JP6930888B2 - フィルム状焼成材料、及び支持シート付フィルム状焼成材料 - Google Patents

フィルム状焼成材料、及び支持シート付フィルム状焼成材料 Download PDF

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Description

本発明は、フィルム状焼成材料、及び支持シート付フィルム状焼成材料に関する。
近年、自動車、エアコン、パソコン等の、高電圧・高電流化に伴い、これらに搭載される電力用半導体素子(パワーデバイス)の需要が高まっている。電力用半導体素子は、高電圧・高電流下で使用されるという特徴から、半導体素子からの熱の発生が問題となりやすい。
従来、半導体素子から発生した熱の放熱のため、半導体素子の周りにヒートシンクが取り付けられる場合もある。しかし、ヒートシンクと半導体素子との間の接合部での熱伝導性が良好でなければ、効率的な放熱が妨げられてしまう。
熱伝導性に優れた接合材料として、例えば、特許文献1には、特定の加熱焼結性金属粒子と、特定の高分子分散剤と、特定の揮発性分散媒が混合されたペースト状金属微粒子組成物が開示されている。当該組成物を焼結させると、熱伝導性の優れた固形状金属になるとされる。
特開2014−111800号公報
しかし、特許文献1のように焼成材料がペースト状の場合では、塗布されるペーストの厚さを均一化することが難しく、厚さ安定性に乏しい傾向にある。
本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、厚さ安定性及び熱伝導性に優れ、低温で焼成可能であり、焼成後に優れたせん断接着力を発揮するフィルム状焼成材料を提供することを目的とする。また、当該フィルム状焼成材料を備えた支持シート付フィルム状焼成材料を提供することを目的とする。
従来、焼成材料中に含まれる金属粒子以外の材料については熱分解温度が低いほど良いと考えられてきた。しかし、本発明者らは、熱物性的観点から焼結機構を検討することにより、熱重量曲線(TG曲線)における温度と重量残存率とが特定の関係を有するフィルム状焼成材料が、厚さ安定性及び熱伝導性に優れると共に、低温で焼成可能であり、焼成後に優れたせん断接着力を発現できることを見出し、発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1] 焼結性金属粒子及びバインダー成分を含有するフィルム状焼成材料であって、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であることを特徴とするフィルム状焼成材料。
[2] フィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子を除いた成分について、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)における、負の傾きが最も大きい温度(A’)と
前記焼結性金属粒子について、アルミナ粒子を参照試料として大気雰囲気下10℃/分の昇温速度40℃から600℃まで測定された示差熱分析曲線(DTA曲線)における、最も低温で観測されるピーク温度(B’)と、
が、B’<A’の関係を満たす、前記[1]に記載のフィルム状焼成材料。
[3] 前記焼結性金属粒子が銀ナノ粒子である、前記[1]又は[2]に記載のフィルム状焼成材料。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のフィルム状焼成材料と、前記フィルム状焼成材料の少なくとも一方の側に設けられた支持シートと、を備えた支持シート付フィルム状焼成材料。
[5] 前記支持シートが、基材フィルム上に粘着剤層が設けられたものであり、
前記粘着剤層上に、前記フィルム状焼成材料が設けられている、前記[4]に記載の支持シート付フィルム状焼成材料。
本発明によれば、厚さ安定性及び熱伝導性に優れ、低温で焼成可能であり、焼成後に優れたせん断接着力を発揮するフィルム状焼成材料を提供できる。また、当該フィルム状焼成材料を備え、半導体素子の焼結接合に用いられる支持シート付フィルム状焼成材料を提供できる。
本発明の一実施形態に係る、フィルム状焼成材料を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る、フィルム状焼成材料の焼成前から後にかけての推定される様子を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る、支持シート付フィルム状焼成材料がリングフレームに貼付された状態を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る、支持シート付フィルム状焼成材料がリングフレームに貼付された状態を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る、支持シート付フィルム状焼成材料がリングフレームに貼付された状態を模式的に示す斜視図である。 測定により得られたTG曲線のグラフである。 測定により得られたTG曲線のグラフである。 測定により得られたTG曲線のグラフである。 測定により得られたTG曲線のグラフである。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照し説明する。
なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
≪フィルム状焼成材料≫
実施形態のフィルム状焼成材料は、焼結性金属粒子及びバインダー成分を含有するフィルム状焼成材料であって、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内にあることを特徴とするものである。
図1は、実施形態のフィルム状焼成材料を模式的に示す断面図である。フィルム状焼成材料1は、焼結性金属粒子10及びバインダー成分20を含有している。
フィルム状焼成材料は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。フィルム状焼成材料が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、フィルム状焼成材料の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料、構成材料の配合比、及び厚さの少なくとも一つが互いに異なる」ことを意味する。
フィルム状焼成材料の焼成前の厚さは、特に制限されるものではないが、10〜200μmが好ましく、20〜150μmが好ましく、30〜90μmがより好ましい。
ここで、「フィルム状焼成材料の厚さ」とは、フィルム状焼成材料全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるフィルム状焼成材料の厚さとは、フィルム状焼成材料を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本明細書において、「厚さ」は、任意の5箇所で厚さを測定した平均で表される値として、JIS K7130に準じて、定圧厚さ測定器を用いて取得できる。
(剥離フィルム)
フィルム状焼成材料は、剥離フィルム上に積層された状態で提供することができる。使用する際には、剥離フィルムを剥がし、フィルム状焼成材料を焼結接合させる対象物上に配置すればよい。剥離フィルムはフィルム状焼成材料の損傷や汚れ付着を防ぐための保護フィルムとしての機能も有する。剥離フィルムは、フィルム状焼成材料の少なくとも一方の側に設けられていればよく、フィルム状焼成材料の両方の側に設けられてよい。
剥離フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルムなどの透明フィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。また、これらを着色したフィルム、不透明フィルムなどを用いることができる。剥離剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、アルキッド系、オレフィン系、長鎖アルキル基含有カルバメート等の剥離剤が挙げられる。
剥離フィルムの厚さは、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μm程度である。
<焼結性金属粒子>
焼結性金属粒子は、フィルム状焼成材料の焼成として加熱処理されることで粒子同士が溶融・結合して焼結体を形成可能な金属粒子である。焼結体を形成することで、フィルム状焼成材料とそれに接して焼成された物品とを焼結接合させることが可能である。
焼結性金属粒子の金属種としては、銀、金、銅、鉄、ニッケル、アルミ、シリコン、パラジウム、白金、チタン、チタン酸バリウム、これらの酸化物又は合金等が挙げられ、銀及び酸化銀が好ましい。焼結性金属粒子は、一種類のみが配合されていてもよく、2種類以上の組み合わせで配合されていてもよい。
焼結性金属粒子は、ナノサイズの銀粒子である銀ナノ粒子であることが好ましい。
フィルム状焼成材料に含まれる焼結性金属粒子の粒子径は、上記焼結性を発揮可能なものであれば特に制限されるものではないが、100nm以下であってよく、50nm以下であってよく、30nm以下であってよい。なお、フィルム状焼成材料が含む金属粒子の粒子径とは、電子顕微鏡で観察された金属粒子の粒子径の、投影面積円相当径とする。 上記粒子径の範囲に属する金属粒子は、焼結性に優れるため好ましい。
フィルム状焼成材料が含む焼結性金属粒子の粒子径は、電子顕微鏡で観察された金属粒子の粒子径の、投影面積円相当径が100nm以下の粒子に対して求めた粒子径の数平均が、0.1〜95nmであってよく、0.3〜50nmであってよく、0.5〜30nmであってよい。なお、測定対象の金属粒子は、1つのフィルム状焼成材料あたり無作為に選ばれた100個以上とする。
焼結性金属粒子はバインダー成分およびその他の添加剤成分に混合する前に、あらかじめ凝集物の無い状態にするため、イソボロニルヘキサノールや、デシルアルコールなどの沸点の高い高沸点溶媒に予め分散させてもよい。高沸点溶媒の沸点としては、例えば200〜350℃であってもよい。この時、高沸点溶媒を用いると、これが常温で揮発することがほとんどないために焼結性金属粒子の濃度が高くなることが防止され、作業性が向上される他、焼結性金属粒子の再凝集なども防止され、品質的にも良好となる場合がある。分散法としてはニーダ、三本ロール、ビーズミルおよび超音波などが挙げられる。
実施形態のフィルム状焼成材料には、粒子径100nm以下の金属粒子(焼結性金属粒子)の他に、これに該当しない粒子径が100nmを超える非焼結性の金属粒子がさらに配合されてもよい。粒子径が100nmを超える非焼結性の金属粒子の粒子径は、電子顕微鏡で観察された金属粒子の粒子径の、投影面積円相当径が100nmを超える粒子に対して求めた粒子径の数平均が、150nm超50000nm以下であってよく、150〜10000nmであってよく、180〜5000nmであってよい。
粒子径が100nmを超える非焼結性の金属粒子の金属種としては、上記に例示したものが挙げられ、銀、銅、及びこれらの酸化物が好ましい。
粒子径100nm以下の金属粒子と、粒子径が100nmを超える非焼結性の金属粒子とは、互いに同一の金属種であってもよく、互いに異なる金属種であってもよい。例えば、粒子径100nm以下の金属粒子が銀粒子であり、粒子径が100nmを超える非焼結性の金属粒子が銀又は酸化銀粒子であってもよい。例えば、粒子径100nm以下の金属粒子が銀又は酸化銀粒子であり、粒子径が100nmを超える非焼結性の金属粒子が銅又は酸化銅粒子であってもよい。
実施形態のフィルム状焼成材料において、全ての金属粒子の総質量100質量部に対する、粒子径100nm以下の金属粒子の含有量は、20〜100質量部であってもよく、30〜99質量部であってもよく、50〜95質量部であってもよい。
焼結性金属粒子及び/又は非焼結性の金属粒子の表面には、有機物が被覆されていてもよい。有機物の被覆を有することで、バインダー成分との相溶性が向上し、粒子同士の凝集を防止でき、均一に分散することが出来る。
焼結性金属粒子及び/又は非焼結性の金属粒子の表面に有機物が被覆されている場合、焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子の質量は、被覆物を含んだ値とする。
<バインダー成分>
バインダー成分が配合されることで、焼成材料をフィルム状に成形でき、焼成前のフィルム状焼成材料に粘着性を付与することができる。バインダー成分は、フィルム状焼成材料の焼成として加熱処理されることで熱分解される熱分解性であってよい。
バインダー成分は特に限定されるものではないが、バインダー成分の好適な一例として、樹脂が挙げられる。樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸、セルロース誘導体の重合物等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂には、(メタ)アクリレート化合物の単独重合体、(メタ)アクリレート化合物の2種以上の共重合体、(メタ)アクリレート化合物と他の共重合性単量体との共重合体が含まれる。
バインダー成分を構成する樹脂において、(メタ)アクリレート化合物由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
ここでいう「由来」とは、前記モノマーが重合するのに必要な構造の変化を受けたことを意味する。
(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、などを挙げることができる。アルキル(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特に好ましい(メタ)アクリレート化合物として、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、および2−エトキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念である。
アクリル樹脂としては、メタクリレートが好ましい。バインダー成分がメタクリレート由来の構成単位を含有することで、熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であることを特徴とするフィルム状焼成材料が得られやすい。
バインダー成分を構成する樹脂において、メタクリレート由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、50〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。
他の共重合性単量体としては、上記(メタ)アクリレート化合物と共重合可能な化合物であれば特に制限はないが、例えば(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、ビニルフタル酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルベンジルメチルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有ラジカル重合性化合物が挙げられる。
バインダー成分を構成する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜800,000であることがより好ましい。樹脂の重量平均分子量が上記範囲内であることで、フィルムとして十分な膜強度を発現し且つ柔軟性を付与することが容易となる。
なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
バインダー成分を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、下記するFoxの理論式を用いて計算から求めることができ、これが−60〜50℃であることが好ましく、−30〜10℃であることがより好ましく、−20以上0℃未満であることがさらに好ましい。樹脂のFox式から求めたTgが上記上限値以下であることで、フィルム状焼成材料と被着体(例えばチップ、基板等)との焼成前の接着力が向上する。一方、樹脂のFox式から求めたTgが上記下限値以上であることで、フィルム形状の維持が可能であり支持シート等からのフィルム状焼成材料の引き離しがより容易となる。
前記アクリル系重合体のTgは、各重合体部分の単量体の重量比率からFox式に従い、
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)
W1+W2+…+Wm=1
の関係を示す。式中、Tgは重合体部分のガラス転移温度を表わし、Tg1,Tg2,…,Tgmは各重合単量体のガラス転移温度を表わす。また、W1,W2,…,Wmは各重合単量体の重量比率を表わす。
前記Fox式における各重合単量体のガラス転移温度は、高分子データ・ハンドブックおよび粘着ハンドブック記載の値を用いることが出来る。
バインダー成分は、フィルム状焼成材料の焼成として加熱処理されることで熱分解される熱分解性であってよい。バインダー成分が熱分解されたことは、焼成によるバインダー成分の質量減少により確認できる。なお、バインダー成分として配合される成分は焼成によりほぼ熱分解されてよいが、バインダー成分として配合される成分の全質量が、焼成により熱分解されなくともよい。
バインダー成分は、焼成前のバインダー成分の質量100質量%に対し、焼成後の質量が10質量%以下となるものであってよく、5質量%以下となるものであってよく、3質量%以下となるものであってよい。
実施形態のフィルム状焼成材料は、上記の焼結性金属粒子、非焼結性の金属粒子およびバインダー成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲内において、焼結性金属粒子、非焼結性の金属粒子およびバインダー成分に該当しないその他の添加剤を含有していてもよい。
実施形態のフィルム状焼成材料に含有されてもよいその他の添加剤としては、溶媒、分散剤、可塑剤、粘着付与剤、保存安定剤、消泡剤、熱分解促進剤、および酸化防止剤などが挙げられる。添加剤は、1種のみ含有されてもよいし、2種以上含有されてもよい。これらの添加剤は、特に限定されるものではなく、この分野で通常用いられるものを適宜選択することができる。
<組成>
実施形態のフィルム状焼成材料は、焼結性金属粒子、バインダー成分、及びその他の添加剤からなるものであってもよく、これらの含有量(質量%)の和は100質量%となってよい。
実施形態のフィルム状焼成材料が非焼結性の金属粒子を含む場合には、フィルム状焼成材料は、焼結性金属粒子、非焼結性の金属粒子、バインダー成分、及びその他の添加剤からなるものであってもよく、これらの含有量(質量%)の和は100質量%となってよい。
フィルム状焼成材料において、溶媒以外の全ての成分(以下「固形分」と表記する。)の総含有量100質量%に対する、焼結性金属粒子の含有量は、10〜98質量%が好ましく、15〜90質量%がより好ましく、20〜80質量%がさらに好ましい。
フィルム状焼成材料が非焼結性の金属粒子を含む場合、フィルム状焼成材料における固形分の総含有量100質量%に対する、焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子の総含有量は、50〜98質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましく、80〜90質量%がさらに好ましい。
フィルム状焼成材料における固形分の総含有量100質量%に対するバインダー成分の含有量は、2〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。
フィルム状焼成材料において、焼結性金属粒子とバインダー成分との質量比率(焼結性金属粒子:バインダー成分)は、50:1〜1:5が好ましく、20:1〜1:2がより好ましく、10:1〜1:1がさらに好ましい。フィルム状焼成材料が非焼結性の金属粒子を含む場合には、焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子とバインダー成分との質量比率((焼結性金属粒子+非焼結性の金属粒子):バインダー成分)は50:1〜1:1が好ましく、20:1〜2:1がより好ましく、9:1〜4:1がさらに好ましい。
フィルム状焼成材料が上記に示す組成を有することにより、熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であるフィルム状焼成材料が得られやすい。
フィルム状焼成材料には、焼結性金属粒子、非焼結性の金属粒子、バインダー成分およびその他の添加剤成分を混合する際に使用する高沸点溶媒が含まれていてもよい。フィルム状焼成材料の総質量100質量%に対する、高沸点溶媒の含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。高沸点溶媒の含有量が上記の上限値以下であることにより、熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であるフィルム状焼成材料が得られやすい。
<熱重量曲線(TG曲線)における重量残存率(%)>
実施形態のフィルム状焼成材料は、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であることを特徴とするものである。
上記TG曲線は、フィルム状焼成材料が加熱処理される過程での、フィルム状焼成材料の重量変化を表したものである。
以下、TG曲線から推定される、焼成過程でのフィルム状焼成材料の様子を、適宜図面を参照しながら説明する。
図2は、熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であることを特徴とするフィルム状焼成材料1の、焼成前(図2(a))、焼成中(図2(b))、焼成後(図2(c))について推定される様子を模式的に示す断面図である。
焼成前のフィルム状焼成材料(図2(a))に含まれている低温分解性バインダー成分20は、200℃〜350℃の加熱により重量が減少していき(図2(b)〜(c))、この現象は、TG曲線における負の傾きとして表れる。
焼成前のフィルム状焼成材料(図2(a))に含まれている低温分解性バインダー成分20は200℃〜350℃の加熱時に吸熱することにより熱分解し、焼成前のフィルム状焼成材料(図2(a))に含まれている焼結性金属粒子10は、200℃〜350℃の加熱時に吸熱することにより融解(図2(b))し、その後発熱しながら焼結(図2(c))する。
熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であるということは、200℃までの加熱温度にてペーストやフィルムに残存した溶剤由来の成分が熱分解した後、低温分解性のバインダー成分が、5%〜20%の範囲内の含有量で配合されていることを意味していると考えられる。350℃以上の加熱温度でのTGの減少は、高温分解性のバインダー成分であると推定される。したがって、熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であるフィルム状焼成材料1は、200℃〜350℃の範囲の温度で熱分解する低温分解性バインダー成分が、5%〜20%含まれているため、200℃〜350℃の範囲の温度で焼結させることができる。また、焼結の開始段階で焼結性金属粒子同士の凝集や融着が確認されず、微粒子状のまま融解した焼結性金属粒子10m同士が、焼結されることが推定される。
大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃よりも低いフィルム状焼成材料は、焼結の開始段階で、バインダー成分が存在していないか、存在していても微量であるため、焼結性金属粒子の融解と焼結が逐次的に生じ、粒子サイズが増大および塊状となることで空隙が発生し易くなり、十分なせん断接着力が得られなくなることが考えられる。
大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が350℃よりも高いフィルム状焼成材料は、高温分解性バインダー成分が、低温分解性バインダー成分よりも多く含まれているため、焼成を350℃よりも高い温度で行わなければ、十分なせん断接着力が得られなくなるが、高温での焼結は、半導体等のワーク(半導体ウエハ等)が高温の影響を受ける恐れがある。
また、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあっても、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%よりも低いフィルム状焼成材料は、低温分解性バインダー成分が存在しないか、存在したとしても微量であるため、フィルムの形成が困難となる。この場合、高温分解性バインダー成分が含まれていれば、高温で焼結させれば十分なせん断接着力が得られるが、高温で焼成させる必要があるため、ワーク(半導体ウエハ等)が高温の影響を受ける恐れがある。
また、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあっても、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、20%よりも高いフィルム状焼成材料は、焼結後の接合金属成分が低下するため、せん断接着力の低下が生じ、十分なせん断接着力を得るためには、フィルムの厚さを厚くする必要が生じる。
フィルム状焼成材料の、焼成後のせん断接着力は、実施例に記載の方法により測定可能である。
<温度(A’)・温度(B’)>
実施形態のフィルム状焼成材料は、フィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子を除いた成分について、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で測定された熱重量曲線(TG曲線)における、負の傾きが最も大きい温度(A’)と、前記焼結性金属粒子について、アルミナ粒子を参照試料として大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で測定された示差熱分析曲線(DTA曲線)における、200℃から400℃の温度範囲で観測されるピークの内、最も低温で観測されるピーク温度(B’)と、が、B’<A’の関係を満たすことが好ましい。
上記TG曲線は、焼成として加熱処理される過程での、フィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子を除いた成分の重量変化を表したものである。
上記DTA曲線は、焼成として加熱処理される過程での、焼結性金属粒子の示差熱の温度変化を表したものである。
実施形態のフィルム状焼成材料が非焼結性の金属粒子を含む場合の実施形態のフィルム状焼成材料は、フィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子を除いた成分について、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で測定された熱重量曲線(TG曲線)における、負の傾きが最も大きい温度(A’)と、前記焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子について、アルミナ粒子を参照試料として大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で測定された示差熱分析曲線(DTA曲線)における、200℃から400℃の温度範囲で観測されるピークの内、最も低温で観測されるピーク温度(B’)と、がB’<A’の関係を満たすことが好ましい。
焼成前のフィルム状焼成材料に含まれていたバインダー成分を含むフィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子を除いた成分は、加熱により重量が減少していき、この現象は、TG曲線における負の傾きとして表れる。
焼成前のフィルム状焼成材料に含まれていた焼結性金属粒子は、加熱により融解と焼結が生じ、融解現象はDTA曲線における負のピーク、焼結現象はDTA曲線における正のピークとして表れる。
温度(A’)及び温度(B’)が、B’<A’の関係を満たすということは、加熱処理される過程で、フィルム状焼成材料の焼結性金属粒子の周りに分布する成分が重量減少するタイミングと比較し、焼結性金属粒子の融解と焼結が早く開始されること意味していると考えられる。したがって、B’<A’の関係を満たすフィルム状焼成材料は、焼結性金属粒子の周りに分布する成分によって各々が隔離された状態となり、微粒子状のまま融解しやすく、温度(A’)に達した時点でこれらの衝突頻度が急激に高まり、微粒子状のまま融解した焼結性金属粒子同士が、焼結されやすい。その結果、B’<A’の関係を満たすフィルム状焼成材料では、焼結性金属同士が一様に密に金属結合することとなり、焼結後の材料の強度の向上が生じると考えられる。
前記温度(A’)と温度(B’)は、焼成前のフィルム状焼成材料から、焼結性金属粒子と、前記焼結性金属粒子を除いた成分とを分離し、分離されたそれぞれのサンプルについてのTG曲線とDTA曲線から求めることができる。
焼成前のフィルム状焼成材料からの焼結性金属粒子と、前記焼結性金属粒子を除いた残りの成分との分離は、例えば、以下の方法により行うことができる。
まず、焼成前のフィルム状焼成材料と、十分量の有機溶媒とを混合した後にこれを焼結性金属粒子が沈降するまで十分な時間、静置する。この上澄み液をシリンジ等で抜き取り、120℃10分で乾燥した後の残留物を回収することで、フィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子を除いた成分を分取できる。また上記シリンジ等で上澄み液を抜き取った後の焼結性金属粒子が含まれる液に対して、再び十分量の有機溶媒を混合した後にこれを焼結性金属粒子が沈降するまで十分な時間、静置し、上澄み液をシリンジ等で抜き取る。この有機溶媒の混合と静置および上澄み液の抜き取りを5回以上繰り返した後、残った液を120℃10分で乾燥した後の残留物を回収することで、焼結性金属粒子を分取することが可能である。
これは、実施形態のフィルム状焼成材料が非焼結性の金属粒子を含む場合でも同様であり、前記温度(A’)と温度(B’)は、焼成前のフィルム状焼成材料から、焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子と、前記焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子を除いた成分とを分離し、分離されたそれぞれのサンプルについてのTG曲線とDTA曲線から求めることができる。
焼成前のフィルム状焼成材料からの焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子と、前記焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子を除いた残りの成分との分離は、例えば、以下の方法により行うことができる。
まず、焼成前のフィルム状焼成材料と、十分量の有機溶媒とを混合した後にこれを焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子が沈降するまで十分な時間、静置する。この上澄み液をシリンジ等で抜き取り、120℃10分で乾燥した後の残留物を回収することで、フィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子を除いた成分を分取できる。また上記シリンジ等で上澄み液を抜き取った後の焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子が含まれる液に対して、再び十分量の有機溶媒を混合した後にこれを焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子が沈降するまで十分な時間、静置し、上澄み液をシリンジ等で抜き取る。この有機溶媒の混合と静置および上澄み液の抜き取りを5回以上繰り返した後、残った液を120℃10分で乾燥した後の残留物を回収することで、焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子を分取することが可能である。
ここで用いられる溶媒は、バインダー成分を溶解可能であり、且つ前記120〜250℃10分の乾燥条件で揮発させることが可能なものが好ましく、バインダー成分の種類等に応じて、好ましいものを適宜使用することができる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
≪フィルム状焼成材料の製造方法≫
フィルム状焼成材料は、その構成材料を含有する焼成材料組成物を用いて形成できる。例えば、フィルム状焼成材料の形成対象面に、フィルム状焼成材料を構成するための各成分及び溶媒を含む焼成材料組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させて溶媒を揮発させることで、目的とする部位にフィルム状接着剤を形成できる。
溶媒としては、沸点が250℃未満のものが好ましく、たとえばn−ヘキサン(沸点:68℃)、酢酸エチル(沸点:77℃)、2−ブタノン(沸点:80℃)、n−ヘプタン(沸点:98℃)、メチルシクロヘキサン(沸点:101℃)、トルエン(沸点:111℃)、アセチルアセトン(沸点:138℃)、n−キシレン(沸点:139℃)、ジメチルホルムアミド(沸点:153℃)およびブチルカルビトール(沸点:230℃)などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また組み合わせて使用してもよい。
フィルム状焼成材料の形成対象面としては、剥離フィルムの表面が挙げられる。
焼成材料組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
焼成材料組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、焼成材料組成物が溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば70〜250℃、例えば80〜180℃で、10秒〜10分の条件で乾燥させることが好ましい。
≪支持シート付フィルム状焼成材料≫
実施形態の支持シート付フィルム状焼成材料は、実施形態のフィルム状焼成材料と、前記フィルム状焼成材料の少なくとも一方の側に設けられた支持シートと、を備える。前記支持シートは、基材フィルム上の全面もしくは外周部に粘着剤層が設けられたものであり、前記粘着剤層上に、前記フィルム状焼成材料が設けられていることが好ましい。前記フィルム状焼成材料は、粘着剤層に直接接触して設けられてもよく、基材フィルムに直接接触して設けられてもよい。本形態をとることで、半導体ウエハを素子に個片化する際に使用するダイシングシートとして使用することが出来る。且つブレード等を用いてウエハと一緒に個片化することで素子と同形のフィルム状焼成材料として加工することが出来、且つフィルム状焼成材料付半導体素子を製造することが出来る。
以下、支持シート付フィルム状焼成材料の実施形態について説明する。図3および図4に、実施形態の支持シート付フィルム状焼成材料の概略断面図を示す。図3、図4に示すように、実施形態の支持シート付フィルム状焼成材料100a,100bは、外周部に粘着部を有する支持シート2の内周部に、フィルム状焼成材料1が剥離可能に仮着されてなる。支持シート2は、図3に示すように、基材フィルム3の上面に粘着剤層4を有する粘着シートであり、該粘着剤層4の内周部表面が、フィルム状焼成材料に覆われて、外周部に粘着部が露出した構成になる。また、図4に示すように、支持シート2は、基材フィルム3の外周部にリング状の粘着剤層4を有する構成であってもよい。
フィルム状焼成材料1は、支持シート2の内周部に、貼付されるワーク(半導体ウエハ等)と略同形状に形成されてなる。支持シート2の外周部には粘着部を有する。好ましい態様では、支持シート2よりも小径のフィルム状焼成材料1が、円形の支持シート2上に同心円状に積層されている。外周部の粘着部は、図示したように、リングフレーム5の固定に用いられる。
(基材フィルム)
基材フィルム3としては、特に限定されず、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE),エチレン・プロピレン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンフィルム、アイオノマー等からなるフィルムなどが用いられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両者を含む意味で用いる。
また支持シートに対してより高い耐熱性が求められる場合には、基材フィルム3としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィンフィルム等が挙げられる。また、これらの架橋フィルムや放射線・放電等による改質フィルムも用いることができる。基材フィルムは上記フィルムの積層体であってもよい。
また、これらのフィルムは、2種類以上を積層したり、組み合わせて用いたりすることもできる。さらに、これらフィルムを着色したもの、あるいは印刷を施したもの等も使用することができる。また、フィルムは熱可塑性樹脂を押出形成によりシート化したものであってもよく、延伸されたものであってもよく、硬化性樹脂を所定手段により薄膜化、硬化してシート化したものが使われてもよい。
基材フィルムの厚さは特に限定されず、好ましくは30〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。基材フィルムの厚さを上記範囲とすることで、ダイシングによる切り込みが行われても基材フィルムの断裂が起こりにくい。また、支持シート付フィルム状焼成材料に充分な可とう性が付与されるため、ワーク(例えば半導体ウエハ等)に対して良好な貼付性を示す。
基材フィルムは、表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて基材フィルムの表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、剥離剤が塗布された基材フィルムを常温下または加熱下に供するか、または電子線により硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで積層体を形成すればよい。
(粘着剤層)
支持シート2は、少なくともその外周部に粘着部を有する。粘着部は、支持シート付フィルム状焼成材料100a,100bの外周部において、リングフレーム5を一時的に固定する機能を有し、所要の工程後にはリングフレーム5が剥離可能であることが好ましい。したがって、粘着剤層4には、弱粘着性のものを使用してもよいし、エネルギー線照射により粘着力が低下するエネルギー線硬化性のものを使用してもよい。再剥離性粘着剤層は、従来より公知の種々の粘着剤(例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ビニルエーテル系などの汎用粘着剤、表面凹凸のある粘着剤、エネルギー線硬化型粘着剤、熱膨張成分含有粘着剤等)により形成できる。
図4に示した構成では、基材フィルム3の外周部にリング状の粘着剤層4を形成し、粘着部とする。この際、粘着剤層4は、上記粘着剤からなる単層粘着剤層であってもよく、上記粘着剤からなる粘着剤層を含む両面粘着テープを環状に切断したものであってもよい。
また、支持シート2は、図3に示すように、基材フィルム3の上側全面に粘着剤層4を有する通常の構成の粘着シートであり、該粘着剤層4の内周部表面が、フィルム状焼成材料に覆われて、外周部に粘着部が露出した構成であってもよい。この場合、粘着剤層4の外周部は、上記したリングフレーム5の固定に使用され、内周部には、フィルム状焼成材料が剥離可能に積層される。粘着剤層4としては、上記と同様に、弱粘着性のものを使用してもよいし、またエネルギー線硬化性粘着剤を使用してもよい。
弱粘着剤としては、アクリル系、シリコーン系が好ましく用いられる。また、フィルム状焼成材料の剥離性を考慮して、粘着剤層4の23℃でのSUS板への粘着力は、30〜120mN/25mmであることが好ましく、50〜100mN/25mmであることがさらに好ましく、60〜90mN/25mmであることがより好ましい。この粘着力が低すぎると、フィルム状焼成材料1と粘着剤層4との密着性が不十分になり、ダイシング工程においてフィルム状焼成材料と粘着剤層とが剥離したり、またリングフレームが脱落することがある。また粘着力が高過ぎると、フィルム状焼成材料と粘着剤層とが過度に密着し、ピックアップ不良の原因となる。
図3の構成の支持シートにおいて、エネルギー線硬化性の再剥離性粘着剤層を用いる場合、フィルム状焼成材料が積層される領域に予めエネルギー線照射を行い、粘着性を低減させておいてもよい。この際、他の領域はエネルギー線照射を行わず、たとえばリングフレーム5への接着を目的として、粘着力を高いまま維持しておいてもよい。他の領域のみにエネルギー線照射を行わないようにするには、たとえば基材フィルムの他の領域に対応する領域に印刷等によりエネルギー線遮蔽層を設け、基材フィルム側からエネルギー線照射を行えばよい。また、図4の構成の支持シートでは、基材フィルム3と粘着剤層4との接着を強固にするため、基材フィルム3の粘着剤層4が設けられる面には、所望により、サンドブラストや溶剤処理などによる凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、電子線照射、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理などの酸化処理などを施すことができる。また、プライマー処理を施すこともできる。
粘着剤層4の厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは2〜80μm、特に好ましくは3〜50μmである。
(支持シート付フィルム状焼成材料)
支持シート付フィルム状焼成材料は、外周部に粘着部を有する支持シートの内周部にフィルム状焼成材料が剥離可能に仮着されてなる。図3で示した構成例では、支持シート付フィルム状焼成材料100aは、基材フィルム3と粘着剤層4とからなる支持シート2の内周部にフィルム状焼成材料1が剥離可能に積層され、支持シート2の外周部に粘着剤層4が露出している。この構成例では、支持シート2よりも小径のフィルム状焼成材料1が、支持シート2の粘着剤層4上に同心円状に剥離可能に積層されていることが好ましい。
上記構成の支持シート付フィルム状焼成材料100aは、支持シート2の外周部に露出した粘着剤層4において、リングフレーム5に貼付される。
また、リングフレームに対する糊しろ(粘着シートの外周部における露出した粘着剤層)上に、さらに環状の両面テープ若しくは粘着剤層を別途設けてもよい。両面テープは粘着剤層/芯材/粘着剤層の構成を有し、両面テープにおける粘着剤層は特に限定されず、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。粘着剤層は、後述する素子を製造する際に、その外周部においてリングフレームに貼付される。両面テープの芯材としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、液晶ポリマーフィルム等が好ましく用いられる。
図4で示した構成例では、基材フィルム3の外周部にリング状の粘着剤層4を形成し、粘着部とする。図5に、図4で示す支持シート付フィルム状焼成材料100bの斜視図を示す。この際、粘着剤層4は、上記粘着剤からなる単層粘着剤層であってもよく、上記粘着剤からなる粘着剤層を含む両面粘着テープを環状に切断したものであってもよい。フィルム状焼成材料1は、粘着部に囲繞された基材フィルム3の内周部に剥離可能に積層される。この構成例では、支持シート2よりも小径のフィルム状焼成材料1が、支持シート2の基材フィルム3上に同心円状に剥離可能に積層されていることが好ましい。
支持シート付フィルム状焼成材料には、使用に供するまでの間、フィルム状焼成材料および粘着部のいずれか一方またはその両方の表面の、外部との接触を避けるための表面保護を目的として剥離フィルムを設けてもよい。
表面保護フィルム(剥離フィルム)としては、先に挙げたポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリプロピレンなどの基材フィルム表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて基材フィルムの表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、剥離剤が塗布された基材フィルムを常温下または加熱下に供するか、または電子線により硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで積層体を形成すればよい。
支持シート付フィルム状焼成材料の厚さは、1〜500μmが好ましく、5〜300μmがより好ましく、10〜150μmがさらに好ましい。
≪支持シート付フィルム状焼成材料の製造方法≫
前記支持シート付フィルム状焼成材料は、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。
例えば、基材フィルム上に粘着剤層又はフィルム状焼成材料を積層する場合には、剥離フィルム上に、これを構成するための成分及び溶媒を含有する粘着剤組成物又は焼成材料組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させ溶媒を揮発させてフィルム状とすることで、剥離フィルム上に粘着剤層又はフィルム状焼成材料をあらかじめ形成しておき、この形成済みの粘着剤層又はフィルム状焼成材料の前記剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面を、基材フィルムの表面と貼り合わせればよい。このとき、粘着剤組成物又は焼成材料組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
例えば、基材フィルム上に粘着剤層が積層され、前記粘着剤層上にフィルム状焼成材料が積層されてなる支持シート付フィルム状焼成材料(支持シートが基材フィルム及び粘着剤層の積層物である支持シート付フィルム状焼成材料)を製造する場合には、上述の方法で、基材フィルム上に粘着剤層を積層しておき、別途、剥離フィルム上にこれを構成するための成分及び溶媒を含有する焼成材料組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させ溶媒を揮発させてフィルム状とすることで、剥離フィルム上にフィルム状焼成材料を形成しておき、このフィルム状焼成材料の露出面を、基材上に積層済みの粘着剤層の露出面と貼り合わせて、フィルム状焼成材料を粘着剤層上に積層することで、支持シート付フィルム状焼成材料が得られる。剥離フィルム上にフィルム状焼成材料を形成する場合も、焼成材料組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましく、剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
このように、支持シート付フィルム状焼成材料を構成する基材以外の層はいずれも、剥離フィルム上にあらかじめ形成しておき、目的とする層の表面に貼り合わせる方法で積層できるため、必要に応じてこのような工程を採用する層を適宜選択して、支持シート付フィルム状焼成材料を製造すればよい。
なお、支持シート付フィルム状焼成材料は、必要な層をすべて設けた後、その支持シートとは反対側の最表層の表面に、剥離フィルムが貼り合わされた状態で保管されてよい。
≪素子の製造方法≫
次に本発明に係る支持シート付フィルム状焼成材料の利用方法について、該焼成材料を素子(例えば半導体素子)の製造に適用した場合を例にとって説明する。
本発明の一実施形態として、支持シート付フィルム状焼成材料を用いた半導体素子の製造方法は、支持シート付フィルム状焼成材料の剥離フィルムを剥離し、表面に回路が形成された半導体ウエハ(ワーク)の裏面に、支持シート付フィルム状焼成材料を貼付し、以下の工程(1)〜(2)を、(1)、(2)の順で行ってもよく、以下の工程(1)〜(4)を、(1)、(2)、(3)、(4)の順で行ってもよい。
工程(1):支持シート、フィルム状焼成材料、及び半導体ウエハ(ワーク)がこの順に積層された積層体の、半導体ウエハ(ワーク)とフィルム状焼成材料とをダイシングする工程、
工程(2):フィルム状焼成材料と、支持シートとを剥離し、フィルム状焼成材料付素子を得る工程、
工程(3):被着体の表面に、フィルム状焼成材料付素子を貼付する工程、
工程(4):フィルム状焼成材料を焼成し、半導体素子と被着体とを接合する工程。
以下、上記工程(1)〜(4)を行う場合について説明する。
半導体ウエハはシリコンウエハおよびシリコンカーバイドウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。次いで、半導体ウエハの回路面の反対面(裏面)を研削する。研削法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。裏面研削時には、表面の回路を保護するために回路面に、表面保護シートと呼ばれる粘着シートを貼付する。裏面研削は、ウエハの回路面側(すなわち表面保護シート側)をチャックテーブル等により固定し、回路が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。ウエハの研削後の厚さは特に限定はされないが、通常は20〜500μm程度である。その後、必要に応じ、裏面研削時に生じた破砕層を除去する。破砕層の除去は、ケミカルエッチングや、プラズマエッチングなどにより行われる。
次いで、半導体ウエハの裏面に、上記支持シート付フィルム状焼成材料のフィルム状焼成材料を貼付する。その後、工程(1)〜(4)を(1)、(2)、(3)、(4)の順で行う。
半導体ウエハ/フィルム状焼成材料/支持シートの積層体を、ウエハ表面に形成された回路毎にダイシングし、半導体素子/フィルム状焼成材料/支持シートの積層体を得る。ダイシングは、ウエハとフィルム状焼成材料をともに切断するように行われる。実施形態の支持シート付フィルム状焼成材料によれば、ダイシング時においてフィルム状焼成材料と支持シートの間で粘着力が発揮されるため、チッピングや素子飛びを防止することができ、ダイシング適性に優れる。ダイシングは特に限定はされず、一例として、ウエハのダイシング時には支持シートの周辺部(支持体の外周部)をリングフレームにより固定した後、ダイシングブレードなどの回転丸刃を用いるなどの公知の手法によりウエハの個片化を行う方法などが挙げられる。ダイシングによる支持シートへの切り込み深さは、フィルム状焼成材料を完全に切断していてよく、フィルム状焼成材料と支持シートとの界面から0〜30μmとすることが好ましい。支持シートへの切り込み量を小さくすることで、ダイシングブレードの摩擦による支持シートを構成する粘着剤層や基材フィルムの溶融や、バリ等の発生を抑制することができる。
その後、上記支持シートをエキスパンドしてもよい。支持シートの基材フィルムとして、伸張性に優れたものを選択した場合は、支持シートは、優れたエキスパンド性を有する。ダイシングされたフィルム状焼成材料付半導体素子をコレット等の汎用手段によりピックアップすることで、フィルム状焼成材料と支持シートとを剥離する。この結果、裏面にフィルム状焼成材料を有する半導体素子(フィルム状焼成材料付半導体素子)が得られる。
続いて、基板やリードフレーム、ヒートシンク等の被着体の表面に、フィルム状焼成材用付素子を貼付する。
次いでフィルム状焼成材料を焼成し、基板やリードフレームおよびヒートシンク等の被着体と素子とを焼結接合する。このとき、フィルム状焼成材料付半導体素子のフィルム状焼成材料の露出面を、基板やリードフレームおよびヒートシンク等の被着体に貼付けておけば、フィルム状焼成材料を介して半導体ウエハ(ワーク)と前記被着体とを焼結接合できる。
フィルム状焼成材料を焼成する加熱温度は、フィルム状焼成材料の種類等を考慮して適宜定めればよいが、100〜600℃が好ましく、150〜550℃がより好ましく、250〜500℃がさらに好ましい。加熱時間は、フィルム状焼成材料の種類等を考慮して適宜定めればよいが、1〜60分が好ましく、1〜30分がより好ましく、1〜10分がさらに好ましい。
フィルム状焼成材料の焼成は、フィルム状焼成材料に圧をかけて焼成する加圧焼成を行ってもよい。加圧条件は、一例として、1〜50MPa程度とすることができる。
実施形態の素子の製造方法によれば、厚さの均一性の高いフィルム状焼成材料を、素子裏面に簡便に形成でき、ダイシング工程やパッケージングの後のクラックが発生しにくくなる。また、実施形態の素子の製造方法によれば、個別化された半導体素子裏面に、フィルム状焼成材料を個別に貼り付けることなくフィルム状焼成材料付半導体素子を得ることができ、製造工程の簡略化が図れる。そして、フィルム状焼成材料付半導体素子を、装置基板等の所望の被着体上に配置して焼成することでフィルム状焼成材料を介して半導体素子と前記被着体とが焼結接合された半導体装置を製造することができる。
一実施形態として、半導体素子と、実施形態のフィルム状焼成材料とを備える、フィルム状焼成材料付半導体素子が得られる。フィルム状焼成材料付半導体素子は、一例として、上記の素子の製造方法により製造できる。
なお、上記実施形態では、フィルム状焼成材料の半導体素子とその被着体との焼結接合について例示したが、フィルム状焼成材料の焼結接合対象は、上記に例示したものに限定されず、フィルム状焼成材料と接触して焼結させた種々の物品に対し、焼結接合が可能である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
<焼成材料組成物の製造>
焼成材料組成物の製造に用いた成分を以下に示す。ここでは、粒子径100nm以下の金属粒子について「焼結性金属粒子」と表記し、粒子径100nmを超える金属粒子について「非焼結性の金属粒子」と表記している。
(焼結性金属粒子内包ペースト材料)
・アルコナノ銀ペーストANP−1(有機被覆複合銀ナノペースト、株式会社応用ナノ粒子研究所:アルコール誘導体被覆銀粒子、金属含有量70wt%以上、平均粒径100nm以下の銀粒子60wt%以上)
・アルコナノ銀ペーストANP−4(有機被覆複合銀ナノペースト、株式会社応用ナノ粒子研究所:アルコール誘導体被覆銀粒子、金属含有量80wt%以上、平均粒径100nm以下の銀粒子25wt%以上)
(バインダー成分)
・アクリル重合体1[2−エチルヘキシルメタクリレート重合体、平均分子量280,000、L−0818、日本合成化学社製、MEK希釈品、固形分54.5質量%、Tg:−10℃(Foxの理論式を用いた計算値)]
・アクリル重合体2[メチルアクリレート/2−ヒドロキエチルアクリレート共重合体、共重合重量比率85/15、平均分子量370,000、N−4617、日本合成化学社製、酢酸エチル/トルエン=1/1混合溶媒希釈品、固形分35.7質量%、Tg:4℃(Foxの理論式を用いた計算値)]
下記表1に示す配合で、各成分を混合し、実施例1〜2及び比較例1〜2に対応する焼成材料組成物を得た。表1中の各成分の値は質量部を表す。焼結性金属粒子内包ペースト材料が高沸点溶媒を含んで販売され、且つこれが塗工後もしくは乾燥後のフィルム状焼成用材料中に残存しているため、焼結性金属粒子内包ペースト材料の成分はこれらを含めて記載している。バインダー成分中の溶媒は乾燥時に揮発することを考慮し、溶媒成分を除いた固形分質量部を表す。
<フィルム状焼成材料の製造>
剥離フィルム(厚さ38μm、SP−PET381031、リンテック社製)の片面に、上記で得られた焼成材料組成物を塗工し、110℃4分間乾燥させることで、表1に示す厚さを有するフィルム状焼成材料を得た。
<フィルム状焼成材料からの焼結性金属粒子および非焼結性の金属粒子と、これらを除いた成分との分離方法>
焼成前のフィルム状焼成材料と、重量で約10倍量の有機溶媒とを混合した後にこれを焼結性金属粒子および非焼結性の金属粒子が沈降するまで、約30分間、静置した。この上澄み液をシリンジで抜き取り、120℃10分で乾燥した後の残留物を回収することで、フィルム状焼成材料から焼結性金属粒子および非焼結性の金属粒子を除いた成分を分取した。また上記シリンジで上澄み液を抜き取った後の焼結性金属粒子および非焼結性の金属粒子が含まれる液に対して、再び、フィルム状焼成材料の約10倍量の有機溶媒を混合した後にこれを焼結性金属粒子及び非焼結性の金属粒子が沈降するまで、約30分間、静置し、上澄み液をシリンジで抜き取った。この有機溶媒の混合と静置および上澄み液の抜き取りを5回繰り返した後、残った液を120℃10分で乾燥した後、残留物を回収することで、焼結性金属粒子および非焼結性の金属粒子を分取した。
<フィルム状焼成材料の評価>
上記で得られたフィルム状焼成材料について、下記項目を評価した。
(TG/DTAの測定)
上記で得られたフィルム状焼成材料について、熱分析測定装置(熱分析計TG/DTA同時測定装置 DTG−60、株式会社島津製作所製)を用い、測定試料とほぼ同量のアルミナ粒子を参照試料として大気雰囲気下、昇温速度10℃/分で40℃から600℃まで測定し、TG曲線及びDTA曲線を求めた。実施例1〜2の結果を図6〜7に、比較例1〜2の結果を図8〜9に示す。また、TG曲線における、負の傾きが最も大きい温度(A)[℃]、200℃での重量残存率(C)[%]、200℃から350℃までで最も重量残存率が小さくなる温度D[℃]とその温度での重量残存率(E)[%]、及び200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値を表1に示す。
また、前記分離方法により、フィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子および非焼結性の金属粒子を除いた成分について、TG曲線における、負の傾きが最も大きい温度(A’)と、DTA曲線における200℃から400℃の温度範囲で観測されるピークの内、最も低温で観測されるピーク温度(B’)とを表1に示す。
(せん断接着力の測定)
フィルム状焼成材料の焼成後のせん断接着力は、以下の方法により測定した。
上記で得られたフィルム状焼成材料を10mm×10mmにカットし、これを直径10mmの断面を持つ高さ5mmの、円柱体形状の銅被着体の上面に貼付し、その上に直径5mmの断面を持つ高さ2mmの、円柱体形状の銅被着体を載せて、大気雰囲気下で下記(1)〜(3)の条件にて加圧焼成し、接合接着力測定用試験片を得た。常温で、この試験片の接着面に対して6mm/分の速度でせん断方向から力を加え、接着状態が破壊するときの強度を測定し、下記加圧焼成条件で得た試験片の測定結果の内、最も高い接合接着強度を示した条件の値の平均値をもって、せん断接着力とした。結果を表1に示す。
(1)300℃3分、30MPa、
(2)350℃3分、10MPa、
(3)400℃3分、10MPa
(厚さの測定)
JIS K7130に準じて、定圧厚さ測定器(テクロック社製、製品名「PG−02」)を用いて測定した。
Figure 0006930888
実施例1〜2のフィルム状焼成材料は、比較例1〜2の焼成材料と比較し、せん断接着力が高いものであった。
各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は各実施形態によって限定されることはなく、請求項(クレーム)の範囲によってのみ限定される。
1…フィルム状焼成材料、1c…焼成材料、10,11…焼結性金属粒子、20,21…バインダー成分、100…支持シート付フィルム状焼成材料、2…支持シート、3…基材フィルム、4…粘着剤層、5…リングフレーム

Claims (5)

  1. 焼結性金属粒子及びバインダー成分を含有するフィルム状焼成材料であって、
    大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)において、負の傾きが最も大きい温度が200℃〜350℃の範囲内にあり、且つ、200℃時の重量残存率(%)から、200℃から350℃までで最も小さい重量残存率(%)を引いた値が、5%〜20%の範囲内であることを特徴とするフィルム状焼成材料。
  2. フィルム状焼成材料から前記焼結性金属粒子を除いた成分について、大気雰囲気下10℃/分の昇温速度で40℃から600℃まで測定された熱重量曲線(TG曲線)における、負の傾きが最も大きい温度(A’)と
    前記焼結性金属粒子について、アルミナ粒子を参照試料として大気雰囲気下10℃/分の昇温速度40℃から600℃まで測定された示差熱分析曲線(DTA曲線)における、最も低温で観測されるピーク温度(B’)と、
    が、B’<A’の関係を満たす、請求項1に記載のフィルム状焼成材料。
  3. 前記焼結性金属粒子が銀ナノ粒子である、請求項1又は2に記載のフィルム状焼成材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム状焼成材料と、前記フィルム状焼成材料の少なくとも一方の側に設けられた支持シートと、を備えた支持シート付フィルム状焼成材料。
  5. 前記支持シートが、基材フィルム上に粘着剤層が設けられたものであり、
    前記粘着剤層上に、前記フィルム状焼成材料が設けられている、請求項4に記載の支持シート付フィルム状焼成材料。
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