別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。具体的な定義が提供されない限り、本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医薬的及び薬学的化学に関連して利用される命名法、ならびにそれらの手順及び技術は、当該技術分野で周知かつ一般に使用されるものである。本明細書の用語の定義が複数ある場合は、このセクションの定義が優先される。化学合成、化学分析、薬剤調製、製剤、及び送達、ならびに対象の処置のために、標準的な技術が使用され得る。特定のこのような技術及び手順は、例えば、“Carbohydrate Modifications in Antisense Research” Edited by Sangvi and Cook,American Chemical Society,Washington D.C.,1994;及び“Remington′s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,18th edition,1990;に見出されることがあり、任意の目的のために本明細書で参照により組み込まれる。許可されている場合、別途記載のない限り、本明細書に全開示を通して言及された全ての特許、特許出願、公開出願及び刊行物、GENBANK配列、ウェブサイト、ならびに他の公表された資料は、全体として参照により組み込まれる。URLまたは他のこのような識別子若しくはアドレスに言及される場合、このような識別子が変わる可能性があり、インターネット上の特定の情報が変わる可能性があるが、同等の情報は、インターネットを検索することにより見出すことができることが理解される。それへの言及は、このような情報の入手可能性及び公的普及を表す。
本組成物及び方法が開示及び記載される前に、本明細書に使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのものであり、限定されることを意図するものではないことが理解されるべきである。明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の指示対象を含むことを留意しなければならない。
定義
「多発性嚢胞腎」または「PKD」は、複数の嚢胞が少なくとも1つの腎臓に生じて、罹患した腎臓(複数可)の肥大及び腎機能の進行性喪失がもたらされる遺伝型の腎疾患である。
「常染色体優性多発性嚢胞腎」または「ADPKD」は通常、PKD1及び/またはPKD2遺伝子における1つ以上の遺伝子変異により引き起こされる。ADPKDの85%は、16番染色体に位置するPKD1の変異により引き起こされ、残りのADPKD症例の大部分は、4番染色体に位置するPKD2の変異により引き起こされる。
「常染色体劣性多発性嚢胞腎」または「ARPKD」は通常、6番染色体上に位置するPKHD1遺伝子の1つ以上の遺伝子変異により引き起こされる。ARPKDを有する新生児の多くとも50%が、子宮内腎疾患の合併症で死亡し、生き延びた者の約3分の1は、10年以内に末期腎疾患(ESRD)を発生する。
「両腎容積」または「TKV」は、核磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、または超音波(US)イメージングにより決定され得る両腎容積の測定値であり、容積は、楕円体容積式(超音波の場合)などの標準的な方法により、または定量的立体解析若しくは境界トレース(CT/MRIの場合)により計算される。TKVは一般に、ADPKD患者において徐々に増加し、腎機能の低下と相関して増加する。
「身長補正両腎容積」または「HtTKV」は、単位高さ当たりの両腎容積の尺度である。HtTKV値が≧600ml/mの患者は、8年以内にステージ3の慢性腎疾患を発生すると予測される。
「腎臓痛」は、医療休暇、薬理学的処置(麻酔薬若しくは最後の手段の鎮痛薬)、または侵襲的介入を必要とする臨床的に有意な腎臓痛を意味する。
「悪化する高血圧」は、高血圧処置の増加を必要とする血圧の変化を意味する。
「線維化」は、器官または組織における過剰な線維性結合組織の形成または発生を意味する。
特定の実施形態では、線維化は、修復または反応プロセスとして生じる。
特定の実施形態では、線維化は、損傷または障害に応答して生じる。用語「線維化」は、器官または組織の正常な構成要素としての線維組織の形成とは対照的に、修復または反応プロセスとしての器官または組織における過剰な線維性結合組織の形成または発生と理解されるべきである。
「血尿」は、尿中の赤血球の存在を意味する。
「アルブミン尿」は、尿中の過剰のアルブミンの存在を意味し、正常アルブミン尿、正常高値アルブミン尿、微量アルブミン尿、及び顕性アルブミン尿を含むが、これらに限定されない。通常、足細胞、糸球体基底膜、及び内皮細胞からなる糸球体濾過の透過障壁は、血清タンパク質が尿中に漏出することを防ぐ。アルブミン尿は、糸球体濾過の透過障壁の障害を反映し得る。アルブミン尿は、24時間尿試料、一晩尿試料、またはスポット尿試料から計算され得る。
「正常高値アルブミン尿」は、(i)15〜<30mgの24時間当たりのアルブミンの尿中への排泄、及び/あるいは(ii)男性では、1.25〜<2.5mg/mmol(若しくは10〜<20mg/g)、または女性では、1.75〜<3.5mg/mmol(若しくは15〜<30mg/g)のアルブミン/クレアチニン比を特徴とする上昇したアルブミン尿を意味する。
「微量アルブミン尿」は、(i)30〜300mgの24時間当たりのアルブミンの尿中への排泄、及び/あるいは(ii)男性では、2.5〜<25mg/mmol(若しくは20〜<200mg/g)、または女性では、3.5〜<35mg/mmol(若しくは30〜<300mg/g)のアルブミン/クレアチニン比を特徴とする上昇したアルブミン尿を意味する。
「顕性アルブミン尿」は、300mgを超える24時間当たりのアルブミンの尿中への排泄、及び/または(ii)男性では、>25mg/mmol(若しくは>200mg/g)、若しくは女性では、>35mg/mmol(若しくは>300mg/g)のアルブミン/クレアチニン比を特徴とする上昇したアルブミン尿を意味する。
「アルブミン/クレアチニン比」は、尿中クレアチニン(g/dL)当たりの尿中アルブミン(mg/dL)の比を意味し、mg/gとして表される。特定の実施形態では、アルブミン/クレアチニン比は、スポット尿試料から計算されることがあり、24時間にわたってアルブミン排泄の推定値として使用され得る。
「推定糸球体濾過量(eGFR)」または「糸球体濾過量(GFR)」は、腎臓が、どの程度クレアチニンを濾過するかの測定値を意味し、血液が、毎分どの程度糸球体を通過するかの推定値として使用される。正常な結果は、90〜120mL/分/1.73m2の範囲であり得る。3ヶ月以上、60mL/分/1.73m2未満のレベルは、慢性腎疾患の指標となり得る。15mL/min/1.73m2未満のレベルは、腎不全の指標となり得る。
「タンパク質尿症」は、尿中に過剰の血清タンパク質が存在することを意味する。タンパク尿は、24時間当たり、>250mgのタンパク質の尿中への排泄、及び/または≧0.20mg/mgの尿タンパク質対クレアチニン比を特徴とし得る。タンパク尿と関連して上昇する血清タンパク質は、アルブミンを含むが、これらに限定されない。
「血中尿素窒素」または「BUN」は、尿素形態の血液中の窒素量の尺度を意味する。肝臓は、タンパク質の消化の廃棄物として、尿素サイクルにおいて尿素を生成し、尿素は、腎臓により血液から除去される。正常なヒト成人の血液は、100mlの血液当たり7〜21mg(7〜21mg/dL)の間の尿素窒素を含有し得る。血中尿素窒素の測定は、腎臓の健康の指標として使用される。腎臓が、血液から尿素を正常に除去できない場合、対象のBUNが上昇する。
「末期腎疾患(ESRD)」は、腎機能の完全またはほぼ完全な不全を意味する。
「損なわれた腎機能」は、正常な腎機能と比較して低減した腎機能を意味する。
「の悪化を減速させる」及び「悪化を減速させる」は、病状が、進行した状態に移行する速度を低減させることを意味する。
「透析までの時間を遅延させる」は、透析処置の必要性を遅延させるような十分な腎機能を維持することを意味する。
「腎移植への時間を遅延させる」は、腎臓移植の必要性を遅延させるような十分な腎機能を維持することを意味する。
「平均余命を向上させる」は、対象の疾患の1つ以上の症状を処置することにより対象の寿命を長くすることを意味する。
「対象」は、処置または治療のために選択されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。
「それを必要とする対象」は、治療または処置を必要とすると確認される対象を意味する。
「有すると疑われる対象」は、疾患の1つ以上の臨床指標を示す対象を意味する。
「投与すること」は、対象に、医薬品または組成物を提供することを意味し、医療専門家による投与及び自己投与を含むが、これらに限定されない。
「非経口投与」は、注射または注入による投与を意味する。
非経口投与は、皮下投与、静脈内投与、及び筋肉内投与を含むが、これらに限定されない。
「皮下投与」は、皮膚直下への投与することを意味する。
「静脈内投与」は、静脈内への投与を意味する。
「付随投与する」は、2つ以上の薬剤を、同時に患者に、双方の薬理効果が現れる任意の仕方で同時投与することを指す。付随投与は、双方の薬剤が、単一の医薬組成物で、同じ剤形で、または同じ投与経路で、投与される必要はない。双方の薬剤の効果が、同時に現れる必要はない。効果は、一定期間わずかに重なり合う必要があり、同一の広がりを持つ必要はない。
「期間」は、活性または事象が継続する期間を意味する。特定の実施形態では、処置期間は、医薬品または医薬組成物の用量が投与される期間である。
「治療」は、疾患の処置方法を意味する。特定の実施形態では、治療は、1つ以上の医薬品の、疾患を有する対象への投与を含むが、これに限定されない。
「処置する」は、疾患の治癒または疾患の少なくとも1つの指標の改善に使用される1つ以上の具体的な手順を適用することを意味する。特定の実施形態では、具体的な手順は、1つ以上の医薬品の投与である。特定の実施形態では、PKDの処置は、両腎容積を低減させること、腎機能を改善すること、高血圧を低減させること、及び/または腎臓痛を低減させることを含むが、これに限定されない。
「を改善する」は、状態または疾患の少なくとも1つの指標の重症度を下げることを意味する。特定の実施形態では、改善は、状態または疾患の1つ以上の指標の進行における遅延化または減速化を含む。インジケータの重症度は、当業者らに既知の主観的または客観的尺度により判定され得る。
「発生のリスクがある」は、対象が、状態または疾患を発生する素因を有する状態を意味する。特定の実施形態では、状態または疾患を発生するリスクがある対象は、状態または疾患の1つ以上の症状を示すが、状態または疾患と診断される十分な数の症状を示さない。特定の実施形態では、状態または疾患を発生するリスクがある対象は、状態または疾患の1つ以上の症状を示すが、状態または疾患と診断されるのに必要な程度より低い。
「の発症を予防する」は、疾患または状態を発生するリスクのある対象において、状態または疾患の発生を予防することを意味する。特定の実施形態では、疾患または状態を発生するリスクのある対象は、すでに疾患または状態を有する対象が受けた処置と同様の処置を受ける。
「の発症を遅延させる」は、状態または疾患を発生するリスクのある対象の疾患または状態の発生を遅延させることを意味する。特定の実施形態では、疾患または状態を発生するリスクのある対象は、すでに疾患または状態を有する対象が受けた処置と同様の処置を受ける。
「治療薬」は、疾患の治癒、改善または予防に使用される医薬品を意味する。
「用量」は、単回投与で提供される医薬品の特定量を意味する。特定の実施形態では、用量は、2つ以上のボーラス、錠剤、または注射で投与され得る。例えば、皮下投与が所望される特定の実施形態では、所望の用量は、単回注射では容易に収容されない容積を必要とする。このような実施形態では、所望の用量を達成するために、2回以上の注射が使用され得る。特定の実施形態では、個体における注射部位反応を最小限に抑えるために、用量が、2回以上の注射で投与され得る。特定の実施形態では、用量は低速注入として投与される。
「投薬単位」は、医薬品が提供される形態を意味する。特定の実施形態では、投薬単位は、凍結乾燥されたオリゴヌクレオチドを含有するバイアルである。特定の実施形態では、投薬単位は、再構成されたオリゴヌクレオチドを含有するバイアルである。
「治療的有効量」は、動物に治療的有用性を提供する医薬品の量を指す。
「医薬組成物」は、医薬品を含む個体に投与するのに適した物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物は、滅菌水溶液を含んでもよい。
「医薬品」は、対象に投与された時に治療効果を提供する物質を意味する。
「活性薬剤成分」は、所望の効果を提供する医薬組成物中の物質を意味する。
「薬学的に許容される塩」は、本明細書で提供される化合物の生理学的及び薬学的に許容される塩、すなわち、化合物の所望の生物学的活性を保持し、対象に投与された場合に、望ましくない毒物学的影響を有さない塩を意味する。本明細書で提供される化合物の非限定例的な薬学的に許容される塩としては、ナトリウム及びカリウム塩形態が挙げられる。本明細書で使用される「化合物」という用語は、具体的に別途指示のない限り、その薬学的に許容される塩を含む。
「改善された器官機能」は、器官機能の正常範囲への変化を意味する。特定の実施形態では、器官機能は、対象の血液または尿中に見出される分子を測定することにより評価される。例えば、特定の実施形態では、腎機能の改善は、血中尿素窒素の低減、タンパク尿の低減、アルブミン尿の低減などにより測定される。
「許容可能な安全性プロファイル」は、臨床的に許容される限度内にある副作用のパターンを意味する。
「副作用」は、所望の効果以外の処置に起因する生理学的応答を意味する。特定の実施形態では、副作用は、注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系異常、及びミオパチーを含むが、これらに限定されない。このような副作用は、直接的または間接的に検出され得る。例えば、血清中のアミノトランスフェラーゼレベルの増加は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。例えば、ビリルビンの増加は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。
「対象服薬遵守」は、推奨または処方された療法の対象による厳守を意味する。
「を服薬遵守する」は、推奨された療法の対象による厳守を意味する。
「推奨療法」は、疾患の処置、改善、または予防のために医療専門家が推奨する処置を意味する。
本明細書で使用される「血液」という用語は、全血及び血液画分、例えば、血清及び血漿、を包含する。
「抗miR」は、microRNAと相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを意味する。特定の実施形態では、抗miRは、修飾オリゴヌクレオチドである。
「miR−X」が特定のmicroRNAを示す「抗miR−X」は、miR−Xと相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを意味する。特定の実施形態では、抗miR−Xは、miR−Xと完全に相補的(すなわち、100%相補的)である。特定の実施形態では、抗miR−Xは、miR−Xと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%相補的である。特定の実施形態では、抗miR−Xは、修飾オリゴヌクレオチドである。
「miR−17」は、核酸塩基配列CAAAGUGCUUACAGUGCAGGUAG(配列番号1)を有する成熟miRNAを意味する。
「miR−17ステムループ配列」は、核酸塩基配列GUCAGAAUAAUGUCAAAGUGCUUACAGUGCAGGUAGUGAUAUGUGCAUCUACUGCAGUGAAGGCACUUGUAGCAUUAUGGUGAC(配列番号2)を有するステムループ配列を意味する。
「miR−17 2〜7シード配列」は、配列番号1の2〜7位の核酸塩基配列であるAAAGUGを意味する。
「miR−17ファミリーメンバー」は、miR−17 2〜7シード配列を含む核酸塩基配列を有する成熟miRNAを意味する。
「miR−17ファミリー」は、それぞれがmiR−17 2〜7シード配列を含む核酸塩基配列を有するmiRNAの群を意味する。
「標的核酸」は、オリゴマー化合物がハイブリダイズするように設計される核酸を意味する。
「標的化」は、標的核酸にハイブリダイズする核酸塩基配列の設計及び選択のプロセスを意味する。
「に標的化される」は、標的核酸へのハイブリダイゼーションを可能にする核酸塩基配列を有することを意味する。
「調節」は、機能、量、または活性の摂動を意味する。特定の実施形態では、調節は、機能、量、または活性の増加を意味する。特定の実施形態では、調節は、機能、量、または活性の減少を意味する。
「発現」は、遺伝子のコード化された情報が、細胞内に存在及び作用する構造に変換される任意の機能及びステップを意味する。
「核酸塩基配列」は、任意の糖、連結、及び/または核酸塩基修飾と独立して、通常は5′→3′方向に列挙されたオリゴマー化合物または核酸中の連続した核酸塩基の順序を意味する。
「連続核酸塩基」は、核酸中で互いに直接隣接する核酸塩基を意味する。
「核酸塩基相補性」は、2核酸塩基が水素結合を介して非共有結合的に対合する能力を意味する。
「相補的」は、1つの核酸が別の核酸またはオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができることを意味する。特定の実施形態では、相補的は、標的核酸にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを指す。
「完全に相補的」は、オリゴヌクレオチドの各核酸塩基が、標的核酸中の対応する各位置で核酸塩基と対合することができることを意味する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、microRNAと完全に相補的であり、すなわち、オリゴヌクレオチドの各核酸塩基は、microRNA中の対応する位置の核酸塩基と相補的である。修飾オリゴヌクレオチドは、microRNAと完全に相補的であり得、microRNAの長さよりも少ない数の連結ヌクレオシドを有する。例えば、オリゴヌクレオチドの各核酸塩基がmicroRNA中の対応する位置の核酸塩基と相補的である16連結ヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドは、microRNAと完全に相補的である。特定の実施形態では、各核酸塩基がmicroRNAステムループ配列の領域内の核酸塩基と相補性を有するオリゴヌクレオチドは、microRNAステムループ配列と完全に相補的である。
「パーセント相補性」は、標的核酸の等しい長さの部分と相補的であるオリゴヌクレオチドの核酸塩基の百分率を意味する。パーセント相補性は、標的核酸中の対応する位置の核酸塩基と相補的であるオリゴヌクレオチドの核酸塩基の数を、オリゴヌクレオチド中の核酸塩基の総数で除することにより計算される。
「パーセント同一性」は、第1の核酸中の核酸塩基の総数で除する、第2の核酸中の対応する位置の核酸塩基と同一である第1の核酸中の核酸塩基の数を意味する。特定の実施形態では、第1の核酸は、microRNAであり、第2の核酸は、microRNAである。特定の実施形態では、第1の核酸は、オリゴヌクレオチドであり、第2の核酸は、オリゴヌクレオチドである。
「ハイブリダイズする」は、核酸塩基相補性を介して生じる相補的核酸のアニーリングを意味する。
「ミスマッチ」は、第2の核酸の対応する位置の核酸塩基とWatson−Crick対合することができない第1の核酸の核酸塩基を意味する。
核酸塩基配列の文脈における「同一」は、糖、連結、及び/または核酸塩基修飾と独立して、かつ存在する任意のピリミジンのメチル状態と独立して、同じ核酸塩基配列を有することを意味する。
「microRNA」は、酵素Dicerによるpre−microRNAの切断の生成物である、18〜25の間の核酸塩基長の内因性ノンコーディングRNAを意味する。成熟microRNAの例は、miRBase(http://microrna.sanger.ac.uk/)として知られるmicroRNAデータベースに見出される。特定の実施形態では、microRNAは、「microRNA」または「miR」と略記される。
「Pre−microRNA」または「pre−miR」は、Droshaとして知られる二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼによるpri−miRの切断の生成物であるヘアピン構造を有するノンコーディングRNAを意味する。
「ステムループ配列」は、ヘアピン構造を有し、かつ成熟microRNA配列を含有するRNAを意味する。Pre−microRNA配列及びステムループ配列は、重複し得る。ステムループ配列の例は、miRBase(http://microrna.sanger.ac.uk/)として知られるmicroRNAデータベースに見出される。
「Pri−microRNA」または「pri−miR」は、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼDroshaの基質であるヘアピン構造を有するノンコーディングRNAを意味する。
「microRNA前駆体」は、ゲノムDNAに由来し、かつ1つ以上のmicroRNA配列を含むノンコーディング構造化RNAを含む転写物を意味する。例えば、特定の実施形態では、microRNA前駆体は、pre−microRNAである。特定の実施形態では、microRNA前駆体は、pri−microRNAである。
「microRNA制御転写物」は、microRNAにより制御される転写物を意味する。
「シード配列」は、成熟microRNA配列の5′末端の核酸塩基1〜9のうちの6〜8連続核酸塩基を含む核酸塩基配列を意味する。
「シードマッチ配列」は、シード配列と相補的であり、かつシード配列と同じ長さである核酸塩基配列を意味する。
「オリゴマー化合物」は、複数の連結モノマーサブユニットを含む化合物を意味する。オリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチドを含む。
「オリゴヌクレオチド」は、複数の連結ヌクレオシドを含む化合物を意味し、これらのそれぞれは、互いに独立して、修飾または非修飾である可能性がある。
「天然に存在するヌクレオシド間連結」は、ヌクレオシドの間の3′→5′ホスホジエステル連結を意味する。
「天然糖」は、DNA(2′−H)またはRNA(2′−OH)に見出される糖を意味する。
「ヌクレオシド間連結」は、隣接するヌクレオシドの間の共有連結を意味する。
「連結ヌクレオシド」は、共有連結により結合しているヌクレオシドを意味する。
「核酸塩基」は、別の核酸塩基と非共有的に対合することができる複素環式部分を意味する。
「ヌクレオシド」は、糖部分に連結された核酸塩基を意味する。
「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの糖部分に共有連結されたリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
多数の連結ヌクレオシド「からなる修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物」は、特定数の連結ヌクレオシドを有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を意味する。従って、化合物は、さらなる置換基またはコンジュゲートを含んでもよい。別途表記のない限り、化合物は、修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオシドを超えるさらなるヌクレオシドを含まない。例えば、別途表記のない限り、修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物は、修飾オリゴヌクレオチドにハイブリダイズされた相補鎖を含まない(すなわち、修飾オリゴヌクレオチドは、一本鎖修飾オリゴヌクレオチドである)。
「修飾オリゴヌクレオチド」は、天然に存在する末端、糖、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間連結と比較して1つ以上の修飾を有するオリゴヌクレオチドを意味する。修飾オリゴヌクレオチドは、未修飾ヌクレオシドを含んでもよい。
「一本鎖修飾オリゴヌクレオチド」は、相補鎖にハイブリダイズしない修飾オリゴヌクレオチドを意味する。
「修飾ヌクレオシド」は、天然に存在するヌクレオシドからの任意の変化を有するヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドは、修飾糖及び非修飾核酸塩基を有し得る。修飾ヌクレオシドは、修飾糖及び修飾核酸塩基を有し得る。修飾ヌクレオシドは、天然糖及び修飾核酸塩基を有し得る。特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、二環式ヌクレオシドである。特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、非二環式ヌクレオシドである。
「修飾ヌクレオシド間連結」は、天然に存在するヌクレオシド間連結からの任意の変化を意味する。
「ホスホロチオエートヌクレオシド間結合」は、非架橋原子の1つが硫黄原子であるヌクレオシドの間の連結を意味する。
「修飾糖部分」は、天然糖からの置換及び/または任意の変化を意味する。
「非修飾核酸塩基」は、RNAまたはDNAの天然に存在する複素環塩基:プリン塩基であるアデニン(A)及びグアニン(G)、及びピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)(5−メチルシトシンを含む)、及びウラシル(U)を意味する。
「5−メチルシトシン」は、5位に結合したメチル基を含むシトシンを意味する。
「非メチル化シトシン」は、5位に結合したメチル基を有さないシトシンを意味する。
「修飾核酸塩基」は、非修飾核酸塩基ではない任意の核酸塩基を意味する。
「糖部分」は、天然に存在するフラノシルまたは修飾糖部分を意味する。
「修飾糖部分」は、置換糖部分または糖代用物を意味する。
「2′−O−メチル糖」または「2′−OMe糖」は、2′位にO−メチル修飾を有する糖を意味する。
「2′−O−メトキシエチル糖」または「2′−MOE糖」は、2′位にO−メトキシエチル修飾を有する糖を意味する。
「2′−フルオロ」または「2′−F」は、2′位のフルオロ修飾を有する糖を意味する。
「二環式糖部分」は、4〜7員環の2つの原子を結合させて、二環式構造をもたらす第2の環を形成する架橋を含む4〜7員環(フラノシルを含むがこれに限定されない)を含む修飾糖部分を意味する。特定の実施形態では、4〜7員環は、糖環である。特定の実施形態では、4〜7員環は、フラノシルである。このような特定の実施形態では、架橋は、フラノシルの2′−炭素及び4′−炭素を連結させる。非限定例示的な二環式糖部分としては、LNA、ENA、cEt、S−cEt、及びR−cEtが挙げられる。
「架橋型核酸(LNA)糖部分」は、4′フラノース環原子及び2′フラノース環原子の間に(CH2)−O架橋を含む置換糖部分を意味する。
「ENA糖部分」は、4′フラノース環原子及び2′フラノース環原子の間に(CH2)2−O架橋を含む置換糖部分を意味する。
「束縛(Constrained)エチル(cEt)糖部分」は、4′フラノース環原子及び2′フラノース環原子の間にCH(CH3)−O架橋を含む置換糖部分を意味する。特定の実施形態では、CH(CH3)−O架橋は、S配置で束縛される。特定の実施形態では、(CH2)2−Oは、R配置で束縛される。
「S−cEt糖部分」は、4′フラノース環原子及び2′フラノース環原子の間にS−束縛CH(CH3)−O架橋を含む置換糖部分を意味する。
「R−cEt糖部分」は、4′フラノース環原子及び2′フラノース環原子の間にR−束縛CH(CH3)−O架橋を含む置換糖部分を意味する。
「2′−O−メチルヌクレオシド」は、2′−O−メチル糖修飾を有する2′−修飾ヌクレオシドを意味する。
「2′−O−メトキシエチルヌクレオシド」は、2′−O−メトキシエチル糖修飾を有する2′−修飾ヌクレオシドを意味する。2′−O−メトキシエチルヌクレオシドは、修飾または非修飾核酸塩基を含んでもよい。
「2′−フルオロヌクレオシド」は、2′−フルオロ糖修飾を有する2′−修飾ヌクレオシドを意味する。2′−フルオロヌクレオシドは、修飾または非修飾核酸塩基を含んでもよい。
「二環式ヌクレオシド」は、二環式糖部分を有する2′−修飾ヌクレオシドを意味する。二環式ヌクレオシドは、修飾または非修飾核酸塩基を有し得る。
「cEtヌクレオシド」は、cEt糖部分を含むヌクレオシドを意味する。cEtヌクレオシドは、修飾または非修飾核酸塩基を含んでもよい。
「S−cEtヌクレオシド」は、S−cEt糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
「R−cEtヌクレオシド」は、R−cEt糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
「β−D−デオキシリボヌクレオシド」は、天然に存在するDNAヌクレオシドを意味する。
「β−D−リボヌクレオシド」は、天然に存在するRNAヌクレオシドを意味する。
「LNAヌクレオシド」は、LNA糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
「ENAヌクレオシド」は、ENA糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
概要
多発性嚢胞腎(PKD)は、流体で満たされた嚢胞が腎臓で発生し、腎臓肥大、腎不全、及び多くの場合末期腎疾患をもたらす、遺伝型の腎疾患である。嚢胞の過剰増殖は、PKDの顕著な病理学的特徴である。PKDの管理では、処置のための一次目標は、腎機能を維持し、かつ末期腎疾患(ESRD)の発症を予防することであり、それにより、PKDを有する対象の平均余命を向上させる。
microRNAのmiR−17〜92クラスターの複数のメンバーは、PKDのマウスモデルにおいて上方制御される。PKDのマウスモデルにおけるmiR−17〜92クラスターの遺伝的欠失は、腎臓嚢胞の成長を低減させ、腎機能を改善し、生存を延長する(Patel et al.,PNAS,2013;110(26):10765−10770)。miR−17〜92クラスターは、6つの異なるmicroRNAを含有し、それぞれは、異なる配列:miR−17、miR−18a、miR−19a、miR−19−b−1、及びmiR−92a−1である。従って、クラスター全体の遺伝子欠失は、6つの異なるmicroRNA遺伝子を欠失させる。この遺伝子欠失実験が実証していないことは、クラスター内のmicroRNAのサブセットの阻害がPKDの臨床マーカーにおいて同じ改善をもたらすかどうかである。
本明細書では、miR−17に標的化された修飾オリゴヌクレオチドは、PKDの実験モデルにおいて腎機能を改善し、腎重量を低減させることが実証されている。さらに、miR−17阻害は、ヒトドナーの嚢胞に由来する初代培養の増殖及び嚢胞成長も抑制した。これらのデータは、miR−17に標的化された修飾オリゴヌクレオチドがPKDの処置に有用であることを実証する。
発明の特定の使用
本明細書では、多発性嚢胞腎(PKD)の処置のための方法が提供され、方法は、miR−17と相補的な修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を、PKDを有し、または有すると疑われる対象に投与することを含む。
特定の実施形態では、対象は、修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物の投与前にPKDを有すると診断されている。PKDの診断は、限定されないが、対象の家族歴、臨床的特徴(高血圧、アルブミン尿、血尿、及び損なわれたGFRを含むが、これに限定されない)、ならびに腎臓イメージング試験(MRI、超音波、及びCTスキャンを含むが、これらに限定されない)を含むパラメーターの評価により達成され得る。PKDの診断は、PKD1、PKD2、またはPKHD1遺伝子のうちの1つ以上の変異についてのスクリーニングも含まれ得る。
ADPKDを有し、または有すると疑われる対象は、PKD1遺伝子の変異またはPKD2遺伝子の変異を有し得る。ARPKDを有し、または有すると疑われる対象は、PKHD1遺伝子の変異を有し得る。
特定の実施形態では、対象は、増加した両腎容積を有する。特定の実施形態では、両腎容積は、身長補正両腎容積(HtTKV)である。特定の実施形態では、対象は、高血圧を有する。特定の実施形態では、対象は、損なわれた腎機能を有する。特定の実施形態では、対象は、腎機能改善を必要とする。特定の実施形態では、対象は、損なわれた腎機能を有すると確認されている。
特定の実施形態では、PKDを有する対象の腎臓中のmiR−17のレベルは増加する。特定の実施形態では、投与前に、対象は、腎臓中のmiR−17の増加したレベルを有すると判定されている。腎生検材料からのmiR−17レベルが測定され得る。特定の実施形態では、投与前に、対象は、対象の尿または血液中のmiR−17の増加したレベルを有すると判定されている。
特定の実施形態では、miR−17と相補的な修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物の投与は、1つ以上の臨床的に有益な結果をもたらす。特定の実施形態では、投与は、対象の腎機能を改善する。特定の実施形態では、投与は、対象の腎機能の悪化を遅延させる。特定の実施形態では、投与は、対象の両腎容積を低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象の両腎容積の増加を減速させる。特定の実施形態では、投与は、身長補正両腎容積(HtTKV)を低減させる。特定の実施形態では、投与は、HtTKVの増加を減速させる。
特定の実施形態では、投与は、対象の嚢胞成長を阻害する。特定の実施形態では、投与は、対象の嚢胞成長の増加を減速させる。一部の実施形態では、嚢胞が、対象の腎臓に存在する。一部の実施形態では、嚢胞が、対象の肝臓及び腎臓の双方に存在する。
特定の実施形態では、投与は、対象の腎臓痛を低減する。特定の実施形態では、投与は、対象の腎臓痛の増加を減速させる。特定の実施形態では、投与は、対象の腎臓痛の発症を遅延させる。
特定の実施形態では、投与は、対象の高血圧を低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象の高血圧の悪化を減速させる。特定の実施形態では、投与は、対象の高血圧の発症を遅延させる。
特定の実施形態では、投与は、対象の腎臓の線維化を低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象の腎臓の線維化を減速させる。
特定の実施形態では、投与は、対象における末期腎疾患の発症を遅延させる。特定の実施形態では、投与は、対象の透析までの時間を遅延させる。特定の実施形態では、投与は、対象の腎移植の時間を遅延させる。特定の実施形態では、投与は、対象の平均余命を向上させる。
特定の実施形態では、投与は、対象のアルブミン尿を低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象のアルブミン尿の悪化を減速させる。特定の実施形態では、投与は、対象のアルブミン尿の発症を遅延させる。特定の実施形態では、投与は、対象の血尿を低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象の血尿の悪化を減速させる。特定の実施形態では、投与は、対象の血尿の発症を遅延させる。特定の実施形態では、投与は、対象の血中尿素窒素を低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象の血液中のクレアチニンを低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象のクレアチニンクリアランスを改善する。特定の実施形態では、投与は、対象のアルブミン:クレアチニン比を低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象の糸球体濾過量を改善する。特定の実施形態では、投与は、対象の糸球体濾過量の悪化を減速させる。一部の実施形態では、糸球体濾過量の悪化は、糸球体濾過量の低下率を計算することにより評価される。特定の実施形態では、投与は、対象の尿中の好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)タンパク質を低減させる。特定の実施形態では、投与は、対象の尿中の腎障害分子−1(KIM−1)タンパク質を低減させる。
本明細書で提供される実施形態のいずれかでは、対象は、対象の疾患の程度を評価する特定の検査にかけられてもよい。このような検査は、対象の両腎容積の測定;対象の高血圧の測定;対象の腎臓痛の測定;対象の腎臓の線維化の測定;対象の血中尿素窒素の測定;対象の血液中のクレアチニンを測定すること;対象の血液中のクレアチニンクリアランスを測定すること;対象のアルブミン尿を測定すること;対象のアルブミン:クレアチニン比を測定すること;対象の糸球体濾過量を測定すること;対象の尿中の好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)タンパク質の測定;及び/または対象の尿中の腎障害分子−1(KIM−1)タンパク質の測定を含むが、これらに限定されない。
特定の追加療法
多発性嚢胞腎または本明細書に列挙された状態のいずれかの処置は、複数の療法を含んでもよい。そのようなものであるから、本明細書で提供される特定の実施形態では、miR−17と相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与することに加えて、少なくとも1つの療法を投与することを含む、多発性嚢胞腎を有し、または有すると疑われる対象を処置するための方法である。
特定の実施形態では、少なくとも1つの追加療法は、医薬品を含む。
特定の実施形態では、少なくとも1つの追加療法は、降圧薬である。降圧薬は、対象の血圧をコントロールするために使用される。
特定の実施形態では、医薬品は、バソプレシン受容体2アンタゴニストである。特定の実施形態では、バソプレシン受容体2アンタゴニストは、トルバプタンである。
特定の実施形態では、医薬品は、アンギオテンシンII受容体遮断薬(ARB)を含む。特定の実施形態では、アンギオテンシンII受容体遮断薬は、カンデサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、またはエプロサルタンである。特定の実施形態では、ARBは、6.25〜150mg/m2/日の範囲の用量で投与される。これらの実施形態のいずれかでは、ARBは、6.25mg/m2/日、10mg/m2/日、12.5mg/m2/日、18.75mg/m2/日、37.5mg/m2/日、50mg/m2/日、または150mg/m2/日の用量で投与される。
特定の実施形態では、医薬品は、アンギオテンシンII変換酵素(ACE)阻害薬を含む。特定の実施形態では、ACE阻害薬は、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、キナプリル、ホシノプリル、またはラミプリルである。特定の実施形態では、ACE阻害薬は、0.5〜1mg/m2/日、1〜6mg/m2/日、1〜2mg/m2/日、2〜4mg/m2/日、または4〜8mg/m2/日の範囲の用量で投与される。
特定の実施形態では、医薬品は、利尿薬である。特定の実施形態では、医薬品は、カルシウムチャネル遮断薬である。
特定の実施形態では、医薬品は、キナーゼ阻害薬である。特定の実施形態では、キナーゼ阻害薬は、ボスチニブまたはKD019である。
特定の実施形態では、医薬品は、アドレナリン受容体アンタゴニストである。
特定の実施形態では、医薬品は、アルドステロン受容体アンタゴニストである。特定の実施形態では、アルドステロン受容体アンタゴニストは、スピロノラクトンである。特定の実施形態では、スピロノラクトンは、1日当たり10〜35mgの範囲の用量で投与される。特定の実施形態では、スピロノラクトンは、1日当たり25mgの用量で投与される。
特定の実施形態では、医薬品は、哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)阻害薬である。特定の実施形態では、mTOR阻害薬は、エベロリムス、ラパマイシン、またはシロリムスである。
特定の実施形態では、医薬品は、ホルモンアナログである。特定の実施形態では、ホルモンアナログは、ソマトスタチンまたは副腎皮質刺激ホルモンである。
特定の実施形態では、追加療法は、抗線維化薬である。特定の実施形態では、抗線維化薬は、miR−21と相補的な修飾オリゴヌクレオチドである。
特定の実施形態では、追加療法は、透析である。特定の実施形態では、追加療法は、腎臓移植である。
特定の実施形態では、医薬品は、抗炎症薬を含む。特定の実施形態では、抗炎症薬は、ステロイド性抗炎症薬である。特定の実施形態では、ステロイド性抗炎症薬は、コルチコステロイドである。特定の実施形態では、コルチコステロイドは、プレドニゾンである。特定の実施形態では、抗炎症薬は、非ステロイド性抗炎症薬である。特定の実施形態では、非ステロイド性抗炎症薬は、イブプロフェン、COX−1阻害薬、またはCOX−2阻害薬である。
特定の実施形態では、医薬品は、線維形成誘導性シグナルに対する1つ以上の応答を遮断する医薬品である。
特定の実施形態では、追加療法は、低用量シクロホスファミド、サイモスティムリン、ビタミン及び栄養補助食品(例えば、ビタミンA、C、E、β−カロチン、亜鉛、セレン、グルタチオン、コエンザイムQ−10、及びエキナシアを含む抗酸化薬)、ならびに抗原及びアジュバントの多量体提示を組み合わせたワクチン製剤を含むワクチン、例えば、免疫刺激複合体(ISCOM)を含む身体の免疫系を増強する医薬品であり得る。
特定の実施形態では、追加療法は、本発明の1つ以上の医薬組成物の副作用を処置または改善するように選択される。このような副作用は、注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝毒性、腎毒性、中枢神経系異常、及びミオパチーを含むが、これらに限定されない。例えば、血清中のアミノトランスフェラーゼレベルの増加は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。例えば、ビリルビンの増加は、肝毒性または肝機能異常を示し得る。
特定のmicroRNA核酸塩基配列
本明細書に記載の修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17(配列番号1)またはその前駆体(配列番号2)と相補的な核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各核酸塩基は、miR−17の核酸塩基配列またはその前駆体中の対応する位置のそれぞれの核酸塩基と塩基対合を受けることができる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、miR−17の核酸塩基配列またはその前駆体配列に対する1つ以上のミスマッチ塩基対を有することがあり、依然として、その標的配列にハイブリダイズすることができる。
miR−17配列がmiR−17前駆体配列内に含有されるので、miR−17と相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドはまた、miR−17前駆体の領域と相補的である。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17の長さに等しい多数の連結ヌクレオシドからなる。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの連結ヌクレオシドの数は、miR−17の長さよりも少ない。修飾オリゴヌクレオチドの各核酸塩基がmiR−17の対応する位置の各核酸塩基と相補的である、miR−17の長さよりも少ない数の連結ヌクレオシドを有する修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17配列の領域と完全に相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドであると考えられる。例えば、各ヌクレオ塩基が、22核酸塩基長のmiR−17の対応する位置と相補的である19連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17の19核酸塩基領域と完全に相補的である。このような修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17の19核酸塩基セグメントと100%の相補性を有し(または完全に相補的であり)、miR−17と100%相補的(または完全に相補的)であると考えられる。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、シード配列と相補的な核酸塩基配列を含む。すなわち、修飾オリゴヌクレオチドは、シードマッチ配列を含む。特定の実施形態では、シード配列は、ヘキサマーシード配列である。このような特定の実施形態では、シード配列は、miR−17の核酸塩基1〜6である。このような特定の実施形態では、シード配列は、miR−17の核酸塩基2〜7である。このような特定の実施形態では、シード配列は、miR−17の核酸塩基3〜8である。特定の実施形態では、シード配列は、ヘプタマーシード配列である。このような特定の実施形態では、ヘプタマーシード配列は、miR−17の核酸塩基1〜7である。このような特定の実施形態では、ヘプタマーシード配列は、miR−17の核酸塩基2〜8である。特定の実施形態では、シード配列は、オクタマーシード配列である。このような特定の実施形態では、オクタマーシード配列は、miR−17の核酸塩基1〜8である。特定の実施形態では、オクタマーシード配列は、miR−17の核酸塩基2〜9である。
miR−17は、miR−17ファミリーとして知られているmicroRNAファミリーのメンバーである。miR−17ファミリーは、miR−17、miR−20a、miR−20b、miR−93、miR−106a、及びmiR−106bを含む。miR−17ファミリーの各メンバーは、核酸塩基配列5′−AAAGUG−3′または配列番号1の2位〜7位の核酸塩基配列であるmiR−17シード領域を含む核酸塩基配列を有する。さらに、miR−17ファミリーの各メンバーは、シード領域外で一部の核酸塩基配列同一性を共有する。従って、miR−17と相補的な修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17に加えて、miR−17ファミリーのmicroRNAを標的とし得る。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17ファミリーの2つ以上のmicroRNAを標的とする。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17ファミリーの3つ以上のmicroRNAを標的とする。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17ファミリーの4つ以上のmicroRNAを標的とする。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17ファミリーの5つ以上のmicroRNAを標的とする。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17ファミリーの6つのmicroRNAを標的とする。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−GCACTTTG−3′(配列番号3)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−AGCACTTT−3′(配列番号4)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−AGCACTTTG−3′(配列番号5)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−AAGCACTTTG−3′(配列番号6)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−TAAGCACTTTG−3′(配列番号7)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−GTAAGCACTTTG−3′(配列番号8)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−TGTAAGCACTTTG−3′(配列番号9)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−CTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号10)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−ACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号11)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−CACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号12)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−GCACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号13)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−TGCACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号14)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−CTGCACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号15)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−CCTGCACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号16)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−ACCTGCACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号17)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−CACCTGCACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号18)を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、核酸塩基配列5′−CTACCTGCACTGTAAGCACTTTG−3′(配列番号19)を含む。これらの実施形態のいずれかでは、修飾オリゴヌクレオチドは、配列番号3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、及び18のいずれか1つから選択される核酸塩基配列からなる。各核酸塩基配列において、Tは独立して、T及びUから選択される。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17の核酸塩基配列またはその前駆体に対する1つのミスマッチを有する核酸塩基配列を有する。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17の核酸塩基配列またはその前駆体に対する2つのミスマッチを有する核酸塩基配列を有する。このような特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17の核酸塩基配列またはその前駆体に対する2つ以下のミスマッチを有する核酸塩基配列を有する。このような特定の実施形態では、ミスマッチ核酸塩基は、連続している。このような特定の実施形態では、ミスマッチ核酸塩基は、連続していない。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの連結ヌクレオシドの数は、miR−17の長さよりも大きい。このような特定の実施形態では、さらなるヌクレオシドの核酸塩基は、miR−17ステムループ配列の核酸塩基と相補的である。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの連結ヌクレオシドの数は、miR−17の長さよりも1大きい。このような特定の実施形態では、さらなるヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの5′末端にある。このような特定の実施形態では、さらなるヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの3′末端にある。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの連結ヌクレオシドの数は、miR−17の長さよりも2大きい。このような特定の実施形態では、2つのさらなるヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの5′末端にある。このような特定の実施形態では、2つのさらなるヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの3′末端にある。このような特定の実施形態では、1つのさらなるヌクレオシドは、5′末端に位置しており、1つのさらなるヌクレオシドは、オリゴヌクレオチドの3′末端に位置する。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの領域は、miR−17の核酸塩基配列と完全に相補的であり得るが、修飾オリゴヌクレオチド全体は、miR−17と完全に相補的ではない。例えば、ヌクレオシド1〜22の核酸塩基が、22核酸塩基長のmiR−17の対応する位置にそれぞれ相補的である24連結ヌクレオシドからなる修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17の核酸塩基配列と完全に相補的であり、かつmiR−17の核酸塩基配列と約92%の全体的相補性を有する22ヌクレオシド部分を有する。
特定の修飾オリゴヌクレオチド
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、8〜25連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、8〜12連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、12〜25連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、15〜25連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、15〜19連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、15〜16連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、17〜23連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、19〜23連結ヌクレオシドからなる。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、8連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、9連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、10連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、11連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、12連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、13連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、14連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、15連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、16連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、17連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、18連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、19連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、20連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、21連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、22連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、23連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、24連結ヌクレオシドからなる。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、25連結ヌクレオシドからなる。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つ以上の5−メチルシトシンを含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各シトシンは、5−メチルシトシンを含む。
特定の修飾
特定の実施形態では、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドは、核酸塩基、糖、及び/またはヌクレオシド間連結に対する1つ以上の修飾を含んでもよく、よって、修飾オリゴヌクレオチドである。修飾核酸塩基、糖、及び/またはヌクレオシド間連結は、例えば、細胞取り込みの増強、他のオリゴヌクレオチドまたは核酸標的に対する親和性の増強、及びヌクレアーゼの存在下での安定性の増加、などの望ましい特性のために、非修飾形態よりも選択され得る。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む。このような特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、安定化ヌクレオシドである。安定化ヌクレオシドの例は、糖修飾ヌクレオシドである。
特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、糖修飾ヌクレオシドである。このような特定の実施形態では、糖修飾ヌクレオシドは、天然若しくは修飾複素環塩基部分及び/または天然若しくは修飾ヌクレオシド間連結をさらに含むことができ、糖修飾とは独立したさらなる修飾を含んでもよい。特定の実施形態では、糖修飾ヌクレオシドは、糖環が、天然リボースまたは2′−デオキシ−リボースの2′炭素で修飾された2′−修飾ヌクレオシドである。
特定の実施形態では、2′−修飾ヌクレオシドは、二環式糖部分を有する。このような特定の実施形態では、二環式糖部分は、α立体配置のD糖である。このような特定の実施形態では、二環式糖部分は、β立体配置のD糖である。このような特定の実施形態では、二環式糖部分は、α立体配置のL糖である。このような特定の実施形態では、二環式糖部分は、β立体配置のL糖である。
このような二環式糖部分を含むヌクレオシドは、二環式ヌクレオシドまたはBNAと称される。特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、下に示すような(A)α−L−メチレンオキシ(4′−CH
2−O−2′)BNA;(B)β−D−メチレンオキシ(4′−CH
2−O−2′)BNA;(C)エチレンオキシ(4′−(CH
2)
2−O−2′)BNA;(D)アミノオキシ(4′−CH
2−O−N(R)−2′)BNA;(E)オキシアミノ(4′−CH
2−N(R)−O−2′)BNA;(F)メチル(メチレンオキシ)(4′−CH(CH
3)−O−2′)BNA(束縛エチルまたはcEtとも称される);(G)メチレン−チオ(4′−CH
2−S−2′)BNA;(H)メチレン−アミノ(4′−CH2−N(R)−2′)BNA;(I)メチル炭素環式(4′−CH
2−CH(CH
3)−2′)BNA;(J)c−MOE(4′−CH(CH
2−OMe)−O−2′)BNA、及び(K)プロピレン炭素環式(4′−(CH
2)
3−2′)BNAを含むが、これらに限定されない。
式中、BXは、核酸塩基部分であり、Rは独立して、H、保護基、またはC
1〜C
12アルキルである。
特定の実施形態では、2′−修飾ヌクレオシドは、F、OCF3、O−CH3、OCH2CH2OCH3、2′−O(CH2)2SCH3、O−(CH2)2−O−N(CH3)2、−O(CH2)2O(CH2)2N−(CH3)2、及びO−CH2−C(=O)−N(H)CH3から選択される2′−置換基を含む。
特定の実施形態では、2′−修飾ヌクレオシドは、F、O−CH3、及びOCH2CH2OCH3から選択される2′−置換基を含む。
特定の実施形態では、糖修飾ヌクレオシドは、4′−チオ修飾ヌクレオシドである。特定の実施形態では、糖修飾ヌクレオシドは、4′−チオ−2′−修飾ヌクレオシドである。4′−チオ修飾ヌクレオシドは、4′−Oが4′−Sで置換されたβ−D−リボヌクレオシドを有する。4′−チオ−2′−修飾ヌクレオシドは、2′−OHが2′−置換基で置換された4′−チオ修飾ヌクレオシドである。好適な2′−置換基としては、2′−OCH3、2′−O−(CH2)2−OCH3、及び2′−Fが挙げられる。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオシド間修飾を含む。このような特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間連結は、修飾ヌクレオシド間連結である。特定の実施形態では、修飾ヌクレオシド間連結は、リン原子を含む。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間連結を含む。特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間連結は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結である。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、1個以上の修飾核酸塩基を含む。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、5−ヒドロキシメチルシトシン、7−デアザグアニン、及び7−デアザアデニンから選択される。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン、及び2−ピリドンから選択される。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、2アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、及び5−プロピニルシトシンを含む5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびにN−2、N−6、及びO−6置換プリンから選択される。
特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、多環式複素環を含む。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、三環式複素環を含む。特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、フェノキサジン誘導体を含む。特定の実施形態では、フェノキサジンは、G−クランプとして当該技術分野で既知の核酸塩基を形成するようにさらに修飾することができる。
特定の実施形態では、修飾オリゴヌクレオチドは、得られるアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取り込みを増強する1つ以上の部分にコンジュゲートされる。このような特定の実施形態では、部分は、コレステロール部分である。特定の実施形態では、この部分は、脂質部分である。コンジュゲーションのためのさらなる部分は、炭水化物、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸塩、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、及び色素を含む。特定の実施形態では、炭水化物部分は、N−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNac)である。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、オリゴヌクレオチドに直接結合される。特定の実施形態では、コンジュゲート基は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、不飽和(例えば、二重または三重結合)、8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、6−アミノヘキサン酸(AHEXまたはAHA)、置換C1〜10アルキル、置換または非置換C2〜C10アルケニル、及び置換または非置換C2〜C10アルキニルから選択される連結部分により、修飾オリゴヌクレオチドに結合される。このような特定の実施形態では、置換基は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルから選択される。
このような特定の実施形態では、化合物は、例えば、ヌクレアーゼ安定性などの特性を高めるために、修飾オリゴヌクレオチドの一方または両方の末端に結合される1つ以上の安定化基を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む。キャップ構造が、安定化基に含まれる。これらの末端修飾は、エキソヌクレアーゼ分解から修飾オリゴヌクレオチドを保護し、細胞内での送達及び/または局在化に役立つ可能性がある。キャップは、5′末端(5′キャップ)または3′末端(3′キャップ)に存在する可能性があり、または両方の末端に存在する可能性がある。キャップ構造は、例えば、逆位デオキシ脱塩基キャップを含む。
特定の医薬組成物
本明細書では、医薬組成物が提供される。特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、8〜25連結ヌクレオシドからなり、かつmiR−17と相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、8〜12連結ヌクレオシドからなり、かつmiR−17と相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドからなる化合物を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、15〜25連結ヌクレオシドからなり、かつmiR−17と相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を含む。特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、17〜23連結ヌクレオシドからなり、かつmiR−17と相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を含む。
好適な投与経路としては、経口、直腸、経粘膜、腸、経腸、局所、坐薬、吸入による、髄腔内、心臓内、脳室内、腹腔内、経鼻、鼻腔内、腫瘍内、ならびに非経口(例えば、静脈内、筋肉内、髄内、及び皮下)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、髄腔内薬は、全身曝露よりはむしろ局所曝露を達成するように投与される。例えば、医薬組成物は、所望の効果の領域(例えば、腎臓)に直接注射され得る。
特定の実施形態では、医薬組成物は、投薬単位の形態(例えば、錠剤、カプセル、ボーラスなど)で投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、25mg〜800mg、25mg〜700mg、25mg〜600mg、25mg〜500mg、25mg〜400mg、25mg〜300mg、25mg〜200mg、25mg〜100mg、100mg〜800mg、200mg〜800mg、300mg〜800mg、400mg〜800mg、500mg〜800mg、600mg〜800mg、100mg〜700mg、150mg〜650mg、200mg〜600mg、250mg〜550mg、300mg〜500mg、300mg〜400mg、及び400mg〜600mgから選択される範囲内の用量の修飾オリゴヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、このような医薬組成物は、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg、140mg、145mg、150mg、155mg、160mg、165mg、170mg、175mg、180mg、185mg、190mg、195mg、200mg、205mg、210mg、215mg、220mg、225mg、230mg、235mg、240mg、245mg、250mg、255mg、260mg、265mg、270mg、270mg、280mg、285mg、290mg、295mg、300mg、305mg、310mg、315mg、320mg、325mg、330mg、335mg、340mg、345mg、350mg、355mg、360mg、365mg、370mg、375mg、380mg、385mg、390mg、395mg、400mg、405mg、410mg、415mg、420mg、425mg、430mg、435mg、440mg、445mg、450mg、455mg、460mg、465mg、470mg、475mg、480mg、485mg、490mg、495mg、500mg、505mg、510mg、515mg、520mg、525mg、530mg、535mg、540mg、545mg、550mg、555mg、560mg、565mg、570mg、575mg、580mg、585mg、590mg、595mg、600mg、605mg、610mg、615mg、620mg、625mg、630mg、635mg、640mg、645mg、650mg、655mg、660mg、665mg、670mg、675mg、680mg、685mg、690mg、695mg、700mg、705mg、710mg、715mg、720mg、725mg、730mg、735mg、740mg、745mg、750mg、755mg、760mg、765mg、770mg、775mg、780mg、785mg、790mg、795mg、及び800mgから選択される用量の修飾オリゴヌクレオチドを含む。このような特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、600mg、700mg、及び800mgから選択される修飾オリゴヌクレオチドの用量を含む。
特定の実施形態では、医薬品は、好適な希釈剤、例えば、注射用の滅菌水または注射用の滅菌生理食塩水で再構成される滅菌凍結乾燥修飾オリゴヌクレオチドである。再構成された生成物は、生理食塩水への希釈後に、皮下注射または静脈内注入として投与される。凍結乾燥薬物製品は、注射用水または注射用生理食塩水で調製され、調製中に酸または塩基でpH7.0〜9.0に調整され、かつ、次に、凍結乾燥された修飾オリゴヌクレオチドからなる。凍結乾燥された修飾オリゴヌクレオチドは、25〜800mgのオリゴヌクレオチドであり得る。これは、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、及び800mgの修飾凍結乾燥オリゴヌクレオチドを包含すると理解されている。さらに、一部の実施形態では、凍結乾燥修飾オリゴヌクレオチドは、25mg〜800mg、25mg〜700mg、25mg〜600mg、25mg〜500mg、25mg〜400mg、25mg〜300mg、25mg〜200mg、25mg〜100mg、100mg〜800mg、200mg〜800mg、300mg〜800mg、400mg〜800mg、500mg〜800mg、600mg〜800mg、100mg〜700mg、150mg〜650mg、200mg〜600mg、250mg〜550mg、300mg〜500mg、300mg〜400mg、及び400mg〜600mgから選択される範囲内の量のオリゴヌクレオチドである。凍結乾燥薬物製品は、2mLのタイプI透明ガラスバイアル(硫酸アンモニウム処理した)中にパッケージ化され、ブロモブチルゴムクロージャーで栓をされ、アルミニウムFLIP−OFF(登録商標)オーバーシールで密封され得る。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、技術分野で確立された使用レベルで、医薬組成物中に従来見出される他の補助構成成分をさらに含有してもよい。従って、例えば、組成物は、さらなる相溶性のある薬学的に活性な物質、例えば、止痒薬、収斂薬、局所麻酔薬、若しくは抗炎症薬、を含有してもよく、または本発明の、種々の剤形の組成物を物理的に製剤化するのに有用な添加材料、例えば、染料、着香剤、防腐剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、及び安定剤、を含有してもよい。しかし、このような物質は、添加される時、本発明の組成物の構成成分の生物学的活性を過度に阻害すべきではない。製剤は、滅菌し、必要に応じて、助剤、例えば、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、着香剤、香味剤、及び/または芳香族物質などと混合することができ、これらは、製剤のオリゴヌクレオチド(複数可)と有害な相互作用をしない。
脂質部分は、種々の方法で核酸治療に使用されている。一方法では、核酸は、カチオン性脂質及び中性脂質の混合物で作成された予め形成されたリポソームまたはリポプレックスに導入される。別の方法では、モノカチオン性またはポリカチオン性脂質を有するDNA複合体は、中性脂質の存在なしに形成される。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬品の特定の細胞または組織への分布を増加させるように選択される。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬品の脂肪組織への分布を増加させるように選択される。特定の実施形態では、脂質部分は、医薬品の筋肉組織への分布を増加させるように選択される。
特定の実施形態では、INTRALIPIDは、オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を調製するため使用される。Intralipidは、静脈内投与用に調製された脂肪エマルションである。それは、10%の大豆油、1.2%の卵黄リン脂質、2.25%のグリセリン、及び注射用水からなる。さらに、水酸化ナトリウムは、最終生成物のpH範囲が6〜8.9になるようにpHを調整するために添加されている。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、ポリアミン化合物または核酸と複合体化された脂質部分を含む。特定の実施形態では、このような調製物は、1つ以上の化合物を含み、それぞれは個別に、式(Z)により定義される構造またはその薬学的に許容される塩を有する。
式中、各X
a及びX
bは、各存在について、独立して、C
1〜6アルキレンであり;nは、0、1、2、3、4、または5であり;各Rは独立して、Hであり、式中、調製物中の式(Z)の化合物の分子の少なくとも約80%におけるR部分の少なくともn+2個は、Hではなく;mは、1、2、3、または4であり;Yは、O、NR
2、またはSであり;R
1は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;これらのそれぞれは、1つ以上の置換基で任意に置換され;R
2は、Hで、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;これらのそれぞれは、1つ以上の置換基と任意に置換され;但し、n=0の場合、R部分の少なくともn+3個は、Hではない。このような調製物は、PCT公開WO/2008/042973に記載されており、これは、脂質調製物の開示のために、本明細書に全体として参照により組み込まれる。特定のさらなる調製物は、Akinc et al.,Nature Biotechnology 26,561−569(01 May 2008)に記載されており、これは、脂質調製物の開示のために、本明細書に全体として参照により組み込まれる。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、1つ以上の修飾オリゴヌクレオチド及び1つ以上の賦形剤を含む。このような特定の実施形態では、賦形剤は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選択される。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、限定されないが、混合、溶解、顆粒化、糖衣化、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、または錠剤化プロセスを含む既知の技術を使用して調製される。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、液体(例えば、懸濁液、エリキシル、及び/または溶液)である。このような実施形態の一部では、液体医薬組成物は、限定されないが、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、及び着色剤を含む当該技術分野で既知の成分を使用して調製する。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、固体(例えば、粉末、錠剤、及び/またはカプセル)である。このような実施形態の一部では、1つ以上のオリゴヌクレオチドを含む固体医薬組成物は、限定されないが、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤を含む当該技術分野で既知の成分を使用して調製される。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、デポ剤として製剤化される。このような特定のデポ剤は通常、非デポ剤よりも作用が長い。特定の実施形態では、このような調製物は、移植(例えば、皮下若しくは筋肉内)または筋肉内注射により投与される。特定の実施形態では、デポ剤は、好適なポリマー材料若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルション)またはイオン交換樹脂を使用して、あるいは難溶性誘導体、例えば、難溶性塩として、調製される。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、送達システムを含む。送達システムの例としては、リポソーム及びエマルションが挙げられるが、これらに限定されない。特定の送達システムは、疎水性化合物を含むものを含む特定の医薬組成物を調製するために有用である。特定の実施形態では、ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒が使用される。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、本発明の1つ以上の医薬品を、特定の組織または細胞タイプに送達するように設計された1つ以上の組織特異的送達分子を含む。例えば、特定の実施形態では、医薬組成物は、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームを含む。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、持続放出システムを含む。このような持続放出系の非限定例は、固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスである。特定の実施形態では、徐放性システムは、その化学的性質に応じて、数時間、数日、数週間、または数ヶ月にわたって医薬品を放出し得る。
特定の実施形態では、医薬組成物は、注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内など)による投与のために調製される。このような実施形態の一部では、医薬組成物は、担体を含み、水溶液、例えば、水、またはハンクス液、リンガー液、若しくは生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液中で製剤化される。特定の実施形態では、他の成分(例えば、溶解性を補助する成分、または防腐剤として機能する成分)が含まれる。特定の実施形態では、注射用懸濁液は、好適な液体担体、懸濁剤などを使用して調製される。特定の注射用医薬組成物は、単位剤形、例えば、アンプルまたは複数用量容器で、提供される。注射用の特定の医薬組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルションであり、製剤化剤(formulatory agents)、例えば、懸濁剤、安定剤、及び/または分散剤を含有し得る。注射用医薬組成物での使用に適する特定の溶媒は、親油性溶媒及び脂肪油、例えば、ゴマ油、合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド、ならびにリポソームを含むが、これらに限定されない。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有し得る。任意に、このような懸濁液はまた、好適な安定剤または高濃度溶液の調製を可能にするため薬剤の溶解性を増加させる薬剤を含有してもよい。
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、治療的有効量の修飾オリゴヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、治療的有効量は、疾患の症状を予防、緩和、または改善するのに、または処置された対象の生存を延長するのに十分である。治療的有効量の決定は、十分に当業者らの能力の範囲内である。
特定の実施形態では、本明細書で提供される1つ以上の修飾オリゴヌクレオチドは、プロドラッグとして製剤化される。特定の実施形態では、インビボ投与の際に、プロドラッグは、生物学的、薬学的、または治療的により活性な形態のオリゴヌクレオチドに化学的に変換される。特定の実施形態では、プロドラッグは、対応する活性形態よりも投与が容易であるので有用である。例えば、特定の場合では、プロドラッグは、対応する活性形態よりもより(例えば、経口投与により)バイオアベイラブルであり得る。特定の場合では、プロドラッグは、対応する活性形態と比較して改善された溶解性を有し得る。特定の実施形態では、プロドラッグは、対応する活性形態よりも水溶性が低い。特定の場合では、このようなプロドラッグは、細胞膜を横断する優れた送達を有し、水溶性は、移動性に有害である。特定の実施形態では、プロドラッグは、エステルである。このような特定の実施形態では、エステルは、投与時に、カルボン酸へ代謝的に加水分解される。特定の場合では、カルボン酸含有化合物は、対応する活性形態である。特定の実施形態では、プロドラッグは、酸性基に結合した短いペプチド(ポリアミノ酸)を含む。このような実施形態の一部では、ペプチドは、投与時に切断されて、対応する活性形態を形成する。
特定の実施形態では、プロドラッグは、活性化合物がインビボ投与時に再生されるように、薬学的に活性な化合物を修飾することにより作成される。プロドラッグは、薬物の代謝安定性若しくは輸送特徴を変更するように、副作用若しくは毒性を阻害するように、薬物の風味を改善するように、または薬物の他の特徴若しくは特性を変更するように設計することができる。インビボでの薬力学的プロセス及び薬物代謝の知見により、当業者らは、薬学的に活性な化合物が知られると、化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady(1985)Medicinal Chemistry A Biochemical Approach,Oxford University Press,New York,pages 388−392を参照のこと)。
特定のキット
本発明は、キットも提供する。一部の実施形態では、キットは、修飾オリゴヌクレオチドを含む本発明の1つ以上の化合物を含み、オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、miR−17の核酸塩基配列と相補的である。化合物は、本明細書に記載のヌクレオシドパターンのいずれかを有することができる。一部の実施形態では、化合物は、バイアル内に存在することができる。複数の、例えば、10のバイアルが、例えば、調剤パック中に存在することができる。一部の実施形態では、バイアルは、シリンジで利用可能にするために製造される。キットは、化合物を使用するための使用説明書も含有する可能性がある。
一部の実施形態では、キットは、化合物の対象への投与のために使用され得る。このような場合、キットは、miR−17と相補的な修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物に加えて、次の:注射器、アルコールスワブ、綿球、及び/またはガーゼパッドのうちの1つ以上をさらに含むことができる。一部の実施形態では、化合物は、バイアル内ではなく、予め充填された注射器(例えば、針ガード付きの27ゲージ、1/2インチ針を有する単回用量注射器など)で存在することができる。複数の、例えば、10の予め充填されたシリンジは、例えば、分配パック中に存在することができる。キットは、miR−17と相補的な修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物を投与するための使用説明書も含有することができる。
特定の実験モデル
特定の実施形態では、本発明は、実験モデルにおいて本発明の修飾オリゴヌクレオチドを使用及び/または試験する方法を提供する。当業者らは、本発明の医薬品を評価するために、このような実験モデルのプロトコールを選択及び修正することができる。
一般に、修飾オリゴヌクレオチドは最初に、培養細胞において試験される。好適な細胞型としては、修飾オリゴヌクレオチドの送達がインビボで所望される細胞型に関連するものが挙げられる。例えば、本明細書に記載の方法の試験に好適な細胞型は、初代または培養細胞を含む。
特定の実施形態では、培養細胞において、修飾オリゴヌクレオチドがmiR−17の活性を阻害する程度が、評価される。特定の実施形態では、microRNA活性の阻害は、microRNAのレベルを測定することにより評価され得る。あるいは、予測または検証されたmicroRNA制御転写物のレベルが測定され得る。microRNA活性の阻害は、miR−17制御転写物、及び/またはmiR−17制御転写物によりコードされるタンパク質の増加をもたらし得る。さらに、特定の実施形態では、特定の表現型の結果が測定され得る。
いくつかの動物モデルは、ヒト疾患のモデルにおけるmiR−17の試験のための当業者に利用可能である。多発性嚢胞腎のモデルは、Pkd1及び/またはPkd2における変異及び/または欠失を有するモデル、ならびに他の遺伝子に変異を含むモデルを含むが、これらに限定されない。Pkd1及び/またはPkd2における変異及び/または欠失を含むPKDの非限定例的なモデルとしては、下垂体モデル、例えば、Pkd1におけるミスセンス変異及びPkd2の低減した発現または不安定な発現を有するモデル;誘導性条件付きノックアウトモデル;及び条件付きノックアウトモデルが挙げられる。Pkd1及びPkd2以外の遺伝子の変異を含む非限定例的なPKDモデルとしては、Pkhd1、Nek8、Kif3a、及び/またはNphp3の変異を有するモデルが挙げられる。PKDモデルは、例えば、Shibazaki et al.,Human Mol.Genet.,2008;17(11):1505−1516;Happe and Peters,Nat Rev Nephrol.,2014;10(10):587−601;及びPatel et al.,PNAS,2013;110(26):10765−10770に概説される。
特定の定量アッセイ
特定の実施形態では、microRNAレベルは、インビトロまたはインビボで細胞または組織中で定量される。特定の実施形態では、microRNAレベルの変化は、マイクロアレイ分析により測定される。特定の実施形態では、microRNAレベルの変化は、TaqMan(登録商標)microRNAアッセイ(Applied Biosystems)などのいくつかの市販のPCRアッセイのうちの1つにより測定される。
抗miRまたはmicroRNA模倣物を用いるmicroRNA活性の調節は、mRNAのマイクロアレイプロファイリングにより評価され得る。抗miRまたはmicroRNA模倣物により調節される(増加させるか、または減少させるかのいずれか)mRNAの配列は、microRNAの標的であるmRNAの調節を、microRNAの標的でないmRNAの調節と比較するために、microRNAシード配列について検索される。このように、抗miRのmiR−17との相互作用、またはmiR−17模倣物のその標的との相互作用を評価することができる。抗miRの場合、発現レベルが増加したmRNAは、抗miRが相補的であるmicroRNAとのシードマッチを含むmRNA配列についてスクリーニングされる。
抗miR−17化合物によるmicroRNA活性の調節は、mRNA自体またはそこから転写されたタンパク質のいずれかのレベルを測定することにより、miR−17のmRNA標的のレベルを測定することにより評価され得る。microRNAのアンチセンス阻害は一般に、mRNA及び/またはmicroRNAのmRNA標的のタンパク質のレベルにおける増加をもたらす。
次の実施例は、本発明の一部の実施形態を、より完全に説明するために提示される。しかし、それらは決して、本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
当業者ら、本発明の趣旨から逸脱することなく、種々の化合物を設計するためにこの発見の根本的な原理を容易に採用するであろう。
実施例1:多発性嚢胞腎のモデルにおける抗miR−17
Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスは自然に、多発性嚢胞腎を発生し、これらをADPKDのモデルとして使用した。Patel et al.,PNAS,2013;110(26):10765−10770を参照のこと。
miR−17と相補的な修飾オリゴヌクレオチド(抗miR−17化合物)を、ADPKDのPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスモデルにおいて試験した。野生型マウスを、対照マウスとして使用した。miR−17とは無関係のmiRNAと相補的なオリゴヌクレオチドを、特異性に対する処置対照(抗miR対照)として使用した。抗miR−17化合物は、DNA、2′−MOE、及びS−cEt糖部分を有する、19連結ヌクレオシド(5′−CTGCACTGTAAGCACTTTG−3′;配列番号15)長の完全にホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドであった。
10〜12日齢で、性別が一致したマウスの同腹仔を、合計3回の1日用量の抗miR−17(20mg/kg)またはPBSで処置した。19日齢で、マウスを、第4の用量の抗miR−17(20mg/kg)またはPBSで処置した。抗miR−17を、皮下投与した。(1)Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウス、PBS投与、n=8;(2)Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウス、抗miR−対照投与、n=8;(3)Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウス、抗miR−17投与、n=8。28日目に、マウスを死亡させ、腎重量、嚢胞指数、腎機能、及び腎臓マーカーを測定した。統計的有意性を、ウェルチのt検定により計算した。
抗miR−17で処置したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスの腎重量対体重の平均比は、抗miR−対照またはPBSのみを投与したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスにおける腎重量対体重の平均比よりも17%低かった(p=0.017)。抗miR−17で処置したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスは、抗miR−対照またはPBSを投与したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスと比較して、嚢胞指数の平均6%低減を示した。但し、差異は、統計的に有意ではなかった(p=0.072)。嚢胞指数は、総腎面積と比較した嚢胞面積の組織学的測定値である。抗miR−17で処置したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスの平均血清クレアチニンレベルは、抗miR−対照またはPBSを投与したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスよりも25%低かった。但し、結果は、統計的に有意ではなかった(p=0.069)。抗miR対照またはPBSに対して、抗miR−17で処置したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスでは、Kim1の発現は33%低減し(p=0.024)、抗miR対照またはPBSに対して、抗miR−17で処置したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスでは、Ngal発現は36%低減した(p=0.028)。最終的に、抗miR対照またはPBSに対して、抗miR−17で処置したPkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスでは、血中尿素窒素(BUN)レベルは20%低減した(p=0.006)。BUNは、腎機能の血液マーカーである。より高いBUNは、不良な腎機能と相関する。BUNの低減は、腎障害及び腎損傷の低減、ならびに機能の改善の指標である。
これらの結果は、抗miR−17処置が、一次処置のエンドポイントである腎容積において、Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスの陽性結果をもたらすことを実証する。抗miR−17処置は、Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスにおいて、BUN及び腎障害mRNAバイオマーカーKim1及びNgalの発現も有意に低減させた。最終的に、抗miR−17処置は、Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスにおいて、血清クレアチニンの低減及び嚢胞指数の低減に向かう傾向をもたらした。これらの結果は、抗miR対照では観察されず、それらが、具体的には、miR−17阻害によるものであることが示された。
実施例3:Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスの腎臓における抗miR分布
抗miR化合物を含むオリゴヌクレオチドは、腎臓内のいくつかの細胞型に分布することが知られている。Chau et al.,Sci Transl Med.,2012,121ra18により報告されるように、Cy3標識抗miRの正常マウスまたは腎障害に罹患しやすいマウス(片側性尿管閉塞、間質性線維化のモデル)のいずれかへの次の投与後、腎臓における最大蛍光強度は、近位尿細管上皮であった。内皮細胞、周皮細胞、筋線維芽細胞、及びマクロファージは全て、検出可能な量のCy3標識抗miRも含有していた。しかし、糸球体、特に、足場細胞は、化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドの既知の分布と一致する有意な量の抗miRを受け入れないようであった(Masarjian et al.,Oligonucleotides,2004,14,299−310)。
多発性嚢胞腎のマウスモデルにおける抗miRの分布を調査するために、抗miR−17化合物を、Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスの2つの異なる群である、10日齢で開始する群(n=4;前被嚢形と考えられる)及び21日齢で開始する群(n=4;嚢胞性と考えられる)、ならびに21日齢で開始する野生型マウスの1群(n=4)に投与した。各群では、化合物を、3回用量で1日20mg/kg投与した。最終投与の3日後に、マウスを死亡させ、腎臓を採取し、組織学的分析のために処理した。ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドを認識する抗体を使用して、抗miR−17を検出した。
抗miR−17化合物に対するマーカーとしてのホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドまたは集合管に対するマーカーとしてのドリコスビフロルス凝集素(DBA)を認識する抗体を用いて、腎臓組織の切片を染色した。全ての群において、染色の大部分は、おそらく、近位尿細管上皮の集合管の外側に見出された。抗miR−17は、多数の嚢胞がすでに腎臓に形成されていた後に投与された時でさえ、集合管嚢胞に送達された。集合管における染色は、嚢胞において、正常な集合管と比較して大きく見え、化合物の送達が病状と共に増加し得ることが示唆された。
機能的送達を確認するために、RT−qPCRを使用して、抗let−7化合物により誘導される遺伝子発現変化を測定した。36個のlet−7標的遺伝子のパネルは、Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウス及び抗let−7を投与した野生型マウスの前被嚢形及び嚢胞腎の双方における発現において有意な増加を示した。
これらの結果により、抗miR化合物を、嚢胞性腎臓にうまく送達して、miRNAを阻害することができることが実証する。
実施例3:miR−17ファミリーメンバーの阻害
多数のmicroRNAは、シード配列同一性を共有し、それにより、microRNAファミリーのメンバーである。microRNAのシード領域が、標的特異性の決定因子であるので、microRNAファミリーメンバーは多くの場合、同様のセットのメッセンジャーRNA標的を制御する。シード領域の外側では、microRNAファミリーメンバーは、様々な程度の配列同一性を共有する。
このようなファミリーの1つは、miR−17、miR−20a、miR−20b、miR−93、miR−106a、及びmiR−106bを含むmiR−17ファミリーである。本microRNAファミリーの個々のmicroRNAは、3つの異なるmicroRNAクラスター内の3つの異なる染色体上に位置する。miR−17及びmiR−20aは、ヒト13番染色体上のmiR−17〜92クラスター内に存在し;miR−20b及びmiR−106aは、ヒトX染色体上のmiR−106a〜363クラスター内に存在し、miR−93及びmiR−106bは、ヒト7番染色体上のmiR−106b〜25クラスター内に存在する(図1A)。これらの3つのクラスターのそれぞれは、miR−17ファミリーのメンバーではない他のmicroRNAを含有し、それにより、miR−17 2〜7シード配列を含まない。しかし、これらのmicroRNAは、図1Bに示されるように、他のmiRファミリーのメンバーである。miR−17ファミリーメンバーは、図1Bに示され、miR−17 2〜7シード配列は太字である。miR−18ファミリーメンバーのシード配列(miR−18a及びmiR−18b)は、miR−17 2〜7シード配列と比較して、1核酸塩基の差異を含有するが、シード領域外では配列は異なる。
microRNAファミリーメンバー間の配列同一性のために、かつmicroRNA配列と100%未満の相補性を有する修飾オリゴヌクレオチドが依然として、そのmicroRNAの活性を阻害し得るので、ファミリーの第1メンバーの核酸塩基配列と100%相補的な、かつファミリーの1つ以上の他のメンバーと100%未満相補的である核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドは、microRNAファミリーの最初のメンバーの活性を阻害することに加えて、ファミリーの1つ以上の他のメンバーを阻害し得る。例えば、miR−17(5’−CTGCACTGTAAGCACTTTG−3’;配列番号15)と100%相補的な、かつmiR−17ファミリーの他のメンバー(表1)と100%未満相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドは、miR−17ファミリーのそれらの他のメンバーを阻害することが期待される。
miR−17ファミリーメンバーの阻害を試験するために、ルシフェラーゼレポーターアッセイを使用した。ルシフェラーゼ遺伝子の3′UTRと相補的なmicroRNA結合部位を有する、miR−17、miR−20a、miR−20b、miR−93、及びmiR−106bのそれぞれに対するルシフェラーゼレポータープラスミドを構築した。各microRNAについて、HeLa細胞を、microRNA模倣物及び同種のルシフェラーゼレポーターでトランスフェクトし、続いて、抗miR−17でトランスフェクトした。miR−17、miR−20a、miR−20b、miR−93、及びmiR−106bのそれぞれを、抗miR−17化合物で阻害して、抗miR−17及びmicroRNA配列の間に存在するミスマッチがある時でも、抗miR−17化合物が、miR−17ファミリーの複数のメンバーを阻害することが実証された。
別のアッセイであるmicroRNAポリソームシフトアッセイ(miPSA)により、抗miR−17化合物が、miR−17ファミリーの3つのメンバー、miR−17、miR−20b、及びmiR−106aに直接関与することが確認された(Androsavich et al.,Nucleic Acids Research,2015,44:e13)。miPSAは、活性miRNAが、翻訳活性のある高分子量(HMW)のポリソームにおいて、そのmRNA標的に結合するという原理に依存するが、阻害されたmiRNAは、低MW(LMW)ポリソームに存在する。抗miRを用いる処置は、HMWポリソームからLMWポリソームへのmicroRNAのシフトをもたらす。従って、miPSAは、相補的抗miRによるmicroRNA標的関与の直接測定を提供する。他方では、非miR−17ファミリーは、miR−18aが、(単一のヌクレオチドA/Gの差異のみを有するmiR−17及びmiR−18シード配列により説明され得る)高用量時に高い交差反応性を予想外に示したという1つの例外を除いて、比較的に反応しなかったことを、Androsavichらは、さらに確認した(図1)。
従って、抗miR−17化合物を用いる処置は、抗miR−17及びmicroRNA配列の間に存在するミスマッチがある時でも、miR−17ファミリーの全てのメンバーを阻害する。
実施例4:ヒトADPKD嚢胞におけるmiR−17阻害
ヒトADPKD嚢胞由来の初代培養において、miR−17阻害の効果を研究した。凍結したヒト初代ADPKD細胞は、Kansas University Medical Center(KUMC)のResearch Biomaterials and Cellular Models Coreにより提供された。上述したように、5%のFBS、5ug/mlのインスリン、5ug/mlのトランスフェリン、及び5ng/mlの亜セレン酸ナトリウム(ITS)(Lonza)を補充したDMEM:F12培地(Gibco)中で、ヒト初代ADPKD細胞を成長させた(Yamaguchi et al.,Am J Physiol Renal Physiol,2010,299:F944−951)。
増殖アッセイ
Ca+2及びMg+2不含PBS中のトリプシンの1:10希釈液を使用して、80%コンフルエントで、ヒトADPKD細胞をトリプシン処理した。細胞を、96ウェルプレート中、2500細胞/ウェルの密度で、製造者のプロトコールに従ってRNAiMAX(Life Technologies)でトランスフェクトした。処置は次の通りであった:
●抗miR−17(3nM、10nM、または30nMの用量で;各処置についてn=5)
●対照オリゴヌクレオチド(表3に示す用量で;各処置についてn=5)。対照処置を変えるために、2つの異なる対照群を使用した。ドナー1〜4、3、または5由来の培養物について、それぞれ30nMの単回用量で、対照オリゴヌクレオチドを試験した。ドナー5由来の細胞について、3つの異なる用量で、単一の対照オリゴヌクレオチドを試験した。
●RNAiMAX(n=5)を用いるモックトランスフェクション
●PBS(n=5)
製造者のプロトコールに従って3日目にMTTアッセイ(Promega)を使用して、細胞生存率を測定した。結果を表2に示す。各抗miR−17処置群または対照オリゴヌクレオチド処置群の平均値を、モック処置群の平均値に正規化する。標準誤差を示す。ペアワイズ比較のためのStudentのt検定または分散分析(ANOVA)、続いて、複数比較のためのTukeyの事後検定を使用して、統計分析を実施した。P値は、次の通りである:*はP<0.05を示し、**はP<0.01を示し、***はP<0.005を示し、****はP<0.001を示す。抗miR−17処置の場合、P値は、モック処置と比較して有意性を示す。対照オリゴヌクレオチド処置の場合、2つの異なるP値を示し、一方は、モック処置と比較して有意性を示し(表2のP値1)、他方は、30nMの抗miR−17での処置と比較して有意性を示す(表2のP値2)。N.t.は、試験せずを示す。
抗miR−17を用いる処置は、モックトランスフェクション処置と比較して、嚢胞上皮の増殖において用量依存的な低減を生じた。抗miR−17を用いる処置とは異なり、対照オリゴヌクレオチド処置の大部分は一貫して、増殖を統計的に有意な量で低減させなかった。
一例として、30nMの抗miR−17を含むドナー1由来の嚢胞上皮培養物の処置は、モックトランスフェクションと比較して、細胞増殖を47%低減させた(P<0.0001)が、対照オリゴヌクレオチドを用いる処置は、細胞増殖を統計的に有意な量で低減させなかった。さらに、同じドナー由来の嚢胞上皮培養物の場合、30nMの抗miR−17での処置の、3つの対照処置のそれぞれとの比較は、抗miR−17処置による細胞増殖における統計的に有意な低減も明らかにする(P<0.0001)。
インビトロ嚢胞形成
ヒト初代ADPKD細胞を、80%コンフルエントまで成長させ、Ca+2及びMg+2不含PBS中のトリプシンの1:10希釈液を使用して、トリプシン処理をした。1日目に、6ウェルプレートフォーマット中で、RNAiMAXを使用して、細胞をトランスフェクトした。処置群は、次の通りである。
●1nM、5nM、または20nMの用量の抗miR−17(各用量についてn=3)
●5つの対照オリゴヌクレオチド、それぞれ20nMの用量(各対照オリゴヌクレオチドについてn=3)
●RNAiMAX(n=3)を用いるモックトランスフェクション
●PBS
トランスフェクションの24時間後に、細胞をトリプシン処理して単細胞浮遊液とし、計数し、4:5の比のマトリゲルを加えた130μlの培地中、4000細胞/ウェル密度で96ウェルプレートにプレーティングした。マトリゲル凝固時に、完全成長培地を、ウェルに添加した。プレーティングの8日後まで、72時間毎に、培地を補充し、その時、嚢胞サイズ及び数を測定した。
Olympus D8光学顕微鏡を使用して、嚢胞増殖について、各ウェルを検査した。72dpi、2448×1920ピクセルの28個の24ビットカラーTIFF画像として、28個の焦点面から、150μmの間隔で、ウェルを見下ろして(Z軸で)、Olympus DP26カメラ(Olympus Corporation)を用いて、画像を記録した。EBImage Bioconductor package 15を使用したカスタムRスクリプト(R Core Team 2015 R:統計的計算のための言語及び環境、R Foundation for Statistical Computing、オーストリーウィーン、www.R−project.org)を使用して、各ウェルからの各焦点面の画像を処理した。このスクリプトは、自動化され、かつ再現可能な仕方で、嚢胞を検出し、全てのドナーにおいて、全てのマトリゲルアッセイに適用した。要約すると、人為的結果について、各画像をマスクし、高域透過型Laplacianフィルターを介してフィルタリングし、適応閾値を用いてセグメント化した。ピクセルダイレーション、穴埋め、及びピクセルエロージョンにより、セグメント化された画像中で検出された対象物をさらに処理した。各セグメント化された対象物のサイズ、半径、及び離心率統計値を収集した。対象物は、15ピクセル以下の平均半径を有し、または200ピクセルを超える対象物の平均半径若しくは半径の変動係数が0.2を超えるものであり、または検出された対象物の離心率が0.75を超えた場合、フィルタリングで除外された。嚢胞が、多くの場合、焦点面間の距離よりも大きかったので、このような嚢胞を2回以上計数することは避けられた。1つの画像内の嚢胞対象物が、隣接する画像の同じx座標及びy座標内(例えば、z軸上の1つの焦点面)にある場合、同じ嚢胞として、これを計数した。各ウェルの全ての画像を、z軸上でこのように逐次的に処理した。最終的に、各嚢胞が球体であると仮定して、最大の対象物の平均半径に、4/3πr3を乗じることにより、各嚢胞の体積を推定した。
結果を表3に示す。各抗miR−17処置群または対照オリゴヌクレオチド処置群の平均値を、モック処置群の平均値に正規化する。標準誤差を示す。ペアワイズ比較のためのStudentのt検定または分散分析(ANOVA)、続いて、複数比較のためのTukeyの事後検定を使用して、統計分析を実施した。P値は、次の通りである:*はP<0.05を示し、**はP<0.01を示し、***はP<0.005を示し、****はP<0.001を示す。抗miR−17処置の場合、P値は、モック処置と比較して有意性を示す。対照オリゴヌクレオチド処置の場合、2つの異なるP値を示し、一方は、モック処置と比較して有意性を示し(表3のP値1)、他方は、30nMの抗miR−17での処置と比較して有意性を示す(表3のP値1)。
抗miR−17を用いる処置は、モックトランスフェクション処置と比較して、嚢胞数おいて用量依存的な低減を生じた。抗miR−17を用いる処理とは異なり、対照オリゴヌクレオチド処置の大部分は一貫して、嚢胞数を統計的に有意な量で低減させなかった。
一例として、30nMの抗miR−17を含むドナー3由来の嚢胞上皮培養物の処置は、モックトランスフェクションと比較して、細胞増殖を63%低減させた(P<0.0001)が、対照オリゴヌクレオチドを用いる処置は一貫して、嚢胞数を統計的に有意な量で低減させなかった。さらに、同じドナー由来の嚢胞数の場合、30nMの抗miR−17での処置の、3つの対照処置のそれぞれとの比較は、抗miR−17処置による細胞増殖における統計的に有意な低減も明らかにする(P<0.0001)。
これらのデータは、抗miR−17を用いる処置が、ヒトADPKD患者由来の嚢胞の増殖を阻害することを実証している。
実施例5:PKDのPcyモデルにおける抗miR−17
Nphp3の変異を持つPcyマウスは自然に、Pkhd1/cre;Pkd2F/Fマウスで観察されたものよりも疾患の進行が遅い多発性嚢胞腎を発生する。PCYモデルは、ヒトPKDのモデル、ならびに髄質性嚢胞腎/髄質嚢胞腎(NPH/MCD)複合体のモデルとして使用される。Pcyマウスモデルにおいて、miR−17と相補的な修飾オリゴヌクレオチド(抗miR−17化合物)を試験した。野生型マウスを、対照マウスとして使用した。miR−17とは無関係のmiRNAと相補的なオリゴヌクレオチドを、特異性に対する処置対照(抗miR対照)として使用した。抗miR−17化合物は、DNA、2′−MOE、及びS−cEt糖部分を有する、19連結ヌクレオシド(5′−CTGCACTGTAAGCACTTTG−3′;配列番号15)長の完全にホスホロチオエート化されたオリゴヌクレオチドであった。
Pcyマウス(CD1−pcylusm)を、PreClinOmicから入手した。4週齢から、Pcyマウスを、抗miR−17(皮下注射により50mg/kg)またはPBSで週に1回、合計26用量処置した。抗miR−17群は、12匹のマウスを含有し、PBS対照群は、11匹のマウスを含有した。
さらなる対照群は、Charles River Laboratoriesから入手した年齢が一致したCD1マウスを含んでいた。CD1マウスに、週に1回、合計26週間、PBSを皮下注射した。
26週間の処置期間の終了時に、マウスを死亡させ、1つの腎臓を抽出及び計量し、もう1つの腎臓を、組織学的分析のために処理した。血中尿素窒素(BUN)及び血清クレアチニンを測定した。
組織学的分析のために、1つの腎臓を、冷PBS及び4%(重量/体積)のパラホルムアルデヒドで灌流し、次に、採取した。腎臓を、4%のパラホルムアルデヒドで2時間固定し、次に、切片化のためにパラフィンに包埋した。腎臓の矢状切片を、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。全ての画像処理ステップを、自動化し、自由に利用できるオープンソースソフトウェア:画像処理ツールのEBImage Bioconductorパッケージ2及びImageMagick3セットの関数を使用したR1スクリプトで行った。Aperio SVSフォーマットの腎臓のH&E画像を、TIFF画像に変換し、最初のフレームを、画像解析のために保持した。最初に、画像セグメンテーションを使用して、総腎断面積を計算した。画像セグメンテーションを同様に使用して、腎臓嚢胞を含む全ての内部構造を見出した。フィルターを適用して、平均半径が3ピクセル未満の全ての対象物を除去した。嚢胞指数は、総腎面積で除した嚢胞に関連する画像面積である。個々の動物に対し縦方向及び横方向の腎臓切片について、嚢胞指数を別々に計算した。個々の動物の、組み合わせた嚢胞指数を、各処置群について比較した。
PBSで処置したCD1マウスの結果を使用して、非疾患モデルの各パラメーター(腎重量/体重比、嚢胞指数、血中尿素窒素、及び血清クレアチニン)に対するベンチマークを得た。予想通り、処置したCD1マウスは、PKDに関連する病状を示さなかった。
抗miR−17で処置したPcyマウスの腎重量対体重の平均比は、PBSのみを投与したPcyマウスの腎重量対体重の平均比よりも19%低かった(p=0.0003)(図2A)。抗miR−17で処置したPcyマウスは、PBSのみを投与したPcyマウスと比較して、嚢胞指標において平均28%の低減を示した(p=0.008)(図2B)。BUNまたは血清クレアチニンに有意な変化は、観察されなかった。Dunnettの多重比較補正後の一元ANOVA分析のP値を示す。
これらのデータは、PKDのさらなるモデルにおいて、抗miR−17を用いる処置が腎重量及び嚢胞指数の低減をもたらすことを実証する。