JP6940067B2 - 協調運動評価装置及びプログラム - Google Patents
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発達状況であれば、通常に比べて発達が進んでいるか遅れているかを客観的に判断できるし、障害の程度については、例えば、リハビリの効果を定量的に判断することが出来る。
より詳しくは、身体のいずれかの部位についての繰り返し運動を映像として再現するための例示データを記憶する例示データ記憶部と、例示データに基づく繰り返し運動を映像として映し出す表示部と、表示部に映し出される繰り返し運動に倣って被験者が行う運動を検知するセンサと、被験者が行う運動を評価するのに用いられる基準データを記憶する基準データ記憶部と、センサで検知された被験者が行う運動についての評価対象データと基準データと比較して、被験者が行う運動を評価する評価部と、を備えるものである。
本発明によれば、他方の部位の繰り返し運動が十分できない場合であっても、評価値を生成出来る。
本発明によれば、非麻痺側部位の計測によって、麻痺側部位の評価値を生成出来る。
本発明によれば、より信頼性の高い他方部位評価値を生成出来る。
本発明によれば、評価値をより扱いやすい数値として生成出来る。
本発明によれば、評価値をより扱いやすい数値として生成出来る。
本発明によれば、対の部位の内、最も計測しやすい部位で計測することになり、被験者の負担を軽減することが出来る。
本発明によれば、被験者の視覚による影響を排除出来るので、より信頼性の高い評価値を生成することが出来る(筋感覚・関節感覚の高精度推定)。
以下、本発明に係る協調運動評価装置及びプログラムの実施例を、図面に基づいて説明する。
なお、本実施例で示される協調運動評価装置及びプログラムの全体態様及び各部の態様は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる態様の範囲内で変更することができるものである。
実施例1では、評価装置での例を説明する。当然ながら、本発明は、同様の機能を持つコンピュータや携帯端末、スマートフォンであっても、実施出来る。
評価装置1は、主に、センサ100、表示部110、スピーカ120、制御演算部130、記憶部140からなる。本実施例では、対となる部位として、手を対象とし、繰り返し運動として、掌を表、裏に返す動作を繰り返す動作としている。
また、被験者への負担を軽減するために、被験者の手にマーカー等を付ける必要の無いセンサが好適である。
具体的な例としては、性能及び価格の点から、LEAP MOTION(リープ モーション インコーポレーテッド社 登録商標)等の赤外線センサが挙げられる。手から数十センチ離した位置に、LEAP MOTIONを置くことで、被験者の手に特別な処理を行うこと無く、手指の動きを三次元で詳細に計測することができる。センサ100としては、例えば、手の動きの3軸の並進と3軸の回転データを抽出できるが、本発明では、手の回内回外運動を評価する際に手の平の方向ベクトルの腕を軸とした周りの回転のみの1次元情報を利用する。
計測データは、片方の手ごとに生成される。
また、測定自体についても、表示部110による例示画像を表示すると共に、スピーカ120により、「おもて」、「うら」等と発音することで、測定をよりスムーズに行うことが出来る。また、被験者が表示部110の画像をよく認識出来ない場合はスピーカ120によるガイドのみでも良い。
制御としては、評価装置1の起動、測定のガイダンスの表示の指示、表示部110への例示画像の表示の指示、スピーカ120への発音の指示、センサ100の動作指示、取得データの記憶部140への格納、表示部110への測定値、評価値の表示の指示等を行う。
演算としては、計測データ220と基準データ230から評価対象データ240の生成、評価対象データ240と健常者両手評価基準データ250から第1の評価値300の生成、評価対象データ240と健常者片手評価基準データ260から第2の評価値310の生成、第1の評価値300と第2の評価値310から麻痺側脳機能評価値320の生成を行う。
例示データ200、映像データ210は、被験者に運動をさせるためのガイドとなるデータである。基準データ230、健常者両手評価基準データ250、健常者片手評価基準データ260は、測定された計測データ220から、評価のための値を生成するために必要なデータである。そのため、例示データ200、映像データ210、基準データ230、健常者両手評価基準データ250、健常者片手評価基準データ260は、常に評価装置1内に記憶されている必要がある。計測データ220、第1の評価値300、第2の評価値310、麻痺側脳機能評価値320は、測定の都度、発生、計算されるデータであるので、揮発性メモリに記憶される。評価装置1の電源を切ると無くなるので、必要な場合は外部記憶装置等に記憶させる。
図4の(a)、(b)、(c)のグラフは、手の回内回外動作における手の回転角度の時間による変化を表すものである。データのX軸は、時間軸であり、Y軸は、手の平の回転角度である。例えば、Y方向の最大値は手の平を上に向けた位置、Y方向の最低値は手の平を下に向けた位置を示す。図4(a)は、例示データ200の時間変化を、図4(b)は、計測データ220の時間変化を、図4(c)は、基準データ230の時間変化を表す。
例示データ200は、手の繰り返し運動を正確に再現することを前提として作成されている。手の繰り返し運動とは手の回内回外運動であり、腕を軸とした周りの回転の繰り返しである。また、正確とは、図4(a)に示すように、腕を軸とした周りの回転のベクトルを波形データとして捉えたときの振幅及び位相のそれぞれが一定であり、規則的な運動であることを意味している。
したがって、この例示データ200は、協調運動に対する能力が正常な被験者が行う運動をデータ化しただけでは足りず、人為的な処理を施して作成される。より具体的な例を示すと、例示データ200は、あるヒトが手のひらと手の甲を交互に反転する運動をしている様子をセンサで取得し、取得した運動データを用い、振幅及び位相のそれぞれが一定となるようにデータ処理して作成される。
このように、任意の速度を選択できれば、被験者に適合した例示映像を提示することが可能であり、運動機能が衰えてきた老齢者から元気の良い壮年・青年、また幼児までを含めて計測に最適の映像提示が可能である。
図4(b)のX軸は時間軸、Y軸はセンサ100からのデータ値を示す。また図5は、図4(b)の計測データ220をFFT解析処理した結果を示すものであり、図5(a)は数値による結果を、図5(b)は当該数値を棒グラフにして視覚化したもの、を示す。図5(a)の周期番号は例示運動の累積繰り返し数を、サンプリング時間は各周期番号の例示運動に要した時間を、及びサンプリングデータ数は各周期番号の例示運動が行われた期間の間に抽出されたデータ数を、示す。これらのデータはFFT解析処理のための条件として採用され、当該処理を通して得られる評価値は、手の運動機能を定量的に表した数値指標となる。
なお、この周期番号における一周期は、手の甲を上にしている状態から手のひらを上にした状態を経て、手の甲を上にした状態に戻るまでの運動を含むことになる。また、この処理において、例示運動の時刻基準で、例示運動の一周期ごとに解析しているので,FFTの結果は、例示運動を基準として解析していることになる。
また、この評価値は、主成分強度に対する他の成分の強度の比率であり、値が小さいほど、運動が滑らかであることを示している。つまり、この評価値が小さいと運動が良好であるのに対して、評価値が大きいと運動機能に問題があることになる。図7の評価値の逆数をとると、それは動きの良さの評価値になる。
そのため、基準となるデータとして、健常者に両手を動かすよう指示した際のデータとして健常者両手評価基準データ250を、健常者に片手を動かすよう指示した際のデータとして健常者片手評価基準データ260を生成する。いずれも信頼性を高めるために、多くのデータを平均化して決定する。生成方法は、健常者に対して、映像データ210を表示し、両手、あるいは片手を動かすように指示し、計測データ220を取得し、基準データ230とFFTを用いて比較し、評価対象データ240を算出し、両手の場合を健常者両手評価基準データ250、片手の場合を健常者片手評価基準データ260として基準値とする。この値と被験者の評価対象データ240を比較することによって、障害の程度を推定することが出来る。
脳、神経等による障害の場合には、身体の対となる部位について、一方の動きに比べ、他方の動きが悪いなることが多い。また、身体の対となる部位としては、手、腕、足等が考えられるが、手は身体の中で複雑な動きを行う部位であり、運動調節機能の障害の程度を確認する部位として適切である。
また、手について、測定を行う際、障害のある方の部位については、障害の程度によっては、繰り返し運動が十分出来ない場合もある。そうすると、本来、障害のある方の部位について、その障害の程度を数値化したいにも関わらず、正確な数値から出来ないことから、本実施例の測定を行うものである。
生成された計測データ220と、予め準備された基準データ230から、評価対象データ(両手運動)241を生成する。計測データ220、基準データ230ともFFT処理を行い。FFTによって算出した第2周期〜第18周期の全ての周期について、対応する周期の基準データ230と計測データ220の差分を求め、この差分値の総和を求める。この値を、評価対象データ(両手運動)241とする。
次に第2の評価値310に対する第1の評価値300の比(割合)を算出し、麻痺側脳機能評価値320とする(S109)。麻痺側脳機能評価値320が大きいほど、麻痺側の高次脳機能の障害が大きいことになる。
このように、障害を持つヒトの障害を持たない側の手を測定するのみで、障害の程度を推定することが出来る。
前提となる健常者両手評価基準データ250は0.21、健常者片手評価基準データ260は0.22とする。
S104によって、評価対象データ(両手運動)241は0.30と算出され、S107によって、評価対象データ(片手運動)242は0.30と算出されたとする。
第1の評価値300は、評価対象データ(両手運動)241/健常者両手評価基準データ250であるので、0.30/0.21で、1.42となる。これが脳全体の評価となる。高次脳機能成分がより大きい。
第2の評価値310は、評価対象データ(片手運動)242/健常者片手評価基準データ260であるので、0.30/0.22で、1.36となる。これが非麻痺側評価となる。これで基本麻痺側脳機能(運動調整主)評価が出来る。
麻痺側脳機能評価値320は、第1の評価値300/第2の評価値310であるので、1.42/1.36で、1.04となる。脳機能の障害成分の構成であり、高次脳機能の障害が大きいと大きくなる。
このように、定量的に障害の程度を推定することが出来る。
しかしながら、発明者の研究により、麻痺の無い側の部位の動きにも、麻痺側の部位の状態の影響が表れるとの知見を得た。つまり、対となる部位について、一方に麻痺が無く、他方に麻痺のある場合、両方の部位は、独立して互いの影響なく運動するわけではないことが判明した。また、互いの影響の受け方も、様々な状況によって変化すると結論づけるに至った。
様々な状況の1つが、被験者に両手を動かす気持ちで手を動かす場合と片手のみ動かす場合の違いである。被験者は、両手を動かす気持ちで手を動かすと、麻痺側の手も動かそうとすることから、麻痺の無い側の手の動きもそれに引きずられて緩慢になる傾向がある。一方、片側のみ動かすように指示された場合は、比較的麻痺側に影響を受けず、運動を行うことができる。
そのため、この2つの状態を計測することによって、麻痺の程度を推定することが出来るものである。
麻痺の程度を定量的に判断できる範囲を拡大することが出来る。従来では、麻痺がある程度以上進むと、見た目の動き量が小さいなり、麻痺が進行しているのか、改善しているのかが、分かりにくい場合があった。しかし、本測定手段によれば、麻痺の無い側の部位の動きから推定することから、見た目の動き量が十分あり、より精度の高い麻痺の程度の判断ができるようになる。
また、麻痺を持つ人に、麻痺のある側の部位を、測定のために、繰り返しの運動を強いることは、負担が大きかった。麻痺の無い側の部位であれば、通常の生活の運動と変わらない範囲で測定が可能であり、より気軽に測定を受けてもらうことが出来る。
また、健常側の部位の簡単な動きの測定のみで、計測が可能であることから、専用の大きな測定器でなく、スマートフォン等の携帯端末に、本発明のアプリケーションをインストールし、端末のカメラ等で部位の繰り返し運動を計測することで、容易に測定することが可能となる。
例えば、本実施例では手の回転運動について説明してきたが、対となるヒトの部位であれば、腕、足でも良い。
また、手の平の裏表の繰り返し運動について説明したが、他の繰り返し運動でも良い。
さらに、装置の形態で説明したが、他の機能を持つ装置に本発明のプログラムを搭載して同様の測定をしてもよい。
またさらに、本発明を行うためのプログラムを入れた記録媒体を流通することも、本発明の範囲である。
実施例1において、被験者は、表示部110に表示された映像データ210を見ながら、自分の手の反転を繰り返す運動を行う。その際、多くの場合、被験者は、表示部110上の映像データ210と自分の手を見比べながら、手の反転運動を行う。そのため、自分の手の動きが表示部110の表示よりも遅かった場合、被験者は、自分の目で、遅くなっていることを認識し、早くしようと手を動かすことになる。
そうすると、本来の手の運動機能量を測定する目的にも関わらず、被験者の目による補正能力まで含まれた測定結果となってしまう。認知機能も含めた測定では有効かもしれないが、本来の手の運動機能のみを測定する手段が求められていた。
このようにすることで、被験者は、自分の手の位置を認識することが出来ないので、目で手の動きを見て補正することは出来ず、本来の手の運動機能のみを測定することが出来る。
100 センサ
110 表示部
120 スピーカ
130 制御演算部
140 記憶部
200 例示データ
210 映像データ
220 計測データ
230 基準データ
240 評価対象データ
241 評価対象データ(両手運動)
242 評価対象データ(片手運動)
250 健常者両手評価基準データ
260 健常者片手評価基準データ
300 第1の評価値
310 第2の評価値
320 麻痺側脳機能評価値
LH 被験者の左手
RH 被験者の右手
Claims (8)
- ヒトの身体の対となる任意の部位についての繰り返し運動を映像として再現するための例示データを記憶する記憶部と、前記例示データに基づく前記繰り返し運動の映像を映し出す表示部と、
前記映像に倣って被験者が行う対となる部位の繰り返し運動のうち、一方の部位の運動を検知するセンサと、
前記センサで検知された計測データと所定の基準データを比較することで、評価対象データを生成すると共に、前記評価対象データと、健常者に対する計測から求められた健常者評価対象データとから、他方の部位の評価値を生成する制御演算部と、からなることを特徴とする協調運動評価装置。 - 前記一方の部位は、麻痺患者の非麻痺側部位であり、前記他方の部位は麻痺側部位であることを特徴とする請求項1に記載の協調運動評価装置。
- ヒトの身体の対となる任意の部位についての繰り返し運動を映像として再現するための例示データを記憶する記憶部と、前記例示データに基づく前記繰り返し運動の映像を映し出す表示部と、
前記映像に倣って被験者が行う対となる部位の繰り返し運動のうち、一方の部位の運動を検知するセンサと、
被験者に両方の部位について前記運動を行わせた際の、前記一方の部位について前記センサで検知された第1の計測データと、所定の基準データとを、比較することで、第1の評価対象データを生成すると共に、被験者に前記一方の部位について前記運動を行わせた際の、前記一方の部位について前記センサで検知された第2の計測データと、所定の基準データとを、比較することで、第2の評価対象データを生成し、更に、前記第1の評価対象データと、健常者の対となる部位の両方から求められた健常者両方部位評価対象データとから、第1の評価値を生成すると共に、前記第2の評価対象データと、健常者の対となる部位の一方から求められた健常者一方部位評価対象データとから、第2の評価値を生成し、また更に、前記第1の評価値と前記第2の評価値から、他方部位評価値を生成する制御演算部と、からなることを特徴とする協調運動評価装置。 - 前記第1の評価値は、前記健常者両方部位評価対象データに対する前記第1の評価対象データの比率であり、
前記第2の評価値は前記健常者一方部位評価対象データに対する前記第2の評価対象データの比率であることを特徴とする請求項3に記載の協調運動評価装置。 - 前記他方部位評価値は、前記第2の評価値に対する前記第1の評価値の比率であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の協調運動評価装置。
- 前記部位はヒトの手であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の協調運動評価装置。
- 前記被験者が前記繰り返し運動を行う際、前記被験者が前記繰り返し運動を行う部位を見えないことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の協調運動評価装置。
- コンピュータに、
ヒトの身体の対となる任意の部位についての繰り返し運動を映像として再現するための記憶された例示データに基づく前記繰り返し運動の映像を映し出す手順と、
前記映像に倣って被験者が行う対となる部位の前記繰り返し運動のうち、一方の部位の運動をセンサが検知する手順と、
前記センサで検知された計測データと所定の基準データを比較することで、評価対象データを生成する手順と、
前記評価対象データと、健常者に対する計測から求められた健常者評価対象データとから、他方の部位の評価値を生成する手順と、
を実行させるための協調運動評価プログラム。
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