JP6945109B2 - 球形農作物の体積測定方法とそれを用いた体積測定装置及び「す上がり」の検査装置 - Google Patents

球形農作物の体積測定方法とそれを用いた体積測定装置及び「す上がり」の検査装置 Download PDF

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本発明は、球形農作物の体積をその外観を撮影した画像を用いて計算する方法とそれを用いた体積測定装置及び当該装置によって計測された体積から求められた比重に基づいて「す上がり」の有無を判定する検査装置に係り、特に、体積の演算や「す上がり」の検査を高い精度で効率よく行うことが可能な球形農作物の体積測定方法とそれを用いた体積測定装置及び「す上がり」の検査装置に関する。
収穫された柑橘類は選果の過程において、複数の階級(5L〜3Sなど)に振り分けられた後、Mなら1玉100g、Sなら1玉80gというように予め設定された単価重量を用いて階級ごとに出来高重量が計算される。現在、柑橘類の階級は、カメラによって上方から撮影された画像から割り出された寸法に基づいて決定されているが、同じ階級に属するものであっても実際には重量にばらつきがあるため、正確な出来高重量は得られない。レーザ光線やプローブを備えた3次元計測機を用いて測定対象物の形状を測定すれば、1玉ごとの正確な体積が分かるため、出来高重量の計算精度が向上する。しかしながら、この方法は、装置の製造コストが高いことに加え、測定対象物の形状測定に時間がかかるという欠点がある。このような理由から、近年、柑橘類などのような球形農作物の体積を短時間で高精度に測定する方法とそれを用いた安価な測定装置が求められている。
柑橘類では、果実の水分が少なくなりバサバサの状態になる「す上がり」と呼ばれる現象が起こる場合がある。「す上がり」が進行すると、商品価値が低下するため、出荷前に「す上がり」の有無を検査する技術が柑橘類の生産農家から強く求められている。柑橘類に近赤外線を照射して糖酸度を計測する市販の装置を用いれば、「す上がり」の有無を検査することはできるが、この装置は高価である。そのため、最近では、柑橘類について「す上がり」の有無を安価に検査できる技術に対する要望も高まっている。
メロンなどの果実を自動で選別する技術については、例えば、特許文献1に、「選果装置」という名称で、体積と重量の測定結果から算出した比重に基づいて選別を行う装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された選果装置は、第1カメラによって直横方向からメロンを撮影した画像から求めた計測高さと、第2カメラによって直上方からメロンを撮影した画像から求めた平均直径を球の体積を求める公式に適用して、メロンの体積を求める画像処理装置と、この画像処理装置によって計算された体積と、ロードセルによって検出された重量に基づいてメロンの比重を計算する比重演算手段と、この比重演算手段によって算出された比重に基づいて排出すべき果実を選定して排出する選別手段を備えた構造となっている。
このような構造によれば、果実の選別作業を効率よく行うことができる。
また、特許文献2には、「非破壊品質判定装置」という名称で、トマト、いちご、りんご、梨等の青果物を破壊することなく、その内部における空洞の有無を連続して測定できる装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された非破壊品質判定装置は、青果物の種類や品種毎に予め試験を行うことにより、照射手段から青果物に照射された赤外線中の特定の波長成分の吸収量と青果物の比重との関係を求めてマップ化し、このマップに、分光器から取得した電気信号(スペクトル)に応じて得られる特定の波長成分の吸収量を当てはめることで、青果物の比重を予測すること、及び、このようにして求めた比重を、予め求めておいた比重と空洞率の関係に適用して青果物の空洞率の大きさを算定し、青果物の内部における空洞の有無を判定することを特徴としている。
このように構成された非破壊品質判定装置によれば、糖度と酸度の測定に加えて、青果物の内部における空洞の有無の判定を非破壊で容易に行うことができる。
特許文献3には、「西瓜の外観検査による空洞果判定方法と装置」という名称で、西瓜の外観の特徴を捉えて、その特徴に基づいて内部に鬆(す)が存在するか否かを判定する方法とそれに用いられる装置に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された西瓜の外観検査による空洞果判定方法は、西瓜のつるの付け根部または花落ち部の2値画像において、上記つるの付け根部または花落ち部が円形の場合は西瓜の内部に鬆がないと判断し、上記つるの付け根部または花落ち部がリングの場合は、そのリングの最大内径が所定の大きさ以上のときに西瓜の内部に鬆があると判断するというものである。
このような西瓜の外観検査による空洞果判定方法によれば、西瓜の外観に何ら影響を与えることなく、迅速に鬆の有無を判定することができる。
特許文献4には、「スイカの外観検査装置」という名称で、高速でスイカの空洞の有無を判別できる小規模な装置に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示されたスイカの外観検査装置は、テレビカメラによって横方向からスイカを撮影した画像において、頂部に平坦部が認められる場合に当該スイカに空洞があると判断することを特徴としている。
このスイカの外観検査装置では、画像解析によってスイカの頂部が平坦であるか否かを検出し、その結果に基づいてスイカの内部に空洞が存在するか否かを判定する構成となっていることから、空洞の有無を高速に検出できることができる。
特開平2−251282号公報 特開2011−112575号公報 特開2000−111486号公報 特開平11−160045号公報
特許文献1に開示された発明では、球の体積を求める公式を果実に適用しているが、完全な球をなす果実は存在しないため、体積の計算値に誤差が生じる。そして、蜜柑などの柑橘類のように完全な球からはほど遠い形状をした果実については、その誤差が極めて大きくなるため、体積の計算値から求めた比重に基づいて選別作業を行うことは困難であるものと考えられる。
特許文献2に開示された発明は、装置が大掛かりで複雑な構造をしているため、製造コストが高いという課題があった。また、明細書には、トマトを例に挙げて、予め調べておいた照射手段から照射された赤外線中の特定の波長成分の吸収量と比重との関係から比重を予測することが記載されているが、トマト以外の青果物に関するデータがないため、他の青果物については同様の手法を適用できない可能性がある。
特許文献3及び特許文献4に開示された発明は、西瓜の外観の特徴に基づくものであるため、西瓜以外の球形農作物については適用することができないものと考えられる。また、これらの発明では、西瓜の空洞果を判定することはできるものの、西瓜の体積を計算する構成とはなっていないため、例えば、階級ごとに出来高重量を計算するという目的には用いることができない。
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたものであり、外観を撮影した画像に基づいて体積を高い精度で求めることが可能な球形農作物の体積測定方法とそれを用いた体積測定装置及び「す上り」の検査精度が高く、しかも安価に製造することが可能な「す上がり」の検査装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る球形農作物の体積測定方法は、3次元直交座標系(平面視して水平方向をY軸、垂直方向をX軸、X軸とY軸を含むXY平面に垂直な軸をZ軸とする)の中央に球形農作物を配置した場合に、YZ平面における側面画像を2値化して第1の画像を生成するステップと、第1の画像のY軸方向における球形農作物を表す画素の数をZ軸の座標毎に合計して第1の合計値をそれぞれ求めるステップと、第1の合計値と第1の画像における1画素の幅(1画素のY軸方向の長さ)の積を計算してZ軸の座標毎にXY平面における球形農作物の直径を求めるステップと、直径に基づいてXY平面上にZ軸の座標毎に形成される円の面積を求めるステップと、円の面積と第1の画像における1画素の高さ(1画素のZ軸方向の長さ)の積(第1の積)をZ軸の座標毎に計算し、第1の積を合計して球形農作物の体積を求めるステップと、を備えていることを特徴とするものである。
第1の発明は、XY平面における球形農作物の断面の形状が円であると仮定して、この円の面積を側面画像から読み取った直径を用いて算出するものであるため、XY平面における球形農作物の断面の形状が円に近いほど、体積の演算精度が高くなるという作用を有する。また、上記円の面積をZ軸方向に積算することで体積が求められるため、第1の発明においては、球の公式を用いて体積が算出される場合とは異なり、球形農作物を側面から見た形状が円に近くない場合でも体積の演算精度が低下しないという作用を有する。
また、第2の発明は、第1の発明において、XY平面における球形農作物の上面画像を2値化して第2の画像を生成するステップと、第2の画像のX軸方向における球形農作物を表す画素の数をY軸の座標毎に合計して第2の合計値を求めるとともに、第2の画像のY軸方向における球形農作物を表す画素の数をX軸の座標毎に合計して第3の合計値を求めるステップと、第3の合計値の最大値に対する第2の合計値の最大値の比を計算して第1の補正係数を求めるステップと、円の面積と第1の補正係数の積を計算してXY平面上に形成される楕円の面積を求めるステップと、楕円の面積と第1の画像における1画素の高さの積(第2の積)をZ軸の座標毎に計算し、第2の積を合計して球形農作物の体積を求めるステップと、を備えていることを特徴とするものである。
第2の発明は、XY平面における球形農作物の断面の形状が楕円であると仮定して、この楕円の面積を側面画像から読み取った直径を用いて算出した円の面積に、上面画像におけるX軸方向の長さの最大値に対するY軸方向の長さの最大値の比を掛けて算出するものであるため、第1の発明の作用に加え、XY平面における球形農作物の断面の形状が楕円に近いほど、第1の発明を用いた場合よりも体積の演算精度が高くなるという作用を有する。
第3の発明は、第1の発明において、球形農作物のXY平面における上面画像を2値化して第2の画像を生成するステップと、第2の画像のY軸方向における球形農作物を表す画素の数をX軸の座標に合計して第3の合計値を求めるステップと、第1の合計値の最大値と第3の合計値の最大値を求めるステップと、第1の合計値の最大値の自乗と円周率の積を4で割って第1の中間補正値を求めるステップと、第3の合計値の最大値に対する第1の合計値の最大値の比を計算して第2の補正係数を求めるステップと、第3の合計値をX軸の座標に計算し、前記第3の合計値を合計した値と第2の補正係数の自乗の積を計算して第2の中間補正値を求めるステップと、第1の中間補正値に対する第2の中間補正値の比を計算して第3の補正係数を求めるステップと、円の面積と第3の補正係数と第1の画像における1画素の高さの積(第3の積)をZ軸の座標毎に計算し、第3の積を合計して球形農作物の体積を求めるステップと、を備えていることを特徴とするものである。
第3の発明は、第1の発明において求められる球形農作物のXY平面における断面の面積に対し、上面画像におけるY軸方向の幅の最大値が側面画像におけるY軸方向の幅の最大値と一致し、かつ、上面画像における1画素のY軸方向の長さ及びX軸方向の長さが側面画像における1画素のY軸方向の長さ及びZ軸方向の長さにそれぞれ一致するような修正を加えるものであるため、第1の発明の作用に加え、側面画像が撮影される方向とX軸方向が平行でなく、両者にずれが生じている場合や第1のカメラと第2のカメラから球形農作物までの各距離が異なる場合に、第1の発明を用いた場合よりも体積の演算精度が高くなるという作用を有する。
第4の発明の体積測定装置は、3次元直交座標系(平面視して水平方向をY軸、垂直方向をX軸、X軸とY軸を含むXY平面に垂直な軸をZ軸とする)の中央に配置された球形農作物の側方に設置された第1のカメラと、この第1のカメラによって撮影された球形農作物のYZ平面における側面画像の信号を受信する制御部と、この制御部によって動作を制御される演算部及び表示部と、側面画像の1画素の高さ(1画素のZ軸方向の長さ)が格納されたメモリ部と、を備え、演算部は、第1の発明に係る球形農作物の体積測定方法を用いて、制御部から送られた側面画像とメモリ部から読み出された1画素の高さに基づいて球形農作物の体積を求める演算を行い、表示部は、制御部の指示に従って演算部による演算結果を表示することを特徴とするものである。
このような構造の体積測定装置においては、球形農作物の体積を測定する際に第1の発明と同様の作用が発揮される。
第5の発明は、第4の発明において、球形農作物の上方に設置された第2のカメラを備え、制御部は、第2のカメラによって撮影されたXY平面における球形農作物の上面画像の信号を受信し、メモリ部には、上面画像の1画素の幅(1画素の前記Y軸方向の長さ)が格納されており、演算部は、第1の発明の球形農作物の体積測定方法の代わりに、第2の発明又は第3の発明の球形農作物の体積測定方法を用いて、制御部から送られた側面画像及び上面画像に基づいて球形農作物の体積を求める演算を行うことを特徴とするものである。
このような構造の体積測定装置においては、球形農作物の体積を測定する際に第2の発明又は第3の発明と同様の作用が発揮される。
第6の発明は、第4の発明又は第5の発明に係る体積測定装置と、球形農作物の重量を測定し、その重量測定値を体積測定装置の演算部に送る重量計と、を備え、体積測定装置のメモリ部には、球形農作物の比重の閾値が格納されており、体積測定装置の演算部は、球形農作物の体積に関する演算値と重量測定値から球形農作物の比重を計算するとともに、この比重の計算値とメモリ部から読み出された閾値に基づいて球形農作物について「す上がり」の有無を判定することを特徴とするものである。
このような構造の「す上がり」の検査装置においては、球形農作物の「す上がり」の検査をする際に第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明と同様の作用が発揮される。
第1の発明によれば、球形農作物のXY平面における断面が円に近い形状をしている場合、側面から見た形状が円に近いか否かに関わらず、側面を撮影した画像に基づいて球形農作物の体積を高い精度で求めることが可能である。
第2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、球形農作物のXY平面における断面が楕円に近い形状をしている場合でも、側面と上面を撮影した画像に基づいて球形農作物の体積を第1の発明の場合よりも高い精度で求めることができるという効果を奏する。
第3の発明によれば、第1の発明の効果に加え、側面画像が撮影される方向とX軸方向が平行でなく、両者にずれが生じている場合や第1のカメラと第2のカメラから球形農作物までの各距離が異なる場合であっても、側面と上面を撮影した画像に基づいて球形農作物の体積を第1の発明の場合よりも高い精度で求めることができるという効果を奏する。
第4の発明によれば、球形農作物の体積を測定する際に第1の発明と同様の効果が発揮される。
第5の発明によれば、球形農作物の体積を測定する際に第2の発明又は第3の発明と同様の効果が発揮される。
第6の発明によれば、球形農作物の「す上がり」の検査をする際に第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明と同様の効果が発揮される。
(a)及び(b)はそれぞれ本発明の体積測定装置の外観の一例を示した斜視図及びその構成を示したブロック図である。 (a)は2値化された蜜柑の側面画像を示した図であり、(b)は同図(a)に白く表された領域内のY軸方向の画素数をZ軸の座標毎に示したヒストグラムであり、(c)は図1(b)に示したパーソナルコンピュータの演算部において第1の演算方法を用いて行われる演算の流れを示したフローチャートである。 (a)は2値化された蜜柑の上面画像を示した図であり、(b)及び(c)はそれぞれ同図(a)に白く表された領域内のY軸方向及びX軸方向の画素数をそれぞれX軸の座標毎及びY軸の座標毎に示したヒストグラムである。 図1(b)に示したパーソナルコンピュータの演算部において第2の演算方法を用いて行われる演算の流れを示したフローチャートである。 図1(b)に示したパーソナルコンピュータの演算部において第3の演算方法を用いて行われる演算の流れを示したフローチャートである。 本発明の体積測定装置を用いてメロンの体積を計測した結果を示したグラフである。 (a)及び(b)は本発明の体積測定装置を用いて蜜柑の体積を計測した結果を示したグラフである。 (a)及び(b)はそれぞれ本発明の「す上がり」の検査装置の外観の一例を示した図及びその構成を示したブロック図である。 (a)及び(b)はそれぞれ「す上がり」が無い蜜柑と有る蜜柑の断面を示した写真である。 本発明の「す上がり」の検査装置を用いて蜜柑の比重を求めた結果を示したグラフである。
本実施例では、パーソナルコンピュータ上で所定のアプリケーションを起動させることによって、体積測定装置や「す上がり」の検査装置としての機能が発揮されるとの説明を行っているが、これに限定されるものではなく、本発明は、後述の制御装置やディスプレイ等を備えた専用機であって、本体の電源を投入すると、体積測定装置や「す上がり」の検査装置の機能が直ちに発揮される構造であっても良く、必ずしもパーソナルコンピュータを構成要素として含んでいなくとも良い。
図1(a)及び図1(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る体積測定装置の実施例の外観斜視図及びその構成を示したブロック図である。
図1(a)に示すように、体積測定装置1は、コンベア5などによって搬送される蜜柑などの球形農作物Sの体積を測定する装置であり、3次元直交座標系(平面視して水平方向をY軸、垂直方向をX軸、X軸とY軸を含むXY平面に垂直な軸をZ軸とする)の中央に配置された球形農作物Sの上方と側方にそれぞれ設置されたカメラ2a,2bと、カメラ2a,2bにケーブル4a,4bを介して接続されたパーソナルコンピュータ3を備えている。
図1(b)に示すように、パーソナルコンピュータ3は、ディスプレイからなる表示部3aと、マウスやキーボードからなる入力部3bと、演算部3cと、制御部3dと、メモリ3eを備えている。
作業者がパーソナルコンピュータ3の入力部3bに球形農作物Sの体積の測定を開始する旨のコマンドを入力すると、入力部3bは制御部3dに測定開始信号a1を送る。測定開始信号a1を受信した制御部3dは、ケーブル4a,4bを介してカメラ2a,2bからそれぞれ送られてきた球形農作物SのXY平面における上面画像データd1及びYZ平面における側面画像データd2を演算開始信号a2とともに演算部3cに送る。そして、演算部3cは上面画像データd1及び側面画像データd2に基づいて球形農作物Sの体積を求めるための演算を行い、その演算結果を体積データd4として制御部3dに送る。
制御部3dは、表示信号a3と書き込み信号a4を表示部3aとメモリ部3eにそれぞれ体積データd4とともに送る。これにより、演算部3cによる球形農作物Sの体積の演算結果が表示部3aに表示されるとともにメモリ部3eに格納される。なお、後述する上面画像や側面画像の1画素の幅Ly(1画素のY軸方向の長さ)や高さLz(1画素のZ軸方向の長さ)などの値は演算用データd3としてメモリ部3eに予め格納されている。この演算用データd3は、制御部3dから送られる読み出し信号a5に従ってメモリ部3eから読み出された後、制御部3dを介して演算部3cに送られる。
なお、演算部3cにおける球形農作物Sの体積の計算に用いられる演算方法には3種類があり、体積測定装置1では、作業者が入力部3bを操作することによって3種類の演算方法(以下、第1の演算方法乃至第3の演算方法という。)の中から希望する演算方法を選択できる構造となっている。
[第1の演算方法]
図2(a)はカメラ2bによって撮影された蜜柑(図1(a)に示した球形農作物S)の側面画像を2値化した図であり、図2(b)は図2(a)に白く表された領域内のY軸方向の画素数をZ軸の座標毎に示したヒストグラムであり、図2(c)は図1(b)に示したパーソナルコンピュータ3の演算部3cにおいて第1の演算方法を用いて行われる演算の流れを示したフローチャートである。なお、図2(a)において、Z軸方向は蜜柑の高さ方向を表しており、Y軸方向は紙面に平行であって、かつ、Z軸方向に垂直な方向を表している。
図2(c)に示すように、演算部3cは、ステップS1において、カメラ2bから制御部3dを介して送られてきた蜜柑の側面画像データd2に基づいて、蜜柑を白、背景を黒とする2階調の側面画像(図2(a)参照)を生成する。
つぎに、ステップS2において、演算部3cは、ステップS1で生成された2値化画像のY軸方向における蜜柑を表す画素の数をZ軸の座標毎に合計し、Z軸の座標zにおける白色の画素のY軸方向の数h[z]を求める。
ステップS3では、メモリ3eから1画素の幅(図2(a)に示したY軸方向の長さ)Lyが読み出された後、制御部3dを介して演算部3cに送られる。演算部3cは、このLyをh[z]に掛けることにより、Z方向に垂直なXY平面における蜜柑の断面の形状が円であると仮定した場合の円の直径を求め、その直径をさらに2で割ることにより、上記円の半径r[z]をZ軸の座標毎に求める。
ステップS4において、演算部3cは、ステップS3で求めたr[z]を以下の式(1)に代入することにより、上記円の面積s[z]をZ軸の座標毎に求める。
Figure 0006945109
ステップS5では、演算用データd3としてメモリ3eに格納されている1画素の高さ(図2(a)におけるZ軸方向の長さ)Lzが読み出された後、制御部3dを介して演算部3cに送られる。演算部3cは、このLzをs[z]に掛けることにより、半径がr[z] で高さがLzの円柱の体積v[z]を求める。
図2(a)においてZ軸方向の長さを表す白い部分の画素の数の最大値をmとすると、ステップS6において、演算部3cは、ステップS5で求めた円柱の体積v[z]を1〜mの範囲のzについて積算することにより、蜜柑の体積Vを求める。
以上説明したように、第1の演算方法は、XY平面における蜜柑の断面の形状が円であると仮定して、側面画像から読み取った上記断面と同じ高さにおける白色の画素のY軸方向の数h[z]と1画素の幅Lyから求めた直径を用いてXY平面における円の面積s[z]を計算し、さらに、この円の面積s[z]と1画素の高さLzの積をZ軸方向に積算することで蜜柑の体積を求めるというものである。したがって、XY平面における蜜柑の断面の形状が円に近ければ近いほど、体積の演算精度が高くなる。また、蜜柑の体積がXY平面における断面の面積をZ軸方向に沿って積分することによって求められるため、球の公式に基づいて体積が算出される場合とは異なり、側面から見た形状が円に近くない場合でも体積の演算精度は低下しない。
このような作用は、メロンやスイカなどの蜜柑以外の球形農作物の体積を計測する場合にも同様に発揮される。すなわち、第1の演算方法によれば、球形農作物のXY平面における断面が円に近い形状をしている場合には側面から見た形状が円に近いか否かに関わらず、側面を撮影した画像に基づいて球形農作物の体積を高い精度で求めることができる。
[第2の演算方法]
図3(a)はカメラ2aによって撮影された蜜柑(図1(a)に示した球形農作物S)の上面画像を2値化した図であり、図3(b)及び図3(c)はそれぞれ図3(a)に白く表された領域内のY軸方向及びX軸方向の画素数をそれぞれX軸の座標値毎及びY軸の座標値毎に示したヒストグラムである。また、図4は図1(b)に示したパーソナルコンピュータ3の演算部3cにおいて第2の演算方法を用いて行われる演算の流れを示したフローチャートである。
なお、カメラ2a,2bによって蜜柑が撮影される方向は互いに直交している。そのため、図3(a)において、Y軸方向は図2(a)を用いて説明したY軸方向と一致しており、X軸方向はY軸方向と図2(a)に示したZ軸方向の双方に対して直交している。また、カメラ2a,2bから蜜柑までの各距離が等しい場合、図3(a)における1画素の幅(Y軸方向の長さ)及び高さ(X軸方向の長さ)は図2(a)における1画素の幅(Y軸方向の長さ)及び高さ(Z軸方向の長さ)とそれぞれ一致する。
図4に示すように、演算部3cは、ステップS1において、カメラ2a,2bから制御部3dを介して送られてきた蜜柑の上面画像データd1及び側面画像データd2に基づいて、蜜柑を白、背景を黒とする2階調の上面画像(図3(a)参照)及び側面画像(図2(a)参照)を生成する。
つぎに、ステップS2において、演算部3cは、ステップS1で生成された図2(a)に示す2値化画像のY軸方向における蜜柑を表す画素の数をZ軸の座標毎に合計し、Z軸の座標zにおける白色の画素のY軸方向の数h[z]を求めるとともに、ステップS1で生成された図3(a)に示す2値化画像について、図3(b)及び図3(c)に示すようにX軸の座標xにおける白色の画素のY軸方向の数h[x]及びY軸の座標yにおける白色の画素のX軸方向の数h[y]をそれぞれ求める。
演算部3cは、ステップS3において、h[x]の最大値hmaxとh[y]の最大値hmaxをそれぞれ求めるとともに、ステップS4において、hmaxに対するhmaxの比を求めて、これを第1の補正係数kとする。
ステップS5では、演算用データd3としてメモリ3eに格納されている1画素の幅(図2(a)におけるY軸方向の長さ)Lyが読み出された後、制御部3dを介して演算部3cに送られる。演算部3cは、このLyをステップS2で求めたh[z] に掛けることにより、XY平面における蜜柑の断面の形状が円であると仮定して直径を求め、その直径を2で割って得られた値をa[z]とし、さらに、第1の補正係数kをa[z]に掛けて得られた値をb[z]とする。
ステップS6において、演算部3cは、ステップS5で求めたa[z]とb[z]を以下の式(2)に代入することにより、XY平面における蜜柑の断面が楕円形であると仮定した場合のZ軸の座標zにおける楕円の面積s[z]を求める。なお、ステップS2乃至ステップS6は、図2(c)を用いて説明した円の面積s[z] に第1の補正係数kを掛けて楕円の面積s[z]を求めることに等しい。すなわち、第1の補正係数kは、上記楕円における長軸と短軸の比を表している。
なお、本来であれば、長軸と短軸の比には楕円の高さごとに求めた値を用いるべきであるが、Z軸の座標毎に蜜柑のXY平面における断面の画像を撮影することは困難であるため、本発明では上面画像から読み取ることができるX軸の座標xにおけるY軸方向の長さの最大値とY軸の座標yにおけるX軸方向の長さの最大値の比をXY平面における上記楕円のZ軸の座標毎の長軸と短軸の比の代わりに用いているのである。
Figure 0006945109
ステップS7では、演算用データd3としてメモリ3eに格納されている1画素の高さ(図2(a)におけるZ軸方向の長さ)Lzが読み出された後、制御部3dを介して演算部3cに送られる。演算部3cは、このLzをs[z]に掛けることにより、面積がs[z] で高さがLzの楕円柱の体積v[z]を求める。
図2(a)においてZ軸方向の長さを表す白い部分の画素数の最大値をmとすると、ステップS8において、演算部3cは、ステップS7で求めた楕円柱の体積v[z]を1〜mの範囲のzについて積算することにより、蜜柑の体積Vを求める。
以上説明したように、第2の演算方法は、XY平面における蜜柑の断面の形状が楕円であると仮定して、側面画像から読み取った上記断面と同じ高さにおける白色の画素のY軸方向の数h[z]と1画素の幅Lyから求めた直径を用いて求めたXY平面における円の面積s[z]に、上面画像におけるX軸方向の長さの最大値に対するY軸方向の長さの最大値の比を掛けて楕円の面積s[z]を求め、さらに、この楕円の面積s[z]と1画素の高さLzの積をZ軸方向に沿って積算することで蜜柑の体積を求めるというものである。
したがって、XY平面における蜜柑の断面の形状が円に近い場合には第1の演算方法と第2の演算方法のいずれを用いた場合でも大差はないが、XY平面における蜜柑の断面の形状が楕円に近い場合には第1の演算方法を用いた場合よりも第2の演算方法を用いた場合の方が体積の演算精度が高い結果となる。そして、この作用は、メロンやスイカなどの蜜柑以外の球形農作物の体積を計測する場合にも同様に発揮される。
すなわち、第2の演算方法によれば、球形農作物のXY平面における断面が楕円に近い形状をしている場合には、側面を撮影した画像に基づいて、第1の演算方法を用いた場合よりも高い精度で球形農作物の体積を求めることができる。
[第3の演算方法]
図5は図1(b)に示したパーソナルコンピュータ3の演算部3cにおいて第3の演算方法を用いて行われる演算の流れを示したフローチャートである。
図5に示すように、演算部3cは、ステップS1において、カメラ2a,2bから制御部3dを介して送られてきた蜜柑の上面画像データd1及び側面画像データd2に基づいて、蜜柑を白、背景を黒とする2階調の上面画像(図3(a)参照)及び側面画像(図2(a)参照)を生成する。
つぎに、ステップS2において、演算部3cは、ステップS1で生成された図2(a)に示す2値化画像のY軸方向における蜜柑を表す画素の数をZ軸の座標毎に合計し、Z軸の座標zにおける白色の画素のY軸方向の数h[z]を求めるとともに、図3(a)に示す2値化画像のY軸方向における蜜柑を表す画素の数をX軸の座標毎に合計し、X軸の座標xにおける白色の画素のY軸方向の数h[x]を求める。
演算部3cは、ステップS3において、h[z]の最大値hmaxとh[x]の最大値hmaxをそれぞれ求めるとともに、ステップS4において、hmaxを以下の式(3)に代入して第1の中間補正値Hを求めた後、ステップS5において、hmaxに対するhmaxの比を計算して第2の補正係数kを求める。なお、第1の中間補正値Hと側面画像の1画素の幅(図2(a)における1画素のY軸方向の長さ)Lyの自乗の積は、側面画像におけるY軸方向の長さの最大値を半径とする円の面積に相当する。
Figure 0006945109
図3(a)においてX軸方向の長さを表す白い部分の画素の数の最大値をnとすると、演算部3cは、ステップS6において、h[x]を1〜nの範囲のxについて積算することにより、hsumを求める。なお、hsumと上面画像における1画素の面積の積は上述の白い部分の面積に相当する。
カメラ2bによる撮影方向は、原則として図3(a)に示したX軸方向と平行である。そのため、h[z]の最大値hmaxとh[x]の最大値hmaxは一致する。このとき、カメラ2a,2bから蜜柑までの各距離が等しければ、上面画像における白い部分の面積は、側面画像におけるY軸方向の長さの最大値を半径とする円の面積に近い値となる。しかしながら、何らかの理由で上述の2つの方向にずれが生じて両者の平行関係がわずかでも崩れていると、hmaxとhmaxは一致しないことがある。また、上述の2つの方向が平行であってもカメラ2a,2bから蜜柑までの各距離が異なると、1画素の幅と高さが側面画像と上面画像で一致しなくなり、上述の2つの面積の差が大きくなる。そこで、まず、hmaxとhmaxを一致させるための係数として、ステップS5において、hmaxに対するhmaxの比を計算し、これを第2の補正係数kとしているのである。
演算部3cは、ステップS7において、hsumと第2の補正係数kを以下の式(4)に代入して第2の中間補正値Hを求める。なお、Hと上面画像における1画素の面積の積は、上面画像の白い部分の面積をh[z]の最大値hmaxとh[x]の最大値hmaxが等しい状態となるように修正した値に相当する。
Figure 0006945109
演算部3cは、ステップS8において、第1の中間補正値Hに対する第2の中間補正値Hの比を計算して第3の補正係数kを求める。なお、第3の補正係数kは、カメラ2a,2bから蜜柑までの各距離が異なる場合に、上面画像における1画素の幅と高さが側面画像における1画素の幅と高さにそれぞれ一致するように側面画像におけるY方向の幅の最大値を半径とする円の面積を修正するための係数である。
ステップS9では、演算用データd3としてメモリ3eに格納されている1画素の幅(図2(a)におけるY軸方向の長さ)Lyが読み出された後、制御部3dを介して演算部3cに送られる。演算部3cは、このLyをh[z]に掛けることにより、XY平面における蜜柑の断面の形状が円であると仮定した場合の円の直径を求め、その直径をさらに2で割ることにより、Z軸の座標zにおける上記円の半径r[z]を求める。
ステップS10において、演算部3cは、ステップS9で求めたr[z]を前述の式(1)に代入することにより、Z軸の座標zにおける上記円の面積s[z]を求める。
ステップS11では、演算用データd3としてメモリ3eに格納されている1画素の高さ(図2(a)におけるZ軸方向の長さ)Lzが読み出された後、制御部3dを介して演算部3cに送られる。演算部3cは、このLzとステップS8で求めた第3の補正係数kをs[z]に掛けることにより、面積がkとs[z]の積で表される高さLzの円柱の体積v[z]を求める。
図2(a)においてZ方向の長さを表す白い部分の画素の数の最大値をmとすると、ステップS12において、演算部3cは、ステップS11で求めた円柱の体積v[z]を1〜mの範囲のzについて積算することにより、蜜柑の体積Vを求める。
前述のとおり、第1の中間補正値Hは側面画像におけるY軸方向の長さの最大値を半径とする円の面積に比例し、第2の中間補正値Hは上面画像の白い部分の面積を側面画像のスケールに合わせて修正した値に比例する。そこで、ステップS11では、ステップS10において求めた円の面積s[z]に第3の補正係数k(第1の中間補正値Hに対する第2の中間補正値Hの比)を掛けることにより、上面画像における1画素の幅と高さが側面画像における1画素の幅と高さにそれぞれ一致するように側面画像におけるY軸方向の長さの最大値を半径とする円の面積を修正しているのである。
以上説明したように、第3の演算方法は、上面画像におけるY軸方向の長さの最大値が側面画像におけるY軸方向の長さの最大値と一致し、かつ、上面画像における1画素の幅と高さが側面画像における1画素の幅と高さにそれぞれ一致するように、第1の演算方法によって側面画像から求められる任意の高さにおける円の面積を修正するというものである。したがって、カメラ2bによる撮影方向と図3(a)に示したX軸方向にずれが生じている場合やカメラ2a,2bから蜜柑までの各距離が異なる場合には、第1の演算方法を用いた場合よりも第3の演算方法を用いた場合の方が体積の演算精度が高い結果となる。
これらの作用は、メロンやスイカなどの蜜柑以外の球形農作物の体積を計測する場合にも同様に発揮される。すなわち、第3の演算方法によれば、カメラ2bによる撮影方向と図3(a)に示したX軸方向にずれが生じている場合やカメラ2a,2bから蜜柑までの各距離が異なる場合でも、第1の演算方法を用いた場合よりも高い精度で球形農作物の体積を求めることが可能である。
ここで、メロンの体積を体積測定装置1によって計測した結果について、表1及び図6を参照しながら説明する。なお、3次元直交座標系の定義は前述と同様である。また、演算部3cの演算には、既に説明した第1の演算方法乃至第3の演算方法を用いた。
図6の横軸は演算方法を示しており、縦軸は以下の式(5)で表される体積の誤差率(%)を示している。また、表1及び式(5)における実測値とは、水を張った容器にメロンを沈めた後、容器から溢れ出た水の体積を測定することによって求められた値である。
Figure 0006945109
Figure 0006945109
表1及び図6では、演算部3cでの演算に第2の演算方法を用いた場合の方が、第1の演算方法を用いた場合よりも体積の誤差率が小さい結果となっている。このことから、実験に用いられたメロンはXY平面における断面の形状が楕円に近かったものと推察される。また、演算部3cでの演算に第3の演算方法を用いた場合、第1の演算方法や第2の演算方法を用いた場合よりも体積の誤差率が小さい結果となっているが、これは側面画像が撮影される方向と図3(a)に示したX軸方向に生じたずれやカメラ2a,2bから蜜柑までの各距離が異なることによって体積の演算精度が受ける影響が、メロンのXY平面における断面の形状を楕円ではなく円と仮定した場合に体積の演算精度が受ける影響よりも大きく、前者の影響が第3の演算方法によって低減されたことによるものと考えられる。
なお、いずれの演算方法を用いた場合でも体積の誤差率は6%よりも小さいが、これは、体積測定装置1によってメロンの体積が高い精度で求められることを表している。
体積測定装置1を用いて21個の蜜柑の体積を計測した結果(単位はcm)を表2に示すとともに、前述の式(5)に従って体積の誤差率を計算した結果を表3及び図7に示す。なお、図7(a)及び図7(b)の横軸は試料番号を示しており、縦軸は体積の誤差率(%)を示している。また、表2及び式(5)における実測値とは、水を張った容器に21個の蜜柑を沈めた後、容器から溢れ出た水の体積をそれぞれ測定することによって求められた値である。
Figure 0006945109
Figure 0006945109
表2及び表3並びに図7では、ほとんどの試料について、演算部3cでの演算に第2の演算方法を用いた場合の方が第1の演算方法を用いた場合よりも体積の誤差率が小さく、第3の演算方法を用いた場合の方が第2の演算方法を用いた場合よりも体積の誤差率が小さい結果となっている。なお、試料4,資料11及び試料13については、第2の演算方法を用いた場合の方が第1の演算方法を用いた場合よりも体積の誤差率が大きくなっているが、これは側面画像が撮影される方向と図3(a)に示したX軸方向に生じたずれやカメラ2a,2bから蜜柑までの各距離が異なることによって体積の演算精度が受ける影響が、メロンのXY平面における断面の形状を楕円ではなく円と仮定した場合に体積の演算精度が受ける影響よりも大きく、前者の影響が第2の演算方法によっては低減されなかったことが原因ではないかと考えられる。
なお、いずれの演算方法を用いた場合でも体積の誤差率は17%よりも小さいが、これは、メロンに限らず蜜柑についても体積測定装置1によって体積が高い精度で求められることを表している。
このことは、蜜柑やメロン以外の球形農作物についても同様である。すなわち、体積測定装置1を用いることによれば、側面と上面を撮影した画像に基づいて球形農作物の体積を高い精度で求めることが可能である。
図8(a)及び図8(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る「す上がり」の検査装置の外観図及び構成図である。なお、図1(a)及び図1(b)に示した構成要素については同一の符号を付すことにより、その説明を適宜省略する。
図8(a)に示すように、「す上がり」の検査装置6は、体積測定装置1において、コンベア5の代わりに、載置台7aの上面に載置された蜜柑などの球形農作物Sの重量を測定し、その結果を表示部7bに表示するとともにケーブル4cを介してパーソナルコンピュータ3に送る重量計7を備えた構造となっている。また、メモリ3eには、「す上がり」の判定に用いられる比重の閾値が演算用データd3として格納されている。
作業者がパーソナルコンピュータ3の入力部3bに球形農作物Sについて「す上がり」の検査を開始する旨のコマンドを入力すると、図8(b)に示すように、入力部3bは制御部3dに測定開始信号a1を送る。
測定開始信号a1を受信した制御部3dは、ケーブル4a,4bを介してカメラ2a,2bからそれぞれ送られてきた球形農作物Sの上面画像データd1及び側面画像データd2とケーブル4cを介して重量計7から送られてきた重量データd5を演算開始信号a2とともに演算部3cに送る。そして、演算部3cは上面画像データd1及び側面画像データd2に基づいて球形農作物Sの体積を求めるための演算を行った後、重量データd5と体積の演算結果から比重を求め、その結果を体積データd4とともに比重データd6として制御部3dに送る。
制御部3dは、表示信号a3と書き込み信号a4を表示部3aとメモリ部3eにそれぞれ体積データd4及び比重データd6とともに送る。これにより、演算部3cによる球形農作物Sの体積と比重の演算結果が表示部3aに表示されるとともにメモリ部3eに格納される。
体積測定装置1による体積の計測を行った際に使用した21個の蜜柑に対し、「す上がり」の検査装置6を用いて「す上がり」の検査を行った結果について、表4及び表5並びに図9及び図10を用いて説明する。なお、図9(a)及び図9(b)はそれぞれ「す上がり」が無い蜜柑と有る蜜柑の断面を示した写真であり、図10は、「す上がり」の検査装置6を用いて蜜柑の比重を求めた結果を示したグラフである。
「す上がり」の検査装置6を用いて「す上がり」の検査を行った後、すべての試料を2つに切断し、その断面を観察したところ、試料1,4,5,7,9,12〜19について、図9(b)に示すような「す上がり」が明確に認められた。なお、表4及び表5はそれぞれ「す上がり」が有った試料と「す上がり」が無かった試料の比重を示したものである。
Figure 0006945109
Figure 0006945109
表4及び表5並びに図10(a)及び図10(b)から、実測値の比重が0.7以上の試料については「す上がり」が無いことがわかる。また、ほとんどの試料について、どの演算方法を用いた場合でも比重の計算値に基づいて「す上がり」の有無が正確に判定されていることがわかる。
このように、蜜柑などの柑橘類では比重に基づいて「す上がり」の有無を判定することができるが、このことは、柑橘類に限らず、メロンやスイカ、あるいはトマトや柿などの球形農作物Sについても同様に成り立つものと考えられる。そして、「す上がり」の検査装置6では、球形農作物Sの外観を撮影した画像から、その比重を高い精度で算出することができる。したがって、球形農作物Sについて、その比重と「す上がり」の関係を予め求めておけば、本発明の「す上がり」の検査装置6を用いることによって、選果の際などに「す上がり」の有無を正確に短時間で検査することが可能となる。
本発明の球形農作物の体積測定方法とそれを用いた体積測定装置及び「す上がり」の検査装置は、柑橘類やメロンなどのような球形農作物の選果の際に出来高重量を計算したり、「す上がり」の有無の検査を行ったりする場合に適用可能である。
1…体積測定装置 2a,2b…カメラ 3…パーソナルコンピュータ 3a…表示部 3b…入力部 3c…演算部 3d…制御部 3e…メモリ 4a〜4c…ケーブル 5…コンベア 6…「す上がり」の検査装置 7…重量計 7a…載置台 7b…表示部 a1…測定開始信号 a2…演算開始信号 a3…表示信号 a4…書き込み信号 a5…読み出し信号 d1…上面画像データ d2…側面画像データ d3…演算用データ d4…体積データ d5…重量データ d6…比重データ Ly…1画素の幅 Lz…1画素の高さ S…球形農作物

Claims (6)

  1. 3次元直交座標系(平面視して水平方向をY軸、垂直方向をX軸、X軸とY軸を含むXY平面に垂直な軸をZ軸とする)の中央に球形農作物を配置した場合に、YZ平面における側面画像を2値化して第1の画像を生成するステップと、
    前記第1の画像のY軸方向における前記球形農作物を表す画素の数を前記Z軸の座標毎に合計して第1の合計値をそれぞれ求めるステップと、
    前記第1の合計値と前記第1の画像における1画素の幅(1画素の前記Y軸方向の長さ)の積を計算して前記Z軸の座標毎に前記XY平面における前記球形農作物の直径を求めるステップと、
    前記直径に基づいて前記XY平面上に前記Z軸の座標毎に形成される円の面積を求めるステップと、
    前記円の面積と前記第1の画像における1画素の高さ(1画素のZ軸方向の長さ)の積(第1の積)を前記Z軸の座標毎に計算し、前記第1の積を合計して前記球形農作物の体積を求めるステップと、を備えていることを特徴とする球形農作物の体積測定方法。
  2. 前記球形農作物の前記XY平面における上面画像を2値化して第2の画像を生成するステップと、
    前記第2の画像の前記X軸方向における前記球形農作物を表す画素数を前記Y軸の座標毎に合計して第2の合計値を求めるとともに、前記第2の画像の前記Y軸方向における前記球形農作物を表す画素の数を前記X軸の座標毎に合計して第3の合計値を求めるステップと、
    前記第3の合計値の最大値に対する前記第2の合計値の最大値の比を計算して第1の補正係数を求めるステップと、
    前記円の面積と前記第1の補正係数の積を計算して前記XY平面上に形成される楕円の面積を求めるステップと、
    前記楕円の面積と前記第1の画像における前記1画素の高さの積(第2の積)を前記Z軸の座標毎に計算し、前記第2の積を合計して前記球形農作物の体積を求めるステップと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の球形農作物の体積測定方法。
  3. 前記球形農作物の前記XY平面における上面画像を2値化して第2の画像を生成するステップと、
    前記第2の画像の前記Y軸方向における前記球形農作物を表す画素の数を前記X軸の座標毎に合計して第3の合計値を求めるステップと、
    前記第1の合計値の最大値と前記第3の合計値の最大値を求めるステップと、
    前記第1の合計値の最大値の自乗と円周率の積を4で割って第1の中間補正値を求めるステップと、
    前記第3の合計値の最大値に対する前記第1の合計値の最大値の比を計算して第2の補正係数を求めるステップと、
    前記第3の合計値を前記X軸の座標毎に計算し、前記第3の合計値を合計した値と前記第2の補正係数の自乗の積を計算して第2の中間補正値を求めるステップと、
    前記第1の中間補正値に対する前記第2の中間補正値の比を計算して第3の補正係数を求めるステップと、
    前記円の面積と前記第3の補正係数と前記第1の画像における前記1画素の高さの積(第3の積)を前記Z軸の座標毎に計算し、前記第3の積を合計して前記球形農作物の体積を求めるステップと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の球形農作物の体積測定方法。
  4. 3次元直交座標系(平面視して水平方向をY軸、垂直方向をX軸、X軸とY軸を含むXY平面に垂直な軸をZ軸とする)の中央に配置された球形農作物の側方に設置された第1のカメラと、
    この第1のカメラによって撮影された前記球形農作物のYZ平面における側面画像の信号を受信する制御部と、
    この制御部によって動作を制御される演算部及び表示部と、
    前記側面画像の1画素の高さ(1画素の前記Z軸方向の長さ)が格納されたメモリ部と、を備え、
    前記演算部は、
    請求項1に記載の球形農作物の体積測定方法を用いて、前記制御部から送られた前記側面画像と前記メモリ部から読み出された前記1画素の高さに基づいて前記球形農作物の体積を求める演算を行い、
    前記表示部は、
    前記制御部の指示に従って前記演算部による演算結果を表示することを特徴とする体積測定装置。
  5. 前記球形農作物の上方に設置された第2のカメラを備え、
    前記制御部は、
    前記第2のカメラによって撮影された前記球形農作物の前記XY平面における上面画像の信号を受信し、
    前記メモリ部には、前記上面画像の1画素の幅(1画素の前記Y軸方向の長さ)が格納されており、
    前記演算部は、
    請求項1に記載の球形農作物の体積測定方法の代わりに、請求項2又は請求項3に記載の球形農作物の体積測定方法を用いて、前記制御部から送られた前記側面画像及び前記上面画像に基づいて前記球形農作物の体積を求める演算を行うことを特徴とする請求項4に記載の体積測定装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の体積測定装置と、
    球形農作物の重量を測定し、その重量測定値を前記体積測定装置の前記演算部に送る重量計と、を備え、
    前記体積測定装置の前記メモリ部には、前記球形農作物の比重の閾値が格納されており、
    前記体積測定装置の前記演算部は、
    前記球形農作物の体積に関する演算値と前記重量測定値から前記球形農作物の比重を計算するとともに、この比重の計算値と前記メモリ部から読み出された前記閾値に基づいて前記球形農作物について「す上がり」の有無を判定することを特徴とする「す上がり」の検査装置。
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