JP6873154B2 - 技術的な系のモデルを特定するための方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特許請求項に記載の特徴を備える、技術的な系のモデルを特定するための方法および装置に関する。
例えば非特許文献1によれば、内燃機関の操作変数範囲ができる限り正確に分かっていることが内燃機関を測定するために必要な前提であることが知られている。当該文献から特に、操作変数の可能な組み合わせが全て利用できるわけではないことが知られている。それどころか境界がいくつも存在し、それらの境界を超えると損傷を受けたり、望ましくない多量の排気が生じたりする。いずれにしても、これらの境界によっていわゆる変化領域(変化空間)(Variationsraum)が生じる。この変化領域を決定するために、複数の方法が述べられており、個々の境界に到達するまで、例えば一ステップずつ星状にたどること(sternfoermiges Abfahren)が行われる。変化領域を特定するための方法であって、当該方法において得られた容認できる操作変数の組み合わせが、凸包絡として描かれる方法も示されている。こうして判明した変化領域に基づいて、適用される実験計画を調整することが次に行われる。このような進め方は、非特許文献2からも知られている。特に当該文献では、境界点を決定するためにまず基本測定が行われることが述べられている。その後、これらの境界点に基づいて、変化領域を記述する凸包絡の計算が行われる。しかしながら基本測定によって実際の変化領域の一部が特定されただけなので、この凸包絡を出発点として変化領域の測定が続行される。凸包絡の各超平面の中心点から出発して、それぞれの法線ベクトルの方向において、さらなる境界点の決定が行われる。このようにして決定された境界点に基づいて、再び凸包絡が形成される。その後、この凸包絡を出発点として、上記のように後続のステップにおいて、境界点の新たな決定が行われ、これにより個々のステップにおいてその都度特定される変化領域にのみ対応する凸包絡が、真の変化領域に近づいていく。
上記の方法は、予め行なわれる変化領域の膨大な測定を必要とする。変化領域を一ステップずつ測定する、予め行なわれる膨大なこのプロセスステップのために、貴重な時間が使われる。その上、さらなる不利点は、特定すべきモデルの最終的なパラメータの質が低下させられていることであり、それは実験点の位置が実験領域を見つけるのに最適化されているためである。
シュライバー,A.(Schreiber, A.)著、「モータ式車両駆動部の電子管理:内燃機関、変速機、および電気的駆動部のための電子装置、モデル形成、制御および診断(Elektronisches Management motorischer Fahrzeugantriebe: Elektronik, Modellbildung, Regelung und Diagnose fuer Verbrennungsmotoren, Getriebe und Elektroantriebe)」、ヴィースバーデン(ドイツ)、第1版、R.イザーマン(R. Isermann)、2010年、p.167−199所収の「さまざまな方法およびモデルを用いたダイナミックなエンジン計測(Dynamische Motorvermessung mit verschiedenen Methoden und Modellen)」 レニンガー,P.(Renninger, P.),K.v.プファイル(K. v. Pfeil),D.ホフマン(D. Hofmann),R.イザーマン(R. Isermann)著、「商用車エンジンの最適化におけるダイナミックモデルとその応用(Dynamische Modelle und deren Anwendung bei der Optimierung von NFZ−Motoren)」、アーヘン(ドイツ)、第14回アーヘン学会「車両とエンジン技術」(14. Aachener Kolloquium − Fahrzeug und Motorentechnik)、第1版、2005年、p.1205−1222
したがって本発明は、費やす時間を少なくして技術的な系のモデルの特定を行い、その際、結果として得られる特定されたモデルのパラメータの質を高めることを課題とする。
上記の課題は本発明により、特に技術的な系のモデルを特定するための方法を用いて解決され、当該モデルを用いて、入力変数または入力変数の組み合わせに基づき、技術的な系の出力変数が決定され、前記方法は以下のステップ、すなわち、
a)入力変数境界を設定するステップと、
b)出力変数境界を設定するステップと、
c)技術的な系において入力変数/入力変数の組み合わせを設定し、出力変数を測定することにより、入力変数境界より内側の入力変数/入力変数の組み合わせと、それに対応する出力変数とを特定するステップであって、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる少なくとも一つの入力変数/入力変数の組み合わせが特定されるステップと、
d)特定された入力変数/入力変数の組み合わせに基づいて第一の凸包絡を決定するステップであって、いくつかの、または全ての入力変数/入力変数の組み合わせは、第一の凸包絡の境界点であり、境界点に超平面が接し、超平面は特定された入力変数/入力変数の組み合わせの集合を包含するステップと、
e)技術的な系においてさらなる入力変数/入力変数の組み合わせを設定し、出力変数を測定するステップであって、少なくとも一つのさらなる凸包絡内側にある入力変数/入力変数の組み合わせを除外したうえで、さらなる入力変数/入力変数の組み合わせは、入力変数境界より内側にあるとともに、第一の凸包絡の内側および/または第一の凸包絡の外側にあり、
さらなる凸包絡ごとに、第一の凸包絡のただ一つの境界点と、このただ一つの境界点に接する超平面と入力変数境界との交点と、場合により存在する入力変数境界同士の交点とは、少なくとも一つのさらなる凸包絡の境界点であり、上記ただ一つの境界点は、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる入力変数/入力変数の組み合わせに対応するステップと、
f)特定された入力変数/入力変数の組み合わせおよび出力変数に基づいて、技術的な系のモデルのパラメータをトレーニングするステップと、を備える。
本発明によれば、個々のステップにおいて、もしくは各時点において、実験領域/凸包絡の決定は、それまでに行われた測定に基づいて行われる。その際、凸包絡は上記の手順により、新たな凸の範囲が生じるように拡張され、新たな凸の範囲内において実験点の計画が立てられる。この実験点の測定後、再びそれまでに行われた全ての測定の凸包絡が形成され、当該凸包絡は上記の手順によって拡張され、新たな点の計画が立てられる、という風に続く。従来技術に比べると最小の初期実験計画のみが測定され、いずれにしても、予め行なわれるプロセスステップにおける手間のかかる系の境界の特定が省略される。
したがって本発明によれば、凸包絡は、凸包絡の外側の点も計画されるようにオンライン式の方法で繰り返し拡張される。一つの点が外側で測定されたら(その点の位置がまた、考慮される技術的な系の挙動に依存している。)、新たな凸包絡が計算され、この新たな凸包絡がまた拡張される。本発明による凸包絡の拡張の最終結果は、測定されていない範囲であって、凸の変化領域から出発する限りは、この時点で最大可能な変化領域を示す範囲である。これにより、評価可能なモデル範囲(全ての測定の後の凸包絡)とモデルの質とを自ら最適化することを目的とするさらなる実験計画に用いられる範囲が確定する。本発明に係る方法を用いて、その都度その時点での凸包絡が拡張され、拡張された範囲の内側で計画が実施されることにより、モデルの精度向上と境界測定とが統合される点が有利である。
したがって本発明によれば実験計画に用いられるべきさらなる範囲が解放される。このとき、最大可能な凸包絡の大きさの特定(拡張戦略)と、この領域の内側における他の(例えば距離ベースの)基準に基づく実験計画とを組み合わせることにより、本発明により相乗効果が生まれる。すなわち変化領域の境界を見出すことと、モデル形成のための好適な実験点を選択することとの間の結合が解消される。
要約すると、実験計画のための変化領域の拡張、もしくは事後のモデル評価のための利用可能範囲の最大化が行われる。プロセスステップが省略されることから、このような方法が受け入れ易くなる。
本発明のさらなる有利な構成は、以下の実施形態と、従属請求項に記載されている。
本発明の方法を説明するための図である。
一般に知られているように、技術的な系(システム)は入力変数と出力変数とを有する。技術的な系は、あらゆる任意の動力機械、例えば熱機関や電気機械であってよい。技術的な系は特に、内燃機関であってよい。内燃機関は、オットーの原理またはディーゼルの原理に従って動作するものとしてよい。内燃機関は例えば可変式のバルブ制御部を有する。内燃機関は特に、調整可能な吸気カムシャフトと、調整可能な排気カムシャフトとを有する。すなわち、二重可変カムシャフト吸気・排気間開度(doppelte variable Nockenwellenspreizung)、つまりは吸気と排気の操作タイミング(Steuerzeit)は互いに相対的に調整することができる。いずれにしてもこのように二つの入力変数、すなわち技術的な系(ここでは内燃機関である。)の入力変数の組み合わせ(つまり吸気バルブの(可変な)操作タイミングと排気バルブの(可変な)操作タイミング)が生じる。これら両方の入力変数の変化はまた、一般に知られているように、内燃機関の出力変数の変化を生じさせる。したがって特に両方の入力変数の(少なくとも一方の入力変数の)変化により、内燃機関の燃焼室内の残留ガス量もしくは残留ガス割合が影響を受け、もしくは変更され、或いはそれによって新たな入力変数の組み合わせが生じる。すなわち、残留ガス割合が第一の出力変数であるとしてよい。「入力変数の組み合わせ」という表現は、二つまたはそれより多い入力変数の組み合わせを表している。単数ないし複数の「入力変数」という表現は、「入力変数の組み合わせ」という表現に対応しているとしてよい。
図1において矢印により示唆されているように、残留ガス割合は、吸気バルブと排気バルブのバルブオーバーラップ(Ueberschneidung)に依存して増大する。すなわち、排気バルブの閉鎖が遅く行われ、吸気バルブの開放が早く行われるほど、バルブオーバーラップは大きくなり、それにより残留ガス割合は増大する。ここで疑問となるのは、内燃機関の一動作点において、どれほどの量の残留ガスが好適であるかということである。そのためには、例えばさらなる出力変数、詳しくは内燃機関の運転平滑度(動作のスムーズさ)(Laufruhe)、或いは所謂周期的変動の程度、或いは内燃機関の図示平均圧力(indizierte Mitteldruck)の標準偏差を考慮することができる。内燃機関のキャリブレーションや使用の際の目標は、周知のように、できる限り最適な設定を見出すことであり、本例の場合は、バルブオーバーラップおよびそれとともに残留ガス割合を設定し、それにより、残留ガス割合はできる限り高く、したがって例えば燃費はできる限り低くなり(燃費はさらなる出力変数であってよい。)、および/または内燃機関が排出する窒素酸化物はできる限り少なくなり(排気ガス中の窒素酸化物濃度はまた、さらなる出力変数であってよい。)、および/または内燃機関が排出する炭化水素は容認できないほど多くならず(排気ガス中の炭化水素濃度はまた、さらなる出力変数であってよい。)、それでも内燃機関の運転平滑度は、設定された境界値を破るほどに劣化されてはならない。いずれにしても、内燃機関の運転平滑度に関する破られてはならない境界値GWの推移(カーブ)が生じる(図1を参照のこと。)。境界値GWのこの推移は差し当たり分かっていない。目標はモデルを特定することであり、このモデルにより、入力変数に基づいて(ここでは吸気バルブの可変な操作タイミングおよび排気バルブの可変な操作タイミング、もしくはバルブオーバーラップに基づいて)、これらの入力変数が出力変数(ここでは運転平滑度)に及ぼす影響を記述し、それとともにまた個々の境界値GWもしくは境界値GWの推移(カーブ)を特定もしくは明らかにすることが可能となる。当業者に周知の如く、この考え方はさらなる出力変数、すなわち燃費もしくは排気ガス中の窒素酸化物濃度または炭化水素濃度にも有効である。つまり、これらの場合も入力変数と出力変数との間、もしくは入力変数と個々の境界値GWもしくは境界値GWの推移(延び具合)との間に(差し当たり分かっておらず、モデル化すべき)関数関係がある。
できる限り正確なモデル(すなわち当該データモデルのできる限り適切なパラメータ)を特定するために最良となり得るのは、技術的な系において、入力変数に関する範囲全体もしくは関係する入力変数領域(変化領域/変化空間(Variationsraum)とも称される)全体にわたって、実験、すなわち入力変数の設定と出力変数の測定とを満遍なく行なうことである。いずれにしても、変化領域内における調査すべき実験点の位置(つまり設定された入力変数/入力変数の組み合わせと、測定された出力変数とを組み合わせたもの)を、従来技術に示されるように入力変数領域/入力変数範囲を見つけることに関してのみ最適化する、もしくはそれに合せて設定することは有利ではない。本発明によれば、以下の過程において明らかになるように、この点が考慮される。
まず入力変数境界が設定される。すなわち、入力変数の最大の変化領域が画定される。図1に示すように、二つの入力変数境界がまず、一方の入力変数(ここでは吸気バルブの可変な操作タイミング)の設定可能な範囲が、できる限り最も遅い吸気バルブの操作タイミングもしくはできる限り最も遅い吸気バルブの開放(図1の左の垂直線)によって画定されるとともに、できる限り最も早い吸気バルブの操作タイミングもしくはできる限り最も早い吸気バルブの開放(図1の右の垂直線)によって画定されることにより生じる。二つの入力変数境界がさらに、第二の入力変数(ここでは排気バルブの可変な操作タイミング)の設定可能な範囲が、できる限り最も早い排気バルブの操作タイミングもしくはできる限り最も早い排気バルブの閉鎖(図1の下の水平線)によって画定されるとともに、できる限り最も遅い排気バルブの操作タイミングもしくはできる限り最も遅い排気バルブの閉鎖(図1の上の水平線)によって画定されることにより生じる。
さらに出力変数の境界が設定される。すなわち、入力変数の設定/変化によって上回る若しくは下回ることが許されない最小値および/または最大値が特に設定される。これはいわゆる“硬い”境界または“軟らかい”境界であってもよく、これについては上記において引用された従来技術を参照されたい。上記の実施形態によれば、出力変数を画定するというのは特に、吸気バルブおよび排気バルブの操作タイミングの変化により運転平滑度に関する境界値GWが破られてはならないとすることである。ここでも再び(代替的または付加的に)、燃費および/または排気ガス中の窒素酸化物濃度もしくは炭化水素濃度に関して、守るべき境界値GWを(出力変数境界として)設定することが考えられ得る。
本発明によればさらなるステップにおいて、予め設定された入力変数境界より内側の入力変数(すなわち吸気バルブの操作タイミングおよび排気バルブの操作タイミングもしくはそれらの組み合わせ)の特定並びに当該入力変数に対応する、技術的な系(すなわちここでは内燃機関)の出力変数の特定が行われる。すなわち、対応しあう入力変数および出力変数の特定が行われるが、出力変数はまさに次のようにして生じる。つまり、一般に知られていることだが、技術的な系において入力変数が設定されるとともに、その技術的な系の自身の特性により若しくは経由する物理的/化学的プロセスにより、技術的な系が言わば入力変数から固有の出力変数を生成することで出力変数がもたらされる。入力変数/入力変数の組み合わせの設定は、好ましくは自動化システムを用いて行われる。
図1に示すように、まず全体で4個の入力変数/入力変数の組み合わせ、すなわち吸気バルブの操作タイミングと排気バルブの操作タイミングの4個の組み合わせが、設定された入力変数境界より内側において特定される(図1において円環(丸)によって強調されている。)。別の言い方をすると4個の異なるバルブオーバーラップが設定される。入力変数境界より内側のこれら入力変数の特定と、それにより引き起こされるか起因されるか或いは技術的な系を介して生成される出力変数の特定とは、すでに述べたように、内燃機関における吸気バルブの操作タイミングと排気バルブの操作タイミングのこれら4個の組み合わせを(特に好適な実験装置/テストスタンドおよび周知の測定技術とともに)設定することによって、また、出力変数を測定することによって行われる。すでに述べたように、例えば運転平滑度、燃費、または排気ガス中の窒素酸化物/炭化水素の濃度が、この種の出力変数であってよい。いずれにしても(予め設定された)出力変数境界上にある出力変数を生じさせる少なくとも一つの入力変数/入力変数の組み合わせが特定される。すでに述べたように、運転平滑度のみが、これに関連して考慮される一つの想定される出力変数であってもよい。このとき図1に示すように、二つの入力変数、もしくは吸気バルブの操作タイミングと排気バルブの操作タイミングの二つの組み合わせ(G1,G3)が、運転平滑度が境界値GWに対応するという結果をもたらすことになる。すなわち、それぞれの出力変数は、出力変数境界上にある、つまりは図1に示される内燃機関の運転平滑度に関する境界値GWの曲線(推移)上にある。
本発明によれば、入力変数境界より内側の入力変数の特定と、当該入力変数に対応する出力変数の特定とを、技術的な系における入力変数の設定と、出力変数の測定とによって行うこととは、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる少なくとも一つの入力変数の特定が、技術的な系における入力変数の設定と出力変数の測定とを通じて直接的に行われること、
すなわち、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる入力変数を特定するために、技術的な系もしくは内燃機関が、実際に境界領域に近づけて運転されねばならないことだけを意味するのではないし、また専らそれを意味するわけではない。むしろこの特定は、間接的にも行うことができる。本発明によればそれは以下のように行うことができる。すなわち、技術的な系/内燃機関において入力変数の設定と、出力変数の測定とは行われるが、出力変数境界上にある少なくとも一つの出力変数が直接的に求められる/測定されるのではなく、まず(特定された)入力変数および(内燃機関を境界領域に近づけて運転しなくてもよいように、危なくない)出力変数に基づいて、技術的な系のモデルの(パラメータの)トレーニングが行われ、その後、そのモデルに基づいて、(モデルを用いて決定された)出力変数境界上にある出力変数を生じさせる少なくとも一つの入力変数の決定/特定が行われる。
後続の過程では、上記のように特定された入力変数/入力変数の組み合わせに基づいて、変化領域の決定、つまり第一の凸包絡の決定がなされる。周知のように、凸集合(ここでは特定された入力変数の集合)は、当該凸集合の周縁にある超平面によって包含することができる。すなわち、特定された入力変数/入力変数の組み合わせのいくつか、または全ては、凸包絡(凸包)の境界点であり得る。凸包絡は周知のように、全ての点の集合(ここでは入力変数/入力変数の組み合わせ)をカバーする最小凸多角形である。
図1に示すように、4個の入力変数/入力変数の組み合わせのみが特定されたと仮定すると、特定された全ての入力変数/入力変数の組み合わせは第一の凸包絡の境界点でもある。図1に示す4個の入力変数/入力変数の組み合わせの凸集合を仕切るために、超平面が用いられ、すなわち凸集合の四つの境界点(G1−G4)上に四つの超平面が接する。例として四つの超平面のうち、まず図1における二つの超平面H1およびH2を取り上げる。第一の超平面H1は境界点G1と、境界点G2に接する。第二の超平面H2は境界点G1と、境界点G3に接する。いずれにしても本発明によれば、図1に示す四つの超平面が一緒になることで、特定された入力変数に基づく凸包絡が決定/計算されるが、当該入力変数は第一の凸包絡の境界点であり、当該境界点に超平面が接し、それにより当該超平面は特定された入力変数の凸集合を包含する。
ここで本発明によれば、変化領域をさらに決定するために、もしくは後続の実験計画のためにさらなる入力変数/入力変数の組み合わせを見出すために、目下存在する第一の凸包絡の外側にある入力変数まで第一の凸包絡を拡張することが行われる。すなわち、上記のようにしてそれまでに特定された入力変数の集合である第一の凸包絡の明らかに外側に、さらなる入力変数が決定される。これに関して、技術的な系において、さらなる入力変数の設定と、出力変数の測定とが行われ、当該さらなる入力変数は、常に入力変数境界より内側にはあるものの、第一の凸包絡の内側にも、第一の凸包絡の外側にもある。すでに述べたように、(目下の)第一の凸包絡は、四つの境界点(G1−G4)上にある超平面によって形成される。図1において陰影斜線で示されているように、陰影斜線を付された範囲内にある全ての入力変数、すなわちこれまでに特定された第一の凸包絡の外側にあるあらゆる入力変数も今度は、入力変数と出力変数との組み合わせによるさらなる実験計画や採取のために、技術的な系のモデルを作成するのに参照される。
すなわち、次のような範囲/領域(ここでは同じように凸包であるが、凹包であってもよい。)の内側にある入力変数も特定され、もしくは特定することができる。その範囲/領域は、境界点G1、境界点G2、および交点S2(当該交点は、入力変数境界と第二の超平面H2とが交差することにより生じる)との間であって、入力変数境界(ここでは吸気カムシャフトの最も早期の設定を表す右の垂直線)と、超平面H1およびH2を通ってさらに別の入力変数境界との間に包囲されている。入力変数境界同士の交点E1が、この同じく凸包のさらなる境界点を表す。
入力変数は、境界点が入力変数境界同士の交点E2と、境界点G2と、境界点G4とである領域/範囲もしくは凸包絡の内側でも特定することができる。
入力変数は、境界点が入力変数境界同士の交点E3と、境界点G4と、交点S3(当該交点は、入力変数境界と第二の超平面H2とが交差することにより生じる)と、境界点G3とである領域/範囲もしくは凸包絡の内側でも特定することができる。
入力変数は、境界点が交点S4(当該交点は、入力変数境界と一超平面とが交差することにより生じる)と、交点S1(当該交点は、入力変数境界と超平面H1とが交差することにより生じる)と、境界点G1と、境界点G3と、入力変数境界同士の交点E4とである領域/範囲もしくは凸包絡の内側でも特定することができる。
しかしながら本発明によれば、図1において陰影斜線を付されていない両方の範囲/領域/凸包絡であって、当該両方の範囲/領域/凸包絡の境界点がS1,S2,およびG1であり、S3,S4,およびG3である両方の範囲/領域/凸包絡は、技術的な系における入力変数のさらなる特定と、出力変数の測定とから除外される。当該さらなる入力変数が、上記の場合のように、入力変数境界より内側にあり、或いは(境界点G1−G4により画定/形成される)第一の凸包絡の外側にもあるにもかかわらずである。
図1から、特に運転平滑度の境界値GWのカーブから分かるように、技術的な系(ここでは内燃機関)は、凸包絡に含まれている集合の部分/要素である入力変数/入力変数の組み合わせが設定されるのであれば、出力変数の境界値GWを含むところまで動作可能である。このことから次の結論が導かれる。境界値GWを超える出力変数を生じさせる入力変数が、技術的な系におけるさらなる入力変数の設定と、出力変数の測定との対象となるのは、前に形成された第一の凸包絡(G1−G4)がさらなる(ここでは)凸包絡(G3,S4,E4,S1,G1)だけ拡張される場合だけであるが、本発明ではしかし、境界値GWを超える出力変数を生じさせる入力変数であっても、凸型の包絡(S1,S2,G1およびS3,G3,S4)に含まれている集合の部分/要素である入力変数は除外されるということである。
実際には、さらなる凸包絡(S1,S2,G1およびS3,G3,S4)の内側にある入力変数の除外が行われる(図1を参照。つまり、ここではこのようなさらなる凸包絡が二つ存在する。)。当然ながら(適用事例に応じて)、このようなさらなる凸包絡が二つより多くあっても良い。
これらのさらなる凸包絡は、以下の境界点を有する。前に決定された第一の凸包絡の境界点G1はまた、(本方法の後続のステップにおいて)除外すべき入力変数を含む一の凸包絡(図1において右側、陰影斜線なし)の境界点である。このようにして(それぞれの)出力変数境界に対する関係が作られるが、それは前に決定された第一の凸包絡の第一の境界点G1が、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる、入力変数/入力変数の組み合わせに対応するためである。いずれにしても、(前に決定された)第一の凸包絡のただ一つの境界点だけが、後続の過程において除外すべき入力変数を含有する/含む凸包絡の同じく一つの境界点であり、(前に決定された)第一の凸包絡の二つまたはそれより多い境界点ではないことが重要である。つまり、例えば図1に示す両方の境界点G1およびG3ではなく、もっぱら境界点G1のみが、後続の過程において除外すべき入力変数を含有する/含む凸包絡の構成要素となっている。(本方法のさらなるステップにおいて)除外すべき入力変数を含む一の凸包絡(図1において右側、陰影斜線なし)のさらなる境界点は、交点S1であり、当該交点は、ただ一つの境界点G1上にある超平面H1と、右側の入力変数境界とが交差することにより形成される。(方法のさらなるステップにおいて)除外すべき入力変数を含む一方の凸包絡(図1において右側、陰影斜線なし)のさらなる境界点は、交点S2であり、当該交点は、ただ一つの境界点G1上にある超平面H2と、右側の入力変数境界とが交差することにより形成される。いずれにしても境界点G1と交点S1との間の超平面H1と、交点S1と交点S2との間の入力変数境界と、交点S2と境界点G1との間の超平面H2とにより、一の凸包絡(図1において右側、陰影斜線なし)が形成される。
(方法のさらなるステップにおいて)除外すべき入力変数を含む二番目の凸包絡(図1において左側、陰影斜線なし)も、このようにして形成される。
これらのさらなる凸包絡がさらに、入力変数境界同士の交点である境界点を有する場合も考えられ得る。図1にも示されていないが、交点S1が左にずれる場合があり得、すなわちその場合、交点S1は入力変数境界同士の交点E4の左にあり、それにより上記の除外すべき入力変数を有する凸包絡は、三つのみならず、四つの境界点を含み、すなわち付加的に入力変数境界同士の交点E4を含む。
上記のように、一方で入力変数(ここで、この入力変数は、本発明により入力変数境界より内側において所定の入力変数を除外したうえで拡張された集合の部分/要素である。)およびそれに対応する出力変数が特定されたら、一般に知られているように、技術的な系のモデルのパラメータのトレーニングが、これらの(特定された)入力変数および出力変数に基づいて実施される。
好ましくは、技術的な系のモデルを特定するための本発明に係る方法は、一ステップずつ実施される。つまり、第一の凸包絡は繰り返し拡張される。
すでに述べたように本発明によれば、技術的な系において、さらなる入力変数/入力変数の組み合わせの設定と、出力変数の測定とが行われる。
このとき新たに、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる少なくとも一つの入力変数/入力変数の組み合わせが特定される。
第一の凸包絡に基づいて、その時点で特定される入力変数/入力変数の組み合わせに基づいて、拡張された凸包絡の決定が行われるが、ここでもその時点で特定される入力変数/入力変数の組み合わせのいくつか又は全てが、拡張された凸包絡の境界点であり、ここでも境界点に超平面が接し、その超平面が、その時点で特定される入力変数/入力変数の組み合わせの集合を包含する。
いずれにしても技術的な系において、改めてさらなる入力変数/入力変数の組み合わせを設定することと、出力変数を測定することが行われ、さらなる入力変数/入力変数の組み合わせは、少なくとも一つのさらなる凸包絡内側にある入力変数/入力変数の組み合わせを除外したうえで、入力変数境界より内側にあるとともに、拡張された凸包絡内側および/または拡張された凸包絡外側にあり、上記さらなる凸包絡ごとに、拡張された凸包絡のただ一つの境界点と、当該ただ一つの境界点に接する超平面と入力変数境界との交点と、場合により存在する入力変数境界同士の交点とは、少なくとも一つのさらなる凸包絡の境界点であり、拡張された凸包絡のただ一つの境界点は、先行するステップにおいて特定された入力変数/入力変数の組み合わせであって、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる入力変数/入力変数の組み合わせに対応する。
この方法は繰り返し実施され、第一の凸包絡は個々の反復により拡張し、それにより技術的な系のモデルのパラメータのトレーニングは、個々の反復によって数が増大する、特定された入力変数/入力変数の組み合わせと出力変数とに基づいて行われ、本方法は、所定の基準が満たされるまで繰り返される。その基準は例えば、技術的な系のモデルの所定の正確さが達成されていることである。
本発明によればさらに、技術的な系のモデルを特定するための装置が提供される。当該装置は、本発明に係る方法を実施するために準備されるとともに、CPUと、機械で読み取り可能な記憶媒体とを備えるコンピュータが設けられていることを特徴とする。このときCPUを備えるコンピュータとは特に、一般に知られているテストスタンド自動操作部の一部であるか、テストスタンド自動操作部と接続されている。当該テストスタンド自動操作部もしくは自動操作システムはまた、考慮される技術的な系と接続されている。テストスタンド自動操作部はさらに、当該テストスタンド自動操作部によって入力変数/入力変数の組み合わせの設定が行われるだけでなく、技術的な系における出力変数の測定も行われるように構成され、得られた測定値はさらなる処理のために提供される。従って、テストスタンド自動操作部はコンピュータプログラムであってよい。このとき得られた測定値のさらなる処理、すなわち特に本発明に係る方法により行われる凸包絡の決定と、技術的な系のモデルのパラメータのトレーニングは、数学的課題を解決するため、もしくは結果を図形的に表示するためのコンピュータプログラムを用いて行われる。したがってコンピュータの記憶媒体には、少なくとも一つのコンピュータプログラムが保存されており、当該コンピュータプログラムは本発明に係る方法のステップを含み、単独のコンピュータプログラム、もしくは本発明に係る方法を実施するために協働する複数のコンピュータプログラムはCPUにより実施される。

Claims (10)

  1. 技術的な系のモデルを特定するための方法であって、当該モデルを用いて、入力変数/入力変数の組み合わせに基づき、技術的な系の出力変数が決定され、当該方法は以下のステップ、すなわち、
    a)入力変数境界を設定するステップと、
    b)出力変数境界を設定するステップと、
    c)技術的な系において入力変数/入力変数の組み合わせを設定し且つ出力変数を測定することにより、入力変数境界より内側の入力変数/入力変数の組み合わせと、それに対応する出力変数とを特定するステップであって、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる少なくとも一つの入力変数/入力変数の組み合わせが特定されるステップと、
    d)前記特定された入力変数/入力変数の組み合わせに基づいて第一の凸包絡を決定するステップであって、前記特定された入力変数/入力変数の組み合わせのいくつか、または全ては、第一の凸包絡の境界点であり、境界点に超平面が接しており、超平面は特定された入力変数/入力変数の組み合わせの集合を包含するステップと、
    −1少なくとも一つのさらなる凸包絡を決定するステップであって、さらなる凸包絡ごとに、前記第一の凸包絡のただ一つの境界点であって、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる入力変数/入力変数の組み合わせに対応するただ一つの境界点と、このただ一つの境界点に接する超平面と入力変数境界との交点と、場合により存在する入力変数境界同士の交点とが、前記少なくとも一つのさらなる凸包絡の境界点であるステップと、
    e−2)技術的な系においてさらなる入力変数/入力変数の組み合わせを設定し、出力変数を測定するステップであって、このとき、当該さらなる入力変数/入力変数の組み合わせが、前記少なくとも一つのさらなる凸包絡の内側に位置する入力変数/入力変数の組み合わせを除いたものであって、入力変数境界より内側に位置し且つ第一の凸包絡内側および/または第一の凸包絡外側に位置するようにするステップと、
    f)特定された入力変数/入力変数の組み合わせおよび出力変数に基づいて、技術的な系のモデルのパラメータをトレーニングするステップと、を備える方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    ステップe)に従って、技術的な系において、さらなる入力変数/入力変数の組み合わせの設定と、出力変数の測定とが行われて、新たに、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる少なくとも一つの入力変数/入力変数の組み合わせが特定された場合、第一の凸包絡を基にして、その時点で特定された入力変数/入力変数の組み合わせに基づいて、拡張された凸包絡が決定され、ここでもその時点で特定された入力変数/入力変数の組み合わせのいくつか、または全ては、拡張された凸包絡の境界点であり、ここでも境界点に超平面が接し、超平面はその時点で特定された入力変数/入力変数の組み合わせの集合を包含し、
    ステップe)が繰り返され、それにより技術的な系において、さらなる入力変数/入力変数の組み合わせを新たに設定することと、出力変数を測定することが行われ、さらなる入力変数/入力変数の組み合わせは、少なくとも一つのさらなる凸包絡内側にある入力変数/入力変数の組み合わせを除外したうえで、入力変数境界より内側にあるとともに、拡張された凸包絡内側および/または拡張された凸包絡外側にあり、さらなる凸包絡ごとに、拡張された凸包絡のただ一つの境界点と、このただ一つの境界点に接する超平面と入力変数境界との交点と、場合により存在する入力変数境界同士の交点とは、少なくとも一つのさらなる凸包絡の境界点であり、拡張された凸包絡のただ一つの境界点は、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる入力変数/入力変数の組み合わせに対応する、方法。
  3. 請求項2に記載の方法であって、
    請求項2に記載の方法が繰り返され、繰り返されるたびに第一の凸包絡は拡張し、それによりステップf)に応じて,技術的な系のモデルのパラメータのトレーニングは、個々の反復によって数が増大する、特定された入力変数/入力変数の組み合わせと出力変数とに基づいて行われ、当該方法が所定の基準が満たされるまで繰り返される、方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、
    前記基準は、技術的な系のモデルの所定の正確さが達成されていることである、方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の方法であって、
    入力変数境界より内側の入力変数/入力変数の組み合わせの特定と、それに対応する出力変数の特定とは、技術的な系において入力変数/入力変数の組み合わせを設定し、出力変数を測定することによって行われるが、出力変数境界上にある少なくとも一つの出力変数が直接的に測定されるのではなく、まず、技術的な系のモデルのトレーニングが、設定された入力変数/入力変数の組み合わせと、測定された出力変数に基づいて行われ、
    その後、そのモデルに基づいて、出力変数境界上にある出力変数を生じさせる、少なくとも一つの入力変数/入力変数の組み合わせの特定が行われる、方法。
  6. 技術的な系は動力機関である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 動力機関は内燃機関である、請求項6に記載の方法。
  8. 入力変数/入力変数の組み合わせの設定は、自動化システムを用いて行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 入力変数/入力変数の組み合わせの設定の際、出力変数境界が達成されているかどうか、連続的な監視が行われる、請求項8に記載の方法。
  10. 技術的な系のモデルを特定するための装置であって、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実施するように整えられ、CPUと、機械で読み取り可能な記憶媒体とを備えたコンピュータが設けられており、
    記憶媒体には、少なくとも一つのコンピュータプログラムが保存されており、
    コンピュータプログラムは請求項1から9のいずれか一項に記載の方法のステップを含み、当該コンピュータプログラムがCPUにより実施されることを特徴とする装置。
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