[本願発明の実施形態の概要]
最初に本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1)本発明の一実施形態に係るカメラ制御プログラムは、複数の対象を撮影するカメラを制御するためのカメラ制御プログラムであって、コンピュータを、各々が1以上の対象に関連付けられた1以上のセンサから、当該センサで計測された計測値を取得する計測値取得部と、前記計測値取得部が取得した前記計測値に基づいて、各対象における異常発生の可能性の度合いを示す異常発生度を算出する異常発生度算出部と、各対象を撮影するための前記カメラのプリセット情報を示したプリセット情報テーブルの中から、前記異常発生度算出部が算出した前記異常発生度に基づいて、前記プリセット情報を選択するプリセット情報選択部と、前記プリセット情報選択部が選択した前記プリセット情報に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御部として機能させる。
この構成によると、対象の異常発生度に基づいて、対象を撮影するためのプリセット情報が選択され、選択されたプリセット情報に基づいて、カメラが制御される。異常の発生前には、異常発生度が高くなる。このため、異常発生度がある程度高くなった時点から対象の撮影を開始することで、異常の発生前後の画像を撮影することができる。また、異常発生度が低い対象は撮影する必要がないため、1台のカメラで複数の対象を監視することができる。これにより、低コストで複数の対象を撮影することもできる。
(2)好ましくは、前記カメラ制御部は、前記異常発生度が高い対象ほど長時間および高頻度の少なくとも一方の条件で撮影するように、前記カメラの撮影タイミングを制御する。
この構成によると、異常発生度が高い対象ほど、単位時間当たりの撮影時間を長くしたり、単位時間当たりの撮影回数を多くしたりできる。このため、異常の発生の可能性が高まった対象を、長時間もしくは高頻度、またはその両方の撮影条件の下で監視することができる。また、複数の対象が監視対象とされる場合に、異常発生度に応じて、撮影時間または撮影回数を変えることができる。
(3)また、前記カメラ制御部は、前記異常発生度が高い対象ほど高精細で撮影するように、前記カメラを制御してもよい。
この構成によると、異常発生度が高い対象ほど、高精細で撮影される。このため、異常の発生の可能性が高まった対象を、詳細に監視することができる。
(4)また、前記プリセット情報選択部は、前記異常発生度が第1閾値以上の対象を撮影するための前記プリセット情報を選択してもよい。
この構成によると、異常発生度が第1閾値未満のプリセット情報は選択されない。よって、カメラは、異常発生度が第1閾値未満の対象を撮影しない。これにより、異常の発生の可能性が低い対象は監視対象から外され、異常の発生の可能性が高い対象の監視に、より多くの時間を割くことができる。
(5)また、前記カメラ制御部は、前記異常発生度が前記第1閾値以上の対象の数が所定数を超える場合には、前記異常発生度が前記第1閾値以上の対象を、前記カメラおよび他のカメラで撮影するように、前記カメラおよび前記他のカメラを制御してもよい。
この構成によると、異常発生度が第1閾値以上の対象が所定数よりも多く存在する場合には、これらの対象を複数台のカメラで撮影することができる。これにより、異常発生度が第1閾値以上の対象の数が多く、1台のカメラでこれらすべての対象を撮影するのが困難な場合に、複数台のカメラで分担してこれらの対象を撮影することができる。
(6)また、前記カメラ制御部は、前記異常発生度が第2閾値以上の対象を、前記カメラおよび他のカメラで撮影するように、前記カメラおよび前記他のカメラを制御してもよい。
この構成によると、異常発生度が第2閾値以上の対象を複数台のカメラで撮影することができる。これにより、多方向から対象を撮影することができ、異常が発生した場合に、詳細に異常発生原因を究明することができる。
(7)また、前記カメラ制御部は、各対象に事前に設定された重要度が高い対象ほど長時間および高頻度の少なくとも一方の条件で撮影するように、前記カメラの撮影タイミングを制御してもよい。
この構成によると、重要度が高い対象ほど、単位時間当たりの撮影時間を長くしたり、単位時間当たりの撮影回数を多くしたりできる。このため、重要性の高い対象に事前に高い重要度を設定しておくことにより、該対象を、長時間もしくは高頻度、またはその両方の撮影条件の下で監視することができる。また、複数の対象が監視対象とされる場合に、重要度に応じて、撮影時間または撮影回数を変えることができる。
(8)また、前記カメラ制御部は、各対象に事前に設定された重要度が高い対象ほど高精細で撮影するように、前記カメラを制御してもよい。
この構成によると、重要度が高い対象ほど、高精細で撮影される。このため、重要性の高い対象に事前に高い重要度を設定しておくことにより、該対象を、詳細に監視することができる。
(9)本発明の他の実施形態に係るカメラ制御装置は、複数の対象を撮影するカメラを制御するためのカメラ制御装置であって、各々が1以上の対象に関連付けられた1以上のセンサから、当該センサで計測された計測値を取得する計測値取得部と、前記計測値取得部が取得した前記計測値に基づいて、各対象における異常発生の可能性の度合いを示す異常発生度を算出する異常発生度算出部と、各対象を撮影するための前記カメラのプリセット情報を示したプリセット情報テーブルの中から、前記異常発生度算出部が算出した前記異常発生度に基づいて、前記プリセット情報を選択するプリセット情報選択部と、前記プリセット情報選択部が選択した前記プリセット情報に基づいて、前記カメラを制御するカメラ制御部とを備える。
このカメラ制御装置は、上述のカメラ制御プログラムによってコンピュータが機能する処理部を構成として備える。このため、上述のカメラ制御プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
(10)本発明の他の実施形態に係るカメラ制御方法は、複数の対象を撮影するカメラを制御するためのカメラ制御方法であって、各々が1以上の対象に関連付けられた1以上のセンサから、当該センサで計測された計測値を取得するステップと、取得された前記計測値に基づいて、各対象における異常発生の可能性の度合いを示す異常発生度を算出するステップと、各対象を撮影するための前記カメラのプリセット情報を示したプリセット情報テーブルの中から、算出された前記異常発生度に基づいて、前記プリセット情報を選択するステップと、選択された前記プリセット情報に基づいて、前記カメラを制御するステップとを含む。
このカメラ制御方法は、上述のカメラ制御プログラムによってコンピュータが機能する処理部に対応するステップを含む。このため、上述のカメラ制御プログラムと同様の作用および効果を奏することができる。
[本願発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。本発明は、特許請求の範囲によって特定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
また、同一の構成要素には同一の符号を付す。それらの機能および名称も同様であるため、それらの説明は適宜省略する。
(実施の形態1)
[設備監視システムの全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る設備監視システムの全体構成を示す図である。
設備監視システム1は、工場30に設置された設備31の画像を撮影することにより、設備31を監視するためのシステムである。例えば、設備監視システム1は、設備31で故障や火災等の異常が発生した場合に、異常発生時点の前後の時間における設備31の画像を撮影して、記憶装置に記憶するためのシステムである。ただし、監視対象は工場30内の設備31には限定されない。
設備監視システム1は、工場30の天井等に設置されたカメラ20Aおよび20Bと、カメラ20Aおよび20Bとネットワーク35を介して接続された設備監視装置10とを備える。なお、カメラ20Aおよび20B(これらを区別しない場合はカメラ20という)と設備監視装置10とは有線により接続されていてもよいし、無線により接続されていてもよい。つまり、ネットワーク35は、例えば、有線LAN(Local Area Network)または無線LAN等により構成することができる。
カメラ20は、パン機能、チルト機能およびズーム機能を備えるPTZ(Pan-Tilt-Zoom)カメラである。
ただし、カメラ20として、ズーム機能を備えないPT(Pan-Tilt)カメラを用いることもできる。
また、カメラ20として、工場の天井等に敷設されたレールを走行することができる移動式カメラや、ドローン等に搭載されたカメラを用いることもできる。
つまり、撮影方向を変化させることができるカメラであれば、それ以外のカメラであっても、カメラ20として用いることができる。
図1では、工場30内の設備31およびカメラ20の配置を模式的に示している。
カメラ20は、工場30内の設備31を監視するために、例えば、工場30の天井に設置され、設備31を上方から撮影することができる。ただし、カメラ20の設置位置は、工場30の天井に限定されるものではなく、工場30の壁面等のように設備31を監視可能な位置であれば他の位置に設置されていてもよい。
カメラ20は、ズームレンズの向きを第1方向(例えば、図1の左右方向)に動かすパン機能、ズームレンズの向きを第1方向に直交する第2方向(例えば、図1の上下方向)に動かすチルト機能、およびズームレンズにより撮影範囲像を拡大または縮小するズーム機能の3つの機能を備えている。なお、パン角は、例えば、真北を0°として、時計回りの方向を正の角度と定義し、反時計回りの方向を負の角度と定義することができる。また、チルト角は、水平方向を0°として、上向きを正の角度と定義し、下向きを負の角度と定義することができる。
カメラ20Aは、ズームレンズを、パン、チルトおよびズームさせることにより工場30内に存在する設備31を撮影する。同様に、カメラ20Bは、ズームレンズを、パン、チルトおよびズームさせることにより工場30内に存在する設備31を撮影する。
通常は、カメラ20Aを利用して工場30内の設備31を撮影するものとする。ただし、工場30内に異常発生の可能性の高い設備31または異常が発生した設備31が所定数よりも多く存在する場合には、カメラ20Bが工場30内に存在する設備31を撮影することもできる。これにより、カメラ20Aおよび20Bが協同して、工場30内に存在する設備31を撮影することができる。
工場30内の異常検知の対象とされる設備31には、センサ40が設けられており、設備31とセンサ40とは関連付けられている。ただし、1つのセンサ40が複数の設備31に対応付けられていてもよい。また、1つの設備31に複数のセンサ40が対応付けられていてもよい。
センサ40は、例えば、設備31に関連する物理量を計測することのできる温度センサ、振動センサまたは圧力センサや、設備31の稼働時間を計測するためのタイマーなどを含む。ただし、センサ40の種類はこれらに限定されるものではなく、設備31の異常を検知するために有効な物理量を計測可能なセンサであれば、それ以外のセンサであってもよい。
また、各センサ40は、少なくともいずれか1つの設備31に関連付けられる。例えば、設備31の振動を計測するための振動センサが、設備31ごとに設置されていてもよい。また、設備31の稼働時間を計測するためのタイマーは、複数の設備31につき1つ設置されていてもよい。
ただし、複数の設備31から構成される生産ラインを、1つの設備31と見なして監視対象とすることもできる。このような場合には、各センサ40が生産ラインに関連付けられていてもよい。
設備監視装置10は、各センサ40で計測された計測値に基づいて、各設備31における異常発生の可能性の度合いを示す異常発生度を算出し、異常発生度が高い設備31を撮像するように、カメラ20Aおよび20Bを制御する。
[設備監視装置の構成]
図2は、本発明の実施の形態1に係る設備監視装置10の構成を示すブロック図である。
設備監視装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を備える一般的なコンピュータにより構成され、カメラ20を制御するカメラ制御装置として機能する。
設備監視装置10は、通信I/F(Interface)部11と、記憶装置12と、画像取得部13と、計測値取得部14と、異常発生度算出部15と、プリセット情報選択部16と、カメラ制御部17とを備える。
このうち、処理部13〜17は、記憶装置12等に記憶されたコンピュータプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能的な処理部である。
通信I/F部11は、ネットワーク35を介して、設備監視装置10とカメラ20およびセンサ40とを接続するための通信インタフェースであり、例えば、有線LANモジュールや無線LANモジュールなどを含む。
記憶装置12は、カメラ20が撮影した画像、カメラ20の撮影箇所に係るプリセット情報などの各種情報を記憶するための記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やRAMなどから構成される。
画像取得部13は、通信I/F部11を介して、カメラ20から、カメラ20が撮影した画像を取得する。
計測値取得部14は、通信I/F部11を介して、センサ40から、センサ40が計測した計測値を取得する。なお、計測値取得部14は、センサ40を接続したPLC(Programmable Logic Controller)および通信I/F部11を介して、センサ40が計測した計測値を取得してもよい。また、計測値取得部14は、PLCから各設備31の生産条件等の各種条件を取得してもよい。
異常発生度算出部15は、計測値取得部14が取得した計測値等に基づいて、各設備31における異常発生の可能性の度合いを示す異常発生度を算出する。例えば、異常発生度算出部15は、将来の所定時間内に設備31が故障する確率を異常発生度として算出してもよい。また、異常発生度算出部15は、製品を製造する設備31については、製品の不良発生確率を異常発生度としてもよい。以下では、異常発生度として、異常発生確率(設備31が故障する確率または製品の不良発生確率)を用いて説明を行う。ただし、異常発生度は異常発生確率に限定されるものではなく、設備31における異常発生の可能性の度合いを示すその他の値を、異常発生度として用いることができる。例えば、異常発生確率を大きさに応じてレベル分けした異常発生レベルを、異常発生度として用いることもできる。
なお、異常発生度算出部15による異常発生確率の算出方法については、後述する。
プリセット情報選択部16は、各設備31を撮影するためのカメラ20のプリセット情報を示したプリセット情報テーブルの中から、異常発生度算出部15が算出した異常発生確率に基づいて、プリセット情報を選択する。
図3は、記憶装置12に記憶されているプリセット情報テーブルの一例を示す図である。
プリセット情報テーブル50は、複数のプリセット情報を含む。各プリセット情報は、プリセット情報を識別するための番号(No.)と、監視対象の設備31の設備番号と、パン角、チルト角およびズーム倍率とを含む。例えば、No.1のプリセット情報により監視対象とされる設備31の設備番号は「AN5541」であり、当該設備31を撮影するためのプリセット情報であるパン角、チルト角およびズーム倍率は、それぞれ、「−20°」、「+30°」および「1.5倍」である。なお、プリセット情報テーブル50は、カメラ20ごとに設けられていてもよい。
図2を参照して、プリセット情報選択部16は、異常発生確率が予め定められた閾値TH1以上の設備31に対応するプリセット情報を、プリセット情報テーブル50の中から選択する。例えば、設備番号「BG3314」の設備31の異常発生確率が閾値TH1以上の場合には、プリセット情報選択部16は、プリセット情報テーブル50の中から、No.2のプリセット情報であるパン角「+5°」、チルト角「+20°」およびズーム倍率「2.0倍」を選択する。
カメラ制御部17は、プリセット情報選択部16が選択したプリセット情報に基づいて、カメラ20の撮影方向を制御する。
また、カメラ制御部17は、カメラ20の撮影タイミングを制御する。例えば、後述するように、カメラ制御部17は、カメラ20に、異常発生確率が閾値TH1以上の設備31を交互に撮影させたり、当該設備31と工場30の全体とを交互に撮影させたりする。
これにより、カメラ20Aまたは20Bは、異常発生確率が閾値TH1以上の設備31を撮影し、画像取得部13は、当該設備31の画像を記憶装置12に録画することができる。
[設備監視装置の処理の流れ]
図4は、設備監視装置10が実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
計測値取得部14は、各センサ40から、センサ40で計測された計測値を取得する(S1)。計測値取得部14が取得する計測値には、例えば、設備31の温度、振動、圧力、設備31周辺の湿度、設備31の稼働時間などが含まれる。なお、計測値取得部14が取得する計測値に、カメラ20が撮影する画像が含まれていてもよい。また、計測値取得部14が取得する計測値に、PLCから取得可能な各設備31の生産条件等の各種条件が含まれていてもよい。
異常発生度算出部15は、計測値取得部14が取得した計測値に基づいて、設備31ごとに異常発生確率を算出する(S2)。
例えば、異常発生度算出部15は、1時間後の故障を予測するモデルに、計測値取得部14が取得した計測値を入力することにより、各設備31の1時間後の故障確率を算出する(例えば、非特許文献1参照)。異常発生度算出部15は、算出した故障確率を異常発生確率とすることができる。上記モデルは、設備31の故障時に取得されたセンサ40の計測値と、設備31の正常動作時に取得されたセンサ40の計測値とに基づいて事前に作成されているものとする。なお、上記のモデルとして、ニューラルネットワーク、SVM(Support Vector Machine)、ロジスティック回帰等を用いることができる。
また、異常発生度算出部15は、統計的分布に基づいて異常発生確率を算出することもできる。例えば、設備31の正常動作時に取得されたセンサ40の計測値を学習データとして、学習データの統計的分布の特徴を計算しておく。異常発生度算出部15は、学習データが正規分布に従うことを仮定して、学習データの中心点と計測値取得部14が取得した計測値とのマハラノビス距離に基づいて異常発生確率を算出する(例えば、非特許文献2参照)。
ただし、異常発生確率の算出方法は、これらの方法に限定されるものではない。
カメラ制御部17は、算出した異常発生確率が所定の閾値TH1以上の設備31(以下、「撮影対象設備」という)を、カメラ20の撮影対象となる設備31として抽出する(S3)。例えば、閾値TH1が20%の場合には、カメラ制御部17は、異常発生確率が20%以上の設備31を撮影対象設備として抽出する。
撮影対象設備が存在しなければ(S4でNO)、設備監視装置10は、処理を終了する。
撮影対象設備が存在する場合には(S4でYES)、カメラ制御部17は、撮影対象設備の撮影条件を決定する(S5)。
図5は、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)の詳細を示すフローチャートである。
図5を参照して、カメラ制御部17は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)よりも大きいか否かを判断する(S11)。
撮影対象設備の台数が所定数よりも大きい場合には(S11でYES)、カメラ制御部17は、当該撮影対象設備を撮影するカメラ20の台数を2台と決定する(S12)。
撮影対象設備の台数が所定数以下であれば(S11でNO)、カメラ制御部17は、当該撮影対象設備を撮影するカメラ20の台数を1台と決定する(S13)。
ステップS12またはS13の処理の後、カメラ制御部17は、撮影対象設備に撮影時間を均等に割り当てる(S14)。
図6は、撮影対象設備に割り当てられる撮影時間の一例を示す図である。図6は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)以下であり、1台のカメラ20Aにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
図6に示すように、カメラ20Aが撮影対象設備31Aおよび31Bを撮影する場合には、カメラ制御部17は、撮影対象設備31Aおよび31Bに、それぞれ、30秒間という撮影時間を割り当てる。つまり、カメラ20Aの撮影周期を60秒間とした場合に、60秒間を2分割した30秒間が、撮影対象設備31Aおよび31Bに撮影時間として割り当てられる。
図7は、撮影対象設備に割り当てられる撮影時間の一例を示す図である。図7は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)よりも大きく、2台のカメラ20Aおよび20Bにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
図7に示すように、カメラ20Aおよび20Bが撮影対象設備31A〜31Cを撮影する場合には、カメラ制御部17は、撮影対象設備31Aおよび31Bに、図6に示した例と同様に、撮影時間として30秒間を割り当てる。また、カメラ制御部17は、撮影対象設備31Cに、撮影対象設備31Aおよび31Bに割り当てたのと同じ30秒間を撮影時間として割り当てる。
また、カメラ制御部17は、カメラ20Aが撮影対象設備31Aおよび31Bを撮影し、カメラ20Bが撮影対象設備31Cを撮影することを決定する。これは、カメラ20Aに所定数の撮影対象設備を撮影させ、カメラ20Bに所定数を超える撮影対象設備を撮影させるためである。なお、カメラ20Aおよび20Bが撮影を担当する撮影対象設備は、ランダムに決定してもよい。また、カメラ20Aおよび20Bからの距離の近い順に、各カメラ20が撮影を担当する撮影対象設備を決定してもよい。これにより、できるだけ近い位置から撮影対象設備を撮影することが可能となる。
図5に示した撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)により、カメラ20Aおよび20Bによる撮影対象設備の分担と、各撮影対象設備の撮影時間とが決定される。
再度図4を参照して、プリセット情報選択部16は、記憶装置12に記憶されているプリセット情報テーブル(図3)の中から、撮影対象設備のプリセット情報を選択する(S6)。例えば、撮影対象設備31Aおよび31Bの設備番号が、それぞれ「AN5541」および「BG3314」であるとする。この場合、プリセット情報選択部16は、撮影対象設備31Aのプリセット情報として、No.1のプリセット情報(パン角「−20°」、チルト角「+30°」およびズーム倍率「1.5倍」)を選択する。また、プリセット情報選択部16は、撮影対象設備31Bのプリセット情報として、No.2のプリセット情報(パン角「+5°」、チルト角「+20°」およびズーム倍率「2.0倍」)を選択する。
カメラ制御部17は、ステップS6で選択されたプリセット情報と、ステップS5で決定された撮影条件に基づいて、撮影対象設備を撮影するようにカメラ20を制御する(S7)。例えば、図6に示すように、カメラ20Aに30秒ずつ撮影対象設備31Aおよび31Bを撮影させる場合には、カメラ制御部17は、撮影対象設備31Aのプリセット情報(例えば、上述したNo.1のプリセット情報)と、撮影対象設備31Bのプリセット情報(例えば、上述したNo.2のプリセット情報)とを、30秒間隔で交互にカメラ20Aに送信する。これにより、カメラ制御部17は、カメラ20Aの撮影タイミングを制御し、カメラ20Aは、撮影対象設備31Aおよび31Bを、30秒間隔で交互に撮影することができる。
また、図7に示すように、さらに、カメラ20Bに60秒間のうち30秒間、撮影対象設備31Cを撮影させる場合には、カメラ20Bに撮影対象設備31Cのプリセット情報と、工場30の全体を撮影するためのプリセット情報とを、30秒間隔で交互にカメラ20Bに送信する。これにより、カメラ制御部17は、カメラ20Bの撮影タイミングを制御し、カメラ20Bは、撮影対象設備31Cと工場30の全体とを、30秒間隔で交互に撮影することができる。
画像取得部13は、カメラ20Aおよび20Bから、カメラ20Aおよび20Bが撮影した画像を取得し、記憶装置12に録画する(S8)。
図4に示したカメラ20の制御処理は、繰り返し実行される。例えば、設備監視装置10は、当該制御処理を、所定間隔(例えば、60秒間隔)で繰り返し実行する。制御処理を繰り返し実行することにより、最新の異常発生確率に基づいた撮影条件で、カメラを制御することができる。
[実施の形態1の効果]
以上説明したように、実施の形態1によると、設備31の異常発生確率に基づいて、設備31を撮影するためのプリセット情報が選択され、設備31を撮影するための撮影条件が決定される。また、選択されたプリセット情報に基づいて、カメラ20が制御される。異常の発生前には、異常発生確率が高くなる。このため、異常発生確率が閾値TH1以上となった時点から設備31の撮影を開始することで、異常の発生前後の画像を撮影することができる。これにより、異常の原因究明を行うことができる。
また、異常発生確率が閾値TH1未満の設備31は撮影する必要がないため、1台のカメラで複数の設備31を監視することができる。これにより、低コストで複数の設備31を撮影することもできる。このように、異常の発生の可能性が低い設備31を監視対象から外すことにより、異常の発生の可能性が高い設備31の監視に、より多くの時間を割くことができる。
また、異常発生確率が閾値TH1以上の撮影対象設備の台数が所定数を超えた場合には、2台のカメラ20Aおよび20Bで分担して撮影対象設備を撮影することができる。撮影対象設備の数が多く、仮に、カメラ20Aのみですべての撮影対象設備を撮影した場合には、撮影対象設備1台あたりの撮影時間が短くなる。しかし、実施の形態1によると、各撮影対象設備を、一定の時間(例えば、60秒間当たり30秒)をかけて撮影することができるため、撮影対象設備1台あたりの撮影時間が短くなりすぎることを防止することができる。
(実施の形態1の変形例)
図3に示したプリセット情報テーブル50は固定式のカメラ20用であるが、移動式のカメラにも本実施の形態は適用可能である。
図8は、記憶装置12に記憶されているプリセット情報テーブルの一例を示す図である。
プリセット情報50テーブルAは、図2に示したプリセット情報テーブル50に加えて、カメラ位置の情報を含む。
例えば、設備番号「AN5541」のカメラ位置の情報は、「(300,600,300)」であり、設備番号「BG3314」のカメラ位置の情報は、「(500,1000,500)」である。
設備監視装置10は、プリセット情報テーブル50Aに基づいて、監視対象とする設備31の設備番号に対応するカメラ位置に、移動式のカメラを移動させ、画像を撮影して録画することができる。例えば、ドローン等に搭載されたカメラによって設備31を監視する際に、設備監視装置10は、プリセット情報テーブル50Aに従って、監視対象の設備31の近傍までドローンを移動させ、設備31を撮影させることができる。これにより、設備31の高精細画像を撮影することができる。なお、カメラ位置の情報は、2次元座標であってもよい。これにより、レールを走行するカメラを、プリセット情報テーブル50Aに従って移動させ、移動させた位置で設備31を撮影させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、撮影対象設備が複数存在する場合に、各撮影対象設備の撮影時間は同一である。実施の形態2では、撮影対象設備ごとに撮影時間が異なる例について説明する。
設備監視システム1および設備監視装置10の構成は実施の形態1と同様である。また、設備監視装置10が実行する処理の手順は、図4のフローチャートに示した通りである。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態2では、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)が実施の形態1と異なる。
図9は、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)の詳細を示すフローチャートである。
設備監視装置10は、ステップS11〜S13に示す処理を実行する。これらの処理は、図5に示したステップS11〜S13と同様である。
ステップS12またはS13の処理の後、カメラ制御部17は、撮影対象設備に異常発生確率に応じた撮影時間を割り当てる(S21)。
図10は、撮影対象設備に割り当てられる撮影時間の一例を示す図である。図10は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)以下であり、1台のカメラ20Aにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
ここで、撮影対象設備31Aおよび31Bの異常発生確率は、それぞれ、20%および80%であるとする。カメラ20Aの撮影周期を60秒間とした場合、カメラ制御部17は、撮影周期60秒間を異常発生確率の比率で分割することにより、撮影対象設備31Aおよび31Bに、それぞれ、撮影時間として12秒間(=60秒間×20%/100%)および48秒間(=60秒間×80%/100%)を割り当てる。
図11は、撮影対象設備に割り当てられる撮影時間の一例を示す図である。図11は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)よりも大きく、2台のカメラ20Aおよび20Bにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
ここで、撮影対象設備31A、31Bおよび31Cの異常発生確率は、それぞれ、20%、80%および40%であるとする。カメラ制御部17は、撮影対象設備31Aおよび31Bに、図10に示した例と同様に、撮影時間として、それぞれ、12秒間および48秒間を割り当てる。また、カメラ制御部17は、撮影対象設備31Cに、撮影時間として24秒間を割り当てる。撮影対象設備31Cの撮影時間は、撮影対象設備31Cの異常発生確率と、撮影対象設備31Aまたは31Bの撮影時間および異常発生確率とに基づいて計算される。つまり、撮影対象設備31Cの異常発生確率40%は、撮影対象設備31Aの異常発生確率20%の2倍であることより、撮影対象設備31Cの撮影時間として、撮影対象設備31Aの撮影時間12秒間の2倍の時間である24秒間が割り当てられる。
また、実施の形態1と同様に、カメラ制御部17は、カメラ20Aが撮影対象設備31Aおよび31Bを撮影し、カメラ20Bが撮影対象設備31Cを撮影することを決定する。
図9に示した撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)により、カメラ20Aおよび20Bによる撮影対象設備の分担と、各撮影対象設備の撮影時間とが決定される。
カメラ制御処理(図4のS7)において、カメラ制御部17は、これらの撮影条件を用いて、図10または図11に示したようなタイミングで撮影対象設備を撮影するように、カメラ20Aまたは20Bを制御する。
以上説明したように、実施の形態2によると、異常発生確率が高い設備31ほど、単位時間(撮影周期)当たりの撮影時間を長くすることができる。このため、異常の発生の可能性が高まった設備31を、長時間監視することができる。また、複数の設備31が監視対象とされる場合に、異常発生確率に応じて、撮影時間を変えることができる。
ただし、異常発生確率に基づいた撮影時間の決定方法は、実施の形態2に示したものには限定されない。たとえば、異常発生確率と撮影時間との対応関係を示したテーブル情報を参照することにより、カメラ制御部17が、異常発生確率から撮影時間を決定してもよい。
また、実施の形態2では、異常発生確率が閾値TH1以上の設備31を撮影対象設備としたが、異常発生確率の高低に関係なく、工場30に設置された全ての設備31、または事前に指定された設備31を、撮影対象設備とすることもできる。
また、設備31に実際に異常が発生した場合には、カメラ20は、異常が発生した設備31を常時撮影するようにしてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態1では、撮影対象設備が複数存在する場合の各撮影対象設備の撮影時間は同一である。また、撮影周期あたりの各撮影対象設備の撮影回数は同一である。実施の形態3では、撮影対象設備ごとに撮影周期あたりの撮影回数が異なる例について説明する。
設備監視システム1および設備監視装置10の構成は実施の形態1と同様である。また、設備監視装置10が実行する処理の手順は、図4のフローチャートに示した通りである。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態3では、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)が実施の形態1と異なる。
図12は、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)の詳細を示すフローチャートである。
設備監視装置10は、ステップS11〜S13に示す処理を実行する。これらの処理は、図5に示したステップS11〜S13と同様である。
ステップS12またはS13の処理の後、カメラ制御部17は、撮影対象設備に異常発生確率に応じた撮影回数を割り当てる(S31)。
図13は、撮影対象設備に割り当てられる撮影回数の一例を示す図である。図13は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)以下であり、1台のカメラ20Aにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
ここで、撮影対象設備31Aおよび31Bの異常発生確率は、それぞれ、20%および80%であるとする。また、発生確率が20%増えるごとに撮影回数が1回増えるとした場合、カメラ制御部17は、撮影対象設備31Aおよび31Bに、それぞれ、撮影回数として1回および4回を割り当てる。この撮影回数は1撮影周期中の撮影回数を示す。例えば、1回当たりの撮影回数を5秒間とした場合には、撮影周期60秒間中に、撮影対象設備31Aが5秒間(=5秒間×1回)撮影され、撮影対象設備31Bが20秒間(=5秒間×4回)撮影されることになる。
図14は、カメラ20Aによる撮影対象設備31Aおよび31Bの撮像時間の一例を示す図である。
1つのブロック(四角形)が5秒間の撮影時間を示すとした場合、カメラ20Aは、1撮影周期60秒間の間に、撮影対象設備31A、全体、撮影対象設備31B、全体、撮影対象設備31B、全体、撮影対象設備31B、全体、撮影対象設備31B、全体、全体、全体の順で撮影を行う。ここで、「全体」は、工場30の全体を撮影対象とする場合を示す。
図15は、撮影対象設備に割り当てられる撮影回数の一例を示す図である。図15は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)よりも大きく、2台のカメラ20Aおよび20Bにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
ここで、撮影対象設備31A、31Bおよび31Cの異常発生確率は、それぞれ、20%、80%および40%であるとする。図14の場合と同様に発生確率が20%増えるごとに撮影回数が1回増えるとした場合、カメラ制御部17は、撮影対象設備31A、31Bおよび31Cに、1撮影周期中の撮影回数として、それぞれ、1回、4回および2回を割り当てる。例えば、1回当たりの撮影回数を5秒間とした場合には、撮影周期60秒間中に、撮影対象設備31A、31Bおよび31Cが、それぞれ、5秒間(=5秒間×1回)、20秒間(=5秒間×4回)および10秒間(=5秒間×2回)撮影されることになる。
また、実施の形態1と同様に、カメラ制御部17は、カメラ20Aが撮影対象設備31Aおよび31Bを撮影し、カメラ20Bが撮影対象設備31Cを撮影することを決定する。
図16は、カメラ20Aおよび20Bによる撮影対象設備31A、31Bおよび31Cの撮像時間の一例を示す図である。
1つのブロック(四角形)が5秒間の撮影時間を示すものとする。カメラ20Aの撮影時間は、図14に示したものと同じである。カメラ20Bは、1撮影周期中に、撮影対象設備31Cを5秒間撮影した後に、工場30の全体を25秒間撮影する。その後、カメラ20Bは、撮影対象設備31Cおよび工場30の全体の撮影を同様に繰り返す。
図12に示した撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)により、カメラ20Aおよび20Bによる撮影対象設備の分担と、各撮影対象設備の1撮影周期あたりの撮影回数とが決定される。
カメラ制御処理(図4のS7)において、カメラ制御部17は、これらの撮影条件を用いて、図14または図16に示したようなタイミングで撮影対象設備を撮影するように、カメラ20Aまたは20Bを制御する。
以上説明したように、実施の形態3によると、異常発生確率が高い設備31ほど、単位時間(撮影周期)当たりの撮影回数を多くすることができる。このため、異常の発生の可能性が高まった設備31を、高頻度で監視することができる。また、複数の設備31が監視対象とされる場合に、異常発生確率に応じて、撮影回数を変えることができる。
ただし、異常発生確率に基づいた撮影回数の決定方法は、実施の形態3に示したものには限定されない。たとえば、異常発生確率と撮影回数との対応関係を示したテーブル情報を参照することにより、カメラ制御部17が、異常発生確率から撮影回数を決定してもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4では、撮影対象設備ごとにズーム倍率が異なる例について説明する。
設備監視システム1および設備監視装置10の構成は実施の形態1と同様である。また、設備監視装置10が実行する処理の手順は、図4のフローチャートに示した通りである。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態4では、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)が実施の形態1と異なる。
図17は、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)の詳細を示すフローチャートである。
設備監視装置10は、ステップS11〜S14に示す処理を実行する。これらの処理は、図5に示したステップS11〜S14と同様である。
ステップS14の処理の後、カメラ制御部17は、撮影対象設備に異常倍率に応じたズーム倍率を決定する(S41)。
図18は、撮影対象設備に割り当てられる撮影時間およびズーム倍率の一例を示す図である。図18は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)以下であり、1台のカメラ20Aにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
ここで、撮影対象設備31Aおよび31Bの異常発生確率は、それぞれ、20%および80%であるとする。撮影対象設備31Aおよび31Bの撮影時間は、図6に示した例と同様に決定される。
通常時のズーム倍率を1.0倍とし、異常発生確率が20%増えるごとにズーム倍率が0.3倍ずつ増えるとした場合、カメラ制御部17は、撮影対象設備31Aおよび31Bのズーム倍率として、それぞれ、1.3倍(=1.0倍+0.3倍×20%/20%)および2.2倍(=1.0倍+0.3倍×80%/20%)を割り当てる。
これにより、カメラ制御部17は、カメラ制御処理(図4のS7)において、カメラ20Aが撮影対象設備31Aを撮影する場合には、ズーム倍率が1.3倍になるようにズームレンズを制御する。つまり、カメラ制御部17は、図3に示すプリセット情報テーブル50から選択された撮影対象設備31Aのプリセット情報に加えて、ズーム倍率1.3倍を示す情報を、カメラ20Aに送信する。
また、カメラ制御部17は、カメラ20Aが撮影対象設備31Bを撮影する場合には、ズーム倍率が2.2倍になるようにズームレンズを制御する。つまり、カメラ制御部17は、図3に示すプリセット情報テーブル50から選択された撮影対象設備31Bのプリセット情報に加えて、ズーム倍率2.2倍を示す情報を、カメラ20Aに送信する。
図19は、撮影対象設備に割り当てられる撮影時間およびズーム倍率の一例を示す図である。図19は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)よりも大きく、2台のカメラ20Aおよび20Bにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
ここで、撮影対象設備31A、31Bおよび31Cの異常発生確率は、それぞれ、20%、80%および40%であるとする。撮影対象設備31A、31Bおよび31Cの撮影時間は、図7に示した例と同様に決定される。
図19の場合と同様に通常時のズーム倍率を1.0倍とし、異常発生確率が20%増えるごとにズーム倍率が0.3倍増えるとした場合、カメラ制御部17は、撮影対象設備31A、31Bおよび31Cのズーム倍率として、それぞれ、1.3倍(=1.0倍+0.3倍×20%/20%)、2.2倍(=1.0倍+0.3倍×80%/20%)および1.6倍(=1.0倍+0.3倍×40%/20%)を割り当てる。
また、実施の形態1と同様に、カメラ制御部17は、カメラ20Aが撮影対象設備31Aおよび31Bを撮影し、カメラ20Bが撮影対象設備31Cを撮影することを決定する。
これにより、カメラ制御部17は、図18を参照して説明したように、カメラ制御処理(図4のS7)において、カメラ20Aが撮影対象設備31Aを撮影する場合には、ズーム倍率が1.3倍になるようにズームレンズを制御し、カメラ20Aが撮影対象設備31Bを撮影する場合には、ズーム倍率が2.2倍になるようにズームレンズを制御する。
同様に、カメラ制御部17は、カメラ制御処理(図4のS7)において、カメラ20Bが撮影対象設備31Cを撮影する場合には、ズーム倍率が1.6倍になるようにズームレンズを制御する。つまり、カメラ制御部17は、図3に示すプリセット情報テーブル50から選択された撮影対象設備31Cのプリセット情報に加えて、ズーム倍率1.6倍を示す情報を、カメラ20Bに送信する。
図17に示した撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)により、カメラ20Aおよび20Bによる撮影対象設備の分担と、各撮影対象設備の撮影時間およびズーム倍率とが決定される。
以上説明したように、実施の形態4によると、異常発生確率が高い設備31ほど、ズーム倍率を大きくして撮影することができる。つまり、異常発生確率が高い設備31ほど、高精細で撮影することができる。これにより、異常の発生の可能性が高まった設備31を、詳細に監視することができる。
なお、カメラが、移動式カメラや、ドローン等に搭載されたカメラの場合には、異常発生確率に応じてズーム倍率を変更する代わりに、異常発生確率に応じて撮影対象設備とカメラとの間の距離を制御するようにしてもよい。つまり、設備監視装置10は、異常発生確率が高い設備31ほど近距離で撮影できるように、カメラを移動させる。これにより、カメラは、異常の発生の可能性が高まった設備31の高精細画像を撮影することができ、これにより、ユーザは、設備31を詳細に監視することができる。
(実施の形態5)
実施の形態1では、撮影対象設備を撮影するカメラ20の台数は、1つの撮影対象設備につき1台である。実施の形態5では、1つの撮影対象設備を複数台のカメラ20で撮影する例について説明する。
設備監視システム1および設備監視装置10の構成は実施の形態1と同様である。また、設備監視装置10が実行する処理の手順は、図4のフローチャートに示した通りである。このため、その詳細な説明はここでは繰り返さない。
実施の形態5では、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)が実施の形態1と異なる。
図20は、撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)の詳細を示すフローチャートである。
設備監視装置10は、ステップS11〜S14に示す処理を実行する。これらの処理は、図5に示したステップS11〜S14と同様である。
ステップS14の後、カメラ制御部17は、異常発生確率が閾値TH2以上の設備31(以下、「集中撮影対象設備」という)が存在するか否かを判定する(S51)。閾値TH2は、閾値TH1よりも大きな値であることが望ましい。
カメラ制御部17は、集中撮影対象設備が存在する場合には(S51でYES)、集中撮影対象設備を撮影するためのカメラとして、カメラ20Aおよび20Bを割り当てる。
図21は、撮影対象設備に割り当てられる撮影時間およびカメラ20の一例を示す図である。図21は、撮影対象設備の台数が所定数(例えば、2)よりも大きく、2台のカメラ20Aおよび20Bにより撮影対象設備を撮影する場合を示している。
ここで、撮影対象設備31A、31Bおよび31Cの異常発生確率は、それぞれ、20%、80%および40%であるとする。図7に示した例と同様に、カメラ制御部17は、撮影対象設備31A、31Bおよび31Cの1撮影周期(60秒間)あたりの撮影時間を、30秒間と決定する。また、閾値TH2を75%とした場合に、カメラ制御部17は、撮影対象設備31Bの異常発生確率80%が75%以上であることより、撮影対象設備31Bが集中撮影対象設備であると判定し、撮影対象設備31Bを、2台のカメラ20Aおよび20Bで撮影することを決定する。
図22は、カメラ20Aおよび20Bによる、撮影対象設備31A〜31Cの撮影時間の一例を示す図である。
1つのブロック(四角形)が30秒間の撮影時間を示すとした場合、1撮影周期(60秒間)の最初の30秒間では、カメラ20Aが撮影対象設備31Aを撮影し、カメラ20Bが撮影対象設備31Cを撮影する。また、次の30秒間で、カメラ20Aおよび20Bが、撮影対象設備31Bを撮影する。これにより、同時刻に、多方向から撮影対象設備31Bを撮影することができる。
図23は、カメラ20Aおよび20Bによる、撮影対象設備31A〜31Cの撮影時間の他の一例を示す図である。
1つのブロック(四角形)が30秒間の撮影時間を示すとした場合、1撮影周期(60秒間)の最初の30秒間では、カメラ20Aが撮影対象設備31Aを撮影し、カメラ20Bが撮影対象設備31Bを撮影する。また、次の30秒間で、カメラ20Aが撮影対象設備31Bを撮影し、カメラ20Bが撮影対象設備31Cを撮影する。これにより、多方向から撮影対象設備31Bを撮影することができる。また、カメラ20Aおよび20Bの撮影時間の重なりを少なくすることにより、撮影対象設備31Bが撮影されていない時間を少なくすることができる。
図20に示した撮影対象設備の撮影条件決定処理(図4のS5)により、カメラ20Aおよび20Bによる撮影対象設備の分担と、各撮影対象設備の撮影時間とが決定される。
カメラ制御処理(図4のS7)において、カメラ制御部17は、これらの撮影条件を用いて、図22または図23に示したようなタイミングで撮影対象設備を撮影するように、カメラ20Aまたは20Bを制御する。
以上説明したように、実施の形態5によると、異常発生確率が閾値TH2以上の対象である集中撮影対象設備をカメラ20Aおよび20Bで撮影することができる。これにより、多方向から集中撮影対象設備を撮影することができ、異常が発生した場合に、詳細に異常発生原因を究明することができる。
[付記]
実施の形態2では、異常発生確率に応じて撮影対象設備の撮影時間を決定し、実施の形態3では、異常発生確率に応じて撮影対象設備の撮影回数を決定し、実施の形態4では、異常発生確率に応じて撮影対象設備の撮影時のズーム倍率を決定した。これに対し、異常発生確率に加え、事前に設定された設備の重要度を考慮して、撮影時間、撮影回数またはズーム倍率を決定してもよい。例えば、重要度の値が大きい設備ほど重要性が高いとした場合には、異常発生確率と重要度の積が大きいほど、撮影時間を長くしたり、撮影回数を多くしたり、ズーム倍率を大きくしたりする。これにより、撮影対象設備Aと撮影対象設備Bとで異常発生確率が同じであったとしても、撮影対象設備Aの重要性が撮影対象設備Bの重要性よりも高い場合には、撮影対象設備Aの撮影時間を長くしたり、撮影対象設備Aの撮影回数を多くしたり、撮影対象設備Aの撮影時のカメラのズーム倍率を大きくしたりすることができる。なお、撮影時間を長くすることと、撮影回数を多くすることと、ズーム倍率を大きくすることとは、同時に2つ以上を実施してもよい。
上述の設備監視装置10を構成する構成要素の一部または全部は、1以上のシステムLSI(Large Scale Integration)等の半導体集積回路から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
また、本発明は、コンピュータを、設備監視装置10として機能させるためのコンピュータプログラムであってもよい。
上記コンピュータプログラムは、HDD、CD−ROM、半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体に記録して流通させることもできるし、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して流通させることもできる。
また、設備監視装置10は、複数のコンピュータにより実現されてもよい。
また、設備監視装置10の一部または全部の機能がクラウドコンピューティングによって提供されてもよい。つまり、設備監視装置10の一部または全部の機能がクラウドサーバにより実現されていてもよい。例えば、設備監視装置10において、異常発生度算出部15の機能がクラウドサーバにより実現されていてもよい。設備監視装置10は、センサ40から取得した計測値をクラウドサーバに送信し、クラウドサーバから設備31の異常発生確率を取得する構成であってもよい。
さらに、上記実施の形態をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。例えば、実施の形態2と3とを組み合わせ、カメラ制御部17は、異常発生確率が高い撮影対象設備ほど、多くの撮影時間を割当て、かつ、多くの撮影回数を割り当てるように、カメラを制御してもよい。
以上の説明により、本発明は以下に示す付記1として実現することもできる。
[付記1]
複数の対象を撮影するカメラを制御するためのカメラ制御プログラムであって、
コンピュータを、
各々が1以上の対象に関連付けられた1以上のセンサから、当該センサで計測された計測値を取得する計測値取得部と、
上記計測値取得部が取得した上記計測値に基づいて、各対象における異常発生の可能性の度合いを示す異常発生度を算出する異常発生度算出部と、
上記異常発生度算出部が算出した上記異常発生度に基づいて、上記複数の対象の中から撮影対象を選択する撮影対象選択部と、
上記撮影対象選択部が選択した上記撮影対象を撮影するように、上記カメラを制御するカメラ制御部と
して機能させるためのカメラ制御プログラム。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。