WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展・進化させるうえでの最初のステップとして、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)と、エンハンストアップリンク(高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)とも称する)とが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保する目的で、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称される新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速伝送ならびに大容量の音声サポートに要求されるキャリアを提供するように設計されている。高いビットレートを提供する能力は、LTEにおける重要な方策である。LTE(ロングタームエボリューション)に関する作業項目(WI)の仕様は、E−UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA):進化したUMTS地上無線アクセス)およびE−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN):進化したUMTS地上無線アクセスネットワーク)と称され、最終的にリリース8(LTEリリース8)として公開される。LTEシステムは、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークであり、IPベースの全機能を低遅延かつ低コストで提供する。詳細なシステム要件は、非特許文献1(3GPPのウェブサイトで自由に入手可能である)に記載されている。
LTEでは、与えられたスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、スケーラブルな複数の送信帯域幅(例えば、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHz)が指定されている。ダウンリンクには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、かかる無線アクセスは、低いシンボルレートのため本質的にマルチパス干渉(MPI)を受けにくく、また、サイクリックプレフィックス(CP)を使用しており、さらに、さまざまな送信帯域幅の構成に対応可能だからである。アップリンクには、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access:シングルキャリア周波数分割多元接続)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、ユーザ機器(UE)の送信電力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるからである。LTEリリース8では、数多くの主要なパケット無線アクセス技術(例えば、MIMO(多入力多出力)チャネル伝送技術)が採用され、高効率の制御シグナリング構造が達成されている。
図1は、LTEの全体的なアーキテクチャを示し、図2は、E−UTRANのアーキテクチャをより詳細に示している。E−UTRANはeNBを備えており、eNBは、ユーザ機器(UE)向けの、E−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルを終端処理する。eNBは、物理(PHY)レイヤ、媒体アクセス制御(MAC)レイヤ、無線リンク制御(RLC)レイヤ、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP)レイヤ(これらのレイヤはユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含む)をホストする。eNBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンクQoS(サービス品質)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号化、ダウンリンク/アップリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元など、多くの機能を実行する。複数のeNBは、X2インタフェースによって互いに接続されている。また、複数のeNodeBは、S1インタフェースによってEPC(Evolved Packet Core:進化したパケットコア)、より具体的には、S1−MMEによってMME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)、S1−Uによってサービングゲートウェイ(S−GW:Serving Gateway)に接続されている。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングして転送する一方で、eNB間のハンドオーバー時におけるユーザプレーンのモビリティアンカーとして機能し、さらに、LTEと別の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカー(S4インタフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)として機能する。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、ダウンリンクデータ経路を終端させ、そのユーザ機器へのダウンリンクデータが到着したときにページングをトリガーする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト(例えばIPベアラサービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。さらに、SGWは、合法傍受(lawful interception)の場合にユーザトラフィックの複製を実行する。
MMEは、LTEのアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのユーザ機器の追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラのアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コアネットワーク(CN)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバー時とに、ユーザ機器のSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN:Public Land Mobile Network)に入るためのユーザ機器の認証をチェックし、ユーザ機器のローミング制約を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/完全性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を行う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インタフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインタフェースを終端させる。
3GPP LTEシステムのダウンリンクコンポーネントキャリアは、いわゆるサブフレームにおける時間−周波数領域でさらに分割される。3GPP LTEで、各サブフレームは、図3に示すように2つのダウンリンクスロットに分割され、そこにおいて、第1のダウンリンクスロットは、第1のOFDMシンボル内の制御チャネル領域(PDCCH領域)を備える。各サブフレームは、時間領域内の所与の数のOFDMシンボルで構成され(3GPP LTE(リリース8)では12個または14個のOFDMシンボル)、各OFDMシンボルはコンポーネントキャリアの帯域幅全体に広がる。したがって、OFDMシンボルは、各々、図3にも示すように、NDL RB×NRB sc個のそれぞれのサブキャリアで送信されるいくつかの変調シンボルで構成される。
例えば3GPPロングタームエボリューション(LTE)において使用されるような、例えばOFDMを使用する、マルチキャリア通信システムを想定すると、スケジューラによって割り当てることができるリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB)は、図3に例示されるように時間領域におけるNDL symb個の連続するOFDMシンボル(例えば、7つのOFDMシンボル)および周波数領域におけるNRB sc個の連続するサブキャリア(例えば、コンポーネントキャリアの12個のサブキャリア)として定義される。したがって、3GPP LTE(リリース8)では、物理リソースブロックは、時間領域における1つのスロットおよび周波数領域における180kHzに対応する、NDL symb×NRB sc個のリソース要素で構成される(ダウンリンクリソースグリッドについてさらに詳しくは、例えば非特許文献2(3GPPのウェブサイトで自由に入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている)の6.2節を参照)。「コンポーネントキャリア」という用語は、いくつかのリソースブロックの組合せを意味する。LTEの将来のリリースでは、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されず、その代わりに、その専門用語はダウンリンクおよびオプションでアップリンクリソースの組合せを示す「セル」に変更される。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との間のリンク付けは、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報において指示される。
セルサーチ手順は、セルラーシステムにおいてモバイルデバイスが最初の電源投入後に実行する最初の一連のタスクである。モバイルデバイスは、サーチ手順および登録手順の後に初めて音声/データの呼を受信および開始することができる。LTEにおける一般的なセルサーチ手順では、キャリア周波数を求め、タイミングを同期させ、一意のセル識別子を識別する。一般にこれらの手順は、基地局(BTS)によって送信される固有の同期信号によって容易になる。しかしながら、これらの同期信号は、モバイルデバイスの接続モードでは継続的に使用されるわけではない。したがって、電力、サブキャリアの割り当て、およびタイムスライスの点で最小限のリソースのみが同期信号用に割り当てられる。
セルサーチ手順によってユーザ機器は、ダウンリンクを復調するためと、アップリンク信号を正しいタイミングで送信するために必要である時間および周波数のパラメータを決定することができる。セルサーチの最初の段階には、初期同期が含まれる。したがってユーザ機器は、LTEセルを検出し、検出したセルに登録するために要求されるすべての情報を復号する。この手順では、各セルの中央の62個のサブキャリアにおいてブロードキャストされる2つの物理信号、すなわちプライマリ同期信号(PSS)およびセカンダリ同期信号(SSS)を利用する。これらの信号によって、時間および周波数の同期が可能となる。ユーザ機器がこれらの信号を正常に検出すると、物理セルIDと、サイクリックプレフィックスの長さと、FDDまたはTDDのどちらが採用されているかに関する情報とが提供される。具体的には、LTEでは、端末が電源投入されたとき、端末はプライマリ同期信号を検出し、このプライマリ同期信号は、FDDの場合、無線フレーム内の最初のサブフレーム(サブフレーム0)の最初のタイムスロットの最後のOFDMシンボルにおいて送信される(TDDの場合、この位置はわずかに異なるが明確に決められている)。これにより端末は、セルに対して選択されているサイクリックプレフィックスとは無関係にスロット境界を取得することができる。移動端末は5ミリ秒のタイミング(スロット境界)を検出した後、セカンダリ同期信号を探す。プライマリ同期信号(PSS)およびセカンダリ同期信号(SSS)のいずれも、DCキャリア前後の72個の予約されているサブキャリアのうちの62個のサブキャリアで送信される。次のステップでは、ユーザ機器は物理ブロードキャストチャネル(PBCH)を検出し、物理ブロードキャストチャネル(PBCH)は、プライマリ同期信号(PSS)およびセカンダリ同期信号(SSS)と同様にセルの中央の72個のサブキャリアのみにマッピングされる。物理ブロードキャストチャネル(PBCH)には、システムリソースに関する情報を含むマスター情報ブロック(MIB)が含まれる。リリース10までのLTEでは、マスター情報ブロック(MIB)の長さは24ビットであった(そのうちの14ビットが現在使用されており、10ビットは予備である)。マスター情報ブロック(MIB)には、ダウンリンクシステム帯域幅、物理HARQインジケータチャネル(PHICH)の構造、およびシステムフレーム番号(SFN)の8個の最上位ビットに関する情報が含まれる。
端末は、セルに最初にアクセスするのに必須である最も頻繁に送信される限られた数のパラメータが含まれるマスター情報ブロック(MIB)を正常に検出した後、システム帯域幅をアクティブにし、すなわち、示されたダウンリンクシステム帯域幅にわたり信号を受信および検出することができなくてはならない。ダウンリンクシステム帯域幅を取得した後、ユーザ機器は、いわゆるシステム情報ブロック(SIB)において、さらなる必要なシステム情報を受信することができる。LTEリリース10では、SIBタイプ1〜SIBタイプ13(特定の動作に要求される異なる情報要素を伝える)が定義されている。例えばFDDの場合、SIBタイプ2(SIB2)には、アップリンクキャリア周波数およびアップリンク帯域幅が含まれる。さまざまなSIBは、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)で送信され、したがって各SIB用のリソースは物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)によって割り当てられる(PDSCHおよびPDCCHの以下の詳細な説明を参照)。端末(ユーザ機器:UE)がこのような(または他の)PDCCHを正しく検出するためには、ダウンリンクシステム帯域幅をMIBから認識しておく必要がある。
上で言及したセル識別子(セルID)は、PLMN(公衆陸上移動網)内でセルを一意に識別する。セル識別子は、運用・保守(OAM)の観点からセルを識別するために使用されるグローバルなセルIDである。このセルIDは、システム情報の中で送信され、コアネットワーク内でのeNodeBの管理用に設計されている。さらに、このグローバルなセルIDは、RRC/NAS層の処理に関連してユーザ機器が特定のセルを識別する目的にも使用される。物理セルIDは、物理層におけるセル識別子である。物理セルIDは、0〜503の範囲であり、モバイルデバイスが異なる送信機からの情報を分離することを支援するためにデータをスクランブルする目的で使用される。プライマリ同期信号およびセカンダリ同期信号のシーケンスは、物理セルIDによって決定される。物理セルIDは、UMTSにおけるスクランブリングコードに似ている。物理層の一意のセルIDは504個ある。物理層セルIDは、168個の一意の物理層セルIDグループに分けられており、各グループは3つの一意のIDを含む。このグループ分けでは、物理層セルIDそれぞれがただ1つの物理層セルIDグループに属する。したがって、物理層セルIDであるNcell ID=3N(1) ID+N(2) IDは、物理層セルIDグループを表す0〜167の範囲内の数N(1) IDと、物理層セルIDグループ内の物理層セルIDを表す0〜2の範囲内の数N(2) IDによって、一意に定義される。
同期信号は、プライマリ同期信号(PSS)およびセカンダリ同期信号(SSS)から構成される。プライマリ同期信号に使用されるシーケンスは、N(2) IDに従って周波数領域Zadoff−Chuシーケンスから生成される。プライマリ同期信号を検出することによって、N(2) IDを検出することができる。セカンダリ同期信号に使用されるシーケンスは、31ビット長の2つの2進シーケンスをインターリーブ式に連結したものである。連結されたシーケンスを、プライマリ同期信号によって与えられるスクランブリングシーケンスによってスクランブルする。セカンダリ同期信号(SSS)シーケンスは、最大長シーケンス(Mシーケンスとして公知である)に基づき、これは長さnのシフトレジスタのすべての可能な状態それぞれを循環させることによって作成することができる。結果として長さ2n−1のシーケンスとなる。具体的には、連結させる2つの31ビット長の2進シーケンスは、このようなMシーケンスである。プライマリ同期信号およびセカンダリ同期信号に関してさらに詳しくは、例えば非特許文献3(3GPPのウェブサイトで自由に入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている)の6.11節を参照されたい。
受信側ユーザ機器は、プライマリ同期信号(PSS)およびセカンダリ同期信号(SSS)を受信した後、タイミングを適合させる。具体的には、ユーザ機器は、自身の受信機を、同期源(eNB)から受信されたダウンリンク送信に同期させる。次いでアップリンクのタイミングを調整する。この調整は、ユーザ機器ごとに異なる伝搬遅延を補正する目的で、受信されたダウンリンクのタイミングを基準とするタイミングアドバンスを、ユーザ機器の送信機において適用することによって実行する。タイミングアドバンス手順は、非特許文献4の18.2.2節に簡潔に説明されている。
近傍性に基づくアプリケーションおよびサービスは、ソーシャル技術の新しいトレンドである。現在の意図されている用途としては、事業者およびユーザにとって関心のある商用サービスおよび公共安全に関連するサービスが挙げられる。近傍サービス(ProSe)機能をLTEに導入することにより、3GPP業界は、この成長の見込まれる市場にサービスを提供することができると同時に、連係してLTEを使用するいくつかの公共安全コミュニティの緊急なニーズに応えることができる。
装置間(D2D)通信は、LTE−Aリリース12における技術要素である。装置間(D2D)通信技術によって、セルラーネットワークに対するアンダーレイ(下層)としてのD2Dにおいてスペクトル効率を高めることができる。例えば、セルラーネットワークがLTEである場合、データを伝えるすべての物理チャネルは、D2DシグナリングにおいてSC−FDMAを使用する。「LTEにおけるD2D通信」は、発見および通信という2つの分野に焦点をあてている。D2D通信では、ユーザ機器は、基地局(BS、eNodeB、eNB)を経由せずに、セルラーリソースを使用して直接的なリンクを通じて互いにデータ信号を送信する。D2Dユーザは、直接通信するが、依然として基地局の制御下にある(すなわち少なくともeNBのカバレッジ内にあるとき)。したがってD2Dでは、セルラーリソースを利用することによってシステムの性能を改善することができる。現在、D2Dは、カバレッジを提供するセルのLTEアップリンクスペクトルにおいて(FDDの場合)、またはアップリンクサブフレームにおいて(TDDの場合、ただしカバレッジ外のときを除く)、動作するものと想定する。さらに、D2D送信/受信では、与えられたキャリアにおける全二重を使用しない。個々のユーザ機器の観点からは、与えられたキャリアにおいて、D2D信号受信とLTEアップリンク送信とによる全二重を使用しない(すなわちD2D信号受信およびLTEアップリンク送信を同時に行うことはできない)。LTEのD2Dの無線アクセスに関する現在のさらなる運用上の想定については、非特許文献5(3GPPのウェブサイトで自由に入手可能である)に記載されている。
D2D通信では、ユーザ機器1が送信の役割であるとき、ユーザ機器1がデータを送り、ユーザ機器2がそれを受信する。ユーザ機器1およびユーザ機器2は、送信の役割と受信の役割を交換することができる。ユーザ機器1からの送信は、1基または複数基のユーザ機器(ユーザ機器2など)によって受信することができる。図4および図5は、ダウンリンク(図4)およびアップリンク(図5)において異なるタイプのチャネルで送信するときの、プロトコル層、サービス点、および多重化を示している。
3GPP RAN1では、運用上の想定として、同期源は、D2D同期信号(D2DSS)を送信する任意のノードであることが合意された。このノードは、eNBまたは通常のユーザ機器とすることができる。同期源がeNBであるときには、D2D同期信号はリリース8のプライマリ同期信号(PSS)およびセカンダリ同期信号(SSS)と同じである。D2Dユーザ機器は、D2D信号を送信するタイミングを、同期信号を使用して決定する。さらに運用上の想定として、D2Dユーザ機器はD2D同期信号の送信を開始する前に同期源をスキャンすることも合意された。同期源が検出された場合、ユーザ機器はD2D同期信号を送信する前に、自身の受信機をその同期源に同期させることができる。同期源が検出されない場合でも、ユーザ機器はD2D同期信号を送信することができる。ユーザ機器は、D2D同期源の変更を検出した場合、D2D同期信号を送信するためのタイミング基準として使用するD2D同期源を、以下のメトリックに基づいて(再)選択することができる。
− 同期源のタイプ(eNBまたはユーザ機器)
− 受信されたD2D同期信号の品質
− eNBからのホップの数
本発明は、無線システムにおける同期信号の受信と、同期信号源の選択とに関し、同期信号の送信機は、基地局などのネットワークノードのみならず、ユーザ機器(端末)など、ネットワークノードではない無線装置とすることができ、ユーザ機器は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、または他のコンピュータとすることができる。さらには、無線装置は、自身のタイミングをネットワークから導く、またはネットワークとは独立して導くことができる。
この文脈における「ネットワークノード」という用語は、セルラーネットワークに接続されている任意のノードとして理解されたい。なお、「セルラーネットワーク」または「セル」という用語は、マクロセル、マイクロセル、ピコセル、フェムトセル、または任意の他のコンセプトを含む、任意の形態のセルを意味することに留意されたい。したがってネットワークノードは、eNodeBなどの基地局、またはネットワークの一部として提供される中継器とすることができる。
本発明の実施形態は、ネットワーク伝送と共存する装置間通信を目的として(すなわち基地局とユーザ機器との間の無線伝送のみならず、無線伝送と同じリソースを共有するユーザ機器間の直接伝送をサポートするシステムにおいて)、複数の同期源から1つの同期源を選択するための効率的な方法を提供し、これは有利である。
以下では、LTE仕様に基づいて実施形態を提示する。しかしながら本発明は、LTEに制限されることはない。本明細書に説明されているコンセプトおよび例は、1つまたは複数のネットワークノードと、ネットワークノードではない1つまたは複数の無線装置(ユーザ機器など)を含む複数の同期源から1つの同期源が選択される、任意の無線システムに適用することができる。無線装置は、自身の同期信号をネットワークから(すなわちネットワークノードから)導く、またはネットワークのタイミングとは独立して同期信号を生成することができる。
ユーザ機器(UE)が装置間(D2D)信号を送信する場合、D2D信号を送信するためのタイミング基準としてユーザ機器がどのD2D同期源を使用するかを決定するための規則は、以下とすることができる。
1. eNodeBであるD2D同期源は、ユーザ機器であるD2D同期源よりも高い優先順位を有する。
2. カバレッジ内ユーザ機器であるD2D同期源は、カバレッジ外ユーザ機器であるD2D同期源よりも高い優先順位を有する。
eNodeBであるD2D同期源、次いでカバレッジ内ユーザ機器であるD2D同期源の順に優先順位を与えた後、D2D同期源を選択する。カバレッジ内ユーザ機器とは、基地局のカバレッジの中に位置しており、したがって自身の同期(タイミング)をネットワークから導くことができるユーザ機器である。カバレッジ外ユーザ機器とは、ネットワークのカバレッジの外側であるユーザ機器である。カバレッジ外ユーザ機器が、自身のタイミングをネットワークのタイミングから導く別のユーザ機器のカバレッジ外でもある場合、そのようなカバレッジ外ユーザ機器は、ネットワークのタイミングとは独立して自身のタイミングを生成する。
D2D同期源の選択手順において、この基準は十分ではなく、なぜなら他の要因(例えば受信されたD2D同期信号の品質、eNBからのホップの数など)が考慮されていないためである。複数の要因に基づく軟基準(soft criteria)は、1つの要因のみに基づくよりも信頼性が高い。
図6は、ネットワークと端末の間の通信と、2基以上の端末間の直接通信の両方をサポートするシステムにおいて通信するときに発生する一般的なシナリオを示している。基地局eNB 610は、楕円601によって示されているカバレッジを有する。eNB 610は、装置間同期信号(D2D同期信号)615を送信し、この同期信号は、このシナリオではリリース8のプライマリ同期信号(PSS)およびセカンダリ同期信号(SSS)と同じ形式を有する。端末620は、ネットワークカバレッジ内ユーザ機器(すなわち基地局610のカバレッジ601の中に位置しているユーザ機器)である。ネットワークカバレッジ内ユーザ機器620は、eNB 610からPSS/SSSを受信し、eNB 610に同期する。eNB 610は、いくつかのネットワークカバレッジ内ユーザ機器(620など)に、D2D同期信号を送信するように要求することができる。したがってネットワークカバレッジ内ユーザ機器620は、点線で示したように、D2D同期信号を送信するようにeNB 610によって設定され、したがってD2D同期信号625を送信する。このようにユーザ機器620も、自身の同期(タイミング)をネットワークから(具体的にはネットワークノード610から)導く同期源である。
さらに図6には、ネットワークカバレッジ外ユーザ機器630も示してある。ネットワークカバレッジ外ユーザ機器(すなわちeNB 610のカバレッジ601の外側に位置する端末)が、ある所定のしきい値、または事前に定義されるしきい値を上回る受信品質を有するD2D同期信号を受信しない場合、このようなユーザ機器は、自身のD2D同期信号を生成して送信する。したがって、たとえネットワーク近傍性(network proximity)が存在しない場合にも、このようなユーザ機器630は装置間通信を行うことができる。この例におけるネットワークカバレッジ外ユーザ機器630は、D2D同期信号615を受信せず、また、ネットワークカバレッジ内ユーザ機器620によってeNB 610から受信されるタイミングに基づいて生成される信号625も受信せず、したがってD2D同期信号615およびD2D同期信号625の受信品質は所定の受信品質しきい値を上回らない。したがってネットワークカバレッジ外ユーザ機器630は、自身のD2D同期信号635を生成して送信する。
さらに図6には、D2Dユーザ機器660(すなわち他の端末と直接通信できるのみならずネットワークとも通信することのできる端末)も示してある。D2Dユーザ機器660は、基地局610のカバレッジ601の外側に位置している。D2Dユーザ機器660は、eNB 610からD2D同期信号615を受信するが、受信品質が低く、すなわち受信されるD2D同期信号615はかなり弱い。D2Dユーザ機器660は、D2D同期信号615とは別に、ネットワークカバレッジ外ユーザ機器630からD2D同期信号635も受信する。これに加えて、ネットワークカバレッジ内ユーザ機器620もD2D同期信号625を送信するため、D2Dユーザ機器660は、eNB 610からD2D同期信号615を直接受信するよりも高い品質を有するD2D同期信号625をさらに受信する。したがってD2Dユーザ機器660は、次の3つの同期源からD2D同期信号615,625,635を受信する。
− eNB 610: 対応するD2D同期信号615は極めて弱いが、eNBから直接であり、すなわちD2Dユーザ機器660と同期源610との間にはホップが存在しない。
− ネットワークカバレッジ内ユーザ機器620: 対応するD2D同期信号625は強く、ネットワークを生成元としているが、eNB 610によって表されるネットワークからD2Dユーザ機器660までの間に1つのホップ(ネットワークカバレッジ内ユーザ機器620)が存在する。
− ネットワークカバレッジ外ユーザ機器630: 対応するD2D同期信号635も強いが、ネットワーク(すなわちこの場合にはeNB 610)を生成元としていない。
上の状況に基づいたときの問題は、D2Dユーザ機器660が自身の受信機(もしくは送信機またはその両方)を同期させるために、どの同期源を選択するべきかである。すなわち、信号は極めて弱いがホップが存在しないeNB 610か、信号は強いがいくつかの(この場合には1つの)ホップが存在するネットワークカバレッジ内ユーザ機器620か、信号は強いがホップが不明である(信号はネットワークを生成元としていない)ネットワークカバレッジ外ユーザ機器630か、である。
この問題の1つの可能な解決策は、eNBから導かれる(かつeNB 610またはユーザ機器620によって送信される)D2D同期信号615およびD2D同期信号625には、ネットワークのタイミングとは独立してD2D同期信号635を生成したユーザ機器(630など)から受信されるD2D同期信号よりも高い優先順位をつねに割り当てることである。しかしながら、このような直接受信される同期信号、またはネットワークを生成元とする同期信号は、一般的には最も正確な同期信号ではあるが、次の問題が生じうる。
− eNB 610から直接受信される信号615、またはそのような信号から導かれる信号(例えば信号625)が、ユーザ機器(630など)によって生成されてそのユーザ機器から受信される信号よりもずっと弱いことがあり、したがって信頼性も低いことがある。
− eNB 610から導かれた信号が、eNBからさまざまな数のホップを通過することがあり、受信信号の強度が変わりうる。
したがって、ユーザ機器が同期源をどのように選択するべきかに関する、より明確かつ効果的な規則を与える何らかの拡張された原則は、有利である。
3GPP RAN1においてLGE社による寄稿(非特許文献6)がなされ、次の規則が提案されている。すなわち、予備選択の基準として、D2D同期信号の品質を使用する。信号品質の最小要件を満たしていないD2D同期信号は、選択規則を適用することなく、さらなる選択手順からあらかじめ除外する。予備選択を通過したD2D同期信号に対して、同期源のタイプの優先順位またはホップカウントの優先順位のいずれかを使用する。例えばユーザ機器は、eNBを生成元とするD2D同期信号を、ホップの数にかかわらずつねに選択する。その一方で、いずれのD2D同期信号も信号品質の要件を満たさない場合、同期源のタイプおよびホップカウントにかかわらず、信号品質が最も高いD2D同期信号を選択する。この方法の問題点として、例えば、D2D同期信号が信号の最小要件をいったん満たせば、選択規則において信号の品質が考慮されない。2つの信号がいずれも信号の最小要件を上回るが、一方の信号が他方の信号よりもずっと強い場合であっても、ずっと強い方の信号が選択プロセスにおいて有利であることはない。eNBを生成元とするD2D同期信号が、ネットワークカバレッジ外ユーザ機器からのD2D同期信号よりもずっと品質が低いにもかかわらず、両方のD2D同期信号が予備的な要件を満たす場合、ユーザ機器はeNBを選択するということが起こりうる。さらに、すべてのD2D同期信号が信号の要件を下回るときには、信号の品質のみが考慮される。このため、ネットワークカバレッジ外ユーザ機器からの信号の品質がeNBからの信号の品質よりもわずかに良好であるにすぎない場合でも、ユーザ機器はネットワークカバレッジ外ユーザ機器を選択する。
この場合に設計の目標は、同期源を選択するときにより多くの要因を考慮し、最も信頼性の高い同期源を選ぶ(すなわち同期信号の選択の有効性を改善する)ことである。これを達成する目的で、次の要因、すなわち、生成元の同期源のタイプ、受信信号の品質、eNBからカウントされるホップカウント、のうちの少なくとも2つを考慮する優先順位関数を提供する。したがってユーザ機器は、優先順位値が最も高い同期源を、最も信頼性が高い同期源として選択する。
したがって、本発明の実施形態によると、同期信号受信機であって、ネットワークノードを生成元とする信号を送信する同期源と同期生成無線装置を少なくとも含む複数の異なる同期源から所定の同期信号を受信する同期信号受信ユニットであり、無線装置がネットワークノードではなくユーザ機器である、同期信号受信ユニット、を備えている、同期信号受信機、を提供する。さらに、この同期信号受信機は、同期信号の受信元である同期源それぞれの各メトリックを求めるメトリック計算ユニット、をさらに含む。メトリックは、受信された同期信号の品質、同期源のタイプ(すなわち同期源が、ネットワークノードを生成元とする信号を送信する同期源であるのか、同期信号を生成する無線装置であるのか)、ネットワークノードまでのホップの数、のうちの少なくとも2つに基づく。さらに、同期信号受信機は、メトリックに従って同期源を選択する同期源選択ユニットと、同期源選択ユニットによって選択された同期源の同期信号に従って、データの送信もしくは受信またはその両方のタイミングを調整するタイミングユニットと、を備えている。
上述した同期信号受信機は、端末または任意のユーザ機器などの無線通信装置の一部を形成していることが有利である。しかしながら、同期信号受信機は中継器とすることもでき、これは特に移動中継器の場合に有利であり得る。なお、たとえ本明細書において実施形態がLTEシステム(すなわち移動通信システム)の文脈で説明されている場合でも、本発明はそれに限定されないことに留意されたい。そうではなく、本発明は、マルチキャスト/ブロードキャスト受信機にも適用することができ、マルチキャスト/ブロードキャスト受信機は、自身の受信タイミングを本発明に従って適合させることができる。マルチキャスト/ブロードキャスト受信機は、LTE標準規格に基づいて動作することもできる。しかしながら本発明は、デジタルビデオブロードキャスティングなど他のシステムにおいて適用することもできる。
同期信号は、このような信号の両方の側、すなわち受信機および送信機(同期源)において既知である所定の信号である。同期信号、またはそれらの予期される特性もしくはリソースまたはその両方は、一般には標準規格に指定される。同期信号は、固定的に事前に定義する、または例えば背景技術に関連して上述したLTEのプライマリ同期信号(PSS)およびセカンダリ同期信号(SSS)の場合のように、一連の利用可能な同期信号から選択可能(決定可能)であるようにすることができる。同期源は、基地局、中継器、ユーザ機器など、同期信号を送信する任意のエンティティである。
選択ユニットは、メトリックに基づいて同期源を選択する。例えば、最も高い信頼性を示すメトリック値を有する同期源を選択するように、選択ユニットを構成することができる。このような選択は、例えば、同期源を評価する場合に複数のメトリック値のうち最も高いメトリック値を有する同期源を選択することによって、実行することができる。しかしながら、メトリックの設計によっては、最も信頼性が高い同期源を、最も高いメトリック値ではなく最も低いメトリック値に対応させることができる。このような場合、最小のメトリック値を有する同期源が選択される。しかしながら、一般的に選択ユニットは、メトリックに従って任意の方法で選択を実行できることに留意されたい。
さらに、所望の送信の開始時に選択を実行することに限定されない。そうではなく、適切な同期源が使用されているかをチェックする目的と、同じ同期源または別の同期源を再選択する目的で、選択を定期的に実行することができる。
タイミングユニットは、選択された同期源から受信された同期信号からタイミングを導く。このタイミングを使用して、データの送信タイミングまたは受信タイミングを決定または調整することができる。データの送信タイミングまたは受信タイミングは、同期信号の受信タイミングと同じとする、または、受信タイミングから一定のオフセットあるいは設定されるオフセットを差し引いたタイミングとすることができる。ユーザ機器は、同期源の最初の(初期)選択時には、受信された同期信号に従って自身のタイミングを決定する。再選択(初期選択の後に実行される選択)時には、ユーザ機器は自身のタイミングを決定する代わりに、自身のタイミングを新しい同期源に従って単に調整することができる。ここで、同期源の初期選択とは、例えばユーザ機器が電源投入されたときの選択とすることができる。タイミングユニットは、受信のタイミングと送信のタイミングを異なる方法で導くことができる。例えば、受信のタイミングは、受信された同期信号のタイミングとしてそのまま決定することができるのに対して、送信の場合、タイミングアドバンス(すなわち受信タイミングを基準としたときのオフセット)を適用することによってタイミングを決定することができる。このようなオフセットは、LTEの場合と同様に決定することができる。さらに、送信タイミングを、受信された同期信号のタイミングとしてそのまま決定する、または事前に定義されるオフセットを適用することによって決定することもできる。しかしながら本発明は、これらの例に限定されず、一般的には、タイミングユニットは同期信号から任意の方法でタイミングを導くことができる。
メトリック取得ユニットは、受信された同期信号の品質と、ホップの数もしくは同期源のタイプまたはその両方に基づいて決まる選択バイアスとの組合せとして、メトリックを求めるように構成されていることが有利であり、この場合に同期源のタイプは、ネットワークを生成元とする同期信号を送信する同期源またはネットワークとは独立した同期源(例えばネットワークからの支援なしに同期信号を生成する無線装置)のいずれかである。
例えば、優先順位関数(すなわちメトリック)は、受信信号の品質と、導かれた優先順位バイアス(選択バイアス)の合計とすることができる。受信信号の品質は、例えば、同期信号の受信機において測定する。信号の品質の測定は、任意の方法で(例えば同期信号に基づいて)実行することができる。したがって同期源は、信号を所定のリソースにおいて所定の電力で送信する。リソースおよび電力は、受信信号の電力を測定する受信機において認識されており、受信信号の電力をそのまま品質パラメータとすることができる。しかしながら、メトリックにおいて使用される品質パラメータを、測定される受信信号の電力の関数として求めることもできる。品質パラメータを、送信信号と受信信号の比または差(信号の劣化を示す)とすることができる。さらに、測定を、LTEにおいて実行されるCRS(セル基準信号)の測定に対応させることもできる(非特許文献7)。
次に、選択バイアス(受信信号の品質のオフセット)を、ホップの数および同期源のタイプに基づいて求める。同期源のタイプとホップカウント値の何らかの組合せに対応する選択バイアス値を、仕様の中に定義することができる。1つの定義方法として、テーブルを通じて定義する。具体的には、所定の選択バイアス値とホップの数との間の対応関係に従って選択バイアスを求めるように、メトリック取得ユニットを構成することができる。このような対応関係はテーブルとすることができ、テーブルは、ホップの数と同期源のタイプの特定の組合せをバイアスの特定の値に関連付ける、受信機に格納される参照テーブルとすることができる。これに代えて、ホップの数および同期源のタイプのうちの一方のみに基づいて、バイアスを求めることができる。このような場合、参照テーブルは、ホップの数のみを特定のバイアス値に関連付ける。あるいは、バイアス値が同期源のタイプのみに依存するようにすることができる。このような例では、テーブルは、同期源のタイプ(ネットワークを生成元とする同期信号を送信する同期源、ネットワークとは独立した同期源)を、選択バイアスの特定の値に関連付ける。
なお、上記のオフセットは、正のオフセット(ボーナス)とすることができる。例えば、同期源がネットワークノード(例えば基地局、あるいは自身の同期信号をネットワークから導くユーザ機器)である場合、オフセットは正の所定の値である。同期源が、ネットワークとは独立したユーザ機器である場合、オフセットの値は、ネットワークノードの場合のオフセットの値よりも小さい。この値を0とすることもできる。さらに同期源のタイプとして、ネットワークノードである同期源と、自身の同期信号をネットワークの(すなわちネットワークを生成元とする)同期信号から導く無線装置である同期源とを区別することもできる。
しかしながら本発明は上記に限定されず、これに代えてオフセットを負のオフセット(ペナルティ)とすることができる。したがって、同期源のタイプとホップの数の異なる組合せに、異なるペナルティ値が関連付けられる。これに代えて、同期源のタイプごとに個別に、かつホップの数ごとに個別に、ペナルティ(またはボーナス)を定義することができる。さらにこれに代えて、ホップの数のみに対して、または同期源のタイプのみに対して、ペナルティを定義することができる。
同様に、ペナルティまたはボーナスをホップの数に基づくようにすることができる。ホップの数は、以下のようにすることができる。
− (同期源の所定の最大ホップ数から開始して)同期源までカウントダウンする
− (例えば同期源において0から開始して)同期源からカウントアップする
言い換えれば、eNBからのホップカウントは、eNBを起点として増えていくホップカウント、または減っていくホップカウントとして表すことができる。
例えば、eNBからカウントアップすることは、eNB 610が同期信号の生成元である場合、(信号615の場合のように)同期信号の受信側ユーザ機器660の方向に0個のホップが存在することを意味する。ネットワークカバレッジ内ユーザ機器620が同期信号の生成元である場合、(信号625の場合のように)eNB 610から受信側ユーザ機器660までの間に1つのホップが存在し、この1つのホップがネットワークカバレッジ内ユーザ機器620である。eNB 610と受信側ユーザ機器660との間にさらなるホップが存在してもよい。これらのいずれの場合も、同期信号の元の生成源はeNB 610であり、620などのホップは、同じ同期信号を送信する、またはeNB 610から受信された元の同期信号に基づいて再構築された同期信号を送信するにすぎない。元の生成源(この場合にはネットワークノード同期源eNB 610)からホップをカウントアップするときには、ホップの数は正または0となる。
しかしながら、これに代えて、同期信号受信機から同期源までホップをカウントダウンすることができる。具体的には、同期信号がeNB 610からユーザ機器660によって直接受信される場合(信号615)、eNBから受信側ユーザ機器までのホップの数を、そのネットワークノード(eNB 610)に対してサポートされる最大ホップ数NHmaxに設定することができる。異なるネットワークノードは、異なる最大ホップ数を有することができる。例えば、マクロeNBは、マイクロeNBよりも大きいホップ数を有し、なぜならマクロeNBの方がタイミングおよび周波数の精度が高いためである。カウントダウンの利点として、eNBの最大ホップ数が設定可能である場合に、ユーザ機器は最大ホップ数を認識する必要がない。同期信号受信装置660がユーザ機器620から同期信号625を受信する場合、eNB 610からカウントダウンされるホップカウントは、受信側ユーザ機器660においてNHmax−1である。上の例と同様に、ネットワークノードを生成元とする同期信号を受信してそれをさらに送信する(または受信した同期信号から再構築された同期信号を送信する)2基以上の装置(元の生成源610と受信側ユーザ機器660との間に位置している)に対応して、ホップの数はさらに小さくなりうる(NHmax−2,NHmax−3,…,0など)。言い換えれば、ホップをカウントダウンするときには、対象のeNB 610に対してあらかじめ決められている最大ホップ数から開始する。特に、異なるeNBの最大ホップ数を、異なる値として設定/決定することができる。eNBの所定の最大ホップ数は、ネットワークによって設定することができる。ユーザ機器は、最大ホップ数に関する情報を、eNBからのシグナリングを介して取得する。このシグナリングは、D2D制御チャネルまたはブロードキャストシグナリングを介して、または同期信号の中で、実行することができる。
上述した増えていくホップカウントが使用される(すなわちホップカウントがネットワークノードにおける0から始まる)場合、ホップカウントが増すとバイアス値が減少するように優先順位バイアス関数を設定することが有利である。これに対して、減っていくホップカウントが使用される(すなわちホップカウントがネットワークノードにおけるNHmaxから始まる)場合、ホップカウントが大きいほどバイアス値が増大するように優先順位バイアス関数を設定することが有利である。ここで、「優先順位バイアス関数」という用語は、ホップカウントの値(ホップのカウント)にバイアスの値を関連付ける関数または規則を意味する。
選択オフセット(バイアス)と、ホップの数もしくは同期源のタイプまたはその両方との間の対応関係の上述した例は、本発明を制限することを意図していない。別の例によると、ペナルティとボーナスを組み合わせることもできる。例えば、同期源としてのネットワークノードにボーナスを与える一方で、それ以外の同期源にはボーナスを与えず、かつ正のホップ数に対してペナルティを与える、またはこの逆とすることができる。
ボーナス、同期源のタイプ、およびホップカウントの間の関係は、上述したように参照テーブルによって定義することができる。このテーブルは、標準規格の中に指定することができる(すなわち事前に定義することができる)。これに代えて、ペナルティまたはボーナスを、特定の関数に基づいて計算することができる。例えば、ペナルティを、(カウントアップされる)ホップの数に比例させることができ、例えばペナルティの値をホップの数の2倍とすることができる。これに代えて、関数を、カウントダウンされるホップの数に対する反比例とすることができる。しかしながら、これは一例にすぎず、関数は、単純な乗算ではない別の形式または2以外の乗数を有することができる。具体的な関数(およびテーブルの値)の選択は、メトリックに対するホップの数もしくは同期源のタイプまたはその両方の所望の影響の大きさによって決まる。
要約すれば、バイアスは、同期信号の生成元である無線装置よりも、同期信号の生成元であるネットワークノードに対して高い値(ボーナスまたはペナルティ)として求められることが有利である。これにより、ネットワークノードとは独立している(すなわち自身の同期信号がネットワークから導かれない)無線装置よりも、ネットワークノードを同期源として優先させることが可能となる。このような優先性は有利であり、なぜなら一般的にD2D通信およびネットワーク−装置間通信では同じ帯域幅および時間を使用することが予期されるためである。したがって、ネットワークのタイミングを用いてタイミングを調整することは、干渉を低減して受信品質を改善することを支援する。さらには、ネットワーク−装置間伝送とD2D伝送の間の何らかの調整をネットワークによって実行することができる。
これに代えて、またはこれに加えて、バイアスを、ネットワークノードと同期信号受信装置との間のホップの数が増すにつれて減少する値(ボーナスまたはペナルティ)として決めることができ、この場合にホップの数は正の整数である。あるいはバイアスを、ネットワークノードと同期信号受信装置との間のホップの数が増すにつれて増大する値として決めることができ、この場合にもホップの数は正の整数である。これら2つの可能な方式は、同期信号受信装置がネットワークノード同期源に近い場合にはメトリックの値を大きくし、同期信号受信装置がネットワークノード同期源から遠い場合にはメトリックの値を小さくすることを意図している。このとき近傍性は、同期信号の生成元であるネットワークノードと同期信号受信装置との間のノード(無線装置)の数によって表される。
図7は、本発明の実施形態を示しており、eNB 710は、楕円701によって示されているカバレッジを有する。D2Dユーザ機器770は、eNB 710からの同期信号715を−100dBmの受信信号品質で受信する。さらに、D2Dユーザ機器770は、eNB 710を生成元とする同期信号725を、ネットワークカバレッジ内ユーザ機器720によって形成されているホップを通じて、−80dBmの受信信号品質で受信する。さらに、D2Dユーザ機器770は、ネットワークカバレッジ外ユーザ機器730からの同期信号735を、−78dBmの受信信号品質で受信する。したがって、受信信号の品質のみに従って同期源を選択すると、ネットワークカバレッジ外ユーザ機器730が選択され、なぜならネットワークカバレッジ外ユーザ機器730が最も高い受信信号品質を有するためであり、その次がユーザ機器720であり、最後にeNB 710である。しかしながらこの実施形態では、これとは異なる方法で同期源の選択を実行する。図7の下側のテーブルは、ボーナス値(3番目の列)と、同期源のタイプ(最初の列)およびホップカウント(2番目の列)の組合せとの間の対応関係を示している。元の生成源のタイプは、eNB 710か、同期信号をネットワークノードから導かない無線装置(すなわちこの例ではネットワークカバレッジ外ユーザ機器730)のいずれかである。この例において区別されるホップの数は、0、1、または2以上である。選択バイアスは、この場合、同期源のタイプおよびホップの数に応じて値10、6、3、または0をとるボーナスである。具体的には、同期源が無線装置730である場合、ホップの数にかかわらず、受信信号の品質(電力)にボーナスは加算されない(値0のボーナスが加算される)。なおこれらの例においては、無線装置730が同期信号を生成する。しかしながら一般的には、何らかの別の無線装置によって同期信号を生成することもでき、したがってその同期源のタイプにおいてはホップの数を区別することもできる。
図7における同期源の場合、それぞれのメトリックは次のように計算される。
− eNB 710: −100dBmの受信信号電力にボーナス値10が加算され(テーブルの最初の行における、ホップの数が0、同期源がeNB)、結果としてメトリック値は−90である。
− ユーザ機器720: −80dBmの受信信号電力にボーナス値6が加算され(テーブルの2番目の行における、ホップの数が1、同期源がeNB)、結果としてメトリック値は−74である。
− ユーザ機器730: −78dBmの受信信号電力にボーナス値0が加算され(テーブルの最後の行における、ホップの数が任意、同期源がユーザ機器)、結果としてメトリック値は−78である。
したがって、最も高い受信品質−74を有する同期源がユーザ機器720であり、その次がユーザ機器730、そしてeNB 710である。したがって、ネットワークカバレッジ内ユーザ機器720が最も高いメトリック値を有するため、D2Dユーザ機器770は同期源としてネットワークカバレッジ内ユーザ機器720を選択する。この例では、ホップカウントにカウントアップ方式が使用されている。
メトリックを導くことができるようにする目的で、同期信号の受信側ユーザ機器は、同期源のタイプおよびホップの数に関する情報を、同期信号を送信するホップから取得することが有利である。これは、同期源がユーザ機器(ネットワークを生成元とする同期信号またはネットワークとは独立した同期信号を送信する)である場合、D2D同期信号またはD2D同期制御チャネルを復号することによって実行することができる。同期源がeNBである場合、これらの情報は同期信号の中のセルIDによってすでに伝えられており、すなわちセルIDに基づいて同期源がeNBであることが明らかであり、したがってホップの数は0(または適用されるホップカウント方式によってはNHmax)である。同期源のタイプおよびホップカウントに基づくテーブルを使用することによって選択バイアス値を求める代わりに、D2D同期信号を介して、またはD2D制御チャネルなどの制御チャネルを介して、バイアス値を直接示すことができる。言い換えれば、選択バイアスは、それぞれの同期源から送信されるシグナリング情報の中で受信することによって求められる。このようにすることで、バイアス値を決定するうえでの柔軟性が高まり、また、受信機において計算したりテーブルを参照する必要がない。例えば、図7におけるユーザ機器720は、D2D同期信号、またはD2D制御チャネルなどの制御チャネルを通じて、ボーナス値6を直接示す。
上述した割当てテーブルは、同期信号受信装置に対して、制御シグナリングによって設定することができる。例えば、図7のテーブルをRRCシグナリングを介して受信側装置(ユーザ機器)に送信することができる。これに代えて、デフォルトのテーブルを適用することができ、さらに、ネットワークとのRRC接続が確立された後、修正されたテーブルを送信することが可能である。別の代替方法として、仕様に複数のテーブルを事前に定義する。テーブルの選択は、eNBのタイプに基づく、または上位層のシグナリングによって設定することができる。
本発明の別の実施形態によると、メトリック取得ユニットは、受信された同期信号の品質と、同期源がネットワークノードであるのか無線装置であるのかを表す数と、ネットワークノードまでのホップの数との線形結合として、メトリックを求めるように構成されている。
具体的には、関数は次式によって定義することができる。
M=a*T+b*H+c*Q
式中、Tは生成元の同期源のタイプであり、例えば元の生成源がeNBである場合にはT=1、そうでない場合にはT=0である。Hはホップのカウント(すなわち同期信号の生成元と同期信号を送信するホップとの間のホップの数)であり、これは同期信号の生成元と同期信号受信機との間のホップの数を示すものと考えることもできる)である。Qは信号の品質であり、例えば、受信信号の電力(単位:dBm)によって表すことができる。a,b,cは、上記の3つのパラメータT,H,Qそれぞれを重み付けるための重みである。これらの重みa,b,cは、一般的には実数とすることができる。しかしながら実装を単純化する目的で、重みを整数とすることもできる。なお、信号の品質は、測定された受信電力をそのまま信号品質とする必要はない。これに代えて、測定された信号電力に基づいて求められる事前定義されたレベル数によって、受信品質を表すことができる。例えば、dBm値に応じた複数の異なる区分(例:「極めて良好」、「良好」、「普通」、「不良」、「極めて不良」)を定義することができる。これらの区分は整数によって表すことができ、上の等式を計算するうえでは整数の方が容易である。例えば、極めて良好な品質に数5を割り当て、良好な品質に数4、普通の品質に数3、不良な品質に数2、極めて不良な品質に数1を割り当てることができる。
例えば、重み係数aは、eNBから導かれるD2D同期信号が、それ以外の同期源から導かれるD2D同期信号よりも高い優先順位を有するため、正の整数である(a>0)ことが有利である。重み係数bは、ホップカウントがeNBからカウントアップされる場合には負数である(b<0)ことが有利であり、ホップカウントがカウントダウンされる場合にはb>0であることが有利である。また、受信信号の品質が高いほど、メトリック値も高いべきである。したがって、上にも例示したように受信品質がdBm単位で表される場合にはc>0であり、なぜならこのような場合には受信品質は負数であり、すなわち品質値は高いほど良好である。c<0(例:−1)とすると、−100dBmの方が−90dBmより良好となってしまう。受信品質が負数である場合、メトリックM<0とすることができる。しかしながら、これらは例にすぎない。当業者には明らかであるように、メトリックは、同期源の信頼性を表すように設計するべきである。ホップのカウントアップ/カウントダウンを使用する、あるいはパラメータT,H,Q(したがって重み係数a,b,c)として正/負の値を使用するなどの具体的な設計は、任意の方式で実施することができる。
重み係数、したがってメトリックを、各ユーザ機器(受信側装置)ごとに設定することができる。ネットワークカバレッジ外ユーザ機器に対しては、重みa,b,cは、OAMを通じて事前に設定する、またはネットワークカバレッジ内ユーザ機器によってD2D制御チャネルを通じて転送することができる。
ネットワークカバレッジ内ユーザ機器に対しては、重み係数a,b,cは、事前に設定する、またはeNBによって設定することができる。eNBによって設定することは有利であり、例えばRRCシグナリングまたは他の制御シグナリングによって実行することができる。
メトリックが設定可能であることの利点として、各ユーザ機器に異なるメトリックを設定することができる。ユーザ機器にデータが転送される場合、このようなユーザ機器はそのeNBに同期することが有利である。この場合、そのユーザ機器には、他のユーザ機器よりも大きい重み係数を設定することができる。また、ユーザ機器の受信能力(低品質の信号を検出/復号する能力)が低い場合、このようなユーザ機器は、最も高い信号品質を有するD2D同期信号に同期することが有利である。このようなユーザ機器に対しては、受信能力が低くない他のユーザ機器よりも重み係数cを大きい値に設定することができる。
要約すると、線形結合は、M=a*T+b*H+c*Qとして定義されることが有利であり、式中、Tは同期信号の生成元であり、Hはホップの数であり、Qは受信信号の品質であり、a,b,cは重み係数である。メトリック取得ユニットは、重み係数a,b,またはcを、ネットワークノードから送信されるシグナリング情報の中で受信することによって求めるように構成されている。
本発明の別の実施形態によると、同期源選択ユニットは、不適格なD2D同期信号を除外する予備的ステップを実行するようにさらに構成されている。具体的には、予備的ステップでは、選択の対象として考慮される一連の同期源から不適格な同期源を除外することができる。予備選択を通過するD2D同期信号についてのみ、信号品質およびバイアスに基づいて、または上述した線形のメトリックに基づいて、メトリックを求め、そのメトリックに基づいて同期源を選択する。すなわち、予備的な除外ステップにおいて除外された同期源は、もはや同期源として考慮されない。
同期信号受信装置に関する本発明の実施形態によると、この同期信号受信装置においては、同期源選択ユニットは、ネットワークノードまでのホップの数が所定のホップしきい値を超えている同期源を一連の候補から除外することによって、同期源の事前選択を実行するように、構成されている。例えば、所定のしきい値を3とすることができ、このことは、(ホップをカウントアップする場合には)ホップカウントが4以上であるホップが、さらなる選択から除外されることを意味する。しかしながらこれは一例にすぎず、しきい値は別の値(例えば1、2、4、または5以上)をとることもできる。
ホップの数に基づく事前選択に代えて、またはこのような事前選択に加えて、一連の候補同期源から、信号品質が所定の品質しきい値を超えていない同期源を除外することによって、同期源の事前選択を実行することができる。所定のしきい値は、例えば−100dBmとすることができる。したがって、受信された同期信号の電力が−100dBm未満であるホップ(同期源)は、さらなる選択から除外される。しかしながら、−100dBmという値は一例にすぎず、しきい値は別の値(例えば−110dBm、−105dBm、または任意の他の値)をとることができる。さらには、元の生成源のタイプに応じて、しきい値を異なる値に設定することが有利であり得る。具体的には、ネットワークに属さない同期源(ネットワークカバレッジ外ユーザ機器730など)に対しては、品質しきい値を高くすることができ、このことは、事前選択を通過するためには、このようなユーザ機器からの信号は、自身の信号をネットワークからの同期信号に基づいて決定する同期源(eNB 710やネットワークカバレッジ内ユーザ機器720)よりも高い品質を有する必要があることを意味する。
この実施形態においては、メトリック取得ユニットは、同期源選択ユニットによって実行される事前選択の後に一連の候補同期源に残っている同期源についてのみ、メトリックを求めるように構成されている。ここで「一連の候補同期源」という用語は、同期信号受信装置によって同期信号が受信される同期源を意味する。
事前選択の利点の1つとして、品質の低いD2D同期信号が選択されない。したがって、信頼できない同期源が選択されることを、そのような同期源のメトリックを求めることなく回避することができる。したがって、このようにして選択を単純化することができる。
メトリックの取得および同期源の選択を実行する方法に関する上述した実施形態は、履歴(hysteresis)を用いて同期源の再選択を制御することによって、さらに改良することができる。具体的には、同期信号受信装置は、複数の異なる同期源から同期信号を受信する。同期信号受信装置は、受信元の同期源のメトリックを求め、それに従って信頼性の最も高い同期源を選択することによって、同期源の再選択を定期的に実行することができる。受信信号の品質が相当に変動する場合、このような定期的な再選択によって同期源が頻繁に変わることがある。このようなピンポン現象を回避する目的で、履歴を追加することが有利である。すなわちユーザ機器は、同期源を選択したとき、その同期源を特定の期間にわたり維持し、したがってユーザ機器は同期源を頻繁には変更しない。このことは、同期源の安定性を支援する。最良の同期源が選択されるように、履歴は時間とともに減少する。
さらに、同期信号受信装置は、再選択タイマーおよび選択制御ユニットを備えていることができ、選択制御ユニットは、再選択タイマーに従って、メトリックを求めるようにメトリック取得ユニットを制御し、かつ同期源を選択するように同期源選択ユニットを制御する。例えば端末は、同期信号の受信元の同期源を10秒ごとに評価することができる。この評価では、上述したようにメトリックを求める、または計算して、最良の同期源(すなわち最も高いメトリックの値を有する同期源、または一般的には、最良の同期源であることを示すメトリックの値を有する同期源)を選択する。これにより同期信号の受信機(例えば端末、より一般的にはユーザ機器)は、変化しうる伝送環境に対して同期源を定期的に適合させることが可能となる。なお、再選択の周期として10秒という上の例は一例にすぎず、異なる値(例:1秒、2秒、5秒、15秒、または任意の他の周期)に設定できることに留意されたい。再選択タイマーの値は、一定とする、またはeNBなどのネットワーク(ノード)によって上位層プロトコルにより設定可能とすることもできる。タイマーが設定可能である利点として、ユーザ機器の伝送環境に対して再選択動作を適合させることができる。ユーザ機器が移動中である場合、チャネル品質がより頻繁に変動することがあり、したがって、より短い再選択周期を設定することが有利である。これに対して、ユーザ機器が(現在)移動しておらず環境が大きくは変化していない場合、再選択周期をより長く設定する(再選択周期を大きくする)ことが有利であり得る。
さらに、同期信号受信装置は、新しい同期源が選択された時点で起動して所定の履歴期間の後に切れる履歴タイマーを備えていることが有利であり、この場合、再選択タイマーを所定の再選択周期に設定する。再選択周期は、ネットワークからの(例えば基地局(eNB)などのネットワークノードからの)制御シグナリングの中で、同期信号受信装置によって受信することができる。選択制御ユニットは、履歴タイマーが切れている場合には、再選択タイマーが切れた時点で、メトリックを求めるようにメトリック取得ユニットに命令し、そのメトリックに従って同期源を選択するように同期源選択ユニットに命令する。履歴タイマーが切れていない場合には、再選択タイマーが切れた時点で、メトリックに従って同期源を選択しないように命令する。したがって履歴タイマーは、同期源の頻繁な変更を回避することを支援する。
所定の履歴期間は、時間とともに減少することが有利である。特に、履歴期間は、再選択タイマーが切れた回数が増えるにつれて減少することができる。
現在の同期源の受信信号の品質が特定の期間にわたり特定のしきい値を下回ったときに、再選択をトリガーすることもできる。このことは、同期源が突然に消失する、または同期源からの信号の品質が急激に低下することを回避するうえで有利である。
上の実施形態において説明した本発明の利点として、受信品質のみに基づくのではなく、同期源のタイプおよび距離の観点でも区別される。したがって信号の品質が大幅に高いD2D同期信号については、ユーザ機器はそれを選択する。eNBが優先されること、およびホップカウントは、信号の品質に対するオフセットと考えることができる。ネットワークカバレッジ外ユーザ機器(630など)からのD2D同期信号の信号品質が、eNB 610からのD2D同期信号の信号品質よりをさほど上回らない場合、ユーザ機器はeNBを選択する。
図8は、本発明の実施形態による、同期信号を受信する装置800を示している。装置800は、ユーザ機器などの無線装置である。この無線装置は、複数の異なる同期源から、さまざまな信号をそれぞれの異なる強度で受信する。具体的には、この装置は、eNBなどのネットワークノード810から、またはeNB 810のカバレッジ801の中に位置する別の無線ユーザ機器820から、またはネットワークの(具体的にはeNB 810の)カバレッジ801の外側に位置するユーザ機器830から、信号を受信しうる。この装置は、同期信号受信ユニット840と、メトリック取得ユニット850と、同期源選択ユニット860と、タイミングユニット870と、を備えており、これらのユニットは、上の実施形態において説明したように構成されている。具体的には、同期信号受信ユニット840は、さまざまなD2D同期源から同期信号を受信するようにされている。さらに、同期信号受信ユニット840は、受信した同期信号に基づいて、同期源、または少なくとも同期源のタイプを識別することができる。しかしながら、この情報は後からシグナリングを介して伝えることもできる。メトリック取得ユニット850は、メトリックを求める、または計算するように構成されており、同期源選択ユニット860は、そのメトリックに基づいて同期源を選択する。同期源の選択後、装置800は、最初に自身のタイミングを決定する、または(最初の決定がすでに行われた後には)自身のタイミングを調整する。具体的には、装置800は、受信した同期信号を、受信を目的とするタイミングとする、またはそのタイミングにオフセットを加えることができる。次いで送信タイミングを導き、このステップは、導いた受信タイミングに基づいて実行することができる。
さらに装置800は、自身が再選択を実行するタイミングを制御する再選択制御ユニット880を含むことができる。したがって再選択制御ユニット880は、メトリック取得ユニット850および選択ユニット860がそれぞれの機能(すなわち特定のタイミングにおけるメトリックの計算および同期源の選択)を実行するように、これらのユニットを制御する。これらのタイミングは、同じく装置800の一部を形成する再選択タイマー885から導くことが有利である。再選択タイマー885は、ネットワークから受信されるシグナリングによって設定可能とすることができる。ネットワークからのシグナリングの受信は、シグナリング受信ユニット890によって実行することができる。なお、このブロック図においては、シグナリング受信ユニット890と同期信号受信ユニット840とが別々に描かれている。この理由は、これらのユニットが機能ブロックであるためである。一般的には、装置800は、1本または複数本のアンテナ、増幅器、復調器、および復号器(これらはシグナリングの受信にも適用可能である)によって形成される共通の受信フロントエンド(reception front)を有する。シグナリングおよび同期信号は、図8に個別のブロック840およびブロック890によって示したように異なる目的に使用される。
さらに、シグナリング受信ユニットを、メトリックを求めるための設定を含むシグナリングを受信するように構成することもできる。例えば、加重係数a,b,c、選択バイアス(オフセット)、ボーナス値/ペナルティ値、のうちの少なくとも1つの設定を受信し、メトリック取得ユニット850に渡すことができる。さらには、本装置は履歴タイマー865を備えていることができ、同期源選択ユニット860がメトリック取得ユニット850において求められたメトリックに基づいて新しい同期源(すなわち現在適用されている同期源とは異なる同期源)を選択する場合に、再選択制御ユニット880は履歴タイマー865を使用することによって、同期源選択ユニット860が同期源を変更する、または変更しないように制御することができる。履歴タイマー865は、シグナリング受信ユニット890によってネットワークから受信されるシグナリングによって設定することもできる。図9は、上述したようにシステムにおいて同期源を選択する方法を示している。具体的には、このような同期信号受信方法は、自身の同期信号をネットワークノードから導く同期源と同期信号生成無線装置を含む同期源から、所定の無線同期信号を受信するステップ(910)、を含む。同期源のタイプやホップの数などのいくつかの情報は、受信される同期信号によってすでに伝えることができる。しかしながら、この情報を別の方法で伝えることもできる。次いで本方法は、同期源それぞれの選択メトリックを、受信された同期信号の品質、同期源のタイプ(同期源が、ネットワークノードを生成元とする同期信号を送信するのか、ネットワークノードとは独立した同期信号を送信するのか)、ネットワークノードまでのホップの数、のうちの少なくとも2つに基づいて求めるステップ(930)、を含む。次いで、求められたメトリックに従って同期源を選択するステップ(940)において、同期源を選択し、次いでステップ950において、その同期源を使用して、すなわち選択された同期源の同期信号に従ってデータの送信または受信のタイミングを決定または調整する。
メトリックは、受信された同期信号の品質と、ホップの数もしくは同期源のタイプまたはその両方に基づいて求められる選択バイアスと、の組合せとして求めることが有利であり、同期源のタイプは、自身の同期信号をネットワークノードから導く同期源、またはネットワークとは独立した無線装置のいずれかである。選択バイアスは、所定の選択バイアス値とホップ数との間の対応関係(参照テーブルなど)に従って求めることができる。選択バイアスは、具体的には、同期信号の生成元である無線装置よりも同期信号の生成元であるネットワークノードに対して高い値、または、ネットワークノードと同期信号受信装置との間のホップの数が増すにつれて減少する値(ホップの数がネットワークノードを起点としてカウントアップされる場合)、または、ネットワークノードと同期信号受信装置との間のホップの数が大きいほど増大する値(ホップの数が、ネットワークノードを起点としてそのノードの所定の最大ホップ数からカウントダウンされる場合)、のうちの1つとして、求めることができる。これに代えて、選択バイアスは、各同期源から送信されるシグナリング情報の中で受信することによって求めることができる。ただし本発明は、上述したようにメトリックを求める方法に限定されず、一般的には、受信された同期信号の品質と、同期源がネットワークノードであるか無線装置であるかを表す数と、ネットワークノードまでのホップの数、の線形結合として、メトリックを求めることもできる。このような線形結合は、M=a*T+b*H+c*Qとして定義することが有利であり、式中、Tは同期信号の生成元であり、Hはホップの数であり、Qは受信信号の品質であり、a,b,cは重み係数である。重み係数a,b,またはcの少なくとも1つを、ネットワークノードから送信されるシグナリング情報の中で受信することによって求めることができる。
さらに、本方法は、ネットワークノードまでのホップの数が所定のホップしきい値を超えている同期源、もしくは、信号品質が所定の品質しきい値を超えていない同期源、またはその両方を、一連の候補同期源から除外することによって、同期源を事前選択するステップ920、を含む。次いで、同期源選択ユニットによって実行される事前選択の後、一連の候補同期源の中の同期源についてのみメトリックを求める。
さらに、この同期方法は、再選択タイマーを動作させ(維持し)、メトリックの決定および同期源の選択を再選択タイマーに従って制御するステップ(960)、を含むことができる。
さらに本方法は、新しい同期源が選択された時点で起動して所定の履歴期間の後に切れる履歴タイマー、を維持するステップ、を含むことができ、この場合、再選択タイマーを所定の時間長に設定する。本方法は、履歴タイマーが切れている場合には、再選択タイマーが切れた時点で、メトリックを求め、そのメトリックに従って同期源を選択するように命令し、履歴タイマーが切れていない場合には、再選択タイマーが切れた時点で、メトリックに従って同期源を選択しないように命令する、ステップ、を含むことが有利である。
背景技術のセクションにおける説明は、本明細書に記載した特定の例示的な実施形態を深く理解することを目的としており、移動通信ネットワーク(3GPP標準規格に準拠したネットワークなど)におけるプロセスおよび機能の、説明した特定の実施形態に本発明を制限するものではないことを理解されたい。しかしながら、本明細書に提案した改良は、背景技術のセクションに記載したアーキテクチャ/システムにおいてただちに適用することができ、本発明のいくつかの実施形態においては、これらのアーキテクチャ/システムの標準的な手順および改良された手順を利用することができる。特定の実施形態において示した本発明には、広義に記載されている本発明の概念または範囲から逸脱することなく、さまざまな変更もしくは修正またはその両方を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。
本発明の別の実施形態は、上述したさまざまな実施形態を、ハードウェアおよびソフトウェアを使用して実装することに関する。本発明のさまざまな実施形態は、コンピューティングデバイス(プロセッサ)を使用して実施または実行することができる。コンピューティングデバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはその他プログラマブルロジックデバイスなどとすることができる。本発明のさまざまな実施形態は、これらのデバイスの組合せによって実行または具体化することもできる。
さらに、本発明のさまざまな実施形態は、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施する、あるいはハードウェアに直接実装することができる。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能である。ソフトウェアモジュールは、例えばRAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなど、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体に格納することができる。
要約すると、本発明は、さまざまな同期源から1つの同期源を選択することに関し、同期源には、同期信号をネットワークから決定する同期源、例えば基地局(ネットワークノード)や、同期信号を基地局から場合によっては他のホップを通じて受信するユーザ機器、が含まれ、さらに同期源には、自身の同期信号をネットワークから決定しない同期源、が含まれる。同期源の選択は、考慮される同期源それぞれについて計算されるメトリックに基づいて、同期信号の信頼性が最も高い同期源を選択することによって、実行する。具体的には、メトリックは、同期源のタイプ、ネットワークと同期源との間のホップの数、および/または受信信号の品質、に基づく。同期源を選択した後、それに応じてデバイスのタイミングを適合させる。