はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びナイロンのフィラメント糸から成る群から選択された非弾性繊維に撚りをかけた後、加熱して固定し、撚りを戻すことによってクリンプを形成して伸縮性、弾力性、或いは嵩高性を付与した非弾性繊維を原糸として布帛を形成し、前記布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない直径0.0004μm〜600μmの範囲の微孔を多数穿孔して、厚さ0.2〜3.0mmの通気防水材を製造する。5は中底で、その素材は、従来から使用されているものでよい。6は、中底5の厚さ方向、即ち後述する本底8に向けて設けられた通気孔である。図1では、通気孔6の個数は3個であるが、通気孔6の個数は特段に限定されない。但し、通気孔を設けると、中底が幾分弱化されるので、その個数は、通気効率と中底5の強度との兼ね合いで決定される。7はメッシュ部材である。メッシュ部材7は、通気防水効果がある甲皮1を、中底5の裏面(本底8に向いた面)の周縁部において、一部不連続とし、その不連続部分が形成する空間に挿入される。前記メッシュ部材は特段に新規なものではなく、従来から枕、ベッド等に使用されていて、空気の層を多く含む厚さが約5〜約15mmの厚手のタイプのものでよい。メッシュ部材7の、歩行運動による圧縮、膨張を反復することによる効果は後述する。8は、本底である。本底8の材料は従来から本底として使用されているものの中から適宜に選択される。9は、本底の厚さ方向に貫通して形成された通気孔である。図1では、通気孔9は、本底8の中央に1個であるが、その個数及び位置は特段に限定されない。10、11は、本底8の両側面に形成された通気経路である。図1では、通気経路10、11は、本底8の側面にそれぞれ1個であるが、その個数は特段に限定されない。本底8の中央部に形成された通気孔9と通気経路10、11は、それぞれ、連通して靴内に発生した湿潤な空気を靴外に排出する、いわば排気孔として機能する。12は、靴底用通気防水材である。靴底用通気防水材12は、防水加工を施した所定の厚さのメッシュを、防水加工を施したポリウレタン弾性糸(通称スパンデックス)弾性フィラメント織物で挟持し、3層を接合一体化した積層体とする。防水加工を施したポリウレタン弾性糸(通称スパンデックス)は、特許第6777675号公報に記載されている。この防水加工を施したポリウレタン弾性糸(通称スパンデックス)で製造した素材は、水分子は通過させないが、水蒸気及び空気は通過させるという特徴をもっている。このようして製造した中底5、メッシュ部材7、靴底用通気防水材12及び本底8を接合して一体化する。13はインソールである。インソール13は、前記中底5の表面に着脱可能に載置される靴材で、専ら、寸法調整、クッション作用、汗等の吸収等に使用される。
[本発明の通気防水靴の構造上の特徴]
理解し易いように、本発明の構造上の特徴を箇条書きにすると下記の通りである。
イ.甲皮は、甲皮表材、特許第6777675号に開示された通気防水材、及び甲皮裏材の3個の部材が、この順序で接合一体化された積層構成体である
ロ.中底には、少なくとも1個の通気孔が、中底の厚さ方向に貫穿されている。
ハ.甲皮表材、通気防水材、及び甲皮裏材の3個の部材から構成された積層構成体である通気防水材は、中底の下方の接地面側において不連続となり、不連続箇所に、所定の厚さのクッション効果があるメッシュ部材が配置されている。
ニ.メッシュ部材と本底との間には、防水加工を施した所定の厚さのメッシュを、防水加工を施したポリウレタン弾性糸(通称スパンデックス)弾性フィラメント織物で挟持し、3層を接合一体化した積層体である靴底用通気防水材が挿入されている。
ホ.本底の両側面には、少なくとも1個の通気経路が形成されている。
[本発明の靴の通気作用のメカニズム]
以下、図3及び4を参照して、本発明の通気防水靴の通気作用のメカニズムを説明する。
図3及び図4において、靴の通気作用のメカニズムの説明に必要な構成部品または通気孔等にのみ、図1と同じ符号をつけた。
1.路面を踏み付けたときのメカニズム
図3は、歩行運動により路面を踏み付け中底が圧縮されたときの靴の断面図である。
靴を履くと、靴内には湿潤空気が滞留している。着脱可能なインソール13が挿入されている場合は、インソール13を介して歩行運動による圧力でメッシュ部材7が潰れると同時に、靴内の湿潤空気が、靴底用通気防水材12を介して、本底8の厚さ方向に形成された通気孔9、及び本底8の側面に形成された通気経路10、11から靴の外へ排出される。但し、靴内の湿潤空気の一部は、中底5の通気孔6から靴内へ戻る。
2.路面を蹴上げ、中底への圧縮力が解放されたときのメカニズム
図4は、歩行運動により路面を蹴上げ、中底への圧縮力が解放されたときの靴の横断面図である。
歩行運動により路面を蹴上げ、中底5への圧縮が解放されると、圧縮され変形していたメッシュ部材7が元の形状に復元しようとする。その際、靴内の湿潤空気を吸収する。メッシュ部材7が元の形状に復元しようとするとき、本底8の厚さ方向に形成された通気孔9、及び本底8の側面に形成された通気経路10、11等を介して、靴の外部から靴の内部に入り込む空気の量は極少量である。この理由は、靴底用通気防水材12が、中心となる防水加工を施した所定の厚さのメッシュを、防水加工を施したポリウレタン弾性糸(通称スパンデックス)弾性フィラメント織物で挟持し、3層を接合一体化した3層構造だからである。
[参考例]
以下、図2を参照して本発明と従来技術との構成の相違点を説明する。図2は、従来技術の透湿防水靴の代表例1の横断面図である。図2において、図1と同じ部材には同じ番号を付してあるので、それぞれの説明は割愛する。図2において、14は、透湿防水フィルムである。従来技術の透湿防水靴の代表例1は、甲皮1の表材2の裏面全体を、透湿防水フィルム14が、あたかもライニング(lining)(*1)加工したように構成されている。従って、靴の開口部(履き口)以外はあたかも袋状になっている。一方、中底5に関しては、甲皮の裏にライニングとしての透湿防水のフィルムがあるため、底自体には、通気孔6等の加工はしてあるが、防水に関しては、特に何の加工もしていない。
また、図示はしていないが、従来技術の透湿防水靴の代表例2は、従来技術の透湿防水靴の代表例2と同じように、甲皮1の表材2の裏面全体を、透湿防水フィルム14が、あたかもライニング(lining)加工したように構成されている。一方、靴底8に関しては、1個以上の通気孔9を形成し、通気孔9の部分に通気防水フィルムを貼り付けて防水タイプにしている。
上述した従来技術1及び2の欠点を下記に例示する。
イ.靴底の通気性はあるが、透湿防水フィルムがライニングとして靴内部全体を袋状に覆っているため、通気はほとんど無い。わずかに透湿があるレベルである。
ロ.靴底に透湿フィルム、防水フィルムを使用すると、浸水は防止できるが、通気が殆ど無く、靴の内部に湿潤空気が充満する。
ハ.靴内の蒸れは、透湿防水フィルムのレベルにより大きく左右される。
ニ.一方、通気性を重視すると、靴内への浸水の防止効果が低下する。
ホ.透湿防水フィルムをライニング(袋状)に加工するためには、設備、費用が多く掛かる。
ヘ.ライニングとしての透湿防水フィルムは、歩行運動時に、踏付部、踵部に圧力が掛かり、インソールとの擦れにより、穴が開きやすい。
ト.通気を優先すると、水が漏れる。透湿防水フィルムが破れやすい。
チ.底に通気孔がある透湿防水タイプの場合は、底の構造が複雑になる。
*1)ライニングは、製靴用語として適切な用語がないので、JISハンドブック(31)(繊維)のh)副資材関連番号8101に記載されている「裏地」の対応英語「lining」をカタカナ表記して転用したものである。
[比較試験例]
[目的]本発明の通気防水底仕様靴と従来技術の底開口透湿防水仕様靴の靴内湿度の対時間変化を比較する。
[使用したサンプル]
サンプル1:本発明の通気防水底仕様靴
サンプル2:本底の厚さ方向に通気孔が開口してあって、前記開口が透湿防水フィルムで保護されている使用靴
[試験手順]
5名のモニター(モニター1〜5)を採用した。
モニター1〜5のそれぞれの個人的データは下記に表示する通りである。使用状態の「静止状態」とは椅子に腰かけた状態である。

[表]
Figure 0006948667
適正に測定するために、温度25℃に維持した測定室を用意した。モニター1〜5には、病的な発汗障害や体調不良等がないか専門医師により確認してもらった。その結果、モニター1〜5の全員が正常であることを確認した。検査の1時間前から、モニター1〜5には、発汗に影響を与える飲食物の摂取、喫煙等を制限し、測定室に待機させた。モニター1〜5のそれぞれの左足にサンプル1を、右足にサンプル2を装着させた。装着すると同時に、足の前甲外側箇所(足と甲皮裏材)の間に温湿度センサーを配置し、靴内の経過時間(分)に対する靴内湿度変化(%)を測定した。
得た結果を図5に示した。図5において、各グラフの上蘭に記載したモニター1〜5は、それぞれ、モニター1〜5の結果である。また、各グラフの「実線」はサンプル1、「点線」はサンプル2の結果である。
[実験結果]
それぞれのグラフにより、下記の事実が実証される。
モニター1:サンプル1(実線)の場合は、測定開始から10分間で、31%から52%に達し、その後60分間まで僅かに上下動があるものの、52%〜55%の間を推移した。他方、サンプル2(点線)の場合は、測定開始から20分間で約60%に達し、その後40分間まで僅かに上下動があるものの、約60%を維持し、60分間で最高62%に達した。サンプル1(実線)とサンプル2(点線)の最大差は10%であった。
モニター2:サンプル1(実線)の場合は、測定開始から5分間で、18%から27%に達し、その後15分間まで27%を維持し、その後60分間まで27%を維持した、他方、サンプル2(点線)の場合は、測定開始から20分間で18%から42%に達し、その後60分間まで僅かに上下動があるものの、60分間で最高の61%に達した。サンプル1(実線)とサンプル2(点線)の最大差は24%であった。
モニター3:サンプル1(実線)の場合は、測定開始から約2分間で、20%から27%に達し、その後40分間まで、幾分の上下動はあるが、27%を維持し、その後60分間まで27%〜30%超に達した。他方、サンプル2(点線)の場合は、測定開始から10分間で20%から40%に達し、その後60分間まで徐々に上昇しながら、60分間で50%に達した。サンプル1(実線)とサンプル2(点線)の最大差は20%であった。
モニター4:サンプル1(実線)の場合は、測定開始から10分間で、30%から55%に達し、その後15分間で60%に達し約2分間維持し、20分間から50分間までに変化しながら45%まで低下した後、60分間で50%に達した。他方、サンプル2(点線)の場合は、測定開始から30分間で70%に達し、その後徐々に上昇しながら60分間で72%に達した。サンプル1(実線)とサンプル2(点線)の最大差は26%であった。
モニター5:サンプル1(実線)の場合は、測定開始から約7分間で27%から45%に達し、その後27分間まで上下動を繰り返し45%に達し、その後60分間で、幾分の上下動はあるがほぼ直線状態で47%に達した。他方、サンプル2(点線)の場合は、測定開始から20分間で55%に達し、その後上下動あるものの、60分間で59%に達した。サンプル1(実線)とサンプル2(点線)の最大差は11%であった。
尚、グラフの上蘭に「まとめ(5名分)」と表示があるグラフは、モニター1〜5、それぞれの実験で得たデータの時間に対する靴内湿度の相加平均である。
[結果まとめ1]
前述した比較試験では、モニター1〜5に対する試験環境等は全て同じ条件である。モニター1〜5には、病的な発汗障害や体調不良等がないことは、事前に専門医師により確認済である。従って、同じ本発明の通気防水靴を履いたモニター1〜5間で、測定開示時点から60分間での靴内湿度の推移状態が異なる理由は、モニター1〜5の、それぞれの個体差、或いは検査という、日常に靴を履いているときとは異なる緊張感等の心因的な原因と推断される。従って、本発明の靴を履いて行ったモニター1〜5のデータは信頼性がある。
また、モニター1〜5の右足に従来の仕様の透湿防水靴を履いて行って得たデータも、前述した理由と同じ理由で信頼性がある。
本発明の通気防水底仕様靴を履いたモニター1〜5の場合、靴内湿度は、測定開始0分〜60分間の間で、時間毎に幾分の上下動はあるが、18%(モニター2)〜53%(モニター1)の間で推移した。一方、従来技術の底開口透湿防水仕様靴の場合は、靴内湿度は、測定開始0分〜60分間の間で、時間毎に幾分の上下動はあるが、20%(モニター2)〜72%(モニター4)の間で推移した。モニター1〜5における、個別の「本発明の通気防水靴」と「従来の仕様の透湿防水靴」との靴内湿度の最大差は26%である。
[結果まとめ2]
標題「まとめ(5名分)」と表示があるグラフは、モニター1〜5、それぞれの実験で得たデータの時間に対する靴内湿度の相加平均を示したデータである。
[まとめ(5名分)」のグラフによれば、本発明の通気防水底仕様靴を履いた場合の靴内湿度を表す「実線」は、測定開始0分〜60分間の間で、時間毎に幾分の上下動はあるが、25%〜41%で推移した。一方、従来技術の底開口透湿防水仕様靴の場合の靴内湿度を表す「点線」は、測定開始0分〜60分間の間で、時間毎に幾分の上下動はあるが、25%〜60%の間で推移した。本発明の通気防水底仕様靴を履いた場合の靴内湿度と、従来技術の底開口透湿防水仕様靴の場合の靴内湿度との最大差は18%であった。
[結論]
以上、本発明の通気防水底仕様靴を履いた場合の靴内湿度と、従来技術の底開口透湿防水仕様靴を履いた場合の靴内湿度の比較試験例の結果から、本発明の通気防水底仕様靴は、従来技術の底開口透湿防水仕様靴に比べて、靴を履いている時間靴内で発生した汗による湿潤空気の滞留時間が格段に短いことが実証された。
以上、詳述したように、本発明は、特許第6777675号の[特許請求の範囲]に記載されている請求項1に記載された、ポリウレタン系弾性繊維、アクリロニトリルとブタジエンとのコポリマー繊維、ビスフェノールA由来のポリカーボネートとポリエステルグリコールカーボネート由来ブロックコポリマー、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルからの ブロックコポリマー繊維、ポリウレタンとポリアミドの複合紡糸による芯鞘型複合繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリエステルとポリブチレンテレフタレートのコンジュゲートヤーン及びポリメチレンテレフタレートから成る群から選択された弾性繊維、又はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びナイロンのフィラメント糸から成る群から選択された非弾性繊維に撚りをかけた後、加熱して固定し、撚りを戻すことによってクリンプを形成して伸縮性、弾力性、或いは嵩高性を付与した非弾性繊維を原糸として布帛を形成し、前記布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない直径0.0004μm〜600μmの範囲の微孔を多数穿孔して製造されて厚さ0.2〜3.0mmの通気防水材を、所定の甲皮表材及び甲皮裏材の間に挿入し、前記通気防水材を前記甲皮表材及び甲皮裏材の両方に固着することによって、甲皮表材及び甲皮裏材から構成された甲皮全体に通気防水性能を施し、さらに、靴の前記通気防水効果が施された甲皮の中底に対応する下方にポンプ効果がある所定の厚さのメッシュ部材を配設し、さらに、前記メッシュ部材と本底(アウトソール)の間に新規な靴底用通気防水材を挿入し、前記中底、メッシュ部材、靴底用通気防水材及び本底(アウトソール)を接合一体化して靴底にも通気防水性能を施して、靴全体に防水性能を付与したので、下記に例示する産業上の利用可能性がある。
(1)甲皮と靴底(本底)の全体に通気防水性能を施したので、完全通気防水靴としての用途が拡大する。
(2)特許第6777675号公報に記載されている通気防水材の用途が、甲皮から靴底(本底)にまで拡大される。
(3)靴の前記通気防水効果が施された甲皮の中底に対応する下方にポンプ効果がある所定の厚さのメッシュ部材を配設するので、仕様材料が拡大され製靴業界の仕様材料が拡大される。
(4)底用通気防水材を、防水加工を施した所定の厚さのメッシュを、防水加工を施したポリウレタン(スパンデックス)弾性フィラメント織物で挟持し、3層を接合一体化した積層体とすることによって、新たな独立した製靴材料として商取引の対象になる。
1 甲皮
2 甲皮表材
3 甲皮裏材
4 通気防水材
5 中底
6 通気孔
7 メッシュ部材
8 本底
9 通気孔
10 通気経路
11 通気経路
12 靴底用通気防水材
13 インソール
14 透湿防水フィルム

Claims (5)

  1. ポリウレタン系弾性繊維、アクリロニトリルとブタジエンとのコポリマー繊維、ビスフェノールA由来のポリカーボネートとポリエステルグリコールカーボネート由来ブロックコポリマー、高軟化点ポリエステルと低軟化点ポリエステルからの ブロックコポリマー繊維、ポリウレタンとポリアミドの複合紡糸による芯鞘型複合繊維、ポリエーテル・エステル系弾性繊維、ポリエステルとポリブチレンテレフタレートのコンジュゲートヤーン及びポリメチレンテレフタレートから成る群から選択された弾性繊維、又はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びナイロンのフィラメント糸から成る群から選択された非弾性繊維に撚りをかけた後、加熱して固定し、撚りを戻すことによってクリンプを形成して伸縮性、弾力性、或いは嵩高性を付与した非弾性繊維を原糸として布帛を形成し、前記布帛の厚さ方向の全面に、水蒸気は通過させ、水滴は通過させない直径0.0004μm〜600μmの範囲の微孔を多数穿孔した厚さ0.2〜3.0mmの通気防水材を製造し、前記通気防水材を所定の甲皮表材及び甲皮裏材の間に挿入し、前記通気防水材を前記甲皮表材及び甲皮裏材の両方に固着することによって、甲皮表材及び甲皮裏材から構成された甲皮全体に通気防水加工を施し、靴の前記通気防水効果が施された甲皮の中底に対応する下方にポンプ効果がある所定の厚さのメッシュ部材を配設し、さらに、前記メッシュ部材と本底の間に、防水加工を施した所定の厚さのメッシュを、防水加工を施したポリウレタン系弾性フィラメント織物で挟持し3層を接合一体化した積層体である靴底用通気防水材を挿入し、前記中底、メッシュ部材、靴底用通気防水材及び本底を接合一体化した通気防水靴。
  2. 前記本底の接地面から前記靴底用通気防水材に向けて通気孔を貫穿したことを特徴とする請求項1に記載した通気防水靴。
  3. 前記本底の左右の側面から前記靴底用通気防水材の下面に向けて通気経路を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載した通気防水靴。
  4. 前記メッシュ部材に接して中底を設けることを特徴とする前記1乃至3のいずれか1項に記載した通気防水靴。
  5. 前記項において、前記中底の縦方向に向けて少なくとも1個の通気孔を貫穿したことを特徴とする通気防水靴。
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