[第1実施形態]
(第1実施形態の概要)
第1実施形態に係る基地局は、チャネル特性の測定に用いられる参照信号であって、かつ無線端末個別に生成する個別参照信号を送信する処理を行う制御部を備える。前記制御部は、自基地局に接続する対象無線端末の中から特定の対象無線端末を選出し、前記特定の対象無線端末に対してのみ前記個別参照信号を送信する処理を行う。
前記基地局は、FD−MIMO(Full−Dimension MIMO)をサポートし、水平方向及び垂直方向の2次元に配列されたアンテナ要素を有するアンテナアレイをさらに備えてもよい。
前記制御部は、チャネル特性の測定に用いられる参照信号であって、かつ前記対象無線端末に共通な共通参照信号を送信する処理を行い、該処理の結果に基づいて前記特定の対象無線端末を選出してもよい。
前記個別参照信号は、水平方向及び垂直方向の2次元におけるチャネル特性の測定に用いられる参照信号であり、前記共通参照信号は、1次元におけるチャネル特性の測定に用いられる参照信号であってもよい。
前記制御部は、前記共通参照信号に基づきフィードバックされるチャネル状態情報を前記対象無線端末から受信し、前記チャネル状態情報に基づき導出した下りリンクデータ伝送性能を性能指標と比較し、前記データ伝送性能が前記性能指標を下回る対象無線端末を前記特定の対象無線端末として選出してもよい。
前記性能指標は、全ての前記対象無線端末の平均的な下りリンクデータ伝送性能であってもよい。
前記制御部は、自基地局に接続する各無線端末の能力情報に基づいて、前記FD−MIMOをサポートする無線端末を前記対象無線端末として決定してもよい。
前記制御部は、前記個別参照信号の送信を要求するための要求情報を自基地局に送信した無線端末を、前記特定の対象無線端末として選出してもよい。
第1実施形態に係る無線端末は、チャネル特性の測定に用いられる参照信号であって、かつ無線端末個別に生成される個別参照信号の送信を要求するための要求情報を、基地局に送信する処理を行う制御部を備える。
前記個別参照信号は、水平方向及び垂直方向の2次元におけるチャネル特性の測定に用いられる参照信号であってもよい。
第1実施形態に係る基地局は、特定のTM(Transmission Mode)の設定情報を無線端末に送信する処理を行う制御部を備える。前記特定のTMは、個別参照信号を用いたチャネル状態情報のフィードバックと、共通参照信号を用いたチャネル状態情報のフィードバックと、をサポートする。前記個別参照信号は、チャネル特性の測定に用いる参照信号であって、かつ無線端末個別に生成する参照信号である。前記共通参照信号は、チャネル特性の測定に用いる参照信号であって、かつ複数の無線端末に共通な参照信号である。
前記特定のTMは、FD−MIMO(Full−Dimension MIMO)用のTMであってもよい。
前記個別参照信号は、水平方向及び垂直方向の2次元におけるチャネル特性の測定に用いられる参照信号であり、前記共通参照信号は、1次元におけるチャネル特性の測定に用いられる参照信号であってもよい。
前記制御部は、前記設定情報の送信後において、前記共通参照信号を用いたチャネル状態情報のフィードバックと前記個別参照信号を用いたチャネル状態情報のフィードバックとの間で切り替えるための切り替え指示を前記無線端末に送信する処理を行ってもよい。
前記制御部は、RRC層のシグナリングにより前記設定情報を前記無線端末に送信する処理と、前記RRC層よりも下位層のシグナリングにより前記切り替え指示を前記無線端末に送信する処理と、を行ってもよい。
第1実施形態に係る無線端末は、特定のTM(Transmission Mode)の設定情報を基地局から受信する処理を行う制御部を備える。前記特定のTMは、個別参照信号を用いたチャネル状態情報のフィードバックと、共通参照信号を用いたチャネル状態情報のフィードバックと、をサポートする。前記個別参照信号は、チャネル特性の測定に用いる参照信号であって、かつ無線端末個別に生成される参照信号である。前記共通参照信号は、チャネル特性の測定に用いる参照信号であって、かつ複数の無線端末に共通な参照信号である。
前記特定のTMは、FD−MIMO(Full−Dimension MIMO)用のTMであってもよい。
前記個別参照信号は、水平方向及び垂直方向の2次元におけるチャネル特性の測定に用いられる参照信号であり、前記共通参照信号は、1次元におけるチャネル特性の測定に用いられる参照信号であってもよい。
前記制御部は、前記設定情報の受信後において、前記共通参照信号を用いたチャネル状態情報のフィードバックと前記個別参照信号を用いたチャネル状態情報のフィードバックとの間で切り替えるための切り替え指示を前記基地局から受信する処理を行ってもよい。
前記制御部は、RRC層のシグナリングにより前記設定情報を前記基地局から受信する処理と、前記RRC層よりも下位層のシグナリングにより前記切り替え指示を前記基地局から受信する処理と、を行ってもよい。
(無線通信システムの構成)
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの構成を示す図である。図1に示すように、LTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。
UE100は、無線端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置であり、eNB200との無線通信を行う。
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。
eNB200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても用いられる。
EPC20は、コアネットワークに相当する。EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300を含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。S−GWは、データの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。
(無線端末の構成)
図2は、UE100(無線端末)のブロック図である。図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。UE100に備えられるアンテナは、複数のアンテナ要素からなる。
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサは、上述した処理及び後述する処理を実行する。
(基地局の構成)
図3は、eNB200(基地局)のブロック図である。図3に示すように、eNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
制御部230は、eNB200における各種の制御を行う。制御部230は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、上述した処理及び後述する処理を実行する。
バックホール通信部240は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。バックホール通信部240は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信等に用いられる。
図4は、eNB200に備えられるアンテナ(アンテナアレイ)の一例を示す図である。図4に示すように、アンテナアレイは、水平方向及び垂直方向の2次元に配列されたアンテナ要素(アンテナポート)を有する。図4において、アンテナアレイが、水平方向に4個、垂直方向に4個の合計16個のアンテナ要素を有する一例を示している。
(無線インターフェイスの構成)
図5は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。図5に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されており、第1層は物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
物理層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセス手順等を行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定するスケジューラを含む。
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッドモードであり、そうでない場合、UE100はRRCアイドルモードである。
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。
(LTE下位層の概要)
図6は、LTEシステムにおいて用いられる無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。
図6に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのシンボル及び1つのサブキャリアにより1つのリソースエレメント(RE)が構成される。また、UE100に割り当てられる無線リソース(時間・周波数リソース)のうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に下りリンク制御信号を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)として用いられる領域である。PDCCHの詳細については後述する。また、各サブフレームの残りの部分は、主に下りリンクデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)として用いることができる領域である。
eNB200は、基本的には、PDCCHを用いて下りリンク制御信号(DCI:Downlink Control Information)をUE100に送信し、PDSCHを用いて下りリンクデータをUE100に送信する。PDCCHが搬送する下りリンク制御信号は、上りリンクSI(Scheduling Information)、下りリンクSI、TPCビットを含む。上りリンクSIは上りリンク無線リソースの割当てに関するスケジューリング情報(UL grant)であり、下りリンクSIは、下りリンク無線リソースの割当てに関するスケジューリング情報である。TPCビットは、上りリンクの送信電力の増減を指示する情報である。eNB200は、下りリンク制御信号の送信先のUE100を識別するために、送信先のUE100の識別子(RNTI:Radio Network Temporary ID)でスクランブリングしたCRCビットを下りリンク制御信号に含める。各UE100は、自UE宛ての可能性がある下りリンク制御信号について、PDCCHをブラインド復号(Blind decoding)し、自UE宛の下りリンク制御信号を検出する。PDSCHは、下りリンクSIが示す下りリンク無線リソース(リソースブロック)により下りリンクデータを搬送する。
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に上りリンク制御信号を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)として用いられる領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、主に上りリンクデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)として用いることができる領域である。
UE100は、基本的には、PUCCHを用いて上りリンク制御信号(UCI:Uplink Control Information)をeNB200に送信し、PUSCHを用いて上りリンクデータをeNB200に送信する。PUCCHが運搬する上りリンク制御信号は、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)、スケジューリング要求(SR:Scheduling Request)、HARQ ACK/NACKを含む。CQIは、下りリンクのチャネル品質を示すインデックスであり、下りリンク伝送に用いるべきMCSの決定等に用いられる。PMIは、下りリンクの伝送のために用いることが望ましいプレコーダマトリックスを示すインデックスである。RIは、下りリンクの伝送に用いることが可能なレイヤ数(ストリーム数)を示すインデックスである。SRは、PUSCHリソースの割り当てを要求する情報である。HARQ ACK/NACKは、下りリンクデータを正しく受信したか否かを示す送達確認情報である。
(下りリンクMIMOの概要)
図7は、下りリンクMIMOの概要を説明するための図である。
図7に示すように、eNB200に複数のUE100が接続する。具体的には、複数のUE100は、eNB200のセルにおいてRRCコネクティッドモードである。eNB200及び各UE100は、複数のアンテナ要素(アンテナポート)を有する。eNB200は、複数の送信アンテナ要素を用いて下りリンクデータを各UE100に送信する。
eNB200は、同一の無線リソース(時間・周波数リソース)を用いてSDM(Spatial Division Multiplexing)により複数の変調シンボル系列を1つのUE100に送信する。このような方式はSU−MIMO(Single−User MIMO)と称される。或いは、eNB200は、同一の無線リソース(時間・周波数リソース)を用いてSDMにより複数の変調シンボル系列を異なるUE100に送信する。このような方式はMU−MIMO(Multi−User MIMO)と称される。
eNB200は、ユーザーデータを送信する前に、チャネル特性の測定(すなわち、チャネル推定)のための参照信号を送信する。このような参照信号は、CSI−RS(Channel State Information−Reference Signal)と称される。UE100は、eNB200から受信するCSI−RSに基づいてチャネル特性を推定する。UE100は、チャネル推定結果に基づいて、チャネル状態を示すチャネル状態情報(CSI)を生成し、生成したCSIをeNB200にフィードバックする。CSIは、CQI、PMI、RIのうち少なくとも1つである。eNB200は、UE100からフィードバックされたCSIに基づいて、下りリンクデータ送信(特に、MCS)を制御する。
一般的なMIMOにおいて、eNB200は、水平方向の1次元に配列された各送信アンテナ要素を用いてデータ送信を行う。また、eNB200は、1次元に配列された各送信アンテナ要素を用いてCSI−RSを送信する。このようなCSI−RSは、複数のUE100に共通な参照信号である。また、当該参照信号は、1次元におけるチャネル特性の測定(チャネル推定)に用いられる。以下において、このような共通参照信号を「従来CSI−RS(existing CSI−RS)」と称する。なお、「従来CSI−RS(existing CSI−RS)」とは、3GPP規格のリリース10において導入されたCSI−RSに限らず、リリース12までの全ての参照信号を含む、例えば、DRS(Discovery Reference Signal))も従来CSI−RSの概念に含まれる。
これに対し、FD−MIMOにおいて、eNB200は、水平方向及び垂直方向の2次元に配列された各送信アンテナ要素を用いてデータ送信を行う。また、eNB200は、2次元に配列された送信アンテナ要素を用いてCSI−RSを送信する。FD−MIMOは、一般的なMIMOに比べてデータ伝送性能の向上が可能であるものの、FD−MIMO用の参照信号(CSI−RS)の伝送量、すなわちオーバーヘッドが増大する問題がある。
(第1実施形態に係る動作)
以下において、第1実施形態に係る動作について説明する。
(1)eNB200の動作フロー
第1実施形態に係るeNB200は、FD−MIMOをサポートする。eNB200は、UE100個別の参照信号を生成・送信する。当該参照信号は、2次元におけるチャネル特性の測定(チャネル推定)に用いられる参照信号である。以下において、このような個別参照信号を「2D UE−specific CSI−RS」と称する。「2D UE−specific CSI−RS」は、FD−MIMO用の参照信号である。
eNB200は、自eNB200に接続する複数の対象UE100の中から特定の対象UE100を選出し、特定の対象UE100に対してのみ「2D UE−specific CSI−RS」を送信する。このように、全ての対象UE100に対して「2D UE−specific CSI−RS」を送信する場合に比べてオーバーヘッドを抑制することができる。
第1実施形態において、eNB200は、従来CSI−RSに基づきフィードバックされるチャネル状態情報(CSI)を複数の対象UE100から受信し、チャネル状態情報に基づいて特定の対象UE100を選出する。具体的には、eNB200は、従来CSI−RSに基づくチャネル状態情報に基づいて決定したMCS(Modulation and Coding Scheme)により、「2D UE−specific CSI−RS」の送信が必要な対象UE100を選出する。これにより、eNB200は、データ伝送性能を向上すべき対象UE100に対してのみ「2D UE−specific CSI−RS」を送信することができるため、オーバーヘッドを抑制しつつ、データ伝送性能を向上することができる。
図8は、第1実施形態に係るeNB200の動作フローを示す図である。
図8に示すように、ステップS1において、eNB200は、従来CSI−RSを全てのUE100に送信し、従来CSI−RSに基づいて全てのUE100からフィードバックされるCSIを受信する。そして、eNB200は、CSIに基づいて下りリンクデータをUE100に送信する。なお、ステップS1は現状のLTE仕様に沿った処理である。
ステップS2において、eNB200は、自eNB200に接続するUE100の中から対象UE100を決定する。具体的には、eNB200は、自eNB200に接続する各UE100の端末能力情報(UE capability Information)を取得し、FD−MIMOをサポートするUE100を対象UE100として決定する。FD−MIMOをサポートしているか否かは、UEカテゴリ情報(UE category)により示されてもよい。「UE capability Information」は、RRC層のシグナリング(RRCシグナリング)の一種であり、eNB200がUE100から受信する情報である。或いは、「UE capability Information」は、eNB200がMMEから取得することも可能である。なお、eNB200に接続する全てのUE100がFD−MIMOをサポートすると仮定した場合、eNB200は、当該全てのUE100を対象UE100として決定してもよい。
ステップS3において、eNB200は、対象UE100ごとにCSIに基づいて下りリンクデータ伝送性能を導出し、下りリンクデータ伝送性能を性能指標と比較し、データ伝送性能が性能指標を下回る対象UE100を特定の対象UE100として選出する。なお、eNB200は、データ伝送性能が性能指標を上回る対象UE100については、従来CSI−RSを用いてUE100からフィードバックされたCSIに応じて決定した下りリンクMCSをそのまま使用して、データ伝送を行う。
第1実施形態において、下りリンクデータ伝送性能はデータレートである。eNB200は、MCSからデータレートを計算してもよいし、MCSに応じて実際にデータを送信した際のデータレートを測定してもよい。MCSからデータレートを計算する場合、eNB200は、UE100からフィードバックされたCSIによって決定したMCSのインデックスから対応するTBS(Transport Block Size)インデックスを求める。また、eNB200は、送信に用いるリソースブロック数とTBSインデックスとから、1レイヤあたりのTBSサイズを求める。ここでTBSサイズとは、1サブフレームで伝送可能なビット数である。そして、eNB200は、送信に用いるレイヤ数とTBSサイズとからデータレートを計算する。
また、第1実施形態において、性能指標は、全ての対象UE100の平均的なデータ伝送性能(平均データレート)である。性能指標は、定期的に更新されてもよい。性能指標の設定及び更新方法については後述する。
ステップS4において、eNB200は、ステップS3において選出した特定の対象UE100に対し、「2D UE−specific CSI−RS」を送信する。ここで、eNB200は、ステップS2において特定の対象UE100から受信したCSIに基づいて「2D UE−specific CSI−RS」を生成・送信してもよい。例えば、eNB200は、CSIに含まれるPMIをベースに「2D UE−specific CSI−RS」を生成し、送信する。或いは、eNB200は、CSIに基づいて特定の対象UE100の方向を推定し、推定した方向に向けて「2D UE−specific CSI−RS」を送信してもよい。
また、eNB200は、「2D UE−specific CSI−RS」を用いてチャネルを測定した特定の対象UE100からフィードバックされるCSIを受信する。そして、eNB200は、受信したCSIに基づいて、再度MCSを決定し、下りリンクデータを特定の対象UE100に送信する。
次に、性能指標の設定及び更新方法について説明する。図9は、性能指標の設定及び更新方法の一例を示すフロー図である。
図9に示すように、ステップS11において、eNB200は、性能指標の初期値又は最低値を設定する。性能指標の初期値は、予め定められたデータレート(例えば、3Mbps等)である。性能指標の最低値は、保証されるべき最低限のデータレートである。
ステップS12において、eNB200は、性能指標の更新タイミングであるか否かを判断する。性能指標の更新タイミングは、予め定められた周期(例えば30分等)に応じたタイミングである。周期的な更新の場合、eNB200は、各対象UE100について導出したデータ伝送性能(データレート)を更新タイミングまで蓄積する。或いは、周期的な更新に代えて、即時の更新としてもよい。即時更新の場合、対象UE100について新たにデータレートを導出した際、即時に性能指標が更新される。
性能指標の更新タイミングである場合(ステップS12:Yes)、ステップS13において、eNB200は、本セル中の全ての対象UE100の平均データレートを算出し、算出した平均データレートを性能指標として更新する。その後、eNB200は、ステップS12に処理を戻す。
(2)第1実施形態に係るTM
以下において、第1実施形態に係るTM(Transmission Mode)について説明する。TMは、eNB200とUE100との間の送信方式を示す情報であり、RRCシグナリングによりUE100ごとに設定される。
eNB200及びUE100が従来CSI−RSを送受信する場合、従来のTM(例えば、TM9)が適用される。これに対し、eNB200及びUE100が「2D UE−specific CSI−RS」を送受信する場合、従来のTMとは異なる新たなTMが適用されると考えられる。
よって、従来CSI−RSから「2D UE−specific CSI−RS」に切り替える場合、eNB200とUE100との間でTMを再設定する処理が必要になり得る。具体的には、eNB200は、特定の対象UE100について従来CSI−RSの送信から「2D UE−specific CSI−RS」の送信に切り替える場合、TMを再設定するためのRRCシグナリング(例えば、「RRC Connection Reconfiguration」メッセージ)を特定の対象UE100に送信する。
しかしながら、そのようなTMの再設定を行う場合、従来CSI−RSから「2D UE−specific CSI−RS」に切り替えるための遅延が生じるとともに、シグナリングオーバーヘッドが増大する問題がある。
第1実施形態において、FD−MIMO用のTMは、「2D UE−specific CSI−RS」を用いたCSIフィードバックと、従来CSI−RSを用いたCSIフィードバックと、をサポートする。このように、FD−MIMO用のTMが従来CSI−RSを用いたCSIフィードバックもサポートすることにより、FD−MIMO用の新しいTM下で従来CSI−RSを用いたCSIフィードバックも可能とすることができる。よって、上述したようなTMの切り替えのためのRRCシグナリングが発生せず、効率的な運用が可能になる。
(3)動作シーケンス
以下において、第1実施形態に係る動作シーケンスの一例について説明する。図10は、第1実施形態に係る動作シーケンスの一例を示す図である。図10に示すUE100は、対象UE(FD−MIMOをサポートするUE)である。
図10に示すように、ステップS101において、eNB200は、FD−MIMO用のTM(Transmission Mode)を含む「RRC Connection Reconfiguration」メッセージをUE100に送信する。なお、「RRC Connection Reconfiguration」メッセージは、UE100宛ての専用(dedicated)RRCシグナリングである。TMの設定情報は、例えば「AntennaInfo IE」に含まれる。
また、eNB200は、「2D UE−specific CSI−RS」用の設定パラメータ及び従来CSI−RS用の設定パラメータをUE100に送信する。なお、設定パラメータは、例えば参照信号の信号構成を示す情報である。このような参照信号用の設定パラメータ(RS configuration)は、「CQI−ReportConfig IE」や「CSI−RS−Config IE」等に含まれている。例えば、「CSI−RS−Config IE」中に、「2D UE−specific CSI−RS」用の新たな設定パラメータが追加される。
設定パラメータは、CSI報告の設定に関する情報を含んでもよい。第1実施形態に係る「2D UE−specific CSI−RS」のCSI報告は通常非周期的な報告(Aperiodic CSI report)が望ましいので、Aperiodic CSI report configuration情報を含んでもよい。
「RRC Connection Reconfiguration」メッセージを受信したUE100は、FD−MIMO用のTMを記憶する。また、UE100は、「2D UE−specific CSI−RS」用の設定パラメータ及び従来CSI−RS用の設定パラメータを記憶する。FD−MIMO用のTMが選択された場合、UE100は、従来CSI−RS用の設定パラメータに加えて、「2D UE−specific CSI−RS」用の設定パラメータを用いることが可能である。
UE100は、デフォルトでは従来CSI−RS用の設定パラメータを適用する。或いは、FD−MIMO用のTMの設定情報は、従来CSI−RS及び「2D UE−specific CSI−RS」のうちチャネル測定に用いるべき参照信号を明示的に指定する情報を含んでもよい。この場合、UE100は、従来CSI−RSを指定する情報に基づいて、従来CSI−RS用の設定パラメータを適用する。
ステップS102において、eNB200は、従来CSI−RSを送信する。UE100は、従来CSI−RSを用いてチャネルを測定し、従来CSI−RSに基づいてCSIを生成する。
ステップS103において、UE100は、CSIをeNB200に送信する(CSIフィードバック)。eNB200は、CSIを受信する。UE100は、更に「2D UE−specific CSI−RS」の送信をeNB200に要求してもよい。当該要求については、第1実施形態の変更例1において説明する。
ステップS104において、eNB200は、CSIに基づいてMCSを決定し、下りリンクデータをUE100に送信する。UE100は、下りリンクデータを受信する。
ステップS105において、eNB200は、対象UE100の下りリンクデータ伝送性能(データレート)を計算又は測定する。
ステップS106において、eNB200は、対象UE100の下りリンクデータ伝送性能を性能指標と比較する。対象UE100の下りリンクデータ伝送性能が性能指標を上回る場合、eNB200は、従来CSI−RSによって決定したMCSを維持し、対象UE100の下りリンクデータ伝送を継続し、「2D UE−specific CSI−RS」の送信への切り替えを行わない。
一方、UE100の下りリンクデータ伝送性能が性能指標を下回る場合、ステップS107において、eNB200は、従来CSI−RSを用いたCSIフィードバックから「2D UE−specific CSI−RS」を用いたCSIフィードバックへの切り替えをUE100に指示する。或いは、eNB200は、UE100からの要求に応じて、切り替え指示を行ってもよい。UE100は、切り替え指示を受信する。ここで、eNB200は、RRCよりも下位層(例えば、MAC層又は物理層)のシグナリングにより切り替え指示を行う。例えば、eNB200は、MAC CE(Control Element)により切り替え指示を行なってもよいし、DCIにより切り替え指示を行なってもよい。
また、eNB200及びUE100は、切り替え指示を送受信したタイミング(サブフレーム)から所定の期間(例えば、8サブフレーム)の経過時に、CSIフィードバックに用いる参照信号の切り替えが発生すると判断してもよい。その場合、UE100は、切り替え指示を送受信したタイミングから所定の期間の経過時に、「2D UE−specific CSI−RS」用の設定パラメータに切り替えてもよい。eNB200は、CSIフィードバックに用いる参照信号の切り替えが発生するタイミング(サブフレーム)から「2D UE−specific CSI−RS」の送信を開始してもよい。
ステップS108において、eNB200は、「2D UE−specific CSI−RS」を用いたCSIのフィードバック(報告)をUE100に要求する。
ステップS109において、eNB200は、「2D UE−specific CSI−RS」をUE100に送信する。UE100は、「2D UE−specific CSI−RS」を用いてチャネルを測定し、「2D UE−specific CSI−RS」に基づいてCSIを生成する。
ステップS110において、UE100は、CSIをeNB200に送信する(CSIフィードバック)。eNB200は、CSIを受信する。
ステップS111において、eNB200は、CSIに基づいてMCSを決定し、下りリンクデータをUE100に送信する。UE100は、下りリンクデータを受信する。
本シーケンスにおいては、従来CSI−RSを用いたCSIフィードバックから「2D UE−specific CSI−RS」を用いたCSIフィードバックへの切り替えについて説明した。しかしながら、eNB200は、「2D UE−specific CSI−RS」を用いたCSIフィードバックを行っているUE100に対し、従来CSI−RSを用いたCSIフィードバックへの切り替えを指示してもよい。eNB200及びUE100は、切り替え指示を送受信したタイミング(サブフレーム)から所定の期間(例えば、8サブフレーム)の経過時に、CSIフィードバックに用いる参照信号の切り替えが発生すると判断してもよい。eNB200は、CSIフィードバックに用いる参照信号の切り替えが発生するタイミング(サブフレーム)から「2D UE−specific CSI−RS」の送信を停止してもよい。
また、「2D UE−specific CSI−RS」を用いたCSIフィードバックが非周期的な方式(aperiodic CSI report)である一例を説明したが、周期的な方式(periodic CSI report)で「2D UE−specific CSI−RS」を用いたCSIをフィードバックしてよい。
[第1実施形態の変更例1]
上述した第1実施形態において、eNB200が、対象UE100ごとに下りリンクデータ伝送性能を性能指標と比較することにより、特定の対象UE100を選出する一例を説明した。しかしながら、eNB200は、このような方法に代えて、UE100からの要求に応じて、「2D UE−specific CSI−RS」を当該UE100に送信してもよい。
UE100は、例えば、CSIが予め決まった値/期待値より悪い時、伝搬状況から測定結果の乖離が大きいと判断した時、又は前回の測定結果から大きく変動した時等に、「2D UE−specific CSI−RS」によるチャネル推定が必要と判断し、「2D UE−specific CSI−RS」の送信を要求する要求情報をeNB200に送信する。或いは、UE100は、自UE100が利用するサービスの状況(例えば、ビデオ信号等の大量のデータを高速受信する必要がある時)に応じて、「2D UE−specific CSI−RS」の送信を要求する要求情報をeNB200に送信する。
図11は、第1実施形態の変更例1に係るeNB200の動作フローを示す図である。ここでは、上述した第1実施形態との相違点を主として説明する。
図11に示すように、ステップS21において、eNB200は、従来CSI−RSを全てのUE100に送信し、従来CSI−RSに基づいてUE100からフィードバックされるCSIを受信する。そして、eNB200は、CSIに基づいて下りリンクデータをUE100に送信する。
ステップS22において、eNB200は、「2D UE−specific CSI−RS」の送信を要求する要求情報を送信したUE100を特定の対象UE100として選出する。なお、eNB200は、当該要求情報を送信していないUE100については、従来CSI−RSによって決定した下りリンクのMCSの使用を継続する。
ステップS23において、eNB200は、ステップS22において選出した特定の対象UE100に対し、「2D UE−specific CSI−RS」を送信する。「2D UE−specific CSI−RS」を用いてチャネルを測定した特定の対象UE100からフィードバックされるCSIを受信する。そして、eNB200は、受信したCSIに基づいて、MCSを決定し、下りリンクデータを特定の対象UE100に送信する。
[第1実施形態の変更例2]
上述した第1実施形態において、eNB200が性能指標を周期的又は即時に更新する一例について説明した。このような更新を繰り返すことにより、性能指標が徐々に高くなり、結果的に全ての対象UE100に対して「2D UE−specific CSI−RS」の送信が必要になり得る。その結果、オーバーヘッドを抑制するという目的が達成できなくなる可能性がある。第1実施形態の変更例2において、この問題を解決するための方法について説明する。
図12は、第1実施形態の変更例2に係るeNB200の動作フローを示す図である。
図12に示すように、eNB200は、性能指標の更新タイミング、又は新たにデータレートを導出した際(すなわち、新しいMCSがある際)等において(ステップS31:Yes)、オーバーヘッドの増加状況と該当スループットの増加状況とを比較する(ステップS32)。ここで「増加状況」とは、例えば増加速度又は増加量である。また、「オーバーヘッド」とは、「2D UE−specific CSI−RS」、「2D UE−specific CSI−RS」に基づくCSI、及び「2D UE−specific CSI−RS」の設定情報等である。「該当スループット」とは、対象UE100のスループットであり、例えば「性能指標×対象UE100数」により計算される。或いは、全ての対象UE100の伝送性能(データレート)の和を該当スループットとしてもよい。
そして、オーバーヘッドの増加状況が該当スループットの増加状況以上である場合(ステップS32:Yes)、eNB200は、性能指標の更新を中止する(ステップS33)。
一方、オーバーヘッドの増加状況が該当スループットの増加状況未満である場合(ステップS32:No)、eNB200は、性能指標の更新を再開する(ステップS34)。
図13は、図12に示すフローの変更例1を示す図である。図13に示すように、eNB200は、性能指標の更新タイミング、又は新たにデータレートを導出した際(すなわち、新しいMCSがある際)において(ステップS41:Yes)、性能指標の更新中止状態である場合(ステップS42:Yes)、オーバーヘッドの増加状況と該当スループットの増加状況とを比較する(ステップS43)。そして、オーバーヘッドの増加状況が該当スループットの増加状況以上である場合(ステップS43:Yes)、eNB200は、性能指標に1未満の係数を掛けることにより性能指標を下げる(ステップS44)。
図14は、図12に示すフローの変更例2を示す図である。図14に示すように、eNB200は、性能指標の更新タイミング、又は新たにデータレートを導出した際(すなわち、新しいMCSがある際)において(ステップS51:Yes)、オーバーヘッドが規定値(例えば、オペレータ等が設定した値)を超えている場合(ステップS52:Yes)、性能指標に1未満の係数を掛けることにより性能指標を下げる(ステップS53)。
[第1実施形態の変更例3]
上述した第1実施形態において、対象UE100をその優先度又はカテゴリに応じて複数のグループに分類し、グループごとに図8のフローを適用してもよい。具体的には、eNB200は、グループ毎に性能指標を設定及び更新するとともに、グループ毎の対象UE100に対して伝送性能(データレート)を計算する。そして、eNB200は、グループ毎に伝送性能を性能指標と比較し、CSIフィードバックを制御する。
また、eNB200は、優先度又はカテゴリが高い対象UE100を特定の対象UE100として選出し、無条件に(オーバーヘッドを無視して)「2D UE−specific CSI−RS」を送信してもよい。
[その他の変更例]
上述した第1実施形態において、特定の対象UE100について従来CSI−RSを用いたCSIフィードバックから「2D UE−specific CSI−RS」を用いたCSIフィードバックに切り替える一例を説明した。また、従来CSI−RSが1次元のチャネル推定用の共通参照信号であり、「2D UE−specific CSI−RS」が2次元のチャネル推定用の個別参照信号である一例を説明した。
しかしながら、従来CSI−RSを「チャネル推定用の共通参照信号」と読み替え、「2D UE−specific CSI−RS」を「チャネル推定用の個別参照信号」と読み替えてもよい。或いは、従来CSI−RSを「第1のチャネル推定用参照信号」と読み替え、「2D UE−specific CSI−RS」を「第2のチャネル推定用参照信号」と読み替えてもよい。この場合、第1のチャネル推定用参照信号及び第2のチャネル推定用参照信号は、同じアンテナポート(番号)を共用してもよいし、異なるアンテナポート(番号)として定義されてもよい。
上述した第1実施形態において、無線通信システムとしてLTEシステムを例示した。しかしながら、本発明はLTEシステムに限定されない。LTEシステム以外の無線通信システムに本発明を適用してもよい。
[第1実施形態の付記]
(1.はじめに)
RANプレナリ#68で、エレベーションビームフォーミング/全次元(FD)MIMO WIが承認された。定期的及び非周期的の両CSI報告について、Rel−12 CSI報告メカニズムの拡張を含むCSI報告の改良を仕様化することが、このWIの目的の1つである。この付記では、CSIの測定及び報告の検討事項について説明する。
(2.CSI報告を検討した場合の問題)
LTE SIのエレベーションビームフォーミング/全次元(FD)MIMOの結果はTR36.897に要約されている。
TR36.897から、FDD用のCSI−RSの機能強化には3つの主なタイプがあることが分かる。第1は、ビーム形成されたCSI−RSベースのスキームである。第2は、非プリコードCSI−RSベースのスキームである。第3は、ハイブリッドビーム形成CSI−RS及び非プリコードCSI−RSの強化である。いくつかの具体的なスキームは、さらにCSI−RSの強化の種類ごとにSI段階で研究されてきた。
例えば、ビーム形成されたCSI−RSベースの拡張機能については、いくつかの方式は、単一のCSIプロセスと単一又は複数のNZP CSI−RSリソースをUEに設定し、UEは、CSI(PMI、CQI、RI、又はビームインデックス)を報告する各特定のスキームに従って(いくつかの方式では、複数のCSIプロセスをUEに設定してから)、UEは、好ましいCSIを報告する。
非プリコーディングCSI−RSベース方式に関して、垂直方向及び水平方向の別々のCSI−RS報告だけではなく、全MIMOチャネルをUEで測定できる全ポートマッピング、時間、周波数、及び/又は空間領域でサブサンプリングする部分ポートマッピングが検討されてきた。
ハイブリッドビーム形成CSI−RS及び非プリコードCSI−RSの強化のために、通常は2つのCSIプロセスが必要である。1つは、第1ステップの非プリコードCSI測定及び報告のためのものであり、もう1つは、非プリコードCSI報告第1ステップに応じて、ビーム形成されたCSI測定の更なる報告のためのものである。
これらの方式の長所と短所を比較しないが、オーバーヘッドと測定/伝送性能とのトレードオフは、CSI−RSの強化を検討する際に検討される必要がある。オーバーヘッドの増加と共に性能を向上させることは通常はそれほど難しいことではない。重要なことは、オーバーヘッドが増加せずに又は僅かな増加で性能を改善するために最初に努力することである。
提案1:オーバーヘッドが増加せずに又は僅かな増加で性能を改善するために最初に検討されるべきである。
直感的に、伝送性能、例えばスループットは、FD−MIMOを使用することによって改善することができると理解することができる。ただし、すべてのUEは、さらにスループットを向上させる必要がある。例えば、eNBに非常に近いいくつかのUEは、従来の1次元アンテナアレイCSIプロセスを使用して、十分なスループットを達成することができるかもしれない。
考察1:いくつかのUEは、十分なスループットを達成するために、従来の1次元アンテナアレイCSI処理が十分であり得る。
また、レガシーUEは、当然のことながら、このWIの結果に依存するFD−MIMO CSIのプロセスに対処できない場合がある。CSI−RSの測定及び報告を検討する際にこのようにレガシーUEとの互換性も検討すべきである。
考察2:レガシーUEは、FD−MIMOのCSI−RSの拡張機能に対処できない場合があり、互換性が問題である。
(3.2ステップCSI報告)
第2節での議論に基づき、以下に紹介する2ステップCSI報告が検討されるべきであると提案する。
第2節で説明したように、従来の1次元アンテナアレイCSI処理が十分なスループットを実現するためにいくつかのUEのために十分であること、及びレガシーUEとの互換性も検討すべきであること点を考慮し、1次元アンテナアレイのための標準化されたレガシーCSI処理を第1ステップのCSI測定及び報告として使用することができる。すなわち、eNBは、まず、従来の1次元アンテナアレイCSI−RSを伝送する。UEは、チャネルを測定し、測定結果に基づいて、CSI(PMI、CQI、RI)をeNBにフィードバックする。UEが報告したCSIに基づいて、eNBは、MCSを決定し、データの送信を開始する。
第1ステップのCSI測定及び報告では、レガシーCSIプロセスを使用しているだけであるので、追加のオーバーヘッドは導入されず、また、レガシーUEは正常に動作することができる。
次いで、第2ステップCSI測定及び報告として、(RRCのUE能力情報交換によって示される)2D AAS CSI−RSの処理が可能なUE、及び/又は、より高いスループットデータ伝送を要求するUEの中から、eNBは、いくつかの事前定義された基準(スループット期待値又は単にセルの平均スループットとすることができる)に従ってUEを選択し、それらの選択されたUEからの非周期CSI報告を要求し、第1ステップでのCSI報告に基づいて、選択されたUEに2D AAS UE固有のCSI−RSを送信する。関連するUEは、2D AAS UE固有のCSI−RSに応答して再びチャネルを測定し、eNBに新たなCSIを報告する。新たな第2ステップCSI報告に基づいて、eNBは、新たなMCSを決定し、新たなMCSを用いてデータを送信する。
第2ステップのCSI報告については、通常、より高い解像度の測定結果をもたらす2D AAS UE固有のCSI−RSが使用されているので、統計的な意味での伝送特性の向上を達成することができる。次のように2ステップCSI測定及び報告のメリットをまとめる。
−レガシーUEとの互換性、すなわち、レガシーUEは正常に動作することができる。
−2D AAS CSI−RSを必要としないUEについての追加のオーバーヘッドが導入されない。
−オーバーヘッドがわずかに増加して必要な伝送性能を期待することができる、すなわち、性能とオーバーヘッドとの間の最良のトレードオフを実現する。
提案2:2ステップCSI報告は、性能とオーバーヘッドとの間の最良のトレードオフを実現し、レガシーUEとの互換性を実現するために検討されるべきである。
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。
(第2実施形態の概要)
移動通信システムにおいて、複数の送信アンテナ及び複数の受信アンテナを用いて信号を伝送するMIMO(Multi−Input Multi−Output)技術が広く用いられている。
下りリンクのMIMOにおいて、基地局は、同一の無線リソース(時間・周波数リソース)を用いてSDM(Spatial Division Multiplexing)により複数のデータ系列を1つの無線端末に送信する。このような方式はSU−MIMO(Single−User MIMO)と称される。或いは、基地局は、同一の無線リソースを用いてSDMにより複数のデータ系列を異なる無線端末に送信する。このような方式はMU−MIMO(Multi−User MIMO)と称される。
また、基地局は、チャネル状態情報(CSI)のフィードバックのための参照信号を各アンテナから送信する。このような参照信号は、CSI−RS(Channel State Information−Reference Signal)と称される。CSI−RSは、基地局のセル内の複数の無線端末に共通の参照信号である。
無線端末は、基地局から受信するCSI−RSを用いてチャネル推定を行うことにより、下りリンクのチャネル状態に関するCSIを生成し、生成したCSIを基地局に送信(フィードバック)する。基地局は、無線端末からフィードバックされたCSIに基づいて、下りリンクデータ送信を制御する。
しかしながら、CSI−RSの配置は疎である。例えば、LTE(Long Term Evolution)システムにおいて、CSI−RSは、複数サブフレームに1回程度の長い周期で送信される。よって、CSI−RSを用いたCSIフィードバックは、高精度なCSIを得ることが難しいという問題がある。
また、基地局に多数のアンテナを設ける大規模(Massive)MIMOを実施する場合、送信すべきCSI−RSの量が増加する、すなわちオーバーヘッドが増大するという問題がある。
そこで、第2実施形態は、オーバーヘッドの増大を抑制しつつ高精度なCSIを得ることを可能とする無線端末、基地局、及びプロセッサを提供することを目的とする。
第2実施形態に係る無線端末は、制御部を備える。前記制御部は、基地局が無線端末個別に送信する復調用参照信号である端末固有参照信号を前記基地局から受信する処理と、前記端末固有参照信号を用いたチャネル推定により生成したチャネル状態情報を前記基地局に送信する処理と、を行う。
前記チャネル状態情報は、チャネル品質情報であってもよい。
前記チャネル状態情報は、干渉情報であってもよい。
前記端末固有参照信号は、前記基地局が前記無線端末に割り当てた割当無線リソースに含まれる。前記無線端末において、前記制御部は、前記割当無線リソースに含まれる下りリンクデータと共に前記端末固有参照信号を前記基地局から受信する処理と、前記端末固有参照信号を用いた前記チャネル推定により、前記下りリンクデータを復調するだけでなく前記チャネル状態情報も生成する処理と、を行ってもよい。
前記無線端末において、前記制御部は、前記基地局から物理下りリンク制御チャネルを介して下りリンク制御情報を受信する処理と、前記チャネル状態情報の送信指示を示す指示情報が前記下りリンク制御情報に含まれる場合、前記チャネル状態情報を前記基地局に送信する処理と、を行ってもよい。
前記下りリンク制御情報は、前記基地局が前記無線端末に割り当てた割当無線リソースを示す割当情報を含む。前記無線端末において、前記制御部は、前記割当情報及び前記指示情報が前記下りリンク制御情報に含まれる場合、前記割当無線リソースに含まれる前記端末固有参照信号を用いた前記チャネル推定により生成した前記チャネル状態情報を前記基地局に送信する処理を行ってもよい。
前記無線端末において、前記制御部は、前記基地局からの下りリンクデータの受信に成功したか否かを示す応答情報を前記基地局に送信する処理と、前記応答情報の送信タイミングにおいて前記チャネル状態情報を前記基地局に送信する処理と、を行ってもよい。
前記無線端末において、前記制御部は、現タイミングよりも前に前記基地局に送信した過去のチャネル状態情報と前記現タイミングに対応する現在のチャネル状態情報との間の差分を示す情報を、前記チャネル状態情報として前記基地局に送信する処理を行ってもよい。
第2実施形態に係る基地局は、制御部を備える。前記制御部は、無線端末個別に送信する復調用参照信号である端末固有参照信号を無線端末に送信する処理と、前記端末固有参照信号を用いたチャネル推定により前記無線端末が生成したチャネル状態情報を前記無線端末から受信する処理と、を行う。
前記チャネル状態情報は、チャネル品質情報であってもよい。
前記チャネル状態情報は、干渉情報であってもよい。
前記端末固有参照信号は、前記基地局が前記無線端末に割り当てた割当無線リソースに含まれる。前記端末固有参照信号は、前記割当無線リソースに含まれる下りリンクデータの復調に用いられるだけでなく、前記チャネル状態情報の生成にも用いられてもよい。
前記基地局において、前記制御部は、前記チャネル状態情報の送信指示を示す指示情報を下りリンク制御情報に含める処理と、前記指示情報を含む前記下りリンク制御情報を物理下りリンク制御チャネルを介して前記無線端末に送信する処理と、を行ってもよい。
前記基地局において、前記制御部は、前記基地局が前記無線端末に割り当てた割当無線リソースを示す割当情報と共に前記指示情報を前記下りリンク制御情報に含める処理を行ってもよい。
前記基地局において、前記制御部は、前記基地局が送信した下りリンクデータの受信に成功したか否かを示す応答情報を前記無線端末から受信する処理と、前記応答情報の受信タイミングにおいて、前記チャネル状態情報を前記無線端末から受信する処理と、を行ってもよい。
前記基地局において、前記制御部は、現タイミングよりも前に前記無線端末から受信した過去のチャネル状態情報と前記現タイミングに対応する現在のチャネル状態情報との間の差分を示す情報を、前記チャネル状態情報として前記無線端末から受信する処理を行ってもよい。
第2実施形態に係るプロセッサは、無線端末を制御する。前記プロセッサは、基地局が無線端末個別に送信する復調用参照信号である端末固有参照信号を前記基地局から受信する処理と、前記端末固有参照信号を用いたチャネル推定により生成したチャネル状態情報を前記基地局に送信する処理と、を行う。
(第2実施形態に係る動作の概要)
第2実施形態に係るLTEシステムは、下りリンクMIMOをサポートする。SU−MIMOにおいて、eNB200は、同一の無線リソース(時間・周波数リソース)を用いてSDMにより複数のデータ系列を1つのUE100に送信する。MU−MIMOにおいて、eNB200は、同一の無線リソースを用いてSDMにより複数のデータ系列を異なるUE100に送信する。
さらに、eNB200は、データ復調のためのチャネル推定に用いる復調用参照信号である端末固有参照信号(UE−specific RS)を各アンテナ(各アンテナポート)から送信する。UE−specific RSは、eNB200がUE個別に送信する参照信号である。UE−specific RSは、eNB200がUE100に割り当てた割当無線リソース(PDSCHリソース)に含まれる。すなわち、UE−specific RSは、UE100に対する下りリンクデータの送信に用いるアンテナ及び割当無線リソースにおいて送信される。
図15は、第2実施形態に係る動作の概要を示す図である。図15に示すように、UE100は、eNB200がUE個別に送信する復調用参照信号であるUE−specific RSをeNB200から受信する。UE100は、UE−specific RSを用いたチャネル推定により生成したCSIをeNB200に送信する。eNB200は、UE−specific RSを用いたチャネル推定によりUE100が生成したCSIをUE100から受信する。CSIは、例えばチャネル品質情報(CQI)である。詳細については後述するが、CQIは、PDSCH用に割り当てられたリソース全体に対して1つ生成されるCQIであってもよい。
或いは、CSIは、干渉情報であってもよい。干渉情報が示す干渉は、UE−specific RSを送信しているeNB200からの他レイヤの信号による干渉、周辺からの信号による干渉、及び雑音等を含む。なお、CSIは、PMI及びRI等も含み得る。
UE−specific RSは、eNB200がUE100に割り当てたPDSCHリソース(リソースブロック)に含まれている。このため、eNB200がUE100に頻繁にPDSCHリソースを割り当てる場合、UE100はUE−specific RSを頻繁に受信するため、UE−specific RSを用いて高精度なCSIを得ることができる。
また、eNB200に多数のアンテナを設けるMassive MIMOを実施する場合、UE100に対する下りリンクデータの送信に用いる各アンテナからUE−specific RSを送信し得る。よって、UE−specific RSをCSIフィードバックに利用することにより、Massive MIMOを実施する場合でも、追加のCSI−RSを不要とすることができる。
よって、第2実施形態によれば、オーバーヘッドの増大を抑制しつつ高精度なCSIを得ることができる。
(第2実施形態に係る無線端末)
次に、UE100(無線端末)の構成について説明する。図16は、UE100のブロック図である。図16に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、複数のアンテナ及び受信機を含む。受信機は、複数のアンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、複数のアンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換して複数のアンテナから送信する。
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサは、上述した処理及び後述する処理を実行する。
第2実施形態において、制御部130は、eNB200がUE個別に送信する復調用参照信号であるUE−specific RSをeNB200から受信する処理と、UE−specific RSを用いたチャネル推定により生成したCSIをeNB200に送信する処理と、を行う。具体的には、制御部130は、割当PDSCHリソースに含まれる下りリンクデータと共にUE−specific RSをeNB200から受信する処理と、UE−specific RSを用いたチャネル推定により、下りリンクデータを復調するだけでなくCSIも生成する処理と、を行う。
第2実施形態において、制御部130は、eNB200からPDCCHを介してDCIを受信する処理と、UE−specific RSに基づくCSIの送信指示を示す指示情報がDCIに含まれる場合、CSIをeNB200に送信する処理と、を行ってもよい。換言すると、制御部130は、DCIによるトリガで、UE−specific RSに基づくCSIをeNB200に送信する。これにより、eNB200は、必要に応じてCSIを得ることができる。指示情報は、例えば1ビットのフラグである。或いは、UE−specific RSを用いたCSIフィードバック向けの新たなDCIフォーマットを導入してもよい。この場合、当該新たなDCIフォーマットを示す情報を指示情報とみなしてもよい。或いは、DCIにより指示情報を送信することに代えて、物理層よりも上位層(MAC又はRRC等)のシグナリングにより指示情報を送信してもよい。MAC又はRRC等による指示情報は、UE−Specific RSを用いたPDSCH割り当てがあった際には常にUE−Specific RSを用いたCSIフィードバックを行うよう指示する情報であってもよい。
DCIは、eNB200がUE100に割り当てた割当PDSCHリソースを示す割当情報(下りリンクSI)を含む。第2実施形態において、制御部130は、割当情報及び指示情報がDCIに含まれる場合、割当情報が示す割当PDSCHリソースに含まれるUE−specific RSに基づくCSIをeNB200に送信する処理を行ってもよい。これにより、UE100に割り当てられたPDSCHリソースの範囲内のチャネル状態に関するCSIを得ることができる。このため、一般的なLTEシステムにおいて用いられるサブバンドCSI(サブバンドCQI)を不要としてもよい。
このような動作を行う場合、制御部130は、一般的なLTEシステムにおいて用いられるワイドバンドCSI(ワイドバンドCQI)やサブバンドCSI(サブバンドCQI)ではなく、PDSCHリソース範囲全体又はそのサブセットに対するCSIフィードバックをするものとしてもよい。この「サブセット」については、UE100は、DCI中、或いはMAC/RRCでのシグナリングでeNB200から通知されてもよい。
また、制御部130は、複数アンテナポートでのUE−specific RSを用いたPDSCHの割り当てが行われた場合(つまり、UE100に対して複数レイヤ割り当てがされた場合)、それぞれのUE−specific RSに対応するCSIを生成してもよい。特にCQIの場合には、CQIフィードバックは以下の4つのパターンを取り得る。
(1)それぞれのUE−specific RSにしてCQIを1つずつフィードバックする。
(2)1つのUE−specific RSに対して1つのCQIと、当該1つのCQIを基準として他のUE−specific RSに対して1つずつの差分CQIと、をフィードバックする。
(3)複数のUE−specific RSに対してCQIを1つのみフィードバックする。
(4)コードワードごとにCQIを1つずつフィードバックする。なお、1つのコードワードには、1つあるいは複数のUE−specific RSに対応するレイヤが含まれる。
第2実施形態において、制御部130は、eNB200からの下りリンクデータの受信に成功したか否かを示すHARQ ACK/NACKをeNB200に送信する処理と、HARQ ACK/NACKの送信タイミングにおいてCSIをeNB200に送信する処理と、を行ってもよい。つまり、制御部130は、UE−specific RSを用いたCSIフィードバックのタイミングをHARQ ACK/NACKの送信タイミングと揃える。これにより、eNB200がCSIフィードバックのタイミングを予測することが可能となる。なお、FDDの場合、HARQ ACK/NACKの送信タイミングは、下りリンクデータを受信したサブフレームから4サブフレーム後である。TDDの場合、HARQ ACK/NACKの送信タイミングは、TDD無線フレーム構成に依存する。
第2実施形態において、制御部130は、現タイミングよりも前にeNB200に送信した過去のCSIと現タイミングに対応する現在のCSIとの間の差分を示す情報を、CSIとしてeNB200に送信する処理を行ってもよい。つまり、制御部130は、CSIの差分フィードバックを行う。これにより、CSIの情報量を削減することができる。一例として、差分フィードバックに係るCSIが1ビットである場合、2つのパターン(+1/−1等)を表現することができる。差分フィードバックに係るCSIが2ビットである場合、4つのパターン(+1/0/−1/−3等)を表現することができる。
(第2実施形態に係る基地局)
次に、eNB200(基地局)の構成について説明する。図17は、eNB200のブロック図である。図17に示すように、eNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、複数のアンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換して複数のアンテナから送信する。受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、複数のアンテナ及び受信機を含む。受信機は、複数のアンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
制御部230は、eNB200における各種の制御を行う。制御部230は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、上述した処理及び後述する処理を実行する。
バックホール通信部240は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。バックホール通信部240は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信等に用いられる。
第2実施形態において、制御部230は、UE個別に送信する復調用参照信号であるUE−specific RSをUE100に送信する処理と、UE−specific RSを用いたチャネル推定によりUE100が生成したCSIをUE100から受信する処理と、を行う。UE−specific RSは、割当PDSCHリソースに含まれる下りリンクデータの復調に用いられるだけでなく、CSIの生成にも用いられる。
eNB200は、UE100からフィードバックされたCSIに基づいて、下りリンクデータ送信を制御する。例えば、eNB200は、CSIに基づいて、UE間の干渉を抑圧する送信プリコーディングウェイトを生成し、下りリンクデータ(データ系列)及びUE−specific RSに送信プリコーディングウェイトを乗算することにより、ビームフォーミングによる下りリンクデータ送信を行う。その際、eNB200は、CSIに対応するリソースブロックをUE100に割り当てて下りリンクデータ送信を行う。また、eNB200は、CSIに基づいてMCSを決定し、決定したMCSを用いて下りリンクデータ送信を行う。
第2実施形態において、制御部230は、UE−specific RSに基づくCSIの送信指示を示す指示情報をDCIに含める処理と、PDCCHを介して指示情報を含むDCIをUE100に送信する処理と、を行ってもよい。また、制御部230は、eNB200がUE100に割り当てた割当PDSCHリソースを示す割当情報と共に指示情報をDCIに含める処理を行ってもよい。つまり、eNB200は、CSIフィードバックが必要なPDSCHリソース(リソースブロック)をUE100に割り当てる際に、当該PDSCHリソースについてのCSIフィードバックをUE100に指示する。これにより、eNB200が所望のリソースブロックについてCSIを得ることができる。
或いは、DCIにより指示情報を送信することに代えて、物理層よりも上位層(MAC又はRRC等)のシグナリングにより指示情報を送信してもよい。MAC又はRRC等による指示情報は、UE−Specific RSを用いたPDSCH割り当てがあった際には常にUE−Specific RSを用いたCSIフィードバックを行うよう指示する情報であってもよい。
また、上述したように、CSIフィードバックは、一般的なLTEシステムにおいて用いられるワイドバンドCSI(ワイドバンドCQI)やサブバンドCSI(サブバンドCQI)ではなく、PDSCHリソース範囲全体又はそのサブセットに対するCSIフィードバックであってもよい。制御部230は、この「サブセット」を、DCI中、或いはMAC/RRCでのシグナリングでUE100に通知してもよい。
第2実施形態において、制御部230は、eNB200が送信した下りリンクデータの受信に成功したか否かを示すHARQ ACK/NACKをUE100から受信する処理と、HARQ ACK/NACKの受信タイミングにおいて、CSIをUE100から受信する処理と、を行ってもよい。
第2実施形態において、制御部230は、現タイミングよりも前にUE100から受信した過去のCSIと現タイミングに対応する現在のCSIとの間の差分を示す情報を、CSIとしてUE100から受信する処理を行ってもよい。制御部230は、このようなCSIの差分フィードバックに基づいて、差分フィードバックに係るCSIを累積することにより、現在のCSIを導出する。
(第2実施形態に係る動作シーケンス)
次に、第2実施形態に係る動作シーケンスの一例について説明する。図18は、第2実施形態に係る動作シーケンスの一例を示すシーケンス図である。図18の初期状態において、UE100は、eNB200のセルにおいてRRCコネクティッドモードである。
図18に示すように、ステップS201において、eNB200は、UE−specific RSを用いたCSIフィードバックに関する設定情報をRRCシグナリングによりUE100に送信する。UE100は、eNB200から受信した設定情報を記憶し、設定情報に基づいて、UE−Specific RSを用いたCSIフィードバックを行う。
設定情報の具体例として、以下の(1)乃至(3)の情報が挙げられる。
(1)UE−Specific RSを用いたCSIフィードバックを要求する情報。この情報は、例えば、UE−Specific RSを用いたCSIフィードバックのための送信モード(例えば、TM 9a)、又は、UE−Specific RSを用いたCSIフィードバックを要求する情報要素(IE)である。UE100は、このような情報が設定された場合には、常に、又はDCIでのトリガで、UE−Specific RSに基づいたCSIフィードバックを行う。
(2)CSIフィードバックのためのPUCCHリソースを指定する情報。PUCCHでのフィードバックを行う場合、従来のPUCCHフォーマットでは送信ができないため、新しいPUCCH(例えばPUCCH format 5)を定義する。そして、eNB200は、このリソースを指定するための情報(例えば、リソースブロック、サイクリックシフト等)をUE100に設定する。
(3)PDSCH割り当てリソース全体に対して1つのCSIフィードバックとするか、サブセットに分けてそれぞれ1つのCSIフィードバックをするか、両方フィードバックするかの設定情報。また、サブセットでのCSIフィードバックをするのであれば、サブセットを指定するための情報(例えば、6RB単位で区切る等)が必要となり得る。但し、これは仕様により既定の値とされてもよい。
ステップS202において、eNB200は、PDCCHを介してDCIをUE100に送信する。DCIは、eNB200がUE100に割り当てた割当PDSCHリソース(リソースブロック)を示す割当情報と、UE−specific RSに基づくCSIの送信指示を示す指示情報と、を含む。また、DCIは、CSIをフィードバックするためのPUSCHリソースを指定する情報も含んでもよい。PUSCHリソースを指定する情報は、UL grantに相当する情報であってもよい。或いは、PUSCHリソースを指定する情報は、RB等の一部の情報はPDSCHリソース割り当て情報と共通化し、それ以外の情報のみであってもよい。UE100は、eNB200からDCIを受信し、割当情報に基づいて割当PDSCHリソースを特定する。
ステップS203において、eNB200は、割当PDSCHリソースを用いて下りリンクデータ及びUE−specific RSをUE100に送信する。UE100は、割当PDSCHリソースに含まれる下りリンクデータと共にUE−specific RSをeNB200から受信する。
ステップS204において、UE100は、UE−specific RSを用いたチャネル推定により、下りリンクデータを復調するだけでなく、CSIも生成する。また、UE100は、下りリンクデータの復号を行い、復号成否を示すHARQ ACK/NACKを生成する。
ステップS205において、UE100は、HARQ ACK/NACKの送信タイミングにおいてCSIをeNB200に送信する。具体的には、UE100は、PUCCH又はPUSCHを介してACK/NACK及びCSIをeNB200に送信する。このようなCSIフィードバックは、上述した差分フィードバックであってもよい。eNB200は、ACK/NACK及びCSIを受信する。
[その他の変更例]
上述した第2実施形態において、Massive MIMOに用いるアンテナ構成について特に触れなかった。eNB200は、Massive MIMOに用いるアンテナ構成として、水平方向及び垂直方向の2次元に配列されたアンテナ(アンテナポート)を有するアレイアンテナを用いてもよい。図19は、アレイアンテナの一例を示す図である。図19に示す例において、アンテナアレイは、水平方向に4個、垂直方向に4個の合計16個のアンテナを有しているが、より多くのアンテナを有していてもよい。このようなアンテナアレイを用いたMIMOは、FD−MIMO(Full−Dimension MIMO)と称され、水平方向だけでなく垂直方向の指向性制御が可能である。
第2実施形態は、第1実施形態と組み合わせて実施可能である。例えば、第2実施形態に係る一部の構成を第1実施形態に追加してもよいし、第2実施形態に係る一部の構成を第1実施形態に係る一部の構成と置換してもよい。
上述した第2実施形態において、移動通信システムとしてLTEシステムを例示した。しかしながら、本発明はLTEシステムに限定されない。LTEシステム以外の移動通信システムに本発明を適用してもよい。
[相互参照]
本願は、米国仮出願第62/203622号(2015年8月11日出願)及び日本国特許出願第2015−170172号(2015年8月31日出願)の優先権を主張し、これらの出願の全内容が本願明細書に組み込まれている。