以下、本発明の透明ディスプレイに関連する様々な概念および本発明の透明ディスプレイの実施形態について更に詳しく説明する。言うまでもなく、開示される概念は任意の特定の実施態様に限定されないため、先に紹介された様々な概念および以下で更に詳しく論じられる様々な概念は、任意の多くの方法で実施されてもよい。特定の実施および用途の例は、主に、例示目的で与えられる。
ここで、添付図面を参照して、本発明を単なる一例として更に説明する。当業者であれば分かるように、本発明は、以下の説明に開示される本発明の一部または全てを伴って実施されてもよい。本発明を説明する目的のため、本発明の基本的な原理を不明瞭にしないように、光学設計およびビジュアルディスプレイの当業者に知られる光学技術の周知の特徴が省かれあるいは簡略化されている。別に他に述べられなければ、光線またはビームの方向に関する用語「軸上」とは、本発明に関連して記載される光学的な構成要素の表面に対して垂直な軸と平行な伝搬のことである。以下の説明において、光、光線、ビーム、および、方向という用語は、直線的な軌道に沿う光エネルギーの伝搬の方向を示すために、置き換え可能に互いに関連して使用されてもよい。以下の説明の一部は、光学設計の当業者によって一般に使用される専門用語を用いて与えられる。また、本発明の以下の説明において、「1つの実施形態では」という語句の度重なる使用は、必ずしも同じ実施形態に言及しているとは限らないことにも留意すべきである。
本発明は、今まで利用されてこなかったSBGの2つの基本的な特性、すなわち、第1に、回折面に対して直交する面内のブラッグ格子の比較的幅広い角度帯域幅と、第2に、SBGを非常に薄くすることにより生じる幅広い角度帯域幅とによって可能にされる。結果として、FOVタイルのサイズを約10°×10°に制限する制約がこの場合に適用されず、それにより、前述したモザイク手法がもたらされる。ここで、結果として、より少ない更に大きなタイルを使用できる。以下の説明で示されるように、必要とされるFOVは、それぞれが1つのディジレンズ(DigiLens)を有する2つのタイルへと分割されてもよい。他の数のタイルが可能であってもよい。光学設計に関して、この新たな手法は、照明リップルの問題を、完全に排除しないまでも、最小限に抑えることができる。ディジレンズを受動にすることにより、電極からの散乱の問題、および、モザイク要素の大きなマトリクスに配線をつなぐという軽くはない問題を回避できる。受動SBGは、そのHPDLC形成および記録プロセスに関して切り換えSDBGとは異ならない。唯一の違いは、電極が必要とされないことである。SBGの回折特性は、通常は、接平面内で特定される。光を1つの面内で回折するための格子構造において、接平面は、入射して回折される光線ベクトルと格子ベクトルとを含む面である。幾何学的な光学理論にしたがって、接平面と直交する面は矢状面と称される。図1は、91などの傾斜したフリンジを含む透過型SBG90の基本的な幾何光学素子を示し、この場合、格子ベクトルKがフリンジと垂直に位置合わせされる。ブラッグ格子においては、入射光線およびkベクトル回折光線とKベクトルとの間の角度がブラッグの式を満たせば、多数の入力光線および出力光線がブラッグの条件を満たす。(実際に、ブラッグ格子のコゲルニック理論によれば、オンブラッグ光線方向からの角度偏移または波長偏移が小さいかなり高い回折がオフブラッグ角度において得られることに留意されたい)。図1において、これらのオフブラッグ光線は、オンブラッグ(図面の面内にある)光線900,901を取り囲む光線円錐902,903により示される。図1Aに示されるように、オンブラッグ光線フリンジ切片の軌跡が円904である。図1Bに示されるように、光線905,906もオンブラッグである。図1Aの幾何学的形態を考慮すれば、言うまでもなく、接平面内のブラッグ回折角度帯域幅は、接平面上への円錐902,903の投影によって制限される。しかしながら、図1Bを参照すれば明らかなように、矢状面内の有効角度帯域幅(「ABW」)は非常に大きく、それは矢状面内への円錐904の投影によって与えられる。実際には、矢状方向の帯域幅は、主に、導波路により設定されるTIR角度制約によって制限される。ブラッグ格子の大きな矢状面(すなわち、我々の目的のための水平面)の角度帯域幅(一般に、約4×接線方向の帯域幅)の結果として、現在の水平FOV目標をほとんどのディスプレイ用途において達成できる。実際には、帯域幅は、導波路内で維持され得るTIR角度範囲のみによって制限される。
本発明者らは、薄いSBG格子が非常に幅広い角度帯域幅を与えることを既に実証してしまっている。低屈折率変調SBG RMLCM形成を使用して製作された実験的なSBG導波路は、1ミクロン厚のSBG層により21°のFWHM帯域幅を有することが分かってきた。
以下の説明では、一般的にブラッグ格子、望ましくはSBGを意味するように理解されるべき格子への多くの言及がなされる。多くの場合、SBGは、前述したようなそれらの通常の切り換えモードで動作される。しかしながら、一部のケースでは、SBGが受動(例えば、完全受動)モードで使用され、すなわち、SBGを切り換えることができない。非切り換えSBGは従来の受動ホログラムよりも優れている。これは、HPDLCのLC構成要素が、従来のホログラフィックフォトポリマーで達成され得るよりもかなり高い屈折率変調をもたらすからである。本発明の特定の実施形態において、ディスプレイは、切り換えSBGと非切り換えSBGとの混合を使用する。しかしながら、ディジレンズ出力格子は常に受動状態である(切り換えしない)。1つの特定の類の実施形態では、ディスプレイが全て受動SBGを使用する。
本発明の原理にしたがった透明ディスプレイが図2に概略的に示されている。薄くて透明性の高いアイピース(またはHUDコンバイナ)を備えるディジレンズ(登録商標)は、視野の上側半分および下側半分をアイボックス(図示せず)へと投影するための2つの導波路101,102を備える。導波路はそれぞれ、透明基板間に挟まれる切り換えできないSBG層を備える。各導波路は、数字107,109および108,110のそれぞれによっても示されるDIGI−I1,DIGI−O1およびDIGI−I2,DIGI−O2と名付けられる切り換え可能な入力格子と切り換え不能な(受動)出力格子とを有する。導波路は半波長膜(HWF)106によって分離される。(なお、以下で説明されるべき他の実施形態では、HWFがDIGI−I格子間に配置され、DIGI−O格子が空気(または、低屈折率材料)により分離される)。以下で論じられる入力画像ノード(IIN)103は、マイクロディスプレイ、レーザモジュール、ビーム拡大光学素子、視準光学素子、および、リレー光学素子を含む。図2Aおよび図2Bには概略側面図が与えられ、また、図2Cには正面図が与えられる。図2Aおよび図2Bは、ディスプレイの2つの切り換え状態に関して、ディジレンズ層を通じたIINからの光線経路を示している。第1の状態において、格子DIGI−I1は、アクティブであり、IIN103からの入射P偏光1000をTIR経路1001へと回折する。TIR光は、1002により示されるように、その光に沿って導波路から回折されて出る。出力格子は損失性のものであり、すなわち、回折効率が1よりもかなり小さく、そのため、ガイド光の一部が各ビーム−格子相互作用で回折されて出る。残りの光は、全ての光が導波路から抽出されるまで、TIRと回折とを繰り返し受け続ける。回折効率の注意深い最適化(屈折率変調、格子厚さ、および、他のパラメータに依存する)によって、出力開口にわたる均一な照明が達成される。一般に、IINに最も近い導波路の端部では低い回折効率が必要とされ、また、最先端では最も高い効率が必要とされる。なお、損失性抽出に起因して、高い角度におけるよりも多くのピークエネルギー(0°の角度における)がディジレンズに結合される。したがって、損失性格子の端部で抽出のために幅広い角度の光を利用できる。「損失性格子」という語句が幾つかの実施形態で使用されるが、この語句は「損失性導波路」を包含する。如何なる理論にも拘束されるべきではないが、これは、「損失性」が、導波路に沿う均一な損失をもたらし得る導波作用と格子効率との組み合わせでないことに起因し得るからである。
このことは、特にDE曲線が狭まる導波路の厚肉端でピーク角度変化およびエッジ角度変化を均一化するのに役立つ。回折光1002は、HWFによってその偏光が90°回転され(S偏光になる)、したがって、偏りを伴うことなく第2の導波路102を通る。これは、SBGがS偏光に関して比較的低いDEを有するからである。なお、一方のディジレンズ(登録商標)層はS偏光を放射し、他方のディジレンズ層はP偏光を放射する。しかしながら、各SBG層はP回折している。
表示HBE1,HBE2により示される(数字(104,105)によっても参照される)水平ビーム拡大器(HBE)は、大きな瞳孔にわたって画像光を拡大するために損失性高ABW格子を使用する多層SBG導波路である。前述した実施形態では、HBEがディジレンズの上縁に沿って延びる。HBEについては以下で更に詳しく論じる。なお、前側ディジレンズ(登録商標)素子と後側ディジレンズ(登録商標)素子との間には空隙がある。これは、屈折率が低い(1に近い)適切な材料と置き換えられてもよい。出力画像光がP偏光とS偏光との混合であるため、ポラロイド(登録商標)型アイウェアとの適合性のために1/4波長膜をディジレンズの出力面上に設けることが必要な場合がある。そうしなければ視野の半分の損失をもたらす。
HBE(および先願のVBE)に付されているが、この文脈のみにおける水平および垂直という用語は、本発明を説明する目的で重要性をもつ。実際に、本発明は、多くの異なる形態のコメントを許容し、また、ビーム拡大をなすビームが垂直または水平であってもよい幾つかの異なる実施方法を許容する。導波路という用語に関しては、これらが実際に層状に積み重ねられる複数の分離された導波路を備えてもよいことに留意すべきである。最後に、格子要素に関して、3つの格子要素のそれぞれは、隣接配置されて単一の層をなすあるいはホログラフ的に多重化されて単一の層をなす複数の層状の格子積層体を含んでもよいことは言うまでもない。ディスプレイ開示の基本的なビルディングブロックは、格子、通常はブラッグ格子を含む導波路である。言うまでもなく、機能は、特定の実施形態では、わずか1つの導波層によって達成され得る。しかしながら、導波層の数は、視野のサイズや必要とされる色によって決まる。格子は、切り換え可能(SBG)であってもよく、あるいは、受動状態、すなわち、切り換え不能であってもよい。原理上ではあるが、受動格子を与えるために任意のタイプのブラッグ格子が使用されてもよい。電極を伴わないSBGの使用には大きな利点が存在する。SBG材料は、LCとポリマーとの混合が従来のホログラフィックポリマー材料の屈折率変調よりも高い屈折率変調を与えるという利点を有する。本発明の好ましい実施形態では、出力導波路構成要素が非モザイク状の受動格子のみを使用する。これは、電極からの散乱および照明不均一性の想定し得る問題を最小限に抑える。格子という用語は、他に別に特定されなければ、ブラッグ格子を示すために使用される。受動格子は、電気的に切り換えられない格子を意味する。
図3および図4にはディスプレイが更に詳しく示されている。視準ディスプレイ(例えば、HMD)がどのように動作するのかを理解する更なる助けとして、最初の焦点が設計の白黒バージョンに合わせられる。構造的に、HMDの白黒実施およびカラー実施は非常に類似する。言うまでもなく、重要な相違点は、白黒構成が、少ない導波層でかつIINおよびHBEにおける幾つかの受動格子構成要素を使用できる可能性をもって達成され得るのに対し、カラー実施が、赤、緑、および、青の光チャネルの角度内容を同時に管理するのが非常に難しいことから切り換え可能となるためにIINおよびHBEのほとんどの構成要素を必要とするという点である。両方のケースでは、ディジレンズ(登録商標)が受動構成要素のままである。
本発明は、透明ビジュアルディスプレイの分野で多くの用途を有するが、最初に、1つの特定の用途、すなわち、拡張現実(AR)用途におけるヘルメットマウントディスプレイを考慮する。この場合の目的は、高い透明性、高い分解能、超コンパクトな(薄い)形状因子、軽量、および、十分な射出瞳という当初の目的の全てを達成しつつ、52°H×30°V単眼視野仕様を満たすことである。目標仕様が表1にまとめられている。
ディスプレイの重要な構成要素が図3の概略的な三次元図および図4の側面図に示される。ディスプレイは、FOVを上側FOVタイルと下側FOVタイル(図面表示に参照数字1,2により示される)とに分ける。なお、ディジレンズの導波路基板およびHBE構成要素は、説明を簡単にするために示されていない。ディスプレイは、HWFを間に挟む2つの導波層から構成されるディジレンズ(登録商標)を備え、ディジレンズは、入力構成要素DIGI−Iと出力構成要素DIGI−Oとに分けられる。なお、SBGの幅広い矢状方向の角度帯域幅は、タイルを水平に張る必要性を排除する。入力格子HBE−Iおよび出力格子HBE−Oを備える2つの水平ビーム拡大器HBEがそれぞれ設けられる。HBE−O1からの拡大された出力光は、DIGI−I11を介して第1のディジレンズ導波路に入り、また、第2の導波路に関しても同様である。なお、図3および図4では、前記構成要素も数字130−145によって参照される。2つのIINが、上側FOVに関して1つ、および、下側FOVに関して1つ設けられる。各IINにおけるディスプレイパネルは、1080p 5mm×3mm LCoSデバイスである。両方のディスプレイパネルを照明するために1つのレーザモジュールが使用されてもよい。しかしながら、本発明は、使用されるべきマイクロディスプレイの数に何ら制限を加えない。十分に速いリフレッシュ速度と十分に高い分解能とを有する単一のマイクロディスプレイであれば、最も要求の厳しいディスプレイ用途を除く全てのディスプレイ用途において事足りそうである。
DIGI−Iは、HBE−Oから投影される瞳出力点で全角度範囲にわたって高い入力結合効率を必要とするため、システムにおいて最も取り組みがいのある格子である。DIGI−I格子が切り換わり、それにより、HBE−Oにより2つのディジレンズ導波路へ出力される52°水平×30°垂直視野をサンプリングする。この格子が高い角度帯域幅と高いDEとを必要とすることが望ましい。DIGI−Iは、少なくとも15°を与えるためにそれぞれが8.5°角度帯域幅オーバーラップにわたって動作する2つのSBGを備える。DIGI−Iは、空気中で8.5°〜9.0°の角度帯域幅を伴うDE約87%の2つの3ミクロンSBGを使用する。−15°〜0°の垂直視野がDIGI−I1にて切り換えられ、また、0°〜+15°の垂直視野がDIGI−2へ切り換えられる。そのため、DIGI−I1が52°水平×−15°垂直を与え、また、DIGI−I2が52°水平×+15°垂直を与える。DIGI−Oにおける全ての格子は、受動的であり、したがって薄い格子となり得る。各対のうちの一方が赤に関するものであり、他方の対が青/緑に関するものである。下側15°を与えるDIGI−O1すなわち後側の格子、および、上側15°を与える前側の格子すなわちDIGI−O2は、全体で52°水平×30°垂直を与える。図4に示されるように、ディジレンズ(登録商標)は〜8−10°のすくい角で傾けられる。これは、画像光を単にディジレンズ(登録商標)へ垂直に投影するよりも良好なDEを与えるためにレイトレーシング解析から見出される。
画像形成プロセスにおけるIIN、HBE、および、ディジレンズ同士の間の相互作用を表わすフローチャートが図5に与えられる。回折光学素子が分散的であるため、複数の格子が組み合わされる場合には、格子によってもたらされる分散がキャンセルするようにそれらの格子を相補的態様で構成することが望ましい。相補性は、通常は、同じ格子ピッチ(すなわち、ブラッグ格子と基板との交差部の空間周波数が同一)を有するように格子を設計することによって達成される。なお、前述した実施形態では、HBE−I2およびHBE−O2が相補的となる必要がある。しかしながら、HBE−I1およびHBE−I2は相補的である必要はない。
図6に示される1つの実施形態では、(DIGI−O格子と重なり合う)ディジレンズ導波路同士の間のHWFが除去され、ディジレンズDIGI−I入力格子間の空間内にHWDが挿入される。HWPによって残される空隙には、低屈折率ナノ多孔性材料が充填されてもよい。1/4波長膜(QWF)が前側および後側の導波路の対向面157,158に付けられ、その結果、各TIR跳ね返りが90°偏光回転をもたらし、それにより、約4倍薄い格子が可能になり、前側ディジレンズ(登録商標)と後側ディジレンズ(登録商標)との間の相互作用をなくすことができる。図7は、第1の導波路内の光線経路1010,1012,1014および1011,1013,1015により表わされる2つのディジレンズ導波路内の上側および下側のFOV光の伝搬を示す。また、図6および図7に示される構成要素も数字150〜159によって参照される。図8は、QWF層162の機能を更に詳しく示すディジレンズ導波路160のうちの1つの図である。HBE1020からの入力光は、DIGI−I格子161によってTIR経路1021へと偏向される。QWFコーティングに入射する1022などの光線は、それらの偏光がP偏光から第1の方向の円偏光へと変換される。反射時には、偏光は、円偏光のままであるが、反対方向であり、それにより、QWFを通過した後、2回目の光は、S偏光1023されて出現する。S光は、SBGによって回折されず、したがって、TIRを受け続ける。QWF膜での次の反射時に、光はP偏光1024へと変換され、このP偏光は、DIGI−Iに対してオフブラッグであり、そのため、元のHBEへ向けて回折されない。その後、ビームのTIRがDIGI−O格子へと進み、この格子では、前述した導波路からビームのTIRが漸進的に抽出される。
1つの実施形態では、角度帯域幅を増大させるために、2つの積層されたDIGI−I格子が各ディジレンズ導波路に設けられてもよい。図9は、空気中で角度帯域幅8.5°(FWHM)の2つの格子を使用して空気中に約15°(FWHM)の上側および下側のFOVを形成するために個々のDE角度帯域幅を組み合わせる効果を示すチャートである。本発明の他の実施形態において、ディジレンズは、より多くの層、例えば各導波路内の2つのDIGI−I層と組み合わされる3つのDIGI−I層を備えることができる。なお、DIGI−I格子およびDIGI−O格子が同一平面上にある必要はない。しかしながら、製造に関しては、材料コストおよびプロセスステップを最小限に抑えるために、格子、基板、電極層、および、低屈折率材料層の数を制限することが有益である。
図10は、ディジレンズ170に対するHBEを断面で示している。2つのHBE導波路171,172が存在し、各HBE導波路171,172は、3つの積層された格子(HBE−I1A〜CおよびHBE−I2A〜C)と、2つの損失性出力格子(HBE−O1A〜BおよびHBE−O2A〜B)とを備える。HBEはディジレンズ170に結合され、2つのIIN(IIN1およびIIN2)が設けられる。IINからディジレンズへの光の経路が光線1030,1031,1034および1032,1033,1035によって示される。なお、構成要素も数字170−183によって参照される。各LCoSは26°H×30°VのFOVを与える。各HBE−Iは、26°ハーフの水平視野を与えるために8.5°ABWステップでP偏光に作用する3つの格子を含む。30°視野は、矢状面内のABWの多大な増大に起因して、その全体が結合する。HBE−I SBGは、高いDEを可能にするが幅狭いABWを可能にする厚い格子である。2つのHBE−I実施選択肢、すなわち、第1に、より低いDE、より高いデューティサイクルのSBGを与える2つのHBE−I格子によりサンプリングされる26°H、または、第2に、3×8.5°角度帯域幅を与える3つのHBE−I格子によりサンプリングされる26°Hとが考慮される。これは、より高いDE、より低いデューティサイクルのSBGを与える。格子は、一般に、1〜2ミクロンの厚さを有して、損失性があり、そのため、格子の長さに沿って均一な効率をもって光が抽出される。損失性格子は、大きなABWと、低いDEとを有する。HBE−I1およびHBE−I2の格子が相補的(すなわち、色分散補正)である必要はない。HBE−I1およびHBE−O1(ならびにHBE−I2およびHBE−O2)の格子は相補的となる必要がある。受動HBE−Iでは、より高い角度帯域幅を得るために、単一の切り換えられた格子が薄い必要がある。現在の材料を用いると、現在の材料では約30%ピークDEであり、また、60%が、予期される材料改善が得られる得る範囲内である。切り換えHBE−Iの場合には、角度帯域幅が減少した更に厚い格子を得ることができる。現在の材料の屈折率変調を用いると、格子厚さが1.4ミクロンから2.0ミクロンへと増大されるため、角度帯域幅がほぼ半分になり、DEが倍になる。薄いSBGおよび厚いSBGの典型的なDE特性およびABW特性が図11の表にまとめられている。
図12および図13は、画像光を一方(左眼)のIINから±15°垂直視野および0°〜26°水平視野を与えるアイボックスへ投影するプロセスの段階的な説明を与える。構成要素は、図3および図4に示される構成要素と同一である。図12Aは、LCoSパネルからIINの出力までの経路1040を示す。図12Bは、一方の導波路内のTIR経路1042およびその長さに沿う光抽出1043を表わすHBEを貫く光経路を示す。図13Aは、HBEから(DIGI−Iを介して)ディジレンズへと抽出される光1044の結合を示す。最後に、図13Bは、ディジレンズにおける光1045の下方伝搬を示し、この場合、出力される画像光1046はFOVの下側半分を与える。
図14A〜図14Cは、HMD190で実施される前述した本発明の3つの3D図を示す。3つの異なる斜視図191〜193が示される。ディスプレイモジュールは水平ヒンジ194を含む。配備位置において、ユーザは、高い透明性をもって全景にわたり透けて見える。格納位置において、ユーザは、距離計、暗視システム、または、他のそのような機器を自由に使用できる。図示のように、眼鏡着用者が受け入れられ、デザインもポラロイド(登録商標)アイウェアの使用を受け入れることができる。別の実施形態では、簡単なディスプレイ引き込み機構により、ディスプレイを不使用時にヘルメットの額の下のコンパクトモジュール内に隠すことができる。本発明の更なる他の実施形態において、ディスプレイは、不使用時に、ヘルメット内へ垂直に引き込まれる。現在好ましい実施は特注のヘルメットを使用し、このヘルメットは、供給光ファイバ通信リンクおよび給電接続を介してベルトパックに連結される。トレーニング用途では、ベルトパックがトレーニングセンターに無線でつながれる。
光学設計の重要な特徴は、HBEおよびディジレンズの一方または両方で使用される格子が、図15に示されるように伝搬方向に沿って格子の厚さを変えることにより得られる仕立てられたDEプロファイルを有する点である。楔形格子203は、格子基板201に小さい楔を含めることによって設けられる。第2の基板202は長方形であってもよい。楔格子を得る他の方法は、光学の当業者に明らかである。2つの積層された格子が使用される場合には、2つの格子のDEプロファイルが反対方向に延びる。望ましくは、格子厚さが1.0〜1.2ミクロンから最大で2.8〜3.0ミクロンまで変化してもよく、下側の厚さは、所定の出力方向1053において最も大きい帯域幅と最も低いDEとをもたらす。より高い厚さは、所定の出力方向1051において最も低い帯域幅1050と更に高いDEとをもたらす。なお、楔角度は、非常に小さく、照明均一性および画質に対して最小限の影響しか与えない。
約1.585の屈折率は、TIR表面に対する一般に70°以下の導波路TIR角度をサポートするために必要とされる。一般に、導波路内での更に高い角度の使用を制限して、導波路内に隙間をもたらすアウトカップリング格子と光束との相互作用の低下を回避することが望ましい。より高い角度(約85°)は、格子が非常に高い角度帯域幅を与えるように形成される場合に画像折り重なりをもたらし得る。ポリカーボネートは、最大で約72°のTIR角度を可能にする。
ほとんど受動的な格子構成要素を用いて白黒ディスプレイを達成できるが、フルカラーディスプレイの場合には、HBE−IおよびHBE−Oならびにディジレンズ入力格子DIGI−Iがアクティブであり、その場合、唯一の受動格子が出力格子DIGI−Oである。白黒HMDとカラーHMDとの間の更なる違いは、後者において、赤波長および青/緑波長をカバーするために別個の導波路がHBEで使用される点である。図16は、2つのディジレンズダブレット導波路を備えるカラーディスプレイに関する本発明の一実施形態で使用されるディジレンズを示す。各ダブレット導波路は、図6および図7の実施形態に類似する。しかしながら、各ディジレンズ導波路ダブレットにおいては、導波路のうちの一方が赤色光に作用し、第2の導波路が青色光と緑色光との混合に作用する。なお、各ダブレットにおいて、赤格子は、B/G格子の後、すなわち、眼に近接して配置される。入力ディジレンズ格子および出力ディジレンズ格子は、赤ダブレットの場合にはDIGI−IRおよびDIGI−ORにより表わされ、また、青/緑ダブレットの場合にはDIGI−IB/GおよびDIGI−OB/Gによって表わされる。導波路の出力格子部分はHWFを間に挟む。入力格子部分は、図示のように空隙を間に挟んでもよく、あるいは、好ましくは低屈折率材料を間に挟んでもよい。QWFは、各ダブレットにおける導波路の対向面に適用されてもよい。構成要素には数字210〜227も付される。赤導波路および青/緑導波路は、空気または図示しないが後述するメソ多孔質シリカなどの低屈折率(ほぼ1)材料によって光学的に分離される。HWFは、後側の出力をPからSへと変換する。SBG格子はP感度が良いため、これが前方の格子と光との再結合を防止する。すくい角(8°〜10°)は、より高い角度帯域幅を与えるとともに、青/緑格子の共用を可能にするより低い色分散を与える。ほとんどの場合、カラー画像は、高屈折率基板と、青TIR角度範囲を大きくするための特別なコーティングとを必要とし得る。
赤色光のための光線経路が光線1071,1073,1075によって示される。青/緑色光のための光線経路が光線1070,1072,1074によって示される。図面に示されるように、この光の一部は、第2の導波路ダブレットへと、すなわち、1076,1078(青/緑)および1077,1079(赤)により示される光経路へと結合する。我々のHMD構造では、後側の導波路から回折される光が上層に入る光と相互作用して元の導波路へと結合するリスクが回避される。赤格子および青/緑格子は、偏光管理に起因して交差結合しない。各カラーチャネルはそれ自体と交差結合し得る。しかしながら、これは、前方の格子で生じるTIRと、アウトカップリングが正しい出力方向にあるようにする相互依存とによって軽減される。千鳥状の経路に起因する前後のアウトカップリングされたビームのオフセットは、出力光を均一化するのに役立つ。元のディジレンズ(登録商標)へ再結合される光のスループットへの影響は無視できるほど小さい。格子結合からの免除を与えるために、パッシンブ導波路積層体の1つの層にHWPが導入され得る。1/2波長遅延層が後側の出力光をPからSへと変換する。SBG格子はP感度のみが良いため、これが前方の格子と光との再結合を防止する。10°のすくい角は、より高いABWおよびより低い色分散が得られる格子処方に関する要求を軽減する。これは、青/緑格子の共用を可能にする。しかしながら、本発明のほとんどの実施形態では、赤が別個の格子を必要としてもよい。
図17のグラフは、各光子ごとの計算されたDEと角度との間の関係、および、元のTIRへ結合される光を引いた層における出力DEを示す。この光が再び戻って出て結合されないと仮定する。単一の相互作用結合損失を含む格子の複合出力が円形記号により表わされる。なお、ピークDEプロファイルの2*1/eオフセットを伴って、前側格子への後側格子の再結合効果を考慮すると、単一の格子のFWHMにおける効果的な倍増が得られる。再結合された光の二次的な出力結合により、プロファイルは、損失がない複合格子プロファイルへと近づく(三角形記号)。
図18は、カラー画像における本発明の更なる実施形態を示す。ディジレンズは、2つの分離された単色ダブレット導波路230,231、すなわち、赤用の単色ダブレット導波路(DIGI−O1A,DIGI−O1B)および青−緑用の単色ダブレット導波路(DIGI−O2A,DIGI−O2B)を備える。入力SBG(DIGI1A〜1D,DIGI2A〜2D)は、A〜Dにより示される4つの単色の赤格子または青−緑格子の積層体を備える。全ての他の点で、構造は図16の実施形態に非常に類似する。HWFおよびQWFは図16と同様に配置される。ダブレットは、空気分離されてもよく、あるいは、低屈折率材料を間に挟んでもよい。構成要素には数字230〜246も付される。
図19に示される図1の実施形態に類似する本発明の別の実施形態において、各ディジレンズ導波路は、赤、緑、および、青のTIRをサポートする単一のSBG層を備える。IINを発端として、経路が、第1の導波路250において数字1080,1082,1083により示されるとともに、第2の導波路において数字1081,1084,1085により示される。いずれの場合にも、赤経路、緑経路、および、青経路は、文字R,G,Bによって参照される。システム構成要素は、図1と同様の表示が付されるとともに、図19では更に数字250〜258により参照される。言うまでもなく、本発明のそのような実施は、3つの色に関する回折光経路が正確に重なり合うようにするためにTIR角度の注意深い制御を必要とする。本発明者らは、スペクトルの青端で反射を高めるために更なるコーティングが必要とされてもよいことを見出した。図19の別の実施形態では、DIGI−O格子が多重格子として実施され得る。
本発明と共に使用するIIN構造が図20に示される。光学系は、重なり合うSBG要素261,262、重なり合うSBG要素263,264、ビームスプリッタ層265、湾曲ミラー266、プリズム267、投影レンズ268、および、マイクロディスプレイパネル269を含む導波路260を備える。湾曲ミラー要素間の空隙270は、反射光のTIRを可能にするために設けられる。図示のように、別個のSBG入力格子および出力格子が各画像領域ごとに設けられる。導波路260および格子263,264は、特に、HBEの入力格子を形成してもよい。あるいは、導波路260は、HBEの入力格子へ光を結合するために使用されてもよい。言うまでもなく、IINは、空間、コスト、および、光学効率の制約を満たすように多くの異なる方法で構成されてもよい。図示の実施形態では、マイクロディスプレイからの画像の半分がHBEへと連続的に画像化される。そのため、図20Aでは、格子261,264がそれらのアクティブ状態にあり、また、他の格子が非アクティブである。画像部分1090からの光は、投影レンズによって経路1091へと投影される。その後、その光は、プリズムにより光線経路1092へと反射されて、湾曲ミラー266で経路1093へと反射されるとともに、格子261により経路1094へと回折されて、経路1095内へとTIRを受け、格子264により導波路から回折されて出る。図20Bは、第2の画像領域1097からの光経路を示す。ここで、格子261,264がそれらの非アクティブ状態へと切り換えられ、また、格子262,263がそれらのアクティブ状態へと切り換えられる。マイクロディスプレイからの経路が1098〜1104により示される。本発明の幾つかの実施形態では、IINが画像全体をHBEへと結合する。しかしながら、入力画像を2つに分割すると、導波路経路への画像のより最適な結合を行うことができる。以下でも、議論が白黒実施だけを考慮する。本発明者らによる最初の設計計算は、基本的な手法が音であることを示し、これは、投影瞳(20mm、格子結合点の前方)、テレセントリシティ、再画像化絞り、2%未満の幾何学的歪みなどの特徴を含みつつ、コンパクトな構造形態で視野にわたってほぼ回折制限性能を満たす。IINの白黒実施のための設計波長は532nmである。分解能は、1080pLCoSに垂直に適合される(LCoSピクセルピッチ:2.8ミクロン;ナイキスト周波数178lp/mm)。なお、設計の特徴は、格子相互依存性を損なうことなくIIN/HBEを眼と同じ導波路の側に位置づけることができるという点である。
光は、26°H×30°VのFOVを与えるために各LCoSからF/2.8(焦点距離:5.65mm)で投影される。光は、0°〜+26°の角度でHBE−I格子に入る。IINは13°の角度で傾けられる。典型的な0°(入力)/52°(ガラス中)格子においては、この角度増大により、角度帯域幅が約20%だけ増大される。なお、図13の赤色光線は、HBE−Iに0°で衝突して、TIRへと回折する。緑色光線は約26°/nでSBGに衝突し、この場合、屈折率nは1.592(ポリカーボネート)である。なお、ポリカーボネートに非常に類似する屈折率を有するS−BAL25ガラスを試作品製造のために使用できる。設計を二色および三色にまで拡張させることができる。最初の結果は、基本的な手法が音であることを示し、これは、投影瞳(20mm、格子結合点の前方)、テレセントリシティ、再画像化停止、2%未満の幾何学的歪みなどの特徴を含みつつ、コンパクトな構造形態で視野にわたってほぼ回折制限性能を満たす。設計波長は532nmである。分解能は、1080pLCoSに垂直に適合される(LCoSピクセルピッチ:2.8ミクロン;ナイキスト周波数178lp/mm)。IINにおける予備的な仕様が表2に与えられる。
1つの実施形態では、投影光学素子に硬質な物理的絞りが存在しないが、代わりに、投影絞りが設けられる。投影絞りの利点は、導波路厚さの減少である。1つの実施形態において、絞りは、導波路内の開口直径を最小にするためにHBEの上方へと中ほどに投影され、そのため、ディジレンズ導波路カプラの開口幅が最小限に抑えられる。
1つの実施形態において、SBG層の下側の段階的反射プロファイルは、ディジレンズ導波路の長さに沿う格子DE変化を制御する(あるいは助ける)ために使用される。これは、通常は、屈折率変調を使用してSBG格子で達成される。これは、低い割合の光が第1の跳ね返りでアウトカップリングされるが高い割合が導波路の他端でアウトカップリングされる場合には、HBEに利点を与え得る。
IIN構造の体積は現在は20×40立方ミリメートルである。しかしながら、図面を考慮すれば明らかなように、IIN構造の全体積を減少させるための多くの異なる方法が存在する。例えば、バードバスミラーおよび投影レンズ系などの構造の屈折要素を回折光学素子と置き換えることができる。マイクロディスプレイの前方にSBG導波路を導入することにより、マイクロディスプレイを照明して、回転されて反射された偏光が湾曲ミラーへ向けて前記導波路を通じて進むことができるようにするための偏光格子ビームスプリッタを設けることができる。
図21および図22に示される1つの実施形態において、HBE281は、その入力端に結合格子283(例えば、先の実施形態のHBE−I)を備えるとともに、一般に45°で傾けられる2つの異なる処方284,285の交互SBG縞を備える出力格子(例えば、HBE−O)を備える。縞が等間隔で示されるが、それらのサイズおよび間隔は、より良好な照明および画像サンプリング制御のために変えられてもよい。しかしながら、縞を非常に狭くすると、システムMTFが低下する場合がある。一般に、縞の幾何学的形態は、注意深い最適化を必要とする場合がある。図22は、DIGI−I288およびDIGI−O289を備えるディジレンズ287とIIN286とを有するディスプレイに組み込まれるHBEを示す。IINからの光線経路が1105〜1110により示され、その場合、HBEおよびDIGI−OにおけるTIR経路が1107,1109により示される。ディジレンズ(DIGI−I)へと結合されるHBEの出力光が1108により示される。DIGI−Oからのディスプレイからの出力光が1110により示される。
図80は、他の実施形態の透明導波路ディスプレイを与える。導波路8001のこの実施形態において、入力格子8003および出力格子8002のうちの少なくとも一方の屈折率変調の大きさは、x方向に沿って少量だけ変化する。この実施形態において、入力格子および出力格子のピッチは、相互依存性要件を満たすために同一でなければならない。屈折率変調がz方向で変えられてもよい。1つの事例では、この実施形態の構造が出力光均一性を制御するのに役立ち得る。この実施形態で説明される原理は、水平ビーム拡大器および垂直ビーム拡大器に適用されてもよい。1つの事例では、切り換え可能な格子が使用される場合には、屈折率変調が入力画像内容の時間的変化に適合するように時間的に変化されてもよい。
本発明の任意の実施形態において、効率的な導波は、TIRビームが低屈折率媒体間に閉じ込められることを必要としてもよい。フッ化マグネシウム(1.46)や二酸化ケイ素(1.39)などの現在利用できる低屈折率材料の屈折率があまりにも高すぎてHMDのフルカラー実施で必要とされる厳格なTIR角度制約を満たすことができない状態では、空隙を形成して維持することが難しい。提案された解決策は、ナノ多孔性材料(メソ多孔性シリコン)を使用することである。ナノ多孔性材料(例えば、メソ多孔性シリコン)は、現在、反射防止コーティングおよび平面光学導波路を含む多くの光学的用途で使用されている。それらの高い多孔性は、高品質で低い誘電定数の薄膜の形成を可能にする。ナノ多孔性材料は、単一のステップで薄層状に形成され得る。非常に低いほぼ1の屈折率を得るために、多孔性を非常に高くして95%に近づける必要である。高い透明性および低い屈折率は、これらの膜と同時に達成できる。それらの膜は、非常に効率的に吸水するため、水分に抗して注意深くシールされなければならない。最良の手法は、受動格子、HWP、および、材料を一緒にシールすることであってもよい。SBG研究室は、ナノ多孔性材料の高屈折率媒体としての潜在的な役割も研究している。これは、40°〜約45°の水平FOVを増大させる可能性をもって我々の導波路で維持され得るTIR角度の範囲を増大する。ナノ多孔性材料は、現在、反射防止コーティングおよび平面光学導波路を含む多くの光学的用途で使用されている。したがって、我々のプロジェクトのために技術を利用しやすいと想定することは道理にかなっている。製造プロセスは、望まれる仕様へと変換可能でなければならない。ナノ多孔性材料を単一のコーティングステップで形成できる。あるいは、屈折率が段階的な多層構造を使用できる。SBG研究室は、ナノ多孔性材料の高屈折率媒体としての潜在的な役割も研究している。これは、我々の導波路で維持され得るTIR角度の範囲を増大する。要約すると、主な利点は、より大きな機械的安定性および耐久性と、より高いFOVをもたらす更に良好なビーム閉じ込めとを与えるモノリシック構造である。
自動車のHUDのための実施形態
既に論じたように、本発明は、多くの異なる用途で使用されてもよい。本発明の幾つかの実施形態は特に自動車のHUDに向けられており、これについては以下の段落で論じる。
図23は、ドライバ301および搭乗者302のためのディジレンズ導波路を組み込む複数の射出瞳を有するカーHUD300の概略側面図である。ディスプレイは、前述した実施形態のうちのいずれかに基づいてもよい。ディジレンズ要素が共有の導波路構造内に組み込まれ、この場合、前述したように入力画像がIIN303により生成される。ドライバ射出瞳へと向かう光線経路が光線1110〜1113により示され、この場合、瞳が1113により示される。搭乗者射出瞳へと向かう光線経路が光線1114〜1116により示され、この場合、瞳が1117により示される。
図25は、図23の実施形態に類似する本発明の実施形態を示す概略側面図であり、ドライバディスプレイの射出瞳は、隣接する射出瞳1120,1121を与えるために複数の重なり合うディジレンズ要素305,306を使用してタイルが張られる。瞳へと向かう光線経路が1118〜1120により示される。
図25は、図23の実施形態に基づく本発明の更なる実施形態の概略側面図であり、この実施形態において、重なり合うディジレンズ要素311,312は、共通の射出瞳1133を与えつつ隣接する視野タイル1132と共に1131により示されるFOVをタイル張りするために使用される。
1つの実施形態の導波路において、ディジレンズは、画素化された視準画像を形成するために使用されてもよい。図26の概略側面図に示されるそのようなディスプレイの簡単な伝統的なアナログは、視準レンズ320の焦点面に位置づけられる画素化されたディスプレイパネル321を備える。このディスプレイの導波路ホログラフィックバージョンが図27に示される。入力画像は、324の符号が付される配列などの切り換え可能要素の2次元配列を備える画素化されたSBG323によって与えられる。各要素は、入射平行光を導波路内のTIR経路へと回折する。SBG配列は、図示しない外部光源からの1142,1143により示される平行光によって照明される。ピクセル324は平行光1145によって照明される。好適には、SBGピクセルが拡散特性を有する。ディジレンズ要素325,326は、これまで説明した格子などの単純な平面格子ではなく、屈折力を有し、そのため、SBG配列の表面上の点で生じる光が視準され、それにより、瞳1148を通じて見るために光線1146,1147により境界付けられる切り換え可能な視野(FOVタイル)が与えられる。そのため、ディジレンズ要素は、図27Aのレンズの回折アナログを与える。ディジレンズ要素は、図25の実施形態と同様にFOVをタイル張りするように構成される。
1つの実施形態では、前述したディジレンズがミラーを与えるように構成されてもよい。図28は、基板330,331間に挟まれる透過型SBG333とディジレンズ上に位置するミラーコーティング332とを使用して自動車用途のための後方確認ミラーをどのように設けることができるのかを示す。SBG回折角は、R1,R2の符号が付される経路をたどってディジレンズに入射する光がSBG層によって回折されてミラー層で反射される一方で、ドライバアイボックスへと通じるR3,R4の符号が付される反射経路が、オフブラッグとなる、すなわち、SBGによる回折のための角度範囲から外れるように設計される。また、光経路には数字1151〜1154も付される。図28を考慮すれば明らかなように、ディジレンズは、格子処方の適した選択によって異なる反射角度範囲を与えるように構成され得る。
図29は、外部画像をドライバ付近の観察瞳へと中継するためのHUD335を示す。外部画像源からの光1155は、ディジレンズ338を介して導波路に入って、1156〜1157により示されるTIRを受けるとともに、ディジレンズ336による光1158として導波路から結合されて出て観察者の方へ向かう。この実施形態は、盲点を見るのに役立ち得る。図29の装置はビームスプリッタ層337を更に備え、このビームスプリッタ層337は、入射するTIR光を複数の経路へと分割することにより、均一性を高めて、出力照明における隙間を最小限に抑えることができる。この原理は、本発明の他の実施形態のいずれかに適用されてもよい。
図30は、本発明の原理にしたがったIIN341およびディジレンズ342を備えるHUD340の正面図であり、HUD340は、赤外光1159を放射する構造化された光源343と、ドライバの手の動きを感知してディスプレイを制御するために戻り赤外光1159を検出する検出器344とを更に備える。
図31は、図26の実施形態に類似する本発明の実施形態であり、この実施形態では、視野タイル(FOVタイル1,2)に含まれる情報がD1,D2により示される異なる範囲で与えられる。IIN351からの画像光は、導波路光1170へと変換される。ディジレンズ354は、方向1173に中心付けられる1174のFOVを有する範囲D2で画像を形成し、また、ディジレンズ355は、方向1172に中心付けられる1171のFOVを有するD1で画像を形成する。2つのFOVタイルが瞳1175を通して観察される。
本発明のほとんどの用途において、好ましい光源は特定のレーザであり、この場合、視準および導波路閉じ込めに対する制約が満たされる必要がある。しかしながら、本発明は、幾つかの変更を伴って、LEDおよび他の比較的狭帯域のインコヒーレント光源を使用して適用されてもよい。図32Aは、カラーHUDにおけるRGB LEDのスペクトル帯域幅を補償するためにSBGが使用される本発明の実施形態を示す。図示の赤色LEDは、図32Bに示されるように、639nmにピーク出力を有するとともに、波長634nmおよび644nmで規定されるFWHM帯域幅を有する。ディジレンズはRGB回折層の積層体を備え、各層が入力格子と出力格子とを備える。各層において、SBGは、ピーク回折効率と図32Cの表に示されるようにピーク波長からの小さな増分だけシフトされる(導波路に沿う)波長特性との間の関係を与えるように記録される。構成波長および記録角度の制御を通常は伴う、再生で波長シフトを与えるブラッグ格子を記録するための技術は、ホログラフィの当業者に良く知られる。RGB SBG層は、RGB LEDと同期して連続的に切り換えられる。図32Aに示されるように、カラーディスプレイ360は、記号R,G,Bにより表示される赤色、緑色、および、青色のディジレンズ導波路を備えるとともに、360R,360G,360Bにより示されるDIGI−I格子および361R,361G,361Bにより示されるDIGI−O格子と、光1180を与える赤色、緑色、および、青色光源362R,362G,362Bと、マイクロディスプレイ363と、平行光1182を与えるための回折レンズまたはホログラフィックレンズ364,365を備えるビーム拡大器とを備える。光は、ディジレンズ要素へ結合された後、前述したように1183により表わされるTIRを受けるとともに、赤色光、緑色光、青色光1184R,1184G,1184Bとしてディジレンズから回折されて出る。
図33および図34に示される1つの実施形態では、ディジレンズがウインドスクリーンと組み合わされる。ディジレンズはそのような実施に極めて適する。これは、ディジレンズが、湾曲導波路内で作用するように設計され得るとともに、1.8〜3ミクロン厚のSBG層を間に挟む100ミクロン程度の薄さの基板を使用して非常に薄い層から形成され得るからである。ディジレンズは、前述したタイプのメソ多孔性材料の薄層によって分離される。また、典型的なカーウインドスクリーンが導波路を維持するために大きな課題を与えない一般に数千mmの曲率半径を有することにも留意すべきである。
1つの実施形態において、ディジレンズは、図33に示されるように既存のウインドスクリーン370の内面または外面に接着され得る柔軟層371として形成される。IIN372は一般にダッシュボードの下側に位置づけられる。
あるいは、ディジレンズ層は、図34に示されるようにスクリーン製造プロセスの一部としてウインドスクリーン内に組み込まれ得る。一般に、ウインドスクリーンは、外側強化ガラス層373と、UV遮断のためのPVBの2つ以上の層374,376と、内側強化ガラス層377とを備える。ディジレンズ375はPVB層のうちの2つによって挟まれる。1つの実施形態において、ディジレンズ組み込みウインドスクリーン製造プロセスは、RMLCMをPVB膜上に噴射するステップと、ホログラフィック記録ステップでSBGを記録する前に第2のPVB膜を用いてRMLCMを間に挟み込むステップとを含む。
図35に示される1つの実施形態では、導波路構成要素DIGI−I,DIGI−O,HBE−I,HBE−Oと、前述したIINと同様のIINとを備える透明ディスプレイが提供される。しかしながら、この場合、前記導波路構成要素のそれぞれは単一のSBG層を備える。なお、前記導波路のSBG層だけが示されており、基板および電極は省かれている。IINからの光線経路が1200〜1203により示されており、光線経路は、HBE内のTIR経路1201、HBEからの拡大されたビームの抽出1202、ディジレンズ内のTIR1203、および、ディジレンズからのディスプレイのための光の抽出1204を含む。構成要素は数字390〜394によっても参照される。
図36に示される1つの実施形態では、透明ディスプレイDIGI−O,HBE−Iと、前述したIINと同様のIINとが提供される。2つの導波路構成要素HBE−O,DIGI−Iは、ビーム拡大およびビーム回転の二重機能を果たすHBE−O/DIGI−Iの符号が付される単一の導波路構成要素に組み込まれる。この構成の利点は、例えば図35および他の実施形態の大部分の場合のように導波路格子から出て再び導波路格子に入る必要なくビーム方向の変化が達成されるという点である。これは、DIGI−Iの格子が図面の平面内で傾けられること、実用的対象のほとんどのケースでは45°の角度で傾けられることを必要としてもよい。そのため、DIGI−I導波路内でTIR経路が90°回転されてDIGI−Oへと進む。IINからの光線経路が1205〜1208によって示される。ディスプレイの構成要素は数字400〜403によっても参照される。
図面および先の説明から明らかなように、このケースでは、確かに、本発明の実施形態の大部分において、HBE−IおよびHBE−OならびにDIGI−IおよびDIGI−Oが単一のSBG層において実現されてもよい。しかしながら、これは全体的に層の数を減らすが、ディスプレイの全体のサイズが増大するという不利益がある。HBEおよびDIGI−Oの幅は、大体において、マイクロディスプレイ寸法と必要とされる視野とによって仕切られる。HUD用途およびHDD用途において、DIGI−O構成要素およびHBE構成要素を実施するために必要とされる空間がDIGI−Oのサイズに対して小さい状態では、同様のサイズのマイクロディスプレイを使用して更に厳しいFOV要求を有するとともにHBE導波路およびDIGI−I導波路の相対的な幅を更に増大させるニアアイ用途およびHMD用途においてトレードオフが更に困難になる。
図37に示されるカラーディスプレイに向けられる本発明の更なる実施形態において、ディジレンズは、別個の赤色、緑色、および、青色の導波路を備える。好適には、導波路が互いに光学的に分離され、これは、それらの導波路が空気分離されあるいは低屈折率膜の薄層によって分離されることを必要としてもよい。好ましい選択肢は、ナノ多孔性材料を使用することである。ディジレンズ導波路が図37に示されており、層がDIGI−IおよびDIGI−Oの表示に数字1〜3を付して参照される(導波路構成要素も数字415〜420により参照される)。IINおよびHBEの構成要素は、詳しく示されず、単に421によって示される。
一般に、ディジレンズは、図1に示されるように導波路内で最も有利な回折角を可能にするために約10°のすくい角で傾けられる。IINおよびHBEは、図面に示されるように眼422に最も近いディスプレイの側にあってもよい。しかしながら、多くの他の形態が可能であることは言うまでもない。眼へと向かう光線経路が光線1210〜1212により示される。図3は、3つのディジレンズを示す同じディスプレイの三次元図である。
図38は、図35の実施形態に基づくカラーディスプレイを示す。この実施は、各色ごとに1つ、3つのディジレンズ層410〜412を有し、この場合、DIGI−IおよびHBE−Iが436により示される格子などの回転/ビーム拡大格子に組み込まれ、IINからの赤色、緑色、および、青色の光線経路が1220〜1223により示され、この場合、赤、緑、および、青が記号R,G,Bで表示される。なお、図示されないHBE−I構成要素は、図35に示される構成要素と同様であるが、赤、緑、および、青のための別個の層を伴う。
車のHMDにおいて、視野は、10°垂直×25°水平の視野が長期目標であると考えられるHMDの視野と比べて比較的小さい。そのような角度内容は、単一層SBGを使用する導波路によって容易に取り扱われ得る。しかしながら、カラーへの関心が存在するため、これは、導波路の情報処理能力に関する更なる要求をもたらす。図39に示される1つの実施形態では、ホログラフィック多重化を使用して少なくとも2つの色を導波路に導いて回折する受動単一SBG層ディジレンズが提供される。多重化は、複数のブラッグ格子を同じ層に記録できる能力である。第1に、多重化は、同様の処方の2つの格子を組み合わせて回折効率角度帯域幅を広げるとともに射出瞳と視野とにわたってより良好な輝度均一性および色バランスを与えることによって改善された角度プロファイルを生み出すべく使用され得る。第2に、多重化は、光を別個の視野領域へと投影するあるいは2つの異なる波長の光を所定の視野領域へと回折するようになっていてもよい2つの別個の回折処方をエンコードするために使用されてもよい。また、多重化は、導波路構造における層の数を減らすという大きな利点も与える。不釣り合いなDesをもたらす競合が記録中に格子間に存在しないようにするとともに、再生時に格子間にクロストークが存在しないようにするための配慮が必要とされる。図39の装置は図35の装置に類似するが、主に、DIGI−O構成要素がここでは多重化された格子であるという点において異なる。構成要素は数字470〜474によっても参照され、また、IINからHBEおよびディジレンズを通じた光線経路が数字1240〜1243によって参照される。好適には、水平ビーム拡大器(HBE)は、IINをダッシュボードの下側に隠すことができるようにするためにディジレンズ(登録商標)の下縁に沿って延びる。一般に、そのようなHUDは、800〜900mmの瞳距離で145mm水平×80mm垂直のアイボックスを有する。目標視野は、10°〜15°垂直×10°〜15°水平である。ウインドスクリーンは75%を上回る透明性を有する。一般に、ウインドスクリーンは、水平3000mm;垂直9000mmの曲率を有する。IINは、1〜2リットルの容積内に受け入れられ得る。
ウインドスクリーンへのディジレンズの組み込みが図40に示される。ウインドスクリーンにおける層の積層体は、ガラス(外側)1.60mm;PVB(3層):0.8mm;ガラス(内側):2.0mmを備える。全体で4.4mmである。SBG層は、50〜100ミクロンの基板によって挟み込まれる5ミクロンのSBGを備え、SBGセルは0.5〜2ミクロン厚の低屈折率層により挟み込まれる。UV接着剤ガスケットラインが、ディスプレイの有効領域を境界付けるSBG材料充填を制限する。格子領域間の隙間には透明なアクリルが充填され、完全な透明性のためにアクリルがUV硬化される。この多層構造は、非常に強力な積層を可能にし、積層強度に関してSBG膜に全く依存しない。図41は、自動車HUDにおける図39の実施形態の実施を示すフローチャートである。
図39の実施形態で使用されるカラー多重化は、2つの方法で、すなわち、第1に、2つの多重格子、例えば赤回折格子および青/緑回折格子を使用して、または、第2に、3つの多重化された格子を使用して、すなわち、多重化された赤、緑、および、青の格子を使用して行うことができる。設計上の問題は、10°の垂直(あるいは、より正確には接平面)視野のために2つ以上の多重格子を使用して最適な処方を決定することである。設計変数は、各色におけるブラッグ波長およびTIR角度、DEプロファイル(すなわち、格子厚さおよび変調)である。ディジレンズは、ウインドスクリーンに結合されあるいは幾つかのケースではウインドスクリーンに埋め込まれるため、導波路が低屈折率材料(空隙を許容し得ない場合)によって挟み込まれる。ナノ多孔性材料層の屈折率が1.2であると想定されてきた。1.52のSBG屈折率において、これは、52°の最小TIR角度に対応する。多重格子を設計する際には、重要であるDEプロファイルの形状を得るために特別な注意が必要とされる場合があり、また、色間のクロストークを回避するためには、より狭いDEプロファイルが好ましい。所望のDEプロファイルは、格子の厚さおよび屈折変調を最適化することによって達成できる。単一のSBG層に多重化される典型的な赤色、緑色、および、青色の回折格子に関するコゲルニック回折理論に基づくシミュレートされた回折効率(DE)とTIR角度プロセスとの間の関係が図42Aおよび図42Bに示される。曲線は、3つの多重格子のそれぞれにおけるDEプロファイルを表わしている。長方形領域は、おおよそのRGB TIR角度範囲を表わす。図42Aは、多重格子が赤色光によって照明されるケースを示している。図42Bは、緑色光または青色光が格子を照明するケースを示している。なお、曲線はシフトする。これは、照明波長が変化するにつれて、ブラッグ条件を満たす角度がシフトするからである。青緑帯域におけるTIR範囲は赤におけるTIR範囲を下回るため、2つの色帯域間にクロストークは存在しない。
図43および図44は、IINと、それぞれがHBE−IおよびHBE−Oを備える2つのHBE構成要素と、それぞれがDIGI−I,DIGI−Oを備える2つのディジレンズ構成要素と、ビームスプリッタ(B/S)とを備える本発明の更なる実施形態を示し、DIG−Iは半波長膜(HWF)を間に挟む。図43は三次元図を示す。図44は、光線経路を示すディジレンズのみの断面図である。HBE−OおよびDIGI−O格子は、図44に実線光線および破線光線のそれぞれにより示されるように赤色回折格子および青−緑色回折格子を多重化する。後側のディジレンズ導波路460における赤色光線は、経路1231,1232,1239をたどる。同じ導波路における青−緑色光線は、経路1230,1233,1239をたどる。前側の導波路における光線経路には数字1234〜1237が付される。後側および前側の導波路構成要素は、数字1,2のそれぞれによって参照されるとともに、数字440〜447によっても参照される。HBEは、2つの導波路要素(すなわち、適切な基板によって分離される2つの切り換え可能なSBG層)を備え、各導波路要素は20°水平×22.5°垂直をサポートする。HBEは切り換え可能である。各HBE導波路は、低屈折率層によって他のHBE導波路から分離される。IINは、HD 1366x768(例えば Himax社により供給されるような0.37”ダイアゴナルLCoSマイクロディスプレイ)を使用する。別のマイクロディスプレイは、Syndiant社により供給されるSyndiant 720P(0.37”ディスプレイ)である。これは、1.76arc min/pixel(全40°×22.5°FOVを超える)の分解能を与える。各格子は、単色に関して空気中で約10°(ガラス中の約6.5°に等しい)の角度幅を与える。(IINの側部入口の)HBEすくい角に起因して角度空間のわずかなバイアスが存在し、そのため、視野がわずかに不均等になる。例えば、18°および22°になる。なお、角度空間内の隣接格子の切り換えは、交差結合が隣接格子間で生じないようにする。各導波路における角度は最小限に抑えられる。緑は、小さい許容マージン(例えば+0.5°〜1.0°)をもってTIR角度付近に配置される。各導波路は、導波路角度範囲にわたってコーティングされる狭帯域青色ミラーである。各HBEからディジレンズへと出力される光は、−20〜0°水平(おおよそ)×±11.25°垂直、および、0〜+20°水平(おおよそ)×±11.25°垂直である。これは、−20〜+20°水平×±15°(すなわち、40°×22.5°)の複合視野を与える。好ましい材料は、ポリカーボネート(n=1.585)または等価物である。基板厚さは0.5mmである。各セルは1.0mm厚であり、そのため、各HBE導波路は2.0mm厚である。両方のHBE導波路は、小さい空隙または低屈折率材料隙間を伴う4.0mm厚である。HBEは、前述したように色に関して多重化される。HBE寸法は、70mm幅×11mm高さである。なお、高さは、垂直縁で1mmマージンを含む。図43および図44の実施形態で使用されるIINは1.3mmの焦点距離を有する。マイクロディスプレイ(LCoS)ピクセルピッチは6.0ミクロンである。光学素子のF値は4.6である。エアリー円盤をLCoSピクセルピッチに適合させることにより、約75%コントラストがナイキスト限界で得られる。IINの開口は2.4mmである。図43および図44の光学的な構造は、2つのディジレンズ導波路(すなわち、適切な基板によって分離される2つのSBG層)を必要としてもよく、それぞれのディジレンズ導波路が11.25°垂直×40°水平をサポートする。入力DIGI−I要素が切り換え可能である。DIGI−O要素は受動的である。入力格子および出力格子は両方とも、先に記載された多重化された赤色格子および緑色−青色格子である。ディジレンズ基板の寸法は、50mm幅×61mm高さである。1つの実施形態では、入力格子が切り換え可能であり多重化されない。すなわち、この場合には、4つの切り換え可能な入力格子が使用される。重要なことには、入力処方および出力処方が相互依存的である。入力光はP偏光でなければならない(ディジレンズがP偏光だけを回折するため)。各導波路は全長の下方にQW膜を有する。これは、2倍薄い導波路を可能にする。TIR反射は半波長だけ回転される(QW膜を二重に通過するため)。したがって、導波路からの光線抽出は、SBGとの1つおきの相互作用でのみ生じる。後側ディジレンズ(すなわち、図43および図44に示されるようにIINに最も近いディジレンズ)の出力は、2つのQW膜相互作用を受けて、Sへと回転し、したがって、前側ディジレンズと相互作用しない。そのため、ディスプレイからの出力は、P偏光とS偏光との混合である。
図45〜図52に示される1つの実施形態では、完全に受動的なHBEおよびディジレンズ導波路構成要素に基づく透明ディスプレイが提供される。以下の説明で明らかにされるように、この実施形態は、IINからの画像光の開口および/またはFOVをサンプリングするために構成されるHBE−Iを使用する。ここで、例えばHMDを与えるために使用されてもよい52°×30°FOV白黒ディスプレイに関連してこの実施形態を説明する。しかしながら、以下の説明および図面から明らかなように、この実施形態は、本明細書中で与えられる技術の利点を伴って、幅広い範囲の異なるFOVを与えるために使用されてもよい。
受動SBGを全て使用する実施形態
図45は、3つのHBE導波路と3つのディジレンズ導波路とが設けられる1つの実施形態におけるディスプレイの一実施形態の三次元図である。HBE導波路が数字541により示され、また、ディジレンズ導波路が542により示され、この場合、HBE導波路にはこれまでのように記号W〜Zが付され、ディジレンズ導波路には記号P〜Rが付される。各HBE導波路は、543,544のそれぞれによっても参照されるHBE−IおよびHBE−Oを含み、また、各ディジレンズは、545,546のそれぞれによっても参照されるDIGI−IおよびDIGI−Oを含む。IINは394によって示される。IINからHBE導波路541Zおよびディジレンズ導波路542Rを通じた光線経路は、光線1330〜1334を使用して示される。なお、瞳はDIGI−Iの前で組み合わされており、それにより、全52°水平×30°垂直FOVがこの段階で存在する。
1つの実施形態は投影絞りに関連する。図46は、IINによる投影絞りの形成を示す概略側面図である。マイクロディスプレイ500上に表示される画像の中心および縁部の画像ピクセルからの光は、周縁ビーム1300,1302と軸上ビーム1301とを与えるために絞り502を通過する。投影レンズ501は、この光を視準して、投影絞り1306で重なり合う視準ビーム1303〜1305を与える。入力の他のポイントからの光も同様に投影絞りへと集光される。なお、投影光学素子は図46では簡略化されており、実際には、投影レンズは前述したように多素子系である。光学設計の技術分野の当業者であれば分かるように、物理的な絞り502の必要性は、照明供給光学素子の適切な構造によりマイクロディスプレイで開口数(NA)を制限することによって最小限に抑えられる(あるいは更には排除される)。なお、レンズから投影絞りまでの距離は、HBE積層体の厚さと比べて非常に大きい。
図47は、IINからHBE導波路503への光の結合を示す概略平面図である。入力格子すなわちHBE−Iは、導波路伝搬軸に沿って小さい距離間隔を有する2つの格子504,505を備える。重要なことには、2つの格子は、実質的に重なり合わないDE対角度特性を有する。HBE−O格子は、506により示されるように導波路の更に下側に位置づけられる。入力格子とは対照的に、出力格子は、後述するように2つの異なる格子処方で多重化される。この結合方式の利点は、それが所定の格子領域504,505に対する入力光の角度内容のマッピングを可能にし、それにより、HBEの入力格子(HBE−I)を導波路光軸に沿って分離できるという点である。この効果は、小さい入射瞳直径を有することによって強調される。簡単にするため、ここでは、導波路を通る2つの光線経路だけが示されている。第1の経路では、入射光線1307がHBE−Iの第1の格子要素504によって第1のTIR経路1309へと回折される。第2の経路では、入射光線1308が第2の格子要素505によって第2のTIR経路1308へと回折される。
ビームと格子との相互作用は、図47の入力格子を含むHBE導波路の一部を示す図48に更に詳しく示される。入射光線1307は、第1の格子504によって光線経路1311へと回折される。第1のTIR反射の後、反射光線1312は、オフブラッグであり、したがって、偏移を伴うことなく第1の格子を通過する。第2の反射の後、光線は、第1の格子の後縁を避けて通り、回折を回避する。このとき、TIRは次の格子へと進む。第3の反射の後、光線1314は、第2の格子の前縁を避けて通る。第4の反射の後、結果として得られる光線1315はオフブラッグである。最後に、第5の反射の後、光線1316は第2の格子の後縁を避けて通り、HBE−Oへと進む。明らかに、この単純化した説明は、主な光線にのみ適用され、格子をとらえる光線の望ましくない回折をもたらす発散ビームの挙動を適切に述べていない。しかしながら、導波路内の狭いビーム角度は、望ましくないビーム−格子交差の影響を減らす。
図49は、図45に示される4層HBEの概略断面図である。先の説明に続いて、各導波層は、2つの別個の格子を備えるHBE−I格子と、多重格子を備えるHBE−Oとを備える。導波路は、空隙によってあるいは好ましくはナノ多孔性低屈折率材料の薄層によって分離されてもよい。入力格子には数字511,512が付され、また、出力格子には数字510が付されており、この場合、導波層は記号W,X,YおよびZによって参照される。図面は、各層の入力格子のそれぞれと相互作用する投影レンズ514からの入力光線を示す。なお、導波層Wからの出力光線は、層X〜Zのうちの1つ以上と相互作用してもよい。しかしながら、既に論じたように、格子相互依存性の特性は、任意のそのような相互作用に関してビーム角度を維持する。そのような層間相互作用に起因する結果としてのビームシフトは、ビームスプリッタまたは均一化器を与えてもよい。例えば、入力光線1320を考慮されたい。この光線は、第1の格子511WによってTIR経路1321へと回折され、TIR経路1321は、偏移を伴うことなく第2の格子512Wを通じて伝搬して、そのTIR経路1322を続ける。出力格子510Wでは、この光の一部が導波路510X内の光線1323へと回折される。この光の一部は、第2の導波路に入ると、TIR経度1324へと回折され、残りの光は方向1323に進む。格子510Yとの更なる相互作用が光線1325および1326により示される。
図50は、図48の実施形態の各導波層で使用される多重格子のペアリングを示す表である。格子の各対は、大きな重なり合いを避けるために十分な距離間隔をもってDE対角度帯域幅を有さなければならない。格子は低いDEピークと幅広い角度帯域幅とによって特徴付けられる損失性の薄い格子であるため、この距離間隔はかなり大きい必要がある。図51は、図45の実施形態における重合DE対角度プロファイルに関する1つの想定し得る方式を示すチャートである。格子の各対は、26°主光線角距離に対応する。全水平FOVが52°であると仮定される。薄い(低いピークDE、高いABW)格子の場合、ABWは約13°である。入力HBE格子が6.5°のABWを有すると仮定する。この場合、角度範囲はAとして−6.6°〜0°であり、また、角度範囲はBとして0°〜6.5°である。AおよびBは、第1にDE対角度重なりに起因して、第2に相互依存性の欠如に起因して、同じ導波路で使用されるべきでないことが認識される。格子分離はFWHMに基づく。しかしながら、他の手段は全照明プロファイルのより良い最適化を与えてもよい。例えば、格子重なりはピーク角度の30%で可能である。FWHMを想定すると、これは、52°のFOVにまたがるために8個の格子を与える(すなわち、8×6.5°)。
高い照明均一性を得ることはSGO設計において重要な問題である。主な設計パラメータは、厚さおよび屈折率変調である。前述したように、小さい楔角度を格子層に適用することにより、ピークDEおよび角度帯域幅を導波路に沿って調整することができる。しかしながら、伝搬経路の端部で導波路内に残存する光は、不均一な出力照明をもたらす大きい角度で蓄積する傾向がある。現在、本発明者らは、この効果があまり大きくないと考えている。非常に厳格な照明制御が必要とされる場合のより洗練された方法は、2つの方向の傾斜を適用することによって格子層を成形することである。更なる改良として、格子の表面を湾曲させることができる。必要とされる格子厚変化は、非常にわずかであり、一般に導波路にわたって1〜2ミクロンであるため、視準およびMTFへの影響はほとんどの実施において無視できる。図51は、2つの直交する傾斜によって特徴付けられるSBG格子530の三次元図である。直交する傾斜に起因する導波路の平面に対する4つの異なる角部高さが531〜532によって示される。しかしながら、本発明者らによる予備的なレイトレーシング解析は、導波路内で必要とされる最適なDEプロファイルが一次元関数であって導波路内のビームの跳ね返り数ではなく導波路の長さの関数であるというある証拠を生み出した。主光線付近の光線角度変位(すなわち、±角度)は、(導波路の長さに応じて)主光線と同じ格子厚さプロファイルを必要とすると思われる。このことは、最適な均一性のために2Dプロファイルが必要とされない場合があることを示唆する。なお、一次DEは、導波路長さとビームにより進行される距離との間の差の相互依存としてスケーリングしなければならない。
図53A〜図53Cは、1つの実施形態におけるHBEの3つの動作状態の概略図である。導波路551およびIIN投影レンズ550の投影の一部は、いずれの場合にも、1341〜1342により示される3つの視準ビーム部分を用いて示される。影付き領域は、30°全垂直FOVを与えるためにディジレンズ導波路のうちの1つへ結合される3つの別個の10°垂直FOV帯域のそれぞれに関して各ディジレンズ導波路により見られるHBE断面に対応する。また、図53A〜図53Cにおける影付き領域は、3つの垂直FOV領域におけるHBE−Oから光を受け入れるDIGI−Iの一部も示す。開口の1/3だけが各状態のDIGI−Iによって集められる。このように有効開口を低く維持することによって、ディジレンズ導波路が大きな厚さを必要としないことが確保される。上記開口方法(および、明細書本文において先に言及された偏光管理)を使用して3つのディジレンズ導波路のために必要とされる全体の厚さが6mmの全厚をもたらすことが推定される。これは、長方形の射出瞳を前提とする。円形の瞳が許容される場合には、極端な斜めの角度を達成する必要性が除去され、それにより、全体の厚さが小さくなる。
前述した全ての受動格子は白黒においては実現可能であるが、フルカラーを与えてクロストークが克服されるようにするために切り換えを導入する必要があるように思われる。
前記実施形態の固有の特徴は、HBEが入力画像の一部分を選択的にサンプリングする方法であり、各部分が角度領域または空間領域のいずれかによって特徴付けられる、ということに留意することは重要である。この手法は、導波路、特にディジレンズを非常に薄くできるようにする。これは、HMDおよびニアアイにおいて特に重要な特徴である。前述した入力画像をサンプリングするプロセスは、先願に開示されるように入力画像全体をFOVタイリングで使用される導波路へと切り換えるプロセスから区別されるべきである。
典型的な特徴
1つの実施形態において、屈折力は、HBEおよびディジレンズ導波路で使用される格子のうちの少なくとも1つで与えられてもよい。回折光学素子におけるレンズ処方の記録は良く知られている。本発明において、これは、補助レンズを必要とすることなくディスプレイの焦点を微調整できる可能性を与える。そのようなレンズは、収差を補正するために使用することもできる。切り換えホログラムは、異なる範囲で画像を与えるためのソリッドステートな(可動部がない)解決策のための可能性を与える。これは複数の層を必要とする場合がある。これは、HUD用途およびHDD用途において魅力的な特徴を与える。大きな屈折力のホログラムレンズの記録は、軸外ホログラフィック収差を克服することに対する注意深い配慮を必要とする場合がある。構成光学素子は、潜在的には更に複雑であるが、マスターホログラムが形成されると、密着印画プロセスが任意の他のホログラムと同じである。
1つの実施形態では、TIR範囲を越える導波路範囲を高めるために、多層薄膜コーティングがディジレンズ導波路の反射面に塗布される。ガラスおよびプラスチックは、大きな視野のために必要なTIR角度の範囲を可能にしない。例えば、39°を下回る光線は、ポリカーボネートTIR(532nmでの屈折率=1.585)によってサポートされない。その問題は、詰まるところ、プラスチックおよび低コストガラスにおける臨界角度をはるかに下回る最小導波路角度30°角度を達成するということになる。コーティングの設計上の課題は、画質劣化またはシースルー透過の損失を伴うことなく必要とされる反射力を得る反射力コーティング処方を達成することである。コーティングは、波長偏光、角度、散乱、吸収からの損失のための最適化を必要とする場合がある。誘電体膜を基板上に加える1つの利点は、必要とされる回折力の大きさをかなり減少させ、それにより、格子角度帯域幅が向上する。誘電体コーティングは、以下の特性、すなわち、a)30°(ガラス中)〜39°(TIR角度)の角度におけるS&P光に関して高い反射率、b)P光に関して0°±13°(ガラス中)における高い透過率;空気中での35°×20°角部領域に等しい、c)光源の狭い帯域性に起因して反射率の良好な角度制御を達成できる、d)全ての層に関する非レーザノッチ波長における高いシースルー、を有する。
1つの実施形態において、HBEまたはディジレンズのうちの少なくとも一方における入力格子、すなわち、格子HBE−IおよびDIGI−Iは、HBEおよびディジレンズを通じて伝えられるべきビーム角度の範囲にわたって特徴的に均一に分配されるDE対角度を与えるために、異なるkベクトルの格子の積層体を備える。一般に、格子は、積層体を可能な限り薄く維持するために、200ミクロン(あるいは更には100ミクロン)基板だけ離間される。最終的に、本発明者らは、スピンコーティング技術を使用して最小実用格子積層体厚さを得ることができると考える。
1つの実施形態では、異なるkベクトルの多重格子の別の方式が積層の必要性を回避する。
レーザ照明を使用する前述した実施形態のうちのいずれかは、レーザ経路から眼鏡へと向かう照明経路中の任意の点に配置されるレーザスペックルを排除するためのデスペックラーデバイスを組み入れてもよい。好適には、デスペックラーは電気光学デバイスである。望ましくは、デスペックラーはHPDLCデバイスに基づく。
1つの実施形態において、ディスプレイは、ビーム成形とスペックル排除とを組み合わせる均一化器を組み込む。望ましくは、前記機能を果たすために使用されるSBG配列は、それら自体、導波路の1つ以上の中またはIIN内に更なるSBG層としてシームレスに実装され得る回折導波路デバイスである。スペックル排除は、角度ダイバーシティと位相ダイバーシティとの組み合わせによって達成される。典型的な導波路均一化器は、2012年11月20日の出願日を有するCOMPACT LASER ILLUMINATOR INCORPORATING A DESPCKLERと題される米国仮特許出願第61/796,795号明細書、および、LASER ILLUMINATION DEVICEと題される2008年7月22日の国際出願日を有するPCT出願第2008/001909号明細書に開示される。図面および明細書本文を考慮することにより明らかなように、本発明は、そのようなデバイスをディスプレイのIIN構成要素および導波路構成要素に組み込む幾つかの機会を与える。
本発明は、1つ以上の受動SBG導波路を備えるディジレンズに基づく透明ディスプレイを提供し、受動SBG導波路のそれぞれは、垂直視野または特定の色の一部を投影する。本発明は、より薄いSBGを使用してブラッグ格子の本質的に広い矢状角度帯域幅をうまく利用することによって得られる回折効率角度帯域幅の向上によって可能にされる。本発明は、高い透明度の通常の目標、高分解能、超コンパクトな(薄い)形状因子、軽量、および、十分なアイボックスのうちのいずれかを犠牲にすることなく、大きな視野、例えば52°水平×30°垂直を与えることができる。導波路構成要素およびコンパクトな入力画像ノードは、小さい形状因子、湾曲したバイザーへの経路、および、スリムラインという目標と一致する。角度帯域幅および光学効率における予期される向上の利点を伴うと、前記FOVを増大できると考えられる。ディスプレイモジュール設計手法は、大きな構造再設計を必要とすることなく、白黒からカラーへの素早い成長を可能にする。カラー解決策および白黒解決策の両方において1.0cyc/mrの適度な撮像性能を与えることができる。白黒における光学性能は、1.4cyc/mrディスプレイピクセル分解能を超える。最良の分解能は白黒で達成されるが、カラーディスプレイにおいても良好な性能を達成できる。HMDにおいて、本発明は、25mmの瞳距離で25mm幅のアイボックスを与えることができる。これにより、調整を何ら伴わずに人口の90%を受け入れることができる。基板ガイド回折光学素子は、入力画像ノード(IIN)内を除き、任意の場所で使用される。しかしながら、設計の今後の開発では、更なる形状因子圧縮および製造利点を生み出すために、屈折構成要素を回折要素と置き換えることができる。IINは、ディジレンズの上側、または、側部、または、前側、または、後側に装着されてもよい。これにより、中核的なディジレンズ機能性を保ちつつ、一連の人間工学的要求を満たすことができる。設計は、ニアアイディジレンズの分割またはモザイク化を必要としない場合があり、それにより、照明リップルおよび電極からの不連続および散乱の問題が排除される。本発明の原理にしたがった透明ディスプレイは、出願人の整理番号SBG104によっても参照されるIMPROVEMENTS TO HOLOGRAPHIC POLYMER DISPERSED LIQUID CRYSTAL MATERIALS AND DEVICESと題される本発明者らによる2012年8月24日の出願日を有する米国仮特許出願第61/573,066号明細書に開示されるプラスチックSBG技術によってもたらされる利益も享受する。
本発明は、先のように明記された先願の教示内容を前提とする。特に、本発明は、出願人の整理番号SBG109によっても参照されるWIDE ANGLE COLOR HEAD MOUNTED DISPLAYと題される本発明者らによる2012年4月25日の出願日を有する米国仮特許出願第61/687,436号明細書に開示される偏光再循環方式を使用してもよい。この特定の特徴は、SBG材料(現在の材料または将来開発される材料)の特性によってあるいは偏光回転成分が導波路に意図的に導入されてそれにより偏光再循環および偏光再循環によるデバイス効率の向上の機会を広げる場合において、SBGアウトカップリング導波路により偏光が維持されないときに関連があるかもしれない。具体的には、直線的に偏向される光がディジレンズ導波路へ入力されて(すなわち、HBEから導波路へと結合されるp光)該光がS偏光とP偏光との混合へと変換される場合に、より薄いディジレンズ導波路を使用できる。これは、最大で導波路の薄さの2倍の減少というファクターを可能にし得る。
本発明は、均一性を得るためにビームスプリッタ層を導波路に組み込んでもよい。更なる改良として、導波路におけるビームスプリッタオフセットが得られてもよい。すなわち、導波面の中間ではなく、導波路の中間点からオフセットされ、それにより、複数の跳ね返り相互作用の後に均一性が最大となる。更なる他の改良は、ビーム混合を最適化して調整するためにビームスプリッタにおいて異なる反射率を使用することである。概念は、ビームスプリッタの反射率%を50/50以外の何かへ変えることによって、あるいは、B/S長さに沿うt×/R×分割を変えることによって、瞳充填を均一化して最適化できることである。
なお、図面に示されるホログラムの厚さは誇張されている。一般に、格子は、100〜200ミクロンの厚さの基板によって挟まれる1.8〜3ミクロンの厚さである。基板の両面に適用される透明電極は、ナノメートル単位で測定される。
1つの実施形態では、ホログラフィック輝度増強膜または他の狭帯域反射器がディスプレイの一方側に取り付けられ、その目的は、ディスプレイ照明波長光だけを反射させることであり、シースルーディスプレイを反対の視野方向で見えなくすることができる(そのため、安全である)。ここで、反射されたディスプレイ照明は、効果的に映し出され、したがって、一方向で遮られ、それにより、銀行や金融サービス設定ではよくある顧客設定または個人面接設定において照明が透明デスクトップディスプレイ用途にとって理想的となる。
この文脈における重要な性能パラメータは、ディスプレイの透けて見える透過である。透過に影響を及ぼす変数は、ITOコーティング(0.995)、ARコーティング(0.99)、ならびに、基板およびホログラフィック層の吸収である。導波路と低屈折率結合層との間の界面にはフレネル損失も存在する。カラーディスプレイに必要とされる透過率は、90%を超える目的をもって、70%を超える。1つのディスプレイごとに3つの導波路、1つの導波路ごとに2つの基板を前提にすると、計算される透過率は93%であり、したがって、求められる目的が満たされる。なお、100ミクロンガラス基板を使用してこの構造を実施することが我々の意図である。3つの導波路を用いるとともに、1つの導波路ごとに3つの基板を用いても(なお、2つのホログラフィック層が3つの基板を必要とする場合がある)、カラーディスプレイのディスプレイの全体の厚さは依然として1mm未満である。ホログラフィック層(コーティングを含む)の厚さはごくわずかであり、各ホログラフィック層は全体の厚さに4〜5ミクロン寄与するにすぎない。重量が常に問題になるため、これは、我々の手法の極めて重要な特徴である。プラスチックが使用される場合には、重量を更に減らすことができる。
好ましい実施形態において、SBGは、それらが電圧印加時に回折しかつそれ以外のときは常に光学的に受動状態にとどまるように逆方向モードで動作する。SBGは、図示のように薄い(100ミクロン程度の薄さ)基板層によって分離される連続SBG薄板として実施される。最終的に、設計目標は、(ITOに取って代わるために)透過型導電コーティングを有するプラスチック基板を使用することである。本出願に適するプラスチックSBG技術は、パラレルSBIRプロジェクトで開発されている。これは、モノリシックホログラフィック光学素子を用いた狭帯域レーザ照射の利点全体を利用する平面モノリシック構造である。
本発明は、基板ガイド光学素子に理想的に適する一連の利点を有する。第1に、構成要素のコストが大きく低減される。光学的な複雑さは、様々なホログラフィック光学素子に含まれる。一組のマスターの形成と関連付けられる非反復エンジニアリング(NRE)が完了すると、複製コストは、別個の屈折構成要素と関連付けられる反復材料コストと比べると比較的わずかである。第2に、組み立て時間が大きく減少される。部品数が大きく減少されるだけでなく、組み立てプロセスがかなり高速である。平面構造は、アライメント基準を使用して非常に高い光学的精度をもって互いに高い費用効率で積層され得る。接触労力は、厳しい基準に合わせて一部品アセンブリを形成する労力と比べて大きく減少される。第3に、光学的精度がかなり高い。新規な光学的構造を設計する際の最も大きい課題のうちの1つは、一部品、機械的なハウジング、および組み立て手続きに関する許容範囲の増大を制御することである。ホログラフィック光学素子(HOE)を用いると、「判断基準」を上級エンジニアによりまとめることができ、このレベルの品質をNRE段階中にHOEマスターでとらえることができる。HOEの光学的アライメントを高い精度で達成できるという事実に加えて、個々のHOEは、アライメントの変化をより大きく許容する。したがって、高品質デバイスの全体の歩留まりは非常に高い。最後に、サイズおよび重量は、サブシステム全体の耐久性のように、このモノリシック構造によって大きく減少される。
前記実施形態のうちのいずれかにおいては、眼のレンズおよび網膜が任意のタイプの結像レンズおよびスクリーンと置き換えられてもよいことは明らかである。本発明の前述した実施形態のうちのいずれかは、直接観察ディスプレイまたは虚像ディスプレイのいずれかで使用されてもよい。想定し得る適用範囲は、ビューファインダーで使用されるディスプレイなどの小型ディスプレイから、大面積広報ディスプレイにまで及ぶ。前述した実施形態は、透明ディスプレイが必要とされる用途で使用されてもよい。例えば、本発明は、ヘッドアップディスプレイやテレプロンプターなど、表示される画像が背景シーンの上に重ね合わされる用途で使用されてもよい。本発明は、光学系の内部撮像面またはその近傍に位置づけられる表示装置を設けるために使用されてもよい。例えば、前述した実施形態のうちのいずれかは、カメラのビューファインダーのための記号データ表示を行うために使用されてもよい。カメラのビューファインダーでは、記号データが中間画像平面に投影され、次いでビューファインダーアイピースによって拡大される。本発明が両眼ディスプレイまたは単眼ディスプレイにおいて適用されてもよいことは明らかである。本発明は、立体視装着型ディスプレイで使用されてもよい。本発明の前述した実施形態のうちのいずれかは、背面投射型テレビで使用されてもよい。本発明は、航空電子工学ディスプレイ、工業用ディスプレイ、および、医療用ディスプレイにおいて適用されてもよい。また、娯楽システム、シミュレーションシステム、仮想現実システム、トレーニングシステム、および、スポーツにおいても用途がある。
ディスプレイのための好ましい光源は、回折光学素子に理想的に適合するレーザであり、したがって、我々のHMD構造、HUD構造、HDD構造の全ての能力を解き放つ。輝度、分解能、および、色域に関して、本発明は、光学的性能がLEDを使用して適用されるのにあまり重要でない幾つかの用途においても可能である。
現在、1つの実施形態で用いるSBGは、遠隔露光(stand−off exposure)を使用して製造される。しかしながら、プロセスは、密着印画プロセスへ容易に変換され得る。IINは、別個の屈折構成要素のアセンブリとして実装されてもよい。しかしながら、構造を平面ホログラフィック要素の積層体へと変換することが非常に望ましい。十分な量により、IINのそのような実施は、非常に魅力的な価格ポイントを達成する。好適には、導波路で使用される基板は、バリスティック−品質(ballistic−quality)プラスチック基板から製造される。実現可能性の立証が確立され、また、プロセス最適化活動が進行中である。屈折構成要素を積層プラスチック系平面ホログラフィック要素と置き換えると、本発明に基づくディスプレイが本質的に更に頑丈になる。
更なる実施形態
以下の実施形態は、単一の導波路HBEを使用するディスプレイに関する。この特定の実施形態は、現在、HUDなどの低視野デバイスにより適すると考えられる。しかしながら、HBEのサイズを管理できる可能性が高いことを認識すれば、HMDなどの高FOV用途のために同じ実施形態を使用できない理由が理論的にない。後述するように、必要条件は非投影瞳である。
図54は、明細書本文中で前述したタイプの投影瞳をもたらさない投影方式を示す。瞳は、図54Aに示されるように投影レンズの内側に形成されてもよく、図54Bに示されるように開口562を使用して投影レンズの前側に形成されてもよい。そのような投影方式は、全FOVよりも小さい角度ダイバーシティをz軸または光軸に沿うある距離にもたらす。例えば図54Aを参照すると、レンズ560により視準光線束1351A〜1351Cへと視準される像点源1350A〜1350Cからの光が考慮される場合には、光線束1351A,1351B間および光線束1351B,1351C間に重なりが存在する。基本的な幾何学から、一次に対する角度ダイバーシティは、投影レンズ射出瞳開口Dと光軸zに沿う距離とによって与えられる。
図55は、インカップル光のピークDEを最大にするための回転kベクトル格子(例えば、HBE−I格子)の使用の概略図を示す。導波路部分570の格子要素572A〜572Cにおけるkベクトル回転は、kベクトル573A〜573Cの異なる方向性により示される。表面格子ピッチPは、導波路の長さに沿って一定である。格子ベクトルは、高い回折効率をもって、主光線および軸外光線を表わす光線1360A〜1360を回折するように最適化される。回転kベクトルの使用は、格子への高効率入力結合を可能にするとともに、ビーム広がり角を最適化して導波路の厚さを最小限に抑えることができるようにする。これは、導波路厚さ、入力格子の角度帯域幅、および、入力格子上の任意の所定の点での視野角度の広がりを釣り合わせることを必要とする。kベクトルが回転される際の格子の低い角度応答(表面ピッチは維持される)は出力結合を防止し、それにより、導波路厚さを最小にできる。
図56は、回転kベクトル格子を含む導波路部分580を通じた典型的な光線の伝搬を示す概略図である。点XおよびYを隔てる寸法は、導波路の45°TIR角度における導波路厚さのほぼ2倍である。伝搬経路が光線1370〜1371によって示される。点Xは、光線1370が格子へと結合する点に対応する。主光線角度は、格子のFWHM角度帯域幅以上の大きさだけ変えるために必要とされる場合がある。点Yでは、光線角度がオフブラッグである。そのため、相互依存の出力結合がYで得られない。設計目的は、最大入力結合をXで確保すると同時に、zに沿う距離を設計して角度ダイバーシティを最小にし、位置Yで相互にアウトカップリングを伴わずに格子厚さを最小限に抑えることができるようにすることである。
図57〜図59は、射出瞳拡大を直交方向で与えるためにkベクトル回転を使用する実施形態の斜視図を示す。図57は、HBE590およびVBE591を示す平面図である。図58は、HBEおよびVBEの概略側面図を示す。図59は、導波路の内側のビーム伝搬を示すHBEの展開図を示す。デカルトXYZ座標系が基準のために与えられる。HBEの損失性出力格子が592により示される。入力格子が593により示される。入力格子および出力格子は、共通の表面格子ピッチを有する。HBEに沿うZ=0およびZ=Lでは、VBE内で高い入力結合を有することが望ましい場合がある。限界Z=Lに近づくにつれて角度ダイバーシティが減少するため(角度ダイバーシティが1/Lとしてスケーリングする)、格子厚さを増大させることができる。これは、Z=Lでのビーム充填WがZ=0におけるよりもかなり大きく、それにより、厚さtを有するVBEにインカップリングされる光がインカップリング後に導波路内でより大きな格子相互作用を受けるため、有益である。より厚い格子は、アウトカップリングを減少させる。角度ダイバーシティを使用してVBEの厚さを微調整できる。
図60〜図62は、図57〜図59に示される導波路を製造するための装置を示す。図60を参照すると、600A〜602Cなどの光線1390Aに沿う全ての点は、同一の表面格子ピッチと平行なkベクトルとを有さなければならない。kベクトルは、z軸に対して直交する面内で回転される。図60は、密着印画プロセスを使用してHBEを製造するための装置を示す。図61Aは、コーン形状レンズの幅広端が上側に位置づけられるHBE590のZ=L端の断面を示す。図61Bはレンズの平面図を示す、また、図61Cは、レンズの幅狭端が上側に位置づけられるHBEのZ=0端を示す。格子層が611により示され、また、回転された格子が詳細612により示される。レンズに入射する視準された記録ビームの経路が1391,1393によって示される。回転される格子を形成するために使用される収束光線が1392,1394により示される。レンズは屈折要素として示される。1つの実施形態では、等価な処方の回折レンズが使用されてもよい。コーン形状レンズ密着印画セットアップは、記録段階で補償される必要があり得るホログラフィック軸外収差を克服するために注意深い配慮を必要とする場合がある。
図62は、頂点620および底辺621の円錐からの円錐断面の形成を示す。円錐は、切断された光学素子およびカットラインを示す図62Aにおいて側面図で示されるとともに、同様に切断された光学素子を示す図62Bにおいて正面図で示される。カットラインに沿って底辺から投影された切断光学素子の図が図62Cに示される。円錐断面は、円錐縁と平行に切断することにより得られる。このとき、z軸と平行な光線は、y軸で偏向されないまま(すなわち、屈折成分を伴わない)である。x軸での偏向(屈折)の大きさは、光線がy軸に衝突する位置の関数である。
図63〜図66はkベクトル回転の原理を示す。図63は、本発明の原理にしたがった導波路の基本構造を示す。導波路630は、入力格子631と出力格子632とにグループ分けされ得る複数の格子薄板を備える。各ブラッグ格子と関連付けられるいずれの場合にも、633,634により示される表面格子が存在する。入力画像光が視準ビーム1400〜1402により表わされ、この場合、文字A,Bは各ビームの過度な光線を示す。対応する出力画像光は、過度な光線を同様に示す文字A,Bを伴う3つの視準ビーム1410〜1412によって表わされる。出力ビームは、前述したように導波路に沿う光の抽出に起因して大きく拡大された瞳を有する。一般に、出力格子は、非常に長く、導波路の長さの大部分にわたって延びる。特定の実施形態に関して説明されたDIGI−I格子およびHBE−I格子は入力格子の例であり、一方、DIGI−O格子およびHBE−O格子は出力格子の例である。各クループでは、複数の格子が互いに隣接して積層されあるいは層状に配置されてもよい。図64は、入力格子635A〜635Cが積層される導波路の図である。各格子は固有のkベクトル636A〜636Cを有する。kベクトル636Aは、ビーム方向1401に中心付けられる視野に関して高い回折効率を与えるようになっている。kベクトル636B,636Cは、入射ビーム方向1400,1402のそれぞれの付近で高い回折効率に関して最適化される。したがって、入力画像は、複数の角度間隔へとサンプリングされる。各角度間隔は、全瞳の一部分である有効射出瞳と関連付けられる。
図65に示される1つの実施形態では、入力格子が導波路伝搬方向に沿って互いに隣接して配置される。導波路が637A〜637Cにより示され、kベクトルが638A〜638Cにより示される。本発明は、導波路伝搬方向に沿うkベクトルの変化する方向性を表わすために「回転kベクトル」という用語を作った。
図64〜図65に示される原理は、図66に示される出力格子に適用されてもよい。ここで、出力格子は、kベクトル640A〜640Cを伴う639A〜639Cなどの複数の隣接して配置される格子を備える。本発明の別の実施形態では、出力格子が図64の原理に基づく積層格子から構成されてもよい。
画像を表示する方法は、本発明の基本原理にしたがった本発明の1つの実施形態であり、図67のフロー図に示される。フロー図を参照すると、方法は以下のステップを備えてもよい。
ステップ650では、光を第1の方向に伝搬するための第1の光学基板と、光を第2の方向で伝搬するための第2の光学基板と、入力画像ノード(IIN)とを設け、第1および第2の光学基板は少なくとも1つの導波層を備え、少なくとも1つの導波層のそれぞれが少なくとも1つの格子薄板を備え、少なくとも1つの格子薄板が受動モードSBGを備える。
ステップ651では、IINを使用して画像変調光を与える。
ステップ652では、画像光を第1の光学基板へ結合し;
ステップ653では、第1の光学基板から第1の方向に沿って光を抽出し;
ステップ654では、画像光を第2の光学基板へ結合し;
ステップ655では、第1の光学基板から第2の方向に沿って光を抽出し;
ステップ656では、ディスプレイのための画像光を与える。
幾つかの実施形態の概要
本明細書中で与えられる少なくとも幾つかの実施形態は、別個の垂直および水平のビーム拡大導波路を使用して、拡大された射出瞳(または、アイボックス)を与える。各導波路は入力ブラッグ格子および出力ブラッグ格子を含む。導波路のそれぞれが複数の導波層を備えてもよい。カラー実施形態では、各原色ごとに別個の単色導波路が使用されてもよい。色を与えるための他の選択肢は、異なる色処方を有するホログラムが重ね合わされる多重格子を導波路へ記録することである。
視準された画像光が、マイクロディスプレイおよび視準光学素子により規定される視野(FOV)を有する水平ビーム拡大導波路へ供給される。本発明は、伝統的な光学レンズ−ミラー構造から回折(ホログラフィック)光学素子に完全に基づく更にコンパクトな構造にまで及ぶ多くの異なる方法で入力光学素子または「結合」光学素子を構成できるようにする。
水平ビーム拡大導波路は損失性である。すなわち、水平ビーム拡大導波路は、導波路からその長さに沿って光を均一に抽出するようになっている。その後、抽出された光は、垂直拡大導波路へと結合される。
同様に損失性の垂直拡大導波路は、垂直および水平に拡大される射出瞳を与えるべくビーム拡大を完了する。
本発明の固有の特徴は、受動格子を使用して前述した全てを達成できることである(しかしながら、幾つかの用途においては、切り換え可能な格子の使用が依然として随意的である)。従来の受動格子は役に立たない。受動SBGを使用する主な利点は、格子の屈折率変調を非常に低い値から非常に高い値まで対応して広い範囲の回折効率をもって調整できるという点である。SBGの高屈折率変調は、ブラッグフリンジを形成する高分子リッチ領域とLCリッチ領域とが交互に入れ替わる帯域に起因する。
損失性格子は従来技術で知られているが、本発明は、格子にわたって厚さ(および変調)を変えることによって導波路からの効率的で均一な抽出を達成するという点で独特である。その最も簡単なケースにおいて、これは、ホログラム厚さが伝搬方向で増大するように(セル壁を傾けることによって)楔状格子を形成することを伴う。一般的に、格子厚さが1.0〜1.2ミクロンから最大で2.8〜3.0ミクロンまで変化してもよく、下側の厚さが最も低い効率(最大の角度帯域幅)をもたらす。本発明は、2つの楔角度を使用して、厚さを直交方向で変えることによって、あるいは、より一般的な態様では格子の一方または両方の面に曲率を適用することによって、より洗練された抽出制御を可能にする。
ビーム拡大格子の更なる固有の特徴は、それらを非常に薄く(3ミクロンをはるかに下回る)することができ、それにより、非常に広い回折効率角度帯域幅をもたらすことができ、その結果、FOVが広くなるという点である。厚さおよび屈折率変調を最適化することにより、ディスプレイで必要な所要の格子特性の全て、すなわち、格子への結合のための非常に高い効率、および、ビーム拡大に必要な効率的で均一な抽出のための大きなダイナミックレンジを満たすことができる。
画像転送の効率の悪さや形状因子に影響を及ぼす本発明の極めて重要な特徴は、画像サンプリングの使用である。FOVが幅広い画像光の導波路への結合は、通常、導波路下に効率的に伝搬され得る限られた角度範囲に起因して、画像角度内容の何らかの損失をもたらす。この光の一部は、導波路から結合されて出てもよい。本発明は、入力画像を複数の角度間隔へサンプリングすることによってこの問題を克服し、それぞれの角度間隔は、全瞳のサイズの一部である効果的な射出瞳を有し、導波路の厚さがそれに対応して減少される。
独自に、本発明は、各導波路の入力および出力で導波路に沿う回転kベクトルを伴って固定周波数表面格子を組み合わせる。表面格子は、ブラッグフリンジと基板縁部との交わりであり、導波路の基本的な光線光学素子に(ほぼ)相当する。kベクトルは、ブラッグ格子に対して垂直な方向であり、格子の回折効率対角度特性に相当する。導波路伝搬方向に沿ってkベクトル方向を変える(kベクトル回転)ことにより、第1に、導波路への画像光の効率的な結合を行うことができ、第2に、インカップリング時に必要な全ての角度内容が高い効率をもって導波路下に伝えられるようにすることができる。kベクトル回転は、望ましくは、前述した格子厚制御によって増補される。我々の知る限りでは、この原理は従来技術で適用されない。
カラー撮像に関しては、各導波路の入力格子および出力格子が前述したように同じ表面格子周波数を有するようにすることにより、クロストークがない別個の導波路でカラーを実施することができる。これは、本発明の固有の特徴であると考えられる。
一般に、導波路下の角度内容の伝搬は、以下のうちの1つ以上、すなわち、格子厚さ、屈折率変調、kベクトル回転、表面格子周期、および、ホログラム−基板屈折率差のうちの1つ以上を微調整することにより最適化され得る。
本明細書中に記載される装置および方法は、HMD、HUD、および、HDDに適用されてもよい。
典型的な実施形態
本明細書中に記載される装置、システム、および、方法の様々な態様は、以下に与えられる様々な実施形態で更に記載されてもよい。
1つの実施形態において、第1の光学基板は、画像変調光の一部分を選択的にサンプリングし、各部分は角度領域または空間領域のいずれかによって特徴付けられる。
1つの実施形態において、各光学基板における少なくとも1つの格子薄板は、前記基板に結合される光をTIR経路へと回折するようになっている入力格子と、前記TIR経路からの光を回折して前記基板から出すようになっている出力格子とを備える。
1つの実施形態において、前記第2の基板からの抽出は、導波層の前面を通じて行われる。
1つの実施形態において、前記第2の基板からの抽出は、導波層縁部を通じて行われる。
1つの実施形態において、第1の基板における格子薄板の格子ベクトルは、第1の基板の前面に対してほぼ直交する平面内にある。
1つの実施形態において、第1の基板における格子薄板の格子ベクトルは、第1の基板の前面に対してほぼ平行な平面内にある。
1つの実施形態において、導波層は透明な誘電体である。
1つの実施形態では、導波層が単色光を伝搬する。
1つの実施形態において、第1、第2、および、第3の導波層は、赤色光、緑色光、および、青色光を伝搬する目的で第1または第2の基板のうちの少なくとも一方に設けられる。
1つの実施形態において、第1および第2の導波層は、赤色光および青色・緑色混合光を伝搬する目的で第1または第2の基板のうちの少なくとも一方に設けられる。
1つの実施形態において、第1または第2の基板のうちの少なくとも一方の導波層は、半波長膜を間に挟む。
1つの実施形態において、第1または第2の基板のうちの少なくとも一方の導波層は、空隙を間に挟む。
1つの実施形態において、第1または第2の基板のうちの少なくとも一方における格子薄板は、少なくとも2つの異なる単色処方の格子を多重化する。
1つの実施形態において、前記第1または第2の基板のうちの少なくとも一方における格子薄板は、少なくとも2つの異なる色の格子を多重化する。
1つの実施形態では、第1の基板が第1の方向に沿う瞳拡大を行い、第2の基板が第2の方向に沿う瞳拡大を行う。
1つの実施形態において、第1および第2の基板から抽出される光は、任意の視野方向で均一の照明を行う。
1つの実施形態において、第1の基板または第2の基板のうちの少なくとも一方における各格子は、第1および第2の回折状態を有する。第1の回折状態は高い回折効率によって特徴付けられ、また、第2の回折状態は低い回折効率によって特徴付けられる。
1つの実施形態において、回折状態は、格子にわたって電界が加えられるときに生じ、また、非回折状態は、電界が加えられないときに存在する。
1つの実施形態において、非回折状態は、格子にわたって電界が加えられるときに生じ、また、回折状態は、電界が加えられないときに存在する。
1つの実施形態では、第1および第2の伝搬方向が直交する。
1つの実施形態において、基板のうちの少なくとも1つが少なくとも1つの直交面内で湾曲される。
1つの実施形態において、導波層のうちの少なくとも1つがビームスプリッタ薄板を含む。
1つの実施形態では、第1の基板または第2の基板のいずれかの導波層の少なくとも1つの前面に1/4波長膜が加えられる。
1つの実施形態では、第1の基板または第2の基板のいずれかの導波層の少なくとも1つの前面に反射薄膜コーティングが塗布される。
1つの実施形態において、第1の結合手段は、第1の基板の一部とほぼ重なり合う少なくとも1つの格子薄板を備える。
1つの実施形態において、第1の結合手段は、導波層内に配置される少なくとも1つの格子薄板を備える。
1つの実施形態では、第1の結合手段が少なくとも1つの格子薄板を備える。各格子薄板が異なる処方の少なくとも2つの多重格子を備える。各格子薄板が第1の基板の一部とほぼ重なり合う。
1つの実施形態において、第2の結合手段は、第1の基板とほぼ重なり合う少なくとも1つの格子薄板を備える。
1つの実施形態では、第2の結合手段が少なくとも1つの格子薄板を備える。各格子薄板が2つの異なる処方の少なくとも2つの多重格子を備える。各格子薄板が第1の基板の一部とほぼ重なり合う。
1つの実施形態では、第2の結合手段が第2の基板内に配置される。
1つの実施形態において、第1の基板における格子薄板の格子ベクトルは、基板の前面とほぼ平行な平面内にあり、第1の基板格子が第2の結合手段を与える。
本発明は、HMD、HHD、または、HUDの1つのアイピースを提供するために使用されてもよい。
1つの実施形態では、第1または第2の基板における少なくとも1つの格子が屈折力をエンコードする。
1つの実施形態では、第2の基板がウインドスクリーン内に埋め込まれる。
1つの実施形態において、導波層は、ナノ多孔性膜と接触する少なくとも1つの前面を有する。
本発明の原理にしたがったディスプレイはアイトラッカーを更に備えてもよい。
本発明の原理にしたがったディスプレイはビーム均一化器を更に備えてもよい。
1つの実施形態において、入力画像ノードは、マイクロディスプレイ、レーザ、および、視準光学素子を備える。
1つの実施形態では、格子薄板が切り換え可能なブラッグ格子である。
1つの実施形態において、第1または第2の基板のうちの少なくとも一方で使用される格子薄板は、HPDLC材料に記録される切り換え不能なブラッグ格子である。
本明細書中に記載される幾つかの実施例では、HPDLC材料の代わりに、POlymer Liquid CRYstal Polymer Slice(「POLICRYPS」)が使用されてもよい。
HPDLC材料は、LCリッチな材料(例えば、高いLC濃度および低い高分子濃度)の帯域と高分子リッチな材料(高い高分子濃度および低いLC濃度)の帯域とを交互に入れ替えることによって特徴付けられてもよい。LCは多くの場合に液滴形態を有するため、HPDLCは、2つの問題、すなわち、LC液滴からの散乱と、低い格子定数(最終的に、ピーク回折効率を制限する場合がある)とに見舞われる場合がある。新たな類の材料は、その例がPOLICRYPSであるが、先の問題の両方を克服するより均一な形態を与えるためにLCと高分子とを組み合わせる。格子は、HPDLCで生じる拡散プロセスに類似する拡散プロセスによって形成されるが、POLICRYPSにおける最終結果は、均一な高度に位置合わせされたLCと均一な高分子とが交互に入れ替わる帯域を備える格子であってもよい。微粒子散乱損失は、LC液滴の欠如によって、完全とまではいかなくても、ほぼ除去され得る。格子は、バルクLC複屈折により設定される理論的限界に近い屈折率変調を伴う非常に高いコントラストを有し得る。結果として、約98%という高い(あるいは、ある場合には、更に高い)回折効率値を容易に得ることができる。
実用的なディスプレイにおける対象範囲をカバーする格子ピッチを困難なく得ることができ、実際に、1つの実施形態では、材料が0.2ミクロン程度の小さいピッチおよび15ミクロン程度の高いピッチを維持してもよい。電気光学的には、POLICRYPSは従来のHPDLCに類似し得る。ある場合には、POLICRYPSの切り換え速度はHPDLCよりも高い場合があり、また、切り換え電圧は、HPDLCの切り換え電圧に少なくとも等しいあるいはそれよりも低い。1つの実施形態では、HPDLC格子と同様に、POLICRYPS格子が、透過および反射の両方で利用されてもよく、また、導波路で実施されてもよい。POLICRYPSにおけるホログラフィック記録プロセスは、HPDLCにおけるそれと同じであってもよく、また、標準的な市販のモノマーおよびLCを伴ってもよい。1つの実施形態において、POLICRYPSの1つの難問は、高温プロセスが必要とされる場合があるという点である。この実施形態において、温度は、等方性混合を維持するとともに露光中の等方性−ネマチック移行を防止するように十分高くなければならない。
POLICRYPSはLICRYL(Liquid Crystals Laboratory,IPCF−CNR),Center of Excellence and Department of Physics,カラブリア大学,イタリア)で開発された。POLICRYPSの一例は、その全体が参照することにより本源に組み入れられるCaputo,RらのJournal of Display Technology,Vol.2,No.1,2006年3月,38〜50頁に記載される。POLICRYPISの更なる詳細は、その全体が参照することにより本願に組み入れられる2007年1月25日に公開された「Holographic Diffraction Grating,Process for Its Preparation and Opto−Electronic Device Incorporating It」と題されるCaputo,Rらによる米国特許出願第2007/0019152号明細書において見出され得る。
使用されてもよい他の均一形態格子技術は、Fraunhoffer Institute for Applied Polymer Research,Potsdam(ドイツ)によって開発されたPOlymer LIquid Crystal Polymer Holograms Electrically Manageable(「POLIPHEM」)である。1つの実施形態において、POLIPHEMは、基本形態学的および電気光学的にはPOLICRYPSに類似する。POLICRYPSよりもPOLIPHEMの方を使用する1つの利点は、POLIPHEMが、ある場合に、材料配合でLCおよびモノマーの特性および比率を最適化することによってPOLICRYPSで必要とされる高温プロセスを回避し得るという点である。POLIPHEM格子を製造するための材料および方法の詳細は、その全体が参照することにより本願に組み入れられる2006年1月に公開された「Method for the Preparation of High Efficient,Tunable and Switchable Optical Elements Based on Polymer−Liquid Crystal Composites」と題されるStumpe,Jらによる国際特許公開第2006002870(PCT/EP2005/006950)号明細書において見出され得る。
1つの実施形態では、本明細書中に記載される格子が高い回折効率および幅広い角度帯域幅の両方を与えることが望ましい場合がある。しかしながら、1つの実施形態において、これらの2つの目標は、幅広い角度帯域幅にわたり格子が薄くなければならないことを意味するが、厚さが減少されるにつれて薄い格子が回折効率の漸進的な減少に見舞われ得るという点において対立する。1つの解決策は、各格子がその真下の格子からの0次光を回折し得るように複数の薄い格子を積層することであり、それにより、最終的に、入力光の大部分を回折することができる。幾つかの実施形態では、格子層がスペーサによって分離されてもよい。そのような層状格子構造は、基本的なビルディングブロックのような薄い格子を使用することによってもたらされるかなり幅広い帯域幅という少なくとも1つの利点を伴う厚いあるいはボリューム(すなわち、ブラッグ)格子による回折と同等であると見なされてもよい。
1つの実施形態において、薄い格子は、望ましくは、高次回折を回避するために(ラマンナス形態にしたがった薄い格子ではなく)ブラッグ形態で作用してもよい。1つの実施形態では、薄い格子がラマンナス形態で作用する場合、回折次数のそれらが層間を伝搬する際の相対的な位相整合が+1次の固有の切り欠き状の回折応答をもたらす(ブラッグ入射の場合において)ようにするために、厚さおよびピッチの注意深い最適化が使用されてもよい。他の実施形態において、ブラッグ格子は、層状体積ホログラフィック光学素子(SVHOE)として知られる層状格子構造で記録されてもよい。SVHOEの一例は、その全体が参照することにより本願に組み入れられるNordin,G.ら,J.OptSoc.Am.A.,Vol.9,NO.12,1992年12月,2206〜2217頁に記載される
本発明のより完全な理解は、同様の参照符号が同様の部分を示す添付図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することによって得ることができる。明確にする目的で、本発明に関連する技術分野において知られる技術的材料に関する詳細については詳しく記載しなかった。
更なる実施形態
以下の実施形態は、その全体が参照することにより本願に組み入れられる2013年4月2日に出願された仮出願第61/849,853号の特許請求の範囲から引用される。
1.画像を表示するための装置において、画像変調光を与えるための入力画像ノードと、少なくとも1つの導波層を備える第1の光学基板であって、前記導波層のそれぞれが光を第1の方向で伝搬し、前記導波層のそれぞれが光を前記第1の基板から前記第1の方向に沿って抽出するようになっている少なくとも1つの格子薄板を備える、第1の光学基板と、少なくとも1つの導波層を備える第2の光学基板であって、前記導波層のそれぞれが光を第2の方向で伝搬し、前記導波層のそれぞれが光を前記第2の基板から前記第2の方向に沿って抽出するようになっている少なくとも1つの格子薄板を備える、第2の光学基板と、前記画像変調光を前記第1の基板へ結合するための第1の光学手段と、前記第1の基板から抽出された光を前記第2の基板へ結合するための第2の光学手段とを備える、装置。
2.前記第1の光学基板が前記画像変調光の一部分を選択的にサンプリングし、前記各部分は角度領域または空間領域のいずれかによって特徴付けられる実施形態1の装置。
3.前記各光学基板における前記少なくとも1つの格子薄板は、前記基板に結合される光をTIR経路へと回折するようになっている入力格子と、前記TIR経路からの光を回折して前記基板から出すようになっている出力格子とを備える実施形態1の装置。
4.前記第2の基板からの前記抽出は、導波層の前面を通じて行われる実施形態1の装置。
5.前記抽出は、導波層縁部を通じて第2の基板から行われる実施形態1の装置。
6.前記第1の基板における格子薄板の格子ベクトルは、前記基板の前面に対してほぼ直交する平面内にある実施形態1の装置。
7.前記第1の基板における格子薄板の格子ベクトルは、前記基板の前面に対してほぼ平行な平面内にある実施形態1の装置。
8.前記導波層が透明な誘電体である実施形態1の装置。
9.前記導波層が単色光を伝搬する実施形態1の装置。
10.第1、第2、および、第3の導波層は、赤色光、緑色光、および、青色光を伝搬するために前記基板のうちの少なくとも一方に設けられる実施形態1の装置。
11.第1および第2の導波層は、赤色光および青色・緑色混合光を伝搬するために前記基板のうちの少なくとも一方に設けられる実施形態1の装置。
12.前記第1または第2の基板のうちの少なくとも一方の導波層は、半波長膜を間に挟む実施形態1の装置。
13.前記第1または第2の基板のうちの少なくとも一方の導波層は、空隙を間に挟む実施形態1の装置。
14.前記第1または第2の基板のうちの少なくとも一方における格子薄板は、少なくとも2つの異なる単色処方の多重格子を備える実施形態1の装置。
15.前記第1または第2の基板のうちの少なくとも一方における格子薄板は、少なくとも2つの異なる色の多重格子を備える実施形態1の装置。
16.前記第1の基板が前記第1の方向に沿う瞳拡大を行い、前記第2の基板が前記第2の方向に沿う瞳拡大を行う実施形態1の装置。
17.前記第1および第2の基板から抽出される前記光は、任意の視野方向で均一の照明を行う実施形態1の装置。
18.前記第1の基板または第2の基板のうちの少なくとも一方における前記各格子が第1の回折状態を有し、前記第1の回折状態が高い回折効率によって特徴付けられ、前記第2の回折状態が低い回折効率によって特徴付けられる実施形態1の装置。
19.前記回折状態は、前記格子にわたって電界が加えられるときに生じ、また、非回折状態は、電界が加えられないときに存在する実施形態17の装置。
20.前記非回折状態は、前記格子にわたって電界が加えられるときに生じ、また、回折状態は、電界が加えられないときに存在する実施形態17の装置。
21.前記第1および第2の伝搬方向が直交する実施形態1の装置。
22.前記基板のうちの少なくとも1つが少なくとも1つの直交面内で湾曲される実施形態1の装置。
23.前記導波層のうちの少なくとも1つがビームスプリッタ薄板を含む実施形態1の装置。
24.前記第1の基板または前記第2の基板のいずれかの前記導波層の少なくとも1つの前面に1/4波長膜が加えられる実施形態1の装置。
25.前記第1の基板または前記第2の基板のいずれかの前記導波層の少なくとも1つの前面に反射薄膜コーティングが塗布される実施形態1の装置。
26.前記第1の結合手段は、前記第1の基板の一部とほぼ重なり合う少なくとも1つの格子薄板を備える実施形態1の装置。
27.前記第1の結合手段は、前記導波層内に配置される少なくとも1つの格子薄板を備える実施形態1の装置。
28.前記第1の結合手段が少なくとも1つの格子薄板を備え、前記各格子薄板が2つの異なる処方の少なくとも2つの多重格子を備え、前記各格子薄板が前記第1の基板の一部とほぼ重なり合う実施形態1の装置。
29.前記第2の結合手段は、前記第1の基板とほぼ重なり合う少なくとも1つの格子薄板を備える実施形態1の装置。
30.前記第2の結合手段が少なくとも1つの格子薄板を備え、前記各格子薄板が2つの異なる処方の少なくとも2つの多重格子を備え、前記各格子薄板が前記第1の基板とほぼ重なり合う実施形態1の装置。
31.前記第2の結合手段が前記第2の基板内に配置される実施形態1の装置。
32.前記第1の基板における格子薄板の格子ベクトルは、前記基板の前面とほぼ平行な平面内にあり、前記第1の基板格子が前記第2の結合手段を与える実施形態1の装置。
33.前記装置は、HMD、HHD、または、HUDの1つのアイピースを形成する実施形態1の装置。
34.前記基板における少なくとも1つの格子が屈折力をエンコードする実施形態1の装置。
35.前記第2の基板がウインドスクリーン内に埋め込まれる実施形態1の装置。
36.導波層は、ナノ多孔性膜と接触する少なくとも1つの前面を有する実施形態1の装置。
37.アイトラッカーを更に備える実施形態1の装置。
38.ビーム均一化器を更に備える実施形態1の装置。
39.前記入力画像ノードは、マイクロディスプレイ、レーザ、および、視準光学素子を備える実施形態1の装置。
40.前記第1または第2の基板のうちの少なくとも一方における前記格子薄板がSBGである実施形態1の装置。
41.前記第1または第2の基板のうちの少なくとも一方における前記格子薄板は、HPDLC材料に記録される切り換え不能なブラッグ格子である実施形態1の装置。
42.前記第1または第2の基板のうちの少なくとも一方における前記格子薄板は、逆方向モード材料に記録されるSBGである実施形態1の装置。
引用文献
以下の特許出願は、それらの全体が参照することにより本願に組み入れられる。
出願人の整理番号SBG109によっても参照されるWIDE ANGLE COLOUR HEAD MOUNTED DISPLAYと題される本発明者らによる2012年4月25日の出願日を有する米国仮特許出願第61/687,436号明細書;
出願人の整理番号SBG113Aによっても参照されるHOLOGRAPHIC HEAD MOUNTED DISPLAY WITH IMPROVED IMAGE UNIFORMITYと題される本発明者らによる2012年4月25日の出願日を有する米国仮特許出願第61/689,907号明細書;
LASER ILLUMINATION DEVICEと題される2008年7月22日の国際出願日を有するPCT出願第US2008/001909号明細書;
METHOD AND APPARATUS FOR PROVIDING A TRANSPARENT DISPLAYと題されるPCT出願第US2006/043938号明細書;
COMPACT EDGE ILLUMINATED EYEGLASS DISPLAYと題されるPCT出願第PCT/GB2010/001982号明細書;
出願人の整理番号SBG104によっても参照されるIMPROVEMENTS TO HOLOGRAPHIC POLYMER DISPERSED LIQUID CRYSTAL MATERIALS AND DEVICESと題される本発明者らによる2012年8月24日の出願日を有する米国仮特許出願第61/573,066号明細書;
APPARATUS FOR REDUCING LASER SPECKLEと題される本発明者らによる2010年11月2日に出願されたPCT出願第PCT/GB2010/002023号明細書;
COMPACT HOLOGRAPHIC EDGE ILLUMINATED EYEGLASS DISPLAYと題される2010年4月26日の国際出願日を有する(出願人の整理番号SBG073PCTによっても参照される)PCT出願第PCT/GB2010/000835号明細書;
2000年9月5日に発行されたHOLOGRAPHIC ILLUMINATION SYSTEMと題される米国特許第6,115,152号明細書;
2012年11月20日の出願日を有するCOMPACT LASER ILLUMINATOR INCORPORATING A DESPCKLERと題される米国仮特許出願第61/796,795号明細書。
更なる例
図68は、構造の単色バージョンの光線トレースである。図69は、図68のIINのおおよその寸法を示す。図70は、図69の光学レイアウトの展開図を与える。
IIN絞りは、入力照明のプロファイルを制御することによって形成される。現在、投影光学素子に硬質な物理的絞りは存在しない。投影絞りの利点は、導波路厚さの減少である。絞りは、VBE内の開口直径を最小にするためにHBEの上方途中に投影され、そのため、ディジレンズ導波路結合器に対するVBEの開口幅が最小になる。すなわち、第1軸拡大器の幅の減少が、第2軸拡大光学素子の厚さを制限する。図71Aおよび図71Bは、マイクロディスプレイ投影光学素子の簡略化された薄いレンズ表示を使用するHBEの内側の投影絞りの形成を示す。
1つの実施形態において、SBG層の下側の段階的反射プロファイルは、長さに沿う格子DE変化を制御する(あるいは助ける)ために使用される(通常、屈折率変調を用いてSBG格子で達成される)。これは、低い割合の光が第1の跳ね返りでアウトカップリングされるが高い割合が導波路の他端でアウトカップリングされる場合には、HBEなどのケースで有益となり得る。
縞模様のHBEを使用する実施形態
1つの実施形態では、HBEがその入力端に結合格子を備え、また、2つの異なる処方の交互に入れ替わるSBG縞が図72に示される面内で45°で傾けられる。縞が等間隔で示されるが、それらのサイズおよび間隔は、より良好な照明および画像サンプリング制御のために変えられてもよい。しかしながら、縞は、これがMTFに影響を及ぼす場合があるため、非常に狭く形成されるべきではない。一般に、縞の幾何学的形態は、注意深い最適化を必要とする場合がある。これは、例えば、瞳に位相差をもたらす場合がある縞の先端からの光線が存在するからである。入力SBGは大きな角度帯域幅と高い効率とを必要とし、一方、ディジレンズ受動格子は損失性である。格子の角度帯域幅は著しい中心−縁部間変化を有するが、受動格子からの抽出は、より多くの光が抽出ビームの中心から回折され、それにより、導波路の端部で照明プロファイルの効果的な反転がもたらされるように見出される。この効果は、照明プロファイル全体の釣り合わせで利益を得るべく使用され得る。図73は、射出瞳への経路に沿って生じる4つの方向変化を示すディジレンズの単層を通じたIINからのビーム伝搬を示す。光路には数字1〜7が付される。
FOV、アイボックス、および、瞳距離の幾何学的性質
提案されたヘルメットマウントディスプレイのニアアイの幾何学的性質が、図74の平面図、図75の側面図、および、図76の正面図に示されている。図77には、FOV、瞳距離、および、アイボックスに対するディジレンズ(登録商標)開口の関係も示される。なお、ディジレンズ(登録商標)開口は、瞳距離に伴って拡大縮小する。
両眼重なり
図78および図79に示されるように、部分的な両眼重なりは、収束光学素子または発散光学素子を使用して与えられ得る。いずれの場合にも、両眼重なりは、最大で1.4倍のコントラストの向上を与えることができる。収束重なりは、両眼の対立を回避するためにより良い場合がある。非常に粗いガイドとして、ほとんど広角機能は低い重なりのみを必要とする場合があり、一方、ほとんど拡大機能(一般的には、腕の長さ)は高い重なりを必要とする場合がある。一般に、FOVに関する公表データ対作業成果は、しばしば逸話的であり、あるいは、わずかな特定のサンプルに限定される。1つの適用領域から他の適用領域へのデータの外挿は、危険となり得る。特定のタイプのディスプレイに関してFOVと作業成果との間のトレードオフを検討する研究は存在しない。その結果、アイボックス、幾何学的な歪み、形状因子などの影響が文献に全く反映されない。眼は、衝動性眼球運動範囲(0°から最大で約±10°〜±15°)内にとどまる傾向がある。この範囲から外れると、頭部は、画像を再び中心付けるように移動する傾向がある。頭部追跡器が設けられる場合には、全ての重要な情報はサッカード領域に関するものでなければならない。幾つかの用途は、適切な外周のキュー表示と中心の画質との間の釣り合いを必要とする。ある研究は、両眼重なりが約20°を下回る場合に、ルーニング(重なり領域の縁部付近でのシャドーイング)などの結果をもたらす両眼対立がかなりの数のユーザに関して問題となり始めることを示唆する。20〜25の範囲のHWD重なりが、両眼対立の危険を最小限に抑えつつ水平視野全体を最大するために選択されてきた。
内側瞳孔間距離(IPD)
内側瞳孔間距離(IPD)目標は、成人人口の大部分(90%)において内側瞳孔間距離調整を有さないようになっている。成人人口の90%以上が、57mm〜70mm(±6.5mm範囲)の範囲のIPDを有する。眼の横揺れ(eye roll)±20°に起因する瞳位置変化は±4.5mmである。ヘルメット配置/バイザースリップの許容範囲(バジェット)は±6.4mmである。アライメントは、式:アライメント=√[(IPD90%+Eye Roll)2+Slip2]=√[(6.3mm+4.5mm)2+6.4mm2]=+/−12.5=25.0mm幅広いアイボックスを使用して推定されてもよい。なお、IPDが範囲から外れた人口の10%においては、十分な視野ビジョンが与えられる。最適なアライメントのため、視野の一方側だけが一方の眼のみに関して失われる。他方の眼は、依然として視野の他方側を見る。すなわち、人口の90%が100%の重なりを得る。人口の残りの10%(52mm〜75mmIPDの範囲内)は、IPDおよびディスプレイアライメントに依存する何らかの重なりを伴って視野の100%を得る。結論として、25mm幅のアイボックスは、上記アライメントパラメータをとる調整を何ら伴わずに人口の90%を受け入れることができるようにする。眼に対するバイザー/ヘッドギアのアライメント許容範囲の向上は、必要に応じて、アイボックス寸法の減少を可能にする。これは、後に、システム輝度に対するトレードオフをなすことができる。
低屈折率材料
効率的な導波は、TIRビームが低屈折率媒体間に閉じ込められる必要がある。フッ化マグネシウム(1.46)や二酸化ケイ素(1.39)などの現在利用できる低屈折率材料の屈折率があまりにも高すぎてHMDのフルカラー実施で必要とされる厳格なTIR角度制約を満たすことができない状態では、空隙を形成して維持することが難しい。提案された解決策は、ナノ多孔性材料(メソ多孔性シリコン)を使用することである。ナノ多孔性材料(例えば、メソ多孔性シリコン)は、現在、反射防止コーティングおよび平面光学導波路を含む多くの光学的用途で使用されている。それらの高い多孔性は、高品質で低い誘電定数の薄膜の形成を可能にする。ナノ多孔性材料は、単一のステップで薄層状に形成され得る。非常に低いほぼ1の屈折率を得るために、多孔性を非常に高くして95%に近づける必要がある。高い透明性および低い屈折率は、これらの膜と同時に達成できる。それらの膜は、非常に効率的に吸水するため、水分に抗して注意深くシールされなければならない。最良の手法は、受動格子、HWP、および、材料を一緒にシールすることであってもよい。SBG研究室は、ナノ多孔性材料の高屈折率媒体としての潜在的な役割も研究している。これは、40°〜約45°の水平FOVを増大させる可能性をもって我々の導波路で維持され得るTIR角度の範囲を増大する。ナノ多孔性材料は、現在、反射防止コーティングおよび平面光学導波路を含む多くの光学的用途で使用されている。したがって、我々のプロジェクトのために技術を利用しやすいと想定することは道理にかなっている。製造プロセスは、製造ニーズへと変換可能でなければならない。ナノ多孔性材料を単一のコーティングステップで形成できる。あるいは、屈折率が段階的な多層構造を使用できる。SBG研究室は、ナノ多孔性材料の高屈折率媒体としての潜在的な役割も研究している。これは、我々の導波路で維持され得るTIR角度の範囲を増大する。
結論
特許、特許出願、論文、本、専門書、および、ウェブページを含むがこれらに限定されないこの出願で挙げられた全ての文献および同様の資料は、そのような文献および同様の資料の書式にかかわらず、その全体が参照することにより明確に本願に組み入れられる。組み入れられた文献および同様の資料のうちの1つ以上が、所定の用語、用語使用、記載される技術、あるいは、同様のものに限定されないがこれらを含めて、この出願と異なるあるいはこの出願と矛盾する場合には、この出願が優先する。
本技術を様々な実施形態および実施例と併せて説明してきたが、本教示内容がそのような実施形態または実施例に限定されることは意図されない。それどころか、本教示内容は、当業者であれば分かるように、様々な置き換え、変更、および、等価物を包含する。
様々な本発明の実施形態を本明細書中で説明して図示してきたが、当業者は、本明細書中に記載される機能を果たすためおよび/または本明細書中に記載される結果を得るためおよび/または本明細書中に記載される利点のうちの1つ以上を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想起し、また、そのような変形および/または変更のそれぞれは、本明細書中に記載される本発明の実施形態の範囲内に入ると考えられる。より一般的には、当業者であれば容易に分かるように、本明細中に記載される全てのパラメータ、寸法、材料、および、形態は、典型的なものであると意図され、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または、形態は、本発明の教示内容が使用される特定の1つ以上の用途に依存する。当業者は、本明細書中に記載される特定の本発明の実施形態と同等の多くの等価物を認識する。したがって、言うまでもなく、前述の実施形態は単なる一例として与えられ、また、添付の特許請求項およびその等価物の範囲内で、本発明の実施形態は、具体的に説明されて特許請求の範囲に記載される以外のやり方で実施されてもよい。本開示の本発明の実施形態は、本明細書中に記載されるそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または、方法へと向けられる。また、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または、方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または、方法が互いに矛盾しなければ、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
また、本明細書中に記載される技術が方法として具現化されてもよく、そのような方法の少なくとも1つの実施例は与えられてしまっている。方法の一部として行われる行為は、任意の適した方法で順序付けられてもよい。したがって、例示された順序と異なる順序で行為が行われる実施形態が構成されてもよく、そのような実施形態は、例示された実施形態で連続的な行為として示される場合であっても、幾つかの行為を同時に行うことを含んでもよい。
本明細書中で規定されて使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み入れられる文献中における定義、および/または、規定された用語の普通の意味に優って支配するように理解されるべきである。
明細書および特許請求の範囲においてここで使用される不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、反対のことが明確に示唆されなければ、「少なくとも1つ」を意味するように理解されるべきである。本明細書中に挙げられる任意の範囲は包括的である。
この明細書の全体にわたって使用される用語「ほぼ」および「約」は、わずかな変動を表わして考慮に入れるために使用される。例えば、それらの用語は、±5%以下、例えば±2%以下、例えば±1%以下、例えば±0.5%以下、例えば±0.2%以下、例えば±0.1%以下、例えば±0.05%以下を示すことができる。
明細書および特許請求の範囲においてここで使用される語句「および/または」は、そのように結合される要素、すなわち、幾つかのケースでは接続的に存在しかつ他のケースでは離接的に存在する要素の「一方または両方」を意味するように理解されるべきである。「および/または」を用いて記載される複数の要素は、同じ態様で、すなわち、そのように結合される要素のうちの「1つ以上」として解釈されるべきである。随意的に、「および/または」節によって具体的に特定される要素以外の他の要素が、具体的に特定されるそれらの要素に関連するかあるいは関連しないかどうかにかかわらず存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「備える」などの非制約的言語と併せて使用されるときの「Aおよび/またはB」への言及は、1つの実施形態ではAのみ(随意的にB以外の要素を含む)を示し、他の実施形態ではBのみ(随意的にA以外の要素を含む)を示し、更なる他の実施形態ではAおよびBの両方(随意的に他の要素を含む)を示すことができる。
明細書および特許請求の範囲においてここで使用される「または」は、先に規定された「および/または」と同じ意味を有するように理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離するときには、「または」あるいは「および/または」は、包括的に解釈されるべきであり、すなわち、多くの要素または要素のリストのうちの少なくとも1つを含むが複数も含むように、および、随意的には更なるリストに挙げられていない項目も含むように解釈されるべきである。「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」、あるいは、特許請求の範囲で使用されるときの「からなる」などの反対のことが明確に示唆される用語だけは、多くの要素または要素のリストのうちの正確に1つを含むことを示す。一般に、本明細書中で使用される用語「または」は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または、「のうちの正確に1つ」などの排他性の用語により先行されるときには、排他的な選択肢(すなわち、1つまたはその他であるが両方ではない)を示すとしてのみ解釈されるべきである。特許請求の範囲で使用されるときの「から本質的になる」は、特許法の領域で使用されるその通常の意味を有するべきである。
1つ以上の要素のリストに関連して明細書および特許請求の範囲においてここで使用される語句「少なくとも1つ」は、要素のリスト内の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するように理解されるべきであるが、必ずしも要素のリスト内で具体的に挙げられたそれぞれ要素および全ての要素のうちの少なくとも1つを含まず、また、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを排除しない。また、この定義は、「少なくとも1つ」が参照する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するかあるいは関連しないかどうかにかかわらず随意的に存在してもよいことを許容する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態ではBが存在しない状態で随意的に複数を含む(随意的にはB以外の要素を含む)少なくとも1つのAを示すことができ、他の実施形態ではAが存在しない状態で随意的に複数を含む(随意的にはA以外の要素を含む)少なくとも1つのBを示すことができ、更なる他の実施形態では随意的に複数を含む少なくとも1つのA、および、随意的に複数を含む少なくとも1つのB(随意的に他の要素を含む)を示すことができる、などである。
特許請求の範囲において、および、前記明細書において、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含む」、「伴う」、「保持する」、「から構成される」、および、同様のものなどの全ての移行句は、非制約的に、すなわち、を含むがこれに限定されないという意味で理解されなければならない。移行句「からなる」および「から本質的になる」だけが、特許審査手続きの米国特許庁マニュアルの節2111.03に記載されるように、閉鎖的移行句または半閉鎖的移行句のそれぞれでなければならない。
特許請求の範囲は、その趣旨で述べられなければ、記載された順序または要素に限定されるように読み取られるべきではない。言うまでもなく、添付の特許請求の範囲および思想から逸脱することなく、形態および細部の様々な変更が当業者によりなされてもよい。以下の特許請求項およびその等価物の思想および範囲内に入る全ての実施形態が要求される。