JP6903388B2 - インジェクタの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は内燃機関の燃料噴射に用いるインンジェクタの制御装置に関し、特に、燃料噴射弁から燃料を筒内に直接噴射するインジェクタの制御装置に関する。
一般に、インジェクタの燃料噴射弁が閉弁するタイミングにおいて、弁体の速度が急激に変化することで、インジェクタの端子間電圧に変化が生じることが知られている。
従来より、筒内噴射型内燃機関における燃料噴射量のばらつきを低減するために、前記端子間電圧の変動を用いて閉弁タイミングを検出する技術が知られている。例えば、特許文献1においては、インジェクタの端子間電圧に対して3階微分を行うことで2階微分値の極値のタイミングを求め、そのときの極大値と極小値の偏差から閉弁タイミングを検出する技術が提案されている。また、特許文献2においては、インジェクタの端子間電圧に対してカットオフ周波数の異なる複数のフィルタでなまし処理を行い、それらの差分の変曲点から閉弁タイミングを検出する技術が提案されている。
特許第6157681号公報 特許第6156307号公報
特許文献1に開示の技術では、微分値算出に用いるデータに隣接するサンプリング時間の計測値を用いているため、ノイズが重畳した場合は計測値の変化の影響を強く受けるという課題がある。その対策として、計測値にフィルタをかけることが記載されているが、使用するデータの間隔を広くしてフィルタ効果を大きくすると、検出しようとしている計測値の変化までフィルタリングしてしまうため、検出精度とノイズの影響除去を両立させることが困難である。
また、特許文献2に開示の技術では、閉弁タイミングは検出手段のパラメータ設定の影響を強く受けるという課題がある。具体的にはなまし処理に用いるカットオフ周波数を変更すると、なまし後の値の差分が変化し、閉弁タイミングが変化する。
このようにカットオフ周波数を変更すると検出される閉弁タイミングも変わってしまうので、正確に閉弁タイミングを検出するためには、適切なカットオフ周波数の選択が必須となるが、特許文献2には選択方法に関する記載がない。また、インジェクタ駆動条件および温度が変わるとインジェクタ特性の変化に伴って差分値が変化し、同一の閾値ではタイミングに誤差が生じるため、駆動条件および温度といったパラメータごとに閾値を設定する必要があるが、閾値の設定方法に関する記載がなく、実現は困難である。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、インジェクタを構成するソレノイドの端子間電圧に重畳するノイズに起因する誤差および閉弁タイミングの検出のためのパラメータ設定の影響を受けることなく、燃料噴射弁の閉弁タイミングを正確に検出することができるインジェクタの制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係るインジェクタの制御装置は、内燃機関の燃料噴射に用いるインジェクタを制御するインジェクタの制御装置であって、前記インジェクタの駆動を制御する駆動制御部を備え、前記駆動制御部は、前記インジェクタを構成するソレノイドの端子の電圧を一定の期間取得する電圧取得部と、前記電圧取得部で取得した前記一定の期間内の第1および第2の時間での前記電圧に対して、それぞれ第1および第2の近似直線を算出し、前記第1の近似直線と前記第2の近似直線とが交わる第1の交点を算出する近似直線算出部と、前記第1および第2の時間を時間間隔を保って前記期間内で複数回シフトさせて得られた複数の前記第1の交点から交点軌跡を算出する交点軌跡算出部と、前記時間間隔を複数回変えて算出された複数の前記交点軌跡が交わる第2の交点を算出して前記インジェクタの閉弁タイミングを決定する閉弁タイミング算出部と、を有し、前記第1および第2の時間は、前記一定の期間内の所定のタイミングに対して負方向および正方向に同じ間隔だけ離れた時間で規定され、前記第1および第2の時間の前記一定の期間内でのシフトは、前記所定のタイミングを前記期間内で移動させるごとに前記第1および第2の時間を設定することで実行され、前記交点軌跡は、前記所定のタイミングに対する前記第1の交点の時間座標の変化として規定される。

上記インジェクタの制御装置によれば、インジェクタの端子間電圧に重畳するノイズに起因する誤差および閉弁タイミングの検出にフィルタ等を用いないので、フィルタ周波数および判定閾値などのパラメータ設定の影響を受けることなく、燃料噴射弁の閉弁タイミングを正確に検出することが可能になる。
本発明に係る実施の形態1のインジェクタの制御装置の構成を示す機能ブロック図である。 本発明に係る実施の形態1のインジェクタの制御装置の駆動制御部で実行される閉弁タイミングの検出処理を説明するフローチャートである。 インジェクタが燃料を噴射した際のインジェクタ端子の端子間電圧の時間変化を示す図である。 2本の近似直線の間隔を設定する処理を説明する図である。 近似直線を算出する処理を説明する図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 近似直線の交点の変化を示す図である。 交点軌跡を示す図である。 交点軌跡を示す図である。 本発明に係る実施の形態1のインジェクタの制御装置を実現するハードウェア構成を示す図である。 本発明に係る実施の形態1のインジェクタの制御装置を実現するハードウェア構成を示す図である。 カットオフ周波数の異なる複数のフィルタでなまし処理を行う場合の問題点を説明する図である。
<初めに>
実施の形態の説明に先立って、カットオフ周波数の異なる複数のフィルタでなまし処理を行う場合の問題点について、図19を用いてさらに説明する。
図19は、第1のカットオフ周波数f1を固定して、第2のカットオフ周波数f2を変更した場合に検出される閉弁タイミングの変化を示す図であり、横軸に時間(t)を示し、縦軸になまし後の値の差分値(V)を示している。
図19に示されるように、第2のカットオフ周波数f2を10%変化(f2×110%)させると、閾値thが同一の場合、インジェクタ駆動信号がOFFされてからインジェクタが閉弁するタイミングまでの時間tdが約6%変化する。カットオフ周波数の異なる複数のフィルタでなまし処理を行う場合には正確に閉弁タイミングを検出することが難しい。
<実施の形態1>
以下、本発明に係る実施の形態1について図1〜図16を用いて説明する。図1は、実施の形態1におけるインジェクタの制御装置1の構成を示す機能ブロック図である。
本実施の形態1のインジェクタの制御装置1は、内燃機関の制御装置の一部を構成しており、図1に示されるように駆動制御部2と駆動ドライバ8を備え、駆動制御部2によってインジェクタ3の燃料噴射弁の開閉を行う駆動ドライバ8を制御する。
駆動制御部2は、インジェクタ3を構成するソレノイドの端子(インジェクタ端子)間電圧またはソレノイドの正極端子と接地電位(GND)間の電圧を、駆動制御部2に内蔵されたアナログ/デジタル(A/D)変換器(図示せず)を用いて一定の期間取得する電圧取得部4と、電圧取得部4で取得した各電圧に対応した2本の近似直線を算出する近似直線算出部5と、2本の近似直線が交わる交点(第1の交点)の軌跡を算出する交点軌跡算出部6と、交点軌跡算出部6で算出した複数の交点軌跡が交わる交点(第2の交点)に基づいて閉弁タイミングを算出する閉弁タイミング算出部7と、を有している。なお、駆動ドライバ8は、インジェクタの制御装置1に具備されるのではなく、インジェクタの制御装置1とは別体で設けられても良い。
図2は、駆動制御部2で実行される閉弁タイミングの検出処理を説明するフローチャートである。図2に示されるように、処理を開始すると、まず、ステップS101において、インジェクタ3が燃料を噴射した際のインジェクタ端子の端子間電圧またはソレノイドの正極端子とGND間の電圧を電圧取得部4が取得する。
次に、近似直線算出部5において、電圧取得部4で取得したインジェクタ3の電圧特性に基づいて、2本の近似直線の間隔を設定する(ステップS102)。
この処理について、図3および図4を用いて説明する。図3は、インジェクタ3が燃料を噴射した際のインジェクタ端子の端子間電圧の時間変化を示す図であり、横軸に時間(t)を示し、縦軸にインジェクタ端子間電圧を(V)を示している。
図3においては、インジェクタ3にバッテリ電圧BVが供給されて駆動(ON)している期間にインジェクタ弁が開いて(開弁して)燃料を噴射し、バッテリ電圧BVの供給を止めて駆動を停止(OFF)することでインジェクタ弁が閉じて(閉弁して)燃料の噴射が止まる動作を示している。インジェクタ3が駆動を停止したことによってソレノイドの逆起電力(サージ)が発生して急激に電圧が0V(ボルト)よりも低下する。インジェクタ3には、電圧低下を制限するために図示されないクランプ回路が接続されており、逆起電力による電圧低下はクランプ回路でクランプされてクランプ電圧CVで一定となる。発生した逆起電力はクランプ回路の抵抗成分を通って徐々に減少するため、電圧が徐々に0Vに近づく。
この現象において、破線で囲まれた領域Aでは、なだらかな階段状の隆起を含む特性を示している。これは、インジェクタ3のソレノイドの力でインジェクタ弁を駆動している可動子が、インジェクタ弁が閉弁するタイミングでソレノイドから離隔してインジェクタ弁の加速度が変化することで磁界が変わり、インジェクタ端子の端子間電圧が影響を受けたことにより現れる特性である。従って、この期間内のインジェクタ端子間電圧またはソレノイドの正極端子とGND間の電圧を電圧取得部4で取得することで、効率的にインジェクタ弁の閉弁のタイミングを検出することができる。
図4には、領域Aでのインジェクタ端子間電圧の時間変化曲線T1を上段に示し、下段には時間変化曲線T1を微分した微分曲線T2を示している。図4において、上段の時間変化曲線T1の変曲点が閉弁タイミングであり、この閉弁タイミングを特定するために、まず、ステップS102において、下段の微分曲線T2の極大値と極小値の時間間隔tfを2本の近似直線の時間間隔(近似直線間隔)tiの初期値に設定する。これにより、閉弁タイミングである変曲点が検出しやすくなる。
次に、近似直線算出部5において、時間変化曲線T1における閉弁タイミングより前の任意に定めたタイミングtaに対して負方向にti/2(−ti/2)だけ離れた時間(第1の時間)および正方向にti/2(+ti/2)だけ離れた時間(第2の時間)における近似直線をそれぞれ算出する(ステップS103)。なお、タイミングtaは閉弁タイミングを検出する近似直線の算出点を規定するので、算出点規定タイミングと呼称することができる。
図5はステップS103の処理を模式的に示しており、時間変化曲線T1におけるタイミングtaに対して−ti/2およびti/2だけ離れた時間である算出点におけるそれぞれの近似直線をf1(t)およびf2(t)として示している。近似直線f1(t)および近似直線f2(t)は、それぞれの算出点に対してti/2よりも小さい範囲から、例えば10点程度の電圧値を用いて最小二乗法で算出することができる。なお、以下では近似直線f1(t)を第1の近似直線、近似直線f2(t)を第2の近似直線と呼称する場合がある。
次に、交点軌跡算出部6において、ステップS103で算出された2本の近似直線の交点を算出する(ステップS104)。
次に、近似直線算出部5において、ステップS103で設定したタイミングtaを時間変化曲線T1上の次のタイミングにシフトさせることで近似直線の算出点をシフトさせる(ステップS105)。
このように、タイミングtaをシフトさせることで近似直線の算出点をシフトさせるので、2本の近似直線の時間間隔の設定が容易となる。
次に、シフト後のタイミングが、近似直線を算出可能な範囲外であるかを近似直線算出部5において判定する(ステップS106)。範囲外でない場合(Noの場合)、すなわち、近似直線を算出することができる場合は、近似直線を算出可能な範囲外となるまでステップS103以下の処理を繰り返す。近似直線を算出可能な範囲は、インジェクタの閉弁による電圧変動が含まれる範囲に設定され、例えばクランプ電圧が増加を開始するタイミングから電圧が0Vになるまでの間などである。なお、ステップS103〜S106の処理によって得られた2本の近似直線の交点の座標のデータは、例えば、駆動制御部2内に記憶部を設けて保存しても良いし、駆動制御部2外に記憶装置を設けて保存しても良い。
一方、近似直線を算出可能な範囲外となった場合(Yesの場合)、すなわち近似直線を算出することができなくなった場合はステップS107の処理に移行する。
図6〜図14は、近似直線を算出可能な範囲外となるまでステップS103〜S106の処理を繰り返した場合の近似直線f1(t)およびf2(t)の交点の変化を示している。
タイミングtaが閉弁タイミングよりも前に設定されている場合、ta−ti/2とta+ti/2との間の曲線の形状は凸状となるため、図4に示されるように2本の近似直線f1(t)およびf2(t)の交点のx座標(時間座標)txは、ta−ti/2とta+ti/2との間に存在する。
タイミングtaを複数回シフトさせて、閉弁タイミングに近づけていくと、時間変化曲線T1の傾きが小さくなる方向に変化する。すると、ta+ti/2の近似直線の傾きが小さくなって、近似直線f1(t)およびf2(t)の交点のx座標txは、図6および図7に矢印で示されるように左方向に変化する。
タイミングtaをさらにシフトさせていくと、2本の近似直線が、閉弁タイミング前の電圧が直線的に変化する領域内に入り、図8に示されるように近似直線f1(t)およびf2(t)の交点がなくなる。
その後、タイミングtaのシフトをさらに繰り返し、ta+ti/2の点が閉弁タイミングを過ぎると時間変化曲線T1の傾きが大きくなる方向に変化する。すると、再び近似直線f1(t)およびf2(t)の交点のx座標txが、図9に示されるようにタイミングtaの右側に発生する。
タイミングtaをシフトさせて、閉弁タイミングから遠ざけていくと、時間変化曲線T1の傾きが小さくなる方向に変化する。すると、ta+ti/2の近似直線の傾きが小さくなって、近似直線f1(t)およびf2(t)の交点のx座標txは、図10〜図12に矢印で示されるように左方向に変化する。
タイミングtaをさらにシフトさせていくと、2本の近似直線が、閉弁タイミング後の電圧が直線的に変化する領域内に入り、図13に示されるように近似直線f1(t)およびf2(t)の交点がなくなる。
その後、タイミングtaのシフトをさらに繰り返し、2本の近似直線が、ta−ti/2とta+ti/2との間の曲線の形状が凸状の領域に入ると、図14に示されるように2本の近似直線f1(t)およびf2(t)の交点のx座標txは、ta−ti/2とta+ti/2との間に発生し、以後、矢印で示されるように左方向に変化するようになる。
ここで図2のフローチャートの説明に戻る。近似直線を算出可能な範囲外となるまでステップS103〜S106の処理を繰り返した後は、ステップS103〜S106を繰り返して得られた近似直線の交点の座標から交点軌跡算出部6が交点の軌跡を算出して交点軌跡として保存する(ステップS107)。保存は、駆動制御部2内に記憶部を設けて保存しても良いし、駆動制御部2外に記憶装置を設けて保存しても良い。
図15に交点軌跡算出部6によって算出された交点軌跡X1を示している。図15に示されるように、タイミングtaに対する2本の近似直線の交点のx座標txの変化を交点軌跡として規定しており、閉弁前後のタイミングtaにおいて2本の近似直線が交差しなくなるため、2本の近似直線の交点がなくなり、閉弁前後のタイミングtaでは交点のx座標txがマイナス無限大と無限大方向に発散した軌跡となっている。この特徴より、閉弁タイミングは2つの発散軌跡に挟まれた区間に存在することになる。
図2のフローチャートの説明に戻り、交点軌跡算出部6は、ステップS107で保存した交点軌跡が複数あるかを判断する(ステップS108)。交点軌跡が複数保存されていない場合(Noの場合)は、ステップS102に戻り、新たな近似直線間隔tiを設定してステップS103〜S107の処理を実行する。なお、交点軌跡が複数保存されている場合(Yesの場合)は、ステップS109に移行する。なお、新たな近似直線間隔tiは、初期値tfより小さければ良いが、初期値tfの1/2、1/3などに設定することが考えられる。
以降は交点軌跡が2つの場合について説明を行うが、インジェクタ電圧にノイズが重畳すると近似直線間隔tiの値に応じて交点の軌跡にも誤差が発生し、誤検出する可能性があるので、ノイズが多い条件で検出する場合は、3つ以上の異なる近似直線間隔tiの値を用いて、ノイズによる誤差が発生する位置をずらして取得した3つ以上の交点軌跡を使用することが望ましい。
図16に、図15の交点軌跡X1に近似直線間隔tiを変更して得られた交点軌跡X2を追加した図を示す。図16に示されるように、2つの交点軌跡X1およびX2は、上述した2つの発散軌跡に挟まれた区間の中で交差している。
図2のフローチャートの説明に戻る。ステップS109では、閉弁タイミング算出部7において、保存された複数の交点軌跡に対して2つの発散軌跡に挟まれた区間内での複数の交点軌跡の交点を算出する。この交点は、複数の交点軌跡の差分の正負が反転するタイミングを交点とするなどの方法で算出することができる。
最後に、ステップS109で算出された交点のタイミングをインジェクタ3の閉弁タイミングとして決定し(ステップS110)、一連の処理を終了する。
このように2つの発散軌跡に挟まれた区間内での複数の交点軌跡の交点をインジェクタ3の閉弁タイミングとすることで、2つの発散軌跡に挟まれた区間外に交点軌跡の交点が存在した場合でもそれは無視できるので、インジェクタ3の閉弁タイミングの検出が容易となる。
また、2つの交点軌跡でインジェクタ3の閉弁タイミングを検出するので、検出に要する処理時間が短くて済むので、閉弁タイミングの検出を素早く行うことができる。
図2のフローチャートのステップS109での複数の交点軌跡の交点の算出方法について、以下にさらに説明する。
初めに算出する近似直線f1(t)およびf2(t)において、それぞれの傾きをAおよびCとし、切片をBおよびDとすると、近似直線f1(t)およびf2(t)は、それぞれ以下の数式(1)および(2)で表される。
f1(t)=At+B・・・(1)
f2(t)=Ct+D・・・(2)
上記数式(1)および(2)より、近似直線f1(t)と近似直線f2(t)との交点のx座標txの軌跡は、(D−B)/(A−C)となる。
ここで、傾きAを求める際の計測点の座標を(x1、y1)、(x2、y2)、傾きCを求める際の計測点の座標を(x3、y3)、(x4、y4)とすると、傾きAおよび傾きCは、それぞれ以下の数式(3)および(4)で表される。
A=(y2−y1)/(x2−x1)・・・(3)
C=(y4−y3)/(x4−x3)・・・(4)
上記数式(3)および(4)より、以下の数式(5)を得る。
A−C=(y2−y1)/(x2−x1)−(y4−y3)/(x4−x3)・・・(5)
計測点間の距離は等しいとすると、x2−x1=x4−x3となるので、数式(5)は以下の数式(6)を経て数式(7)のように変形することができる。
A−C=((y2−y1)−(y4−y3))/(x2−x1)・・・(6)
=((y2−y4)−(y1−y3))/(x2−x1)・・・(7)
よって、A−Cは距離の離れた計測点(x2、y2)と(x4、y4)、(x1、y1)と(x3、y3)で2階微分した値と同等となり、計測データの間隔を広くしてノイズの影響を低減した効果が得られる。
同様に、近似直線間隔tiを変更した場合の2本の近似直線をそれぞれf3(t)およびf4(t)とすると、近似直線f3(t)およびf4(t)は、それぞれ以下の数式(8)および(9)で表される。
f3(t)=Et+F・・・(8)
f4(t)=Gt+H・・・(9)
上記数式(8)および(9)より、近似直線f3(t)と近似直線f4(t)との交点のx座標txの軌跡は、(H−F)/(E−G)となる。
従って、2つの交点軌跡の交点は、以下の数式(10)で表される。
(D−B)/(A−C)=(H−F)/(E−G)・・・(10)
数式(10)を変形すると以下の数式(11)となる。
(H−F)(A−C)−(D−B)(E−G)=0・・・(11)
(A−C)−(E−G)は2階微分値の差分であるため、数式(11)は3階微分に相当する。
この結果より、2つの交点軌跡の交点は3階微分と同等の計算で算出されたこととなり、しかも近似直線間隔tiの間隔を広く設定した場合と同じ効果、すなわちノイズに対する影響度を小さくすることができる。すなわち、2点の座標から傾きを求める際に、2点間のx座標が離れている方が、同じ大きさのノイズが乗った場合の影響が少なくなるからである。
従って、隣接した計測値を用いた微分処理に比べて、同等のノイズ成分が重畳したときの影響を小さく抑えることが可能となる。また、フィルタおよび閾値を用いていないため、検出を行う前に、検出時の駆動条件および温度に応じてパラメータを適合させる作業が不要となる。
以上説明したように、実施の形態1のインジェクタの制御装置1を用いることで、インジェクタ3のソレノイドの端子間電圧に重畳するノイズに起因する誤差および閉弁タイミングの検出手段であるフィルタのフィルタ周波数および判定閾値などのパラメータ設定の影響を強く受けることなく、燃料噴射弁の閉弁タイミングを正確に検出することが可能になる。
なお、以上説明したインジェクタの制御装置1の一部は、コンピュータを用いて構成することができ、コンピュータがプログラムを実行することで実現される。すなわち、インジェクタの制御装置1は、例えば図17に示す処理回路101、電圧検出器102および駆動ドライバ8により実現される。処理回路101には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサが適用され、記憶装置に格納されるプログラムを実行することで各部の機能が実現される。
具体的には処理回路101は、図1に示した駆動制御部2の近似直線算出部5、交点軌跡算出部6および閉弁タイミング算出部7の機能を実現する。また、駆動制御部2の電圧取得部4は、電圧検出器102によって実現される。
なお、処理回路101には、専用のハードウェアが適用されても良い。処理回路101が専用のハードウェアである場合、処理回路101は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたもの等が該当する。
また、図18には、処理回路101がプロセッサを用いて構成されている場合におけるハードウェア構成を示している。この場合、インジェクタの制御装置1の一部の機能は、ソフトウェア等(ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェア)との組み合わせにより実現される。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリ202に格納される。処理回路101として機能するプロセッサ201は、メモリ202(記憶装置)に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、このプログラムは、インジェクタの制御装置1の一部の構成要素、具体的には図1に示した駆動制御部2の近似直線算出部5、交点軌跡算出部6および閉弁タイミング算出部7の動作の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるといえる。
ここで、メモリ202は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)およびそのドライブ装置等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であっても良い。
以上、インジェクタの制御装置1の一部の構成要素の機能が、ハードウェアおよびソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、インジェクタの制御装置1の一部の構成要素を専用のハードウェアで実現し、別の一部の構成要素をソフトウェア等で実現する構成であっても良い。例えば、一部の構成要素については専用のハードウェアとしての処理回路101でその機能を実現し、他の一部の構成要素についてはプロセッサ201としての処理回路101がメモリ202に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
以上のように、インジェクタの制御装置1の一部は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 インジェクタの制御装置、2 駆動制御部、3 インジェクタ、4 電圧取得部、5 近似直線算出部、6 交点軌跡算出部、7 閉弁タイミング算出部、8 駆動ドライバ。

Claims (6)

  1. 内燃機関の燃料噴射に用いるインジェクタを制御するインジェクタの制御装置であって、
    前記インジェクタの駆動を制御する駆動制御部を備え、
    前記駆動制御部は、
    前記インジェクタを構成するソレノイドの端子の電圧を一定の期間取得する電圧取得部と、
    前記電圧取得部で取得した前記一定の期間内の第1および第2の時間での前記電圧に対して、それぞれ第1および第2の近似直線を算出し、前記第1の近似直線と前記第2の近似直線とが交わる第1の交点を算出する近似直線算出部と、
    前記第1および第2の時間を時間間隔を保って前記期間内で複数回シフトさせて得られた複数の前記第1の交点から交点軌跡を算出する交点軌跡算出部と、
    前記時間間隔を複数回変えて算出された複数の前記交点軌跡が交わる第2の交点を算出して前記インジェクタの閉弁タイミングを決定する閉弁タイミング算出部と、を有し、
    前記第1および第2の時間は、
    前記一定の期間内の所定のタイミングに対して負方向および正方向に同じ間隔だけ離れた時間で規定され、
    前記第1および第2の時間の前記一定の期間内でのシフトは、前記所定のタイミングを前記期間内で移動させるごとに前記第1および第2の時間を設定することで実行され、
    前記交点軌跡は、
    前記所定のタイミングに対する前記第1の交点の時間座標の変化として規定されるインジェクタの制御装置。
  2. 前記一定の期間は、
    前記ソレノイドの前記端子への前記電圧の供給が停止した後、前記ソレノイドの逆起電力により0ボルトよりも低下した前記電圧が0ボルトに近づく際の時間変化曲線において、階段状の隆起を有する部分を含む期間であって、
    前記第1の時間と前記第2の時間との前記時間間隔の初期値は、前記一定の期間内の前記時間変化曲線を微分した微分曲線の極大値と極小値の間の間隔に設定される、請求項1記載のインジェクタの制御装置。
  3. 前記複数の交点軌跡は、
    前記第1の時間と前記第2の時間との前記時間間隔の前記初期値と、前記初期値よりも小さく設定された少なくとも1つの新たな時間間隔とを用いて算出される、請求項2記載のインジェクタの制御装置。
  4. 前記複数の交点軌跡は、
    前記時間間隔の前記初期値と、前記初期値よりも小さく設定された2つの新たな時間間隔とを用いて算出される、請求項記載のインジェクタの制御装置。
  5. 前記交点軌跡で算出された前記交点軌跡は、
    前記第1の交点が存在せず軌跡が発散した時間座標を2つ以上含む、請求項記載のインジェクタの制御装置。
  6. 前記閉弁タイミング算出部は、
    前記軌跡が発散した前記時間座標に挟まれた区間の中で交差する前記交点軌跡の前記第2の交点を算出して前記インジェクタの前記閉弁タイミングとする、請求項記載のインジェクタの制御装置。
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