本明細書では、実施形態が図面に基づいて説明されている。なお、図面は、各実施形態について、共通する箇所には共通の符号が付されており、本明細書では、重複する説明が省略されている。また、一の実施形態で記述されていることは、適宜、他の実施形態についても適用することができる。
<第一実施形態>
(電動機制御装置10の概略構成)
図1に示すように、本実施形態の電力変換システムは、電動機制御装置10と、電源20と、平滑コンデンサ30とを備える。また、電動機制御装置10は、電力変換器40と、制御装置60とを備える。なお、電力変換器40には、電動機50が電気的に接続されている。
電源20は、直流電力を出力する。電源20は、直流電力を出力することができれば良く、限定されない。電源20は、例えば、鉛蓄電池(バッテリ)、リチウムイオン電池、発電装置(例えば、燃料電池)などを用いることができる。また、電源20は、公知の交流発電機などを用いて、直流電力を生成することもできる。この場合、電源20は、公知の整流回路および平滑回路などを用いて、交流発電機が出力する交流電力を整流し平滑して、直流電力を生成することができる。
また、電源20は、例えば、公知の昇圧コンバータなどを用いて、低電圧の直流電力を昇圧することもできる。この場合、電源20は、例えば、公知の昇圧型チョッパコンバータなどの非絶縁型の昇圧コンバータを用いることができる。また、電源20は、例えば、公知のフライバック型コンバータ、フォワード型コンバータなどの絶縁型の昇圧コンバータを用いることもできる。
平滑コンデンサ30は、電源20から出力される直流電力を平滑する。電源20の正極側20pは、平滑コンデンサ30の正極側30pと接続されている。電源20の負極側20nは、平滑コンデンサ30の負極側30nと接続されており、パワーグランド(電源20を含む高電圧側の回路の基準電位)と接続されている。平滑コンデンサ30は、例えば、電解コンデンサを用いることができる。電源20から供給される直流電力は、平滑コンデンサ30によって平滑されてリップルが低減される。
電力変換器40は、複数(本実施形態では、六つ)のスイッチング素子が開閉制御されることにより直流電力を交流電力に変換して、固定子51と可動子52とを備える電動機50に対して変換された交流電力を出力する。本実施形態では、直流電力は、電源20から出力され、平滑コンデンサ30によって平滑された直流電力をいう。図1に示すように、複数(六つ)のスイッチング素子は、複数(三つ)の一対のスイッチング素子41がフルブリッジ接続されて構成されている。複数(三つ)の一対のスイッチング素子41の各々は、電源20の正極側20pに接続されている正極側スイッチング素子4xpと、電源20の負極側20nに接続されている負極側スイッチング素子4xnとが直列接続されている。正極側スイッチング素子4xpと負極側スイッチング素子4xnとの接続部位を接続部42xとする。なお、本実施形態の電力変換器40は、三相の電力変換器であり、xは、u、v、wのうちのいずれかである。例えば、正極側スイッチング素子4upは、U相の正極側スイッチング素子を示しており、負極側スイッチング素子4unは、U相の負極側スイッチング素子を示している。また、接続部42uは、U相の接続部を示している。
正極側スイッチング素子4xpおよび負極側スイッチング素子4xnは、公知の電力用スイッチング素子を用いることができる。正極側スイッチング素子4xpおよび負極側スイッチング素子4xnは、例えば、公知の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)などを用いることができる。
図1に示すように、複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpの各々は、制御端子4gと、入力端子4dと、出力端子4sと、還流ダイオード4rとを備えている。例えば、電界効果トランジスタ(FET)では、制御端子4gは、ゲート端子に相当し、入力端子4dは、ドレイン端子に相当し、出力端子4sは、ソース端子に相当する。絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)では、制御端子4gは、ゲート端子に相当し、入力端子4dは、コレクタ端子に相当し、出力端子4sは、エミッタ端子に相当する。制御端子4gは、駆動回路62を介して、制御装置60と接続されている。複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpの各々は、制御装置60から出力される駆動信号に基づいて開閉制御される。
制御端子4gと出力端子4sとの間の電圧を制御電圧とする。例えば、制御電圧がローレベル(所定電圧値以下の状態)のときには、入力端子4dと出力端子4sとの間が電気的に遮断された開状態に制御される。一方、制御電圧がハイレベル(所定電圧値を超えている状態)のときには、入力端子4dと出力端子4sとの間が電気的に導通された閉状態に制御される。
還流ダイオード4rは、例えば、正極側スイッチング素子4xpのボディダイオード(寄生ダイオード)を用いることができる。また、ボディダイオードの代わりに、還流ダイオードを別途設けて、入力端子4dと出力端子4sとの間に並列接続することもできる。還流ダイオード4rは、正極側スイッチング素子4xpが開状態のときに、出力端子4s側から入力端子4d側に向かう電流経路を形成する。これにより、正極側スイッチング素子4xpの開閉に伴って生じる逆電流から正極側スイッチング素子4xpを保護することができる。
複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpについて上述したことは、複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xnについても同様に言える。制御装置60は、電力変換器40の複数(三つ)の一対のスイッチング素子41を構成する複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpおよび複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xnを開閉制御する。
例えば、電力変換器40は、制御装置60の指令に基づいて、複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpのうちの一の正極側スイッチング素子4xpと、複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xnのうちの一の負極側スイッチング素子4xnとが閉状態に制御され、他のスイッチング素子が開状態に制御される。閉状態に制御される一の正極側スイッチング素子4xpおよび一の負極側スイッチング素子4xnの相(U相、V相、W相)は、異なる。制御装置60が閉状態に制御するスイッチング素子の組み合わせを順に変更することにより、電力変換器40は、電源20から出力される直流電力を交流電力に変換することができる。
図1に示すように、X相の一対のスイッチング素子41の接続部42xと、X相の固定子巻線51c(X相コイル51x)との間は、X相電力ライン44xによって接続されている。既述したように、xは、u、v、wのうちのいずれかであり、Xは、U、V、Wのうちのいずれかである。例えば、U相電力ライン44uは、U相の一対のスイッチング素子41の接続部42uと、U相の固定子巻線51c(U相コイル51u)との間を接続している。X相電力ライン44xは、公知の電力線を用いることができる。電力変換器40は、接続部42xおよびX相電力ライン44xを介して、電動機50に対して、変換された交流電力を出力する。
電動機50は、固定子51と可動子52とを備えている。本実施形態の電動機50は、固定子51および可動子52が同軸に配設されるラジアル空隙型の円筒状電動機である。なお、電動機50は、アキシャル空隙型の円筒状電動機であっても良い。また、電動機50は、固定子51および可動子52が直線上に配設され、可動子52が固定子51に対して直線上に移動するリニア型電動機であっても良い。さらに、電動機50は、可動子52が、固定子51の内方に設けられるインナー型の電動機であっても良く、可動子52が、固定子51の外方に設けられるアウター型の電動機であっても良い。
固定子51は、複数のスロットが形成されている固定子鉄心(図示略)と、固定子巻線51c(U相コイル51u、V相コイル51vおよびW相コイル51w)とを備えている。固定子鉄心は、薄板状の電磁鋼板(例えば、ケイ素鋼板)が軸線方向に複数積層されて形成されている。複数のスロットには、固定子巻線51cが巻装されている。固定子巻線51cは、銅などの導体(コイル)が巻き回されて形成されており、導体表面がエナメルなどの絶縁層で被覆されている。固定子巻線51cの断面形状は、限定されるものではなく、任意の断面形状とすることができる。例えば、固定子巻線51cは、断面円形状の丸線、断面多角形状の角線などの種々の断面形状の導体(コイル)を用いることができる。また、固定子巻線51cは、複数のより細いコイル素線を組み合わせた並列細線を用いることもできる。並列細線を用いる場合、単線の場合と比べて固定子巻線51cに発生する渦電流損が低減され、電動機50の効率が向上する。また、コイル成形に要する力を低減することができるので、コイルの成形性が向上してコイル製作が容易になる。
固定子巻線51cは、分布巻(例えば、同心巻、波巻、重ね巻)または集中巻などの公知の方法で巻装することができる。また、図1に示すように、固定子巻線51c(U相コイル51u、V相コイル51vおよびW相コイル51w)は、Y結線で接続することができる。同図では、中性点を中性点51nで示している。なお、X相の固定子巻線51c(X相コイル51x)と接続される相端子をX相端子43xで示している。xは、u、v、wのうちのいずれかであり、Xは、U、V、Wのうちのいずれかである。例えば、U相端子43uは、U相の固定子巻線51c(U相コイル51u)と接続される。また、固定子巻線51c(U相コイル51u、V相コイル51vおよびW相コイル51w)は、Δ結線で接続することもできる。
図2に示すように、可動子52は、可動子鉄心52aと、複数(本実施形態では、八つ)の永久磁石52bと、シャフト52cとを備えている。同図は、可動子52の軸線方向(同図の紙面垂直方向)視の模式図であり、これらの配置を模式的に示している。可動子鉄心52aは、薄板状の電磁鋼板(例えば、ケイ素鋼板)が軸線方向に複数積層されて円柱状に形成されている。可動子鉄心52aには、シャフト52cが設けられており、シャフト52cは、可動子鉄心52aの軸心を軸線方向に沿って貫通している。シャフト52cの軸線方向両端部は、ベアリングなどの軸受部材(図示略)によって、回転可能に支持されている。
可動子鉄心52aには、複数(八つ)の永久磁石52bが埋設されている。具体的には、可動子鉄心52aには、周方向に等間隔で、複数の磁石収容部が設けられている。複数の磁石収容部には、所定磁極対分(本実施形態では四磁極対分であり、八つ)の永久磁石52bが埋設されている。複数(八つ)の永久磁石52bは、例えば、公知のフェライト系磁石や希土類系磁石を用いることができる。複数(八つ)の永久磁石52bの製法は、限定されない。複数(八つ)の永久磁石52bは、例えば、樹脂ボンド磁石や焼結磁石を用いることができる。樹脂ボンド磁石は、例えば、フェライト系の原料磁石粉末と樹脂などを混合して、射出成形などによって可動子鉄心52aに鋳込み形成することができる。焼結磁石は、例えば、希土類系の原料磁石粉末を磁界中で加圧成形して、高温で焼き固めて形成することができる。なお、複数(八つ)の永久磁石52bの各々の配置は、限定されるものではなく、例えば、軸線方向視において、V字状に配置することもできる。また、固定子51のスロット数および可動子52の磁極数は、限定されない。さらに、可動子52は、可動子鉄心52aの表面(外周表面)に複数(八つ)の永久磁石52bを設ける表面磁石形とすることもできる。
制御装置60は、電力変換器40を含む電力変換システムを制御する。また、制御装置60は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御によって、電力変換器40の複数(三つ)の一対のスイッチング素子41を構成する複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpおよび複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xnを開閉制御する。図3に示すように、制御装置60は、公知の中央演算装置60aと、記憶装置60bと、入出力インターフェース60cとを備えており、これらは、バス60dを介して接続されている。
中央演算装置60aは、CPU:Central Processing Unitであり、種々の演算処理を行うことができる。記憶装置60bは、第一記憶装置60b1および第二記憶装置60b2を備えている。第一記憶装置60b1は、読み出しおよび書き込み可能な揮発性の記憶装置(RAM:Random Access Memory)であり、第二記憶装置60b2は、読み出し専用の不揮発性の記憶装置(ROM:Read Only Memory)である。
また、図1に示すように、制御装置60は、直流電圧検出器61と、駆動回路62と、第一基準位置検出器81と、第二基準位置検出器82と、入力電圧減衰回路84と、クランプ回路85とを備えている。直流電圧検出器61は、電力変換器40に入力される直流電力(平滑コンデンサ30によって平滑された直流電力)の直流電圧Vdcを検出する。具体的には、直流電圧検出器61は、例えば、抵抗値が既知の複数の抵抗器によって当該直流電圧を分圧して、分圧された直流電圧を制御装置60に出力する。制御装置60は、公知のA/D変換器(図示略)などによって分圧された直流電圧を知得し、電力変換器40に入力される直流電力(平滑コンデンサ30によって平滑された直流電力)の直流電圧Vdcを知得することができる。駆動回路62は、制御装置60から出力される駆動信号を増幅する駆動回路であり、例えば、公知のドライバ回路を用いることができる。
第一基準位置検出器81および第二基準位置検出器82は、固定子51に対する可動子52の位置を推定する際の基準位置を検出する。入力電圧減衰回路84は、相電圧を入力電圧として許容される許容電圧に減衰させる。クランプ回路85は、相電圧が入力電圧として許容される許容電圧のときに相電圧を入力可能にし、相電圧が許容電圧を超えているときに相電圧を入力不可能にする。これらの詳細は、後述する。なお、制御装置60は、上述した検出器以外にも種々の検出器を設けることができる。例えば、制御装置60は、電力変換器40から出力される出力電流を検出する電流検出器を設けることができる。この場合、制御装置60は、出力電流の経時変化に基づいて、基準位置を検出することもできる。
図3に示す中央演算装置60aは、第二記憶装置60b2に記憶されている電力変換器40の制御プログラムを第一記憶装置60b1に読み出して、制御プログラムを実行する。また、上述した検出値などは、絶縁部(図示略)および入出力インターフェース60cを介して、制御装置60に入力される。中央演算装置60aは、入出力インターフェース60c、絶縁部(図示略)および図1に示す駆動回路62を介して、電力変換器40の各スイッチング素子に開閉信号を出力して、電力変換器40を開閉制御する。なお、絶縁部は、制御装置60を含む低電圧側の回路と、電源20を含む高電圧側の回路とを電気的に絶縁する。絶縁部は、例えば、公知のフォトカプラなどを用いることができる。
(センサレス制御)
制御装置60は、固定子51の非通電相の固定子巻線51cに生じる誘起電圧(U相の誘起電圧Vui、V相の誘起電圧VviおよびW相の誘起電圧Vwi)に基づいて、固定子51に対する可動子52の位置を推定する。そして、制御装置60は、推定された可動子52の推定位置に基づいて、電力変換器40の複数(三つ)の一対のスイッチング素子41を構成する複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpおよび複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xnを開閉制御する。
図1に示す複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpおよび複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xnの各々は、開状態または閉状態に制御される。これにより、各相の相端子(U相端子43u、V相端子43vおよびW相端子43w)の電圧は、三つの状態を採り得る。具体的には、U相の正極側スイッチング素子4upが閉状態に制御され、かつ、U相の負極側スイッチング素子4unが開状態に制御されるときに、U相端子43uは、電源20から出力された直流電圧Vdcに拘束される。また、U相の正極側スイッチング素子4upが開状態に制御され、かつ、U相の負極側スイッチング素子4unが閉状態に制御されるときに、U相端子43uは、ゼロ電圧に拘束される。さらに、U相の正極側スイッチング素子4upおよびU相の負極側スイッチング素子4unの両方が開状態に制御されるときに、U相端子43uは、ハイインピーダンス状態になる。
ハイインピーダンス状態のU相端子43uには、U相の誘起電圧Vuiが生じる。U相の誘起電圧Vuiは、通電相の固定子巻線51c(この場合、V相コイル51vおよびW相コイル51w)に、可動子磁極(可動子52の永久磁石52b)の磁束が鎖交することによって発生する。したがって、U相の誘起電圧Vuiは、通電相の固定子巻線51c(V相コイル51vおよびW相コイル51w)と可動子52との相対的な位置関係に基づいて変化し、固定子51に対する可動子52の位置を推定する際の指標になる。上述したことは、V相端子43vおよびW相端子43wの電圧についても同様に言え、V相端子43vおよびW相端子43wの電圧は、三つの状態を採り得る。
図4は、各相の相端子(U相端子43u、V相端子43vおよびW相端子43w)に発生する電圧の状態制御の一例を示している。同図に示すように、制御装置60は、期間T1〜期間T6に分けて、各相の相端子(U相端子43u、V相端子43vおよびW相端子43w)に発生する電圧の状態制御を行う。同図は、期間T1〜期間T6のそれぞれの期間における各相の相端子(U相端子43u、V相端子43vおよびW相端子43w)の電圧の状態を示している。具体的には、「Hi−Z」は、ハイインピーダンス状態を示し、「L」は、ゼロ電圧に拘束される状態を示し、「PWM」は、パルス幅変調(PWM)制御される状態を示している。
例えば、期間T1のU相の欄は、「Hi−Z」であり、U相の正極側スイッチング素子4upおよびU相の負極側スイッチング素子4unの両方が開状態に制御される。これにより、U相端子43uは、ハイインピーダンス状態になる。また、期間T1のV相の欄は、「L」であり、V相の正極側スイッチング素子4vpが開状態に制御され、かつ、V相の負極側スイッチング素子4vnが閉状態に制御される。これにより、V相端子43vは、ゼロ電圧に拘束される状態になる。
さらに、期間T1のW相の欄は、「PWM」であり、W相の正極側スイッチング素子4wpおよび負極側スイッチング素子4wnが所定のキャリア周波数およびデューティ比でパルス幅変調(PWM)制御される。これにより、W相端子43wは、直流電圧Vdcに拘束される状態と、ゼロ電圧に拘束される状態とが交互に繰り返される。期間T1は、U相の非通電期間であり、U相の誘起電圧Vuiが生じる。
次に、期間T2のU相の欄は、「PWM」であり、U相の正極側スイッチング素子4upおよび負極側スイッチング素子4unが所定のキャリア周波数およびデューティ比でパルス幅変調(PWM)制御される。これにより、U相端子43uは、直流電圧Vdcに拘束される状態と、ゼロ電圧に拘束される状態とが交互に繰り返される。また、期間T2のV相の欄は、「L」であり、V相の正極側スイッチング素子4vpが開状態に制御され、かつ、V相の負極側スイッチング素子4vnが閉状態に制御される。これにより、V相端子43vは、ゼロ電圧に拘束される状態になる。さらに、期間T2のW相の欄は、「Hi−Z」であり、W相の正極側スイッチング素子4wpおよびW相の負極側スイッチング素子4wnの両方が開状態に制御される。これにより、W相端子43wは、ハイインピーダンス状態になる。期間T2は、W相の非通電期間であり、W相の誘起電圧Vwiが生じる。
期間T3〜期間T6についても同様であり、各相の相端子(U相端子43u、V相端子43vおよびW相端子43w)の電圧の状態が、順に変更される。また、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui、V相の誘起電圧Vvi、W相の誘起電圧Vwi)が生じる相端子(U相端子43u、V相端子43v、W相端子43w)が、順に変更される。なお、期間T1〜期間T6の状態制御は、繰り返される。また、期間T1〜期間T6の各々の期間は、電気角60°に相当し、期間T1から始まり期間T6を経て再び期間T1の状態になるまでの期間は、電気角の一周期(360°)に相当する。
図5は、各相の相端子(U相端子43u、V相端子43vおよびW相端子43w)に発生する電圧波形の一例を示している。図4に示すように、各相の相端子(U相端子43u、V相端子43vおよびW相端子43w)の電圧が状態制御されると、図5に示す電圧波形が発生する。図5の横軸は共通であり、可動子52の位置を示している。また、期間T1〜期間T6は、図4に示す期間に対応している。波形L11は、U相端子43uに発生する電圧波形の一例を示している。同様に、波形L12は、V相端子43vに発生する電圧波形の一例を示している。波形L13は、W相端子43wに発生する電圧波形の一例を示している。
波形L11に示すように、期間T2および期間T3は、パルス幅変調(PWM)制御される通電期間であり、期間T5および期間T6は、ゼロ電圧に拘束される通電期間である。また、期間T1および期間T4は、非通電期間であり、期間T1における電圧が次第に増加する電圧波形および期間T4における電圧が次第に減少する電圧波形は、U相の誘起電圧Vuiを示している。波形L12および波形L13についても、通電期間(非通電期間)が異なる点を除いて、波形L11と同様に電圧波形が変化する。
タイミングPM1〜タイミングPM6は、順に、30°、90°、150°、210°、270°および330°の可動子52の位置(いずれも電気角)を示しており、基準位置に相当する。タイミングPM1は、期間T1において、U相端子43uに発生する電圧(U相の誘起電圧Vui)が、基準電圧(例えば、直流電圧Vdcの1/2の電圧)に到達するタイミングである。タイミングPM4は、期間T4において、U相端子43uに発生する電圧(U相の誘起電圧Vui)が、基準電圧に到達するタイミングである。
上述したことは、V相およびW相についても同様に言える。タイミングPM3は、期間T3におけるV相端子43vに発生する電圧(V相の誘起電圧Vvi)に関し、タイミングPM6は、期間T6におけるV相端子43vに発生する電圧(V相の誘起電圧Vvi)に関する。タイミングPM2は、期間T2におけるW相端子43wに発生する電圧(W相の誘起電圧Vwi)に関し、タイミングPM5は、期間T5におけるW相端子43wに発生する電圧(W相の誘起電圧Vwi)に関する。
制御装置60は、基準位置(タイミングPM1〜タイミングPM6)に基づいて、固定子51に対する可動子52の位置(例えば、電気角1°ピッチの可動子52の位置)を推定することができる。また、制御装置60は、基準位置(タイミングPM1〜タイミングPM6)の発生間隔から可動子52の速度(回転数)を推定することもできる。なお、各相の相端子(U相端子43u、V相端子43vおよびW相端子43w)には、複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpおよび複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xnの開閉に伴う逆起電力Zが発生する。逆起電力Zは、期間T1〜期間T6の各期間の境界において重畳される。図5では、逆起電力Zは、所定の時間幅をもって記載されているが、実際には瞬間的な波形である。制御装置60は、逆起電力Zに基づいて、通電期間(非通電期間)の始点および終点を知得することができる。
図6は、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)に高周波ノイズが重畳する要因を説明するための模式図である。同図は、図1に示す電源20、複数(三つ)の一対のスイッチング素子41を構成する複数(三つ)の正極側スイッチング素子4xpおよび複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xn、並びに、固定子51の固定子巻線51c(U相コイル51u、V相コイル51vおよびW相コイル51w)を抜き出した模式図である。同図では、正極側スイッチング素子4xpおよび負極側スイッチング素子4xnは、開閉状態がスイッチを用いて模式的に示されている。また、同図は、図4および図5の期間T1における各スイッチング素子の開閉状態の一例を示している。
期間T1では、U相の正極側スイッチング素子4upおよびU相の負極側スイッチング素子4unの両方が開状態に制御される。また、V相の正極側スイッチング素子4vpが開状態に制御され、かつ、V相の負極側スイッチング素子4vnが閉状態に制御される。さらに、W相の正極側スイッチング素子4wpおよび負極側スイッチング素子4wnがパルス幅変調(PWM)制御される。期間T1は、U相の非通電期間であり、U相の誘起電圧Vuiが生じる。
ここで、非通電相の複数(二つ)のスイッチング素子(一つの正極側スイッチング素子4xpおよび一つの負極側スイッチング素子4xn)と、非通電相の固定子巻線51cとを接続する電力ラインを非通電相電力ラインとする。期間T1では、非通電相は、U相であり、U相の一対のスイッチング素子41の接続部42uとU相の固定子巻線51c(U相コイル51u)とを接続するU相電力ライン44uが、非通電相電力ラインに相当する。また、同図では、非通電相電力ライン(U相電力ライン44u)と電源20の正極側20pとの間の寄生容量をU相正極側寄生容量4Cupで示している。同様に、非通電相電力ライン(U相電力ライン44u)と電源20の負極側20nとの間の寄生容量をU相負極側寄生容量4Cunで示している。
期間T1では、W相の正極側スイッチング素子4wpおよび負極側スイッチング素子4wnがパルス幅変調(PWM)制御される。その結果、W相端子43wは、直流電圧Vdcに拘束される状態と、ゼロ電圧に拘束される状態とが交互に繰り返される。この際、第一電流と第二電流とが共振(並列共振)する共振現象が生じる。第一電流は、U相コイル51u、U相正極側寄生容量4Cup、W相の正極側スイッチング素子4wp、W相コイル51wを順に通って、U相コイル51uに戻る電流をいう。第二電流は、U相コイル51u、U相負極側寄生容量4Cun、V相の負極側スイッチング素子4vn、V相コイル51vを順に通って、U相コイル51uに戻る電流をいう。第一電流と第二電流との共振(並列共振)は、U相の誘起電圧Vuiに高周波ノイズを重畳する。具体的には、W相の正極側スイッチング素子4wpがパルス幅変調(PWM)制御により開状態から閉状態に切り替えられると、U相の誘起電圧Vui(図5の期間T1における複数の矩形波のうちの一つの矩形波に相当)の立ち上がり時に、スパイクノイズが生じる。
U相端子43uに発生する電圧(U相の誘起電圧Vui)と、基準電圧(例えば、直流電圧Vdcの1/2の電圧)との大小比較により、可動子52の基準位置を検出しようとすると、U相の誘起電圧Vuiに重畳する高周波ノイズによって、基準位置を誤検出する可能性がある。具体的には、U相の誘起電圧Vuiに高周波ノイズが重畳し、U相の誘起電圧Vuiのピーク値が直流電圧Vdcの1/2の電圧を超えると、制御装置60は、図5に示す基準位置(タイミングPM1)を誤検出する可能性がある。よって、W相の正極側スイッチング素子4wpがパルス幅変調(PWM)制御により開状態から閉状態に切り替えられてから、U相の誘起電圧Vuiに重畳する高周波ノイズが収束するまでの所定期間が経過した後に、可動子52の基準位置の検出を開始する方法が考えられる。上述したことは、期間T4においても同様に言える。また、上述したことは、V相およびW相についても同様に言える。
しかしながら、上述した方法では、上述した所定期間よりも短いパルス幅を採用するパルス幅変調(PWM)制御が困難である。そのため、上述した所定期間がパルス幅変調(PWM)制御における最小のデューティ比になる。一般に、電動機50の負荷トルクが同じ場合、電動機50の駆動回転数が低下する程、パルス幅変調(PWM)制御におけるデューティ比は、小さく設定される。よって、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui、V相の誘起電圧VviおよびW相の誘起電圧Vwi)に重畳する高周波ノイズによりデューティ比が制限されると、電動機50の最低駆動回転数などが制約を受ける可能性がある。また、特許文献1に記載の発明のように、キャリア周波数を変更すると、キャリア周波数が可聴周波数帯域に設定される可能性がある。この場合、電力変換器40の駆動時に異音(騒音)が生じ、防音対策などが必要になる可能性がある。そこで、本明細書は、起動直後などの電動機50の駆動回転数が比較的低回転数において、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui、V相の誘起電圧VviおよびW相の誘起電圧Vwi)に重畳する高周波ノイズに起因する可動子52の位置推定精度の低下を抑制する新たな方法を開示する。
(高周波ノイズの影響が少ない制御状態)
通電相の一対のスイッチング素子41を構成し、パルス幅変調(PWM)制御される正極側スイッチング素子4xpを第一正極側スイッチング素子とする。例えば、図6に示す制御状態では、第一正極側スイッチング素子は、W相の正極側スイッチング素子4wpである。また、通電相の一対のスイッチング素子41を構成し、パルス幅変調(PWM)制御される負極側スイッチング素子4xnを第一負極側スイッチング素子とする。例えば、図6に示す制御状態では、第一負極側スイッチング素子は、W相の負極側スイッチング素子4wnである。
図7Aは、第一正極側スイッチング素子(W相の正極側スイッチング素子4wp)が閉状態に制御され、かつ、第一負極側スイッチング素子(W相の負極側スイッチング素子4wn)が開状態に制御される制御状態のときの誘起電圧(U相の誘起電圧Vui、V相の誘起電圧VviおよびW相の誘起電圧Vwi)を模式的に示している。図7Bは、第一正極側スイッチング素子(W相の正極側スイッチング素子4wp)が開状態に制御され、かつ、第一負極側スイッチング素子(W相の負極側スイッチング素子4wn)が閉状態に制御される制御状態のときの誘起電圧(U相の誘起電圧Vui、V相の誘起電圧VviおよびW相の誘起電圧Vwi)を模式的に示している。これらの図は、図6と同様に図示されているが、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui、V相の誘起電圧VviおよびW相の誘起電圧Vwi)が交流の電圧源で模擬されている点で異なる。また、これらの図では、U相正極側寄生容量4CupおよびU相負極側寄生容量4Cunの記載が省略されている。
なお、本実施形態の制御装置60は、図7Aに示す制御状態と図7Bに示す制御状態とを交互に繰り返す相補パルス幅変調制御(相補PWM制御)を行う。相補パルス幅変調制御(相補PWM制御)は、同期整流ともいう。また、これらの制御状態の移行時には、第一正極側スイッチング素子(W相の正極側スイッチング素子4wp)および第一負極側スイッチング素子(W相の負極側スイッチング素子4wn)の両方が開状態に制御されるデッドタイムが設けられている。これにより、これらのスイッチング素子間の短絡が防止されている。
図8は、U相の誘起電圧Vui、V相の誘起電圧VviおよびW相の誘起電圧Vwiの順に、位相が120°(電気角)ずつ遅れる交流の電圧源を用いて、図7Aおよび図7Bに示す制御状態において生じる誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)をシミュレーションしたシミュレーション結果の一例を示している。縦軸は、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)の大きさ(振幅)を示し、横軸は、可動子52の位置(電気角)を示している。波形L21は、図7Aに示す制御状態において生じる誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)の電圧波形を、直線で近似した近似直線を示している。波形L22は、図7Bに示す制御状態において生じる誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)の電圧波形を、直線で近似した近似直線を示している。
波形L21に示すように、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、一定の割合で増加し、可動子52の位置が30°(電気角)のときに、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、基準電圧(例えば、直流電圧Vdcの1/2の電圧)に到達する(タイミングP11)。誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)が基準電圧に到達した後も、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、一定の割合で増加し続けている。波形L22に示すように、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、一定の割合で増加し、可動子52の位置が30°(電気角)のときに、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、ゼロ電圧に到達する(タイミングP12)。誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)がゼロ電圧に到達した後も、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、一定の割合で増加し続けている。
このように、図7Aに示す制御状態において生じる誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)が、基準電圧に到達するタイミングP11と、図7Bに示す制御状態において生じる誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)が、ゼロ電圧に到達するタイミングP12とは、一致している。タイミングP11は、図5に示すタイミングPM1であり、既述したように、並列共振に伴う高周波ノイズによって、基準位置(タイミングP11)を誤検出する可能性がある。一方、タイミングP12では、並列共振が生じ難いので、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)には高周波ノイズの重畳が少なく、基準位置(タイミングP12)を誤検出する可能性は低い。
図9は、U相端子43uに発生する電圧波形の一例を示している。同図は、図5の期間T1〜期間T4のU相端子43uに発生する電圧波形を抜き出し、説明の便宜上、拡大した拡大図である。図9に示す波形L31は、図5に示す波形L11に相当する。また、同図では、図8に示す波形L21および波形L22が併記されている。既述したように、第一正極側スイッチング素子(W相の正極側スイッチング素子4wp)および第一負極側スイッチング素子(W相の負極側スイッチング素子4wn)は、相補パルス幅変調制御(相補PWM制御)される。よって、実際の誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)の波形は、波形L21上の電圧と、波形L22上の電圧とが交互に繰り返され、図9に示す電圧波形になる。
なお、実際のスイッチング素子は、図1に示す還流ダイオード4rを備えている。よって、図8に示す波形L22のように、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)が負極性になることはなく、図9に示すように、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)が負極性になる期間は、ゼロ電圧で一定の状態になる。これは、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)が負極性になる期間では、U相の負極側スイッチング素子4unの還流ダイオード4rを介した電流経路が形成され、複数(三つ)の負極側スイッチング素子4xnが全て短絡した状態が生じることによる。
期間T1の誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)について上述したことは、期間T4の誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)についても同様に言える。同図では、波形L23および波形L24が併記されている。波形L23は、第一正極側スイッチング素子(この場合、V相の正極側スイッチング素子4vp)が閉状態に制御され、かつ、第一負極側スイッチング素子(この場合、V相の負極側スイッチング素子4vn)が開状態に制御される制御状態において生じる誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)の電圧波形を、直線で近似した近似直線を示している。波形L24は、第一正極側スイッチング素子(この場合、V相の正極側スイッチング素子4vp)が開状態に制御され、かつ、第一負極側スイッチング素子(この場合、V相の負極側スイッチング素子4vn)が閉状態に制御される制御状態において生じる誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)の電圧波形を、直線で近似した近似直線を示している。
波形L23に示すように、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、一定の割合で減少し、可動子52の位置が210°(電気角)のときに、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、基準電圧(例えば、直流電圧Vdcの1/2の電圧)に到達する(タイミングP13)。誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)が基準電圧に到達した後も、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、一定の割合で減少し続けている。また、波形L24に示すように、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、一定の割合で減少し、可動子52の位置が210°(電気角)のときに、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、ゼロ電圧に到達する(タイミングP14)。誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)がゼロ電圧に到達した後は、誘起電圧(U相の誘起電圧Vui)は、ゼロ電圧で一定の状態になっている。
図5から明らかなように、U相の誘起電圧Vuiについて上述したことは、V相の誘起電圧Vviについても同様に言える。また、U相の誘起電圧Vuiについて上述したことは、W相の誘起電圧Vwiについても同様に言える。よって、第一正極側スイッチング素子が開状態に制御され、かつ、第一負極側スイッチング素子が閉状態に制御されるときに生じる誘起電圧が、ゼロ電圧で一定の状態から増加状態に移行する増加開始タイミング(例えば、図9に示すタイミングP12)を検出することにより、高周波ノイズによる影響を受けることなく、基準位置(この場合、電気角30°の位置)を検出することができる。また、第一正極側スイッチング素子が開状態に制御され、かつ、第一負極側スイッチング素子が閉状態に制御されるときに生じる誘起電圧が、減少状態からゼロ電圧で一定の状態に移行するゼロ電圧到達タイミング(例えば、図9に示すタイミングP14)を検出することにより、高周波ノイズによる影響を受けることなく、基準位置(この場合、電気角210°の位置)を検出することができる。
なお、本明細書では、第一正極側スイッチング素子および第一負極側スイッチング素子の両方がパルス幅変調(PWM)制御される相補パルス幅変調制御(相補PWM制御)を例に説明されている。しかしながら、本明細書で記載されている事項は、第一正極側スイッチング素子および第一負極側スイッチング素子のうちの一方のスイッチング素子のみがパルス幅変調(PWM)制御される場合についても同様に適用することができる。
(制御ブロックと基準位置の検出)
図10に示すように、本実施形態の制御装置60は、制御ブロックとして捉えると、第一推定位置算出部71と、第二推定位置算出部72と、切り替え部73とを備えている。また、図1に示すように、本実施形態の制御装置60は、第一基準位置検出器81と、第二基準位置検出器82と、入力電圧減衰回路84と、クランプ回路85とを備えている。
第一推定位置算出部71は、増加開始タイミング(例えば、図9に示すタイミングP12)およびゼロ電圧到達タイミング(例えば、図9に示すタイミングP14)の両方を可動子52の推定位置の基準位置である第一基準位置PR1として検出し、第一基準位置PR1から可動子52の推定位置を算出する。増加開始タイミング(例えば、タイミングP12)は、第一正極側スイッチング素子(この場合、W相の正極側スイッチング素子4wp)が開状態に制御されるとき、および、第一負極側スイッチング素子(この場合、W相の負極側スイッチング素子4wn)が閉状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる誘起電圧(この場合、U相の誘起電圧Vui)が、ゼロ電圧で一定の状態から増加状態に移行するタイミングをいう。
ゼロ電圧到達タイミング(例えば、タイミングP14)は、第一正極側スイッチング素子(この場合、V相の正極側スイッチング素子4vp)が開状態に制御されるとき、および、第一負極側スイッチング素子(この場合、V相の負極側スイッチング素子4vn)が閉状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる誘起電圧(この場合、U相の誘起電圧Vui)が、減少状態からゼロ電圧で一定の状態に移行するタイミングをいう。
これにより、第一推定位置算出部71は、高周波ノイズによる影響を受けることなく、第一基準位置PR1を検出することができる。また、第一推定位置算出部71は、第一基準位置PR1から可動子52の推定位置(例えば、電気角1°ピッチの可動子52の位置)を算出(推定)することができる。さらに、第一推定位置算出部71は、第一基準位置PR1の発生間隔から可動子52の速度(回転数)を算出(推定)することもできる。
第一推定位置算出部71は、第一基準位置PR1を検出することができれば良く、その構成は、限定されないが、制御装置60は、第一基準位置検出器81を備えると好適である。また、制御装置60は、クランプ回路85を備えると好適である。図1に示すように、第一基準位置検出器81は、電圧比較部81aを備えており、非通電相の固定子巻線51cの相電圧とゼロ電圧との大小比較により、第一基準位置PR1を検出する。具体的には、U相の電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)は、クランプ回路85を介してU相端子43uと接続されている。また、U相の電圧比較部81aの反転入力端子(マイナス端子)は、パワーグランド(電源20を含む高電圧側の回路の基準電位であり、ゼロ電圧)と接続されている。
例えば、図9に示す期間T1において、U相端子43u(U相の相電圧)がゼロ電圧の場合、U相の電圧比較部81aは、ローレベル(所定電圧値以下の状態)を出力する。期間T1において、U相端子43u(U相の相電圧)がゼロ電圧と比べて大きくなると、U相の電圧比較部81aは、ハイレベル(所定電圧値を超えている状態)を出力する。これにより、第一推定位置算出部71は、増加開始タイミング(例えば、タイミングP12)を知得することができる。
また、図9に示す期間T4において、U相端子43u(U相の相電圧)がゼロ電圧と比べて大きい場合、U相の電圧比較部81aは、ハイレベル(所定電圧値を超えている状態)を出力する。期間T4において、U相端子43u(U相の相電圧)がゼロ電圧に到達すると、U相の電圧比較部81aは、ローレベル(所定電圧値以下の状態)を出力する。これにより、第一推定位置算出部71は、ゼロ電圧到達タイミング(例えば、タイミングP14)を知得することができる。図1に示すように、電圧比較部81aは、V相およびW相についても同様の構成を備えている。第一推定位置算出部71は、V相およびW相についても同様にして、増加開始タイミングおよびゼロ電圧到達タイミングを知得することができる。
電動機50の駆動回転数が高くなる程、誘起電圧の大きさ(振幅)は大きくなる。そのため、誘起電圧の大きさ(振幅)が過大になっても、第一基準位置検出器81の入力耐圧(本実施形態では、電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)の耐圧)を超えないように、相電圧(誘起電圧)を入力電圧として許容される許容電圧に減衰させることが考えられる。
図11は、変形形態に係り、入力電圧減衰回路84が設けられている第一基準位置検出器81の構成例を示している。入力電圧減衰回路84は、相電圧を入力電圧として許容される許容電圧に減衰させる。本変形形態では、許容電圧は、第一基準位置検出器81の入力耐圧(電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)の耐圧)より小さく設定される。許容電圧は、後述する第二基準位置検出器82または第三基準位置検出器83において、入力電圧減衰回路84を設ける場合も同様の基準で設定することができる。また、許容電圧は、クランプ回路85を設ける場合も同様の基準で設定することができる。
入力電圧減衰回路84は、相電圧を入力電圧として許容される許容電圧に減衰させることができれば良く、その構成は、限定されないが、入力電圧減衰回路84は、第一抵抗器84aと、第二抵抗器84bとを備えていると好適である。具体的には、U相の第一抵抗器84aの一端側は、U相端子43u(U相の相電圧)と接続されており、U相の第一抵抗器84aの他端側は、U相の第二抵抗器84bの一端側と接続されている。U相の第二抵抗器84bの他端側は、電源20の負極側20nのパワーグランド(電源20を含む高電圧側の回路の基準電位)と接続されている。
入力電圧減衰回路84は、第一抵抗器84aおよび第二抵抗器84bによって、相電圧を分圧することができる。分圧比は、第一抵抗器84aおよび第二抵抗器84bの抵抗値によって設定することができる。入力電圧減衰回路84は、第一基準位置検出器81の電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)に、第一抵抗器84aおよび第二抵抗器84bによって分圧された相電圧を出力することにより、相電圧を許容電圧に減衰させることができる。入力電圧減衰回路84は、V相およびW相についても同様の構成を備えている。入力電圧減衰回路84は、V相およびW相についても同様にして、相電圧を許容電圧に減衰させることができる。
逆に、電動機50の駆動回転数が低くなる程、誘起電圧の大きさ(振幅)は小さくなる。このとき、入力電圧減衰回路84によって相電圧(誘起電圧)を減衰させると、第一推定位置算出部71は、第一基準位置PR1の検出が困難になり、電動機50の最低駆動回転数が高くなる可能性がある。そこで、図1に示すように、制御装置60は、クランプ回路85を備えると好適である。
クランプ回路85は、相電圧が入力電圧として許容される許容電圧のときに相電圧を入力可能にし、相電圧が許容電圧を超えているときに相電圧を入力不可能にする。クランプ回路85は、相電圧に応じて相電圧を入力可能または入力不可能にすることができれば良く、その構成は、限定されないが、クランプ回路85は、クランプ電圧生成部85aと、クランプ用スイッチング素子85bとを具備すると好適である。クランプ電圧生成部85aは、許容電圧のクランプ電圧を生成する。クランプ電圧生成部85aは、例えば、直流電源を用いることができる。また、クランプ電圧生成部85aは、例えば、直流電圧Vdcを複数の抵抗器によって分圧して、クランプ電圧を生成することもできる。
クランプ用スイッチング素子85bは、クランプ電圧生成部85aによって生成されたクランプ電圧が入力される制御端子4gと、相電圧が入力される入力端子4dと、相電圧が出力される出力端子4sとを備えている。具体的には、U相の制御端子4gは、クランプ電圧生成部85aの正極側85apと接続されている。クランプ電圧生成部85aの負極側85anは、パワーグランド(電源20を含む高電圧側の回路の基準電位)と接続されている。U相の入力端子4dは、U相端子43u(U相の相電圧)と接続されており、U相の出力端子4sは、抵抗器85cを介して、パワーグランドと接続されている。U相の電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)は、U相の出力端子4sと抵抗器85cとの間に接続されている。
クランプ用スイッチング素子85bの制御端子4gには、クランプ電圧生成部85aによって生成されたクランプ電圧が印加されている。よって、相電圧がゼロ電圧の場合、クランプ用スイッチング素子85bは、閉状態に制御され、入力端子4dおよび出力端子4sは、同電位(この場合、ゼロ電圧)になる。このとき、電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)は、相電圧(ゼロ電圧)が入力可能になっている。相電圧の上昇に伴い、入力端子4dおよび出力端子4sの電位は上昇する。このときも、電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)は、相電圧が入力可能になっている。相電圧がクランプ電圧以上になると、クランプ用スイッチング素子85bは、開状態に制御される。その結果、電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)は、相電圧(ゼロ電圧)が入力不可能になる。クランプ回路85は、V相およびW相についても同様の構成を備えている。クランプ回路85は、V相およびW相についても同様にして、相電圧に応じて相電圧を入力可能または入力不可能にすることができる。
このように、クランプ回路85は、相電圧がクランプ電圧より小さいときにクランプ用スイッチング素子85bが閉状態に制御されて相電圧を入力可能にし、相電圧がクランプ電圧以上のときにクランプ用スイッチング素子85bが開状態に制御されて相電圧を入力不可能にすると好適である。これにより、第一基準位置検出器81は、相電圧(誘起電圧)を減衰させることなく、第一基準位置PR1を検出することができる。よって、本実施形態の電動機制御装置10は、相電圧(誘起電圧)を減衰させる場合と比べて、電動機50の最低駆動回転数を低下させることができる。
一般に、電動機50の負荷トルクが同じ場合、電動機50の駆動回転数が高くなる程、第一正極側スイッチング素子(例えば、W相の正極側スイッチング素子4wp)がパルス幅変調(PWM)制御される際のデューティ比は、大きく設定される。換言すれば、このとき、第一正極側スイッチング素子(例えば、W相の正極側スイッチング素子4wp)が開状態に制御される期間は、短くなる。同様に、電動機50の負荷トルクが同じ場合、電動機50の駆動回転数が高くなる程、第一負極側スイッチング素子(例えば、W相の負極側スイッチング素子4wn)がパルス幅変調(PWM)制御される際のデューティ比は、小さく設定される。換言すれば、このとき、第一負極側スイッチング素子(例えば、W相の負極側スイッチング素子4wn)が閉状態に制御される期間は、短くなる。いずれの場合も、第一推定位置算出部71は、第一基準位置PR1の検出が困難になり、電動機50の最高駆動回転数が低くなる可能性がある。そこで、図10に示すように、制御装置60は、第二推定位置算出部72を備えると好適である。
第二推定位置算出部72は、基準電圧到達タイミング(例えば、図9に示すタイミングP11およびタイミングP13)を可動子52の推定位置の基準位置である第二基準位置PR2として検出し、第二基準位置PR2から可動子52の推定位置を算出する。基準電圧到達タイミング(例えば、タイミングP11)は、第一正極側スイッチング素子(この場合、W相の正極側スイッチング素子4wp)が閉状態に制御されるとき、および、第一負極側スイッチング素子(この場合、W相の負極側スイッチング素子4wn)が開状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる誘起電圧(この場合、U相の誘起電圧Vui)が、基準電圧に到達するタイミングをいう。
また、基準電圧到達タイミング(例えば、タイミングP13)は、第一正極側スイッチング素子(この場合、V相の正極側スイッチング素子4vp)が閉状態に制御されるとき、および、第一負極側スイッチング素子(この場合、V相の負極側スイッチング素子4vn)が開状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる誘起電圧(この場合、U相の誘起電圧Vui)が、基準電圧に到達するタイミングをいう。いずれの場合も、基準電圧は、電力変換器40に入力される直流電力の直流電圧Vdcに基づいて設定される。例えば、既述した入力電圧減衰回路84が設けられない場合、基準電圧は、例えば、直流電圧Vdcの1/2の電圧に設定することができる。入力電圧減衰回路84が設けられる場合、入力電圧減衰回路84の減衰率と同じ比率で、入力電圧減衰回路84が設けられない場合の基準電圧を減衰した電圧を、この場合の基準電圧として設定することができる。
これにより、制御装置60は、第二推定位置算出部72を具備しない場合と比べて、電動機50の最高駆動回転数の低下を抑制することができる。また、第二推定位置算出部72は、第二基準位置PR2から可動子52の推定位置(例えば、電気角1°ピッチの可動子52の位置)を算出(推定)することができる。さらに、第二推定位置算出部72は、第二基準位置PR2の発生間隔から可動子52の速度(回転数)を算出(推定)することもできる。
第二推定位置算出部72は、第二基準位置PR2を検出することができれば良く、その構成は、限定されないが、制御装置60は、第二基準位置検出器82を備えると好適である。また、制御装置60は、既述した入力電圧減衰回路84を備えると好適である。図1に示すように、第二基準位置検出器82は、電圧比較部82aと基準電圧生成部82bとを備えており、非通電相の固定子巻線51cの相電圧と基準電圧との大小比較により、第二基準位置PR2を検出する。
具体的には、U相の電圧比較部82aの非反転入力端子(プラス端子)は、入力電圧減衰回路84を介してU相端子43uと接続されている。また、U相の電圧比較部82aの反転入力端子(マイナス端子)は、基準電圧生成部82bの出力部82b3と接続されている。基準電圧生成部82bは、第一抵抗器82b1と、第二抵抗器82b2とを備えており、入力電圧減衰回路84によって減衰された直流電圧Vdcを分圧して基準電圧を生成する。具体的には、第一抵抗器82b1の一端側は、入力電圧減衰回路84を介して電源20の正極側20pと接続されており、第一抵抗器82b1の他端側は、第二抵抗器82b2の一端側と接続されている。第二抵抗器82b2の他端側は、電源20の負極側20nのパワーグランド(電源20を含む高電圧側の回路の基準電位)と接続されている。第一抵抗器82b1および第二抵抗器82b2は、抵抗値が同一に設定されており、第一抵抗器82b1と第二抵抗器82b2との間に設けられる出力部82b3には、基準電圧が生成される。
例えば、図9に示す期間T1において、U相端子43u(U相の相電圧)が基準電圧より小さい場合、U相の電圧比較部82aは、ローレベル(所定電圧値以下の状態)を出力する。期間T1において、U相端子43u(U相の相電圧)が基準電圧に到達し基準電圧より大きくなると、U相の電圧比較部82aは、ハイレベル(所定電圧値を超えている状態)を出力する。これにより、第二推定位置算出部72は、基準電圧到達タイミングを知得することができる。
また、図9に示す期間T4において、U相端子43u(U相の相電圧)が基準電圧と比べて大きい場合、U相の電圧比較部82aは、ハイレベル(所定電圧値を超えている状態)を出力する。期間T4において、U相端子43u(U相の相電圧)が基準電圧に到達し基準電圧より小さくなると、U相の電圧比較部82aは、ローレベル(所定電圧値以下の状態)を出力する。これにより、第二推定位置算出部72は、基準電圧到達タイミングを知得することができる。第二基準位置検出器82は、V相およびW相についても同様の構成を備えている。第二推定位置算出部72は、V相およびW相についても同様にして、基準電圧到達タイミングを知得することができる。
なお、制御装置60は、既述した入力電圧減衰回路84を備えている。よって、電動機50の駆動回転数が高くなり、誘起電圧の大きさ(振幅)が過大になっても、第二基準位置検出器82の入力耐圧(本実施形態では、電圧比較部82aの非反転入力端子(プラス端子)の耐圧)を超えないように、入力される相電圧(誘起電圧)は、許容電圧に減衰されている。上述したことは、基準電圧についても同様に言える。
本実施形態の制御装置60は、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出、および、第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出の両方を行うことができる。そのため、制御装置60は、検出方法を切り替える必要があり、図10に示すように、制御装置60は、切り替え部73を備えている。切り替え部73は、第一正極側スイッチング素子(例えば、W相の正極側スイッチング素子4wp)のデューティ比が所定閾値を超える開期間低下状態、および、第一負極側スイッチング素子(例えば、W相の負極側スイッチング素子4wn)のデューティ比が所定閾値より小さくなる閉期間低下状態のうちの少なくとも一方の状態が成立するときに、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出に切り替える。
所定閾値は、例えば、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出が不可能になる第一正極側スイッチング素子(例えば、W相の正極側スイッチング素子4wp)のデューティ比より小さいデューティ比に設定することができる。換言すれば、所定閾値は、例えば、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出が不可能になる第一負極側スイッチング素子(例えば、W相の負極側スイッチング素子4wn)のデューティ比より大きいデューティ比に設定することができる。これにより、制御装置60は、電動機50の駆動状態に応じて、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出に切り替えることができ、広範囲な駆動条件で安定して可動子52の位置推定を行うことができる。
また、切り替え部73は、第一基準位置検出器81によって検出された第一基準位置PR1と、第二基準位置検出器82によって検出された第二基準位置PR2とをデューティ比に応じて選択して基準位置とすると好適である。基準位置を選択する際のデューティ比は、第一正極側スイッチング素子(例えば、W相の正極側スイッチング素子4wp)、および、第一負極側スイッチング素子(例えば、W相の負極側スイッチング素子4wn)のうちの少なくとも一方のスイッチング素子のデューティ比を用いることができる。これにより、切り替え部73は、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から、第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出へ、容易に切り替えることができる。
<第二実施形態>
本実施形態は、制御装置60が、第一基準位置検出器81および第二基準位置検出器82の代わりに第三基準位置検出器83を備える点で、第一実施形態と異なる。本実施形態では、第一実施形態と異なる点が中心に説明されている。
図12に示すように、制御装置60は、第三基準位置検出器83を備えている。第三基準位置検出器83は、非通電相の固定子巻線51cの相電圧とゼロ電圧との大小比較による第一基準位置PR1の検出と、非通電相の固定子巻線51cの相電圧と基準電圧との大小比較による第二基準位置PR2の検出とを切り替え可能な基準位置検出器である。第三基準位置検出器83は、第一基準位置PR1の検出と、第二基準位置PR2の検出とを切り替え可能であれば良く、その構成は、限定されない。本実施形態の第三基準位置検出器83は、電圧比較部83aと、基準電圧生成部83bと、選択部83cとを備えており、第一基準位置PR1の検出と、第二基準位置PR2の検出とを切り替え可能になっている。具体的には、U相の電圧比較部83aの非反転入力端子(プラス端子)は、入力電圧減衰回路84を介してU相端子43uと接続されている。また、U相の電圧比較部83aの反転入力端子(マイナス端子)は、基準電圧生成部83bによって生成された基準電圧とゼロ電圧とが、選択部83cによって選択されて入力される。第三基準位置検出器83は、V相およびW相についても同様の構成を備えている。
基準電圧生成部83bは、第一実施形態で既述した基準電圧生成部82bと同様の構成を備えており、入力電圧減衰回路84によって減衰された直流電圧Vdcを分圧して基準電圧を生成する。第一抵抗器83b1は、第一抵抗器82b1に対応し、第二抵抗器83b2は、第二抵抗器82b2に対応し、出力部83b3は、出力部82b3に対応する。選択部83cは、基準電圧選択用スイッチング素子83c1と、ゼロ電圧選択用スイッチング素子83c2と、否定論理素子83c3とを備えている。
基準電圧選択用スイッチング素子83c1およびゼロ電圧選択用スイッチング素子83c2は、制御端子4gと、入力端子4dと、出力端子4sとをそれぞれ備えている。基準電圧選択用スイッチング素子83c1の入力端子4dは、基準電圧生成部83bの出力部83b3と接続されており、出力端子4sは、各相の電圧比較部83aの反転入力端子(マイナス端子)と接続されている。ゼロ電圧選択用スイッチング素子83c2の入力端子4dは、パワーグランド(電源20を含む高電圧側の回路の基準電位であり、ゼロ電圧)と接続されており、出力端子4sは、各相の電圧比較部83aの反転入力端子(マイナス端子)と接続されている。基準電圧選択用スイッチング素子83c1の制御端子4gは、切り替え部73から送出される切り替え信号SIGが入力可能になっている。ゼロ電圧選択用スイッチング素子83c2の制御端子4gは、上記の切り替え信号SIGが、否定論理素子83c3を介して入力可能になっている。
切り替え部73は、第一正極側スイッチング素子(例えば、W相の正極側スイッチング素子4wp)のデューティ比が所定閾値を超える開期間低下状態、および、第一負極側スイッチング素子(例えば、W相の負極側スイッチング素子4wn)のデューティ比が所定閾値より小さくなる閉期間低下状態のうちの少なくとも一方の状態が成立するときに、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出に切り替える。所定閾値は、第一実施形態で既述した基準と同様の基準で設定することができる。
図12および図13に示すように、本実施形態の切り替え部73は、第三基準位置検出器83に対して、第一基準位置PR1の検出と第二基準位置PR2の検出とをデューティ比に応じて切り替える切り替え信号SIGを送出する。基準位置を切り替える際のデューティ比は、第一実施形態と同様に、第一正極側スイッチング素子(例えば、W相の正極側スイッチング素子4wp)、および、第一負極側スイッチング素子(例えば、W相の負極側スイッチング素子4wn)のうちの少なくとも一方のスイッチング素子のデューティ比を用いることができる。
切り替え信号SIGがローレベル(所定電圧値以下の状態)のときには、基準電圧選択用スイッチング素子83c1の制御端子4gは、ローレベル(所定電圧値以下の状態)になり、基準電圧選択用スイッチング素子83c1は、開状態に制御される。このとき、ゼロ電圧選択用スイッチング素子83c2の制御端子4gは、ハイレベル(所定電圧値を超えている状態)になり、ゼロ電圧選択用スイッチング素子83c2は、閉状態に制御される。よって、切り替え信号SIGがローレベル(所定電圧値以下の状態)のときには、各相の電圧比較部83aの反転入力端子(マイナス端子)には、ゼロ電圧が入力される。つまり、第三基準位置検出器83は、第一基準位置PR1の検出を行うことができる。
一方、切り替え信号SIGがハイレベル(所定電圧値を超えている状態)のときには、基準電圧選択用スイッチング素子83c1の制御端子4gは、ハイレベル(所定電圧値を超えている状態)になり、基準電圧選択用スイッチング素子83c1は、閉状態に制御される。このとき、ゼロ電圧選択用スイッチング素子83c2の制御端子4gは、ローレベル(所定電圧値以下の状態)になり、ゼロ電圧選択用スイッチング素子83c2は、開状態に制御される。よって、切り替え信号SIGがハイレベル(所定電圧値を超えている状態)のときには、各相の電圧比較部83aの反転入力端子(マイナス端子)には、基準電圧生成部83bによって生成された基準電圧が入力される。つまり、第三基準位置検出器83は、第二基準位置PR2の検出を行うことができる。
このように、第三基準位置検出器83は、非通電相の固定子巻線51cの相電圧とゼロ電圧との大小比較による第一基準位置PR1の検出と、非通電相の固定子巻線51cの相電圧と基準電圧との大小比較による第二基準位置PR2の検出とを切り替え可能である。よって、制御装置60は、電動機50の駆動状態に応じて、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出に切り替えることができ、広範囲な駆動条件で安定して可動子52の位置推定を行うことができる。また、切り替え部73は、切り替え信号SIGによって、第一基準位置PR1の検出と第二基準位置PR2の検出とを容易に切り替えることができる。
なお、制御装置60は、第一実施形態で既述した入力電圧減衰回路84を備えている。よって、電動機50の駆動回転数が高くなり、誘起電圧の大きさ(振幅)が過大になっても、第三基準位置検出器83の入力耐圧(本実施形態では、電圧比較部83aの非反転入力端子(プラス端子)の耐圧)を超えないように、入力される相電圧(誘起電圧)は、許容電圧に減衰されている。上述したことは、基準電圧についても同様に言える。
<第三実施形態>
本実施形態は、クランプ回路85の代わりに入力電圧減衰回路84が第一基準位置検出器81に設けられている点で、第一実施形態と異なる。本実施形態では、第一実施形態と異なる点が中心に説明されている。
図14に示すように、本実施形態では、クランプ回路85の代わりに入力電圧減衰回路84が第一基準位置検出器81に設けられている。そのため、第一基準位置検出器81の電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)および第二基準位置検出器82の電圧比較部82aの非反転入力端子(プラス端子)の両方に、入力電圧減衰回路84の第一抵抗器84aおよび第二抵抗器84bによって分圧された相電圧が出力される。一方、第一基準位置検出器81の電圧比較部81aの反転入力端子(マイナス端子)には、ゼロ電圧が入力される。第二基準位置検出器82の電圧比較部82aの反転入力端子(マイナス端子)には、基準電圧生成部82bによって生成された基準電圧が入力される。
本実施形態においても、制御装置60は、電動機50の駆動状態に応じて、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出に切り替えることができ、広範囲な駆動条件で安定して可動子52の位置推定を行うことができる。また、切り替え部73は、第一基準位置検出器81によって検出された第一基準位置PR1と、第二基準位置検出器82によって検出された第二基準位置PR2とをデューティ比に応じて選択して基準位置とすると好適である。これにより、切り替え部73は、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から、第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出へ、容易に切り替えることができる。
なお、制御装置60は、第一実施形態で既述した入力電圧減衰回路84を備えている。よって、電動機50の駆動回転数が高くなり、誘起電圧の大きさ(振幅)が過大になっても、第一基準位置検出器81および第二基準位置検出器82の入力耐圧(本実施形態では、電圧比較部81aの非反転入力端子(プラス端子)および電圧比較部82aの非反転入力端子(プラス端子)の耐圧)を超えないように、入力される相電圧(誘起電圧)は、許容電圧に減衰されている。上述したことは、基準電圧についても同様に言える。
<効果の一例>
様相1に係る電動機制御装置10によれば、制御装置60は、第一推定位置算出部71を備える。第一推定位置算出部71は、増加開始タイミングおよびゼロ電圧到達タイミングの両方を可動子52の推定位置の基準位置である第一基準位置PR1として検出し、第一基準位置PR1から可動子52の推定位置を算出する。増加開始タイミングは、第一正極側スイッチング素子が開状態に制御されるとき、および、第一負極側スイッチング素子が閉状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる誘起電圧が、ゼロ電圧で一定の状態から増加状態に移行するタイミングをいう。ゼロ電圧到達タイミングは、第一正極側スイッチング素子が開状態に制御されるとき、および、第一負極側スイッチング素子が閉状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる誘起電圧が、減少状態からゼロ電圧で一定の状態に移行するタイミングをいう。
第一正極側スイッチング素子が開状態に制御されるとき、および、第一負極側スイッチング素子が閉状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる誘起電圧には、高周波ノイズの重畳が少ない。第一推定位置算出部71は、上記の制御状態において生じる誘起電圧に基づいて、可動子52の推定位置の基準位置である第一基準位置PR1を検出し、第一基準位置PR1から可動子52の推定位置を算出する。よって、様相1に係る電動機制御装置10は、起動直後などの電動機50の駆動回転数が比較的低回転数において、誘起電圧に重畳する高周波ノイズに起因する可動子52の位置推定精度の低下を抑制することができる。
様相2に係る電動機制御装置10によれば、様相1に係る電動機制御装置10において、制御装置60は、第一基準位置検出器81を備える。第一基準位置検出器81は、非通電相の固定子巻線51cの相電圧とゼロ電圧との大小比較により、第一基準位置PR1を検出する。
様相2に係る電動機制御装置10によれば、増加開始タイミングおよびゼロ電圧到達タイミングの知得が容易であり、第一基準位置PR1の検出が容易である。
様相3に係る電動機制御装置10によれば、様相1に係る電動機制御装置10において、制御装置60は、第二推定位置算出部72と、切り替え部73とを備える。第二推定位置算出部72は、基準電圧到達タイミングを可動子52の推定位置の基準位置である第二基準位置PR2として検出し、第二基準位置PR2から可動子52の推定位置を算出する。基準電圧到達タイミングは、第一正極側スイッチング素子が閉状態に制御されるとき、および、第一負極側スイッチング素子が開状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる誘起電圧が、基準電圧に到達するタイミングをいう。基準電圧は、電力変換器40に入力される直流電力の直流電圧Vdcに基づいて設定される。切り替え部73は、第一正極側スイッチング素子のデューティ比が所定閾値を超える開期間低下状態、および、第一負極側スイッチング素子のデューティ比が所定閾値より小さくなる閉期間低下状態のうちの少なくとも一方の状態が成立するときに、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出に切り替える。
様相3に係る電動機制御装置10によれば、制御装置60は、第二推定位置算出部72を具備しない場合と比べて、電動機50の最高駆動回転数の低下を抑制することができる。また、制御装置60は、電動機50の駆動状態に応じて、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出に切り替えることができ、広範囲な駆動条件で安定して可動子52の位置推定を行うことができる。
様相4に係る電動機制御装置10によれば、様相3に係る電動機制御装置10において、制御装置60は、第一基準位置検出器81と、第二基準位置検出器82とを備える。第一基準位置検出器81は、非通電相の固定子巻線51cの相電圧とゼロ電圧との大小比較により、第一基準位置PR1を検出する。第二基準位置検出器82は、非通電相の固定子巻線51cの相電圧と基準電圧との大小比較により、第二基準位置PR2を検出する。切り替え部73は、第一基準位置検出器81によって検出された第一基準位置PR1と、第二基準位置検出器82によって検出された第二基準位置PR2とをデューティ比に応じて選択して基準位置とする。
様相4に係る電動機制御装置10によれば、切り替え部73は、第一推定位置算出部71による第一基準位置PR1の検出から、第二推定位置算出部72による第二基準位置PR2の検出へ、容易に切り替えることができる。
様相5に係る電動機制御装置10によれば、様相3に係る電動機制御装置10において、制御装置60は、第三基準位置検出器83を備える。第三基準位置検出器83は、非通電相の固定子巻線51cの相電圧とゼロ電圧との大小比較による第一基準位置PR1の検出と、非通電相の固定子巻線51cの相電圧と基準電圧との大小比較による第二基準位置PR2の検出とを切り替え可能である。切り替え部73は、第三基準位置検出器83に対して、第一基準位置PR1の検出と第二基準位置PR2の検出とをデューティ比に応じて切り替える切り替え信号SIGを送出する。
様相5に係る電動機制御装置10によれば、切り替え部73は、切り替え信号SIGによって、第一基準位置PR1の検出と第二基準位置PR2の検出とを容易に切り替えることができる。
様相6に係る電動機制御装置10によれば、様相2、様相4および様相5のうちのいずれか一つの様相に係る電動機制御装置10において、制御装置60は、入力電圧減衰回路84を備える。入力電圧減衰回路84は、相電圧を入力電圧として許容される許容電圧に減衰させる。
様相6に係る電動機制御装置10によれば、電動機50の駆動回転数が高くなり、誘起電圧の大きさ(振幅)が過大になっても、第一基準位置検出器81、第二基準位置検出器82および第三基準位置検出器83のうちの少なくとも一つの基準位置検出器を高電圧から保護することができる。
様相7に係る電動機制御装置10によれば、様相2、様相4および様相5のうちのいずれか一つの様相に係る電動機制御装置10において、制御装置60は、クランプ回路85を備える。クランプ回路85は、相電圧が入力電圧として許容される許容電圧のときに相電圧を入力可能にし、相電圧が許容電圧を超えているときに相電圧を入力不可能にする。
様相7に係る電動機制御装置10によれば、電動機50の駆動回転数が高くなり、誘起電圧の大きさ(振幅)が過大になっても、第一基準位置検出器81、第二基準位置検出器82および第三基準位置検出器83のうちの少なくとも一つの基準位置検出器を高電圧から保護することができる。
様相8に係る電動機制御装置10によれば、様相7に係る電動機制御装置10において、クランプ回路85は、クランプ電圧生成部85aと、クランプ用スイッチング素子85bとを具備する。クランプ電圧生成部85aは、許容電圧のクランプ電圧を生成する。クランプ用スイッチング素子85bは、クランプ電圧生成部85aによって生成されたクランプ電圧が入力される制御端子4gと、相電圧が入力される入力端子4dと、相電圧が出力される出力端子4sとを備える。クランプ回路85は、相電圧がクランプ電圧より小さいときにクランプ用スイッチング素子85bが閉状態に制御されて相電圧を入力可能にし、相電圧がクランプ電圧以上のときにクランプ用スイッチング素子85bが開状態に制御されて相電圧を入力不可能にする。
様相8に係る電動機制御装置10によれば、相電圧(誘起電圧)を減衰させることなく、基準位置を検出することができる。よって、様相8に係る電動機制御装置10は、相電圧(誘起電圧)を減衰させる場合と比べて、電動機50の最低駆動回転数を低下させることができる。
<その他>
実施形態は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。
<付記項>
本明細書に記載されている事項は、電動機制御装置10の制御方法として、捉えることもできる。第一推定位置算出工程は、第一推定位置算出部71が行う制御に対応する。第二推定位置算出工程は、第二推定位置算出部72が行う制御に対応する。切り替え工程は、切り替え部73が行う制御に対応する。電動機制御装置10の制御方法においても、電動機制御装置10について既述した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
(付記項1)
電源の正極側に接続されている正極側スイッチング素子と前記電源の負極側に接続されている負極側スイッチング素子とが直列接続されている一対のスイッチング素子を複数備え、前記複数の一対のスイッチング素子を構成する前記複数の正極側スイッチング素子および前記複数の負極側スイッチング素子が開閉制御されることにより直流電力を交流電力に変換して、固定子と可動子とを備える電動機に対して前記変換された前記交流電力を出力する電力変換器と、
前記固定子の非通電相の固定子巻線に生じる誘起電圧に基づいて、前記固定子に対する前記可動子の位置を推定して、前記推定された前記可動子の推定位置に基づいて前記複数の正極側スイッチング素子および前記複数の負極側スイッチング素子を前記開閉制御する制御装置と、
を具備する電動機制御装置の制御方法であって、
通電相の前記一対のスイッチング素子を構成しパルス幅変調制御される前記正極側スイッチング素子を第一正極側スイッチング素子とし、前記通電相の前記一対のスイッチング素子を構成し前記パルス幅変調制御される前記負極側スイッチング素子を第一負極側スイッチング素子とするとき、
前記第一正極側スイッチング素子が開状態に制御されるとき、および、前記第一負極側スイッチング素子が閉状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる前記誘起電圧がゼロ電圧で一定の状態から増加状態に移行する増加開始タイミング、および、当該誘起電圧が減少状態から前記ゼロ電圧で一定の状態に移行するゼロ電圧到達タイミングの両方を前記可動子の前記推定位置の基準位置である第一基準位置として検出し、前記第一基準位置から前記可動子の前記推定位置を算出する第一推定位置算出工程を備える電動機制御装置の制御方法。
(付記項2)
前記第一正極側スイッチング素子が閉状態に制御されるとき、および、前記第一負極側スイッチング素子が開状態に制御されるときのうちの少なくとも一方の制御状態のときに生じる前記誘起電圧が、前記電力変換器に入力される前記直流電力の直流電圧に基づいて設定される基準電圧に到達する基準電圧到達タイミングを前記可動子の前記推定位置の基準位置である第二基準位置として検出し、前記第二基準位置から前記可動子の前記推定位置を算出する第二推定位置算出工程と、
前記第一正極側スイッチング素子のデューティ比が所定閾値を超える開期間低下状態、および、前記第一負極側スイッチング素子のデューティ比が前記所定閾値より小さくなる閉期間低下状態のうちの少なくとも一方の状態が成立するときに、前記第一推定位置算出工程による前記第一基準位置の検出から前記第二推定位置算出工程による前記第二基準位置の検出に切り替える切り替え工程と、
を備える付記項1に記載の電動機制御装置の制御方法。
(付記項3)
前記制御装置は、前記非通電相の前記固定子巻線の相電圧と前記ゼロ電圧との大小比較により前記第一基準位置を検出する第一基準位置検出器と、前記非通電相の前記固定子巻線の前記相電圧と前記基準電圧との大小比較により前記第二基準位置を検出する第二基準位置検出器とを備え、
前記切り替え工程は、前記第一基準位置検出器によって検出された前記第一基準位置と、前記第二基準位置検出器によって検出された前記第二基準位置とをデューティ比に応じて選択して前記基準位置とする付記項2に記載の電動機制御装置の制御方法。
(付記項4)
前記制御装置は、前記非通電相の前記固定子巻線の相電圧と前記ゼロ電圧との大小比較による前記第一基準位置の検出と、前記非通電相の前記固定子巻線の前記相電圧と前記基準電圧との大小比較による前記第二基準位置の検出とを切り替え可能な第三基準位置検出器を備え、
前記切り替え工程は、前記第三基準位置検出器に対して、前記第一基準位置の検出と前記第二基準位置の検出とをデューティ比に応じて切り替える切り替え信号を送出する付記項2に記載の電動機制御装置の制御方法。