上記の特許文献に係るバッフルでは、通路が断面円形の直線状に形成され、バルブが円筒形に形成され、通路の内周面とバルブの外周面とが互いに摺接する構成となっている。そのため、バッフルの表面に塗布される離型剤等の異物が通路とバルブとの摺接部に侵入し、固着することによってバルブの円滑な開閉動作が阻害される虞がある。特に、バッフル及びバルブは高温環境で使用されるため、離型剤は蒸発して通路とバルブとの摺接部に侵入しやすくなる。
本発明は、以上の背景を鑑み、バルブを備えたバッフルにおいて、異物の固着に対してバルブの開閉動作が阻害され難くすることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ガラスゴブからパリソンを成形するための成形装置(1)において、一対の粗型(10)の合せ面に形成される空洞部(11)の上端を閉じるバッフル(13)であって、前記空洞部の上端の周縁に当接する環状の当接面(17)、前記当接面の内側に設けられ、前記パリソンの底部に対応した形状を有する型面(21)、上下に貫通し、上端において圧縮空気源に接続され、下端において前記型面に開口した貫通孔(25)、及び前記貫通孔の下端縁に設けられた弁座面(30)を備えたバッフルボディ(14)と、前記貫通孔に隙間を介して受容された弁軸部(33)、前記弁軸部の下端に形成され、前記弁座面に面接触可能な環状のバルブ当り面(35)、及び前記バルブ当り面の下側に設けられ、前記パリソンの底部に対応した形状を有するバルブ先端面(36)を有するバルブ(32)と、前記貫通孔内に設けられ、前記バッフルボディに対して前記バルブを上方に付勢するばね(52)とを有することを特徴とする。
この態様によれば、バルブの開弁時に弁座面とバルブ当り面とは摺動せずに互いに離れる。また、弁軸部と貫通孔との間に隙間が形成されているため、バルブの開弁時に弁軸部と貫通孔の内周面との摺動を避けることができる。そのため、離型剤等の異物がバルブ当り面や弁座面、弁軸部、貫通孔の内周面に固着したとしても、バルブは開弁時に貫通孔の内周面との間に異物を噛み込むことがなく、円滑に動作することができる。
また、上記の態様において、前記弁座面は、下方に向けて広がる円錐面状に形成され、
前記バルブ当り面は、前記弁軸部の下端から下方に向けて広がる円錐面状に形成されているとよい。
この態様によれば、弁座面とバルブ当り面とがそれぞれ円錐面に形成されているため、バルブの開弁時に弁座面とバルブ当り面とは摺動せずに互いに離れる。また、それぞれ円錐面に形成されたバルブ当り面及び弁座面が互いに当接することによって、バッフルボディに対するバルブの位置が一定する。
また、上記の態様において、前記貫通孔の内周面に装着されたスリーブ(46)と、前記弁軸部に結合されると共に、前記スリーブの内周面に摺接するピストン(40)とを更に有し、前記スリーブの内周面には、上下に延びた少なくとも1つの連通孔(51)が設けられ、前記連通孔の上下長さは、前記ピストンの外周部の上下長さよりも長く、前記バルブ当り面が前記弁座面に着座した閉弁状態において、前記ピストンの外周部の上端は前記連通孔の上端よりも上方に位置するとよい。
この態様によれば、バルブに結合されたピストンがスリーブによってガイドされるため、バルブの倒れを抑制することができる。これにより、バルブ当り面と弁座面との摺動を抑制することができる。また、閉弁状態においてピストンが貫通孔を閉塞するため、ピストンが貫通孔に供給される圧縮空気の圧力を確実に受けることができる。これにより、バルブは、確実に開弁することができる。
また、上記の態様において、前記貫通孔は、前記弁座面から上方に延びる貫通孔下部(26)と、前記貫通孔下部に接続され、前記貫通孔下部に対して幅が大きい貫通孔上部(27)と、前記貫通孔下部と前記貫通孔上部との境界に設けられ、上方を向く肩面(28)とを有し、前記スリーブは、前記貫通孔上部に装着され、前記弁軸部の直径は、前記貫通孔下部の直径よりも小さいとよい。
この態様によれば、弁軸部と貫通孔下部との摺動を避けることができる。
また、上記の態様において、前記弁軸部の半径は、前記貫通孔下部の半径よりも0.3mm以上4.5mm以下の範囲で小さいとよい。
この態様によれば、弁軸部と貫通孔下部との間に十分な隙間が形成されるため、弁軸部及び貫通孔下部に離型剤等の異物が固着したとしても、離型剤がバルブの開閉動作を阻害することが抑制される。
また、上記の態様において、前記ばねは、圧縮コイルばねであり、前記肩面に当接した下端と前記ピストンの下面に当接した上端とを有するとよい。
この態様によれば、ばねをバルブとバッフル本体との間に安定性良く配置することができる。
また、上記の態様において、前記ピストンの下面には、前記ばねの上端を係止する上ばね座が設けられ、前記肩面には、前記ばねの下端を係止する下ばね座が設けられているとよい。
この態様によれば、ばねの位置ずれを抑制することができる。
また、上記の態様において、前記スリーブは、前記貫通孔上部に挿入され、下端において前記肩面に当接し、上端において前記貫通孔上部に装着されたスナップリング(48)に当接するとよい。
この態様によれば、バッフル本体へのスリーブの取付構造を簡素にすることができる。スナップリングにはばねの付勢力が加わらないため、スナップリング及びスリーブの脱落を抑制することができる。
また、上記の態様において、前記貫通孔下部の内周面には、上下に延び、上端が前記肩面に開口した接続溝が形成されているとよい。
この態様によれば、圧縮空気が接続溝を通過して貫通孔上部から貫通孔下部に円滑に流れることができ、圧縮空気の貫通孔における圧力損失を低減することができる。
また、上記の態様において、前記スリーブの内周面には、径方向内方に突出し、前記ピストンの下面に当接することによって前記ピストンの下方への移動を規制するストッパ(49)が設けられているとよい。
この態様によれば、バルブの開き量を一定させることができ、バルブから空洞に供給する圧縮空気(セッツルエアー)の向き及び流量を一定させることができる。また、ばねの底付を防止することができる。
本発明によれば、バルブを備えたバッフルにおいて、異物の固着に対してバルブの開閉動作が阻害され難くすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係るガラス容器の成形装置は、ガラスゴブからパリソンを成形する工程と、パリソンからガラス容器を成形する工程とを実行する。
図1及び図2に示すように、成形装置1は、基台2に回転可能に支持された反転アーム3を有する。反転アーム3は、水平方向に延びる回転中心を有し、初期位置と、初期位置に対して180°回転した反転位置との間で回転する。反転アーム3の先端には、少なくとも1つの口型4が支持されている。口型4は、反転アーム3が初期位置にあるときに、反転アーム3の上側に配置される。各口型4は、上下に延びる合せ面を有する割型5と、一対の割型5の間に配置されるガイドリング6とを有する。割型5の合せ面には上下に延びた口型空洞部7が形成されている。一対の割型5及びガイドリング6のそれぞれは、反転アーム3に支持されている。基台2には、口型4が初期位置にあるときに、ガイドリング6を通過して、口型空洞部7に突入するプランジャ8が設けられている。プランジャ8は、口型空洞部7に突入した突入位置と、口型空洞部7から下方に離脱した退避位置の間で移動可能となっている。プランジャ8が突入位置にあるときに、口型4は一対の割型5とプランジャ8との間に、パリソンの口部に対応した形状を形成する。
各口型4の上方には、一対の粗型10がそれぞれ配置されている。一対の粗型10は、上下に延びる合せ面を有し、合せ面に上下に延びる粗型空洞部11を形成する。一対の粗型10は、下端部において口型4の一対の割型5の外周部を挟持し、口型4と結合する。粗型空洞部11の下端は、口型4によって閉じられ、口型空洞部7と接続している。一対の粗型10は、それぞれの合せ面が互いに当接した使用位置と、それぞれの合せ面が互いに分離し、口型4から離れた退避位置との間で移動可能に基台2に支持されている。
一対の粗型10のそれぞれの上端には、粗型空洞部11の上端を閉じるバッフル13がそれぞれ設けられている。図3に示すように、バッフル13は、上下に延びるバッフルボディ14を有する。バッフルボディ14は、上下に延びる円柱状のボディ上部15と、ボディ上部15に対して水平方向に張り出したボディ下部16とを有する。ボディ下部16は円錐形に形成され、下側ほど幅が大きく形成されている。ボディ下部16の下面における外周部には、粗型10の上端面と当接する当接面17が形成されている。当接面17は、バッフルボディ14の上下に延びる軸線Aを中心とした周方向に延び、環状に形成されている。また、当接面17は、バッフルボディ14の軸線Aに対して垂直な平面に形成されている。当接面17は、一対の粗型10における粗型空洞部11の上端周縁に当接する。
バッフルボディ14の下面において、当接面17の内側にはパリソンの底部に対応した形状を有する型面21が設けられている。型面21は、上方に凹んだ型面外周部22と、下方に突出た型面中央部23とを有する。型面中央部23は、当接面17よりも下方に突出している。
バッフルボディ14の中央には、バッフルボディ14の軸線Aに沿って上下に延びる貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、型面21に開口した貫通孔下部26と、貫通孔下部26の上端に接続すると共にバッフルボディ14の上端に開口した貫通孔上部27とを有する。貫通孔下部26及び貫通孔上部27は、それぞれ円形の断面を有し、互いに同軸に配置されている。貫通孔上部27は、貫通孔下部26に対して直径が大きく形成されている。貫通孔下部26と貫通孔上部27との境界には、上方を向く環状の肩面28が形成されている。
貫通孔下部26の下端縁、すなわち型面21との境界には、弁座面30が形成されている。弁座面30は、バッフルボディ14の軸線Aを中心とした環状をなし、下方に向けて広がる円錐面状に形成されている。
貫通孔25にはポペットバルブであるバルブ32が受容されている。バルブ32は、上下に延び、貫通孔下部26及び貫通孔上部27に受容された弁軸部33と、弁軸部33の下端に設けられ径方向に広がった傘部34とを有する。傘部34の上部には、弁軸部33の下端から下方に向けて広がる円錐面状に形成され、弁座面30に面接触可能な環状のバルブ当り面35が形成されている。傘部34におけるバルブ当り面35の下側には、略半球形のバルブ先端面36が形成されている。バルブ先端面36の外周縁は、円形に形成され、稜線を介してバルブ当り面35の外周縁と接続している。バルブ当り面35が弁座面30に面接触した状態において、バルブ先端面36の外周縁は弁座面30の外周縁と整合すると共に、型面21と滑らかに連続した曲面を形成する。
弁軸部33は、下半部を構成する弁軸下部37と、上半部を構成する弁軸上部38とを有する。弁軸下部37と弁軸上部38とは互いに同軸に配置されている。弁軸下部37は、直径が一定の円柱形に形成されている。弁軸上部38は、上方に向けて直径が広がる円錐形に形成されている。弁軸下部37の半径は、貫通孔下部26の半径よりも0.3mm以上4.5mm以下の範囲で小さく形成されている。弁軸下部37の半径は、貫通孔下部26の半径よりも2.5mm以上3.5mm以下の範囲で小さく形成されていることが好ましい。
弁軸上部38の上端には、ピストン40が同軸に設けられている。ピストン40は、上下に所定の長さを有する円柱形に形成され、弁軸上部38よりも大きい直径を有する。ピストン40の下面中央には、弁軸上部38の上端が嵌合する有底の嵌合孔41が形成されている。ピストン40の中央には、上下に貫通し、嵌合孔41の底面に開口したボルト孔42が形成されている。ボルト孔42を下方に向けて貫通し、弁軸上部38の上端面の中央に形成された雌ねじ孔43に螺合するボルト44によって、ピストン40は弁軸上部38の上端に締結されている。ピストン40の上面には、少なくとも2つの係止孔45が形成されている。各係止孔は、ボルト孔42の周囲に形成された有底孔である。各係止孔は、ボルト孔42を中心とした対称位置に設けられている。
貫通孔上部27の内周面には、上下に延び、上下両端が開口した円筒形のスリーブ46が装着されている。スリーブ46は、その外周面において貫通孔上部27の内周面に接触し、その下端において肩面28に当接している。貫通孔上部27の内周面の上端付近には、周方向に延びて環状をなすリング係止溝47が形成されている。リング係止溝47には、C形のスナップリング48が装着されている。スリーブ46の上端は、スナップリング48によって係止されている。
スリーブ46の内側には、ピストン40が上下に摺動可能に受容されている。ピストン40の外周面は、スリーブ46の内周面に摺接している。これにより、ピストン40及びバルブ32がバッフルボディ14の軸線Aに沿って上下に移動することができる。
スリーブ46の内周面における下部には、径方向内方に突出したストッパ49が形成されている。図4に示すように、ストッパ49の上面にピストン40の下面が当接することによって、ピストン40の下方への移動が規制されている。すなわち、ピストン40がストッパ49に当接するとき、ピストン40は最下位置にある。ピストン40が最下位置にあるとき、バルブ当り面35は弁座面30から最も下方に離れ、バルブ32が最も開いた状態(最開状態)になる。図3に示すように、バルブ当り面35が弁座面30に当接するとき、ピストン40は最上位置にある。ピストン40が最上位置にあるとき、バルブ32が閉じた状態(閉弁状態)になる。閉弁状態から最開状態へのバルブ32及びピストン40のストロークは、例えば4mm以上6mm以下であるとよい。
スリーブ46には、上下に延びた少なくとも1つの連通孔51が形成されている。本実施形態では、連通孔51は、径方向に貫通する貫通孔であり、複数(4つ)形成され、周方向に等間隔に配置されている。各連通孔51の上下長さは、ピストン40の外周部の上下長さよりも長く形成されている。また、バルブ当り面35が弁座面30に着座した閉弁状態において、ピストン40の外周部の上端は各連通孔51の上端よりも上方に位置する。これにより、閉弁状態においては、ピストン40によってスリーブ46の上端開口と各連通孔51とが遮断されている。
肩面28とピストン40との間には、圧縮コイルばねであるばね52が設けられている。ばね52は弁軸部33の周囲に配置されて上下に延び、上端においてピストン40の下面に形成された上ばね座54に当接し、下端において肩面28に形成された下ばね座55に当接している。上ばね座54は、ピストン40の下面における嵌合孔41の周囲に凹設された環状の溝部である。下ばね座55は、肩面28における貫通孔下部26の周囲に凹設された環状の溝部である。ばね52は、バッフルボディ14に対してピストン40及びバルブ32を上方に付勢している。ばね52によって、初期状態においてバルブ32は閉弁状態となっている。
貫通孔下部26の内周面には、上下に延び、上端が肩面28に開口した接続溝57が形成されている。接続溝57は、肩面28の内周縁において下方に向けて穿孔された有底のドリル孔であってよい。本実施形態では、接続溝57は、複数(4つ)形成され、周方向に等間隔に配置されている。
ボディ上部15の上端部には、径方向外方に突出した一対の係止片58が設けられている。一対の係止片58は、バッフルボディ14の軸線Aを中心とした対称位置に設けられている。
バッフルボディ14、バルブ32、及びピストン40は鋳鉄又は炭素鋼で形成されていることが好ましい。スリーブ46は、炭素鋼又は銅合金で形成されていることが好ましい。
図2に示すように、バッフル13は、バッフル支持装置60によって支持されている。バッフル支持装置60は、上下に延びるシリンダハウジング61と、シリンダハウジング61を上下に貫通する作動ロッド62と、作動ロッド62に結合され、シリンダハウジング61内に設けられたピストン63と、作動ロッド62の下端に設けられたカムフォロア64と、作動ロッド62の下端の外周に設けられ、カムフォロア64に係合するカム溝66が形成された円筒カム67と、作動ロッド62の上端から水平方向に延びた支持アーム68とを有する。支持アーム68の先端の下面には、ボディ上部15を受容する接続孔71が形成されている。一対の係止片58が接続孔71に係止されることによってバッフルボディ14は支持アーム68に支持されている。支持アーム68の内部には、バッフル13の貫通孔上部27の上端開口と圧縮空気源とを接続する空気通路72が形成されている。
円筒カム67のカム溝66は、螺旋状に延びている。これにより、作動ロッド62が上下に移動するときには、カムフォロア64とカム溝66との係合によって作動ロッド62が回転する。作動ロッド62は、シリンダハウジング61に圧縮空気が供給、排出されることによって移動する。作動ロッド62の移動によって、バッフル支持装置60はバッフル13を粗型10の上端面に当接可能な成形位置と、成形位置に対して上方かつ側方に退避した退避位置との間で移動させる。
以上のように構成した成形装置1の動作について説明する。第1の工程では、図5に示すように、反転アーム3が初期位置にあり、口型4及び粗型10がセットされ、バッフル13が退避位置に位置する。プランジャ8は、一対の割型5内に突入している。この状態で、上方からゴブGが粗型空洞部11内に投入される。第2の工程では、図6に示すように、バッフル支持装置60がバッフル13を成形位置に移動させ、粗型空洞部11の上端を閉じる。
第3の工程では、図7に示すように、空気通路72を介して圧縮空気源から貫通孔上部27の上端開口に圧縮空気が供給される。これにより、圧縮空気によってピストン40が押し下げられ、バルブ32が開く。圧縮空気は、貫通孔上部27の上端開口から連通孔51を通過してピストン40の下方に流れ、貫通孔下部26とバルブ32との間を通過してバッフル13の下方に噴出する。すなわち、バッフル13から下方に向けてセッツルエアーが噴射される。ゴブGは、セッツルエアーによって下方に押され、口型4に押し付けられる。これにより、ゴブGの下端にパリソンの口部が形成される。
続く第4の工程では、バッフル13への圧縮空気の供給が停止される。これにより、ばね52の付勢力によってバルブ32が閉弁位置に移動し、バルブ先端面36が型面21と連続した曲面を形成する。次に、図8に示すように、プランジャ8が一対の割型5間から下方に退避し、口型4の下方からパリソンの口部内にエアーが供給される。これにより、ゴブGの上部は上方かつ側方に放射状に膨張し、粗型10の壁面、バッフル13の下面及びバルブ32のバルブ先端面36に押し付けられる。これにより、パリソンGの側部及び底部が形成される。
続く第5の工程では、図9に示すように、バッフル支持装置60がバッフル13を退避位置に移動させると共に、粗型10が左右に開かれる。この状態で、パリソンGは口部において口型4に支持されている。そして、反転装置が反転することによって、パリソンGを支持した口型4が反転位置に移動する。図1に示すように、反転位置では、口型4に支持されたパリソンGは、ガラス容器の最終形状に成形するための底型81及び成形型82内に配置される。
図9に示すように、バッフル13が退避位置にあるときに、バッフル13に圧縮空気が供給され、バルブ32が開弁状態になる。これにより、圧縮空気によってバッフル13が冷却されると共に、貫通孔下部26の内周面、弁座面30、弁軸部33の外周面、バルブ当り面35の表面を圧縮空気が流れ、これらに付着した離型剤等の異物が吹き払われる。圧縮空気は、貫通孔25を通過して下方に流れるため、バルブ32の傘部34及び型面中央部23を主に冷却する。このとき、圧縮空気が、型面外周部22を接触しないため、型面外周部22の冷却が抑制される。型面外周部22の温度が低下すると、製品の底部外周部に欠点が生じ易くなるため、型面外周部22は型面中央部23に対して高温に維持されることが好ましい。その後、圧縮空気の供給が停止され、バッフル13の型面21及びバルブ先端面36に離型剤が塗布される。
以上のように構成した成形装置1の効果について説明する。バッフル13は、弁座面30とバルブ当り面35とがそれぞれ円錐面に形成されているため、バルブ32の開弁時に弁座面30とバルブ当り面35とは摺動せずに互いに離れる。また、弁軸部33と貫通孔25との間に隙間が形成されているため、バルブ32の開弁時に弁軸部33と貫通孔25の内周面との摺動を避けることができる。そのため、離型剤等の異物がバルブ当り面35や弁座面30、弁軸部33、貫通孔25の内周面に固着したとしても、バルブ32は開弁時に貫通孔25の内周面との間に異物を噛み込むことがなく、円滑に動作することができる。また、開弁状態において、貫通孔下部26の内周面、弁座面30、弁軸部33の外周面、バルブ当り面35の表面を圧縮空気が流れるため、これらの面に離型剤等の異物が付着したとしても吹き払われ、清浄な状態に維持される。また、圧縮空気は、貫通孔25を通過して下方に流れるため、バルブ32の傘部34及び型面中央部23を主に冷却し、型面外周部22を冷却しない。そのため、型面外周部22の温度低下に伴う製品底部の欠点の発生を抑制することができる。
バルブ32に結合されたピストン40がスリーブ46によってガイドされるため、バルブ32の倒れを抑制することができる。これにより、バルブ当り面35と弁座面30との摺動を抑制することができる。また、閉弁状態においてピストン40が貫通孔上部27の上端開口を閉塞するため、ピストン40が貫通孔上部27に供給される圧縮空気の圧力を確実に受けることができる。これにより、バルブ32は、確実に開弁することができる。
ばね52が、ピストン40に設けられた上ばね座54と、肩面28に設けられた下ばね座55とに支持されているため、安定性良く伸縮することができる。また、ばね52の中心を弁軸部33が通過しているため、ばね52の倒れを抑制することができる。ばね52がピストン40とバッフルボディ14とに荷重を与える構成であり、スリーブ46にはばね52の荷重が加わらない。そのため、スナップリング48の変形や脱落、スリーブ46の脱落を防止することができる。
貫通孔下部26に接続溝57が形成されているため、圧縮空気が接続溝57を通過して貫通孔上部27から貫通孔下部26に円滑に流れることができる。これにより、バッフル13を通過する圧縮空気の圧力損失を低減することができる。
スリーブ46の内周部にピストン40の移動を規制するストッパ49が設けられているため、バルブ32の開き量を一定させることができる。これにより、バルブ32から空洞に供給する圧縮空気(セッツルエアー)の向き及び流量を一定させることができる。また、ばね52の底付きを防止することができる。
バッフル13の組み付け手順について説明する。最初に、バッフルボディ14の貫通孔上部27にスリーブ46を挿入し、リング係止溝47にスナップリング48を装着する。これにより、貫通孔上部27にスリーブ46が固定される。次に、下ばね座55にばね52の下端部を配置する。そして、スリーブ46内にピストン40を挿入し、ばね52の上端に上ばね座54を配置する。
次に貫通孔25の下端開口からバルブ32を挿入し、ボルト44によってピストン40とバルブ32とを締結する。ボルト44による締結作業は、図10に示す組付用装置100を使用して行う。
図10に示すように、組付用装置100は、下プレート101と、下プレート101に対して隙間をおいて配置された上プレート102とを有する。下プレート101及び上プレート102との間には複数のスペーサ103が配置されている。下プレート101及び上プレート102は、上プレート102及びスペーサ103を通過して下プレート101に螺合するボルト104に互いに締結されている。下プレート101の中央部には、バッフルボディ14のボディ上部15及び一対の係止片58が通過可能な挿通孔105が形成されている。挿通孔105は、円形状の円孔部107と、中央部に対して径方向外方に張り出した一対の拡張部108とを有する。一対の拡張部108は、円孔部107の中心に対して対称位置に配置されている。下プレート101の上面(上プレート102側の面)には、一対の係止溝111が形成されている。各係止溝111は、円孔部107を中心として各拡張部108に対して90度回転した位置に配置されている。各係止溝111は、円孔部107の外周縁に接続し、周方向に延びている。
上プレート102の中央には、上下に貫通する工具挿入孔114が形成されている。また、上プレート102の中央には、2つの係止ピン115が下方に向けて突設させている。2つの係止ピン115は、工具挿入孔114を中心として対称となる位置に配置されている。
組付用装置100をバッフルボディ14に組付けるときには、ボディ上部15の上端部を下方から挿通孔105に挿入する。このとき、一対の係止片58を一対の拡張部108に整合させることによってボディ上部15の上端部が挿通孔105を通過することができる。また、ピストン40の2つの係止孔45と2つの係止ピン115とを互いに整合させることによって、各係止ピン115が対応する係止孔45に突入する。この状態から更にボディ上部15を上方に移動させると、ピストン40が係止ピン115に押され、ばね52の付勢力に抗して下方に下がる。次に、一対の係止片58が挿通孔105から上方に突出した状態において、バッフルボディ14を組付用装置100に対して90度回転させる。これにより、一対の係止片58が一対の係止溝111に対向する。この状態で、組付用装置100に対してバッフルボディ14を下方に移動させると、各係止片58が対応する係止溝111に係止され、バッフルボディ14及び組付用装置100の相対回転が規制される。図11に示すように、この状態ではばね52は圧縮され、ピストン40は初期位置より下方に位置する。このようにして、組付用装置100がバッフルボディ14に組み付けられる。組付用装置100がバッフルボディ14に組み付けられた状態で、バッフルボディ14及びピストン40は、組付用装置100に対して回転が規制される。
次に貫通孔25の下端開口からバルブ32を挿入し、バルブ32の上端部をピストン40の嵌合孔41に挿入する。組付用装置100によってピストン40が初期位置よりも下位にあるため、バルブ32の上端部が嵌合孔41に嵌合した状態において、バルブ32は弁座面30から下方に離れた開弁位置にある。そのため、作業者はバルブ32の傘部34を手で把持することができる。この状態で、上方方向から工具挿入孔114を通過してボルト44をボルト孔42及び雌ねじ孔43に挿入する。続いて、工具挿入孔114に六角レンチ等の工具を挿入し、工具によってボルト44を締結する。組付用装置100を使用することによって、ボルト44、ピストン40及びバルブ32の共回りを防ぎ、適切に締結作業を行うことができる。なお、ボルト44、ピストン40及びバルブ32の分解時にも、組付用装置100はボルト44、ピストン40及びバルブ32の共回りを防ぎ、適切に分解作業を行うことができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、パリソンの底面の形状に合せて型面21及びバルブ先端面36の形状は任意に変更することができる。例えば、図12に示すように、型面外周部22、型面中央部23、及びバルブ先端面36は、当接面17に対して上方に凹んだ凹部を形成してもよい。このとき、型面中央部23及びバルブ先端面36は、平面を形成してもよい。