以下、図面を参照して、各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、電力管理システム1は、パワーコンディショナ10と、パワーコンディショナ10に電気的に接続された太陽光発電装置2及び直流電源装置の一例である蓄電装置3とを備える。パワーコンディショナ10は、交流母線4を介して電力系統5に接続される。本実施形態のパワーコンディショナ10は、交流母線4として第1の電線4Aと、第2の電線4Bとを含む単相二線式の電力系統5に連系する。交流母線4には、図示しない分電盤等を介して負荷6が接続されている。負荷6は、例えば屋内交流負荷であり、照明、冷蔵庫、洗濯機、空気調和機、電子レンジ等が挙げられる。電力管理システム1は、パワーコンディショナ10によって太陽光発電装置2、蓄電装置3、電力系統5、及び負荷6の間の電力の調整を行う。この調整の一例としては、太陽光発電装置2が発電した電力の電力系統5への逆潮流、蓄電装置3への蓄電、及び負荷6への供給の調整と、電力系統5の電力の蓄電装置3への蓄電及び負荷6への供給の調整とが挙げられる。なお、発電装置としては、太陽光発電装置のほか、例えば、風力発電装置、ガス発電装置、地熱発電装置等を用いることができる。
太陽光発電装置2は、図示しない光発電パネルを有し、光発電パネルが発電した直流電力をパワーコンディショナ10に供給する。太陽光発電装置2は、例えば光発電パネルが出力する電力が最大となる出力電圧で電流を取り出す最大電力点追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)を実行する。
蓄電装置3は、直列に接続された複数の蓄電池を含む。パワーコンディショナ10は、蓄電装置3の充電と放電とを制御する。
パワーコンディショナ10は、PVコンバータ11、インバータ部12、電圧センサ13、変換部の一例である電力変換装置14、及び制御装置20を有する。PVコンバータ11、インバータ部12、及び電力変換装置14はそれぞれ、高圧直流バス15に接続される。すなわち、PVコンバータ11とインバータ部12と電力変換装置14は、高圧直流バス15を介して互いに接続されている。パワーコンディショナ10には、報知部7が電気的に接続されている。報知部7は、パワーコンディショナ10の外部に所定の情報を報知する。報知部7による報知手段としては、例えば、発光(発光色、点滅)、音声、表示部による表示が挙げられる。
太陽光発電装置2は、PVコンバータ11に接続される。PVコンバータ11は、季節や天候、時間帯等の日照条件によって変動する太陽光発電装置2を最大電力点追従制御(MPPT)にて高圧直流バス15に出力する。PVコンバータ11が高圧直流バス15に出力する設定電圧の一例は、380Vである。インバータ部12は、PVコンバータ11と交流母線4とに接続されている。インバータ部12は、直流交流変換装置(DC/ACコンバータ)であり、高圧直流バス15の直流電力を例えば実効値で200Vの交流電力に変換して交流母線4に出力する。また、インバータ部12は、交流母線4の交流電力を設定電圧の直流電力に変換して高圧直流バス15に出力する。
図2に示すように、インバータ部12は、フルブリッジ型のインバータ回路であり、4個のスイッチ素子12a〜12dを有する。スイッチ素子12a,12bは、高圧直流バス15を構成する第1の電線15Hと第2の電線15Lとの間に直列接続されている。スイッチ素子12c,12dは、第1の電線15Hと第2の電線15Lとの間に直列接続されている。スイッチ素子12a,12bとスイッチ素子12c,12dとは並列接続されている。
インバータ部12は、スイッチ素子12aとスイッチ素子12bとの間の接続ノードN1に接続される第3電線12Xと、スイッチ素子12cとスイッチ素子12dとの間の接続ノードN2に接続される第4電線12Yとを有する。第3電線12X及び第4電線12Yは、パワーコンディショナ10の一対の入出力端子10Tに接続されている。一対の入出力端子10Tには、交流母線4の第1の電線4A及び第2の電線4Bが接続される。第3電線12Xにはインダクタ17Xが設けられ、第4電線12Yにはインダクタ17Yが設けられている。第3電線12Xと第4電線12Yとの間には、平滑用のコンデンサ18及び電圧センサ13が設けられている。電圧センサ13は、第3電線12Xと第4電線12Yとの電圧であるインバータ部12の出力電圧に応じた信号を出力する。
インバータ部12は、インバータ部12から出力される電流を検出するための第1電流センサ16を有する。より詳細には、第1電流センサ16は、第3電線12Xに設けられ、第3電線12Xに流れる電流に応じた信号を出力する。
また、図2に示されるように、交流母線4において負荷6と電力系統5との間の部分には、第2電流センサ8が設けられている。本実施形態では、第2電流センサ8は、交流母線4の第1の電線4Aに取り付けられている。第2電流センサ8は、第1の電線4Aに流れる電流に応じた信号を出力する。
蓄電装置3は、電力変換装置14に接続される。電力変換装置14は、蓄電装置3が出力する電力(直流電力)を所定の直流電力に変換する。電力変換装置14は、所定の直流電力をインバータ部12に出力する。電力変換装置14の一例は、DC−DCコンバータである。電力変換装置14は、蓄電装置3が出力する電力を所定電圧の直流電力に変換してインバータ部12に出力する。
図1に示すように、制御装置20は、PVコンバータ11、インバータ部12、及び電力変換装置14を制御する制御部21と、第2電流センサ8の取り付け状態を判定する判定部22とを有する。
制御部21は、図示しない駆動回路を介してスイッチ素子12a〜12dのゲート(制御端子)に電気的に接続され、スイッチ素子12a〜12dのオンオフを制御する制御信号をスイッチ素子12a〜12dのゲートに出力する。制御部21は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部21は、1又は複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部21は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御部21は、記憶部をさらに含む。記憶部には、各種の制御プログラム及び各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部は、例えば不揮発性メモリ及び揮発性メモリを含む。
判定部22は、A/Dコンバータ23とDSP(Digital Signal Processor)24とを有する。A/Dコンバータ23は、第1電流センサ16、第2電流センサ8、及び電圧センサ13が電気的に接続されている。第1電流センサ16は、第3電線12Xに流れる電流量に応じたアナログ信号を出力する。第2電流センサ8は、第1の電線4Aに流れる電流量に応じたアナログ信号を出力する。電圧センサ13は、インバータ部12の出力電圧に応じたアナログ信号を出力する。A/Dコンバータ23は、第1電流センサ16の出力信号を第1の電流値TA1に変換する。また、A/Dコンバータ23は、第2電流センサ8の出力信号を第2の電流値TA2に変換する。さらに、A/Dコンバータ23は、電圧センサ13の出力信号を電圧値TVに変換する。A/Dコンバータ23は、変換後の各値TA1,TA2,TVをDSP24に出力する。本実施形態では、DSP24は、第1の電流値TA1、第2の電流値TA2、及び電圧値TVを取り込んで、デジタルフィルタによって微分処理を行い、処理後の値に基づいて第2電流センサ8の取り付け状態を判定する。より具体的には、第1電流センサ16により検出した第1の電流値TA1と第2電流センサ8により検出した第2の電流値TA2とを同期した状態で、それぞれの増減方向を検出し、増加(+)したのか、減少(−)したのかをデジタルフィルタによる微分処理によって算出し、第1の電流値TA1と第2の電流値TA2との積が正(+)又は負(−)のいずれかに基づいて、第2電流センサ8の取り付け状態を判定する。
このような構成の電力管理システム1では、負荷6にはインバータ部12からの出力電力及び電力系統5からの買電電力の少なくとも一方が供給されるため、負荷6の消費電力が一定の場合にインバータ部12の出力電力と電力系統5からの買電電力とが連動して変動する。一例では、図3に示すように、インバータ部12の出力電力が低下すると、電力系統5からの買電電力が増加し、インバータ部12の出力電力が増加すると、電力系統5からの買電電力が減少する。すなわち、インバータ部12の出力電力の変動方向に対して、正常に取り付けられた第2電流センサ8の出力信号により検出される電力系統5からの買電電力の変動方向が逆となる。
ところで、電力系統5からの買電電力は、第2電流センサ8により検出した第2の電流値TA2に基づいて算出される。電流センサによって検出した電流値のみでは、交流電流の流れる向きを特定することができないため、実際には電圧センサ13によって検出したインバータ部12の出力電圧値との位相差を検出し、その積(電力値)を算出することで、電力値とその方向(売電か買電か)を検出する。一方、第2電流センサ8は、施工業者によって交流母線4に接続されるため、第2電流センサ8の交流母線4への取り付け方向の間違いが生じるおそれがある。また第2電流センサ8が正常に取り付けられたとしても例えば経年劣化によって交流母線4から第2電流センサ8が外れてしまうおそれがある。このような第2電流センサ8の取り付け方向の間違いや第2電流センサ8が交流母線4から外れることが生じた場合、インバータ部12の出力電力の変動方向に対して、電力系統5からの買電電力の変動方向が第2電流センサ8の取り付け方向が正常な場合における変動方向と異なる、又は電力系統5からの買電電力が変動しない状態として検出される。
そこで、本実施形態の判定部22は、インバータ部12の出力電力及び電力系統5からの買電電力を監視し、インバータ部12の出力電力が変動した場合にインバータ部12の出力電力及び電力系統5からの買電電力に基づいて第2電流センサ8の取り付け状態を判定する。ここで、第2電流センサ8の取り付け状態は、第2電流センサ8の交流母線4への取り付け方向が正常か否かと、第2電流センサ8が交流母線4から外れているか否かとを含む。
一方、インバータ部12の出力電力は、ノイズ等の影響により微小に変動する場合がある。ノイズ等によってインバータ部12の出力電力が変動した場合に電力系統5からの買電電力が連動して変動しない場合があり、第2電流センサ8の取り付け状態を誤判定してしまうおそれがある。このため、本実施形態の判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動量が予め規定された所定値VX以上のときに第2電流センサ8の取り付け状態を判定する。ここで、所定値VXとは、ノイズ等によるインバータ部12の出力電力の変動の最大値よりも大きい値であり、試験等により予め設定される。
図4は、判定部22が実行する第2電流センサ8の取り付け状態の判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。判定部22は、制御装置20に電力が供給されたときに処理を開始し、制御装置20への電力の供給が停止されるまで処理を所定期間毎に繰り返し実行する。なお、以下のフローチャートの説明において、買電電力の変動方向及び変動量は、第2電流センサ8の出力信号により算出したものであり、交流母線4における実際の変動方向や変動量とは異なる。
判定部22は、ステップS11においてインバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX以上か否かを判定する。判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動量を演算する。一例では、判定部22は、単位時間におけるインバータ部12の出力電力の最小値と最大値との差を、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動量として演算する。なお、単位時間とは、インバータ部12の出力電力の変動がノイズ等による出力電力の変動ではないことを判定するための時間であり、試験等により予め設定される。一例では、単位時間とは、電力系統5の交流電力の1周期(例えば1/50(s)又は1/60(s))となる時間である。本実施形態では、単位時間を10(ms)に設定し、所定値VXを200(W)に設定している。
またインバータ部12の出力電力は、第1電流センサ16により検出する第1の電流値TA1と、電圧センサ13により検出する電圧値TVとの積により算出される。インバータ部12の出力電力は、電圧センサ13により検出した電圧値TVと、第1電流センサ16により検出した第1の電流値TA1がともに正弦波状であるため、互いに位相差によって有効電力と無効電力とに分類される。電圧値TVと第1の電流値TA1との位相差は、負荷6によって変動するため、電力値を正確に得るために積をとって算出される。ただし、第2電流センサ8の取り付け状態を判定するためには、第1の電流値TA1と第2の電流値TA2とが同期された状態で、互いに増減方向が同じ方向か異なる方向かが判別できれば判別可能であるため、必ずしも電力値を求める必要はない。このため、ステップS11の処理は、インバータ部12の単位時間当たりの出力電流の変化量が予め規定された所定値AX以上か否かの判定とも言える。すなわちステップS11の処理は、第1電流センサ16により検出した第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が所定値AX以上か否かの判定であるとも言える。ここで、所定値AXとは、インバータ部12の出力電流の変動がノイズ等による出力電流の変動ではないことを判定するための値であり、試験等により予め設定される。判定値の一例は、1(A)である。
判定部22は、ステップS11においてインバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX以上ではない場合(ステップS11:NO)、処理を一旦終了する。すなわち、判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が所定値AX未満の場合、処理を一旦終了する。
判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX以上である場合(ステップS11:YES)、ステップS12において電力系統5からの買電電力の変動量が所定値VX以上か否かを判定する。なお、ステップS12の処理は、電力系統5から第1の電線4Aに供給される単位時間当たりの電流の変化量が所定値AX以上か否かの判定とも言える。すなわちステップS12の処理は、第2電流センサ8により検出した第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動が所定値AX以上か否かの判定であるとも言える。
判定部22は、例えば、単位時間における電力系統5からの買電電力の最小値と最大値との差を、単位時間当たりの電力系統5からの買電電力の変動量として算出する。電力系統5からの買電電力は、第2電流センサ8が検出する第2の電流値TA2と、交流母線4の第1の電線4Aと第2の電線4Bとの間の電圧値との積により算出される。なお、ステップS12の処理において、所定値VXに代えて、0よりも大きく、かつ所定値VXよりも小さい所定値VY(0<VY<VX)を用いて、電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動量が所定値VY以上か否かの判定としてもよい。
判定部22は、電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX以上である場合(ステップS12:YES)、ステップS13においてインバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動方向とが逆か否かを判定する。一例では、判定部22は、電力が増加する方向をプラスとし、電力が減少する方向をマイナスと規定し、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向及び電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動方向をそれぞれ、プラス及びマイナスのいずれかとして設定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動方向とを乗算することによって、乗算の結果がマイナスか否かを判定する。判定部22は、その乗算の結果がマイナスである場合、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動方向とが逆であると判定する。一例では、インバータ部12の出力電力が増加(プラス)し、電力系統5からの買電電力が減少(マイナス)する場合、判定部22は、プラス×マイナスを演算する。判定部22は、演算結果としてマイナスとなるため、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動方向とが逆であると判定する。なお、ステップS13の処理は、第1の電流値TA1が単位時間当たりの変動量が所定値AX以上のときの第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動方向とが逆か否かを判定するとも言える。
判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動方向とが逆である場合(ステップS13:YES)、ステップS14において第2電流センサ8の取り付け方向は正常であると判定し、処理を一旦終了する。すなわち、判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動方向とに基づいて第2電流センサ8の取り付け方向を判定する。本実施形態では、判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動方向とが逆の場合、第2電流センサ8の取り付け方向が正常であると判定する。
一方、判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動方向とが同じ向きである場合(ステップS13:NO)、ステップS15において第2電流センサ8の取り付け方向が異常であると判定する。本実施形態では、判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動方向とが同じ方向の場合、第2電流センサ8の取り付け方向が異常であると判定する。
判定部22は、ステップS15の処理において、第2電流センサ8の取り付け方向が異常である旨を報知部7に出力する。一例では、報知部7は、液晶パネル等の表示部を有する。報知部7は、第2電流センサ8の取り付け方向が異常である旨を表示部に表示する。例えば施工者が電力管理システム1を施工する場合に報知部7の表示部を視認することによって、第2電流センサ8の取り付け方向が異常であることを認識できる。
また判定部22は、電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX未満である場合(ステップS12:NO)、ステップS16において第2電流センサ8が交流母線4から外れていると判定し、処理を一旦終了する。このように、判定部22は、第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動量が所定値AX未満の場合、第2電流センサ8が交流母線4から外れていると判定する。一例では、判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が所定値AX以上のときに第2の電流値TA2が単位時間にわたり変動していないとき、第2電流センサ8が交流母線4から外れていると判定する。判定部22は、ステップS16の処理において、第2電流センサ8が交流母線4から外れている旨を報知部7に出力する。一例では、報知部7は、第2電流センサ8が交流母線4から外れている旨を表示部に表示する。
図5及び図6を用いて、第2電流センサ8の取り付け状態の判定処理の一実施態様について説明する。図5は、インバータ部12の出力電力が変動する前の状態を示し、図6は、インバータ部12の出力電力が変動した後の状態を示している。図5及び図6において負荷6の消費電力は300Wと規定する。
図5に示すとおり、パワーコンディショナ10から負荷6に200Wの電力が出力される場合、すなわちインバータ部12の出力電力が200Wの場合、電力系統5から負荷6に供給される買電電力は100Wとなる。
図6に示すとおり、パワーコンディショナ10から負荷6に400Wの電力が出力される場合、すなわちインバータ部12の出力電力が400Wの場合、電力系統5から負荷6に買電電力は供給されず、逆潮流されてパワーコンディショナ10から電力系統5に100Wの電力が供給される。そして図5及び図6に示すとおり、インバータ部12の出力電力が200Wから400Wに変動した場合、電力系統5から負荷6に供給される電力は100Wから「−100W」となる。すなわち、パワーコンディショナ10から電力系統5に100Wの売電電力が供給されることになる。
ここで、出力電力、買電電力、及び売電電力とは、実際にはインバータ部12の電圧センサ13により検出した電圧値TVと、第1電流センサ16により検出した第1の電流値TA1と、第2電流センサ8により検出した第2の電流値TA2とが全て正弦波状であるため、例えば電圧値TVの1周期間における実効値として、電圧値TVと第1の電流値TA1との積、及び電圧値TVと第2の電流値TA2との積を算出している。したがって、電圧値TVの電圧位相に対して、第2の電流値TA2の電流位相が反転していれば売電、反転してなければ買電と判断する。
ここで、電力系統5からパワーコンディショナ10又は負荷6に向けて流れる電流をプラスの信号、パワーコンディショナ10から電力系統5に向けて流れる電流をマイナスの信号として出力する第2電流センサ8の取り付け方向を正常としているため、電力系統5から負荷6に供給される電流値(第2の電流値TA2)は減少する。このため、判定部22は、電力系統5から負荷6に供給される買電電力が減少すると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力の変動方向(プラス)と電力系統5から負荷6に供給される買電電力の変動方向(マイナス)との積の結果、マイナスとなるため、第2電流センサ8の取り付け状態が正常であると判定する。
一方、第2電流センサ8の取り付け方向が逆であれば、電力系統5から負荷6に供給される電流値(第2の電流値TA2)は増加する。このため、判定部22は、電力系統5から負荷6に供給される買電電力が増加すると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力の変動方向(プラス)と電力系統5から負荷6に供給される買電電力の変動方向(プラス)との積の結果、プラスとなるため、第2電流センサ8の取り付け状態が異常であると判定する。
また、第2電流センサ8が交流母線4の第1の電線4Aから外れていれば、第2電流センサ8が検出する第2の電流値TA2が「0A」又は所定の固定値となるため、判定部22は、電力系統5から負荷6に供給される買電電力が「0W」又は所定の固定値であると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力が変動したにもかかわらず、電力系統5から負荷6に供給される買電電力が変動しないと判定し、第2電流センサ8が交流母線4から外れていると判定する。
なお、複数のパワーコンディショナ10が交流母線4に接続する場合でも第2電流センサ8の取り付け状態を判定できる。より詳細には、図7に示されるとおり、電力管理システム1は、互いに並列接続された2つのパワーコンディショナ10A,10Bを有する。2つのパワーコンディショナ10A,10Bはそれぞれ、交流母線4に接続されている。例えばパワーコンディショナ10Aから負荷6に400Wの電力が出力され、パワーコンディショナ10Bから負荷6に電力が出力されていない場合、パワーコンディショナ10Aからの電力によって電力系統5に逆潮流している。この場合、パワーコンディショナ10Bは、電力を負荷6に出力していないにもかかわらず電力系統5に逆潮流していると判断して、パワーコンディショナ10Bに設けられた系統連系リレー(図示略)によってインバータ部12と負荷6及び電力系統5とを解列することを回避できる。
本実施形態は、以下の効果が得られる。
(1−1)判定部22は、第1電流センサ16により検出した第1の電流値TA1及び第2電流センサ8により検出した第2の電流値TA2に基づいて、第2電流センサ8の取り付け状態を判定する。この構成によれば、第2電流センサ8の取り付け状態を判定するための専用の構成の追加を不要とし、電力系統5とパワーコンディショナ10とを接続する第1の電線4Aに取り付けられる第2電流センサ8の取り付け状態を検出できる。
(1−2)判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のとき、第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動量と変動方向とに基づいて、第2電流センサ8の取り付け状態を判定する。この構成によれば、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のときに第2電流センサ8の取り付け状態を判定することによって、ノイズ等によって第1の電流値TA1が変化するときに第2電流センサ8の取り付け状態の判定を行わない。したがって、第2電流センサ8の取り付け状態の誤判定を抑制できる。
(1−3)判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のとき、第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動量に基づいて、第2電流センサ8が第1の電線4Aから外れているか否かを判定する。この構成によれば、判定部22は、第1の電流値TA1が変動したにもかかわらず第2の電流値TA2が変動しない場合、第2電流センサ8が第1の電線4Aから外れていると判定する。このように、第2電流センサ8が第1の電線4Aから外れているか否かを容易に判定できる。
(1−4)判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のときの第1の電流値TA1の変動方向と第2の電流値TA2の変動方向とに基づいて、第2電流センサ8の取り付け方向が正しいか否かを判定する。この構成によれば、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA2の単位時間当たりの変動方向とから第2電流センサ8の取り付け方向を容易に判定できる。
(1−5)判定部22は、A/Dコンバータ23及びDSP24を有する。この構成によれば、第1電流センサ16の出力信号及び第2電流センサ8の出力信号をそれぞれ第1の電流値TA1及び第2の電流値TA2に変換して微分処理を行うことによって、第2電流センサ8の取り付け状態の判定を容易かつ速やかに実行できる。
(1−6)判定部22は、第2電流センサ8の取り付け状態を報知部7に出力する。この構成によれば、第2電流センサ8の取り付け状態が異常である場合、報知部7を介して施工者に第2電流センサ8の取り付け状態が異常であることを報知できる。
(第2実施形態)
図8〜図12を参照して、第2実施形態のパワーコンディショナ10について説明する。本実施形態のパワーコンディショナ10は、第1実施形態と比較して、単相三線式の電力系統5に適用される点が異なる。以下の説明において、第1実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、電力管理システム1の交流母線4は、第1の電線4A、第2の電線4B、及び中性線となる第3の電線4Cを有する。第2の電線4Bには、第2電流センサ9が設けられている。第2電流センサ9は、制御装置20のA/Dコンバータ23に電気的に接続されている。第2電流センサ9は、第2の電線4Bに流れる電流量に応じた信号をA/Dコンバータ23に出力する。A/Dコンバータ23は、第2電流センサ9の出力信号を第2の電流値TA3に変換する。
本実施形態の電力管理システム1では、第1の電線4Aと第3の電線4Cとに第1負荷6Aが接続され、第2の電線4Bと第3の電線4Cとに第2負荷6Bが接続されている。
図9に示すように、パワーコンディショナ10は、第1の電線4A、第2の電線4B、及び第3の電線4Cに接続される3つの入出力端子10Tを有する。インバータ部12の第3電線12Xは、入出力端子10Tを介して第1の電線4Aに接続され、第4電線12Yは、入出力端子10Tを介して第2の電線4Bに接続される。インバータ部12は、第5電線12Zをさらに有する。第5電線12Zは、入出力端子10Tを介して第3の電線4Cに接続されている。第3電線12Xと第5電線12Zとの間には、平滑用のコンデンサ18Aが設けられ、第4電線12Yと第5電線12Zとの間には、平滑用のコンデンサ18Bが設けられている。
電圧センサ13は、第1電圧センサ13A及び第2電圧センサ13Bを有する。第1電圧センサ13Aは、第3電線12Xと第5電線12Zとの間の電圧を検出する。第2電圧センサ13Bは、第4電線12Yと第5電線12Zとの間の電圧を検出する。第1電圧センサ13A及び第2電圧センサ13Bは、A/Dコンバータ23(図8参照)に電気的に接続されている。第1電圧センサ13Aは、第3電線12Xと第5電線12Zとの間の電圧に応じた信号をA/Dコンバータ23に出力する。第2電圧センサ13Bは、第4電線12Yと第5電線12Zとの間の電圧に応じた信号をA/Dコンバータ23に出力する。A/Dコンバータ23は、第1電圧センサ13Aの出力信号を第1の電圧値TV1に変換する。またA/Dコンバータ23は、第2電圧センサ13Bの出力信号を第2の電圧値TV2に変換する。A/Dコンバータ23は、変換後の値TV1,TV2をDSP24に出力する。本実施形態では、DSP24は、第1の電流値TA1、第2の電流値TA2,TA3、第1の電圧値TV1、及び第2の電圧値TV2を取り込み、それらの値に基づいて第2電流センサ8,9の取り付け状態を判定する。
図8の判定部22は、第1電圧センサ13Aにより検出した第1の電圧値TV1と第2電圧センサ13Bにより検出した第2の電圧値TV2とを加算した値と、第1電流センサ16により検出した第1の電流値TA1との積によって、インバータ部12の出力電力を演算する。判定部22は、第1の電線4Aと第3の電線4Cとの間の電圧と、第2電流センサ8が検出した第2の電流値TA2との積によって、電力系統5が第1負荷6Aに供給する買電電力を演算する。判定部22は、第2の電線4Bと第3の電線4Cとの間の電圧と、第2電流センサ9が検出した第2の電流値TA3との積によって、電力系統5が第2負荷6Bに供給する買電電力を演算する。
また、判定部22は、第2電流センサ8の取り付け状態及び第2電流センサ9の取り付け状態をそれぞれ判定する。図10は、判定部22によって第2電流センサ8の取り付け状態及び第2電流センサ9の取り付け状態をそれぞれ判定する判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。判定部22は、制御装置20に電力が供給されたときに処理を開始し、制御装置20への電力の供給が停止されるまで処理を所定期間毎に繰り返し実行する。
本実施形態の第2電流センサ8の取り付け状態の判定処理は、第1実施形態の第2電流センサ8の取り付け状態の判定処理と同様である。すなわち、図10のステップS21の処理は、図4のステップS11の処理と同じであり、ステップS22の処理は、ステップS12の処理と同じであり、ステップS23の処理は、ステップS13の処理と同じであり、ステップS24の処理は、ステップS14の処理と同じであり、ステップS25の処理は、ステップS15の処理と同じであり、ステップS26の処理は、ステップS16の処理と同じである。なお、ステップS21の判定処理では、電力系統5から第1負荷6Aに供給される買電電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX以上か否かを判定する。
判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX以上である場合(ステップS21:YES)、ステップS31において電力系統5から第2負荷6Bに供給される買電電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX以上か否かを判定する。判定部22は、単位時間における電力系統5から第2負荷6Bに供給される買電電力の最小値と最大値との差を電力系統5から第2負荷6Bに供給される買電電力の変動量として算出する。ここで、ステップS31の処理は、第2の電線4Bと第3の電線4Cとの間の電圧は一定であるため、第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動量が判定値以上か否かの判定と言える。
判定部22は、電力系統5から第2負荷6Bに供給される買電電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX以上である場合(ステップS31:YES)、ステップS32においてインバータ部12の出力電力の単位間当たりの変動方向と電力系統5から第2負荷6Bに供給される買電電力の単位時間当たりの変動方向とが同じ方向か否かを判定する。ここで、ステップS32の判定処理は、インバータ部12の出力電圧と、第2の電線4Bと第3の電線4Cとの間の電圧とがそれぞれ一定であるため、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動方向とが同じ方向か否かの判定であると言える。
判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と電力系統5から第2負荷6Bに供給する買電電力の単位時間当たりの変動方向とが同じ方向である場合(ステップS32:YES)、ステップS33において第2電流センサ9の取り付け方向は正常であると判定し、処理を一旦終了する。すなわち、判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動方向とが同じ方向の場合に第2電流センサ9の取り付け方向が正常であると判定する。
一方、判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と電力系統5からの買電電力の単位時間当たりの変動方向とが逆である場合(ステップS32:NO)、ステップS34において第2電流センサ9の取り付け方向が異常であると判定する。すなわち、判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動方向とが逆の場合に第2電流センサ9の取り付け方向が異常であると判定する。判定部22は、ステップS34の処理において、第2電流センサ9の取り付け方向が異常である旨を報知部7に出力する。一例では、報知部7は、第2電流センサ9の取り付け方向が異常である旨を表示部に表示する。例えば施工者が電力管理システム1を施工する場合に報知部7の表示部を視認することによって、第2電流センサ9の取り付け方向が異常であることを認識できる。
また判定部22は、電力系統5から第2負荷6Bに供給する買電電力の単位時間当たりの変動量が所定値VX未満である場合(ステップS31:NO)、ステップS35において第2電流センサ9が交流母線4の第2の電線4Bから外れていると判定し、処理を一旦終了する。すなわち、判定部22は、第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動量が判定値未満の場合に第2電流センサ9が第2の電線4Bから外れていると判定する。判定部22は、ステップS35の処理において、第2電流センサ9が第2の電線4Bから外れている旨を報知部7に出力する。一例では、報知部7は、第2電流センサ9が第2の電線4Bから外れている旨を表示部に表示する。
図11及び図12を用いて、第2電流センサ8の取り付け状態及び第2電流センサ9の取り付け状態の判定処理の一実施態様について説明する。図11は、インバータ部12の出力電力が変動する前の状態を示し、図12は、インバータ部12の出力電力が変動した後の状態を示している。図11及び図12において第1負荷6Aの消費電力を300Wと規定し、第2負荷6Bの消費電力を50Wと規定する。
図11に示すとおり、パワーコンディショナ10から第1負荷6Aに200Wの電力が出力される場合、すなわちインバータ部12の出力電力が200Wの場合、電力系統5から第1負荷6Aに供給される買電電力は100Wとなる。第3の電線4Cには、第1負荷6A及び第2負荷6Bが接続されるため、350Wの電力が供給される。すなわち第3の電線4Cを介して350Wの電力が電力系統5に供給される。第2の電線4Bには、250Wの電力が供給される。すなわち電力系統5に第3の電線4Cを介して350Wの買電電力が供給される一方、第1の電線4Aを介して第1負荷6Aに100Wの電力が供給されるため、電力系統5から第2の電線4Bに250Wの電力が供給される。
図12に示すとおり、パワーコンディショナ10から第1負荷6Aに400Wの電力が出力される場合、すなわちインバータ部12の出力電力が400Wの場合、電力系統5から第1負荷6Aに買電電力は供給されず、逆潮流されてパワーコンディショナ10から電力系統5に100Wの電力が供給される。そして図11及び図12に示すとおり、インバータ部12の出力電力が200Wから400Wに変動した場合、電力系統5から第1負荷6Aに供給される電力は100Wから「−100W」となる。すなわちパワーコンディショナ10から電力系統5に100Wの売電電力が供給される。
ここで、第2電流センサ8の取り付け方向が正常であれば、インバータ部12の出力電力が増加すると、電力系統5から第1負荷6Aに供給される電流値(第2の電流値TA2)は減少する。このため、判定部22は、電力系統5から第1負荷6Aに供給される買電電力が減少すると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力の変動方向(プラス)と電力系統5から第1負荷6Aに供給される買電電力の変動方向(マイナス)との積の結果、マイナスとなるため、第2電流センサ8の取り付け状態が正常であると判定する。
一方、第2電流センサ8の取り付け方向が逆であれば、インバータ部12の出力電力が増加すると、電力系統5から第1負荷6Aに供給される電流値(第2の電流値TA2)は増加する。このため、判定部22は、電力系統5から第1負荷6Aに供給される買電電力が増加すると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力の変動方向(プラス)と電力系統5から第1負荷6Aに供給される買電電力の変動方向(プラス)との積の結果、プラスとなるため、第2電流センサ8の取り付け状態が異常であると判定する。
また、第2電流センサ8が交流母線4の第1の電線4Aから外れていれば、第2電流センサ8が検出する第2の電流値TA2が「0A」又は所定の固定値となるため、判定部22は、電力系統5から第1負荷6Aに供給される買電電力が「0W」又は所定の固定値であると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力が変動したにもかかわらず、電力系統5から第1負荷6Aに供給される買電電力が変動しないと判定し、第2電流センサ8が交流母線4から外れていると判定する。
また図12に示すとおり、パワーコンディショナ10から第1負荷6Aに400Wの電力が出力される場合、パワーコンディショナ10から電力系統5に100Wの買電電力が供給されるため、電力系統5から第2の電線4Bに供給する買電電力が450Wとなる。すなわち、インバータ部12の出力電力が増加すると、電力系統5から第2の電線4Bに供給する買電電力が増加する。
ここで、第2電流センサ9の取り付け方向が正常であれば、インバータ部12の出力電力が増加すると、電力系統5から第2の電線4Bに供給される電流値(第2の電流値TA3)は増加する。このため、判定部22は、電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力が増加すると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力の変動方向(プラス)と電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力の変動方向(マイナス)との積の結果、プラスとなるため、第2電流センサ9の取り付け状態が正常であると判定する。
一方、第2電流センサ9の取り付け方向が逆であれば、インバータ部12の出力電力が増加すると、電力系統5から第2の電線4Bに供給される電流値(第2の電流値TA3)は減少する。このため、判定部22は、電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力が減少すると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力の変動方向(プラス)と電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力の変動方向(マイナス)との積の結果、マイナスとなるため、第2電流センサ9の取り付け状態が異常であると判定する。
また、第2電流センサ9が第2の電線4Bから外れていれば、第2電流センサ9が検出する第2の電流値TA3が「0A」又は所定の固定値となるため、判定部22は、電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力が「0W」又は所定の固定値であると判定する。そして判定部22は、インバータ部12の出力電力が変動したにもかかわらず、電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力が変動しないと判定し、第2電流センサ9が第2の電線4Bから外れていると判定する。
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(2−1)判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のときに、第2の電流値TA3に基づいて第2電流センサ9の取り付け状態を判定する。この構成によれば、第2電流センサ9の取り付け状態を判定するための専用の構成の追加を不要とし、電力系統5とパワーコンディショナ10とを接続する第2の電線4Bに取り付けられる第2電流センサ9の取り付け状態を検出できる。
(2−2)判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のとき、第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動量と変動方向とに基づいて、第2電流センサ9の取り付け状態を判定する。この構成によれば、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のときに第2電流センサ9の取り付け状態を判定することによって、ノイズ等によって第1の電流値TA1が変動するときに第2電流センサ9の取り付け状態の判定を行わない。したがって、第2電流センサ9の取り付け状態の誤判定を抑制できる。
(2−3)判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のとき、第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動量に基づいて、第2電流センサ9が第2の電線4Bから外れているか否かを判定する。この構成によれば、判定部22は、第1の電流値TA1が変動したにもかかわらず第2の電流値TA3が変動しない場合、第2電流センサ9が第2の電線4Bから外れていると判定する。このように、第2電流センサ9が第2の電線4Bから外れているか否かを容易に判定できる。
(2−4)判定部22は、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動量が判定値以上のときの第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動方向に基づいて、第2電流センサ9の取り付け方向が正しいか否かを判定する。この構成によれば、第1の電流値TA1の単位時間当たりの変動方向と第2の電流値TA3の単位時間当たりの変動方向とから第2電流センサ9の取り付け方向を容易に判定できる。
(2−5)判定部22は、A/Dコンバータ23及びDSP24を有する。この構成によれば、第1電流センサ16の出力信号及び第2電流センサ8,9の出力信号をそれぞれ第1の電流値TA1及び第2の電流値TA2,TA3に変換して微分処理を行うことによって、第2電流センサ8の取り付け状態及び第2電流センサ9の取り付け状態のそれぞれの判定を容易かつ速やかに実行できる。
(2−6)判定部22は、第2電流センサ9の取り付け状態を報知部7に出力する。この構成によれば、第2電流センサ9の取り付け状態が異常である場合、報知部7を介して施工者に第2電流センサ9の取り付け状態が異常であることを報知できる。
(変更例)
上記各実施形態は本開示に関するパワーコンディショナが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関するパワーコンディショナは上記各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、上記各実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、又は上記各実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下の変更例において、上記各実施形態の形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
・第1実施形態において、第2電流センサ8は交流母線4の第2の電線4Bに取り付けられてもよい。この場合、インバータ部12の出力電力が増加すると、電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力が増加するような第2電流センサ8の取り付け向きを正常とする。このため、判定部22は、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と、電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力の単位時間当たりの変動方向とが同じ場合に第2電流センサ8の取り付け方向が正常であると判定する。したがって、判定部は、図4の第2電流センサ8の取り付け状態の判定処理を実行する場合、図4のフローチャートのステップS13の判定を、インバータ部12の出力電力の単位時間当たりの変動方向と、電力系統5から第2の電線4Bに供給される買電電力の単位時間当たりの変動方向とが同じ方向か否かに置き換える。なお、この場合、第2電流センサ8が取り付けられる第2の電線4Bは、第1の電線に相当する。
・第2実施形態において、判定部22は、第2電流センサ8の取り付け状態の判定と、第2電流センサ9の取り付け状態の判定とを並行して処理しているが、これに限られない。例えば、判定部22は、第2電流センサ8の取り付け状態の判定及び第2電流センサ9の取り付け状態の判定の一方を他方よりも先に実行してもよい。
・第2実施形態において、判定部22は、第2電流センサ8の取り付け状態を判定する第1判定部と、第2電流センサ9の取り付け状態を判定する第2判定部とを有してもよい。第1判定部及び第2判定部はそれぞれ、A/Dコンバータ23及び報知部7に電気的に接続されている。
・第1実施形態における図4の第2電流センサ8の取り付け状態の判定処理において、ステップS12及びステップS13の判定回数を増やしてもよい。一例では、判定部22は、ステップS12の判定処理を複数回繰り返し行い、全て同じ判定結果となる場合、次の処理(ステップS13又はステップS16)に移行する。判定部22は、ステップS13の判定処理を複数回繰り返し行い、全て同じ判定結果となる場合、次の処理(ステップS14又はステップS15)に移行する。この構成によれば、外乱等による偶然の判定結果による影響を低減できるため、第2電流センサ8の取り付け状態の誤判定の発生を低減できる。
・第2実施形態における図9の第2電流センサ8の取り付け状態及び第2電流センサ9の取り付け状態の判定処理において、ステップS22及びステップS23の判定回数を上記変形例と同様に増やしてもよい。
・第2実施形態における図9の判定処理において、ステップS31及びステップS32の判定回数を上記変形例と同様に増やしてもよい。この構成によれば、外乱等による偶然の判定結果による影響を低減できるため、第2電流センサ9の取り付け状態の誤判定の発生を低減できる。
・各実施形態において、制御装置20の構成は任意に変更可能である。一例では、制御部21と判定部22とが一体化されてもよい。
・各実施形態において、判定部22は、DSP24に代えてアナログ処理によって第2電流センサ8の取り付け状態及び第2電流センサ9の取り付け状態をそれぞれ判定してもよい。
・各実施形態において、電力管理システム1から太陽光発電装置2等の発電装置を省略してもよい。この場合、パワーコンディショナ10からPVコンバータ11が省略される。蓄電装置3に接続された電力変換装置14は、高圧直流バス15を介してインバータ部12に接続される。
・各実施形態において、電力管理システム1から蓄電装置3を省略してもよい。この場合、パワーコンディショナ10から電力変換装置14が省略される。このような構成では、太陽光発電装置2等の発電装置が直流電源装置に相当し、PVコンバータ11が変換器に相当する。
・各実施形態では、通常動作中であっても第2電流センサ8,9の取り付け状態を判定するため、インバータ部12の出力電力があることを前提に説明したが、例えば起動時の短時間のみ、第2電流センサ8,9の取り付け状態を判定するのであれば、インバータ部12の出力電力を無効電力のみとしても実現可能である。すなわち、見かけ上、電力系統5から買電電力のみで負荷6,6A,6Bの駆動電力をまかない、インバータ部12からの出力電力が、第1電流センサ16により検出した第1の電流値TA1が電圧値TVの位相に対して90°ずれた電流(無効電流)になるように制御することで、第2電流センサ8,9により検出した第2の電流値TA2に変化を起こすことができる。この第2の電流値TA2の変化に基づいて第2電流センサ8,9の取り付け状態を判定できる。
・本開示は、前述した実施形態で説明した機能、方法、または構成を実現するように構成されたコンピュータ実行可能命令を格納した非一時的コンピュータ可読記録媒体を含む。当該コンピュータ可読記録媒体は、一または複数のコンピュータプロセッサがアクセスできる任意の媒体であってよく、例えば、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気記憶装置、及びそれらの任意の組合わせを含むことができる。