JP6936155B2 - マイクロ流体分配を用いた長いヌクレオチド配列の標的富化 - Google Patents

マイクロ流体分配を用いた長いヌクレオチド配列の標的富化 Download PDF

Info

Publication number
JP6936155B2
JP6936155B2 JP2017566728A JP2017566728A JP6936155B2 JP 6936155 B2 JP6936155 B2 JP 6936155B2 JP 2017566728 A JP2017566728 A JP 2017566728A JP 2017566728 A JP2017566728 A JP 2017566728A JP 6936155 B2 JP6936155 B2 JP 6936155B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
droplets
dna
target
target dna
droplet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017566728A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018518968A5 (ja
JP2018518968A (ja
Inventor
ユスト ミッケルセン マリー
ユスト ミッケルセン マリー
クビスト トマス
クビスト トマス
ビャアン マスン エスペン
ビャアン マスン エスペン
Original Assignee
サンプリクス アンパーツゼルスカブ
サンプリクス アンパーツゼルスカブ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サンプリクス アンパーツゼルスカブ, サンプリクス アンパーツゼルスカブ filed Critical サンプリクス アンパーツゼルスカブ
Publication of JP2018518968A publication Critical patent/JP2018518968A/ja
Publication of JP2018518968A5 publication Critical patent/JP2018518968A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6936155B2 publication Critical patent/JP6936155B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6844Nucleic acid amplification reactions
    • C12Q1/6848Nucleic acid amplification reactions characterised by the means for preventing contamination or increasing the specificity or sensitivity of an amplification reaction
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6806Preparing nucleic acids for analysis, e.g. for polymerase chain reaction [PCR] assay
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6844Nucleic acid amplification reactions
    • C12Q1/686Polymerase chain reaction [PCR]

Description

本発明は、既知ヌクレオチド配列エレメント、すなわち、保存された活性部位又はドメインをコードする配列を含む長いヌクレオチド断片の富化又は単離のための方法に関連し、前記方法は、既知の配列エレメントを含むDNA断片のハイスループットスクリーニングに適用可能である。
DNAシーケンシングは、遺伝学研究の主要な原動力である。新たな強力な高スループットシーケンシング機器が利用可能になっているため、「次世代シーケンシング」技術革命が勢い付いている。遺伝的変異の分析を含む、多様な範囲のアプリケーションをサポートするために、新規で改善された方法及びプロトコルが開発されている。その一部として、標的キャンサーパネル又は完全ヒトエキソームなどのゲノム亜領域の標的富化を達成することを目的とする方法が開発されている。目的のゲノム遺伝子座の選択的回収(recovery)により、全ゲノム配列決定と比較してコスト及び労力を大幅に低減することが可能である。
標的富化のための現在の技術は、ハイブリッドキャプチャー、選択的環状化、及びPCR増幅の3つのカテゴリーに分類される。ハイブリッドキャプチャー技術では、短い断片ライブラリー(典型的には100〜250塩基対)を相補的なDNA断片に特異的にハイブリダイズさせ、目的の配列を物理的に捕捉し単離できるようにする。選択的環状化は方法を包含し、ここで、標的配列を含む一本鎖DNA環が形成され、次いで、標的配列の選択的増幅のために使用される共通のDNAエレメントを有する構造を作製する。最後に、PCR増幅に基づく富化は、複数のPCR反応を並行して実施することによって標的領域に向けられる。
現在の富化方法に共通しているのは、標的配列の有意な知識、比較的純粋な試料、標的配列の有意な量、及びそれらが比較的短い配列を生成することを必要とすることである。
したがって、例えば、高価で時間がかかり、標的の頻度が低い(すなわちゲノムあたり1コピーの標的)及び解析が試料中の各DNA分子の個別化された解析に依存しない、哺乳類ゲノムDNA試料などの複雑なDNA試料を解析することができる方法が必要である。
Tan,Y-C., et al., Monodipersed microfluidic droplet generation by shear focusing microfluidic device. Sensors and Actuators, 2006, B114: 350-356 Sharma, S., et al., Droplet-based microfluidics. Methods in Molecular Biology, 2013. 949: p. 207-30. Hindson, B.J., et al., High-throughput droplet digital PCR system for absolute quantitation of DNA copy number. Anal Chem, 2011. 83(22): p. 8604-10. Sambrook, J. and D.W. Russell, Molecular Cloning a laboratory manual. 2001: Cold Spring Harbor Laboratory Press. Walter, N.G., Single molecule tools: fluorescence based approaches, part A. Preface. Methods in Enzymology, 2010. 472: p. xxi-xxii. Kintses, B., et al., Microfluidic droplets: new integrated workflows for biological experiments. Current Opinion in Chemical Biology, 2010. 14(5): p. 548-55. Rinke, C., et al., Obtaining genomes from uncultivated environmental microorganisms using FACS-based single-cell genomics. Nat. Protocols, 2014. 9(5): p. 1038-1048. Agresti, J.J., et al., Ultrahigh-throughput screening in drop-based microfluidics for directed evolution. Proc Natl Acad Sci U S A, 2010. 107(9): p. 4004-9. Longo, M.C., M.S. Berninger, and J.L. Hartley, Use of uracil DNA glycosylase to control carry-over contamination in polymerase chain reactions. Gene, 1990. 93(1): p. 125-8. Prodelalova, J., et al., Isolation of genomic DNA using magnetic cobalt ferrite and silica particles. Journal of Chromatography A, 2004. 1056(1-2): p. 43-48. Pandit, K.R., et al., Assessment of surfactants for efficient droplet PCR in mineral oil using the pendant drop technique. Colloids Surf B Biointerfaces, 2015. 126: p. 489-95. Liu, Y., S.-Y. Jung, and C.P. Collier, Shear-Driven Redistribution of Surfactant Affects Enzyme Activity in Well-Mixed Femtoliter Droplets. Analytical Chemistry, 2009. 81(12): p. 4922-4928.
本発明は、第1の形態によれば、混合DNA試料から1つ又はそれ以上の標的DNA分子を富化するためのin vitro方法であって、
a) 1つ又はそれ以上の標的特異的DNA分子を含む混合DNA分子の液体試料及び少なくとも1つの前記標的DNA分子(401)の特異的検出用試薬を提供し、
b) 前記液体試料(403)から複数の液滴の形成、
c) 少なくとも1つの前記標的DNA分子(404)を含む液滴の特異的検出、ここで、各液滴は、平均してより多くの前記標的DNA分子(404)の1つの0.5未満、好ましくは0.25未満又はより好ましくは0.1未満を含み、及び
d) 少なくとも1つの前記標的DNA分子(405)を含む液滴を物理的に選択し、
e) 工程d)から合体し選択された液滴におけるDNA分子の一般的な増幅、ここで、前記DNA分子は総量が300fg未満であり、一般的な増幅反応混合物を形成するために一般的な増幅試薬を、合体し選択された液滴に加え、及び各反応混合物5μl当たり少なくとも1.2x106から最大1.2x109の液滴が形成される、工程を含む方法。
本発明は、第2の形態によれば、混合DNA試料から1つ又はそれ以上の標的DNA分子を富化するためのin vitro方法であって、
a) 1つ又はそれ以上の標的特異的DNA分子を含む混合DNA分子の液体試料及び少なくとも1つの前記標的DNA分子(401)の特異的検出用試薬を提供し、
b) 前記液体試料(402)からの混合DNA分子をそれぞれ含む複数の液滴の形成、
c) 少なくとも1つの前記標的DNA分子404)を含む液滴の特異的検出、ここで、各液滴は、平均してより多くの前記標的DNA分子(404)の1つの0.5未満、好ましくは0.25未満又はより好ましくは0.1未満を含み、及び
d) 少なくとも1つの前記標的DNA分子(405)を含む液滴を物理的に選択し、ここで、
ステップ(a)における混合DNA分子の試料におけるその頻度と比較した標的DNA分子の頻度は、0.01x(DNA分子を含む液滴の総数)x(標的DNAを有する液滴の数)-1と100x(DNA分子を含む液滴の総数)x(標的DNAを有する液滴の数)-1との間で増加し、
e) 工程d)から合体し選択された液滴における混合DNA分子の一般的な増幅、ここで、混合DNA分子は総量が300fg未満であり、一般的な増幅反応混合物を形成するために一般的な増幅試薬を、合体し選択された液滴に加え、及び各反応混合物5μl当たり少なくとも1.2x106から最大1.2x109の液滴が形成される、工程を含む方法。
第1又は第2の実施形態の代わりに、工程e)におけるDNAの総量(選択された液滴に由来する)は200fg未満、又は150fg未満、又は100fg未満、又は80fg未満、又は60fg未満、又は40fg未満、又は20fg未満、又は10fg未満、又は5fg未満、又は3fg未満、又は2fg未満、又は1fg未満である。
特定のDNA富化の現在の方法とのPINSswiftの比較。上部:塗りつぶした黒い線は約30kbのDNA標的を表す。点線は、富化方法を実施するために予め必要とされる標的配列に関するヌクレオチド配列情報を表す。PINSswiftに必要なヌクレオチド配列情報は、DNA標的配列上の任意の位置に位置することができる。下部(矢印の下):黒い線は、3つの異なるタイプの富化後の標的DNA分子の長さの差異を示す富化されたDNA標的分子を表す。 1、2、3、4ラウンド後のPINSswift後の標的DNA分子の富化(全DNA 1ngあたりの標的分子の数に基づいて、出発試料中のDNAに対して倍増した)は、標的配列あたり4つの陽性液滴及び合計20,000液滴を想定して、1つの反応で多重化された1、5及び20標的を示す。 標的DNA分子の数、陽性液滴の平均数及び結果として生じる標的DNA分子の富化との間の相関;標的当たり1ラウンドのPINSswift、20,000液滴及び10陽性液滴を使用して例示する。 PINSswiftを実行するためのスキームの概要 401:1つ又はそれ以上のDNA標的を含むDNA試料及び検出反応のための試薬が混合される。 402:液滴生成に必要な成分が混合物に加えられる。 403:DNAと試薬を含む液滴が生成される。 404:特定の検出(任意)に必要なPCRサイクルなどの反応工程が実行される。 405:標的DNAを含む陽性液滴が、液滴の物理的選択のための装置を用いて検出され、選択され、選別される。 406:凝集した陽性液滴からのDNAの一般的な増幅。 実施例1に記載のPINSswiftを実施するためのスキームの概要 501:DNA標的を含むDNA試料及びPCRのための試薬を混合する。 502:液滴生成に必要な成分が混合物に加えられる。 503:DNAと試薬を含む液滴が生成される。 504:標的ヌクレオチドの断片のPCR増幅。 505:PCRで生成された蛍光に基づいて、標的DNAを含む陽性液滴が検出され、マイクロ流体チップ内で選択され、選別される。 506〜508:回収され、選別された陽性液滴が合体し、Phi29増幅のための試薬を水相に加え、油を加え混合することによって水相から新しい液滴を形成し、混合物を30℃でインキュベートする。 実施例2に記載のPINSswiftを実施するためのスキームの概要 601:DNA標的を含むDNA試料及びPCRのための試薬を混合する。 602:液滴生成に必要な成分を混合物に加える。 603:DNA試料及び試薬を含む液滴が生成される。 604:標的DNA分子の一部のPCR増幅。 605:PCRで生成された蛍光に基づいて、標的DNA分子を含む陽性液滴が検出され、マイクロ流体チップ内で選択され、選別される。 606〜608:回収し、選別した陽性液滴を合体させ、Phi29増幅のための試薬を水相に加え、水相から新しい液滴を生成し、液滴エマルジョンが30℃でインキュベートされる。 609:試料がさらに増幅され、試料A(610)が得られる。 610:試料608の一部は、工程601〜606の希釈及び反復による富化の第2ラウンドに使用される。 611〜614:選別された液滴(612)を合体させ、Phi29増幅のための試薬を加え、DNA断片をエマルジョンで増幅して試料B(614)を生成する。 実施例3に記載のPINSswiftを実施するためのスキームの概要 701:DNA標的を含むDNA試料及びPCRのための試薬を混合する。 702:液滴生成に必要な成分が混合物に加えられる。 704:反応混合物中のdUTPを用いた標的DNA分子の一部のPCR増幅。 705:PCRで生成された蛍光に基づいて、標的DNA分子を含む陽性液滴が検出され、マイクロ流体チップ内で選択され、選別される。 706:回収し、選別した陽性液滴を合体させ、UDGを加え、反応を37℃でインキュベートして検出に使用したPCR産物を除去し、95℃でのインキュベーションによって反応を停止させ、試料707を得る。 708〜709:Phiポリメラーゼ増幅用の試薬を水相に加え、エマルジョンオイルを加え、試料をボルテックスし、エマルションを30℃でインキュベートし、液滴を合体させて試料710を生成する。 E.coli DNAテンプレートのPhi29増幅のサイズ分離産物を含むアガロースゲル(DNA染色)。テンプレートあり又はテンプレートなしのPhiポリメラーゼ増幅反応混合物を調製し、反応を進行させた。又は反応混合物を液滴に変換し、次いで反応を進行させた; 1)1ng/μLのE.coli DNAテンプレート、液滴なし、2)DNAテンプレートなし、液滴なし、3)1ng/μLのE.coli DNAテンプレート、液滴での反応、4)DNAテンプレートなし、液滴での反応、5)1ng/μLのE.coli DNAテンプレート、液滴なし、Phi29ポリメラーゼなし。マーカー:サイズマーカーとして1kb+DNAラダー。 E.coli DNAテンプレートのPhiポリメラーゼ増幅によって産生されたE.coli DNAの定量的PCR特異的検出及び定量化(分析された試料は、図8に示されるアガロースゲル上で分離されたPhiポリメラーゼ増幅サイズの産物に対応する)。qPCRに用いたテンプレートは、1)Phiポリメラーゼで増幅した1ng/μL のE.coli DNAテンプレート、液滴なし(B01-B02)、2)Phiポリメラーゼによって増幅されたテンプレートなしコントロール、液滴なし(B03-B04)、3)Phiポリメラーゼによって液滴で増幅された1ng/μLのE.coli DNAテンプレート(B05-B06)、4)液滴中のPhiポリメラーゼによって増幅されたテンプレートなしコントロール、5)ポジティブE.coliコントロール(B09-10)。
DNA断片(又は分子)、特に低コピー数の標的分子の複合混合物中の標的DNA断片(又は分子)の検出及び特徴付けは、標的DNAの精製及び分析方法と組み合わせた高感度検出方法が必要である。最も感受性が高いPCR反応は、DNA断片が短い場合、例えば100〜250塩基対の場合に得られることが当該技術分野で知られている。250塩基対より長いDNA断片、例えば500〜5000塩基対の長さであるDNA断片を増幅するように設計された長距離PCRは、大量のバックグラウンドDNAを含む混合DNA断片の試料中に存在する少量の標的DNA断片を検出することができない。同様に、ハイブリダイゼーションに基づく方法では、非特異的なハイブリダイゼーションを避けるために試料が比較的純度が高い必要がある。混合されたDNA断片又は非常に希釈された試料の試料から配列情報を得る最良の方法は、DNA断片の全混合物の配列決定、例えば次世代シーケンシング法に基づいており、次世代シーケンシングのコストは急速に減少しているが、何千ものゲノムの配列を決定するコストは依然として高い。しかし、PCR増幅されたDNA断片自体は、以前に未知の配列のDNA断片の長距離領域にわたって検出され得る転座、挿入又は欠失又は多型を決定するためにさらに組み立てられなければならない短い配列(100〜250塩基対)を生じるため、このアプローチでも限界がある。
本発明による混合DNA分子の試料からの1つ又はそれ以上の標的DNA分子を富化するためのin vitro方法は、1つ又はそれ以上の標的DNA分子を含むDNA分子(断片)を同定する目的のみでDNA検出法(PCRなど)を用いる。短いDNA配列が標的DNAを同定するのに十分であるので、本方法は、複雑なDNA混合物中のDNA標的分子を検出するための最も感度の高い形態のPCRを最大限に利用する。検出反応は、検出試薬と組み合わされた混合DNA分子の試料から調製された液滴中で行われる。これは、反応条件及び試薬が検出工程で最適化され、Mg++イオン濃度(これは、Phiポリメラーゼ一般増幅のための最適Mg++イオン濃度よりも10倍低い)、及び標的特異的プライマーに関するPCRに基づく検出に特に有利であるという利点を有する。液滴のサイズは典型的には小さい(直径が1〜100μm)ので、標的DNAを含む液滴を合わせた総体積は、後続の増幅反応に比べて小さく、この方法のその後の工程のための反応条件の最適化を可能にする。
混合DNA分子の試料中に検出された標的DNA分子のうちの1つ又はそれ以上の特徴付けは、検出された分子の十分なコピー数を必要とする。バクテリオファージΦ29に由来する酵素Phi29ポリメラーゼは、全ゲノム増幅(WGA)に使用することができる。多置換増幅(MDA)の方法を使用して、DNAテンプレートに沿って間隔を空けてアニールする非特異的ヘキサマープライマーとともにPhi29ポリメラーゼを用いて、長さが数十キロベースの断片を作製することができる。しかしながら、Phi29ポリメラーゼは、増幅反応において機能するためにある量のインプットDNAを必要とすることが知られている。Qiagen及びFidelityシステムなどのPhi29ポリメラーゼの主な供給元は、その製品仕様において、Phiポリメラーゼ反応のための最小量が1ng以上であると述べている(www.qiagen.com/dk/products/catalog/sample-technologies/dna-sample-technologies/genomic-dna/repli-g-single-cell-kit, www.fidelitysystems.com/phi29_hexamers.html)。
少量のDNA投入原料を使用した場合、遺伝子座の提示不足及びバックグラウンド産物が報告されている。本発明による方法は、300fg以下のDNA(50,000ヌクレオチドの5565線状DNA分子に対応する)未満で増幅することができるポリメラーゼを必要とする。これは、Phi29ポリメラーゼの報告されたテンプレート要件より3000倍以上低い。驚くべきことに、Phi29ポリメラーゼは、投入DNAが5fg未満のDNAであっても、本発明の方法を用いて検出され選択されたDNA分子の効果的な増幅を提供することが示された。実施例1に示されるように、Phi29ポリメラーゼを用いて1.7fgのわずかなDNA(50,000塩基の1.3線状DNA分子に対応する)が、効果的に増幅された。したがって、Phi29ポリメラーゼは予想外にそのような少量のDNA分子を増幅するだけでなく、液滴(直径1〜100μm)のような非常に小さな容量で一般的な増幅反応を行うことができることを予想外に示した。このような液滴において一般的な増幅容量が行われる場合、非特異的増幅産物の生成(例えば、非特異的六量体プライマーの増幅及び/又は混合DNA分子の試料に由来しない混入DNA由来の増幅に由来する)が最小限に抑えられるため、バイアスの程度はさらに低減される。驚くべきことに、本発明は、液滴中のDNA分子の一般的な増幅反応、特に約5pLの容量を有する液滴(実施例4参照)を実施することにより、試料中のPhi29ポリメラーゼによる混入DNAの増幅を排除することができることを明らかにした。
本発明は、特定の標的DNA分子の濃度が試料中の全DNA濃度に対して増加するin vitro方法であって、1)特定の標的の検出のための試薬を含む液滴(分離)などの複数のサブコンパートメントへの試料の希釈、2)液滴内の特定の標的配列の検出及び、3)標的配列を含有する液滴の物理的選択(選択)、4)標的配列を含む選択されたDNAへの一般的なDNA増幅のための化学物質の付加、5)標的DNA分子を含む選択されたDNAの一般的な増幅、に関連する。
本発明は、液滴の一部だけが標的DNA分子を含む場合、元の試料中の濃度と比較して、全DNAに対する標的DNA分子の濃度がこれらの液滴中でより高いという原則に基づく。標的を含む液滴のフラクションは、富化度を決定する。フラクションが少ない場合、富化度は高い(図3)。
本発明において、試料又はその希釈物又は液滴中の標的DNA分子の存在又は非存在は、試料中、又はその希釈物、又は選択された検出方法(例えば、PCR)の検出可能な標的分子の存在により定義される。
標的は、例えばサンガーシーケンス、合成によるシーケンシング、ピロシーケンス若しくは類似のDNA配列の検出若しくはPCR、ハイブリダイゼーション若しくは他の検出アッセイ等の標準的な方法によって配列決定することができるまで、上記のようなさらなるラウンドの選択によってさらに富化され得る、又は第1ラウンドの選択から直接使用することができる。
本発明に従って増幅され分類された液滴は、同定に使用される配列を含む5〜100kbのDNA断片を含む。
驚くべきことに、本発明による富化のためには、少量の事前配列情報が必要である。現在の富化技術と比較して、各ハイブリダイゼーションベース及びロングレンジPCRベースの方法はそれぞれ少なくとも5000〜8000及び300塩基対必要であるのに対し、約40塩基対の特異的標的情報のみが必要である(図1)。濃縮から得られた大きなDNA断片と組み合わせて必要とされる少量の配列情報は、部分的にしか知られていない所与のDNA断片の領域を配列決定することを可能にする。これらの領域は、未知の転座、挿入又は欠失を含むことができ、又はそれらは多型を含む領域であり得る。
これらの領域は、未知の転座、挿入又は欠失を含むことができ、又はそれらは多型を含む領域であり得る。
本発明の方法は、驚くほど効率的であり、これにより、DNA配列決定の程度は、3ラウンドのPINSswiftによって5つの多重化されたDNA標的に対して10億を超える因子によって、又は2回のラウンドのPINSswiftを用いて1つの標的配列に対して2,500万の因子によって減少させることができる(図2)。
I:ヌクレオチド配列の分割(PINSswift)
PINSswift法の重要な工程は、以下でさらに説明される。
a) 潜在的に1つ又は複数の特異的標的DNA分子を含むDNA試料及び標的分子の存在を検出するための試薬を提供する(401)。
標的DNA分子を潜在的に含む混合DNA分子の試料が、PINSswiftを実施するために選択される。標的DNA分子内に位置する少なくとも10個(又は15個、より好ましくは40個)の固有ヌクレオチドの1つ又はそれ以上複数のヌクレオチド配列を、PCR検出、ハイブリダイゼーションプローブ又は同様のものによるDNA検出などの所望の方法によってSNA分子をスクリーニング及び検出するために選択する。標的DNA分子は、典型的には500塩基対より大きく、例えば2000〜108塩基対の間、好ましくは2,000〜200,000塩基対の間、より好ましくは10,000〜100,000塩基対の間である。標的DNA分子は、例えば、1つの感染病原体の診断の遺伝的マーカー配列及び抗生物質耐性遺伝子の第2の診断マーカー等の所与の遺伝的マーカーに対応する1つ以上の固有ヌクレオチド配列を含み得る。典型的には、混合DNA分子の試料中の標的DNA分子の頻度は10-2未満であり、例えば10-3〜10-9の間、又は例えば10-4〜10-7の間、又は10-11未満である(標的配列の塩基対を試料中の全DNAの塩基対で割ったものとして計算される)。増幅に先立って、混合DNA分子の液体試料を、その後の液滴形成ステップにおける各液滴が平均して0.01未満の標的DNA分子、好ましくは0.001未満又はより好ましくは平均して0.0001の特定DNA分子を含むまで、所望の希釈数で連続的に希釈した。典型的は、この方法の工程b)において形成される液滴の総数は、5x103〜1x1010の間、又は2x104〜1x107の間、又は5x105〜5x106の間である。したがって、混合DNA分子の液体試料が100,000液滴に分離される場合、平均して、標的DNA分子は、これらの液滴の1,000個未満、好ましくは100個未満、さらに好ましくは10個未満の液滴中に存在し得る。液滴中の標的DNA分子の存在又は非存在は、本明細書において例示されるような標的DNA分子の特異的検出のための方法を用いる場合、検出可能な標的DNA分子の存在又は非存在として本明細書で定義される。この希釈は、標的富化を確実にするために行われる。この希釈は、標的富化を確実にするために行われる。標的を含有する液滴の平均数が低い場合、液滴内の非標的分子に対する標的の頻度は高い。PCR検出のための試薬には、PCRポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)、1.5〜2.5mMのMg++濃度の1x標準Taq反応緩衝液、及び各デオキシヌクレオチドの200μM dNTPが含まれ、これは、Taq DNAポリメラーゼで生成されるほとんどのPCR産物に最適である。一般的に20〜40ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドプライマーであり、その配列は標的DNA分子の既知の配列の5 '及び3'末端に特異的に結合することができる。
b)平均でそれぞれ0.5未満、好ましくは0.25未満、又はさらにより好ましくは0.1未満の特異的標的DNA分子を含む前記DNA試料を含む液滴の複数の形成(403)。
希釈された試料DNAを含有する液滴及び標的DNAの特異的検出に必要な試薬を、閉鎖区画内の標的DNA配列を単離するための任意の液滴生成方法を用いて生成する。液滴生成のための適切な方法は、音響エネルギー放出液滴、誘電泳動(DEP)及び絶縁体上のエレクトロウェッティング(EWOD)等の能動的方法、シェアーフォーカシング(shear focusing)[1]、又はT接合、X接合及びフローフォーカシング[2]、ボルテックス振動並びに超音波処理等の受動的方法を含む。液滴に加えて、一般的な増幅は、マイクロ流体チップ内の反応チャンバのような他のマイクロボリューム区画でも起こり得る。
c)前記特定の標的DNAを含む液滴の特異的検出(404)。
工程b)における液滴生成に続いて、液滴は、所望の検出技術を用いて標的DNA分子の存在のためにスクリーニングされる。標的DNA分子を含むことが示された少なくとも1つ又はそれ以上のスクリーニングされた液滴において、標的DNA分子の頻度は、工程(a)における混合DNA分子の試料におけるその頻度と比較して増加する。本発明の第1の実施形態によれば、液滴当たりのDNA断片の平均総数(例えば、ヒトゲノム由来の1つの遺伝子のような、試料中の単一の標的)は、1〜1,000、又は2〜100、又は3〜10のDNA断片である。1滴あたり平均で1つのDNA断片しか存在しない場合、ポジティブな液滴は平均して純粋な形態の標的DNA分子を含むと推測される。この方法の第2の実施形態によれば、本方法の工程b)で形成された全ての液滴は、混合DNAを含み、ポジティブな液滴の選択によって得られる頻度の増加は、典型的に、0.1x(DNA含有液滴の総数)x(標的DNAを有する液滴の数)-1及び10x(DNAを含む液滴の総数)x(標的DNAを有する液滴の数)-1の間である。
標的を含有する液滴の数は、典型的に標的配列当たり5〜1000である。液滴の総数は少なくとも5,000であるが、典型的に20,000より大きく、しばしば500,000より大きい。液滴中の標的DNA分子の存在は、qPCRを含むPCR、ハイブリダイゼーションに基づくアッセイ、又は標的配列のRNA又はタンパク質産物を検出するアッセイによって決定され得る。特異的検出のための試薬は、後の工程でUDGを使用しての検出工程で増幅されたDNAを、選択的に不活性化することを可能にするdUTPを含有し得る。
d) 前記特定の標的DNAを含む液滴の物理的選択(406)
工程c)における標的DNAの検出に基づいて、液滴は、少なくとも2つの異なる流れに選別される。工程c)において1つ以上の特定の標的が検出された場合、液滴は3、4、5又はそれ以上のストリーム(stream)に選別され得る。標的が検出された液滴を含むストリームにおいて、工程a)における混合DNA分子の試料と比較して、標的は富化される。
e) 特定の標的DNA分子を含む選択された液滴からのDNA分子の一般的な増幅(406)
特定の標的DNAを含み、DNA総量が300fg未満である選択された液滴からのDNAを、全DNA増幅の任意の方法を用いて増幅し、各試料中のDNAの存在量を増加させる。適切な一般的な増幅方法は、Multiple Displacement Amplification(MDA)[4]である。好ましい実施形態では、一般的な増幅を実施するために使用される酵素はPhi29ポリメラーゼであり; 好ましくは、一般的な増幅酵素は、Phi29ポリメラーゼからなり、それにより一般的な増幅は追加のポリメラーゼを必要としない。液滴の破壊、混合又は融合によって一般的な増幅のために試薬を加えること、又は例えば、遠心分離及び/又は超音波処理のような力を加えることによってエマルジョンを破壊することが必要な場合がある。
一実施形態において、特定の標的DNAを含有する選択された合体した液滴及び一般的な増幅のための試薬を含む液体試料から生成された液滴は、閉じた区画(上記参照)における標的DNA配列を単離するための液滴生成の任意の方法を用いて調製される。生成された液滴中で一般的な増幅が行われる(図5参照)。好ましくは、一般的な増幅反応は、平均直径が少なくとも1μmである液滴で行われる(少なくとも0.00052pLの平均液滴体積に対応する; 19億個以下の液滴/μLの一般増幅反応混合物の形成を可能にする)。好ましくは、液滴は平均して2〜20μmの直径を有する(0.0042pLの平均液滴体積に対応する; 2億4千万滴/μLの形成を伴う; 平均液滴体積4.2pLまで; 240,000液滴/μLの形成を伴う)。したがって、一般的な増幅反応の容量が少なくとも5μlである場合、一般的な増幅反応は、少なくとも1.2×106液滴で行われる。5μlの反応混合物につき最大1.2x109の液滴までの範囲である。増幅後、全ての液滴を合体させ、その後、標的DNA分子を、工程a)〜e)の次のサイクルでさらに検出し、選択し、増幅することができる。
任意の手順:
f) 標的DNAの特異的検出のためのDNA産物の不活性化、分解又は除去。
富化された標的DNA分子がさらなるラウンドのPINSswift又は検出産物の存在がこれらのさらなるプロセシングに干渉する他の施用に使用される場合、検出工程c)におけるDNAの増幅は、デオキシリボヌクレオチド(dNTP)、デオキシリボヌクレオチド(dNTP)の1つの代わりにdUTPを用いて行うことができ、任意で産物を選択的に分解、不活性化又は除去することができる。この不活性化は、UNG又はUDGとしても知られているウラシル-DNAグリコシラーゼなどの酵素を用いて行うことができる。
g) 工程(a)〜(e)の繰り返し
新規の工程(a)において(e)で得られた富化された標的DNA分子を含有する液滴を用いて、標的DNA分子をさらに富化することができる。
h) 富化試料の増幅
(e)で得られた富化された増幅標的DNA分子を用いて、MDAのような一般的増幅又はPCRのような特異的増幅を用いて、標的DNA分子をさらに増幅することができる。例えば、さらなる増幅は、工程e); 一般的な増幅のための試薬を水相に加え反応混合物を形成する工程;反応混合物から新しい液滴を生成させる、における一般的な増幅の後に得られた合体液滴から水相を回収することによって、及び液滴エマルジョンを30℃でインキュベートすることによって行うことができる。
PINSswiftを行うためのスキーム
スキームの概要を図4に示す(401)。元のDNA試料中の標的DNA分子の濃度を決定する。標的分子を含む液滴の予想される平均数(正の液滴)が0.5未満になるまで試料を希釈する。1つのターゲットのみが富化されている場合、平均的な陽性液滴の数はより少なくなり、富化がより大きくなるはずである。理想的には、液滴の試料全体は、特定の標的あたり2〜100,000、好ましくは5〜10,000、より好ましくは20〜100の陽性液滴を含むべきである。2つの異なる遺伝子のような2つの異なる特異的標的を同じ試料から富化する場合、陽性液滴の理想的な数は2倍高い。標的の1つ以上の配列バリアントが存在する場合、各バリアントは別個の標的DNA分子としてカウントされる。これらのヌクレオチド配列の各々は、別個のDNA分子としてカウントされる。目標数と、陽性液滴の平均数と、PINSswift後の富化度との間の相関関係を、標的あたり1ラウンドのPINSwift、20,000液滴及び10陽性液滴の例を用いて図3に示す。
富化は、この増幅工程のバイアスに起因する図3の予想される富化よりも高くても低くてもよい。経験では、富化が少なくとも2倍以上になる可能性がある。また、100万滴などのより多くの液滴が使用される場合、これはより一層富化をもたらす。より一層富化を達成するためには、典型的により小さな液滴サイズが好ましい。液滴の典型的なサイズは、直径が100μm未満、例えば1〜100μm、5〜50μm、好ましくは10〜30μmであってもよい。液滴はまた、同じ試料内で様々なサイズのものであってもよい。
希釈された標的DNA分子は、試料中の標的配列の検出に適した試薬と混合される。PCRを用いて検出を行う場合、これらの試薬は、ポリメラーゼ、標的特異的プライマー、Taqmanプローブなどのプローブ、分子ビーコン、又はスコーピオンプローブ、サイバーグリーン、ヌクレオチド及び塩を含むことができる。
混合DNAを含有する液滴及び検出のための試薬が生成される(403)。
検出がPCRを用いて行われる場合、液滴試料はPCR装置に移され、PCR増幅が行われ、次いで、液滴は、標的分子の存在(陽性)又は非存在(陰性)に従って選別される。蛍光標識されたオリゴヌクレオチドが使用される場合、標的分子の存在は、液滴の蛍光によって検出され得る(404及び405)。
選択され選別された液滴は、2〜1000分子のような少量の標的DNA分子を含有し、下流の用途(例えば、DNAシーケンシング)にDNAを使用する前に、前記分子の増幅が必要である。少量のDNAのために、標準的な手順を使用してDNAを一般に増幅することは不可能である可能性がある。増幅を改善する方法には、増幅及び再増幅の繰り返し工程及び液滴中の増幅と標準増幅(液滴形成を除く一反応で)の組み合わせが含まれる。
標的DNA分子の存在量を決定する。これがシーケンシングなどの分析に十分である場合、選択された試料を直接使用することができる。そうでない場合、PINSswiftの追加ラウンドを施用することができる。
更なるラウンドの富化を行う必要がある場合、検出工程で生成したDNAを分解又は除去することが好ましい場合がある。PCR試薬にdUTPを使用することが好ましい場合がある。次いで、標準dNTPを用いてMDA反応を行う。液滴の検出及び物理的選択の後、PCRで生成されたDNAは分解され、処理された試料は、希釈、検出及び物理的選択を伴う追加のラウンド開始に使用され得る。
PINSswiftを用いて十分な富化に達すると、液滴は融合される(合体又は脱乳化とも呼ばれる)。富化されたDNAは、さらに精製され得、MDA及びPCRなどの一般的又は特異的増幅をそれぞれ用いてさらに増幅され得る。
PINSswift法では、標的DNA分子を選別した後、一般的な増幅を行う。これは、DNAが検出及び選別前に液滴中で一般的に増幅される手順よりもいくつかの利点を有し、1)一般的な増幅に必要な化学物質及び酵素が検出工程に存在する必要がないこと、及び2)選別された液滴の体積が小さいため、検出化学物質は、一般的な増幅工程に最小限の影響しか及ぼさない、ことを含む。検出前にDNAが液滴で増幅される過程でPhi29ポリメラーゼを用いて一般的な増幅を行う場合、ポリメラーゼは検出に使用するオリゴヌクレオチドを分解し、それによって標的DNA分子を含む液滴の正確な同定を妨げる。また、その後PCRを検出に使用する場合、反応条件は一般的な増幅に最適ではなく、一般的な増幅を抑制することができる。検出前に液滴中で一般的な増幅を用いるプロセスでは、一般的な増幅後に検出化学物質を液滴に加えることができ、それにより検出反応と一般的な増幅反応との間の不適合性の問題を回避することができる。しかし、これは、液滴融合工程を必要とするためプロセスを複雑にする。検出及び選別後に一般的な増幅を行うことにより、PINSswiftは、一般的な増幅の良好な性能を維持しながら、液滴融合の複雑さを増やすことなく効率的な検出を達成する。
II: 多重PINSwift
PINSswiftは、多重PINSswiftを実行するように適合させることができる。多重PINSswiftは、第2の標的DNA分子を生成するための配列特異的プライマーを用いた第2の連続配列の増幅による、解析された混合DNA分子の試料中の少なくとも10(又は15、より好ましくは40)ヌクレオチドの第2の連続配列を検出するように設計された追加の特徴を使用する。いくつかの液滴が第1及び第2の連続配列の両方からの特異的検出(例えば、蛍光シグナルによる)を示す場合、それらは同じMDA増幅標的DNA分子上に位置する可能性が高い。
標的の共局在に関する情報を提供することに加えて、多重PINSswiftは、5,000塩基対以上を含む、数千もの異なる標的分子の同時精製を提供する。別個の検出分子を、液滴を分離するために提供することができ、又は混合物として加えることができる。
III: PINSswift及び多重PINSswiftによって分析された試料
III.i 混合DNA分子の試料
PINSswiftは、標的DNA分子を含み得る混合DNA分子の試料に施用され得る。混合DNA分子の試料は、DNA分子の集団(例えば、染色体DNA分子又はプラスミドDNA分子)を含み、集団内の個々のDNA分子は、それらのDNA中の少なくとも10(又は15又はより好ましくは40)の核酸塩基対の既知の連続した配列内の少なくとも1つのヌクレオチドが異なり、そのような既知の連続した配列を含む標的分子が、試料中の非標的分子とは異なり、区別することができる。混合DNA分子の試料は、一本鎖RNA又はDNAポリヌクレオチドをさらに含み得る。混合DNA分子の試料中のDNA分子の集団は、標的DNA分子を含む。
標的DNA分子は、線状又は環状形態であり得る。環状DNAは、自然発生的に存在し得るか、若しくはDNAをプラスミド、フォスミド、コスミド、BACクローンにクローニングすることによって得られ得るか、又はライゲーション若しくはCre/LoxP媒介組換えによって生成され得る。
標的DNA分子は、少なくとも10個(又は15個、より好ましくは40個)の固有の核酸塩基対(又はヌクレオチド)の1つ以上の既知の連続した配列を含む。標的DNA分子は、少なくとも10,15又は40個の核酸塩基対(又はヌクレオチド)のこの連続配列を含む標的DNA分子を選択することにより、混合DNA分子の試料から選択され得る。標的DNA分子は、少なくとも10個(又は15個、より好ましくは40個)の核酸塩基対(又はヌクレオチド)の少なくとも2つの連続した配列を含む標的DNA分子を選択することによって、混合DNA分子の試料から選択することも可能であり、ここで、2つの連続する配列は、50〜100,000核酸塩基対、好ましくは150〜3,000核酸塩基対、より好ましくは150〜1500核酸塩基対のDNA分子内に含まれる。
典型的に、混合DNA分子の試料中の標的DNA分子の頻度は10-2未満であり、例えば、10-3〜10-9(標的配列の塩基対を試料中の全DNAの塩基対で割ったものとして計算される)である。例示を目的として、試料はヒトスワブ由来のDNAであり得、標的DNAは特定の遺伝子を含む30,000塩基対の領域であり得る。例示を目的として、この場合、標的DNA分子の頻度は、30,000を約30億塩基対(ヒトゲノム)で割ったものであり、これは10-5に等しい。
本発明の方法は、混合DNA分子の試料中の標的DNA分子の頻度が10-2未満である場合に特に適している。本発明の方法はまた、混合DNA分子の試料中の標的DNA分子の頻度が、10-3、10-4、10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、又は10-11未満である場合に適している。多くの場合、混合DNA分子の試料は、ゲノムDNAを含む細胞集団に由来するが、他の例において、DNA分子が、環境試料等の多様な起源である試料から誘導され得る。その供給源とは無関係に、標的DNA分子の頻度は、特定の標的DNA塩基対の数を試料中の全塩基対の数で割ったものとして定義される。混合DNA分子の試料中の標的DNA分子の頻度は、3連で希釈シリーズを作製し、標的の存在又は非存在を検出し、例えば最も可能性の高い数の方法を用いて標的の数を決定することによって決定される。標的分子の頻度は、qPCR又はデジタル液滴PCR[3]を使用して決定することも可能である。この濃度をゲノムの平均分子量で割ることによって、DNA濃度が測定され、総ゲノム当量の数が決定される。
III.ii混合DNA分子の試料の供給源
本発明の一実施形態によれば、標的DNA分子は、細胞のゲノムに由来し、ゲノムは、染色体DNA若しくは染色体外DNAのいずれかであり得るか、又はウイルス若しくは無細胞DNAなどの細胞の外部に存在するDNAから得ることができる。さらに、標的DNA分子は、細胞に由来し得、細胞は、微生物細胞、植物細胞、動物細胞、原生生物細胞、真菌細胞、又は哺乳動物細胞の中から選択される。哺乳類細胞はヒト細胞であり得る。微生物細胞は、細菌細胞、酵母細胞又は真菌細胞であり得る。さらに、標的DNA分子は、真菌の菌糸体又は真菌の胞子に由来し得る。
標的DNA分子が1つ又はそれ以上の細胞に由来する場合、細胞は、多細胞組織又は多細胞生物の一部であり得る。
さらに、標的DNA分子は、ウイルスがRNA又はDNAゲノムを有する1つ又はそれ以上のウイルス粒子に由来し得る。あるいは、標的DNA分子は、ウイルスに由来する組み込まれたDNAを含む宿主ゲノムに由来し得る。標的DNA分子は、バクテリオファージに由来し得る。
標的DNA又はRNA分子の誘導とは無関係に、標的DNA又はRNA分子は、混合DNA分子の試料中に存在し、混合DNA分子は、環境から回収された試料、例えば土壌、水又は空気の試料から誘導され得る。あるいは、試料は、多細胞生物、例えば哺乳類、例えば動物又はヒト対象に由来してもよい。試料が哺乳動物に由来する場合、試料(例えば、生検)は、体液(例えば、血液、血漿、血清、リンパ及び尿)、糞便又は体組織又は器官に由来し得る。試料が得られる多細胞生物は、生存していても、死んだ生物でもあり得る。
III.iii混合DNA分子の試料の調製
標的DNA分子を含む混合DNA分子の試料は、自然又は生物(例えば生検)から採取した試料から調製することができる。DNA分子の選択的抽出のための方法は、当技術分野で公知である[4]。標的DNA分子が細胞に由来する場合、細胞からの全核酸分子(DNA又はRNAを含む)を放出するためには、通常、細胞破壊又は細胞透過化の工程が必要であり、この工程はDNA分子の選択的抽出の次の工程に先行する。
標的DNA分子がRNAゲノムに由来する場合、RNAゲノム又はその一部はまずcDNAに逆転写され、そのcDNAのヌクレオチド配列はRNAゲノムに対応する(逆転写物である)。
液滴を生成する前に、タンパク質などの化合物、又はタンパク質に結合したDNA断片などのDNA若しくはRNA断片を含む化合物を、後続の検出を可能にするかま又は容易にするために標的ヌクレオチドに結合させることができる。非結合化合物は、液滴の生成前に試料から洗浄され得る。有用なタンパク質は、抗体、一本鎖可変フラグメント及び酵素を含む。有用な化合物は、調節タンパク質及びヒストンなどのDNA結合タンパク質を含む。
DNA試料は、液滴の生成前に環状化され得る。Phiポリメラーゼで触媒されるMDA反応を含むいくつかの一般的な増幅方法は、環状テンプレートでより効率的である。従って、鋳型を環状化することにより、元のヌクレオチド試料からのDNAは、非テンプレート反応又は検出反応に由来するテンプレートよりも優勢であり得、それにより標的に対する偏りが低減され得る。
試料は、液滴の形成前に希釈され得る。例えば、ヒト染色体DNAからの遺伝子の濃縮のために100万滴を使用する場合、100pgのヒトDNAを使用して100万液滴中の30コピーの標的DNA分子を得ることができる。ヒトゲノムのコピーは30,000塩基対の約100,000の断片を含むので、各液滴は平均して3つの断片を含み得る。したがって、標的DNA分子を含む約30個の液滴は、非標的断片も含む。富化が完了した後にDNAを配列決定する場合、非標的断片も配列決定することができるが、非標的断片は互いに異なる可能性が高いので、標的DNA分子の配列ははっきりと識別可能である。ヒト試料中の低コピーウイルス等のより複雑な試料の場合、陽性液滴中の標的断片当たりの非標的断片の数は、100:1又は10,000:1よりも高い等、さらに高い可能性がある。
標的DNA分子の総数は、典型的には5〜1,000、例えば5〜100,000である。標的DNA分子の1つのバリアントのみが必要とされる場合、液滴に加えられる標的DNA分子の好ましい数は、高度の濃縮を達成するために、20〜100などの低いものである。不均一な腫瘍DNAの分析など、いくつかの異なるバリアントが必要とされる場合、100〜10,000等のより多くの総標的DNA分子が好ましい場合がある。
III.iv液滴の生成
本発明の方法は、液滴がそれぞれ平均0.01未満の特異的標的分子を含む複数の液滴を形成することを含む。好ましい実施形態では、特定の標的分子の分布はポアソン分布に従う。一部の液滴は、標的分子と比較して10倍又はそれ以上の濃度で存在する非標的分子を含むことができ、他の液滴は標的分子のみを含むことができる。
一般に、液滴は、[5-7]に記載されているような様々な技術によって形成することができる。本発明の方法は、不混和性キャリア流体によって取り囲まれた水性液滴を含む二相系を形成することを含み得る。好ましい実施形態において、液滴内の水性試料は、試料DNA及び例えばポリメラーゼ、プライマー、プローブ及び緩衝液を含有する標的DNA分子の特異的検出に適した混合物を調製することによって調製される。
得られた混合物は、2つの不混和性液相を使用する2相液滴形成において水性試料として使用される。水性液滴は、制御された環境において2つの不混和性液相を含む試料中にボルテックス/タービュランスを生成する手段を有する装置において生成され、機械的パラメータ、ひいては生成された各液滴の液量を制御することによって、又は第2の不混和性液相中の1つの液相の液滴を押し出す手段によって、第2の相の液体中に液滴(相1)を生成し、このように形成された液滴は離散的な状態であり、液滴の体積は液滴押出手段の直径によって制御される。
担体流体は、試料流体と混和しないものである。担体流体は、非極性溶媒、デカン、フルオロカーボン油、シリコーン油又は任意の他の油(例えば、ミネラルオイル)であり得る。
特定の実施形態において、キャリア流体は、非ニュートン表面張力(界面活性剤)を増加、低減、又は他の方法で生成し、及び/又は自発的合体若しくは接触に対して液滴を安定化する薬剤等の1つ又はそれ以上の複数の添加剤を含む。
IV標的配列の検出方法
本発明の方法は、標的DNA分子を含有する液滴中の標的核酸分子の検出をさらに含む。特定の実施形態において、検出は標的分子の一部の増幅を含む。増幅反応は、核酸分子を増幅するのに適しており、Taqmanプローブ、スコーピオンプローブ、分子ビーコンプローブ、パドロックプローブ、分子反転プローブ及びハイブリダイゼーションによって標的DNA分子の配列特異的認識によって機能し、標的配列の増幅時に蛍光が増加する任意の他のプローブのようなプローブを含む若しくは含まないポリメラーゼ連鎖反応、又はネステッドポリメラーゼ連鎖反応を含む。
本発明による方法はまた、標的が増幅されていない蛍光標識されたプローブのような光学的に標識されたプローブからの蛍光に基づく検出方法を含む。この場合、例えば、温度を約95℃まで上昇させること等により、DNAは変性されており、続いてプローブを標的にアニーリングさせ、プローブ又はプローブ(s)の活性化をもたらす。そのような光学的に標識されたプローブは、一本鎖二重標識蛍光プローブが約4〜6ntの相補的なステム配列によって約20〜25ntのヘアピンループコンフォメーションで保持される分子ビーコンであり得る。ループ構造のために、配列の一方の末端に結合した所望の蛍光色素は、他方の末端に結合した光クエンチャーのすぐ近くにある。アニーリングすると、ヘアピン構造はもはや維持されず、クエンチャーはもはや蛍光色素から放出された光を消光しない。光学的に標識されたプローブは、FRET(蛍光共鳴エネルギートランスファー)プローブであり得る。
特定の標的配列は、シアニン色素などの核酸染色を用いて検出することもできる。
V標的配列の存在に基づいて液滴を物理的に選択する方法
ターゲットが検出されない液滴から検出可能な標的DNA分子を含む液滴を選択的に分離するために、ステアリング、加熱、エレクトロウェッティング、磁気活性選別、音波[6]、及び誘電泳動選別[8]等、液滴の物理的選択や液滴選別のためのさまざまな方法を取ることができる。このような物理的選択は、第2の不混和性液体(例えば、特定の検出ステップからの液滴)に懸濁された水性液体の液滴を受ける手段、並びに各液滴を、前記液滴中の成分を検出することができる検出ユニットを通過させるための手段、並びに検出可能な成分の存在又は非存在によって決定されるような選択された区画への送達のために前記液滴をアドレス(addressing)する手段及び選択された区画に前記液滴を送達するための手段を有する装置を用いて実施することができる。
VI PINSSWIFTに適したDNAの一般的な増幅方法
例えば、randomly degenerate primed PCR、リンカーライゲーションPCR、又は、Degenerate Oligonucleotide Primed (DOP) PCR及びMultiple Displacement Amplification (MDA)等のDNAの一般的な増幅の様々なアプローチために提案されている。MDAは少量のDNAでも全ゲノム増幅(WGA)を行うには効率的であると報告されている(但し、1ng以下の下限がある)。より伝統的なPCRベースのWGA法と比較して、MDAはより高いゲノムカバレッジを有するより高分子量のDNA分子を生成する。MDAは、以下の2つの酵素活性を有する鎖置換ポリメラーゼを使用する: 真核生物B型DNAポリメラーゼ(UniProtKB/TrEMBL:Q38545)に属するバクテリオファージphi29ポリメラーゼによって例示されるように、DNA合成(ポリメラーゼ)及び3'-5'方向の一本鎖DNAを分解するエキソヌクレアーゼ活性。他の有用なポリメラーゼとしては、BstIポリメラーゼが挙げられる。増幅は、DNAの局所濃度を増加させるために液滴中で行うことができる。いくつかの実施形態において、増幅は約30℃で4時間、好ましくは1時間未満で実施される。
検出及び選別工程からの標的DNA分子の量は5分子以下であり得るので、典型的な一般的な増幅反応は、生成物を生成せず又はバックグラウンド反応(テンプレート反応なし)のいずれかを生じる。
1pL〜1nLの油中水滴などの液滴中で増幅を行うと、バックグラウンド反応が防止され、感度が向上することを見出し、それによって、約3fgのDNAに対応する100個未満の分子のような少数のDNA標的分子でPINSswiftを可能にする。液滴がボルテックスによって生成された液滴のような不定のサイズのものであっても、反応は改善される。その後、液滴は、富化された標的DNA分子を含有する溶液を形成するために、一段階で又は徐々に合体される(脱乳化されるとも言われる)。
VII物理的に液滴を選択した後に検出信号分子を除去する方法
特定の標的配列の存在に基づいて液滴を物理的に選択した後、場合によってはPCR産物のような検出シグナルを除去する必要があり得る。そのような信号を除去するためのいくつかの方法は、当該技術分野において知られている。dUTPが検出反応に使用されている場合、ウラシル-DNA N-グリコシラーゼを用いて検出分子を除去することができる[9]。あるいは、一般的な増幅によって生成された分子が検出分子よりもかなり長いため、分子の検出は、小分子DNAと大分子DNAのシリカ粒子への異なる結合親和性に基づくサイズ排除などのサイズ分離に基づく方法[10]を用いて検出分子を分離することができる。そのようなシリカ表面は、100bpより小さいDNA断片への結合効率が制限されており、結果として、100bpより小さいDNA断片のみが、シリカに基づく精製が施用された場合、効率的に廃棄される。しかしながら、用途によっては、検出分子を除去する必要がない場合もある。例えば、Phiポリメラーゼ及びいくつかの他のポリメラーゼは、1000塩基対より短いDNA分子に対して低い活性を有するので、PINSswift濃縮後の工程が一般的な増幅である場合、検出分子を除去する必要はない可能性があり、なぜなら、検出された分子は、実際に標的化されたより大きなDNA分子と比較して、増幅されていれば、限られた程度までしか増幅されないからである。
VIII 標的DNA分子の配列決定
標的DNA分子が十分に富化され、一般的に増幅される場合、標的ヌクレオチド配列を含む分子のヌクレオチド配列を決定することができる。富化された標的DNA分子を、例えば、サンガー配列決定、エマルジョンPCR、ショットガンシーケンシング、SOLiDシーケンシング、ブリッジPCR、イオントレントシーケンシング、ポロニーシーケンシング、パイロシーケンシング、合成によるシーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリオスコープ単分子シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析によるシーケンシング、透過型電子顕微鏡DNAシーケンシング、RNAP(RNAポリメラーゼ)シーケンシング又は単分子リアルタイムシーケンシング等を用いシーケンスすることができる。
IX PINSswiftの施用
試料の複雑さのために他の方法で分析することはできない、環境から、又はゲノムへの直接のアクセスを提供する臨床試料から、又はその一部から回収した試料由来のDNA分子の混合試料において、標的DNAの単離若しくは富化にPINSswiftの使用すること。PINSswiftは、遺伝性疾患、癌及び感染症に関与するDNA分子を単離又は濃縮するのに特に有用である。
多重PINSswiftは、例えば、1つ以上のウイルスのDNA配列、1つ以上の遺伝性疾患又は1つ以上の癌関連遺伝子について分析される試料のような、いくつかの標的DNA分子を含む試料から複数の標的DNA分子を同時に単離又は富化するのに特に有用である。
この技術は、検出工程を実施するために標的DNA分子配列のごく一部を知ることを必要とし、MDA増幅においてハイフィデリティーポリメラーゼ(Phiポリメラーゼのような)を活用して最大100,000bpの増幅DNA分子を生成することであるため、PINSswiftはまた、配列のほんの一部のみが富化前に知られている試料から標的DNA分子配列情報を得るのに特に有用である。
IX.ii シーケンシングのための試料調整
ゲノムのような大きなDNA分子の配列決定を行う場合、得られる配列情報はしばしば、配列決定された分子が重複しないか又は組み立てられないギャップを含む。PINSswiftは、小さな検出領域を取り巻く配列の最大100,000bpを回収するので、未知のギャップ領域をカバーするように設計することができるため、DNA配列のギャップ閉鎖に特に有用である。
PINSswiftは、遺伝子の2つの対立遺伝子を含む染色体DNAのような標的DNA分子配列の1つ以上のバリアントを含む試料を配列決定する場合にも特に有用である。この場合、各検出配列を含む液滴は、配列のコピーが1つだけ存在することを確実にするために、別々の区画に集められる。続いて、液滴を別々にバーコードして、標的DNA分子配列の各バリアントの別々の配列決定を可能にすることができる。
IX.iii PINSswiftの診断施用
PINSswiftは、医学的徴候又は疾患の進行を診断又はモニターするために、被検体(例えば、ヒト又は動物被験体)から得られた、例えば生検又は体液又は糞便の試料等の、多細胞生物に由来する試料中の標的DNA分子を分析するために使用され得る。
感染性因子(例えば、微生物又はウイルス)によって引き起こされる疾患のような被験体における広範囲の医療適用の診断は、PINSswift又は多重PINSswiftによって感染性因子のゲノムに由来する標的DNA又はRNA分子の単離又は富化及び検出によって補助することができ、ここで、標的DNA分子は、患者から得られた生検又は体液の試料に由来する混合DNA分子の試料において検出される。
標的DNA分子の単離におけるPINSswiftの使用は、疾患のさらなる診断的特徴が決定され得るという追加の特徴を提供する。例えば、感染因子のゲノムが特定の治療剤に対する耐性を付与する耐性遺伝子を含む場合、耐性遺伝子の富化は、耐性遺伝子の周辺領域を回収し、耐性を有する特定の感染因子についての情報を提供し得る。
PINSswiftは、原核生物などの感染性因子の存在及び抗生物質耐性の検出等の診断に施用することができる。このような症例は、黄色ブドウ球菌(SA)におけるメチシリン耐性(MR)の存在であり得る。(MRSA)の組み合わせは、病院や同様の施設ではよく知られている問題であるが、MRは、SAに存在しなければ同等の問題は発生しない。PINSswiftは、二重検出などの方法が施用される場合、MRとSAの共存の検出に使用できる。このような二重検出は、MRなどの1つの事象の存在を監視するために1つの検出システムが使用される一方で、別の検出システムを使用して、同じ液滴内のSAの存在などの別の事象の存在を監視する。MRとSAの両方が同じ液滴に存在する場合、2つの遺伝子座は同じDNA断片に局在する可能性が高い。さらに、PINSswiftは、MR又はSA等の遺伝子の存在に基づいて、宿主ゲノムからさらなるDNA配列を選択的に回収するために施用することができる。
PINSswiftはまた、疾患の原因、又は被験体におけるウイルスの存在に起因する、診断を補助するために使用され得る。多重PINSswiftを使用して、既知の組込み部位でのウイルスDNAの存在又は非存在は、ウイルスDNA及び組込み部位DNA配列の共富化を追跡することによって決定することができる。
PINSswiftは、単一のゲノム内又は複数のゲノム内の複数の遺伝子に施用され得、ここで、任意の適切な分子検出方法によって検出され得る。必要に応じて、一連のマルチプレックスPCR反応を行い、反応ごとに特定の色素を用いて区別することができる。これは、Taqmanプローブ、スコーピオンプローブ、分子ビーコンプローブ又は同様のもの、プローブ等の検出システムの導入によって行うことができる。さらに、PINSswiftは、検出の時点で必ずしも区別されない一連の遺伝子にも施用することができる。差異化は、バーコード化PCR又は同様の方法を用いて、配列検索の後に施用することができる。
X増幅におけるPINSswift及び偏り
PINSswiftは、複雑な混合DNA試料から所望のDNA領域の増幅が起こった試料を特異的に選択することに基づいている。Phi29ポリメラーゼに基づく増幅(MDA)は、現在利用可能な最も信頼性の高いゲノム増幅として繰り返し記載されてきたが、大きな偏りを導入することが知られている。Pan et al[18]では、一般的に増幅偏りを回避する複雑なDNAプールの非常に特異的な全ゲノム増幅(WGA)が依然として課題であることを述べている。さらに、DOP-PCR及びランダムプライミングPCRのような別の増幅方法でも同様の所見が見られる。これらの2つの増幅方法は、遺伝子座表現を再現する際の効率がはるかに低いと説明されており[19]、さらにより偏った増幅産物をもたらす。偏りは一見避けられないが、存在する反応テンプレート[20]の量にかかわらず、増幅中に導入されたテンプレート非依存性産物(TIP)又は偏りの量は、反応におけるDNA鋳型の量に負の相関が見られ、いくつかの研究では全収量の70〜75%を表すと報告されている[18]。全ゲノム増幅は、PINSswiftプロセスにおいてDNAを増幅するために適用されるため、ゲノム増幅の偏りに関連するこれらの一般的な課題はPINSswiftにも当てはまると予想される。WGAを含む手順として、標的DNA分子に対する顕著な偏りが観察されるはずである。したがって、WGAを用いたPINSswiftのような手順は、混合試料中の特定のDNA領域を富化することができる方法とは考えられていなかった。
驚くべきことに、一般的な増幅のステップ(例えば、MDA)は、5μLMDA反応混合物当たり少なくとも1.2×106個の液滴で行われ、各液滴は5μL以下の容量を有するため、PINSswift技術を施用する場合、TIP/偏りの課題は見られない; ここで、増幅されたDNA分子の総量は300fg未満(より一般的には50fg未満)である。これらの条件下で、DNA分子(通常、各液滴中1つの標的DNA分子及び2つの非標的分子)の増幅は、各液滴中のMDA試薬のpL体積のために試薬制限される。その結果、標的DNA分子は効果的に増幅されるが、そうでなければPhi29ポリメラーゼによって優先的に増幅され得る非標的DNA分子は、最終産物において大きな比率を閉めない。上記のように、これらの液滴中で一般的な増幅を行うことは、混入するDNA分子の増幅を排除するのにも役立つ(実施例5参照)。一般的な増幅工程における標的DNA分子の増幅は、pL反応容積と1〜2程度の低いDNA分子のテンプレートを必要とするため、PINSswift法の実施の成功は期待されなかった。このような一般的な増幅の条件は、Phiポリメラーゼの増幅には、少なくともngのテンプレートの量が推奨されており、有効な酵素濃度は、油-水界面での表面吸着に起因する少量の反応で劇的に低下することが知られているため、現在まで試みられていなかった(実施例6参照)。
PINSswiftシステムで観察される最小の負のTIP/偏りは、増幅プロセスから得られる全体的なゲインよりも著しく低く、したがって、最終的な結果は標的DNA分子の実質的な富化である。
実施例1
ヒトゲノムDNAに混合されたエシェリヒア・コリ由来のDNAの2つの領域の富化及びその後のシーケンシング
用いられた手順を図5に概略的に示す。
DNA試料及び検出試薬
0.2μg/μLの大腸菌染色体DNA及び1μg/μLのHeLaヒト染色体DNAを含有する1μLのDNA試料を標準的なPCR試薬と混合して総量10μLとした。2つのPCRプライマーの間の領域にアニーリングする分子ビーコンプローブ「MB 8.7」と共に、大腸菌アスパルトキナーゼI(thrA)にアニーリングするプライマー「MB8 Fw1 tm60」及び「MB8 Rev1 tm60」によって、1つの領域(E.coli-アンプリコン1)を標的にした。第2の領域(大腸菌-アンプリコン2)は、大腸菌ホモセリンキナーゼ(thrB)にアニーリングするプライマー「ThrB-fw」及び「ThrB-Re」と、2つのプライマー間のDNAに対するビーコン-ThrBアニーリングを標的とした。
液滴の調整
5μLのPCR反応+50μLの液滴オイル(4% v/v ABIL EM90、0.05% v/v Triton X100、96% v/v ミネラルオイル[分子生物学用軽油; Sigma-Aldrich; # M5904])をボルテックスミキサー上で混合して、約2.5μLの平均容量を有する異なるサイズの約200万個の油中水滴を生成させた。平均断片長が50キロベースであると仮定すると、各液滴は、約1.7x10-5標的断片及び9.1x10-3ヒト非標的断片の平均1.8x10-3エシェリヒア・コリ断片を含む。
PCR
95℃2分、3回(95℃3秒、56℃15秒)、25℃30秒のサイクル条件でエマルジョンPCRを行った。
検出及び選別
試料を、シリンジポンプを用いて100μmの選別チャネル直径を有するマイクロ流体チップに移し、チップ上のt接合選別ゾーンに移した。液滴を、カメラを用いて視覚化し、明るい蛍光液滴(陽性液滴)を物理的に1つのチャネルに分類し、非蛍光液又は弱蛍光液滴を廃棄し、未選別はその後破棄した。すべての液滴をいずれかのゲートに振り分け、シリンジポンプからの真空とそれに続く重力流を用いて、陽性液滴(合計31個)に続いて油相をチップから除去し、200μLチューブに移した。検出された標的DNA分子の平均サイズが50,000塩基対であると仮定すると、合体後の検出された液滴中のDNA分子の総量は1.7fgであると推定される。
一般的な増幅
10μLの10mM Tris-HCl(pH8)を、選別された陽性液滴を含む油に加えた。40μLのペルフルオロオクタン-1-オルを加え、ボルテックスし、遠心分離することにより、液滴を合体させた。10μLの水相を、Phi29ポリメラーゼ、dNTP、ランダムヘキサマープライマー及び適切な塩を含むMDA増幅のための試薬を含む新しいチューブに移して総容量20μLにした。50μLのオイル(4% v/v ABIL EM90、0.05% v/v Triton X100、96% v/v ミネラルオイル[分子生物学用軽油; Sigma-Aldrich; # M5904])を加え、2つの相をボルテックスミキサー上で混合して、約5pLの平均容量を有する異なるサイズの約200万個の油中水滴を生成させた。2時間後、40μLのペルフルオロオクタン-1-オルを加え、ボルテックスし、遠心分離してエマルジョンを破壊し、水相を新しいチューブに移し、Phiポリメラーゼ増幅プロセスを繰り返し、エマルションを合体させた。最終水相は20μL中370ng/μLの全DNAを含有していた。標的DNA分子の数は、検出に使用したプライマー対に隣接する領域(プライマーMB10.1fw及びMB10.1rev)にアニーリングするプライマーを用いてqPCRを用いて定量した。
結果
上記の富化後、最終試料は、上記のqPCR又はpgあたり30000個の標的を用いて定量化して、μLあたり1.1×1010標的コピーを含有した。これは、約1090倍の富化(標的/pgDNA総計で計算)に相当する。サンガーシーケンシング及び次世代シーケンシング(Illumina 150 bpペアエンドシーケンシング)を用いて試料を配列決定し、予想された大腸菌配列の両方を確認した。
実施例2 混合ヒトDNAにおける点突然変異の同定。
用いられた手順を図5に概略的に示す。
DNA試料及び検出試薬
遺伝子Kras(JX512447)のコドン12(配列GAT)に点変異を含む精製ヒトDNAを、コドン12(配列GGT)(変異頻度1%)の変異のない対応するサンプルと1:100で混合した。330ngの混合染色体DNAを含む1μLのDNA試料を、標準的なPCR試薬と混合して総容量20μLとした。
KrasにアニーリングするプライマーKras-cdn12-fw(TAGTGTATTAACCTTATGTG-配列番号19)及びKras-cdn12-re(TTACCTCTATTGTTGGAT-配列番号20)を、TaqmanプローブtaqMan-Kras-cdn12と共に、変異部位の2つのPCRプライマーの間の領域にアニーリングして使用した。
液滴の調整
20μLのPCR反応+60μLの液滴油(4% v/v ABIL EM90、0.05% v/v Triton X100、96% v/v ミネラルオイル[分子生物学用軽油; Sigma-Aldrich; # M5904])を、ボルテックスミキサー上で混合して、約2.5pLの平均容量を有する異なるサイズの約8,000,000個の油中水滴を生じさせた。平均断片長が50キロベースであると仮定すると、各液滴は、合計で1000個の陽性液滴に対応する約1.2×10-4個の標的断片の平均760個の断片を含む。
PCR
95℃2分、3x(95℃5秒、56℃15秒、72℃15秒)、25℃30秒のサイクル条件でエマルジョンPCRを行った。
検出及び選別
試料を、シリンジポンプを用いて選別チャネル直径105μmのマイクロ流体チップに移し、チップ上のx-接合選別ゾーンに移した。液滴を、カメラを用いて視覚化し、明るい蛍光液滴(陽性液滴)を物理的に1つのチャネルに選別し、非蛍光又は弱い蛍光液滴を他のチャネルに選別した。全ての液滴をいずれかのゲートに振り分けると、シリンジポンプからの真空を用いて、陽性液滴(合計950個)に続いて油相がチップから除去され、200μLのチューブに移された。検出された標的DNA分子の平均サイズが50,000塩基対であると仮定して、選択された陽性液滴中のDNA分子の総量は50fgであると推定される。
10μLの10mM Tris-HCl(pH8)を、選別された陽性液滴を含む油に加えた。200μLのミネラルオイルを加え、ボルテックスし、遠心分離することにより液滴を破壊した。10μLの水相を、Phi29ポリメラーゼ、dNTP、ランダムヘキサマープライマー、ジチオスレイトール(DTT)及び適切な塩を含むMDA増幅用試薬を含む新しいチューブに移し、総量20μLにした。60μLの液滴油(4% v/v ABIL EM90、0.05% v/v Triton X100、96% v/v ミネラルオイル[分子生物学用軽油; Sigma-Aldrich; # M5904])を加え、2つの相をボルテックスミキサー上で混合して、約5pLの平均容量を有する異なるサイズの約4000,000の油中水滴を生成させた。30℃で2時間後、120μLのミネラルオイルを加えることによりエマルジョンを破壊し、ボルテックスし、遠心分離し、水相を新しいチューブに移し、エマルジョンを破壊した。最終水相は20μL中に0.098ng/μLの全DNAを含有していた。
上記の富化DNA試料10μLを、上記のようにPhi29ポリメラーゼを用いて合計20μLで増幅した。得られた富化試料は、350ng/μLの全DNAを含有していた(サンプルA)。
10pgの第1富化試料(Phi29ポリメラーゼ増幅の第2ラウンドの前)を、エマルジョンPCRを行い、陽性液滴を選択し、選別することにより第2ラウンドの富化に供した。上記のように約400滴を選択し、選別し、選別された液滴をさらに増幅させて、20μL(B-試料)中の412ng/μL全DNAの試料を得た。
試料A及びBの標的DNA分子の数を、検出に使用したプライマー対に隣接する領域にアニーリングするプライマーを用いqPCRにて定量した。
結果
上記の富化の後、最終試料Aは、上記のqPCR又はpgあたり40個の標的を用いて定量化して、μLあたり1.7×107個の標的コピーを含有した。これは、13,000倍の富化(標的/pg総DNAベースで計算)に相当する。
最終試料Bは、上記のqPCR又はpgあたり28,000個の標的を用いて定量化して、μLあたり1.2x1010の標的コピーを含有した。これは、試料Aから70倍、初期試料から910,000倍の富化(標的/pg総DNAベースで計算)に相当する。
サンガーシーケンシング及び次世代シーケンシング(イルミナ150bpペアエンドシーケンシング)を用いて試料の配列を決定し、点変異を含む期待される配列を確認した。
実施例3
50pgの全DNAからのヒトDNAに組み込まれたウイルスの配列及び統合点の同定
用いられた手順を図7に概略的に示す。
DNA試料及び検出試薬
20μL中に組み込まれたHPV18ウイルスを含有する50pg/μLのHeLaヒト染色体DNAを含有する1μLのDNA試料を、標準的なPCR試薬と混合して総量10μLとした。HPV18にアニーリングするプライマー「HPV18 104 fw1」及び「HPV18 105 rev1」を、2つのPCRプライマー間の領域にアニーリングする分子ビーコンプローブ「HPV18 106p」と共に使用した。その後の反応からのPCR産物の除去を可能にするためにdNTPの代わりにdUTPを加えた。
液滴の調整
10μLのPCR反応+30μLのミネラルオイル液滴油(4% v/v ABIL EM90、0.05% v/v Triton X100、96% v/v ミネラルオイル[分子生物学用軽油; Sigma-Aldrich; # M5904])を、約50pLの平均容量を有する約200,000個の油中水型単分散液滴を生成する液滴生成用のマイクロ流体チップ中で混合した。50kbの平均断片長及びゲノムあたり4コピーのHPV18と仮定すると、各液滴は、約3.0×10-4の標的断片の平均4.6個のDNA断片を含む。
PCR
95℃2分、3x(95℃5秒、56℃15秒、72℃15秒)、25℃30秒のサイクル条件でエマルジョンPCRを行った。
検出及び選別
試料を、シリンジポンプを用いて100μmのチャネル直径を有するマイクロ流体チップに移し、チップ上のt接合選別区域に移した。液滴を、カメラを用いて視覚化し、明るい蛍光液滴(陽性液滴)を物理的に1つのチャネルに選別し、非蛍光又は弱い蛍光液滴を他のチャネルに選別した。全ての液滴をいずれかのゲートに振り分け、シリンジポンプからの真空を用いてチップから陽性液滴(合計57)を除去し、200μLチューブに移した。検出された標的DNA分子の平均サイズが50,000塩基対であると仮定すると、選択された陽性液滴中のDNA分子の総量は14.2fgであると推定される。
一般的な増幅
選別した陽性液滴を含む油に、UDG(ウラシル-DNA N-グリコシラーゼ)を含む10μL試薬及びPCR産物を含むdUTPを除去するための緩衝液を加えた。200μLのミネラルオイルを加え、ボルテックスし、遠心分離することにより、液滴を合体させた。10μLの水相を新しいチューブに移し、37℃で10分間、続いてUDGの不活性化のために95℃で1分間インキュベートした。Phi29ポリメラーゼ、dNTP、ランダムヘキサマープライマー及び適切な塩を含むMDA増幅のための試薬を加えて、総容量を20μLにした。60μLのミネラルオイルを加え、2つの相をボルテックスミキサー上で混合して、約5pLの平均容量を有する異なるサイズの約4000000個の油中液滴を生成させた。30℃でのインキュベーション中、液滴は徐々に融合し、合計4時間のインキュベーション後に液滴サイズが増加した。最終水相は20μL中に275ng/μLの全DNAを含んでいた。標的DNA分子の数は、検出に使用したプライマー対に隣接する領域にアニーリングするプライマーを用いqPCRにて定量した(プライマー: HPV5901f (GTTTAGTGTGGGCCTGTGC)及びHPV5994r (GGCATGGGAACTTTCAGTGT)。
結果
上記の富化後、最終試料は、上記のqPCR又はpgあたり5500標的を用いて定量化して、μLあたり1.5×109標的コピーを含有した。これは、約1100倍(標的/pg総DNAベースで計算)の富化に相当する。サンガーシーケンシング及び次世代シーケンシング(イルミナ150bpペアエンドシーケンシング)を用いて試料の配列を決定し、組込み部位を含むHPV18の4つの統合コピーの領域の配列を決定した。
実施例4
液滴中のDNA標的の一般的な増幅は、混入するDNAの増幅を排除する。
すべてのPhi29ポリメラーゼ増幅反応混合物を、QiagenのRepliG単一細胞キットを製造業者の推奨に従って使用して、25μL容量で調製した。大腸菌から精製したDNAを反応のテンプレートとして使用した。1つのサンプル中の増幅反応を25μL容量(標準条件)で進行させた重複サンプルを調製した。重複試料を最初に液滴に変換し、次いで反応を進行させた。反応を液滴で行った場合、50μLのミネラルオイル液滴油(4% v/v ABIL EM90、0.05% v/v Triton X100、96% v/v ミネラルオイル[分子生物学用軽油; Sigma-Aldrich; # M5904])を加え、1分間ボルテックスして、約5pLの平均容量を有する異なるサイズの約5000000個の油中液滴を生成させた。反応物を30℃で16時間インキュベートした。次いで、50μLのペルフルオロオクタン-1-オルを加え、ボルテックスし、遠心分離してエマルジョンを合体させ、20μLの水相を新しいチューブに移した。2μLの各反応物を0.7%アガロースゲルに充填した。以下の増幅反応を行った:1)大腸菌DNAテンプレート1ng、液滴なし、2)DNA鋳型なし、液滴なし、3)大腸菌DNA鋳型1ng、液滴中での反応、4)DNAテンプレートなし、液滴中での反応、5)大腸菌DNA鋳型1ng、液滴なし、Phi29ポリメラーゼなし。
結果
図8は、Phi29ポリメラーゼ増幅のサイズ分離増幅産物のアガロースゲルを示す。増幅されたDNAの有意な量は、効率的な増幅に対応するレーン1-3で見ることができる。レーン3の反応はテンプレートDNAを含まないので、増幅されたDNAは反応中にDNA混入から来る可能性が高い。非テンプレート反応を液滴で行った場合、増幅されたDNAはゲル上には見られない(レーン4)。
Phi29ポリメラーゼ増幅反応から増幅されたDNAが標的DNA分子(大腸菌)を含むかどうかを調べるために、大腸菌特異的プライマーC-Thr 1325f及びC-Thr 1485rを用いて増幅した試料に対して定量的PCRを行った。サイクル条件: 94℃、15秒/60.5℃、15秒/72℃、15秒。
図9から分かるように、大腸菌DNAテンプレート(1及び3)を含むPhi29ポリメラーゼ反応のみが、大腸菌プライマーセットを用いて特異的産物を産生した。これは液滴と非液滴反応の両方の場合であった。大量のDNAが存在したのにも関わらず、テンプレートなし及び液滴なしでのPhiポリメラーゼ反応(図8、レーン2)が、特定のqPCR増幅をもたらさなかった(図9、2)。これはPhiポリメラーゼ反応により生成されたDNAが非大腸菌DNAの混入からの増幅であったことを示唆する。
分析はさらに、大腸菌テンプレートを含む試料3の場合のように、平均容量5pLの液滴で反応を実施すると、液滴あたり平均0.2fgのテンプレートが、Phi29ポリメラーゼを介した一般的な増幅に十分量であることを示している。
実施例5
ヒトdusp3遺伝子の富化及びシーケンシング
以下の実験は、混合DNA分子のサンプル中の標的DNA分子の検出、富化及びシーケンシングを実証するために実施され、混合DNA分子のサンプル中の標的DNA分子の頻度は10-5〜10-7の間であり、標的DNA分子は10,000〜100,000の間の核酸塩基対を含んでいた。
この実験は、本発明の方法に従って行われ、ここで、混合DNA分子のサンプルは、PCRによって検出され、ここで、標的DNA分子の頻度が液滴当たり10-4〜10-5標的DNA分子である。標的DNA分子を含む陽性液滴から約100μgのDNAを回収し、その後その試料を一般的に増幅した。増幅反応は、約5pLのサイズの液滴で行った。
DNA試料及び検出試薬
1ng/μLのヒト染色体DNA(Jurkat)を含有する1μLのDNA試料を標準PCR試薬と混合して総容量20μLとした。ヒトDUSP3遺伝子(GenBank 受け入れ番号 NM_004090.3)にアニーリングするプライマー「Dusp3 fw3」[5’-AGATGGTTTTGCCCGCTTT - 配列番号21]及び「Dusp3 rev3」[5’-TGCCACTTAGCAGAAGCAAC -配列番号22]を、2つのPCRプライマー間の領域にアニーリングするTaqmanプローブ「Dusp3 tp3-2 FAM」[FAM-CCACCTCATATGTGTGTGCTGCC-BHQ1 - 配列番号23]を用いた。その後の反応からのPCR産物の除去を可能にするためにdNTPの代わりにdUTPを加えた。
液滴の調整
20μLのPCR反応及び30μLのミネラルオイル液滴油(4% v/v ABIL EM90、0.05% v/v Triton X100、96% v/v ミネラルオイル[分子生物学用軽油; Sigma-Aldrich; # M5904])をマイクロ流体チップ中で液滴生成のために混合し、平均液滴体積が約3μLである約6,500,000個の油中水型単分散液滴を生成した。平均断片長が50キロベースであり、ゲノムあたりDUSP3遺伝子のコピーが1つであると仮定すると、各液滴は、平均約4.2×10-5の標的断片の2.6個のDNA断片を含む。
PCR
94℃2分、40x(94℃3秒、60℃30秒)、25℃30秒のサイクル条件でエマルジョンPCRを行った。
検出及び選択
試料を蛍光活性化セルソーター(Biorad S3e)に移した。陽性液滴を物理的に1つのゲートに選別し、非蛍光又は弱蛍光液滴を廃棄物回収に選別した。全ての液滴をどちらかのゲートに振り分け、陽性液滴(合計592個)を200μLのチューブに移した。
一般的な増幅
選別された陽性液滴を、過剰の油を除去し、2×10μLの1H、1H、2H、2H、ペルフルオロオクタノールを添加し、混合物を混合及び遠心分離することによって合体させた。合体した液滴の水相の3μL試料(およそ30fg)を、N6壁さまープライマー、水、dNTP、2.5ユニットPhi29ポリメラーゼを含む17μL混合物に加えた。2%PicoSurf油20μLを加え、次いで、反応液を2600rpmで2分間ボルテックスして、平均液滴体積が約5μLである油中液滴を生成した。液滴を30℃で6時間インキュベートした後、合体液滴中の富化及び増幅されたDNAをqPCR及びTapestation(Agilent)測定を用いて分析した。これらの測定値によれば、富化及び増幅後の3μLのDNA試料は、その際60,000個の標的分子を含有していた。総DNA濃度は、Tapestationの検出の下限である0.5ng/μL以下であったので、液滴中の一般的な増幅の第2ラウンドを上記のように行って全DNA量を増加させた。
結果
液滴中の2回目の増幅の結果は、表1の通りであった:
Figure 0006936155
*富化は元のJurkat DNA試料と比較して行う。
上記の富化の後、最終試料は、qPCRを用いて定量化し、μLあたり2.3x107の標的コピーを含有した。これは、約2700倍の富化(標的/pg総DNAベースで計算)に相当する。試料は、次世代シーケンシング(Illumina 150 bpペアエンドシーケンシング)を用いて配列決定した。DUSP3遺伝子標的領域をカバーする14.5kbの配列コンティグ[配列番号24]をNGSデータから作製した。
実施例6
水/油界面への吸着の結果としての酵素不活性化
イントロダクション
この実施例は、液滴サイズの減少の効果として液滴ベースのPhi29ポリメラーゼ増幅に対する効果を示す。Phi29ポリメラーゼ反応は、酵素が水と液滴油との間の中間相への吸着に対して非常に感受性であると記載されている先行技術に基づいて、小液滴において阻害されることが期待される[11]。さらに、増加した表面積対体積比は、液滴中で酵素反応を行う場合に阻害を増加させることがしっかりと記載されている[12]。
油-水界面での非特異的吸着に起因する酵素の累進的な不活性化のために、小液滴中のPhi29ポリメラーゼ増幅は阻害されると予想される。それにもかかわらず、この実験(フェムトからピコリットルの範囲であり、従って、阻害をもたらすと予想される)で作成された液滴は、異なるサイズのPhi29ポリメラーゼ液滴からのDNA収量が同一であるため、Phi29ポリメラーゼ増幅を阻害しないようである(表3 - 液滴Phiの結果)。
手順
2つの平行した20μlの試料を、実施例5に記載のようにPhi29増幅のために調製し、3ngのJurkat DNAテンプレート(Thermofisher Scientific)を各反応に加えた。40μlの2%PicoSurf(ドロマイトマイクロフルイディクス)を試料に加え、両方を以下の表に記載されるように異なる速度でボルテックスした。「エッペンドルフホルダーで手で引っ張る(Hand-pulled on Eppendorf holder)」とは、反応混合物を含む1.5mLエッペンドルフチューブを約45度の角度に保持し、チューブに適度な圧力を加えながら、16穴1.5mLチューブホルダーの上部に押しつける方法であり、ホルダーに上方向に素早く水平に引っ張ったときに(チューブホルダーの)各穴の上下運動を確実にする。この手順の結果、エッペンドルフチューブは、毎秒27回の垂直移動の頻度で約5mm上下に移動する。
手順を合計3秒にわたって5回繰り返す。
表2.試料パラメータ
Figure 0006936155
テンプレート及び液滴
得られた液滴の平均サイズを、顕微鏡画像及び関連する測定ソフトウェアを用いて測定した。平均液滴サイズに基づいて、各試料から液滴の総数を計算した。推定される鋳型断片サイズ30Kbに基づいて、3ngのDNAのテンプレート量は9.3x107個のDNA断片に相当すると考える。したがって、試料A及びBの両方の調製は、生成されたすべての液滴中にDNAが存在する液滴を生じた(表1詳細)。
次いで、両方の試料について生成された液滴を30℃で6時間インキュベートし、温度を65℃に10分間上昇させることによって反応を停止させた。液滴の内容物を、製造業者によって記載されたようにPicoBreakを用いることによって抽出した。SSO Advance Supermix(BioRad)を用いてリアルタイムPCR定量(Ct)を用いて標的領域(Dusp3)を定量した。増幅後の全DNAを、TapeStation(Agilent)を用いて測定した。
結果
結果の集計を表3に示す。簡単に述べると、表に示されたデータは、平均測定直径が施用されたボルテックスの強度と相関することを示している。最も穏やかな取り扱いが適用された試料Aは、45.7μmの平均液滴直径をもたらし、最も強い物理的ボルテックス(試料B)は、13.3μmの平均直径を有する液滴をもたらした。
Phi増幅及び生成物抽出の際に、DNA定量化は、試料B(13.2ng/μl)と比較して、試料Aからの2倍以上の増幅DNA(28.5ng/μl)を示した。両方の試料(テンプレートがすべての液滴に存在する)のテンプレートの余剰に関わらず、より小さい液滴で行われた反応では約2倍低いレベルの全DNAが観察された。阻害が起こらなかった場合、両方のサンプルの総反応容量が同一であり、テンプレートが全ての液滴に存在するので、同等のDNA量が予想される。2つの反応からの生成物中のCt値は同様であった。これは、いくらかの阻害が起こる可能性があることを示しているが、依然としてより小さい液滴における増幅から有意な量が生成され、下流シーケンシングにおけるその後の使用も可能である。
ここで得られた結果は、液滴サイズ(1.2〜50pLの範囲)が増幅収率にとって重要であるが、Phi29ポリメラーゼは阻害に対して比較的感受性が低く、阻害効果は、シーケンシングにおける下流の使用を妨げないことを示唆している。
表3 液滴Phiからの結果
Figure 0006936155
*表は、液滴の増幅データを示す。平均直径及び液滴の数は、顕微鏡検査に基づいて推定され、液滴当たりのDNA断片は、液滴生成前のDNAのTapestation測定及び平均液滴サイズに基づいており、Phi29ポリメラーゼ増幅産物は、Tapestation測定に基づいて決定される。
配列リスト
MB8 Fw1 tm60: GACGGTAGATTCGAGGTAATGC [配列番号1]
MB8 Rev1 tm60: TATGGCCGGCGTATTAGAAG [配列番号2]
MB10.1fw: TCAACAACCTCGCATCGG [配列番号3]
MB10.1rev: GTGCTGGCTGCCTGTTTAC [配列番号4]
HPV18 104 fw1: CAGATCCTTATGGGGATTCC [配列番号5]
HPV18 105 rev1: GATTGAGGCACAGTGTCAC [配列番号6]
HPV18 106p: GGCATTTTTGGAATAGGGCAGG [配列番号7]
HPV5901f: GTTTAGTGTGGGCCTGTGC [配列番号8]
HPV5994r: GGCATGGGAACTTTCAGTGT [配列番号9]
ThrB-Fw: ACATTCAGTCTCAACAAC [配列番号10]
ThrB-Re: AATTTGCTTACCCAGTTC [配列番号11]
ビーコン-ThrB: CGCGATCGTTCTGACGGCAGCTTATCGGATCGCG [配列番号12]
大腸菌アンプリコン1 (ThrA)
GACGGTAGATTCGAGGTAATGCCCCACTGCCAGCAGTTTTTCGACCGGATCGATAACAGTAACGTTGTGACCGCGCGCTTCTAATACGCCGGCCATA [配列番号13]
大腸菌アンプリコン2 (ThrB)
ACATTCAGTCTCAACAACCTCGGACGCTTTGCCGATAAGCTGCCGTCAGAACCACGGGAAAATATCGTTTATCAGTGCTGGGAGCGTTTTTGCCAGGAACTGGGTAAGCAAATT [配列番号14]
K-rasアンプリコン
TAGTGTATTAACCTTATGTGTGACATGTTCTAATATAGTCACATTTTCATTATTTTTATTATAAGGCCTGCTGAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGTAGTTGGAGCTGATGGCGTAGGCAAGAGTGCCTTGACGATACAGCTAATTCAGAATCATTTTGTGGACGAATATGATCCAACAATAGAGGTAA [配列番号15]
HPV18アンプリコン
GATTGAGGCACAGTGTCACCCATAGTACCTGCCCTATTCCAAAAATGCCTAGCAAAAAGCTGCTCACGCCGTAAGCAAAAAAACATGGAATCCCCATAAGGATCTG [配列番号16]
C-Thr 1325f: CCCGCGCCAATATCAACA [配列番号17]
C-Thr 1485r: ACCGACGCCAATCACAAACA [配列番号18]

Claims (18)

  1. 混合DNA分子の試料からの1つ又はそれ以上の標的DNA分子を富化するためのin vitro方法であって、
    a) 1つ又はそれ以上の標的特異的DNA分子を含む混合DNA分子の液体試料及び少なくとも1つの前記標的DNA分子の特異的検出用試薬の提供、
    b) 前記液体試料からの複数の液滴の形成、
    c) 少なくとも1つの前記標的DNA分子を含む液滴の特異的検出、ここで、各液滴は、平均して0.5未満の1つ又はそれ以上の前記標的DNA分子を含み、及び
    d) 少なくとも1つの前記標的DNA分子を含む液滴の物理的選択、
    e) 工程d)から選択された液滴を合体させた液滴中のDNA分子の一般的な増幅、ここで、前記DNA分子は総量が300fg未満であり、一般的な増幅反応混合物を形成するために一般的な増幅試薬を、前記選択された液滴を合体させた液滴に加え、及びエマルジョンの液滴が、前記反応混合物から形成される、の工程を含む方法。
  2. 混合DNA分子の試料からの1つ又はそれ以上の標的DNA分子を富化するためのin vitro方法であって、
    a) 1つ又はそれ以上の標的特異的DNA分子を含む混合DNA分子の液体試料及び少なくとも1つの前記標的DNA分子の特異的検出用試薬の提供、
    b) 前記液体試料からの混合DNA分子をそれぞれ含む複数のエマルジョンの液滴の形成、
    c) 少なくとも1つの前記標的DNA分子を含む液滴の特異的検出、ここで、各液滴は、平均して0.5未満の1つ又はそれ以上の前記標的DNA分子を含み、及び
    d) 少なくとも1つの前記標的DNA分子を含む液滴を物理的選択、ここで、
    工程a)における混合DNA分子の試料におけるその頻度と比較した標的DNA分子の頻度は、0.01x(DNA分子を含む液滴の総数)x(標的DNAを有する液滴の数)-1と100x(DNA分子を含む液滴の総数)x(標的DNAを有する液滴の数)-1との間で増加し、
    e) 工程d)から選択された液滴を合体させた液滴中のDNA分子の一般的な増幅、ここで、混合DNA分子は総量が300fg未満であり、一般的な増幅反応混合物を形成するために一般的な増幅試薬を、前記選択された液滴を合体させた液滴に加え、及びエマルジョンの液滴が、前記反応混合物から形成される、の工程を含む方法。
  3. 工程e)において、前記反応混合物から5μlごとに、少なくとも1.2x106〜最大1.2x109までの液滴が形成される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程b)における液滴の総数が少なくとも5×105である、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  5. 前記特異的検出用試薬が、PCR試薬であり、1つ又はそれ以上の前記標的DNA分子の特異的検出が、PCRによって行われる、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記標的DNA分子が、1つ又はそれ以上の少なくとも40ヌクレオチドの特有な連続配列を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 工程e)におけるDNAの一般的な増幅が、多置換増幅によって行われる、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 特異的検出のための前記試薬が、dUTPを含む、請求項5〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. 工程d)が、1つ又はそれ以上の前記標的DNA分子の特異的検出のために産生されたDNAを不活性化、分解又は除去する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記不活性化の工程が、ウラシル-DNA N-グリコシラーゼを用いて行われる、請求項9に記載の方法。
  11. 工程a)〜e)の反復工程f)をさらに含み、ここで、前記反復工程a)の液体試料中のDNA分子が、前記工程e)において選択された液滴を合体させた液滴中のDNA分子から生成された一般的な増幅産物に由来する、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
  12. 工程b)において形成された各液滴が、2〜20μmの平均直径を有する、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
  13. 工程b)で形成された液滴が、液滴当たり平均して少なくとも10-7の標的DNA分子を含む、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
  14. 工程a)の1つ又はそれ以上の前記標的DNA分子のそれぞれが、1,000〜108の核酸塩基対を含む、請求項1〜13の何れか1項に記載の方法。
  15. 工程e)において生成される一般的な増幅産物が、1つ又はそれ以上の増幅された標的DNA分子を含み、増幅された標的DNA分子のそれぞれが、500〜150,000核酸塩基対を含む、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
  16. 前記標的DNA分子が、細胞のゲノムに由来する、請求項1〜15の何れか1項に記載の方法。
  17. 工程e)において、前記反応混合物から形成される前記液滴が、0.0042pL〜1nLの油中水滴である、請求項1、2、及び4〜16の何れか1項に記載の方法。
  18. 工程e)において、前記反応混合物から形成される前記液滴が、1pL〜1nLの油中水滴である、請求項1、2、及び4〜16の何れか1項に記載の方法。
JP2017566728A 2015-06-26 2016-06-24 マイクロ流体分配を用いた長いヌクレオチド配列の標的富化 Active JP6936155B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201562185111P 2015-06-26 2015-06-26
US62/185,111 2015-06-26
DKPA201570449 2015-07-07
DKPA201570449 2015-07-07
PCT/EP2016/064719 WO2016207379A1 (en) 2015-06-26 2016-06-24 Targeted enrichment of long nucleotide sequences using microfluidic partitioning

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018518968A JP2018518968A (ja) 2018-07-19
JP2018518968A5 JP2018518968A5 (ja) 2019-07-18
JP6936155B2 true JP6936155B2 (ja) 2021-09-15

Family

ID=57584736

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017566728A Active JP6936155B2 (ja) 2015-06-26 2016-06-24 マイクロ流体分配を用いた長いヌクレオチド配列の標的富化

Country Status (7)

Country Link
US (2) US10738354B2 (ja)
EP (2) EP3770271B1 (ja)
JP (1) JP6936155B2 (ja)
AU (1) AU2016282350A1 (ja)
CA (1) CA2990092A1 (ja)
DK (1) DK3770271T3 (ja)
WO (1) WO2016207379A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DK3155119T3 (en) * 2014-06-11 2018-12-17 Samplix Aps NUCLEOTIDE SEQUENCE EXCLUSION ENHANCEMENT BY DROP SORTING (NEEDLS)
JP2018203724A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 キヤノン株式会社 油性組成物、およびそれを用いた分析方法
DK201900926A1 (en) 2019-08-02 2021-07-01 Samplix Aps System and method for amplifying nucleic acids from single cells
US20210214769A1 (en) * 2020-01-13 2021-07-15 Fluent Biosciences Inc. Methods and systems for amplifying low concentrations of nucleic acids
WO2022117547A1 (en) 2020-12-01 2022-06-09 Samplix Aps System and method for sorting of particles
DK202200230A1 (en) 2022-03-21 2023-12-11 Samplix Aps Targeted enrichment of large dna molecules for long-read sequencing using facs or microfluidic partitioning

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102459592B (zh) 2009-06-15 2017-04-05 考利达基因组股份有限公司 用于长片段阅读测序的方法和组合物
US20120164633A1 (en) 2010-12-27 2012-06-28 Ibis Biosciences, Inc. Digital droplet sequencing
ES2630377T3 (es) 2012-12-21 2017-08-21 Samplix S.A.R.L. Aislamiento de secuencias nucleotídicas dirigido por probabilidad (PINS)
US20140303005A1 (en) 2013-04-05 2014-10-09 Raindance Technologies, Inc. Rare cell analysis after negative selection
WO2014172373A2 (en) 2013-04-19 2014-10-23 Raindance Technologies, Inc Digital analyte analysis
DK3155119T3 (en) * 2014-06-11 2018-12-17 Samplix Aps NUCLEOTIDE SEQUENCE EXCLUSION ENHANCEMENT BY DROP SORTING (NEEDLS)
US10697007B2 (en) * 2014-06-27 2020-06-30 The Regents Of The University Of California PCR-activated sorting (PAS)

Also Published As

Publication number Publication date
EP3314012B1 (en) 2020-09-09
EP3314012A1 (en) 2018-05-02
JP2018518968A (ja) 2018-07-19
US10738354B2 (en) 2020-08-11
AU2016282350A1 (en) 2018-01-18
US11572584B2 (en) 2023-02-07
US20180179589A1 (en) 2018-06-28
DK3770271T3 (da) 2023-05-08
WO2016207379A1 (en) 2016-12-29
EP3770271B1 (en) 2023-02-08
CA2990092A1 (en) 2016-12-29
US20200332353A1 (en) 2020-10-22
EP3770271A1 (en) 2021-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11390906B2 (en) Nucleotide sequence exclusion enrichment by droplet sorting (NEEDLS)
JP6936155B2 (ja) マイクロ流体分配を用いた長いヌクレオチド配列の標的富化
RU2736351C2 (ru) Способы дискретной амплификации полного генома
JP6626848B2 (ja) 単一の管を付加したプロトコルを用いるタグ化核酸ライブラリの調製
JP6181751B2 (ja) 望まれない核酸配列のネガティブ選択のための組成物および方法
US9850525B2 (en) CAS9-based isothermal method of detection of specific DNA sequence
JP2020522243A (ja) 核酸のマルチプレックス末端タギング増幅
US20230220377A1 (en) Single cell analysis
AU2011204313A1 (en) Materials and methods for isothermal nucleic acid amplification
JP2023512559A (ja) 体液においてtbを検出するためのcrisprに基づくアッセイ
WO2012138926A1 (en) Methods and kits for breaking emulsions
Yasmin et al. A modifiable microarray-based universal sensor: providing sample-to-results automation
JP4304318B2 (ja) 遺伝子の濃縮方法
WO2014095931A1 (en) Nucleic acid amplification method
CN114616342A (zh) 制备用于crispr的个性化的靶标不相关的向导rna池的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A529 Written submission of copy of amendment under article 34 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A529

Effective date: 20180209

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20180720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190617

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200928

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210216

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210727

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210826

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6936155

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150