JP6892406B2 - 立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受の設計製造方法及び立形長尺ポンプの特殊ゴム防振装置の設計製造方法 - Google Patents

立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受の設計製造方法及び立形長尺ポンプの特殊ゴム防振装置の設計製造方法 Download PDF

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本発明は立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受及び立形長尺ポンプの特殊ゴム防振装置に関する。
従来から、揚水等に使用される立形ポンプが種々提案されている(特許文献1、特許文献2)。この立形ポンプでは、駆動機の伝達軸とポンプの回転軸とが外部軸継手と連結され、回転軸は少なくとも上下の2箇所で軸受によって回転自在に支持される構造が一般的である。
ところで、この種の立形ポンプには先行待機ポンプが知られており(特許文献3)、先行待機ポンプはポンプの吸込水槽に水がない状態からポンプを全速の運転状態で待機でき、吸込水槽の水位が回転する羽根車先端付近の高さに至ると、揚水を開始することができる。通常の立形ポンプでは発生する渦の影響で大振動や大音響が発生するが、先行待機ポンプは大気から空気を取り入れて渦の発生を抑制し、気中運転から揚水運転への移行を円滑に行うことができるようになっている。
特開平11−37082号公報 特開2000−345990号公報 特開2000−266042号公報
しかし、特許文献3記載の先行待機ポンプではポンプのドライ運転(気中運転)に水中に位置すべき軸受(以下、「水中軸受」という)の摩擦係数によってはドライフリクションホワールを発生し、異常振動と軸受や軸受スリーブの焼損等のダメージを惹起することがある。
本発明はかかる問題点に鑑み、ドライフリクションホワールを回避できるようにした立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受を提供することを課題とする。
そこで、本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受の設計製造方法は、回転軸を受ける軸受内筒にはダンパー内筒が外嵌され、該ダンパー内筒とダンパー外筒との間にダンパー部材が介在され、上記ダンパー外筒の外側に立形ポンプの固定構造部分に支持される軸受箱が設けられている立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受を設計し製造するにあたり、ダンパー部材の特性を静的ばね定数:K、等価剛性又は動剛性:
Figure 0006892406
、ダンピング定数:Cω=tanδ*K,正接損失:tanδ=Cω/Kとし、摩擦係数μから導いた不安定化係数
Figure 0006892406
としたとき、
Figure 0006892406
を用いたロータダイナミックス解析により限界Kxyを求め、限界摩擦係数μc=限界Kxy/(K 2 +(Cω) 2 1/2 を用いて限界摩擦係数μcを換算し、この限界摩擦係数μcが軸受のとり得る最大摩擦係数μrealよりも大きくなるように正接損失tanδ(=Cω/K)を求め、これを実現する特性のゴムをダンパー部材に採用することによってドライフリクションホワールを発生しにくくするようにしたことを特徴とする。
また、本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受は、回転軸を受ける軸受内筒にはダンパー内筒が外嵌され、該ダンパー内筒とダンパー外筒との間にダンパー部材が介在され、上記ダンパー外筒の外側に立形ポンプの固定構造部分に支持される軸受箱が設けられている立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受において、ダンパー部材の特性を静的ばね定数:K、等価剛性又は動剛性:
Figure 0006892406
、ダンピング定数:Cω=tanδ*K,正接損失:tanδ=Cω/Kとし、摩擦係数μから導いた不安定化係数
Figure 0006892406
としたとき、
Figure 0006892406
を用いたロータダイナミックス解析により限界Kxyを求め、限界摩擦係数μc=限界Kxy/(K 2 +(Cω) 2 1/2 を用いて限界摩擦係数μcを換算し、この限界摩擦係数μcが軸受のとり得る最大摩擦係数μrealよりも大きくなるように正接損失tanδ(=Cω/K)を求め、これを実現する特性のゴムをダンパー部材に採用することによってドライフリクションホワールを発生し難くして一次危険速度での共振倍率が小さい振幅の振動となるような倍率となすようにしたことを特徴とする。
さらに、本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受ではダンパー内筒及びダンパー部材を冷却する装置を更に備えるのが好ましい。
さらに、本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受ではダンパー部材の正接損失は少なくとも0.3であるのが好ましい。
また、本発明によれば、回転軸を受ける軸受内筒にはダンパー内筒が外嵌され、該ダンパー内筒とダンパー外筒との間にダンパー部材が介在され、上記ダンパー外筒の外側に立形ポンプの固定構造部分に支持される軸受箱が設けられている立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受において、ダンパー部材の特性を静的ばね定数:K、等価剛性又は動剛性:
Figure 0006892406
、ダンピング定数:Cω=tanδ*K,正接損失:tanδ=Cω/Kとし、摩擦係数μから導いた不安定化係数
Figure 0006892406
としたとき、
Figure 0006892406
を用いたロータダイナミックス解析により限界Kxyを求め、限界摩擦係数μc=限界Kxy/(K 2 +(Cω) 2 1/2 を用いて限界摩擦係数μcを換算し、この限界摩擦係数μcが軸受のとり得る最大摩擦係数μrealよりも大きくなるように正接損失tanδ(=Cω/K)を求め、これを実現する特性のゴムをダンパー部材に採用することによってドライフリクションホワールを発生し難くして一次危険速度での共振倍率が小さい振幅の振動となるような倍率となすようにしたことを特徴とする立形長尺ポンプの特殊ゴム防振装置を提供することができる。
本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受の好ましい実施形態を示す図である。 特殊ゴム及び通常ゴムの正接損失と温度との関係を示す図である。 微小振動に対する軸受の動特性を模式的に示す図である。 ドライフリクションホワール安定性解析手法を模式的に示す図である。 モデルポンプの構造及びそれを単純化した軸系を示す図である。 正接損失が0.1と0.6における固有振動数fiと減衰比ζiの関係を示す図である。 回転数に対する振動応答倍率の関係を示す図である。 ゴムの冷却装置を備えた立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受の好ましい実施形態を示す図である。 ゴムの他の冷却装置を備えた立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受の好ましい実施形態を示す図である。 ゴムのさらに他の冷却装置を備えた立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受の好ましい実施形態を示す図である。 本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム防振装置の好ましい実施形態を示す図である。 本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム防振装置の第2の実施形態を示す図である。 立形長尺ポンプにおける外部軸受の構造例を示す図である。 本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム防振装置の第3の実施形態を示す図である。 本発明による振動対策例を模式的に示す図である。 本発明において振動対策を行った場合と行わなかった場合の回転数に対する振動振幅の関係を示す図である。 ロータダイナミックス解析の手法の1例を示す図である。 一次モードの限界μと正接損失tanδ(=Cω/Kxx)の関係を示す図である。
この種の軸受の構造を説明すると、図1(a)(b)に示されるように、回転軸を受ける軸受内筒1にはダンパー内筒2が外嵌され、該ダンパー内筒2とダンパー外筒3との間にダンパー部材4が介在され、ダンパー外筒3の外側に回転機械の固定構造部分に支持される軸受箱5が設けられている。
従来、先行待機ポンプにおいて、水中軸受がドライフリクションホワールを回避できる正接損失tanδ(=Cω/K)を理論的に予測する簡易な手立てがなかったが、本願発明者らの着想に基づく新しい安定性解析法によりドライフリクションホワールを回避するCω/Kを予測できるようになった。更に、当該ドライフリクションホワールを回避できるCω/Kを実現する高い減衰特性を有する特殊ゴムを採用することによってドライフリクションホワールを回避できるようになった。
新しい安定性解析は次の関係で行える。一般に、軸受の動特性は微小振動に対して図3および数式1の12個の動的係数で表すことができる。
但し、X、Y:直交軸座標,K:無次元ばね,C:無次元減衰,M:無次元慣性,F:加振力,Z:伝達関数,ω:角速度(rad/s),f:回転周波数(Hz /s),tanδ:正接損失又は減衰能,μ:等価摩擦係数,ζ:減衰比,Q:共振倍率Qファクター=1/(2ζ),とする。
Figure 0006892406


本件発明者らは、ロータの軸振動解析に使うプログラムを利用してこれまで計算できなかったフリクションホワールの安定性を検討する方法を発明した。オイルホイップなどを計算できる複素固有値解析プログラムを利用し、下記段落「0018」「0019」に示すように摩擦の効果を軸受の連成ばね係数に置き換えて計算する新しい方法によって、回転軸が軸受内面に当たっている状態を解析するというものである。ギャップの中で動いている状態は解析できないが、実用的には十分な精度が得られることが確認された。
1)ゴムの特性
安定解析にはゴムの特性が必要になる。
静的ばね:Kxx, Kyy、ゴムダンピング:Cxxω=tanδ*Kxx,Cyyω=tanδ*Kyy、正接損失:tanδ=Cxxω/Kxx、とする。
固有値計算にはCが必要であるが、ゴムのCはωで変化するので、C=Cω/2πfからCを求めて入力することとする。
2)新しいKxyの定義
摩擦による不安定化力は(FU )=μF(μ:摩擦係数、F:ラジアル荷重)である。軸が軸受に当たっている状態を考えると、F=KX又はF=(K2+(Cω)21/2 *X と表せ、不安定化力は FU =μF=μ*(K2+(Cω)21/2 *X 又は減衰が小さいと、FU =μKX となるので、Kxy=FU /X=μ*(K2+(Cω)21/2 又は μK となる。(K2+(Cω)21/2 はゴムで決まるので、これを一定にすれば、Kxyを変えることはμを変えることに相当する。この考え方は今までにない取扱いである。
3)具体的な計算例
本発明に係る高減衰の軸受の有効性を説明するため、図5(a)に示されるモデルポンプを単純化した軸系(図5(b))でゴムの正接損失(=Cω/Kxx)を0.1(通常ゴム)とした場合と、0.6(高減衰特殊ゴム)とした場合について安定解析にて減衰比(ζ)が負になる限界Kxyを求め、限界摩擦係数を導出して比較した。
図4はドライフリクションホワール安定性解析手法を模式的に示す。まず、ロータダイナミックス解析用のKxy, −Kyxを計算する(ステップS1)。次に、ロータダイナミックス解析プログラムの安定性解析機能の計算を行い(ステップS2)、これによって固有振動数fiと減衰比ζiが求められる(ステップS3)。ロータダイナミックス解析の手法の1例を図17に示す。この処理を繰り返し(ステップS4)、計算結果の固有振動数fiと減衰比ζiをプロットし(図6参照)、減衰比ζiが0になる安定限界を求め(ステップS5)、摩擦係数μに変換すると(ステップS6)、限界摩擦係数μcが求まる(ステップS7)。限界摩擦係数μcが軸受のとり得る最大摩擦係数よりも大きいと、ドライフリクションホワールに対して十分に安全であることが結論づけられる。
1)安定性解析計算
摩擦の効果をKxy、Kyxの値として変化させ、安定性を評価するため、Kxy=−Kyxの値を次のように変化させ、安定性(減衰比)の変化を求めた。Kxy=−5×103,Kxy=−1×104,Kxy=−3×104,Kxy=−5×104,Kxy=−1×105,Kxy=−3×105,Kxy=−5×105,Kxy=−1×106(N/m)の各々のケースで求めた振動数と減衰比を横軸−Kxyの値でプロットしたのが図6である。この図6より、各正接損失tanδ(=Cω/Kxx)・モード毎にドライフリクションホワールが発生する限界の−Kxyと限界μは次のようになる。
Cω/Kxx=0.1
一次モード 限界−Kxy=1.7×104N/m,限界μ=0.065
二次モード 限界−Kxy=2.5×104N/m,限界μ=0.095
Cω/Kxx=0.6
一次モード 限界−Kxy=1.3×105N/m,限界μ=0.45
二次モード 限界−Kxy=1.5×105N/m,限界μ=0.52
一次モードの限界μと正接損失tanδ(=Cω/Kxx)の関係を図18に示す。通常考えられるμrealは0.2程度が最大であるので、正接損失tanδ(=Cω/Kxx)が0.3以上であればμC>μrealの関係にあり、フリクションホワールが発生しないことが理解できる。
ところで、立形ポンプの一次危険速度を超えて使用する軸系では、減衰が少ないと、図7に示されるように、軸のアンバランスに起因して一次危険速度通過時に大きな振幅の振動を発生し、運転の続行が困難になることがある。一次危険速度を乗り越えて使用できる軸系を実現する対策技術が必要とされている。
本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受では高い減衰特性を有するゴムを採用しているので、図7に示されるように、一次危険速度通過時に発生する大きな振幅の振動を減衰効果によって抑制して安全に運転ができることが期待できる。
他の方法、例えば潤滑油が使用できれば、正接損失tanδ(=Cω/Kxx)=1.0が得られるので、減衰効果によって一次危険速度を超えて使用が可能である。しかし、水中で使用する立形ポンプにおいて一次危険速度以上の回転数で使用する場合は油軸受が使用できない。そこで、本発明に係る軸受によれば一次危険速度を超えて安全確実に運転できる。
すなわち、本発明に係る立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受は、回転軸を受ける軸受内筒にはダンパー内筒が外嵌され、該ダンパー内筒とダンパー外筒との間にダンパー部材が介在され、上記ダンパー外筒の外側に回転機械の固定構造部分に支持される軸受箱が設けられている。上記ダンパー部材の正接損失が次の手法で求める値以上となるゴムを用いる。ドライフリクションホワールの原因となる摩擦係数μから導いた不安定化係数Kxy=-μK=-μ*(K2+(Cω)21/2を用いてロータダイナミックス解析により限界Kxyを求めた後に限界摩擦係数μc=限界Kxy/(K2+(Cω)21/2を算出する。この値が軸受のとり得る最大摩擦係数よりも大きければ(μc>μreal)フリクションホワールは発生せず、μc<μrealならばフリクションホワールが発生する。μc>μrealになるような正接損失tanδ(=Cω/K)を求め、これを実現するゴムを採用することになる。当該ゴムは一次危険速度での共振倍率が小さい振幅の振動となるような倍率となっていることを特徴とする。
1)一次危険速度通過時の振動
図6の一次モードについて各正接損失tanδ(=Cω/Kxx)におけるKxy=0、μ=0の時の減衰比(ζ)から共振倍率Qファクターを求めることができる。
Cω/Kxx=0.1:
一次モード減衰比(ζ)=0.024 共振倍率Qファクター=20.8
Cω/Kxx=0.6:
一次モード減衰比(ζ)=0.143 共振倍率Qファクター=3.5
一次危険速度350min-1を通過する時の各Cω/Kxxにおける振動応答を図7に示す。高い減衰特性を有するゴムを使うことでQファクターを約1/6にすることができ、一次危険速度を容易に乗り越えられる特性が得られることが分かる。
また、高い減衰特性を有するゴムで支持される軸受は気中運転を無潤滑で運転できるが、前述のゴムは振動エネルギーを吸収する際に熱を発生する性質があるので、ゴムの温度が上昇し、図2に示されるように、ゴムが軟化してばね定数が低下する。気中運転においてはゴムの性能を確保できるように温度上昇を抑制する冷却技術が必要である。
そこで、本発明に係る回転機械の軸受はゴム(ダンピング部材)の温度上昇を抑制できる冷却装置を更に備えるのがよい。ゴムの冷却装置には空気冷却、ヒートパイプ、純銅製フレキシブル導体による伝熱などの方式が採用できる。
1)空気冷却方式
ゴム内筒に通風用の縦溝を軸受と接する面に設ける。その構造例を図8(a)〜(c)に示す。図において、10は回転軸、11は軸受内筒、12は内面に複数の縦溝12Aが凹設されたダンパー内筒、13はダンパー外筒、14はゴム(ダンパー部材)、15は軸受箱、16は軸受スリーブ、17は羽根車である。気中運転時、羽根車17のファン送風圧力を利用してダンパー内筒縦溝12Aを通風冷却し、計装配管等の大気圧側に繋がる配管を利用して排風することでゴム14を冷却することができる。
2)ヒートパイプ方式
図9はヒートパイプ方式によるゴムの冷却装置の構造例を示し、図において図8と同一符号は同一又は相当部分を示す。図において、20はヒートパイプ、21は作動液、22は蒸気流、23は毛細間隙材、24は蒸発部、25は凝縮部である。
ヒートパイプは図9(c)に示されるように、蒸発部24で熱が加わると作動液(水やアルコール等)21が沸騰し、蒸気流22となって凝縮部25へ音速で移動すると同時に、凝縮潜熱を放出して外部の熱を奪う一方、凝縮部25では外部より冷却されて蒸気流22となった作動液21を液化する。凝縮した作動液21はウイック(毛細間隙材)23の毛細管力によって蒸発部24へ戻りこのサイクルを繰り返す。
ゴムの冷却は図9(a)(b)に示されるように、ヒートパイプ20の蒸発部24をゴム14の中に埋め込み、ゴム14が均等に冷却されるようにダンパーゴム14の上下両端面において周方向、深さ方向を調整する。発生した蒸気流22はヒートパイプ20を延長することで凝縮部25となるフィン挿し型ヒートパイプ・ヒートシンク26に繋がれ、冷却され作動液21が凝縮することとなる。
3)空気冷却方式
羽根車による空気の流れを利用してフィンを効率的に冷却できるようにフィン挿し型ヒートパイプ・ヒートシンクをポンプ内部、またはポンプ外部に設置する。
4)純銅製フレキシブル導体による伝熱
また、図10に示されるように、軸受内筒11と接触するダンパー内筒12下端部に純銅製圧着端子付フレキシブル導体30の片側を必要数ねじ止めし、もう一方の圧着端子をダンパー外筒13取付フランジ裏側に明けた溝穴を通して水中の軸受箱15に明けたネジ穴に取付ける。これにより、軸受の発熱により温度上昇するダンパー内筒12及びゴム14の熱を純銅製フレキシブル導体30を介して軸受箱15から案内羽根17へ熱伝導し、冷却することができる。
図10において、10は回転軸、11は軸受内筒、12はダンパー内筒、13はダンパー外筒、14はダンパーゴム(ダンパー部材)、15は水中軸受箱、16は軸受スリーブ、17は羽根車、18は案内羽根、である。
ところで、ダンパー軸受はスクイーズフィルムオイルダンパー軸受など、油を利用したものが一般的であるが、油が使えない箇所でも高い減衰特性を発揮するダンパー軸受が必要とされる。
そこで、本発明では高い減衰特性を有するゴムで支持される軸受をダンパーゴム軸受として採用することができる。すなわち、本発明によれば、高い減衰特性で支持される軸受を図11に示されるように外部軸継手40の直下に設置したり、図12及び図14に示されるように外部軸受40の本体を高い減衰特性のゴムで支持するように設置することでダンパー効果が得られ、軸の振動振幅の低減やホワール等の自励振動の回避に役立てることができる。
1)外部軸受の本体を高い減衰特性のゴムで支持した例(図12)
複数の丸形防振ゴム(ダンパーゴム)14を外部軸受40の本体下方に円形状に配置し、ポンプスラスト荷重と外部軸受40から上のポンプ重量はダンパーゴム14で支持し、水平方向には振動応答できるようにゴム形状は鉛直方向に剛で水平方向に柔となるように決定する。
2)鉛直方向は支柱ピン、水平方向はダンパーゴムで支持する例(図14)
支柱ピン43は外部軸受40の本体下部に円形状に配置し、ポンプスラスト荷重と外部軸受40から上のポンプ荷重を支持し、水平方向の振動荷重は外部軸受40のラジアル軸受位置にダンパーゴムを配置して支持させる。
ここで、外部軸受40は図13に示されるように、立形ポンプの場合では吐出曲管の上にラジアル軸受41とスラスト軸受42をセットで設置している軸受である。
〔具体例〕
以下、本発明を具体例に基づいて詳細に説明する。立形長尺ポンプで定格回転数585min-1、回転数制御範囲80%〜100%(468min-1〜585min-1)で使用する場合、危険速度が80%回転数にあり、運転範囲から危険速度を外す必要があった。本例のポンプの既設水中軸受のばね定数は106 N/mであるが、本例の装置では共振倍率Qファクターを改善して、振動ピークを低減すると共に、ばね定数を5×106 N/mに下げて危険速度を運転範囲から外す対策を行った結果、回転数制御範囲が広くなりスムーズな運転ができた。
ここで、図15は上記具体例における振動対策例を模式的に示し、図16は振動対策を行った場合と行わなかった場合の回転数に対する振動振幅の関係を示す。
1 軸受内筒
2 ダンパ内筒
3 ダンパ外筒
4 ダンパ部材
5 軸受箱

Claims (2)

  1. 回転軸を受ける軸受内筒にはダンパー内筒が外嵌され、該ダンパー内筒とダンパー外筒との間にダンパー部材が介在され、上記ダンパー外筒の外側に立形ポンプの固定構造部分に支持される軸受箱が設けられている立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受を設計し製造するにあたり、
    ダンパー部材の特性を静的ばね定数:K、等価剛性又は動剛性:
    Figure 0006892406
    ダンピング定数:Cω=tanδ*K,正接損失:tanδ=Cω/Kとし、摩擦係数μから導いた不安定化係数
    Figure 0006892406
    としたとき、
    Figure 0006892406
    を用いたロータダイナミックス解析により限界Kxyを求め、限界摩擦係数μc=限界Kxy/(K 2 +(Cω) 2 1/2 を用いて限界摩擦係数μcを換算し、この限界摩擦係数μcが軸受のとり得る最大摩擦係数μrealよりも大きくなるように正接損失tanδ(=Cω/K)を求め、これを実現する特性のゴムをダンパー部材に採用することによってドライフリクションホワールを発生しにくくするようにしたことを特徴とする立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受の設計製造方法
  2. 回転軸を受ける軸受内筒にはダンパー内筒が外嵌され、該ダンパー内筒とダンパー外筒との間にダンパー部材が介在され、上記ダンパー外筒の外側に立形ポンプの固定構造部分に支持される軸受箱が設けられている立形長尺ポンプの特殊ゴム支持軸受において、
    ダンパー部材の特性を静的ばね定数:K、等価剛性又は動剛性:
    Figure 0006892406
    ダンピング定数:Cω=tanδ*K,正接損失:tanδ=Cω/Kとし、摩擦係数μから導いた不安定化係数
    Figure 0006892406
    としたとき
    Figure 0006892406
    を用いたロータダイナミックス解析により限界Kxyを求め、限界摩擦係数μc=限界Kxy/(K2+(Cω)21/2を用いて限界摩擦係数μcを換算し、この限界摩擦係数μcが軸受のとり得る最大摩擦係数μrealよりも大きくなるように正接損失tanδ(=Cω/K)を求め、これを実現する特性のゴムをダンパー部材に採用することによってドライフリクションホワールを発生し難くして一次危険速度での共振倍率が小さい振幅の振動となるような倍率となすようにしたことを特徴とする立形長尺ポンプの特殊ゴム防振装置の設計製造方法
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