以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳述する。なお、図中、同一の構成には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本発明の第一実施形態では、決済情報入力装置の一例として磁気ストライプ読み取り等による電子決済機能を有する決済情報入力ユニットを搭載した携帯型決済端末について例示する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る携帯型決済端末の外観を示す斜視図である。
図1において、携帯型決済端末1はその正面側にカバー3aで覆われた操作部2を含む電子決済を行うための決済情報入力ユニット3が取り付けられている。ここで、以下の説明においては、図1において携帯型決済端末1の本体1aに対し決済情報入力ユニット3が取り付けられた側を正面側とし、それに対向する側を背面側とする。決済情報入力ユニット3に隣接して、決済処理の結果に関する情報などを印刷して出力する印刷ユニット6が設けられている。以下の説明においては、決済情報入力ユニット3に対して印刷ユニット6が配置された側を上方側とし、決済情報入力ユニット3側を下方として説明する。
本実施形態において電子決済とは、商品またはサービスの代価を支払う場合、現金ではなく、電子データをやり取りすることで支払いを行うことを示す。例えば、クレジットカードやデビットカード(銀行などの預金口座から即時或いは後ほど引き落として支払う)のカード番号やそれに付随する各種情報を外部装置とやり取することで行われる決済が本実施例の電子決済に含まれる。
決済情報入力ユニット3が決済情報を取得し、その決済情報を携帯型決済端末1の本体1a側へと送信する。決済情報入力ユニット3による決済情報の取得としては、磁気ストライプ読取や非接触ICカードによる入力などの方法によって行われる。また、カード以外であっても、近距離無線通信技術を用いた決済が行われてもよい。本実施形態に係る詳細な方法については後述する。
決済情報入力ユニット3によって取得された決済情報は、受け取った携帯型決済端末1の本体1a側に設けられた制御部によって処理される。例えば、携帯型決済端末1の本体1a側に無線通信機能を設けた場合には決済情報が無線通信によりタブレットやPCなどの外部機器に送受信され、電子決済が行われる。また、有線接続される場合も同様に外部装置に接続されて決済情報の送受信が行われ、決済処理が完了する。必要に応じて印刷ユニット6から決済処理に関する情報を印字するための指示を携帯型決済端末1の本体1a側の制御部から送信し、印字処理が実行され、排紙口61から排紙される。
携帯型決済端末1を駆動するためのバッテリ13が、携帯型決済端末1の本体1aの内部に配置されており、本体1a内の制御部、決済情報入力ユニット3や印刷ユニット6へと電力供給されている。
図2(A)には、携帯型決済端末1から決済情報入力ユニット3を取り外した状態の分解斜視図を示す。図2(B)は、携帯型決済端末1から取り外した決済情報入力ユニット3の斜視図である。本実施形態の決済情報入力ユニット3は、複数の携帯型決済端末に対して嵌合可能なような接合構造を有しており、利用目的に応じて携帯型決済端末の本体側の構造を異なる形態に変更したものに対しても搭載可能としている。
図2(A)、(B)に示すように、本実施形態に係る決済情報入力ユニット3の接合構造としては、上端部に設けた嵌合爪31と固定用ビス32a(不図示)を取り付けるための固定用ボス32を有している。但し、嵌合爪31や固定用ビス32aは接合構造の一例に過ぎず、簡易な構成で接合可能に構成されていれば良い。一方側は嵌合などの構造的な接触によって固定され、他方はビスなどの他の部材によって確実な固定を行うことによって組立作業性及び取り付け信頼性の双方をバランス良く高めることができるため好ましい。しかしながら、例えば、固定用ビス32aの代わりに他の嵌合爪を設けることにより、爪の嵌合だけで本体1aと決済情報入力ユニット3との接合を行えるようにしてもよく、この場合にはビス等の固定部材が不要となるため、組立作業性を向上することができる。
携帯型決済端末1の本体1aには決済情報入力ユニット3を取り付けるための収容部12が設けられており、まず決済情報入力ユニット3の嵌合爪31を本体1aに設けた爪受け部(非嵌合部)11に引掛けるようにして嵌合させ、その後固定用ボス32側(下方側)を収容部12に落とし込むようにして取り付ける。
その状態で固定用ボス32に対して固定用ビス32aを取り付けることによって決済情報入力ユニット3の嵌合が完了する。固定用ビス32aは決済情報入力ユニット3の下端部の両脇に設けられている。
決済情報入力ユニット3の背面側には、携帯型決済端末1の収容部12に組み込まれた際に携帯型決済端末1の壁面との間の空隙を狭めて塵などの侵入を防ぐためのリブ33が設けられている。詳細は後述の図7を用いて説明する。
図3は、携帯型決済端末から取り外した決済情報入力ユニット3のカバー3aを開いた状態を示した図である。操作部2は、携帯型決済端末1の主操作者である顧客等が操作を行い、情報を入力するためのものである。操作部2は、複数の操作ボタンを有し、携帯型決済端末1の本体1aの主操作面である正面(表面)側の端部に配置されている。
また、磁気読取手段としての磁気ストライプ読取部(以下、MSR(magneti stripe reader))4は、磁気ストライプカード(以下、磁気カード)の磁気ストライプ部から情報を読み取る。なお、このMSR4では、操作部2等を顧客側に向けた状態(図1の上方側に販売スタッフが居る状態)で、携帯型決済端末1の本体1aの下端部(具体的には顧客側の端部)に設けられた磁気読取用カード通過溝42に沿って、磁気カードを横引きすることにより磁気情報を読み取ることができる。この際、販売スタッフは、例えば、右手で携帯型決済端末1本体を支え、その状態で顧客から磁気カードを左手で受け取り、磁気読取用カード通過溝42に磁気カードを横引きすることができ、磁気カード操作を含む自然な操作導線を確保することができ、端末の操作性を向上することができる。
操作部2は、磁気読取用カード通過溝42が開口する側の一方面上に設けられ、決済に用いるカードの所有者である顧客(以下、顧客)が操作(例えば、暗証番号等の認証情報(以下、暗証番号)の入力操作)を行うためのものである。すなわち、この操作部2は、テンキー部2a、表示部5、接触型ICカード挿入口2b、不図示の接触型ICカードリーダ2dを備えている。主に顧客が操作する部分は、テンキー部2aである。
テンキー部2aは、顧客が暗証番号の入力を行うために使用され、表示部5は、顧客へのメッセージや、テンキー部2aでの入力に対応する伏せ文字等を表示する
接触型ICカード挿入口2bは、接触型ICカードを挿入するための挿入口である。接触型ICカードリーダ2dは、操作部2の内部に設けられ、接触型ICカード挿入口2bに挿入される接触型ICカードのIC部から情報を読み取る。この際、販売スタッフは、例えば、右手で携帯型決済端末1本体を支え、その状態で顧客から接触型ICカードを左手で受け取り、接触型ICカード挿入口2bに接触型ICカードを挿入し、そのまま携帯型決済端末1の向きを変更することなく、顧客が暗証番号の入力を行うことができる。これにより、自然な操作導線を確保することができ、販売スタッフ及び顧客による端末の操作性を向上することができる。なお、本実施形態では、接触型ICカード挿入口2bへのカード挿入方向と、上記MSR4へのカード横引き方向とが同一方向となるようにし、操作の統一性を確保している。
以上説明したように、接触型ICカードリーダ2dは、操作部2、MSR4および表示部5とで1つの一体ユニットである決済情報入力ユニット3を構成する。また、非接触型ICカードリーダを設けてもよく、その場合、読み取りのためのアンテナを操作部2の背面に貼りつけることなどによって設ければよい。更に言えば、操作部2に設けられたテンキー部2aの周囲を取り囲むようにしてアンテナを引き回すことによって、効果的にスペースを利用することができる。
操作部2の内部には制御部が設けられ、決済情報入力ユニット3全体を統括制御するとともに、携帯型決済端末1の本体1a側と通信を行う。また、制御部は、テンキー部2aで入力された暗証番号と、接触型ICカードリーダ2d等で読み取られたデータとを比較し、比較結果を携帯型決済端末1本体に通知する。
図4および図5には、本発明の一実施形態に係る携帯型決済端末の決済情報入力ユニット3のカバー3aが開かれた状態の正面図および正面断面図を示している。
決済情報入力ユニット3の正面下方側には、MSR4が配置されているが、その内部構造について、図5(A)におけるB−B断面を図5(B)に示している。
図4に示すように、MSR4のカード通過溝42が決済情報入力ユニット3の下方側に設けられており、その一端側である決済情報入力ユニット3の側壁に磁気カードを筐体内に取り込むための取込口42aが設けられ、その他端側である決済情報入力ユニット3の側壁に磁気カードを筐体内から排出するための排出口42bが設けられている。
図5(B)で示すように、MSR4のカード通過溝42を挟むようにして、磁気ヘッド43が配置されている。決済情報入力ユニット3としては、操作しやすい操作部2の幅(上下方向と直交する紙面左右の方向)寸法にすることや、上述したように複数の機器へ対応可能な大きさの実現をすべく、ある程度の幅寸法となっている。それに対し、磁気ヘッド4としてはある程度の幅しか占めておらず、決済情報入力ユニット3の幅に対して余裕がある。
設計スペースの都合を考慮すれば余裕がある方が好ましいが、本実施形態のような決済処理を行う決済処理端末においては後述のセキュリティ対策を施すことが好ましい。
具体的には、スキミングと呼ばれる方法が広く問題となっており、スキミング用の磁気ヘッド(スキミング用磁気ヘッド)をカード通過溝42の近傍に配置し、決済情報入力ユニット3が決済処理のための情報の授受を磁気カードとの間で行うのと同時に、スキミング用磁気ヘッドによって磁気カードの情報を受信することで、個人情報が抜き取られてしまう虞がある。
本実施形態においては、磁気ヘッド43と横並びとなるように視認部41の一例としての凹構造を設けている。図5(B)においては、磁気ヘッド43の左右に一対の凹構造41a、41bを設けている。
凹構造41a、41bとしては、操作部2の操作面が決済情報入力ユニット3内部で磁気カードが通過する領域まで貫通していれば良く、一例としては、磁気カードを通過させる際に磁気カードにおける磁気情報が書き込まれた領域まで貫通していればよい。凹構造41の背面側は決済情報入力ユニット3の背面側まで貫通している貫通孔であってもよいし、凹構造41の背面位置で背面側を埋めることによって凹んだように形成されていてもよい。
また、凹構造41a、41bを設けることによって、決済情報入力ユニット3の端部における剛性を高めることができる。
MSR4はスリットを有しているため、一般に強度の向上が困難な側面があるが、本実施形態においては、MSR4のスリット形状を決済情報入力ユニット3の下端部に設けており、スリットに荷重がかかりにくくするとともに、上述したように凹構造41a、41bをスリットよりも下端側に設けることによって剛性を高めている。
また、視認部41としての凹構造41a、41bは、筐体側壁のいずれに設けられていてもよく、例えば、図6の決済情報入力ユニット3の側面図において領域Aの辺りに設けても良い。その場合、磁気ヘッド43を挟んだ反対側の側壁にも同様の視認部41を設けることが望ましい。
さらに、筐体側壁に設けた視認部41から、通常であれば磁気ヘッド43もしくは磁気ヘッド43が取り付けられるモジュールの一部が視認できるため、視認部41に対向する位置(外部から視認部41を覗いたときに見える位置)に位置する部材については、白色や赤色などの外部から認識し易い色を用いることが好ましい。認識し易い色を用いる一形態としては、照明部による照明も含まれ、部材の色の設定と併せて用いてもよい。
尚、視認部41としては、内部空間が存在し得るようにされた中空の樹脂筐体に設けられた窓部でも良い。この場合、窓部の背面側に透明の部材を貼り付けることで、視認性と筐体内部への埃等の侵入防止の両立を図ることができる。
視認部41を、カード通過溝42に沿う位置のいずれか、特に磁気ヘッド43に隣接する空間を視認可能に設けることによって、スキミング用磁気ヘッドが配置され得る空間を筐体外部から視認可能にすることができる。
このように、視認部41を設けることによって、悪意のある者がスキミングを行うためにスキミング用磁気ヘッドを外部から視認不可能な位置に配置するできなくなるため、使用者は特に意識せずとも通常使用するだけで、スキミングされる虞を抱かずに使用することができる。
スキミング用磁気ヘッドを埋め込もうとして何らかの加工をした場合でも、視認部41が通常使用の際に目に入るように決済情報入力ユニット3の正面側に設けられているため、使用者が通常使用の中で察知することができる。特に、凹構造41a(41b)を決済情報入力ユニット3の背面側まで貫通する貫通孔として設けた場合には、通常使用時は反対側が見えることになるが、スキミング用磁気ヘッド等が設けられた際に凹構造41a(41b)内部に何かが設けられていることが通常使用時と比較することにより把握しやすい。
視認部41を設ける位置としては、磁気ヘッド43を磁気カードのカード通過溝42近傍に配置したあとに、スキミング用磁気ヘッドを配置するスペースが生じないように、スキミング用磁気ヘッドの大きさよりも長い隙間が存在しないように配置することが好ましく、例えば図5(B)に示すように、磁気ヘッド43を固定するための支持部44と固定用ボス32との間に、磁気ヘッド43のカード通過溝42に沿う方向の幅よりも長いスペースが空かないように、視認部41(凹構造41a、41b)を設けている。
それは視認部を設ける基準として、決済情報入力ユニット3の幅方向において、少なくともカード通過溝42が設けられた範囲については、スキミング用磁気ヘッドの幅(一例として、磁気ヘッド43と同等の幅とすることができる)よりも長い部分(空間)が現れないようにすることが好ましい。
なお、視認部41は左右両側に設けることが好ましいが、片側のみに設けてもよい。特に、磁気ヘッド43を左右のいずれかに寄せて配置した場合には効果的である。
また、上述したように決済情報入力ユニット3の剛性も併せて考慮して視認部41を配置してもよい。例えば、磁気ヘッド43と筐体側壁の外側面との間に凹構造41a、41bを左右それぞれに複数ずつ設けてもよく、そうすることにより、スキミング用磁気ヘッドの配置を困難にするとともに、より決済情報入力ユニット3の強度を向上することができる。
また、例えば、決済情報入力ユニット3内部に配置されたインジケータ45をLED等の照明で構成し、その光を視認部41まで引き回して、視認部41の内部に照射されるような導光部46を設けても良い。その場合、例えば通常使用時には凹構造41a(41b)内部に赤色の光が到達して赤く見える状態としておき、スキミング用磁気ヘッドが配置された場合に遮られて無色(正確には凹構造41a内の筐体の色もしくは外光が到達しにくいため黒色)に見えるようにしておくことで、通常使用の際に使用者が何らかの違和感を抱き、スキミング用磁気ヘッドが配置されたことを察知することが出来る。
LED等の照明として、インジケータ45とは別の不図示の照明部47(例えば、磁気カードの読取が正しく行えたことを示すLED照明など)を凹構造41a(41b)の直下もしくは近傍に設け、凹構造41a(41b)内を照射するように構成してもよい。
導光部46、照明部47のいずれの形態においても、決済情報入力ユニット3の動作中は常に点灯させておくことによって、通常使用する使用者から認識させやすくすることができる。
また、凹構造41a(41b)としては、内部が視認できる構造であればよいため、凹構造41a(41b)を、ストラップ等を取り付けるための取付部として構成してもよい。
また、上述した視認部41の位置に、占有部材を設けてもよい。具体的には、他の構造物を磁気ヘッド43に隣接して配置してもよいし、磁気ヘッド43のモジュールとして決済情報入力ユニット3の筐体の幅に近いサイズとするために、磁気ヘッド43のモジュールの幅に決済情報入力ユニット3の筐体の幅を近づけてもよい。この場合、磁気ヘッド43のモジュールを構成する部材が占有部材として機能する。
いずれの場合でも磁気ヘッド43と決済情報入力ユニット3の筐体との間に占有部材を配置することによって、スキミング用磁気ヘッドを配置するスペースを占有することによって、スキミング用磁気ヘッドが配置されることを防ぐことが出来る。特に、他の占有部材を他の構造物を配置することによって設ける場合には、占有部材を取り外されることがないように、決済情報入力ユニット3の筐体の一部で構成したり、決済情報入力ユニット3の制御部等が配置される回路基板と一体に構成したりすることが好ましい。
また、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末1の外装に固定する固定用ビス32aもしくは決済情報入力ユニット3の筐体を正面側と背面側の2部品で構成してそれらを嵌合させるための固定用ビス32bが挿通する固定用ボス32を占有部材として設けてもよい。この場合、通常は筐体の隅に設ける固定用ボス32をやや内側に配置することになるため、磁気ヘッド43と固定用ボス32とスキミング用磁気ヘッドとのサイズを考慮した上で、固定用ボス32が磁気ヘッド43との間および筐体の側壁との間にスキミング用磁気ヘッドが配置される隙間を生じない位置に配置されることが好ましい。スキミング用磁気ヘッドの大きさの一例としては、磁気ヘッド43の大きさと同等であると考えればよい。
尚、本実施形態の凹構造41a、41bについては、MSR4の近傍を視認可能にする視認41であるとともに、凹構造41a、41bの周壁を形成する部分によってMSR4の近傍を占有しており、スキミング用磁気ヘッドの配置を妨げている。すなわち、視認部であるとともに占有部材として機能しており、より効果的にスキミングを防止することが出来る。
この場合、筐体の正面側に形成された凹構造41a(41b)が、少なくともMSR4が配置される位置まで背面側に突出して設けられていれば良い。
図6は、本実施形態に係る決済情報入力ユニット3の側面図である。図6に示すように、決済情報入力ユニット3のカバー3aは、筐体に対して直角に開放可能となっている。こうすることによって、操作部2に対して顧客が暗証番号等を入力する際に、決済情報入力ユニット3の上方に居る販売スタッフ等に対して手元を隠すことができ、顧客のセキュリティを守ることができる。
図7は、本実施形態に係る決済情報入力ユニット3の背面図である。
決済情報入力ユニット3の背面(裏面)における上辺を除く3辺に沿うようにリブ33が設けられている。なお、リブ33は決済情報入力ユニット3の下端部の両側部においては、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末1の本体1aに固定するための固定用ボス32に対応するビス穴32aを避けるようにして設けられている。上述したように、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末1の本体1aに取り付ける構造として、ビス穴32aを設けない構造とした場合には、決済情報入力ユニット3の背面における外周に沿うように設けることが好ましい。
図7において、左右から上方に向かって延びるリブは、決済情報入力ユニット3の上面に到達し、上面の正面側に延び、嵌合爪31まで連続して設けられている。このリブ33によって、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末1に搭載した状態における防塵構造となっている。
また、決済情報入力ユニット3の背面には、導電部34が複数設けられている。上述したように、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末1の本体1aに取り付ける際に、嵌合爪31を引っ掛けた後決済情報入力ユニット3の下端側を本体1a側に近づける際に、本体1aの収容部12内に配置された基板140側の金属部材130に接触し、決済情報入力ユニット3と携帯型決済端末1との導通を取ることが出来る。
本体1a側の金属部材130は、決済情報入力ユニット3との導通を確実に複数の点で取るために、決済情報入力ユニット3の取り付けに伴って弾性変形するようになっていることが好ましい。また、決済情報入力ユニット3の取り付けの際に、回動中心に近い側の方が、加わる押圧力が大きくなるため、決済情報入力ユニット3の筐体の下端側には2つの導電部34を下端側の壁面に平行に並ぶように設けており、嵌合爪31に近い側においては、嵌合爪31からの距離が異なるように複数の導電部34を設けることで、各導電部34に加わる荷重を均一化することができる。
なお、本実施形態においては、図9に示すように、基板140の下方の2箇所にのみ弾性構造を有する金属部材130を設けており、決済情報入力ユニット3を本体1aに取り付ける際に嵌合爪31を 爪受け部11に引掛けて回動させて取り付ける回動動作の終端付近で導電部34と金属部材130とが当接し始めて金属部材130の弾性による付勢力を導電部34が受けながら決済情報入力ユニット3を取り付けるように構成されている。
また、決済情報入力ユニット3と携帯型決済端末1との間で情報の送受信を行うための信号ラインを接続するためのコネクタ35が設けられている。信号ラインとしては、例えばFPC(Flexible printed circuits)などのプリント基板でも良いし、決済情報入力ユニット3の取り付けに伴ってコネクタ同士が接続されるようになっているものであっても良い。
その場合、決済情報入力ユニット3を取り付けるだけで信号ラインの接続も行えるため、組立作業性を向上できる。この場合、回転に連動してコネクタ同士を接続する必要があるため、回転中心となる嵌合爪31側にコネクタを設ければ接続の確実性を向上することができる一方、使用するコネクタの種類がある程度高さを有するものである場合には、回転中心となる嵌合爪31から離れた位置すなわち決済情報入力ユニット3の下端側にコネクタを設けることで、回転によってコネクタ同士が接続される構造としたとしても、一方のコネクタに対して略垂直に他方のコネクタを近接させていくことができ、コネクタに対する負荷を低減するとともに、取り付けの確実性を向上できる。
また、信号ラインは、導通部34の一部の代わりに設けてもよい。具体的には、例えば、嵌合爪31に最も近い部分に配置される導電部34の代わりに信号ライン用の電気接点を設け、これにより決済情報入力ユニット3と携帯型決済端末1側との信号の送受信を行ってもよい。この場合、確実に電気接点を取るために、回転中心となる嵌合爪31側に電気接点を設けることが好ましい。
また、決済情報入力ユニット3の上端部には、嵌合爪31を挟むようにして複数の嵌合突起36が設けられている。上記実施形態にて詳述した携帯型決済端末1とは異なる他の携帯型決済端末に取り付ける場合に、嵌合爪31に代えて嵌合突起36を用いて固定することができるようになっている。必要に応じて嵌合突起36を貫通するようなビスによってビス固定できるように、嵌合突起36にはビス穴36aも設けられている。
また、決済情報入力ユニット3は、その背面側に仕切り部材37を有している。仕切り部材37によって携帯型決済端末1の本体1aの収容部12に設けられた基板140等との間の電気的な絶縁を取ることができる。
本実施形態においては、仕切り部材37は決済情報入力ユニット3の背面側にビス固定されており、仕切り部材37によって決済情報入力ユニット3の内部空間を略密閉している。
それにより決済情報入力ユニット3単体としての絶縁性を確保することができ、導通部以外において携帯型決済端末1側と不意に導通することを確実に防いでいる。
また、上述したリブ33も仕切り部材37に設けられている。そのため、決済情報入力ユニット3を他の携帯型決済端末などに取り付ける際に、仕切り部材37をリブ33とは別のリブ形状を有する他の仕切り部材へと変更することによって、携帯型決済端末の防塵性を簡易な構成で向上できる。
図8は、決済情報入力ユニット3の外観図として上面図および斜視図を示している。
決済情報入力ユニット3の背面側に設けられたリブ33は、上方に向かって延びており、上面に設けられたリブ38に繋がっている。
リブ38は決済情報入力ユニット3の上面側に設けられており、その中央部には嵌合爪31が設けられている。なお、リブ38における嵌合爪31が設けられる位置(中央部)は、他のリブ38よりも正面側に突出して設けられている。このように、決済情報入力ユニット3の背面側に設けたリブ33と上面側に設けた38とを連続させ、環状のリブとして形成することで、携帯型決済端末1に組み込む際に、本体1aとの隙間を低減し、防塵性を向上できる。また、環状に形成しているため、本体1a内部の基板140などに配置されたLED150などによる外部への光漏れなどに対する遮光性も向上できる。
また、決済情報入力ユニット3の下方側において、上方側よりも厚み(正面側と背面側との幅)が厚くなるようになっている。具体的には、背面に段部37bが設けられ、決済情報入力ユニット3の下端側の仕切り板下部37cの厚みが厚くなるようになっている。こうすることによって、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末1に組み込む際に、下端側の接触位置を背面側に寄せることができ、嵌合爪31を中心とした回動動作をする際に下端側の取り付け安定性を向上できる。
図9には、携帯型決済端末1から決済情報入力ユニット3を取り外した状態の斜視図を示す。
携帯型決済端末1の本体1aには、決済情報入力ユニット3側の嵌合構造である嵌合爪31と嵌合する被嵌合部としての爪受け部11が設けられており、嵌合爪31が正面側に向けて引っ掛かるようになっている。決済情報入力ユニット3を本体1aに取り付ける際には、嵌合爪31を爪受け部11に対して引っ掛けたのち、下端側を本体1aに向けて回動させることによって決済情報入力ユニット3の取り付けを行う。その際に、決済情報入力ユニット3に設けたリブ33は、本体1aの側壁に設けられた縁部133の内側に入り込むように実装される。すなわち、決済情報入力ユニット3の背面におけるリブ33の外側の部分33aが、本体1aの縁部133に正面側から当接する。
リブ33と縁部133は、可能な限り隣接して配置することによって防塵性をより向上できる。
一方、リブ38も本体1aに設けられた庇部138の背面側に入り込むことによって本体1aとの間に隙間が生じないようになっている。より詳しく言えば、決済情報入力ユニット3と携帯型決済端末1との間に生じる隙間をリブ33またはリブ38とで埋めている。これによって、決済情報入力ユニット3と携帯型決済端末1間の防塵性や遮光性を向上している。
図10は、本実施形態に係る携帯型決済端末1が有する導光部材の拡大図である。図9において、基板140の上方側に設けられたLED150の正面側に位置する導光部材160によって、本体1aに設けられたインジケータ170を照射している。
図10は、導光部材160を本体1aの背面側から見た拡大図を示しているが、実際には、導光部材160とその周囲に配置される本体1aの補強壁180を示している。
導光部材160は正面側に平面部161を備えており、そこから、その背面側に配置された2つのLED150に向かって、先端が細った形状の導光柱162が設けられている。導光柱162の外形としては、上下左右方向にリブが延びた星型となっている。
図10には、導光部材160が対向するLED150の位置を点線で示しており、導光部材160は、導光柱162の先端から下方に向かって延びる下方リブ163を備える。この下方リブ163は、導光柱162から下方に延びた部分の先端側に、背面側に延びる突出部164が設けられており、突出部164は、導光柱162における中央部(軸)の先端部分162aよりも、背面側すなわち基板140側に突出している。なお、その様子は図9にも示している。
この構造によって、LED150に対して近接して導光部材160を配置することにより、導光性能を向上しつつ、携帯型決済端末1のように、持ち運びによる衝撃が加わりやすい製品において、本体1a内の部品形状が撓んだりした場合にも、導光部材160がLED150に対して接触することを防ぐことができる。具体的には、導光柱162の先端に設けられた突出部164と基板140との距離が、導光柱162の先端部分162aとLED150との距離よりも短くなっており、導光柱付近が基板140側に近づくように撓んだとしても、先に突出部164が基板140に当接するようになっている。当然ながら、突出部164に対向する基板140の位置には電子部品は配置されていないことが好ましい。
また、補強壁180は、本体1aに設けられているが、2つの導光柱162の間に突出して設けられていることが好ましい。こうすることによって、2つのLED150による光の一方が、他方のLED150に対向する導光柱162に入射するのを低減することができ、適切なインジケータ170の表示を行うことができる。なお、LED150は2つに限らず、3つ以上あっても同様であり、複数用いられている場合には本形態が好適に用いることができる。
また、補強壁180を上述したようにLED150同士の間に突出させて設ける一方で、単一の平面部161に導光柱162を設けた導光部材160を構成することによって、導光部材160の取り付け時に、上下の方向を誤って取り付けることを防ぐことができ、上下の方向も一目瞭然となるため、作業性を向上できる。
なお、本実施形態の導光部材160は、2つ用いる場合を示したが、例えば3つの導光部材を使用する場合にも好適である。すなわち、導光部材160は、左右の導光柱162近傍の構造が等しいものとなっており、それらを接続部165で接続した構造となっている。こうすることによって、導光部材160を接続部165の部分で左右に分割して、1つの導光柱162として使用することができる。その場合にも取り付け向きが容易に判断できるように、導光部材160は、それぞれの導光柱162の周囲の1か所にC面カットが施されている(図10においては、紙面左下)。
導光部材160を2つに分割した場合にも取り付け向きが容易に判断できるような構造(方向視認部)を有していればよく、例えば、導光部材160の側方に位置する平面部161に円弧状の切り欠きなどを設けてもよい。
図11は、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末1の本体1aに搭載した携帯型決済端末1の断面図である。
図11に示す通り、決済情報入力ユニット3の背面側にはバッテリ13が配置されており、バッテリカバー13aによって本体1aに収容されている。
バッテリカバー13aの上方側には印刷ユニット6が配置されており、印刷ユニット6側に設けられたバッテリ端子近傍に配置された不図示の電源基板とも隣接している。印刷ユニット6が電源基板と隣接して配置されていることによって、印刷ユニット6を駆動するのに必要な高電圧を本体1a内で引き回す必要がない。また、決済情報入力ユニット3は、バッテリ13および印刷ユニット6の一部の両方に跨るようにして配置されているが、仕切り部材37によって効果的に両者との絶縁を行っている。決済情報入力ユニット3は、印刷ユニット6の一部である印刷ユニット6bの下端部と本体1aの厚み方句(図11の紙面左右方向)において重なるように嵌合爪31が設けられている。また、図10には表されていないが、図9に示すように、印刷ユニット6が有する印刷用搬送モータ6dが印刷ユニット6から下端側に向けて突出した位置に設けられており、決済情報入力ユニット3は、印刷用搬送モータ6dの正面側に配置されている。
すなわち、携帯型決済端末1としては、印刷ユニット6とバッテリ13とを本体1aの背面側に並べて配置し、決済情報入力ユニット3を印刷ユニット6とバッテリ13に対して本体1aの厚み方向(図11における紙面左右方向)に重なるように配置することで、決済情報の入力を簡易な構成で実装しつつ、省スペースな決済端末を実現している。換言すれば、決済情報の入力に関する構成については決済情報入力ユニット3に集約し、その決済情報を印刷や通信により外部に出力するための構成を本体1a側に設けることによって、決済情報入力ユニット3を共通とし、その他の必要な機能を適宜選択した本体1aに適用することで、種々の携帯型決済端末1の提供が容易に可能となるものである。
また、図7に示すように、仕切り部材37は、決済情報入力ユニット3において磁気カードの取込口42aが設けられる一側面と磁気カードの排出口42bが設けられる他側面との間に設けられている。このように、仕切り部材37が一側面と他側面との間に介在することで、決済情報入力ユニット3を把持する際に幅方向にかかる荷重に対して仕切り部材37が抗力を及ぼすことができ、決済情報入力ユニット3の強度を向上することができる。この点では、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末に組み込んだ際にも同様に効果を発揮する。
決済情報入力ユニット3のMSR4の上端部付近の仕切り部材37に段部37aを設け、バッテリ13からの電力の供給と入力された決済情報に関連する情報を基板140に出力するためのコネクタ35をその段部37aの段差における正面側に来るように配置している。さらにコネクタ35が配置される位置に対応する仕切り部材37には開口を設けており、コネクタ35から引き出されたFPCが本体1a側(基板140側)に引き出される。
この構成により、コネクタ35がMSR4に対向する位置にある仕切り部材37よりも背面側に突出することを防ぎ、決済情報入力ユニット3の本体1aへの実装を容易にしている。
嵌合爪31を受ける爪受け部11は、印刷ユニット6の排紙口61を構成する樹脂と一体に形成されている。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
特に、上記実施形態においては特にスキミング防止の観点で説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の特徴についてもそれぞれに効果を発揮することができるものである。
例えば、決済情報入力ユニット3を複数の携帯型決済端末に搭載可能なように、筐体の上方に嵌合爪31を設け、筐体の下方に固定用ボス32を設けていることなどである。こうすることで、簡易な構成で決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末の本体を形成する部材(上記実施形態における本体1a)に取り付けることが可能になる。
本発明の一態様としては、上述したように、クレジットカード等の磁気カードを使って決済処理を受け付ける装置において、磁気カードから磁気情報を読み取るための磁気ヘッドの周囲の少なくとも一部を外部から視認できるように、又は磁気ヘッドの周囲におけるデットスペースを極力無くし、スキミング目的の磁気ヘッド等の実装を防ぐ構造を採用した点に特徴がある。
また、本発明の他の態様としては、上述したスキミング対策の構造に限定されず、例えば、スキミング対策の構造を持たない決済情報入力装置についても広く対象とするものである。具体的には、磁気カードを使って決済処理を受け付ける装置を、例えば、外観のデザインだけでなくレシート等のプリンタや電子マネー読取部、発券機能などの専用端末、これらの機能を適宜組み合わせて多機能化した複合端末の本体に対し、共通の決済機能を持たせて携帯型決済端末とするための共有ユニット(共通モジュール)として位置付け、異なる形態の端末本体に適合し易い構造を備えるようにした点にも特徴がある。
ここで、決済情報入力装置は、磁気カードを横引きするスリットやICカードを挿入する挿入部が設けられるため、携帯型決済端末本体に実装された状態においては、ユーザの操作性を確保することが望ましく、特に、磁気カードを横引きするスリットは、携帯型決済端末の端部に配置されることが好ましい。
ICカードの挿入部としては、携帯型決済端末を片手で把持した状態でもう一方の手で挿脱可能にすべく、本体側面に配置されるのが好ましい。
そのため、決済情報入力装置の一端部(下方側の端部)を磁気カードの横引きスリットを構成する壁部で構成し、決済情報入力装置の一方側の側面にICカードの挿入部を設けておけば、このような決済情報入力装置を端末本体へ実装するだけで、携帯型決済端末の一端部側に磁気カードの横引き用のスリットを配置でき、その携帯型決済端末の一端部側の側部にICカードの挿入部を配置することが可能となる。
また、このような決済情報入力装置のうちキー操作部が設けられた一方面とは反対側の裏面においては、決済情報入力装置の両側壁の内方に内カバーを兼ねた仕切り板を嵌め込んでおくことにより、端末本体へ組み込んだ状態では、両側壁がユーザのグリップ部に相当し、決済情報入力装置の剛性を高めることができる。
また、本実施形態においては、決済情報入力ユニット3の下端部にMSR4のスリットを設け、上端部に嵌合爪31を設けることによって、嵌合爪31を支点に回動させて携帯型決済端末1に取り付けるように本体1a側を構成して、MSR4のスリットにおける強度の低下を考慮しMSR4のスリットを筐体の下端部に配置する構成の携帯型決済端末1を容易に提供することが可能となる。
また、本実施形態の決済情報入力ユニット3においては、背面側の3辺(左右、下端)に沿うようにリブ形状33を設けたことによって、決済情報入力ユニット3を携帯型決済端末1の本体1aに取り付ける際に、左右方向の位置決めとなり、取り付け性を向上できる。
また、本実施形態の決済端末においては、図10に示すように、排紙口61に排紙カッター61aを設けており、印刷ユニット6内に設けられたロール紙への印字後に出力される紙を切ることができるようになっているが、排紙口61における排紙よりも上方側に排紙カッター61aが設けられている。こうすることによって、操作部2に対して顧客が暗証番号等を入力する際に、垂直に起こしたカバー3aが庇になることで決済情報入力ユニット3の上方に居て決済端末を挟んで顧客と対面している販売スタッフ等に対して手元を隠すことができ、顧客のセキュリティを守ることができると同時に、印字された紙を販売スタッフ等が手前(端末上方)に引いてカットすることができ、好ましい。
排紙口に対して下方に排紙カッターがあると、カバー3aを垂直に起こしている状態ではカットしにくくなるため、カバー3aが垂直に起きるように構成された決済端末においては、本実施形態のような排紙カッター61aの位置が好適である。また、この位置に設けられた排紙カッター61aは、ロール紙カバー6cと共にロール紙カバーヒンジ6eを中心に回動して上方へ移動し、ロール紙カバー6cを略180度展開してロール紙を交換、取り付ける際に、排紙カッター61aが背面側へ移動することになるため、例えば、携帯型決済端末1の背面側を床や作業台に載置してロール紙の交換等を行う際に、正面側に排紙カッター61aが位置しないため、安全に作業を行うことができる。