JP6867685B2 - 六価クロムの製造方法、製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、三価など低価数クロムを光電極を用いて光電気化学的に酸化し六価クロムを効率よく製造する六価クロムの製造方法や製造装置に関するものである。
六価クロムは毒性・環境負荷の高さから厳しい排出規制がある金属イオンであるが、その極めて高い酸化力はキノン類など種々の工業的価値の高い有用化成品製造のため利用される。また、クロムめっき浴としても利用されている。
六価クロムは前述のような用途で利用されると自身は容易に還元され三価クロムとなる。そのような使用後のクロム酸溶液は、未利用あるいは残存する六価クロムを含むため、廃棄するためには、環境負荷低減のため還元剤によって三価クロムへ無害化する必要がある。
一方、使用済みのクロム酸溶液をできるだけ廃棄せずに、前述のような用途に再度使用できるように、クロム酸溶液中の三価クロムを酸化して六価クロムに再生することも検討されている。
例えば、特許文献1には、電気クロムメッキ、金属の酸洗等に使用したクロム酸溶液を電気透析セルの陽極室を通し陽極に接触させて循環し、クロム酸溶液中の三価クロムを六価クロムに酸化する再生方法が記載されている。
特許文献2には、クロム酸酸化法で使用され還元されたクロム化合物を、多孔性隔膜をもつ電解槽の陰極室へクロム化合物溶液を導入し、隔膜中のオリフィスを通して陽極室中へ通し、六価のクロムへ連続的に電解再生する再生方法が記載されている。
特許文献3には、クロムメッキ工程で使用されたクロムメッキ液について廃液処理を行わず、クロムメッキ液に含まれる三価クロムと六価クロムの濃度バランスを適正に保ち、高効率なクロムメッキ液の再生を行うため、クロムメッキ工程で使用されたクロムメッキ液を濃縮し、隔膜式電解槽の陽極室で前記濃縮メッキ液を電解処理して六価クロムに酸化した後、クロムメッキ工程に戻す、クロムメッキ液の再生利用のための装置が記載されている。
特開昭55−131199号公報 特公昭48−22912号公報 特開2009−24186号公報
光電極を用いた酸化剤と水素の効率的な製造方法を開発http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150306/pr20150306.html
本発明者は、酸化剤としての六価クロムの有用性に着目し、三価クロムを酸化して六価クロムに再生する技術について検討して、次のような認識を得た。
(ア)クロムイオンの利用が忌避される場合の大きな要因は、その環境負荷の高さであるが、利用価値の高い六価クロムの製造と利用場所が異なることも、利用が忌避される大きな原因となっている。即ち、六価クロムの製造現場では未利用分の廃液やその装置周辺の環境管理にコストが割かれ、利用現場では使用済みで還元された三価クロム廃液の処理問題を抱えることとなる。また、このような環境管理の問題に加えて製造、利用場所が異なることによるコスト増大の問題も挙げられる。
(イ)六価クロムの製造乃至再生方法としては、三価クロムの高温焼成や電気化学的手法を用いた製造方法が知られている(特許文献1、2)。高温焼成による手法は六価クロムの製造乃至再生に複数の製造工程を経る過程で余分なエネルギーを使用することになる。一方、電気化学的手法は、製造・利用現場を同一にすることのできる利点を持ち反応サイトにおいて直接利用済み三価クロムを六価クロムへと再生することが可能である(特許文献3)。
(ウ)しかしながら、電気化学的手法において、効率的に三価クロムを六価クロムへ酸化するためには理論酸化電圧1.36V(vs.RHE(可逆水素電極電位に対して))に過電圧分を加え、通常3V(vs.RHE)以上の電圧を必要とするという問題点を有している。六価クロムの利用価値を最大化するためには、この電気化学的手法を基に必要投入エネルギーを大幅に低減することが必要であり、投入エネルギーを限りなくゼロへ近づけることが出来れば、例えば有用化成品合成のために効率的に利用でき、その製造コストを最小化して大きな利点を生むこととなる。
本発明は、上述のような従来技術やそれに対する本発明者の上記のような認識を背景としてなされたものであり、六価クロムの新規な製造方法や製造装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、そのような六価クロムの製造を含む六価クロムの製造、利用方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題の下で六価クロムの製造について研究する過程で、次のような知見を得た。
(1)電気化学的な六価クロムへの酸化のために光電極を利用することにより、六価クロム製造に要する投入エネルギーを大幅に低減することができる。
(2)六価クロムの利用現場を製造現場に隣接して設置し、互いに還流させれば、環境負荷の高いクロムイオンに対する環境管理コストをあまり大きくすることなく六価クロムを有効活用することが可能となる。
(3)六価クロムを酸化剤として有用化成品の合成に用いる場合や、クロムめっき浴として利用する場合において、硫酸水溶液として利用する場合が多いが、例えば、硫酸水溶液中のクロム酸を酸化させる反応については光電極上で硫酸が過硫酸へ酸化される副反応が生じる。このような副反応にも留意しつつ印加電圧、及びクロムイオンの初期濃度の調整を最適化し、例えば酸化タングステン光電極を用いた場合には0.7V(vs.RHE)前後の低電圧で反応を進行させることができる。この程度の印加電圧の場合、太陽電池による外部バイアスの印加方法も容易に行える。その場合には理論上外部投入エネルギーをゼロとした六価クロム製造が可能となる。
なお、非特許文献1には、光電極を用い光電極側で酸化剤を、対極側で水素を製造することが記載されている。しかしながら、製造される酸化剤としては、過硫酸、次亜塩素酸塩、過酸化水素、過ヨウ素酸塩、四価セリウム塩が記載されているだけであって、毒性・環境負荷の高さから厳しい排出規制がある六価クロムを製造することについては全く検討されていない。
本発明は、上記のような知見に基づくものであり、この出願によれば、以下の発明が提供される。
<1>電解質フィルタにより陽極室と陰極室に隔離された反応容器の陽極室に設けた半導体光電極に200nm以上800nm以下のいずれかの波長を含む光を照射し、光電解酸化反応により、陽極室の五価以下の価数を有するクロムを六価クロムとする六価クロムの製造方法。
<2>前記陽極室の電解液として、五価以下の価数を有するクロムの濃度が0.4mM以上の硫酸水溶液を用いる<1>に記載の六価クロムの製造方法。
<3>電解質フィルタにより陽極室と陰極室に隔離された反応容器の陽極室に設けた半導体光電極に200nm以上800nm以下のいずれかの波長を含む光を照射し、光電解酸化反応により、陽極室の五価以下の価数を有するクロムを六価クロムとし、六価クロムを含む陽極室の電解液を酸化反応槽に移送し、酸化反応槽中の被酸化物を酸化し、五価以下の価数を有するクロムを含む酸化反応槽の電解液を前記陽極室に返送する六価クロムの製造、利用方法。
<4>電解質フィルタにより陽極室と陰極室に隔離された反応容器と、前記陽極室に設けられた半導体光電極と、200nm以上800nm以下のいずれかの波長を含む光を前記半導体光電極に照射する光照射機構と、前記半導体電極に電圧を印加する電源とを備え、陽極室に五価以下の価数を有するクロムイオンの濃度が0.4mM以上の電解液が収容される六価クロム製造装置。
<5><4>に記載の六価クロム製造装置において、さらに、六価クロムにより酸化される被酸化物を有する酸化反応槽と、前記陽極室の電解液を前記酸化反応槽に移送する送液装置と、前記酸化反応槽の電解液を前記陽極室に還流する還流装置とを具備する六価クロム製造装置。
<6>前記半導体光電極は、酸化タングステン膜、酸化チタン膜、及び、酸化タングステンと酸化チタンとのコンポジット膜よりなる群から選択される1種又は2種以上からなり、厚さ100nm以上の半導体光電極膜を含むものである<4>又は<5>に記載の六価クロム製造装置。
<7>前記酸化タングステン膜、酸化チタン膜、及び、コンポジット膜よりなる群から選択される1種又は2種以上は、結晶格子中に20モル%以下の異種イオン、及び/又は、その膜表面に厚さ1μm以下の異種酸化物、酸窒化物、若しくは窒化物の被覆を有するものである<6>に記載の六価クロム製造装置。
<8><4>から<7>のいずれか1項に記載の六価クロム製造装置において、前記半導体光電極は、透明基材と、該透明基材の表面に形成された透明導電膜と、該透明導電膜上に形成された半導体光電極膜を備え、半導体光電極膜側のみが電解液に接し、透明基材側が大気中に曝され、透明基材と透明導電膜を透過した光が半導体光電極膜に照射されるよう設置されたものである六価クロム製造装置。
<9>前記電源は太陽電池を含むものである<4>から<8>のいずれか1項に記載の六価クロム製造装置。
本発明の六価クロムの製造方法や製造装置を用いれば、光電極の利用によって光照射下効率的に六価クロムを製造することが可能となる。
本発明の実施例の六価クロム製造装置の模式図。 本発明の実施例の酸化反応槽や該反応槽への送液装置を備えた六価クロム製造装置の模式図。 半導体光電極の裏面から半導体光電極膜に光照射を可能にする本発明の実施例の六価クロム製造装置の模式図。
本発明の六価クロム製造方法は、電解質フィルタにより陽極室と陰極室に隔離された二室の反応容器の陽極室に設けた半導体光電極に200nm以上800nm以下のいずれかの波長を含む光を照射し、光電解酸化反応により、陽極室の五価以下の価数を有するクロムを六価クロムとする。
陽極室に収容されるクロムイオンを含む電解液としては、硫酸水溶液を利用することが効果的である。また、硫酸ナトリウムなどを溶解させた硫酸イオンや、炭酸イオンなどの利用も可能であるが、各々副反応に留意する必要がある。
本発明のクロム製造装置は、電解質フィルタにより陽極室と陰極室に隔離された反応容器と、陽極室に設けられた半導体光電極と、200nm以上800nm以下のいずれかの波長を含む光を前記半導体光電極に照射する光照射機構と、前記半導体電極に電圧を印加する電源とを備え、陽極室に五価以下の価数を有するクロムイオンの濃度が0.4mM以上の電解液が収容されるものである。
六価クロム製造装置は、さらに、六価クロムにより酸化される被酸化物を有する酸化反応槽と、前記陽極室の電解液を前記酸化反応槽に移送する送液装置と、前記酸化反応槽の電解液を前記陽極室に還流する還流装置とを具備することができる。
電解質フィルタは、陽極室で生成した六価クロムイオンが陰極室に移行するのを防止するフィルタとして機能する電解質膜であり、プロトン交換膜が利用可能である。例えば、ナフィオン(登録商標)等のフッ素系高分子電解質膜などが挙げられる。
陽極室に設けられる半導体光電極は、導電性基材と該基材の表面に形成された半導体光電極膜を含む。
半導体光電極膜としては、酸化タングステン膜、酸化チタン膜、及び、酸化タングステンと酸化チタンのコンポジット膜よりなる群から選択される1種又は2種以上(例えば、2種類が積層したもの)が利用可能である。半導体光電極膜は、厚さ100nm以上100μm以下(好ましくは20μm以下)であり、酸化タングステン又は酸化チタンの結晶格子中に20%以下の遷移金属、希土類金属などの異種イオンが賦活されていてもよい。また、酸化タングステン膜、酸化チタン膜、前記コンポジット膜は、その表面に厚さ1μm以下の異種酸化物、酸窒化物、又は窒化物の被覆を有していてもよい。
酸化タングステン膜を用いる場合には、印加電圧を0.4V(vs.RHE)以上2.0V(vs.RHE)以下で利用することが可能である。
酸化タングステン光電極膜は、例えば次の方法で製膜したものが利用できる。酸化タングステン粒子をイソプロパノール中でボールミルを用いて湿式粉砕し、トルエンに溶解させたタングステンフェノキシド及びポリエチレングリコールと混合して得られた酸化タングステンナノ粒子分散液を導電性基材の表面に塗布し、400℃以上550℃以下の温度で焼成することによってナノポーラス形状を有する酸化タングステン光電極膜を有する半導体光電極が作製できる。
また、反応容器に収容されるクロムイオンを含む電解液は着色しており、電解液中に浸した半導体光電極の表面側(半導体光電極膜側)から光を入射する場合には光の強度が低下してしまう。そのため、図3のように、半導体光電極膜を透明基材とその表面の透明導電膜からなる導電性基材表面に形成し、半導体光電極膜側のみに電解液が接し半導体光電極の裏面は大気中に曝され、電解液と接しない裏面(半導体光電極膜と反対側)より光を入射する機構で光を照射すれば照射光強度を維持できるため効率的な反応の進行が可能となる。
半導体光電極の導電性基材は、図3のように積層構造のものとしてもよいが、図1のような半導体光電極の場合には、不透明な導電性材料の1種類又は2種類以上から形成することも可能である。
半導体光電極に照射される光は、200nm以上800nm以下のいずれかの波長を含む光であればよく、例えば、太陽光、紫外光、可視光等が利用できる。紫外光としては、各種紫外線LEDや紫外線ランプの紫外光を利用することができる。
六価クロムの生成効率は電流効率(FE)で表される。FEはFE(%)={(発生したクロム酸(六価クロム)の分子量)×(反応電子数)×(ファラデー定数)/(使用電気量)}×100で計算される。
六価クロムイオン量は溶液の紫外-可視吸光スペクトルによって測定可能である。例えば三価のクロムイオンは420nmと580nm付近に二つの特徴的な吸収ピークを有するが、六価クロムイオンは350nm付近に強い吸収ピークを有する。簡易的にはこの350nmのピーク強度を測定すれば良いが三価クロムイオンが溶液中に残る場合には両者のスペクトルの分離を行わなければ濃度計算に少なくない誤差を生む。そのため本発明の評価には次の方法により濃度を評価した。まず三価クロムイオン溶液、六価クロムイオン溶液の基準とする濃度のスペクトルをそれぞれf3(λ)、f6(λ)とし、濃度をそれぞれc3、c6とする。スペクトル形状は濃度に依らず概ね一定となるため、得られた反応溶液のスペクトルをf(λ)とすれば次式で濃度計算が可能となる。

f(λ)=(c3−c6)f3(λ)+c66(λ)−af3(λ)

aは試料等への基質の吸着に関わる係数であり、af3(λ)の項は電解液のクロムイオン濃度が濃い場合に試料への吸着が無視できない場合にf(λ)より減ずる。
原料となる五価以下のクロムイオン、主として三価クロムイオンはその濃度が0.3mMよりも小となるとFE値が極めて低下してしまう。また、陽極側と陰極側をナフィオン(登録商標)などの電解質フィルタで隔離した機構としなければ陽極側で発生した六価クロムイオンは陰極側で還元され三価クロムイオンへと戻る逆反応が速やかに進行してしまうため、六価クロムイオンを効率良く得ることはできない。陰極には、白金などの貴金属電極や半導体電極が利用可能であり、また、陰極側にも光照射される光電極を利用することも可能で、適切な条件を選択すれば水素など付加的に他の化成品を得ることもできる。
電解液中で起こる副反応にも留意する必要がある。例えば酸化タングステンを半導体光電極膜として用い、硫酸水溶液中で反応を行う際には硫酸が酸化され過硫酸が生成される。この副反応によるFE値の低下を考慮し、硫酸濃度を調節することが望ましい。原料の三価クロムイオン濃度が10mM以上の場合には1M程度の硫酸濃度でも40%以上のFE値を得ることが可能であるが、三価クロムイオン濃度が10mMより低い場合にはFE値の維持のために硫酸濃度も下げた方が良い。100mM以上の三価クロムイオン濃度の場合には60%以上の高いFE値が得られやすい。低pH値が必要でなく、硫酸イオン(SO4 2−)の存在のみが重要であるならば、硫酸ではなく硫酸ナトリウムを電解質液に加えることも可能であり、この場合硫酸イオン濃度を1M以上としても非常に高いFE値を得ることが可能である。
副反応の制御には、印加電圧の制御も有効である。過硫酸イオンの生成を抑制するためには印加電圧を低下させることが有効であり、10mM以上の三価クロムイオン濃度の場合には1.1V(vs.RHE)以下に設定することでFE値を著しく向上させることが可能である。また、陰極側の反応を制御することによって陽極側で必要とされる印加電圧をさらに低下させることも可能である。陽極側に発生させた六価クロムイオンを含む溶液を陰極側に移送して、利用が完了した後の余剰の六価クロムを電気化学的に還元したり、陽極側に光照射を行い、光電気化学的に還元することもできるため、容易に溶液の環境負荷を低減することが可能である。
陽極側で得られた六価クロムイオンは、例えば、顔料・染料などの原料、酸化剤、触媒、めっきなどの際の金属表面処理剤などとして多くの用途がある。特に酸化剤としてベンゾキノン、ナフトキノンのようなキノン類など種々の工業的価値の高い有用化成品製造に対しての利用が期待される。得られた六価クロムイオンを酸化剤として利用する際に硫酸含有溶液中で酸化反応を進行させれば、得られる六価クロムイオン溶液はそのまま酸化剤として利用することが可能である。また、六価クロムの生成サイトと利用サイトを同一系内又は隣接系内にすることで、クロムイオンの六価と三価のサイクルを循環させることができるため、前述したように環境負荷を大きく低下させる利点を有する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明の内容はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
酸化タングステンWO3の粉末2gを5mMのタングステンフェノキシドを含む9mlのイソプロパノール及び1mlのトルエンの混合溶媒中へ分散し、ボールミル(ナガオシステム製Planet−M)を用いて650rpmで6時間、湿式粉砕を行った結果、酸化タングステンナノ粒子分散液を得た。得られた酸化タングステンナノ粒子分散液にポリエチレングリコール(分子量300)を体積比1:1で混合した分散液をFTO基板上へ塗布し、550℃で焼成して酸化タングステン光電極(膜厚7μm)を得た。
作製した酸化タングステン光電極を図3に示す二室式電解漕を含む六価クロム製造装置の陽極位置に設置し、陰極には白金線を用いた。5mM硫酸クロム、10mM硫酸水溶液を電解液とし、1.5V(vs.RHE)の電圧を印加し、照射強度が100mW/cmとなる疑似太陽光照射(AM1.5G)を陽極裏面より行ったところ六価クロムイオンの発生を確認し、高いFE値83%を得た。
実施例2
電解液を15mM硫酸クロム、10mM硫酸水溶液とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生を確認し、高いFE値88.9%を得た。
実施例3
電解液の硫酸クロムによる三価クロム濃度、硫酸クロム及び硫酸による硫酸イオン濃度を変化させた以外は、実施例1と同様とした場合のFE値の変化を表1に示す。いずれも六価クロムイオンの発生を確認し、10%以上の高いFE値が得られ、0.05Mの硫酸クロム濃度、0.16Mの硫酸イオン濃度(10mM硫酸)のときに94%の高いFE値が得られた。
Figure 0006867685
実施例4
印加電圧を1.3V(vs.RHE)とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生を確認し、高いFE値91.2%を得た。
実施例5
印加電圧を1.1V(vs.RHE)とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生を確認し、高いFE値98.1%を得た。
実施例6
印加電圧を0.9V(vs.RHE)とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生を確認し、高いFE値100%を得た。
実施例7
電解液を50mM硫酸クロム、10mM硫酸水溶液とし、印加電圧を1.3V(vs.RHE)とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生を確認し、高いFE値94.8%を得た。
実施例8
電解液を50mM硫酸クロム、10mM硫酸水溶液とし、印加電圧を1.1V(vs.RHE)とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生を確認し、高いFE値100%を得た。
実施例9
電解液を50mM硫酸クロム、10mM硫酸水溶液とし、印加電圧を0.9V(vs.RHE)とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生を確認し、高いFE値100%を得た。
実施例10
実施例1で陽極の光電極に6時間光照射を行い発生させた六価クロムイオン含有電解液を陰極側へ移し、再び6時間陽極へ光照射を行ったところ陰極側へ移した六価クロムイオンは三価クロムへと還元され、同装置内でのクロムイオンの酸化還元サイクルを確認した。
実施例11
実施例1で陽極の光電極に光照射を行い発生させた六価クロムイオン含有電解液を酸化反応槽に移しヒドロキノンを加えたところp−ベンゾキノンの発生を確認した。
実施例12
実施例1で陽極の光電極に光照射を行い発生させた六価クロムイオン含有電解液を酸化反応槽に移しアセトン/水溶媒に溶解させたナフタレンを加えたところナフトキノンの発生を確認した。
実施例13
実施例1で用いた酸化タングステン光電極に40nm程度の膜厚を有する酸化チタン層を被覆させたところ六価クロムイオンの発生を確認した。また印加電圧1.5V(vs.RHE)時に酸化チタン層を被覆していない酸化タングステン光電極と比べ、6%のFE値向上を確認した。
実施例14
実施例1で用いた反応条件で電流-電圧測定を行ったところ印加電圧0.4V(vs.RHE)からわずかに電流値が観測され0.6V(vs.RHE)から大きな電流値が観測され、六価クロムイオンの発生が確認された。
参考例1
電解液を0.05mM硫酸クロム、10mM硫酸水溶液とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生に対するFE値は7.0%に留まった。
参考例2
電解液を0.1mM硫酸クロム、10mM硫酸水溶液とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生に対するFE値は8.3%に留まった。
参考例3
電解液を0.05mM硫酸クロム、1M硫酸水溶液とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生に対するFE値は0.8%に留まった。
参考例4
電解液を0.05mM硫酸クロム、0.1M硫酸水溶液とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生に対するFE値は7.4%に留まった。
参考例5
二室式電解漕を一室(陽極と陰極が同一の電解漕内に存在)とした以外は実施例1と同様としたところ、六価クロムイオンの発生に対するFE値は9.2%に留まった。
参考例6
実施例1で用いた反応条件で電流-電圧測定を行ったところ印加電圧0.3V(vs.RHE)未満では全く光電流値が観測されず(光電解酸化反応が生起せず)、六価クロムイオンの発生は確認されなかった。
参考例7
実施例1で用いた反応条件で電流-電圧測定を行ったところ印加電圧2.1V(vs.RHE)以上では暗電流が大きくなり、通常の電気的な酸化反応が進行することを確認した。
本発明の六価クロムの製造方法や製造装置を用いれば、光電極の利用によって光照射下低印加電圧で効率的に六価クロムを生成させることが可能となる。また、生成した六価クロムを種々の反応、めっき等に利用した後に生成する三価クロムをその場で六価クロムへと再生可能でクロムイオン価数のサイクルがその場でできる利点があるため、最終製品となる有機化成品等を低い投入エネルギー、低環境負荷で製造することを可能にする。特に太陽光を利用する場合には光電極の太陽光変換効率を向上させることによってクリーンエネルギーで工業的付加価値の高い化成品を合成できる装置として利用されることが期待される。

Claims (8)

  1. 電解質フィルタにより陽極室と陰極室に隔離された反応容器の陽極室に設けた半導体光電極に200nm以上800nm以下のいずれかの波長を含む光を照射し、光電解酸化反応により、陽極室の五価以下の価数を有するクロムを六価クロムとする六価クロムの製造方法。
  2. 前記陽極室の電解液として、五価以下の価数を有するクロムの濃度が0.4mM以上の硫酸水溶液を用いる請求項1に記載の六価クロムの製造方法。
  3. 電解質フィルタにより陽極室と陰極室に隔離された反応容器と、前記陽極室に設けられた半導体光電極と、200nm以上800nm以下のいずれかの波長を含む光を前記半導体光電極に照射する光照射機構と、前記半導体電極に電圧を印加する電源とを備え、陽極室に五価以下の価数を有するクロムイオンの濃度が0.4mM以上の電解液が収容される六価クロム製造装置。
  4. 請求項に記載の六価クロム製造装置において、さらに、六価クロムにより酸化される被酸化物を有する酸化反応槽と、前記陽極室の電解液を前記酸化反応槽に移送する送液装置と、前記酸化反応槽の電解液を前記陽極室に還流する還流装置とを具備する六価クロム製造装置。
  5. 前記半導体光電極は、酸化タングステン膜、酸化チタン膜、及び、酸化タングステンと酸化チタンとのコンポジット膜よりなる群から選択される1種又は2種以上からなり、厚さ100nm以上の半導体光電極膜を含むものである請求項又はに記載の六価クロム製造装置。
  6. 前記酸化タングステン膜、酸化チタン膜、及び、コンポジット膜よりなる群から選択される1種又は2種以上は、結晶格子中に20モル%以下の異種イオン、及び/又は、その膜表面に厚さ1μm以下の異種酸化物、酸窒化物、若しくは窒化物の被覆を有するものである請求項に記載の六価クロム製造装置。
  7. 請求項からのいずれか1項に記載の六価クロム製造装置において、前記半導体光電極は、透明基材と、該透明基材の表面に形成された透明導電膜と、該透明導電膜上に形成された半導体光電極膜を備え、半導体光電極膜側のみが電解液に接し、透明基材側が大気中に曝され、透明基材と透明導電膜を透過した光が半導体光電極膜に照射されるよう設置されたものである六価クロム製造装置。
  8. 前記電源は太陽電池を含むものである請求項からのいずれか1項に記載の六価クロム製造装置。
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