以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態の静止物体地図情報生成装置100は、一例として、車両(移動体)Mに搭載されており、車両Mを自動で走行させる自動運転制御を実行可能な自動運転システムを構成している。自動運転制御が実行されることにより、車両Mは自動運転状態となる。自動運転状態とは、運転者が運転操作を行う必要なく、車両Mの速度制御及び操舵制御を含む運転制御が静止物体地図情報生成装置100によって実行されている運転状態である。
静止物体地図情報生成装置100は、ECU[Electronic Control Unit]10を備えている。ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECU10では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、各種の制御を実行する。ECU10は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。また、以下に説明するECU10の機能の一部は、車両Mと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータにおいて実行される態様であってもよい。
ECU10には、外部センサ1、GPS受信部2、内部センサ3、地図データベース4、ナビゲーションシステム5、アクチュエータ6、及びHMI[Human Machine Interface]7が接続されている。
外部センサ1は、車両Mの周囲の物体の相対位置情報を含む外部状況を検出する検出機器である。外部センサ1は、カメラ、レーダセンサのうち少なくとも一つを含む。
カメラは、車両Mの外部状況を撮像する撮像機器である。カメラは、車両Mのフロントガラスの裏側に設けられている。カメラは、車両Mの外部状況に関する撮像情報をECU10へ送信する。カメラは、例えばステレオカメラである。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有している。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報も含まれている。
レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両Mの周囲の障害物(物体)を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を車両Mの周囲に送信し、障害物で反射された電波又は光を受信することで障害物を検出する。レーダセンサは、検出した障害物情報をECU10へ送信する。
障害物には、ガードレール、建物、看板、交通標識、草木等の固定障害物の他、歩行者、自転車、他車両等の移動障害物が含まれる。固定障害物としては、例えば草木のように、時間的に位置がほぼ変化しない静止部分と、静止部分に連続すると共に時間的に位置が一定程度変化し得る準静止部分と、を含む物体が存在する。
GPS受信部2は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、車両Mの位置(例えば車両Mの緯度及び経度)を測定する。GPS受信部2は、測定した車両Mの位置情報をECU10へ送信する。
内部センサ3は、車両Mの走行状態を検出する検出機器である。内部センサ3は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含む。車速センサは、車両Mの速度を検出する検出器である。車速センサとしては、車両Mの車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報をECU10に送信する。
加速度センサは、車両Mの加速度を検出する検出器である。加速度センサは、車両Mの前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両Mの横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、車両Mの加速度情報をECU10に送信する。ヨーレートセンサは、車両Mの重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した車両Mのヨーレート情報をECU10へ送信する。
地図データベース4は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース4は、車両Mに搭載されたHDD[Hard Disk Drive]内に形成されている。地図情報には、道路の位置情報、道路形状の情報(例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率等)、道路の種別情報(例えば、合流する2本の道路のうちどちらが優先道路であるかの情報等)、合流地点及び交差点の位置情報、及び、建物の位置情報等が含まれる。なお、地図データベース4は、車両Mと通信可能な情報処理センター等の施設のコンピュータに記憶されていてもよい。地図データベース4は、BGマップ生成部17により生成されたBGマップを記憶する。なお、BGマップは、別のデータベースに記憶されていてもよい。
ナビゲーションシステム5は、予め設定された目的地まで車両Mの運転者の案内を行うシステムである。ナビゲーションシステム5は、GPS受信部2の測定した車両Mの位置と地図データベース4の地図情報とに基づいて、車両Mの現在の位置から目的地までの経路を生成する。ナビゲーションシステム5は、後述するHMI7の画像表示及び音声出力により運転者に対して当該経路の案内を行う。ナビゲーションシステム5は、車両Mの目的地及び車両Mの経路に関する情報をECU10に送信する。なお、静止物体地図情報生成装置100は必ずしもナビゲーションシステム5を備える必要はない。車両Mの経路の生成は、ECU10によって行なわれてもよい。目的地は、乗員により設定されてもよく、ナビゲーションシステム5等により周知の手法で自動的に設定されてもよい。
アクチュエータ6は、車両Mの走行制御を実行する装置である。アクチュエータ6は、エンジンアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。エンジンアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量を変更(例えばスロットル開度を変更)することで、車両Mの駆動力を制御する。なお、エンジンアクチュエータは、車両Mがハイブリッド車又は電気自動車である場合には、動力源としてのモータの駆動力を制御する。
ブレーキアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、車両Mの車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。なお、ブレーキアクチュエータは、車両Mが回生ブレーキシステムを備えている場合、液圧ブレーキシステム及び回生ブレーキシステムの両方を制御してもよい。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、車両Mの操舵トルクを制御する。
HMI7は、運転者と静止物体地図情報生成装置100との間で情報の出力及び入力をするためのインターフェイスである。HMI7は、例えば、運転者等に画像情報を表示するディスプレイ、及び運転者が入力操作を行うための操作ボタン又はタッチパネル等を備えている。HMI7は、運転者の入力した情報をECU10へ送信する。また、HMI7は、ECU10からの制御信号に応じた画像情報をディスプレイに表示する。
ECU10は、機能的には、車両位置取得部(位置取得部)11、外部状況取得部12、走行状態取得部13、走行計画生成部14、走行制御部15、走行データ記憶部16、及びBGマップ生成部(静止物体地図情報生成部)17を備えている。
車両位置取得部11は、GPS受信部2の位置情報及び地図データベース4の地図情報に基づいて、車両Mの地図上の位置(以下、単に車両位置)を取得する。車両位置取得部11は、地図データベース4の地図情報に含まれた電柱等の固定障害物の位置情報及び外部センサ1の検出結果を利用して、既存のSLAM技術により車両Mの位置を取得してもよい。
外部状況取得部12は、外部センサ1の検出結果に基づいて、車両Mの周囲の外部状況を取得する。外部状況取得部12は、レーダセンサの障害物情報に基づいて、車両Mの周囲の障害物の位置を含む車両Mの外部状況を取得する。外部状況取得部12は、レーダセンサの障害物情報に基づいて、車両Mの周囲の物体の相対位置情報を含む外部状況を取得する。物体の相対位置情報とは、車両Mに対する物体の相対的な位置に関する情報である。外部状況取得部12は、三次元空間を複数のボクセル(単位空間)に分割し、各ボクセルにおける物体の相対位置を取得する。外部状況取得部12は、例えばN個のボクセルviにおける物体の相対位置をそれぞれ取得する。ただし、「i」は0以上N+1以下の整数である。外部状況取得部12は、例えば車両Mが移動するのに従って、ボクセルviにおける異なる位置の車両Mに対する物体の相対位置情報を取得する。
走行状態取得部13は、内部センサ3の検出結果に基づいて、車両Mの車速及び向きを含む車両Mの走行状態を取得する。具体的には、走行状態取得部13は、車速センサの車速情報に基づいて、車両Mの車速を取得する。走行状態取得部13は、ヨーレートセンサのヨーレート情報に基づいて、車両Mの向きを取得する。
走行計画生成部14は、ナビゲーションシステム5により設定された目標ルート、地図データベース4の地図情報、外部状況取得部12により取得された車両Mの周囲の外部状況、及び走行状態取得部13により取得された車両Mの走行状態に基づいて、車両Mの走行計画を生成する。走行計画生成部14は、運転者が自動運転制御の開始操作を行った場合に、走行計画の生成を開始する。この走行計画は、車両Mの現在の位置から予め設定された目的地に車両Mが至るまでの走行計画となる。
走行計画には、車両Mの目標ルート上の位置に応じた車両Mの制御目標値が含まれている。目標ルート上の位置とは、地図上で目標ルートの延在方向における位置である。目標ルート上の位置は、目標ルートの延在方向において所定間隔(例えば1m)毎に設定された設定縦位置を意味する。制御目標値とは、走行計画において車両Mの制御目標となる値である。制御目標値は、目標ルート上の設定縦位置毎に関連付けて設定される。走行計画生成部14は、目標ルート上に所定間隔の設定縦位置を設定すると共に、設定縦位置毎に制御目標値(例えば目標横位置及び目標車速)を設定することで、走行計画を生成する。設定縦位置及び目標横位置は、合わせて一つの位置座標として設定されてもよい。設定縦位置及び目標横位置は、走行計画において目標として設定される縦位置の情報及び横位置の情報を意味する。
走行制御部15は、車両位置取得部11が取得した車両Mの地図上の位置と走行計画生成部14で生成された走行計画とに基づいて、車両Mの速度制御及び操舵制御を含む自動運転制御を実行する。走行制御部15は、アクチュエータ6に制御信号を送信することにより、自動運転制御を実行する。走行制御部15が自動運転制御を実行することで、車両Mの運転状態が自動運転状態となる。これにより、車両Mの各種の走行が自動運転によって実現される。
走行データ記憶部16は、外部状況取得部12で取得した物体の相対位置情報を一時的に記憶する。走行データ記憶部16は、第1マップ(後述)用に割り当てられた領域と、第2マップ(後述)に割り当てられた領域と、を有している。第1マップに割り当てられた領域は、後述の静止部分と認識したボクセルについての情報を一時的に記憶するための記憶領域である。第2マップに割り当てられた領域は、後述の準静止部分と認識したボクセルについての情報を一時的に記憶するための記憶領域である。
BGマップ生成部17は、物体の相対位置情報及び車両Mの地図上の位置に基づいて、BGマップ[BackGround map](静止物体地図情報)の生成を行う。BGマップでは、三次元空間がボクセルに分割されている。BGマップ生成部17は、物体の相対位置情報の時間変化及び車両Mの地図上の位置の時間変化から、ボクセルにおける物体の存在状態量をそれぞれ算出する。存在状態量は、ボクセルviにおいて物体の少なくとも一部分が所定時間の中でどの程度存在していたかを表す指標である。
BGマップ生成部17は、存在状態量の一例として、ボクセルv
iごとに占有率p(v
i)を算出する。占有率p(v
i)は、下記数1及び数2に表される数式のように定義される。
数1に表される数式において、nin(t,vi)は、時刻tにおいてボクセルviに入射したレーダセンサの電波線の数を表す。ndetect(t,vi)は、時刻tにおいてボクセルviに入射してボクセルviに含まれる物体によって反射されたレーダセンサの電波線の数を表す。よって、時刻tにおいてボクセルviに入射したレーダセンサの電波線の数が1本でもあれば、f(nin(t,vi))の値は1となる(数2参照)。また、時刻tにおいてボクセルviに入射してボクセルviに含まれる物体によって反射されたレーダセンサの電波線の数が1本でもあれば、f(ndetect(t,vi))の値は1となる。
数1に表される数式において、Tin(vi)は、所定時間の中に含まれる全ての時刻tについてのf(nin(t,vi))の総和である。Tdetect(vi)は、所定時間の中に含まれる全ての時刻tについてのf(ndetect(t,vi))の総和である。占有率p(vi)は、Tin(vi)に対するTdetect(vi)の割合として算出される。
図2及び図3を参照しつつ、占有率p(vi)の算出について具体的に説明する。図2及び図3は、ボクセルvi,vjにおける物体の占有率p(vi),p(vj)を説明するための図である。
図2には、車両M、静止物体ST及び移動物体MVの時刻tにおける相対的な位置関係が示されている。移動物体MVは、時刻tにおいてボクセルviに含まれている。静止物体STは、時刻tにおいてボクセルvjに含まれている。図2において、車両Mから延びている破線の矢印Li(t),Lj(t)は、時刻tにおいて車両Mからボクセルvi,vjに照射したレーダセンサの電波線を意味している。図2の例では、矢印Li(t)で示すレーダセンサの電波線は、ボクセルviに含まれている移動物体MVによって反射され、外部センサ1で検出される。矢印Lj(t)で示すレーダセンサの電波線は、ボクセルvjに含まれている静止物体STによって反射され、外部センサ1で検出される。
図3には、車両M、静止物体ST及び移動物体MVの時刻t+1における相対的な位置関係が示されている。移動物体MVは、時刻t+1においてボクセルviに含まれない位置まで移動している。静止物体STは、時刻t+1においてもボクセルvjに含まれている。図3において、車両Mから延びている破線の矢印Li(t+1),Lj(t+1)は、時刻t+1において車両Mからボクセルvi,vjに照射したレーダセンサの電波線を意味している。図3の例では、矢印Lj(t+1)で示すレーダセンサの電波線は、ボクセルvjに含まれている静止物体STによって反射され、外部センサ1で検出される。しかし、矢印Li(t+1)で示すレーダセンサの電波線は、ボクセルviに移動物体MVが含まれなくなっているため反射されず、外部センサ1で検出されない。
図2及び図3の例の場合、時刻t及び時刻t+1を含む所定時間において、ボクセルv
i,v
jにおける物体の占有率p(v
i),p(v
j)は、下記数3のように算出されることとなる。
BGマップ生成部17は、物体の占有率p(v
i)に基づいて、当該ボクセルv
iを物体の静止部分、準静止候補部分、又はその他(動的な物体又は空間)と認識する。一例として、表1に示されるように、BGマップ生成部17は、各ボクセルを、p
ST以上1.0以下の占有率のボクセルと、p
MV以上p
ST未満の占有率のボクセルと、0以上p
MV未満の占有率のボクセルと、に分類する。
BGマップ生成部17は、表1の分類結果に応じて、ボクセルviを物体の静止部分、準静止候補部分、又はその他と認識する。具体的には、BGマップ生成部17は、pST(第1閾値)以上1.0以下の占有率のボクセルを物体の静止部分と認識する。BGマップ生成部17は、pMV(第2閾値)以上pST未満の占有率のボクセルを物体の準静止候補部分と認識する。BGマップ生成部17は、0以上pMV未満の占有率のボクセルをその他(動的な物体又は空間)と認識する。pSTは、静止部分と準静止候補部分とを分類するための占有率の閾値である。pMVは、準静止候補部分とその他とを分類するための占有率の閾値である。
静止部分は、物体において時間的に位置がほぼ変化しない部分である。準静止候補部分は、準静止部分の候補となる部分であって、物体において時間的に位置が一定程度変化し得る部分である。準静止部分は、物体の静止部分に連続する準静止候補部分である。その他には、例えば、時間的に位置が準静止候補部分よりも大きく変化する物体の部分又は全体、又は物体が存在しない空間等が含まれる。
具体的には、BGマップ生成部17は、例えば図4〜図7に示されるように、ボクセルviを物体の静止部分、準静止候補部分、又はその他と認識し、静止物体地図情報を生成する。図4は、外部状況取得部12で取得した外部状況を例示する図である。図5は、物体の静止部分の俯瞰状況を例示する図である。図6は、物体の準静止候補部分の俯瞰状況を例示する図である。図7は、静止物体地図情報の俯瞰状況を例示する図である。
図4に示されるように、車両Mの前方において外部状況が外部状況取得部12で取得されている。図4の例では、外部状況として、車道Rの周囲に樹木20、草30、標識40、歩行者50、及び他車両60が存在している。この場合、BGマップ生成部17は、図5に示されるように、樹木20の幹20bを含むボクセル群21、草30の重複部30bを含むボクセル群31、及び、標識40の標識本体40bを含むボクセル群41を物体の静止部分と認識する。BGマップ生成部17は、ボクセル群21,31,41を、それぞれ、互いに連続している静止部分のボクセルのみからなる集合V1を生成してもよい。BGマップ生成部17は、静止部分と認識したボクセル(各集合V1)についての情報を第1マップとして、走行データ記憶部16における第1マップ用に割り当てられた領域に記憶させてもよい。
また、BGマップ生成部17は、図6に示されるように、樹木20の枝葉20aを含むボクセル群22、草30の葉部30aを含むボクセル群32、標識40のポール40aを含むボクセル群42、歩行者50を含むボクセル群52、及び、他車両60を含むボクセル群62を物体の準静止候補部分と認識する。BGマップ生成部17は、ボクセル群22,32,42,52,62を、それぞれ、互いに連続している準静止候補部分のボクセルのみからなる集合V2tを生成してもよい。BGマップ生成部17は、準静止候補部分と認識したボクセル(各集合V2t)についての情報を第2マップとして、走行データ記憶部16における第2マップ用に割り当てられた領域に記憶させてもよい。
BGマップ生成部17は、物体の静止部分に連続する準静止候補部分のボクセルを物体の準静止部分と認識すると共に、物体の準静止部分に連続する準静止候補部分のボクセルを物体の準静止部分と認識する。具体的には、BGマップ生成部17は、集合V1又は集合V2tに属するボクセルの地図上の位置、及び走行データ記憶部16に記憶させた情報に基づいて、準静止候補部分(集合V2t)が静止部分(集合V1)に連続するか否かを判定する。
BGマップ生成部17は、歩行者50を含むボクセル群52及び他車両60を含むボクセル群62が、静止部分(集合V1)に連続していないと判定する。また、BGマップ生成部17は、枝葉20aを含むボクセル群22が、幹20bの静止部分を含むボクセル群21に連続していると判定する。BGマップ生成部17は、葉部30aを含むボクセル群32が、重複部30bの静止部分を含むボクセル群31に連続していると判定する。BGマップ生成部17は、ポール40aを含むボクセル群42が、標識本体40bの静止部分を含むボクセル群41に連続していると判定する。
BGマップ生成部17は、物体の静止部分と物体の準静止部分とを含む静止物体地図情報を生成する。BGマップ生成部17は、例えば図7に示されるように、上述のようにして静止部分に連続すると判定された準静止候補部分(集合V2t)を準静止部分(集合V2)と認識し、静止部分(集合V1)と集合V2とを含むBGマップの地図情報(静止物体地図情報)を生成する。
〈ECU10による演算処理の一例〉
次に、ECU10による演算処理の一例について説明する。図8は、実施形態に係る静止物体地図情報生成装置の処理の一例を示すフローチャートである。図8に示される処理は、例えば車両Mの自動運転又は手動運転の実行中に行われる。
図8に示されるように、ECU10は、S10において、外部状況取得部12により車両Mの周囲の物体の相対位置情報を含む外部状況の取得を行う。外部状況取得部12は、外部センサ1の検出結果に基づいて、外部状況を取得する。ECU10は、S11において、車両位置取得部11により車両位置の取得を行う。車両位置取得部11は、GPS受信部2の測定結果に基づいて、車両位置を取得する。
ECU10は、S12において、BGマップ生成部17により各ボクセルにおける占有率の算出を行う。BGマップ生成部17は、物体の相対位置情報、車両位置、及び地図データベース4の地図情報に基づいて、各ボクセルにおける占有率p(vi)を、すべての整数i(i=1,2,3,・・・,N)について算出する。
ECU10は、S13において、BGマップ生成部17により占有率に基づく各ボクセルの分類を行う。BGマップ生成部17は、各ボクセルを、pST以上1.0以下の占有率のボクセルと、pMV以上pST未満の占有率のボクセルと、0以上pMV未満の占有率のボクセルと、に分類する。BGマップ生成部17は、pST以上1.0以下の占有率のボクセルを物体の静止部分と認識する。BGマップ生成部17は、pMV以上pST未満の占有率のボクセルを物体の準静止候補部分と認識する。BGマップ生成部17は、0以上pMV未満の占有率のボクセルをその他(動的な物体又は空間)と認識する。
ECU10は、S14において、BGマップ生成部17により静止部分と認識したボクセルの第1マップへの取込みを行う。BGマップ生成部17は、静止部分と認識したボクセルについての情報を走行データ記憶部16における第1マップ用に割り当てられた領域に記憶させる。ECU10は、S14において、BGマップ生成部17により静止部分の集合V1の生成を行ってもよい。
ECU10は、S15において、BGマップ生成部17により準静止候補部分と認識したボクセルの第2マップへの取込みを行う。BGマップ生成部17は、準静止候補部分と認識したボクセルについての情報を走行データ記憶部16における第2マップ用に割り当てられた領域に記憶させる。
ECU10は、S16において、BGマップ生成部17により準静止候補部分の集合V2tの生成を行う。BGマップ生成部17は、1つの準静止候補部分又は複数の互いに連続している準静止候補部分のボクセルを集合V2tとして生成する。
ECU10は、S17において、集合V2tが静止部分に連続するか否かの判定をBGマップ生成部17により行う。BGマップ生成部17は、走行データ記憶部16に記憶させた情報に基づいて、集合V2tが静止部分に連続するか否かを判定する。
S17において、集合V2tが静止部分に連続するとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、S18において、BGマップ生成部17により、静止部分と集合V2とを含むBGマップの地図情報を生成する。BGマップ生成部17は、静止部分に連続する準静止候補部分(集合V2t)を準静止部分(集合V2)と認識し、静止部分と集合V2とを含むBGマップの地図情報を生成する。一方、S17において、集合V2tが静止部分に連続しないとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、図8の処理を終了する。
〈静止物体地図情報生成装置100の作用効果〉
以上説明した静止物体地図情報生成装置100では、BGマップ生成部17は、占有率が第1閾値以上のボクセルを物体の静止部分と認識し、占有率が第1閾値未満且つ第2閾値以上であって物体の静止部分に連続するボクセルを物体の準静止部分と認識する。また、BGマップ生成部17は、占有率が第1閾値未満且つ第2閾値以上であって物体の準静止部分に連続するボクセルを物体の準静止部分と認識する。BGマップ生成部17は、物体の静止部分と物体の準静止部分とを含むBGマップを生成する。これにより、静止部分を含む物体の一部をなす準静止部分を適切に認識することが可能となり、準静止部分(例えば草の葉、木の枝葉等)が、静止部分を含む物体の一部ではないと認識される誤認識が生じることが抑制される。その結果、BGマップの生成を適切に行うことができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
静止物体地図情報生成装置100は、一例として、移動体である車両Mに搭載されていたが、必ずしも移動体に搭載されていなくてもよく、例えば、外部状況及び移動体の地図上の位置を取得可能に構成された情報処理センター等の施設のコンピュータにおいて実行される態様であってもよい。また、移動体としては、車両Mに限定されず、例えば二輪車、パーソナルモビリティ、ロボット等であってもよい。
上記実施形態では、カメラとしてステレオカメラを例示したが、撮像情報から奥行き方向の情報を求められる場合には、単眼カメラであってもよい。
上記実施形態では、三次元空間を分割する単位空間として、直方体状の複数のボクセルを例示したが、単位空間の形状等としてはその他任意の態様を採用することができる。
上記実施形態では、静止物体地図情報生成装置100は、走行データ記憶部16を備えていたが、必ずしも走行データ記憶部16を備えていなくてもよい。
上記実施形態では、静止物体地図情報生成装置100は、自動運転システムを構成していたが、必ずしも自動運転システムを構成していなくてもよい。
〈ECU10による演算処理の変形例〉
図9は、図8の占有率の算出処理の変形例を示すフローチャートである。静止物体地図情報生成装置100では、図8におけるS12の占有率の算出処理を、図9に示されるように変形することができる。
ECU10は、S20において、BGマップ生成部17により整数iを0とする初期化を行う。ECU10は、S21において、BGマップ生成部17により車両移動距離が距離閾値d1よりも大きいか否かの判定を行う。車両移動距離は、一定期間に車両Mが移動した距離を意味する。一定期間は、例えばECU10の演算処理の周期(時間)であってもよい。距離閾値d1は、車両Mが交差点等で停車する場合に占有率の更新を中止するための車両Mの移動距離の閾値である。BGマップ生成部17は、車速情報、車両位置、地図データベース4の地図情報、及びECU10の演算処理の周期(時間)に基づいて、車両移動距離が距離閾値d1よりも大きいか否かを判定する。
S21において、車両移動距離が距離閾値d1以下であるとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、図9の処理を終了する。一方、S21において、車両移動距離が距離閾値d1よりも大きいとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、S22において、BGマップ生成部17によりボクセルviにおける占有率p(vi)の算出を行う。
続いて、ECU10は、S23において、BGマップ生成部17により整数iが総数Nに至ったか否かの判定を行う。S23において、整数iが総数Nに至っていないとBGマップ生成部17により判定された場合、S24において、ECU10は、BGマップ生成部17により整数iに1を加算する処理を行い、S22に戻り、1だけ増加した整数iについて占有率p(vi)の算出を行う。一方、S23において、整数iが総数Nに至ったとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、図9の処理を終了する。
以上説明したような図9の占有率の算出処理によれば、例えば車両Mが交差点等で停車する場合に、車両Mの周囲に停車する他車両等の占有率が高くなってしまうのを抑制することができる。
図10は、図8の占有率の算出処理の他の変形例を示すフローチャートである。静止物体地図情報生成装置100では、図8におけるS12の占有率の算出処理を、図10に示されるように変形することができる。
ECU10は、S30において、BGマップ生成部17により整数iを0とする初期化を行う。ECU10は、S31において、BGマップ生成部17により相対距離が距離閾値d2よりも小さいか否かの判定を行う。相対距離は、相対位置情報を取得する対象のボクセルviと車両Mとの間の距離を意味する。距離閾値d2は、占有率の精度を低下させるような相対位置情報の精度のボクセルviを占有率の算出対象から除外するための車両Mの移動距離の閾値であり、例えば外部センサ1の解像度に応じて設定することができる。BGマップ生成部17は、外部センサ1の検出結果、車両位置、及び地図データベース4の地図情報に基づいて、相対距離が距離閾値d2よりも小さいか否かを判定する。
S31において、相対距離が距離閾値d2よりも小さいとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、S32において、BGマップ生成部17によりボクセルviにおける占有率p(vi)の算出を行う。一方、S31において、相対距離が距離閾値d2以上であるとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、当該ボクセルviに対しては占有率p(vi)の算出を行わない。
続いて、ECU10は、S33において、BGマップ生成部17により整数iが総数Nに至ったか否かの判定を行う。S33において、整数iが総数Nに至っていないとBGマップ生成部17により判定された場合、S34において、ECU10は、BGマップ生成部17により整数iに1を加算する処理を行い、S31に戻り、1だけ増加した整数iのボクセルviについて、BGマップ生成部17により相対距離が距離閾値d2よりも小さいか否かの判定を行う。一方、S33において、整数iが総数Nに至ったとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、図10の処理を終了する。
以上説明したような図10の占有率の算出処理によれば、例えば外部センサ1の解像度に起因して相対位置情報の精度が低下することを抑制し、占有率の精度が低下してしまうのを抑制することができる。
図11は、図8の静止物体地図情報生成装置の追加処理の一例を示すフローチャートである。静止物体地図情報生成装置100では、図8における演算処理に続けて、図10に示される演算処理を実行するように変形することができる。
ECU10は、S40において、BGマップ生成部17により尤度の算出を行う。尤度は、物体が移動障害物(例えば他車両、歩行者)であるかの予測の信頼度である。BGマップ生成部17は、周知の手法(例えばパーティクルフィルタ又はカルマンフィルタの誤差共分散行列を用いる方法)で尤度を算出する。
ECU10は、S41において、BGマップ生成部17によりボクセルviにおける車両の尤度が所定の閾値以上であるか否かの判定を行う。ここでの所定の閾値は、ボクセルviにおける物体が移動障害物としての車両(他車両)であることを判定するための尤度の閾値である。BGマップ生成部17は、外部センサ1の検出結果、車両位置、及び地図データベース4の地図情報に基づいて、ボクセルviにおける車両の尤度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
S41において、ボクセルviにおける車両の尤度が所定の閾値以上であるとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、S42において、BGマップ生成部17により当該ボクセルviのBGマップからの除去を行う。BGマップ生成部17は、生成したBGマップの地図情報から当該ボクセルviを除去する。その後、ECU10は、図11の処理を終了する。
一方、S41において、ボクセルviにおける車両の尤度が所定の閾値未満であるとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、S43において、BGマップ生成部17によりボクセルviにおける歩行者の尤度が所定の閾値以上であるか否かの判定を行う。ここでの所定の閾値は、ボクセルviにおける物体が移動障害物としての歩行者であることを判定するための尤度の閾値である。BGマップ生成部17は、外部センサ1の検出結果、車両位置、及び地図データベース4の地図情報に基づいて、ボクセルviにおける歩行者の尤度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
S43において、ボクセルviにおける歩行者の尤度が所定の閾値以上であるとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、S42において、BGマップ生成部17により当該ボクセルviのBGマップからの除去を行う。その後、ECU10は、図11の処理を終了する。一方、S43において、ボクセルviにおける歩行者の尤度が所定の閾値未満であるとBGマップ生成部17により判定された場合、ECU10は、図11の処理を終了する。
以上説明したような図11の演算処理によれば、例えば交差点の右折待ち等において車両Mの周囲で停止している他車両、及び交差点の信号待ち等において車両Mの周囲で立ち止まっている歩行者等について、占有率が高く算出されてBGマップに含まれてしまったとしても、尤度を用いて他車両及び歩行者をBGマップから除去することができる。
なお、静止物体地図情報生成装置100では、車両Mの自動運転の実行中において、BGマップ生成部17により静止部分あるいは準静止部分と認識されたボクセルが車両Mの進路上に存在する場合には、以下のように当該ボクセルを回避するか否かを決定することができる。
例えば、車両Mの進路上に存在するボクセルが静止部分と認識されているボクセルである場合、BGマップ生成部17は、当該ボクセルを回避するように走行制御部15を制御してもよい。
また例えば、車両Mの進路上に存在するボクセルが静止部分と認識されていないボクセルであって、準静止部分と認識されているボクセルであるときには、BGマップ生成部17は、当該ボクセルを含む集合V2が静止部分と連続する場合には当該ボクセルを回避するように走行制御部15を制御してもよい。一方、BGマップ生成部17は、当該ボクセルを含む集合V2が静止部分と連続しない場合には当該ボクセルを回避するための処理を行わなくてもよい。