JP6901974B2 - 生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る方法およびそれにより得られる制御送達システム - Google Patents

生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る方法およびそれにより得られる制御送達システム Download PDF

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Description

本発明は、生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る方法に関する。より詳細には、本発明は、生物によって吸収される生物学的に活性な物質の百分率に関して有効な送達を得ることを可能にするシステムを得る方法に関する。
本発明はさらに、上記方法に従って作製される生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムに関する。
経口経路を通して摂取される薬物、栄養補助食品等などの生物学的に活性な物質は、公知であり、非常に広範囲にわたる。
かかる生物学的に活性な物質が効果を適切に発揮するためには、それらは所望の量で消化管のまたは標的器官の所望の部分に到達しなければならない。
その作用のために所望の部位に放出される生物学的に活性な物質の量は、投与量、吸収速度、および身体におけるかかる吸収の分布に依存し、その効果は、生物学的に活性な物質の濃度が、排泄および代謝のために最小閾値未満に低下すると終わる。
特に、消化管の最初の部分(口腔、食道、胃)を通過する間に、腸管においてのみ生物に送達され得るように、幾つかの生物学的に活性な物質は完全なままであることが望ましい。
生物学的に活性な物質は、単独ではあまり投与されない。むしろ、それらは、生物学的に活性な物質(または場合によっては生物学的に活性な物質の組合せ)の他に、生物学的に活性な物質の調製および投与を容易にする機能、そのバイオアベイラビリティを促進する機能、それを劣化から防御する機能などを含む種々の機能を有することができる1つまたは複数の賦形剤を含む製剤の形態で、通常投与される。
特に、賦形剤は、生物学的に活性な物質の吸収の速度および量に潜在的に影響を与え得る。例えば、非毒性の生体適合性ポリマーは、生物学的に活性な物質の送達に影響を与えるための賦形剤として使用することができる。
この目的のためのアルギン酸塩の使用は、従来技術で広まっている。アルギン酸塩は、天然多糖類ならびにポリマー鎖中にブロックで配置されるG基(グルロン酸)およびM基(マンヌロン酸)で構成される直鎖状ポリマーであるアルギン酸の塩である。
Figure 0006901974
GブロックとMブロックとの間の比率は、アルギン酸塩が由来する供給源に応じて変化し得る。
アルギン酸およびアルギン酸塩の水和は、膨張および高粘性ゲルの形成を引き起こして、それらが生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムにおいて有意な役割を果たすことを可能にする。
実際に、製剤が、生物学的に活性な物質を含有するコアおよびアルギン酸塩を含有する外側コーティングを含む場合、アルギン酸塩がひとたび水和されると、それらは、生物学的に活性な物質と生物の間にバリアを形成して、したがって、上記生物学的に活性な物質の制御送達を可能にする。
生物学的に活性な物質の送達は、ポリマーマトリックスの膨張による上記物質の拡散によって、およびマトリックスの外縁での溶解/侵食のプロセスによって、実際に調節される。
特に、アルギン酸塩を含有するポリマーマトリックスは、胃を通過する間に完全なままであり、腸管に送達されなければならない生物学的に活性な物質のための賦形剤として有用であると証明されている。
しかしながら、膨張および溶解/侵食のプロセスは、非常に複雑であり、それにより、再現性があり、かつ予測可能な動態を有する生物学的に活性な物質の送達を得ることが、極めて困難になっている。
従来技術によれば、生物学的に活性な物質を含有する製剤が、球体または「ビーズ」の形態で供給され、それによって、生物学的に活性な物質のコアが、一様な厚さを有するバリア内に封入されるという事実によって、この問題は悪化する。
生物学的に活性な物質が拡散しなければならない一様な厚さを有するバリアの存在は、再現性があり、かつ予測可能な動態を有する送達システムを得ることの困難をさらに増加させる。
さらに、このことが、生物によって実際に吸収される物質の百分率に関して、生物学的に活性な物質の吸収効率が乏しいとのリスクに進展する。
これらの欠点を解決するためには、理論上必要である投与量に関して生物学的に活性な物質の投与量を増加させることが通例である。
しかしながら、この解決策は、特に、望ましくない副作用の発生および/または問題の生物学的に活性な物質に対する不耐性の発現に関して禁忌がないわけではない。
したがって、本発明の主な目的は、上述の欠点を克服して、送達の予測可能であり、かつ再現性のある動態を得て、最後には、吸収される物質の百分率に関して上記生物学的に活性な物質の吸収の効率を改善することを可能にする生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを提供することである。
これらのおよび他の目的は、添付の特許請求の範囲に記載するような生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る方法およびそれらにより得られる制御送達システムを用いて達成される。
本発明の基本概念は、生物学的に活性な物質が、実質的に球体形状を有するポリマーマトリックス中に封入される代わりに、実質的に平行六面体(parallepiped)形状を有する構造中に封入される制御送達システムを得ることである。
換言すると、生物学的に活性な物質を含有するコア周囲に実質的に球体のマトリックスを形成するのに適したポリマーは使用されず、生物学的に活性な物質が導入される実質的に平行六面体(または立方体)構造または「箱」の壁を形成するのに適したポリマーが使用され、上記構造または「箱」のサイズは、その中に含まれるべき物質に従って調節可能である。
本発明によれば、この構造または「箱」は、製剤が所望の送達部位に到達すると生物学的に活性な物質を即座に利用可能にするように、1つまたは複数の壁が開放するよう考案され、したがって、吸収される物質の百分率に関して上記生物学的に活性な物質の吸収の効率を改善する。
特に、上記構造または「箱」は、pHなどの予め設定されたパラメーターが、既定値に到達すると開放するよう考案され得る。あるいは、それは、貧食されて、細胞質で開放するように考案され得る。
例として、構造または「箱」は、胃の通過中に生物学的に活性な物質を防御するように、酸性pH条件下では閉じたままであり、中性pH条件下では、それが腸に到達するとすぐ、開放して、物質を生物に利用可能にすることを提供することが可能である。
本発明の発明原理は、特許請求するような制御送達システムを得る方法を実行することによって機能させることができ、この方法は本質的に、同様にポリマーを用いて作製される架橋によって互いに結合されて、平行六面体形状を有する三次元構造を得ることを可能にする複数の相互に平行した平坦なポリマー構造を形成することを提供する。
平行六面体形状を有するこの三次元構造は、単独で生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを形成することができるか、または、それは、生物学的に活性な物質を受容する「箱」の1つまたは複数の、好ましくは全ての壁を形成するのに使用することができ、これも、実質的に平行六面体形状を有する。
上記平坦な平行したポリマー構造は、アルギン酸塩または類似の多糖類と適切な多塩基酸(無機または有機のいずれか)との酸加水分解によって得ることができるのに対して、架橋は、1つまたは複数の官能基で置換されたセルロースの、もしくは類似した多糖類のモノマーまたはポリマーによって得ることができる。
本発明による方法は、所望の形状およびサイズを有する構造または「箱」を作製することを可能にし、それは、内部的には運搬されるべき生物学的に活性な物質に、また外部的には標的細胞(例えば、腸細胞)との相互作用に適応することができ、したがって、吸収もしくは細胞間隙経路の通過の、または吸収時の即座の使用のより大きな可能性を伴って、運搬される物質を生物学的に利用可能にする。
これにより、生物学的に活性な物質の投与量の増加を回避すること、吸収をより良好に調節すること、薬物動態および薬力学を改善すること、したがって、副作用の危険性を低減させると同時に、生物学的に活性な物質の作用の効率を改善することが可能となる。
好適には、本発明による方法は、任意のサイズ、特にナノメートルサイズ、マイクロメートルサイズもしくはより大きいサイズの構造または「箱」を作製することを可能にする。好適には、これは、生物学的に活性なイオン、分子または高分子の制御送達のためのシステムを得る本発明の方法を使用することを可能にする。
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として付与される下記の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明からより明らかとなる:
本発明による生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る方法の主なステップを示すブロック図である。 図2aは、加水分解ステップ中の多塩基酸の作用を示す図である。 図2bは、得られる構造を示す図である。 図3aは、本発明による方法によって得ることが可能な種々のサイズの構造または「箱」を示す電子顕微鏡画像である。 図3bは、本発明による方法によって得ることが可能な種々のサイズの構造または「箱」を示す電子顕微鏡画像である。 図3cは、本発明による方法によって得ることが可能な種々のサイズの構造または「箱」を示す電子顕微鏡画像である。 図3dは、本発明による方法によって得ることが可能な種々のサイズの構造または「箱」を示す電子顕微鏡画像である。 図3a〜図3dの構造または「箱」の開放および生物学的に活性な物質の送達後の残留セルロース構造を示す図である。 図1の方法によって得ることが可能であり、ナノメートルサイズを有する生物学的に活性な物質に適した制御送達システムの構造を図式的に示す図である。 図1の方法によって得ることが可能であり、マイクロメートルサイズまたはより大きいサイズを有する生物学的に活性な物質に適した制御送達システムの構造を図式的に示す図である。 本発明による方法の適用例において得ることが可能な構造または「箱」の三次元構造を図式的に示す図である。 図8aは、本発明による制御送達システムによって送達される生物学的に活性な物質の同化を示す図である。 図8bは、本発明による制御送達システムによって送達される生物学的に活性な物質の同化を示す図である。 図8cは、本発明による制御送達システムによって送達される生物学的に活性な物質の同化を示す図である。 図8dは、本発明による制御送達システムによって送達される生物学的に活性な物質の同化を示す図である。 図8eは、本発明による制御送達システムによって送達される生物学的に活性な物質の同化を示す図である。
最初に図1を参照すると、生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る本発明の方法の主なステップが、ブロック図の形態で示される。
上記方法の第1のステップでは、アルギン酸塩または類似した多糖類が、酸性環境中で加水分解プロセスに付される。
驚くべきことに、本出願人は、多塩基酸、より詳細にはリン酸を使用することによって、アルギン酸塩の加水分解のステップの最後に、実質的にシートの形態で平坦な構造を形成し得るポリマー鎖を得ることが可能であることを見出した。
リン酸の代わりに、無機または有機のいずれかの他の多塩基酸、例えば乳酸を使用することが可能である。
方法のこの第1のステップの結果は、出発アルギン酸塩のみに強力に依存するのではなく、加水分解プロセスが、特に温度に関して実行される条件ならびにプロセス自体のタイミングにも強力に依存している。
本発明の好ましい実施形態では、加水分解プロセスは、12〜70℃の、好ましくは37〜65℃の範囲の温度で、1時間〜78時間、より好ましくは、10時間〜26時間の範囲の時間、実行される。
図2aは、G基およびM基の結果として生じる分離を伴う、50℃で24時間のリン酸を用いたアルギン酸塩の解重合の反応を図式的に示す。
図2bは、リン酸を用いたアルギン酸塩の加水分解から生じるG基およびM基の平坦な構造または「シート」を図式的に示す。好適には、リン酸(または別の多塩基酸)を使用することによって、活性な物質が導入される平行六面体構造または「箱」の平行した壁を形成する平坦な鏡面構造を得ることが可能である。本発明による方法の第2のステップでは、官能基で置換されたセルロースもしくは類似した多糖類のモノマーまたはポリマーが添加され、この添加は、加水分解の結果として形成されたアルギン酸塩のGブロックとMブロックとの間の結合の形成中に空間中に続く構築が配向されることを確実にする目的を有する。
特に、本発明の好ましい実施形態では、このステップにおいて、官能基で置換されたセルロースは、モノマーまたはポリマー、特にダイマーに切断され、上記セルロースモノマーまたはダイマーは、上記シート様構造を形成するアルギン酸塩のGブロックおよびMブロックの鎖を連結するため架橋を形成する。
本発明による方法で使用することができる官能基で置換されたセルロースのモノマーおよびポリマーの中でも、ヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、メチルセルロースおよびプロピルセルロースのモノマーならびにポリマーを、非限定的な例として挙げることができる。
図3a〜図3dは、ヒドロキシエチルセルロースが出発アルギン酸塩に添加された本発明の実施例に関する電子顕微鏡画像である。
特に図3a〜図3bの比較から、出発アルギン酸塩、アルギン酸塩とヒドロキシエチルセルロースとの間の比、および反応温度を変化させることによって、種々のサイズの構造または「箱」をどのように得ることができるかが理解され得る。
本発明による方法の第3のステップでは、制御送達システムによって運搬されるべき生物学的に活性な物質、例えば薬物が導入される。
生物学的に活性な物質は、表面電荷に起因して、G基およびM基ならびにセルロース架橋の予め提供されている構造に構築される。
この目的で、生物学的に活性な物質の表面電荷が非局在化されることが、重要である。
上記で予想されるように、図3a〜図3dからも十分明らかであろうように、本発明による方法は、非常に様々なサイズ、特にナノメートルサイズ、マイクロメートルサイズもしくはより大きいサイズの構造または「箱」を形成することが可能であるため、上記生物学的に活性な物質は、イオン、分子または高分子の形態で存在し得る。
必要に応じて、例えば、生物学的に活性な物質がイオンである場合、上記生物学的に活性な物質を導入するステップに先行して、上記物質の分離および選択のステップを行うことができる。
例えば、生物学的に活性な物質がカルシウム塩として供給されるカルシウムイオンである場合、イオン、即ち生物学的に活性な成分のみが平行六面体構造に組み込まれるように、分子の残部からイオンを分離および選択する予備ステップが行われる。
本発明による方法の第4のステップでは、適切な重合剤を添加することによって、先の加水分解ステップから得られる生成物の重合を行う。
本発明の好ましい実施形態では、二価イオン、特にカルシウムイオン(Ca2+)が、重合剤として使用される。
アルギン酸塩の重合のためのカルシウムイオンの使用は、公知である。
しかしながら、従来技術によれば、カルシウムイオンを用いたアルギン酸塩の重合は、常に球体構造を生成する。
本発明による方法では、代わりに、酸加水分解の先のステップおよび「型」として作用するセルロース形態の続く添加の結果、重合ステップは、実質的にシートの形態で、アルギン酸塩のGブロックおよびMブロックの鎖ならびにそれらの間に挿入されるセルロース架橋で構成される平坦な構造を生成する。
したがって、本発明の方法では、カルシウムイオンまたは類似の二価イオンの添加は、消化反応を阻止して、同時に構造または「箱」の壁のサイズ、特にその厚みを変更させる機能を有する。
本発明による方法の第5のステップでは、式
Figure 0006901974
を有するマンノースが導入される。
マンノースは、生物学的に活性な物質を封入する構造の、または「箱」の三次元構造を完成させる。
マンノースが、外側環境の条件に応じて閉じた形態から開いた形態にまでシフトすることが可能であるという事実が原因で、この能力を、生物学的に活性な物質を外側環境から防御するため、または、むしろ、それを従来技術による球体形状を有する制御送達構造を用いた場合よりも有効な方法で生物にとって利用可能なものにするため、利用することが可能である。
マンノースを、類似した物質で置き換えられてもよいことは明らかであるが、但し、これも、閉じた形態から開いた形態までシフトすることが可能である場合に限る。
本発明の制御送達システムが、平行六面体構造または「箱」として供給される事実に起因して、マンノースのこの特性を利用することができることは、さらに明らかである:このようにして、閉じた形態から開いた形態までシフトさせることによって、マンノース(「ヒンジ」として作用する)は、構造または「箱」の壁の開放および生物学的に活性な物質の送達を可能にする。この結果は、マンノースを伝統的な送達システムに単に添加することによって、達成させることはできない。
このように、本発明による方法は、周囲環境の条件、例えば、pH値に応じて、開放させて、マンノースおよびシステムにより運搬される生物学的に活性な物質を送達することができる制御送達システムを得ることを可能にする。
特に、本発明による方法の好ましい実施形態では、マンノースは、酸性pHの存在下では閉じた形態を保持し、中性pHの存在下では開いた形態にシフトする。
このように、好適には、生物学的に活性な物質は、胃管を完全なままで通過して(閉じた「箱」によって防御される)、pHの上昇が、マンノースを閉じた形態から開いた形態までシフトさせるとすぐに、腸に送達させることができる。
図4は、中性pHの存在下では本発明の構造または「箱」の分解を示し、セルロース骨格のみを残している電子顕微鏡画像である。上述するように、本発明による方法は、多種多様な生物学的に活性な物質に適応することが可能な種々の構造を創出することを可能にする。
特に、ナノメートルサイズ、マイクロメートルサイズまたはより大きいサイズの構造を創出することが可能である。ナノメートルサイズを有する生物学的に活性な物質の場合、アルギン酸塩のGブロックおよびMブロックの鎖ならびにそれらの間に挿入されるセルロース架橋で構成される一対の平坦な構造によって形成される構造が、それ自体、生物学的に活性な物質が含有される制御送達システムを構成する。
代わって、マイクロメートルサイズまたはより大きいサイズを有する生物学的に活性な物質の場合、アルギン酸塩のGブロックおよびMブロックの鎖ならびにそれらの間に挿入されるセルロース架橋で構成される平坦な構造の対によって形成される構造は、順に実質的に平行六面体形状を有する「箱」の1つまたは複数の壁、好ましくは全ての壁を提供するのに使用され、生物学的に活性な物質は、上記壁によって規定される上記「箱」に導入される。
上述の方法を用いて、方法条件を変更させることによって、ナノメートルサイズ、マイクロメートルサイズもしくはより大きいサイズの構造または「箱」を創出することが可能である。
例えば:
−ナノメートルサイズを有する構造を創出するために、酸性濃度を一定に維持しながら、非常に少量のセルロースを添加することによって、加水分解ステップの時間および温度を変更させることが可能であり、その結果、弱陽性はまたは汎陽性表面電荷を有する一価、二価および三価金属イオンまたは小分子との静電相互作用を有する溶媒和物を含有する1〜100nmの小さい平行六面体を形成するように、分子が構築されるようになってきた;
−マイクロメートルサイズの構造を創出するために、酸性濃度を一定に維持しながら、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)としてまたはメチルエチルセルロース(MEC)として、種々の量のセルロースを添加することによって、およびそれらの酸化部位を防御することによって、有機高分子、同様に酸素反応性高分子を含有する可能性を伴って、最大2〜4μmのサイズのポリマーシートを支持するための骨格またはフレームとして作用するのに適したその形状を変化させることによって、加水分解ステップの時間および温度を変更させることが可能である;
−マクロサイズを有する構造を創出するために、セルロース−アルギン酸塩複合体の超分子構築は、その壁がセルロース−アルギン酸塩共重合体で作製される管形状の中空構造を形成するように、重合を配向させることによってセルロース方向を規定するための基盤として使用され;構築に進むために、十分に規定された比率でMgイオンとCaイオンとの相互作用が使用されて;この場合に添加されるMECおよびHECの量は、微量で、高分子片を分離された状態で保つことを可能にする、グルコノラクトン、およびジステアリン酸メチルグルコースなどのより複雑な糖の添加を要し、したがって運搬されるべき物質の導入に先立って、それらが自己集合するのを防ぐ。
本発明による方法は、例えばイヌリンもしくはセルロースまたはそれらの誘導体などの多糖類などのゲル化剤の添加を含む任意の安定化ステップを、場合によっては含んでもよい。
かかる安定化ステップは、マイクロメートルサイズまたはより大きいサイズを有する生物学的に活性な物質の送達のためのシステムの場合に特に好適である。
さらに、上記方法は、創出された構造または「箱」が防御層を備えている任意のさらなるステップを、場合によっては含んでもよい。上記防御層は、例えば、フルクトース等を添加することによって得ることができる。
最終的に、上記で示すように、大きいサイズの「箱」の場合、本発明による方法は、高分子片を分離された状態で保つために添加剤が添加されるステップを、場合によっては含み、したがって運搬されるべき物質の導入に先立って、それらが自己集合するのを防ぎ、上記添加剤は、グルコノラクトンおよびジステアリン酸メチルグルコースを含む。
グルコノラクトンおよびジステアリン酸メチルグルコースに加えて、またはグルコノラクトンおよびジステアリン酸メチルグルコースに対する代替物として、ガラクトース、グルコン酸、グルコン酸塩、グルコン酸エステルまたはそれらの組合せから選択される化合物を使用することが可能である。
図5は、上述の方法よって得ることが可能であり、特にナノメートルサイズを有する生物学的に活性な物質に適している制御送達システムの構造の例を非常に図式的に示す。
この場合、制御送達システムは、GブロックおよびMブロックのポリマー鎖ならびにそれらの間に挿入されるセルロース架橋の一対のシートを含む構造で構成される。
図5で明らかなように、GブロックおよびMブロックのポリマー鎖は、それ自体を平坦な平行した構造(図5において平面x−z上に配置される)で配置して、カルシウムイオンCa2+の存在に起因して架橋結合を形成する。
GブロックおよびMブロックの構造の中で、上述のポリマー鎖の平面に垂直な軸(図5中のy軸)に沿って配置されるセルロースモノマーまたはポリマーの架橋が提供され;特に、図5において、式
Figure 0006901974
(式中、R=Hであるか、またはR=CHCHOHである)
を有するヒドロキシエチルセルロースのモノマーの架橋が提供される。
マンノース(図5では示されない)は、三次元的に(図5におけるz軸上に)それ自体を挿入する。したがって、生物学的に活性な物質XXは、三次元「箱様」構造内に封入される。静電相互作用は、GブロックおよびMブロックと上記生物学的に活性な物質との間で、ならびにGブロックおよびMブロックとヒドロキシエチルセルロースのモノマーとの間で確立されるようになり、上記相互作用は、開いた形態から閉じた形態までシフトするマンノースによって均衡が保たれる。
続いて、既定の条件で閉じた形態から開いた形態までシフトすることによって、マンノースは、GブロックおよびMブロックのポリマー鎖で構成されるシートの開放を引き起こし、薬物の有効な送達を可能にする。
図6は、代わって、上述の方法によって得ることが可能であり、特にマイクロメートルサイズまたはより大きいサイズを有する生物学的に活性な物質に適している制御送達システムの例を非常に図式的に示す。
この場合、GブロックおよびMブロックのポリマー鎖ならびにそれらの間に挿入されるセルロース架橋の一対のシートを含む構造は、制御送達システムを形成する「箱」が作製される壁それぞれを構成する。
したがって、図6で明らかなように、生物学的に活性な物質YYは、各壁が図5に示される構造を有する上記三次元「箱」内に封入される。
マンノースは、種々の壁の間で端に沿ってそれ自体を挿入し、静電相互作用は、GブロックおよびMブロックと上記生物学的に活性な物質との間で、ならびにGブロックおよびMブロックとヒドロキシエチルセルロースのモノマーとの間で確立されるようになり、上記相互作用は、開いた形態から閉じた形態までシフトするマンノースによって均衡が保たれる。
続いて、既定の条件で閉じた形態から開いた形態までシフトすることによって、マンノースは、GブロックおよびMブロックのポリマー鎖で構成されるシートの開放を引き起こし、薬物の有効な送達を可能にする。
生物学的に活性な物質を送達する際に効率を改善することの他に、本発明は、従来技術の方法に関して非常に低い製造コストで、生物学的に利用可能な物質を得ることを可能にする。
さらに、マンノースに関連付けられるアルギン酸塩の使用は、マンノースの周知の抗菌/静菌特性のため、周知のさらなる最終的な効果を有する高品質の最終生成物を生産することを可能する。
適用実施例
本発明による方法の適用の幾つかの実施例を以下に付与する。
ナノメートルサイズ(55〜100nm)を有する制御送達システムの調製
アルギン酸塩1〜90グラムを、5〜70℃にした浸透水(osmotized water)1リットルに添加する。1〜10時間で完全な溶解に到達する。
続いて、加水分解ステップを始める。リン酸5〜50グラムを添加して、1〜26時間、攪拌を実行する。HECおよび/またはMEC 1.50〜1500グラムを添加して、ゆっくりと攪拌を実行するが、さらに1〜60時間激しく攪拌も実行する。4〜27℃への冷却を行い、pHは、NaOHを用いて、それを2〜12まで調節することによって制御される。
続いて、構築ステップを実行する。キラルおよび非キラルC2 C3 C4上のアルドースエピマー(但しまた同じ特徴を有するケトース)0.01〜100グラムを添加する。温度を1〜60℃に調節して、非常に強撹拌下で12時間、混合を行う。温度を2〜29℃に戻す。所望の量の生物学的に活性な物質を添加して、1〜72℃で、1分〜24時間の時間、混合を実行する。
一連のハロゲンの陰イオンを有するCaイオン0.00001〜100グラムを添加する;一連のハロゲンの陰イオンを有するMgイオン0.00001〜100グラムを添加する;一連のハロゲンの陰イオンを有するSrイオン0.00001〜100グラムを添加する。
マイクロメートルサイズを有する制御送達システムの調製
加水分解ステップ:リン酸0.0011〜50グラムを、種々の形態のアルギン酸ナトリウムおよびカリウムに添加して、1〜5時間、強攪拌を行う;HECおよび/またはMEC 1.50〜1500グラムを添加して、ゆっくりと攪拌を行うが、さらに1〜60時間、激しい攪拌も行う;4〜27℃への冷却を行い、pHは、NaOHを用いて、それを2から12まで調節することによって制御される。
構築ステップ:キラルおよび非キラルC2 C3 C4上のアルドースエピマー(但しまた同じ特徴を有するケトース)0.01〜100グラムを添加する;温度を1〜60℃に調節して、非常にゆっくりと、混合を実行するが、非常に強攪拌も12時間実行する;温度を2〜29℃に戻す;所望の量の生物学的に活性な物質を添加して、1〜72℃で、1分〜12時間の時間、混合を実行する;一連のハロゲンの陰イオンを有するCaイオン0.00001〜100グラムを添加する;一連のハロゲンの陰イオンを有するMgイオン0.00001〜100グラムを添加する;一連のハロゲンの陰イオンを有するSrイオン0.00001〜100グラムを添加する。
マクロサイズを有する制御送達システムの調製
多塩基酸5〜50グラムを、アルギン酸塩0.5〜100グラムに添加して、ゆっくりと攪拌を実行するが、1〜5時間、激しい攪拌も実行する;HECおよび/またはMEC 1.50〜1500グラムを添加して、ゆっくりと攪拌を実行するが、さらに1〜60時間、激しい攪拌も実行する;グルコノラクトン0.0001〜90グラムおよびイヌリン0.0001〜100グラムを添加する;4〜27℃への冷却を行い、pHは、NaOHを用いて、それを2から12まで調節することによって制御される;アルドースまたはケトースのダイマー(但しテトラマーも、但しモノマーまたはダイマーのエステルも)は、0.00001から70グラムまでの可変量で存在する。
キラルおよび非キラルC2 C3 C4上のアルドースエピマー(但しまた同じ特徴を有するケトース)0.01〜100グラムを添加する;温度を1〜60℃に調節して、非常に強攪拌下で12時間、混合を実行する;温度を2〜29℃に戻す;所望の量の生物学的に活性な物質を添加して、1〜72℃で、1分〜2時間の時間、混合を実行する;一連のハロゲンの陰イオンを有するCaイオン0.00001〜100グラムを添加する;一連のハロゲンの陰イオンを有するMgイオン0.00001〜100グラムを添加する;一連のハロゲンの陰イオンを有するSrイオン0.00001〜100グラムを添加する。
考え得る中心性二重陰性電荷および4つの側方水素架橋の可能性を有する約400のダルトンの分子量を有する生物学的に活性な物質の分子の調製
成分:
浸透水 1000.00000グラム
アルギン酸ナトリウム 2.50000グラム
リン酸 1.50000グラム
水酸化ナトリウム 十分量 pH 5.75
グルコノラクトン 0.10000グラム
ヒドロキシエチルセルロース 0.20000グラム
イヌリン 0.75000グラム
ジステアリン酸メチルグルコース 0.10000グラム
生物学的に活性な物質 分子量および表面電荷の両方ならびに考え得る立体異性立体配置に応じた%
D−マンノース 0.17000グラム
D−フクルトース 0.65000グラム
水酸化カルシウム 0.00015グラムまたはpH 6.02になるまで十分量
無水塩化マグネシウム 0.00015グラム
無水塩化カルシウム 0.00015グラム
調製:
アルギン酸ナトリウム2.5グラムを、40.3℃にした浸透水1リットルに添加する;1時間で完全な溶解に到達する。
続いて、加水分解ステップを始める。HPO 1.5グラムを添加して、4時間、強攪拌を行う;22℃への冷却を行い、pHは、NaOHを用いて、それを5.75まで調節することによって制御される。
その後、構築ステップを実行する。グルコノラクトン0.1グラム、HEC 0.2グラム、イヌリン0.75グラムおよびジステアリン酸メチルグルコース0.1グラムを添加する。温度を40℃に調節して、12時間、非常に強撹拌下での混合を行う。温度を20℃に戻す。生物学的に活性な物質20グラムを添加して、22℃で2時間、混合を実行する。マンノース0.17グラムおよびフルクトース0.65グラムを添加する。Ca(OH) 0.00005グラムを添加して、回転の方向を逆転させる。Ca(OH) 0.00010グラムを添加する。MgCl 0.00015グラムおよびCaCl 0.00015グラムを添加する。pHは、ゆっくりとした撹拌下で、マイクロ量のCa(OH)を添加することによって6.02にする。
in vivoでの実験−ビスグリシン酸鉄の投与
生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る方法を、マウスにビスグリシン酸鉄を投与するのに使用して、続いてマウスを屠殺して、腸の腸細胞による鉄の同化を検証するために検査した。
ミキサーにおいて、アルギン酸ナトリウム2.65グラムを、50℃で水1リットルに添加した;3時間で完全な溶解に到達する。続いて、マンノース0.20gおよびリン酸1mLを添加した。後期に、下記比を有する各種構成成分を含有する混合物を得るように、ヒドロキシエチルセルロース1.18グラムを添加した:
アルギン酸ナトリウム0.25:マンノース0.5:ヒドロキシエチルセルロース0.23。
この実施例では、「箱」の製造中に鉄の酸化を防止するために、マンノースを、出発アルギン酸ナトリウムに添加したことに留意すべきである。
混合物は、50℃で24時間、リン酸に混合された。リン酸の添加は、一方ではアルギン酸塩の解重合ならびにGブロックおよびMブロックの平坦な構造の形成を引き起こし(図2bを参照)、他方では、マンノースのリン酸化およびP−マンノースの形成を引き起こした。
好適には、P−マンノースの存在は、本発明による方法を用いて得られる「箱」に、生体模倣特性を付与するのに寄与し、その特性は、生物の腸細胞によるエンドサイトーシス/トランスサイトーシスのプロセスを促進する。
酸消化を遮断するために、混合物をNaOHで緩衝させて、pHを6.2にして、22℃に冷却した。
マンノース0.08グラムを添加して、15分後、生物学的に活性な物質、即ちビスグリシン酸鉄3.00グラムを導入した。室温で1時間、混合物を撹拌した。
続いて、CaCl 18mM 0.6mL、MgCl 18 mM 0.34mL、マンノース1.36グラム、メチルエチルセルロース1.23グラムおよびヒドロキシエチルセルロース0.38グラムを添加した。ミキサーの回転の方向を逆転させた後に、石灰乳(CaOH)(SS) 1mLおよび混合物を、さらに3時間撹拌した。
このようにして、箱の閉鎖が得られた。
最終的に、胃管による経管栄養によってマウスに投与されるべき「マイクロ箱」の懸濁液の密度を安定化するために、グァーガム0.02グラムを添加した。
図7は、得られた構造を図式的に示す。
図8a〜図8eは、マウスによる鉄(生物学的に活性な物質)の同化を示す電子顕微鏡画像である:
−図8aにおいて、矢印は、セルロース基板上の「箱様」構造を示す;
−図8bは、マウスの胃管における「箱様」構造を示す;矢印は、鉄を示し、それは、一群の電子密度の高いポイントとして示される;
−図8cは、マウスの腸管腔における「箱様」構造を示す;「箱様」構造は開放し、鉄粒子(矢によって示される)は、それら周囲に弱い高電子密度材料を伴って、凝縮されている(condensate)ようである;
−図8dは、鉄含有トランスサイトーシス性ベシクルを有するマウスの腸細胞を示す;
−図8eは、経口経路による投与の1時間後に、どのようにして鉄が血管に移されたかを示す。
上記開示から、本発明は、それが多種多様な物質(イオン、分子、高分子・・・)に適応することができる生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る方法を提供して、運搬される物質の送達の効率を著しく高めるのを可能にするため、上記に記載する目的を達成することは明らかである。
本明細書中に提供する説明は、非限定的な例として付与され、当業者の手の届く範囲の幾つかの変更および変形は、いずれにせよ添付の請求の範囲で規定されるような本発明の範囲の範囲にあることが、さらに明らかである。
例えば、先述の詳細な説明において、経口経路を通じて投与され得る生物学的に活性な物質への適用について言及してきた一方で、本発明の制御送達システムが、種々の経路を通じて、例えば非経口的にまたは局所使用に関して投与され得る生物学的に活性な物質への適用においても同様に、有利に使用されてもよいことが理解されよう。
本発明の態様は、以下のものも含まれる。
態様1
生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムを得る方法であって、少なくとも:
−1つまたは複数のアルギン酸塩を供給するステップと;
−前記1つまたは複数のアルギン酸塩を、酸性媒質中での加水分解プロセスに付すステップと;
−官能基で置換されたセルロースに由来するモノマーまたはポリマーを添加するステップと;
−前記生物学的に活性な物質を添加するステップと;
−重合剤を添加して、重合を実行するステップと;
−重合剤を伴ってマンノースを添加するステップと
を含むことを特徴とする方法。
態様2
ゲル化剤が添加される安定化ステップをさらに含む、態様1に記載の方法。
態様3
グルコノラクトン、ジステアリン酸メチルグルコース、ガラクトース、グルコン酸、グルコン酸塩、グルコン酸エステルまたはそれらの組合せを含む群から選択される1つまたは複数の物質が添加されるステップをさらに含む、態様1または2に記載の方法。
態様4
前記酸性媒質中での加水分解プロセスが、有機または無機多塩基酸を添加することによって実行される、態様1または2に記載の方法。
態様5
前記多塩基酸が、リン酸である、態様4に記載の方法。
態様6
前記多塩基酸が、乳酸である、態様4に記載の方法。
態様7
前記重合剤が、二価イオン、好ましくはカルシウムイオン(Ca 2+ )である、態様1〜6のいずれか一項に記載の方法。
態様8
前記ゲル化剤が、多糖類、好ましくはイヌリンもしくはセルロースおよび/またはその誘導体である、態様2に記載の方法。
態様9
前記生物学的に活性な物質が、イオン、分子または高分子として供給される、態様1〜8のいずれか一項に記載の方法。
態様10
前記生物学的に活性な物質が、イオンとして供給され、前記生物学的に活性な物質を分離および選択するステップが、前記生物学的に活性な物質を添加する前記ステップの前に提供される、態様9に記載の方法。
態様11
生物学的に活性な物質の制御送達のためのシステムであって、少なくとも下記の:
−1つまたは複数のアルギン酸塩の酸加水分解生成物のポリマー鎖によって形成される一対の平坦でかつ平行した構造と;
−前記平坦でかつ平行した構造間に、前記平坦でかつ平行した構造の平面に垂直な軸に沿って実質的に配置される、官能基で置換されたセルロースに由来するモノマーまたはポリマーによって形成される架橋と;
−前記平坦でかつ平行した構造に、および前記架橋に実質的に垂直である方向で配置されるマンノースと
を含む実質的に平行六面体形状の構造を含むことを特徴とするシステム。
態様12
前記生物学的に活性な物質が、前記実質的に平行六面体形状の構造内部に包埋される、態様11に記載のシステム。
態様13
いくつかの前記実質的に平行六面体形状の構造が、実質的に平行六面体形状の「箱」の1つまたは複数の壁を構築するように配置されて、前記生物学的に活性な物質が、前記実質的に平行六面体形状の「箱」内部に包埋される、態様11に記載のシステム。
態様14
いくつかの前記実質的に平行六面体形状の構造が、前記実質的に平行六面体形状の「箱」の全ての壁を構築するように配置される、態様13に記載のシステム。
態様15
前記生物学的に活性な物質が、イオン、分子または高分子として供給される、態様11〜14のいずれか一項に記載のシステム。

Claims (10)

  1. 生物学的に活性な物質の制御送達のための生成物を得る方法であって、少なくとも:
    −1つまたは複数のアルギン酸塩を供給するステップと;
    −前記1つまたは複数のアルギン酸塩を、酸性媒質中での加水分解プロセスに付すステップと;
    −官能基で置換されたセルロースに由来するモノマーまたはポリマーを添加するステップと;
    −前記生物学的に活性な物質を添加するステップと;
    −重合剤を添加して、重合を実行するステップと;
    −重合剤を伴ってマンノースを添加するステップと
    を含むことを特徴とする方法。
  2. ゲル化剤が添加される安定化ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. グルコノラクトン、ジステアリン酸メチルグルコース、ガラクトース、グルコン酸、グルコン酸塩、グルコン酸エステルまたはそれらの組合せを含む群から選択される1つまたは複数の物質が添加されるステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記酸性媒質中での加水分解プロセスが、有機または無機多塩基酸を添加することによって実行される、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記多塩基酸が、リン酸である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記多塩基酸が、乳酸である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記重合剤が、二価イオン、好ましくはカルシウムイオン(Ca2+)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記ゲル化剤が、多糖類、好ましくはイヌリンもしくはセルロースおよび/またはその誘導体である、請求項2に記載の方法。
  9. 前記生物学的に活性な物質が、イオン、分子または高分子として供給される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記生物学的に活性な物質が、イオンとして供給され、前記生物学的に活性な物質を分離および選択するステップが、前記生物学的に活性な物質を添加する前記ステップの前に提供される、請求項9に記載の方法。
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