JP6876867B2 - 光学装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンスを用いる光学装置に関する。
近年、液晶表示装置に代わる表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL(Electro Luminescence)(OLED(Organic Light Emitting Diode))の開発が進み、すでに60インチクラスの大型の表示装置(ディスプレイ)も登場し始めている。
有機EL表示装置を構成する有機EL基板の表面は、反射率が高いため、特に明環境では外光を反射してしまい、コントラストを悪化させてしまう。
そのため、有機EL表示装置は、表面に、偏光子とλ/4板とからなる反射防止フィルムが設けられる。
例えば、特許文献1には、反射電極、有機EL発光層および透明電極からなる有機EL素子部と、位相差板および偏光板からなる円偏光板と、を備え、円偏光板の表面が反射する光の色の補色波長領域の反射率が高い反射防止層を、円偏光板より観察者側に設けられている部材の空気界面に設けた、有機EL表示装置が記載されている。
また、特許文献2には、偏光子と、λ/4板として機能する位相差層と、バリア層と、バリア機能を有する粘着剤層と、をこの順に備え、バリア層が、厚さ5〜100μmの薄ガラスである、有機EL表示装置用円偏光板、および、この円偏光板を備える有機EL表示装置が記載されている。
特開2009−259721号公報 特開2017−022016号公報
このような、有機EL表示装置は、偏光子とλ/4板とからなる反射防止フィルム(円偏光板)を有することにより、外光の反射を防止して、高いコントラストでの画像表示を可能にしている。
しかしながら、その反面、偏光子とλ/4板からなる反射防止フィルムは、有機EL素子が発光した光も、吸収してしまう。そのため、従来の有機EL表示装置は、光の利用効率が低く、有機EL素子の性能を十分に発揮できていない。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、有機ELを用いる光学装置において、外光の反射防止効果と、有機EL素子が発光した光の利用効率の向上とを両立できる、光学装置を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明の光学装置は、以下の構成を有する。
[1] 有機エレクトロルミネッセンスによる発光部、および、非発光部を有し、非発光部が金属反射部を有する、有機エレクトロルミネッセンス基板と、
液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する、有機エレクトロルミネッセンス基板の発光部が発光した光を、右円偏光および左円偏光に分離する、円偏光分離層と、
円偏光分離層によって分離された円偏光を直線偏光にする、面内の位相差は一定で、かつ、同一面内で遅相軸の方向が異なる複数の領域を有する、パターン位相差層と、
偏光子とを、この順に有することを特徴とする光学装置。
[2] 有機エレクトロルミネッセンス基板は、波長の異なる光を発光する発光部を有する、[1]に記載の光学装置。
[3] 円偏光分離層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する一方向における、液晶化合物由来の光学軸の向きが180°回転する長さを1周期とした際に、
円偏光分離層は、1周期の長さが互いに異なる複数種を有する、[2]に記載の光学装置。
[4] 円偏光分離層は、入射する光の波長に応じて、入射光の波長が長い領域ほど、1周期の長さが長い、[3]に記載の光学装置。
[5] 円偏光分離層が、液晶が配向されていない等方領域を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学装置。
[6] 等方領域が、有機エレクトロルミネッセンス基板の発光部からの光が入射しない領域に設けられる、[5]に記載の光学装置。
[7] パターン位相差層は、偏光子の透過軸に対して、遅相軸が+45°の領域と、遅相軸が−45°の領域と、を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学装置。
[8] 支持体を有し、支持体の一方の面に、円偏光分離層が設けられ、支持体の他方の面に、パターン位相差層および偏光子が設けられる、[1]〜[7]のいずれかに記載の光学装置。
本発明の光学装置によれば、有機ELを用いる光学装置において、外光の反射防止効果と、有機EL素子が発光した光の利用効率の向上とを、両立できる。
図1は、本発明の光学装置の一例の概念図である。 図2は、図1に示す光学装置の円偏光分離層の概念図である。 図3は、図1に示す光学装置の円偏光分離層を概念的に示す平面図である。 図4は、図1に示す光学装置の円偏光分離層の作用を示す概念図である。 図5は、図1に示す光学装置の円偏光分離層の作用を示す概念図である。 図6は、配向膜を露光する露光装置の一例の概念図である。 図7は、円盤状液晶を説明するための概念図である。 図8は、本発明の光学装置の別の例を説明するための概念図である。 図9は、本発明の光学装置の別の例を説明するための概念図である。 図10は、本発明の光学装置の別の例を説明するための概念図である。 図11は、本発明の実施例を説明するための概念図である。
以下、本発明の光学装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味で使用される。
本明細書において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380〜780nmの波長域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長域および780nmを超える波長域の光である。
また、これに限定されるものではないが、可視光のうち、420〜490nmの波長域の光は青色光であり、495〜570nmの波長域の光は緑色光であり、620〜750nmの波長域の光は赤色光である。
本明細書において、Re(λ)は、波長λにおける面内のレタデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
本明細書において、Re(λ)は、AxoScan(Axometrics社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
本発明の光学装置は、有機EL表示装置および有機EL照明装置等に利用される、有機ELによる発光を用いる光学装置であって、金属反射部を有する非発光部および有機ELによる発光部を有する有機EL基板と、液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する円偏光分離層と、面内の位相差は所定値(例えば、λ/4)で一定で、同一面内で遅相軸の方向が異なる複数の領域を有するパターン位相差層と、偏光子と、を有する。
このような本発明の光学装置によれば、有機EL表示装置等において、外光の反射防止と、有機ELによる光の利用効率の向上とを、両立できる。
図1に本発明の光学装置の一例の概念図を示す。
図1に示す光学装置は、有機EL(Electro Luminescence)表示装置(有機ELディスプレイ)および有機EL照明装置等として利用される光学装置で、有機EL基板12と、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bと、パターン位相差層16と、偏光子18とを有する。
<有機EL基板>
有機EL基板12は、有機EL表示装置等に用いられる、公知の有機EL基板(有機ELパネル、有機EL発光素子基板)である。
図示例の光学装置10は、フルカラー画像の表示に対応するものであり、有機EL基板12は、有機ELによって赤色光を発光するR発光部12R、有機ELによって緑色光を発光するG発光部12G、および、有機ELによって青色光を発光するB発光部12Bを有する。以下の説明では、R発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bを区別する必要がない場合には、R発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bをまとめて『発光部』ともいう。
有機EL基板12は、公知の有機EL基板と同様に、このようなR発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bが、二次元的に、多数、配列されている(図11に示すマスクを参照)。
前述のように、有機EL基板12は、公知の有機EL基板である。従って、R発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bは、いずれも、公知の有機EL素子(有機EL発光素子、有機EL発光部、有機電界発光層)である。
有機EL基板12において、R発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bが形成される面の、R発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bを有さない領域は、非発光部12Nである。
公知の有機EL基板と同様、この非発光部12Nには、金属配線および金属電極等が形成されている。この金属配線等が、非発光部12Nにおける金属反射部となる。
なお、図示例の光学装置10において、有機EL基板12は、R発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bを有する、フルカラー画像の表示等に対応するものであるが、本発明は、これに制限はされない。
例えば、有機EL基板は、R発光部12Rのみを有する、または、G発光部12Gのみを有する、または、B発光部12Bのみを有する、モノクロ画像(単色画像)の表示等に対応するものでもよい。あるいは、有機EL基板は、R発光部12RとG発光部12Gとを有する、または、R発光部12RとB発光部12Bとを有する、または、G発光部12GとB発光部12Bとを有する、2色画像の表示等に対応するものでもよい。
本発明の表示装置が、モノクロ画像および2色画像の表示等に対応するものである場合には、後述する円偏光分離部材(円偏光分離領域)も、それぞれの色に対応するもののみが設けられる。
有機EL基板の各発光部から光を前面に効率よく出射する方法は、例えば、有機EL基板に集光性を有する形状を持たせる方法、および、マイクロキャビティーによる方法などがある。
有機EL基板に集光性を有する形状を持たせる方法としては、例えば、特開昭63−314795号公報に記載される方法が例示される。マイクロキャビティーによる方法としては、例えば、特開2010−153284号公報に記載される方法が例示される。
<円偏光分離部材>
光学装置10において、R発光部12Rの上部の、R発光部12Rから赤色光が照射される領域には、R円偏光分離部材14Rが配置される。G発光部12Gの上部の、G発光部12Gから緑色光が照射される領域には、R円偏光分離部材14Rが配置される。さらに、B発光部12Bの上部の、B発光部12Bから青色光が照射される領域には、B円偏光分離部材14Bが配置される。
R円偏光分離部材14Rは、R発光部12Rが出射した無偏光の赤色光を、右円偏光と左円偏光とに分けて、左円偏光(細かい破線)は図中右側に、右円偏光(粗い破線)は図中左側に、それぞれ出射する。
G円偏光分離部材14Gは、G発光部12Gが出射した無偏光の緑色光を、右円偏光と左円偏光とに分けて、左円偏光(細かい破線)は図中右側に、右円偏光(粗い破線)は図中左側に、それぞれ出射する。
B円偏光分離部材14Bは、B発光部12Bが出射した無偏光の緑色光を、右円偏光と左円偏光とに分けて、左円偏光(細かい破線)は図中右側に、右円偏光(粗い破線)は図中左側に、それぞれ出射する。
図2に、R円偏光分離部材14Rを概念的に示す。
なお、以下の説明は、R円偏光分離部材14Rを代表例として行うが、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bも、基本的に、同様の構成を有する。
R円偏光分離部材14Rは、支持体20、配向膜24および円偏光分離層26、を有する。従って、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bも、同様の支持体20、配向膜24および円偏光分離層26を有する。
また、以下の説明では、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bを区別する必要が無い場合には、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bをまとめて『円偏光分離部材』ともいう。
R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bは、円偏光分離層26側を、有機EL基板12側に向けて配置される。
<<支持体>>
R円偏光分離部材14Rにおいて、支持体20は、配向膜24および円偏光分離層26を支持するものである。
この点に関しては、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bも同様である。
支持体20は、配向膜24および円偏光分離層26を支持できるものであれば、各種のシート状物(フィルム、板状物)が利用可能である。
支持体20としては、透明支持体が好ましく、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマー系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、および、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。シクロオレフィンポリマー系フィルムは、例えば、JSR社製の商品名「アートン」、日本ゼオン社製の商品名「ゼオノア」等の市販品が利用可能である。
支持体は、可撓性のフィルムに限らず、ガラス基板等の非可撓性の基板であってもよい。
支持体20の厚さには、制限はなく、光学装置10の用途および支持体20の形成材料等に応じて、配向膜24および円偏光分離層26を保持できる厚さを、適宜、設定すればよい。
支持体20の厚さは、1〜1000μmが好ましく、3〜250μmがより好ましく、5〜150μmがさらに好ましい。
<<配向膜>>
R円偏光分離部材14Rにおいて、支持体20の表面には配向膜24が形成される。
配向膜24は、R円偏光分離部材14Rの円偏光分離層26を形成する際に、液晶化合物30を所定の液晶配向パターンに配向するための配向膜24である。
以上の点に関しては、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bも同様である。
後述するが、本発明の光学装置10において、円偏光分離層26は、液晶化合物30に由来する光学軸30A(図3参照)の向きが、面内の一方向(後述する矢印X方向)に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する。
従って、各円偏光分離部材の配向膜24は、円偏光分離層26が、この液晶配向パターンを形成できるように、形成される。
本発明においては、円偏光分離層26の液晶配向パターンにおける、光学軸30Aの向きが連続的に回転しながら変化する一方向において、光学軸30Aの向きが180°回転する長さを1周期(光学軸の回転周期)とする。
本発明の光学装置10は、好ましい態様として、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bの各円偏光分離層26は、対応する光の波長(光の色)に応じて、この1周期の長さ(1周期Λ)が異なる。
具体的には、円偏光分離層26の液晶配向パターンにおける1周期の長さは、対応する光に応じて、波長の長い光に対応するものほど、1周期の長さを長くするのが好ましい。すなわち、円偏光分離層26は、対応する光の波長の長さの順列と、1周期の長さの順列とが、一致しているのが好ましい。
従って、各円偏光分離部材において、円偏光分離層26の液晶配向パターンにおける1周期の長さは、B円偏光分離部材14B、G円偏光分離部材14GおよびR円偏光分離部材14Rの順番で長くするのが好ましい。
配向膜24は、各円偏光分離部材の円偏光分離層において、対応する光の波長の長さの順列と1周期の長さの順列とが一致する液晶配向パターンを得られる、配向パターンを有する。
以下の説明では、『光学軸30Aの向きが回転』を単に『光学軸30Aが回転』とも言う。
配向膜24は、公知の各種のものが利用可能である。
例えば、ポリマーなどの有機化合物からなるラビング処理膜、無機化合物の斜方蒸着膜、マイクログルーブを有する膜、ならびに、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチルなどの有機化合物のラングミュア・ブロジェット法によるLB(Langmuir-Blodgett:ラングミュア・ブロジェット)膜を累積させた膜、等が例示される。
ラビング処理による配向膜24は、ポリマー層の表面を紙または布で一定方向に、数回、擦ることにより形成できる。
配向膜24に使用する材料としては、ポリイミド、ポリビニルアルコール、特開平9−152509号公報に記載された重合性基を有するポリマー、特開2005−097377号公報、特開2005−099228号公報、および、特開2005−128503号公報記載の配向膜24等の形成に用いられる材料が好ましく例示される。
本発明の光学装置10においては、配向膜24は、光配向性の素材に偏光または非偏光を照射して配向膜24とした、いわゆる光配向膜が好適に利用される。すなわち、本発明の光学装置10においては、配向膜24として、支持体20上に、光配向材料を塗布して形成した配向膜24が、好適に利用される。
偏光の照射は、配向膜24に対して、垂直方向または斜め方向から行うことができ、非偏光の照射は、配向膜24に対して、斜め方向から行うことができる。
本発明に利用可能な配向膜24に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006−285197号公報、特開2007−076839号公報、特開2007−138138号公報、特開2007−094071号公報、特開2007−121721号公報、特開2007−140465号公報、特開2007−156439号公報、特開2007−133184号公報、特開2009−109831号公報、特許第3883848号公報および特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002−229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002−265541号公報および特開2002−317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミドおよび/またはアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号および特許第4205198号に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003−520878号公報、特表2004−529220号公報および特許第4162850号に記載の光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミドおよび光架橋性エステル、ならびに、特開平9−118717号公報、特表平10−506420号公報、特表2003−505561号公報、国際公開第2010/150748号、特開2013−177561号公報および特開2014−012823号公報に記載の光二量化可能な化合物、特にシンナメート化合物、カルコン化合物およびクマリン化合物等が、好ましい例として例示される。
中でも、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、光架橋性ポリアミド、光架橋性エステル、シンナメート化合物、および、カルコン化合物は、好適に利用される。
配向膜24の厚さには制限はなく、配向膜24の形成材料に応じて、必要な配向機能を得られる厚さを、適宜、設定すればよい。配向膜24の厚さは、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
配向膜24の形成方法には、制限はなく、配向膜24の形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。一例として、配向膜24を支持体20の表面に塗布して乾燥させた後、配向膜24をレーザ光によって露光して、配向パターンを形成する方法が例示される。
図6に、配向膜24を露光することで配向パターンを形成する露光装置の一例を概念的に示す。
図6に示す露光装置60は、レーザ62を備えた光源64と、レーザ62が出射したレーザ光Mを光線MAおよびMBの2つに分離するビームスプリッター68と、分離された2つの光線MAおよびMBの光路上にそれぞれ配置されたミラー70Aおよび70Bと、λ/4板72Aおよび72Bと、を備える。
なお、図示は省略するが、光源64は偏光子を備え、直線偏光P0を出射する。λ/4板72Aおよび72Bは、互いに直交する光学軸(遅相軸)を備えている。λ/4板72Aは、直線偏光P0(光線MA)を右円偏光PRに、λ/4板72Bは直線偏光P0(光線MB)を左円偏光PLに、それぞれ変換する。
配向パターンを形成される前の配向膜24を有する支持体20が露光部に配置され、2つの光線MAと光線MBとを配向膜24上において交差させて干渉させ、その干渉光を配向膜24に照射して露光する。
この際の干渉により、配向膜24に照射される光の偏光状態が干渉縞状に周期的に変化するものとなる。これにより、配向膜24において、配向状態が周期的に変化する配向パターンが得られる。
露光装置60においては、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変化させることにより、配向パターンの周期を調節できる。すなわち、露光装置60においては、交差角αを調節することにより、液晶化合物30に由来する光学軸30Aが一方向に沿って連続的に回転する配向パターンにおいて、光学軸30Aが回転する1方向における、光学軸30Aが180°回転する1周期の長さ(1周期Λ)を調節できる。
このような配向状態が周期的に変化した配向パターンを有する配向膜24上に、円偏光分離層26を形成することにより、後述するように、液晶化合物30に由来する光学軸30Aが一方向に向かって連続的に回転する液晶配向パターンを有する、円偏光分離層26を形成できる。
また、λ/4板72Aおよび72Bの光学軸を各々90°回転することにより、光学軸30Aの回転方向を逆にすることができる。
なお、本発明の光学装置において、配向膜24は、好ましい態様として設けられるものであり、必須の構成要件ではない。
例えば、支持体20をラビング処理する方法、支持体20をレーザ光等で加工する方法等によって、支持体20に配向パターンを形成することにより、円偏光分離層26等が、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する構成とすることも、可能である。
<<円偏光分離層>>
R円偏光分離部材14Rにおいて、配向膜24の表面には、円偏光分離層26が形成される。
なお、図1(および、後述する図4〜図5)においては、図面を簡略化して光学装置10の構成を明確に示すために、円偏光分離層26は、共に、配向膜24の表面の液晶化合物30(液晶化合物分子)のみを示している。しかしながら、円偏光分離層26は、図2に概念的に示すように、通常の液晶化合物を含む組成物を用いて形成された円偏光分離層26と同様に、配向された液晶化合物30が積み重ねられた構造を有する。
以上の点に関しては、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bも同様である。
前述のように、本発明の光学装置10において、円偏光分離層26は、液晶化合物を含む組成物を用いて形成されたものである。
円偏光分離層26は、面内レタデーションの値をλ/2に設定した場合に、一般的なλ/2板としての機能、すなわち、円偏光分離層26に入射した光に含まれる互いに直交する2つの直線偏光成分に半波長すなわち180°の位相差を与える機能を有している。
円偏光分離層26は、円偏光分離層26の面内において、液晶化合物に由来する光学軸の向きが、矢印Xで示す一方向に連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
なお、液晶化合物30に由来する光学軸30Aとは、液晶化合物30において屈折率が最も高くなる軸である。例えば、液晶化合物30が棒状液晶化合物である場合には、光学軸30Aは、棒形状の長軸方向に沿っている。
以下の説明では、『矢印Xで示す一方向』を単に『矢印X方向』とも言う。また、以下の説明では、液晶化合物30に由来する光学軸30Aを、『液晶化合物30の光学軸30A』または『光学軸30A』とも言う。
円偏光分離層26において、液晶化合物30は、それぞれ、円偏光分離層26において、矢印X方向と、この矢印X方向と直交するY方向とに平行な面内に二次元的に配向している。なお、図1、図2、後述する図4〜図5では、Y方向は、紙面に直交する方向となる。
図3に、円偏光分離層26の平面図を概念的に示す。
なお、平面図とは、図1において、光学装置10を上方から見た図であり、すなわち、光学装置10を厚さ方向から見た図である。言い換えれば、円偏光分離層26を主面と直交する方向から見た図である。なお、主面とは、シート状物の最大面である。また、厚さ方向とは、すなわち各層(膜)の積層方向である。
また、図3では、本発明の光学装置10の構成を明確に示すために、図1等と同様、液晶化合物30は配向膜24の表面の液晶化合物30のみを示している。しかしながら、円偏光分離層26は、厚さ方向には、図2に示されるように、この配向膜24の表面の液晶化合物30から、液晶化合物30が積み重ねられた構造を有するのは、前述のとおりである。
円偏光分離層26は、円偏光分離層26の面内において、液晶化合物30に由来する光学軸30Aの向きが、矢印X方向に沿って連続的に回転しながら変化する液晶配向パターンを有する。
液晶化合物30の光学軸30Aの向きが矢印X方向(所定の一方向)に連続的に回転しながら変化しているとは、具体的には、矢印X方向に沿って配列されている液晶化合物30の光学軸30Aと、矢印X方向とが成す角度が、矢印X方向の位置によって異なっており、矢印X方向に沿って、光学軸30Aと矢印X方向とが成す角度がθからθ+180°あるいはθ−180°まで、順次、変化していることを意味する。
なお、矢印X方向に互いに隣接する液晶化合物30の光学軸30Aの角度の差は、45°以下であるのが好ましく、15°以下であるのがより好ましく、より小さい角度であるのがさらに好ましい。
一方、円偏光分離層26を形成する液晶化合物30は、矢印X方向と直交するY方向、すなわち光学軸30Aが連続的に回転する一方向と直交するY方向では、光学軸30Aの向きが等しい液晶化合物30が等間隔で配列されている。
言い換えれば、円偏光分離層26を形成する液晶化合物30において、Y方向に配列される液晶化合物30同士では、光学軸30Aの向きと矢印X方向とが成す角度が等しい。
前述のように、本発明の光学装置10においては、このような液晶化合物30の液晶配向パターンにおいて、面内で光学軸30Aの向きが連続的に回転して変化する矢印X方向において、液晶化合物30の光学軸30Aが180°回転する長さ(距離)を、液晶配向パターンにおける1周期の長さΛとする。言い換えれば、液晶配向パターンにおける1周期の長さは、液晶化合物30の光学軸30Aと矢印X方向とのなす角度がθからθ+180°となるまでの距離により定義される。
すなわち、矢印X方向に対する角度が等しい2つの液晶化合物30の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。具体的には、図3に示すように、矢印X方向と光学軸30Aの方向とが一致する2つの液晶化合物30の、矢印X方向の中心間の距離を、1周期の長さΛとする。以下の説明では、この1周期の長さΛを『1周期Λ』とも言う。
本発明の光学装置10において、円偏光分離層26の液晶配向パターンは、この1周期Λを、矢印X方向すなわち光学軸30Aの向きが連続的に回転して変化する一方向に繰り返す。
前述のように円偏光分離層26において、Y方向に配列される液晶化合物は、光学軸30Aと矢印X方向(液晶化合物30の光学軸の向きが回転する1方向)とが成す角度が等しい。この光学軸30Aと矢印X方向とが成す角度が等しい液晶化合物30が、Y方向に配置された領域を、領域Zとする。
この場合に、それぞれの領域Zにおける面内レタデーション(Re)の値は、半波長すなわちλ/2であるのが好ましい。これらの面内レタデーションは、領域Zの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnと円偏光分離層26の厚さとの積により算出される。ここで、円偏光分離層26における領域Zの屈折率異方性に伴う屈折率差とは、領域Zの面内における遅相軸の方向の屈折率と、遅相軸の方向に直交する方向の屈折率との差により定義される屈折率差である。すなわち、領域Zの屈折率異方性に伴う屈折率差Δnは、光学軸30Aの方向の液晶化合物30の屈折率と、領域Zの面内において光学軸30Aに垂直な方向の液晶化合物30の屈折率との差に等しい。つまり、上述の屈折率差Δnは、液晶化合物の屈折率差に等しい。
このような円偏光分離層26に円偏光が入射すると、光は、屈折され、かつ、円偏光の方向が変換される。
この作用を、図4に概念的に示す。なお、円偏光分離層26は、液晶化合物の屈折率差と円偏光分離層26の厚さとの積の値がλ/2であるとする。
図4に示すように、円偏光分離層26の液晶化合物の屈折率差と円偏光分離層26の厚さとの積の値がλ/2の場合に、円偏光分離層26に左円偏光である入射光L1が入射すると、入射光L1は、円偏光分離層26を通過することにより180°の位相差が与えられて、透過光L2は、右円偏光に変換される。
また、入射光L1は、円偏光分離層26を通過する際に、それぞれの液晶化合物30の光学軸30Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光学軸30Aの向きは、矢印X方向に沿って回転しながら変化しているため、光学軸30Aの向きに応じて、入射光L1の絶対位相の変化量が異なる。さらに、円偏光分離層26に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、円偏光分離層26を通過した入射光L1には、図4に示すように、それぞれの光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q1が与えられる。これにより、矢印X方向に対して逆の方向に傾いた等位相面E1が形成される。
そのため、透過光L2は、等位相面E1に対して垂直な方向に向かって傾くように屈折され、入射光L1の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、左円偏光の入射光L1は、入射方向に対して矢印X方向に一定の角度だけ傾いた、右円偏光の透過光L2に変換される。
一方、図5に概念的に示すように、円偏光分離層26の液晶化合物の屈折率差と円偏光分離層26の厚さとの積の値がλ/2のとき、円偏光分離層26に右円偏光の入射光L4が入射すると、入射光L4は、円偏光分離層26を通過することにより、180°の位相差が与えられて、左円偏光の透過光L5に変換される。
また、入射光L4は、円偏光分離層26を通過する際に、それぞれの液晶化合物30の光学軸30Aの向きに応じて絶対位相が変化する。このとき、光学軸30Aの向きは、矢印X方向に沿って回転しながら変化しているため、光学軸30Aの向きに応じて、入射光L4の絶対位相の変化量が異なる。さらに、円偏光分離層26に形成された液晶配向パターンは、矢印X方向に周期的なパターンであるため、円偏光分離層26を通過した入射光L4は、図5に示すように、それぞれの光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2が与えられる。
ここで、入射光L4は、右円偏光であるので、光学軸30Aの向きに対応した矢印X方向に周期的な絶対位相Q2は、左円偏光である入射光L1とは逆になる。その結果、入射光L4では、入射光L1とは逆に矢印X方向に傾斜した等位相面E2が形成される。
そのため、入射光L4は、等位相面E2に対して垂直な方向に向かって傾くように屈折され、入射光L4の進行方向とは異なる方向に進行する。このように、入射光L4は、入射方向に対して矢印X方向とは逆の方向に一定の角度だけ傾いた左円偏光の透過光L5に変換される。
従って、R円偏光分離部材14Rは、円偏光分離層26の作用によって、R発光部12Rが出射した無偏光の赤色光を、右円偏光の成分と左円偏光の成分とに分けて、細かい破線で示す左円偏光は図中右側に、粗い破線で示す右円偏光は図中左側に、それぞれ出射する。
また、G円偏光分離部材14Gは、円偏光分離層26の作用によって、G発光部12Gが出射した無偏光の緑色光を、右円偏光の成分と左円偏光の成分とに分けて、細かい破線で示す左円偏光は図中右側に、粗い破線で示す右円偏光は図中左側に、それぞれ出射する。
さらに、B円偏光分離部材14Bは、円偏光分離層26の作用によって、B発光部12Bが出射した無偏光の緑色光を、右円偏光の成分と左円偏光の成分とに分けて、細かい破線で示す左円偏光は図中右側に、粗い破線で示す右円偏光は図中左側に、それぞれ出射する。
なお、円偏光分離層26は、矢印X方向に沿って回転する、液晶化合物30の光学軸30Aの回転方向を逆方向にすることにより、透過光の屈折の方向を、逆方向にできる。
円偏光分離層26において、複数の領域Zの面内レタデーションの値は、半波長であるのが好ましいが、波長が550nmである入射光に対する円偏光分離層26の複数の領域Zの面内レタデーションRe(550)=Δn550×dが下記式(1)に規定される範囲内であるのが好ましい。ここで、Δn550は、入射光の波長が550nmである場合の、領域Zの屈折率異方性に伴う屈折率差であり、dは、円偏光分離層26の厚さである。
200nm≦Δn550×d≦350nm・・・(1)
すなわち、円偏光分離層26の複数の領域Zの面内レタデーションRe(550)=Δn550×dが式(1)を満たしていれば、円偏光分離層26に入射した光の十分な量の円偏光成分を、矢印X方向に対して順方向または逆方向に傾いた方向に進行する円偏光に変換することができる。面内レタデーションRe(550)=Δn550×dは、225nm≦Δn550×d≦340nmがより好ましく、250nm≦Δn550×d≦330nmがさらに好ましい。
なお、上記式(1)は波長550nmである入射光に対する範囲であるが、波長がλnmである入射光に対する円偏光分離層26の複数の領域Zの面内レタデーションRe(λ)=Δnλ×dは下記式(1−2)に規定される範囲内であるのが好ましく、適宜設定することができる。
0.7λnm≦Δnλ×d≦1.3λnm・・・(1−2)
また、円偏光分離層26における、複数の領域Zの面内レタデーションの値は、上記式(1)の範囲外で用いることもできる。具体的には、Δn550×d<200nmまたは350nm<Δn550×dとすることで、入射光の進行方向と同一の方向に進行する光と、入射光の進行方向とは異なる方向に進行する光に分けることができる。Δn550×dが0nmまたは550nmに近づくと入射光の進行方向と同一の方向に進行する光の成分は増加し、入射光の進行方向とは異なる方向に進行する光の成分は減少する。
さらに、波長が450nmの入射光に対する円偏光分離層26の領域Zのそれぞれの面内レタデーションRe(450)=Δn450×dと、波長が550nmの入射光に対する円偏光分離層26の領域Zのそれぞれの面内レタデーションRe(550)=Δn550×dは、下記式(2)を満たすのが好ましい。ここで、Δn450は、入射光の波長が450nmである場合の、領域Zの屈折率異方性に伴う屈折率差である。
(Δn450×d)/(Δn550×d)<1.0・・・(2)
式(2)は、円偏光分離層26に含まれる液晶化合物30が逆分散性を有していることを表している。すなわち、式(2)が満たされることにより、円偏光分離層26は、広帯域の波長の入射光に対応できる。
ここで、円偏光分離部材は、円偏光分離層26に形成された液晶配向パターンの1周期Λを変化させることにより、透過光L2およびL5の屈折の角度を調節できる。具体的には、液晶配向パターンの1周期Λが短いほど、互いに隣接した液晶化合物30を通過した光同士が強く干渉するため、透過光L2およびL5を大きく屈折させることができる。
また、入射光L1およびL4に対する透過光L2およびL5の屈折の角度は、入射光L1およびL4(透過光L2およびL5)の波長によって異なる。具体的には、入射光の波長が長いほど、透過光は大きく屈折する。すなわち、入射光が赤色光、緑色光および青色光である場合には、赤色光が最も大きく屈折し、青色光の屈折が最も小さい。
従って、入射する光の波長に応じて、円偏光分離層26の1周期Λを調節することにより、円偏光分離層26(各円偏光分離部材)から出射する右円偏光および左円偏光の角度を調節し、一致させることができる。
具体的には、円偏光分離層26の液晶配向パターンにおける1周期Λは、対応する光の色に応じて、長波長の光に対応するものほど、長くするのが好ましい。従って、各円偏光分離部材において、円偏光分離層26の液晶配向パターンにおける1周期Λは、B円偏光分離部材14B、G円偏光分離部材14GおよびR円偏光分離部材14Rの順番で長くするのが好ましい。すなわち、各円偏光分離部材を構成する円偏光分離層26の液晶配向パターンにおける1周期Λは、『R円偏光分離部材14R>G円偏光分離部材14G>B円偏光分離部材14B』とするのが好ましい。
言い換えると、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bは、対応する光の波長の長さの順列と、円偏光分離層26の液晶配向パターンにおける1周期Λの順列とが、一致しているのが好ましい。
このような構成とすることにより、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bから出射する円偏光の角度を一致させて、各色の円偏光をパターン位相差層16に向かって正確に入射できる。その結果、後述する光の利用効率をより向上できるようになる。
円偏光分離層26は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含む液晶組成物の硬化層からなり、棒状液晶化合物の光学軸または円盤状液晶化合物の光学軸が、上記のように配向された液晶配向パターンを有している。
支持体20上に前述のようにして配向膜24を形成し、配向膜24上に液晶組成物を塗布して、紫外線の照射および/または加熱等によって硬化(固定化)することにより、液晶組成物の硬化層からなる円偏光分離層26を得ることができる。なお、いわゆるλ/2板として機能するのは円偏光分離層26であるが、本発明は、支持体20および配向膜24を一体的に備えた積層体がλ/2板として機能する態様を含む。
また、円偏光分離層26を形成するための液晶組成物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物を含有し、さらに、レベリング剤、配向制御剤、重合開始剤および配向助剤などのその他の成分を含有していてもよい。
また、円偏光分離層26は、入射光の波長に対して広帯域であるのが望ましく、複屈折率が逆分散となる液晶材料を用いて構成されるのが好ましい。また、液晶組成物に捩れ成分を付与することにより、また、異なる位相差層を積層することにより、入射光の波長に対して円偏光分離層26を実質的に広帯域にするのも好ましい。例えば、円偏光分離層26において、捩れ方向が異なる2層の液晶を積層することによって広帯域のパターン化されたλ/2板を実現する方法が特開2014−089476号公報等に示されており、本発明において好ましく使用できる。
―棒状液晶化合物―
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、および、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。
棒状液晶化合物は、重合によって配向を固定することがより好ましく、重合性棒状液晶化合物としては、Makromol. Chem., 190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開第95/022586号、同95/024455号、同97/000600号、同98/023580号、同98/052905号、特開平1−272551号公報、同6−016616号公報、同7−110469号公報、同11−080081号公報、特開2005−289980号公報、および、同2001−064627号公報などに記載の化合物を用いることができる。さらに棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11−513019号公報、特開2007−279688号公報、および、同2010−244038号公報に記載されるものも好ましく用いることができる。
―円盤状液晶化合物―
円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007−108732号公報および特開2010−244038号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
なお、円偏光分離層26に円盤状液晶化合物を用いた場合には、円偏光分離層26において、液晶化合物30は厚さ方向に立ち上がっており、液晶化合物に由来する光学軸30Aは、円盤面に垂直な軸、いわゆる進相軸として定義される(図7参照)。
<パターン位相差層>
パターン位相差層16は、各円偏光分離部材の円偏光分離層26によって分離された円偏光を直線偏光に変換するλ/4板である。各円偏光分離部材とは、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bである。
本発明の光学装置10において、パターン位相差層16は、面内の位相差は全面的にλ/4で一定で、かつ、同一面内で遅相軸の方向が異なる複数の領域を有する。具体的には、パターン位相差層16は、偏光子18の透過軸に対して+45°の遅相軸を有する第1領域16a(+λ/4領域)と、偏光子18の透過軸に対して−45°の遅相軸を有する第2領域16b(−λ/4領域)との、2つの領域を有する。
λ/4板とは、ある特定の波長の円偏光を直線偏光に、または、直線偏光を円偏光に変換する機能を有する板である。より具体的には、所定の波長λnmにおける面内レタデーション値がRe(λ)=λ/4(または、この奇数倍)を示す板である。この式は、可視光域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよい。なお、パターン位相差層16が、例えば前述の支持体20と同様の支持体によって指示されている場合には、パターン位相差層16がλ/4板であるとは、パターン位相差層16と支持体20との組み合わせが、全て、λ/4板であることを意図する。
パターン位相差層16の各領域において、波長550nmの面内レタデーションRe(550)=Δn550×dは特に限定はないが、115〜165nmが好ましく、120〜150nmがより好ましく、125〜145nmがさらに好ましい。
前述のように、パターン位相差層16は、面内の位相差は全面的にλ/4で一定で、偏光子18の透過軸(図中横方向)に対して+45°の遅相軸を有する第1領域16aと、偏光子18の透過軸に対して−45°の遅相軸を有する第2領域16bと、を有する。
すなわち、パターン位相差層16は、+λ/4領域と−λ/4領域とを有するパターンを有する。なお、本例においては、偏光子18側から観察した際に、偏光子18の透過軸を基準に、時計回りが『+』、反時計回りが『−』である。
パターン位相差層16において、第1領域16aは、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bの各円偏光分離層26で分離された右円偏光に対応する領域である。すなわち、第1領域16aは、偏光子18の透過軸に対して+45°の遅相軸を有するので、円偏光分離層26で分離された右円偏光を、偏光子18の透過軸の方向の直線偏光に変換する。
他方、パターン位相差層16において、第2領域16bは、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bの各円偏光分離層26で分離された左円偏光に対応する領域である。すなわち、第2領域16bは、偏光子18の透過軸に対して−45°の遅相軸を有するので、円偏光分離層26で分離された左円偏光を、偏光子18の透過軸の方向の直線偏光に変換する。
R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bで分離された左円偏光および右円偏光が、パターン位相差層16のどの位置に入射するかは、有機EL基板12における発光部の位置、すなわち、発光部の配列によって異なる。
従って、パターン位相差層16における第1領域16aおよび第2領域16bの形成パターンは、有機EL基板12における発光部の位置に応じて、各発光部から出射され、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bで分離された右円偏光が第1領域16aに入射し、左円偏光が第2領域16bに入射するようなパターンを、適宜、設定すればよい。
また、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bで分離された左円偏光および右円偏光が、パターン位相差層16のどの位置に入射するかは、各円偏光分離部材による光の屈折、すなわち、円偏光分離層26の1周期Λにも影響される。
さらに、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bで分離された左円偏光および右円偏光が、パターン位相差層16のどの位置に入射するかは、円偏光分離部材(円偏光分離層26)と、パターン位相差層16との距離にも影響される。
従って、パターン位相差層16における第1領域16aおよび第2領域16bの形成パターンは、有機EL基板12における発光部の位置に加え、円偏光分離層26の液晶配向パターンの1周期Λ、および/または、円偏光分離部材とパターン位相差層16との距離も加味して、各発光部から出射され、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bで分離された右円偏光が第1領域16aに入射し、右円偏光が第2領域16bに入射するようなパターンを、適宜、設定するのが好ましい。
パターン位相差層16は、液晶化合物を用いて形成されるのが好ましい。
パターン位相差層16が、液晶化合物を用いて形成されることにより、第1領域16aおよび第2領域16bのパターン、ならびに、各パターンにおける遅相軸の方向を、高精度かつ高い分解能で制御できる。
パターン位相差層16の形成方法としては、例えば、液晶化合物を配向状態で固定化する方法が挙げられる。
液晶化合物としては、前述の円偏光分離層26の形成で例示したものが利用できる。
パターン位相差層16における面内レタデーションを上述の範囲内とするために、液晶化合物の配向状態を制御することがある。このとき、棒状液晶化合物を用いる場合には、棒状液晶化合物を水平配向した状態で固定化するのが好ましく、円盤状液晶化合物を用いる場合には、円盤状液晶化合物を垂直配向した状態で固定化するのが好ましい。なお、本発明において、「棒状液晶化合物が水平配向」とは、棒状液晶化合物のダイレクタと層面が平行であることを言う。また、本発明において、「円盤状液晶化合物が垂直配向」とは、円盤状液晶化合物の円盤面と層面が垂直であることを言う。
この水平および垂直は、厳密に水平、垂直であることを要求するものではなく、それぞれ正確な角度から±20°の範囲であることを意味するものとする。±5°以内であることが好ましく、±3°以内であることがより好ましく、±2°以内であることがさらに好ましく、±1°以内であることが最も好ましい。
また、液晶化合物を水平配向、垂直配向状態とするために、水平配向、垂直配向を促進する添加剤(配向制御剤)を使用してもよい。添加剤は、公知のものを使用できる。
このようなパターン位相差層16は、公知の方法で形成すればよい。
一例として、特開2012−150428号公報に記載の方法、同2012−008170号公報の段落[0017]〜[0029]に記載の方法、同2012−032661号公報の段落[0166]〜[0181]に記載の方法、および、同2014−089431号公報の段落[0039]〜[0041]に記載の方法が例示される。
パターン位相差層16の厚さは特に限定されないが、パターン位相差層16を薄くできる点で、1〜5μmが好ましく、1〜4μmがより好ましく、1〜3μmがさらに好ましい。
<偏光子>
パターン位相差層16の光出射側には、偏光子18が設けられる。
偏光子(偏光板)18は、一方向の透過軸を有する直線偏光子であり、有機ELディスプレイの反射防止膜等に用いられている、公知の直線偏光子である。
従って、偏光子18は、ヨウ素化合物を含む吸収型偏光子やワイヤーグリッドなどの反射型偏光子等、一般的な直線偏光子が、各種、利用可能である。
上述のように、偏光子18は、一例として、図1の横方向に透過軸を有する。
<光学装置の作用>
以下、光学装置10の作用を説明する。
前述のように、偏光子18の透過軸は、図中、横方向である。従って、本発明の光学装置10に外光Eが入射した場合には、図中横方向の直線偏光の成分は偏光子18を透過するが、それ以外の直線偏光の成分は、偏光子18によって吸収される。
偏光子18を透過した直線偏光は、パターン位相差層16によって、円偏光に変換される。ここで、円偏光の旋回方向は、パターン位相差層16の入射位置に応じて、第1領域16aに入射した光は右円偏光に変換され、第2領域16bに入射した光は、左円偏光に変換される。
外光Eから変換された円偏光は、有機EL基板12の非発光部12Nの金属反射部によって反射されて、旋回方向が逆の円偏光となり、パターン位相差層16に入射して、直線偏光に変換される。ここで、有機EL基板12の金属反射部によって反射されてパターン位相差層16に入射する円偏光は、外光Eが入射して偏光子18を透過してパターン位相差層16から出射された円偏光とは、旋回方向が逆である。従って、パターン位相差層16によって直線偏光に変換された光は、偏光子の透過軸とは直交する方向の直線偏光であるので、パターン位相差層16を透過することができない。すなわち、本発明の光学装置10は、外光の反射を防止できる。
他方、本発明の光学装置10において、有機EL基板12のR発光部12Rから出射された光はR円偏光分離部材14Rに、G発光部12Gから出射された光はG円偏光分離部材14Gに、B発光部12Bから出射された光はB円偏光分離部材14Bに、それぞれ、入射する。
各円偏光分離部材に入射した光(無偏光)は、円偏光分離部材の円偏光分離層26によって、右円偏光の成分と左円偏光の成分とに分離され、右円偏光(粗い破線)は図中左方向に、左円偏光(細かい破線)は図中右方向に、それぞれ、出射される。
円偏光分離層26によって分離された右円偏光は、λ/4板であるパターン位相差層16の第1領域16aに入射する。第1領域16aは、偏光子18の透過軸に対して+45°の遅相軸を有する(+λ/4)。従って、第1領域16aに入射した右円偏光は、偏光子18の透過軸の方向の直線偏光に変換される。
他方、円偏光分離層26によって分離された左円偏光は、λ/4板であるパターン位相差層16の第2領域16bに入射する。第2領域16bは、偏光子18の透過軸に対して−45°の遅相軸を有する(−λ/4)。従って、第2領域16bに入射した左円偏光も、偏光子18の透過軸の方向の直線偏光に変換される。
パターン位相差層16を透過した光は、次いで、偏光子18に入射する。前述のように、パターン位相差層16を透過した光は、偏光子18の透過軸の方向の直線偏光に変換されている。従って、偏光子18に入射した光は、全て、偏光子18を透過して、光学装置10からの出射光(矢印)となる。
このように、本発明の光学装置10は、有機EL基板12の各発光部が出射した右円偏光および左円偏光の両方の成分を出射することができ、右円偏光および左円偏光の一方がλ/4板および偏光子によって吸収されていた従来の有機EL装置に比して、光の利用効率を大幅に向上できる。
すなわち、本発明の光学装置によれば、有機EL表示装置等において、外光の反射防止と、有機ELによる光の利用効率の向上とを、両立して、例えば有機EL表示装置において、高コントラストの表示を行うことが可能になる。
<その他の実施形態>
図1に示す光学装置10は、有機EL基板12のR発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bの個々に対応して、R円偏光分離部材14R、G円偏光分離部材14GおよびB円偏光分離部材14Bを設け、好ましい態様として、各円偏光分離部材は、対応する光の波長の長さの順列と、液晶配向パターンの1周期Λの順列とが一致するように、1周期Λが異なる円偏光分離層26を有している。
本発明は、これに制限はされない。例えば、有機EL基板12の全ての発光部に対応して、円偏光分離層の液晶配向パターンの1周期Λが全面的に均一な、1枚の円偏光分離部材を設けてもよい。
しかしながら、本発明の光学装置を有機EL表示装置等に利用した場合における光の利用効率を考慮すると、円偏光分離部材は、全ての発光部に対応して、出射する光の波長に応じて、円偏光分離層の1周期Λを調節するのが好ましい。
例えば、図8に概念的に示す円偏光分離部材40のように、有機EL基板12のR発光部12R、G発光部12GおよびB発光部12Bの個々に対応して、R円偏光分離領域40R、G円偏光分離領域40GおよびB円偏光分離領域40Bを設け、各円偏光分離領域は、対応する光の波長の長さの順列と、液晶配向パターンの1周期Λの順列とが一致するように、互いに1周期Λが異なる円偏光分離層を有するのが好ましい。
このような円偏光分離部材40は、一例として、以下のように作製できる。
図6に示す露光装置60を用いて配向膜を露光する際に、他の領域をマスキングによって遮光した状態で、配向膜のR円偏光分離領域40Rの領域を露光する。次いで、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変更して、他の領域をマスキングによって遮光した状態で、配向膜のG円偏光分離領域40Gの領域を露光する。次いで、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変更して、他の領域をマスキングによって遮光した状態で、配向膜のB円偏光分離領域40Bの領域を露光して、配向膜を形成する。
このように、R円偏光分離領域40R、G円偏光分離領域40GおよびB円偏光分離領域40Bの各領域毎に、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変えて露光した配向膜の上に、円偏光分離層を形成することで、図8に示すような、個々の発光部に対応して、領域毎に1周期Λが異なる円偏光分離部材を作製できる。
また、全ての発光部に対応して、1枚の円偏光分離部材を設け、かつ、光の波長に応じて円偏光分離層の1周期Λを領域毎に調節する構成では、図9に概念的に示す円偏光分離部材42のように、発光部からの光が入射しない部分は、各円偏光分離領域の間に、液晶化合物が配向していない等方領域42Nを有するのが好ましい。
液晶化合物を配向してなる円偏光分離層は、若干、ヘイズが高い。そのため、円偏光分離層に外光が入射すると、外光が散乱して、結果的に、入射した外光の一部がパターン位相差層16および偏光子18を透過して、光学装置から出射して、外光の反射防止性能が低下する可能性がある。
これに対して、R円偏光分離領域42RとG円偏光分離領域42Gとの間、G円偏光分離領域42GとB円偏光分離領域42Bとの間、および、R円偏光分離領域42RとB円偏光分離領域42Bとの間の、発光部からの光が入射しない部分を、液晶化合物が配向していない等方領域42Nとすることにより、発光部からの光が入射しない部分における、外光の散乱を防止して、より高い外光の反射防止性能を得られる。
図9に示す、等方領域42Nを有する円偏光分離部材42は、一例として、以下のように作製できる。
まず、先の図8に示す円偏光分離部材40と同様に、マスキングを行って、かつ、図6に示す露光装置60を用いて2つの光線MAおよびMBの交差角αを変更して、配向膜を露光する。
次いで、前述のように円偏光分離層となる液晶組成物を塗布して、等方領域42Nに対応する領域をマスキングした状態で、紫外線を照射して円偏光分離領域を露光する。その後、マスクをはずし、加熱しつつ全面的に2回目の紫外線照射を行って、円偏光分離領域および等方領域42Nを硬化(固定化)する。これにより、液晶配向パターンを有する円偏光分離領域と、液晶化合物が配向していない等方領域42Nとを有する、円偏光分離部材42(円偏光分離層)が得られる。
なお、図9に示す、等方領域42Nを有する円偏光分離部材42の形成方法として、以下の方法も利用可能である。まず、先の図8に示す円偏光分離部材40の形成において、マスキングを行って、かつ、図6に示す露光装置60を用いて2つの光線MAおよびMBの交差角αを変更して、配向膜を露光する際に、R円偏光分離領域42R、G円偏光分離領域42GおよびB円偏光分離領域42Bの各領域に対応するマスクの光透過部を、若干、小さくする。
これにより、配向膜の等方領域42Nに対応する領域は常に遮光して露光を行わずに、各円偏光分離領域に対応する露光して、等方領域42Nに対応する領域には配向パターンを有さず、各円偏光分離領域に対応する領域に配向パターンを有する配向膜を形成する。 このように、等方領域42Nに対応する領域には配向パターンを有さない配向膜に、円偏光分離層を形成すれば、同様に、液晶配向パターンを有する円偏光分離領域と、液晶化合物が配向していない等方領域42Nとを有する、円偏光分離部材42(円偏光分離層)を形成できる。
本発明の光学装置においては、円偏光分離部材と、パターン位相差層16および偏光子18とを、一体的に形成してもよい。
一例として、図10に円偏光分離部材42を例示して示すように、支持体46の一方の面に、配向膜48と、円偏光分離層42aとからなる円偏光分離部材42を有し、支持体46の他方の面に、パターン位相差層16と偏光子18とを有する構成が例示される。配向膜48において、斜線部は、露光装置60によって配向パターンを形成された領域で、白抜き部は、配向パターンを形成されない無配向な領域である。
支持体46としては、前述の支持体20で例示したものが、各種、利用可能である。なお、この構成では、支持体46の厚さが、ほぼ、前述の円偏光分離層とパターン位相差層16との距離に対応する。従って、支持体46の厚さは、円偏光分離層とパターン位相差層16との距離に応じて、適宜、設定すればよい。
図1に示す光学装置10では、1つの円偏光分離部材(1つの発光部)に対応して、パターン位相差層16の第1領域16aおよび第2領域16bを設けていたが、本発明は、これに制限はされない。すなわち、複数の円偏光分離部材で、パターン位相差層16の1つの領域を共用してもよい。
例えば、光学装置10において、R円偏光分離部材14Rの円偏光分離層26と、G円偏光分離部材14Gの円偏光分離層26とで、液晶化合物30の光学軸30Aの回転方向を逆方向にする。これにより、例えば、両円偏光分離部材が出射する左円偏光を、互いに近接する方向に進行させて、2つの円偏光分離部材から出射した左円偏光を、パターン位相差層16の1つの第2領域16bに入射させて、直線偏光に変換してもよい。
本発明の光学装置は、例えば図1に示す光学装置10において、円偏光分離部材とパターン位相差層16との間に、もう一枚、円偏光分離部材(円偏光分離層26)を設けてもよい。
図1に示す光学装置10は、偏光子18から出射される直線偏光が、正面ではなく、斜め方向に出射される(図1中実線)。正面とは、法線方向であり、すなわち主面に直交する方向である。
これに対して、円偏光分離部材とパターン位相差層16との間に、もう一枚、円偏光分離部材を設ける構成によれば、2枚目の円偏光分離部材によって、光の進行方向を屈折して、偏光子18から出射される光を、正面方向に出射できる。
さらに、本発明の光学装置10は、視野角特性の向上等を考慮して、光の光路の途中に、視野角補正用の複屈折層、例えば面内方向や面外方向にリタデーションを持つ光学補償フィルムを設けてもよい。
以上、本発明の光学装置について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、使用量、物質量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<有機EL基板の用意>
R発光部(赤色有機電界発光層)、G発光部(緑色有機電界発光層)、および、B発光部(青色有機電界発光層)を含む、市販の有機EL表示装置(サムスン社製、SC−04E)を用意した。
この有機EL表示装置から、偏光板および光学フィルムを剥離し、発光素子を保護するバリア層の表面を露出させたものを、有機EL基板として用いた。
この有機EL基板の、R発光部の発光スペクトルは、中心波長650nm、発光帯域50nm、G発光部の発光スペクトルは、中心波長550nm、発光帯域45nm、B発光部の発光スペクトルは、中心波長450nm、発光帯域40nm、である。
<支持体の作製>
支持体として、国際公開第2017/033468号に記載される方法を用いて、アクリルフィルムを作製した。作製した支持体の厚さは40μmであり、面内および面外のリタデーション値(Re)はゼロであった。
<光配向膜の形成>
支持体の一面に、下記構造の光配向材料E−1の1質量%水溶液を塗布し、100℃で1分間乾燥した。
Figure 0006876867
得られた塗布膜に、空気下で、以下のようにして、160W/cm2の空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて紫外線を照射し、光配向膜付の支持体を作製した。
まず、パターン位相差層の第1領域に対応する部分が光透過部であるマスクAを用い、このマスクAとワイヤーグリッド偏光子(Moxtek社製、ProFlux PPL02)とを介して、光配向膜の露光を行った。
なお、マスクAは、上述した有機EL基板のR発光部、G発光部およびB発光部の個々に応じて、後述する円偏光分離部材(円偏光分離層)によって分離される右円偏光が照射される領域が光(紫外線)透過部、それ以外が光遮蔽部となるように作製した。
その後、マスクAとは光透過部と光遮蔽部とが逆の、パターン位相差層の第2領域に対応する部分が光透過部であるマスクBを用い、このマスクBとワイヤーグリッド偏光子とを介して、露光を行った。なお、この際には、ワイヤーグリッド偏光子は、マスクAを用いた露光とは、透過軸が直交するように配置した。
上述のように、マスクAおよびマスクBのマスクパターンは、有機EL基板の各色の発光部に対応して形成した(図11に示すマスクを参照)。発光部に対応する領域のサイズは20〜50μm、発光部に対応する領域のピッチは70〜100μmとなるように、マスクパターンを形成した。
この光配向膜の露光において、露光マスク面と光配向膜との距離は200μmに設定した。また、紫外線の照度は、UV−A領域(波長380〜320nmの積算)において100mW/cm2、照射量はUV−A領域において1000mJ/cm2とした。
<パターン位相差層の形成>
下記のパターン位相差層用組成物を調製した。
(パターン位相差層用組成物)
・下記棒状液晶化合物(BASF社製、LC242) 100質量部
・下記水平配向剤A 0.3質量部
・光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア907)3.3質量部
・増感剤(日本化薬社製、カヤキュア−DETX) 1.1質量部
・メチルエチルケトン 300質量部
Figure 0006876867
調製したパターン位相差層用組成物を、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタで濾過した。
濾過したパターン位相差層用組成物を、光配向膜付の支持体の光配向膜に塗布して、膜面温度105℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、75℃まで冷却して、空気下にて160W/cm2の空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて紫外線を照射して、その配向状態を固定化して、支持体上に、パターン化された第1領域および第2領域を有するパターン位相差層を作製した。
パターン位相差層の膜厚は、1.3μmであった。また、第1領域および第2領域は、共に、Re(550)が130nmであり、互いの面内遅相軸は直交していた。
<偏光子の貼着>
接着剤(綜研化学社製、SKダイン2057)を用いて、パターン位相差層にワイヤーグリッド偏光子(Moxtek社製、ProFlux PPL02)を貼着した。
なお、この際においては、パターン位相差層の第1領域(+λ/4)の遅相軸とワイヤーグリッド偏光子の透過軸とが+45°で交差し、パターン位相差層の第2領域(−λ/4)の遅相軸とワイヤーグリッド偏光子の透過軸とが−45°で交差するように、パターン位相差層とワイヤーグリッド偏光子との位置合わせを行った。
<円偏光分離部材の作製>
支持体のパターン位相差層の形成面と逆側の面に、下記の下塗り層形成用塗布液を#8のワイヤーバーで連続的に塗布した。塗膜が形成された支持体を60℃の温風で60秒間、さらに100℃の温風で120秒間乾燥し、下塗り層を形成した。
(下塗り層形成用塗布液)
・下記変性ポリビニルアルコール 2.40質量部
・イソプロピルアルコール 1.60質量部
・メタノール 36.00質量部
・水 60.00質量部
Figure 0006876867
<<配向膜の形成>>
下塗り層を形成した支持体上に、下記の配向膜形成用塗布液を#2のワイヤーバーで連続的に塗布した。この配向膜形成用塗布液の塗膜が形成された支持体を60℃のホットプレート上で60秒間乾燥し、配向膜を形成した。
(配向膜形成用塗布液)
・下記光配向用素材A 1.00質量部
・水 16.00質量部
・ブトキシエタノール 42.00質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 42.00質量部
−光配向用素材A−
Figure 0006876867
<<配向膜の露光>>
図6に示す露光装置を用いて配向膜を露光して、配向パターンを有する配向膜を形成した。
露光装置において、レーザとして波長(325nm)のレーザ光を出射するものを用いた。干渉光による露光量を100mJ/cm2とした。なお、2つのレーザ光およびの干渉により形成される配向パターンの1周期(液晶化合物由来の光学軸が180°回転する長さ)は、2つの光の交差角(交差角α)を変化させることによって制御した。
<<円偏光分離層の形成>>
以下に示す液晶組成物LC−1を調製した。
(液晶組成物LC−1)
・下記棒状液晶化合物L−1 19.57質量部
・下記水平配向剤T−1 0.015質量部
・光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア907)
0.587質量部
・光増感剤(日本化薬社製、KAYACURE DETX−S)
0.916質量部
・重合制御剤(BASF社製、IRGANOX1076)
0.078質量部
・メチルエチルケトン 80.0質量部
棒状液晶化合物L−1
Figure 0006876867
水平配向剤T−1
Figure 0006876867
調製した液晶組成物LC−1を、露光を行った配向膜に塗布した。次いで、膜面温度95℃で60秒間、加熱熟成し、その後、ただちに、25℃の空気下で、超高圧水銀ランプ(キヤノン社製、PLA−501F露光機)を用い、100mJ/cm2の露光量で液晶組成物LC−1を露光して、円偏光分離層を形成した。
これにより、支持体の一方の面にパターン位相差層および偏光子を有し、支持体の他方の面に円偏光分離部材を有する積層体を作製した(図10参照)。
なお、円偏光分離部材は、Re(550)が275nmになり、かつ、図3に示すような周期的な配向表面になっていることを偏光顕微鏡で確認した。なお、円偏光分離層の液晶配向パターンにおいて、液晶化合物由来の光学軸が180°回転する1周期は、1μmであった。
作製した積層体と、先に用意した有機EL基板とを、有機EL基板のR発光部、G発光部およびB発光部と、パターン位相差層の第1領域および第2領域とを位置合わせして、組み合わせて、本発明の光学装置を作製した。
[実施例2]
円偏光分離層を形成するための配向膜の形成において、図6に示す露光装置を用いた露光の際に、まず、有機EL基板のR発光部に対応する領域のみが光透過部で、それ以外の領域が光遮蔽部であるマスクを通して、露光を行った。
次いで、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変更して、有機EL基板のG発光部に対応する領域のみが光透過部で、それ以外の領域が光遮蔽部であるマスクを通して、露光を行った。
次いで、2つの光線MAおよびMBの交差角αを変更して、有機EL基板のB発光部に対応する領域のみ光透過部で、それ以外の領域が光遮蔽部であるマスクを通して、露光を行った。
円偏光分離層を形成するための配向膜の形成における露光を、このように行った以外は、実施例1と同様に、円偏光分離部材を作製して、本発明の光学装置を作製した。
なお、円偏光分離部材は、Re(550)が275nmになり、かつ、図3に示すような周期的な配向表面になっていることを偏光顕微鏡で確認した。ただし、作製した円偏光分離部材は、図8に概念的に示すように、互いに液晶配向パターンの液晶化合物由来の光学軸が180°回転する1周期が異なる、R円偏光分離領域と、G円偏光分離領域と、B円偏光分離領域とを有していた。
円偏光分離部材の円偏光分離層において、光学軸が180°回転する1周期は、R円偏光分離領域が1.44μm、G円偏光分離領域が1.22μm、B円偏光分離領域が1μmであった。
[実施例3]
実施例2と同様に配向膜の露光を行い、円偏光分離層を形成するための配向膜を形成した。
このような配向膜に、実施例1と同様に液晶組成物LC−1を塗布した。
次いで、膜面温度95℃で60秒間、加熱熟成し、その後、ただちに、25℃空気下にて、図11に示すようなマスクを介して、超高圧水銀ランプ(キヤノン社製、PLA−501F露光機)を用い、100mJ/cm2の露光量で液晶組成物LC−1を露光した。
図11に示すマスクは、格子を掛けた領域Aの部分が遮光部であり、それ以外の領域R、GおよびBは、光透過部である。領域R、GおよびBは、それぞれ、有機EL基板のR発光部、G発光部およびB発光部の位置に対応している。
その後、マスクをはずし、全体を200℃で5分加熱しながら、窒素下、空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)によって、500mJ/cm2の露光量で、再度、液晶組成物LC−1の全面を露光することにより、円偏光分離層を形成した。
このようにして円偏光分離部材を形成した以外は、実施例1と同様にして、本発明の光学装置を作製した。
なお、円偏光分離部材は、Re(550)が275nmになり、かつ、図3に示すような周期的な配向表面になっていることを偏光顕微鏡で確認した。ただし、作製した円偏光分離部材は、図9および図10に概念的に示すように、互いに液晶配向パターンの液晶化合物由来の光学軸が180°回転する1周期が異なる、R円偏光分離領域、G円偏光分離領域およびB円偏光分離領域に加え、液晶が配向されていない等方領域を有していた。
円偏光分離部材の円偏光分離層において、光学軸が180°回転する1周期は、実施例2と同様であった。
[比較例1]
パターン位相差層を形成するための光配向膜の露光において、マスクを用いず、かつ、ワイヤーグリッド偏光子を介した露光を1回のみ、行った以外は、実施例1と同様に位相差層を作製した。従って、この位相差層は、遅相軸の方向が全面で均一な、パターンを有さない位相差層である。
この位相差層の上に、遅相軸と透過軸とが+45°となるように位置合わせして、実施例1と同様に偏光子を貼着した。すなわち、本例では、位相差層は、パターンがない、一様の+λ/4領域である。
さらに、支持体の他方の面に円偏光分離部材を形成せずに積層体とし、積層体と実施例1と同様の有機EL基板とを組み合わせて、光学装置を作製した。すなわち、本例では、積層体の構成は、支持体、位相差層および偏光子を、この順で有するものである。
[評価]
このようにして作製した各種の光学装置に関して、光の利用効率(光束)、および、外光反射を評価した。
<光の利用効率(光束)>
光学装置の全ての発光部を点灯させた後、光学装置の表面からの光束を分光光束計(Labsphere社製、illumia lite)で測定した。
比較例1の光学装置の光束に対して、各光学装置の光束の向上率を評価した。従って、比較例1の光束の向上率は、0%である。
評価基準は以下のとおりである。AおよびBが、大きく効果が認められる範囲である。
A:光束の向上率が15%以上
B:光束の向上率が10%以上15%未満
C:光束の向上率が5%以上10%未満
D:光束の向上率が5%未満
<外光反射>
光学装置の全ての発光部を非点灯とした状態で、光学装置の法線方向に対して60°の方向から、LED光源が出射した光を入射し、−58°方向に反射する光の輝度値を測定することにより、反射率[%]を求めた。反射率の測定にはSR−3UL1(トプコン社製)を用いた。
評価基準は以下のとおりである。
A:反射率が2%以上4%未満
B:反射率が4%以上6%未満
C:反射率が6%以上8%未満
D:反射率が8%以上
結果を、下記の表に示す。
Figure 0006876867
上記表に示されるように、光を右円偏光と左円偏光に分離する円偏光分離層と、遅相軸の方向が異なる領域をパターニングして、右円偏光および左円偏光を同方向の直線偏光に変換するパターン位相差層とを有する本発明の光学装置は、光の利用効率を上げることができ、しかも、外光反射も好適に防止できる。
特に、円偏光分離層が、赤色光(R)、緑色光(G)および青色光(B)に対応して、波長が長い光が入射する領域ほど、液晶配向パターンにおける光学軸が180°回転する1周期を長くした実施例2および実施例3は、光の利用効率が上がっている。中でも特に、円偏光分離層の、有機EL基板の発光部からの光が入射しない領域を等方領域とした実施例3は、非常に高い光の利用効率が得られている。
これに対して、円偏光分離層とパターン位相差層を有さない、従来の光学装置である比較例1は、外光反射防止性能は高いが、光の利用効率が低い。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
有機EL表示装置および有機EL照明装置等、有機ELを用いる各種の光学装置に、好適に利用可能である。
10 光学装置
12 有機EL基板
12R R発光部
12G G発光部
12B B発光部
12N 非発光部
14R R円偏光分離部材
14G G円偏光分離部材
14B B円偏光分離部材
16 パターン位相差層
16a 第1領域
16b 第2領域
18 偏光子
20,46 支持体
24,48 配向膜
26,42a 円偏光分離層
30 液晶化合物
30A 光学軸
40,42 円偏光分離部材
40R,42R R円偏光分離領域
40G,42G G円偏光分離領域
40B,42B B円偏光分離領域
42N 等方領域
60 露光装置
62 レーザ
64 光源
68 ビームスプリッター
70A,70B ミラー
72A,72B λ/4板
1,L4 入射光
2,L5 透過光円偏光
M レーザ光
MA,MB 光線
O 直線偏光
R 右円偏光
L 左円偏光
Q1,Q2 絶対位相
E1,E2 等位相面
Z,A,R,G,B 領域

Claims (8)

  1. 有機エレクトロルミネッセンスによる発光部、および、非発光部を有し、前記非発光部が金属反射部を有する、有機エレクトロルミネッセンス基板と、
    液晶化合物を含む組成物を用いて形成された、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが面内の少なくとも一方向に沿って連続的に回転しながら変化している液晶配向パターンを有する、前記有機エレクトロルミネッセンス基板の前記発光部が発光した光を、右円偏光および左円偏光に分離する、円偏光分離層と、
    前記円偏光分離層によって分離された円偏光を直線偏光にする、面内の位相差は一定で、かつ、同一面内で遅相軸の方向が異なる複数の領域を有する、パターン位相差層と、
    偏光子とを、この順に有することを特徴とする光学装置。
  2. 前記有機エレクトロルミネッセンス基板は、波長の異なる光を発光する前記発光部を有する、請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記円偏光分離層の前記液晶配向パターンにおいて、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが連続的に回転しながら変化する前記一方向における、前記液晶化合物由来の光学軸の向きが180°回転する長さを1周期とした際に、
    前記円偏光分離層は、前記1周期の長さが互いに異なる複数種を有する、請求項2に記載の光学装置。
  4. 前記円偏光分離層は、入射する光の波長に応じて、入射光の波長が長い領域ほど、前記1周期の長さが長い、請求項3に記載の光学装置。
  5. 前記円偏光分離層が、液晶が配向されていない等方領域を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学装置。
  6. 前記等方領域が、前記有機エレクトロルミネッセンス基板の前記発光部からの光が入射しない領域に設けられる、請求項5に記載の光学装置。
  7. 前記パターン位相差層は、前記偏光子の透過軸に対して、前記遅相軸が+45°の領域と、前記遅相軸が−45°の領域と、を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学装置。
  8. 支持体を有し、前記支持体の一方の面に、前記円偏光分離層が設けられ、前記支持体の他方の面に、前記パターン位相差層および前記偏光子が設けられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学装置。
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