<実施形態>
本発明の一実施形態に係る遊技機の一例であるスロットマシン1について、図1〜図20を参照して説明する。
(構成)
スロットマシン1の構成の概略について図1および図2を参照して説明する。
本実施形態におけるスロットマシン1は、筐体3の前面開口が前面扉5により開閉自在に閉塞され、この前面扉5のほぼ中央高さの位置に操作板7が配設され、この操作板7の上方に正面板9が配設されている。そして、正面板9には横長矩形の表示窓11が設けられ、表示窓11の内側には、複数種類の図柄を予め定められた順序で可変表示する回転リールから成る左・中・右リール13L,13M,13Rが配置されている。この左・中・右リール13L,13M,13Rにより、複数種類の図柄を可変表示する複数の可変表示列を有する図柄表示手段が形成されており、左・中・右リール13L,13M,13Rの夫々が1つの可変表示列を形成する。
ここで、左・中・右リール13L,13M,13Rには、例えば「7」「BAR」「スイカ」「ベル」「チェリー」を含む複数種類の図柄が合計20個、所定の配列でそれぞれ設けられている。また、左・中・右リール13L,13M,13Rそれぞれの各図柄それぞれには、0番から19番までのコマ番号が順に付され、例えばコマ番号0番から19番までの図柄が印刷されたリールテープがリールの周面に貼り付けられて、左・中・右リール13L,13M,13Rそれぞれが形成されている。また、左・中・右リール13L,13M,13Rそれぞれが回転すると、コマ番号19番、18番、…、0番、19番、…の予め定められた順に複数の図柄がそれぞれ表示窓11に可変表示される。
そして、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転が停止したときに、左・中・右リール13L,13M,13Rそれぞれについて3個ずつで合計9個の図柄が表示窓11から覗くように設定され、具体的には1つのリールにつき上段、中段および下段に各1個の3個ずつ、左・中・右リール13L,13M,13Rで合計9個が表示窓11を通して表示される。すなわち、左・中・右リール13L,13M,13Rの全てが停止すると、縦3列横3行に配列された合計9個の図柄が表示窓11に停止表示されることになる。表示窓11に表示される各図柄のうち、例えば、左リール13Lの下段図柄、中リール13Mの下段図柄、右リール13Rの下段図柄で構成される一ライン(下段ライン)が入賞ラインとして設定され、当該ラインに当選役の図柄が揃った状態で左・中・右リール13L,13M,13Rが停止すれば入賞となる。
ここで、図3に示すように、左・中・右リール13L,13M,13Rそれぞれには、それぞれがステッピングモータにより構成される左・中・右リールモータ14L,14M,14Rが連結され、左・中・右リール13L,13M,13Rがそれぞれ独立して回転駆動される。
また図1に戻って、操作板7には、遊技者が内部に貯留されているクレジットメダルから1枚ずつのメダル(遊技用価値)投入を指示するためのベットスイッチ15、遊技者がクレジットメダルから1ゲーム(遊技)あたりの規定枚数の最大投入枚数(3枚に設定されている)のメダル投入を指示するための最大ベットスイッチ17、遊技者が各リール13L,13M,13Rを回転させて各図柄の可変表示を開始させるための操作を行うレバー状のスタートスイッチ19、遊技者が左・中・右リール13L,13M,13Rの回転をそれぞれ停止させて各図柄の可変表示を停止させるための操作を行う左・中・右リール13L,13M,13Rそれぞれに対応した左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21R、遊技者がクレジットメダルの払い出しを指示するための精算スイッチ23、およびメダル投入口25が設けられている。なお、本実施形態では、1ゲーム(遊技)に必要なメダル投入数(規定枚数)は、3枚と2枚の2種類が設定されているものとする。このように、遊技用価値を用いて遊技を行うことが可能になっている。なお、本実施形態では遊技用価値としてメダルを用いるスロットマシン1を本発明にかかる遊技機の一例として説明するが、メダルに限らず、他の遊技媒体や電子的なデータを遊技用価値として用いる遊技機に本発明を適用してもよい。
また、正面板9の上方のほぼ中央には、各種の入賞図柄が表示された説明パネル29が設けられ、説明パネル29の左右には、音楽や音声などによる演出を行うためのスピーカ31L,31Rがそれぞれ設けられている。なお、後述するメダル払出口39の左右にもスピーカ31L,31Rがそれぞれ設けられている。
さらに、説明パネル29およびスピーカ31L,31Rの上辺には中央ランプ部33Mが配設され、その左右には左・右ランプ部33L,33Rがそれぞれ配設されている。中央・左・右ランプ部33M,33L,33Rには、それぞれ発光ダイオードなどの光源が配設されている。これらの中央・左・右ランプ部33M,33L,33Rは一体的に形成され、遊技者に当選や入賞を告知するなどの演出を行うための上部ランプ部33を構成している。
また、操作板7の下方には、装飾画などが表示された下部パネル35が設けられ、この下部パネル35の左右には、それぞれ複数の光源が例えば2列に並んで配置された下部ランプ部37L,37Rが設けられている。また、下部パネル35の下方には、メダル払出口39や、このメダル払出口39から払い出されるメダルを受けるメダル受け41が設けられている。また、正面板9の右下隅には、3つのリールに対する入賞ラインの位置を示す図形(図示省略)が描かれ、正面板9の左下隅には図3のメイン制御基板63に搭載されたCPU61による表示制御を受けて、クレジットメダルの貯留枚数を表示するクレジット表示器45、メダルの払出枚数を表示する払出表示器46が配設されている。このクレジット表示器45は、例えば2個の7セグメントディスプレイで構成され、2桁の貯留枚数(最大で50枚)が表示可能になっている。また、払出表示器46は、例えば2個の7セグメントディスプレイで構成され、2桁の払出枚数が表示可能になっている。なお、7セグメントディスプレイは、棒状に形成されるとともに、「8」の字状に配列された7つのセグメントと、小数点となる小さな丸い1つのセグメントとが組み合わされた計8つのセグメントを有するものであり、各セグメントは発光ダイオードにより構成されている。なお、払出表示器46は、発生したエラーに対応するエラーコードの表示にも用いられる。
また、各リール13L,13M,13Rを支持する支持枠体が、筐体3内の後壁に固定されている。筐体3内の支持枠体の下方には、メダルをメダル払出口39に排出するためのホッパーユニット43(図2参照)が配設されている。また、メダル投入口25付近の裏面側には、メダル投入口25に投入されたメダルが正規のものか否かを選別して正規のメダルのみをホッパーユニット43に導くメダルセレクタ48(図2参照)が配設されている。なお、筐体3内部には図示しないメダル通路が設けられており、メダルセレクタ48において非正規のメダルとして排除されたメダルや、ホッパーユニット43から払い出されたメダルが、このメダル通路を通過してメダル払出口39から払い出される。具体的には、メダルセレクタ48には、特に図示していないが、電磁石を用いたキャンセルコイルの駆動によるレール部の作動により、メダル投入口25から投入されたメダルをホッパーユニット43内に貯留させる通路と、メダル払出口39からメダル受け41へ進ませる通路との切り換えが可能に形成されている。これにより、メダル投入口25から投入されたメダルをクレジットメダルとして貯留するか、メダル受け41へ払い出すかの切り換えをすることができる。ただし、例えばメダルの貯留枚数が最大貯留枚数になった場合やゲーム中は、キャンセルコイルの駆動によるレール部の作動が行われずにメダル投入口25に投入されたメダルがメダル払出口39に排出され、これら以外の場合は、図3のメイン制御基板63に搭載されたメインCPU61(本発明の「回路素子」に相当)による駆動制御を受けたキャンセルコイルの駆動によってレール部が作動し、メダル投入口25に投入されたメダルが正規のものか否かを選別して正規のメダルのみをホッパーユニット43に導く。
図3に示すように、筐体3内部のメダル投入口25近傍にあるメダルセレクタ48部分に投入センサ53が設けられ、投入センサ53はメダル投入口25に投入されたメダルを1枚ずつ検出する。この投入センサ53は、セレクタセンサA、セレクタセンサB、セレクタセンサCの3つがメダルの通路に設けられて形成されており、投入されたメダルをセレクタセンサC、セレクタセンサA、セレクタセンサBの順序及び所定の範囲の時間の間隔(タイミング)で検知するように配置されている。そして、ホッパーユニット43の出口には払出センサ54が設けられ、払出センサ54はメダル払出口39に払い出されるメダルを1枚ずつ検出する。
また、図2に示すように、操作ボックス50が設けられており、電源のON、OFFを切り換える電源スイッチ50a、キーシリンダー式の設定変更キースイッチ50b、押しボタン式の設定変更ボタン50c(リセットスイッチ)が設けられている。また、操作ボックス50は、筐体3の内部に配設されているため、前面扉5を開放しなければ、操作できないようになっている。
また、図3に示すように、設定値表示器56が設けられており、設定値表示器56は例えば1個の7セグメントディスプレイで構成され、1桁の当選確率の設定値(具体的には、1〜6の6段階)を表示するものである。なお、7セグメントディスプレイは、棒状に形成されるとともに、「8」の字状に配列された7つのセグメントと、小数点となる小さな丸い1つのセグメントとが組み合わされた計8つのセグメントを有するものであり、各セグメントは発光ダイオードにより構成されている。この設定値表示器56には、スロットマシン1の設定値が表示されるが、外部から視認できないようにすべく、筐体3の内部、詳しくは、前面扉5の背面に設けられており、設定値の設定後、その表示は消去される。
また、図3に示すように、扉センサ(扉開閉用スイッチ)58が設けられており、扉センサ58は筐体3側に設置されているものであって、前面扉5が閉じているか否かを検知するためのセンサである。例えば、この扉センサ58は、前面扉5が閉塞している場合に、前面扉5の背面と扉センサ58の前面とが近接することで接触センサによりオン状態(ON状態)となり、前面扉5が開放するに従って前面扉5の背面が扉センサ58の前面から離間して接触センサによりオフ状態(OFF状態)となる。もちろん、接触センサに限定されるものではなく、光センサや磁気センサ等により前面扉5の開閉を検知するようにしてもよい。
また、図3に示すように、左・中・右リール13L,13M,13Rの回転位置をそれぞれ検出する左・中・右位置センサ55L,55M,55Rが設けられている。左・中・右位置センサ55L,55M,55Rは、例えば左・中・右リール13L,13M,13Rにそれぞれ設けられた突起部を検出するフォトインタラプタからなり、左・中・右リール13L,13M,13Rが回転すると、一周ごとに突起部を検出してその検出信号をメイン制御基板63のメインCPU61に出力する。本実施形態では、例えば左・中・右位置センサ55L,55M,55Rが突起部を検出したときに、それぞれコマ番号19番の図柄が表示窓11の中段に位置するように構成されている。
図3に示すホッパーモータ57はホッパーユニット43に配設され、その駆動によりメダルをメダル払出口39に向けて払い出すものである。また、オーバーフローセンサ57aは、ホッパーユニット43のメダルを貯留するメダルタンクから溢れたメダルを収納するための補助タンクの近傍に設けられ、補助タンク内のメダルが満杯になったことを検出してメイン制御基板63のメインCPU61へ信号を出力するものである。
また、筐体3内部には、外部集中端子板59(図3参照)が設けられている。外部集中端子板59は、遊技データをスロットマシン1の外部に出力させるものであり、メイン制御基板63のメインCPU61と配線される接続端子(コネクタ)や、外部機器(図示省略)と配線される接続端子(コネクタ)が設けられた端子板である。また、外部集中端子板59は、図示しないが、遊技島設備(例えばデータ表示器)やホールコンピュータに接続されている。
また、図3に示すように、遊技の進行に関する制御を行うメインCPU61が実装されたメイン制御基板63と、メイン制御基板63から送信された情報に基づき遊技の進行に合わせた演出の制御を行うサブCPU71が実装されたサブ制御基板73とが別々に設けられており、メイン制御基板63からサブ制御基板73に対して各種のデータが一方向で送信される。なお、メイン制御基板63は、外部から不正にアクセスすることができないように、基板ケース80内に収納された上、該基板ケース80が痕跡を残さずに開放することができないように厳重に封印されている。また、基板ケース80には、不正に開放されたことを確実に視認することができるように、種々の対策が講じられている。なお、図2に示すように、この実施形態において、基板ケース80は、各リール13L,13M,13Rの上方であって、筐体3の背板3aに取り付けられている。この基板ケース80については後述する。
そして、メイン制御基板63のRWM(リードライトメモリ)65は、メインCPU61内部の記憶容量であり、スロットマシン1の遊技状態などの遊技に関するデータを一時的に記憶するものである。また、メイン制御基板63のROM67は、メインCPU61内部の記憶容量であり、予め設定されたデータを含む遊技機用プログラム(スロットマシン1用のプログラム)を記憶する。
また、図3に示すように、メイン制御基板63には、4個の表示部品により構成される比率表示器(役比モニタ)69が設けられている。この比率表示器69は、筐体3の内部であって左・中・右リール13L,13M,13Rの上部位置に設置された基板ケース80内のメイン制御基板63に搭載されて、前面扉5を開放したときに、外部から視認可能な位置に配置されている。そして、比率表示器69は、表示部品である4個の7セグメントディスプレイから成り、7セグメントディスプレイは、棒状に形成されるとともに、「8」の字状に配列された7つのセグメントと、小数点となる小さな丸い1つのセグメントとが組み合わされた計8つのセグメントを有するものであり、各セグメントは発光ダイオードにより構成されている。発光ダイオードの点灯、消灯を制御するためにメインCPU61によるスイッチ制御が行われ、発光ダイオードのアノードおよびカソードの少なくとも一方にはスイッチ経由でVDD、GNDが供給される。なお、比率表示器69には、例えば、所定期間における、役物払出枚数の、総払出枚数に対する百分率や、連続役物払出枚数の、総払出枚数に対する百分率、AT役(押し順役)による払出枚数の、総払出枚数に対する百分率などが表示される。
また、上記したメイン制御基板63のメインCPU61は、タイマ割込などの割込機能を有し、ROM67に記憶された遊技機用プログラムを実行することにより、遊技の進行に関する処理を行う。そして、メインCPU61は、役抽選結果に関するデータ、遊技者により操作される左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21R、スタートスイッチ19等の操作に関するデータなどの種々のデータをコマンド形式でサブ制御基板73(サブCPU71)に送信する。
サブ制御基板73は、各種データを一時的に記憶するRWM部と、演出用の各種プログラムなどを記憶するROM部とを有するメモリ75を備えている。さらに、サブ制御基板73のサブCPU71はタイマ割込などの割込機能を有し、サブCPU71は、メインCPU61から送信されるスロットマシン1に関する各種のデータ(役抽選結果、左・中・右ストップスイッチ21L,21M,21R、スタートスイッチ19等の操作器具が操作されたか、などに関するデータ)に基づいてメモリ75に格納されたプログラムを実行することにより、遊技者に対して供すべき遊技に関連する演出の内容を決定する。また、サブ制御基板73のサブCPU71は、決定された演出の内容に基づいて、サブ制御基板73が有するI/Oポートを介して、スピーカ31L,31Rなどの演出機器の制御を行う。
(基板ケース)
次に、基板ケース80について、図4〜図19を参照して説明する。なお、図4〜図19においては、x方向が図2の左右方向に相当し、y方向が前後方向に相当し、z方向が上下方向にそれぞれ対応する。さらに、以下、前後左右は図2の方向を指すものとして説明する。
筐体3の背板3aの上部に支持板81(図5参照)が取り付けられ、該支持板81に基板ケース80が回動可能に取り付けられている。換言すると、基板ケース80は、筐体3の背板3aに支持板81を介して取り付けられている。図4は、基板ケース80が支持板81に取り付けられた状態の前方斜め右上から見たときの斜視図である。
図6に示すように、基板ケース80は、蓋部材80aと、ベース部材80bとで構成され、両者が嵌め合わされた状態で形成される収納空間に、メイン制御基板63が収納される。メイン制御基板63は、実装面63aが矩形状に形成されるとともに、四隅それぞれにねじPの挿通孔64が設けられ、蓋部材80aにメイン制御基板63がねじPで固定される。メイン制御基板63の実装面63aには、メインCPU61、比率表示器69を含む複数の部品が実装される。また、蓋部材80aとベース部材80bは、いずれも透明樹脂で形成されており、両者を分離せずともメイン制御基板63を外部から視認可能になっている。
また、図4に示すように、基板ケース80の上部の左右それぞれに、かしめ部80cが形成されており、メイン制御基板63を収納し、ベース部材80bに蓋部材80aを取り付けた後は、かしめ部80cを破壊しなければ、蓋部材80aとベース部材80bとを分離できないように構成されている。さらに、基板ケース80の左部では、蓋部材80aとベース部材80bとの境界を含む所定領域に封印シール82が貼り付けられ、当該シールを剥がさなければ蓋部材80aとベース部材80bとを分離できないようになっている。
また、基板ケース80の下部の左右方向に回動軸が設定されており、当該軸を中心に回動可能となっている。また、図5に示すように、支持板81には、ケース保持部81aが設けられ、メイン制御基板63が前方に向く方向で基板ケース80を保持できるようになっている。図5に示すように、ケース保持部81aは、前方に突出しており、前端部にケースノブ83の先端が挿通する挿通孔81bが設けられている。ケースノブ83は、基板ケース80に固定されており、先端を挿通孔81bに挿通させると、ケース保持部81aに係止するとともに、引っ張ると係止状態が解除され、ケース保持部81aから着脱自在となっている。
ケースノブ83を引っ張ってケース保持部81aから外すと、基板ケース80が回動可能な状態となる。この状態になると基板ケース80は回動軸を基準として前方に倒すことができる。図6に示すように、保持状態から約90°回転させ、基板ケース80が前方側に倒れると、メイン制御基板63の実装面63aと反対側の面を視認可能となり、当該面に異常が発生しているか否かを確認できるようになっている。
図6および図8に示すように、基板ケース80の蓋部材80aは、メイン制御基板63の実装面63aに対向する前方板80a1(本発明の「対向板」に相当)と、前方板80a1に対して略90°に延在する右内側板80a2、右外側板80a3、左内側板80a4、左外側板80a5とを有する。
前方板80a1は、メイン制御基板63の実装面63aと略平行に配置される主要部85a(本発明の「一般部」に相当)と、主要部85aに対して実装面63a側にそれぞれ窪んだ第1凹部85b、第2凹部85c(本発明の「特定部」に相当)、第3凹部85dとを有する。第1凹部85bは、メイン制御基板63を収納した状態で、実装面63aにおける、メインCPU61の直上位置を含む箇所に形成され、メインCPU61直上方向への移動を規制している。第2凹部85cは、第1凹部85bの左隣りであって、メインCPU61と正面視(図6のY軸負側方向の視点)で隣接した位置に形成され、メインCPU61を利用した不正に対応した部位となっている。第2凹部85cについては後に詳述する。なお、第3凹部85dの底部には、メイン制御基板63に実装されたコネクタ68が挿通する挿通孔85eが形成される。
基板ケース80のベース部材80bは、メイン制御基板63の実装面63aと反対側の面に対向するとともに、基板ケース80が支持板81に保持された状態で当該支持板81に当接する後方板80b1と、後方板80b1に対してそれぞれ略90°に延在する右側板80b2、中間板80b3、左側板80b4、下側板80b5とを有する。
右側板80b2の外側面(収納空間と逆側の面)には、右回動軸部材90aが形成されるとともに、左側板80b4の外側にあるベース左外側板80b8の外側面(収納空間と逆側の面)には左回動軸部材90bが形成される。なお、支持板81に設けられた右軸受けフック81c(図9参照)に右回動軸部材90aが支持される。また、支持板81に設けられた左軸受けフック81d(図9参照)に左回動軸部材90bが支持される。
下側板80b5の後方板80b1側に窪んだ部分の前方端には、複数の蓋係止片80b6が形成される、各蓋係止片80b6は、いずれも前端部が下側板80b5に対して略90°に屈曲し、フック状に形成される。ベース部材80bに蓋部材80aを装着した状態において、当該屈曲した部分は蓋部材80aの第3凹部85dの底面の前方に配置されるようになっており、蓋部材80aの前方への移動が規制される。これにより、蓋部材80aがベース部材80bから前方側に離れるという、蓋部材80aの浮き上がりを防止している。
メインCPU61は、図7および図20に示すように、回路が形成される本体部61aと本体部61aと該本体部61aに接続された複数の外部端子61b(本発明の「接続端子」に相当)とを有し、各外部端子61bがメイン制御基板63の所定の電極に接続される。この実施形態では、メイン制御基板63側にメインCPU61を搭載するためのソケット65が設けられており、メインCPU61をソケット65に嵌め込むことでメイン制御基板63に搭載される。
図20に示すように、メインCPU61の本体部61aは、メイン制御基板63の実装面63aと対向する矩形状の対向面61a2と、実装面63aに対して該対向面61a2よりも離れた位置に配置される矩形状の反対面61a3と、対向面61a2と反対面61a3の端縁同士を繋ぐそれぞれ矩形状の4つの側面(左側面61a1を含む)とを有する、直方体に形成されている。そして、メイン制御基板63の実装面63aに対して垂直な方向から見たときに、本体部61aの一組の長辺が、それぞれ実装面63aの長手方向と平行となる位置で搭載される。
複数の外部端子61bは、一部が一方の長辺に沿って一列に配列されるとともに、残りの一部が他方の長辺に沿って一列に配列される。また、一組の短辺にはいずれも外部端子61bが配置されていない。また、各外部端子61bは、いずれも本体部61aの厚み(実装面63aに対して垂直な方向の厚み)よりも長く形成されており、メインCPU61は、本体部61aの前記対向面61a2と、実装面63aとの間にある状態でメイン制御基板63に搭載される(図20参照)。
ソケット65は、図20に示すように、本体部61aの一方の長辺に沿って配列された複数の外部端子61bが挿通するための複数の挿通孔を有する直方体状の一方側挿通部65aと、本体部61aの他方の長辺に沿って配列された複数の外部端子61bが挿通するための複数の挿通孔を有する同じく直方体状の他方側挿通部65bと、両挿通部65a,65bを、これらの垂直方向の略中間位置で繋ぐ板状の接続部65cと、を備え、全体として断面略H状が長手方向(本体部61aの長辺方向)に略連続した形状を呈している。両挿通部65a,65bは、それぞれ、メイン制御基板63に接続される複数の接続端子65d(図7参照)とを有する。接続部65cは、実装面63aに対して垂直な方向において、本体部61aの対向面61a2と実装面63aとの間にそれぞれ間隔を開けて配置される。そのため、本体部61aと実装面63aとの間には、隙間Sがある。より具体的には、本体部61aと接続部65cとの隙間S1と、接続部65cと実装面63aとの隙間S2がある。
なお、接続端子65dは、一方側挿通部65aおよび他方側挿通部65bそれぞれの挿通孔に配設されている。ここで、各接続端子65dは、いずれも一部が挿通孔内に配置されるとともに、残りが挿通部65a,65bの下方側(実装面63a側)に突出し、この突出した部分がメイン制御基板63に接続される。そして、メインCPU61がソケット65に装着された状態では、各接続端子65dそれぞれが、当該接続端子65dが配設される挿通孔に挿通した外部端子61bと接触する。すなわち、メインCPU61の各外部端子61bは、ソケット65の接続端子65dを介して、メイン制御基板63に電気的に接続される。なお、この実施形態では、ソケット65が透明樹脂で形成されている。
このような構成によれば、不正チップを実装面63aと本体部61aの対向面61a2との間の隙間Sに隠される虞がある(図7(a)及び図20参照)。具体的には、メインCPU61やソケット65を実装面63aに設置した状態で、本体部61aの対向面61a2とソケット65の接続部65cとの隙間S1、或いは、ソケット65の接続部65cと実装面63aとの隙間S2に、本体部61aやソケット65の短辺側から(つまり、外部端子61bや接続端子65dを有さない側から)不正チップを挿入して、隠される虞がある。
また、一旦、ソケット65からメインCPU61を取り外し、ソケット65の接続部65cの上に不正チップを配置し、再びメインCPU61をソケット65に装着することで本体部61aの対向面61a2とソケット65との隙間S1に不正チップを隠される虞がある。
また、一旦、実装面63aからソケット65をメインCPU61ごと取り外し、ソケット65の接続部65cの下に不正チップを配置し、再びソケット65を実装面63aに装着することで本体部61aの対向面61a2とソケット65との隙間S2に不正チップを隠される虞がある。
このような位置に不正チップが隠されると、メインCPU61の真下に不正チップが隠されるかたちとなり、実装面63aに対して垂直な方向から不正チップを確認することができない。そのため、本体部61aの前記側面側(メインCPU61における本体部61aの左側面61a1)から確認する必要がある。そこで、この実施形態では、その視認性を向上するために蓋部材80aに第2凹部85cが設けられている。
次に、蓋部材80aの第2凹部85cについて、図6〜図8を参照して詳細に説明する。なお、図7(a)は、支持板81に保持された状態の基板ケース80を前方から見たときの図で、図7(a)は、支持板81に保持された状態の基板ケース80の断面図(実装面63aに対して垂直な方向の断面)であって、図7(b)のA−A矢視断面図である。
先ず、図6に示すように、蓋部材80aのうち、例えば、比率表示器69の直上に位置する主要部85aは、比率表示器69の実装面63aに対して垂直な方向からの視認性を良好なものとすべく、実装面63aに対して略平行に配置される。そして、図6のほか、図7(a)に示すように、蓋部材80aのうち、主要部85aと、第1凹部85bに跨る位置に実装面63a側に向かって第1凹部85bよりも窪んだ第2凹部85cが形成されている。
第2凹部85cは、図8にも示すように、実装面63aに近接するとともに、実装面63aと略平行に対向する板状の底壁85c3と、底壁85c3と第1凹部85bとの間に介在する板状の第1内壁85c1(本発明の「傾斜板」に相当)と、第1内壁85c1と対向して底壁85c3を挟む板状の第2内壁85c4と、これら第1内壁85c1と第2内壁85c4とを接続する2つの板状の第3内壁85c5と、を備え、全体としてすり鉢状に近似した形状を呈している。
第1内壁85c1は、図7(a)に示すように、底壁85c3から第1凹部85bに向かって右上がりに傾斜しており、その厚さは後述する突出片85c2を除き、略均一に形成されている。そして、第1内壁85c1は、メインCPU61における本体部61aの左側面61a1(実装面63aに対して垂直な方向から見たときに左側の短辺を含む側面)に近接して配置されており、第1内壁85c1を介して、本体部61aと実装面63aとの間の隙間Sを視認可能になっている。
底壁85c3は、メインCPU61における本体部61aの対向面61a2(図20参照)はもちろん、ソケット65における接続部65cの下面よりも実装面63aに近い位置にある。つまり、第1内壁85c1の実装面63aに最も近い箇所が、本体部61aの対向面61a2や、ソケット65における接続部65cの下面よりも実装面63aに近い位置にある。また、図8に示すように、底壁85c3は、前述の蓋部材80aにおける前方板80a1に対して略90°に延在する側板(具体的には、右内側板80a2、右外側板80a3、左内側板80a4、左外側板80a5)よりも、収納空間側に低い位置にある。このため、輸送時や生産時等において、蓋部材80aの下側(収容空間側)を直接箱や、作業台の上に置いた場合であっても、第1内壁85c1に箱や作業台が当接し難くなっている。
第2内壁85c4は、図7(a)に示すように、主要部85aから底壁85c3に向かって右下がりに傾斜していることにより、メインCPU61から離れるにつれて浅くなるように形成されている。また、第2内壁85c4は、その厚さが略均一に形成されており、その傾斜は後述の矢印Aを阻害しないように第1内壁85c1の傾斜よりも勾配が緩いものとなっている。
ところで、前述したように、本体部61aと実装面63aとの隙間Sに不正チップを隠した場合、本体部61aの側面側から視認する必要があるが、本体部61aの4つの側面のうち、外部端子61bが配置された側面側から視認しても、外部端子61bが邪魔になって視認性が悪い。そのため、第2凹部85cの第1内壁85c1を外部端子61bが配置されていない左側面61a1を臨む位置に配置している。
透明の基板ケース80越しにメイン制御基板63の実装状態を確認する場合、蓋部材80aの板面に対して垂直な方向(板面に対して90°の方向)からが最も鮮明で視認性が高い。これは、蓋部材80aの板面に対して垂直な方向から見たときは、メイン制御基板63の実装面63aや実装部品(メインCPU61を含む)などからの反射光が直進して目に入るため、実装面63aや実装部品などが鮮明に視認できるのに対し、当該垂直な方向からずれた方向から見たときは、反射光が蓋部材80aの板面で屈折して目に入るため、実装面63aや実装部品(メインCPU61を含む)などの視認性が垂直方向から見たときよりも劣るためである。そして、前述したように、メインCPU61の真下に不正チップが隠されるかたちとなると、実装面63aに対して垂直な方向から不正チップを確認することができない。そのため、本体部61aの前記側面側(メインCPU61における本体部61aの左側面61a1)から確認する必要がある。
ここで、左側面61a1を視認可能な特定方向を図7(a)の矢印Aとし、この方向から不正チップの有無の確認を行うとする。仮に第2凹部85cがなくて蓋部材80aの前方板80a1の全体が実装面63aと平行に配置されていた場合、左側面61a1側から本体部61aと実装面63aとの間(本体部61aと接続部65cとの隙間S1、接続部65cと実装面63aとの隙間S2:隙間S)を視認可能な矢印Aの方向は、板面に対して90°からずれるため(図7(a)の角度a<90°)、視認性が劣化する。
一方、この実施形態では、左側面61a1を臨む第1内壁85c1は、主要部85aに対して傾斜しており、矢印A方向に対して略90°(図7(a)の角度b)になるように形成されている。このようにすると、第1内壁85c1を介して左側面61a1側から本体部61aと実装面63aとの間(隙間S)を視認したときに、左側面61a1やその周辺からの反射光が直進して目に入るため視認性がよい。さらに、第1内壁85c1の実装面63aに最も近い箇所は、本体部61aの前記対向面61a2よりも実装面63aに近くなるように形成されているため、矢印Aが実装面63aと平行に近い方向となっても、第1内壁85c1を介して左側面61a1および本体部61aと実装面63aとの間(隙間S)を視認できる。実装面63aと平行に近い方向から視認する場合は、本体部61aと実装面63aとの間(隙間S)をより奥まで見通すことが可能となるため、本体部61aと実装面63aとの隙間Sに隠された不正チップの早期発見に資する。なお、この実施形態では、第1内壁85c1の実装面63aに最も近い箇所は、ソケット65の接続部65cの下面(実装面63aに最も近い面)よりもさらに実装面63aに近い位置に配置されている。そのため、第1内壁85c1を介して、接続部65cと実装面63aとの隙間S2を奥まで見通せる構成となっている。
なお、本体部61aと実装面63aとの間(隙間S)をより奥まで見通すのに理想的な視線方向(矢印A)は、実装面63aと平行であるが、基板ケース80を筐体3に固定した状態では、スペース上の問題などで視認が困難なこと、メインCPU61との間にその他の実装部品が配置されている場合は、当該実装部品が邪魔になることなどの理由から、実装面63aと視線方向(矢印A)とが成す角度は、10°〜45°程度の範囲とするのが好ましい。このとき、実装面63aと、主要部85aとは略平行であるため、矢印Aと実装面63aとがなす角度は図7の角度aと略同じであり、当該角度aが10°〜45°程度の範囲とするのが好ましい。この実施形態では、矢印Aと実装面63aとがなす角度(角度a)が、10°〜45°の中間の角度である27.5°に設定されている。
ところで、ソケット65からメインCPU61を取り外し、ソケット65の接続部65cの上に不正チップを配置し、再びメインCPU61をソケット65に装着することで本体部61aの対向面61a2とソケット65との隙間S1に不正チップを隠される虞があることは先に述べたとおりである。本実施の形態では、図7(a)や図8に示す突出片85c2が上記不正に対して防止効果を発揮している。その理由について詳述する。
ソケット65からメインCPU61を取り外す場合、正規の手順では、蓋部材80aとベース部材80bとを完全に分離させることとなる。この場合、かしめ部80cの破壊が伴い、その痕跡を確認できる。しかしながら、不正にソケット65からメインCPU61を取り外す場合、第1凹部85bの底部85b1のうち、メインCPU61に臨む部位をくり抜いて穴を形成すれば、当該穴から、例えば、マイナスドライバのような器具の先端を、隙間S1に差し込み、てこの原理を利用するかたちでソケット65からメインCPU61を取り外される虞がある。この場合、かしめ部80cの破壊が伴わないのは勿論のこと、穴は第1凹部85bの底部85b1のみに形成されることから、不正チップを配置された後の穴の修復が比較的容易であり、穴の大きさも最小限のものとなることから、不正の痕跡発見(不正に穴を開けられた痕跡)をし難くなる虞がある。
ここで、本実施形態においては、先に述べたように、第1内壁85c1を、本体部61aに近接して配置していることから、マイナスドライバのような器具の先端を、隙間S1に侵入させようとしても、第1内壁85c1が邪魔をするかたちとなる。そのため、仮に第2凹部85cがなくて蓋部材80aの前方板80a1の全体が実装面63aと平行に配置されていた場合と比べ、当該マイナスドライバのような器具を使った不正防止効果を有している。
しかしながら、本実施形態においては、先に述べたように、隙間Sの目視確認の容易化を図るべく、第1内壁85c1を底壁85c3から第1凹部85bに向かって右上がりに傾斜させている。そのため、必然的に第1内壁85c1は、隙間S1から離れるかたちとなり(言い換えると、第1内壁85c1を隙間S1に密着させることが出来なくなり)、前述したマイナスドライバのような器具の先端を、第1内壁85c1を避けて隙間S1に差し込む行為を防止する上では改善の余地がある。
そこで、本実施の形態では、第1内壁85c1に、メインCPU61の本体部61a側に向かって突出した突出片85c2を複数(3つ)形成した。具体的には、突出片85c2は、第1内壁85c1と第1凹部85bに跨って形成されており、その第1内壁85c1側の端面85c7は、メインCPU61の本体部61aと近接し、正面視(図7(a)のY軸方向負側の視点:実装面63aに対して垂直な方向)において、本体部61aとオフセットした位置にある。
また、突出片85c2の、第1凹部85b側の端面85c6は、メインCPU61の本体部61aと近接し、隙間Sを視認可能な矢印Aの視点において、隙間S1とオフセットした位置にある。なお、3つの突出片85c2は、本体部61aの左側面61a1側に沿って並んで配置されており、それぞれの間隔は、マイナスドライバのような器具の先端が侵入不能なものになっている(本実施の形態では約2mm)。また、本体部61aの左側面61a1は、両端の突出片85c2の範囲内にある(図7(b)、図8参照)。なお、図8では、メインCPU61を破線で示し、各突出片85c2とメインCPU61との位置関係を示している。
このように、第1内壁85c1に、メインCPU61の本体部61a側に向かって突出した突出片85c2を形成することで、第1内壁85c1と隙間S1との間に突出片85c2が介在することとなる。そのため、第1凹部85bの底部85b1のうち、メインCPU61に臨む部位をくり抜いて穴を形成したとしても、マイナスドライバのような器具の先端が隙間S1に到達することを防止できる。
仮に、マイナスドライバのような器具の先端が隙間S1に到可能にするためには、上記くり抜いて形成する穴を、第1凹部85bの底部85b1から突出片85c2を挟んで第1内壁85c1側まで形成せざるを得なくなり、不正チップを配置された後の穴の修復が困難となり、穴の大きさも大きくなることから、痕跡の発見が容易となる。この場合において、先に述べたように、突出片85c2の第1内壁85c1側の端面85c7は、正面視(図7(a)のY軸方向負側の視点)において、本体部61aとオフセットした位置にあることから、正面視(図7(a)のY軸方向負側の視点)におけるメインCPU61の目視確認作業を阻害しない。そして、先に述べたように、突出片85c2の、第1凹部85b側の端面85c6は、隙間Sを視認可能な矢印Aの視点において、隙間S1とオフセットした位置にあることから、第1内壁85c1を挟んだ隙間S(具体的には隙間S1)の目視確認を阻害しない。
なお、第1内壁85c1の傾斜角度は、視認方向(矢印Aの方向)と第1内壁85c1とが成す角度が、当該視認方向と主要部85aとが成す角度(角度a)よりも90°に近い構成であれば、適宜変更可能である。例えば、図10に示すように、第1内壁85c1に対して垂直な方向が、実装面63aと略平行となるようにしてもよい。この場合、第1内壁85c1(図10)と視認方向(矢印Aの方向)とが成す角度cは、図7(a)に示す第1内壁85c1と視認方向とが成す角度bよりも90°からズレるが、視認方向と主要部85aとが成す角度(角度a)よりも90°に近いため、視認性は向上する。
また、図10の第2凹部85cの底壁85c3の面積は、図7の第2凹部85cの底壁85c3の面積よりも大きく形成されている(図10参照)。このようにすると、例えば、歯科用鏡のような器具M(図10参照)を用いて、本体部61aと実装面63aとの隙間を確認する場合に、鏡部分の配置が容易となり作業性が向上する。なお、器具Mを用いた場合、視認方向(矢印Aの方向)とは異なる方向からでも、第1内壁85c1を直進して通過する反射光(例えば、メインCPU61の本体部61aの左側面61a1およびその周辺からの反射光)を器具Mで反射させて視認することができ、本体部61aと実装面63aとの隙間の鮮明な像に基づいて検査が可能となる。
また、第1内壁85c1の下端が実装面63aと略接する位置まであることから、器具Mを用いると、視認方向が実装面63aに対して略平行な方向でない場合であっても、第1内壁85c1を介して、当該実装面63aに対して略平行な方向から左側面61a1およびソケット65の接続部65cと実装面63aとの間の領域を視認した像を見ることができる。実装面63aと平行な方向は、第1内壁85c1に対して略垂直となるため、視認性がよい。そのため、図10に示す第1内壁85c1は、器具Mを用いて本体部61aと実装面63aとの間(隙間S)を視認する場合に適している。
本体部61aの左側面61a1に対向する右側面にも外部端子61bが配置されていないため、右側面側からも本体部61aと実装面63aとの隙間を視認可能である。そこで、この実施形態では、右側面側からも当該隙間を視認可能に構成されている。具体的には、図9に示すように、本体部61aの右側面に対向する位置に支持板81のケース保持部81aが配置されており、ケース保持部81aの右側面との対向領域が面取りされている。この面取りにより傾斜面が形成され、該傾斜面にミラー部材81eが貼り付けられている。当該傾斜面は、基板ケース80が支持板81に保持された状態で前方から見たときに、本体部61aの右側面、および、本体部61aと実装面63aとの隙間を、ミラー部材81eを介して視認可能な角度で形成されている。なお、図9では、支持板81、メイン制御基板63を図示し、基板ケース80を図示省略している。
次に、図11〜図19を参照して、基板ケース80の回動機構について説明する。なお、図11は、支持板81に保持された状態の基板ケース80の部分分解斜視図であり、基板ケース80を右斜め上から見たときの斜視図である。また、図12(a)は回動部材カバー86を前方から見たときの図、図12(b)は回動部材カバー86を後方から見たときの図、図13は軸受部材87を前方右斜め上から見たときの斜視図、図14は軸固定部材88の斜視図、図15は蓋部材80aを前方右斜め下から見たときの斜視図であって、右外側板80a3の拡大図、図16は右外側板80a3を後方から見たときの拡大図、図17はベース部材80bを前方右斜め下から見たときの斜視図であって、右回動軸部材90aの拡大図、図18は回動部材カバー86を外した状態であって、支持板81に保持された状態の基板ケース80を前方右斜め下から見たときの斜視図、図19は図18のB−B矢視断面図であって、回動機構の拡大図である。
図17に示すように、ベース部材80bの右側板80b2には、右回動軸部材90aが形成されている。右回動軸部材90aは、円筒状の軸部90a1と、該軸部90a1の外周面に形成されたフランジ部90a2とを有する。軸部90a1は、一端が右側板80b2に接続し、円筒の中心軸が右側板80b2に対して90°となるように配置され、回動軸の一部を構成している。右側板80b2における、軸部90a1の空洞が配置される箇所には貫通孔が形成されており、後述する回動部材カバー86の固定ピン86aが挿通可能となっている。
また、軸部90a1の周面には、軸固定部材88の移動規制突起88aが配置される、2つの配置孔90a3が形成される。さらに、両配置孔90a3それぞれの周縁には、係止片90a4が形成される。各係止片90a4は、いずれも配置孔90a3における軸部90a1の他端側の端縁から、当該配置孔90a3の内側方向に突出している。また、軸部90a1の他端と配置孔90a3との間には、切断ライン90a5が凹設されており、当該ラインを切断すると係止片90a4を取り除くことができるようになっている。
また、フランジ部90a2は、右側板80b2と所定間隔離れた位置に形成される。フランジ部90a2と右側板80b2との隙間には、支持板81に形成された板状の右軸受けフック81c(図9参照)が配置され、基板ケース80の左右方向の移動が規制できるようになっている。さらに、軸部90a1の外周面には、係止突起90a6が形成されており、軸部90a1が軸受部87bの挿通孔87cに挿通した後は、係止突起90a6とフランジ部90a2とで軸受部材87の軸受部87bを挟んで、基板ケース80の左右方向の移動を規制できるようになっている。
図13に示すように、軸受部材87は、支持板81に当接し、支持板81に固定するためのねじ穴が形成された固定部87aと、固定部87aの端部から略90°に屈曲し、右回動軸部材90aの軸部90a1が挿通する挿通孔87cが形成された軸受部87bとを有する。挿通孔87cは、軸部90a1の外周円の径よりも大なる径で形成されており、軸部90a1が挿通可能、かつ、回動可能となっている。
図14に示すように、軸固定部材88は、円筒部88dと、円筒部88dの外周面に突設された移動規制突起88aと、円筒部88dの軸方向の一端部に形成された鍔部88bと、鍔部88bにおいて、円筒部88dの軸方向であって円筒部88dの他端部の方向に張り出した未使用孔指示片88cとを有する。円筒部88dの外周円は、ベース部材80bに形成された右回動軸部材90aの内周円の径よりも小なる径で形成され、円筒部88dの一端が、右回動軸部材90aの軸部90a1に挿入可能となっている。
また、鍔部88bは、右回動軸部材90aの内周円の径よりも大なるサイズで形成され
るとともに、軸受部材87の挿通孔87cの径よりも大なるサイズで形成されている。そのため、円筒部88dの一端を軸部90a1の内側に挿入後、円筒部88dの左方向移動が鍔部88bにより規制される。
また、軸固定部材88の移動規制突起88aは、円筒部88dの一端を右回動軸部材90aの軸部90a1に挿入して、移動規制突起88aにより固定された後は、基板ケース80が軸受部材87から外れないようになっている。具体的には、移動規制突起88aは、円筒部88dの挿入側の一端から鍔部88bが形成される他端側に向かうにつれて突出高さが高くなるように形成されており、移動規制突起88aの当該他端側の端部においては、円筒部88dを含めたサイズが、右回動軸部材90aの内周円の径よりも大きくなっている。そのため、移動規制突起88aが配置孔90a3に嵌る位置まで、円筒部88dを軸部90a1に挿入した後は、軸固定部材88の左方向の移動が移動規制突起88aにより規制される。すなわち、移動規制突起88aが配置孔90a3に嵌る位置まで軸固定部材88の円筒部88dを挿入した後は、移動規制突起88aを取り除かなければ軸受部材87から基板ケース80を外すことができないようになっている。
そこで、この実施形態では、一度だけ、意図的に軸受部材87から基板ケース80を外して、再度正常に回動可能な状態に復帰できるように構成されている。例えば、図17に示す軸部90a1の「B」の文字の隣りに配置された配置孔90a3に移動規制突起88aを配置して位置決めした場合を例に説明する。
この場合、「B」の文字の上下に形成された切断ライン90a5を工具を用いて切断すると、「B」の文字の隣りに配置された係止片90a4を取り除くことができ、基板ケース80を軸受部材87から外すことができる。基板ケース80を再度軸受部材87に固定する場合は、軸部90a1の「C」の文字の隣りに配置された配置孔90a3に移動規制突起88aを配置すれば、再び固定が可能となる。
なお、図18に示すように、基板ケース80と軸受部材87に固定した状態では、軸受部材87の軸受部87bが邪魔になって移動規制突起88aが見にくい。そのため、どちらの配置孔90a3に移動規制突起88aを配置したのか分からない。しかしながら、「B」の文字の隣りの配置孔90a3に移動規制突起88aを配置した状態では、未使用孔指示片88cにより「C」の文字の上下に設けられた切断ライン90a5が隠される。そのため、露出している切断ライン90a5を切断すれば、確実に移動規制突起88aが配置された配置孔90a3の係止片90a4を取り除くことができる。
また、図18に示すように、軸固定部材88の移動規制突起88aを右回動軸部材90aの配置孔90a3に配置した状態では、軸受部材87の固定部87aのねじ穴の前方に軸固定部材88の鍔部88bが配置され、当該ねじ穴を隠すようになっている。上述のように、軸固定部材88は、係止片90a4を取り除かなければ外れないため、一旦、基板ケース80を固定すると、支持板81から軸受部材87を外す方法により基板ケース80を取り外すこともできないようになっている。
また、これらの回動機構部は、回動部材カバー86で覆われており、該回動部材カバー86を外さなければ回動機構部にアクセスできないようになっている。回動部材カバー86には、図12(b)に示すように、後方側から見たときに、回動側係止部86bが形成されており、一旦、支持板81に形成された回動側被係止部89(図11参照)と当該回動側係止部86bとが係合すると、これらを破壊しなければ、回動部材カバー86を外せないような封印構造となっている。
ここで、支持板81の回動側被係止部89は1箇所しか設けられていないが、上下方向にスライド移動が可能な構造となっている。そのため、例えば、2箇所に設けられた回動部材カバー86の回動側係止部86bの一方(下側の回動側係止部86b)と係合させ、その後、当該一方の回動側係止部86bを破壊した後は、回動側被係止部89を上方にスライドさせ、他方の回動側係止部86b(上側の回動側係止部86b)と係合させると再度の封印が可能となる。これに伴い、回動部材カバー86を前方から見たときに、カバー側切断ライン86cが形成され(図12(a)参照)、当該ラインを工具などで切断すれば、封印構造が解除できるようになっている。
ところで、蓋部材80aのベース部材80bへの装着方法としては、メイン制御基板63を蓋部材80aにねじPで固定した後、蓋部材80aとベース部材80bとを重ね合わせ、その後、蓋部材80aを下方にスライドさせることで、蓋部材80aをベース部材80bに装着する(図6参照)。そして、上記のように、基板ケース80は、ベース部材80bに蓋部材80aを装着した後は、かしめ部80cで厳重に封印され、かしめ部80cを破壊しなければベース部材80bと蓋部材80aとを分離することができなくなっている。さらに、蓋部材80aの右外側板80a3と、左外側板80a5とは、共にベース部材80bの内側に配置された状態で装着されるため、一旦蓋部材80aがベース部材80bに装着された状態では、蓋部材80aの左右方向への移動は規制される。また、蓋部材80aは、ベース部材80bに形成された蓋係止片80b6により前方方向への移動も規制されることから、蓋部材80aをベース部材80bから分離させるためには、一度蓋部材80aを上方にスライドさせる必要がある。
ただし、この実施形態では、基板ケース80の回動軸を固定する軸固定部材88により、蓋部材80aの上方へのスライド移動を規制できるようになっている。また、軸固定部材88は、回動部材カバー86に設けられた固定ピン86aにより固定されることから、例えば、かしめ部80cを破壊しても、さらに回動部材カバー86を外し、さらに軸固定部材88を外さなければ、蓋部材80aとベース部材80bとの分離ができないようになっている。以下、その構造を説明する。
図15および図16に示すように、蓋部材80aの右外側板80a3には、ベース部材80bの右回動軸部材90aが形成された位置に対応する箇所に軸固定部材88が挿通するための蓋側切欠部80a6が形成されている。当該蓋側切欠部80a6は、後方側が空いたU字状に形成されている。また、ベース部材80bの中間板80b3にも、蓋側切欠部80a6と重なるように、略同形状のベース側切欠部80b7が形成されている(図17等参照)。
回動部材カバー86の装着方法については、図11に示すように、支持板81の所定位置に、軸受部材87を配置した後、軸受部材87の挿通孔87cに、基板ケース80の右回動軸部材90aの軸部90a1を挿通させ、軸受部材97をねじで固定する。続いて、軸固定部材88で基板ケース80を固定する。
図19は、図18のB−B矢視断面図であり、軸固定部材88が軸受部材87に挿通し、さらに、軸固定部材88の円筒部88dに回動部材カバー86の固定ピン86aが挿通された状態を示している。軸固定部材88の円筒部88dは、軸受部87bから基板ケース80側にはみ出すように、軸受部87bの幅よりも長く形成されており、軸固定部材88で基板ケース80を固定した状態では、軸固定部材88の先端部(円筒部88dにおける鍔部88bと反対側の端部)が、蓋部材80aの右外側板80a3に形成された蓋側切欠部80a6、および、ベース部材80bの中間板80b3に形成されたベース側切欠部80b7それぞれに挿通した状態となる。最後は、回動部材カバー86の固定ピン86aを、軸固定部材88の円筒部88dに挿通させるべく左側スライドさせ、回動部材カバー86を装着する。これにより、軸固定部材88が、固定ピン86aにより固定される。なお、固定ピン86aは、図12(b)に示すように、回動部材カバー86の内側であって、軸固定部材88の円筒部88d並びに右回動軸部材90a(ベース部材80b)の軸部90a1に挿通可能な位置に形成されている。
この場合、蓋部材80aを上方にスライドさせてベース部材80bから分離しようとしても、支持板81に固定された軸固定部材88の円筒部88dに蓋側切欠部80a6が当たって、上方への移動が規制されるため、分離が不可能となる。上述のように、軸固定部材88を右回動軸部材90aから外そうとする場合は、右回動軸部材90aの切断ライン90a5を切断する必要があり、これを行う場合は回動部材カバー86を外さなければならない。このように、軸固定部材88は、基板ケース80が支持板81から不正に取り外されるのを防止する機能(いわゆる筐体かしめ)と、基板ケース80の不正な開放を防止する機能(いわゆる本体かしめ)とを有し、両かしめ機能が基板ケース80の回動軸に集約されている。なお、一般的に、このようなかしめ機能を実現する構造部(かしめ構造部)は、外部からの不正なアクセスを遮断する為に、ケース等で保護することが望ましい。しかしながら、両かしめ機能を離れた場所に設けると、個別のケースで保護する必要性が生じ、その分筐体内部のスペースを占有するだけでなく、コストも増大する。そこで、この実施形態のように、両かしめ機能を回動軸に集約すると、かしめ構造部を保護するケースの設置範囲が小さくて済み、スペース効率がよい。
そのため、基板ケース80のかしめ部80cが破壊された状態であっても、支持板81に固定された状態では、蓋部材80aとベース部材80bとの分離は容易ではない。このように、基板ケース80の蓋部材80aとベース部材80bとの封印構造は、回動機構側でも可能となっている。なお、回動部材カバー86の固定ピン86aは、軸固定部材88の円筒部88dおよび蓋側切欠部80a6を挿通し、軸固定部材88の円筒部88dの補強と、回動部材カバー86の位置決めの機能を有する。
したがって、上記した実施形態によれば、メインCPU61(本体部61a)の外部端子61bが形成されない左側面61a1は、基板ケース80の第2凹部85cの第1内壁85c1を介して視認可能である。ここで、第1内壁85c1は、当該左側面61a1を視認可能な方向(矢印A:図7参照)に対して、主要部85aの主面よりも90°に近い角度で配置される。そのため、当該左側面61a1を主要部85aを介して視認する場合と比較して、視認性が向上する。また、メインCPU61の外部端子61bが形成されている側面側から視認する場合は、本体部61aとメイン制御基板63との隙間に不正チップがあっても、外部端子61bが邪魔になって確認が困難になるが、第2凹部85cの第1内壁85c1が、外部端子61bが形成されない左側面61a1側に配置されるため、本体部61aとメイン制御基板63との隙間の確認が容易となる。
また、第2凹部85cの第1内壁85c1の実装面63aに最も近い箇所が、メインCPU61の本体部61aの前記対向面61a2よりも実装面63aに近い位置にあるため、本体部61aの外部端子61bが形成されない二つ側面のうち、第1内壁85c1に近い方の左側面61a1から遠い方の側面にかけて、本体部61aと実装面63aとの隙間の視認性が向上する。
また、第1内壁85c1が形成された第2凹部85cは、蓋部材80aの前方板80a1において、メイン制御基板63側に窪んだ凹状に形成されるため、第1内壁85c1に傷がつきにくく、第1内壁85c1に傷が入ることに起因する視認性の劣化を防止できる。
また、第2凹部85cの深さは、メインCPU61から離れるにつれて浅くなるように形成されているため、第2凹部85cの直下に配置される実装部品の配置の自由度が向上する。
また、第2凹部85cの第1内壁85c1のメインCPU61に近い方の面に、当該部分とメインCPU61との隙間を狭めるように、複数の突出片85c2が形成される。このようにすると、第1凹部85bの底部85b1をくり抜いて穴を形成し、その穴から不正チップ等を仕込むという不正行為を防止できる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記した実施形態において、メインCPU61の左側面61a1を視認可能な第1内壁85c1を、第2凹部85cに形成したが、例えば、蓋部材80aのメインCPU61を覆う部分を凸状に形成し、当該凸状の部分の左側面61a1を臨む部分に本実施形態の第1内壁85c1に相当するものを形成するようにしてもよい。すなわち、メインCPU61の不正確認用の視認方向(図7の矢印A)に対して、主要部85aよりも90°に近くなる構成であれば、どのような箇所に第1内壁85c1を形成してもよい。
また、第1内壁85c1のメインCPU61側の面に設けられた各突出片85c2は、なくてもよい。
また、第2凹部85cの深さは、一定であってもよく、この実施形態のように、メインCPU61から離れるにつれて浅く形成されていなくてもよい。
また、上記した実施形態では、第1内壁85c1の視認対象部品を直方体の部品(メインCPU61)としたが、立方体であってもよい。
また、上記した実施形態では、第1内壁85c1をメインCPU61の左側面61a1を視認可能な位置に設けたが、実装面63aと本体部との間に隙間があり、該隙間に不正チップを隠すことが可能な部品があれば、メインCPU61に対する第1内壁85c1に代えて、または、当該第1内壁85c1とともに、その部品に対して、本実施形態の第1内壁85c1に相当するものを設けてもよい。
本発明は、制御基板を収納する基板ケースを備える遊技機に広く適用することができる。