JP6870893B2 - 赤色スペクトル領域の波長変換光を供給するための光モジュールおよび方法ならびに投影装置 - Google Patents

赤色スペクトル領域の波長変換光を供給するための光モジュールおよび方法ならびに投影装置 Download PDF

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Description

本発明は、赤色スペクトル領域の波長変換光を供給するための請求項1の前段に記載の光モジュール、この種の光モジュールを有する投影装置、ならびに赤色スペクトル領域の波長変換光を供給するための請求項15の前段に記載の方法に関する。
従来技術から、例えば蛍光体の如き変換手段により波長変換光を生成する光モジュールおよび方法は公知である。その光モジュールおよび方法では、励起光、例えばレーザダイオードの単色光が蛍光体に照射され、その蛍光体が一般により長い波長を有する変換光を放出する。蛍光体では、よく知られているように、励起光のポンプ出力およびポンプ出力密度の増大に伴って変換効率が低下するという問題が生じる。ポンプ出力の増大は、平均温度が上昇し、変換効率の温度依存性により出力パワーの飽和(熱消光)を招く。ポンプ出力密度の増大時に出力パワーの飽和を招く他の原因は、強度消光、即ち、蛍光体の関係している活性化剤状態の比較的長い寿命に基づいて蛍光体の下のポンプレベルの占有密度が減少することにある。さらに、他の問題は、熱消光および強度消光のようなこれらの作用が、異なる蛍光体で全く異なっていることにある。とりわけ赤色蛍光体の場合には、ポンプ出力が増大すると変換効率が非常に大きく低下する。
例えば緑色光、黄色光および赤色光を生成するために異なる蛍光体が使用される例えばプロジェクタ用の光モジュールでは、赤色チャネルおけるポンプ出力の制限が、少ない赤色光束をもたらし、この少ない赤色光束がプロジェクタの全体光束を制限し、又は白色点に不利な影響を及ぼす。さらに、最新の従来技術では、熱消光のできるだけ少ない赤色蛍光体が使用される。しかし、その赤色蛍光体は橙赤色領域の短い主波長を有し、その橙赤色領域の短い主波長はアドレス指定できる色空間の大きさの縮小をもたらす。スペクトル組成の支配的な波長、即ち主波長とは、狭幅の単色励起が対応する主波長を有する広幅の光分布と同じ色印象を人間の目に引き起こす波長のことである。しかし、より長い主波長を有する赤色チャネル用に代替使用できるLEDは、輝度が低いため同様にハイブリッドプロジェクタの全体光束を制限する。
LARP(Laser Activated Remote Phosphor、レーザ活性化リモート蛍光体)応用では、装置で使用するための変換光を得るべく、高い光入力パワーが変換蛍光体に集光される。投影用途には、少なくとも3つの原色、即ち青色、緑色、赤色を供給することが必要である。青色は、LED又は励起レーザ、特にレーザダイオードによって簡単に供給することができる。緑色/黄色は、従来技術により、Ce3+がドープされたガーネット蛍光体(例えば、YAG:Ce又はLuAG:Ce)により、高い活性化エネルギの場合にも良好な効率および信頼性で変換することができる。しかし、LARP用の赤色変換蛍光体は多様な問題に悩まされる。最も一般的で最も信頼できる赤色変換蛍光体は、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu2+又はCaAlSiN:Eu2+のようなニトリドシリケート系の材料で構成されている。それらの全てが、高い温度および高い光エネルギにおいて耐久性の問題、例えば暗化又は退色に悩まされる。そのうえ、Eu2+活性化蛍光体は、高い光活性化エネルギの場合に変換効率が低下する(効率低下)。
幾つかの商業的に入手可能なシステムは、Euをドープした窒化物である赤色変換用の変換蛍光体を使用しており、例えばオスラム社製のLARP投影モジュール「フェーザP1」は、(Ca,Sr,Ba)Si:Eu2+なる蛍光体を使用している。その蛍光体は、特定の用途および動作温度ならびに予定された放出波長に対して最適化されなければならない。また、その蛍光体は、注意深く監視された限界下で動作させられなければならない。例えば、その蛍光体は過熱されてはならない。さもないと、その蛍光体が劣化するからである。しかし、その際にも耐久性の問題を考慮すべきである。動作条件における小さな変化が敏感に蛍光体の寿命を制限する。
これに関連して、特許文献1は、励起放射を生成するための放射装置と変換放射を生成するための少なくとも1つの変換要素とを有する電磁放射供給装置を開示している。その変換要素は、少なくとも1つの蛍光体を有し、かつ放射装置に対して隔てられて励起放射の光路内に配置されている。蛍光体としては、10〜30μmの範囲の平均粒度d50を有する粗い粒のニトリドシリケートが適している。
国際公開第2014/019758号パンフレット
従って、本発明の課題は、高いポンプ出力およびポンプ出力密度において効率向上を可能にする、赤色スペクトル範囲の波長変換光を生成するための光モジュール、投影装置および方法を提供することにある。
この課題は、請求項1記載の光モジュール、ならびに請求項記載の投影装置よって解決される。格別に有利な実施形態が従属請求項に記載されている。
本発明は、フィルタリングによって、特に、橙色および/又は橙赤色蛍光体の放出スペクトルを適切にスペクトルフィルタリングすることによって、放出スペクトルの主波長をより長い波長へシフトすることができるという認識に基づいており、換言するならば、ロングパスフィルタリングされた橙色蛍光体および/又は橙赤色蛍光体の主波長をフィルタリングされていない赤色蛍光体の主波長と等しくするか又はそれよりも大きくすることができるという認識に基づいている。それによって、所望の主波長を有する赤色スペクトル領域の光を生成するために、生成すべき光よりも小さい主波長を有するが変換効率が高い蛍光体を使用して、フィルタリングによって所望の主波長を有する光を生成することができる。さらに、本発明は、高い励起出力密度の場合に、高い変換効率の有利性がフィルタリングによる光損失を上回り、従って光束の有利性を達成できるという認識に基づいている。
出力スペクトルの予め決められた第1の主波長を有する赤色スペクトル領域の波長変換光を供給するための本発明による光モジュールは、吸収スペクトルの少なくとも1つの第1の波長を有する励起放射を吸収し、放出スペクトルの少なくとも1つの第2の波長を有する光に変換し、その光を放出するように設計された変換手段を含み、少なくとも1つの第2の波長が少なくとも1つの第1の波長よりも長く、光モジュールは、さらに、前記吸収スペクトル内の1つのスペクトル成分を有する励起放射を送出するように設計された励起放射源を含み、その励起放射源によって送出される励起放射が少なくとも間接的に前記変換手段に入射可能であるように前記励起放射源が配置されている。本発明によれば、前記変換手段が、赤色スペクトル成分と、第2の主波長(λdom,conv)と、少なくとも120nmの半値幅とを持った放出スペクトルを有し、光モジュールは、さらに、予め決められた限界波長を持ったロングパス特性を有するスペクトルフィルタを含み、前記スペクトルフィルタは、前記第2の主波長を有する放出スペクトルを前記予め決められた第1の主波長を有する出力スペクトルに縮小するように設計および配置されている。
前記励起放射源によって送出される励起放射が少なくとも間接的に前記変換手段に入射可能であること、ならびに前記変換手段によって放出される光が少なくとも部分的にかつ少なくとも間接的に前記スペクトルフィルタに入射可能であることは、ここでは、前記励起放射源および前記変換手段が、もしくは前記変換手段および前記スペクトルフィルタが、互いに関連して次のように配置されているとよいと理解すべきである。即ち、励起放射が前記変換手段に、もしくは前記変換手段によって放出される光が前記スペクトルフィルタに、直ちに直接的に入射可能であるように配置されているか、又は1つ又は複数の例えばレンズ、結像コリメータ、非結像コリメータ、転向ミラー、ビームスプリッタ、特に誘電体ミラー、散光器などの如き光学要素により入射可能であるように配置されているとよいと理解すべきである。
スペクトルフィルタの使用によって、赤色スペクトル領域の光を生成するために、生成すべき光の出力スペクトルの所望の、即ち予め決められた第1の主波長よりも小さい主波長を有する放出スペクトルを持った変換手段を使用することができる。今日において多くの通常の赤色放出する変換手段、特に窒化物赤色蛍光体は、一般的に高い励起出力密度の場合に低い変換効率を有することから、本発明は、有利な方法で、特に大きな励起出力密度および高い変換効率の場合に、非常に消光の少ない変換手段を使用することができる可能性を提供する。これは、高い励起出力密度の場合に光束の増大を生じさせることができ、換言するならばフィルタリングに起因する放射出力損失にも拘わらずそれができるという大きな利点を有する。例えば、変換手段として、明らかに低い変換効率を有する赤色蛍光体を使用する代わりに橙色蛍光体又は橙赤色蛍光体を使用し、スペクトルフィルタリングによって赤色スペクトル領域の光を生成することが可能になる。しかし、赤色光を生成する際に効率増大を達成するためには、橙色蛍光体又は橙赤色蛍光体だけでなく赤色蛍光体も使用し、その赤色蛍光体の主波長をスペクトルフィルタリングによってより長い所望の波長にシフトするとよい。この場合にも、スペクトルフィルタリングなしにこの所望の主波長を有する赤色蛍光体を使用する場合に比べて、効率増大を達成することができる。さらに、この効率増大は、励起出力密度が大きければ大きいほど、一層大きくその効果が発揮される。
さらに、スペクトルフィルタの使用によって、予め決められた主波長は、少なくとも予め決めることができる範囲内で任意に選定することができる。つまり、予め決められた主波長は、使用される変換手段のそれぞれの放出スペクトルに割り当てられている主波長に拘束されない。従って、本発明によって、高い励起出力密度の際に、主波長および色に関して妥協する必要なしに、高い光束を有する赤色スペクトル領域の波長変換光を生成することができる。少なくとも120nmの半値幅を有する広幅の放出によって、出力スペクトルの予め決められた第1の主波長を有するフィルタリングされた光について、極めて優れた効率値がもたらされる。というのは、これによって、所望の第1の主波長を得るに十分な赤色成分が供給されるからである。好ましくは半値幅が少なくとも125nm、特に130nmであるとよい。その場合に、他方では半値幅が広過ぎてはならないことは自明である。というのは、さもなければ、第1の主波長を維持するために、場合によってはショートパスフィルタにより赤色領域内で広くスペクトル成分を除去しなければならないからである。しかし、それらのスペクトル成分がスペクトルの視感度経過に基づいて障害的な影響を及ぼさない場合にも、それによって効率を低下させる不要なエネルギ放射が生じる。従って、半値幅に関して、高々200nm、好ましくは高々180nm、特に高々160nmである適切な上限値を守るべきである。
本発明は、橙色を放出する、セリウムをドープしたシリコンガーネット蛍光体、
(AE3−x−yLuCe)(Mg1−zSc(Si1−qGe12
ただし、AE=Ca,Sr,Ba;
x=0〜2−y; y=0〜0.6; z=0〜1; q=0〜1
を変換手段として使用し、かつスペクトルの赤色側をフィルタリングするためにロングパスフィルタを使用する解決法を開示するものである。この解決法に関する概要が図4に示されている。この種のシリコンガーネットを使用するならば、現在の知識レベルに基づいて、Euをドープした窒化物赤色蛍光体の使用により生じ得る冒頭に述べた問題、例えば次のような問題が完全に回避される。
(1)高い照射密度の際に発生する効率低下:Ce3+放出に比べてEu2+放出が遥かに遅く、このことが例えば飽和効果をひき起こす。
(2)熱的問題:発生するストークシフトが少なく、従って蛍光体で直接に失われて排出しなければならないエネルギが少なくなる。それによって熱的消光が少なくなり、耐久性が改善される。
(3)安定性問題:窒化物赤色蛍光体は、高い放射出力密度および/又は温度の場合に、劣化、特に酸素および湿気に対する劣化に敏感である。しかし、ガーネット蛍光体は過激な条件下でさえも安定である。
第2の主波長が、橙赤色スペクトル領域内に、好ましくは575nmと600nmとの間、特に580nmと595nmとの間の橙赤色スペクトル領域内にあるとよい。前記変換手段が、例えば橙赤色ガーネット蛍光体として構成されているとよい。
この種の橙赤色ガーネット蛍光体は、特に高い出力密度において、例えばEuをドープした窒化物蛍光体のような赤色蛍光体に比べて非常に高い変換効率を有するので、そのガーネット蛍光体の放出スペクトルのフィルタリングによって達成できる赤色光の光束増大が格別に大きい。さらに、他の格別に大きい利点は、効率向上およびより大きい光束が達成できるだけでなく、ガーネット蛍光体が一般に明らかに窒化物赤色蛍光体よりもコスト効率が良いことにある。従って、赤色光の生成にガーネット蛍光体を使用することによって、なおもコスト節減を達成することができる。
前記変換手段がセリウムをドープしたシリコンガーネット蛍光体として構成されていると格別に好ましい。それによって、特に例えばユウロピウムのドープに比べて、活性化物質状態の著しく短い寿命がもたらされ、それにより飽和作用が回避されるという利点が生じる。例えばシリコンガーネット蛍光体は次の組成式に従って構成されているとよい。
CaLu2−xCeMgSi12 又は CaLu1−xCeMgSi12
好ましくは、xは0.2以下であり、特に0.06又は0.03に等しいとよい。
好ましい実施形態では、前記シリコンガーネット蛍光体が、原子番号57〜71を有するランタノイドの元素群からの元素として、セリウムおよびルテチウムだけを有する。
特に、前記変換手段が純粋な単相の蛍光体として構成されており、この材料特性が粉末X線回折法により決定可能である。光領域において吸収される全ての不純物が効率に直接的かつ不利な影響を及ぼす。吸収性のない不純物は効率に直接的な影響を及ぼさない。もちろん、それらの不純物はしばしば散乱能力のような2次特性を変化させ、前記変換手段に不利な作用を及ぼし得る。
しかし、X線回折法(XRD)によっても検出できる本来の蛍光体のほかに、前記変換手段に、この種の散乱作用を有する他の成分を含有させることもできる。
好ましい実施形態では、前記励起放射源が、少なくとも1kW/cmの励起放射面積出力密度を有する励起放射を前記変換手段に照射するように設計されており、特に、場合によっては光モジュールの光学要素との組み合わせでも、前記励起放射源が、光モジュールの動作中に少なくとも1kW/cmの励起放射面積出力密度を有する励起放射を前記変換手段に照射するように構成されている。予め決められた第1の主波長にほぼ相当する主波長を有する変換手段に対する第2の主波長を有する変換手段の利点は、励起放射面積出力密度の閾値からやっと明確に表れるので、少なくとも1kW/cmの励起放射面積出力密度でもって変換手段を照射する励起放射源を設けることは格別に有利である。励起放射面積出力密度の値は、好ましくは1〜25kW/cmの範囲にあり、格別に好ましくは2〜25kW/cmの範囲にある。励起放射面積出力密度が大きくなるほど、効率上昇も大きくなる。しかし、より小さい第2の主波長を有する変換手段も特定の励起放射面積出力密度から飽和状態になるので、励起放射面積出力密度は意味があるように任意には大きく選定できない。しかし、これまで従来技術において可能であったよりも明らかに、励起放射面積出力密度を大きくすることができ、従って本発明により生成される光の光束も増大させることができる。
本発明の他の有利な実施形態では、予め決められた第1の主波長として、590nmよりも大きい、特に600nmよりも大きい波長が予め与えられている。さらに、予め決められた第1の主波長は、好ましくは590nm〜620nm、特に好ましくは595nm〜610nmの範囲内で予め与えられている。この好ましい範囲内において、第1の主波長は自由に選定可能である。原理的にはこの範囲外の他の波長を予め与えることもできる。しかし、例えばプロジェクタ、特に映画フィルムプロジェクタのような用途のためには、あるいは生成された赤色が他の色の光と組み合わされなければならない演芸用途のためにも、第1の主波長を590nmよりも短く選定しないのが有利である。というのは第1の主波長が短いほど、アドレス指定できる色空間も縮小されるからである。第1の主波長は過大に、即ち610〜620nmよりも著しく長く、選定すべきでもない。というのは主波長の増大にともなって供給可能な最大の光束が減少するからである。これは、目の明るさ感度が610nmの波長を超えると大きく減少するからである。さらに、本発明の格別に大きな利点は、予め決められた波長を無段階に設定できること、即ち任意の第1の主波長を有する波長スペクトルを生成できるようにスペクトルフィルタの限界波長を選定できることにある。従って、要求に応じて、第1主波長の用途、所望の色域、最大光束等を任意に設定する多くの可能性が用意されている。
励起放射源がレーザ光源として、特に半導体レーザとして構成されていることが好ましい。しかし、励起放射源としてLED、特に高出力LEDを使用することも可能である。
好ましい実施形態では、変換手段が少なくとも励起放射源に対して相対的に動かないように配置された支持体に配置されている。例えば、励起放射源および変換手段が1つの共通なハウジング、特にSMDチップハウジング内に配置されている(SMD=Surface-Mounted Device、表面実装部品)。このような部品は、個々の色チャネルの個別供給用に、特に並行して即ち同時に色生成をする投影装置用に有利に使用することができる。これは本発明の格別に簡単な低コストの実施形態である。それにもかかわらず、ここでは、適切なフィルタリングによって上述のように異なる色を有する光もしくは異なる主波長を有するスペクトルを生成することもできる。
さらに、光モジュールが、ディジタルシネマ用途のためにDCI色空間をアドレス指定するべく1つ又は複数のバンドパスフィルタを有するとよい。
投影装置が本発明による光モジュールを有するとよい。それによって本発明による投影装置がもたらされる。
好ましい実施形態によれば、投影装置が蛍光体ホイールを有し、その蛍光体ホイールが該蛍光体ホイールの回転軸を中心に回転可能であり、少なくとも前記変換手段が、前記蛍光体ホイールの回転軸の周りに環状に延在する該蛍光体ホイールの領域の少なくとも1つのセグメントに配置されており、少なくとも1つの第2の変換手段が、前記蛍光体ホイールの回転軸の周りに環状に延在する領域の少なくとも1つの第2のセグメントに配置されている。好ましくは、少なくとも1つの第2の変換手段が、前記蛍光体ホイールの回転軸の周りに環状に延在する領域の少なくとも1つの第2のセグメントに配置されている。第2の変換手段は、特に、その第2の変換手段が第1の主波長からシフトされた第3の主波長を有する第2の放出スペクトルを有するように構成されている。さらに、第3の主波長が第1および第2の主波長よりも短く、例えば第3の主波長が緑色スペクトル領域にあることが好ましい。前記蛍光体ホイールと2つ以上の異なる変換手段の使用とによって、そのように簡単な方法により、異なる主波長を有する光を生成することができ、このことは特に投影装置に光モジュールを組み込む際に格別に有利である。
有利な実施形態によれば、前記蛍光体ホイールが前記回転軸の周りに環状に延在する領域の少なくとも1つの第3のセグメントに貫通開口を有し、前記励起放射源によって放射された励起放射が、前記蛍光体ホイールの回転時に少なくとも間接的に、前記回転軸の周りに環状に延在する前記蛍光体ホイールの領域の各セグメントに順次入射可能であるように、投影装置が構成されている。特に、少なくとも1つの第3のセグメントの貫通開口は次のように構成されている。即ち、蛍光体ホイールの回転時に1つ又は複数の予め決められた回転角範囲内に少なくとも1つの第3のセグメントが存在するときに、励起放射源によって放射される励起放射がその貫通開口を通して照射可能であるように構成されている。それによって、励起放射の一部は、蛍光体ホイールを通して照射可能であり、例えば転向ミラーの如き光学的要素による適切な方向転換の際に、変換手段によって放出される光と組み合わせることができる。励起放射源は、好ましくは440〜470nmの波長範囲、格別に好ましくは445〜455nmの波長範囲で励起放射を放出もしくは送出するように構成されているとよい。これは、一方では通常の蛍光体を励起するのに適した波長範囲であり、他方ではこの青色光もまた、例えば赤色および緑色のような他の波長の光と組み合わせることにより、組み合わせによって提供できる、色の大きな色空間を可能にするのに格別に好適である。
代替の実施形態によれば、投影装置が蛍光体ホイールを有し、その蛍光体ホイールが該蛍光体ホイールの回転軸を中心に回転可能であり、前記変換手段が唯一の変換手段として蛍光体ホイール上に配置されている。このことも多くの実施形態の可能性を提供する。例えば1つの蛍光体のみを有する蛍光体ホイールは、3チップ技術もしくは複数イメージャを用いたプロジェクタとして光モジュールを構成するのに格別に好適である。さらに別の蛍光体ホイール又は静止して動かない支持体のような別個の支持体に他の蛍光体を設けてもよい。しかし、フィルタの適切な構成および配置は、1つの蛍光体のみを用いて異なる色の光を生成することも可能にする。例えば橙赤色蛍光体を使用する場合に、スペクトルフィルタとの組み合わせで赤色スペクトル領域の光を生成することができ、また他のフィルタ、特にショートパスフィルタの使用によって、橙色スペクトル領域の光を生成することができる。さらに、青色スペクトル領域の励起放射を、部分的に蛍光体によって生成してフィルタリングした光と組み合わせることもできる。さらに、支持体要素を蛍光体ホイールとして構成することは、蛍光体ホイール上に1つのみの蛍光体を配置する場合にも有利である。というのは、蛍光体領域が蛍光体ホイールの回転によって、持続的に励起放射により照射されないからである。それによっても、蛍光体の温度上昇を低減することができ、それゆえ変換効率を向上させることができる。
さらに、励起放射源は複数のレーザダイオードを含むことができる。これらのレーザダイオードは、例えば同じ種類および/又は異なる種類のレーザ光源を使用するレーザダイオードアレイとして構成されているとよい。さらに、レーザダイオードによって放射される光を転向させるための付加的なミラーが設けられ、これらのミラーにより、他の光学要素を介して蛍光体ホイールに光を集束および/又は視準するべく、特に蛍光体ホイールの回転時に、環状領域のセグメントの各々に順次光を導くことができる。
好ましくは、投影装置が、少なくとも前記スペクトルフィルタを含むフィルタホイールを有し、前記スペクトルフィルタがそのフィルタホイールの少なくとも1つの第1の領域に配置されており、そのフィルタホイールが、該フィルタホイールの回転軸を中心に前記蛍光体ホイールに対応して回転可能であり、それにより前記変換手段によって放出される第2の主波長を有する光の少なくとも一部が、前記スペクトルフィルタが配置されているフィルタホイールの少なくとも1つの第1の領域に入射可能であるとよい。さらに、フィルタホイールがスペクトルフィルタの配置されていない1つ又は複数の領域を有するようにフィルタホイールを構成すると有利である。そうすることにより、蛍光体ホイールおよびフィルタホイールが例えば同じ角速度で対応して回転する際に、少なくとも1つの第2の変換手段によって放出される光および/又は励起放射の一部が、スペクトルフィルタの配置されていないフィルタホイールの1つ又は複数の領域に入射可能である。スペクトルフィルタは、例えば円セグメントに形成されてフィルタホイールの1つの円セグメントに配置されているとよい。スペクトルフィルタは、フィルタホイールの1つの円セグメントの1つの部分範囲にのみ配置してもよく、例えば蛍光体ホイールの構成に類似させてフィルタホイールの回転軸の周りに環状に延在するフィルタホイール領域の1つのセグメントに配置してもよい。特に、第2の主波長を有する変換手段が同様に蛍光体ホイールの環状領域の複数のセグメントに配置されている場合には、スペクトルフィルタをフィルタホイールの複数の領域に配置してもよく、あるいは特に同じように構成された複数のスペクトルフィルタをフィルタホイールの異なる領域又はセグメントに配置してもよい。さらに、フィルタホイールは、例えば好ましくは緑色蛍光体として構成された第2の変換手段によって放出される光をフィルタリングするため、スペクトルフィルタとは異なる1つ又は複数のフィルタを含むとよい。例えば、他のフィルタは、ショートパスフィルタとして構成されていて、蛍光体ホイール上に配置された緑色蛍光体によって放出される光から黄色スペクトル成分を除去するとよい。緑色蛍光体のそのフィルタリングの際に、大きな光束に関する利点は得られないが、しかし、それによって改善された緑の色調が生成され、その改善された緑の色調により、供給できる色域が同様に拡張され、かつ白色点に関する改善が達成される。さらに、スペクトルフィルタおよび/又は他のフィルタは、フィルタホイールの一方の面に少なくとも部分的にコーティングとして形成されているとよい。さらに、フィルタホイールの他方の面には、フィルタリングされた光およびフィルタリングされていない光の最大の伝送を可能にするために、反射防止コーティングが形成されているとよい。
本発明の他の格別に有利な実施形態では、前記フィルタホイールが前記スペクトルフィルタを配置していない少なくとも1つの第2の領域を有し、前記フィルタホイールが、前記蛍光体ホイールに対応して回転可能であり、それにより前記変換手段によって放出される第2の主波長を有する光の一部が、少なくとも間接的に前記スペクトルフィルタを配置していない前記フィルタホイールの少なくとも1つの第2の領域に入射可能である。このことは、特に、前記変換手段が橙赤色蛍光体として構成されている場合に有利である。従って、その橙赤色蛍光体によって放出される光の一部が赤色スペクトル領域の光を生成するために前記スペクトルフィルタに照射され、その橙赤色蛍光体によって放出される光の一部が前記フィルタホイールの第2の領域に照射され、その第2の領域はフィルタを持たず、その第2の領域内では橙赤色光がフィルタリングなしに前記フィルタホイールを透過する。従って、有利な方法で、1つのみの蛍光体つまり橙赤色蛍光体の使用によって、橙色スペクトル領域の光と赤色スペクトル領域の光とを発生させることができる。
出力スペクトルの予め決められた第1の主波長を有する赤色スペクトル領域の波長変換光を供給するための本発明による方法は、吸収スペクトルの少なくとも1つの第1の波長を有する励起放射を吸収し、その吸収した励起放射を放出スペクトルの少なくとも1つの第2の波長を有する光に変換し、その変換した光を変換手段によって放出するステップを含み、少なくとも1つの第2の波長が少なくとも1つの第1の波長よりも長く、さらに前記吸収スペクトル内のスペクトル成分を有する励起放射を励起放射源によって送出するステップを含み、その励起放射源によって送出される励起放射が少なくとも間接的に前記変換手段に入射可能であるように、前記励起放射源が配置されている。本発明によれば、この方法は、さらに、赤色スペクトル成分と第2の主波長と少なくとも120nmの半値幅とを有する放出スペクトルを放出するステップと、第2の主波長を有する放出スペクトルを、ロングパス特性と予め決められた限界波長とを有するスペクトルフィルタによって、予め決められた第1の主波長を有する出力スペクトルに縮小するステップとを含む。
本発明による光モジュールおよびそれの実施形態に関して述べた具体的な特徴事項は、他の方法ステップによる本発明の方法の実施形態を可能にする。さらに、本発明による光モジュールおよびそれの実施形態に関して述べた具体的な特徴事項、それらの特徴事項の組み合わせならびにそれらの利点は、同様に本発明による方法に当てはまる。
本発明の他の利点、特徴および詳細を、請求項および好ましい実施形態の以下における説明により、ならびに図面に基づいて明らかにする。
以下において、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
図1はセリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce)とシリコンガーネット(CaLu1.94Ce0.06MgSi12)との放出スペクトルを正規化比較で示す概略図である。 図2はセリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce)の放出スペクトルと、シミュレーションされたロングパス特性と、それによりフィルタリングされたYAG:Ceの放出スペクトルとを示す概略図である。 図3はセリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce)およびシリコンガーネット(CaLu1.94Ce0.06MgSi12)の放出スペクトルとフィルタリングされたスペクトルとを正規化比較で示す概略図である。 図4は本発明による光モジュールの実施例の単純化された概略図である。 図5は本発明による投影装置の蛍光体ホイールおよびそれに対応するフィルタホイールの実施例の単純化された概略図である。 図6は本発明による投影装置の実施例の単純化された概略図である。 図7は粉末形態の100%ガーネット試料(CaLuMgSi12:Ce)の分析の際にX線回折により作成したグラフの概略図である。 図8はそれぞれ異なるようにセリウムをドープしたシリコンガーネットの異なる実施形態と、セリウムをドープした比較例としてのイットリウムアルミニウムガーネットとを、それぞれ同一の主波長を得るべく最適化されたフィルタ特性を使用した場合について比較した表を示す図である(表は各段に、使用された蛍光体、結果として生じたスペクトルの波長、フィルタを通過した光エネルギの割合、YAG:Ceの光束に対する結果として生じた光束を示している)。 図9はそれぞれ異なるようにセリウムをドープしたシリコンガーネットの異なる実施形態と、セリウムをドープした比較例としてのイットリウムアルミニウムガーネットとを、同一のフィルタ特性を共通に使用した場合について比較した表を示す図である(表は図8の表と同様に構成されている)。
セリウムをドープした従来技術によるガーネット蛍光体(YAG,LuAG,YAGaG,LuAGaG,LuYAG,LuYAGaG)の使用に比べて、
(AE3−x−yLuCe)(Mg1−zSc(Si1−qGe12
なる組成式に基づくシリコンガーネット蛍光体の使用は、フィルタリングされた赤色光に対して非常に高い効率をもたらす。というのは、従来技術による蛍光体に比べて放出が明らかにより長い波長にシフトされるからである。従って、赤色光を得るために、スペクトルの黄色側を少しフィルタリングにより除去しなければならない。
このことが、図1〜図3に、従来技術によるYAG:Ceと、シリコンガーネット蛍光体の代表的試料であるCaLu1.94Ce0.06MgSi12について示されている。
図1は、YAG:Ce蛍光体の第1の放出スペクトル1およびシリコンガーネット蛍光体CaLu1.94Ce0.06MgSi12の第2の放出スペクトル2を示す。ここでは横軸に波長λがnm(ナノメータ)単位にて400nmから800nmの範囲で取られている。縦軸は0%から100%まで目盛られており、第1の放出スペクトル1および第2の放出スペクトル2が100%においてそれらの最大値を取るように正規化されている。さらに、第2の放出スペクトル2の半値幅FWHM(最大値の半分における全幅)が代表的に示されており、その半値幅は、それぞれの関数値が最大値の半分まで、即ち図示の例では50%まで下がったところの両波長値間の差から求められる。第1の放出スペクトル1に比べると、第2の放出スペクトル2の明らかに大きい半値幅FWHMが認められる。
図2は、波長に依存したYAG:Ceの第1の放出スペクトル1と、590nmの近くにフィルタエッジを有するシミュレートされたロングパスフィルタの波長依存性のフィルタ伝送特性曲線の形でのフィルタ特性3とを示す。フィルタを通過した際に、第1の放出スペクトル1から生じる第1のフィルタ出力スペクトル4が同様に示されている。容易に認識できるように、フィルタ内でエネルギの大部分が失われる。第1の放出スペクトル1、フィルタ特性3および第1のフィルタ出力スペクトル4は、それぞれ470nm〜800nmの波長にわたって示されている。第1の放出スペクトル1および第1のフィルタ出力スペクトル4は、第1の放出スペクトルの最大値において100の値が生じる同一目盛に正規化されている。フィルタ特性3は、0%〜100%の範囲内で目盛表示されており、フィルタ特性3が0%の値又は0%近くの値を取る範囲において、第1のフィルタ出力スペクトル4の値も零又は無視できるほど小さい値を取り、フィルタ特性3が100%となる範囲において、第1のフィルタ出力スペクトル4が第1の放出スペクトル1と同一の値を取る。換言するならば、ある特定の波長λにおける第1のフィルタ出力スペクトル4の値は、この波長λにおける第1の放出スペクトル1と当該λ値におけるフィルタ特性3の値とを乗算した値から求められる。第1のフィルタ出力スペクトル4は604nmの主波長を持ち、それは良好に赤色スペクトル領域内にある。
図3は、第1の放出スペクトル1(YAG:Ce)および第2の放出スペクトル2(CaLu1.94Ce0.06MgSi12)と、第1のフィルタ出力スペクトル4および第2のフィルタ出力スペクトル5との比較図を示しており、フィルタ特性3に相当する構成を有するフィルタ関数を適用することによっても求められる。適用すべきフィルタ特性は、それぞれにおいて、第1のフィルタ出力スペクトル4および第2のフィルタ出力スペクトル5がそれぞれ同一の604nmの主波長を有するように選ばれた。さらに、それぞれ第1のフィルタ出力スペクトル4もしくは第2のフィルタ出力スペクトル5の下方の面積である第1のフィルタ出力スペクトル積分6および第2のフィルタ出力スペクトル積分7が示されている。第2のフィルタ出力スペクトル5の場合は、第1のフィルタ出力スペクトル4に比べて、フィルタ内で失われるエネルギが遥かに少ない。横軸および縦軸の目盛は図2のそれと同じである。
図4は本発明による光モジュール12の実施例を示し、フィルタリングによる変換という本発明による構想が適用される。高い放射出力密度を有する励起放射源26、例えばレーザ又はレーザダイオードが、一般に青色光の形で、励起放射スペクトル24sを有する励起放射24aを放出する。励起放射24aは1次光学系8を通過し、この1次光学系8から再び励起放射スペクトル24bとして出射される。この励起放射スペクトル24bは、変わらず励起放射スペクトル24sを有する。
励起放射24bは変換手段18に入射し、この変換手段18はより長い波長の方向に波長変換を生じさせる。変換手段18から出射する変換光9aは、放出スペクトル9sを有する。この放出スペクトル9sは、2次光学系10を通過した変換光9bにおいても存在する。変換手段18は、例えば静止した蛍光体ターゲット又は静止したセラミックターゲットであってよく、あるいは単結晶ターゲットであってもよい。
変換光9bは後続過程においてスペクトルフィルタ28に入射し、そのスペクトルフィルタ28を通過したフィルタリングされた光11は出力スペクトル11sを有する。スペクトルフィルタ28は、例えばガラスフィルタ、誘電体フィルタ、透過フィルタ又は反射フィルタであってよい。スペクトルフィルタ28は変換手段18に直接配置されていてもよく、この場合にオプションの2次光学系10は省略可能であり、変換光9aは変換光9bと全く同じであり、それにより特に光路が方向付けられる。変換手段18により、少なくとも1つの第1の波長λprimを持った励起スペクトル24sを有する励起放射24bが、少なくとも1つの第2の波長λsecを持った放出スペクトル9sを有する変換光9aに変換される。少なくとも1つの第2の波長λsecは、少なくとも1つの第1の波長λprimよりも長い。放出スペクトル9sから第2の主波長λdom,convが生じる。変換光9aは、オプションの2次光学系10の通過後に変換光9bとして同一の放出スペクトル9sを有する。変換光9bは、スペクトルフィルタ28によって、出力スペクトル11sを有するフィルタリングされた光11に移行させられる。その出力スペクトル11sは主波長λdom,filterdを有する。
図5は、本発明の他の実施例による投影装置15(図6参照)用の蛍光体ホイール13と、これに対応するフィルタホイール14の概略図を示す。蛍光体ホイール13は回転軸Aを中心に回転可能に構成されており、回転軸Aの周りに環状に延在する分割された領域16を有する。この領域16の2つのセグメントに橙赤色蛍光体18が配置されている。この領域16の他の2つのセグメントに緑色蛍光体20が配置されている。
環状領域16の他の2つのセグメントは蛍光体を持たず、貫通開口22により形成されている。上方の貫通開口22内に示された円は、励起放射源26(図6参照)の集束された励起放射24を示すものである。蛍光体ホイールが回転することによって、環状領域の各セグメントが励起放射24から順次照射される。励起放射24による橙赤色蛍光体18の励起によって、橙赤色蛍光体18は、特に橙赤色スペクトル領域内の第2の主波長λdom,convを持った放出スペクトルを有する光を放出する。同様に緑色蛍光体20は、励起放射24による励起によって、緑色スペクトル領域内の主波長を持った放出スペクトルを有する光を放出する。蛍光体18および20によって放出される光を、また蛍光体ホイール13の貫通開口24を透過する励起放射24も、例えば適切な光学要素によってフィルタホイール14上に集束させることができる。
フィルタホイール14は複数の円セグメント状の領域を有する。これらの領域の2つにはスペクトルフィルタ28が配置されており、このスペクトルフィルタ28はこれに入射する光を図示のロングパス特性30に従ってフィルタリングする。このスペクトルフィルタ28は限界波長TGを上回る波長を有する光を透過させるが、限界波長TGよりも短い波長を有する光は透過させない。
このスペクトルフィルタ28は、橙赤色蛍光体18によって放出される光を、次のようにフィルタリングするべく設計されている。即ち、フィルタリングの結果として生じるフィルタリングされた光の波長スペクトルの第1の主波長λdom,filterdが、特にスペクトルフィルタ28の限界波長TGによって規定される予め決められた値だけ、橙赤色蛍光体18の放出スペクトルの第2の主波長λdom,convよりも長くなるように、フィルタリングするように設計されている。従って、フィルタリングによって赤色スペクトル領域の光を生じさせることができる。その光は、同じ励起放射面積出力密度において、赤色蛍光体によって放出される同等又は同一の主波長を有する光よりも明らかに高い光束を有する。というのは、橙赤色蛍光体18の明らかに高い変換効率が、フィルタリングによって生じる光損失をそれなりに補償するからである。励起放射24の励起放射面積出力密度が大きければ大きいほど、この光束の利点は大きくなる。従って、橙赤色蛍光体18を、少なくとも約1kW/cmの励起放射面積出力密度で励起するように照射するのが有利である。
フィルタホイール14の他の2つの円セグメント32において、フィルタホイール14は光透過性であり、従って特に波長フィルタなしに構成することができる。それゆえに、フィルタホイール14と蛍光体ホイール13との相対運動によって、さらにフィルタホイール14および蛍光体ホイール13のセグメントを適切に対応した構成とするならば、橙赤色蛍光体18によって放出される光の一部をフィルタホイール14のスペクトルフィルタ28を有する領域に入射させると共に、その放出光の一部をフィルタホイール14の光透過領域32に入射させることができる。従って、1つのみの蛍光体、即ち橙赤色蛍光体18を用いて、橙色スペクトル領域および赤色スペクトル領域の光を同時に発生させることができる。さらに、フィルタホイール14の光透過領域32も、蛍光体ホイール13に対応させて次のように構成するとよい。即ち、貫通開口22を通して蛍光体ホイール13を通過する励起放射24もフィルタホイール14の光透過領域32に入射し、スペクトル分布の変化なしにフィルタホイール14を透過するように構成するとよい。
さらに、フィルタホイール14の他の2つの円セグメントの領域に他のフィルタ34が配置されている。このフィルタは、ここではショートパスフィルタ34として構成され、緑色蛍光体20からこれらのショートパスフィルタ34に入射する光の黄色のスペクトル成分をフィルタリングにより除去するように設計されているので、緑色蛍光体20の放出スペクトルの主波長は、より短い波長の方へシフトされる。それによって、その蛍光体光と励起放射24との組み合わせによりアドレス指定できる色空間を拡張することができる。これらのここに示したショートパスフィルタ34はオプションにすぎない。代替として、ショートパスフィルタ34が配置されているこれらの領域は、特に光透過領域32と同様に光透過性に構成されていてもよい。
さらに、フィルタ、即ちスペクトルフィルタ28およびショートパスフィルタ34は、フィルタホイール14の一方の表面にコーティングが形成されているとよい。さらに、フィルタホイール14の他方の表面に、特に光が照射される領域全体にわたって、反射による光損失を最小にするための反射防止コーティングが形成されているとよい。
さらに、蛍光体ホイール13上に、他の異なる蛍光体、例えばシアン蛍光体および/又はマゼンタ蛍光体を配置してもよい。全く同じように、前述の橙赤色蛍光体および緑色蛍光体の代わりに、他の蛍光体を蛍光体ホイール13上に配置してもよいし、あるいは蛍光体領域を異なった配置、構造およびサイズに構成してもよい。色空間を基本色の組み合わせによって提供するには、とりわけ、基本色として赤色、緑色および青色が有利である。それゆえ、橙赤色蛍光体18を有する蛍光体ホイール13のセグメントのサイズおよび配置を次のようにすることも可能である。即ち、橙赤色蛍光体18から放出される光を、特に避け得ない光損失を除いてほぼ完全に、1つもしくは複数のスペクトルフィルタ28に入射させるようにすることである。しかし、付加的に組み合わせのために使用可能な黄色スペクトル領域の光は、これによってもアドレス指定できる色空間を拡張することができるという利点を有する。蛍光体ホイール13上には、橙赤色蛍光体18に対する代替又は追加として赤色蛍光体を配置してもよい。赤色蛍光体自体の放出スペクトルの主波長よりも長い主波長を有する赤色スペクトル領域の光を生成するために、赤色蛍光体によって放出される光が、フィルタホイール14のスペクトルフィルタ28に照射されるとよい。このようにして、例えば、改善された主観的な色感覚を呼び起こす赤色の色調を生成し、それによってまたもやアドレス指定できる色空間を拡張することができる。さらに、これも、放出スペクトルが主波長として始めから長い主波長を有している赤色蛍光体の使用に比べて、光束の利点をもたらす。
蛍光体ホイール13のセグメントサイズも、さまざまに選定することができ、適用事例に従って個々の色チャネルにおける所望の光束もしくは光束相互の所望の光束比に応じて設計することができる。
図6は、本発明の実施例による投影装置15の概略図を示す。投影装置15は、レーザダイオードアレイとして構成された励起放射源26を含み、この励起放射源26は複数のレーザダイオード26aを含む。例えばレーザ、スーパールミネセントダイオード、LED、有機LED等の他の放射源も考えられ得る。励起放射源26は、青色又は紫外線スペクトル領域、好ましくは440〜470nmの範囲、格別に好ましくは約450nmの励起放射24を放出するように設計されている。というのは、これは大部分の蛍光体にとって適切な励起波長であるからである。光学要素38,40を介して、これらのレーザダイオード26aの光が変換手段に導かれる、その変換手段は、例えば蛍光体ホイール13上に配置されているとよい。蛍光体ホイール13は、例えば図5で説明したように構成されているとよい。蛍光体ホイール13上には、放出スペクトルが少なくとも1つの赤色スペクトル成分を有する少なくとも1つの第1の蛍光体、好ましくは橙赤色蛍光体18(図5参照)が配置されている。さらに、他の異なる種類の蛍光体が蛍光体ホイール13上に配置されているとよい。それらの蛍光体は、特に蛍光体ホイール13のセグメント内に配置されており、蛍光体ホイール13の回転によって順次照射され、波長変換光を放出するべく励起される。さらに、蛍光体ホイール13は少なくとも1つの貫通開口22を有するので、蛍光体ホイール13に入射する励起放射24は部分的に蛍光体ホイール13を透過することができる。この透過した励起放射24の適切な転向によって、その励起放射24を蛍光体ホイール13によって変換されて放出された光と組み合わせることができ、そのために特に、組み合わされた光線束が導かれる積分器(図示されていない)をさらに設けるとよい。蛍光体ホイール13を透過した励起放射24の転向のために、特に3つのミラー36が設けられており、これらのミラー36はそれぞれ入射する励起放射に対して45°の角度を有するよう配置されている。さらに、励起放射源26と蛍光体ホイール13との間の光路内にダイクロイックミラー37が配置されており、このミラー37は、青色スペクトル領域内の光を反射し、非青色スペクトル領域内の光、即ちより長い波長を有する光を透過させるように設計されている。さらに、なおも他の光学要素が、特にレンズ38の形で光路内に配置されており、それらの他の光学要素は、主として集光作用およびコリメーション作用を有する。
さらに、光路内には、励起放射24の散乱により蛍光体上に拡大された強度プロフィルを発生させるために、ディフューザ40がダイクロイックミラー37の手前に配置されている。
蛍光体ホイール13によって放出された変換光は、ダイクロイックミラー37の方向に放射され、光学要素37,38によりフィルタホイール14上へ導かれる。フィルタホイール14は、図5で説明したように構成されているとよい。蛍光体ホイール13とフィルタホイール14とは、構成、配置および動作に関して、第1の蛍光体によって放出された光が少なくとも部分的に、フィルタホイール14上に配置された1つ又は複数のスペクトルフィルタ28に入射させられるように、相互に対応している。蛍光体ホイール13上に配置された他の蛍光体によって放出された光と、転向された励起放射24とは、同様にフィルタホイール14に入射するが、しかしスペクトルフィルタ28が配置されていないフィルタホイール14の領域に入射して、フィルタホイール14をフィルタリングなしに透過するか、又は同様にフィルタを通り抜けることができる。
次に、異なるフィルタを有するシリコンガーネットを含む一連の異なる解決法の例を紹介する。これらの解決法の例をそれぞれ、フィルタ付きのYAG:Ceを含む比較例としての解決法と比較する。LuAG、LuAGaG、YAGaGのような従来技術に相当する他の蛍光体の全てが、(同じCe含有量の場合に)YAG:Ceよりもさらに悪い結果となった。というのは、それらの主放出がさらに短い波長に集中するからである。従って、ここでは、Ce3+をドープした全ての従来技術による蛍光体のうち最適な蛍光体としてYAG:Ceを代表させ、このYAG:Ceとの唯一の比較を行うものとする。
全ての本発明によるシリコンガーネット蛍光体は、高温(1200℃より高い)で還元雰囲気のもとで製造された。出発物質としては、例えば標準の高純度の酸化物および炭酸塩、例えばCaCo、MgO、Lu、Sc、SiOおよびCeOが使用されるとよい。
図7は、合成の結果に関する例として、粉末状で実験されたシリコンガーネット蛍光体CaLu1.94Ce0.06MgSi12の試料に適用されたリートベルト解析法による回折角2θの角度の関数としてのカウント結果42を有する粉末X線回折測定記録41を示す。ここで扱われた全てのシリコンガーネット蛍光体は高純度で得られた。ちなみに、製造のための詳細に関しては米国特許第7094362号明細書を参照されたい。
X線回折法(X-ray diffraction, XRD)は回折構造を表示するための標準化された方法であり、それらの回折構造は、例えば1つの結晶の3次元格子によって発生させられ、かつその基礎をなす格子に完全に特有である。図7は、小さい結晶子からなる粉末として存在するこの構造を有するこのガーネットのみからなる純粋な試料を示す。これ以外の相では、ダイアグラムにおいて明らかな相違が識別できた。粉末X線回折測定記録41は、2θの回折角による標準方法に基づいて取得された。
第1の解決アプローチは、シリコンガーネット蛍光体CaLu1.94Ce0.06MgSi12と、584nmにフィルタエッジを有するロングパスフィルタとに基づいている(図8の行49参照)。この第1の解決アプローチの第2配列では、590nmにフィルタエッジを有するロングパスフィルタが使用されている(図9の行58参照)。
第2の解決アプローチは、シリコンガーネット蛍光体CaLu1.8Ce0.2MgSi12と、583nmにフィルタエッジを有するロングパスフィルタとに基づいている(図8の行50参照)。第2の解決アプローチの第2配列では、590nmにフィルタエッジを有するロングパスフィルタが使用されている(図9の行59参照)。
第3の解決アプローチは、シリコンガーネット蛍光体CaLu0.97Ce0.03MgScSi12と、587nmにフィルタエッジを有するロングパスフィルタに基づいている(図8の行51参照)。第3の解決アプローチの第2配列では、590nmにフィルタエッジを有するロングパスフィルタが使用されている(図9の行60参照)。
3つの解決アプローチの全てにおいて、それぞれ励起放射として青色光(460nm)が照射される。
図8は、本発明において示されているシリコンガーネット/フィルタによる解決アプローチ間の対比を、従来技術によるYAG:Ceを用いた解決法と比較して示す。この表に示された配列は、提案された各解決アプローチについて同じ赤色の主波長(604nm)を有する光を得ることを目指した。この一覧表は、5つの列43,44,45,46,47と4つの行48,49,50,51を有する。第1列43は、比較材料(YAG:Ce)と前述の3つの解決アプローチの材料の各々が示されている。第2列44は、フィルタエッジ長λFilterの値を示している。第3列45は、第1の主波長λdom,filterdの値を示している。第4列46は、エネルギのフィルタ通過率Efilterd/Eunfilterdの値を示している。第5列47は、光束係数Φ/ΦV,YAGの値を示している。
エネルギのフィルタ通過率Efilterd/Eunfilterdは、フィルタの適用によって失われるエネルギの尺度である。フィルタによって伝送されるエネルギが少なくなるほど、フィルタはその用途への適性が劣る。例えば、YAG:Ceのフィルタの場合に、赤色光に対して光エネルギの35%しか利用されない。3つの解決アプローチからのどのシリコンガーネットも、この点に関して改善されている(46%から74%までのエネルギが利用可能である)。
しかし、最も重要な値は光束係数Φ/ΦV,YAGである。その光束係数は、フィルタリングされるシリコンガーネットを使用した場合にYAGに比べて得られる光束の相対的な高さを示している。その係数は、例えば、シリコンガーネットによる解決法を使用した場合に、YAG:Ceと比べると、第3の解決アプローチに関する14%だけ強い光と、第2の解決アプローチに関する54%だけ強い光との間で得られる。エネルギのフィルタ通過率Efilterd/Eunfilterdは、全ての例のうちYAG:Ceが最も小さい。シリコンガーネットを使用した3つの解決アプローチのそれぞれが、遥かに大きい(第2の解決アプローチの場合には2倍よりも大きい)通過エネルギをもたらし、それによって著しい利点がもたらされる。光束係数Φ/ΦV,YAGは、個々の解決アプローチと比較例(フィルタリングされたYAG:Ce)との間で、シリコンガーネットを用いた解決法が従来技術に相当するYAG:Ceを用いた解決法よりも同様に遥かに高い。それどころか、第1の解決アプローチ(第2行49)および第2の解決アプローチ(第3行50)に関しては、総合光効率が第1行48における比較例に関するよりも約50%も高い。
図9は同様の比較を示しているが、ただし各解決アプローチについて同じフィルタが用いられている。この表は、列52,53,54,55,56および行57,58,59,60を有する。この表の構成および値の配列は、図8による表と同じである。この配列において、YAG:Ceのフィルタリングの場合には、赤色光のために34%の光エネルギしか利用できない(第1行57)。シリコンガーネットの各例(行58、59および60)は、この点に関して改善されている(44%から69%までのエネルギが利用可能である)。最も重要な値としての光束係数Φ/ΦV,YAGは、フィルタリングされるシリコンガーネットを使用した場合にYAG(第1行57)に比べて得られる光束の相対的高さを示している。この光束係数Φ/ΦV,YAGは、YAG:Ceに基づく解決法に比べると、シリコンガーネットに基づく第3の解決アプローチ(行60)に関する6%だけ強い光と、シリコンガーネットに基づく第2の解決アプローチ(行59)に関する30%だけ強い光との間で得られる。さらに、フィルタリングされる全てのシリコンガーネットが、フィルタリングされるYAG:Ceよりも長い主波長を実現し、従ってディスプレイ用途において改善された赤色を実現し、場合によってはより高い色空間を実現する。
ここでも、シリコンガーネット蛍光体を用いた解決法の場合に、YAG:Ceと比べて、フィルタによって伝送されるエネルギが高くなる。第3の解決アプローチ(行60)に関してはこの上昇が約10%であるが、第2の解決アプローチ(行59)に関しては伝送されるエネルギが倍ほど大きい。このことが3つの全ての解決アプローチ(行58〜60)による光束の著しい増加に波及する。その増加は、第3の解決アプローチ(行60)に関しては6%であり、第1および第2の解決アプローチ(行58および59)に関しては約30%にまで上昇する。ここでは、伝送されるエネルギおよび光束の増大に加えて、3つの全ての解決アプローチに関して主波長が、フィルタリングを有するシリコンガーネットの貢献により、従来技術によるYAG:Ceに比べて改善される。従って、それらの解決アプローチは、より鮮明な色およびより高い色域を提供する。
上述から認識できるように、フィルタと組み合わせたシリコンガーネットとして構成された蛍光体は、従来技術によるYAG:Ce系の蛍光体に比べて、あらゆる観点においても、著しい利点を有する。その蛍光体は、従来技術による解決法よりも、失うエネルギが少なく(光透過性が高く)、高い光束を提供し、その上さらに長い主波長も提供する。
古典的な赤色LED蛍光体である、Euをドープした窒化物蛍光体は少量の活性化剤を有し、それによって蛍光体は効率が良くなるが、しかしそれによって色度点もシフトされる。セリウムは何倍も効率が良い。
シリコンガーネットは非常に広幅の放出を有し、これは一般に古典的な使用には望まれない。YAG−CeおよびLuAG−Ceも、窒化物の赤色蛍光体よりも明らかに広幅に放出し、その放出は非常に効率がよいので、その用途にとって幅の広すぎるスペクトルのフィルタリングは価値のあることである。通常は蛍光体としてアルミニウムガーネットが使用されており、アルミニウムはガリウムによって置き換えることができる。さらに、それぞれ1つの希土類元素と12の酸素原子が含まれている。
通常の放出は80nm〜110nmの半値幅を有する。シリコンガーネットは120nm以上、特に130nmの半値幅を有し、ディスプレイ分野の高出力蛍光体は、一般に、かろうじて80nmよりも広い半値幅を有する。従って、際立った特徴として、そのように非常に幅の広い放出が生じ、かつ非常に幅広く赤色領域にある長波長のエッジが生じる。YAG:Ceは、コバルトのドープによって、例えば110nmから出発して赤色方向へ約2〜3nmだけシフトすることができ、その際に、半値幅はほんの僅かばかり広くなる。通常の限界はここでは120nmであろう。シリコンガーネットは、ガーネットのゆえに、YAGと比べてはるかに赤色であり、非常に幅広く放出し、その際に主波長は、視感度で重みづけられたスペクトル分布からもたらされる。
シリコンガーネットは一般に約610〜620nmに重心点を有し、YAGは約585nmに重心点を有する。視感度は緑色において明らかに強いので、エネルギ値に基づく強度として評価するためには主波長がより好適である。
窒化物蛍光体としては慣例的にユーロピウムをドープした蛍光体が使用される。橙赤色領域においては、セリウムをドープした蛍光体が優れている。なぜなら、これまでは高出力時の性能悪化が知られていないからである。従って、セリウムをドープした蛍光体は、ユーロピウムをドープした蛍光体よりもはるかに優れている。励起状態の半減期がユーロピウムの場合よりも遥かに短い。ユーロピウムの場合はマイクロ秒範囲の値が記録されているのに対して、セリウムの場合はナノ秒範囲の値である。
これらの特性に基づいて、それの放出スペクトルが広幅の放出によって条件づけられて赤色領域においてはじめて広範に下降するエッジを有する、長波長を放出するガーネット、特にシリコンガーネットは、フィルタリングされた赤色の所定の主波長に放出スペクトルを適合させるスペクトルフィルタと結合されることにより、非常に高い出力密度を有する用途にとって好ましい選択となる。
実施例、特に3つの解決アプローチは、本発明の説明に用いているだけであり、本発明を限定するものではない。例えば、ドープ成分、特にセリウムのドープ量は、本発明の発明思想を逸脱することなしに変更することができる。
1 第1の放出スペクトル
2 第2の放出スペクトル
3 フィルタ特性
4 第1のフィルタ出力スペクトル
5 第2のフィルタ出力スペクトル
6 第1のフィルタ出力スペクトル積分
7 第2のフィルタ出力スペクトル積分
8 1次光学系
9a 変換光
9b 変換光
9s 放出スペクトル
10 2次光学系
11 フィルタリングされた光
11s 出力スペクトル
12 光モジュール
13 蛍光体ホイール
14 フィルタホイール
15 投影装置
16 環状領域
18 変換手段(橙赤色蛍光体)
20 緑色蛍光体
22 貫通開口
24 励起放射
24a 励起放射
24b 励起放射
24s 励起放射スペクトル
26 励起放射源
26a レーザダイオード
28 スペクトルフィルタ
30 ロングパスフィルタ
32 光通過領域
34 ショートパスフィルタ
36 ミラー
37 ミラー
38 レンズ
40 ディフューザ
41 粉末X線回折測定記録
42 カウント結果

Claims (12)

  1. 出力スペクトル(11s)の予め決められた第1の主波長(λdom,filterd)を有する赤色スペクトル領域で波長変換された光を供給するための光モジュール(12)であって、
    吸収スペクトルの少なくとも1つの第1の波長(λprim)を有する励起放射(24a,24b)を吸収し、放出スペクトル(9s)の少なくとも1つの第2の波長(λsec)を有する光(9a,9b)に変換し、その光を放出するように構成された変換手段(18)を備え、前記少なくとも1つの第2の波長(λsec)が前記少なくとも1つの第1の波長(λprim)よりも長く、
    前記吸収スペクトル内の1つのスペクトル成分を有する励起放射(24a,24b)を送出するように構成された励起放射源(26)を備え、前記励起放射源(26)によって送出される励起放射(24a,24b)が少なくとも間接的に前記変換手段(18)に入射可能であるように、前記励起放射源(26)が配置された、
    光モジュール(12)において、
    前記変換手段(18)が、セリウムをドープしたシリコンガーネット蛍光体として構成され、赤色スペクトル成分と、第2の主波長(λdom,conv)と、少なくとも120nmの半値幅(FWHM)とを持った放出スペクトル(9s)を有し、
    予め決められた限界波長(TG)を持ったロングパス特性(30)を有するスペクトルフィルタ(28)を備え、第2の主波長(λdom,conv)を有する放出スペクトル(9s)を予め決められた第1の主波長(λdom,filterd)を有する出力スペクトル(11s)に縮小するように、前記スペクトルフィルタ(28)が配置され、前記第2の主波長(λdom,conv)が、橙赤色スペクトル領域内にあることを特徴とする光モジュール(12)。
  2. 前記第2の主波長(λdom,conv)が、575nmから600nmの間の橙赤色スペクトル領域内にあることを特徴とする請求項1記載の光モジュール(12)。
  3. 前記シリコンガーネット蛍光体(49,58,50,59,51,60)が、原子番号57〜71の元素であるランタノイドのうち、セリウムおよびルテチウムだけを有することを特徴とする請求項1又は2記載の光モジュール(12)。
  4. 前記励起放射源(26)が少なくとも1kW/cmの励起放射面積出力密度を有する励起放射(24a,24b)を前記変換手段(18)に照射するように構成されていることを特徴とする請求項1からの1つに記載の光モジュール(12)。
  5. 前記励起放射源(26)がレーザ光源(26a)として構成されていることを特徴とする請求項1からの1つに記載の光モジュール(12)。
  6. 前記変換手段(18)が、少なくとも前記励起放射源(26)に対して固定された支持体上に配置されていることを特徴とする請求項1からの1つに記載の光モジュール(12)。
  7. 請求項1からの1つに記載の光モジュール(12)を有する投影装置(15)。
  8. 蛍光体ホイール(13)を有し、
    前記蛍光体ホイール(13)が該蛍光体ホイールの回転軸(A)を中心に回転可能であり、
    少なくとも前記変換手段(18)が、前記蛍光体ホイール(13)の回転軸の周りに延在する前記蛍光体ホイール(13)の環状の領域(16)の少なくとも1つのセグメントに配置されており、
    少なくとも1つの第2の変換手段(20)が、前記蛍光体ホイール(13)の回転軸の周りに延在する前記領域(16)の少なくとも1つの第2のセグメントに配置されていることを特徴とする請求項記載の投影装置(15)。
  9. 前記蛍光体ホイール(13)が前記回転軸の周りに延在する環状の領域(16)の少なくとも1つの第3のセグメントに貫通開口(22)を有し、
    前記励起放射源(26)によって放射された励起放射(24)が、前記蛍光体ホイール(13)の回転時に少なくとも間接的に、前記回転軸の周りに延在する前記蛍光体ホイール(13)の前記領域(16)の各セグメントに順次入射可能であるように、構成されていることを特徴とする請求項記載の投影装置(15)。
  10. 蛍光体ホイール(13)を有し、
    前記蛍光体ホイール(13)が該蛍光体ホイール(13)の回転軸(A)を中心に回転可能であり、前記変換手段(18)が唯一の変換手段として前記蛍光体ホイール(13)上に配置されていることを特徴とする請求項記載の投影装置(15)。
  11. 少なくとも前記スペクトルフィルタ(28)を含むフィルタホイール(14)を有し、前記スペクトルフィルタ(28)が前記フィルタホイール(14)の少なくとも1つの第1の領域に配置されており、
    前記フィルタホイール(14)が、該フィルタホイール(14)の回転軸を中心に前記蛍光体ホイール(13)に対して回転可能であり、それにより、前記変換手段(18)によって放出される第2の主波長(λdom,conv)を有する光の少なくとも一部が、前記スペクトルフィルタ(28)が配置されているフィルタホイール(14)の少なくとも1つの第1の領域に入射可能であることを特徴とする請求項又は記載の投影装置(15)。
  12. 前記フィルタホイール(14)が、前記スペクトルフィルタ(28)を配置していない少なくとも1つの第2の領域を有し、
    前記フィルタホイール(14)が、前記蛍光体ホイール(13)に対して回転可能であり、それにより、前記変換手段(18)によって放出される第2の主波長(λdom,conv)を有する光の一部が、少なくとも間接的に前記スペクトルフィルタ(28)が配置されていない前記フィルタホイール(14)の少なくとも1つの第2の領域に入射可能であることを特徴とする請求項記載の投影装置(15)。
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