JP6865698B2 - 金属溶湯用撹拌体 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウムやアルミニウム合金を始めとする各種の金属の溶湯の脱ガス処理をするために用いる金属溶湯用撹拌体に関する。
アルミニウム又はアルミニウム合金等の脱ガス処理は、例えば、図6に示すように、脱ガス処理装置80の貯留部内に貯留された、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属からなる溶湯(以下、「溶湯」又は「金属溶湯」とも記載する)101中にアルゴン、窒素、塩素などの吹き込みガスを分散させながら、金属溶湯用撹拌体100により溶湯101を撹拌して行う。この処理により、溶湯101中に溶け込んでいる水素などの有害ガスや微小介在物を吹き込みガス中に取り込ませて除去する。このような金属溶湯用撹拌体100は、例えば、下記特許文献1〜4に開示されている。
特開2010−188388号公報 特開2010−223436号公報 特開2012−167868号公報 特開2015−64190号公報
図7及び図8に、従来の金属溶湯用撹拌体100の一例を示す。金属溶湯用撹拌体100は、吹き込みガスが流通可能な通気路104を内部に設けた筒状のシャフト103と、該シャフト103の端部に配設された撹拌翼102とが別々の部材として形成されている。例えば図7及び図8に示すように、撹拌翼102は平面視したときの中央部分に円孔120を有している。図8に示すように、撹拌翼102における円孔120の内周部102fはネジ部102yを有している。同様に、シャフト103の外表面(外周部)103dはその下端103a近傍において、円孔120のネジ部102yと対向する位置に、ネジ部103xを有している。ネジ部102yとネジ部103xとは、何れもシャフト103の通気路104に沿う方向(図8のX方向、以下縦方向Xともいう)に沿って形成されている。円孔120のネジ部102y及びシャフト103のネジ部103xには互いに対応する位置に、相対応するネジ山及びネジ溝が形成されており、これらのネジ山及びネジ溝を介して、シャフト103と撹拌翼102とをねじ込むことにより、両者が接続されるようになっている。シャフト103の外表面103dには、ネジ部103xの上端とシャフト103の径方向に隣接し且つ縦方向Xと略垂直な水平面部103gが形成されている。同様に、撹拌翼102の内周部102fには、ネジ部102yの上端とシャフト103の径方向に隣接し且つ縦方向Xと略垂直な水平面部102gが形成されている。撹拌翼102をシャフト103に接続させる際には、シャフト103の水平面部103gと撹拌翼102の水平面部102gとが突き当たるようにねじ込みが行われる。
しかしながら、このような金属溶湯用撹拌体では、使用しているうちに、シャフト103及び/又は撹拌翼102に割れ及びヒビが生じる場合があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、吹き込みガスが流通可能な通気路を内部に有するシャフトと、該シャフトの端部に配設された撹拌翼とを有する金属溶湯用撹拌体において、
前記シャフトは、前記撹拌翼と別部材に形成されているか、又は前記通気路に沿う方向と交差する方向に二以上に分割可能に形成されており、
前記シャフトと前記撹拌翼との境界部において、該シャフトと該撹拌翼とが、両者の間に該撹拌体の外部と連通する隙間が存在しない状態で連続している、金属溶湯用撹拌体を提供するものである。
図1は、本発明の金属溶湯用撹拌体の第1実施形態の斜視図である。 図2は、図1に示す金属溶湯用撹拌体におけるシャフトをその中心軸を含む平面で切断した断面図である。 図3Aは、図2における撹拌翼とシャフトとの境界部の部分拡大図である。 図3Bは、図3Aにおける撹拌翼とシャフトとの隙間をセラミックス材料により未だ封止されていない状態で示す部分拡大図である。 図4は、本発明の金属溶湯用撹拌体の第2実施形態を示す断面図であり、図2に相当する図である。 図5は、図4における撹拌翼とシャフトとの境界部の部分拡大図であり、図3Aに相当する図である。 図6は、従来の金属溶湯用撹拌体の使用例を模式的に示した断面図である。 図7は、従来の金属溶湯用撹拌体の断面図である。 図8は、従来の金属溶湯用撹拌体における撹拌翼とシャフトとの境界部の部分拡大図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、本発明の範囲は、この実施形態に限定されるものではない。
本発明の第1実施形態の金属溶湯用撹拌体1は、図1及び図2などに示すように、吹き込みガスが流通可能な通気路4を内部に設けたシャフト3と、該シャフト3の一方の端部3aに配設された撹拌翼2とを備えている。シャフト3は、その中心軸の延びる方向であるX方向(縦方向X)を有する。
本発明においてシャフト3と撹拌翼2は別部材であってもよく、或いは単一部材であってもよい。何れの場合であってもシャフト3は端部3aにガス噴出口30を有する筒状体部材であり、撹拌翼2は筒状体の端部3aからシャフト3の径方向に広がる部材である。シャフト3の径方向とは、シャフト3をその中心軸と直交する平面で切断して得られる円の中心点を起点に放射状に延びる方向である。本実施形態ではシャフト3と撹拌翼2は別部材に形成されている。
撹拌翼2及びシャフト3は、耐熱性を有する材料、例えばセラミックスから形成されている。セラミックスとしては、窒化珪素(Si)系セラミックス、サイアロン系セラミックス、炭化珪素(SiC)系セラミックス、カーボンセラミックス、カーボンなどが挙げられる。窒化珪素系セラミックスとしては、窒化珪素粉末を焼結助剤で焼結させたものや、金属Siを窒素雰囲気中で窒化させた後、焼結助剤で焼結させたもの、炭化珪素の粒子を窒化珪素により結合した窒化珪素結合炭化珪素焼結体等が挙げられる。炭化珪素系セラミックスとしては、炭化珪素粉末を焼結助剤で焼結させた炭化珪素焼結体や炭化珪素を含有する酸化珪素結合炭化珪素焼結体などが挙げられる。カーボンセラミックスとしては、カーボン、炭化珪素及び/又は炭化ホウ素等を混合して焼結体としたものなどが挙げられる。なかでも、耐摩耗性と耐熱衝撃性を両立する観点より、窒化珪素系セラミックス、サイアロン系セラミックス、炭化珪素系セラミックスが好ましく、窒化珪素系セラミックスが最も好ましい。撹拌翼2及びシャフト3は、同じセラミックス材料から形成されていてもよく、異なるセラミックス材料から形成されていてもよい。
一般に、金属溶湯用撹拌体を用いて溶湯中のガスを除去するには、主にバッチ方式とインライン方式の二通りのやり方がある。バッチ方式は、例えば、ルツボなどに貯留した金属溶湯中に金属溶湯用撹拌体を浸漬させたり、引き抜いたりすることを繰り返し行ない、断続的にガスを除去するものである。一方、インライン方式は、連続溶湯などの炉で、連続的にガスを除去するものである。本実施形態の金属溶湯用撹拌体1は何れに用いられてもよいが、後述するようにバッチ方式であると、本発明の耐久性向上の効果が高いものである。
撹拌翼2は、図1、図2及び図3Aなどに示すように、中央部がシャフト3の他方の端部3bに向けて隆起した傘形状に形成されている。尤も撹拌翼2の形状はこれに限定されず例えば円盤状等であってもよい。撹拌翼2は、図2及び図3Aなどに示すように、平面視におけるその略中心部に設けた円孔20にシャフト3の一方の端部3aが固定できるようにしてある。図1などに示すように、撹拌翼2の外周部2aには、該外周部2aから円孔20に向けて湾曲した切り欠き部21が形成されている。切り欠き部21は、図1などに示すように、撹拌翼2の外周部2aに適宜間隔で方形状に切り欠いて形成してあり、この内側(シャフト3側)の両隅部は、丸隅状に形成してある。また撹拌翼2の底面部2bには貯留部22、及び吹き込みガスが通る通路用の溝部23が形成されている。具体的には、撹拌翼2の底面部2bには、該撹拌翼2の平面視において、円孔20を囲むように円環状の貯留部22が形成されている。貯留部22は、撹拌翼2の底面部2bが、上面部2dに向けて凹陥することで形成されている。貯留部22は、図1などに示すように、底面部2bを平面視したときの略中央部分に形成されている。貯留部22は、図1などに示すように、上面にあたるシャフト3の底面端部3aと、撹拌翼2の内周部2fと円孔20とで囲まれる円環状に窪んだ空間としてあり、シャフト3から噴出された吹き込みガスを貯めることができるように形成してある。また、撹拌翼2の底面部には、該撹拌翼2の平面視において、該撹拌翼2の中心から径方向に沿って放射状に延びる条溝である溝部23が複数形成されている。各溝部23は、撹拌翼2の底面部2bが上面部2dに向けて凹陥することで形成されている。また各溝部23は、その一端が、上述した貯留部22と連通しており且つ他端が撹拌翼2の外周部2aにまで達している。溝部23は、図1などに示すように、断面を略方形状の溝として形成してあり、底面部2bに貯留部22から外側に向かい各切り欠き部21間を通り外周部2aに抜けるように放射状に複数形成してある。なお、溝部23は断面方形状に形成してあるが、これに限定するものではなく、断面円弧状や断面三角形状、断面U字状に形成することもできる。
撹拌翼2の直径は、概ね60mm〜350mmに形成することが好ましい。特に、用いられる撹拌槽が標準的なサイズ(例えば550〜750mm角)の場合は、撹拌翼2の直径を120mm〜300mm、特に170mm〜230mmに形成することがより好ましい。一方、用いられる撹拌槽が標準的なサイズよりも小さいサイズ(例えば300〜500mm角)の場合は、撹拌翼2の直径を60mm〜150mmに形成することがより好ましく、また用いられる撹拌槽が標準的なサイズよりも大きいサイズ(例えば850〜1000角)の場合は、撹拌翼2の直径を220mm〜350mmに形成することがより好ましい。また撹拌翼2における円孔20の内周部2f(図3A参照)の肉厚は、7mm〜21mm、特に9mm〜18mmに形成し、撹拌翼2の外周部2a(図1参照)の肉厚は、6mm〜16mm、特に8mm〜12mmに形成するのが好ましい。肉厚は、撹拌翼2の縦方向Xの厚さから、溝部23よりも底面部2b側の部分の厚さを除いた厚さである。
シャフト3は、図2に示すように、底部である端部3aを有する円筒状をしている。この円筒状体の内部が、吹き込みガスが流通可能な通気路4として形成されている。シャフト3の端部3aには、平面視したときの略中心部分に円状の孔であるガス噴出口30が形成されている。ガス噴出口30は、シャフト3内の通気路4を通過した吹き込みガスが噴射される出口である。
図2に示すように、シャフト3は、その上端部の側方を取り囲むフランジ42を介して脱ガス処理装置に固定されている。シャフト3はフランジ42に不図示のネジにより固定されている。更に、フランジ42も脱ガス処理装置内に、ネジ穴43を通るネジによりネジ止めされており、これにより、金属溶湯用撹拌体1を脱ガス処理装置内に固定することができる。金属溶湯用撹拌体1の内部の通気路4は脱ガス処理装置と不図示のガス管を通じて接続している。
図3Aに示すように、本実施形態においても、従来の金属溶湯用撹拌体100と同様に、撹拌翼2における円孔20の内周部2fはネジ部2yを有している。同様に、シャフト3の外表面(外周部)3dは、円孔20のネジ部2yと対向する位置に、ネジ部3xを有している。円孔20のネジ部2y及びシャフト3のネジ部3xには互いに対応する位置に、相対応するネジ山及びネジ溝が形成されており、これらのネジ山及びネジ溝を介して、シャフト3と撹拌翼2とをねじ込むことにより、両者が接続されるようになっている。ネジ部2yとネジ部3xとは、何れもシャフト3の通気路4に沿う方向(縦方向X)に沿って形成されている。ネジ部2yとネジ部3xとは、何れも縦方向Xに対して平行に垂直面部上に形成されているが、これに限定されない。例えばネジ部3xが、下方(端部3a側)に向かってシャフト3の外径が漸次縮小するように窄む傾斜面上に形成されており、ネジ部2yがこの傾斜面に対応した傾斜面上に形成されていてもよい。なお本明細書中、「縦方向Xに平行な垂直面」は「縦方向Xに平行な曲面」を含む。図3Aに示す例では、縦方向X下方において、ネジ部3xはシャフト3の端部3aまで延設されている。またネジ部2yは縦方向Xにおいてネジ部3xと対応する略全域に設けられている。
ここで、ネジ部2y及び3xの形状は、それぞれ同一のネジの規格、例えばJIS B 0205規格に基づくように製造しておくと、ネジ部2y及び3x同士の噛み合わせによる金属溶湯に対するシール性を高いものとすることができる。
本実施形態では、従来の金属溶湯用撹拌体100と異なり、シャフト3と撹拌翼2との境界部においてシャフト3と撹拌翼2とが、両者の間に撹拌体1の外部と連通する隙間が存在しない状態で連続している。
「シャフト3と撹拌翼2との間に撹拌体1の外部と連通する隙間が存在しない状態」とは、シャフト3と撹拌翼2との境界部において、シャフト3と撹拌翼2とが、両者間に撹拌翼2の外部に連通しない隙間が存在する状態で連続していることを許容する意図である。この場合、この隙間には金属溶湯が侵入不能である。金属溶湯用撹拌体1のシャフト3と撹拌翼2との間には撹拌体1の外部と連通しない隙間も存在しないことがより好ましい。金属溶湯用撹拌体1のシャフト3と撹拌翼2との間には隙間が一切存在しないことが最も好ましい。
「シャフト3と撹拌翼2とが連続する」とは、撹拌翼2がシャフト3と別部材に形成されている場合、両者が直接接触しているか、又は、両者がシール材を介して隣接していることをいう。但し「シャフト3と撹拌翼2とが連続する」とは、シャフト3と撹拌翼2とがその境界部全体で直接接触していたり、シール材を介して隣接していることまでは要さない。例えば、シャフト3と撹拌翼2とが両者の境界部の一部で直接接触している場合、外部に連通しない隙間であれば、該境界部の他の部分において、互いと直接接触していない部分(隙間)を有していてもよい。またシャフト3と撹拌翼2とが両者の境界部の一部でシール材を介して隣接している場合、外部に連通しない隙間であれば、両者はその境界部に、互いとシール材を介して隣接していない部分(隙間)を有していてもよい。また「シャフト3と撹拌翼2とが連続する」とは、後述するように撹拌翼2がシャフト3の一部と一体に形成されている場合における一体形成による連続性をも含む。
本発明者は、従来の金属溶湯用撹拌体100において、使用時間が経過するにつれて割れ又はヒビが生じる理由を鋭意検討した。その結果、従来の金属溶湯用撹拌体100のように単にシャフト103と撹拌翼102とに互いに嵌合するネジ部を設けたものでは、設計図面上は意図しない隙間(不図示)がネジ部103x、102y同士の間又は水平面部103g及び水平面部102gの間に形成され、この隙間に金属溶湯が浸入し、その膨張収縮が割れやヒビを発生させてしまうことを知見した。そして、金属溶湯用撹拌体1の撹拌翼2とシャフト3との接続部分における内部に、金属溶湯が浸入可能な空間をなくすことで撹拌体の割れ及びヒビを効果的に防止できることを見出した。ここでいう内部とは、撹拌翼2とシャフト3の両方に挟まれた部分をいう。
撹拌翼2とシャフト3との接続部分の内部において金属溶湯が浸入可能な空間をなくすことで割れ及びヒビを防止できる理由は明確ではないが、本発明者は以下のように推測している。ネジ部同士の隙間に浸入した金属溶湯は、シャフト3及び撹拌翼2の構成材料よりも熱膨張係数が大きい場合が多い。また、撹拌翼2は金属溶湯中で高速回転させるものであるため、シャフト3との接続部分には応力が集中する。撹拌体が高温の金属溶湯に浸漬されて使用される際に、隙間に浸入した金属溶湯が熱膨張を起こすことにより隙間にテンションが掛かる。この状態において、金属溶湯用撹拌体1が回転して、撹拌翼2とシャフト3との接続部分に応力が集中することが、割れの原因の一つと推測される。特に、バッチ方式では、高温の金属溶湯に対して撹拌体の出し入れを頻繁に行うので、撹拌体は厳しい温度変化の繰り返しを受けることとなり、割れ又はヒビが生じやすい。
上述した図8に示すように、従来においては、撹拌翼102の円孔120の内周部102fの縦方向Xの略全体に、ネジ部102yが設けられており、シャフト103においても、このネジ部102yと対向する縦方向Xの範囲にネジ部103xが形成されていた。これに対し、図3Aに示すように、本実施形態では、ネジ部2yを設ける縦方向Xの範囲を円孔20の下側(通常は下端)から縦方向Xの途中(円孔20の上端部20s近傍)までとし、シャフト3においてこのネジ部2yに対向させる縦方向Xの範囲にネジ部3xを形成させている。更に本実施形態では、それらネジ部2y及び3xよりも上方に、撹拌翼2とシャフト3との間の隙間(図3A及び図3Bに示す後述の溜まり部7)にセラミックス材料からなるシール材5が充填されてなるシール部を設けている。このシール材5はシャフト3と撹拌翼2との境界部において両者の間に存在する隙間をシールするシール部の役割を果たしている。このシール材5からなるシール部により、該シャフト3の外表面3dと該外表面3dと隣接する撹拌翼2の表面(図3A及び図3Bに示す例では内周部2f)との間における、撹拌体1の外部と連通する隙間(溜まり部7)が塞がれて封止(シールともいう)されている。これにより、シャフト3の外表面3dと該外表面3dと隣接する該撹拌翼2の上面部2dとを、撹拌体1の外部と連通する隙間が存在しない状態でシール材5を介して連続させることができる。このような金属溶湯用撹拌体1では、シャフト3と撹拌翼2との境界部において両者が撹拌体1外部と連通する隙間が存在しない状態で連続しており、該境界部の内部において、金属溶湯が侵入可能な空間を有さない。これにより、シャフト3と撹拌翼2との境界部に金属溶湯が浸入しないため、撹拌体1の耐久性が高く、長期間使用しても割れやヒビが生じることを防止することができる。
このシール材5としては窒化珪素系セラミックス、炭化珪素系セラミックスの他、金属溶湯、特に溶融したアルミニウムとの濡れ性の悪いセラミックスとして例えばジルコン(ZrSiO)、窒化ホウ素(BN)等が挙げられる。これらは、例えば、セラミックス粉末や金属Siの粉末等のセラミックス原料粉末5aを溜まり部7に充填した後、焼成することで形成することができる。焼成の前に、これらの原料粉末5aは必要に応じて水などの溶媒とともにスラリーとすることが好ましい。窒化珪素系セラミックスからなるシール材を得るための原料粉末5aとしては、窒化珪素系セラミックスの粉末や、金属Siの粉末等が挙げられる。原料粉末5aとして窒化珪素系セラミックスの粉末を用いる場合には、大気又は窒素雰囲気で焼成し、原料粉末5aとして金属Siの粉末を用いる場合には、窒素雰囲気で焼成する。炭化珪素系セラミックスからなるシール材5を得るための原料粉末5aとしては、炭化珪素系セラミックスの粉末等が挙げられる。また、ジルコン(ZrSiO4)からなるシール材5を得るための原料粉末5aとしては、ジルコン粉末や金属ジルコニウムとシリカの混合粉末などを用いることができ、窒化ホウ素(BN)からなるシール材を得るための原料粉末5aとして窒化ホウ素粉末等を用いることができる。
これらの原料粉末5aをスラリーとして溜まり部7に充填し、焼成することでシール部のシール性が確保できる。また、シール部を、セラミックス粉末や金属Si粉末の焼成により製造することで、シール部は、通常、周囲の撹拌翼2及びシャフト3同士を接着する接着部としても機能する。このような接着部は、撹拌体1の強度を高める役割も有する。
また特に原料粉末5aとして金属Siの粉末を用いる場合には、窒素雰囲気で焼成することで窒化珪素系セラミックスからなるシール材5が得られる。こうした金属Siの窒化による膨張効果により原料粉末5aの焼成によるシールとして更に緻密なシール性能が得られることから、原料粉末5aとしては金属Siの粉末を用いることが好ましい。
更に、シール材5及びシール部を窒化珪素系セラミックスからなるものとし、且つ、撹拌翼2及びシャフト3を何れも窒化珪素系セラミックスで形成すると、耐摩耗性と耐熱衝撃性に優れた同一のセラミックス材料により撹拌翼2とシャフト3とを、撹拌体1の外部と連通する隙間なく連続させることができ、より一層好ましい。金属Siの粉末の平均粒径としては、0.1μm以上50μm以下のものが好適に用いられる。また焼成温度としては、1000℃以上1600℃以下が好適である。上述したように、窒化珪素系セラミックスの代わりに金属溶湯、特に溶融したアルミニウムとの濡れ性の悪い充填剤、例えばジルコン(ZrSiO)、窒化ホウ素(BN)の粉末を後述するザグリ部3bと撹拌翼2の内周部2fとの隙間に充填させた場合も、撹拌翼2とシャフト3との間をシール可能である。しかし長期間使用すると、金属溶湯に濡れる場合があり、いったん濡れてしまうと、撹拌翼2とシャフト3の間に金属溶湯が浸透してしまう恐れがゼロではない。この点からも、撹拌翼2とシャフト3の間のシール部は、窒化珪素系セラミックスからなるものとすることが最も好ましい。
ネジ部2y及び3xの縦方向Xの長さL3(図3A参照)は、撹拌翼2の肉厚より短いものであって、かつ、溜まり部7を形成しながら撹拌翼2とシャフト3とをしっかり固定する観点から、3mm以上40mm以下が好ましく、8mm以上20mm以下がより好ましい。
シール材5が充填されている溜まり部7は、ネジ部2y及び3xの上方に隣接している。溜まり部7はシャフト3の全周に亘り、撹拌翼2との接続部分に設けられている。より具体的には、溜まり部7は、シャフト3と撹拌翼2との接続部分に、シャフト3の中心軸を中心とした円環状、又は該中心軸と一致する中心軸を有する円筒状に形成された空間である。図3Bに示すように、シャフト3の中心軸を含む断面を視たときに、溜まり部7はシャフト3の径方向の長さよりも縦方向Xの長さが長い空間であることが好ましい。ここでシャフト3の中心軸を含む断面は、該中心軸を面内に含む、該中心軸の方向と平行な断面である。このような溜まり部7を有すると、焼成前の原料粉末5aが径方向に散逸せずに滞留しやすい。またこのような溜まり部7を形成するようにすると、撹拌翼2の円孔20の下側、例えば下端において、ネジ部2y及び3xを確実に面当たりさせてネジ部2y及び3xとの間に溶湯の浸入を不能としておけば、その上方においてはネジ部2y及び3xとの間に僅かなずれが生じていても、溜まり部7に充填されたシール材5により撹拌翼2とシャフト3との隙間を封じることができる。ネジ部2y及び3xをそれらの縦方向Xの略全体において完全に面当たりさせることは難しいが、縦方向Xの一部、例えば下側或いは下端において面当たりさせることは容易である。このようにシール材5が充填された溜まり部7を設けることで、撹拌翼2とシャフト3との接続部分において金属溶湯が浸入可能な空間を有しない金属溶湯用撹拌体1を容易に形成することができる。
図3Aに示すように、シャフト3には、撹拌翼2との接続部における外表面3dにザグリ部3bが設けられている。ザグリ部3bは、シャフト3のネジ部3xを除く端部域に位置し、且つシャフト3の直径に対して細径となっている部分である。図3Aに示すように、ザグリ部3bは、シャフト3の外表面3dのネジ部3xの上方に、シャフト3の周方向に亘って設けられている。具体的にはザグリ部3bは、シャフト3の外表面3dにおけるネジ部3xの上方、具体的には後述する傾斜面部3eの上方に隣接し、シャフト3の周方向に沿って形成されている。より具体的にはザグリ部3bは、シャフト3の外表面3dを、シャフト3の周方向に沿って、薄くそぎ取った形状をしている。シャフト3を縦方向Xと直交する平面で切断した断面において、ザグリ部3bの外周縁は円形である。ザグリ部3bの円形の外周縁の径は、同様の断面におけるネジ部3xの外径よりも大きくても小さくてもよい。仮にザグリ部3bの円形の外周縁の径がネジ部3xの外径よりも大きい場合、シャフト3を撹拌翼2と接続しない状態で、下方から視たときに、ザグリ部3bの円形の外周縁が観察される。この円形の外周縁は、同じ状態でシャフト3を下方から視たときに、ザグリ部3bよりも上方に位置するシャフト3の外表面3dの外周縁からなる円形と同心であり、且つ当該円形よりも半径が小さい円形となっている。なおシャフト3は、その直径が縦方向Xにおけるザグリ部を除く全域に亘り一定である。
図3A及び図3Bに示す例では、ザグリ部3bは、シャフト3の外表面3dと同様に、縦方向Xに延びる垂直面を有するように形成されている。しかしながらザグリ部3bの形状はこれに限定されずに、下側(端部3a側)に向けて、シャフト3の直径が窄まる、すなわちシャフト3の直径が漸次縮径する傾斜面に形成されていてもよい。この場合の傾斜面が水平面に対してなす鈍角の角度は、後述する傾斜面部3eが水平面に対してなす鈍角の角度R2(図3B参照)よりも小さくなることが好ましい。また図3Aに示すように、ザグリ部3bとその上側の縦方向Xに延びる垂直面状の外表面3dとは、下方(端部3a側)に向けてシャフト3の外径が漸次小さくなるように緩やかに傾斜した傾斜面部3cを介して連続して形成されていることが好ましい。図3A及び図3Bに示すように、ザグリ部3bの下端部3s(ザグリ部3bと傾斜面部3eとの境界部分)の高さ位置は、撹拌翼2の円孔20の上端部20sよりも低い位置にある。また図3Aに示すように、ザグリ部3bの上端3k(傾斜面部3cとの境界部分)は、撹拌翼2の円孔20の上端部20sよりも高い位置にある。原料粉末5aの充填のしやすさや撹拌翼2及びシャフト3とのシール性を考慮して、溜まり部7の開口幅(シャフトの径方向の幅)L1(図3B参照)は0.05mm以上4mm以下が好ましく、0.2mm以上1mm以下がより好ましい。また同様の観点から、溜まり部7の縦方向Xの長さL2(図3B参照)は、0.5mm以上5mm以下が好ましく、1.5mm以上3mm以下がより好ましい。
撹拌翼2の円孔20はザグリ部3bに対向する部位に、縦方向Xに平行な垂直面部を有していても良く、縦方向Xと交差する傾斜面部を有していても良い。ここでいう傾斜面部は、下方に向かうにつれて円孔20の内径が小さくなる傾斜面部であってもよく、逆に内径が大きくなる傾斜面部であっても良い。図3A及び図3Bに示す例では、撹拌翼2の円孔20はザグリ部3bと対向する部位に縦方向Xに延びる垂直面部2jを有している。より好ましくは撹拌翼2の円孔20はザグリ部3bにおける縦方向Xに平行な垂直面部と対向する部位に、縦方向Xに延びる垂直面部2jを有している。垂直面部2jは円孔20の上端部20sまで延びている。垂直面部2jは、撹拌翼2を下方から視ると円孔20の中心を中心とする円形に形成されている。このように溜まり部7を垂直面部2j及びそれと対面するザグリ部3bの垂直面部に囲まれた空間とすると、原料粉末5aを金属Siの粉末として溜まり部7に充填し、焼成することでシール材5を窒化珪素系セラミックスとする場合に、金属Siの粉末が焼成により膨張する際に溜まり部7から逃げてしまうことをより一層効果的に防止できる。また溜まり部7を垂直面部2j及びそれと対面するザグリ部3bの垂直面部に囲まれた空間とすることは、金属溶湯用撹拌体の作製時に焼成完了前の原料粉末5aがより一層散逸し難い点でも好ましい。撹拌翼2の円孔20はザグリ部3bに対向する部位に、垂直面部2jの代わりに、下方に向かうにつれて円孔20の内径が大きくなる傾斜面部を有するようにすると、更に金属Siの粉末が逃げにくいため好ましい。
垂直面部2jとザグリ部3bとの間に位置する溜まり部7の底面は傾斜面や凹凸を有する面に形成されていてもよく、平坦面に形成されていてもよい。図3Bに示す例のように溜まり部7の底面は傾斜面又は平坦面から形成されていることが、金属Siの粉末5aを安定して戴置させる観点や、金属Siが窒化し体積膨張した際に散逸させない観点から好ましい。図3Bの例では、溜まり部7はシャフト3の中心軸を含む断面の形状が、一側辺を欠き上方に開口した略台形状に形成されている。しかしながら、溜まり部7の形状はこれに限られず、断面略U字状や、断面略コの字状に形成されていてもよい。図3Bに示す例では、後述する傾斜面部2e及び傾斜面部3eが面一に接触した状態で、円孔20の垂直面部2jが傾斜面部2eから起立するとともに、それよりもシャフト3の中心軸側でザグリ部3b(シャフト3に形成された溜まり部7の側面部)が傾斜面部3eから起立し、溜まり部7の底面部は傾斜面部2eから形成されている。しかしながら、溜まり部7の底面をシャフト3に形成し、ザグリ部3bがこの底面から起立するように形成してもよい。その場合、この底面が撹拌翼2の内周部2fと連続する。
図3Aに示す例では、シール材5は、溜まり部7内部全体に充填された状態で焼結されている。シール材5は、ネジ部2yとネジ部3xとの嵌合部分よりも上側における撹拌翼2とシャフト3との境界部分に隙間なく充填され、その構成粉末が互いにネッキングすることでシールを形成している。更にシール材5は、溜まり部7外に延出していてもよい。例えば、シール材5は円孔20の上方におけるザグリ部3bの表面に付着されていてもよい。
上述したようにシール材5を構成するセラミックス材料の好ましい例としては、窒化珪素系セラミックスが挙げられる。例えば窒化珪素系セラミックスからなる接着部を形成する場合には、以下のようにする。まず、シャフト3と撹拌翼2とをネジ部3xとネジ部2y同士のねじ込みにより両者を面当たりさせるように、且つ好ましくは、後述する傾斜面部2eと傾斜面部3eとを面当たりさせるように、接続させる。次いで、ザグリ部3bと撹拌翼2の内周部2f(図3Bに示す例では垂直面部2j及び傾斜面部2e)との隙間である溜まり部7に金属Siからなる原料粉末5aを充填させる(図3B参照)。充填後の撹拌翼2及びシャフト3の接続部分を窒素雰囲気下で焼成する。この焼成により金属Siの粉末から窒化珪素を生じるとともに体積膨張が起こるため、ザグリ部3bと撹拌翼2との間に設けられた溜まり部7に窒化珪素のシールが形成され、シャフト3と撹拌翼2との間を隙間なくシールすることができる。
本実施形態では、図3A及び図3Bに示すように撹拌翼2は、X方向におけるネジ部2y及び垂直面部2jの間に、下方に向かい円孔20の外径が小さくなるように傾斜する傾斜面部2eを有する。傾斜面部2eは円孔20の周方向に亘って設けられている。図3Bに示す例では、ザグリ部3bはその下側の一部が円孔20の垂直面部2j及び傾斜面部2eと対向している。
撹拌翼2が傾斜面部2eを有することは、円孔20にシャフト3をねじ込む際に、傾斜面部2eに対してシャフト3の先端をスライドさせながら挿入できるため、シャフト3を円孔20の奥までねじ込みやすく、シャフト3のネジ部3xと撹拌翼2のネジ部2yとの面当たりが確実に行われた状態となり、しっかりと嵌合しやすい。これにより、シャフト3と撹拌翼2との境界部におけるネジ部同士が隙間なく連続した状態がより一層実現しやすい。これに対して図8に示すように、従来の金属溶湯用撹拌体100は、水平面部103g及び水平面部102gにおいてシャフト3と撹拌翼2とを突き合わせていたため、円孔20の奥まで完全にシャフト3が嵌入しにくくネジ部同士の面当たりが不足となる場合がある。
図3A及び図3Bに示すように、シャフト3はその外表面3dにおける、ネジ部3xの上方に隣接する位置に、下方に向かいシャフト3の外径が小さくなるように傾斜する傾斜面部3eを有する。この傾斜面部3eは、ザグリ部3bの下方に隣接する位置であって、撹拌翼2の傾斜面部2eと対向する位置に、シャフト3の周方向に亘り設けられている。傾斜面部2eに加えてこのような傾斜面部3eを有すると、撹拌翼2とシャフト3をねじ込むときに傾斜面部3eが撹拌翼2の傾斜面部2eとスライドして、シャフト3を円孔20の奥までより一層ねじ込みやすく、シャフト3のネジ部3xと撹拌翼2のネジ部2yとの面当たりが確実に行われた状態で、しっかりと嵌合しやすい。このため、傾斜面部3eを有することでより一層、シャフト3と撹拌翼2との境界部におけるネジ部同士の面当たりをより一層容易にしやすい。
上述したシャフト3と撹拌翼2とのねじ込みやすさ等の効果を奏する観点から、傾斜面部2eと縦方向Xに垂直な水平面とがなす角度R1は10°以上60°以下が好ましく、20°以上50°以下がより好ましい。また傾斜面部3eと縦方向Xに垂直な水平面がなす角度R2(図3B)は、120°以上170°以下が好ましく、140°以上160°以下がより好ましい。後述するように傾斜面部2e及び傾斜面部3eを良好に面当たりさせる観点から、R1とR2とは合計で180°となることが好ましい。図3Bにおいて前記の水平面を点線Yで示す。
図3A及び図3Bに示すように、本実施形態においては、金属溶湯用撹拌体1は、シャフト3と撹拌翼2との境界部において、シャフト3の外表面と前記撹拌翼2との間がセラミックス材料でシールされているとともに、縦方向Xにおける溜まり部7とネジ部2yと3xとの間の位置において、傾斜面部3eの一部又は全部が撹拌翼2の傾斜面部2eと面一に接触可能に形成されている。図3A及び図3Bに示す例では、傾斜面部3eの略全体が撹拌翼2の傾斜面部2eと面同士で当接している。このように、シャフト3における溜まり部7とネジ部3xとの間に位置する面と、撹拌翼2における溜まり部7とネジ部2yとの間に位置する面とが面一に接触可能に形成されていると、金属溶湯用撹拌体1の使用時にこれらの面をしっかりと当接させて、両ネジ部2y、3xに負担をかけすぎないため好ましい。このようにすると、ネジ部2y、3xが良好に面当たりした状態をより一層維持しやすいため、ネジ部2y、3x間に隙間をより一層形成しにくい。またシャフト3における溜まり部7とネジ部3xとの間に位置する面と、撹拌翼2における溜まり部7とネジ部2yとの間に位置する面とが面一に接触可能に形成されていることで、ザグリ部3bと撹拌翼2の内周部2fとの間に、焼成前の原料粉末5aをより一層容易に滞留させ、シール性の高い焼成をすることができる。シャフト3と撹拌翼2とは、ネジ部3x及び2yの下端から溜まり部7にかけて、ネジ部3x及び傾斜面部3eと、ネジ部2y及び傾斜面部2eとが互いにX方向に連続的に面同士で接触していることが好ましい。
図3Bに示す例では、撹拌翼2の上端には縦方向Xに対して垂直、又はシャフトの径の外側に向かって傾斜を有する面2hが形成されていることが、シール材5を溜まり部7に滞留させやすいという観点及び窒化された際にシール性の高い焼成をするという観点から好ましい。図3Bに示す例では、シャフト3の中心軸を含む断面において、平坦な面2hと垂直面部2jとが角部を形成している。
次に図4及び図5に基づき、本発明の第2実施形態の金属溶湯用撹拌体10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様の事項は、同じ符号を付して説明を省略し、先の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図4に示すように、金属溶湯用撹拌体10のシャフト3は、通気路4に沿う方向(縦方向X)と交差する方向に分割可能に形成されている。具体的にはシャフト3は、通気路に沿う方向と交差する方向に二以上に分割されており、図4では端部3a付近で二つに分割されている。そして、分割により生じる筒状体である第1分割体31及び第2分割体32のうち最も端部3a側に位置する分割体である第2分割体32が撹拌翼2と一体に形成されている。ここで、一体に形成されているとは、一体に焼成して形成したものであることを指す。一体に焼成して形成する例としては、第2分割体32と撹拌翼2とを、同一の原料を一体に成形し、その成形物を焼成して形成することが挙げられる。
このような金属溶湯用撹拌体10においてもシャフト3と撹拌翼2との境界部において、両者が隙間なく連続しており、該境界部において、金属溶湯が侵入可能な空間を有さない。これにより、シャフト3と撹拌翼2との境界部に金属溶湯が浸入しないため、撹拌体10の耐久性を高められ、長期間使用しても割れやヒビが生じることを防止することができる。
通常、撹拌翼はその焼成前の成形体をマシニング装置により加工されて製造されるところ、シャフト3全体と撹拌翼2とを一体品として成形しようとした場合、得られるであろう成形品は割れにくくなることが期待できるものの、サイズが大きくなり過ぎ、汎用のマシニング装置内に成形体が入らない。また装置を大型のものとして、焼成前の成形体を無理に入れ込んでも、振動の発生等により加工ができない。成形体を焼成し、焼成後に加工する方法もあるが、焼成後セラミックスを研削することは、非常に生産性が悪く、極端にコストが高くなる。このためにシャフト3全体と撹拌翼2とを一体に成形することは、極めて量産性が悪い。一方本実施形態のようにシャフト3の分割体32と撹拌翼2とを一体に成形する場合は、マシニング装置により、この分割体32と撹拌翼2との焼成前の一体成形物を加工できるため、シャフト3と撹拌翼2との境界部に金属溶湯を浸入可能な空間を有しない撹拌体10の製造が、低コストで可能である。
図4に示すように、分割体31及び分割体32は、それらの中心軸が一致するように連結されている。また分割体31及び分割体32の筒状部分は、内径及び外径がそれぞれ略同一である。従って、分割体31及び分割体32はこれを同一の中心軸を有するように連結した場合に外表面3d及び内表面4dが滑らかに連続するように形成されている。分割体31及び分割体32は通常同じ材質のもの、例えば窒化珪素系セラミックスから形成される。
撹拌翼2と一体に形成された第2分割体32は、第1分割体31と、金属溶湯が侵入不能に連結されている。図5に示す例では、分割体31及び分割体32の境界部分の外側に取り付けられて両者を連結する環状材60が設けられている。環状材60は、シャフト3と同一の中心軸を有する筒状に形成されている。環状材60の内径は、シャフト3の外径と略一致するように形成されている。環状材60における内周部にはネジ部60aが形成されている。分割体31における環状材60と対向する外表面にはネジ部31aが形成されている。同様に分割体32における環状材60と対向する外表面にはネジ部32aが形成されている。環状材60のネジ部60a及び分割体31、32のネジ部31a、32aには互いに対応する位置に、相対応するネジ山及びネジ溝が形成されている。図5に示すように、ネジ部31a及びネジ部32aが分割体31及び32における環状材60との対向部分よりも縦方向Xの外側にまで延出していると、分割体31及び32を環状材60を用いてねじ込む際に、ネジ部31a及びネジ部32aのタップ部分に一定の幅を持って締めこむことが可能となる。これにより、31bと32bの面が確実に面当たりし、より着実にシールをすることが容易になる利点がある。環状材60はシャフト3の形成材料と同じ材料で形成されていることが好ましい。
分割体31と分割体32とを接続する際には、例えば分割体31のネジ部31aに対し環状材60のネジ部60aをねじ込んで分割体31に対して環状材60を固定する。次いで、環状材60のネジ部60aに対して分割体32のネジ部32aを、分割体32の上端面32bが分割体31の下端面31bに当接するまでねじ込んで環状材60に対して分割体32を固定する。ネジ部60aをそれぞれネジ部31a及びネジ部32aと面当たりさせることにより、環状材60と分割体31及び分割体32との間に金属溶湯が侵入可能な隙間をなくすことができる。このようにして、分割体32と分割体31とを、金属溶湯が侵入不能に連結できる。
上記に示すように、分割体32の上端面32b及び分割体31の下端面31bは面と面とで接している(面当たりしている)。図5に示す例では、分割体32の上端面32bの全面と、分割体31の下端面31bの全面とが接している。また図5に示す例では、これらの面32b及び31bは何れも縦方向Xに垂直な水平面に形成されている。しかしながら、これらの面31b及び32bは縦方向Xに対して傾斜する傾斜面に形成してもよいし、或いは凹凸を有する面に形成してもよい。また分割体32における上端面32b及び分割体31の下端面31bの間を接着剤で接着してもよい。このような接着剤としては例えばセラミックス粉末をスラリーとした材料が用いられ、その例としては、第1実施形態で用いたシール材と同様のものが挙げられる。
分割体32及び撹拌翼2の一体成形物の縦方向Xの長さL5(図4参照)の金属溶湯用撹拌体10の縦方向Xの長さL4(図4参照)に対する比L5/L4が、一定以下であることで金属溶湯用撹拌体の回転状態が安定しやすくなる。またこの比L5/L4は、一定以上であることがシャフト3を分割体として撹拌翼2と一体化させることによる割れ及びヒビ防止効果を高いものとしやすい。これらの観点から、L5/L4は0.02以上0.4以下であることが好ましく、0.05以上0.2以下であることがより好ましく、0.08以上0.15以下であることが特に好ましい。
また、シャフト3の厚みL6(図5参照)に対する、環状材60の厚みL7(図5参照)の比L7/L6は、一定以上であることにより機械的な破損をより一層防止しやすい利点があり、一定以下であることにより、熱衝撃による破損をより一層防止しやすい利点がある。この観点から、L7/L6は0.5以上1.5以下であることが好ましく、0.8以上1.2以下であることがより好ましい。
また、環状材60の縦方向Xの長さL8(図5参照)は、機械的強度や構造強度を考慮して、15mm以上50mm以下が好ましく、20mm以上30mm以下がより好ましい。
以上、2つの実施形態の金属溶湯用撹拌体を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
例えば、第1実施形態では、ネジ部2y及び3xの上側にシール材5が滞留する縦方向Xに延びる空間を有すればよく、傾斜面部3e及び2eを必ずしも形成する必要はない。
更に、第1実施形態において、ネジ部2yと3xとの間に上記のシール材5と同様の材料を充填させることで更に一層、シャフト3と撹拌翼2との間のシール性を高めてもよい。しかしザグリ部等を用いた溜まり部7を存在させずに、単に、ネジ部2yと3xとの間にシール材としてセラミックス材料を充填した場合は、使用中にセラミックス材料が漏れ出てしまう可能性がある。
また、第2実施形態において、分割体31及び32は、これらの中心軸を一致させて嵌合させる嵌めあい構造を形成できれば、接着剤などを用いて環状材60なしに連結させることもできる。また、環状材60は、シャフト3に外付けする代わりに、シャフト3の内側から分割体同士を連結するものであってもよい。しかしながら、製造のしやすさや金属溶湯が浸入不能に分割体31及び32を連結する点を考慮すれば、環状材60のような外付けの連結用部材を用いることが好ましい。
本発明によれば、吹き込みガスが流通可能な通気路を内部に設けたシャフトと、該シャフトの端部に配設された撹拌翼とを有する金属溶湯用撹拌体における、シャフト及び/又は撹拌翼の割れ及びヒビの発生を効果的に抑制し、耐久性を向上させることができる。

Claims (3)

  1. 吹き込みガスが流通可能な通気路を内部に有するシャフトと、該シャフトの端部に配設された撹拌翼とを有する金属溶湯用撹拌体において、
    前記シャフトは、前記撹拌翼と別部材に形成されており、
    前記シャフトと前記撹拌翼との境界部において、該シャフトと該撹拌翼とが、両者の間に前記撹拌体の外部と連通する隙間が存在しない状態で連続しており、
    前記撹拌体は、前記シャフトと前記撹拌翼との境界部において、該シャフトと該撹拌翼との前記撹拌体の外部と連通する隙間がシール部により封止されており、
    前記シャフトは、前記撹拌翼との接続部における外表面に前記シャフトの直径に対して細径となる部分であるザグリ部が設けられており、前記ザグリ部と前記撹拌翼との隙間に前記シール部が設けられており、
    前記撹拌体は、前記ザグリ部と前記撹拌翼との隙間に、セラミック原料粉末を充填させるための溜まり部を有しており、
    前記シール部は、前記溜まり部に充填されたセラミック原料粉末の焼成体からなる、金属溶湯用撹拌体。
  2. 前記シャフトと前記撹拌翼とが何れもセラミックスからなる、請求項1に記載の金属溶湯用撹拌体。
  3. 前記シャフト前記撹拌翼が何れも窒化珪素系セラミックスであり、前記セラミック原料粉末が窒化珪素系セラミック粉末である請求項に記載の金属溶湯用撹拌体。
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