JP6928968B2 - 医療生体液切替コック及びそれを用いたシステム - Google Patents
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Description
用手吸引に対して、自動で連続的に吸引可能な連続吸引システムがある。例えば特許文献1、特許文献2が知られている。これらの技術は、痰の吸引するタイミングをセンサー等で検知したり、間欠的に所定のタイミングに自動で痰を吸引したりすること等で、用手吸引法の負担を軽減している。
また、人工呼吸器使用の患者にとって、痰とは別に唾液の吸引も重要な処置であり、痰同様に大きな負担となっている。唾液の吸引は、特に口腔ケアとして人工呼吸器関連肺炎の発症予防として、平均1日3回の処置が、痰吸引とは別に行われている。
唾液と痰とを吸引する際、夫々の吸引ラインを負圧源に差し替えているが、差し替え作業の時に生体液等による感染の恐れがあり、その防止として使い捨て手袋による作業がある。
また、痰の吸引は患者の状態によって変化し、一定時間ごとの吸引処置では対応できない場合がある。つまり、口腔ケア(唾液吸引)を行う時間は患者によって決まっているが、口腔ケアのタイミングと痰吸引操作が同一時間帯にならざるを得ない場合も発生する。通常、そのような場合には生命維持を優先するため、痰吸引を先に行い、処置終了後に口腔ケアに移ることが多い。いずれも煩雑な操作ゆえ用手法で同時に行うことはできないという課題があった。
また、前述の様に、挿管チューブへ痰、又は唾液の吸引の際に、夫々のラインを吸引ラインへ接続する作業時の生体液接触による感染の恐れがあった。
そこで、痰と同時に唾液を吸引するケースや、主に痰を吸引するケース、主に唾液を吸引するケースとを、全てひとつのシステムで容易に、かつ安全(衛生的)に切替可能で安価なシステム、方法が求められていた。
つまり、請求項1に係る医療生体液切替コックは、二つの入力端から一つの出力端への異種の生体液の流れ状態を切り替える医療生体液切替コックであって、切替パターンは3パターン有り、第1のパターンは、前記二つの入力端の何れもから前記出力端へ少量流れる状態となり、第2のパターンは、前記二つの入力端のうち一端から前記出力端へ主に流れる状態となり、第3のパターンは、前記二つの入力端のうち他端から前記出力端へ主に流れる状態となり、それら切替パターンを切り替える切替レバーを備えており、前記生体液は前記二つの入力端から前記一つの出力端へ連続的に吸引され、前記第2のパターンにおける前記二つの入力端のうちの前記一端の流量は、前記第1のパターンにおける当該一端の流量よりも多量であり、前記第2のパターンにおける前記二つの入力端のうちの他端の流量は、前記第1のパターンにおける当該他端の流量と同等である又は零であり、前記第3のパターンにおける前記二つの入力端のうちの前記他端の流量は、前記第1のパターンにおける当該他端の流量よりも多量であり、前記第3のパターンにおける前記二つの入力端のうちの一端の流量は、前記第1のパターンにおける当該一端の流量と同等である又は零であることを特徴とする。
自動的な連続吸引は、例えば呼気を流れセンサで検知することにより痰吸引のタイミングを呼気発生時に行うことができ、痰が挿管チューブ先端に届くタイミングに合わせて吸引することができる。しかし、この方法に限る必要はない。
更に、従来の個別のライン差し替え作業が発生しない為、作業時の感染の恐れがなくなった。
本願発明の医療生体液切替コックについて、図に基づいて説明する。医療生体液切替コックの入力端子は、一端と他端との2入力であるが、出力端は、一端だけの1出力の場合と、第1の出力端、第2の出力端とを有する2出力の場合がある。
1出力の場合の医療生体液切替コック10を図1(a)図1(b)に示す。図1(a)は全体斜視図で、入力端1、入力端2、出力端3、切替レバー4を示している。図1(b)は切替レバー4を抜いた状態の図である。切替レバー4には、切欠け部5を有している。切替コック本体は、開口部6に切欠け部5が挿入され、開口部において、入力端から出力端への生体液の流れ状態が切欠け部の形状で流路の隙間(空隙部)の広い/狭い(流路抵抗)を変えることができる。つまり、切替レバー4の操作によって、生体液の流量が制御できる。
1出力の場合、例えば、入力端1と入力端2とが挿管チューブの痰吸引ラインと唾液吸引ラインに接続され、出力端3が負圧源からの圧力によって連続的に吸引され、吸引物を収容する収容箱等に接続されている。尚、唾液吸引ラインは、挿管チューブの吸引箇所からカフ上部吸引ラインと言う場合もある。その接続状態を図9(後述)に示す。
医療生体液切替コックは切替パターンとして入力端から出力端への流れのパターンが3パターンある。図1(b)の切替レバー4の位置を変えることで、3つの切替パターンを自由に変更できる。夫々のパターンについて、以下に説明する。尚、切替レバーの切替は、介護士等の人手による操作で説明するが、切替タイミングをタイマーやセンサー等で自動センシングした後、自動で切替えることを排除していない。
第1のパターンは、挿管チューブからの痰吸引ラインと唾液吸引ラインとが、入力端に接続して出力端に痰と唾液とが吸引される。この時の切替レバー4は、フラットで水平な位置になっている。切替コックの内部の開口部6の中の切欠け部5の形状を図3に示す。図9の様に、入力端1に痰吸引ライン8、入力端2に唾液吸引ライン9が接続され、出力端3は、負圧力源である例えば真空ポンプに接続されているが、途中で痰、唾液の収納箱や、各種のセンサー等が接続されている。
そして、図3に示す様に切欠け部5は、入力端1、入力端2の何れからも出力端3への流路に対して、僅かの空隙部を生じている。第1のパターンにおいて、切欠け部5の僅かな空隙部が重要な意味を有している。つまり、入力端1に接続されている痰吸引ラインと、入力端2に接続されている唾液吸引ラインから、夫々、痰と唾液とがゆっくり少量だけ出力端から収納箱へ連続で吸引されていくことになる。
第1のパターン、第3のパターンで痰吸引を少量、徐々に吸引することにより、用手法の手作業による間欠吸引と同じ効果を奏している。このことにより、介護者等による痰吸引作業の大きな手間から解放できる。
第2のパターンは、第1のパターンと同様に挿管チューブからの痰吸引ライン8と唾液吸引ライン9とが、入力端1、入力端2に接続している。この時の切替コックの様子を図4に示す。切替レバーの位置は、図4の様に回転している。その結果、切欠け部の形状は図4の様に変わる。
入力端1側の流路の空隙部の隙間が広く、入力端2側の流路の空隙部の隙間は狭いままである。その結果、入力端1に接続されている痰吸引ラインからの痰が主に流れ、入力端2に接続されている唾液吸引ラインからの唾液は、痰に比べて相対的に流れない。この時、唾液の流量は、第1パターンと同程度、又は流れない場合もある。切欠け部5の形状によって、どちらにも可能である。いずれにしても入力端1側の空隙部が相対的に広いことが重要である。その為に、主に痰の吸引が必要な場合、切替レバーを第2パターンに設定すれば、設定の間、痰が連続的に自動吸引される。
第3のパターンも第1のパターンと同様に挿管チューブからの痰吸引ライン8と唾液吸引ライン9とが、入力端1、入力端2に接続している。この時の切替コックの様子を図5に示す。切替レバーの位置は、図5の様に回転している。その結果、切欠け部の形状は図5の様に変わる。
入力端1側の流路の空隙部の隙間が狭く、入力端2側の流路の空隙部の隙間が広くなっている。その結果、入力端2に接続されている唾液吸引ラインからの唾液が主に流れ、入力端1に接続されている痰吸引ラインからの痰は、唾液に比べて相対的に流れない。この時、痰の流量は、第1パターンと同程度、又は流れない場合もある。切欠け部5の形状によって、どちらにも可能である。いずれにしても入力端2側の空隙部が相対的に広いことが重要である。その為に、主に唾液の吸引が必要な場合、切替レバーを第3パターンに設定すれば、設定の間、唾液が連続的に自動吸引される。
図3〜図5の切替コック内の実線矢印は、痰、唾液の流路を示し、実線矢印が2つの場合、相対的に流量が多いことを示している。何れのパターンでも痰と唾液の両方が同時に常時吸引されていることがわかる。その結果、介護者等の痰、唾液吸引作業、通常監視作業が極めて容易になる。
次に、出力端が2つの場合の医療生体液切替コック10aの全体斜視図を図2(a)図2(b)に示す。図1と同様に入力端1、入力端2、出力端3a、出力端3b、切替レバー4、切欠け部5、開口部6を有している。切替レバー4には、切欠け部5を有している。切替コック本体は、開口部6に切欠け部5が挿入され、開口部において、入力端から出力端への生体液の流れ状態が切欠けの形状で流路の隙間(空隙部)の広い/狭いを変えることが可能となる。つまり、切替レバー4の操作によって、生体液の流量、流路が制御できる。
2出力の場合、1出力と比較して出力モードが異なる。1出力の場合、出力端3は、連続的に吸引されているが、2出力の場合、出力端3a(第1の出力端)は間欠的に出力し、出力端3b(第2の出力端)は連続的に出力する。
2出力の場合、間欠吸引と連続吸引との両方の吸引モードが有るので、間欠手段を備える専用の吸引装置の使用が好ましい。
そして、1出力の場合と同様に、切替パターンは、3パターンある。夫々のパターンについて、以下に説明する。
第1のパターンは、図6の様に切替レバーの位置はフラットな位置で、切欠け部の形状による空隙部は、入力端1側の流路が広く、入力端2側の流路は狭い。入力端2側の流路は狭いが、流れないことはなく少量流れ吸引される。入力端1からの流路は、出力端3aへと流れ、出力端3aは間欠吸引されている。間欠吸引は、上述の間欠手段によって間欠吸引されるが、空隙部による流路抵抗が少ないので、スムーズに間欠吸引が可能である。入力端2からの流路は、出力端3bへと流れ、出力端3bは連続吸引されている。
通常、第1のパターンのまま維持する。
第2のパターンは、図7の様に切替レバーの位置は回転している。切欠け部の形状は、図7に示す様に入力端1側からの流路に広い空隙部が出力端3bまで形成されている。入力端2側からの流路は狭い空隙部が形成されている。
その結果、入力端1に痰吸引ライン8が接続し、入力端2に唾液吸引ライン9が接続している場合、出力端3aは間欠吸引で出力端3bは連続吸引なので、入力端1からの痰は、切欠け部の形状により空隙部の広い流路を流れ、出力端3aの間欠吸引とならず、出力端3bの連続吸引されることになる。入力端2からの唾液は出力端3bから少量吸引される。
以上の様に、第2のパターンは、通常(第1のパターン)は、痰吸引は間欠吸引であるが、痰が多量に体内貯留している時に、間欠吸引から連続吸引へ切欠け部の形状による流路の変更で、多量の痰を吸引することができる。
第3のパターンは、図8の様に切替レバーの位置は回転している。切欠け部の形状は、図8に示す様に入力端1側からの流路に広い空隙部が出力端3aまで形成されている。入力端2側からの流路も広い空隙部が出力端3bまで形成されている。
入力端1からの痰除去は間欠吸引され、入力端2からの唾液除去は、空隙部が広く抵抗がないので出力端3bから連続吸引で大量に吸引される。
この様に、本願発明の医療生体液切替コックでは、切替レバーの操作によって、切欠け部の空隙部による流路抵抗を変えることによって、第1のパターンでは、痰吸引を間欠手段により間欠吸引させ、他方、唾液も少量吸引させている。第2のパターンでは、主に痰吸引を連続吸引させ、他方、唾液も少量吸引させている。第3のパターンでは、主に唾液吸引を連続吸引させ、他方、痰吸引は間欠手段により間欠吸引させている。
図6〜図8の切替コック内の実線矢印は連続吸引、破線矢印は間欠吸引を表し、痰、唾液の流路を示し、矢印が2つの場合、相対的に流量が多いことを示している。何れのパターンでも、痰と唾液が同時に常時吸引されていることがわかる。
以上の様に、第1、第2、第3のパターンを、一つの切替コックで実施することによって、容易に効率良く痰吸引と唾液吸引が可能となる。
(第1実施例)
ここで、本願発明の医療生体液切替コックを挿管チューブに接続した例を説明する。接続した状態の図を図9に示す。挿管チューブ7に付属している痰吸引ライン(挿管チューブ先端吸引ライン)8、唾液吸引ライン(カフ上部吸引ライン)9が、切替コック10の入力端1、2に接続されている。
更に、実際に患者に用いている図を図10に示す。Yピース11は、人工呼吸器に接続されるが、省略している。ここでは、切替コックの出力は1つの場合であるが、基本的に、出力が2つでも同様である。
ここでは、挿管チューブへの切替コックの接続を説明したが、同様な効果は、気管切開チューブ、又は気管チューブにも適応可能である。従って、挿管チューブの解釈として、気管切開チューブ、気管チューブを含む。
唾液除去のタイミング(S30)も、痰除去と同様に、S31、S32、S33からS10に戻る。痰、唾液の除去の終わりは、人工呼吸の呼吸管理からの離脱(S12)で終了する。
この様に、一つの切替コック、一つのシステムにより、連続的に痰と唾液の除去が可能となる。従来に比べて感染防止、短時間操作、作業の簡略化が可能となる。
第1実施例の挿管チューブを用いた痰唾液吸引装置の使用例を図11に示す。挿管チューブは、患者の体内に挿入されており、図10のYピース11と、出力ライン12の接続先のシステム全体図が図11となっている。切替コック10の出力端の出力ライン12は、システムの生体液吸収装置13に接続されている。生体液吸収装置13は、痰や唾液の収納する収納容器(収納箱)や負圧源である真空ポンプ、センサー等を内蔵している。しかし、負圧源は院内のインフラ設備の真空口に接続されていても構わない。Yピース11は、人工呼吸器14に接続され、呼気と吸気とが制御されている。
この痰唾液吸引装置によれば、粘度の高い痰も吸引除去できるのが特徴であり、用手法の効果を容易に奏することが出来る。
本願発明の切替コックは、挿管チューブ以外に、図12に示す例がある。図12は横隔膜上部から胸腔漏出液と、横隔膜下部から腹腔漏出液との異種の生体液の吸引に用いられている図である。胸腔漏出液吸引ライン15と腹腔漏出液吸引ライン16とが、切替コック10に接続されている。ここでは、2入力1出力の医療生体液切替コックであるが、2入力2出力でも構わない。
切替コック10の出力端からの出力ラインは、図示していないが図11と同様に生体液吸収装置に接続され、システムとして生体液吸引装置を構成する。また、吸引される生体液の種類に応じて、図11の人工呼吸器のような関連装置は、異なってくる。
尚、本願発明の医療生体液切替コックは、医療器具としてクラスIに該当する。
3、3a、3b 出力端
4 切替レバー
5 切欠け部の
6 開口部
7 挿管チューブ
8 痰吸引ライン
9 唾液吸引ライン(カフ上部吸引ライン)
10、10a 切替コック
11 Yピース
12 切替コック出力ライン
13 生体液吸収装置
14 人工呼吸器
15 胸腔漏出液吸引ライン
16 腹腔漏出液吸収ライン
Claims (3)
- 二つの入力端から一つの出力端への異種の生体液の流れ状態を切り替える医療生体液切替コックであって、切替パターンは3パターン有り、第1のパターンは、前記二つの入力端の何れもから前記出力端へ少量流れる状態となり、第2のパターンは、前記二つの入力端のうち一端から前記出力端へ主に流れる状態となり、第3のパターンは、前記二つの入力端のうち他端から前記出力端へ主に流れる状態となり、それら切替パターンを切り替える切替レバーを備えており、前記生体液は前記二つの入力端から前記一つの出力端へ連続的に吸引され、前記第2のパターンにおける前記二つの入力端のうちの前記一端の流量は、前記第1のパターンにおける当該一端の流量よりも多量であり、前記第2のパターンにおける前記二つの入力端のうちの他端の流量は、前記第1のパターンにおける当該他端の流量と同等である又は零であり、前記第3のパターンにおける前記二つの入力端のうちの前記他端の流量は、前記第1のパターンにおける当該他端の流量よりも多量であり、前記第3のパターンにおける前記二つの入力端のうちの一端の流量は、前記第1のパターンにおける当該一端の流量と同等である又は零であることを特徴とする医療生体液切替コック。
- 二つの入力端から二つの出力端への異種の生体液の流れ状態を切り替える医療生体液切替コックであって、切替パターンは3パターン有り、第1のパターンは、前記二つの入力端の何れもから前記出力端へ流れる状態となり、第2のパターンは、前記二つの入力端のうち一端から前記出力端へ主に流れる状態となり、第3のパターンは、前記二つの入力端のうち他端から前記出力端へ主に流れ、それら切替パターンを切り替える切替レバーを備え、前記入力端から前記出力端への流路の開口部において、前記切替レバーが備える切欠け部の形状によって生じる空隙部の広狭で生体液の流量又は流路を調整することを特徴とする医療生体液切替コック。
- 請求項1又は請求項2に記載の医療生体液切替コックと、当該医療生体液切替コックの前記入力端に接続された挿管チューブと、前記医療生体液切替コックの前記出力端に一端が接続された出力ラインと、当該出力ラインの他端側が接続された生体液吸引装置と、を備えたシステムであって、前記医療生体液切替コックの前記二つの入力端の一端は、前記挿管チューブを介して患者の体内からの痰を主体とした生体液を吸引可能であり、他端は、前記挿管チューブを介して前記患者の体内からの唾液を主体とした生体液を吸引可能であることを特徴とするシステム。
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