JP6893223B2 - 医薬品組成物およびキット - Google Patents

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本発明は、概して、バイオテクノロジィおよび医療の分野に関する。本発明は、自己免疫水疱性疾患(AMDB)の治療用の薬剤、医薬品組成物およびキットを提供する。特に、本発明は、AMDBを治療するための可溶性Fcガンマレセプタの使用、ならびに、該レセプタを含む医薬品組成物およびキットに関する。本発明は、さらに、AMDBの治療の方法を包含する。
皮膚は、しばしば人体の最大の器官と呼ばれ、両極端な温度、有害な日光、有害化学物質および病原体に対して身体を保護する防水性で隔離性のシールドとして作用する。皮膚は、身体の温度および蒸散を調整することを補助し、外部刺激を知覚し伝達するための神経が集約された巨大なセンサとして作用する。皮膚は、2つの基本的な層で構成される。最外層は、表皮であり、主として高度に組織化されたケラチノサイト(表皮細胞)で構成される。複雑な細胞性結合部位(デスモソーム)は、皮膚に機械的強度をもたらす細胞外マトリックスを形成するケラチンタンパク質や脂質を分泌するケラチノサイトを互いに結合している。表皮は、真皮として以下に知られるさらに深い皮膚層に結合しており、その真皮は、結合組織で構成されており、プロテオグリカンに埋め込まれたコラーゲンフィブリル、ミクロフィブリルおよび弾性繊維で構成された細胞外マトリックスを通じて皮膚に抗張力および弾性をもたらす。表皮および真皮は、基底膜と称される薄層により離隔されている。真皮−表皮結合部位(DEJ)は、皮膚の表皮層および真皮層を結合する組織の領域である。
自己免疫水疱性疾患(AMDB)は、主として皮膚および粘膜に影響を及ぼす一群の皮膚障害である。AMDBでは、ホストの免疫系が皮膚の基底膜および粘膜表面の細胞間接着分子や成分を攪乱しており、決まって水疱形成をもたらす。完全な皮膚が脱水や感染に対して身体を保護するために必要不可欠なため、AMDBは、高度に病的な状態に関係しており、生命を脅かすことがある。
AMDBは、4つの主要グループに細分され得る。表皮内水疱形成疾患(「天疱瘡グループ(pemphigus group)」)は、デスモソーム等の細胞間接着の損失、ケラチノサイトの細胞間結合部位での免疫反応物の沈着および細胞−細胞間接着阻害に起因する表皮内の水疱形成により特徴づけられる。代表的な表皮内の自己免疫水疱形成疾患は、尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris、PV)および落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus、PF)を含有する。残りの疾患は、細胞−マトリックス間の接着阻害に起因する表皮下の水疱形成および真皮−表皮結合部位(DEJ)での自己抗体の沈着により特徴づけられる。「類天疱瘡グループ(pemphigoid group)」は、水疱性類天疱瘡(bullous pemphigoid、BP)、粘膜類天疱瘡(mucous membrane pemphigoid、MMP)、妊娠性疱疹(pemphigoid gestationis)、粘膜類天疱瘡および線状IgA疾患(linear IgA disease)を含有する。扁平苔癬類天疱瘡(lichen planus pemphigoides)は、時々、BPの稀な変異型と考えられる。他の2つのグループは、後天性表皮水疱症(epidermolysis bullosa acquisita、EBA)および疱疹状皮膚炎(dermatitis herpetiformis)(ミハイおよびシタル(Mihai and Sitaru)、2007)を含有する。水疱性全身エリテマトーデス(bullous systemic lupus erythematosus、BSLE)は、全身性エリテマトーデスの患者に生じる全身性の表皮下の水疱形成疾患である。
AMDBで典型的な水疱形成をもたらす皮膚における構造的要素の攪乱は、主として、自己反応性抗体に起因している。そのうえ、補体系および自己反応性T細胞は、AMDBの病因に包含されると考えられる(リュウおよびルビンスタイン(Liu and Rubinstein)(2008))。たいていのAMDBは、IgGクラスの組織結合型自己反応性抗体および循環型自己反応性抗体に関係しており、その抗体は、そのFc部を介して、補体系や炎症性細胞のような生来の免疫系の因子と典型的に相互作用し、最終的に組織破壊となる下流へのシグナルカスケードを誘発する(シタルら(Sitaru et al.)、2007)。Fcガンマレセプタ(FcγRs)は、AMDBにおける自己反応性IgG抗体のエフェクタ機能を媒介するキーとなる役割を果たす。
FcγRsは、感染に対して人体を保護するために極めて重要なFcレセプタ(FcRs)のファミリィに属する。一般に、活性型FcγRsと抑制型FcγRsとが区別される。ヒトにおける3つの主要なFcγRsでは、FcγRIが単量体IgGを結合するのに対し、FcγRIIおよびFcγRIIIが抗原および抗体で構成される多価免疫複合体(ICs)と結合する(タカイ(Takai)(2002))。FcγRsにより誘発されるエフェクタ機能は、発現したFcRタイプおよび関連タンパク質に依存して、後続する病原体の中和および抗原提示を伴うエンドサイトシス、抗体依存性細胞障害(ADCC)、メディエータの分泌や抗体産生の調整を含有する(フリードマンら(Fridman et al.)(1992)、ファン デ ウィンケルおよびカペル(van de Winkel and Capel)(1993))。
治療成果の予測不可能性についての一例は、リツキシマブ(Rituximab)である。抗体は、B細胞上で排他的に発現されたCD20−抗原を認識する。ターゲットに結合した後、リツキシマブは、免疫系の援助でB細胞の致死を媒介する。リツキシマブは、B細胞リンパ腫の治療用に開発されたが、それ以来、病原性自己抗体を産生することが知られているB細胞関与の自己免疫疾患の治療用にも使用されている。自己免疫疾患の治療を熟知した医師は、ITP、SLEやANCA関連の血管炎を、その相当なレベルの自己抗体のために、リツキシマブで治療可能と確かに考えるであろう。しかしながら、高レベルの自己抗体により特徴づけられるSLEの治療成果は、2つの臨床調査で証明されていない(コカおよびサンズ(Coca and Sanz)(2009))。同様に、ANCA関連の血管炎においては2/3の患者だけがリツキシマブ治療に対してまずまずの好反応を示すものの(ストーン(Stone)(2010))、ITPでは60%が好反応を示していない(パテル(Patel)(2010))。他方で、リツキシマブは、多発性硬化症(ハウザー(Hauser)(2008))およびI型糖尿病(ペスコヴィッツ(Pescowitz)(2009))における効能を証明することができ、いずれの疾患も相当なレベルの自己抗体により支配されない。
今日まで、従来のAMDB治療は、通常、しばしば高用量での免疫抑制性および抗炎症性の薬剤と、皮膚障害の治療とで構成されている。残念ながら、この疾患を治療するために使用される多くの医薬品は重篤な副作用を有しており、感染、腎機能や肝機能の異常、電解質障害、高血圧、糖尿病、貧血および消化管出血について、患者を厳密に監視しなければならない(ムタシム(Mutasim)(2007))。
従って、本発明の根底にある技術的課題は、AMDBを治療するための代替の手段および方法の提供に見出され得る。
本発明者らは、大変驚くべきことに、可溶性Fcガンマレセプタ(sFcγR)がAMDBマウスモデルにおける疾患重症度および循環型自己反応性抗体をインビボ(in vivo)で減少させることを見出した。さらに、sFcγRは、好中球からのIgG誘導ROS放出を顕著に減少させ、自己抗体治療した皮膚移植において−典型的な水疱形成を引き起こすような重要な役割を果たすと考えられる−真皮表皮分離を減少させた。従って、添付した実施例に示され、図面に例証されるように、本発明者らにより提供された結果に基づけば、sFcγRsは、多発性の自己免疫水疱性疾患の治療用の薬剤として相当な可能性を保持している。
AMDBの発症および進展に包含される全く複雑で明確な事象、および、自己免疫疾患のsFcγRs治療を適用した別の調査に報告されているような惹起された効果であって部分的に矛盾する効果の観点からすれば、AMDBの治療用のsFcγRの治療上の可能性は、予見することができず、明確に予見されるものではない。事実上、sFcγRs治療はITP、SLE、MSの治療に有益であることが前臨床および臨床試験で示されているものの、他の自己免疫疾患の治療にも有益であると結論付けることはできない。むしろ、全ての自己免疫疾患はそれ自体の特異性を有し、それぞれが異なるものであり、このため、それらを比較できるものではなく、組織沈着した免疫複合体(IC)を包含する一の自己免疫疾患での好結果の治療がICを包含する他の自己免疫疾患にも有益であるかもしれないと結論付けることはできない。実際に、包含することはICsが自己免疫疾患の唯一原因となる作用物質であることを意味するものではなく、多くの他の因子があり、このため、ICsを包含する自己免疫疾患の共通の原因となる作用物質のないことがこれまで理解されていることである。事実上、ICsを包含する疾患のような自己免疫疾患の唯一の共通点は、免疫系が身体自体の構造に対して反応することである。全身的な治療は、ICsの活性化を抑制するためと考えることができるが、欧州特許EP1870422で示唆されたように、抗体を経由して免疫細胞のFcレセプタをブロックすることである。しかしながら、ICsに包含される自己抗体のFc部に対するsFcγRsの結合がAMDBの治療に有益な効果をもたらすことは、期待しなかったであろうし、期待し得なかった。理論に結びつけられていないが、sFcγRsは、ICsに対して膜性FcγRsと競合することが考えられる。その競合の結果として、膜性FcγRシステムを介した免疫応答の活性化が下流へ調整される。この想定上の作用モードは、インビトロ(in vitro)およびマウスモデルの両者において見られるように、それほど効果的であると考えられていなかった。このため、sFcγRsがAMDBの治療に効き目のあることは驚くべきことである。
従って、第1の態様において、本発明は、対象での自己免疫水疱性疾患の治療で使用される可溶性Fcガンマレセプタに関する。その対象は、好適には、ヒト(human)、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、ウシ(cattle)、乳牛(cow)、ウサギ、ラットやマウス等の哺乳動物であり、ヒト(human being)が好適である。可溶性Fcガンマレセプタは多様な水疱形成疾患の治療のために使用され得ることが予想され、特に、可溶性Fcガンマレセプタは、例えば、尋常性天疱瘡(PV)、落葉状天疱瘡(PF)、水疱性類天疱瘡(BP)、粘膜類天疱瘡(MMP)、妊娠性疱疹、粘膜類天疱瘡、線状IgA疾患(線状IgA水疱性皮膚症(linear IgA bullous dermatosis))、扁平苔癬類天疱瘡、後天性表皮水疱症(EBA)、疱疹状皮膚炎および水疱性全身エリテマトーデス(BSLE)のグループから選択されるいずれかの疾患の治療のために使用され得る。本発明者らは、類天疱瘡疾患の治療における可溶性ヒトFcγRIIBの使用を考えているが(後天性表皮水疱症の臨床症状、病原、診断および治療(Clinical Presentation, Pathogenesis, Diagnosis, and Treatment of Epidermolysis Bullosa Acquisita)、ラルフ ルートヴィク(Ralf J. Ludwig)、ISRNダーマトロジィ、第2013巻(ISRN Dermatology Volume 2013))、低濃度の可溶性ヒトFcγRIIBがインビボで疾患を改善し得ることを見出したことは驚きであった。類天疱瘡疾患における水疱形成に至らせる自己抗体を阻止するために必要となるICsのIgGのFc部を介した病原性免疫複合体の結合をブロックすることを可能とするために、少なくとも等モル量の可溶性ヒトFcγRIIBが使用されなければならない、と当業者が考えているため、低濃度の可溶性ヒトFcγRIIBの効果は、驚きである。類天疱瘡疾患と、可溶性FcγRが使用される疾患とを区別する第2の態様は、皮膚組織に厳密に局在される病原性反応の区画化である。可溶性FcγRが皮膚の特定された区画でいずれかの効果を惹起することが可能であることは、本発明より以前に予見されておらず、知られてもいなかった。このため、当業者は自己免疫類天疱瘡疾患の治療における可溶性FcγRの使用を考えがちであるものの、その疾患での低濃度の可溶性FcgRの有益な効果は驚きである。今までのところ、可溶性ヒトFcγRIIBは、免疫複合体が血液中に存在し生じるものの皮膚等の区画に存在しない自己免疫疾患を治療するために首尾よく使用されている。このため、当業者は、本発明者らにより見出された驚きの結果および成功を予期し得なかった。本発明と、ISRNダーマトロジィ第2013巻におけるルートヴィクの概説論文とを区別する第3の態様は、その概説では類天疱瘡疾患の病原論におけるFcγRIIBの役割が少しも明らかではないという事実である。特に、その概説は、FcγRIIAおよびFcγRIIIBがヒトでの類天疱瘡疾患における組織破壊で顕著な卓越した役割を果たすことを報告したユゥら(Yu et al.)の論文(ジャーナル オブ インベスティゲーティブ ダーマトロジィ(J. Inv. Dermatol.)2010、第130巻、第12号(Vol.130, No.12)、2841−2844)に言及する。また、その概説は、ヒトの類天疱瘡疾患における組織破壊でのFcγRIVの顕著な役割を示したカスペルキーヴィッツら(Kasperkiewicz et al.)の論文(ジャーナル オブ パソロジイ(J. Pathol.)2012、第228巻、第1、8−19号(Vol.228, No.1, 8-19))に言及する。要するに、その概説は、類天疱瘡疾患において役割を果たす少なくとも3つのFcγRsを挙げており、その概説で言及されるようなその3つのFcγRsのいずれかの可溶性バージョンが類天疱瘡疾患を阻止するための有望なツールとなり得るため、可溶性FcγRIIBの使用が類天疱瘡疾患を治療することに有益な役割を有することは期待され得ないし期待されないであろう。
Fcガンマレセプタは、種々のアイソフォームで生じる。本発明によれば、可溶性Fcガンマレセプタは、FcガンマRIIA、FcガンマRIIB、FcガンマRIIIAまたはFcガンマRIIIBとすることができる。しかしながら、好適な一実施形態において、可溶性Fcガンマレセプタは、FcガンマRIIBである。
可溶性Fcガンマレセプタは、ヒト由来のものであることが好適である。例えば、そのレセプタは、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11のグループから選択されるアミノ酸配列を含む。上述したアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:2、4、6、8、10および12に示されるヌクレオチド配列によりエンコードされる。これらのヌクレオチド配列は、合成的に、または、ここに記載されるようなベクタおよびホスト細胞システムを経由したいずれでも、ここに開示されたsFcγRs、特に配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9または配列番号:11に示されるアミノ酸配列をそれぞれ有するもののいずれか一つの製造用に好適に使用され得る。
本願が言及する配列は、以下に示すとおりである。
配列番号1(SM101)
MAPPKAVLKL EPQWINVLQE DSVTLTCRGT HSPESDSIQW FHNGNLIPTH
TQPSYRFKAN NNDSGEYTCQ TGQTSLSDPV HLTVLSEWLV LQTPHLEFQE
GETIVLRCHS WKDKPLVKVT FFQNGKSKKF SRSDPNFSIP QANHSHSGDY
HCTGNIGYTL YSSKPVTITV QAPSSSP

配列番号1に示されるアミノ酸配列において、位置1(すなわち、アミノ酸配列の始点)でのM(メチオニン)残基は欠落してもよい。この変異体のアミノ酸配列は、配列番号11としてここに開示される。

配列番号2(SM101、cDNA)
1 ATGGCACCGC CGAAAGCAGT TCTGAAACTG GAACCGCAGT GGATTAACGT TCTGCAGGAA
61 GATAGCGTTA CCCTGACCTG TCGTGGCACC CATAGCCCGG AAAGCGATAG CATTCAGTGG
121 TTTCACAACG GCAATCTGAT TCCGACCCAT ACCCAGCCGA GCTATCGTTT TAAAGCGAAC
181 AACAACGATA GCGGCGAATA TACCTGTCAG ACCGGTCAGA CCAGCCTGAG CGATCCGGTT
241 CATCTGACCG TTCTGAGCGA ATGGCTGGTT CTGCAGACCC CGCATCTGGA ATTTCAGGAA
301 GGCGAAACCA TTGTTCTGCG TTGCCACAGC TGGAAAGATA AACCGCTGGT TAAAGTTACC
361 TTCTTCCAGA ACGGCAAAAG CAAAAAATTC AGCCGTAGCG ATCCGAATTT TAGCATTCCG
421 CAGGCGAATC ATAGCCATAG CGGCGATTAT CATTGTACCG GCAACATTGG CTATACCCTG
481 TATAGCAGCA AACCGGTGAC CATTACCGTT CAGGCGCCGA GCAGCAGCCC GTAA
配列番号3(ヒトFcγRIIB)
MGTPAAPPKA VLKLEPQWIN VLQEDSVTLT CRGTHSPESD SIQWFHNGNL IPTHTQPSYR FKANNNDSGE YTCQTGQTSL SDPVHLTVLS EWLVLQTPHL EFQEGETIVL RCHSWKDKPL VKVTFFQNGK SKKFSRSDPN FSIPQANHSH SGDYHCTGNI GYTLYSSKPV TITVQAPSSS P

配列番号4(ヒトFcγRIIB、cDNA)
1 atggggacac ctgcagctcc cccaaaggct gtgctgaaac tcgagcccca gtggatcaac 61 gtgctccagg aggactctgt gactctgaca tgccggggga ctcacagccc tgagagcgac121 tccattcagt ggttccacaa tgggaatctc attcccaccc acacgcagcc cagctacagg181 ttcaaggcca acaacaatga cagcggggag tacacgtgcc agactggcca gaccagcctc241 agcgaccctg tgcatctgac tgtgctttct gagtggctgg tgctccagac ccctcacctg301 gagttccagg agggagaaac catcgtgctg aggtgccaca gctggaagga caagcctctg361 gtcaaggtca cattcttcca gaatggaaaa tccaagaaat tttcccgttc ggatcccaac421 ttctccatcc cacaagcaaa ccacagtcac agtggtgatt accactgcac aggaaacata481 ggctacacgc tgtactcatc caagcctgtg accatcactg tccaagctcc cagctcttca
541 ccg

配列番号5(ヒトFcγRIIA)
MGTPAAPPKA VLKLEPPWIN VLQEDSVTLT CQGARSPESD SIQWFHNGNL IPTHTQPSYR
FKANNNDSGE YTCQTGQTSL SDPVHLTVLS EWLVLQTPHL EFQEGETIML RCHSWKDKPL
VKVTFFQNGK SQKFSHLDPT FSIPQANHSH SGDYHCTGNI GYTLFSSKPV TITVQVPSMG
SSSP

配列番号6(ヒトFcγRIIA、cDNA)
1 atggggacac ctgcagctcc cccaaaggct gtgctgaaac ttgagccccc gtggatcaac 61 gtgctccagg aggactctgt gactctgaca tgccaggggg ctcgcagccc tgagagcgac121 tccattcagt ggttccacaa tgggaatctc attcccaccc acacgcagcc cagctacagg181 ttcaaggcca acaacaatga cagcggggag tacacgtgcc agactggcca gaccagcctc241 agcgaccctg tgcatctgac tgtgctttcc gaatggctgg tgctccagac ccctcacctg301 gagttccagg agggagaaac catcatgctg aggtgccaca gctggaagga caagcctctg361 gtcaaggtca cattcttcca gaatggaaaa tcccagaaat tctcccattt ggatcccacc421 ttctccatcc cacaagcaaa ccacagtcac agtggtgatt accactgcac aggaaacata481 ggctacacgc tgttctcatc caagcctgtg accatcactg tccaagtgcc cagcatgggc541 agctcttcac caat

配列番号7(ヒトFcγRIIIA)
MDLPKAVVFL EPQWYRVLEK DSVTLKCQGA YSPEDNSTQWF HNESLISSQA SSYFIDAATV DDSGEYRCQ TNLSTLSDPV QLEVHIGWLL LQAPRWVFKEE DPIHLRCHSW KNTALHKVTY LQNGKGRKY FHHNSDFYIP KATLKDSGSY FCRGLVGSKNV SSETVNITIT QGLSVSTISS F

配列番号8(ヒトFcγRIIIA、cDNA)
1 atggatctcccaa aggctgtggt gttcctggag cctcaatggt acagggtgct cgagaaggac 61 agtgtgactc tgaagtgcca gggagcctac tcccctgagg acaattccac acagtggttt121 cacaatgaga gcctcatctc aagccaggcc tcgagctact tcattgacgc tgccacagtt181 gacgacagtg gagagtacag gtgccagaca aacctctcca ccctcagtga cccggtgcag241 ctagaagtcc atatcggctg gctgttgctc caggcccctc ggtgggtgtt caaggaggaa301 gaccctattc acctgaggtg tcacagctgg aagaacactg ctctgcataa ggtcacatat361 ttacagaatg gcaaaggcag gaagtatttt catcataatt ctgacttcta cattccaaaa421 gccacactca aagacagcgg ctcctacttc tgcagggggc ttgttgggag taaaaatgtg481 tcttcagaga ctgtgaacat caccatcact caaggtttgt cagtgtcaac catctcatca541 ttc

配列番号9(ヒトFcγRIIIB)
MDLPKAVVFLE PQWYSVLEKD SVTLKCQGAY SPEDNSTQWF HNENLISSQA SSYFIDAATVNDSGEYRCQT NLSTLSDPVQ LEVHIGWLLL QAPRWVFKEE DPIHLRCHSW KNTALHKVTYLQNGKDRKYF HHNSDFHIPK ATLKDSGSYF CRGLVGSKNV SSETVNITIT QGLAVSTISSF

配列番号10(ヒトFcγRIIIB、cDNA)
1 atggatctcc caaaggctgt ggtgttcctg gagcctcaat ggtacagcgt gcttgagaag 61 gacagtgtga ctctgaagtg ccagggagcc tactcccctg aggacaattc cacacagtgg 121 tttcacaatg agaacctcat ctcaagccag gcctcgagct acttcattga cgctgccaca 181 gtcaacgaca gtggagagta caggtgccag acaaacctct ccaccctcag tgacccggtg 241 cagctagaag tccatatcgg ctggctgttg ctccaggccc ctcggtgggt gttcaaggag 301 gaagacccta ttcacctgag gtgtcacagc tggaagaaca ctgctctgca taaggtcaca 361 tatttacaga atggcaaaga caggaagtat tttcatcata attctgactt ccacattcca 421 aaagccacac tcaaagatag cggctcctac ttctgcaggg ggcttgttgg gagtaaaaat 481 gtgtcttcag agactgtgaa catcaccatc actcaaggtt tggcagtgtc aaccatctca 541 tcattc
配列番号11(SM101変異体)
APPKAVLKL EPQWINVLQE DSVTLTCRGT HSPESDSIQW FHNGNLIPTH
TQPSYRFKAN NNDSGEYTCQ TGQTSLSDPV HLTVLSEWLV LQTPHLEFQE
GETIVLRCHS WKDKPLVKVT FFQNGKSKKF SRSDPNFSIP QANHSHSGDY
HCTGNIGYTL YSSKPVTITV QAPSSSP

配列番号1に示されるアミノ酸配列において、位置1(すなわち、アミノ酸配列の始点)でのM(メチオニン)残基は欠落してもよい。この変異体のアミノ酸配列は、配列番号11としてここに開示されており、本発明の好適なアミノ酸配列である。

配列番号12(SM101変異体、cDNA)

1 GCACCGC CGAAAGCAGT TCTGAAACTG GAACCGCAGT GGATTAACGT TCTGCAGGAAGAT
61 AGCGTTA CCCTGACCTG TCGTGGCACC CATAGCCCGG AAAGCGATAG CATTCAGTGGTTT
121 CACAACG GCAATCTGAT TCCGACCCAT ACCCAGCCGA GCTATCGTTT TAAAGCGAACAAC
181 AACGATA GCGGCGAATA TACCTGTCAG ACCGGTCAGA CCAGCCTGAG CGATCCGGTTCAT
241 CTGACCG TTCTGAGCGA ATGGCTGGTT CTGCAGACCC CGCATCTGGA ATTTCAGGAAGGC
301 GAAACCA TTGTTCTGCG TTGCCACAGC TGGAAAGATA AACCGCTGGT TAAAGTTACCTTC
361 TTCCAGA ACGGCAAAAG CAAAAAATTC AGCCGTAGCG ATCCGAATTT TAGCATTCCGCAG
421 GCGAATC ATAGCCATAG CGGCGATTAT CATTGTACCG GCAACATTGG CTATACCCTGTAT
481 AGCAGCA AACCGGTGAC CATTACCGTT CAGGCGCCGA GCAGCAGCCC GTAA
可溶性Fcガンマレセプタは、いずれかの適切な形態で投与され得る。しかしながら、好適な一実施形態において、レセプタは、静脈内に投与される。
可溶性Fcガンマレセプタは、1回投与されてもよく、繰り返し投与されてもよいことがさらに考えられる。
本発明は、さらに、自己免疫水疱性疾患の治療用の可溶性Fcガンマレセプタを含む医薬品組成物に関する。その医薬品組成物は、選択的に、抗炎症剤、免疫抑制剤および/または抗−CD20抗体を、薬学的に容認できるキャリアまたは希釈剤とともに、さらに含んでもよい。
さらなる態様において、本発明は、自己免疫水疱性疾患の治療の可溶性Fcガンマレセプタを含むキットを包含する。そのキットは、選択的に、抗炎症剤、免疫抑制剤および/または抗−CD20抗体の1またはそれ以上を、薬学的に容認できるキャリアまたは希釈剤とともに、さらに含んでもよい。
またさらなる態様において、本発明は、治療を必要とする対象での自己免疫水疱性疾患の治療の方法にも関し、その対象に治療上効果的な量の可溶性Fcガンマレセプタを投与するステップを含む。
別の態様において、本発明は、対象での自己免疫水疱性疾患の治療用の医薬品組成物の調製のための可溶性Fcガンマレセプタの使用にも関する。
また別の態様において、本発明は、対象での自己免疫水疱性疾患の治療用の可溶性Fcガンマレセプタの使用に関する。
また、本発明は、対象での自己免疫水疱性疾患の治療用の医薬品組成物の製造のための方法に関し、可溶性Fcガンマレセプタを薬学的に容認できるキャリア、希釈剤または賦形剤と混合することを含む。
96ウェルプレートでのヒトIgGのインキュベーションによりICを生成させた。洗浄後、sCD32の存在下または不在下でヒト好中球を添加した。ROS産生を計測することにより好中球活性化を評価した。sCD32は、用量依存の様式で、IC−活性化好中球からのROS産生を抑制した。データは、1グループあたり5回の実験に基づいており、平均±SEMで示した(p<0.05、分散分析)。 正常ヒト皮膚からの低温切片を水疱性類天疱瘡の患者からの血清とともにインキュベートした。続いて、健全な血液ドナーからの白血球を添加した。これは、sCD32(SM101)の不在下で真皮−表皮分離を誘発した。sCD32(SM101)の存在下では、自己抗体誘発の白血球依存の真皮−表皮分離が顕著に減少した。データは、1グループあたり21回の実験に基づいており、平均±SEMで示した(p<0.05、分散分析)。 vWFA2での免疫化によりSJL/Jマウスに実験用EBAを誘発させた。個々のマウスを体表面積の2%またはそれ以上で皮膚障害による影響を受けさせた後、sCD32(SM101)またはPBSの治療にマウスを割り当てた。左パネルでは、第0週が治療の開始時点を示しており、(第0週)包括(inclusion)の時間に関して臨床疾患重症度の進展を示す。PBS注入マウスと比較して、sCD32(SM101)治療では、臨床疾患重症度を顕著に低下させた。データは、1グループあたり全13匹のマウスに基づいており、平均±SEMで示した(p<0.05、t−検定)。治療への割り当て(第0週)では、平均疾患スコアに差異がなかった(PBSおよびsCD32(SM101)の治療において、それぞれ、3.4±0.21%および3.4±0.20%)。 総合疾患重症度(AUC)を示しており、sCD32(SM101)で治療したマウスにおいて総合疾患重症度が低下した(p=0.031、t−検定)。 PBS(左上パネル)およびsCD32(SM101)(右上パネル)で治療したマウスにおける治療への割り当て4週後の代表的な臨床写真である。 真皮浸潤のスコアは、sCD32(SM101)で治療したマウスにおいて顕著に低下する(p<0.05、t−検定)。 代表的な組織学的写真であり、PBS(左側)と比較してsCD32(SM101)(右側)で治療したマウスでは真皮の減少した炎症性浸潤を示す。 vWFA2に対する血清自己抗体を治療期間の終了時点でELISAにより計測した。sCD32(SM101)で治療したマウスでは、コントロールのマウスと比較して、およそ20%低い抗原特異的自己抗体を有していた(p=0.048;t−検定)。 組織沈着IgGの相対蛍光強度レベルを治療期間の終了時点でイメージJ(Image J)により計測した。直接免疫蛍光法(DIF)により、全てのマウスがDEJでのIgG沈着を示す。蛍光強度は治療の間で差異がなかった。 治療期間の終了時点でのIgG沈着のDIFの代表的写真である。
<詳細な説明>
本発明者らは、驚くべきことに、FcガンマRIIレセプタ(sCD32=SM101)、特に好適には、ここに記載されたようにSM101であるsCD32がインビトロでIgG免疫複合体(IC)により活性化された好中球からの反応性酸素種(ROS)の放出を抑制することが可能であることを見出した。また、sCD32は、末梢血単核細胞(PBMCs)の存在下で水疱性類天疱瘡患者の血清とともにインキュベートしたヒト皮膚における低温切片上での真皮−表皮分離を減少させることができる。目立つこととして、sCD32の有望な治療上の可能性は、後天性表皮水疱症(EBA)のマウスモデルにおいて確認され得るものであり:コントロールと比較して、sCD32が臨床疾患重症度を顕著に減少させ、組織学的には、真皮白血球浸潤での顕著な減少および循環型の抗原特異的自己抗体でのおよそ20%の減少である。これらの有望な結果は、可溶性Fcガンマレセプタが自己免疫水疱性疾患の治療のための重要な可能性を有することを示唆している。
従って、第1の態様において、本発明は、自己免疫水疱性疾患の治療の方法で使用される可溶性Fcガンマレセプタの使用に関する。
用語「Fcガンマレセプタ」は、ここでは「FcgR」、「Fcγレセプタ」や「FcγR」と交換可能に用いられ、膜性FcgRsおよび可溶性FcgRsの両者を含む。Fcガンマレセプタは、タンパク質の免疫グロブリンスーパーファミリィに属しており、多くの造血系統に見出される。その名称が示すように、Fcレセプタは、抗体のFc部(フラグメント、結晶化可能)、すなわち、抗体の両重鎖の2つのC末端ドメインに相当し、典型的にはエフェクタ分子や細胞と相互作用するフラグメントを認識しそれに結合する。
FcγRsはIgG抗体を認識する。ヒトでは4つのIgGサブクラスがあり、血清中の存在量の多さの順で呼称される(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4であり、IgG1が最も豊富なIgGタイプである)。ヒトでは、FcγRsの3つのクラスが存在しており:FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIIIA(CD16)である。また、FcγRsは、種々のアイソフォームで生じており、そのアイソフォームが、機能的に類似のFcガンマレセプタであり、類似するものの同一ではないアミノ酸配列を有する。そのアイソフォームは、FcγRIA、B1、B2、C;FcγRIIA1−2、B1−3、C、および、さらに、いくつかのアレル(FcγRIIa1−HR、−LR;FcγRIIIb−NA1、NA2)を含む(ファン デ ウィンケルおよびカペル(van de Winkel and Capel)、イムノロジィ トゥデイ(Immunol. Today)1993、14:215−221)。FcγRの異なるクラスおよびアイソフォームは、それらのIgGに対するアフィニティ、特に異なるIgGサブクラスに対するアフィニティに関して異なるかもしれない。典型的には、FcγRは、I型膜貫通タンパク質として、または、可溶性の形態で生じるが、FcγRIIIのグリコシルホスファチジルイノシトールとのアンカー形態(FcγRIIIB)も存在する。
本発明は、可溶性FcγRsを含むキットおよび組成物、ならびに、AMDBの治療のための方法を提供する。「可溶性FcγRs」は、「sFcγRs」とも称される。一般に、いずれかのFcγRのクラス、アイソフォームやアレルの可溶性形態は、先行する「s」により同定され得るものであり、例えば、sCD32やsFcγRIIが可溶性FcガンマRIIレセプタを示す。本発明による方法、キットおよび組成物用の好適な可溶性Fcガンマレセプタは、FcガンマRIIA、FcガンマRIIB、FcガンマRIIIAまたはFcガンマRIIIBである。しかしながら、可溶性FcγRIIBレセプタは、特に好適であり、とりわけここに記載されたようなSM101である。従って、より好適な実施形態において、sCD32またはsFcγRIIがここに参照されるときは、SM101を意味する。
典型的には、膜性(すなわち、膜結合型)FcγRと違って、可溶性FcγRは、膜貫通領域または細胞質内尾部を含んでいない。
好適には、本発明の可溶性sFcγRは、ヒト由来のものである。用語「ヒト由来の」は、最も広い意味で解釈されるべきである。一般に、sFcγR(またはその部位やフラグメント)は、アミノ酸配列および/または構造の点で、ヒトsFcγR(すなわち、ヒトの身体に見られるタンパク質)に似ているかまたは類似している。一般に、可溶性タンパク質およびペプチドは、ヒトの組織や体液から抽出により得られるものであり、例えば、従来技術に報告された方法である血漿分別(blood plasma fractionation)を用いることで血漿から得られる(ブルノーフ(Burnouf)、2007)。
これに代えて、「ヒト由来の」可溶性sFcγRは、例えばゾンダーマンおよびヤコブ(Sondermann and Jacob、1999)により報告されたように、ホスト細胞での組換え型核酸の発現により得られる組換え型sFcγRとすることもできる。簡潔には、生物から得られる対象の遺伝子をベクタ、例えばプラスミドやウィルスに導入し、その遺伝子をホスト細胞に転写するためにそのベクタを用い、そのホスト細胞に組換え型遺伝子を発現させ、組換え型タンパク質産物を産生させる。適切なホスト細胞は、制限されるものではないが、原核細胞(例えば、大腸菌(E. coli)、枯草菌(B. subtilis))、酵母細胞(例えば、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、ピチア属(Pichia))等の真核細胞、昆虫細胞(例えば、Sf9、Hi5細胞)、または、哺乳動物細胞(例えば、COS、CHO、BHK、HEK293、VERO、HeLa、MDCK、Wi38、Swiss3T3、NIH3T3、PER C6、SP2/0)を含む。当業者は、特定のAMDBの治療用に、および/または、医薬品組成物の調製用に適切なsFcγRを得るためにいずれのホスト細胞を選択するかを容易に知るであろう。例えば、いくつかの実施形態において、グリコシル化されていないsFcγRが所望されるかもしれない。そして、当業者は、そのsFcγRの発現のために、タンパク質のグリコシル化に必要な酵素機構の欠損した原核性ホスト細胞を選択してもよい。
その用語は、野生型sFcγRと比較して、アミノ酸配列の点で修飾され、または、変更されており、例えば追加のグリコシル化サイト等を含むsFcγRsをさらに包含する。しかしながら、sFcγRsの非グリコシル化形態も予想されるものであり、sFcγRsの好適な実施形態である。
好適な実施形態において、本発明の可溶性FcγRは、配列番号:1(SM101、組換え型可溶性ヒトFcγRIIB)、配列番号:3(FcγRIIB)、配列番号:5(FcγRIIA)、配列番号:7(FcγRIIIA)、配列番号:9(FcγRIIIB)または配列番号:11(SM101変異体)のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を含むかまたはそのアミノ酸配列からなる。本発明は、また、配列番号:1、3、5、7または9のタンパク質に対し少なくとも90%、好適には95%の同一性を有する可溶性FcγRsの使用を包含する。配列同一性を測定するために、アミノ酸の最大の一致をもたらすように配列を整列させることにより比較がなされる。好適な実施形態において、可溶性ヒトレセプタは、可溶性FcγRIIBレセプタであるSM101(配列番号:1または配列番号:11)である。
本発明によれば、sFcγRは、自己免疫水疱性疾患の治療のために使用される。「自己免疫水疱性疾患」は、AMBDと略記され、ここで用いられるように、しばしば「自己免疫水疱形成性疾患」、「自己免疫水疱性皮膚病」や「自己免疫水疱形成性皮膚病」とも称される後天性の慢性疾患であり、皮膚および/または粘膜の水疱形成により特徴づけられるものであり、典型的には細胞−細胞および/または細胞−マトリックス接着を維持する構造的タンパク質に対する免疫応答に関連する。いくつかの調査が自己免疫疾患におけるFcγRsの重要な役割を示唆している。しかしながら、本発明者らは、AMDBの治療のためのsFcγRの可能性を認識することの最初であり、そのアプローチが水疱性類天疱瘡(BP)患者の血清での間接転写機構、同様に後天性表皮水疱症(EBA)のマウスモデルの両者において予期しない有望な効果の結果となることを示すことができる。自己免疫水疱性疾患は、4つの主要グループに分類することができる:天疱瘡疾患および類天疱瘡疾患、後天性表皮水疱症および疱疹状皮膚炎である。天疱瘡グループは、表皮内水疱形成、ケラチノサイトの細胞−細胞接着の損失およびケラチノサイトの細胞間結合部位における自己抗体の沈着により典型的に特徴づけられる水疱形成性疾患を含む。
他の疾患は、下層の基底膜への基底ケラチノサイトの接着の損失により引き起こされ、真皮−表皮結合部位における免疫反応物の沈着に関連する表皮下での水疱形成により典型的に特徴づけられる。「免疫反応物」は、抗体や補体タンパク質等の免疫反応性を表す物質である。特に、Fcガンマレセプタは、尋常性天疱瘡(PV)、落葉状天疱瘡(PF)、水疱性類天疱瘡(BP)、粘膜類天疱瘡(MMP)、妊娠性疱疹、粘膜類天疱瘡、線状IgA疾患、扁平苔癬類天疱瘡、後天性表皮水疱症(EBA)、疱疹状皮膚炎および水疱性全身エリテマトーデス(BSLE)のグループから選択される疾患の治療用に使用されることが予想される。
特定の理論に結びつけられることを望むものではないが、AMDBは、デスモグレイン、インテグリン、VII型コラーゲンおよびBPタンパク質を含む皮膚の構造的要素であってそれにより免疫複合体(ICs)を形成する構造的要素を認識し、その構造的要素に結合する、主としてIgGタイプの自己反応性抗体により媒介されるものと仮定される。そして、免疫複合体に結合したIgG抗体のFc部は、免疫エフェクタ細胞の表面上で発現される活性型FcγRsにより認識され、酸化的バースト、マクロファージによるサイトカイン放出や食作用、ナチュラルキラー細胞による抗体依存性細胞障害(ADCC)、マスト細胞の脱顆粒および好中球からのROS放出、等の炎症性および破壊的な応答を誘発する。sFcγRは、免疫系のエフェクタ細胞上で発現した膜結合型FcγRのICsに対する結合を妨害することによりその有益な効果をある程度引き起こすことが考えられる。また、C1qの結合および補体系の活性化を妨げるかもしれない。
用語「自己反応性抗体」は、用語「自己抗体」と交換可能にここで用いられ、ホスト自身の1またはそれ以上のタンパク質に対して指向された抗体を表す。
AMDBは、進行中の調査の対象であり、いくつかのAMDB疾患が極めて稀である。従って、さらに別のAMDB疾患や公知のAMDB疾患の変異形が将来的に特定されるかもしれない。そのような疾患や変異形の治療も予想される。
治療されるべき対象は、好適には哺乳動物、より好適にはヒトである。
本発明のsFcγRの投与には、種々の経路が適用可能であり、制限されるものではないが、経口、局所、経皮、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内や眼内を含む。好適な一実施形態において、sFcγRは、静脈内、経皮、皮内または皮下に投与される。しかしながら、所望であれば、他のいずれかの経路が当業者により容易に選択されてもよい。例えば、本発明のsFcγRが皮内に好適に投与されるときは、例えば、水疱、その他の顕微鏡的または肉眼的に明らかな兆候、類天疱瘡疾患の病状に接して、その隣に、または、その近くに、シリンジやペンでの注入により好適に投与される。
経皮送達(transdermal delivery)用のシステムは、薬物リザーバーまたは薬物−ポリママトリックスが2つのポリマ層:バッキング表面を通じた薬物の損失を妨げる外側の不浸透性のバッキング層と、接着材および/または速度調整膜として機能する内側のポリマ層と、の間にサンドイッチされた多層化ポリマ積層体として組み立てられる。経皮薬物送達システム(transdermal drug delivery systems)は、リザーバーシステム、マイクロリザーバーシステム、リザーバーとマトリクス分散システムとの組み合わせ等の種々のシステムを含む。
リザーバーシステムにおいて、薬物リザーバーは、不浸透性バッキング層と速度調整膜との間に埋め込まれる。薬物は、速度調整膜を通じてのみ放出し、その膜を微細多孔性または非多孔性とすることができる。薬物リザーバー区画では、薬物を、溶液、分散液、ゲルの形態または固体ポリママトリックス中に分散された形態とすることができる。ポリマ膜の外側表面では、薬物適合性で低アレルギー性の接着性ポリマの薄層が適用され得る。マトリックスシステムおよび接着材中薬物システム(Drug-in-adhesive system)において、薬物リザーバーは、接着性ポリマ中に薬物を分散させ、そして溶剤をキャストすることまたは不浸透性のバッキング層上で接着材(ホットメルト接着材の場合)を溶融させることで薬物を含むポリマ接着材を拡げることにより形成される。リザーバーのトップでは、薬物を含まない接着性ポリマの層が適用される。マトリックス分散システムにおいて、薬物は、親水性または親油性のポリママトリックス中に均一に分散される。そして、この薬物含有ポリマディスクは、薬物不透過性のバッキング層で組み立てられた区画内で閉塞性基板上に固定される。薬物リザーバーの面上で接着材を適用する代わりに、接着性リムのストリップを形成するために周囲に沿って拡げられる。薬物送達システムは、リザーバーとマトリックス分散システムとの組み合わせである。薬物リザーバーは、最初に水溶性ポリマの水溶液中に薬物を懸濁させ、そして、濾しとることのできない微細な球体の無数の薬物リザーバーを形成するために親油性ポリマ中に溶液を均一に分散させることにより形成される。熱力学的に不安定な分散液は、ポリマをそのままの位置(インサイチュウ、in situ)で直ちに架橋させることにより急速に安定化される。経皮薬物送達の技術は、最も急速に進歩する領域の新規な薬物送達の一つを示す。この成長は、ポリマ科学の分野での進展により促進される。ポリマは、マトリックス形成材、速度調整膜、感圧接着材(PSAs)、バッキング層や剥離ライナとして含む種々の手法で経皮送達システムに用いられる。
経皮送達システムに用いられるポリマは、生体適合性を有するべきであり、薬物、および、浸透促進剤やPSAs等のそのシステムの他の成分との化学的適合性を有するべきである。また、そのポリマは、製造物の意図した貯蔵寿命や送達期間を通じて持続的で効果的な薬物の送達をもたらすべきであり、安全であることが一般認識された状態を有するべきである。
直腸への適用では、多くの形態に調合され得る。直腸の水薬溶液は、浣腸により与えられる。クリーム、ローションおよび軟膏は、外部から適用されるか、または、アプリケータを用いて内部に挿入される。座薬は、直腸への挿入後に溶ける半固体状で弾丸形状の形態を形成するために、薬をワックス様物質と混合することにより調製される。腹腔内注入すなわちIP注入は、腹腔(体腔、body cavity)内への物質の注入である。本発明の組成物のさらなる投与形態は、例えば軟膏やクリームの形態での局所的投与である。そのような軟膏やクリームは、ここに記載されるキャリアや賦形剤のような従来の成分をさらに含んでもよい。また、sFcγRは、例えば吸入剤用にスプレーで用いることも可能である。sFcγRは食品に添加されてもよい。
sFcγRの投与は、1回行われてもよく、例えば12時間毎、24時間毎、36時間毎、48時間毎、60時間毎または72時間毎のインターバルで繰り返し必要とされてもよい。他の実施形態において、sFcγRは、毎週または毎月投与され得る。
本発明により使用される可溶性Fcガンマレセプタは、化学的に修飾されてもよい。一般に、可溶性Fcガンマレセプタのあらゆる修飾は、それらがレセプタの治療効果を損なわない限り、本発明に含まれる。本発明の文脈において、用語「治療効果」は、一般に、治療の所望の効果または有益な効果、例えば疾患の徴候の改善または鎮静をいう。用語の疾患の「徴候」は、知覚できる発現を示すためにここに用いられ、検診中に検出される疾患の兆しおよび/または患者に知覚され得る疾患の兆し(すなわち、病状)として定義される臨床徴候と、細胞レベルおよび分子レベルでの疾患の発現を意味する病理上の徴候との両者を含む。
ここに記載された使用および方法の治療効果は、さらに、AMDB治療における治療効果を示すために確立された全ての方法およびアプローチにより検出可能である。本発明による組成物の治療効果をモニタするための方法は、制限されるものではないが、皮膚障害の存在、数および重症度についての患者の臨床検査、H&E染色による新たな水疱の組織学的検査、直接と間接の免疫蛍光顕微鏡検査、ならびに、免疫蛍光法、免疫ブロッティング法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および免疫沈降法を含む免疫アッセイを用いる自己反応性循環抗体の検出、等のミハイおよびシタル(Mihai and Sitaru、2007)により報告された方法を含む。組織結合型自己反応性抗体の検出には、病変部周辺の皮膚や関係のない皮膚からの生検および例えば蛍光ラベルされた抗−IgG抗体での後続の治療を行うことにより、直接免疫蛍光顕微鏡検査が適用され得る。循環型自己反応性血清抗体は、サルの食道、齧歯動物やサルの膀胱およびヒト皮膚等の正常組織の凍結切片上で行われる間接免疫蛍光顕微鏡検査により検出され得る。その手法は、予め1M塩化ナトリウム中でインキュベートした食塩水剥離皮膚(salt-split skin)で行われ得る。患者の血清が組織に添加され、皮膚の抗原に結合した自己反応性抗体を検出するために二次蛍光ラベルした抗体が添加される。
追加または代替として、治療効果が惹起されたか否かを評価するために熟練医師の援助ともなり得る個々の患者の一般所見(例えば、良好さ、健康状態)を評価することも可能である。当業者は、本発明の組成物の治療効果を観察するために適切な多くの他の手法を承知している。
可能性のあるsFcγRの化学修飾は、アミノ末端のアシル化やアセチル化またはカルボキシ末端のアミド化やエステル化、これに代えて両者の修飾を含む。修飾は、リジンの側鎖のアミノ基またはスレオニンの水酸基にも影響するかもしれない。他の適切な修飾は、例えば、鎖長の異なるポリペプチド鎖でのアミノ基の延長(例えば、XTEN技術、PASylation(登録商標))、N−グリコシル化、O−グリコシル化、および、ヒドロキシエチルデンプン(例えば、HESylation(登録商標))やポリシアル酸(例えば、PolyXen(登録商標)技術)等の炭水化物の化学的接合を含む。アルキル化(例えば、メチル化、プロピル化、ブチル化)、アリール化、エーテル化等の化学修飾は、可能であり、また、予想もされる。
言及した修飾は、ここに記載したようなsFcγRの有利な能力を減少させず、損なわないことが好適であり、すなわち、本発明の化学修飾した組成物は、添付した実施例にて評価された組成物の能力に相当する能力を有するはずである。ここに用いられる相当するは、意味する。
sFcγRは、医薬品組成物の一部としても使用され得る。従って、本発明のさらなる実施形態は、AMDB治療用の医薬品組成物の製造のためのsFcγRの使用である。本発明によるsFcγRの使用の文脈に記載された実施形態は、必要な変更を加えれば、そのsFcγRを含む医薬品組成物の使用に等しく適用可能であることが認識されるべきである。医薬品組成物は、薬学的に容認できるキャリアまたは希釈剤をさらに含んでもよい。薬品を製造するために本来知られたプロセスは、フォルス、ヘンシュラ、ルメル(Forth, Henschler, Rummel)(1996)のアルゲマイネ ウント スペツィエレ ファルマコロジィ ウント トクシコロジィ(Allgemeine und spezielle Pharmakologie und Toxikologie)(一般的および専門的な薬理学および毒素学)、ウルバーン&フィッシャ(Urban & Fischer)に示されている。
本発明の医薬品組成物は、治療上効果的な量のsFcγRを含み、種々の形態、例えば、固体状、液体状、ガス状または凍結乾燥状の形態に剤型され得るものであり、特に、軟膏剤、クリーム剤、貼付剤、ゲル剤、粉剤、タブレット剤、溶液剤、エアゾール剤、顆粒剤、錠剤、懸濁剤、乳濁剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、エリキシル剤、エキス剤、チンキ剤や流エキス剤の形態としてもよく、局所投与または経口投与に特に適切な形態としてもよい。
「治療上効果的な量」は、ここに記載されたような治療効果を惹起するsFcγRの量を意味する。的確な量の用量は、治療の目的に依存しており、公知技術を用いることで当業者により確認され得るであろう。従来知られており、先に記載されたように、年齢、体重、健康状態、性別、治療食、薬物相互作用および状態の重症度についての調整が必要であり、当業者によるルーチン検査で確認され得るであろう。例えば、sFcγR、特にヒトsFcγRIIBは、約0.1から約100mg/kgまでの用量、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100mg/kgの用量で投与されてもよい。他の好適な用量は、約0.1−50mg/kg、1−10mg/kg、1−20mg/kg、1−30mg/kg、1−40mg/kg、1−50mg/kg、1−60mg/kg、1−70mg/kg、1−80mg/kg、1−90mg/kgまたは1−100mg/kgである。さらに好適な用量は、約10−100mg/kg、20−100mg/kg、30−100mg/kg、40−100mg/kg、50−100mg/kgである。
医薬品組成物は、ここに記載されたように、薬学的に容認できるキャリアとともに患者に投与されてもよい。特定の実施形態において、用語「薬学的に容認できる」は、動物、特にヒトにおける使用のために、規制局または他の一般認識された薬局方により承認されたことを意味する。従って、医薬品組成物は、薬学的に容認できるキャリアや賦形剤をさらに含んでもよい。
本発明による組成物を剤型するために適切な薬学的に容認できるキャリアは、その組成物用に以下に記載されたものを含む。代表的なキャリアは、(生分解性の)リポソーム;生分解性ポリマのポリ(D,L−乳酸−グリコール酸)共重合体(PLGA)で形成されたマイクロスフェア、アルブミンマイクロスフェア;合成ポリマ(可溶性);ナノファイバ、タンパク質−DNA複合体;タンパク質結合体;赤血球;またはウィロソームを含む。適用形態に基づく種々のキャリアは、固体脂質ナノ粒子(SLNs)、ポリマのナノ粒子、セラミックのナノ粒子、ハイドロゲルのナノ粒子、共重合ペプチドのナノ粒子、ナノ結晶およびナノ懸濁液、ナノ結晶、ナノチューブおよびナノワイヤ、機能化ナノキャリア、ナノスフェア、ナノカプセル、リポソーム、脂質乳濁液、脂質マイクロチュブール/マイクロシリンダ、脂質マイクロバブル、リポスフェア、リポポリプレックス(lipopdyplexes)、逆脂質ミセル(inverse lipid micelles)、デンドリマ、エソソーム(ethosomes)、多重複合体の極薄カプセル、アクアソーム(aquasomes)、ファーマコソーム(pharmacosomes)、コロイドソーム(colloidosomes)、ニオソーム(niosomes)、ディスカム(discomes)、プロニオソーム(proniosomes)、マイクロスフェア、マイクロエマルションおよびポリマミセルを含む。他の適切な薬学的に容認できるキャリアおよび賦形剤は、特に、レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第15版、マック出版社(Mack Publishing Co.)、ニュージャージィ(New Jersey)(1991)およびバウアら(Bauer et al.)、ファルマツォイティッシェ テクノロジィ(Pharmazeutische Technologie、製薬科学技術)、第5版、ゴビ−フェアラーク フランクフルト(Govi-Verlag Frankfurt)(1997)に記載されている。
本発明の医薬品組成物は、1またはそれ以上の付加的な薬剤をさらに含んでもよい。好適には、その薬剤は、AMDBの治療で治療上効果的であり、より好適には、抗炎症剤、免疫抑制剤および/または抗−CD20抗体のグループから選択される。好適には、当業者は、対象とする特異的AMDBの治療で治療効果がある薬剤を選択するであろう。種々のAMDBの治療での治療上のアプローチは、例えば、ハンら(Han et al.、2009)、ムタシム(Mutasim、2007)、ビックルおよびヨーク(Bickle and York、2002)により報告されている。
「抗炎症剤」は、例えば、抗炎症性メディエータの産生を誘発すること、および/または、催炎性メディエータの産生を抑制することにより、炎症を抑制するかまたは低減するものである。AMDBの治療用の適切な抗炎症剤は、グルココルチコイド、例えばプレドニソンやメチルプレドニソン、および、ダプソンやテトラサイクリン等の抗炎症効果を有する抗生物質、同様にナイアシンアミドを含む。
免疫抑制剤は、例えば、リンパ球の増殖を減少させることにより、免疫系の活性を抑制するかまたは妨げる。AMDBの治療用に適切な代表的な免疫抑制剤は、例えば、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、シクロホスファミド、メソトレキセートおよびシクロスポリンを含む。当業者は、いくつかの免疫抑制剤が抗炎症剤に分類されてもよく、その反対でもよいことを認識しているであろう。
AMDB治療用に適切な代表的な抗−CD20抗体は、リツキシマブである。
sFcγRは、キットの一部として使用され得ることも予想される。従って、さらなる態様において、本発明は、自己免疫水疱性疾患の治療の方法における使用のためのsFcγRを含むキットにも関する。
そのキットは、2またはそれ以上の部分のキットであってもよく、sFcγRおよび選択的に薬学的に認容できるキャリア、希釈剤または賦形剤を含む。キットの構成要素は、コンテナやバイアルに包含されてもよい。sFcγR、そのsFcγRを含む医薬品組成物および治療の方法の文脈に記載された全ての実施形態は、必要な変更を加えれば、本発明のキットにも適用され得ることが留意されるべきである。一般に、全てのキャリアは、適切であり、薬学的に容認でき、所望の作用部位での放出を可能とする。当業者は、選択された投与経路に依存して、いずれのタイプのキャリアが適切であるかを承知している。例えば直腸への適用での文脈におけるキャリアは、例えば、メタクリル酸共重合体を用いるマルチマトリックスシステムである。例えば所望の作用部位が結腸であり、sFcγRが経口で適用されるとすれば、キャリアは、結腸におけるsFcgRの放出を可能とするために、胃酸に対して抵抗性でなければならない。
キットは、抗炎症剤、免疫抑制剤および/または抗−CD20抗体のグループから選択される1またはそれ以上の薬剤を、薬学的に容認できるキャリアまたは希釈剤とともに、さらに含んでもよい。キットでの使用に適切な薬剤は、ここに記載されている。その薬剤は、sFcγR投与に関して、同時に、連続的に、または、別々に適用されてもよいことが予想される。本発明は、さらに、種々の投与経路を介した薬剤の適用を包含する。従って、キットでの使用に適切な薬剤は、例えば、静脈内投与されたsFcγRとの同時の使用、連続的な使用または別々の使用のための局所グルココルチコイド製剤をさらに含む。
本発明の別の態様は、治療を必要とする対象におけるAMDBの治療の方法であり、治療上効果的な量の可溶性Fcガンマレセプタをその対象に投与することを含む。当業者は、本発明のsFcγR、医薬品組成物およびキットの文脈においてここに記載された実施形態が、必要な変更を加えれば、治療の方法に適用可能であることを認識するであろう。sFcγRを投与するステップは、選択的に、IVIg注入、プラズマフェレーシスおよび体外光療法のグループから選択されるAMDB治療の1またはそれ以上のステップとさらに組み合わされてもよい。
別の態様において、本発明は、対象での自己免疫水疱性疾患の治療用の医薬品組成物の調製のための可溶性Fcガンマレセプタの使用にも関する。また別の態様において、本発明は、対象での自己免疫水疱性疾患の治療用の可溶性Fcガンマレセプタの使用に関する。当業者は、本発明のsFcγR、医薬品組成物およびキットの文脈においてここに記載された実施形態が、必要な変更を加えれば、これらの使用に適用可能であることを認識するであろう。
また、本発明は、対象での自己免疫水疱性疾患の治療用の医薬品組成物の製造のための方法に関し、可溶性Fcガンマレセプタを薬学的に容認できるキャリア、希釈剤または賦形剤と混合することを含む。
「IVIg」や「高用量静脈内免疫グロブリン」は、1000以上の血液ドナーの血漿から抽出されプールされた多価IgGを含有しており、静脈内に投与される血液製剤である。ここに用いられるような「プラズマフェレーシス」は、患者から血液を取り出し、細胞成分を濾過して除去し、それを患者に戻すことを意味する。「体外光療法」は、患者に光活性化剤(例えば、メトキシプソラレン)を投与し、患者の末梢血を採取し、末梢リンパ球の一部を紫外線光(UV−A)にさらすことを包含する。続いて、血液を、処理したリンパ球と一緒に患者に返血する。これらの方法は、特に、ムタシム(Mutasim、2007)により報告されている。当業者は、所望の治療効果を引き出すために、これらの治療のいずれかを予想されるsFcγRの投与と組み合わせることが、例えば適用の時点に関して、慎重に評価されなければならないことを容易に知るであろう。そして、その治療効果は、ここに記載されるように評価され得る。
sFcγRの的確な用量は、治療の目的(例えば、疾患の急性の発赤拡大に対する小康の保持)に依存しており、公知技術を用いることで当業者により確認され得るであろう。従来知られており、先に記載されたように、投与経路、年齢、体重、健康状態、性別、治療食、投与の時間、薬物相互作用および状態の重症度についての調整が必要であり、当業者によるルーチン検査で確認され得るであろう。
全ての文法形式において、用語「治療(treatment)」は、AMDBの治療的処置や予防的処置を含有する。「治療的処置や予防的処置(therapeutic or prophylactic treatment)」は、臨床および/または病理の徴候の完全な防止を意図した予防的処置、臨床および/または病理の徴候の改善または軽減を意図した治療的処置、を含む。従って、用語「治療」は、AMDBの改善または防止をも含有する。
本発明およびその利点のよりよい理解は、例証の目的のみのために提供される以下の実施例から得られるであろう。実施例は、いかなる方法でも本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
<実施例1:組換え型可溶性CD32の生産>
他のいずれかに記載されたように、ヒトsCD32(SM101)を発現させ、精製した(ゾンダーマンおよびヤコブ(Sondermann and Jacob)、1999)。
<実施例2:EBAマウスの生成>
(実施例2.1:維持)
SJL/Jマウスをジャクソンラボラトリーズ(The Jackson Laboratories)(バーハーバー(Bar Harbor)、メイン州)から入手した。動物に酸性化飲料水および標準固型飼料を自由に与え、リューベック大学(University of Lubeck)の動物施設において、12時間毎の明暗サイクルで維持した。8−10週齢のマウスを実験に用いた。全ての臨床検査、生検および採血を、ケタミン(100μg/g)およびキシラジン(15μg/g)の混合物の腹腔内投与による麻酔下で行った。実験は、動物保護および使用委員会(the Animal Care and Use Committee)(キール、ドイツ(Kiel, Germany))により承認されており、認証された職員により行われた。
(実施例2.2:マウスの免疫化およびsCD32での治療)
免疫化および評価を既に報告されたように行った(イワタら(Iwata et al.)、2013)。簡潔には、非イオン性ブロック共重合体のアジュバントであるタイターマックス(TiterMax、アレクシス バイオケミカルス(ALEXIS Biochemicals))中で乳化したCOL7の組換え型マウスvWFA2ドメインの60μgによりマウスを後足肉球(hind footpad)で免疫化した(ラインウェーバーら(Leineweber et al.)、2011)。皮膚障害(すなわち、紅斑、水疱、びらん、脱毛および痂皮)の存在について毎週マウスを評価した。疾患重症度を皮膚障害により影響された体表面積のパーセンテージとして表し、観察期間中の総合疾患重症度をその観察期間中に記録した疾患重症度の曲線の下側面積(AUC)として算出した。相対疾患スコアを割り当て治療(allocation treatment)での疾患スコアとして算出した。体表面積の2%またはそれ以上が皮膚障害により影響されたときに、sCD32またはPBSでの治療的処置を腹腔内注入により開始した。マウスを200μgのsCD32で毎週治療し、コントロールのマウスをPBSで行った。血清を毎週収集した。血清、耳の皮膚、尾の皮膚のサンプルを治療4週後の最終日に採取し、病理組織学および免疫蛍光(IF)顕微鏡による検査用に調製した。
PBSを注入したマウスと比較して、sCD32での治療は、顕著に低い臨床疾患重症度となった(図3A、左側、p<0.05、t−検定)。治療に対する包括の時間では(第0週)、PBSおよびsCD32での治療においてそれぞれ影響された体表面積のグループ間で、平均疾患スコアに差異はなかった(3.4±0.21%および3.4±0.20%)。また、PBSでのコントロールのマウスと比較して、sCD32で治療したマウスでは、AUCで表される全体の観察中の累積的な疾患重症度が顕著に低下した(図3B、右側、p=0.031、t−検定)。この減少の程度は、高用量コルチコステロイド治療(20mg/kg、腹腔内(i.p.)、毎日)で観察されるものに類似している(ヒロセら(Hirose et al.)、2013)。4週の治療期間の終わりに、PBS治療したマウスは、耳および尾での拡散した紅斑および痂皮、目の周囲での脱毛を示した(図3C、左側)。これに対して、sCD32で治療したマウスでは、耳での紅斑の低減が観察され、尾や目の周囲での疾患が観察されなかった(図3C、右側)。
<実施例3:エクスビボ(ex vivo)でのアッセイ>
(実施例3.1:ROS産生)
水疱性類天疱瘡の自己抗体による反応性酸素種(ROS)放出能力を、以前に報告されたように(ユゥら(Yu et al.)、2010)、エクスビボでのアッセイを用いて評価した。簡潔には、ROS産生を調査するために、96ウェルプレート(マキシソーブ(Maxisorb);ヌンク(Nunc)、ロスキレ(Roskilde)、デンマーク)における500ngのヒトIgG(50μL×10μg/mL)の4℃、一晩でのインキュベーションにより、免疫複合体(IC)を生成させた。プレートを洗浄後、sCD32の0.01、0.1および0.5mg/mLの存在下または不在下で、新たに分離したヒト好中球を添加した(50μL×10cells/mL)。ROSの産生を計測するために、好中球の活性化をプレートリーダ(ビクター3(VICTOR3)、パーキンエルマ(PerkinElmer)、サンタクララ(Santa Clara)、カリフォルニア州)で評価した。
sCD32は、IC誘発の好中球のROS産生を用量依存の様式で抑制した(図1)。詳細には、ポジティブコントロールと比較して、0.01、0.1および0.5mg/mLのsCD32がそれぞれ30%、65%および75%分でROS産生を顕著に減少させた。
(実施例3.2:真皮−表皮分離)
この調査では、水疱性類天疱瘡の患者21人からの血清サンプルを用いた。全ての患者は以下の組み入れ基準:(i)皮膚の水疱形成疾患の臨床画像、(ii)1Mの食塩分離した正常ヒト皮膚において、間接免疫蛍光(IF)顕微鏡により示されるような、水疱の表皮側に対するIgG自己抗体の結合、(iii)ELISAによるNC16Aに対する反応性、を満たしている。健康なボランティアからの血清をネガティブコントロールとして用いた。全ての手続の前に、全ての患者およびコントロールから書面のインフォームドコンセントを得た。この調査は、リューベック大学倫理委員会により承認されており、ヘルシンキ宣言に従い行われた。
エクスビボでの自己抗体誘発の好中球依存性の真皮−表皮分離を以前に報告されたように行った(シタルら(Sitaru et al.)、2002)。簡潔には、正常ヒト皮膚からの厚さ6μmの低温切片を、BP患者の血清とともに、37℃で1時間インキュベートした。PBSで洗浄後、0.01、0.1および0.5mg/mLのsCD32の存在下または不在下で、新たに分離したヒト白血球の10cells/mLとともに切片を37℃で3時間インキュベートした。続いて、切片をH&Eで染色した。それぞれの切片における真皮から分離された表皮のパーセンテージで表される真皮−表皮分離の程度を、切片の処置を認識していない観測者が評価した。
組成物は、PBMCの存在下でBP患者の血清とともにインキュベートしたヒト皮膚の低温切片上で、FcγR依存性(ユゥら(Yu et al.)、2010)の真皮−表皮分離を減少させた(図2)。
<実施例4:組織学的およびIF顕微鏡の調査>
耳の皮膚のサンプルを4%緩衝ホルマリン中で固定した。パラフィン埋め込み組織からの厚さ4μmの切片をH&Eで染色した。組織学的に、相対真皮浸潤を0(浸潤なし)、1(軽度、mild)、2(中間度、intermediate)および3(重度、severe)で盲検的に(blindly)定量化した。ウサギIgG(ダコ・サイトメーション、DakoCytomation)およびマウス(murine)C3(カペル オルガノン−テクニカ、Cappel Organon-Teknika)に特異的な100倍希釈したFITCラベル抗体を用いて、組織生検から調製した6μmの凍結切片上での直接IF顕微鏡法により組織結合抗体を検出した。バックグラウンド除去用に真皮の蛍光を用い、DEJでの蛍光強度をイメージJ(ImageJ、http://rsbweb.nih.gov/ij/)により測定した。
PBSで治療したマウスと比較して、sCD32で治療したマウスは、真皮の白血球浸潤の顕著な減少を示した(p<0.05、図4AおよびB)。
<実施例5:血清IgGおよび抗−vWFA2抗体の計測>
血清抗−vWFA2抗体レベルを、既に報告されたように(イワタら(Iwata H et al.)、2013)、ELISAにより計測した。マウスIgGのELISA定量化セット(ベチルラボラトリーズ(Bethyl Laboratories)、モンゴメリー(Montgomery)、テキサス州)により、製造者の指示に従い、全IgGを計測した。
PBSで治療したマウスと比較して、sCD32での治療は循環性抗原特異的自己抗体においておよそ20%の減少を示したものの(図5、p=0.048、t−検定)、全IgGでは顕著な差異がなかった(データ未掲載)。同じ時点で、全てのマウスは、直接免疫蛍光により測定されたように、DEJで同様のIgG沈着を示した(図6A)。DIFの代表的な写真は、DEJでのIgG沈着を示す(図6B)。循環型自己抗体および組織結合型自己抗体間のこの不一致は、異なる半減期に起因するかもしれない(カスペルキーヴィッツら(Kasperkiewicz et al.)、2010)。
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Claims (8)

  1. 対象での自己免疫水疱性疾患の治療の方法で使用される可溶性ヒトFcガンマレセプタを含む医薬品組成物であって、前記レセプタは、配列番号:1または配列番号:11に示されるアミノ酸配列からなり、1から30mg/kgまでの用量で投与されることを特徴とする医薬品組成物。
  2. 前記対象は、ヒトであることを特徴とする請求項1に記載の医薬品組成物。
  3. 前記レセプタは、静脈内または皮内に投与されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医薬品組成物。
  4. 前記レセプタは、繰り返し投与されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
  5. 前記疾患は、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、妊娠性疱疹、粘膜類天疱瘡、線状IgA疾患、扁平苔癬類天疱瘡、後天性表皮水疱症、疱疹状皮膚炎および水疱性全身エリテマトーデスのグループから選択されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
  6. 抗炎症剤、免疫抑制剤および/または抗−CD20抗体のグループから選択される1またはそれ以上の薬剤を薬学的に容認できるキャリアまたは希釈剤とともにさらに含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の医薬品組成物。
  7. 自己免疫水疱性疾患の治療の方法で使用される可溶性Fcガンマレセプタを含むキットであって、前記レセプタは、配列番号:1または配列番号:11に示されるアミノ酸配列からなり、1から30mg/kgまでの用量で投与されることを特徴とするキット。
  8. 抗炎症剤、免疫抑制剤および/または抗−CD20抗体のグループから選択される1またはそれ以上の薬剤を薬学的に容認できるキャリアまたは希釈剤とともにさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のキット。
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