JP6888855B1 - 被複製物の複製品の製作方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐久性に優れ、容易に移動させることができる展示物の複製品及び景石の複製品の製作方法を提供すること。【解決手段】 遺跡から出土した遺物である景石100の型取り作業では、シリコーン型11と該シリコーン型11を保持するシリコーン型保持層(FRP部12)から成る外型10を作製する。そして、外型10を凹型として、FRP層22を有する内型20を作製する。そして、外型10と内型20との間の隙間にGRCを流し込む。そして、GRCが固化したら、GRC製の外殻層31とFRP層22を有する内型20との一体物である景石の複製品を外型10から取り外す。【選択図】図1

Description

本発明は、遺跡から出土する遺構及び遺物等の展示物の複製品の製作方法に関する。
過去の人々の活動の痕跡である遺跡、遺構及び遺物は、主に地中に埋まっていることが多く、埋蔵文化財と呼称される。埋蔵文化財の発掘調査を行い、それらを調べることにより、その当時の生活、文化を知ることができる。発掘作業では、色や質の変わる土の境目を掘り抜くことで、遺構と呼ばれる建物、川、池等の配置や地形が浮かびあがる。
このような発掘調査で見つかった遺跡は、遺構及び遺物がともに土地と一体的に存在していることに大きな意味及び価値があることから、現地で保存し活用するために、例えば、歴史学習をする場として整備されることがある。遺跡の整備では、遺構や遺物を風雨から保護するために、遺構、遺物の全部又は一部を埋め戻し、保護盛土の上面に遺構、遺物を復元して展示する整備方法がとられる場合がある。
例えば、特許文献1には、自然石の表面形状を転写した型枠を作製し、型枠へコンクリートを打設して複製品を製作する方法が開示されている。発掘調査で見つかった遺跡における遺構及び遺物においても、特許文献1に記載されている方法と同様に、遺構又は遺物の表面形状を転写した型枠を作製し、その型枠にセメント等の固化材を含む材料を注入して複製品が製作されている。このような複製品の製作において、型枠に注入する材料としては、GRC(Glass fiber Reinforced Concrete:ガラス繊維補強コンクリート)、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)等が知られている。
特開2002−361623号公報
GRCは、圧縮強度の高いセメントと引張強度の高いガラス繊維による複合材のため、従来のセメント製品より衝撃強度があり、高い耐久性を有している。また、FRPは、軽量で高強度であり、移動を補助するための金具類の取り付けを容易に行うことができる。そして、GRC、FRPは、ともに金属、木質、石質などの様々な質感に仕上げることができるため、様々な複製品の製作によく使用されている。
ところが、特許文献1に開示されている方法で製作したGRC製の複製品は、重量が重くなるため、移動が容易に行えない。また、FRP製の複製品は、軽量であるために容易に移動させることはできるが、紫外線による表面の経年劣化の問題があり、屋外での長期展示には不向きである。なお、ここでは遺跡から出土した遺構及び遺物の複製品を例に挙げて説明したが、屋外の展示を目的として製作される様々な複製品が有する問題であった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れ、容易に移動させることができる、被複製物の複製品の製作方法を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係る被複製物の複製品の製作方法は、
被複製物の表面に軟質樹脂を塗布し、固化させて軟質樹脂型を作製する工程と、
前記軟質樹脂型の外側に、繊維強化樹脂から成る軟質樹脂型保持層を作製する工程と、
前記軟質樹脂型保持層と前記軟質樹脂型から成る外型を前記被複製物から分離する工程と、
前記外型の凹部に、所定の高さのスペーサが配置された状態で繊維強化樹脂層を含む内型を作製する工程と、
前記内型と前記スペーサを前記外型から取り外し、該外型に、該スペーサを除いて該内型を取り付ける工程と、
前記外型と前記内型の間に繊維補強コンクリートを流し込み、固化させて外層を作製する工程と、
前記外層と前記内型との一体物である複製品を前記外型から取り外す工程と
を含むことを特徴とする。
本発明に係る被複製物の複製品の製作方法では、流体状(液状、ゲル状等)の軟質樹脂を被複製物の表面に塗布し、該軟質樹脂を固化させて被複製物の型取りを行う。したがって、被複製物の表面の微細の凹凸や複雑な形状を反転して軟質樹脂型に転写することができ、このような軟質樹脂型から形成される複製品に、被複製物の表面形状を忠実に再現することができる。また、型取りの際や被複製物から軟質樹脂型を取り外す際に被複製物の表面が傷つき難くなる。さらに、軟質樹脂型の周りを繊維強化樹脂から成る軟質樹脂型保持層で保持したため、軟質樹脂型の形状を保つことが可能となる。
また、外型の凹部に所定の高さのスペーサが配置された状態で内型を作製した。したがって、スペーサの高さに相当する分だけ前記外型の凹部よりも小さい外形状の内型を作製することができる。このようにして作製された内型をスペーサとともに外型から取り外し、スペーサを除いてから外型に取り付けることで、外型と内型がスペーサの高さに相当する距離だけ離間する。なお、外型に内型を取り付けたときに両者が離間するように外型及び内型が構成されていても良く、両者を離間させるための突起等が外型及び内型の一方又は両方に設けられていても良い。
続いて、外型と内型が離間することにより両者の間に形成される空間に繊維補強コンクリートを流し込み、固化させることにより外層が作製され、この外層と内型の一体物から複製品が構成される。つまり、屋外に展示された複製品の外側に位置する外層が繊維補強コンクリートから成るため、耐久性に優れる。しかも、外層の内側には内型が貼り付くように設けられ、その内部が空洞であるため、複製品が軽量になり、容易に移動させることができる。
上記の製作方法において、繊維補強コンクリートには、ガラス繊維補強コンクリート(GRC)、化学繊維強化コンクリート、炭素繊維強化コンクリート等を用いることができる。また、繊維強化樹脂は、ガラス繊維、炭素繊維、綿等の天然繊維、化学繊維等から選ばれる1種又は複数種の繊維と、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等から選ばれる1種又は複数種の樹脂から構成することができる。
上記の製作方法において、軟質樹脂型に用いられる軟質樹脂としては、シリコーン樹脂(シリコーンゴムを含む)、ウレタン樹脂、熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム等が挙げられるが、耐水性、耐熱性等の耐久性に優れる点でシリコーン樹脂が好ましい。
また、上記の製作方法において、前記スペーサは、前記外型と前記内型との間の一部に配置されていても良く、全体に配置されていても良い。本発明において、前記スペーサは、外型よりも一回り小さい形状の内型を作製するために該外型の凹部に配置される。つまり、スペーサの高さの分だけ外型より内型は小さくなる。したがって、前記外型と前記内型との間の全体にスペーサが配置されているときは、例えばスペーサの高さ(厚み)が一定であれば、外型の凹部(外型の内側の形)と略相似形の外形を有する内型を形成することができる。
外型と内型の間の全体に配置されるスペーサは、例えば粘土質材料から構成することができる。この構成では、前記内型を作製する工程において、前記外型の凹部に前記スペーサを所定の厚みで貼り付け、該スペーサの表面に前記内型を作製することができる。
前記粘土質材料としては、土粘土、紙粘土、油粘土、樹脂粘土等を用いることができる。
上記の製作方法では、前記外型に前記内型を取り付ける工程において、前記外型と前記内型の間に補強用の網部材を配置することができる。
前記外型に前記内型を取り付ける工程の後、外型と内型の間に繊維補強コンクリートが流し込まれる。したがって、前記網部材は、繊維補強コンクリートの中に埋設され、固化した繊維補強コンクリートから成る外層を補強する。網部材は金属製、プラスチック製等適宜の材料のものを用いることができる。外型と内型の間の形状に沿うように配置できる点で金網等の変形可能な網部材が好ましい。
また、上記製作方法においては、前記内型が、前記外型への取り付け面に保持部を有しており、該保持部に前記網部材が取り付けられた後、前記内型が前記外型に取り付けられることが好ましい。
内型が網部材の保持部を有していることにより、外型と内型の間の適宜の位置に網部材を配置することができる。
さらに、上記の製作方法において、前記内型を作製する工程が、前記内型の前記外型に取り付けられたときに該外型と対向する面に、剥離層を形成する工程を含むと良い。
上記の製作方法では、前記外層と前記内型との間に剥離層が形成される。したがって、屋外展示物の複製品を廃棄するときに、繊維補強コンクリートである外層と繊維強化樹脂層を含む内型とを容易に分離することができる。
上記の製作方法においては、前記軟質樹脂型保持層、及び前記繊維強化樹脂層の少なくとも一方を、ハンドレイアップ法により作製することができる。ハンドレイアップ法は、シート状の織布、不織布又は編布である基材を配置し、該基材に液体状の樹脂を刷毛等で含浸させて樹脂含浸基材を形成するという作業を繰り返すことで、複数の樹脂含浸基材が積み重ねられた繊維強化樹脂層を得る方法である。ハンドレイアップ法を採用することにより、積み重ねる樹脂含浸基材の数を調整して適宜の厚さの繊維強化樹脂層を得ることができる。
また、上記の製作方法においては、前記内型を作製する工程が、前記ハンドレイアップ法により複数の樹脂含浸基材を積み重ねて前記繊維強化樹脂層を形成するとともに、前記複数層の樹脂含浸基材の間に、前記外型の凹部の形状に沿う線状の補強部材を配設する工程を含むことが好ましい。
上記の製作方法によれば、補強部材によって内型の形状を整えつつ該内型を補強することができる。
上記の製作方法においては、前記内型を作製する工程において、複製品を吊り上げて移動させるための吊り具が取り付けられる固定板を前記繊維強化樹脂層に配設することが好ましい。
上記方法によれば、クレーンのフックと係合するアイボルト等の吊り具を固定板に取り付けることができるため、クレーンを使用した複製品の移動を容易に行うことができる。
本発明に係る被複製物の複製品の製作方法によれば、耐久性に優れ、且つ軽量で容易に移動させることができる複製品を製作することができるため、屋外に展示される、遺跡から出土した遺構及び遺物等の複製品の製作方法として有用である。
本発明を景石の複製品の製作方法に適用した実施形態である複製品の製作工程を説明する図。 景石の複製品の製作工程のフローチャート。 外型のFRP部を形成した後に、FRP部を木組で補強する様子を示す図。 内型のFRP層に埋め込まれる部材を説明する図。 景石の複製品の設置例を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。ここでは発掘調査で見つかった庭園遺跡における景石の複製品の製作方法を例に挙げて説明するが、本実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、本発明の実施形態である、景石の複製品の製作工程を説明する図である。図2は製作工程のフローチャートである。
庭園遺跡の景石100は、発掘現場から移動させることが許されない。また、景石100の複製品は、1点1点が各景石の原寸大の忠実な複製であることが要求される。そのため、発掘現場で実物資料である景石100の型取り作業が行われる。型取り作業に先立ち、作業者は、準備作業を行う(ステップS1)。この準備作業では、景石100の状態を記録する。また、複製品の製作工程の仕上げ作業の一つである彩色作業の準備のために、景石100と複数の色見本とを並べて写真撮影を行う。
次に、景石100の型取り作業が行われる(ステップS2)。型取り作業では、景石100の表面に液体状の軟質樹脂であるシリコーン樹脂(例えば、液状シリコーンゴム)を塗り、固化するまで放置する。このとき、景石100の表面に微細な凹凸がある場合は、凹凸にシリコーン樹脂が噛みこまれないように景石100の表面に十分量の水をかけてからシリコーン樹脂を塗布すると良い。また、塗布されるシリコーン樹脂の量は、固化後、景石から剥がしたときに所定の厚さ(通常、1〜3 cm程度)のシート状となるように、調整される。シリコーン樹脂が固化することにより軟質樹脂型であるシリコーン型11が作製される(図1(a)参照)。
続いて、シリコーン型11の外側にFRP(繊維強化プラスチック)部12を形成する(ステップS3)。FRP部12は、ハンドレイアップ法により形成された複数層の樹脂含浸強化基材層から成る。具体的には、シリコーン型11の上にシート状の織布又は不織布である基材を貼り、該基材に液体状の樹脂を刷毛等で含浸させる。その後、ローラで気泡を追い出し、稠密な樹脂含浸強化基材層を形成する。そのような作業を複数回繰り返し、複数の樹脂含浸強化基材層を積み重ねる。樹脂含浸強化基材層の樹脂が硬化することによりFRP部12が作製される。
FRP部12は、前記シリコーン型11をバックアップするものであり、これによりシリコーン型11の形状が保持される(図1(b)参照)。つまり、FRP部12は、本発明の軟質樹脂型保持層に相当する。基材には、ガラスマット、ロービングクロスと呼称されるガラス繊維織物を使用することができる。また、基材に含浸させる樹脂としては、硬化剤を含む樹脂塗料や、常温で硬化するポリエステル樹脂等を採用することができる。
樹脂含浸強化基材層の樹脂が硬化するまでの間、図3に示すように、樹脂含浸強化基材層の周囲を木組の補強枠13で補強し、それらが景石100から剥がれないようにする。樹脂含浸強化基材層の樹脂が硬化してFRP部12が作製されると、補強枠13、FRP部12、シリコーン型11をこの順に景石100から外す(ステップS4)。特に景石100からシリコーン型11を外すときは、シリコーン型11の一部がちぎれてシリコーン樹脂の残渣となって景石100に残らないように、慎重に作業する。これにより、景石100表面の微細な凹凸を確実にシリコーン型11に転写することができる。なお、景石100の表面が比較的滑らかな場合は、FRP部12とシリコーン型11をまとめて景石100から取り外してもよい。
景石100から順に取り外された補強枠13、FRP部12、シリコーン型11から補強枠13を除き、FRP部12にシリコーン型11を元どおりに嵌め合わせる。これにより外型10が作製される(図1(c))。
次に、外型10の凹部に内型20を作製する(ステップS5)。なお、外型10の凹部は外型10のシリコーン型11側の空間を指しており、全体として凹状であればよく、部分的に凸部が有ってもよい。
まず、外型10のシリコーン型11が上になるように外型10を配置する(図1(c)参照)。そして、シリコーン型11上面をビニールシート等で被覆し、その上に樹脂粘土を一定の厚みとなるように貼り付けて、シリコーン型11の上面全体にスペーサ23を形成する。次に、スペーサ23の上面に、所定の間隔で略逆円錐台形の複数の凹部を設け、その上からシリコーン樹脂(例えば、液状シリコーンゴム)を塗布し、固化するまで放置する。シリコーン樹脂が固化することにより、シリコーン樹脂層21が形成される。このとき、スペーサ23に設けた複数の凹部にシリコーン樹脂が入り込み、保持部24が形成される(図1(e)参照)。なお、シリコーン樹脂層21は、スペーサ23とFRP層22の分離を容易にするとともに、将来、複製品を廃棄する場合に、不燃材として処分されるGRCと、可燃材として処分されるFRPとの分離を容易にするための剥離層である。
次に、ハンドレイアップ法により複数の樹脂含浸強化基材層から成るFRP層22を形成する(図1(d)参照)。具体的には、シリコーン樹脂層21の上面に基材を敷き、該基材に液体状の樹脂を刷毛等で含浸させて樹脂含浸強化基材層を形成する。FRP部12と同様、基材には、ガラスマット、ロービングクロス等のガラス繊維織物を用いることができる。次に、樹脂含浸強化基材層の上に基材を重ね、該基材に液体状の樹脂を刷毛等で含浸させて樹脂含浸強化基材層を積層する。このような作業を複数回繰り返して、複数の樹脂含浸強化基材層を積み重ね、FRP層22を形成する。なお、シリコーン樹脂層21の表面に、保持部24に対応する窪みができるが、その窪みに、樹脂含浸強化基材層を積層するときに基材に含浸される樹脂が入り込む。
また、或る樹脂含浸強化基材層の上に次の基材を重ねる前に、該樹脂含浸強化基材層の上に棒状に成形した樹脂粘土から成る補強部材27を、外型10の凹部の形状に沿わせて貼り込む。これにより、複数の樹脂含浸強化基材層の樹脂が硬化したときにFRP層22の内部に補強部材27が埋め込まれた内型20が作製される(図4)。補強部材27が埋め込まれていることによって、内型20を、外型10の凹部の形状に対応するように成形することができる。
なお、この実施形態では、スペーサ23の形成に樹脂粘土を使用したが、一定の厚みを形成することができる材料であれば、粘土質材料に限定されない。スペーサ23を、例えば、一定の厚みの発泡ウレタンで形成してもよい。また、補強部材27として樹脂粘土を使用したが、外型10の内側形状に沿うように曲げることが可能で、且つ樹脂含浸強化基材層の間に埋め込むことができる線状の部材であれば粘土質材料に限定されない。このような線状の部材としては、例えば、フレキシブルチューブ、フレキシブルホース、スパイラルチューブ等と呼称される可撓性のチューブ、棒状のウレタン等、を用いることができる。
内型20は複製品の一部を構成するとともに、外型10との間に複製品の一部である外層を形成するための型となる。
また、この実施形態では、クレーンのフックと係合するアイボルト用の固定板25及び該固定板25のネジ穴にねじ込まれたロッドボルトを、FRP層22に埋め込んでおく。これにより、完成した景石の複製品をクレーンで容易に吊り上げることができる。
FRP層22が硬化したら、図1(e)に示すように、FRP層22を外型10から取り外し、上下反転して凸側の面を上にして置く。そして、シリコーン樹脂層21の上の全面に金網26を配設する。このとき、シリコーン樹脂の突起物である保持部24に金網26の網目を係合させる。保持部24を略円錐台形の突起物とすることで、金網26の網目が円錐台形のおおよそ中間の高さで係り合い、金網26が固定される。こうして形成した、内型20を、図1(f)に示すように、再度上下反転する。そして、外型10への取り付け面に保持部24を有し、該保持部24に金網26が取り付けられた内型20を、スペーサ23を除いた前記外型10内に再度嵌め込み、GRCの流し込み型30を組み立てる(ステップS6)。なお、外型10の縁に掛けられた内型20のFRP層22の突出部分には、適当な間隔でGRC流入口32を設けておく。
こうして組み立てたGRCの流し込み型30の外型10と内型20との間の隙間に、GRC流入口32から流動状のGRCを流し込み、所定の時間保持することにより固化させる(ステップS7)。こうして形成されたGRC製の層を外殻層31と呼ぶ。なお、外殻層31は、本発明の外層に相当する。また、外型10と内型20との間の隙間に、流動状のGRCを流し込んだ時に、GRCが金網26の網目に入り込むことで、金網26がGRC中に埋設され、固化したGRCから成る外殻層31を補強する(後述する図5(a)の拡大図参照)。つまり、金網26は、本発明の補強用の網部材に相当する。
外殻層31が形成された後、図1(g)に示すように、外殻層31と内型20が一体化した成形物40を外型10から取り外す(ステップS8)。この外殻層31と内型20の一体物である成形物40が景石の複製品となる。そして、成形物40の外殻層31に液体のアルカリ中和剤を塗布する。これにより、外殻層31のGRCからのアルカリ分の浸出を防ぐためのあく抜きができる。成形物40を十分に乾燥させたら、成形物40を複製品50に仕上げる仕上げ作業を行う(ステップS9)。
仕上げ作業では、成形物40からの内型20のFRP層22の不要な突出(バリ)をカットして取り除く。そして、準備作業(ステップS1)で撮影した色見本を参照して、調合された塗料で成形物40に着色を施す。これにより、複製品50が完成する。
なお、上記実施形態における内型20を作製する工程においては、スペーサ23を設けた外型10の凹部に、内型20の原形となるFRP層22を形成し、外型10からFRP層22を取り外して、さらに保持部24と金網26を配設して、内型20としているが、このような手順に限定されない。例えば、外型10の凹部に設けたスペーサ23の内側に金網26を敷き、金網26の網目に適当な間隔で保持部24を嵌め、さらにその上にFRP層22を形成するようにしてもよい。この場合には、外型10からスペーサ23と、保持部24と金網26から成る内型20とを一体として取り外した後に、金網26に付着したスペーサ23を取り除く。
図5は、本実施形態に係る景石の複製品50の設置例を示す図である。図5(a)は、原景石100の一部が露出する程度に盛土をし、その上に、景石の複製品50を設置した例を示す図である。図5(b)は、景石の複製品50をクレーンにより移動させる様子を説明する図である。なお、図5においては、複製品50の断面図を示している。
図5(a)に示すように、景石の複製品50は、FRP製の内型20によりその内部に底部が広く開口した空洞構造が形成される。このため、原景石100の一部が保護盛土の上に露出している場合でも、その空洞構造により原景石100の露出部分をすっぽり覆うことができ、原景石100を風雨から保護することができる。
この実施形態では、FRP製の内型20には、前記の通り、固定板25とロッドボルトを埋め込んである。景石の複製品50をクレーンで吊り上げるときは、ロッドボルトを固定板25から取り外し、そのネジ穴に、クレーンフック55と係合するアイボルト52をねじ込む。クレーンによる景石の複製品50の移動作業が終わった後はアイボルト52を取り外し、残った外殻層31の孔は、GRC、セメント等の適当な補修材により塞ぐ。
上記実施形態では、遺跡から出土した遺構及び遺物のうち、屋外展示される庭園遺跡の遺構である景石の複製を例に説明したが、これに限定されない。例えば、建物の柱跡、墓跡等の遺構及び遺物等の埋蔵文化財の複製品、仏像や道標などの文化財の複製品、公園などに置かれる彫刻の複製品等、屋外の展示を目的として製作される様々な複製品の製作に、この発明の方法を適用することができる。また、屋外の展示だけでなく、屋外から屋内に移動させて展示される複製品あるいは、主に屋内で展示される複製品の製作にも、この発明の方法を適用することができる。
上述した製作方法により製作された複製品は以下の特徴を有している。
すなわち、被複製物の形状が転写された表面を有する、繊維補強コンクリートから成る外層と、
前記外層の内面に密着して配された、内部に空洞を有する、繊維強化樹脂から成る内層と、を備える複製品である。
上記の複製品において、前記内層が複数層の樹脂含浸繊維層から成り、該複数層の樹脂含浸繊維層中のいずれか2層の間に線状の補強部材を備えることが好ましい。
上記の複製品において、前記内層には、該複製品を吊り上げて移動させるための吊り具が取り付けられる固定板が備えられていることが好ましい。
また、上記の複製品において、前記内層と前記外層との間に、シリコーン樹脂層を備えることが好ましい。
10…外型
11…シリコーン型
12…FRP部
13…補強枠
100…景石
20…内型
21…シリコーン樹脂層
22…FRP層
23…スペーサ
24…保持部
25…固定板
26…金網
27…補強部材
30…流し込み型
31…外殻層
32…GRC流入口
40…成形物
50…複製品
52…アイボルト
55…クレーンフック

Claims (9)

  1. 被複製物の表面に軟質樹脂を塗布し、固化させて軟質樹脂型を作製する工程と、
    前記軟質樹脂型の外側に、繊維強化樹脂から成る軟質樹脂型保持層を作製する工程と、
    前記軟質樹脂型保持層と前記軟質樹脂型から成る外型を前記被複製物から分離する工程と、
    前記外型の凹部に、所定の高さのスペーサが配置された状態で繊維強化樹脂層を含む内型を作製する工程と、
    前記内型と前記スペーサを前記外型から取り外し、該外型に、該スペーサを除いて該内型を取り付ける工程と、
    前記外型と前記内型の間に繊維補強コンクリートを流し込み、固化させて外層を作製する工程と、
    前記外層と前記内型との一体物である複製品を前記外型から取り外す工程と
    を含む、被複製物の複製品の製作方法。
  2. 請求項1に記載の被複製物の複製品の製作方法において、
    前記軟質樹脂がシリコーン樹脂である、被複製物の複製品の製作方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の被複製物の複製品の製作方法において、
    前記スペーサが粘土質材料から成り、
    前記内型を作製する工程において、前記外型の凹部に前記スペーサを所定の厚みで貼り付け、該スペーサの表面に前記内型を作製する、被複製物の複製品の製作方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の被複製物の複製品の製作方法において、
    前記外型に前記内型を取り付ける工程において、前記外型と前記内型の間に補強用の網部材が配置される、被複製物の複製品の製作方法。
  5. 請求項4に記載の被複製物の複製品の製作方法において、
    前記内型が、その前記外型への取り付け面に保持部を有しており、該保持部に前記網部材が取り付けられた後、前記内型が前記外型に取り付けられる、被複製物の複製品の製作方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の被複製物の複製品の製作方法において、
    前記内型を作製する工程が、前記内型の前記外型に取り付けられたときに該外型と対向する面に、剥離層を形成する工程を含む、被複製物の複製品の製作方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の被複製物の複製品の製作方法において、
    前記軟質樹脂型保持層、及び前記繊維強化樹脂層の少なくとも一方が、ハンドレイアップ法により作製される、被複製物の複製品の製作方法。
  8. 請求項7に記載の被複製物の複製品の製作方法において、
    前記内型を作製する工程が、前記ハンドレイアップ法により複数の樹脂含浸基材を積み重ねて前記繊維強化樹脂層を形成するとともに、前記複数の樹脂含浸基材の間に、前記外型の凹部の形状に沿う線状の補強部材を配設する工程を含む、被複製物の複製品の製作方法。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の被複製物の複製品の製作方法において、
    前記内型を作製する工程において、複製品を吊り上げて移動させるための吊り具が取り付けられる固定板を前記繊維強化樹脂層に配設する、被複製物の複製品の製作方法。
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