JP6919923B2 - 微小空間の加温方法及び発熱体 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノ・マイクロスケールの微小空間を定量的な熱的制御を行いながら加温や減温するための方法と材料に関する。
ナノ・マイクロスケールの微小空間での熱的な制御や熱動態の測定技術の開発は、特に、固体デバイス分野において重要である。これは、半導体集積回路の微小空間における発熱や放熱の問題が、これ以上の高性能化の最大の障壁となっているからである(非特許文献1)。こうした背景から、サーモリフレクタンス法や熱プローブ顕微鏡などが開発されてきた(非特許文献2,3)。これらとシミュレーション技術の発展があいまって、ドライな固体デバイスでは、その場の温度を測定しながら、微小空間を加温することは、ある程度可能になってきた。
一方、微小空間の熱を取り扱う技術の開発は、ウェットな生体試料を用いる医療・バイオ分野においても欠かせない。例えば、熱を使った医療行為の中で、代表的ながんの温熱療法(Hyperthermia)は、42度以上の高温に晒すとがん細胞が死滅するという原理に従う。加温で細胞死に導く場合、細胞1個のレベルで、それぞれの細胞を狙った閾値の温度に到達させることができれば、治療の効果は最大化できる(非特許文献4,5,6)。また、近年、温熱療法は、がん治療だけに止まらず、もっと温和な温熱刺激を用いて、免疫細胞の活性化、筋肉の収縮の誘導や神経細胞を修復できる可能性などが示され、その適用範囲の拡張が期待されている(非特許文献7,8)。この場合、更に厳しい水準での定量的な加温技術の精密さが要求される。また、酵素が基質と結合した際に生じる極小の熱的な変化が、その酵素自身の細胞内での拡散に使われているとの報告もあり(非特許文献9)、ナノレベルの「熱動態」を自在に操ることができれば、多様な生命の機能開拓へ道が開けるはずである。
しかしながら、前述の固体デバイスに適用される一連の熱制御技術を、ウェットな生体試料に適用することは現時点では極めて困難であった。また、細胞の中の狙った細胞小器官や生体分子を加温するとなると、ほぼ不可能に近かった。
戦略プロポーザルJST:https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2014/SP/CRDS-FY2014-SP-04.pdf Huxtable, S., Cahill, D. G., Fauconnier, V., White, J. O. & Zhao, J.-C. Thermal conductivity imaging at micrometre-scale resolution for combinatorial studies of materials. Nat. Mater. 3, 298-301 (2004). Menges, F. et al. Temperature mapping of operating nanoscale devices by scanning probe thermometry. Nat. Commun. 7, 1-6 (2016). Szigeti, G. P., Hegyi, G. & Szasz, O. Hyperthermia versus Oncothermia : Cellular Effects in Cancer Therapy. 2013,Conference Papers in Medicine. Volume 2013. http://dx.doi.org/10.1155/2013/274687 Arai, S. et al. Mitochondria-targeted fluorescent thermometer monitors intracellular temperature gradient. Chem. Commun. 1-4 (2015). Oncothermia: Principle and Practice, Springer 2011. Li, J., Liu, J. & Chen, C. Remote Control and Modulation of Cellular Events by Plasmonic Gold Nanoparticles: Implications and Opportunities for Biomedical Applications. ACS Nano 11, 2403-2409 (2017). Marino, A. et al. Gold Nanoshell-Mediated Remote Myotube Activation. ACS Nano 11, 2494-2505 (2017). C. Riedel et al., The heat released during catalytic turnover enhances the diffusion of an enzyme. Nature, 517, 227-230 (2014).
そこで、本発明は、細胞や生体組織などのウェットな生体試料においてナノ・マイクロスケールの定量的な熱的制御を可能にする、新規な方法と材料を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、光、磁場、電場、音波などの外部から与えられたエネルギーを熱に変換する分子やナノ材料を発熱材料として用い、温度に応じて変化する物理的信号を発する分子やナノ材料を温度検知材料として用い、これらを組み合わせてナノ・マイクロスケールの定量的な熱的制御を行うことに着想し、鋭意検討の結果、本発明に想到した。
すなわち、本発明の微小空間の加温方法は、外部から与えられたエネルギーを熱に変換する発熱材料と、温度に応じて変化する物理的信号を発する温度検知材料とを加温対象物の近傍に配置するステップと、前記発熱材料に外部からエネルギーを与えて前記発熱材料を発熱させ、前記温度検知材料により発せられた物理的信号を観測することにより前記温度検知材料の温度を検出するステップと、前記温度検知材料により検出された温度に基づき前記発熱材料に与えるエネルギーの量を調節するステップとを備えたことを特徴とする。
また、本発明の発熱体は、外部から与えられたエネルギーを熱に変換する発熱材料と、温度に応じて変化する物理的信号を発する温度検知材料とを含むことを特徴とする。
また、本発明の微小空間の減温方法は、吸熱材料と、温度に応じて変化する物理的信号を発する温度検知材料とを減温対象物の近傍に配置するステップと、前記温度検知材料により発せられた物理的信号を観測することにより前記温度検知材料の温度を検出するステップとを備えたことを特徴とする。
また、本発明の吸熱体は、吸熱材料と、温度に応じて変化する物理的信号を発する温度検知材料とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、温度検知材料により検出された温度に基づき、発熱材料に与えるエネルギーの量を調節することにより、発熱材料の発熱を制御することができる。そして、これにより、細胞や生体組織などのウェットな生体試料において、ナノ・マイクロスケールの定量的な熱的制御を自在に行うことができる。
また、発熱材料の代わりに吸熱材料を用いることにより、微小空間を減温することもできる。
本発明の発熱体の一実施例を示す概念図である。 本発明の微小空間の加温方法の一実施例を示す概念図である。 実施例1で作製した発熱体粒子の説明図である。 実施例2で用いた実験装置を示す写真と評価結果を示すグラフである。 実施例3で用いた実験装置を示す説明図と評価結果を示すグラフである。 実施例4の評価結果を示すグラフである。 実施例4のマイクロ粒子の発熱特性解析の結果を示す写真とグラフである。 実施例4のナノ粒子の発熱特性解析の結果を示す写真とグラフである。 実施例5の細胞レベルでのカルシウム動態の熱的制御の様子を示す写真である。 実施例6のがん細胞の高速アポトーシス誘導の様子を示すグラフと写真である。 実施例7の骨格筋細胞の熱刺激による収縮誘導の様子を示すグラフと写真である。 実施例8の発熱体粒子を用いた脂肪燃焼促進の結果を示す写真とグラフである。 実施例9の発熱色素の合成スキームである。 実施例9の発熱色素の局在を示す写真である。 実施例9の小胞体標的発熱色素の発熱機能評価の結果を示す写真とグラフである。 実施例10の吸熱体を使った温度制御の様子を示す写真である。
本発明の微小空間の加温方法は、光、磁場、電場、音波などの外部から与えられたエネルギーを熱に変換する発熱材料と、温度に応じた光、磁場などの物理的信号を発する温度検知材料とを用いる。はじめに、発熱材料と温度検知材料を加温対象物の近傍に配置する。つぎに、発熱材料に外部からエネルギーを与えて発熱材料を発熱させ、温度検知材料により発せられた物理的信号を観測し、その物理的信号に基づき温度検知材料の温度を検出する。そして、温度検知材料により検出された温度に基づき発熱材料に与えるエネルギーの量を調節することにより、発熱材料の発熱を制御する。これにより、細胞や生体組織などのウェットな生体試料において、ナノ・マイクロスケールの定量的な熱的制御を自在に行うことができる。すなわち、熱源となる「その場」の温度を計測しながら、発熱を自在に制御できる。
本発明の方法では、発熱材料が配置されたその場で生じた温度変化を、温度検知材料を用いて計測する。ここで、ある場所に発熱材料の熱源があると仮定して、その熱源から実際に温度を計測する場所までの距離をL、その場所で検出される温度変化をΔT(℃)、熱伝導係数をk、熱量をPとすると、次式が成り立つ。
ΔT=P/kL
ΔTはLに反比例して変化することから、理想的には熱源と温度測定の場所は、同じでなければならない。したがって、好ましくは、発熱材料からの距離がゼロの場所に温度検知材料を配置し、温度検知材料により温度を計測する。この熱源直下での計測が重要である。
本発明の発熱体は、外部から与えられたエネルギーを熱に変換する発熱材料と、温度に応じて変化する物理的信号を発する温度検知材料とを備えたものであり、この発熱体を用いて本発明の方法を実施することができる。本発明の発熱体は、発熱材料と温度検知材料を共存させるためのマトリックス材料をさらに含んでもよい。例えば、本発明の発熱体は、発熱材料と温度検知材料がマトリックス材料中に封入された粒径が10μm以下の粒子とすることができる。本発明の発熱体は、本発明の微小空間の加温方法に好適に用いられる。
なお、本発明の微小空間の加温方法は、本発明の発熱体を用いなくとも実施可能である。
以下、本発明の微小空間の加温方法と本発明の発熱体に用いられる発熱材料、温度検知材料等について、具体的に説明する。
[発熱材料]
光、磁場、電場、音波などの外部から与えられたエネルギーを熱に変換する発熱材料としては、近赤外線レーザーを熱に変換する光熱変換材料、交流磁場を熱に変換する磁性材料などが挙げられる。
近赤外線レーザーを熱に変換する光熱変換材料としては、例えば、金属材料、蛍光色素などが挙げられる。
光熱変換材料として用いられる金属材料としては、金、白金、酸化鉄、銀などが挙げられ、その形状は、球状粒子やロッド状粒子であってもよい。球状粒子の場合は、例えば、直径が1nm〜10μmのもの、ロッド状粒子の場合は、例えば、直径が10〜50nmであって長さが20nm〜10μmのものを用いることができる。
光熱変換材料として用いられる蛍光色素としては、蛍光色素全般が該当する。蛍光色素のエネルギー放出過程は、光照射による励起後に蛍光を伴う輻射過程と、蛍光を伴わない無輻射過程に分かれるが、多かれ少なかれ、いずれの蛍光色素も光エネルギーを熱に変換する性質を持つ。そのため、蛍光色素全般が、光照射による発熱材料の対象となる。その中でも、近赤外の波長域に吸収帯を持つインドシアニングリーン誘導体などのシアニン系色素、及び、ポルフィリン、ナフタロシアニン、フタロシアニン、クロロフィル誘導体などのポルフィリン系色素、などが発熱材料として好適に用いられる。また、これらの色素は、いずれも、ピロール分子が環状に連なる化合物であるが、直鎖状につながるポリピロールを始めとする紫外から近赤外域に吸収をもつπ共役系高分子も、発熱材料として使用することができる。さらに、ナノチューブ、グラフェン、ナノホーン、フラーレンなどのカーボンナノ材料など、紫外から近赤外域に渡って広域に光を吸収する材料も、発熱材料として使用することができる。
なお、上記の発熱材料は、メルク(Sigma-Aldrich)、東京化成、関東化学、ナノパーツ(Nanopartz)などから購入できるものや、或いは、これらを改変して合成したものを用いることができる。
交流磁場を熱に変換する磁性材料としては、酸化鉄などの金属材料を用いることができる。また、酸化鉄は、マイクロ波を熱に変換する材料としても用いることもできる。
[温度検知材料]
温度に応じた物理的信号を発する温度検知材料としては、蛍光強度、蛍光寿命、蛍光波長、励起波長、蛍光偏光などの蛍光特性、燐光強度、燐光寿命、燐光波長、励起波長、燐光偏光などの燐光特性、及び、緩和時間、拡散係数、化学シフトなどの核磁気共鳴に関わる特性が温度依存性を有する材料などが挙げられる。蛍光特性や燐光特性は、蛍光顕微鏡により観測することができ、核磁気共鳴に関わる特性は、MRIやNMRなどの核磁気共鳴装置により観測することができる。
蛍光特性の温度依存性を有する材料としては、蛍光色素(Arai S et al. Chem Commun. 2015, 51: 8044-8047.;Arai S et al. Sci Rep 2014, 4: 6701.)、蛍光タンパク質(Kiyonaka S et al. Nat. Methods 2015, 12: 801-802.;蛍光温度プローブおよびそれを用いた温度測定装置、PCT/JP2010/060788)、蛍光色素を埋め込んだポリマー粒子(Okabe K et al. Nat Commun 2012, 3: 705.;細胞内の温度を測定するためのレシオ型蛍光プローブ、特願2014-104567;Takei Y et al. ACS Nano 2014, 8: 198-206.)、Qドット(Yang J et al. ACS Nano 2011, 5: 5067-5071.)、ナノダイヤモンド(Kucsko G et al. Nature 2013, 500: 54-58.)、カーボンナノドット(J. Mater. Chem. B, 2017, 5, 3383-3390.)などが挙げられる。これらは、温度変化に応じて、蛍光や燐光の強度、寿命、波長などの特性が変化する。
核磁気共鳴に関わる特性の温度依存性を有する材料としては、水分子を用いることができ、水分子の水素結合の温度による状態変化、例えば、緩和時間T1の変化などが指標となる(的崎健, BME Vol.2, No.3, 1988.)。
[マトリックス材料]
本発明の発熱体に用いられ、発熱材料と温度検知材料を共存させるためのマトリックス材料としては、発熱材料と温度検知材料を同時に封入することができるものが好適に用いられる。このようなマトリックス材料の例としては、ポリエチレン、樹脂、ポリエステル、PET、ポリ塩化ビニル、ナイロン、合成ゴムなどの合成高分子のほか、タンパク質、DNA、セルロース、多糖類などの天然高分子、及び、シリコーン、ガラスなどの無機の高分子が挙げられる。マトリックス材料としては、これらほかに、分子集合体のビルディングブロックになりうる脂質、ペプチド、核酸などが挙げられる。これらは、ミセル、リポソーム、液晶、LB膜、超分子ゲル、デンドリマーなどの分子集合体を形成し、発熱材料と温度検知材料を共存させる場を提供する。
[発熱体]
本発明の発熱体は、上記の発熱材料、温度検知材料を混合し、必要に応じてさらに上記のマトリックス材料を混合することにより得られる。本発明の発熱体の形態の代表的なものは、ナノ・マイクロサイズの粒子形状である。このほか、本発明の発熱体の形態は、合成ポリマーや無機材料を用いて発熱材料と温度検知材料を埋め込んだ粒子(Nanoprecipitation法)、リポソームやミセルの疎水環境に発熱材料と温度検知材料を埋め込んだ粒子やロッドの形態などであってもよい。また、高分子薄膜、エレクトロスピニング法によるファイバーなどの形態であってもよい。
本発明の発熱体には、上記の発熱材料、温度検知材料、マトリックス材料のあらゆる組み合わせが含まれるが、空間解像度や時間分解能を考慮すると、発熱材料として近赤外レーザー光を熱に変換する金属や有機色素、温度検知材料として温度に応じた強度の蛍光を発する蛍光温度計分子を選択し、これらを組み合わせるのが最も好ましい。本発明の発熱体の代表的な実施例を示す概念図を図1に示す。この発熱体は、マトリックス材料の粒子の中に発熱材料と温度検知材料が組み込まれており、発熱機能と温度計測機能を有する粒子型の点熱源として使用される。
[生体試料の微小空間の定量的加温方法]
本発明の微小空間の加温方法を生体試料に適用する場合、本発明の発熱体を用いて実施することができるが、本発明の発熱体を用いずに、発熱材料と温度検知材料をそれぞれ加温対象物の近傍に配置して実施することもできる。
例えば、図2に示すように、細胞小器官が加温対象物の場合は、発熱材料に、細胞小器官へのターゲット能を付与する分子構造を導入することで、発熱材料を細胞小器官に集積させることができる。ここで、外部からのエネルギーの注入により、細胞小器官を熱源に変換したり、熱ストレスを負荷することができる。さらに、熱源と同じ場所に、温度検知材料を後から加えることで、リアルタイムでその場の温度変化のモニタリングが達成できる。また、発熱材料、細胞小器官へのターゲット能を付与する分子構造、温度検知材料のすべてを化学的に結合した材料を合成し、或いは、本発明の発熱体に細胞小器官へのターゲット能を付与する分子構造を導入することによっても、本発明の微小空間の加温方法を実施することができる。
生体試料が加温対象物の場合、細胞膜の透過性を考慮すると、発熱材料のサイズは10nm以下であることが望ましい。また、毒性の低い材料であることが望ましい。そのような発熱材料としては、例えば、シアニン系色素、ポルフィリン系色素などの有機の蛍光色素や、ナノサイズの酸化鉄などが挙げられる。
細胞小器官へのターゲット能を付与する分子構造としては、ミトコンドリアに対しては、トリフェニルホスフィンカチオン(TPP)、塩化デカリニウム、フルピルティン誘導体、MKT−077誘導体、カチオン性色素全般、ミトコンドリア標的ペプチド(MTS:MLRAALSTARRGPRLSRLL)などが挙げられる。また、エンドソームとリソソームに対しては、脂溶性のアミンや弱塩基、50〜500nmの粒子など、小胞体に対しては、KDELシーケンス、BODIPYを中心とする小胞体指向性の色素など、ゴルジ体に対しては、セラミドなど、細胞膜に対しては、疎水性のオレイン酸を持つポリエチレングリコールなど、核に対しては、核標的ペプチド(KRPAATKKAGQAKKKL)、ヘキストなどの蛍光色素などが挙げられる。
また、生体分子レベルで、発熱材料を導入する場合には、Halo−tagシステム(プロメガ)、His−tagシステム、アビジンビオチンシステム、抗原−抗体システムなどによることができる。好ましい方法としては、発熱機能の安定している発熱材料であるバナジル2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン誘導体に専用のリガンドを化学結合で導入し、標的となるタンパク質にHalo−tagタンパク質を融合する。これにより、リガンドを介して、標的とするタンパク質に発熱体を付与することができる。
温度検知材料としては、蛍光温度センサーが好適に用いられ、特に、細胞小器官を標的にする蛍光色素、蛍光タンパク質、蛍光色素を埋め込んだポリマー粒子などが好ましく用いられる。
[がんの温熱療法への応用]
今までのがんの温熱療法は、生体組織全体をマクロなスケールで、どのように加温するかに重点が置かれていたが、細胞小器官レベルで加温する、という検討は全く行われていなかった。理論的には、細胞の増殖等に関わる核、エネルギー供給源のミトコンドリア、タンパク質の合成等に関わる小胞体などに直接ダメージを与えた場合、今までに無い治療効果を最大化できる可能性が期待できる。また、今までの温熱療法では、加温に時間をかけすぎて火傷を誘発する、或いは、熱ショックタンパク質(HSP)が発現して細胞機能を保護し、がん治療の効果を下げてしまう(頻回適用の不可)などの問題があった。本発明によれば、例えば、HSPの発現の前に超高速で細胞死へ誘導できる可能性がある。また、がん細胞はエネルギー代謝系に正常細胞との大きな違いがあることから(ワーブルグ効果)、細胞の加温の場所を精密に制御することで、正常細胞との差を際立たせた副作用の低い温熱療法の開発へと繋げることができる。
また、内視鏡又は画像ガイド手術などを併用することで、生体深部への応用も期待できる。特に、診断、手術装置の発展は著しく、レーザーや薬を散布するノズルなどを一緒に搭載できることから、本発明の方法を用いたがんの温熱治療は、将来的に実用が見込める。また、がんだけではなく、筋肉疾患(収縮の誘起)や糖尿病の治療や、免疫療法との併用なども魅力的である。
[細胞機能の改変への応用]
細胞内は、酵素反応は無論、核酸やタンパク質などの柔らかい構造、脂質の相転移現象に到るまで、熱力学の法則に厳密に従っている。もし、それぞれの要素に対して、熱的なストレスを選択的、かつ、定量的に加えることができたならば、本発明の方法は、普遍性の高い生命機能の制御方法となることが理論的に予測される。例えば、医療応用で例を上げると、患者の細胞を一度、生体外に取り出し、これを培養して体に戻す治療法が注目されている。ここに本発明を組み合わせることで、免疫機能を増強した細胞を戻せば、新しい免疫治療法の開発に繋がる。また、医療応用以外にも、大腸菌や酵母などにも、本発明を適用できる。これにより、生産性を著しく高めた大腸菌や酵母を生み出し、生物工学的な工業プロセスでも、飛躍的な生産性の向上などにつなげることが期待できる。また、シンプルに、標的とする細胞小器官を選択的に破壊し、様々な細胞の代謝物や遺伝子などの解析をスムーズに行うことも可能になる。
[微小空間の減温方法及び吸熱体]
本発明の微小空間の加温方法及び発熱体における発熱材料を吸熱材料に置き換えることで、微小空間を減温することも可能である。
例えば、外部の熱を吸収する吸熱材料と、温度に応じて変化する物理的信号を発する温度検知材料を粒子に封入して吸熱体とし、この吸熱体を減温対象物の近傍に配置する。これにより、吸熱により冷やされた微小空間の温度を計測することが可能である。さらに、この吸熱体の粒子に対して、外部から化学的、或いは、物理的に刺激を加えることで、吸熱反応を開始させることができれば、オンデマンドで、その微小空間の減温を制御することができる。なお、ここでいう吸熱材料には、蓄熱材料も含まれる。具体的には、吸熱材料も、蓄熱材料も、熱を吸収するという点で、同じ材料を用いることができる。吸熱材料、蓄熱材料は、主に物質の相転移温度を利用したものが多いが、例えば、以下のものが挙げられる。
1)酢酸ナトリウム3水和物、硫酸ナトリウム10水塩など、結晶から液体への相転移により吸熱する無機物。
2)n−テトラデカン、n−オクタデカン、n−イコサン、ステアリン酸、エリスリトールなどの相転移により吸熱する有機物。
以下、本発明の実施例に沿って、本発明の微小空間の加温方法及び発熱体並びに微小空間の減温方法及び吸熱体について、より具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
[発熱体粒子の作製]
図3に示すように、ポリマーの直径10nm〜10μmのナノ・マイクロ粒子の中に、蛍光温度センサー、すなわち、温度検知材料として機能する色素であるユーロピウム錯体(EuDT)と、近赤外レーザーを照射することで熱を生みだす発熱材料としてバナジルナフタロシアニン(V−Nc)を封入した。粒子は、公知の合成法(Nanoprecipitation法、S. M. Borisov et al., Talanta 79, 1322-1330 (2009))を用いて合成した。この合成法によれば、サイズの異なる粒子を得ることができる。
発熱体粒子を構成する材料として以下の材料を準備した。
PMMA−MA:ポリ(メチルメタクリレート−コ−メタクリル酸)(数平均分子量Mn:34000、Sigma-Aldrich Cat. No. 376914)
EuDT:Eu−トリス(ジナフトイルメタン)−ビス−トリオクチルホスフィンオキシド(文献に従い合成、Adv. Mater., 1999, 11, 1349-1354.)
V−Nc:バナジル−2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン(Sigma-Aldrich Cat. No. 432962)
THF:テトラヒドロフラン(Sigma-Aldrich Cat. No. 401757)
5mgのPMMA−MA、2.5mgのEuDT、0.88mgのV−Ncを1mlのTHFに溶かした。この溶液に、8mlの純水を1秒以内で素早く加え、ボルテックスミキサー等を用いずに、緩やかに攪拌した。この溶液を23℃の室温で終夜静置し、有機溶媒を蒸発させて除去した。動的光散乱(Malvern Zetasizer ZSP)で同定した結果、得られた粒子の粒径は、164±60nmであった(以降、このナノサイズの粒子をV−NanoPと称する。)。また、手順を変更し、同じTHFの溶液を、8mlの純水に滴下して加えたところ、粒径が0.8〜1.0μmのマイクロサイズの粒子を得た(以降、このマイクロサイズの粒子をV−MicroPと称する。)。
[種々の発熱材料を用いた発熱体粒子の作製]
実施例1では、発熱材料としてV−Ncを用いて発熱体粒子を作製したが、このほかに、発熱材料として別の2つの色素を用いて発熱体粒子を作製した。
発熱材料として、Si−Nc(シリコン2,3−ナフタロシアニンビス(トリヘキシルシリルオキシド)、Sigma-Aldrich Cat. No. 389935)、IR−780(2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−プロピル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−3,3−ジメチル−1−プロピルインドリウムヨージド、IR-780 iodide, Sigma-Aldrich Cat. No. 425311)を用いたほかは、実施例1と同じ方法で発熱体粒子を作製した。動的光散乱(Malvern Zetasizer ZSP)で同定した結果、Si−Ncを用いて作製したナノ粒子の粒径は230±80nm、IR−780を用いて作製したナノ粒子の粒径は150±50nmであった。
[発熱材料の評価]
V−Nc、Si−Nc、IR−780の溶液にそれぞれ近赤外レーザー(波長808nmの連続発振レーザー、スポットサイズ5mmΦのコリメートレンズ、Photonitech社製、出力570mW)を図4の左に示す実験装置を用いて照射し、A)1重項酸素の生成能(Singlet Oxygen Sensor Green, Thermo Fisher, 励起/蛍光波長:504/525nm)、B)溶液の温度上昇の2つの観点で評価した。
発熱材料として機能する3つのそれぞれの色素をTHFと水を1:10の体積比で混合した溶媒に溶解して得た濃度0.1mg/mlの溶液に、1重項酸素センサー(Singlet Oxygen Sensor Green, Thermo Fisher)をその終濃度が10μMになるように加え、光照射によって生じる1重項酸素の発生量を経時的に解析した。その結果を図4Aに示す。Si−Ncが1重項酸素を最も多く生成することが明らかになった。それに対し、V−Ncは、1000秒照射後も1重項酸素の生成はあまり見られなかった。
また、同様に、色素の溶液を作製後、同じエネルギー(出力570mW)の光照射を加えた際のバルク状態での温度上昇の経時変化を、熱電対型温度計で計測した。その結果を図4Bに示す。温度上昇の点では、3つの色素に有意な差は、ほとんど無かった。
また、いずれの評価実験においても、IR−780に関しては、光照射により化学構造が壊れやすい傾向が見られた。
以上の結果より、それぞれの発熱材料を用いて作製された発熱体の特性をまとめると、以下のとおりとなる。
[V−Ncを用いた発熱体]
1重項酸素がほとんど発生せず、熱だけを特異的に生み出すことができる。生体に応用した場合、1重項酸素の発生は活性酸素の産生につながるため、系が複雑化する上、正常な細胞に炎症などの好ましくない反応を引き起こす原因となりうる。熱だけを安定して生み出すことのできる点は、幅広い応用分野において好ましい特性である。
[Si−Ncを用いた発熱体]
熱に加えて、積極的に1重項酸素を生み出すことで、がん細胞を死滅させる際には、相乗的に機能することが期待される。光照射によるがん細胞死滅という限られた応用範囲においては有効である。
[IR−780を用いた発熱体]
1重項酸素はほとんど産生せず、熱を生み出すことができる反面、V−Ncを用いた発熱体やSi−Ncを用いた発熱体に比べて、化学的な安定性に劣る。ただし、FDAに認可されているインドシアニングリーン(Indocyanine Green)と骨格構造が酷似しているため、実際の生体への応用に最も近い発熱体となる可能性がある。
[発熱体粒子の加熱と温度変化の検出]
発熱材料と温度検知材料を含む発熱体粒子を用いて、発熱体粒子の温度変化を検出した。
図5の左上に示すように、発熱材料のIR−780と温度検知材料のEuDTを含む発熱体である粒径150nmのナノ粒子を、ガラスボトムディッシュ(Iwaki製)に純水で希釈した状態で、100×100μmの空間に数個程度の密度で播種した。つぎに、共焦点蛍光顕微鏡を用いて粒子の蛍光を観察しながら、IR−780の吸収特性に適合する波長の近赤外レーザー光を照射してIT−780を加熱した。共焦点蛍光顕微鏡と近赤外レーザー照射には、それぞれ、FV1200(オリンパス社製)とIR−LEGO(シグマ光機、Custom Infrared Laser-Evoked Gene Operator, 波長808nm、レーザーの発振元の部分で出力500mW)を用いた。なお、以下の実施例において、顕微鏡はすべてFV1200を用いた。また、波長405nmのレーザー光による励起により粒子から発せられるEuDTの蛍光は、575−675nmのフィルターを使用して観測した。蛍光の画像を図5の右上に示す。
その結果、近赤外レーザーを照射している間は、EuDT由来の蛍光強度が減少し、レーザーをオフにすると、2秒以内に蛍光強度が元に戻った。EuDTは、図5の左下に示すように、温度の上昇に伴い蛍光強度が減少する特性を持ち、温度1度の上昇につき、約3%の蛍光強度が減少する。図5の右下に示すように、近赤外レーザーの照射に伴って蛍光強度がステップ状に変化した。これは、近赤外レーザーの照射により温度の上昇が即時に起き、そして、近赤外レーザーの照射をやめたことで、即時に周りの水へ熱が拡散して温度が下降して元の温度に戻ったことを示している。また、発熱体を含まない水に波長808nmの近赤外レーザーを照射しても、水が温まることはなかった。このことから、発熱材料によって熱が生み出されていることが確認された。
[サイズの異なる発熱体粒子の加熱と温度変化の検出]
1重項酸素の生成を抑えながら熱を生み出し、光安定性にも優れる粒子の例として、粒径164±60nmのV−NanoPと、粒径0.8〜1.0μmのV−MicroPを取り上げ、それらの実際の機能を評価した。評価の方法は実施例3と同様とした。
その結果を図6に示す。サイズの異なるナノ、マイクロ粒子においても、近赤外レーザー光の繰り返し照射で、ステップ状に蛍光温度センサーの蛍光強度が応答した。さらに、繰り返し使用できる耐久性を持ち、レーザー照射に応答して1〜2秒以内に熱源を作ることができることが確認された。
つぎに、この粒子の発熱が、どれくらいの範囲へ影響を及ぼすか、粒子を取り囲む周辺の水溶液の温度を測定した。このために、ガラスボトムディッシュの溶液に、異なる色の蛍光温度センサーである青色蛍光タンパク質(EBFP)(50μM、励起波長405nm、蛍光フィルター425−475nm)を加え、熱源直下の温度を測定すると同時に、周辺の温度分布もあわせて測定した。なお、EBFPは、EuDTと同様に、温度上昇に伴い、蛍光強度が減少するタイプの蛍光温度センサーである。
その結果、図7に示すように、マイクロサイズの粒子であるV−MicroPは、粒子の中心から1ミクロン程度の距離(ROI1とROI2)まで、照射中に僅かに蛍光強度が減少し、温度変化が起きていることが示された。これに対して、図8に示すように、ナノサイズの粒子であるV−NanoPは、粒子の中心のスポットのみに温度変化が生じ、少なくとも光学顕微鏡レベルでの解像度においては、粒子近傍における温度変化は見られなかった。これにより、V−NanoPは、標的に対して極めて限定的な加温ができることが示された。
[発熱体粒子の細胞への応用1:細胞内のカルシウム動態の熱的制御]
ナノサイズの粒子であるV−NanoPを用いて、細胞の中に定量的に制御可能な熱源を作り、この熱源により細胞の機能を制御することについて検討した。
実験に用いたHeLa細胞は、ATCC(American Type Culture Collection)から購入した。培養には、ウシ胎仔血清(10%)、ペニシリン(100IU/mL)/ストレプトマイシン(100μg/mL)を添加したDMEM(グルコース4.5g/L)を用い、37℃、5%CO雰囲気下で培養を行った。この細胞を、直径3.5cmのガラスボトムディッシュ(Iwaki製)に、70−80%コンフルエントになるように播種して用意した(2mlのDMEM)。このディッシュに、V−NanoPの溶液(実施例1で作製したもの)を10μlを添加し、30分間、37℃、5%CO雰囲気でインキュベートした。このとき、蛍光カルシウムセンサー(Fluo4、AM,Cat No. F14201,1mM DMSO溶液)を終濃度が1μMになるように加えて、同時にインキュベートした。この後、実施例3で用いた顕微鏡のセットアップを用いて細胞を観察した。カルシウムセンサーは、473nmレーザーの励起により、蛍光波長500−530nmで観察した。細胞表面に1粒子が付着した場所を選び、近赤外レーザーを照射することで、熱刺激に伴う、カルシウム動態の変化を観察した。
その結果、図9に示すように、スポットの熱源を起点に、カルシウムのウェーブ(Wave)が起きることが明らかになった。熱源の温度は、EuDTの蛍光強度変化から5.4℃の上昇と見積もられた(実験中のチャンバーの温度は37℃)。
細胞の狙った場所を起点にカルシウム動態を制御できる技術は、例えば、神経細胞へ応用できれば、神経発火などを空間的に制御できる技術へと発展できる可能性がある。
[発熱体粒子の細胞への応用2:がん細胞の高速アポトーシス誘導]
V−NanoPをがん細胞に導入した後、近赤外レーザーの出力を50mWから520mWに変えながら、細胞を共焦点顕微鏡で観察した。なお、この出力値はレーザーデバイスのレーザー射出口のすぐ傍の値であり、実際にサンプル到達時には、0.8mWから8.9mWとなっていた。また、アポトーシスが起きたときに、蛍光強度が増加するマーカー(Thermo Fisher, Caspase-3/7 Green,終濃度1μM)を同時に細胞に導入した。
その結果、図10に示すように、レーザーパワーを400mWにしたところで、アポトーシスマーカーの蛍光強度が上昇していく様子が観察された。熱源で起きる温度変化は、EuDTの蛍光強度の変化から約9℃の上昇と概算された(実験中のチャンバーの温度は37℃)。細胞死に伴い形状が変化したことで、温度測定に若干の不確実さが生じたが、ある温度の閾値を越えたところで細胞死が始まることを観察することに成功した。こうした細胞の形状変化が与える温度測定への影響は、例えば、蛍光温度センサーをレシオメトリック型にすることで改善可能である。
細胞全体を暖めるのではなく、スポットサイズの熱源を作り、これがある一定の温度の閾値を越えることで細胞死を誘導できたことは、がんの温熱治療の精度や効果、副作用を議論する上で、極めて有用な知見となる。
[発熱体粒子の細胞への応用3:骨格筋細胞の熱刺激による収縮誘導]
C2C12筋芽細胞をATCC(American Type Culture Collection)より購入した。培養は、実施例5と同じプロトコールで行った。直径3.5cmのガラスボトムディッシュ(Iwaki製)をコラーゲンIウシタンパクでコーティングし、C2C12筋芽細胞を播種した。その後、適切なタイミングで、筋管に分化誘導するために、ウシ胎仔血清(10%)のかわりに2%の馬血清を加えて、2日におきに培地交換を行った。筋管が形成されたところで、V−NanoPを10μl振りかけ、3時間以上、37℃、5%CO雰囲気でインキュベートした。
図11に示すように、近赤外レーザーのオン、オフを繰り返したところ、蛍光温度センサーの蛍光強度がステップ状に変化した。また、これに応答して、可逆的な筋肉の収縮が確認された。EuDTの蛍光強度変化から算出した温度変化(ΔT)は8.2℃であった(実験中のチャンバーの温度は37℃)。これにより、1粒子と近赤外レーザーを組み合わせて、筋肉の収縮のリモート制御ができる可能性を示すことができた。
[発熱体粒子の細胞への応用4:発熱体粒子を用いた脂肪燃焼促進]
実施例5と同じプロコトールで白色脂肪細胞(3T3−L1)を培養した。この細胞を、実施例5と同様に、直径3.5cmのガラスボトムディッシュ(Iwaki製)に播種して、V−NanoPの溶液を添加しインキュベートしたところ、V−NanoPは細胞に取り込まれた。このとき、脂肪細胞の脂肪油滴を染色するために、緑色の蛍光色素(Nile Green、Funakoshi)を加えて、同時にインキュベートした。この後、顕微鏡で観察しながら808nmの近赤外レーザーを照射し、V−NanoPの温度を約45℃まで上昇させ、この温度が上昇したV−NanoPに隣接する脂肪細胞の脂肪油滴の蛍光強度の変化を観察した。
その結果、図12に示すように、時間の経過とともに脂肪油滴の蛍光強度が減少していった。このことから、V−NanoPを熱源として脂肪細胞を加熱することによって、脂肪細胞の脂肪油滴のサイズが減少することが明らかになった。V−NanoPが発する熱により、細胞内のエネルギー代謝を促進させることができることが示された。
[小胞体やミトコンドリアを標的にした発熱材料の化学合成]
小胞体やミトコンドリアを標的にした発熱材料を得るために、発熱色素であるIR−780(インドシアニングリーン誘導体)に、小胞体(ER)やミトコンドリアへのターゲット能を付与する分子構造を化学合成により導入した。合成スキームは図13に示すとおりである。合成に用いた溶媒、試薬は、シグマ・アルドリッチから購入した。
[小胞体標的発熱色素の合成]
40mgのIR−780と、26mgの4−メルカプトフェニル酢酸を4mlのDMSOに溶解し、室温で2日間攪拌した。反応終了後、反応液を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液500mlに滴下し、沈殿物を回収した。回収した沈殿物を水、ヘキサンで洗浄し、残った固体を回収した。得られた小胞体標的発熱色素は15mg、収率28%であり、その特性は以下のとおりであった。
H NMR(DMSO)σ:8.84 (2H, d), 7.09-7.36 (16H, m), 4.05 (4H, t), 3.40 (2H, s), 2.78 (4H, m), 2.04 (2H, m), 1.86 (4H, m), 1.51 (12H, s), 1.05 (6H, s).
[ミトコンドリア標的発熱色素の合成]
5mgの小胞体標的発熱色素、縮合剤として3.1mgのDMT−MM、2.9mgのジイソプロピルアミン、ミトコンドリアターゲットシグナルトリフェニルホスフィン誘導体(TPP誘導体)として9.0mgのN−(3−アミノ−プロピル)−4−(トリフェニルホスファニル)ブチルアミドを、1mlのメタノールに溶解し、終夜で攪拌した。反応終了後、分取TLCで精製し、4.6mgのミトコンドリア標的発熱色素の粗製物を得た。収率は48%であった。
[発熱色素の局在の確認]
実際に、市販のオルガネラトラッカー(小器官の蛍光染色剤)を用いて、合成した2つの色素の局在を確認した。ミトコンドリアの同定には、ミトトラッカーグリーン(MitoTracker Green(ThermoFisher))、小胞体の同定にはERトラッカーグリーン(ER Tracker Green(ThermoFisher))を用いた。
実施例5と同様に、HeLa細胞を直径3.5cmのガラスボトムディッシュ(Iwaki製)に、50%コンフルエントになるように播種した(2mlのDMEM)。このディッシュに、オルガネラトラッカーの終濃度が500nM、発熱色素が1μMになるように滴下し、30分間、37℃、5%CO雰囲気でインキュベートした。
その結果、図14に示すように、合成した近赤外吸収を有する色素は、狙ったとおり、それぞれ、小胞体とミトコンドリアを標的にすることが確認された。
[小胞体標的発熱色素の発熱機能の評価]
小胞体標的発熱色素の発熱機能を評価した。小胞体標的発熱色素の終濃度が1μM、小胞体の温度を蛍光強度変化で計測できる蛍光温度センサー(ER thermo yellow)の終濃度が500nMになるように、HeLa細胞を播種したディッシュに小胞体標的発熱色素と蛍光温度センサーを滴下し、30分間、37℃、5%CO雰囲気でインキュベートした。
その後、顕微鏡観察しながら、近赤外のレーザーを照射したところ、図15に示すように、レーザーを照射している間は蛍光強度が減少し、レーザーのスイッチをオフにすると蛍光強度が元に戻り、蛍光強度がステップ状の変化を示した。この蛍光温度センサー(ER thermo yellow)は、温度の上昇と共に、蛍光強度が減少するタイプの温度センサーである。したがって、レーザー照射に伴い、約0.5℃程度の温度変化を検出することに成功した。
これにより、核、ミトコンドリア、細胞膜、小胞体、ゴルジ体など、様々な細胞小器官を特異的かつ定量的に加温できる可能性があることを示すことができた。
[吸熱体を使った温度制御]
吸熱材料としてn−イコサンを主成分とするノルマルパラフィン、温度検知材料としてユーロピウム錯体(EuDT:Eu−トリス(ジナフトイルメタン)−ビス−トリオクチルホスフィンオキシド)、光を吸収して熱を放出する光熱変換材料(V−Nc:バナジル−2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン(Sigma-Aldrich Cat. No. 432962))、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を準備した。
10mgのノルマルパラフィン、10μlのEuDTのTHF溶液(2mg/ml)、10μlのV−NcのTHF溶液(2mg/ml)を混合し、その後、THFを完全に蒸発させてペースト状の材料を得た。このペースト状の材料を65℃に加熱したオーブン内に3分間静置し、ノルマルパラフィンを液化させた。このノルマルパラフィンが液化した状態で、このペースト状の材料をスライドガラス上に塗布した。そして、そのまま室温まで冷却することにより、再びノルマルパラフィンを固化させ、目的とする吸熱体を得た。なお、本実施例の吸熱体には、吸熱体の特性を調べるためにV−Ncを混合した。
つぎに、本実施例の吸熱体の特性を調べるために、この吸熱体に808nmの近赤外線レーザー(NIRレーザー)を照射した。その結果、この吸熱体は、図16に示すように、マイクロスケールのNIRレーザーの照射領域のみにおいて、V−Ncから発生した熱を吸収して、固体から液体への相転移を示した。このときの温度は、EuDTの蛍光強度変化から38℃程度であると見積もられた。このことから、本実施例で作製した吸熱体は、顕微鏡観察できるマイクロスケールの微小空間で熱を吸収する特性を有することが明らかになった。
このように、本実施例の吸熱体をそれ自身より温度が高い物体(細胞や組織など)に触れさせることで、吸熱体の相転移に伴ってその物体の熱を吸収させることが可能であり、本実施例の吸熱体は、微小空間の減温方法に利用可能であることが示された。
なお、融点の異なるノルマルパラフィンを用いることで、吸熱体の相転移温度の閾値を変えることも可能である。例えば、本実施例で用いたn−イコサンを主成分とするノルマルパラフィンは、n−イコサンの融点が36.8℃近傍であることから吸熱体の相転移温度の閾値は38℃程度であったが、融点が4.9℃であるn−テトラデカンを主成分とするノルマルパラフィンを用いることにより、吸熱体の相転移温度の閾値をn−テトラデカンの融点近傍とすることができる。

Claims (3)

  1. 細胞小器官へのターゲット能を付与する分子構造が導入され、外部から与えられたエネルギーを熱に変換する発熱材料と、温度に応じて変化する物理的信号を発する温度検知材料とを加温対象物(人体を除く)の近傍に配置するステップと、前記発熱材料に外部からエネルギーを与えて前記発熱材料を発熱させ、前記温度検知材料により発せられた物理的信号を観測することにより前記温度検知材料の温度を検出するステップと、前記温度検知材料により検出された温度に基づき前記発熱材料に与えるエネルギーの量を調節するステップとを備え、前記発熱材料は外部から与えられた光エネルギーを熱に変換する第1の蛍光色素であり、前記温度検知材料は温度に応じて強度が変化する蛍光を発する第2の蛍光色素であって、前記発熱材料は、
    Figure 0006919923
    又は
    Figure 0006919923
    であることを特徴とする微小空間の加温方法。
  2. 細胞小器官へのターゲット能を付与する分子構造が導入され、外部から与えられたエネルギーを熱に変換する発熱材料と、温度に応じて変化する物理的信号を発する温度検知材料とを含み、前記発熱材料は外部から与えられた光エネルギーを熱に変換する第1の蛍光色素であり、前記温度検知材料は温度に応じて強度が変化する蛍光を発する第2の蛍光色素であって、前記発熱材料は、
    Figure 0006919923
    又は
    Figure 0006919923
    であることを特徴とする発熱体。
  3. 粒径が10μm以下の粒子であることを特徴とする請求項記載の発熱体。
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