JP6896272B2 - 周波数多重読出装置及びその設計方法 - Google Patents

周波数多重読出装置及びその設計方法 Download PDF

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Description

本発明は周波数多重読出装置に係り、特に大規模超伝導検出器アレイのためのマイクロ波帯周波数多重読出装置に関する。
超伝導検出器は、ミリ波〜ガンマ線の9桁にも及ぶ波長域の電磁波や、エネルギー粒子に対して、半導体等の既存検出器を凌駕する低雑音性を示し、天文観測、基礎科学、材料分析、生体計測、量子暗号通信等の分野で使われている。
一方、実現された超伝導検出器システムでの受光面積や画素数は、CCD等の既存検出器アレイに比べ数桁小さい。小受光面積は小信号量、低画素数はイメージング時の走査を要することから、共に長い測定時間という、ユーザにとって深刻な問題点を呈する。
単画素あたりの受光面積増大が性能低下をもたらす超伝導検出器の原理的制約を避けるため、小受光面積の画素を多数構築することによる受光面積増大法が望まれる。
一方、極低温環境下にある多画素超伝導検出器の信号読出線を室温信号処理系に並列に接続すると、極低温−室温間の信号線数が画素数にほぼ比例して増大し、室温から極低温への熱流入増大を招く。即ち、多画素化が、超伝導検出器システムの体積・消費電力を支配する極低温冷却系の冷却能力・体積・価格の増大を余儀なくさせる。
この問題解決のため、極低温下で複数画素の出力を少数の読出線にまとめる多重読出装置が研究されている。これまで提案された複数の多重方式の中で、信号対雑音比が画素数増大に伴い原理的に低下せず、かつ、1本の読出線あたりの多重化画素数が原理的に最大となる、マイクロ波帯周波数多重方式が特に有効である(非特許文献1,2参照)。
従来のマイクロ波帯周波数多重読出装置の構成を図1に示す。超伝導検出器(以下、検出器;図1中の531,532,533,…)には、検出器バイアス電流源65からバイアス電流が供給され、光子入射に伴い抵抗が変化する可変抵抗を有する。
また、マイクロ波帯周波数多重読出装置では、検出器の画素数Nと同じ個数Nの超伝導薄膜共振器(以下、共振器;図1中の581,582,583,…)がチップ(図1中の検出チップ51及び読出チップ52で構成される多重化チップ50)上に構成され、各共振器の長さ、即ち、共振周波数fは、周波数軸上で分散するよう、画素毎の値を持つ。
検出チップ51と読出チップ52とは、配線インダクタンス(図1中の541,542,543,…)で接続され、検出チップ51で検出される光子の入射信号がコイルを介して読出チップ52に伝達される形とされる。
ある共振器の共振周波数fは、その共振器と結合する検出器の出力に伴い変化する。
また、各検出器の出力電流は、ジョセフソン接合素子(図1中の571,572,573,…)と、SQUIDリングインダクタンス(図1中の561,562,563,…)と、SQUIDリングインダクタンスと磁気的に結合したSQUID入力コイル(図1中の551,552,553,…)とからなるSQUID(超伝導量子干渉素子)に流れ、SQUIDの内部インダクタンス、即ち、共振器の終端条件を変化させる。
この原理に基づき、共振周波数fが各検出器への入射光子エネルギーの関数となる。
したがって、検出器への入力信号が入力無し(=0)の場合の共振周波数fと入力有りの場合の共振周波数fとの差を全画素に関し測定すれば、各々の画素への入射光子エネルギーを同定し得る。N個の共振器の他端は、結合キャパシタC(図1中の591,592,593,…)を介して1本のマイクロ波読出線(図1中の610,611,612,613…)に接続される。
マイクロ波読出線は、入出力端とも室温に引出され、入力端にはマイクロ波信号源64、出力端にはスペクトルアナライザ等、マイクロ波電力を周波数fMWの関数として測定するための計測器(不図示)が極低温低雑音増幅器62及び同軸線63を介して接続される。
また、マイクロ波帯周波数多重読出装置の中核となる多重化チップと極低温低雑音増幅器は、クライオスタット等の極低温冷却装置60内に配され、多重化チップ50は超伝導動作が可能とされる。
この系において、共振周波数fは共振器の終端インピーダンスZに依存して変化し、終端インピーダンスZはSQUIDの内部状態、即ち、検出器出力電流の関数となる。
共振周波数fから十分離れた周波数の読出信号に対して、マイクロ波読出線に接続された結合キャパシタCと各共振器の直列インピーダンスとをマイクロ波読出線の50Ωに比べ充分高く設計しておくと、結合キャパシタCにおいてマイクロ波読出線から共振器側に分岐するマイクロ波電流を無視することができる。
即ち、入力端から注入したマイクロ波電力は、共振器側に流出せず、殆ど全て出力端に接続された計測器で消費される。一方、共振周波数fにおいては、マイクロ波読出線に接続された結合キャパシタCと各共振器の直列インピーダンスは、殆ど0となり、マイクロ波電流の殆どは、結合キャパシタCにおいてマイクロ波読出線から共振器側に流出するため、読出線を通って室温の出力端へ流れる電流が激減する。つまり、入力端から注入したマイクロ波電力は、共振状態にある共振器で反射され、出力端抵抗での消費は激減する。
以上の共振現象がN個の共振周波数fに対し起こるので、チップのマイクロ波透過率の周波数依存性は、図2中の(a)に示す形となる。更に、各共振周波数fは、図2中の(b)に示すように、共振器と結合した超伝導量子干渉素子(SQUID)への入力電流を介して各画素への入射光強度による変調を受ける。なお、図2は、多重化チップ50から出力される周波数多重信号の周波数対透過率特性(図中の(a))と、図中の(a)に丸印で示す部分を拡大した周波数対透過率特性(図中の(b))を示す図である。なお、共振周波数の変化は、SQUIDに与える磁束Φに対しΦ周期となるが、図中の(b)においては、代表的な3値(Φ/Φ=0,0.25,0.5)のみ示す。
マイクロ波読出線の出力端側における計測器で、これらの情報を一度に読み取れば、少数読出線による多画素出力の同時読出を実現することができる。
このマイクロ波帯周波数多重読出装置では、共振周波数fが検出器への入射光強度の関数であるために、共振器とSQUID(リングの自己インダクタンスL、ジョセフソン接合素子の臨界電流I)の結合機構が必要となる。
結合方式としては、図3(a)に示す磁気結合型(非特許文献1〜3参照)と、図3(b)に示す直接結合型(非特許文献1,2,4)の2種類に大別される。なお、図3(a)は、磁気結合型による共振器−SQUID結合の等価回路を示す図であり、図3(b)は、直接結合型による共振器−SQUID結合の等価回路を示す図である。
磁気結合型では、SQUIDとの間に相互インダクタンスMMWを持つコイル(自己インダクタンスLMW)が共振器を終端する。一方、直接結合型では、SQUIDが共振器を終端する。
磁気結合型及び直接結合型の双方とも共振器の終端インダクタンスLがSQUIDの内部状態により変調を受ける点は共通である。異なる点は、終端インダクタンスLの大きさにある。
直接結合型では、磁気結合型に比べ共振器の終端インダクタンスLを大幅に低減させることができる。以下、補足説明を行う。
磁気結合型の場合、終端インダクタンスLは、次式(1)で表される。
Figure 0006896272
ただし、前記式(1)中、ここでη≡MMW/Lは、共振器とSQUIDとの結合強度を表す指数を示し、L≡LJ0×sec(2πΦ/Φ)は、SQUIDリングへの鎖交磁束Φに対し磁束量子Φ周期の関数となるジョセフソン接合素子の等価インダクタンスを示し、また、LJ0≡Φ/(2πI)であり、Φ≡h/(2e)である。なお、hは、プランク定数であり、eは、単位電荷である。
一方、直接結合型の場合、終端インダクタンスLは、次式(2)で表される。
Figure 0006896272
ただし、前記式(2)中、η≡1−aは、共振器とSQUIDとの直接結合の強度を表す指数を示し、a(0<a<1)は、図3(b)に示す、共振器からの信号注入線を軸とするSQUIDリングインダクタンスの左右の分割指数を示す(非特許文献4参照)。なお、0<a<1より0<η<1となる。
前記式(1)、(2)において共振器−SQUID間結合度が等しい場合(η=η≡η)を想定すると、磁気結合型と直接結合型との終端インダクタンスLの差は、次式(3)と表される。
Figure 0006896272
η≦1および通常採用されるLMWとSQUIDの間の弱結合条件L<<LMW及びLLMC≒LMWを考慮すると、前記(3)式から、LLDI≒LLMC−LMW<<LLMCが導かれる。
実際、非特許文献2における、Table7.1,7.2,7.3に挙げられた三例では、各々、LMW=77.6pH,145pH,186pH、ηL=MMW=1.65pH,9.42pH,5.46pH、(LLMC−LLDI)/LMW=0.978,0.938,0.973となり、LLDI<<LLMCとなる。
したがって、上述の通り、直接結合型では、磁気結合型に比べて共振器の終端インダクタンスLの大幅な低減が可能である。
次に、終端インダクタンスLを低減させたときの利点について述べる。共振周波数fは、各画素のパラメータを基に次式(4)で与えられる(非特許文献2参照)。
Figure 0006896272
ただし、前記式(4)中、fRλ/4は、共振器長が1/4波長となる周波数を示し、Zは、共振器を構成する分布定数線路の特性インピーダンスを示す。
この式(4)は、共振周波数fが1/4波長共振周波数fRλ/4からずれる原因が、結合キャパシタC及び終端インダクタンスLにあり、4fRλ/4<<1、4fRλ/4/Z<<1の時、各ずれの比率が、各々、約400fRλ/4%、約400fRλ/4/Z%で与えられることを示している。
マイクロ波帯周波数多重読出装置の動作原理より、設計通りに共振周波数fを得られることが重要である。素子作製工程において不可避である結合キャパシタCや終端インダクタンスLの実現値の設計値からのずれが、f変動に寄与する度合いを低減することが強く望まれる。
結合キャパシタCは、磁気結合型と直接結合型とで共通であるため、両者の差は一般的に生じない。
一方、終端インダクタンスLのばらつきδLの相対的な大きさδL/Lが終端インダクタンスLに依存しない状況を仮定すると、上述の通り、直接結合型は、磁気結合型に比べ終端インダクタンスLを桁違いに小さくできるので、直接結合型が有利となる。
実際に、非特許文献2に記述された磁気結合方式における典型値fRλ/4≒6GHz、C≒10fF、L≒0.1nH、Z≒50Ωの条件下では、400fRλ/4≒1.2%、400fRλ/4/Z≒4.8%と見積もられ、終端インダクタンスLの寄与が結合キャパシタCの寄与を上回る。
つまり、共振周波数fの設計値からの画素毎のずれは、結合キャパシタCの実現精度よりも終端インダクタンスLの実現精度に強く依存する。
また、磁気結合型においては、共振器−SQUID間結合を司る相互インダクタンス(図3(a)のMMW)より充分大きな値を、検出器−SQUID間結合を司る相互インダクタンス(図3(a)のM)に持たせる必要があるため、SQUIDリングのすぐ外側に検出器との結合用コイル(図3(a)のL)を置き、更にその外に共振器との結合コイル(図3(a)のLMW)を配置することが一般的である(非特許文献1〜3参照)。
このような配置では、共振器−SQUID間結合を担うコイルLMWの形状・寸法は、検出器−SQUID間結合コイルLの形状、寸法と独立して設計することができない。
そのため、画素毎に異なる仕様の検出器アレイに対応する多重読出回路チップ上には、検出器との結合コイルLのみならず、共振器に対しても画素毎に異なる形状、寸法、インダクタンスとの結合コイルLMWが必要となる(非特許文献5参照)。
よって、単一の共振器−SQUID間結合コイルを適用するチップに比べ、終端インダクタンスLや相互インダクタンスMMWの実現精度を全画素で一定値以下に抑えることが困難となる。
以上、マイクロ波帯周波数多重読出装置では、終端インダクタンスLを低減できる直接結合型の選択により、終端インダクタンスLの実現精度が共振周波数fの実現精度を支配しない条件、つまり、L/Z<<Cの条件を実現することができる。
SQUIDの入力磁束換算でΦ/2に相当する検出器出力電流が変化した場合の共振周波数fの変化幅をΔfとする。なお、Φ≡h/(2e)は、磁束量子であり、hは、Plank定数であり、eは、単位電荷であり、SQUIDの磁束に対する応答は、Φ周期であることが知られている。磁気結合型において、Δfとfとの関係式は、次式(5)で与えられる(非特許文献2参照)。
Figure 0006896272
ただし、前記式(5)中、λ≡L/LJ0であり、検出器読出に必要な入力磁束(電流)から出力周波数への一対一の対応関係を確保するためには、λ<1が要求されることが知られている。また、本発明者らの計算によると、入力から出力への変換効率を大きくとるためには、λ≦0.6が望ましい。
前記式(5)は、各画素固有のη 値を各SQUIDに割り当てることにより、異なるfを持つ各画素間でΔfを一定値に揃え得ることを意味する。
一方、直接結合型の従来研究(非特許文献1,2参照)では、共振器との結合に関与するインダクタンスは自己インダクタンスLのみで、磁気結合型のような2つのインダクタンス(自己インダクタンスLと相互インダクタンスMMW)による自由度が存在しないため、前記式(5)で示すような、異なる共振周波数fを持つ画素間でΔfを一定値に揃えることができなかった。
本発明者らは、図3(b)に示すように、共振器からの信号注入線を軸にSQUIDリングの自己インダクタンスLを左右に分割できることに着目し、ジョセフソン接合素子側インダクタンスをaL、反対側を(1−a)Lとする分割パラメータa(共振器からの信号注入線を軸とするSQUIDリングの自己インダクタンスLの左右の分割指数;0<a<1)を導入することを提案した(非特許文献4参照)。
また、本発明者らは、その後、分割パラメータaの利用により、磁気結合型と同様のΔf−f間の自由度を直接結合型に持たせられることを発見した。即ち、この系におけるΔf及び共振周波数fの関係式は、次式(6)となる。
Figure 0006896272
ただし、η≡1−aであり、前記式(5)においてηをη(或いはMMW /Lを(1−a))に置き換えると、前記式(6)が得られる。
ところで、この提案では、マイクロ波帯周波数多重読出装置に広く使われている平面構造リングを持つSQUIDに対し、マイクロストリップ型(鉛直型)SQUIDリングを採用している。
平面構造リングは、鉛直方向の同一層にある超伝導体製の電極のみから構成され、この電極下に超伝導体製のグランド電極を持たない。平面構造リングは、磁力計用SQUIDとして多用されているが、そのインダクタンスの実現値と設計値との誤差に関する実験報告は少なく、マイクロ波帯周波数多重読出装置のように、高精度なΔfや共振周波数fの実現が要求される装置への適用性が充分とは言い難い。
また、磁力計用SQUIDで用いられるL≒70pHのリングに対し、マイクロ波帯周波数多重読出装置ではL≒10pHのSQUIDリングが望まれるが、平面構造リングは、このような小さな値の自己インダクタンスLを実現しようとすると、検出器との結合効率が低くなる欠点がある。
これに対し、マイクロストリップ型(鉛直型)SQUIDリングでは、最下層に超伝導体製のグランド電極が存在し、その上に層間絶縁層を挟んで超伝導体製のストリップ電極が積層される(非特許文献4参照)。
マイクロストリップ型(鉛直型)SQUIDリングでは、インダクタンス値が、インダクタンスの長さと幅の比に比例するという、単純かつ物理的イメージと結び付きやすい解析式が与えられる(非特許文献6参照)。また、この解析式による設計の高精度な実現性が、これまで多くの実験により検証されている。
前者の理由を説明する。ストリップ電極の一の方向に電流Iを流すと、大きさが等しく逆向きの鏡像電流−Iが、グランド電極中のストリップ電極の真下の領域に流れる。鉛直方向の往復電流(I,−I)は、これら電極より充分離れた場所からは区別し難いほど近接(典型的には約10−7m)した位置で流れるため、この往復電流により発生する磁界は遠方で打ち消し合い、水平方向がストリップ電極の幅、鉛直方向が層間絶縁層の厚みに上下電極の磁界侵入厚みを加えた厚みにより、それぞれ定義される長方形断面の狭い領域にほぼ閉じ込められると考えて差支えない。しかも、その長方形断面内での磁界は、場所に依らずほぼ一定値であることが電磁気学により知られていることから、その均一磁界に長方形の断面積と真空透磁率を単純に乗じることにより、往復電流(I,−I)への鎖交磁束が高い精度で求められる。
インダクタンスは、鎖交磁束量を往復電流で除すことにより求まる物理量であるから、グランド電極がなく鏡像電流が生じないため、鉛直方向ではなく、水平方向に10−5m程度も離れて相対する2つの電極を流れる往復電流が鎖交磁束を発成する平面構造リングに比べ、マイクロストリップ型SQUIDリングでは、SQUIDリングへの鎖交磁束量が減少する。
よって、マイクロストリップ型SQUIDリングは、L≒10pHの小インダクタンスの実現に適している。
以上から、マイクロストリップ型SQUIDリングを直接結合型のマイクロ波帯周波数多重読出装置へ適用することが有利となる。
しかし、前記提案(非特許文献4)では、a=0.5に固定した場合の自己インダクタンスLとリングインダクタンス長が線形関係にあることを示すのみで、以下の点が明らかにされていない。
(1)幅広い範囲の分割パラメータaを実現するために適したデバイスの構造、形状、寸法。
(2)aLや(1−a)Lの実現値と設計値との差。
前記(1)に関しては、異なる形状、構造、寸法を分割パラメータaの異なるSQUIDに持たせた場合(非特許文献5参照)、画素数増大に伴いチップ上に多数種のSQUIDが必要となり、fの実現精度を損なうことが懸念される。
本問題の解決には、全画素の実現精度を一定値以内に抑えることが容易なデバイス構造・寸法・形状が望まれる。
つまり、幅広い範囲の分割パラメータaに渡り、共振周波数fの異なる多くの画素に対し、共通した形状・構造・寸法を持つSQUIDの適用が求められる。
前記(2)に関しては、設計通りのΔfやfの実現が、周波数多重読出回路が正常に機能するための重要な鍵となることから、その実現手段が求められる。
J. A. B Mates et al.: "Demonstration of a multiplexer of dissipationless superconducting quantum interference devices," Appl. Phys. Lett. 92 (2008) 023514 (DOI: 10.1063/1.2803852). J. A. B Mates: "The microwave SQUID multiplexer," Ph.D thesis, Univ. Colorado (2011). S. Kempf et al.: "Demonstration of a scalable frequency-domain readout of metallic magnetic calorimeters by means of a SQUID multiplexers," AIP advances, 7 (2017) 015007 (DOI:10.1063/1.4973872). F. Hirayama et al.: "Microwave SQUID Multiplexer for TES Readout," IEEE Trans. Appl. Supercond., 23 (2013) 2500405(DOI. 10.1109/TASC.2012.2237474). D. Swetz, et al.: "First x-ray scattering observations by the NIST-Illinois soft x-ray microcalorimeter spectrometer at the Advanced Photon Source," 2EOr2D-04, Appl. Supercond. Conf. 2014, Charlotte,U.S.A., 10-15 August, 2014. W. H. Chang: "The inductance of a superconducting strip transmission line," J. Appl. Phys., 50 (1979) 8129 (DOI: 10.1063/1.325953).
本発明は、従来技術における前記諸問題を解決し、幅広い範囲の分割パラメータaに渡り、共振周波数fの異なる多くの画素に対し、共通した形状・構造・寸法を持ち、かつ、設計値との誤差が小さなSQUIDを有する周波数多重読出装置及びその設計方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> SQUID、共振器及びキャパシタがこの順で直列接続され、固有の共振周波数を有する共振回路として形成される読出部と、前記SQUIDと接続され、検出信号に応じて前記読出部の前記共振周波数を変化させる検出部とを各々有し、前記共振周波数が互いに異なる複数の画素と、前記画素と前記キャパシタ側で接続され、入力端から前記画素毎の前記共振周波数と同一周波数の信号を周波数軸上で分散し多重化させた周波数分散多重化信号が供給されるとともに、出力端から前記共振周波数の変化前後における前記周波数分散多重化信号の変調信号が出力可能とされる一本の読出線とが配され、前記SQUIDが、前記検出部と接続される入力コイルと、前記共振器と電気的に接続されるとともにジョセフソン接合が形成される環状電極と、前記環状電極と対向して配されるグランド電極と、前記環状電極−前記グランド電極間を電気的に接続するグランドコンタクトとを有し、前記環状電極が前記共振器と前記グランドコンタクトとを分岐された2つの線路で接続させる構成とされ、複数の前記画素における各々の前記SQUIDが、前記入力コイル、前記環状電極及び前記グランド電極を共通させて形成されるとともに前記環状電極に対する前記グランドコンタクトの形成位置が異なるように形成されることを特徴とする周波数多重読出装置。
<2> 前記環状電極の自己インダクタンスをLとして、前記共振器−前記グランドコンタクト間の前記環状電極の前記2つの線路における自己インダクタンスを、それぞれaLと(1−a)Lとする分割パラメータaが、次式、0.02≦a≦0.98を満たす前記<1>に記載の周波数多重読出装置。
<3> 前記分割パラメータaが、次式、0.29≦a≦0.77を満たす前記<2>に記載の周波数多重読出装置。
<4> 前記環状電極の自己インダクタンスが5pH以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の周波数多重読出装置。
<5> 前記各画素における共振周波数が4GHz以上である前記<4>に記載の周波数多重読出装置。
<6> SQUID、共振器及びキャパシタがこの順で直列接続され、固有の共振周波数を有する共振回路として形成される読出部と、前記SQUIDと接続され、検出信号に応じて前記読出部の前記共振周波数を変化させる検出部とを有し、前記共振周波数が互いに異なる複数の画素と、前記画素と前記キャパシタ側で接続され、入力端から前記画素毎の前記共振周波数と同一周波数の信号を周波数軸上で分散し多重化させた周波数分散多重化信号が供給されるとともに、出力端から前記共振周波数の変化前後における前記周波数分散多重化信号の変調信号が出力される一本の読出線とが配され、前記SQUIDが、前記検出部と接続される入力コイルと、前記共振器と電気的に接続されるとともにジョセフソン接合が形成される環状電極と、前記環状電極と対向して配されるグランド電極と、前記環状電極−前記グランド電極間を電気的に接続するグランドコンタクトとを有し、前記環状電極が前記共振器と前記グランドコンタクトとを分岐された2つの線路で接続させる構成とされる周波数多重読出装置に対し、複数の前記画素における各々の前記SQUIDを、前記入力コイル、前記環状電極及び前記グランド電極が共通するように設計するとともに前記環状電極に対する前記グランドコンタクトの形成位置が異なるように設計することを特徴とする周波数多重読出装置の設計方法。
<7> 前記環状電極の自己インダクタンスをLとして、前記共振器−前記グランドコンタクト間の前記環状電極の前記2つの線路における自己インダクタンスを、それぞれaLと(1−a)Lとする分割パラメータaが、次式、0.02≦a≦0.98を満たすように前記環状電極に対する前記グランドコンタクトの形成位置を設計する前記<6>に記載の周波数多重読出装置の設計方法。
<8> 前記分割パラメータaが、次式、0.29≦a≦0.77を満たすように前記環状電極に対する前記グランドコンタクトの形成位置を設計する前記<7>に記載の周波数多重読出装置の設計方法。
本発明によれば、従来技術における前記諸問題を解決することができ、幅広い範囲の分割パラメータaに渡り、共振周波数fの異なる多くの画素に対し、共通した形状・構造・寸法を持ち、かつ、設計値との誤差が小さなSQUIDを有する周波数多重読出装置及びその設計方法を提供することができる。
従来のマイクロ波帯周波数多重読出装置の構成を示す図である。 多重化チップから出力される周波数多重信号の周波数対透過率特性(図中の(a))と、図中の(a)に丸印で示す部分を拡大した周波数対透過率特性(図中の(b))を示す図である。 磁気結合型による共振器−SQUID結合の等価回路を示す図である。 直接結合型による共振器−SQUID結合の等価回路を示す図である。 本発明の一実施形態に係る周波数多重読出装置の構成を示す図である。 本発明における共振器−SQUID結合の一例を示す光学顕微鏡写真を示す図である。 図5(a)中のA’−A’’線断面を模式的に示す図である。 本発明における共振器−SQUID結合の等価回路を示す図である。 aL及び(1−a)Lの各実測値と、両者の和から求めたSQUID環状電極の自己インダクタンスLとの関係を示す図である。 設計値及び実測値の双方の分割パラメータaの電極長lJJ依存性を示す図である。 SQUIDの入力磁束変化に対する共振周波数fとその最大変化量Δfとの関係を示す図である。
(周波数多重読出装置及びその設計方法)
本発明の周波数多重読出装置及びその設計方法について、図面を参照しつつ説明する。
図4に示すように本発明の一実施形態に係る周波数多重読出装置は、複数の画素が配される多重化チップ10を主な部材として構成される。多重化チップ10は、検出チップ11、読出チップ12及びマイクロ波読出線210,211,212,213で構成される。なお、図4は、本発明の一実施形態に係る周波数多重読出装置の構成を示す図である。
読出チップ12は、SQUID(SQUID入力コイル151、SQUIDリングインダクタンス161等)、超伝導薄膜共振器等で構成される共振器181及び結合キャパシタ191がこの順で直列接続され、固有の共振周波数fを有する共振回路として形成される1つの読出部と、この読出部と同様に構成される他の読出部群(SQUID(SQUID入力コイル152,153、SQUIDリングインダクタンス162,163等)、共振器182,183及び結合キャパシタ192,193)とを有する。複数の読出部は、それぞれ共振器(181,182,183)の長さに応じて、異なる共振周波数fが設定される。
なお、本発明における技術の核となるSQUIDの詳細については、別途、図面を参照しつつ後述する。
検出チップ11は、超伝導転移端検出器(Transition Edge Sensor;TES)等で構成される超伝導検出器131が配線インダクタンス141を介してSQUIDのSQUID入力コイル151と接続され、検出信号に応じて読出部の共振周波数fを変化させる1つの検出部と、この検出部と同様に構成される他の検出部群(SQUID(超伝導検出器132,133、配線インダクタンス142,143)とを有する。各検出部は、1対1の関係で読出部と接続され、1つの検出部と読出部とで1つの画素が構成される。
検出部における検出対象となる物理量としては、超伝導検出器の構成に応じて種々設定でき、一般に光子・粒子等のエネルギーや電磁波の振幅等が挙げられる。
マイクロ波読出線210,211,212,213…で形成される一本の読出線は、線間接続点(例えば、マイクロ波読出線210と211との間の接続点)において、各画素と読出部のキャパシタ側で接続され、入力端側のマイクロ波信号源24から画素毎の共振周波数fと同一周波数の信号を周波数軸上で分散し多重化させた周波数分散多重化信号が供給されるとともに、出力端から前記共振周波数の変化前後における前記周波数分散多重化信号の変調信号が出力可能とされる。
なお、出力信号は、例えば、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;HEMT)等で構成される極低温低雑音増幅器22で増幅され、同軸線23を介して外部の計測器(不図示)で解析される。
また、多重化チップ10及び極低温低雑音増幅器22は、超伝導動作のため、クライオスタット等で構成される極低温冷却装置20に収容される。
このように構成される周波数多重読出装置が有する一般的な動作について説明する。
画素数N(1以上の整数)と同じ個数Nの共振器は、それぞれ、各共振周波数fが周波数軸上で分散するよう画素毎の値を持つ。
ある共振器の共振周波数fは、検出部の出力に伴い変化する。検出部の出力電流は、SQUIDに流れ、SQUIDの内部インダクタンス、即ち、共振器の終端条件を変化させる。
この原理に基づき、共振周波数fが各検出部で検出される検出信号の関数となる。
したがって、検出部への入力信号が入力無し(=0)の場合の共振周波数fと入力有りの場合の共振周波数fとの差を全画素に関し測定すれば、各々の画素への検出信号を同定し得る。N個の共振器の他端は、結合キャパシタCを介して1本のマイクロ波読出線に接続される。
この系において、共振周波数fから十分離れた周波数の読出信号に対して、マイクロ波読出線に接続された結合キャパシタCと各共振器の直列インピーダンスとをマイクロ波読出線の50Ωに比べ充分高く設計しておくと、結合キャパシタCにおいてマイクロ波読出線から共振器側に分岐するマイクロ波電流を無視することができる。
即ち、入力端から注入したマイクロ波電力は、共振器側に流出せず、殆ど全て出力端に接続された計測器で消費される。一方、共振周波数fにおいては、マイクロ波読出線に接続された結合キャパシタCと各共振器の直列インピーダンスとは、殆ど0となり、マイクロ波電流の殆どは、結合キャパシタCにおいてマイクロ波読出線から共振器側に流出し、その結果、読出線を通って室温の出力端へ流れる電流が激減する。つまり、入力端から注入したマイクロ波電力は、共振状態にある共振器で反射され、出力端抵抗での消費は激減する。
以上の共振現象がN個の共振周波数fに対し起こるので、チップのマイクロ波透過率の周波数依存性は、先の図2中の(a)に示す形となる。また、各共振周波数fは、先の図2中の(b)に示すように、共振器と結合した超伝導量子干渉素子(SQUID)への入力電流を介して各画素への入射光強度による変調を受ける。
マイクロ波読出線の出力端側における計測器で、これらの情報を一度に読み取れば、少数読出線による多画素出力の同時読出を実現することができる。
本発明に係る周波数多重読出装置におけるSQUIDは、検出部と接続される入力コイルと、共振器と電気接続されるとともにジョセフソン接合が形成される環状電極と、環状電極と対向して配されるグランド電極と、環状電極−グランド電極間を電気的に接続するグランドコンタクトとを有し、環状電極が共振器とグランドコンタクトとを分岐された2つの線路で接続させる構成とされる。
即ち、環状電極と共振器とを電気的に接続する直接結合型の共振器−SQUID結合とすることにより、先に述べた共振器の終端インピーダンスL(図3(b);LLDI参照)を低減させる構成とされる。
また、環状電極がグランド電極上に構成され、環状電極を流れる電流とグランド電極を流れるその鏡像電流により鎖交磁束が発生する、マイクロストリップ型(鉛直型)SQUIDリング構造を持たせることにより、環状電極の自己インダクタンス(SQUIDリングインダクタンス)Lを比較的低い値とし、かつ、自己インダクタンスLがインダクタンスの長さと幅の比に比例するという、単純かつ物理的イメージと結び付きやすい解析式(非特許文献6参照)に基づく設計指針と、その設計の高度な実現性が得られる。
本発明におけるSQUIDの一つの構成例を図5(a)〜(c)を参照しつつ、具体的に説明する。このSQUIDは、マイクロストリップ型(鉛直型)のSQUIDリング構造を有して構成される。なお、図5(a)は、本発明における共振器−SQUID結合の一例を示す光学顕微鏡写真である。また、図5(b)は、図5(a)中のA’−A’’線断面を模式的に示す図である。また、図5(c)は、本発明における共振器−SQUID結合の等価回路を示す図である。
SQUIDは、検出部と接続される入力コイル(不図示)と、入力コイルと誘導結合される(マイクロストリップ(鉛直)型)SQUIDリング構造16とで構成される。
SQUIDリング構造16は、図5(a),(b)に示すように、層状の超伝導体製のグランド電極(GP,16a)と、グランド電極と対向して配される環状電極と、グランド電極−環状電極間を短絡させる、スルーホールで形成されたグランドコンタクト(GNP(LL to GP))とを有する。
環状電極は、超伝導体で形成され、グランド電極上に層間絶縁層(16b)を介して対向配置される層状のストリップ電極(Lower−Layer(LL),16c)と、超伝導体で形成され、ストリップ電極の離れた2つの部分の間を架け渡すように、層間絶縁層(不図視)を介してストリップ電極の上方に配される層状の上部電極(Upper−Layer(UL)、図5(a)中のJJ(UL to LL)を示す丸印が下端側に示される図視上、上下方向に延びる矩形状の部分)と、ストリップ電極−上部電極間を電気的に接続するように形成されるジョセフソン接合素子(JJ(UL to LL))と、上部電極における共振器(Resonator)との接続点を挟んでジョセフソン接合素子と対向配置され、ストリップ電極−上部電極間を電気的に接続する、超伝導体製のスルーホールで形成されたビア(Via(UL to LL))とで形成される。つまり、共振器と環状電極との接続は、ジョセフソン接合素子とビアとの間の上部電極部分で行われる。
このようにして構成されるSQUIDでは、環状電極中に共振器との接続点から分岐されてグランドコンタクトに至る2つの線路が形成され、環状電極は、これら2つの線路により共振器とグランドコンタクトとを接続させるように構成される。そして、これら2つの線路において、ジョセフソン接合素子を経由する側にaL、ビアを経由する側に(1−a)Lのインダクタンスが分配される(図5(c)参照)。
ここで、分割パラメータa(0<a<1)は、環状電極中のストリップ電極に対するグランドコンタクト(図5(a)参照)の形成位置に応じて設定される。
なお、環状電極の大部分を構成するストリップ電極は、一定の厚み、幅を持つマイクロストリップ構造をとり、図5(a)中、上下のそれぞれに凸状の屈曲部が形成された形状とされるが、この屈曲部は、環状電極の線路長による自己インダクタンスLの設定のため形成されるもので、より多く形成されていてもよいし、なくともよい。更に、環状電極の形状は、角環状、円環状であってもよく図5(a)に示す形状に限定されない。また、本例では、環状電極をストリップ電極と上部電極との2層構造で形成するが、環状電極は、線路中にジョセフソン接合が形成された1層の電極で形成されていてもよい。また、SQUIDとしては、公知のリソグラフィ加工等により製造することができる。
図5(c)に示す等価回路における環状電極の自己インダクタンスLを左右の接続で分割させた(1−a)LとaLとは、環状電極の共振器との接合点からジョセフソン接合素子を経由しグランドコンタクトに至るまでの部分(およそ、ストリップ電極におけるジョセフソン接合素子からグランドコンタクトに至るまでの電極長lJJ(図5(a)参照)で示される部分)における自己インダクタンス(aL)と、環状電極の全長lTから電極長lJJを減じた、ビアを経由する残りの電極長における自己インダクタンス((1−a)L)で設定される。
こうしたマイクロストリップ型(鉛直型)のSQUIDリング構造の採用により、環状電極の自己インダクタンス(SQUIDリングインダクタンス)LのaLと(1−a)Lへの分割は、リングの形状・構造・寸法を一定にしたまま、両者のインダクタンス値を実現するような長さと幅の比を持つマイクロストリップ線路を双方に割り振ることに帰着される。
このことは、環状電極が単一幅のマイクロストリップ線路で構成される場合には、環状電極の全長lTを、単にa:(1−a)に内分することで、aLと(1−a)Lへの分割が実現することができることを意味する。
また、このaLと(1−a)Lとの分割は、グランドコンタクトの形成位置で設定することができ、環状電極に対するグランドコンタクトの形成位置は、ジョセフソン接合素子及びビアとの明確な分離が担保される距離まで近接させることが可能である。グランドコンタクトとジョセフソン接合素子又はビアとの間の最近接距離δは、リソグラフィ用露光装置のアライメント誤差等、素子作製時の加工精度で抑えられ、典型的には約1μmである。
この加工精度に、グランドコンタクト半径rGCと、ビア及びジョセフソン接合素子の半径rJVとを加えた値により決まる、分割パラメータaの最小値(δ+rGC+rJV)/lから分割パラメータaの最大値1−(δ+rGC+rJV)/lまでの範囲に相当する環状電極の任意の位置に、グランドコンタクトを配置可能である。
つまり、図5(a)〜(c)に示す共振器−SQUID間の直接結合方式は、共振周波数の異なる複数の画素間で、結合部の形状・構造・寸法を一定にしたまま、分割パラメータaを(δ+rGC+rJV)/l≦a≦1−(δ+rGC+rJV)/lの幅広い範囲の値に設定できることが理論的に予測される。例えば、典型的な値であるδ≒1μm、rGC≒5μm、rJV≒1μm、l≒500μmの下で、0.02≦a≦0.98の範囲での分割パラメータaを可変させることができる。
こうした分割パラメータaの選択性こそが、共振周波数fの異なる多くの画素に対し、Δfの値を揃えることに寄与し、更に、分割パラメータaは、各画素におけるSQUID間で環状電極に対するグランドコンタクトの形成位置のみを変え、SQUIDの形状・構造・寸法は共通させることで得られるため、Δfの値をより高精度に設計でき、かつ、実際に作製されるSQUIDは、公知のリソグラフィ加工等により高精度に加工可能とされることから、設計値との誤差が小さいものとすることができる。
即ち、本発明に係る周波数多重読出装置では、複数の画素における各々のSQUIDが、入力コイル、環状電極及びグランド電極を共通させて形成されるとともに環状電極に対するグランドコンタクトの形成位置が異なるように形成されることを技術の重要な核とする。
なお、本発明に係る周波数多重読出装置では、SQUID以外の構成については、本発明の効果を妨げない限り、公知の周波数多重読出装置に採用される構成を適用することができる。
本発明の効果を検証するため、図5(a)〜(c)に示す構造のSQUIDを有するマイクロ波多重読出回路装置用の画素を設計・試作し、環状電極、ここでは、環状電極の大部分を示すストリップ電極の全長lを一定としたまま、ストリップ電極の片端(ジョセフソン接合素子JJ近傍位置)から内分点(グランドコンタクト形成位置)までの電極長lJJ(図5(a)参照)を変え、ストリップ電極の左右の自己インダクタンスであるaL及び(1−a)Lの各値を測定した。なお、測定は、非特許文献4に記載した方法に準じて行った。
電極長lJJに対し、aL及び(1−a)Lの各実測値と、両者の和から求めた環状電極の自己インダクタンスLとの関係を図6に示す。
図6に示すように、ジョセフソン接合素子JJからグランドコンタクトGND(LLtoGP)までの距離である電極長lJJに対し、aLと(1−a)Lがほぼ線形に変化するとともに、自己インダクタンスLがほぼ一定値であることが分かる。自己インダクタンスLがほぼ一定値となることは、自己インダクタンスLが電極長lJJではなく全長lに依存する理論に矛盾しない。
また、分割パラメータaに関する、設計値と実測値との比較を行い、0.29≦a≦0.77の範囲において、図7に示す良好な一致性を得た。なお、図7は、設計値(実線)及び実測値(丸印)の双方の分割パラメータaの電極長lJJ依存性を示す図である。
ここでは、自己インダクタンスLを与える設計式中、層間絶縁物の厚みと、ストリップ電極及びグランド電極である上下の超伝導電極の磁界侵入長の和を380nmと仮定することで、自己インダクタンスLとインダクタンス長との関係式における設計値と実測値とが、ほぼ一致する結果を得ている。
なお、仮定値380nmは、絶縁絶縁物の膜厚制御性の向上により、更に実測値を設計値に近付けることが可能になると思われる。
また、こうした結果から、電極長lJJをより広範囲で変化させることにより、分割パラメータaを理論上裏付けられる0.02≦a≦0.98の範囲で可変とすることができるものと思われる。
本発明の周波数多重読出装置が、どのような検出対象信号への応用に資するかを図8に示す。図8は、SQUIDの入力磁束変化に対する共振周波数fとその最大変化量Δfとの関係を示す図である。
図8に示す4本の曲線は、前記式(5),(6)において、4通りのSQUID環状電極の自己インダクタンス(SQUIDリングインダクタンス)L値に対し、磁気結合時η=1、直接結合時η=1(以下、両パラメータを共通の値として「η」で代表させる)を満たす条件下での、SQUIDの入力磁束変化に対する共振周波数fとその最大変化量Δfとの組を表す。
また、横軸に平行な3本の点線は、下記計測対象に最適化された超伝導転移端検出器(Transition Edge Sensor)アレイを検出部とする多重読出に本発明の周波数多重読出装置における読出部を利用する場合、読出部において設定すべき単画素あたりの信号帯域(≒Δfが最適条件ゆえ、その実現を仮定)と、共振周波数fとの関係を示している。
応用A.ミリ波振幅測定用ボロメータ(下記参考文献1)やガンマ線光子計数検出器(下記参考文献2)等(信号帯域(≒Δf)=約300kHz(下記参考文献2参照))
応用B.天文観測(下記参考文献3)・基礎科学計測(下記参考文献4)用X線光子計数検出器(信号帯域(≒Δf)=約3MHz(下記参考文献5参照))
応用C.材料開発等、産業用途の元素分析用X線光子計数検出器(下記参考文献3)(信号帯域(≒Δf)=約25MHz(下記参考文献5参照))
参考文献1:D. Schwan et al.: “Invited Article: Millimeter-wave bolometer array receiver for the Atacama pathfinder experiment Sunyaev-Zel’dovich (APEX-SZ) instrument,” Rev. Sci. Instrum., 82 (2011) 091301(DOI: 10.1063/1.3637460).
参考文献2:B. L. Zink, et al.: “Array-compatible transition-edge sensor microcalorimeter g-ray detector with 42 eV energy resolution at 103 keV,” Appl. Phys. Lett., 89 (2006) 124101 (DOI: 10.1063/1.2352712).
参考文献3:K. Mitsuda et al.: “TES X-ray microcalorimeters for X-ray astronomy and material analysis,” Physica C: Superconductivity and its applications 530 (2016) 93 (DOI: 10.1016/j.physc.2016.03.018).
参考文献4: A. Giachero, et al,:“Development of multiplexed rf-SQUID based microcalorimeter detectors for the HOLMS experiment,” 1EOr2C-06, Applied Superconductivity Conference, Denver, U.S.A., 04-09 September, 2016.
A. Nucciotti et al.: “Status of the HOLMS detector development,” Nucl. Instrum. Meth. Phy. Res. A 824 (2016) 182.
参考文献5: K. D. Irwin, G. C. Hilton, D. A. Wollman, J. M. Martinis, “Thermal-response time of superconducting transition-edge microcalorimeters,” J. Appl. Phys. 83 (1998) 3978 (DOI: 10.1063/1.367153).
図8中の曲線より下の領域は、η≦1、即ち、磁気結合型、直接結合型を問わず両方の結合方式で実現される。曲線より上の領域は、η≧1であり、磁気結合型では原理的に可能であるが、直接結合型では実現できない。η≦1の領域に限定されることは、一見、直接結合型の欠点と思われるが、実際には多くの応用に対し、そうではない。
前記式(5),(6)より明らかなように、共振周波数fの増大に対し、Δfは、共振周波数fの2乗に比例するとともに、共振器とSQUIDとの結合強度ηが一定値の条件下では、Δfが自己インダクタンスLに比例する。
共振周波数fは、周波数多重装置の出力側に配される極低温低雑音増幅器等の計測器の動作周波数帯に設定するので、決まった読出帯域を持つ計測器に対し、低周波信号読出では共振器とSQUIDとの結合強度ηを大きく、高周波信号読出では共振器とSQUIDとの結合強度ηを小さく設定することにより、Δfをfに依らず一定値とする。
図8では、η≦1の領域において、4種類の自己インダクタンスL値(5pH,10pH,20pH,40pH)の全てに対し、極低温低雑音増幅器の典型的帯域である4GHz以上の領域において、前記応用A.及び前記応用B.の応用をカバーすることを示している。
また、L=40pHに対して、f≧4GHzにおいて前記応用C.をカバーするとともに、L=5pHに対しても、f≧10GHzにおいて、前記応用C.をカバーすることが分る。
マイクロ波帯で極めて低い雑音温度(絶対温度数K)を示すHEMT増幅器は、近年、高周波化が図られており、4GHz〜16GHz帯や6GHz〜20GHz帯をカバーする機種(下記参考文献6参照)が市場に出てきている。将来的に、これらの広帯域(高周波)HEMT増幅器の活用を視野に入れれば、現状4GHz〜8GHz帯では対応できない用途、例えば、10GHz以上の領域が必要とされる用途において、L=5pHの自己インダクタンス(SQUIDリングインダクタンス)値を有するSQUIDを用いた前記応用C.も想定される。
参考文献6:Low Noise Factory: http://www.lownoisefactory.com/
以上に説明した本発明の周波数多重読出装置では、従来では実現困難であった下記項目を同時に満たすことができる。
1)超伝導検出器−SQUID間結合を司るインダクタンスと、共振器−SQUID間結合を司るインダクタンスとを、独立に設計できる。画素毎に検出器−SQUID間結合度の異なる用途に、容易に対応可能であるとともに、画素間の設計値からのずれを均一に抑制できる。
2)各インダクタンスの設計値が、物理的イメージと結び付いた解析式として与えられるとともに、設計値の定量的実現性が、設計式の中に含まれるパラメータの広い範囲において検証されている。そのため、共振周波数の実現精度やデバイス性能の向上が可能となる。
3)共振周波数の設計値からのずれの一要因である、共振器の終端インダクタンスの寄与が無視できる。これは、共振周波数の実現精度を向上させる。
本発明の周波数多重読出装置は、下記のような、複数種類の超伝導検出器アレイへの利用が期待される。
・ 電子顕微鏡搭載用X線元素分析装置
・ 微弱光(可視・近赤外)の分光顕微鏡
・ 核管理用非破壊&遠隔検知元素(同位体)分析器
・ 秘匿武器・薬物の遠隔検知装置
また、本発明の周波数多重読出装置は、超伝導検出器以外にも、人口知能実現のハードウエア基本素子としての多数個の超伝導量子ビットの読出にも応用できる。
10,50 多重化チップ
11,51 検出チップ
12,52 読出チップ
131,132,133,531,532,533 超伝導検出器
141,142,143,541,542,543 配線インダクタンス
151,152,153,551,552,553 SQUID入力コイル
161,162,163,561,562,563 SQUIDリングインダクタンス
571,572,573 ジョセフソン接合素子
181,182,183,581,582,583 共振器
191,192,193,591,592,593 結合キャパシタ
20,60 極低温冷却装置
210,211,212,213,610,611,612,613 マイクロ波読出線
22,62 極低温低雑音増幅器
23,63 同軸線
24,64 マイクロ波信号源
25,65 検出器バイアス電流源
16 マイクロストリップ(鉛直)型SQUIDリング構造
16a グランド電極
16b 層間絶縁層
16c ストリップ電極

Claims (8)

  1. SQUID、共振器及びキャパシタがこの順で直列接続され、固有の共振周波数を有する共振回路として形成される読出部と、前記SQUIDと接続され、検出信号に応じて前記読出部の前記共振周波数を変化させる検出部とを各々有し、前記共振周波数が互いに異なる複数の画素と、
    前記画素と前記キャパシタ側で接続され、入力端から前記画素毎の前記共振周波数と同一周波数の信号を周波数軸上で分散し多重化させた周波数分散多重化信号が供給されるとともに、出力端から前記共振周波数の変化前後における前記周波数分散多重化信号の変調信号が出力可能とされる一本の読出線とが配され、
    前記SQUIDが、前記検出部と接続される入力コイルと、前記共振器と電気的に接続されるとともにジョセフソン接合が形成される環状電極と、前記環状電極と対向して配されるグランド電極と、前記環状電極−前記グランド電極間を電気的に接続するグランドコンタクトとを有し、前記環状電極が前記共振器と前記グランドコンタクトとを分岐された2つの線路で接続させる構成とされ、
    複数の前記画素における各々の前記SQUIDが、前記入力コイル、前記環状電極及び前記グランド電極を共通させて形成されるとともに前記環状電極に対する前記グランドコンタクトの形成位置が異なるように形成されることを特徴とする周波数多重読出装置。
  2. 前記環状電極の自己インダクタンスをLとして、前記共振器−前記グランドコンタクト間の前記環状電極の前記2つの線路における自己インダクタンスを、それぞれaLと(1−a)Lとする分割パラメータaが、次式、0.02≦a≦0.98を満たす請求項1に記載の周波数多重読出装置。
  3. 前記分割パラメータaが、次式、0.29≦a≦0.77を満たす請求項2に記載の周波数多重読出装置。
  4. 前記環状電極の自己インダクタンスが5pH以上である請求項1から3のいずれかに記載の周波数多重読出装置。
  5. 前記各画素における共振周波数が4GHz以上である請求項4に記載の周波数多重読出装置。
  6. SQUID、共振器及びキャパシタがこの順で直列接続され、固有の共振周波数を有する共振回路として形成される読出部と、前記SQUIDと接続され、検出信号に応じて前記読出部の前記共振周波数を変化させる検出部とを有し、前記共振周波数が互いに異なる複数の画素と、
    前記画素と前記キャパシタ側で接続され、入力端から前記画素毎の前記共振周波数と同一周波数の信号を周波数軸上で分散し多重化させた周波数分散多重化信号が供給されるとともに、出力端から前記共振周波数の変化前後における前記周波数分散多重化信号の変調信号が出力される一本の読出線とが配され、
    前記SQUIDが、前記検出部と接続される入力コイルと、前記共振器と電気的に接続されるとともにジョセフソン接合が形成される環状電極と、前記環状電極と対向して配されるグランド電極と、前記環状電極−前記グランド電極間を電気的に接続するグランドコンタクトとを有し、前記環状電極が前記共振器と前記グランドコンタクトとを分岐された2つの線路で接続させる構成とされる周波数多重読出装置に対し、
    複数の前記画素における各々の前記SQUIDを、前記入力コイル、前記環状電極及び前記グランド電極が共通するように設計するとともに前記環状電極に対する前記グランドコンタクトの形成位置が異なるように設計することを特徴とする周波数多重読出装置の設計方法。
  7. 前記環状電極の自己インダクタンスをLとして、前記共振器−前記グランドコンタクト間の前記環状電極の前記2つの線路における自己インダクタンスを、それぞれaLと(1−a)Lとする分割パラメータaが、次式、0.02≦a≦0.98を満たすように前記環状電極に対する前記グランドコンタクトの形成位置を設計する請求項6に記載の周波数多重読出装置の設計方法。
  8. 前記分割パラメータaが、次式、0.29≦a≦0.77を満たすように前記環状電極に対する前記グランドコンタクトの形成位置を設計する請求項7に記載の周波数多重読出装置の設計方法。
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