JP6862322B2 - 測位システムおよび装置 - Google Patents
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Description
一方、磁気を利用した測位デバイス(磁気式測位デバイス)は、上述の悪条件下にも比較的適用がしやすいと考えられる。磁気式測位デバイスは、運動解析(モーションキャプチャ)、医療機器、対象物の捜索などの分野に用いられる。
GPS測位は、地球外に配備した人工衛星の内4個の衛星を利用した測位方法である。GPS測位には、衛星と地上の管制局との間で電波にのせた信号を送受信し、信号の伝搬時間を用いて3つの衛星からの距離を測定、1点に交わる位置を求める「三角測量」の方法が採られている。
また、水中で利用される測位システムとして、音を媒体として信号を送受しながら対象の位置を特定する音響測位システムが挙げられる。例えば、潜水船の位置把握では、海底に設置したトランスポンダと呼ばれる呼出応答型の発信器を利用し、水上の母船や潜水船に装備した測位デバイスの送受波器との間で音響信号のやりとりを行う。これにより、各トランスポンダと測位デバイスとの間の距離を三角測量で求める。なお、座標基準の取り方によりLBL(Long Base−Line)、SBL(Short Base−Line)、SSBL(Super Short Base−Line)の3方式に分類される。
第1の実施形態に係る測位システムについて図1を参照して説明する。
磁界発生装置10は、略無指向性とみなせる合成磁界を発生する。磁界発生装置10は、例えば、スマートフォンなどの携帯端末50に内蔵される場合を想定するが、磁界発生装置10単体であってもよい。磁界発生装置10の詳細については、図2を参照して後述する。
図2に示す磁界発生装置10は、駆動部110と励磁コイル120とを含む。
降圧部112は、例えば、DC/DCコンバータであり、電源111から供給される出力電圧を下げる。
接続切替部114は、例えば、スイッチ回路であり、信号生成部113から基準信号を、降圧部112から出力電圧をそれぞれ受け取り、後述する励磁コイル120に対する基準信号の出力先を切り替える。
増幅部115は、例えばFET(Field−Effect Transistor)であり、接続切替部114から基準信号を受け取り、基準信号を増幅する。なお、FPGA(Field Programmable Gate Array)により、信号生成部113と接続切替部114とを一体化した処理が行えるようにしてもよい。
以下の例では、励磁コイル120としてソレノイドコイルを磁気双極子とみなし、6つのソレノイドコイル121−x,121−y及び121−zを組み合わせることにより、励磁コイル120が形成される。具体的には、x軸、y軸及びz軸の各軸に2つのソレノイドコイル121−x,121−y及び121−zが1組として配置される。ただし、2つのソレノイドコイル121−x、121−y及び121−zの各組は、2つのコイルが結線(直列接続)され、一体となっている。ソレノイドコイル121−x,121−y及び121−zの各組は、各軸方向に互いに直交し、かつ軸心方向の中心が共通するように配置される。なお各ソレノイドコイル121−x,121−y及び121−zは、それぞれ独立して駆動される。各ソレノイドコイル121−x,121−y及び121−zは、駆動部110から同一値の出力電圧を受けた場合、発生する磁界の強度が略一致するようにソレノイドコイルの巻線の巻数等が設計される。
図4の左図は、3つの磁気双極子が空間座標の原点に存在する場合の、各軸の磁気双極子の向きを示す概念図である。図4の右図は、xy平面における各磁気双極子により発生する磁界401〜403と、各磁気双極子により発生する磁界401〜403を合成した合成磁界404とを示す。なお、図4に示す各磁界401〜403と合成磁界404とは、合成磁界(合成磁束密度B)の最大値|Bmax|で規格化した値である。xy平面の原点を回転中心として、+x軸方向を0°(零度)、−x軸方向を180°に規定する。
次に、駆動部110の接続切替部114が、ソレノイドコイル121−xからy軸方向に軸を有するソレノイドコイル121−yへ接続を切り替え、駆動部110がty期間、出力電圧に応じた電流をソレノイドコイル121−yに流す。さらに、駆動部110の接続切替部114が、ソレノイドコイル121−yからz軸方向に軸を有するソレノイドコイル121−zへ接続を切り替え、駆動部110がtz期間、出力電圧に応じた電流をソレノイドコイル121−zに流す。その後t’期間、電流の供給を停止する(接続を切り離す)。
上述の作業を1サイクルとして、1サイクルに係る期間T(=tx+ty+tz+t’)が繰り返される。
検出コイルy2012は、y軸方向に感度を持ち、y軸に方向成分を有する磁界を検出し、検出信号を得る。
検出コイルz2013は、z軸方向に感度を持ち、z軸に方向成分を有する磁界を検出し、検出信号を得る。
フィルタ部2021は、磁界検出部201−1〜201−3からそれぞれ、検出された各軸の方向成分の検出信号を受け取り、基準信号の周波数以外の周波数成分を除去し(フィルタ処理し)、フィルタ後検出信号を得る。
推定部2023は、周波数解析部2022から解析信号を受け取り、解析信号に基づいて位置推定処理を行い、磁界発生装置10の位置に関する推定位置情報を生成する。
図7に示すように、x軸、y軸及びz軸の各軸方向が互いに直交するように配置された3つの検出コイルを有すればよい。なお、磁界検出部201で用いられるコイルは、磁界発生装置10の励磁コイル120と同様の構成であってもよい。
ステップS801では、磁界発生装置10が、磁界を発生する。磁界を発生するタイミングは、例えば、磁界発生装置10を内蔵する携帯端末50を保持するユーザが、ボタンをタッチまたは押下する、または音声入力による指示などを、磁界を発生するトリガとすればよい。磁界発生装置10は、当該トリガが発生した場合、略無指向性の合成磁界を発生する。なお、磁界発生装置10は、測位装置20側からの起動信号を受信した場合に、磁界を発生するように設定されてもよい。
ステップS803では、図5の1サイクルに係る期間T毎に測位装置20のフィルタ部2021が、検出信号に対してフィルタ処理を行う。
ステップS804では、図5の1サイクルに係る期間T毎に測位装置20の周波数解析部2022が、フィルタ後検出信号に対して周波数解析を行い、解析信号を生成する。
ステップS807では、測位装置20の表示部203が、推定位置情報をディスプレイに表示する。図5の1サイクルに係る期間T毎に推定位置情報が更新される。
まず、磁界発生装置10から発生する磁界について説明する。例えば、z軸方向に磁気双極子モーメントが向いた1個の磁気双極子が空間座標の位置(X,Y,Z)にある場合、位置(x,y,z)に形成される各磁界成分(磁束密度Bx,ByおよびBz)は、式(1)で表される。
ここで、磁気双極子が直交座標系の原点に存在する場合を考えると、位置(x,y,z)に形成する磁界は式(1)で(X,Y,Z)=(0,0,0)として式(3)で表される。
Kmは、図9に示すような方法で事前に取得すればよい。まず、磁界発生装置10を空間座標の原点に配置し、磁界検出部201の1つの軸(図9の場合はy1軸)が空間座標の1つの軸(図9の場合はy軸)に一致するように、磁界検出部201を配置する。次に、両者の軸を一致させたまま磁界発生装置10と磁界検出部201との間の距離rを変えながら、各地点で磁束密度の大きさ|B|を計測する。これにより、磁界発生装置10と磁界検出部201とにおける、距離rと磁束密度の大きさ|B|との関係データが得られる。最後に式(5)を用いて当該関係データを最小二乗近似し、比例定数Kmと決定すればよい。
表示部203では、表示画面上の空間座標30に表示し、さらに式(7)及び式(8)で得られる座標情報(図10では(X’,Y’,Z’))と視覚的に磁界発生装置10を表現するマーカーとを含む推定位置情報35を表示する。これによって、磁界発生装置10の三次元位置を視覚的に把握することができる。なお、マーカーを点滅させるといった、推定位置情報35がより目立つような手法を用いてもよい。
また、三次元表示ではなく二次元平面において推定位置情報を表示してもよい。
第2の実施形態に係る測位システム1は、磁界発生装置10の励磁コイル120が第1の実施形態と異なる。
第2の実施形態に係る励磁コイルについて、図11を参照して説明する。
第3の実施形態に係る測位システム1は、磁界発生装置10の励磁コイル120が第1の実施形態と異なる。
第3の実施形態に係る励磁コイル120について、図12を参照して説明する。
第3の実施形態では、励磁コイル120のコイルコア122に磁性体を適用する。コイルコア122は、例えば、ソフトフェライトの成形体で形成されればよい。
第4の実施形態に係る測位装置20は、磁界検出部201のコイルが、図11に示すように、第2の実施形態の磁界発生装置10の励磁コイル120と同様に形成される点が、第1の実施形態と異なる。
第5の実施形態に係る測位装置20は、磁界検出部201のコイルが、第1の実施形態と異なる。
第5の実施形態に係る測位装置20について、図13を参照して説明する。
第5の実施形態では、磁界検出部201のコイルコア122に磁性体を適用する。コイルコア122は、例えば図13左図の場合、ソフトフェライトで形成されればよい。あるいは図13右図の場合、ソフトフェライトと非磁性体とを組み合わせた成形体で形成されればよい。具体的に、図13右図に示す磁界検出部201のコイルは、ソフトフェライトで形成されるコイルコア122を用いた6つのソレノイドコイルが、矢印に沿って、非磁性体で形成される6面体123(ここでは立方体123)の各面にそれぞれ接着されることにより、成形される。ここで、x軸、y軸及びz軸の各軸に配置された2つのソレノイドコイル121’−x、121’−y及び121’−zは1組として扱われる。さらに、2つのソレノイドコイル121’−x、121’−y及び121’−zの各組は、2つのコイルが結線(直列接続)され、一体となっている。
第6の実施形態に係る測位装置20について、図14を参照して説明する。
第6の実施形態に係る測位装置20は、磁界検出部201として、磁気センサを用いる点が第1の実施形態の測位装置20と異なる。
MIセンサ基板70を用いる場合は、MIセンサ基板70の基板サイズを考慮し、3つのMIセンサ素子71の中心が、空間座標における原点72から等距離となる位置に配置されるように、MIセンサ基板70を組み合わせればよい。
第7の実施形態に係る測位装置20は、磁界発生装置10から発生する磁界から測定環境下における外乱磁場成分を除去する点が上述の実施形態とは異なる。外乱磁場は、例えば、電線や電気機器からのノイズが挙げられる。従って、測位装置20のフィルタ部2021が、商用電源周波数及びその倍数の周波数成分(高調波成分)を除去することで、外乱磁場を含まない信号を抽出し、外乱磁場を含まない信号を用いて位置推定処理を行うことができる。
また、記録媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
さらに、本実施形態における記録媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記録媒体も含まれる。
また、記録媒体は1つに限られず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も、本実施形態における記録媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
また、本実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
Claims (8)
- それぞれの軸方向が互いに直交し、かつ中心が共通する3つのコイルを含み、前記3つのコイルから順に磁界を発生させることで、磁界分布が略無指向性である合成磁界を発生する磁界発生装置と、
前記合成磁界を検出する検出部と、検出した前記合成磁界に基づいて前記磁界発生装置の位置を推定する推定部と、を含む測位装置と、
を具備する測位システム。 - 前記測位装置は、3つ以上の前記検出部を具備し、
前記検出部は、それぞれの軸方向が互いに直交し、かつ中心が共通する3つのコイルを含み、
前記検出部は、前記3つのコイルにより前記合成磁界を検出する請求項1に記載の測位システム。 - 前記磁界発生装置および前記検出部の少なくとも一方は、前記3つのコイルのコアが同一である請求項1または請求項2に記載の測位システム。
- 前記磁界発生装置および前記検出部の少なくとも一方は、前記3つのコイルのコアが磁性体である請求項1または請求項2に記載の測位システム。
- 前記検出部は、それぞれの軸方向が互いに直交する3つの磁気センサを含み、
前記検出部は、前記3つの磁気センサにより前記合成磁界を検出する請求項1に記載の測位システム。 - 前記測位装置は、前記磁界発生装置の位置を表示する表示部をさらに具備する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の測位システム。
- 前記測位装置は、前記合成磁界から測定環境下での外乱磁場成分を除去するフィルタ部をさらに具備し、
前記推定部は、前記外乱磁場成分が除去された磁界に基づいて、前記磁界発生装置の位置を推定する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の測位システム。 - それぞれの軸方向が互いに直交し、かつ中心が共通する3つのコイルを含み、前記3つのコイルから順に磁界を発生させることで、磁界分布が略無指向性である合成磁界を発生する磁界発生装置からの合成磁界を検出する検出部と、
検出した前記合成磁界に基づいて前記磁界発生装置の位置を推定する推定部と、
を具備する測位装置。
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