JP6884228B2 - ニュートリノ検出器装置、ニュートリノ検出システム、およびニュートリノを検出する方法 - Google Patents

ニュートリノ検出器装置、ニュートリノ検出システム、およびニュートリノを検出する方法 Download PDF

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Description

本発明は、極低温で作動されるターゲット(標的)結晶における重い原子核とニュートリノとの相互作用に基づいてニュートリノを検出するためのニュートリノ検出器装置に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのニュートリノ検出器装置を含むニュートリノ検出器システム、およびニュートリノ検出器装置を用いてニュートリノを検出する方法に関する。
本発明の適用例は、特に地上環境における、例えば、原子力発電所、研究実験または地質学的形成の監視における、ニュートリノの調査において利用可能である。
本明細書では、本発明の技術的背景を例示する次の先行技術が参照される。
[1]E. Christensen et al., "Phys. Rev. Lett." vol. 113, 2014, p.042503;
[2]欧州特許第0102398号;
[3]A. Drukier et al., "Phys. Rev. D" vol. 20, 1984, p.2295;
[4]R. Strauss et al., "Nuclear Instruments & Methods in Physics Research A" vol. 845, 2017, p.414-4172016;
[5]F. Proebst et al., "J. Low. Temp. Phys." vol. 100(12), 1995, p.69-104。
欧州特許第0102398号
E. Christensen et al., "Phys. Rev. Lett." vol. 113, 2014, p.042503 A. Drukier et al., "Phys. Rev. D" vol. 20, 1984, p.2295 R. Strauss et al., "Nuclear Instruments & Methods in Physics Research A" vol. 845, 2017, p.414-4172016 F. Proebst et al., "J. Low. Temp. Phys." vol. 100(12), 1995, p.69-104
ニュートリノは、自然界の4つの既知の基本的相互作用のうちの1つである弱い相互作用を介してのみ物質(材料)と反応することが、一般的に知られている。従って、ニュートリノは、周囲の物質(材料)の影響を受けることなく等方的に発生源から出る。これによって、それら(ニュートリノ)は、例えば原子核反応を監視するための、理想的な情報源となる。人工的原子核反応を監視する例として、重水炉用の反ニュートリノ監視が文献[1]で提案された。しかし、ニュートリノは電荷を持たず基本的にゼロの質量を有するので、ニュートリノの検出は課題である。
例えば、宇宙空間からのニュートリノ流束(flux)または加速器内の核反応を調査するための、基礎研究において、数百トンもの巨大なターゲット(標的)質量を有するニュートリノ検出器が使用される。一例として、ニュートリノとターゲット物質との相互作用によって、光子(フォトン)が生成されて光センサ(検出器)で検出される。これらの検出器は、背景(バックグラウンド)放射、例えば宇宙線、を遮蔽するために地下で作動される。サイズ(大きさ)および地下動作に起因して、このタイプ(種)のニュートリノ検出器は、例えば原子力発電所において、人工的原子核反応を時間分解能で監視するのには適していない。
文献[2]および[3]において、超伝導半導体ターゲット材料を含む小型のニュートリノ検出器が提案された。ニュートリノとターゲット材料との相互作用によって、ニュートリノ相互作用事象の指標として検出できるターゲット材料の電気抵抗率の変化が誘発される。このタイプのニュートリノ検出器によって、例えば放射能の地質源を調査するために、地上での動作、および移動式動作さえも可能になるであろうが、それには、制限された感度閾値(エネルギ閾値)に関してかなりの欠点があるであろう。
低い感度閾値を有する検出器は、ニュートリノ検出のためだけでなく、例えば暗黒物質探索においても、要求される。文献[4]に開示された暗黒物質検出器は、サイズ20mm×20mm×10mmのCaWO4ターゲット結晶と、温度センサとを含んでいる。その温度センサは超伝導転移端センサ(transition edge sensor)である(文献[5])。ニュートリノまたは暗黒物質粒子とターゲット結晶との相互作用に応答して、フォノン(音子、音量子)が生成され、温度センサにおいて測定可能な温度変化が誘導される。ターゲット結晶は、同様に温度センサを備えた複数のCaWO4棒(sticks)によって支持される。複数のCaWO4棒は、ターゲット結晶に対して或る単一の空間的方向に沿って配置される。CaWO4棒は、背景(バックグラウンド)相互作用事象のアンチコインシデンス(anticoincidence:逆(反)同時計数、同時消去)に基づく識別(ベトー(veto:拒否)検出器)に使用される。極低温での動作で、190eVの地上感度閾値が得られる。さらに、文献[4]では、50eVの感度閾値が推定されており、それによってニュートリノの検出が提供されるであろう。しかし、このエネルギ閾値は、文献[4]に開示された検出器の地下動作のためだけに得られるのて、それは地上ニュートリノ検出に適さないようになっているであろう。
発明の目的
本発明の目的は、通常の検出器技術の限界を解消(回避)することができ、特に改善された感度閾値を実現し、例えば、地上でのニュートリノ検出を可能にしおよび/または改善されたバックグラウンド(背景)抑制を提供する、改良または改善されたニュートリノ検出器装置および方法を実現することである。さらに、本発明の目的は、少なくとも1つのニュートリノ検出器装置を含み、通常の検出器システムの限界を解消(回避)することができ、特に調査環境での移動動作が可能になる、改良されたニュートリノ検出器システムを実現することである。
発明の概要
これらの目的は、それぞれ対応して、独立請求項の特徴を含むニュートリノ検出器装置、ニュートリノ検出器システム、およびニュートリノを検出する方法によって解決される。本発明の好ましい実施形態および適用例は従属請求項に記載されている。
本発明の第1の一般的な態様(観点)によれば、上述の目的は、少なくとも1つのターゲット検出器、内部ベトー検出器および外部ベトー検出器を含むニュートリノ検出器装置によって達成(解決)され、その少なくとも1つのターゲット検出器は内部ベトー検出器に含まれ、その内部ベトー検出器は外部ベトー検出器に含まれる。その少なくとも1つのターゲット検出器、内部ベトー検出器および外部ベトー検出器は、極低温検出器であり、即ち、それらは、極低温動作温度における、特に200mK未満の動作温度における、例えば5mK乃至100mKの範囲における、動作用に構成される。
各ターゲット検出器は、ターゲット結晶と、そのターゲット結晶に接触するターゲット温度センサとを含んでいる。ターゲット結晶は、重原子核(50より多い質量数を有する原子核)を含む単結晶である。検出対象のニュートリノと、ターゲット結晶との、特に重原子核との、相互作用に応答して、ターゲット結晶内でフォノンが生成される。“ニュートリノ”という用語は、素粒子のニュートリノおよびその反粒子の反ニュートリノの両方を指す。相互作用事象は、物理学の標準モデルで記述され既に基礎研究実験で実験的に調査されたコヒーレント・ニュートリノ原子核散乱(CNNS)を含んでいる。1つのターゲット温度センサが1つのターゲット結晶上に設けられることが、好ましい。ターゲット温度センサは、ターゲット結晶で生成されたフォノンを吸収する能力があり、その吸収されたフォノンは電気抵抗測定によって検出される温度変化を誘発する。ターゲット検出器の出力信号は、内部および外部ベトー検出器を使用して抑制される複数の可能性あるバックグラウンド事象および複数のニュートリノ相互作用事象の発生を表す。
ターゲット結晶は結晶体積(crystal volume)を有し、ターゲット温度センサはその結晶体積に整合したセンサ・サイズ(大きさ)を有する。本発明によれば、結晶体積およびセンサ・サイズの選択は、少なくとも1つのターゲット検出器の地上感度閾値が、180eV未満、好ましくは100eV未満、特に好ましくは50eV未満、となるように行われる。その選択された結晶体積はターゲット結晶サイズであり、その際、フォノン密度が充分高く、それと同時にニュートリノ相互作用事象に対する重原子核の充分な質量が提示されて、その感度閾値が得られようにされ、そのときターゲット結晶は内部および開部のベトー検出器によって包囲され(enclosed:囲まれ)ている。ターゲット結晶サイズは、検出対象のニュートリノのエネルギおよび流束に依存して、例えば実際的な試験または数値計算によって、推定することができる。通常の検出器と比較すると、例えば文献[4]によれば、結晶体積(結晶量)を減らすことによって、改善された感度閾値が得られる。さらに、ターゲット温度センサの幾何学的特徴である検出器サイズは、結晶体積に応じて(依存するように)選択される。ターゲット結晶において発生したフォノンは、結晶体積に応じて特定の寿命を有する。センサ・サイズ、特にターゲット温度センサのフォノン吸収部の面積(領域)、の選択は、フォノンの寿命が、ターゲット温度センサによって影響されないかまたは無視できる程度にしか影響されないように、行われる。
内部ベトー検出器(または内部アンチコインシデンス検出器)は、バックグラウンド事象、特にベータ(β)およびアルファ(α)放射線、および/またはターゲット結晶によって任意に生成された光、を検出するよう適合化される。内部ベトー検出器は、それぞれが内部ベトー温度センサを備えた少なくとも1つの内部ベトー部品(構成要素)を含んでいる。バックグラウンド事象は、少なくとも1つの内部ベトー部品においてフォノンを生成し、その結果として内部ベトー温度センサの温度変化が生じ、それ(温度変化)は電気抵抗測定によって検出される。内部ベトー検出器の出力信号は、ターゲット検出器の出力信号と比較することができ、従って、アンチコインシデンス・バックグラウンド抑制を与える。そのターゲットと内部ベトー出力信号に同時に含まれる複数の信号成分は、バックグラウンド信号として破棄される。
さらに、本発明によれば、少なくとも1つの内部ベトー部品は、少なくとも1つのターゲット検出器を囲む形状を有していて、少なくとも1つのターゲット検出器が内部ベトー検出器内に配置されるようにされる。少なくとも1つのターゲット検出器を“囲む”(surround)という用語は、少なくとも1つの内部ベトー部品が、少なくとも2つの異なる空間的方向に沿って少なくとも1つのターゲット検出器に隣接して配置されること、を示す。少なくとも1つのターゲット検出器は、ターゲット検出器ホルダ(または機器装備ホルダ)を形成する少なくとも1つの内部ベトー部品によって、支持される。内部ベトー検出器の少なくとも1つの内部ベトー部品は、例えばシリコンまたはサファイア・ウェハのような単結晶ウェハを含むことが、好ましい。さらに好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの内部ベトー部品は、10μm乃至1mmの範囲の厚さを有する平面板(プレート)である。
本発明によれば、他のバックグラウンド事象、特にガンマ(γ)線および中性子線、を検出するために、外部ベトー検出器(または外部アンチコインシデンス検出器)が設けられる。それは、外部ベトー温度センサをそれぞれ有する少なくとも1つの外部ベトー部品(または外部ベトー容器部品)を含んでいる。この場合も同様に、バックグラウンド事象は、その少なくとも1つの外部ベトー部品においてフォノンを生成し、その結果として外部ベトー温度センサの温度変化が生じ、それ(温度変化)は別の電気抵抗測定によって検出される。外部ベトー検出器の出力信号は、ターゲット検出器および内部ベトー検出器の出力信号と比較され、従って、アンチコインシデンス・バックグラウンド抑制を形成する。そのターゲットおよび内部および/または外部ベトー出力信号に同時に含まれる信号成分は、バックグラウンド信号として破棄される。さらに、外部ベトー検出器は、好ましくは全ての空間的方向に沿って、内部ベトー検出器を囲む。少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの、外部ベトー部品は、内部ベトー検出器を含む容器(コンテナ)を整形または形成する。少なくとも1つの外部ベトー部品は、例えばGeまたはCaWO4のような単結晶材料で形成されることが、好ましい。
内部および/または外部ベトー検出器は、セグメント化することができること、即ち、それらは複数の内部および/または外部ベトー部品をそれぞれ含むことができることが、好ましい。内部および/または外部ベトー検出器のセグメント化は、少なくとも1つのターゲット検出器のサイズに内部および/または外部ベトー部品のサイズおよび形状を適合化させるという、および/または内部および/または外部ベトー部品を製造するという利点を有し得る。
利点として、通常の技術と比較してターゲット結晶のサイズを小さくすると、ターゲット結晶内のコヒーレント(可干渉性)なニュートリノ原子核散乱の検出が可能になる次のような利点が組合せで得られる。第1に、改善された感度閾値が得られる。第2に、バックグラウンド抑制が大幅に改善されるように、少なくとも1つのターゲット検出器を内部および外部ベトー検出器内に配置することが、容易になる。第3に、ニュートリノ散乱事象を検出する絶対レート(率、周波数)は、0.5Hz未満、特に0.1Hz未満、の合計レート(ニュートリノ・パルス・バックグラウンド事象)に制限される。散乱事象を表すターゲット温度センサの出力信号は約10ms乃至100msの持続時間を有するので、ターゲット結晶のサイズは、ニュートリノ散乱事象を検出する絶対レートが0.5Hz未満、特に0.1Hz未満、になるように選択されることが、好ましい。従って、3つの入れ子の(ネスト化した)検出器を備えた本発明による構造によって、地上でのニュートリノ検出が可能になる。改善された精度と再現性を有するニュートリノ検出の利点が得られ、一方、同時に小型の(コンパクトな)設計が実現される。小型の設計によって、原子力発電所の監視のような新しい適用例が利用可能になる。
本発明の第2の一般的な態様によれば、上述の目的は、本発明の上述の第1の一般的な態様による少なくとも1つのニュートリノ検出器装置と、その少なくとも1つのニュートリノ検出器装置を稼働させるよう適合化された作動装置とを含むニュートリノ検出器システムによって、達成(解決)される。作動装置は、少なくとも1つのニュートリノ検出器装置を極低温動作温度まで冷却するための冷却装置と、少なくとも1つのニュートリノ検出器装置を、特に、ターゲット、内部ベトーおよび外部ベトー検出器を収容する真空チャンバを、排気するための真空装置と、各ターケット検出器のターゲット温度センサ、各内部ベトー検出器部品の内部ベトー温度センサおよび各外部ベトー容器部品の外部ベトー温度センサに連結されている制御装置と、を含んでいる。冷却装置は、例えば希釈クライオスタットのような、市販のクライオスタット(低温保持装置)を含むことが、好ましい。制御装置は、それらのセンサから出力信号を受信し、また、バックグラウンド識別を含みニュートリノ散乱事象を識別(特定)するその出力信号の分析を行うことが、好ましい。
ニュートリノ検出器装置の小型のサイズ、およびその装置の地上動作の能力、並びに小型の冷却および真空装置の利用可能性に起因して、ニュートリノ検出器システムは、調査対象の環境を監視するための柔軟で新しい適用例に関して、特定の利点を有する。
発明の第3の一般的な態様によれば、上述の目的は、ニュートリノを検出する方法によって達成(解決)され、その際、本発明の上述の第1の一般的な態様による少なくとも1つのニュートリノ検出器装置、および/または、本発明の上述の第2の一般的な態様による少なくとも1つのニュートリノ検出器システムが、調査対象の環境において使用されるる。ニュートリノを検出する方法は、ターゲット温度センサ、内部ベトー温度センサおよび外部ベトー温度センサの各々からの時系列のセンサ出力信号を収集する工程と、少なくとも1つのターケット検出器におけるニュートリノ散乱事象を識別するためにその収集された出力信号を分析する工程と、を含んでいる。
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのターゲット検出器のターゲット結晶は、立方体の最大の体積表面積比に関する利点を有する立方体形状を有する。ターゲット結晶は、10mm未満、特に6mm未満、および/または1mm超、特に3mm超、の端縁長さ(辺長)を有することが、好ましい。代替的に、ターゲット結晶の立方体を用いることができる。
別の好ましい実施形態によれば、それらの検出器の中の少なくとも1つの検出器のそれらの温度センサ、特に各ターゲット検出器のターゲット温度センサ、が、超伝導転移端センサ(TES)である場合、感度閾値を低下させる利点が得られる。TESは、ターゲット結晶の表面上に堆積された、例えばW(タングステン)製の、フォノン吸収膜を含んでいる。検出器温度を調整することによって、TESは、フォノン吸収膜の超伝導状態と常伝導状態の間で遷移する状態で作動され、従って各温度変化に応答して大きい抵抗率変化を形成する。代替的または追加的に、それらの検出器の中の少なくとも1つ検出器のそれらの温度センサは、NTD検出器を含んでいてもよい。
本発明によるニュートリノ検出器装置は、1つの単一のターゲット検出器のみを含むことができ、従って有利な形態で装置(デバイス)構造のサイズが最小化される。単一のターゲット検出器を用いると、約10m乃至15mの範囲の距離で5GWの熱出力(パワー)を有する熱原子炉において、例えば1日当り10個のニュートリノ散乱事象、という実際的な測定結果を検出することができる。代替的な好ましい設計によれば、複数のターゲット検出器のアレイ(または検出器アレイ)が、内部ベトー検出器内に設けられる。本発明のこの実施形態は、高感度(敏感な)検出器の体積を増大させることによってニュートリノを検出する確率を増大させる利点を与える。調査環境を監視するための測定時間は、単一ターゲット結晶の使用に比べて、短縮することができる。複数のターゲット検出器のアレイは、互いに分離して並置されていて内部ベトー検出器によって共通に保持された少なくとも2つのターゲット検出器を含むことが、好ましい。ターゲット検出器のアレイは、複数のターゲット検出器の少なくとも1つの平面マトリックス配列を含むことが、特に好ましい。
本発明の別の利点として、検出器アレイの全てのターゲット結晶は、1つの共通のウェハ部品で製造できる。利点として、全てのターゲット結晶は同じ材料で構成される。ターゲット温度センサは、一般的な薄膜堆積(被着)プロセスを用いて同時にそのウェハ上に形成することができる。全てのターゲット温度センサは、同じ熱的および電気的特性(特に、熱容量、熱伝導率、外部ヒートシンクとの熱結合、電気抵抗)を与えることができ、従ってフォノン検出の再現性が向上する。この利点は、多数のターゲット結晶でも、例えば、1アレイ当り少なくとも9個、または1アレイ当り少なくとも100個でも、得られる。
別の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの参照(基準)ターゲット検出器を内部ベトー検出器内に配置することができる。参照ターゲット検出器は、ターゲット結晶と比較して異なる組成を有する少なくとも1つの参照ターゲット結晶を含んでいる。参照ターゲット結晶の組成は、バックグラウンド相互作用事象に応答してフォノンを生成するよう選択される。各参照ターゲット結晶は、参照ターゲット結晶において生成されたフォノンの吸収に応答して温度変化を検知するよう配置された参照ターゲット温度センサを備えている。利点として、参照ターゲット検出器は、バックグラウンドの統計的特徴付けを供給する。特に、少なくとも1つの参照ターゲット検出器は、ニュートリノ信号のレート(率、周波数)の推定において使用できる中性子バックグラウンドのエネルギ分布に関する情報を供給し、従ってニュートリノ検出の重要度(重み)を高める。代替的に、少なくとも1つの参照ターゲット検出器のエネルギ・スペクトルは、少なくとも1つのターゲット検出器のエネルギ・スペクトルから単純に減算することができる。
ターゲット結晶と参照ターゲット結晶の双方は、例えばCaWO4およびサファイアAl23のような、異なる結晶材料で形成されるが、共に、例えば双方の結晶タイプ(型)の結晶格子内の酸素原子によって供給される軽原子核(質量数が50以下の核)を含むことが、好ましい。利点として、軽原子核は中性子および/またはガンマ光子を散乱させる。ターゲット検出器と参照ターゲット検出器の両出力信号を比較することによって、特に中性子および/またはガンマ散乱信号をさらに抑制することができる。
複数の参照ターゲット検出器のアレイは、内部ベトー検出器内に、特にターゲット検出器のアレイとの組合せで、設けることができることが、特に好ましい。参照ターゲット検出器のアレイは、ターゲット検出器のアレイのような、同じサイズおよび幾何学的構成を有することが、好ましい。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、内部ベトー検出器の少なくとも1つの内部ベトー部品は、全ての空間的方向に沿って少なくとも1つのターゲット検出器を囲むように、構成される。少なくとも1つのターゲット検出器(および任意に少なくとも1つの参照検出器)は、少なくとも1つの内部ベトー部品によって完全に包囲される(囲まれる)。1つの単一の内部ベトー部品が設けられる場合、それ(部品)は少なくとも1つのターゲット結晶を収容する容器を形成する。複数の内部ベトー部品が設けられる場合、それら(部品)は、各ターゲット結晶内の任意の場所から周囲に向かう任意の直線(照準線)が1つの内部ベトー部品と交差するように、配置される。利点として、完全な包囲(囲い、筐体)は、内部ベトー検出器による最大のバックグラウンド抑制を与える。
内部ベトー検出器の少なくとも2つのプレート(板材)形状またはスラブ(厚板)形状の内部ベトー部品(または内部ベトー保持部品)が少なくとも1つのターゲット検出器の両側(対向側)上に配置される場合、ターゲット検出器を保持しアンチコインシデンス・バックグラウンド抑制を行う二重の機能を遂行する利点が得られる。複数の内部ベトー保持部品は、ターゲット検出器のターゲット結晶に接触する露出端部を有する突状の(突出した、隆起した)複数の第1の支持要素を有する。それらの第1の支持要素は、複数の内部ベトー保持部品と共に一体的に形成されることが、好ましい。それらの内部ベトー保持部品、特にそれらの第1の支持要素は、それらの間に少なくとも1つのターゲット検出器を固定する。プレート形状の複数の内部ベトー部品の中の少なくとも1つは、極低温においても弾性変形可能なバネ(スプリング)を形成する柔軟なウェハであることが、好ましい。その弾性変形可能なウェハは、変化する温度において生じる可能性がある機械的応力を吸収する。
さらに、その少なくとも1つの内部ベトー部品に加えて、内部ベトー検出器は、複数の第2の支持要素を介してその少なくとも1つの内部ベトー部品を支持するよう適合化された少なくとも1つの受動的な支持部品を含むことができる。それらの第2の支持要素は、少なくとも1つの内部ベトー部品に接触する他の突状の構造体である。
利点として、第1および/または第2の支持要素は、支持された各部品が機械的に接触する各接触面を形成し、それらの接触面は各部品の広がりよりも小さくて、熱結合が低減されるようにされる。それらの第1の支持要素の接触面の大きさの調整は、各ターゲット結晶と複数の内部ベトー部品の間の熱結合が、ターゲット結晶からターゲット温度センサを介して周囲の熱浴(ニュートリノ検出器装置の周囲部分)への熱結合に比べて、無視し得るものとなるように、行われることが、好ましい。さらに、それらの第2の支持要素の接触面の大きさの調整は、支持された各内部ベトー部品と複数の受動的な支持部品の間の熱結合が、少なくとも1つの支持された内部ベトー部品から内部ベトー温度センサを介して周囲の熱浴への熱結合に比べて、無視し得るものとなるように、行われる。第1および第2の支持要素は、点状の接触面を形成することが、特に好ましい。
任意に、内部ベトー検出器は、内部ベトー温度センサを用いて光吸収、フォノン生成およびフォノン検出により光子を検出するよう適合化することができる。この場合、更なるバックグラウンド抑制の利点が得られる。少なくとも1つのターゲット検出器のターゲット結晶は、ターゲット結晶におけるバックグラウンド相互作用事象に応答して光子を生成するよう適合化されることが、好ましい。光子は、ターゲット結晶を囲む内部ベトー検出器によって検出される。ターゲット温度センサおよび内部ベトー温度センサの出力信号は、更なるアンチコインシデンス・バックグラウンド抑制に使用することができる。
利点として、全ての内部ベトー部品は同形の各ウェハ部品から形成することができ、また、全ての内部ベトー部品は同じ材料で構成されることが、好ましい。それらの内部ベトー温度センサは、一般的な薄膜堆積プロセスを用いて同時にウェハ上に形成することができる。ターゲット温度センサと同様に、それらの内部ベトー温度センサに、同じ熱的および電気的特性を与えることができ、従ってフォノン検出の再現性が向上する。従って、半導体プロセスの利用可能なプロセスを使用すると、内部ベトー検出器の製造の複雑さは内部ベトー部品の数に依存しなくなる。
利点として、本発明によるニュートリノ検出器装置は、バックグラウンドに対して堅牢であり、ニュートリノ検出器システムの地上での適用を可能にする。ニュートリノ検出器システム全体(基礎構造またはインフラストラクチャを含む)は小さい空間しか必要としない。従って、それは、定置式容器(コンテナ)に、例えば建物の内外、または、例えばミニバス、輸送機、可動式容器(コンテナ)のような、移動式運搬装置上に、配置することができる。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、ニュートリノ検出器システムは、電力供給用または電源用に配置されていて固定電力網と独立してニュートリノ検出器システムを作動させる発電機装置を含んでいる。従って、ニュートリノ検出器システムは、移動式運搬装置上に発電機装置を含んだ状態で、調査対象の環境における標的部位(ニュートリノ源)に対して移動させることができる。
本発明の好ましい適用例によれば、調査対象の環境における標的部位(ターゲット・サイト)は原子力発電所である。少なくとも1つの本発明によるニュートリノ検出器システムは、原子力発電所から、例えば最大100mまたはそれより長い、例えば最大500mまで、の距離に配置することができる。利点として、原子力発電所の地域または領域に入る必要がない。
原子力発電所は時間の関数として監視することができる。ニュートリノ流束(フラックス)は原子力発電所の運転出力(パワー)に依存するので、その複数の運転段階は、例えば、発電のための複数の正規の運転段階、またはプルトニウム濃縮のための核分裂物質の転換のための頻繁な運転停止を含めて、識別することができる。
本発明によるニュートリノ検出器システムを用いて、ニュートリノのエネルギ・スペクトルを測定することができ、核分裂物質の組成に関する情報が得られる。この場合、複数の単一監視行動で充分であり、連続的な監視が省略できる。
検出方法の別の好ましい実施形態によれば、本発明によるニュートリノ検出器システムは、調査対象の環境における標的部位からの相異なる距離を有する相異なる検出位置に配置することができる。相異なる検出位置においてセンサ出力信号を収集しその収集されたセンサ信号を分析することによって、相異なる検出位置における各収集センサ信号の相違または差異を分析することによってバックグラウンド状態をさらに特徴付けることができるようになる。
要約すると、本発明は、コヒーレント・ニュートリノ原子核散乱(CNNS)に対して高感度のニュートリノ検出器を実現し、2つの主要な課題、即ち、極低エネルギ閾値と、異常に小さいバックグラウンド・レベル(背景強度)との組合せ、に直面する。本発明による検出器によって、極低温検出器で到達可能な最低の核反跳閾値(≦10eV)の可能性と、基準(fiducial)体積装置(デバイス)の利点とが結び付けられる。内部および外部ベトー検出器は、最も内側のターゲット体積(基準体積)におけるバックグラウンド・レベルを低減する外部放射に対する最も外側の領域のアクティブ・シールド(能動的遮蔽)を形成する。各事象の正確な空間位置の再構成(復元)を熱検出器内で実現することが困難なので、これまでのところ、この可能性を利用することができなかった。ここでは、次のような3つの個々の検出器(熱量計)を組み合わせることによって、基準体積を実現する極低温検出器が提示される。即ち、1)極めて低い閾値(≦10eV)を有するターゲット検出器(基準体積)、2)例えば表面ベータおよびアルファ崩壊に対する、好ましくは4πベトーのような、内部ベトー検出器、および3)例えば外部ガンマ/中性子放射線に対する、大規模な外部ベトー検出器、である。さらに、内部ベトー検出器は、(例えば、応力緩和から)ホルダ関連の事象を識別するためにターゲット結晶用の機器装備ホルダとして機能する。
本発明の他の詳細および利点は、図面を参照して以下で説明する。
図1は、本発明によるニュートリノ検出器装置の好ましい実施形態の概略的断面図である。 図2は、本発明によるニュートリノ検出器装置のターゲットおよび内部ベトー検出器の断面図である。 図3は、ターゲット検出器の拡大アレイの概略的斜視図である。 図4は、本発明によるニュートリノ検出器装置の実施形態の他の詳細の概略的斜視図である。 図5は、本発明によるニュートリノ検出器システムの好ましい実施形態の概略図である。 図6Aおよび6Bは、調査対象の環境にニュートリノ検出器システムを配置する概略図である。 図7および8は、本発明の利点を示すシミュレーション結果のグラフ図である。 .
本発明の好ましい実施形態
本発明の好ましい実施形態の特徴を、ニュートリノ検出器装置の詳細、特にその検出器の構造および配置、を参照して以下で説明する。例えば冷却および真空装置の詳細のような、ニュートリノ検出器装置を含むニュートリノ検出器システムの特徴は、従来技術でそのようなものとして知られているので、説明しない。以下では、原子力発電所を監視するためのニュートリノ検出器システムを例示的に参照する。本発明は、この適用例に限定されることなく、人工的起源または天然起源の他のニュートリノ源を監視するのにも使用することができ、例えば、室内実験または他の試験において、または放射性地質形成を含む地質調査現場において、または天体素粒子検出において、使用することができる。以下では、CaWO4系ターゲット検出器を含むニュートリノ検出器システムを例示的に参照する。本発明は、この材料に限定されることなく、重原子核、特にWまたはMoを含む他の結晶を用いて、例えば、PbWO4、ZnWO4、CsI、CdWO4、CaMoO4、CdMoO4またはZnMoO4の結晶を用いて、実現または実装することができる。
図1は、熱量計としてそれぞれ作動される3つの個々の極低温検出器10、20および30を含む本発明によるニュートリノ検出装置(デバイス)100の概略図を示している。内部ターゲット検出器10と、表面アルファおよびベータ崩壊を検出する内部ベトー検出器20と中性子およびガンマ光子を検出する外部ベトー検出器30の双方との組合せは、内部ターゲット検出器10におけるバックグラウンド・レベルをかなり低下させる。このようにして、基準体積(量)極低温検出器が実現される。内部ベトー検出器20は、さらに、ターゲット検出器10の機器装備ホルダとして、可能性ある応力(ストレス)関連の緩和事象を拒否するように動作する。
ターゲット検出器10は、ターゲット温度センサ12(図1)または複数のターゲット結晶11のアレイ13(図2、3、4)を備えた1つの単一ターゲット結晶(単結晶)11を含んでいる。ターゲット結晶11は、例えば5mmの、端縁(側辺)の長さを有する立方晶である。それは、重原子核としてWを含む単結晶CaWO4(質量が、例えば0.76g)で構成される。
ターゲット温度センサ12は、例えば文献[4]で既知の、ターゲット結晶11の一面上に堆積(被着)されたTES(超伝導転移端センサ)である。それ(センサ)は、フォノン収集膜14(厚さが例えば1μm、面積が例えば0.15mm2のAl製)と、センサ膜15(厚さが例えば200nm、面積が例えば0.0061mm2のW製)とを含んでいる。フォノン収集膜14は、増大した出力パルス高さを生じさせるセンサ(文献[4])の熱容量を増大させるという不利益なしで、フォノン用の収集面積を増大させる。ターゲット温度センサ12は、ストリップ(ストライプ)16(サイズが例えば0.01×7.0mm2、厚さが20nmのAu製)を介して周囲の熱浴(ヒートシンク)に弱く結合または接続される。そのストリップ(ストライプ)は、Auワイヤ・ボンド(接続)を介して以下で説明する内部ベトー検出器20の複数の受動的な支持部品の中の1つの部品に結合または接続され、約10pW/Kの熱伝導率(温度10mKにおいて)を形成する。例えば25μmの直径を有するワイヤ・ボンド(Al製)を用いて、ターゲット温度センサ12(これはフォノン・コレクタに結合される)およびオーミック・ヒータ17(互いに分離した複数のボンド(接着)パッド)用の電気的接触が形成される。典型的には、100nA乃至50μAのバイアス電流がターゲット温度センサ12に供給される。ターゲット温度センサ12の抵抗変化は、例えば文献[4]に記載されているような、SQUID(超伝導量子干渉デバイス)システムで測定することができる。
発明者たちによって作成された性能モデルは、CaWO4ターゲット結晶用に約6.5eVのターゲット検出器10のエネルギ閾値を予測する。より効率的な合計のターゲット質量を得るために、図2および4に示された、3×3個の検出器アレイ13が想定されてもよい。これは、CaWO4に関する合計のターゲット質量6.84gに対応する。
内部ベトー検出器20は内部ベトー部品21を含み、内部ベトー部品21は、ターゲット検出器10を包囲し(囲み)、ターゲット結晶11の体積を囲む複数の面上のベータおよびアルファ崩壊に対する能動的な識別を形成する。そのような崩壊の典型的なQ値は、典型的には2、3またはそれより多い生成物粒子間で共有される約10keV乃至10MeVである。ターゲット結晶11が1つの4πの能動的(acvtive:アクティブ)ベトーで囲まれる構成において、反応の合計エネルギが検出される(これから、ベータ崩壊においてニュートリノに伝達されるエネルギが減じられる)。このようにして、そのようなバックグラウンドの大部分は、内部ベトー検出器20におけるコインシデンス(同時計数、同時発生)事象によって拒否され得る。表面バックグラウンドの拒否は、特に極低エネルギ閾値に近づくときに、重要である。
内部ベトー部品21は、例えば400μmの厚さを有する、例えば単結晶シリコン(Si)のウェハ、を含んでいる。各内部ベトー部品21は、それぞれの内部ベトー部品21の表面上に設けられた内部ベトー温度センサ23を有する。内部ベトー温度センサ23は、上述のターゲット温度センサ12と同様に構成されるが、それぞれの内部ベトー部品21のサイズに適合化されたサイズを有することが、好ましい。特に、内部ベトー温度センサ23は、内部ベトー検出器20の複数の受動的な支持部品の中の1つの部品にワイヤ・ボンドされたストリップ(ストライプ)を介して周囲の熱浴(ヒートシンク)に弱く結合される。内部ベトー部品21は複数の第1の支持要素24を介してターゲット検出器10を支持し、内部ベトー部品21は、複数の第2の支持要素(図1に示されない)を介して受動的な支持部品によって支持される。これは、図2を参照して以下で説明する通りである。
外部ベトー検出器30は外部ベトー部品31を含み、外部ベトー部品31は、内部ベトー検出器20を包囲し(囲み)、中性子散乱事象およびガンマ放射線に対して能動的な識別を供給する。好ましい例では、単結晶GeまたはCaWO4で形成された2つの外部ベトー部品31は、内部ベトー検出器20を収容する箱(ボックス)または中空円筒形状の容器を形成するように設けられる(図4参照)。外部ベトー検出器30の壁厚は、例えば30mm乃至60mmである。各外部ベトー部品31は、それぞれの外部ベトー部品31の表面上に設けられた外部ベトー温度センサ33を有する。外部ベトー温度センサ33は、上述のターゲット温度センサ12と同様に構成されるが、外部ベトー部品の大きいサイズに適合化されることが、好ましい。
図2によれば、ターゲット検出器10は、図1を参照して説明したようにそれぞれ設けられている複数の同形のターゲット結晶11のアレイ13を含んでいる。図2は概略的な断面図である。完成したアレイ13は、図平面に垂直なアレイ平面に配置された3×3個のターゲット結晶11を含んでいる。ターゲット結晶11は、受動的な支持部品22(斜線の陰影付き)によって保持された内部ベトー部品21A、21B、26A、26B(黒で示されている)によって囲まれている。
ターゲット結晶11の各々は、TES(図示せず)を有する、例えば5×5×5mm3の熱量計立方体である。内部ベトー部品21A、21B、26A、26Bは、複数のTES(図1を参照して説明した)を装備したシリコン(Si)ウェハであり、4π表面ベトーを形成する。複数の内部ベトー部品の中の2つの内部ベトー部品21A、21B(アレイ平面に平行な平板(スラブ))は、例えば200μmの高さを有するピラミッド(角錐)または切頂ピラミッド(角錐台)のような複数の第1の支持要素24を有し、それら(要素)は、これらの内部ベトー部品21A、21Bの湿式化学エッチングによって生成されることが、好ましい。これらの第1の支持要素24は、複数のターゲット結晶11を直接保持する。それらのターゲット結晶に直接接触する複数の内部ベトー部品の中の1つの部品(例えば21B)は、僅か200μmの厚さであることに起因して、柔軟性(可撓性)がある。内部ベトー部品21Bは、バネとして作用する。それによって、ターゲット結晶11に押圧されると、内部ベトー検出器20の様々な部品の熱収縮を補償できるバネ式保持構造が実現される。内部ベトー検出器20によって(例えば、熱応力緩和による)誘発される可能性ある各事象は、それら(事象)が内部ベトー部品21A、21Bの各TESにおいて各フォノンを誘発するので、拒否され得る。ターゲット結晶に直接接触する複数の内部ベトー部品の他方の1つの部品(例えば21A)は、柔軟でなく、ワイヤ・ボンドを通すための複数の開口部27Aを有する。残りの内部ベトー部品26A、26Bは、ターゲット結晶11に直接接触しないが、アレイ13を完全に囲むように設けられる。
それらの受動的な支持部品22は、温度センサを備えていない、例えば2mmの厚さを有する、シリコン(Si)またはサファイアのウェハである。アレイ平面に平行な内部ベトー部品21A、21B、26Aは、第2の支持要素25を介して、直径が例えば1mmの、例えばサファイア・ボールを介して、受動的な支持部品22によって支持される。複数の第2の支持要素25は、それぞれの受動的な支持部品22に接着して接続することができ、または第2の支持要素25よりも小さい直径を有するレセプタクル(容器)穴に収容することができる。それらの受動的な支持部品22は共に内側部分を押圧する。アレイ平面に垂直な他の内部ベトー部品26Bは、受動的な支持部品22から或る距離を置いて配置され、ターゲット結晶11からの側方の視線を閉じ、その押圧機能を可能にする。この目的を達成するために、それらの内部ベトー部品26Bは、追加的な複数の柔軟(可撓性)ホルダ(図示せず)によって支持される。複数の開口部27Bが、複数のターゲット温度センサ(図示せず)の各ワイヤ・ボンド18を通すための受動的な支持部品22内に設けられる。さらに、受動的な支持部品22は、ワイヤ・ボンド18に接続された電気配線を支持する。
内部ベトー部品21A、21B、26A、26Bおよび複数の受動的な支持部品22は複数の機械的コネクタ28(図4に示されている)を用いて共に保持され、これら(コネクタ)は、複数の受動的な支持部品22のみに作用する、例えばネジ棒(ロッド)を含んでいる。内部ベトー部品21A、21B、26A、26Bは、複数の機械的コネクタ28によって複数の受動的な支持部品22を介して間接的に保持される。
ターゲット検出器のアレイ13は、図3においてターゲット温度センサ12をそれぞれが備えた15×15個のターゲット結晶11の配列で概略的に示されているように、より多くのターゲット結晶11を含んでもよい。全てのターゲット結晶11は、例えば1つの共通のウェハから製造することによって、同じ組成を有する。複数のターゲット結晶11は、図2を参照して説明したように、複数の第1の支持要素(図示せず)によって内部ベトー部品21A、21B相互間に保持される。上側の内部ベトー部品21Aは、ボンディング・ワイヤを通すための複数の開口部27A(図2に示されている)と共に示されている。
図4は、ターゲット検出器10のアレイ13、内部ベトー検出器(部分的に示されている)、および開けた状態の外部ベトー検出器を有する、本発明によるニュートリノ検出器装置100の他の詳細を示している。ターゲット検出器10のアレイ13は、上述したように3×3個のターゲット結晶を含んでいる。さらに、参照ターゲット検出器40のアレイ43が設けられる(概略的に示される)。アレイ43は、TES(図示せず)をそれぞれ備えるターゲット結晶と同様に各々が設けられた3×3個の参照ターゲット結晶を含んでいるが、ターゲット結晶、例えばCaWO4とは異なる別の材料、例えばサファイア、を含んでいる。CaWO4(例えば0.76g)およびサファイア(例えば0.49g)の結晶の立方体は、それらの極低温検出器特性が優れているので、好ましい。サファイア・アレイ43の合計質量は、例えば4.41gである。参照ターゲット結晶は、ターゲット検出器10のアレイ平面に平行な参照アレイ面に配置される。2つの検出器アレイ13、43および内部ベトー検出器20は、例えば10cmの直径および例えば5cmの高さを有する少なくとも2つのカップ形状の外部ベトー部品31を有するGeまたはCaWO4の外部ベトー検出器の内側に設置され、各々(部品)は、外部ベトー温度センサが装備され、極低温検出器として作動される。
それらのターゲット検出器10およびそれらの参照ターゲット検出器40を用いて、各特徴的な相互作用強度による信号とバックグラウンドの分離という特定の利点を有する様々な高感度結晶を用いる複数ターゲット手法(アプローチ)が実現される。この利点については、以下で説明する図7でさらに説明する。
本発明によるニュートリノ検出器システム200の概略図が図5に概略的に示されている。ニュートリノ検出器システム200は、本発明によるニュートリノ検出器装置100、冷却装置210、真空装置220、制御装置230、および発電機装置240を含んでいる。冷却装置210は、ニュートリノ検出器装置100の温度を、例えば5mKに調整することができる、例えば希釈冷凍機クライオスタット(低温保持装置)である。真空装置220は、冷却装置210によって冷却される真空室(チャンバ)222に接続された、例えばターボ分子ポンプのような真空ポンプ221を含んでいる。ニュートリノ検出器装置100は、10-7〜10-8hPa未満の真空圧で真空室222内に配置される。発電機装置240は、例えば10kWの、出力パワー(電力)を有する、例えばディーゼル発電機である。
制御装置230は、各検出器10、20、30の温度センサから出力信号を受信するよう配置されたコンピュータ回路を含んでいる。出力信号は、有線または無線通信で送信できる。各温度センサは、個別の出力チャンネルを形成する。ターゲット結晶11のアレイと、複数の内部ベトー部品21A、21B、26Aおよび外部ベトー部品31(図1、4参照)とで、例えば最大20個の出力チャンネルが制御装置230に接続される。より詳しくは、制御装置230は、各出力チャネルの複数の時系列の出力信号を保存し、その時系列の出力信号にコインシデンス(同時計数)解析を施すよう配置される。複数のターゲット温度センサの出力信号において排他的に(のみ)発生する複数の信号事象は、複数のニュートリノ散乱事象に割り当てられる。制御装置230は、さらに、部品210、220および240を制御するよう配置される。
図6は、原子力発電所310を監視するための本発明の適用例を概略的に示している(炉心は、監視対象の標的部位である)。1つ以上のニュートリノ検出器システム200は少なくとも1つの移動式運搬装置250上に配置され、それ(運搬装置)は、原子力発電所310の環境300において、例えば炉心(図6A)から例えば15m乃至100mまたはそれ以上乃至最大500mの範囲において、または建物320におよび/または原子力発電所310(図6B)に配置された少なくとも1つの定置式容器(コンテナ)260において、移動させることができる。利点として、建物320は、宇宙線生成(cosmogenic:宇宙線と地球表面の相互作用で生じた)バックグラウンドに対してさらに遮蔽する。図6は、地上で作動しているニュートリノ検出器システム200を示している。代替的に、ニュートリノ検出器システム200は地下で作動させることができる。
ニュートリノは、移動式運搬装置250を移動させることによって、および/または相異なる位置で複数の固定のニュートリノ検出器システム200を使用することによって、相異なる検出位置で検出することができる(図6B)。ニュートリノと物質(材料)の極めて低い相互作用に起因して、相異なる検出位置での検出器10〜30の出力信号は、主に、相異なるバックグラウンド状態(条件)と、ニュートリノ源から或る距離にあるニュートリノ流束の既知の逆二乗法則依存性とに関して、互いに異なる。従って、相異なる検出位置における出力信号にコインシダンス解析を適用することによって、追加的なバックグラウンド抑制が可能になる。
図7は、図4に示されるようなターゲット検出器および参照ターゲット検出器のアレイ13、43を含むニュートリノ検出器装置100の複数の出力信号の例を示している。例えば4GWの原子力発電所から予測されるニュートリノ散乱事象計数レート(率)が示されている。黒い点線は、測定値およびシミュレーションによるバックグラウンド・レベルの例を示している。曲線AはCaWO4ベースのターゲット検出器の計数レートを示し、一方、曲線Bはニュートリノ反跳エネルギに依存するAl23ベースの参照ターゲット検出器の計数レートを示している。利点として、CaWO4の場合、低いニュートリノ反跳エネルギでの出力信号は、バックグラウンドより2乃至3桁(オーダ)大きく、一方、Al23の場合、信号対バックグラウンド比ははるかに小さい(係数1〜5(1〜5分の1))。図7は、計数レートの強化材料依存性が、ニュートリノ信号を既約のバックグラウンドから識別するための強力なツールであること、を示している。信号レートは、CaWO4とAl23についてかなり異なり、例えば10eVでは、その比は約50:1である。 これとは対照的に、外部ガンマ放射線からのバックグラウンド計数は同等である(係数約2(約1/2)以内)。さらに、中性子誘起散乱に関して、両材料において支配的にO散乱が運動学によりエネルギ閾値を超えるので、中性子バックグラウンドは同様のスペクトルを生成するであろう。
図8の曲線Aは、尤度分析に基づいて、10eVの感度閾値を有する図4のニュートリノ検出器装置100を用いた、測定時間に依存するニュートリノ散乱事象(CNNS事象)を検出する重要度(重み、大きさ)を示している。このシミュレーション結果は、図6Bに示された発電所310における測定値を表す。破線は、科学実験で使用されるCNNS事象の統計的に有意な検出のレベルを示している。利点として、検出器の動作の約2日以内に、有意なニュートリノ検出を得ることができる。これは、約10gの合計質量を有する検出器が使用されることを考慮し、通常の検出技術と比較して、大幅な進歩を表す。特に、図8は、短い測定時間内でニュートリノを高い信頼性で検出するための本発明の潜在力または可能性を示している。
上述の説明、図面、および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、その異なる実施形態における本発明の実現のための組合せまたは部分的組合せにおいて個々に重要であり得る。

Claims (28)

  1. ニュートリノを検出するよう構成されたニュートリノ検出器装置(100)であって、
    − ターゲット結晶(11)およびターゲット温度センサ(12)を含む少なくとも1つのターゲット検出器(10)を含み、
    前記ターゲット結晶(11)は、検出対象のニュートリノと前記ターゲット結晶(11)との相互作用に応答してフォノンを生成するよう適合化され、前記ターゲット温度センサ(12)は、前記ターゲット結晶(11)において生成されるフォノンの吸収に応答して温度変化を検出するよう配置され、
    − さらに、内部ベトー温度センサ(23)を有する少なくとも1つの内部ベトー部品(21、21A、21B、26A、26B)を含む内部ベトー検出器(20)を含み、
    前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21、21A、21B、26A、26B)は、前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)を支持するよう、および、バックグラウンド相互作用事象に応答してフォノンを生成し前記内部ベトー温度センサ(23)を用いて前記フォノンの吸収に応答して温度変化を検出することよって、前記バックグラウンド相互作用事象をアンチコインシデンスに基づいて識別するよう適合化され、
    − 前記ニュートリノ検出器装置(100)は極低温で動作するよう構成され、
    特徴として、
    − 前記ターゲット結晶(11)の結晶体積、および前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記ターゲット温度センサ(12)のサイズは、前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の地上感度閾値が180eV未満となるように選択され、
    − 前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21、21A、21B、26A、26B)は前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)を囲んで、前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)が前記内部ベトー検出器(20)内に配置されるようにされ、
    − 前記内部ベトー検出器(20)を収容するための外部ベトー検出器(30)が設けられ、
    前記外部ベトー検出器(30)は、バックグラウンド放射との相互作用に応答してフォノンを生成するよう適合化され外部ベトー温度センサ(33)を有する少なくとも1つの外部ベトー部品(31)を含み、前記外部ベトー部品(33)は前記少なくとも1つの外部ベトー部品(31)において生成されたフォノンの吸収に応答して温度変化を検出するよう配置されるものである、
    ニュートリノ検出器装置(100)。
  2. 前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記ターゲット結晶(11)の前記結晶体積および前記ターゲット温度センサ(12)の前記サイズは、前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記地上感度閾値が100eV未満、特に50eV未満、になるように選択されるものである、請求項1に記載のニュートリノ検出器装置。
  3. 前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記ターゲット結晶(11)は立方体形状を有するものである、請求項1または2に記載のニュートリノ検出器装置。
  4. 前記ターゲット結晶(11)は10mm未満の端縁長さを有するものである、請求項3に記載のニュートリノ検出器装置。
  5. 前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記ターゲット温度センサ(12)は超伝導転移端センサである、請求項1乃至4のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  6. 複数のターゲット検出器(10)のアレイ(13)が前記内部ベトー検出器(20)内に設けられている、請求項1乃至5のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  7. 前記複数のターゲット検出器(10)の複数の前記ターゲット結晶(11)は共通のウェハ部品から形成されるものである、請求項6に記載のニュートリノ検出器装置。
  8. さらに、前記内部ベトー検出器(20)内に配置された少なくとも1つの参照ターゲット検出器(40)であって、前記バックグラウンド相互作用事象に応答してフォノンを生成するよう適合化された参照ターゲット結晶と、前記参照ターゲット結晶において生成されたフォノンの吸収に応答して温度変化を検出するよう配置された参照ターゲット温度センサとを含む少なくとも1つの参照ターゲット検出器(40)を含む、請求項1乃至7のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  9. 前記ターゲット結晶(11)と前記参照ターゲット結晶の双方が軽原子核を含む、請求項8に記載のニュートリノ検出器装置。
  10. 複数の参照ターゲット検出器(40)のアレイ(43)が前記内部ベトー検出器(20)内に設けられる、請求項8または9に記載のニュートリノ検出器装置。
  11. 前記内部ベトー検出器(20)の前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21、21A、21B、26A、26B)は、全ての空間的方向に沿って前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)を囲むものである、請求項1乃至10のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  12. 前記内部ベトー検出器(20)の前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21、21A、21B、26A、26B)は単結晶ウェハを含むものである、請求項1乃至11のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  13. 前記内部ベトー検出器(20)の前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21、21A、21B、26A、26B)は、シリコンまたはサファイア・ウェハを含ものである、請求項1乃至12のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  14. 前記内部ベトー検出器(20)の前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21、21A、21B、26A、26B)は、10μm乃至1mmの範囲の厚さを有するものである、請求項12または13に記載のニュートリノ検出器装置。
  15. 前記内部ベトー検出器(20)の少なくとも2つの内部ベトー部品(21A、21B)は、前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の両側に配置され、
    前記内部ベトー部品(21A、21B)は、前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)を間に固定する複数の第1の支持要素(24)を有するものである、
    請求項1乃至14のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  16. 前記内部ベトー検出器(20)は、複数の第2の支持要素(25)を介して前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21A、21B、26A、26B)を支持するよう適合された少なくとも1つの受動的な支持部品(22)を含むものである、請求項1乃至15のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  17. 前記第1および第2の支持要素(24、25)は、
    − 前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記ターゲット結晶(11)と前記内部ベトー部品(21A、21B)の間の熱結合が、前記ターゲット温度センサ(12)を介した前記ターゲット結晶(11)から周囲の熱浴への熱結合と比較して無視し得るものである、および/または
    − 前記内部ベトー検出器(20)の前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21A、21B)と前記受動的な支持部品(22)の間の熱結合が、前記内部ベトー温度センサ(23)を介した前記少なくとも1つの内部ベトー部品(21A、21B)から前記周囲の熱浴への熱結合と比較して無視し得るものである
    ように大きさが調整された複数の接触面を形成するものである、
    請求項15または16に記載のニュートリノ検出器装置。
  18. 前記第1および第2の支持要素(24、25)は点状の接触面を形成するものである、請求項17に記載のニュートリノ検出器装置。
  19. 前記外部ベトー検出器(30)の前記少なくとも1つの外部ベトー部品(31)は単結晶材料で形成されているものである、請求項1乃至18のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  20. 前記外部ベトー検出器(30)は、前記内部ベトー検出器(20)を囲む容器を形成する少なくとも2つの外部ベトー部品(31)を含むものである、請求項1乃至19のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  21. − 前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記ターゲット結晶(11)は、前記ターゲット結晶(11)におけるバックグラウンド相互作用事象に応答して光子を生成するよう適合化され、
    − 前記内部ベトー検出器(20)は前記光子を検出するよう適合化されるものである、
    請求項1乃至20のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置。
  22. − 請求項1乃至21のいずれかに記載の少なくとも1つのニュートリノ検出器装置(100)と、
    − 前記少なくとも1つのニュートリノ検出器装置(100)を冷却するよう配置された冷却装置(210)と、
    − 前記少なくとも1つのニュートリノ検出器装置(100)を真空引きするよう配置された真空装置(220)と、
    − 前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記ターゲット温度センサ(12)と、前記内部ベトー検出器(20)の前記少なくとも1つの内部ベトー温度センサ(23)と、前記外部ベトー検出器(30)の前記少なくとも1つの外部ベトー温度センサ(33)とに結合された制御装置(230)と、
    を含むニュートリノ検出器システム(200)。
  23. さらに、電力供給用に配置されていて、固定電力網とは無関係に前記ニュートリノ検出器システムを作動させる発電機装置(240)を含む、請求項22に記載のニュートリノ検出器システム。
  24. 移動式運搬装置(250)上にまたは静止容器(260)に含まれる、請求項22または23に記載のニュートリノ検出器システム。
  25. − 調査対象の環境(300)に請求項1乃至20のいずれかに記載のニュートリノ検出器装置(100)を設ける工程と、
    − 前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)の前記ターゲット温度センサ(12)、前記内部ベトー検出器(20)の前記少なくとも1つの内部ベトー温度センサ(23)、および前記外部ベトー検出器(30)の前記少なくとも1つの外部ベトー温度センサ(33)を時間の関数として収集する工程と、
    − 前記少なくとも1つのターゲット検出器(10)におけるニュートリノ散乱事象を識別するために、前記収集された複数のセンサ信号を分析する工程と、
    を含む、ニュートリノを検出する方法。
  26. 前記ニュートリノ検出器装置(100)が地上で作動される、請求項25に記載の方法。
  27. 調査対象の前記環境(300)は原子力発電所(310)を含むものである、請求項25または26に記載の方法。
  28. − 調査対象の前記環境(300)において標的部位からの相異なる距離にある少なくとも2つの異なる検出位置に、前記ニュートリノ検出器装置(100)を設ける工程と、
    − 前記相異なる検出位置において前記複数のセンサ信号を収集する工程と、
    − 前記収集された複数のセンサ信号を分析する工程であって、バックグラウンド状態が、前記相異なる検出位置における前記収集された複数のセンサ信号の差によって特徴付けられるものである工程と、
    を含む、請求項25乃至27のいずれかに記載の方法。
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