以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
また、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字xxxにA,Bまたは1,2などを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る金融取引システムおよび金融取引方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(1−1.金融取引システムのハードウェア構成)
図1に、金融取引システム1のハードウェア構成を示す。金融取引システム1の一部の構成において、口座情報に口座照会結果を加えた口座照会履歴情報を用いて不正の口座照会があるかの判定処理が容易にかつ高い精度で実行される。図1に示すように、金融取引システム1は、自行サーバ10(第1金融機関サーバともいう)、統合ATMサーバ20、及び他行サーバ30(第2金融機関サーバともいう)およびユーザ端末40を含む。自行サーバ10は、ユーザ端末40から送信された口座情報に対する不正口座照会監視用のデータベースおよびアプリケーションサーバとして機能する。統合ATMサーバ20は、自行サーバ10から処理要求された情報を他行サーバに送信するサーバとして機能する。他行サーバ30(第2金融機関サーバともいう)は、口座情報に応じた口座照会、及び口座振込要求に応じた振り込み処理を行うサーバである。ユーザ端末40は、口座照会要求及び口座振込要求を自行サーバ10に対して行う端末である。図1において、他行サーバ30は2つ(他行サーバ30−1、他行サーバ30−2)設けられているが、1つでもよいし、3つ以上設けられてもよい。説明の関係上、後の説明においては1つの他行サーバ30として説明する。また、金融取引システム1は、自行サーバ10、統合ATMサーバ20、及び他行サーバ30で構成されてもよい。次に、それぞれのハードウェアの構成について以下に説明する。
自行サーバ10は、制御部11、記憶部12、通信部13、および表示部14を有する。制御部11、記憶部12、通信部13、および表示部14はバスを介して接続される。
制御部11は、コンピュータの一つであり、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはその他の演算処理回路を用いて、金融取引、特に後述する不正口座照会監視用のソフトウェア(プログラム)に規定された命令に基づく処理を制御する。また、制御部11からの命令によって、不正口座照会監視プログラムを実行するためのユーザインターフェースが表示部14に提供されてもよい。
記憶部12には、SSD(Solid State Drive)の半導体メモリ等のほか、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)、光記録媒体、光磁気記録媒体、その他記憶可能な素子が用いられる。記憶部12は、不正口座照会監視プログラムを記憶するとともに、不正口座照会監視プログラムで用いられる口座情報および口座照会結果を記憶した口座照会履歴情報を格納する口座照会履歴情報データベースとしての機能を有する。記憶部12は、適宜自行サーバ10と異なるサーバに設けられ、データベースとして機能してもよい。そのため、記憶部12は記憶装置ともいうことができる。
通信部13は、送受信機を有し、ネットワーク50を介して統合ATMサーバ20、ユーザ端末40、及び他行サーバ30と口座情報、口座振込情報およびその他関連する情報の通信を行う。通信部13と、統合ATMサーバ20、ユーザ端末40、及び他行サーバ30との通信には、インターネット(具体的にはSSL(Secure Sockets Layer)/TLS(Transport Layer Security)またはVPN(Virtual Private Network))が用いられる。
統合ATMサーバ20は、制御部21、記憶部22、通信部23および表示部24を有する。制御部21、記憶部22、通信部23および表示部24は、バスを介して接続される。
制御部21は、コンピュータの一つであり、CPU、ASIC、FPGA、またはその他の演算処理回路を用いて統合ATMサーバ20で規定された命令に基づいた金融取引処理を制御する。制御情報は、表示部24に表示されてもよい。
記憶部22は、統合ATMサーバ20における金融取引処理プログラムおよびその他関連する情報を記憶する。
通信部23は、ネットワーク50を介して自行サーバ10、他行サーバ30、およびユーザ端末40との情報通信を行う。通信部23と、自行サーバ10、他行サーバ30およびユーザ端末40との通信には、インターネット(具体的にはSSL/TLSまたはVPN)が用いられる。
他行サーバ30は、制御部31、記憶部32、通信部33、および表示部34を有する。制御部31、記憶部32、通信部33、および表示部34は、バスを介して接続される。
制御部31は、コンピュータの一つであり、CPU、ASIC、FPGA、またはその他の演算処理回路を用いて口座照会、振込処理、その他の金融取引プログラムで規定された命令に基づいて処理を制御するとともに、不正口座照会監視プログラムに関連するプログラムで規定された命令に基づいて各種処理を制御する。また、制御部31からの命令によって、上記プログラムを実行するためのユーザインターフェースが表示部34に表示されてもよい。
記憶部32は、他行サーバ30における振込処理プログラムおよび不正口座照会監視プログラムに関連する情報を記憶する。
通信部33は、ネットワーク50を介して自行サーバ10、および統合ATMサーバ20との情報通信を行う。通信部33と、自行サーバ10および統合ATMサーバ20との通信には、インターネット(具体的にはSSL/TLSまたはVPN)が用いられる。
ユーザ端末40は、表示部41、制御部42、記憶部43、操作部44および通信部45を有する。表示部41、制御部42、記憶部43、操作部44および通信部45はバスを介して接続される。ユーザ端末40は、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、タブレット型端末、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップ型PC、IoT(Internet of Things)デバイス(例えば、電源機構、通信機能および情報記憶機構を備えた機器)などでもよく、ネットワークを通じて自行サーバ10と通信可能なものであれば適用可能である。ユーザ端末40を使用するユーザとして、例えば損害保険会社、生命保険会社、クレジットカード会社などが挙げられる。
表示部41は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスであって、制御部42から入力される信号により表示内容が制御される。
制御部42は、コンピュータの一つであり、CPU、ASIC、FPGA、またはその他の演算処理回路を備える。制御部42は、表示部41および操作部44の操作に基づいてメモリなどの記憶部43に記憶されたプログラムを実行させる。また、制御部42は、自行サーバ10の記憶部12に記憶された不正口座照会監視プログラムに関連する処理の実行を指示するための情報を送信する。
操作部44は、コントローラー、ボタン、またはスイッチを含む。ユーザから操作部44を用いて上下左右への移動、押圧、または回転などの動作がなされることにより、その動作に基づく情報が制御部42に入力される。なお、タッチセンサを有する表示装置(タッチパネル)であれば、表示部41と操作部44とが、同じ場所に配置されてもよい。
通信部45は、自行サーバ10と送受信する機能を有する。例えば、通信部45には、LANを介した送受信機が用いられる。なお、通信部45は、LANを介した送受信機に限定されず、携帯端末用通信(例えばLTE通信)用の送受信機が設けられてもよいし、近距離無線通信用の送受信機が設けられてもよい。ユーザ端末40は、ネットワーク50を介して自行サーバ10と接続される。
(1−2.不正口座照会監視制御部100の構成)
図2は、金融取引システム1の各構成要素によって構成された機能ブロック図を示す。
自行サーバ10は、不正口座照会監視機能を実現させるプログラム(不正口座照会監視プログラム)を制御する不正口座照会監視制御部100を有する。不正口座照会監視制御部100は、口座照会履歴情報取得部110、口座照会判定部120、および通知部130を含む。
口座照会履歴情報取得部110は、ユーザ端末40から送信された識別子に関連付けされた照会対象となる複数の口座情報口座情報と、他行サーバから送信された複数の口座情報の各々に対応する照会結果とを、口座照会履歴情報として取得する機能を有する。口座照会履歴情報取得部110で取得した情報は自行サーバ10の記憶部12の口座照会履歴情報データベース12aにそれぞれ格納される。
図3は、記憶部12のうち口座照会履歴情報データベース12aに記憶された口座照会履歴情報111のデータ構造の一例である。口座照会履歴情報111は、口座情報113、および照会結果115を含む。依頼者112a、依頼者識別番号112b、口座照会用の依頼ファイル112c、および口座情報113は、ユーザ端末40で入力された情報である。この例では、口座情報113として、依頼番号113a、目的コード113b、金融機関名113c、支店名113d、預金種別113e、口座番号113f、口座名義人113gが含まれる。
依頼者112aは、口座照会を依頼するユーザをいう。この場合のユーザは、ユーザ端末40を使用するユーザである。例えば、ユーザは、損害保険会社、生命保険会社、クレジットカード会社などの法人が挙げられる。なお、法人に限定されず、自然人であってもよい。
口座照会を要する複数の口座情報113は、依頼ファイル112c(口座情報データセットともいう)内に設けられる。この例では、10個の口座情報は、1個の依頼ファイル名がA001の依頼ファイル112c内に設けられる。
依頼番号113a(取引通番ともいう)は、各々の口座情報に紐づけられた識別子である。この例では、依頼番号113aは、アルファベットおよび数字を含む7文字からなり、上から順に並んでいる。なお、依頼番号113aは、さらに年月日と組み合わせてもよい。
目的コード113bは、口座照会の目的を示すものである。例えば、口座照会のみを目的とする場合には、目的コード113bには、照会のみ(0A)と記載される。口座照会後に振り込みを行う場合には、照会+振込(1A1W)などと記載される。より具体的には、口座照会後一日後に振込を行う場合には1A01,口座照会後一週間後に振込を行う場合には1A1W,口座照会後一月後に振込を行う場合には1A1M,口座照会後12月後に振込を行う場合には1A12Mと記載される。
照会結果115は、各口座情報113に対応して口座照会した結果が記載される。この例では、口座情報に記載された各情報のうち他行サーバ30に記録されている口座情報と完全に一致しているか否かによって、一致または不一致を判定する。この場合、一文字でも異なった場合には不一致と判定される。なお、不一致の場合の記載として口座番号相違、口座名義人相違、または預金種別相違など具体的に記載してもよい。
口座照会判定部120は、口座照会履歴情報に基づいて不正の口座情報であるかを判定する機能を有する。口座照会判定部120は、口座照会履歴情報が所定の条件に該当する場合には、不正の口座照会であると判定する。
通知部130は、口座照会判定部120がユーザ端末40から送信された口座情報が不正の口座照会であると判定したときに、ユーザの識別番号(識別子)に対応する口座照会を停止することをユーザ端末40に通知する機能を有する。
統合ATMサーバ20は、記憶部22に記憶された金融取引処理プログラムで規定された命令に基づいて他行サーバ30に金融取引処理を実行させるために指示するとともに不正口座照会監視プログラムに関連するプログラムで規定された命令に基づいて処理を実行する。統合ATMサーバ20は、機能部として受信部210および送信部220を含む。受信部210は、自行サーバ10から送信される金融取引依頼情報(この例では、口座情報または振込依頼情報)を受信する。送信部220は、金融取引依頼情報を他行サーバ30に送信する。
他行サーバ30は、記憶部32に記憶された金融取引処理プログラムで規定された命令に基づいて口座照会処理および振込処理を実行するとともに不正口座照会監視プログラムに関連するプログラムで規定された命令に基づいて処理を実行する。他行サーバ30は、機能部として受信部310、口座照会処理部320、振込処理部330、および送信部340を含む。受信部310は、統合ATMサーバ20から送信される金融取引依頼情報(この例では、口座情報または振込依頼情報)を受信する。口座照会処理部320は、口座情報に基づき口座照会処理を実行する。振込処理部330は、振込依頼情報に基づき所定の口座への振込(送金)処理を実行する。送信部340は、金融取引情報(この例では、口座照会結果または振込完了情報)を統合ATMサーバ20に送信する。
ユーザ端末40は、記憶部43に記憶された金融取引処理または不正口座照会監視制御プログラムに関連するプログラムに規定された処理を実行する。ユーザ端末40は、機能部としてそれぞれ受信部410、および送信部420を有する。受信部410は、自行サーバ10から口座照会結果を含む各種取引情報を受信する機能を有する。送信部420は、自行サーバ10に対して各種依頼情報を送信する機能を有する。
(1−3.金融取引方法)
次に、不正口座照会監視制御部100における不正口座照会監視プログラムによる命令に基づいた金融取引方法について説明する。本実施形態では、口座照会のみを行う場合の不正口座照会をモニタリング方法について説明する。
図4および図6は、金融取引方法のフロー図である。図4に示すように、まずユーザ端末40において、口座照会の対象となる口座情報が入力される(S101)。口座情報の入力は、ユーザ端末40の表示部41に表示された自行のインターネットバンキングの入力画面において行われる。
図5は、口座照会の対象となる口座情報入力用のユーザインターフェースの一例である。ユーザは、依頼者112a、依頼者識別番号112b、目的コード113b、金融機関名113c、支店名113d、預金種別113e、口座番号113f、口座名義人113gを入力する。複数の口座照会要求を行う場合には、追加ボタン117を押すことにより、次の口座情報を入力することができる。入力がすべて完了した場合には、入力完了ボタン119を押すことにより、各口座情報に対して依頼番号が設定される。また、連続して口座情報を入力した場合には、複数の口座情報を含む口座情報データセットとして依頼ファイル番号が設定される。
口座情報の入力が完了した後、ユーザ端末40の送信部420から自行サーバ10に対して照会対象となる口座情報がリクエスト電文として送信される(S103)。なお、照会対象となる口座情報が複数の場合には、データファイルをあらかじめユーザ端末内40で生成・格納し、その情報をネットワーク経由で自行サーバ10にアップロードしてもよい。自行サーバ10が口座情報を受信すると、当該口座情報は、口座照会履歴情報データベース12aに格納される(S105)。
次に、自行サーバ10は、口座情報を統合ATMサーバ20に送信する(S107)。統合ATMサーバ20は、口座情報を受信すると(S109)、口座情報に対応する他行サーバ30に対して、口座情報を送信する(S111)。
次に、他行サーバ30が口座情報を受信すると(S113)、口座照会処理を実行する(S115)。具体的には、口座情報に記載された各情報のうち他行サーバ30に記録されている口座情報と完全に一致しているか否かによって、一致または不一致を判定する。この場合、一文字でも異なった場合には不一致として処理される。照会結果は、依頼番号に紐づけて入力される。照会結果が不一致の場合、不一致、NGなどのように単純な入力でもよいし、口座番号相違(口座なし)、口座名義人相違、または預金種別相違など具体的に入力されてもよい。口座照会完了後、他行サーバ30は、統合ATMサーバ20に口座照会結果を送信する(S117)。
次に、統合ATMサーバ20が口座照会結果を受信すると(S119)、口座照会結果に対応する依頼番号に基づいて、自行サーバ10に口座照会結果を送信する(S121)。
次に、自行サーバ10の口座照会履歴情報取得部110は、口座照会結果を受信すると(S123)、図6に示すように、口座照会結果を同一の依頼番号に紐づけられた口座情報とともに口座照会履歴情報として口座照会履歴情報データベース12aに格納する(S201)。
口座照会履歴情報が格納されると、口座照会判定部120は、要求された口座照会が不正の口座照会であるか否かを判定する(S203)。このとき、口座照会判定部120は、過去に同一ユーザが口座照会を行ったかを判定する(S205)。過去に同一ユーザによる口座照会がない場合(S205;No)、現在の口座照会履歴情報をもとに不正の口座照会であるか否かを判定する。過去に同一ユーザが口座照会を行った場合(S205;Yes)、過去の口座照会履歴情報と組み合わせて判定してもよい(S206)。例えば、今回の判定の直前に同一ユーザが所定の数(具体的には3個)の依頼ファイルを用いて口座照会をしていた場合が挙げられる。
口座照会判定部120は、口座照会履歴情報が所定に条件に該当するかを判定する。以下に、口座照会のみが目的の場合の不正の口座照会の判定方法について説明する。
図7は、不正の口座照会の一例である。図7の口座照会履歴情報の場合、同一の依頼ファイル内の口座照会要求履歴情報において連続した口座番号が所定の数以上(この例では合計10件)順番に並んで照会されている。この場合、10件のうち1件において口座照会が一致したとしても依頼者xxxxxの口座照会要求が不正の口座照会であると判定される。
図8は、不正の口座照会の一例である。図8の口座照会履歴情報の場合、同一の依頼ファイル内の口座照会要求履歴情報において連続した口座番号が所定の数以上(この例では合計10件)存在するように照会されている。この場合、依頼ファイル内の一部の口座照会が一致したとしても依頼者xxxxxの口座照会要求が不正の口座照会であると判定される。
図9は、不正の口座照会の一例である。図9の口座照会履歴情報の場合、同一の依頼ファイル(口座情報データセット)A001)内の口座照会要求履歴情報において、所定の数以上(この例では合計10件)の口座照会の不一致が存在する。この場合、依頼者xxxxxの口座照会要求が不正の口座照会であると判定される。
図10は、不正の口座照会の一例である。図10の口座照会履歴情報は、同一の依頼者による所定の数(第2の数ともいう、この例では3個)の依頼ファイル(口座情報データセット)A001、A002、およびA003を含む。このとき、依頼ファイルA001、依頼ファイルA002、および依頼ファイルA003の口座情報において連続した口座番号が10件未満連続で照会されている。この場合、図7の場合と異なり、一つの依頼ファイル内で連続した口座番号が所定の数(第1の数ともいう、この例では合計10件)未満照会されていたとしても、依頼者xxxxxの口座照会要求が不正の口座照会であると判定される。
図11は、不正の口座照会の一例である。図10の口座照会履歴情報は、同一の依頼者による所定の数(第2の数ともいう、この例では10個)の依頼ファイル(口座情報データセット)A001〜A010を含む。このとき、依頼ファイルA001〜A010の口座情報において口座番号が10件未満の口座照会の不一致と1件の口座照会の一致が存在する。この場合、図9の場合と異なり、1つの依頼ファイル内で口座番号が所定の数(第1の数ともいう、この例では合計10件)未満の口座照会の不一致であっても、依頼者xxxxxの口座照会要求が不正の口座照会であると判定される。
また、上記以外に同一の依頼者からの照会対象となる口座情報の数があらかじめ規定された数を超えた場合においても、不正の口座照会であると判定されてもよい。
口座照会履歴情報が、上記のいずれの場合にも該当しない場合、口座照会判定部120は、依頼者xxxxxの口座照会要求が正当な口座照会であると判定する(S207;No)。このとき、自行サーバ10は、ユーザ端末40に口座照会結果を送信する(S209)。ユーザ端末40は、口座照会結果を受信したとき(S211)、口座照会結果を受信したことを表示部41に表示してもよい。
一方、口座照会履歴情報が、上記のいずれかの場合に該当する場合、口座照会判定部120は、依頼者xxxxxの口座照会要求が不正の口座照会であると判定する(S207;Yes)。このとき、自行サーバ10の口座照会判定部120は、依頼者xxxxx(識別番号12345)による口座照会を停止する(アカウントを停止する)(S213)。
口座照会停止処理が完了すると、通知部130は、ユーザ端末40に対して、依頼者xxxxxによる口座照会を停止したことを通知するための電文を送信する(S215)。ユーザ端末40は、口座照会停止の電文を受信した後(S217)、依頼者xxxxxによる口座照会要求ができない状態となる。
本実施形態を用いることにより、膨大な数の口座照会要求があった場合においても容易にかつ高い精度で不正の口座照会を判別することができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、口座照会と合わせて振込処理を行う場合の不正口座照会をモニタリング方法について説明する。なお、本実施形態では、口座照会の段階では正当な口座照会と判定され、ユーザ端末40が口座照会結果を受信した(S211)以降のフローについて説明する。
図12及び図13は、金融取引方法のフロー図である。図12に示すように、受信した口座照会結果をもとに、ユーザ端末40において、口座振込の対象となる口座振込情報が入力される(S301)。口座情報の入力は、ユーザ端末40の表示部41に表示された自行のインターネットバンキングの入力画面において行われる。
図13は、口座振込情報入力用のユーザインターフェースの一例である。ユーザは、口座振込情報313に依頼者312a、依頼者識別番号312b、目的コード313b、金融機関名313c、支店名313d、預金種別313e、口座番号313f、口座名義人313gおよび振込日313hを入力する。複数の口座振込を要求する場合には、追加ボタン317を押すことにより、次の口座振込情報を入力することができる。口座振込情報の入力がすべて完了した場合には、入力完了ボタン319を押すことにより、各口座振込情報に対して依頼番号が設定される。また、連続して口座振込情報を入力した場合には、口座振込情報データセットとして依頼ファイル番号が設定される。
口座振込情報の入力が完了した後、ユーザ端末40の送信部420から自行サーバ10に対して口座振込情報がリクエスト電文として送信される(S303)。なお、口座振込情報が複数の場合には、データファイルをあらかじめユーザ端末内40で生成・格納し、その情報をネットワーク50経由で自行サーバ10にアップロードしてもよい。自行サーバ10が口座振込情報を受信すると、当該口座振込情報は、口座照会履歴情報データベース12aに格納されてもよい(S305)。
口座振込情報が格納された後、口座照会判定部120は、口座振込情報が所定の条件に該当するかを判定する。具体的には、口座振込情報に含まれる振込日と、口座情報に含まれる振込予定日とを比較する(S307)。口座振込情報に含まれる振込日と、口座情報に含まれる振込予定日とが、一致する又は所定の期日(例えば5営業日)以内である場合、口座照会判定部120は、口座振込情報が正当な口座照会に基づくものと判定し(S309;No)、統合ATMサーバ20および他行サーバ30に口座振込情報を送信するとともに、振込処理を実行する(S311)。
一方、口座振込情報に含まれる振込日が、口座情報に含まれる振込予定日と、所定の期日(例えば5営業日)以上異なる(経過する)場合、口座照会判定部120は、口座振込情報が不正の口座照会に基づくものと判定する(S309;Yes)。このとき、口座照会判定部120は、ユーザ端末40に対して、口座振込情報に含まれる振込日が、口座情報に含まれる振込予定日と、所定の期日(例えば5営業日)以上異なる理由についての回答情報を入力するための指示情報(回答入力指示情報)を生成し(S313)、送信してもよい(S315)。ユーザ端末40の受信部410が、回答入力指示情報を受信し(S317)、回答情報が入力されると(S319)、ユーザ端末40の送信部420は、自行サーバ10に対して回答情報を送信する(S321)。自行サーバ10が回答情報を受信したとき(S323)、口座照会判定部120は、回答情報の内容に基づいて不正口座照会であるかを再度判定してもよい(S325)。正当な口座照会であると判定された場合(S325;No)、振込処理が行われる(S327)。不正口座照会であると、再度判定された場合(S325;Yes)、自行サーバ10の口座照会判定部120は、依頼者xxxxx(識別番号12345)による口座照会を停止する(アカウントを停止する)(S329)。なお、口座照会判定部120は、回答情報を入力するための指示情報(回答入力指示情報)を必ずしも送信しなくてもよい。
口座照会停止処理が完了すると、通知部130は、ユーザ端末40に対して、依頼者xxxxxによる口座照会を停止したことを通知するための電文を送信する(S331)。ユーザ端末40は、口座照会停止の電文を受信した後(S333)、依頼者xxxxxによる口座照会要求ができない状態となる。
本実施形態を用いることにより、膨大な数の口座照会要求があった場合においても容易にかつ高い精度で不正の口座照会を判別することができる。
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる口座照会のモニタリング方法について説明する。具体的には、口座照会要求情報の取得時に口座照会のモニタリングを行う例について説明する。なお、第1実施形態と重複する構成については適宜説明を省略する。
(3−1.不正口座照会監視制御部100Aの構成)
図15は、金融取引システム1Aの各構成要素によって構成された機能ブロック図を示す。
図15に示すように、自行サーバ10Aは、不正口座照会監視機能を実現させるプログラム(不正口座照会監視プログラム)を制御する不正口座照会監視制御部100Aを有する。不正口座照会監視制御部100Aは、口座照会要求情報取得部1010、識別情報取得部1020、口座照会判定部1030、口座照会指示部1040、口座照会停止部1050、通知部1060および送信部1070を含む。
口座照会要求情報取得部1010は、ユーザ端末40から照会目的情報、金融機関情報およびユーザ情報を含む口座照会要求情報を取得する機能を有する。口座照会要求情報取得部1010で取得した情報は自行サーバ10A(金融機関サーバ)の記憶部12Aの口座照会情報データベース12Aaにそれぞれ格納される。
図16は、記憶部12Aのうち口座照会情報データベース12Aaに記憶された口座照会要求情報600のデータ構造の一例である。口座照会要求情報600は、ユーザ情報601(照会要求ユーザ情報ともいう)および口座照会要求データ602(口座照会金融機関情報ともいう)を含む。ユーザ情報601は、ユーザ名601a、ユーザコード601bおよび業種コード601cを含む。
ユーザ名601aは、口座照会を要求するユーザである。この場合のユーザは、ユーザ端末40を使用するユーザである。例えば、ユーザは、損害保険会社、生命保険会社、クレジットカード会社、株式会社、スーパー・小売り等の流通会社、官公庁、地方公共団体、または独立行政法人などの各種法人または、上記法人から業務委託を受けた法人が挙げられる。なお、法人に限定されず、自然人であってもよい。
ユーザコード(ユーザ識別情報、または加盟店コードともいう)601bは、口座照会を要求するユーザそれぞれに紐づけられた番号を情報いう。この例では、ユーザコード601bは、10桁の番号からなる。または、ユーザコード601bは、9桁の連番からなり、残りの一桁をチェック用として用いてもよい。この場合、ユーザコード601bは、modulus10で構成される。
また、業種コード601cは、ユーザの業種ごとに割り当てられた番号をいう。業種コード601cは、ユーザが属するグループパラメータともいうことができる。この例では、業種コードとして保険会社(02)が表記されている。図17は、業種コード601cのデータ構造である。業種コード601cは、業種名601c1および業種コード601c2を含む。図17に示すように、業種ごとに決められた業種コードが割り当てられる。なお、業種コード601cは、新たに設けられなくてもよい。この場合、10桁の番号のうち、10桁目の番号は業種ごとに割り振られたものであってもよい。
口座照会要求データ602は、口座照会依頼番号602a、目的コード602b、金融機関名602c、金融機関コード602d(金融機関識別番号)、支店名602e、預金種別602f、口座番号602g、および口座名義人602hを含む。目的コード602bは、照会目的情報ともいう。口座照会要求情報のうち、業種コード601c、金融機関名602c、金融機関コード602d、支店名602e、預金種別602f、口座番号602g、および口座名義人602hは口座照会パラメータともいう。
口座照会を要求する口座照会要求データ602は、この例では、10個の口座照会情報を一つのデータセット(依頼ファイル)としている。
依頼番号602a(取引通番ともいう)は、各々の口座照会要求データに紐づけられた識別子である。この例では、依頼番号602aは、アルファベットおよび数字を含む7文字からなり、上から順に並んでいる。なお、依頼番号602aは、さらに年月日と組み合わせてもよい。
目的コード602b(照会目的情報)は、口座照会の目的を示すものである。例えば、公的な口座振り込みを行う前の事前確認を目的とした場合の目的コードには、「1.公的用」と表記される。一方、民間(商業用)口座振り込みを行う前の事前確認を目的とした場合の目的コードには「2.商業用」が表記される。口座照会要求情報600が目的コード602bを含む場合に、後述するように口座照会判定部1030による判定処理がなされる。一方、口座照会要求情報600内に目的コード602bがない場合、照会目的が不明であるとして口座照会判定部1030により判定処理がなされなくてもよい。または口座照会情報DB12Aaに目的コードが登録されていない場合には、口座照会判定部1030により不正照会要求であると判定されてもよい。
金融機関コード(金融機関識別情報)602dは、金融機関名に対応付けられた番号である。この例では、金融機関コード602dは、4桁の番号からなる。
識別情報取得部1020は、口座照会可能な金融機関情報、口座照会が承諾されたユーザの承諾ユーザ情報、口座照会可能な目的情報を取得する機能を有する。口座照会可能な目的情報(目的コード)は、例えば「1.公的用(口座照会)」という情報である。
図18は、記憶部12Aのうち口座照会情報データベース12Aaに記憶された金融機関情報610のデータ構造の一例である。この例では、金融機関情報610は、金融機関名610a、および口座照会対応金融機関コード610bを含む。金融機関名610a、および口座照会対応金融機関コード610bは、他行サーバ30から送信された情報に基づいて登録される。
金融機関名610aは、自行との間で口座照会が可能な金融機関をいう。口座照会対応金融機関コード610bは、金融機関名610aに紐づけられた固有の識別情報である。この例では、口座照会対応金融機関コード610bは、4桁の番号である。図18のデータ構造に含まれていない金融機関は、原則として口座照会指示を受けることができない。
図19は、記憶部12Aのうち口座照会情報データベース12Aaに記憶された承諾ユーザ情報620のデータ構造の一例である。この例では、承諾ユーザ情報620は、承諾ユーザ名620a、承諾ユーザコード(承諾ユーザ識別情報ともいう)620b、業種コード620c、関連法人数620d、および信頼度620eを含む。承諾ユーザ名620a、承諾ユーザコード620b、業種コード620c、関連法人数620d、および信頼度620eは、ユーザ端末40から送信された情報に基づいて登録される。業種コード620c、関連法人数620d、および信頼度620eの各データは、承諾ユーザパラメータともいう。
承諾ユーザ名620aは、口座照会を承諾されたユーザ名を示す。承諾ユーザコード620bは、承諾ユーザ名620aに紐づけられた固有の識別情報である。この例では、承諾ユーザコード620bは、10桁の番号である。
業種コード620cは、承諾ユーザの業種ごとに割り当てられたグループ情報をいう。
関連法人数620eは、承諾ユーザについての関連法人数をいう。関連法人とは、ユーザと業務または資本等において法人を運営するうえで関連する法人(グループ法人)をいう。例えば、関連法人数が「0」の場合、単独の法人であることを意味する。関連法人数「5」の場合、承諾ユーザと関連するグループ法人が5つあることを示す。関連法人数が大きいほど、多くの法人と連結しているということができる。
信頼度620eは、承諾ユーザの信頼度を意味する。信頼度620eは、業種コードおよび関連法人数に基づいて設定されてもよい。例えば、信頼度は、10段階で設定してもよい。業種が地方公共団体の場合には、信頼度は高く設定されてもよい。一方、関連法人数が多いと、関連法人への情報の漏洩の観点から信頼度が低く設定されてもよい。
口座照会判定部1030は、口座照会要求情報に基づいて口座照会の可否を判定する機能を有する。この例では、口座照会判定部1030は、照会目的情報が記憶部12Aに記憶された口座照会可能な照会目的情報と一致しているか、口座照会要求情報のユーザコードが記憶部12Aに記憶された承諾ユーザ情報の承諾ユーザコードとが一致しているか、または口座照会要求情報の金融機関コードが記憶部12Aに記憶された口座照会可能な金融機関コードと一致しているかによって口座照会が可能であるかどうかを判定する。
口座照会指示部1040は、口座照会要求情報と、記憶部12A(記憶装置)にあらかじめ記憶された情報との関係が所定の口座照会可能条件を満たすときに口座照会要求情報に関連付けられた口座照会処理を指示する機能を有する。
口座照会停止部1050は、口座照会要求情報に関連付けられた口座照会を停止する機能を有する。この例では、複数の口座照会要求情報に対する口座照会可否データと、口座照会要求パラメータとの関係が、所定の条件を満たすときに、口座照会要求情報に関連付けられた口座照会を停止する。具体的には、業種コードは関連法人数に合わせて口座照会可能率の設定値を設け、設定値を超えた場合には口座照会を停止する。
通知部1060は、口座照会判定部1030がユーザ端末40から送信された口座照会要求情報が不正の口座照会であると判定したときに、ユーザ識別番号(識別子)に対応する口座照会を停止することをユーザ端末40に通知する機能を有する。
送信部1070は、統合ATMサーバ20、他行サーバ30、およびユーザ端末40に各種情報を送信する機能を有する。さらに、送信部1070は、ユーザ端末40に停止された口座照会要求情報の修正指示情報を送信する機能を有してもよい。
(3−2.金融取引方法)
次に、不正口座照会監視制御部100Aにおける不正口座照会監視プログラムによる命令に基づいた金融取引方法について説明する。
図20、図22,図25および図26は、金融取引方法のフロー図である。金融取引方法は、第1金融取引制御方法S1100、第2金融取引制御方法S1200および第3金融取引制御方法S1300を含む。第1金融取引制御方法S1100は、金融機関間口座照会承諾情報の生成、受信および格納処理、並びに口座照会承諾情報の生成および格納処理を含む。第2金融取引制御方法S1200は、口座照会要求情報の取得、判定、口座照会指示処理を含む。第3金融取引制御方法S1300は、口座照会処理、および口座照会判定を含む。以下に詳細に説明する。
第1金融取引制御方法S1100において、まず自行サーバ10Aは、図20に示すように、金融機関間口座照会承諾要求情報を生成する(S1101)。金融機関間口座照会承諾要求情報は、端末から入力された情報に基づいて生成されてもよい。自行サーバ10Aは、生成された金融機関間口座照会承諾要求情報をリクエスト電文として他行サーバ30に対して送信する(S1103)。
他行サーバ30は、金融機関間口座照会承諾要求情報を受信すると(S1105)、金融機関間口座照会承諾情報を生成する(S1107)。金融機関間口座照会承諾情報は口座照会可能な金融機関コードを含む。他行サーバ30は、生成された金融機関間口座照会承諾情報をリクエスト電文として自行サーバ10Aに送信する(S1109)。
自行サーバ10Aの識別情報取得部1020は、金融機関間口座照会承諾情報を受信したのち、口座照会情報DB12Aaに格納する(S1111)。上記のS1101からS1111までの処理は、各金融機関からの口座照会の要求に合わせて繰り返し実行されてもよい。これにより、図18に示した金融機関情報610のデータ構造が生成される。
一方で、ユーザ端末40が口座照会承諾要求情報を生成する(S1113)。口座照会承諾要求情報の生成は、ユーザ端末40の表示部41に表示された自行のインターネットバンキングのユーザインターフェースにおいて行われる。図21は、口座照会承諾要求情報生成用のユーザインターフェース640の一例である。図21に示すように、口座照会承諾要求ユーザインターフェース640は、ユーザ名640a、法人種別640b、関連法人有無640c、および関連法人数640dを含む。法人種別640bは、ユーザの業種を示し、表示されたリストから選択することができる。関連法人有無640cおよび関連法人数640dは、ユーザに関連する法人の有無、およびグループ企業の数を記載することができる。口座情報の入力が完了したときは入力完了ボタン642を押下し、閉じるボタン644を押下する。これにより、ユーザ端末40の送信部420から自行サーバ10Aに対して口座照会承諾要求情報がリクエスト電文として送信される(S1115)。
自行サーバ10Aは、口座照会承諾要求情報を受信すると(S1117)、口座照会承諾要求情報に基づいて口座照会承諾情報および承諾ユーザ情報を生成し、口座照会情報DB12Aaに格納する(S1119)。自行サーバ10Aは、生成された口座照会承諾情報をユーザ端末40に送信する(S1121)。
ユーザ端末40は、口座照会承諾情報を受信する(S1123)。上記S1113〜S1123の処理は、複数のユーザから口座照会の要求があるたびに繰り返し実行される。これにより、図19に示した複数の承諾ユーザの情報を含むデータ構造が生成される。なお、図19に示す承諾されたユーザの信頼度は、口座照会承諾情報とは異なるタイミングで生成されてもよい。また、口座照会承諾要求情報の生成と、金融機関間口座照会承諾要求情報の生成の順番は異なってもよい。以上により、第1金融取引制御方法S1100が終了となる。第1金融取引制御方法により、口座照会可能な金融機関情報、および口座照会が承諾されたユーザの承諾ユーザ情報を記憶部12A(記憶装置)にあらかじめ格納することができる。
なお、上述において金融機関間口座照会承諾情報が生成されたのちに口座照会承諾情報が生成される例を示したが、これに限定されない。金融機関間口座照会承諾情報および口座照会承諾情報は、それぞれ並列で生成されてもよい。また、口座照会可能な照会目的情報を含む各種情報はあらかじめ口座照会情報DB12Aaに格納されてもよいし、ユーザ端末40から送信された要求情報を含む電文に基づいて生成されてもよい。
次に、第2金融取引制御方法S1200について説明する。第2金融取引制御方法S1200は、第1金融取引制御方法S1100の終了をきっかけに開始する。なお、第1金融取引制御方法S1100と第2金融取引制御方法S1200とが順番に行われなくてもよく、適宜並列に処理されてもよい。
まず、図22に示すように、ユーザ端末40は、口座照会要求情報を生成する(S1201)。図23は、口座照会要求情報を生成するためにユーザが入力するための口座照会要求ユーザインターフェース650の一例である。図23に示すように、ユーザは、口座照会要求ユーザインターフェース650に対して、ユーザ名651a、ユーザコード651b、目的コード651c、金融機関名651d、金融機関コード651e、支店名651f、預金種別651g、口座番号651h、および口座名義人651iを入力する。複数の口座照会を要求する場合には、追加ボタン653を押すことにより、次の口座振込情報を入力することができる。口座振込情報の入力がすべて完了した場合には、入力完了ボタン655を押すことにより、各口座照会要求情報に対して依頼番号が設定される。また、連続して口座照会要求情報を入力した場合には、口座照会要求情報データセットとして依頼ファイル番号が設定される。ユーザ端末40は、生成された口座照会要求情報をリクエスト電文として自行サーバ10Aに送信する(S1203)。
自行サーバ10Aは、口座照会要求情報を受信(取得)すると、口座照会情報DB12Aaに口座照会要求情報を格納する(S1205)。なお、照会対象となる口座情報が複数の場合には、データファイルをあらかじめユーザ端末内40で生成・格納し、ユーザ端末40はそのデータファイルをネットワーク経由で自行サーバ10Aにアップロードしてもよい。自行サーバ10Aが口座照会要求情報を受信すると、当該口座照会要求情報は、口座照会情報データベース12Aaに格納される。
次に、自行サーバ10Aの口座照会判定部1030は、受信した口座照会要求情報が所定の照会可能条件を満たす(適合する)ものであるか判定する(S1207)。このとき、受信した口座照会要求情報のうちの少なくとも一部と口座照会情報DB12Aaに格納された情報のうちの少なくとも一部とが一致する場合に口座照会情報が所定の照会可能条件を満たすと判定される。具体的には、図16に示す口座照会要求情報600に含まれる目的コード602bと、口座照会情報DB12Aaに格納された口座照会可能な目的コードが一致するかどうかを判定する。このとき、口座照会要求情報600内に目的コード602bがあるかどうかを判定してもよい。同様に、口座照会情報DB12Aaに口座照会可能な目的コードが格納(登録)されているかどうかを判定してもよい。口座照会要求情報600内に目的コード602bがない場合、または口座照会情報DB12Aaに目的コードが登録されていない場合には、口座照会判定部1030は不正照会要求であると判定してもよい。
または、口座照会判定部1030は、図16に示す口座照会要求情報に含まれるユーザコード601bと図19に示す口座照会情報DB12Aaに格納された口座照会が承諾されたユーザの承諾ユーザコード620bとを照合し、一致するかどうかを判定してもよい。また、口座照会判定部1030は、図16に示す口座照会要求情報600に含まれる金融機関コード602dと、図18に示す口座照会情報DB12Aaに格納された口座照会可能な金融機関コード610bとを照合し、一致するかどうか判定してもよい。さらに、口座照会判定部1030は、図16に示す口座照会要求情報600に含まれる業種コード601cと、図19に示す口座照会情報DB12Aaに格納された口座照会が承諾されたユーザの業種コード620cを照合し、一致するかどうか判定してもよい。
ここで、受信した口座照会要求情報のうち目的コード602bと口座照会情報DB12Aaに格納された情報のうち口座照会可能な目的コードが一致する場合には(S1209;Yes)、自行サーバ10Aは、口座照会要求情報に応じた口座照会指示情報を生成する(S1211)。つまり、本実施形態では、口座照会要求情報と、記憶装置に予め記憶された情報との関係が照会可能条件を満たすとき、口座照会要求情報に関連付けられた口座照会処理を指示するということができる。
本実施形態を用いることにより、口座照会要求情報の目的コードと口座照会情報DB12Aaの口座照会可能な目的コードが一致した場合、例えば目的コードが「1.公的用」の場合には、地方公共団体から業務を受けた法人の場合のように、口座照会要求情報の金融機関コードおよびユーザコードが口座照会情報DB12Aaに格納されたデータと一致しなくても口座照会を指示することができる。
また、口座照会判定部1030は、口座照会要求情報の業種コード601c、目的コード602bおよび承諾ユーザ情報の業種コード620cに基づいて、口座照会を指示してもよい。例えば、業種コード601cまたは業種コード620cが「(03)地方公共団体」であり、目的コードが「1.公的用」となっている場合には、図16に示す口座照会要求情報に含まれる金融機関コード602dと、図18に示す口座照会情報DB12Aaに格納された口座照会可能な金融機関コード610bとが一致していない場合においても口座照会を指示してもよい。これにより、従来であれば金融機関間の口座照会の契約・取決めが未完のために口座照会を指示できない場合であっても緊急時の例外処理として口座照会を指示することができる。
一方で、ユーザコード及び金融機関コードが適合しない場合には(S1209;No)、不正な口座照会要求と判定し、自行サーバ10Aの口座照会停止部1060は口座照会要求情報の一部または全部に対して口座照会停止処理を行ってもよい(S1213)。例えば、口座照会要求情報600に目的コード602bが含まれていない場合には、口座照会停止部1060は、口座照会停止処理を実行してもよい。
図24は、複数の口座照会要求情報の判定結果のデータ構造の一例である。図24に示すように、複数の口座照会要求データ602の各々に対して口座照会可否データ602iが生成される。このとき、口座照会要求情報データセット全体のうち口座照会可能な口座照会要求情報の比率(口座照会可能率602j)を算出してもよい。この例では、口座照会可能率は、「60%」と表示される。
また、ユーザコードが一致する場合に、図19に示す承諾ユーザ情報の関連法人数620dに対する口座照会要求情報の口座照会可能率602jが設定値に達したときに、口座照会停止部1050は、口座照会停止処理を実行してもよい。関連法人数が多くなると、グループ法人から要求された情報に基づいて口座照会要求情報が生成され、金融機関コードの不一致となる可能性が高まることが想定される。その場合、不正アクセスであると判断される可能性が高まるためである。
例えば、業種コードが保険会社(02)であり、口座照会可能率が80%以上であるとき、口座照会要求情報のうち該当するものに対して口座照会停止処理を行ってもよい。例えば、業種コードが保険会社(02)であり、口座照会可能率が50%であるとき、口座照会要求情報に含まれるすべての口座照会に対して停止処理を行ってもよい。さらに、業種コードが保険会社(02)であり、口座照会可能率が40%以下の場合は、口座照会を停止されたユーザの承諾ユーザ情報を記憶部12Aの口座照会情報DB12Aaから消去してもよい。
口座照会停止処理が実行された後、自行サーバ10Aは口座照会が停止となったことを、電文を介してユーザ端末40に通知する(S1215)。ユーザ端末40は、口座照会停止通知を受信したとき(S1217)、第2金融取引制御方法S1200は終了となる。
なお、自行サーバ10Aは、ユーザ端末40に口座照会停止通知とともに口座照会停止処理された口座照会要求情報についての修正指示情報を送信してもよい。これにより、ユーザは口座照会要求情報の誤りを迅速に修正することができる。
第3金融取引制御方法(S1300)は、口座照会指示情報の生成(S1211)をきっかけに開始する。図25に示すように、まず、自行サーバ10Aは、口座照会指示情報を統合ATMサーバ20に送信する(S1301)。統合ATMサーバ20は、口座照会指示情報を受信すると(S1303)、口座照会指示情報に対応する口座照会可能な金融機関(他行サーバ30)に口座照会指示情報を送信する(S1305)。
他行サーバ30は、口座照会指示情報を受信すると(S1307)、口座照会処理を実行する(S1309)。具体的には、口座情報に記載された各情報のうち他行サーバ30に記録されている口座情報と完全に一致しているか否かによって、一致または不一致を判定する。この場合、一文字でも異なった場合には不一致として処理される。照会結果は、依頼番号に紐づけて入力される。照会結果が不一致の場合、不一致、NGなどのように単純な入力でもよいし、口座番号相違(口座なし)、口座名義人相違、または預金種別相違など具体的に入力されてもよい。他行サーバは、口座照会が完了したのち、口座照会結果を統合ATMサーバ20に送信する(S1311)。
統合ATMサーバ20は、口座照会結果を受信すると(S1313)、自行サーバ10Aに対して口座照会結果を送信する(S1315)。
自行サーバ10Aは、口座照会結果を受信したとき(S1317)、図26に示すように口座照会結果について判定を行ってもよい(S1319)。このとき、口座照会判定部1030は、口座照会不一致率と、目的コード、業種コードまたは関連法人数に基づいて不正口座照会であるかどうか判定を行う。具体的には、ユーザの業種コードが地方公共団体、目的コードが公的用の場合には、口座不一致率が50%以上であっても、不正口座照会ではないと判定してもよい。または関連法人数が5以上で、口座不一致率が20%以上である場合には、不正口座照会であると判定してもよい。
不正口座照会ではないと判定した場合(S1321;No)、自行サーバ10Aは口座照会結果をユーザ端末40に送信する(S1323)。ユーザ端末40は、口座照会結果を受信すると(S1325)、口座情報の修正が必要かどうかを判定する(S1327)。口座情報の修正の判定は、ユーザからの入力に基づいてなされてもよい。口座情報の修正が必要な場合には(S1327;Yes)、照会対象の口座情報入力に戻ってもよい(S1201)。口座情報の修正が不要の場合には(S1327;No)、第3金融取引制御方法S1300は終了となる。第3金融取引制御方法S1300の後で、口座振込処理を指示してもよい。
一方、不正な口座照会であると判定した場合(S1321;Yes)、当該ユーザによる今後の口座照会要求情報の生成を停止する(アカウントを停止する)(S1329)。
口座照会停止処理が完了すると、自行サーバ10Aの通知部1050は、ユーザ端末40に対して、ユーザによる口座照会を停止したことを通知するための電文を送信する(S1331)。ユーザ端末40は、口座照会停止の電文を受信した後(S1333)、ユーザによる口座照会要求ができない状態となる。以上により、第3金融取引制御方法S1300が終了となる。
本実施形態を用いることにより、膨大な数の口座照会要求があった場合においても容易にかつ高い精度で不正の口座照会を判別することができる。また、口座照会処理を実行する前にモニタリングを行うことができるために、システム上の負担を軽減することができる。
なお、本実施形態では、業種コード、関連法人数、信頼度を含む例を示したが、必ずしも設ける必要はない。
また、本実施形態では、グループパラメータとして、業種コードを用いた例を示したが、ユーザを分類できるものであれば、特に限定されない。
また、本実施形態において、照合に用いられた各データから算出された一致率をもとに、判定結果を決定してもよい。例えば、口座照会要求情報に誤りが含まれている場合には、一致率から判定することができる。
また、本実施形態では、口座照会要求情報のうちの少なくとも一部と口座照会情報DB12Aaに格納された情報のうちの少なくとも一部とが一致する場合に口座照会情報が所定の照会可能条件を満たす場合に、口座照会指示情報を生成する例を示したが、これに限定されない。例えば、口座照会要求情報600に含まれる目的コード602bと、業種コード601cとの組み合わせが所定の条件を満たすときに、優先照会用のフラグデータを生成してもよい。具体的には、業種コード601cが「(03)地方公共団体」」または「(06)官公庁」であり、目的コードが「1.公的用」である場合には、図27に示すように、優先照会用のフラグデータ602kが生成されてもよい。口座照会情報DB12Aaには、優先照会用のフラグデータが生成された口座照会要求情報に対しては、口座照会を可能とする指示情報を格納してもよい。口座照会判定部1030は、優先照会用のフラグデータを含む口座照会要求情報について、口座照会情報DB12Aaに格納された指示情報をもとに、口座照会指示情報を生成することができる。したがって、口座照会可能な金融機関コード、または口座照会を承諾されたユーザコード等を取得していない場合においても、業種コード・目的コードを用いることで口座照会を迅速に処理することができる。
また、本実施形態では、業種コードに対する口座照会可能率が設定値に基づいて口座照会を停止する例を示したが、これに限定されない。例えば、関連法人数に対する口座照会可能率を設定してもよい。
(変形例)
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、処理の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
本発明の第1実施形態では、口座照会が他行サーバで行われる例を示したが、これに限定されない。例えば、口座照会は、統合ATMサーバ20内で行われてもよい。また、不正口座判定は、自行サーバ10に限定されず、統合ATMサーバで行われてもよいし、その他のサーバで行われてもよい。
本発明の第1実施形態では、口座情報に基づいて口座照会がなされ、不正口座照会であるかを判定する例を示したが、これに限定されない。例えば、口座情報を自行サーバ10が取得した時点で、不正口座照会であるかを判定してもよい。
本発明の第1実施形態では、不正口座照会監視制御部100が、通知部130を有する例を示したが、必ずしも設けなくてもよい。この場合、口座情報の入力がロックされてもよい。
本発明の第1実施形態では、不正口座照会監視制御部100が、自行サーバ10内に設けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、不正口座照会監視制御部100が、統合ATMサーバ20内に設けられてもよい。
本発明の第1実施形態では、自行サーバ10が口座情報を先に取得して、その後に照会結果を受信する例を示したが、これに限定されない。例えば、口座情報および当該口座情報を同時に口座照会履歴情報として取得してもよい。
本発明の第1実施形態では、通知部130は、ユーザ端末40に口座照会停止通知を行う際に、電文として文字情報(例えばプッシュ通知)として送信することができる。なお、口座照会停止通知は、画像情報でもよいし、音声情報でもよい。
本発明の第1実施形態では、同一の依頼者から追加の口座照会要求がある場合について示したが、これに限定されない。例えば、同一の依頼者ではなくても複数の口座情報において関連あると判定された場合には、合わせて口座照会判定を行ってもよい。
本発明の第1実施形態では口座照会判定の直前に同一ユーザが所定の数(具体的には3個)の依頼ファイルを用いて口座照会をした場合に、過去の口座照会履歴情報を組み合わせて判定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、同一ユーザが所定の期間内(具体的には1か月以内)に複数の依頼ファイルを用いて口座照会をしていた場合、所定期間内の同一ユーザによる口座照会履歴情報を組み合わせて判定してもよい。また、この場合、所定の期間が経過後、過去の口座照会履歴を削除してもよい。
また、不正の口座照会であるかを判定する際に、依頼者の信用度または振り込み実績に基づいて判定条件を変更してもよい。判定条件を変更する場合、ユーザ端末40に問い合わせ情報(ヒアリング情報)を送信してもよい。
また、本発明の第3実施形態では、承諾ユーザ情報の業種コードと、口座照会要求情報の目的コードとの関係に基づいて、口座照会要求を指示する例を示したが、これに限定されない。口座照会判定部1030は、承諾ユーザ情報の関連法人数と、口座照会要求情報の口座照会可能率との関係に基づいて、口座照会要求を指示してもよい。例えば、関連法人数が低く(例えば「1」)、口座照会可能率が高い(例えば80%)場合には、口座照会を指示してもよい。
また、本発明の第3実施形態では、自行サーバ10Aが各種処理を行う例を示したが、これに限定されない。他のサーバ、コンピュータ、または情報処理装置が各種処理を行ってもよい。