JP6936480B2 - ストッパー - Google Patents

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Description

本発明は、底面を貫く中心孔を有し直径の異なる2つの円盤を、両中心孔を合わせて凸状に形成したストッパーに関し、特に医療用スクリュードライバーに用いられるストッパーに関する。
脳神経外科手術の閉頭時、開頭した骨片を頭蓋骨に固定するためにチタン製プレート(インプラント)による固定を用いる頭蓋骨固定法が一般的に行われている。当該チタン製プレートには外固定タイプがあり、そのチタン製プレートを骨に固定するためにチタン製スクリューが用いられている。最近は手術時間の短縮と手術操作の簡便性とを目的として、自身のねじ山で雌ねじを作成するタイプの「タッピンスクリュー(Self Tapping Screw)」が用いられており、上記チタン製スクリューにおける大部分のシェアを占めるに至っている。
図27(A)はインプラントを使った頭蓋骨固定法で用いられる外固定タイプのチタン製プレートを例示し、図27(B)は同固定法で用いられるチタン製スクリュー(便宜上、ねじ4本のみ示す。)を例示する。図27(B)に示されるチタン製スクリューのタイプが上記タッピンスクリューである。外固定タイプのチタン製プレートは、形を整えやすい整容製に優れ、再開頭が容易であるという長所を備えている。
しかし、タッピンスクリューをスクリュードライバーで締結する際、スクリュードライバーの先(ドライバービット)がタッピンスクリューのねじ頭から外れる現象(カムアウト現象)が生じる場合がある(医学領域、特に脳神経外科領域では器具等が対象から外れる現象をスリップアウトと呼ぶことが一般的である。このため、本明細書ではカムアウトという用語に替えて「スクリュードライバースリップアウト」という用語を用いる場合がある。)。ここで、開頭する際にはまず14mm等のドリルで円状の骨穴を4〜5か所開け、その後この骨孔からカッターで骨を切る。閉頭時において上記カムアウト(スクリュードライバースリップアウト)現象が生じると、開頭の際に開けた上記骨孔または骨の継ぎ目の隙間にドライバービットが迷入する恐れがある。この結果生じ得る頭蓋内刺傷事故または眼窩内の眼球を刺傷する事故は非常に危険であり、絶対的に避けなければならない。
しかし、カムアウト現象は物理学的に回避不可能な現象である(非特許文献1参照)。上述したように、タッピンスクリューはねじ自体で雌ねじを形成し締結を行う特性がある。雌ねじ形成過程では大きな「回転トルク」 と「ねじ形成力」とを必要とする(非特許文献1によれば、「回転トルク」はスクリュードライバー側から供給される駆動トルク(Driving torque)であり、「ねじ形成力」はドライバービットを押しつける推力(Thrust force)または駆動トルクに対して発生する締付け力である軸力(Axial force)である。)。ねじ締結過程では大きな垂直方向への軸力が必要となり確実な締結操作が要求される。カムアウト現象(または効果)とはタッピンスクリュー締結の際、ドライバービットが垂直方向への軸力と回転トルクとに耐えられなくなった場合、雄ねじ(タッピングスクリュー)のねじ頭からドライバービットが外れる現象(スクリュードライバースリップアウト現象)であり、最悪雄ねじのねじ頭を損傷(破壊)してしまうプルアウト現象が生じる(非特許文献2、3参照)。
以上のように、カムアウト現象およびプルアウト現象は物理学的に、垂直方向への軸力と回転トルクとが存在する場合、打ち消すことのできない「カムアウト力およびプルアウトトルク(非特許文献1参照)」の存在の結果として発生する。特にプルアウトトルクはタッピンスクリューを最終的に締結する時に最大値を示し、その関値を超えるとプルアウト現象が生じ得る。従って、物理学的にカムアウト力およびプルアウトトルクを0にすることはできず、不可避な現象としてカムアウト現象およびプルアウト現象は起こり得る。このため、いくらねじ頭の改良を加えたとしても、垂直方向への軸力および回転トルクと、カムアウト力およびプルアウトトルクとが存在する限り、カムアウト現象およびプルアウト現象を根本的に解消することはできない。
脳神経外科手術で用いる小型のタッピンスクリューの締結における回転トルクと垂直方向への軸力の制御は非常に困難な作業である。しかし、上述したカムアウト現象が生じた場合、スクリュードライバーはまだ垂直方向への推力を持っているため、ドライバービットが滑りやすい骨外板を突き骨自体を損傷したり、あるいは開頭の際に開けた骨孔または骨の継ぎ目、眼窩内を刺傷してしまう重大刺傷事故の発生が予想される。しかし、従来抜本的な解決策が取られていないばかりか、全く認識されていない状況で日々手術が行われている。即ち、現状の手術器具においてタッピンスクリューを締結する際、カムアウト現象およびプルアウト現象は物理学的に解消されていないため、常にスクリュードライバースリップアウトによる頭蓋内刺傷事故のリスクを持ったまま手術をしている状況である。
上述したように、物理学的にカムアウト力およびプルアウトトルクを0にすることはできず、不可避な現象としてカムアウト現象およびプルアウト現象は起こり得る。脳神経外科手術で用いる小型のタッピンスクリューを現状の手術器具を用いて締結する際、カムアウト現象およびプルアウト現象は物理学的に解消されていないため、常にスクリュードライバースリップアウトによる頭蓋内刺傷事故のリスクを持ったまま手術をしている状況であるという問題があった。
そこで、本発明の目的は上記問題を解決するためになされたものであり、カムアウト現象およびプルアウト現象が物理学的に解消されていない状況であっても、閉頭操作の際のドライバービットによる刺傷事故を防止することができ、より安全に脳外科手術の閉頭操作を行うことができるストッパーを提供することにある。
本発明の第2の目的は、タッピンスクリュー締結時に皮膚を圧排するために用いられるリトラクターを不要とすることにより、さらに簡便に脳外科手術の閉頭操作を行うことができるストッパーを提供することにある。
この発明のストッパーは、底面を貫く中心孔を有する第1円盤と第2円盤とを両中心孔を合わせて凸状に形成したストッパーであって、第1円盤は底面の径が第1径で側面の幅が第1幅であり、第2円盤は底面の径が第1径より小さい第2径で側面の幅が第1幅より大きい第2幅であり、第2径は開頭時に作成される(開頭された時に作成された)骨孔径に基づく値に設定され、第2幅は側頭筋の厚さ又は開頭時(開頭された時)の頭皮の厚さに基づく値に設定され、前記第1円盤側の中心孔から前記第2円盤側の中心孔へ向けてドライバービットが挿通されることを特徴とする。
ここで、この発明のストッパーにおいて、前記第2円盤の第2径は開頭時(開頭された時)に作成される最大の骨孔径より略1mm大きくすることができる。
ここで、この発明のストッパーにおいて、前記第2円盤の第2幅は側頭筋の最大厚さ又は開頭時に翻転される(開頭された時に翻転された)頭皮の厚さより略大きくすることができる。
ここで、この発明のストッパーにおいて、前記第2円盤の側面から該第2円盤の中心孔へ達するネジ穴を備えることができる。
ここで、この発明のストッパーにおいて、前記ネジ穴に嵌め込む(捩じ込む)ネジをさらに備えることができ該ストッパーは該ネジにより前記ドライバービットの所定の位置で固定可能とすることができる。
ここで、この発明のストッパーにおいて、前記所定の位置は前記ドライバービットの先端から前記第2円盤の表面までの長さを頭蓋骨の厚さ以下とする位置にすることができる。
ここで、この発明のストッパーにおいて、前記ストッパーを前記ドライバービットの前記所定の位置で固定した際、該ドライバービットの回転と共に該ストッパーは回転することができる。
ここで、この発明のストッパーにおいて、該ストッパーは透明な材質により形成することができる。
本発明のストッパーは直径の異なる外部円盤と内部円盤とから構成されており、全体として透明な材質で形成されている。ストッパーは、外部円盤の中心孔と内部円盤の中心孔とを合わせて凸状に形成されている。ドライバービットをストッパーの両中心孔に挿通させ、内部円盤に形成された3つのネジ穴内にネジを各々嵌め込む(捩じ込む)ことにより、ドライバービットを固定することができる。ストッパーはスクリュードライバーの軸(ドライバービット)にがっちりと固定され、スクリュードライバーの回転と共に回転する。ストッパーは上述した3つのネジにより、スクリュードライバーの軸(ドライバービット)の所望の位置に固定することができる。この結果、ストッパーの先端側(内部円盤の底面側)から突き出すドライバービットの長さは、各症例の頭蓋骨の厚さに応じて無段階で調整可能とすることができるという効果がある。
開頭時作成する骨孔の最大直径は14mmが万国共通であるため、内部円盤の直径のサイズを開頭時に作成される最大の骨孔径(=14mm)より略1mm大きいφ15mmと設定した。この結果、カムアウト(スクリュードライバースリップアウト)現象が生じた場合であっても、骨孔等にドライバービットが迷入する恐れがなくなるため、頭蓋内刺傷事故または眼窩内の眼球を刺傷する事故を有効に防止することができるという効果がある。
内部円盤の側面の幅のサイズは側頭筋の最大厚さまたは開頭時に翻転される頭皮の厚さより略大きく7.5mmと設定した。通常のタッピンスクリュー締結時には、頭皮(頭皮の下で頭蓋骨の上にある筋肉も含む。)を圧排するリトラクターが必要となるが、上記の厚さ7.5mmは頭皮に対するリトラクターの役目も兼務することができる。この結果、従来用いられていたリトラクターの使用は不要となる。即ち、ストッパー自体がリトラクターの役目も兼務することができるという効果がある。
本発明のストッパー10の略使用状態における斜視撮影図である。 本発明のストッパー10の実際の使用状態を例示する図である。 本発明のストッパー10の平面撮影図である。 本発明のストッパー10の斜視撮影図である。 本発明のストッパー10の平面図である。 図5に示されるストッパー10のAA線断面図(左側面側)である。 ストッパー10の右側面図である。 図7に示されるストッパー10のBB線断面図(平面側)である。 本発明の別のサイズの大型ストッパー20の斜視撮影図である。 本発明の大型ストッパー20の平面図である。 図10に示される大型ストッパー20のAA線断面図(左側面側)である。 大型ストッパー20の右側面図である。 図12に示される大型ストッパー20のBB線断面図(平面側)図である。 図4に示したストッパー10からネジ70a等を取り除いた状態の斜視撮影図である。 ネジ70a等の拡大図である。 電動(回転)式スクリュードライバー100にセットされたドライバービット50に本発明のストッパー10等を装着した状態を示す図である。 手動(回転)式スクリュードライバー110にセットされたドライバービット50に本発明のストッパー10を装着した状態を示す図である。 電動式スクリュードライバー100を用いて頭蓋骨にタッピンスクリューを締結している状況を示す図である。 手動式スクリュードライバー110を用いて頭蓋骨にタッピンスクリュー210を締結している状況を示す図である。 スクリュードライバースリップアウトが生じて、仮に骨孔にドライバービット60の先端が迷入することがあった場合であっても、ストッパー10の内部円盤14が絶対に骨孔に落ち込まない事を演技した写真を示す図である。 開頭手術が施行された病名とのべ数とを示す図である。 手術で使用したインプラント総数を示す図である。 スクリュードライバースリップアウトを起こした回数を示す図である。 図23の結果を基にスクリュードライバースリップアウトをおこした割合示す立体棒グラフである。 手術別に見たスクリュードライバースリップアウトを起こした回数を示す立体棒グラフである。 スクリュードライバー本体のメーカー別に見たスクリュードライバースリップアウトを起こした回数を示す立体棒グラフである。 インプラントを使った頭蓋骨固定法で用いられる外固定タイプのチタン製プレートおよびチタン製スクリューを例示する図である。
以下、実施例について図面を参照して詳細に説明する。
発明者は、より安全に脳外科手術の閉頭操作を行うことができるようにするべく鋭意努力を重ね、医療用スクリュードライバー先端に装着する刺傷事故防止用の器具として医療用スクリュードライバーストッパー(以下、単に「ストッパー」と言う。)を開発した。以下、ストッパーの形状、大きさおよびそれらを採用した原理等について説明していく。
まず、ストッパーの全体像を示す。図1は、本発明のストッパー10の略使用状態における斜視撮影図を示す。図1に示されるように、ストッパー10は2つの円盤12(第1円盤)と円盤14(第2円盤)とから構成されており、全体として透明な材質で形成されている。ここで、一般的に円盤とは円柱のうち側面の幅が薄いものを指すところ、底面が丸みを帯びているものを含むこともあるが、本明細書における円盤は底面が丸みを帯びたものは含まないものとする。以下では、円盤12を外部円盤12、外部円盤12より直径が小さい円盤14を内部円盤14と呼ぶ。図1ではストッパー10の透明性のためやや判別しづらい点があるが、外部円盤12はその底面12Bを貫く中心孔12Hを有しており、内部円盤14もその底面14Bを貫く中心孔14Hを有している。ストッパー10は、中心孔12Hを有する外部円盤12と中心孔14Hを有する内部円盤14とを両中心孔12Hと14Hとを合わせて凸状に形成されている。即ち、両中心孔12Hおよび14Hは一体として形成されている。図1に示されるように、ドライバービット50がストッパー10の両中心孔12Hおよび14Hを挿通しており、内部円盤14に形成されたネジ穴18a、18bおよび18c内にネジ(不図示)を嵌め込む(捩じ込む)ことにより、ドライバービット50を固定することができる(ドライバービット50はストッパー10の全体像を示す便宜上、先端に刃は無い)。図1では説明の都合上、ドライバービット50を通常より長めに底面14Bから挿通させているが、後述するように、ストッパー10はドライバービット50の任意の位置に固定することができる。
図2は、本発明のストッパー10の実際の使用状態を例示する。図2で図1と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図2に示されるように、ドライバービット60はストッパー10の両中心孔12Hおよび14Hを挿通し、ドライバービット60の先端に形成された刃60Eが頭蓋骨SKLに当てられている。図2に示されるように、ストッパー10はドライバービット60の刃60Eにより近い位置に固定してある。
図3は、本発明のストッパー10の平面撮影図を示す。図3で図1と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図3では、両中心孔12Hおよび14Hが一体として形成されている形状が明瞭に示されており、内部円盤14に形成されたネジ穴18a、18bおよび18cもそのネジ溝の形状(ネジ山が切られている状態)が明瞭に示されている。図3に示されるように、外部円盤12は底面12Bが直径D12(第1径)に設定され、内部円盤14は底面14Bが直径D14(第2径)に設定されている。直径D14は直径D12より小さい。後に詳述するように、直径D14は開頭時に作成される骨孔径に基づく値に設定されている。
図4は、本発明のストッパー10の斜視撮影図を示す。図4で図3と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図4に示されるように、外部円盤12は側面12Sが幅W12(第1幅)に設定され、外部円盤14は側面14Sが幅W14(第2幅)に設定されている。幅W14は幅W12より大きい。後に詳述するように、幅W14は側頭筋の厚さまたは開頭時の頭皮の厚さに基づく値に設定されている。図4では、ネジ穴18a、18cに各々ネジ70a、70cが捩じ込まれている状態が示されている。ネジ穴18bにもネジ70bが捩じ込まれているが、背面側のため図4では明示されていない。図4に示されるように、ネジ70a等はネジ頭を含めて全てネジ穴18a等内に(つまり、内部円盤14に)入る長さとなっている。
次に、ストッパー10の設計図を用いてストッパー10の具体的なサイズおよびそれらのサイズを採用した原理(理由)等について説明する。図5は、本発明のストッパー10の平面図を示す。図5で図3と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図5ではネジ穴18a等は説明の都合上、省略している。図5に示されるように、内部円盤14の直径D14のサイズはφ15mmと設定した。その理由は以下の通りである。開頭時に用いる電動ドリルまたはエアドリルを製造するメーカーは数多く存在するが、頭蓋骨穿頭に用いるディスポーザブルのドリルの刃先を製造するメーカーは全世界1社(ジョンソン・エンド・ジョンソン(登録商標)株式会社)しかなく、当該ドリルの刃先の商品名はコッドマン(登録商標)ディスポーザブルパーフォーレーターと言う。当該ドリルの刃先の直径は8、11、14mmの3種類しかない。従って、開頭時作成する骨孔の最大直径は14mmが万国共通である。以上より、内部円盤14の直径D14のサイズを開頭時に作成される最大の骨孔径(=14mm)より略1mm大きいφ15mm(必要最小限の直径)と設定すれば、内部円盤14により骨孔を刺傷することはない。つまり、内部円盤14の直径D14のサイズは開頭時に作成される最大の骨孔径(=14mm)より略1mm大きいφ15mmが好適である。以上により、上述したカムアウト(スクリュードライバースリップアウト)現象が生じた場合であっても、骨孔等にドライバービットが迷入する恐れがなくなるため、頭蓋内刺傷事故または眼窩内の眼球を刺傷する事故を有効に防止することができる。
図5に示される外部円盤12の直径D12のサイズはφ22mmと設定した。この理由は経験的なものであり、狭い術野用として好適なサイズであれば別のサイズであってもよい。外部円盤12は、万一、内部円盤14が骨孔に落ち込んだ場合の安全ストッパーの役割を果たし、 頭蓋内刺傷事故を最小限に食い止める役割を有する。
図6は、図5に示されるストッパー10のAA線断面図(左側面側)である。図6で図4と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図6に示されるように、内部円盤14の側面14Sの幅W14のサイズは7.5mmと設定した。その理由は以下の通りである。頭皮の場合は翻転して開頭するため、開頭時の頭皮(皮膚)の厚さは通常の倍位になる。側頭筋の厚さも通常7−8mm以上はない。従って、7.5mmとした。つまり、内部円盤14の側面14Sの幅W14のサイズは、側頭筋の最大厚さまたは開頭時に翻転される頭皮の厚さより略大きい7.5mmとすることが好適である。通常のタッピンスクリュー締結時には、頭皮(頭皮の下で頭蓋骨の上にある筋肉も含む。)を圧排するリトラクターが必要となるが、上記の厚さ7.5mmは頭皮に対するリトラクターの役目も兼務することができるため、従来用いられていたリトラクターの使用は不要となる。即ち、ストッパー10自体がリトラクターの役目も兼務することができる。図6に示されるように、内部円盤14の側面14Sの幅W14のサイズ(7.5mm)と外部円盤12の側面12Sの幅W12のサイズとを合わせたサイズ(W12+W14)は10.5mmと設定したため、幅W12のサイズは3mmとなる。図6では、外部円盤12の中心孔12Hと内部円盤14の中心孔14Hとが一体として形成されている形状が明瞭に示されており、両中心孔12Hおよび14Hの直径はφ3.0mmと設定した。その理由は、この直径のサイズであれば、ほとんどのメーカーの既製品スクリュードライバーに使用可能だからである。図6ではネジ穴18a等の径のサイズは示していないが、後述するようにネジ穴18a等に捩じ込むネジ70a等の直径はφ3mmと設定した。図6ではネジ穴18aと中心孔12Hおよび14Hとを強調するために切断面を斜線で示したが、当該斜線部分も透明である(但し、ネジ穴18aの内壁部に形成されたネジ溝部分は除く。)。図6に示される符号C0.3は外部円盤12、内部円盤14等の角部の面取り量(mm)であり、R0.2は外部円盤12と内部円盤14との間の丸みのある角部の円弧半径(mm)である。
図7は、ストッパー10の右側面図である。図7で図4と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図7に示されるように、内部円盤14の底面14Bとネジ孔18bの中心との間の距離は3.75mmと設定した。この長さは、上述した内部円盤14の側面14Sの幅W14のサイズ(=7.5mm)の半分となっている。図7では上述した外部円盤12、内部円盤14等の角部の面取りが明示されている。
図8は、図7に示されるストッパー10のBB線断面図(平面側)である。図8で図4と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図1および図2の説明の際に言及したように、ドライバービット50、60はストッパー10の両中心孔12Hおよび14Hを挿通し、内部円盤14に形成されたネジ穴18a、18b、18c内に各々ネジ70a、70b、70cを嵌め込むことにより、ドライバービット50、60を固定することができる。つまり、ストッパー10は内部円盤14の側面14Sから内部円盤14の中心孔14Hへ達するネジ穴18a等を備えており、これらのネジ穴18a等に捩込むネジ70a等はドライバービット50等の軸を固定するための軸固定ネジである。図8に示されるように、(軸掴定)ネジ70a、70bおよび70c(不図示)用の各ネジ穴18a、18bおよび18cの3本が120°度の角度で等配(等間隔配置)されており、ドライバービットが回転する時の軸ぶれを防ぐ。図8に記されているように、ネジ70a等はM3(メートルネジで直径3mm)である。より具体的にはネジ70a等は6角穴付きイモネジであり、固定には6角レンチを用いる。ネジ70a等はネジ頭を含めて全てネジ穴18a等内に(つまり、内部円盤14に)入る長さとなっているため、締結時に周囲組織を損傷する心配はない。図8ではネジ穴18aと中心孔14H(12H)とを強調するために切断面を斜線で示したが、当該斜線部分も透明である(但し、ネジ穴18aの内壁部に形成されたネジ溝部分は除く。)。以上のような3本のネジ70a等により、ストッパー10はスクリュードライバー(不図示)の軸(ドライバービット)にがっちりと固定され、スクリュードライバーの回転と共に回転する。例えば、直径の細いドライバービットをネジ70aの1ヶ所のみで固定した場合、スクリュードライバーが回転するとストッパー10自体がぶれる軸ぶれが起きる。軸ぶれは正確に表現すれば「ストッパー10の回転ぶれ」とも言える。ストッパー10はそれ自体筋鈎(開創後、主に皮下組織や筋層の牽引、組織の圧排に使用する。)の役割を果たすため、ストッパー10が回転ぶれを起こすことは許されないものである。図8では3つのネジ穴18a等を示したが、ストッパー10が回転ぶれを起こさないようにするために、3つ以上のネジ穴18a等を用いてもよい。上述したように、ストッパー10はスクリュードライバーの回転と共に回転するため、内部円盤14の形状は円盤形状である必要がある。
図9は、本発明の別のサイズの大型ストッパー20の斜視撮影図を示す。図9で図4と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図9(A)が上述してきたストッパー10であり、図9(B)が大型ストッパー20である。大型ストッパー20がストッパー10と異なる点は、図9(A)、(B)に示されるように、大型ストッパー20における外部円盤22の底面22Bの直径D22がストッパー10における外部円盤12の底面12Bの直径D12より大きく設定されている点である。一方、大型ストッパー20における外部円盤22の側面22Sの幅W12はストッパー10における外部円盤12の側面12Sの幅W12と等しく設定されている。
図10〜図13は大型ストッパー20の設計図であり、上述したストッパー10の設計図5〜8に対応する。図10〜13に示される大型ストッパー20は図5〜8に示されたストッパー10と機能、効果等は同様であり、各部分のサイズに設定した理由もほぼ同様である。以下、大型ストッパー20がストッパー10と異なる点に中心をおいて説明する。
図10は、本発明の大型ストッパー20の平面図を示す。図10で図5、図9と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図10でも図5と同様に、ネジ穴18a等は説明の都合上、省略している。図10に示されるように、外部円盤22の直径D22のサイズはφ30mmと設定した。この理由は経験的なものであり、広い術野用として好適なサイズであれば別のサイズであってもよい。外部円盤22も、万一、内部円盤14が骨孔に落ち込んだ場合における、外部円盤12よりもさらに安全なストッパーの役割を果たし、 頭蓋内刺傷事故を最小限に食い止める役割を有する。
図11は、図10に示される大型ストッパー20のAA線断面図(左側面側)である。図11で図6、図9と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図11に示されるように、大型ストッパー20における外部円盤22の側面22Sの幅W12は、図6に示されるストッパー10における外部円盤12の側面12Sの幅W12と等しく3mmに設定されている。
図12は、大型ストッパー20の右側面図である。図12で図7、図9と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図12に示されるように、内部円盤14の底面14Bとネジ孔18bの中心との間の距離は3.75mmであり、図7に示されるストッパー10と同様に設定した。
図13は、図12に示される大型ストッパー20のBB線断面図(平面側)である。図13で図8、図9と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図8のストッパー10のBB線断面図における説明と同様に、ドライバービット50、60は大型ストッパー20の両中心孔22Hおよび14Hを挿通する。大型ストッパー20も内部円盤14の側面14Sから内部円盤14の中心孔14Hへ達するネジ穴18a等を備えており、これらのネジ穴18a等に捩込むこれらのネジ70a等はドライバービット50等の軸を固定するための軸固定ネジである。以上のような3本のネジ70a等により、大型ストッパー20もスクリュードライバー(不図示)の軸(ドライバービット)にがっちりと固定され、スクリュードライバーの回転と共に回転する。
図14は、図4に示したストッパー10からネジ70a等を取り除いた状態の斜視撮影図を示す。図14で図4と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図14ではネジ70a等を取り除いた状態を強調するため、一部の符号は省略してある。図14に示されるように、ネジ穴18a等はネジ溝の存在のため不透明となっている。
図15は、ネジ70a等の拡大図を示す。図15(A)はネジ70a等を水平に置いた場合の斜視撮影図を示し、符号72はネジ70a等の先端、74はネジ70a等のネジ頭である。図15(B)はネジ70a等の先端72を上にして垂直に置いた場合の斜視撮影図を示し、図15(C)はネジ70a等のネジ頭74を上にして垂直に置いた場合の斜視撮影図を示す。図15(C)のネジ頭74が示すように、ネジ70a等は6角穴付きイモネジであり、固定には6角レンチを用いる。
図16は、電動(回転)式(以下、「電動式」と略す。)スクリュードライバー100に本発明のストッパー10等を装着した状態を示す。図16(A)は電動式スクリュードライバー100にセットされたドライバービット60に大型ストッパー20を装着した状態を示し、図16(B)は電動式スクリュードライバー100にセットされたドライバービット60にストッパー10を装着した状態を示す。電動式スクリュードライバー100はサンエー精巧株式会社製のサンエープレートシステム パワーツールを用いた。但し、電動式スクリュードライバー100は当該製品に限定されるものではない。
図17は、手動(回転)式(以下、「手動式」と略す。)スクリュードライバー110にセットされたドライバービット60に本発明のストッパー10を装着した状態を示す。手動式スクリュードライバー110はサンエー精巧株式会社製のサンエープレートドライバーを用いた。但し、手動式スクリュードライバー110は当該製品に限定されるものではない。
図16および図17に示されるように、本発明のストッパー10、20は電動式スクリュードライバー100および手動式スクリュードライバー110の双方へ取付が可能である。頭蓋骨の厚さは個人により、また同じ個人でも部位により全く違う。本発明のストッパー10等は上述した3つのネジ(6角穴付きイモネジ)70a等により、スクリュードライバー100、110の軸(ドライバービット60)の所望の位置に固定することができる。即ち、外部円盤12側の中心孔12Hから内部円盤14側の中心孔14Hへ向けてドライバービット50、60を通した際(図1参照)、上述したネジ穴18a等にねじ込むネジ70a等により、ストッパー10等はドライバービット50等の所定の位置で固定可能である。このため、ストッパー10等の先端側(内部円盤14の底面14B側)から突き出すドライバービット50等の長さは、各症例の頭蓋骨の厚さに応じて無段階で調整可能である。つまり、頭蓋骨の厚さが3mmであれば、ドライバービット50等の先端からストッパー10等の内部円盤14の表面(底面14B)までの距離が3mm以下の位置に内部円盤14の表面がくるようにストッパー10等を3つのネジ(6角穴付きイモネジ)70a等で固定することにより、理論上刃60Eが脳を刺してしまうことはない。同様に、頭蓋骨の厚さが10mmであれば、ドライバービット50等の先端からストッパー10等の内部円盤14の表面(底面14B)までの距離が10mm以下の位置に内部円盤14の表面がくるようにストッパー10等を3つのネジ(6角穴付きイモネジ)70a等で固定すれば良い。即ち、上記ドライバービット50等の所定の位置とは、ドライバービット50等の先端から内部円盤14の表面(底面14B)までの長さを頭蓋骨の厚さ以下とする位置である。ストッパー10等をドライバービット50等の上記所定の位置で固定した際、ドライバービット50等の回転と共にストッパー10等が回転する。
図18は、電動式スクリュードライバー100を用いて頭蓋骨にタッピンスクリューを締結している状況を示す。より詳しくは、右こめかみの付近の皮膚を顔側に翻転している状況である。図18に示されるように、ストッパー10は電動式スクリュードライバー100のドライバービット60にセットされている。図18で、符号200はインプラント(白点線の円で示す。)、210は(既に打ち終わった)タッピンスクリュー、220は前額部皮膚を前(顔側)に翻転する釣り針、TEMPは側頭筋である。インプラント200の下に頭蓋骨があり、電動式スクリュードライバー100を用いてインプラント200をタッピンスクリュー210で固定している。タッピンスクリュー210は従来技術で説明したようなもの(図27(B)参照)を用いればよく、そのネジ頭は大体はプラス溝(稀に4角レンチタイプ)である。上述したように、ストッパー10等の材質は透明である(例えば、透明アクリルを使用している)ため、術者からタッピンスクリュー210、インプラント200、側頭筋TEMP等への視認性に問題はない。このように、ストッパー10等の材質(材料)の透明性を確保することによりストッパー10等の装着の視認性を確保しているため、ドライバービット60の先端にストッパー10等を装着しても、物理的に刺傷事故回避をすることができる。加えて、内部円盤14の側面14Sの厚みW14が側頭筋TEMPに対するリトラクターの役割を担っているため、リトラクターが不要な状態で視野の確保が可能である。
図19は、手動式スクリュードライバー110を用いて頭蓋骨にタッピンスクリュー210を締結している状況を示す。図19で図18と同じ符号を付した個所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図19に示されるように、ストッパー10は手動式スクリュードライバー110のドライバービット60にセットされている。図19で、符号250はチタン性メッシュと言い、比較的広い頭蓋骨の欠損部に覆う物で、人工骨の役目と、他の骨との固定との双方の役割を兼ね備える物である。図18で説明した電動式スクリュードライバー100の場合と同様に、術者からタッピンスクリュー210、チタン性メッシュ250等への視認性は問題なく、内部円盤14の側面14Sの厚みW14がリトラクターの役割を果たしており、ドライバービット60による刺傷事故の防止とリトラクターの不要化という一石二鳥の効果が見られている。
図20は、スクリュードライバースリップアウトが生じて、仮に骨孔にドライバービット60の先端が迷入することがあった場合であっても、ストッパー10の内部円盤14が絶対に骨孔に落ち込まない事を演技した写真を示す。図20に示されるように、ストッパー10は手動式スクリュードライバー110のドライバービット60にセットされている。図20で、符号BHは開頭する際に開けられた骨孔である。上述したように、骨孔BHの最大直径は全世界共通に14mmであり、内部円盤14の直径D14は15mmであるため、内部円盤14は絶対に骨孔BHに落ち込むことはなく、頭蓋内刺傷事故は回避することができる。もしも内部円盤14の直径D14を16mm以上に設定した場合、リトラクターとしての役割において支障を生ずる。図20は説明の都合上、比較的広い術野を示しているが、実際の術野はもっと狭く、内部円盤14の直径D14が16mm以上では術者の感覚上大きすぎて邪魔になる。以上より、内部円盤14の直径D14は15mmとすることが好適であるという根拠が成り立つ。万が一内部円盤14が骨孔BHに落ち込んだ場合であってもストッパー10の外部円盤12で落ち込みは止まるため、脳内への刺傷は最小限に済ませることができる。上述したように、ストッパー10の内部円盤14の先に出すドライバービット60の長さを頭蓋骨の厚さ以下に調節しておけば、絶対に脳表を傷つけることはない。
検証:
発明者は、ストッパー10等を実際に使用した場合の効果を検証するため、以下に示すような調査を行った。本手術および調査に関わった者はすべて本発明に関し秘密保持義務を有している。所定の期間に発明者が所属する大学附属病院で(開頭)手術が施行された、男性19例、女性29例の合計48例が対象である。年齢は31〜83歳、年齢中央値57歳、全ての患者は日本人、手術は単一術者である。図21は開頭手術が施行された病名とのべ数とを示す。のべ数は51となり上記合計例の数より多いが、これは患者によっては複数の病名がついているためである。
発明者は、手術記録と手術伝票とを基に、手術で使用したインプラント総数、 タッピンスクリュー総数を求め、手術ビデオからスクリュードライバースリップアウトの回数を求めた。さらに、電動式スクリュードライバー100を用いた場合と手動式スクリュードライバー110を用いた場合との違い、スクリュードライバー100等の本体のメーカー(A〜E社)別に本発明のストッパー10等を使用した場合の違い等を検討した。
図22は、手術で使用したインプラント総数を示す。図22に示されるように、チタンプレートは109枚、チタンメッシュは53枚、 タッピンスクリューは496個、シンバルタイプは24個使用している。
図23は、スクリュードライバースリップアウトを起こした回数を示す。図23に示されるように、電動式スクリュードライバー100によるものは13回/432回 (3.1%)であり、手動式スクリュードライバー110によるのものは4回/64回(6.3%)であり、電動式スクリュードライバー100が途中で停止し、その後手動式スクリュードライバー110にて締結し直した症例では0回/16回である。やや手動式スクリュードライバー110でのスクリュードライバースリップアウトの割合が多かった。電動式スクリュードライバー100から手動式スクリュードライバー110へ切り替えた症例でのスクリュードライバースリップアウトはなかった。総数は17回/512回(3.3%)となった。つまり、合計17回スクリュードライバースリップアウトが生じた。しかし、実際に頭蓋内刺傷事故に至った症例はなかった。図24は、図23の結果を基にスクリュードライバースリップアウトをおこした割合を立体棒グラフで示す。図24で縦軸は割合(%)、横軸は図23の各項目であり、原図では赤色の立体棒グラフ(ほぼ全体を占める)がスクリュードライバースリップアウト(ドライバー外れ)無であり、青色の立体棒グラフがスクリュードライバースリップアウト(ドライバー外れ)有である。
図25は、手術別に見たスクリュードライバースリップアウトを起こした回数を立体棒グラフで示す。図25で縦軸は回数、横軸は手術名である。手術名は図25の横軸左側から、脳腫瘍摘出術、脳腫瘍摘出術(ギリアデル(登録商標)留置症例:ギリアデル(登録商標)は抗癌剤が入った脳内留置する薬剤)、脳腫瘍摘出術(PDT:光線力学的療法)、脳動脈瘤クリッピング術、頭蓋形成術である。原図では図24と同様に赤色の立体棒グラフ(ほぼ全体を占める)がスクリュードライバースリップアウト(ドライバー外れ)無であり、青色の立体棒グラフがスクリュードライバースリップアウト(ドライバー外れ)有である。
図26は、スクリュードライバー本体のメーカー別に見たスクリュードライバースリップアウトを起こした回数を立体棒グラフで示す。図26で縦軸は回数、横軸はメーカー(A社〜E社)である。原図では図24、25と同様に赤色の立体棒グラフ(ほぼ全体を占める)がスクリュードライバースリップアウト(ドライバー外れ)無であり、青色の立体棒グラフがスクリュードライバースリップアウト(ドライバー外れ)有である。図26に示されるように、A〜E社の5社ともスクリュードライバースリップアウトの割合に大きな差は見られなかった(χ検定:p=0.997)。以上の合計5社のスクリュードライバー100等にストッパー10等を使用したところ、 いずれのメーカーのスクリュードライバー100等にも装脱着可能で汎用性があった。加えて、ストッパー10等の材質は透明アクリルであるため、いずれのメーカーのスクリュードライバー100等を用いてタッピンスクリューを装着する際も視認性が良く、締結する際にリトラクターも不要であり、操作性に開題はなかった。今回の検討は脳神経外科手術のみでの検討であるが、本発明品のストッパー10等は他のインプラントを用いる全ての手術に応用できる利点を持っている。
以上の調査の結果、総締結回数512回の内、17回(3.3%)スクリュードライバースリップアウトが生じた。しかし、実際に頭蓋内刺傷事故に至った症例はなかった。
以上を纏めると、本発明のストッパー10等は外部円盤12(第1円盤)と内部円盤14(第2円盤)とから構成されており、全体として透明な材質で形成されている。外部円盤12はその底面12Bを貫く中心孔12Hを有しており、内部円盤14もその底面14Bを貫く中心孔14Hを有している。ストッパー10は、中心孔12Hを有する外部円盤12と中心孔14Hを有する内部円盤14とを両中心孔12Hと14Hとを合わせて凸状に形成されている。ドライバービット50等がストッパー10の両中心孔12Hおよび14Hを挿通しており、内部円盤14に形成されたネジ穴18a、18bおよび18c内に3本のネジ70a、70b、70cを各々嵌め込むことにより、ドライバービット50等を固定することができる。以上のような3本のネジ70a等により、ストッパー10はスクリュードライバー100等の軸(ドライバービット50等)にがっちりと固定され、スクリュードライバー100等の回転と共に回転する。
開頭時作成する骨孔の最大直径は14mmが万国共通である。このため、内部円盤14の直径D14のサイズを開頭時に作成される最大の骨孔径(=14mm)より略1mm大きいφ15mm(必要最小限の直径)と設定すれば、内部円盤14により骨孔を刺傷することはない。そこで、内部円盤14の直径D14のサイズは開頭時に作成される最大の骨孔径(=14mm)より略1mm大きいφ15mmと設定した。この結果、カムアウト(スクリュードライバースリップアウト)現象が生じた場合であっても、骨孔BH等にドライバービット50等が迷入する恐れがなくなるため、頭蓋内刺傷事故または眼窩内の眼球を刺傷する事故を有効に防止することができる。
頭皮の場合は翻転して開頭するため、開頭時の頭皮(皮膚)の厚さは通常の倍位になる。側頭筋の厚さも通常7−8mm以上はない。そこで、内部円盤14の側面14Sの幅W14のサイズは7.5mmと設定した。つまり、内部円盤14の側面14Sの幅W14のサイズは側頭筋の最大厚さまたは開頭時に翻転される頭皮の厚さより略大きいことが好適である。通常のタッピンスクリュー締結時には、頭皮(頭皮の下で頭蓋骨の上にある筋肉も含む。)を圧排するリトラクターが必要となるが、上記の厚さ7.5mmは頭皮に対するリトラクターの役目も兼務することができるため、従来用いられていたリトラクターの使用は不要となる。即ち、ストッパー10自体がリトラクターの役目も兼務することができる。
頭蓋骨の厚さは個人により、また同じ個人でも部位により全く違う。本発明のストッパー10等は上述した3つのネジ(6角穴付きイモネジ)70a等により、スクリュードライバー100等の軸(ドライバービット50等)の所望の位置に固定することができる。即ち、外部円盤12側の中心孔12Hから内部円盤14側の中心孔14Hへ向けてドライバービット50等を通した際、上述したネジ穴18a等にねじ込むネジ70a等により、ストッパー10等はドライバービット50等の所定の位置で固定可能である。このため、ストッパー10等の先端側(内部円盤14の底面14B側)から突き出すドライバービット50等の長さは、各症例の頭蓋骨の厚さに応じて無段階で調整可能である。
以上より、本発明の実施例1によれば、カムアウト現象およびプルアウト現象が物理学的に解消されていない状況であっても、閉頭操作の際のドライバービット50等による刺傷事故を防止することができ、より安全に脳外科手術の閉頭操作を行うことができるストッパー10等を提供することができる。加えて、タッピンスクリュー締結時に皮膚を圧排するために用いられるリトラクターを不要とすることにより、さらに簡便に脳外科手術の閉頭操作を行うことができるストッパー10等を提供することができる。
本発明の活用例として、ストッパー10等は脳外科手術の閉頭操作に用いられるスクリュードライバー100等にセットするドライバービット50等の先端に装着することができる。本発明品のストッパー10等は脳神経外科手術だけではなく、他のインプラントを用いる全ての手術で用いられる医療用スクリュードライバーに適用することができる。
10、20 ストッパー、 12 外部円盤、 12B 外部円盤底面、 12H 外部円盤中心孔、 12S 外部円盤側面、 14 内部円盤、 14B 内部円盤底面、 14H 内部円盤中心孔、 14S 内部円盤側面、 18a、18b、18c ネジ穴、 22 大型外部円盤、 22B 大型外部円盤底面、 22H 大型外部円盤中心孔、 22S 大型外部円盤側面、 50、60 ドライバービット、 60E ドライバービット60の刃、 70a、70b、70c (イモ)ネジ、 72 ネジ先端、 74 ネジ頭、 100 電動式スクリュードライバー、 110 手動式スクリュードライバー、 200 インプラント、 210 タッピンスクリュー、 220 釣り針、 250 チタン性メッシュ。
BH 骨孔、 D12 外部円盤直径、 D14 内部円盤直径、 D22 大型外部円盤直径、 SKL 頭蓋骨、 TEMP 側頭筋、 W12 外部円盤側面幅、 W14 内部円盤側面幅。
Fukawa M. 「布川 将之」"Characteristics of Applied Forces for Tightening Self Tapping Screw Joints", Chuo University Academic Information Repository, 2013. 「タッピンねじ締結における締結力特性」,[online]、[2017年6月15日検索]、インターネット、<URL: http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/5106/s/2494/> Adler, W. Alexander 3. "Testing and Understanding Screwdriver Bit Wear", Virginia Tech Digital Library and Archives (M.Sc.). Virginia Tech. pp. 5-9, 1998. Kimura T. 「木村 忠」"Study on Cam-out Behavior in Tapping-Screw Tightening", Chuo University Academic Information Repository, 2010.「タッピンねじ締結におけるカムアウト現象の研究」,[online]、[2017年6月15日検索]、インターネット、<URL: http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/3215/s/914/>

Claims (8)

  1. 底面を貫く中心孔を有する第1円盤と第2円盤とを両中心孔を合わせて凸状に形成したストッパーであって、
    第1円盤は底面の径が第1径で側面の幅が第1幅であり、
    第2円盤は底面の径が第1径より小さい第2径で側面の幅が第1幅より大きい第2幅であり、第2径は開頭時に作成される骨孔径に基づく値に設定され第2幅は側頭筋の厚さ又は開頭時の頭皮の厚さに基づく値に設定され、前記第1円盤側の中心孔から前記第2円盤側の中心孔へ向けてドライバービットが挿通されることを特徴とするストッパー。
  2. 請求項1記載のストッパーにおいて、前記第2円盤の第2径は開頭時に作成される最大の骨孔径より略1mm大きいことを特徴とするストッパー。
  3. 請求項1又は2記載のストッパーにおいて、前記第2円盤の第2幅は側頭筋の最大厚さ又は開頭時に翻転される頭皮の厚さより略大きいことを特徴とするストッパー。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のストッパーにおいて、前記第2円盤の側面から該第2円盤の中心孔へ達するネジ穴を備えたことを特徴とするストッパー。
  5. 請求項4記載のストッパーにおいて、前記ネジ穴に嵌め込むネジをさらに備え該ストッパーは該ネジにより前記ドライバービットの所定の位置で固定可能であることを特徴とするストッパー。
  6. 請求項5記載のストッパーにおいて、前記所定の位置は前記ドライバービットの先端から前記第2円盤の表面までの長さを頭蓋骨の厚さ以下とする位置であることを特徴とするストッパー。
  7. 請求項6記載のストッパーにおいて、前記ストッパーを前記ドライバービットの前記所定の位置で固定した際、該ドライバービットの回転と共に該ストッパーが回転することを特徴とするストッパー。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のストッパーにおいて、該ストッパーは透明な材質により形成されたことを特徴とするストッパー。



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