しかし、自装置が位相モノパルスを用いるときには、自装置は位相判別回路を有する必要があるため、自装置の回路構成が複雑になり、自装置のコストが高くなる。
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、自装置から見た他装置の方位を算出するために、他装置が電波放射源を有するとともに、自装置が電波到来角を算出するにあたり、自装置の回路構成を簡便にして、自装置のコストを低くすることを目的とする。
前記課題を解決するために、複数のアンテナ素子を一次元方向に配置したうえで、複数のアンテナ素子の受信電力の電力差に基づいて、一次元方向の電波到来角を算出する。よって、位相判別回路を有する必要がなく、電力算出回路を有すれば足りる。
具体的には、本開示は、一次元方向に配置される複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力差を算出する受信電力差算出部と、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力差に基づいて、前記一次元方向の電波到来角を算出する電波到来角算出部と、を備えることを特徴とする方位探知アンテナである。
この構成によれば、自装置が一次元方向の電波到来角を算出するにあたり、自装置の回路構成を簡便にして、自装置のコストを低くすることができる。
具体的には、従来では、デジタル情報を得るために、ダウンコンバータ及び高速A/Dが必要であった。本開示では、例えば、マイクロ波を直接アナログ処理して、DC信号が出力されるので、低速A/Dで処理することができる。
本開示では、さらに、アナログそしてマイクロ波で直接に方向探知の信号を出せるので、Rat−RaceをCMOSで小型に作れれば、Xバンドのアクティブ集積アンテナならば、個々のパッチアンテナの裏側に、方向探知の装置、アンプ及びレギュレータがつけられる。この集積アンテナは、平面回路であるため、積層化に都合がよい。
また、本開示は、前記受信電力差算出部は、前記複数のアンテナ素子の受信位相の位相差が更に移相されることなく、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力差を算出することを特徴とする方位探知アンテナである。
この構成によれば、複数のアンテナ素子の受信電力の電力差は、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度変化に対して、ずれ角度0°において極小となり、ずれ角度0°について対称に大きく変化する。例えば、図8の中段の差指向性において、複数のアンテナ素子の受信電力の電力差は、方位探知アンテナの適用範囲のうち、ずれ角度0°において極小となり、ずれ角度0°について対称に大きく変化する。よって、一次元方向の電波到来角の符号を算出することはできないが、一次元方向の電波到来角の絶対値を精度高く算出することができる。
また、本開示は、前記受信電力差算出部は、前記複数のアンテナ素子の受信位相の位相差が更に移相されたうえで、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力差を算出することを特徴とする方位探知アンテナである。
この構成によれば、複数のアンテナ素子の受信電力の電力差は、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度変化に対して、有限のずれ角度において極小となり、ずれ角度0°の近傍で単調に変化する。例えば、図9の中段の差指向性において、複数のアンテナ素子の受信電力の電力差は、方位探知アンテナの適用範囲のうち、有限のずれ角度において極小となり、ずれ角度0°の近傍で単調に変化する。よって、一次元方向の電波到来角の絶対値を算出することができるとともに、一次元方向の電波到来角の符号を算出することができる。
また、本開示は、前記電波到来角算出部は、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力差と、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力和と、の比に基づいて、前記一次元方向の電波到来角を算出することを特徴とする方位探知アンテナである。
ここで、複数のアンテナ素子の受信電力の電力差と、複数のアンテナ素子の受信電力の電力和は、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナと電波放射源との間の距離に依存する。しかし、これらの比は、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナと電波放射源との間の距離に依存しない。よって、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナと電波放射源との間の距離が未知でも、一次元方向の電波到来角を算出することができる。例えば、図8、9の下段の比指向性において、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナと電波放射源との間の距離が未知でも、一次元方向の電波到来角を算出することができる。
前記課題を解決するために、複数のアンテナ素子を二次元面内に配置したうえで、各行/各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差/列間差に基づいて、行方向/列方向の電波到来角を算出する。よって、位相判別回路を有する必要がなく、電力算出回路を有すれば足りる。
具体的には、本開示は、二次元面内に配置される複数のアンテナ素子と、各行のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差を算出するとともに、各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の列間差を算出する受信電力差算出部と、前記各行のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差に基づいて、行方向の電波到来角を算出するとともに、前記各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の列間差に基づいて、列方向の電波到来角を算出する電波到来角算出部と、を備えることを特徴とする方位探知アンテナである。
この構成によれば、自装置が二次元面内の電波到来角を算出するにあたり、自装置の回路構成を簡便にして、自装置のコストを低くすることができる。
具体的には、従来では、デジタル情報を得るために、ダウンコンバータ及び高速A/Dが必要であった。本開示では、例えば、マイクロ波を直接アナログ処理して、DC信号が出力されるので、低速A/Dで処理することができる。
本開示では、さらに、アナログそしてマイクロ波で直接に方向探知の信号を出せるので、Rat−RaceをCMOSで小型に作れれば、Xバンドのアクティブ集積アンテナならば、個々のパッチアンテナの裏側に、方向探知の装置、アンプ及びレギュレータがつけられる。この集積アンテナは、平面回路であるため、積層化に都合がよい。
また、本開示は、前記受信電力差算出部は、前記各行のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間位相差が更に移相されることなく、前記各行のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差を算出するとともに、前記各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の列間位相差が更に移相されることなく、前記各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の列間差を算出することを特徴とする方位探知アンテナである。
この構成によれば、各行/各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差/列間差は、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度変化に対して、ずれ角度0°において極小となり、ずれ角度0°について対称に大きく変化する。例えば、図8の中段の差指向性において、各行/各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差/列間差は、方位探知アンテナの適用範囲のうち、ずれ角度0°において極小となり、ずれ角度0°について対称に大きく変化する。よって、二次元面内の電波到来角の符号を算出することはできないが、二次元面内の電波到来角の絶対値を精度高く算出することができる。
また、本開示は、前記受信電力差算出部は、前記各行のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間位相差が更に移相されたうえで、前記各行のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差を算出するとともに、前記各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の列間位相差が更に移相されたうえで、前記各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の列間差を算出することを特徴とする方位探知アンテナである。
この構成によれば、各行/各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差/列間差は、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度変化に対して、有限のずれ角度において極小となり、ずれ角度0°の近傍で単調に変化する。例えば、図9の中段の差指向性において、各行/各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差/列間差は、方位探知アンテナの適用範囲のうち、有限のずれ角度において極小となり、ずれ角度0°の近傍で単調に変化する。よって、二次元面内の電波到来角の絶対値を算出することができるとともに、二次元面内の電波到来角の符号を算出することができる。
また、本開示は、前記電波到来角算出部は、前記各行のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差と、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力和と、の比に基づいて、前記行方向の電波到来角を算出するとともに、前記各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の列間差と、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力和と、の比に基づいて、前記列方向の電波到来角を算出することを特徴とする方位探知アンテナである。
ここで、各行/各列のアンテナ素子の受信電力の電力和の行間差/列間差と、複数のアンテナ素子の受信電力の電力和は、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナと電波放射源との間の距離に依存する。しかし、これらの比は、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナと電波放射源との間の距離に依存しない。よって、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナと電波放射源との間の距離が未知でも、二次元面内の電波到来角を算出することができる。例えば、図8、9の下段の比指向性において、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナと電波放射源との間の距離が未知でも、二次元面内の電波到来角を算出することができる。
さらに、複数のアンテナ素子を一次元方向に配置するときと、複数のアンテナ素子を二次元面内に配置するときに、以下の構成を備えていてもよい。
具体的には、本開示は、前記複数のアンテナ素子の受信電力の電力和と、電波放射源の放射電力と、に基づいて、前記方位探知アンテナと前記電波放射源との間の距離を算出する放射源距離算出部、を更に備えることを特徴とする方位探知アンテナである。
この構成によれば、複数のアンテナ素子の受信電力の電力和は、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度変化に対して、ずれ角度0°の近傍でほぼ変化しない。例えば、図8、9の上段の和指向性において、複数のアンテナ素子の受信電力の電力和は、方位探知アンテナの適用範囲のうち、ずれ角度0°の近傍でほぼ変化しない。よって、方位探知アンテナから見た電波放射源の方位がアンテナの正面方向の近傍であれば、方位探知アンテナと電波放射源との間の距離を精度高く算出することができる。
また、本開示は、前記複数のアンテナ素子の出力電力の電力和によりデータ送受信を行うデータ送受信部、を更に備えることを特徴とする方位探知アンテナである。
この構成によれば、複数のアンテナ素子の出力電力の電力和は、アンテナの正面方向からの電波放射/到来方向のずれ角度変化に対して、ずれ角度0°の近傍でほぼ変化しない。例えば、図8、9の上段の和指向性において、複数のアンテナ素子の出力電力の電力和は、方位探知アンテナの適用範囲のうち、ずれ角度0°の近傍でほぼ変化しない。よって、方位探知アンテナから見た電波放射源の方位がアンテナの正面方向の近傍であれば、方位探知アンテナと電波放射源との間のデータ送受信を実行することができる。
このように、本開示は、自装置から見た他装置の方位を算出するために、他装置が電波放射源を有するとともに、自装置が電波到来角を算出するにあたり、自装置の回路構成を簡便にして、自装置のコストを低くすることができる。
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
(第1実施形態の方位探知アンテナ)
第1実施形態の方位探知アンテナの電力受信回路の構成を図1及び図2に示す。第1実施形態の方位探知アンテナの信号処理回路の構成を図3に示す。
図1に示した方位探知アンテナA1の電力受信回路は、複数のアンテナ素子11−1、11−2及び受信電力合成部12を備える。図2に示した方位探知アンテナA1の電力受信回路は、図1に示した方位探知アンテナA1の電力受信回路に加えて、移相部17を更に備える。図3に示した方位探知アンテナA1の信号処理回路は、図1及び図2に示した方位探知アンテナA1の電力受信回路に対して共通して適用でき、電波到来角算出部13、放射源距離算出部14、データ受信部15及びデータ送信部16を備える。
図1及び図2に示した複数のアンテナ素子11−1、11−2は、一次元方向(y方向)に配置される。図1及び図2の右欄に示したように、一次元方向(y方向)の電波到来角α
yを、アンテナ素子11−2よりはアンテナ素子11−1の方に寄っているとすると、アンテナ素子11−2の受信位相に対するアンテナ素子11−1の受信位相の進み角Δθ
yは、数1のように表わされる。なお、dはアンテナ素子11−1とアンテナ素子11−2との間の素子間隔であり、λは真空中の電波の波長であり、l
yはアンテナ素子11−1への光路長に対するアンテナ素子11−2への光路長の余剰長さである。
図1及び図2に示した受信電力合成部12は、「180°」と示した出力端子において、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifを算出する。
ここで、図1に示した受信電力合成部12は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信位相の位相差Δθ
yが更に移相されることなく、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y
1、Y
2の電力差Y
difを算出する。すると、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y
1、Y
2の電力差Y
difは、数2のように表わされる。なお、遠方界の近似が成立すると仮定すると、Y
1=P
1=P
r及びY
2=P
2=P
rが成立する。
つまり、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifは、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度αyの変化に対して、ずれ角度αy=0°において極小となり、ずれ角度αy=0°について対称に大きく変化する。
そこで、図3に示した電波到来角算出部13は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifに基づいて、一次元方向(y方向)の電波到来角αyを算出する。よって、一次元方向(y方向)の電波到来角αyの符号を算出することはできないが、一次元方向(y方向)の電波到来角αyの絶対値を精度高く算出することができる。なお、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifを算出するのみならず、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumを算出する必要があり、このことについては後に詳述する。
一方で、図2に示した受信電力合成部12は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信位相の位相差Δθ
yが更に移相されたうえで、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y
1、Y
2の電力差Y
difを算出する。ただし、移相量θ>0°の移相部17の配置位置を、アンテナ素子11−1側とする。すると、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y
1、Y
2の電力差Y
difは、数3のように表わされる。なお、遠方界の近似が成立すると仮定すると、Y
1=P
1=P
r及びY
2=P
2=P
rが成立する。
つまり、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifは、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度αyの変化に対して、有限のずれ角度αy≠0°において極小となり、ずれ角度αy=0°の近傍で単調に変化する。
そこで、図3に示した電波到来角算出部13は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifに基づいて、一次元方向(y方向)の電波到来角αyを算出する。よって、一次元方向(y方向)の電波到来角αyの絶対値を算出することができるとともに、一次元方向(y方向)の電波到来角αyの符号を算出することができる。なお、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifを算出するのみならず、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumを算出する必要があり、このことについては後に詳述する。
図1及び図2に示した受信電力合成部12は、「0°」と示した出力端子において、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumを算出する。
ここで、図1に示した受信電力合成部12は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信位相の位相差Δθ
yが更に移相されることなく、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y
1、Y
2の電力和Y
sumを算出する。すると、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y
1、Y
2の電力和Y
sumは、数4のように表わされる。
一方で、図2に示した受信電力合成部12は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信位相の位相差Δθ
yが更に移相されたうえで、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y
1、Y
2の電力和Y
sumを算出する。すると、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y
1、Y
2の電力和Y
sumは、数5のように表わされる。
つまり、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumは、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度αyの変化に対して、ずれ角度αy=0°の近傍でほぼ変化しない。このことは、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信位相の位相差Δθyが更に移相されるかどうかに関わらず、成立することである。
そこで、図3に示した放射源距離算出部14は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumと、電波放射源の既知の放射電力と、に基づいて、方位探知アンテナA1と電波放射源との間の距離を算出する。よって、方位探知アンテナA1から見た電波放射源の方位がアンテナの正面方向の近傍であれば、方位探知アンテナA1と電波放射源との間の距離を精度高く算出することができる。
そして、図3に示した電波到来角算出部13は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifと、方位探知アンテナA1と電波放射源との間の距離と、に基づいて、一次元方向(y方向)の電波到来角αyを算出する。
あるいは、図3に示した電波到来角算出部13は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifと、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumと、の比Ydif/Ysumに基づいて、一次元方向(y方向)の電波到来角αyを算出する。その理由は、以下に示す通りである。
というのは、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力差Ydifと、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumは、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナA1と電波放射源との間の距離に依存する。しかし、これらの比Ydif/Ysumは、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナA1と電波放射源との間の距離に依存しない。これにより、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナA1と電波放射源との間の距離が未知でも、これらの比Ydif/Ysumに基づいて、一次元方向(y方向)の電波到来角αyを算出することができる。
図3に示したデータ受信部15は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumにより、データ受信を行う。図3に示したデータ送信部16は、複数のアンテナ素子11−1、11−2の送信電力の電力和により、データ送信を行う。
ここで、複数のアンテナ素子11−1、11−2の受信電力Y1、Y2の電力和Ysumは、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度αyの変化に対して、ずれ角度αy=0°の近傍でほぼ変化しない。そして、複数のアンテナ素子11−1、11−2の送信電力の電力和も、アンテナの正面方向からの電波放射方向のずれ角度αyの変化に対して、ずれ角度αy=0°の近傍でほぼ変化しない。よって、方位探知アンテナA1から見た電波放射源の方位がアンテナの正面方向の近傍であれば、方位探知アンテナA1と電波放射源との間のデータ受信及びデータ送信を実行することができる。
このように、電波到来角算出部13が、一次元方向(y方向)の電波到来角αyを算出するにあたり、方位探知アンテナA1は、位相モノパルスにおける位相判別回路を有する必要がなく、受信電力合成部12を有すれば足りる。よって、方位探知アンテナA1の回路構成を簡便にして、方位探知アンテナA1のコストを低くすることができる。
(第2実施形態の方位探知アンテナ)
第2実施形態の方位探知アンテナの電力受信回路の構成を図4から図6までに示す。第2実施形態の方位探知アンテナの信号処理回路の構成を図7に示す。
図4に示した方位探知アンテナA2の電力受信回路は、複数のアンテナ素子21−1、21−2、21−3、21−4及び受信電力合成部22−X、22−Yを備える。図5に示した方位探知アンテナA2の電力受信回路は、図4に示した方位探知アンテナA2の電力受信回路に加えて、移相部27−X、27−Yを更に備える。図6に示した方位探知アンテナA2の電力受信回路は、図4に示した方位探知アンテナA2の電力受信回路に加えて、移相部27−1、27−3、27−4を更に備える。図7に示した方位探知アンテナA2の信号処理回路は、図4から図6までに示した方位探知アンテナA2の電力受信回路に対して共通して適用でき、電波到来角算出部23、放射源距離算出部24、データ受信部25及びデータ送信部26を備える。
図4から図6までに示した複数のアンテナ素子21−1、21−2、21−3、21−4は、二次元面内(xy平面内)に四角格子状に配置される。
図4から図6までの右欄に示したように、行方向(y方向)の電波到来角α
yを、アンテナ素子21−2、21−4よりはアンテナ素子21−1、21−3の方に寄っているとすると、アンテナ素子21−2、21−4の受信位相に対するアンテナ素子21−1、21−3の受信位相の進み角Δθ
yは、数6のように表わされる。なお、dはアンテナ素子21−1、21−3とアンテナ素子21−2、21−4との間の素子間隔であり、λは真空中の電波の波長であり、l
yはアンテナ素子21−1、21−3への光路長に対するアンテナ素子21−2、21−4への光路長の余剰長さである。
図4から図6までの上欄に示したように、列方向(x方向)の電波到来角α
xを、アンテナ素子21−1、21−2よりはアンテナ素子21−3、21−4の方に寄っているとすると、アンテナ素子21−1、21−2の受信位相に対するアンテナ素子21−3、21−4の受信位相の進み角Δθ
xは、数7のように表わされる。なお、dはアンテナ素子21−1、21−2とアンテナ素子21−3、21−4との間の素子間隔であり、λは真空中の電波の波長であり、l
yはアンテナ素子21−3、21−4への光路長に対するアンテナ素子21−1、21−2への光路長の余剰長さである。
図4から図6までに示した受信電力合成部22−Yは、「180°」と示した出力端子において、上行のアンテナ素子21−1、21−3の受信電力P1、P3の電力和Y1=(P1+P3)/2と、下行のアンテナ素子21−2、21−4の受信電力P2、P4の電力和Y2=(P2+P4)/2と、の行間差Ydif=|Y1−Y2|を算出する。
ここで、図4に示した受信電力合成部22−Yは、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間位相差Δθ
yが更に移相されることなく、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間差Y
difを算出する。すると、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間差Y
difは、数8のように表わされる。なお、遠方界の近似が成立すると仮定すると、P
1=P
2=P
3=P
4=P
rが成立する。そして、図7に示した電波到来角算出部23は、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間差Y
difに基づいて、行方向(y方向)の電波到来角α
yを算出する。
一方で、図5及び図6に示した受信電力合成部22−Yは、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間位相差Δθ
yが更に移相されたうえで、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間差Y
difを算出する。ただし、移相量θ>0°の移相部27−Y、27−1、27−3の配置位置を、アンテナ素子21−1、21−3側とする。ここで、図5では、上行の受信電力P
1、P
3を合成したうえで、上行の電力和Y
1を移相している。そして、図6では、上行の受信電力P
1、P
3を移相したうえで、上行の電力和Y
1を算出している。すると、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間差Y
difは、図5及び図6ではそれぞれ数9及び数10のように表わされる。なお、遠方界の近似が成立すると仮定すると、P
1=P
2=P
3=P
4=P
rが成立する。そして、図7に示した電波到来角算出部23は、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間差Y
difに基づいて、行方向(y方向)の電波到来角α
yを算出する。
図4から図6までに示した受信電力合成部22−Xは、「180°」と示した出力端子において、左列のアンテナ素子21−1、21−2の受信電力P1、P2の電力和X1=(P1+P2)/2と、右列のアンテナ素子21−3、21−4の受信電力P3、P4の電力和X2=(P3+P4)/2と、の列間差Xdif=|X1−X2|を算出する。
ここで、図4に示した受信電力合成部22−Xは、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間位相差Δθ
xが更に移相されることなく、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間差X
difを算出する。すると、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間差X
difは、数11のように表わされる。なお、遠方界の近似が成立すると仮定すると、P
1=P
2=P
3=P
4=P
rが成立する。そして、図7に示した電波到来角算出部23は、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間差X
difに基づいて、列方向(x方向)の電波到来角α
xを算出する。
一方で、図5及び図6に示した受信電力合成部22−Xは、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間位相差Δθ
xが更に移相されたうえで、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間差X
difを算出する。ただし、移相量θ>0°の移相部27−X、27−3、27−4の配置位置を、アンテナ素子21−3、21−4側とする。ここで、図5では、右列の受信電力P
3、P
4を合成したうえで、右列の電力和X
2を移相している。そして、図6では、右列の受信電力P
3、P
4を移相したうえで、右列の電力和X
2を算出している。すると、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間差X
difは、図5及び図6ではそれぞれ数12及び数13のように表わされる。なお、遠方界の近似が成立すると仮定すると、P
1=P
2=P
3=P
4=P
rが成立する。そして、図7に示した電波到来角算出部23は、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間差X
difに基づいて、列方向(x方向)の電波到来角α
xを算出する。
図4から図6までに示した受信電力合成部22−Yは、「0°」と示した出力端子において、上行のアンテナ素子21−1、21−3の受信電力P1、P3の電力和Y1=(P1+P3)/2と、下行のアンテナ素子21−2、21−4の受信電力P2、P4の電力和Y2=(P2+P4)/2と、の行間和Ysum=Y1+Y2を算出する。
ここで、図4に示した受信電力合成部22−Yは、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間位相差Δθ
yが更に移相されることなく、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間和Y
sumを算出する。すると、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間和Y
sumは、数14のように表わされる。
一方で、図5及び図6に示した受信電力合成部22−Yは、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間位相差Δθ
yが更に移相されたうえで、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間和Y
sumを算出する。すると、上行と下行の電力和Y
1、Y
2の行間和Y
sumは、図5及び図6ではそれぞれ数15及び数16のように表わされる。
図4から図6までに示した受信電力合成部22−Xは、「0°」と示した出力端子において、左列のアンテナ素子21−1、21−2の受信電力P1、P2の電力和X1=(P1+P2)/2と、右列のアンテナ素子21−3、21−4の受信電力P3、P4の電力和X2=(P3+P4)/2と、の列間和Xsum=X1+X2を算出する。
ここで、図4に示した受信電力合成部22−Xは、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間位相差Δθ
xが更に移相されることなく、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間和X
sumを算出する。すると、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間和X
sumは、数17のように表わされる。
一方で、図5及び図6に示した受信電力合成部22−Xは、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間位相差Δθ
xが更に移相されたうえで、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間和X
sumを算出する。すると、左列と右列の電力和X
1、X
2の列間和X
sumは、図5及び図6ではそれぞれ数18及び数19のように表わされる。
そして、図7に示した放射源距離算出部24は、複数のアンテナ素子21−1、21−2、21−3、21−4の受信電力P1、P2、P3、P4の電力和|P1+P2+P3+P4|=Xsum+Ysumと、電波放射源の既知の放射電力と、に基づいて、方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離を算出する。
さらに、図7に示した電波到来角算出部23は、上行と下行の電力和Y1、Y2の行間差Ydifと、方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離と、に基づいて、行方向(y方向)の電波到来角αyを算出する。一方で、図7に示した電波到来角算出部23は、左列と右列の電力和X1、X2の列間差Xdifと、方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離と、に基づいて、列方向(x方向)の電波到来角αxを算出する。
あるいは、図7に示した電波到来角算出部23は、上行と下行の電力和Y1、Y2の行間差Ydifと、全電力和Xsum+Ysumと、の比Ydif/(Xsum+Ysum)に基づいて、行方向(y方向)の電波到来角αyを算出する。一方で、図7に示した電波到来角算出部23は、左列と右列の電力和X1、X2の列間差Xdifと、全電力和Xsum+Ysumと、の比Xdif/(Xsum+Ysum)に基づいて、列方向(x方向)の電波到来角αxを算出する。
図7に示したデータ受信部25は、全電力和Xsum+Ysumにより、データ受信を行う。図7に示したデータ送信部26は、全電力和により、データ送信を行う。
第2実施形態の方位探知アンテナのうち、図4に示した方位探知アンテナA2(移相θがないとき)について、方位探知性能を図8に示す。実際の各アンテナ素子の指向性を考慮して、数8、11、14、17に示した電力値を計算した。自動車の衝突回避や宇宙船のドッキング等において、例えば−15°<αx、αy<15°を適用範囲とする。
図8の上段には、全電力和Xsum+Ysumの指向性を示す。全電力和Xsum+Ysumは、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度αx、αyの変化に対して、ずれ角度αx、αy=0°の近傍でほぼ変化しない。よって、方位探知アンテナA2から見た電波放射源の方位がアンテナの正面方向の近傍であれば、方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離を精度高く算出することができる。そして、方位探知アンテナA2から見た電波放射源の方位がアンテナの正面方向の近傍であれば、方位探知アンテナA2と電波放射源との間のデータ受信及びデータ送信を実行することができる。
図8の中段には、列間差Xdif及び行間差Ydifの指向性を示す。列間差Xdif及び行間差Ydifは、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度αx、αyの変化に対して、ずれ角度αx、αy=0°において極小となり、ずれ角度αx、αy=0°について対称に大きく変化する。よって、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyの符号を算出することはできないが、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyの絶対値を精度高く算出することができる。
図8の下段には、Xdif/(Xsum+Ysum)及びYdif/(Xsum+Ysum)の指向性を示す。Xdif/(Xsum+Ysum)及びYdif/(Xsum+Ysum)は、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離に依存しない。よって、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離が未知でも、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyの符号を算出することはできないが、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyの絶対値を精度高く算出することができる。
第2実施形態の方位探知アンテナのうち、図5及び図6に示した方位探知アンテナA2(移相θがあるとき)について、方位探知性能を図9に示す。実際の各アンテナ素子の指向性を考慮して、数9、10、12、13、15、16、18、19に示した電力値を計算した。自動車の衝突回避や宇宙船のドッキング等において、例えば−15°<αx、αy<15°を適用範囲とする。
図9の上段には、全電力和Xsum+Ysumの指向性を示す。全電力和Xsum+Ysumは、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度αx、αyの変化に対して、ずれ角度αx、αy=0°の近傍でほぼ変化しない。よって、方位探知アンテナA2から見た電波放射源の方位がアンテナの正面方向の近傍であれば、方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離を精度高く算出することができる。そして、方位探知アンテナA2から見た電波放射源の方位がアンテナの正面方向の近傍であれば、方位探知アンテナA2と電波放射源との間のデータ受信及びデータ送信を実行することができる。
図9の中段には、列間差Xdif及び行間差Ydifの指向性を示す。列間差Xdif及び行間差Ydifは、アンテナの正面方向からの電波到来方向のずれ角度αx、αyの変化に対して、有限のずれ角度αx、αy≠0°において極小となり、ずれ角度αx、αy=0°の近傍で単調に変化する。よって、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyの符号を算出することができるとともに、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyの絶対値を算出することができる。
図9の下段には、Xdif/(Xsum+Ysum)及びYdif/(Xsum+Ysum)の指向性を示す。Xdif/(Xsum+Ysum)及びYdif/(Xsum+Ysum)は、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離に依存しない。よって、電波放射源の放射電力及び方位探知アンテナA2と電波放射源との間の距離が未知でも、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyの符号を算出することができるとともに、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyの絶対値を算出することができる。
このように、電波到来角算出部23が、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyを算出するにあたり、方位探知アンテナA2は、位相モノパルスにおける位相判別回路を有する必要がなく、受信電力合成部22−X、22−Yを有すれば足りる。よって、方位探知アンテナA2の回路構成を簡便にして、方位探知アンテナA2のコストを低くすることができる。
なお、複数のアンテナ素子として、3個のアンテナ素子21−1、21−2、21−3を配置するのみでも、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyを算出することができるが、受信効率が1/2倍に低くなる割には、回路規模は3/4倍に小さくなるにすぎない。一方、複数のアンテナ素子として、4個のアンテナ素子21−1、21−2、21−3、21−4を配置するときには、回路規模は大きくなるものの、受信効率が高くなったうえで、列/行方向(x/y方向)の電波到来角αx、αyを算出することができる。
(変形例の方位探知アンテナ)
第2実施形態では、複数のアンテナ素子は、2行2列に配置されている。変形例として、複数のアンテナ素子は、m行n列(m、nは2以上の任意の整数)に配置されてもよい。このときには、隣接する行間/列間において、移相θを施せばよく、任意の行間/列間において、行間差Ydif及び列間差Xdifを算出すればよい。
第2実施形態では、複数のアンテナ素子は、四角格子状に配置されている。変形例として、複数のアンテナ素子は、三角格子状等に配置されてもよい。このときには、ある一つの配置方向を行方向とすればよく、60°隔てた配置方向を列方向とすればよい。
第1、2実施形態では、移相θを施さない処理と移相θを施す処理を、別個の電力受信回路を用いて実現している。変形例として、移相θを施さない処理と移相θを施す処理を、単一の電力受信回路において切替してもよい。移相θを施さない処理では、電波到来角の絶対値を精度高く算出することができ、移相θを施す処理では、電波到来角の符号を算出することができ、両方の処理の長所を併せ持つことができる。