JP6917766B2 - 刺激付与装置及び刺激付与用プログラム - Google Patents

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本発明は、映像を利用して筋肉に刺激を与える刺激付与装置及び刺激付与用プログラムに関する。
従来から、例えば3D仮想現実(VR)環境を生成するコンピュータを用いて、記憶障害を改善する手法が試みられている。特許文献1には、3D仮想現実環境において、軽度の認知障害の患者のトレーニングを行う技術が開示されている。この特許文献1に記載の技術では、脳の海馬(HPC)領域に刺激を与えるようにVRゴーグルを装着した患者に仮想迷路における物品探索等の仮想探索課題を与え、トレーニングを行っている(段落0037等)。
また、医療現場においては、認知症等の脳疾患に対して筋力トレーニングを取り入れたリハビリテーションが行われている。このようなリハビリテーションは、筋力トレーニングによって、脳の神経細胞を刺激することにより脳機能を活性化させることを目的としている。
一般に、この種のトレーニングの領域においては、筋肉を刺激することにより脳の壊れた領域に幹細胞が集まり、脳細胞が再生されると考えられている。例えば、骨折したところに幹細胞が集まり骨を再生させる例や、骨折したところの痛みが幹細胞を誘導する等の例がこれに該当する。また、幹細胞は、刺激を受けたところに集まる傾向がある。
特表2014−535080号公報
上記特許文献1のように、軽度の認知障害の患者のトレーニングを行う際に3D仮想現実環境を利用する場合、脳の海馬領域に刺激を与える等、患者の脳に直接刺激を与えられることから、一定の効果が期待できる。
一方で、本願発明者等の研究によれば、このような3D仮想現実映像を用いて人の脳に刺激を与えるトレーニングでは、同じ人であってもトレーニングの効果が異なる結果となることが知見されている。よって、単に3D仮想現実映を用いてトレーニングを行うだけでは、平均して高い効果を得られない場合がある。
また、医療現場における筋力トレーニングにおいても、ある程度の効果が立証されているが、トレーニングの仕方によっては筋肉が固くなり、筋肉の硬直によって感覚入力が低下し、脳の活動量が相対的に低下する場合がある。また、筋肉が固くなることで血流も滞りやすくなることがある。
このように筋肉が固くなると、それに応じて認知機能も低下する傾向にあり、脳全体の機能も低下する傾向がみられる。このように脳の働きが低下し、ある程度まで低下すると不適切な言動が少なくなり、医療現場や介護現場での管理がしやすくなる傾向があるが、患者自身の回復にとっては好ましい状態とは言えないという問題がある。
本願発明は、上記課題に鑑み、映像を用いてトレーニングを行う際に、安定してトレーニング効果が得られ、筋力トレーニングのような不都合のないトレーニングが可能な装置及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の刺激付与装置は、被験者に映像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示される映像を制御する表示制御手段とを備え、前記表示制御手段は、被験者を変性意識状態に誘導する誘導映像と、人体において筋肉の起始又は停止が3点以上重なる交差部の位置を示す交差部映像を前記表示手段に表示し、前記交差部映像において交差部の位置を示す映像に変化を与えて、視覚を通じて脳に刺激を与えることを特徴とする。
本発明の刺激付与装置によれば、表示手段に誘導映像を表示させて被験者を変性意識状態に誘導することができ、表示手段に交差部映像を表示させて被験者の実際の交差部に刺激を与えることができる。
性意識状態の解釈には諸説あるが、本願においては、この変性意識状態は、「被験者の交感神経と副交感神経との優位度バランスが中間位となる状態で、脳波が6〜10ヘルツの間にある状態」と定義する。交感神経と副交感神経との優位度バランスが中間位となる状態とは、交感神経(LF)と副交感神経(HF)とから求められるバランス値(LF/HF)が2.0以下の状態を言う。脳波が6〜10ヘルツの間にある状態は、α波とθ波の間にある状態と言い換えることができる。
本願発明者等の研究では、被験者が変性意識状態のときに、人体映像に表された交差部の映像を見ると、その表示されている交差部に対応する被験者の人体部分が活性化することが確認されている。ここで、映像とは、静止画のみならず動画を含む概念であり、スクリーンやディスプレイに表示されるもののみならず、紙等の媒体に印刷されたものも含む概念である。
具体的には、表示手段に表示されている交差部に対応する被験者の交差部をサーモグラフィー等で測定すると、該当する交差部又はその周辺が活性化していることが確認できる。また、本願発明者等の研究によれば、この交差部が活性化すると、交差部から延びる筋肉が弛緩し、その筋肉を取り巻く毛細血管の血流がよくなる等の効果が生じることも確認されている。
このように、本発明の刺激付与装置によれば、被験者が変性意識状態のときに、被験者の視覚に対して刺激を付与することで、被験者の交差部に刺激を与え、被験者に対して筋肉を動かすのと同様の作用効果を与えることができる。これにより、本発明の刺激付与装置では、筋肉の硬直を弛緩させることができ、肩こりや腰痛等の緩和が期待できる。また、脳卒中や認知障害等の患者のリハビリテーション効果も期待できる。
これにより、被験者は、実際には動かない状態であっても、動きのある人体映像における交差部に対応する実際の筋肉に刺激を与えることができる。従って、被験者は映像を見るだけで、運動効果、リハビリテーション効果、トレーニング効果等の種々の効果を得ることができる。なお、リハビリテーション等をしながら幹細胞(プラセンタ等)を含むサプリメントを摂取することも効果を増大させるために有効であると考えられる。
本発明の刺激付与装置においては、誘導映像と交差部映像を順序不同で表示させてもよく、誘導映像を表示させた後に交差部映像を表示させてもよい。即ち、被験者が変性意識状態のときに被験者に交差部映像を見せることができれば、誘導映像と交差部映像の順番は問わない。また、誘導映像を、被験者の視覚における焦点を変更させる映像としてもよい。被験者の視覚において焦点を変更させると、視覚を通じて視神経が刺激され、被験者を変性意識状態に誘導することができる。
また、本発明では、交差部映像を、人体における交差部の位置を示す映像として、交差部映像に変化を与えている。例えば、交差部の位置を示す映像を点滅させたり、色や形状を変化させる等の変化を持たせると、被験者の交差部の活性化が促進されることが確認された。よって、交差部映像に変化を与えることで、被験者の交差部の活性化の効果促進を図ることができる。
また、交差部映像を人体を示す人体映像と共に表示し、この人体映像に被験者との同一性を示す同一性表示を付加してもよい。本願発明者等の検証によれば、被験者が、表示される人体映像が自己の映像であるとの認識を持った際に、交差部の活性化が促進されている。よって、人体映像に被験者との同一性を示す同一性表示を付加することで、被験者の交差部の活性化の効果促進を図ることができる。
本発明の刺激付与用プログラムは、コンピュータを、被験者に映像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示される映像を制御する表示制御手段として機能させ、被験者に刺激を与えるための刺激付与用プログラムであって、前記表示制御手段は、被験者を変性意識状態に誘導する誘導映像と、人体において筋肉の起始又は停止が3点以上重なる交差部の位置を示す交差部を映像化した交差部映像を表示可能であり、前記表示制御手段により、前記誘導映像と前記交差部映像を前記表示手段に表示し、前記交差部映像において交差部の位置を示す映像に変化を与えて、視覚を通じて脳に刺激を与えることを特徴とする。
本発明の刺激付与プログラムによれば、コンピュータを用いて、表示手段に誘導映像を表示させて被験者を変性意識状態に誘導することができ、表示手段に交差部映像を表示させて被験者の実際の交差部に刺激を与えることができる。
本発明の刺激付与用プログラムにおいては、誘導映像と交差部映像を順序不同で表示させてもよく、誘導映像を表示させた後に交差部映像を表示させてもよい。また、誘導映像を、被験者の視覚における焦点を変更させる映像としてもよい。また、交差部映像を、人体における交差部の位置を示す映像としてもよく、交差部映像に変化を与えてもよい。また、交差部映像を人体を示す人体映像と共に表示し、この人体映像に被験者との同一性を示す同一性表示を付加してもよい。
なお、本発明の刺激付与装置、及び刺激付与用プログラムにおいては、被験者の交差部に対して直接刺激を付与する直接刺激行程又は直接刺激手段をさらに備えていてもよい。当該構成によれば、表示手段により表示される交差部映像による視覚的な刺激に加えて、被験者の交差部を直接刺激することにより、被験者の交差部の活性化をさらに促進することができる。
また、本発明の刺激付与装置、及び刺激付与用プログラムにおいて、前記直接刺激行程又は直接刺激手段は、音波を被験者の交差部に照射可能な音波刺激行程又は音波刺激手段としてもよい。このように音波を用いて被験者の交差部に直接刺激を与えることにより、被験者に刺激付加用のパッド等を装着させることなく交差部への刺激を行うことができる。
本発明の実施形態である刺激付与装置(VRゴーグル)を被験者が装着している状態を示す説明図。 図1のVRゴーグルの機能的構成を示す説明図。 (A)及び(B)はディスプレイに誘導映像を表示させている状態を示す説明図。 ディスプレイに人体映像及び交差部映像を表示させた状態を示す説明図。 (A)及び(B)は人体における交差部の位置を示す説明図。 本実施形態の刺激付与装置による方法における第1の実験を行った際の結果を示すグラフ。 本実施形態の刺激付与装置による方法における第2の実験を行った際の結果を示すグラフ。 第1の実施形態の刺激付与装置における変形例を示す説明図。 (A)及び(B)は第2の実施形態の刺激付与装置(スマートフォン)において人体映像を表示させた状態を示す説明図。
次に、図1〜図9を参照して、本発明の実施形態である刺激付与装置、及び刺激付与用プログラム(以下単に「プログラム」と省略する。)について説明する。まず、本発明の第1の実施形態の刺激付与装置として、図1に示すVR(仮想現実)ゴーグル1を例にして説明する。本実施形態では、このVRゴーグル1にプログラムをインストールしている。
VRゴーグル1は、図1に示すように被験者Aの頭部に装着するものであり、被験者Aの目の前に位置するように表示手段であるディスプレイ2が設けられている。また、VRゴーグル1には、被験者Aの指Bの動きを検出するカメラ3が設けられている。また、VRゴーグル1内には、表示制御手段であるコントローラ4が内蔵されている。
このコントローラ4は、図2に示すように、中央演算処理装置(CPU)5、メモリやハードディスク等から構成される記憶装置6、インターフェース7等を有するコンピュータであり、記憶装置6内にプログラム及び各種の映像が記憶されている。記憶装置6に記憶されている映像には、静止画、動画、文字及び記号等を含んでいる。また、VRゴーグル1は、コントローラ4、ディスプレイ2及びカメラ3を駆動するためのバッテリ8を内蔵している。
次に、本実施形態のVRゴーグル1で実行されるプログラムについて説明する。本実施形態におけるプログラムは、VRゴーグル1を用いて、被験者Aに視覚を利用した筋肉への刺激付与装置を実行させるプログラムである。
本実施形態の刺激付与装置による方法は、被験者Aに誘導映像11を見せて被験者Aを変性意識状態に誘導する誘導行程と、被験者Aに対して人体映像12と交差部映像13を見せて被験者Aの実際の人体における交差部に刺激を行う映像表示行程とを有している。
誘導行程とは、被験者Aに誘導映像11を見せることにより、被験者Aの状態を変性意識状態にする行程である。変性意識状態とは、「被験者の交感神経と副交感神経との優位度バランスが中間位となる状態で、脳波が6〜10ヘルツの間にある状態」をいう。
交感神経と副交感神経との優位度バランスが中間位となる状態とは、交感神経(LF)と副交感神経(HF)とから求められるバランス値(LF/HF)が2.0以下の状態を言う。これらの値は、例えば、株式会社日立システムズの「疲労・ストレス測定システム」(http://www.hitachi-systems.com/solution/S1301/fses/index.html)で測定することができる。脳波の測定については、例えば、フューテックエレクトロニクス株式会社製のブレインプロ(http://futek.jp/products/brain/index.html)等の製品で測定することができる。
映像表示行程とは、被験者Aに特定の映像を見せることにより、被験者Aの視覚を通じて被験者Aの脳への刺激を行い、この脳への刺激を通じて被験者Aの筋肉の活性化を図る行程である。
通常人間が筋肉を動かす際は、どのような動きをするのかまず頭で考え、大脳皮質から錐体路と呼ばれる神経伝導路の一つを使って、脳幹や脊髄の決まった場所にその指令を伝える。その後、脳幹や脊髄からでる運動ニューロンと呼ばれる末梢神経が筋肉の運動を起こす。本実施形態のVRゴーグル1では、映像を通じて脳に対して筋肉の特定の部位に注意を与え、その反応を神経伝導路を介して実際の筋肉に伝えることにより、筋肉の活性化を行っている。
次に、図3及び4を参照して、第1の実施形態のVRゴーグル1の作動について説明する。まずは、被験者Aは、VRゴーグル1を起動させた状態で頭部に装着する。ディスプレイ2には、図3(A)に示す画像が表示されている。図3(A)において、ディスプレイ2の右側に表示されているのは操作ボタンであり、図の上のボタンがスタートボタン14、下のボタンがストップボタン15となっている。
ここで、図3(A)には、ディスプレイ2上に被験者Aの指を示す指画像B’が表示される。この指画像B’は、VRゴーグル1のカメラ3によって被験者の指Bの位置が検出され、その指Bの位置に応じてディスプレイ2内に表示されるようになっている。
被験者Aは、自分の指Bを操作してスタートボタン14を押す動作を行うと、ディスプレイ2上でスタートボタン14の表示がボタンを押されたような動きで表現され、被験者Aは実際に指Bでスタートボタン14を押したような感覚が得られる。
スタートボタン14が押されると、本実施形態のコントローラ4においてプログラムが実行され、ディスプレイ2に誘導映像11が表示される(誘導行程)。図3(A)は誘導映像11の一例であり、ディスプレイ2のほぼ中央に縦線11aが表示され、その両側に視点調整用のマーク11bが表示されている。このマーク11bは、本実施形態では黒丸の点を示す映像となっている。
次に、コントローラ4は、ディスプレイ2上のマーク11bを移動させて、被験者Aの目の焦点を変更させる。被験者Aの目の焦点が変更されると、被験者Aが立体視(2つの画像を目の焦点を変えて見ることで立体的に見えるようにする見方。)をしているような状態となり、それまで図3(A)のように見えていた画像が、図3(B)のような状態となる。コントローラ4は、この状態を約10秒から20秒程度継続させる。
このとき、コントローラ4は、被験者Aに対して「黒丸の点が3個に見えるように目を調節して下さい。」等のメッセージを表示させてもよい。また、被験者Aが容易に立体視をすることができるのであれば、事前にその情報をコントローラ4に入力しておき、ディスプレイ2上でマーク11bを移動させずに、被験者A自身に図3(A)の図形を利用して立体視をしてもらってもよい。
このように、上記誘導行程が終了すると、コントローラ4は、ディスプレイ2上に図4に示す映像を表示させる映像表示行程に移行する。図4における映像は、被験者Aの姿を模式的に表した人体映像12と、人体映像12に加えて表示される交差部映像13である。
人体映像12は、単に人の形を表した図形でもよいが、本願発明者等の研究によれば、人体映像12を被験者Aの姿に近づけることにより、筋肉刺激の効果が向上するという結果を得ている。本実施形態では、予め被験者Aの写真を撮っておき、人体映像12の顔の部分に被験者Aの顔の画像(同一性表示)を合成して図4における人体映像12としている。この人体映像12は、上記のように写真を合成してもよく、3Dモデルのパーツを組み合わせて被験者Aに似せるように映像を作成してもよい。
交差部映像13は、人体において筋肉の起始又は停止が3点以上重なる交差部の位置又は動きを示す映像である。筋肉には、引っ張る側と引っ張られる側があり、引っ張る側は筋肉の起始(或いは起始部)、引っ張られる側は筋肉の停止(或いは停止部)と呼ばれている。
具体的に、人体における交差部は、図5(A)に示すように、人体の正面から見たときに、首の付け根、みぞおち、太ももの付け根、手のひら部、及び足裏中央で土踏まずと外側の膨らみの境目付近が該当する。図5(B)は、人体を背中側から見たときの図であり、頭の頂点、背中、腕の付け根、肘から指2本分ほど上の窪んでいる部分、臀部、膝裏の上下部分、及びアキレス腱の部分が該当する。なお、本願発明者等は、これらの交差部のことをクロスポイントと呼んでいる。
図4に戻って説明すると、本実施形態では、被験者Aの改善したい部分に交差部映像13を表示させている。図4においては、被験者Aの肩の状態を改善するための映像となっている。具体的には、交差部映像13は、交差部の位置を示す映像として、首の付け根に一対、及び腕の付け根に一対の黒丸の点13aで表示されている。また、図4においては、人体映像12の肩甲骨の位置の近傍に、肩甲骨に沿った形状の曲線13bが表示されている。この曲線13bも本実施形態における交差部映像13の一部を構成している。
被験者Aは、誘導行程における映像によって変性意識状態となっており、この状態から映像表示行程に移行される。被験者Aは、図4の交差部映像13を見ることにより、視覚を通じて交差部映像13が脳に伝えられる。
この視覚による脳への刺激により、交差部映像13によって示されている交差部に、脳から信号が送られ、交差部の筋肉が活性化される。このような作用により、活性化された被験者A交差部では、血流がよくなる等、筋肉が軽い運動をした状態と同様の状態となり、交差部近傍の筋肉がほぐれることになる。
上記作用により、仮に被験者Aの肩がこっていた場合などは、肩のこりが解消するなどのマッサージ効果が生じる。また、本実施形態によるマッサージ効果は、体内からの刺激により与えられるものであるため、外部からのマッサージを行いにくい箇所においても的確にマッサージを行うことができる。
図6は、複数の被験者に第1実験を行い、疲労の具合についてVAS法に従ってアンケートを行った結果を示すグラフである。この第1実験では、椅子立ち座りテストを行った。椅子立ち座りテストとは、肘掛けがない椅子の座の少し前に座り、両手を交差して胸に当てた状態で、両膝が完全に伸展するまで立ち上がり、その後座位姿勢に戻るという動作を繰り返し、30秒で何回できたかを数えるテストである。
VAS法とは、痛みや心理状態の評価方法として診療の場で使用されている評価方法である。具体的には、所定の長さの直線があり、直線の両端が痛みや心理状態(疲労感)等の最小と最大となっているものに対し、被験者に現在の状態を直線上に示してもらうという評価方法である。評価は、被験者の示した箇所が直線上のどの位置にあるか、長さで表すことで行う。
図6において、白い棒グラフ16は本実施形態の刺激付与装置による方法により刺激を与えた後に実験を行った結果の評価であり、斜線の棒グラフ17は刺激を与えていない状態で実験を行った結果の評価である。この第1実験では、疲労による影響を除外するため、本実施形態の刺激付与装置による方法により刺激を与えた際の実験と、刺激を与えていない状態での実験の時間的間隔を十分に開けて行った。
図6において、数値が低い方が疲労度を感じていないという評価になる。図6に示すように、本実施形態の刺激付与装置による方法により刺激を与えた後に実験を行った結果の方が、刺激を与えていない場合に比べて疲労が少ないと感じる被験者の割合が多くなっている。これは、本実施形態の刺激付与装置による方法により被験者の交差部が刺激されて活性化され、交差部から延びる筋肉が弛緩し、その筋肉を取り巻く毛細血管の血流がよくなった結果、筋肉の疲労に対する耐性が高まったものと考えられる。
次に、本実施形態の刺激付与装置による方法において、第2実験を行った際の結果を図7に示す。第2実験では立位体前屈を複数行い、前屈の深さの変化を記録した。この第2実験では、まず、本実施形態の刺激付与装置による方法を行っていない状態の被験者6名に立位で1回目の前屈をしてもらい、指の先が下方にどれだけ下げられるか測定した。
次に、前記6名の中から無作為に3名を抽出し、本実施形態の刺激付与装置による方法を行った後、2回目の前屈をしてもらった。この2回目の前屈は、1回目の前屈でのストレッチ効果が影響しないように、1回目から2分以上経過した後に行われた。前記6名の内の他の3人には、本実施形態の刺激付与装置による方法を行わない状態で2回目の前屈をしてもらった。
第2実験の各被験者の数値は、2回目の前屈の数値から1回目の前屈の数値を引いた値である。従って数値が大きいほど1回目に比べて2回目の前屈の値が大きいことになり、体の柔軟性が向上したことを示す。逆に数値がマイナスの値の場合、2回目の前屈が1回目の前屈よりもできなかったことになり、体の柔軟性が後退したことを示す。
図7において、白い棒グラフ18は本実施形態の刺激付与装置による方法により刺激を与えた後に実験を行った結果の評価であり、斜線の棒グラフ19は刺激を与えていない状態で実験を行った結果の評価である。図7に示すように、本実施形態の刺激付与装置による方法により刺激を与えた後に実験を行った結果の方が、体の柔軟性が向上したことが明らかとなった。
なお、被験者Aの交差部における刺激の効果は、赤外線サーモグラフィー(図示省略)や筋電図測定装置等によっても確認することができる。また、本願発明者等の実験によれば、交差部映像13の色を青系とすることにより、交差部の刺激において高い効果を得ることができた。また、青系の明度を低くして、黒に近い色とした場合、或いは黒とした場合も高い効果を得ることができた。
また、交差部映像13の一例として、交差部映像13を点滅させると、被験者Aの交差部の刺激において高い効果が高まることが知見された。また、上記実施形態において、黒丸の直径を変化させたり、丸の図形を星形の図形に変化させる等、種々の変化を加えることによっても同様の効果が得られた。
また、上記実施形態においては、人体映像12の顔の部分に被験者Aの顔の画像を表示させて同一性表示としているが、これに限らず、顔のパーツの画像を組み合わせて被験者Aの似顔絵を作成してもよく、いろいろな顔のパターンから、被験者Aが自分の顔に似ているものを選択するようにしてもよい。
ここで、上記誘導行程において、交感神経と副交感神経の活性の割合、及び覚醒度の高低は、被験者Aの脳波を測定することにより検出することができる。被験者Aの脳波の測定は、頭皮に電極が接触するように構成された既知のヘッドギヤ(図示省略)等のデバイスを用いて行うことができる。また、この測定された脳波を二次元マップに表すことにより、交感神経と副交感神経の活性の割合、及び覚醒度を検出する。
次に、図8を参照して、本発明の第1の第1の実施形態の刺激付与装置における変形例について説明する。この変形例では、誘導行程と映像表示行程とを同時に行っている。図8に示すように、誘導行程で用いられる誘導映像11である縦線11a及びマーク11bは上記第1の実施形態と同様であるが、人体映像12aの頭部と腹部の中心位置に頭部マーク11cと腹部マーク11dを表示させている。
また、本変形例では、人体映像12aは、人体をシンボル化した図形としており、被験者Aを示す同一性表示は表示されていない。交差部映像13は、本変形例では、首の付け根に一対、腕の付け根に一対、及び太ももの付け根に一対の白丸の点13cを表示させている。また、肩甲骨の位置の近傍に、肩甲骨に沿った形状の曲線13dが表示されている。
このように、本変形例において、誘導行程と映像表示行程を同時に行うことにより、被験者Aは変性意識状態を保った状態で図8の交差部映像13を見ることができる。これにより、被験者Aに、確実に変性意識状態を保った状態で、視覚を通じて交差部映像13による刺激を与えることができる。
また、人体映像12aは、本変形例のように写実的でない映像であっても高い効果を有することが確認されている。一方で、本変形例においても、上記実施形態のように同一性表示を付加してもよい。
次に、本発明の第2の実施形態の刺激付与装置及びプログラムについて説明する。第2の実施形態においては、刺激付与装置として一般に普及しているスマートフォン1aを利用する例について説明する。この第2の実施形態では、プログラムはいわゆるアプリと呼ばれるスマートフォン1a用のアプリケーションとなっている。
また、第2の実施形態においては、コントローラ4は、スマートフォン1aに内蔵されているCPU等からなるコンピュータとなる。また、第2の実施形態におけるディスプレイ2は、スマートフォン1aが有しているディスプレイとなる。
この第2の実施形態では、誘導行程は上記第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。誘導行程が終了すると、コントローラ4は、映像表示行程を実行する。
第2の実施形態における映像表示行程は、図9(A)及び(B)に示すように、人体映像12(交差部映像13を含む。交差部映像13の図示は省略。)において、交差部を含む部分の映像を動かしている映像を被験者Aに見せることにより行われる。具体的には、図9(A)の映像を1秒表示させ、次に図9(B)の映像を1秒表示させ、これを数回繰り返す。被験者Aは、このような人体映像12を見ることにより、実際に体を動かさなくても体が動いている感覚を得ることができる。
このように、第2の実施形態の映像表示行程では、被験者Aが、体が動いている感覚を得ることができるため、例えば人体映像12において動いている箇所が実際には麻痺している被験者Aにおいても、その部分が麻痺していないという感覚を得ることができる。
このような感覚は、麻痺を有する被験者Aのリハビリ効果を高めることが実験で明らかになっている。このため、第2の実施形態における映像表示行程は、麻痺を有する被験者Aのリハビリトレーニングに用いることが好適である。
また、第2の実施形態においては、一般に広く普及しているスマートフォン1aで誘導行程及び映像表示行程が行われるので、被験者Aは、自由な場所と時間で手軽にリハビリトレーニングを受けることができる。
また、被験者Aに麻痺がない場合であっても、第2の実施形態の刺激付与装置及びプログラムによって、肩こり等の症状を緩和するトレーニングをすることが可能となる。
なお、上記実施形態の刺激付与装置、及び刺激付与用プログラムにおいては、被験者の交差部に対して直接刺激を付与する直接刺激行程又は直接刺激手段をさらに加えてもよい。例えば、被験者を所定位置に座らせるか立たせた状態で、被験者の交差部に向けて指向性の高いスピーカーから所定の音波を照射させ、被験者の交差部を刺激することもできる。
また、第1の実施形態においては、本発明の刺激付与装置についてVRゴーグル1を例にして説明したが、例えば、第2の実施形態におけるスマートフォン1aをゴーグルの形態にできるようなアタッチメント(図示省略)を用いて刺激付与装置としてもよい。また、この他に、刺激付与装置として、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、ウエアラブル端末、家庭用ゲーム機(据え置き型)、携帯用ゲーム機、テレビジョン受像器、電子ペーパー等、映像の表示が可能なものを使用することができる。
また、上記実施形態においては、誘導行程で被験者Aを変性意識状態に誘導した後に映像表示行程を行っているが、この両行程は、変性意識状態の被験者Aに交差部映像を見せることができれば、順序は問わない。
1…VRゴーグル(刺激付与装置)、1a…スマートフォン(刺激付与装置)、2…ディスプレイ(表示手段)、3…カメラ、4…コントローラ(表示制御手段、コンピュータ)、5…CPU、6…記憶装置、7…インターフェース、8…バッテリ、11…誘導映像、12…人体映像、13…交差部映像、A…被験者、B…(被験者の)指、B’…指画像。

Claims (2)

  1. 被験者に映像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示される映像を制御する表示制御手段とを備え、
    前記表示制御手段は、被験者を変性意識状態に誘導する誘導映像と、人体において筋肉の起始又は停止が3点以上重なる交差部の位置を示す交差部映像を前記表示手段に表示し、前記交差部映像において交差部の位置を示す映像に変化を与えて、視覚を通じて脳に刺激を与えることを特徴とする刺激付与装置。
  2. コンピュータを、被験者に映像を表示する表示手段と、前記表示手段に表示される映像を制御する表示制御手段として機能させ、被験者に刺激を与えるための刺激付与用プログラムであって、
    前記表示制御手段は、被験者を変性意識状態に誘導する誘導映像と、人体において筋肉の起始又は停止が3点以上重なる交差部の位置を示す交差部を映像化した交差部映像を表示可能であり、
    前記表示制御手段により、前記誘導映像と前記交差部映像を前記表示手段に表示し、前記交差部映像において交差部の位置を示す映像に変化を与えて、視覚を通じて脳に刺激を与えることを特徴とする刺激付与用プログラム。
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