<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る測定装置100の側面図である。第1実施形態の測定装置100は、生体の例示である被験者の生体情報を非侵襲的に測定する生体計測機器であり、被験者の身体のうち測定対象となる部位(以下「測定部位」という)Mに装着される。第1実施形態の測定装置100は、筐体部12とベルト14とを具備する腕時計型の携帯機器であり、測定部位Mの例示である手首に帯状のベルト14を巻回することで被験者の手首に装着可能である。第1実施形態では、被験者の脈波(例えば脈拍数)および酸素飽和度(SpO2)を生体情報として例示する。脈波は、心臓の拍動に連動した血管内の体積の時間変化を意味する。酸素飽和度は、被験者の血液中のヘモグロビンのうち酸素と結合したヘモグロビンの割合(%)を意味し、被験者の呼吸機能を評価するための指標である。
図2は、測定装置100の機能に着目した構成図である。図2に例示される通り、第1実施形態の測定装置100は、制御装置20と記憶装置22と表示装置24と検出装置30とを具備する。制御装置20および記憶装置22は、筐体部12の内部に設置される。図1に例示される通り、表示装置24(例えば液晶表示パネル)は、筐体部12のうち測定部位Mとは反対側の表面に設置され、測定結果を含む各種の画像を制御装置20による制御のもとで表示する。
図2の検出装置30は、測定部位Mの状態に応じた検出信号Dを生成する光学センサーモジュールであり、例えば筐体部12のうち測定部位Mとの対向面(以下「検出面」という)16に設置される。検出面16は、測定部位Mに接触する表面である。図2に例示される通り、第1実施形態の検出装置30は、発光部32と受光部34と駆動回路36と出力回路38とを具備する。なお、駆動回路36および出力回路38の一方または双方を検出装置30の外部回路として設置することも可能である。すなわち、駆動回路36および出力回路38は検出装置30から省略され得る。
発光部32は、測定部位Mに対して光を出射する光源である。第1実施形態の発光部32は、相異なる波長の光を出射する複数の発光素子E(E1,E2,E3)を包含する。具体的には、発光素子E1は、緑色光(波長:520nm〜550nm)を測定部位Mに出射する。発光素子E2は赤色光(波長:600nm〜800nm)を測定部位Mに出射し、発光素子E3は近赤外光(波長:800nm〜1300nm)を測定部位Mに出射する。例えばベアチップ型のLED(Light Emitting Diode)が発光素子Eとして好適に採用されるが、砲弾型のLEDを発光素子Eとして利用することも可能である。発光素子E1は第1発光素子の例示であり、発光素子E2および発光素子E3は第2発光素子の例示である。なお、各発光素子Eが出射する光の波長は以上の例示に限定されない。
駆動回路36は、駆動電流の供給により複数の発光素子Eの各々を発光させる。第1実施形態の駆動回路36は、複数の発光素子Eの各々を時分割で周期的に発光させる。各発光素子Eから出射した光は、測定部位Mに入射するとともに測定部位Mの内部で反射および散乱を繰返したうえで筐体部12側に出射して受光部34に到達する。すなわち、第1実施形態の検出装置30は、発光部32と受光部34とが測定部位Mに対して一方側に位置する反射型の光学センサーである。
受光部34は、発光部32の発光により測定部位Mから到来する光を受光する。第1実施形態の受光部34は、複数の受光素子R(R1,R2)を包含する。各受光素子Rは、受光面に入射した光の強度に応じた検出信号を生成する。例えばフォトダイオード(PD:Photo Diode)が受光素子Rとして好適に利用される。受光素子R1(第1受光素子の例示)は、発光素子E1から出射して測定部位Mの内部を通過した緑色光を受光し、その受光強度に応じた検出信号を生成する。受光素子R2(第2受光素子の例示)は、発光素子E2から出射して測定部位Mの内部を通過した赤色光、または、発光素子E3から出射して測定部位Mの内部を通過した近赤外光を受光し、その受光強度に応じた検出信号を生成する。
出力回路38は、例えば各受光素子Rが生成した検出信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換器と、変換後の検出信号を増幅する増幅回路とを含んで構成され(何れも図示略)、相異なる波長に対応する複数の検出信号D(D1,D2,D3)を生成する。検出信号D1は、発光素子E1が緑色光を出射したときの受光素子R1の受光強度を表す信号である。検出信号D2は、発光素子E2が赤色光を出射したときの受光素子R2の受光強度を表す信号であり、検出信号D3は、発光素子E3が近赤外光を出射したときの受光素子R2の受光強度を表す信号である。血管の拡張時と収縮時とで血液による吸光量は相違するから、各検出信号Dは、測定部位Mの内部の動脈の脈動成分(容積脈波)に対応した周期的な変動成分を含む脈波信号である。
図2の制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算処理装置であり、測定装置100の全体を制御する。記憶装置22は、例えば不揮発性の半導体メモリーで構成され、制御装置20が実行するプログラムと制御装置20が使用する各種のデータとを記憶する。なお、制御装置20の機能を複数の集積回路に分散した構成、または、制御装置20の一部または全部の機能を専用の電子回路で実現した構成も採用され得る。また、図2では制御装置20と記憶装置22とを別体の要素として図示したが、記憶装置22を内包する制御装置20を例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現することも可能である。
第1実施形態の制御装置20は、記憶装置22に記憶されたプログラムを実行することで、検出装置30が生成した複数の検出信号D(D1,D2,D3)から被験者の生体情報を特定する。具体的には、制御装置20は、受光素子R1による緑色光の受光強度を表す検出信号D1から被験者の脈波を特定する。例えば被験者の脈拍数が検出信号D1から特定される。また、制御装置20は、受光素子R2による赤外光の受光強度を表す検出信号D2と、受光素子R2による近赤外光の受光強度を表す検出信号D3とを解析することで、被験者の酸素飽和度を特定する。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の制御装置20は、検出装置30による検出結果を示す検出信号Dから生体情報を特定する情報解析部として機能する。制御装置20は、検出信号Dから特定した生体情報を表示装置24に表示させる。なお、音声出力で測定結果を利用者に報知することも可能である。脈拍数または酸素飽和度が所定の範囲外の数値に変動した場合に利用者に警告(身体機能の障害の可能性)を報知する構成も好適である。
図3は検出装置30の平面図であり、図4は、図3におけるIV-IV線の断面図である。図3および図4に例示される通り、相互に直交するX方向とY方向とZ方向とを想定する。X-Y平面は、検出面16に平行な平面であり、Z方向(基準方向の例示)は、X-Y平面に垂直な方向である。検出面16に接触する測定部位Mの表面における法線の方向をZ方向と表現することも可能である。図3および図4に例示される通り、第1実施形態の検出装置30は、図2に例示した発光部32および受光部34のほか、収容体40と実装基板46と遮蔽体50と保護板60とを具備する。
収容体40は、検出装置30の各要素(発光部32,受光部34,実装基板46,遮蔽体50)を収容する構造体である。具体的には、収容体40は、矩形平板状の底面部42と、底面部42の周縁からZ方向の正側に突出する矩形枠状の側面部44とを含む箱状の部材である。側面部44の内周面は遮光性を有する。例えば、アルミニウムで形成された収容体40のアルマイト加工により側面部44の内周面が黒色に着色される。すなわち、側面部44の内周面における反射が抑制される。なお、収容体40の材質および製法は任意である。例えば樹脂材料の射出成形により収容体40を形成することも可能である。また、筐体部12と一体に収容体40を形成した構成も好適である。
実装基板46は、複数の配線が形成された配線基板である。図4に例示される通り、発光部32(発光素子E)および受光部34(受光素子R)は、実装基板46の表面に実装される。実装基板46は、発光部32および受光部34が実装された表面がX-Y平面に平行となる状態で収容体40の内部に設置される。以上の説明から理解される通り、実装基板46に垂直な方向(実装面の法線の方向)をZ方向として把握することも可能である。
具体的には、発光部32の各発光素子E(E1,E2,E3)は、照射面(例えばベアチップの表面)がX-Y平面に平行となる状態で実装基板46の表面に実装される。以上の説明から理解される通り、発光素子Eの照射面に垂直な方向をZ方向(基準方向の例示)として把握することも可能である。また、発光素子EとしてLEDを採用した構成では、例えばp型半導体層とn型半導体層とが積層される方向をZ方向として把握することも可能である。
図3に例示される通り、第1実施形態では、複数の発光素子E(E1,E2,E3)が相互に間隔をあけてX方向(第1方向の例示)に配列する。具体的には、緑色光を出射する発光素子E1からみてX方向の負側に、赤色光を出射する発光素子E2が設置される。また、近赤外光を出射する発光素子E3は、発光素子E1を挟んで発光素子E2とは反対側に設置される。すなわち、発光素子E2と発光素子E3との間に発光素子E1が位置する。
受光部34の各受光素子R(R1,R2)は、受光面がX-Y平面に平行となる状態で実装基板46の表面に実装される。以上の説明から理解される通り、受光素子Rの受光面に垂直な方向をZ方向(基準方向の例示)として把握することも可能である。第1実施形態の複数の受光素子Rは、相互に間隔をあけてY方向(第2方向の例示)に配列する。具体的には、複数の発光素子EからみてY方向の正側に受光素子R1が位置し、受光素子R1を挟んで複数の発光素子Eとは反対側に受光素子R2が位置する。なお、駆動回路36および出力回路38は、ICチップの形態で実装基板46に実装され得る。ただし、前述の通り、駆動回路36および出力回路38を検出装置30の外部に設置することも可能である。
遮蔽体50は、反射部52と遮光部54と隔壁部56とを含む構造体であり、実装基板46(または収容体40の底面部42)にZ方向からみて重なる。反射部52と遮光部54と隔壁部56とは一体に形成される。例えば、例えばステンレスで形成された0.1mm程度の板厚の平板材をプレス加工することで、反射部52と遮光部54と隔壁部56とが一体に構成された光反射性の遮蔽体50が形成される。なお、遮蔽体50の材質および製法は任意である。例えば樹脂材料の射出成形により形成された構造体の一部(反射部52)または全部の表面に、例えば蒸着やメッキ等の成膜技術によりアルミニウム等の反射性材料の薄膜を形成することで遮蔽体50を形成することも可能である。図3および図4に例示される通り、遮光部54からみてY方向の負側に反射部52が位置し、遮光部54を挟んで反射部52とは反対側に隔壁部56が位置する。
反射部52は、発光部32(複数の発光素子E)から出射した光を測定部位M側に反射する部分であり、図3および図4に例示される通り、底面部72と側壁部74Aと側壁部74Bとを含んで構成される。底面部72は、X方向に長尺な平板状の部分である。底面部72のうちZ方向の負側の表面が実装基板46の表面に接触することで、底面部72はX-Y平面に平行な状態に維持される。図3および図4に例示される通り、相異なる発光素子Eに対応する複数(3個)の開口部76が底面部72に形成される。実装基板46に実装された各発光素子Eは、底面部72のうち当該発光素子Eに対応する開口部76の内側に位置する。したがって、各発光素子Eの照射面は、開口部76の内側に露出する。
側壁部74A(第1側壁部の例示)は、底面部72のうちY方向の正側の周縁に連続し、側壁部74B(第2側壁部の例示)は、底面部72のうちY方向の負側の周縁に連続する。すなわち、側壁部74Aは、発光部32からみて受光部34側(Y方向の正側)に位置し、側壁部74Bは、発光部32からみて受光部34とは反対側(Y方向の負側)に位置する。図4に例示される通り、側壁部74Aは、Z方向に対して表面が角度θA(0°≦θA<90°)をなす部分であり、側壁部74Bは、Z方向に対して表面が角度θB(0°≦θB<90°)をなす部分である。以上の説明から理解される通り、発光部32を挟むように側壁部74Aと側壁部74Bとが設置される。すなわち、遮蔽体50の側壁部74Aおよび側壁部74Bと収容体40の側面部44とで包囲された空間の底面に発光部32(複数の発光素子E)が配置される。なお、側壁部74Aと側壁部74Bとの間に光透過性の樹脂材料を充填することで各発光素子Eを封止(モールド)することも可能である。
図5は、遮蔽体50と光の経路との関係を例示する説明図である。図5に例示される通り、各発光素子Eの照射面から出射した光は、矢印a0で例示されるようにZ方向に進行するほか、矢印a1および矢印a2で例示される通りZ方向以外の方向(Z方向に対して傾斜した方向)にも進行する。発光素子Eから矢印a1の方向に進行する光は、側壁部74Aの表面において測定部位M側に反射する。同様に、発光素子Eから矢印a2の方向に進行する光は、側壁部74Bの表面において測定部位M側に反射する。したがって、第1実施形態によれば、反射部52を設置しない構成と比較して、発光部32から出射される光のうち測定部位Mに入射する光の割合(すなわち光の利用効率)を向上させることが可能である。
図3および図4に例示される通り、遮蔽体50の遮光部54は、受光素子R1と測定部位Mとの間に位置し、X-Y平面に平行な平板状の部分である。第1実施形態の遮光部54には、矩形状の開口部58が形成される。開口部58は、Z方向からみて受光素子R1に重なる領域に形成された貫通孔である。すなわち、受光素子R1の受光面は、開口部58の内側に露出する。遮光部54は、受光素子R1の受光面の周縁に沿う矩形枠状の部分とも換言され得る。図5に矢印b0で例示される通り、受光素子R1に向かう光の一部は開口部58を通過して受光素子R1の受光面に入射するが、矢印b1のように、受光素子R1に向かう光の他の一部は遮光部54により遮断される。例えば、測定部位Mを経由することなく受光素子R1に向かう迷光(例えば太陽光や照明光等の外光)は、遮光部54により遮断され、受光素子R1には到達しない。発光素子E1から出射した緑色光は、測定部位Mの内部を透過したうえで遮光部54の開口部58を通過して受光素子R1の受光面に入射する。
遮蔽体50の隔壁部56は、受光素子R1と受光素子R2との間に位置する平板状の部分である。第1実施形態の隔壁部56は、遮光部54のうちY方向の正側の周縁からZ方向の負側に突出する部分であり、遮光部54とは反対側の周縁が実装基板46の表面に接触する。したがって、隔壁部56は、実装基板46の表面に対して垂直に交差する。以上の説明から理解される通り、隔壁部56は、実装基板46の上方の空間を、受光素子R1が設置された空間と受光素子R2が設置された空間とに仕切る隔壁として機能する。
保護板60は、収容体40に収容された要素(発光部32,受光部34,実装基板46,遮蔽体50)を被覆および保護する平板材であり、遮蔽体50の遮光部54に対して間隔をあけて設置される。すなわち、保護板60と収容体40の底面部42との間に発光部32と受光部34と実装基板46と遮蔽体50とが位置する。保護板60と底面部42との間隔は例えば1mm程度である。保護板60のうちZ方向の正側の表面は、測定部位Mが接触する図1の検出面16である。
図3および図4に例示される通り、第1実施形態の保護板60は、透光部62と遮光部64とを含んで構成される。透光部62は、光透過性の部分であり、遮光部64は、遮光性の部分である。例えば透光部62となる光透過性の樹脂材料と、遮光部64となる遮光性の樹脂材料とを利用した2色成形により、第1実施形態の保護板60は形成され得る。図3に例示される通り、遮光部64は、平面視で(すなわちZ方向の正側からみて)遮蔽体50の反射部52と遮光部54の開口部58との間に形成されてX方向に延在する部分である。透光部62は、保護板60のうち遮光部64以外の部分である。
保護板60と遮蔽体50(遮光部54)との間には緩衝体68が設置される。緩衝体68は、例えばスポンジ等の多孔質材で形成された部材である。保護板60と遮蔽体50との間隔(すなわち緩衝体68の高さ)は例えば0.25mm程度である。検出面16に対する測定部位Mの接触により押圧されると保護板60は変形し得る。緩衝体68は、測定部位Mの接触により変形した保護板60が遮蔽体50に衝突することを抑制するための部材である。第1実施形態の緩衝体68は、遮光性の材料で形成され、保護板60の遮光部64にZ方向からみて重なるようにX方向に延在する。以上の説明から理解される通り、遮光部64と緩衝体68とにより、X方向に長尺な遮光性の遮光壁が形成される。図5に矢印cで例示される通り、発光部32から直接的に(すなわち測定部位Mに入射することなく)受光部34側に進行する光は、遮光部64および緩衝体68により遮断される。したがって、発光素子Eから出射して測定部位Mに入射しない迷光が受光部34に到達する可能性を低減することが可能である。
以上の構成において、発光素子E1から出射した緑色光は、直接的に、または反射部52での反射により間接的に測定部位M側に進行し、保護板60の透光部62を透過して測定部位Mに入射する。測定部位MからZ方向の負側に出射した緑色光は、保護板60の透光部62を透過し、遮光部54の開口部58を通過して受光素子R1に入射する。他方、発光素子E2から出射した赤色光または発光素子E3から出射した近赤外光は、直接的または間接的に測定部位M側に進行し、保護板60の透光部62を透過して測定部位Mに入射する。測定部位MからZ方向の負側に出射した赤外光または近赤外光は、保護板60の透光部62を透過して受光素子R2に入射する。
次に、発光素子Eから出射した光の利用効率を向上させるという観点から、Z方向に対する側壁部74Aの角度θAと側壁部74Bの角度θBとを検討する。図6は、角度θAおよび角度θBの各々を変化させた複数の場合について、発光素子E2から受光素子R2に到達する光の強度をシミュレーションにより算定した結果の図表である。図6においては、発光素子E2が出射する光の強度を1(W)とした場合における受光素子R2の受光強度が表記されている。
図6から理解される通り、発光部32からみて受光部34側に位置する側壁部74Aについては、角度θAを15°以上かつ40°以下の範囲内の数値に設定した場合に、受光素子R2による受光強度が高くなるという傾向がある。以上の傾向を考慮して、側壁部74Aの角度θAは、15°以上かつ40°以下に設定され(15°≦θA≦40°)、さらに好適には、25°以上かつ35°以下に設定される(25°≦θA≦35°)。
他方、発光部32からみて受光部34とは反対側に位置する側壁部74Bについては、角度θBを0°以上かつ15°以下の範囲内の数値に設定した場合に、受光素子R2による受光強度が高くなるという傾向がある。以上の傾向を考慮して、側壁部74Bの角度θBは、0°以上かつ15°以下に設定される(0°≦θB≦15°)。さらに好適には、角度θBは0°に設定される。すなわち、側壁部74Bが底面部72に対して垂直に交差する(底面部72からZ方向の負側に突出する)構成が好適である。
以上の例示から理解される通り、側壁部74Aの角度θAが側壁部74Bの角度θBを上回る構成が好適である。具体的には、側壁部74Aは、15°以上かつ40°以下(さらに好適には25°以上かつ35°以下)の範囲内の角度θAだけZ方向に対して傾斜し、側壁部74BはZ方向に平行(θB=0°)である構成が好適である。すなわち、第1実施形態では、側壁部74Aの角度θAと側壁部74Bの角度θBとは相違する。
以上に説明した通り、第1実施形態では、反射部52と遮光部54とが一体に形成されるから、反射部52と遮光部54とを別体に形成した構成と比較して検出装置30の構成が簡素化される。具体的には、検出装置30の部品点数の削減や検出装置30の製造コストの低減を実現することが可能である。第1実施形態では特に、受光素子R1と受光素子R2との間に位置する隔壁部56も反射部52および遮光部54と一体に形成されるから、反射部52および遮光部54とは別体の隔壁部56を設置する構成と比較して、検出装置30の構成が簡素化されるという利点がある。
また、第1実施形態では、開口部58が形成された遮光部54が受光素子R1と測定部位Mとの間に設置されるから、測定部位Mを通過することなく受光素子R1に向かう迷光(例えば太陽光や照明光等の外光)は遮光部54により遮断される。したがって、SN比が高い検出信号Dを生成することが可能である。
第1実施形態では、Z方向(基準方向)に対する側壁部74Aの角度θAが側壁部74Bの角度θBを上回る。したがって、図6を参照して説明した通り、発光部32が出射した光の利用効率を高めることが可能である。第1実施形態では特に、側壁部74Aの角度θAが15°以上かつ40°以下(さらに好適には25°以上かつ35°以下)であり、側壁部74Bの角度θBが0°以上かつ15°以下(さらに好適には0°)である。したがって、発光部32が出射した光の利用効率が向上するという前述の効果は格別に顕著である。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下に例示する各構成において作用または機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図7は、第2実施形態における検出装置30の平面図であり、図8は、図7におけるVIII-VIII線の断面図である。図7および図8に例示される通り、第2実施形態の検出装置30における遮蔽体50の反射部52は、第1実施形態と同様の側壁部74Aおよび側壁部74Bに加えて、側壁部741aおよび側壁部741bと、側壁部742Cおよび側壁部742Dと、側壁部743Cおよび側壁部743Dとを包含する。側壁部741aおよび側壁部741bは、側壁部74Aと側壁部74Bとの間にわたる傾斜面であり、X方向における発光素子E1の両側に位置する。すなわち、側壁部74Aと側壁部74Bと側壁部741aと側壁部741bとで包囲された空間の底面に発光素子E1が位置する。同様に、側壁部742Cおよび側壁部742Dは、発光素子E2をX方向に挟む各位置に形成され、側壁部74Aおよび側壁部74Bとともに発光素子E2を包囲する。側壁部743Cおよび側壁部743Dは、発光素子E3をX方向に挟む各位置に形成され、側壁部74Aおよび側壁部74Bとともに発光素子E3を包囲する。
発光素子E2から出射した光の利用効率を向上させるという観点から、Z方向(基準方向の例示)に対する側壁部742Cの角度θCと側壁部742Dの角度θDとを検討する。図7に例示される通り、Y方向に沿う遮蔽体50の中心線Lを想定する。側壁部742Cは、発光素子E2からみて中心線L側に位置する部分(第3側壁部の例示)であり、側壁部742Dは、発光素子E2からみて中心線Lとは反対側に位置する部分(第4側壁部の例示)である。図9は、角度θCおよび角度θDの各々を変化させた複数の場合について、発光素子E2から受光素子R2に到達する光の強度をシミュレーションにより算定した結果の図表である。図9においては、図6と同様に、発光素子E2が出射する光の強度を1(W)とした場合における受光素子R2の受光強度が表記されている。
図9から理解される通り、発光素子E2からみて中心線L側に位置する側壁部742Cについては、角度θCを20°以上かつ40°以下の範囲内の数値に設定した場合に、受光素子R2による受光強度が高くなるという傾向がある。以上の傾向を考慮して、側壁部742Cの角度θCは、20°以上かつ40°以下に設定される(20°≦θC≦40°)。さらに好適には、角度θCは40°に設定される。
他方、発光素子E2からみて中心線Lとは反対側に位置する側壁部742Dについては、角度θDを0°以上かつ20°以下の範囲内の数値に設定した場合に、受光素子R2による受光強度が高くなるという傾向がある。以上の傾向を考慮して、側壁部742Dの角度θDは、0°以上かつ20°以下に設定される(0°≦θD≦20°)。さらに好適には、角度θDは0°に設定される。すなわち、側壁部742Dが底面部72に対して垂直に交差する(底面部72からZ方向の負側に突出する)構成が好適である。以上の例示から理解される通り、側壁部742C(第3側壁部の例示)の角度θCが側壁部742D(第4側壁部の例示)の角度θDを上回る構成が好適である。
中心線Lを挟んで発光素子E2とは対称の関係にある発光素子E3についても同様の構成が採用される。発光素子E3に対応する側壁部743Cは、発光素子E3からみて中心線L側に位置する部分(第3側壁部の例示)であり、側壁部743Dは、発光素子E3からみて中心線Lとは反対側に位置する部分(第4側壁部の例示)である。側壁部742Cおよび側壁部742Dの関係と同様に、Z方向(基準方向の例示)に対する側壁部743Cの角度θCは、側壁部743Dの角度θDを上回る(θC>θD)。具体的には、側壁部743Cの角度θCは20°以上かつ40°以下(さらに好適には40°)に設定され、側壁部743Dの角度θDは0°以上かつ20°以下(さらに好適には0°)に設定される。なお、発光素子E1に対応する側壁部741aおよび側壁部741bの各々について、Z方向に対する角度は任意である。
反射部52と遮光部54と隔壁部56とを一体に形成した構成や、側壁部74Aの角度θAが側壁部74Bの角度θBを上回る構成は、第1実施形態と同様である。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、側壁部742Cまたは側壁部743Cの角度θCが側壁部742Dまたは側壁部743Dの角度θDを上回る。したがって、図9を参照して説明した通り、発光素子E2または発光素子E3が出射した光の利用効率を高めることが可能である。第2実施形態では特に、側壁部742Cまたは側壁部743Cの角度θCが20°以上かつ40°以下であり、側壁部742Dまたは側壁部743Dの角度θDが0°以上かつ20°以下である。したがって、発光素子E2または発光素子E3が出射した光の利用効率が向上するという前述の効果は格別に顕著である。
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態における検出装置30の平面図であり、図11は、図10におけるXI-XI線の断面図である。図10に例示される通り、第3実施形態における検出装置30の発光部32は、緑色光を出射する1個の発光素子Eを具備する。受光部34は、発光素子Eの発光時に測定部位Mから到来する緑色光を受光する1個の受光素子Rを具備する。すなわち、第3実施形態の検出装置30は、発光素子E2と発光素子E3と受光素子R2とを第1実施形態から省略した構成である。なお、発光素子Eが出射する光の波長は以上の例示(緑色光)に限定されない。
第1実施形態と同様に、遮蔽体50は、反射部52と遮光部54と隔壁部56とが一体に形成された構造体であり、反射部52は、底面部72と側壁部74Aと側壁部74Bとを含んで構成される。Z方向(基準方向の例示)に対する側壁部74Aの角度θAと側壁部74Bの角度θBとについて以下に検討する。図12は、角度θAおよび角度θBの各々を変化させた複数の場合について、発光素子Eから受光素子Rに到達する光の強度をシミュレーションにより算定した結果の図表である。
図6から理解される通り、発光部32からみて受光部34側に位置する側壁部74Aについては、第1実施形態と同様に、Z方向に対する角度θAを15°以上かつ40°以下の範囲内(さらに好適には25°以上かつ35°以下の範囲内)の数値に設定した構成が好適である。また、発光部32からみて受光部34とは反対側に位置する側壁部74Bの角度θBについても第1実施形態と同様に、Z方向に対する角度θBを0°以上かつ15°以下の範囲内の数値(さらに好適には0°)に設定した構成が好適である。以上の例示から理解される通り、第3実施形態においても、側壁部74Aの角度θAは側壁部74Bの角度θBを上回る。第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
<変形例>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を適宜に併合することも可能である。
(1)前述の各形態では、遮蔽体50の反射部52と遮光部54と隔壁部56とが一体に形成された構成を例示したが、反射部52を遮光部54とは別体に形成した構成や、隔壁部56を遮光部54とは別体に形成した構成も採用され得る。隔壁部56を省略することも可能である。また、前述の各形態では、遮蔽体50の全体が光反射性を有する必要はない。例えば、反射部52のうち測定部位M側の表面のみが光反射性を有する構成も採用され得る。また、前述の各形態で例示した隔壁部56に代えて(または前述の各形態で例示した隔壁部56とともに)、開口部58からみて反射部52側(例えば遮光部64の直下)に隔壁部56を形成することも可能である。以上の構成では、前述の各形態で例示した遮蔽体50のうち開口部58からみて反射部52とは反対側の部分は省略され得る。
(2)前述の各形態では、検出装置30を搭載した測定装置100を例示したが、被験者の生体情報を生成する要素(制御装置20により実現される情報解析部)とは別体の装置として検出装置30を構成することも可能である。例えば、検出装置30により生成された検出信号D(D1,D2,D3)が有線または無線により情報装置(例えば携帯電話機やスマートフォン)に送信され、検出装置30から受信した検出信号Dの解析により情報装置が被験者の生体情報を生成する。すなわち、検出信号Dから生体情報を生成する情報解析部が情報装置(例えばCPU等の演算処理装置とアプリケーションソフト等のソフトウェア等の協働)により実現される。以上の説明から理解される通り、検出装置30は、検出信号Dを生成する装置単体としても実現され、生体情報の生成までは必須の要件ではない。例えば測定装置100の筐体部12に対して着脱可能な裏蓋に検出装置30を搭載することも可能である。
また、以上の各形態では、表示装置24を具備する測定装置100を例示したが、表示装置24を測定装置100とは別体とすることも可能である。例えば、測定装置100と有線または無線により通信可能な情報装置の表示器を表示装置24として利用し、測定装置100の制御装置20(情報解析部)が算定した生体情報を、情報装置に送信して当該情報装置の表示装置24に表示させることも可能である。
(3)前述の各形態では、保護板60の検出面16を平面としたが、検出面16を曲面とすることも可能である。例えば図13に例示される通り、測定部位Mが接触する円弧面状の突起(凸部分)を検出面16が含む構成も想定される。図13の構成によれば、測定部位Mの表面が検出面16に対して充分に密着する(測定部位Mと検出面16との間の隙間が低減される)から、例えば測定部位Mと検出面16との間の隙間により光が散乱する可能性を防止できるという利点がある。なお、図13に例示した保護板60は、第2実施形態および第3実施形態にも同様に適用され得る。
(4)前述の各形態では、被験者の手首に装着可能な測定装置100を例示したが、測定装置100の具体的な形態(装着位置)は任意である。例えば、被験者の身体に貼付可能なパッチ型,被験者の耳介に装着可能なイヤリング型,被験者の指先に装着可能な指装着型(例えば着爪型),被験者の頭部に装着可能なヘッドマウント型等、任意の形態の測定装置100が採用され得る。
(5)前述の各形態では被験者の脈波(例えば脈拍数)と酸素飽和度とを生体情報として例示したが、生体情報の種類は以上の例示に限定されない。例えば、血流速,血圧を生体情報として測定する構成、および、血中グルコース濃度,ヘモグロビン濃度,血中酸素濃度,中性脂肪濃度等の各種の血液成分濃度を生体情報として測定する構成も採用され得る。なお、血流速を生体情報として測定する構成では、共振器による共振を経て射出される狭帯域でコヒーレントなレーザー光を出射するレーザー照射器が発光部32として好適に利用される。