JP6834112B2 - レシオ法を用いた細胞内酸素濃度測定試薬 - Google Patents

レシオ法を用いた細胞内酸素濃度測定試薬 Download PDF

Info

Publication number
JP6834112B2
JP6834112B2 JP2016205799A JP2016205799A JP6834112B2 JP 6834112 B2 JP6834112 B2 JP 6834112B2 JP 2016205799 A JP2016205799 A JP 2016205799A JP 2016205799 A JP2016205799 A JP 2016205799A JP 6834112 B2 JP6834112 B2 JP 6834112B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
linker
oxygen concentration
btqphen
group
7deac
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016205799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018065768A (ja
Inventor
利忠 吉原
利忠 吉原
真美 安ヵ川
真美 安ヵ川
成史 飛田
成史 飛田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gunma University NUC
Original Assignee
Gunma University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Gunma University NUC filed Critical Gunma University NUC
Priority to JP2016205799A priority Critical patent/JP6834112B2/ja
Publication of JP2018065768A publication Critical patent/JP2018065768A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6834112B2 publication Critical patent/JP6834112B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)

Description

本発明は、レシオ法を用いた細胞内酸素濃度測定試薬に関する。
細胞や組織内の酸素濃度を計測する技術の開発は、細胞生物学の基礎研究のみならず、がん、脳卒中、心筋梗塞など低酸素状態が関与する病態の診断や治療において重要である。
細胞のようなミクロな構造体の特定の部位の酸素濃度を非侵襲的かつ高感度に計測する方法として、発光プローブ法は非常に有効である。一般に発光プローブを用いた酸素濃度計測法は、プローブ分子の発光が酸素分子との衝突によって消光を受けること、すなわち、発光プローブの発光強度が酸素濃度に依存して変化することを利用する。発光強度の変化から酸素濃度を求める方法は、プローブ分子の濃度と励起光強度分布が均一な場合には正確な値を与えるが、細胞内酸素濃度計測のように、プローブ分子の濃度分布が均一でない場合には、濃度の影響を受けてしまい、解析が困難になる。そこで、濃度の影響を受けない方法として、発光寿命の変化を利用する方法が考えられている、しかし、一般に発光寿命の測定にはパルスレーザーのような高価な光源と高度な光計測技術が必要なため、装置が大掛かりになってしまうという欠点を有する。
本発明者らは、酸素濃度に大きく依存して発光強度や発光寿命が変化するりん光団の特性と、酸素濃度の影響をほとんど受けない蛍光団の特性の両方を利用し、一つの分子内にりん光団と蛍光団をリンカーで結合させた化合物を作製し、発光スペクトルを測定したりん光強度と蛍光強度の比から、細胞内の酸素濃度を定量的に計測できる発光分子プローブを開発してきた。本発明者らは、これまでに、酸素濃度測定試薬(C343-Pro4-BTP)を開
発し、溶液中および脂質膜中における酸素濃度定量を行った(特許文献1参照。)。C343-Pro4-BTPを用いて培養細胞内の酸素濃度計測を試みたところ、C343-Pro4-BTPは、脂溶性が高すぎるため細胞への移行性が低く、定性的な評価に止まることが分かった。そこで、本発明者らはC343-Pro4-BTPの細胞内移行性を向上させるため、カチオン性イリジウム錯
体を用いた新規化合物C343-Pro4-BTQphen、C343-Pro8-BTQphenを開発した(特許文献2参照)。
Figure 0006834112
特許第5500594号公報 特開2015−101570号公報
C343-Pro8-BTQphenは、C343-Pro4-BTPに比べて細胞内移行性が向上し、市販の蛍光プレートリーダーを用いて細胞内からの発光を測定することができた。しかしながら、顕微鏡下の観察において凝集体が見られるなど、定量的に酸素濃度計測を行うためには、さらなる細胞内移行性の向上が必要である。
上記に鑑み、本発明は、細胞内移行性を向上させたプローブ分子を提供することを主たる課題とする。また、細胞などのミクロ環境の酸素濃度を発光スペクトル変化から高感度リアルタイムで定量するための発光試薬を提供することをさらなる課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、少なくとも1つのリンカーと、少なくとも1つの蛍光団と、少なくとも1つの酸素濃度応答性りん光団とを含むことを特徴とする化合物において、該蛍光団と該酸素濃度応答性りん光団とが該リンカーを介して連結され、該リンカーとしてアルギニンを含むことで、細胞内移行性を向上させ、定量的に細胞内酸素濃度を測定できることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 少なくとも1つのリンカーと、少なくとも1つの蛍光団と、少なくとも1つの酸素濃度応答性りん光団とを含み、該蛍光団と該酸素濃度応答性りん光団とが該リンカーを介して連結され、該リンカーがアルギニンを含むことを特徴とする、化合物。
[2] リンカーと、該リンカーの第1の端に結合した酸素濃度応答性りん光団と、該リンカーの第2の端に結合した蛍光団とを含む化合物であって、該リンカーがアルギニンを含む、[1]記載の化合物。
[3] 第1のリンカーと、第2のリンカーと、該第1のリンカーの第1の端に結合した第1の蛍光団と、該第1のリンカーの第2の端に結合し、かつ、該第2のリンカーの第1の端に結合した酸素濃度応答性りん光団と、該第2のリンカーの第2の端に結合した第2の蛍光団とを含む化合物であって、該第1のリンカー及び該第2のリンカーがアルギニンを含む、[1]記載の化合物。
[4] 第1のリンカーと、第2のリンカーと、該第1のリンカーの第1の端に結合した第1の酸素濃度応答性りん光団と、該第1のリンカーの第2の端に結合し、かつ、該第2のリンカーの第1の端に結合した蛍光団と、該第2のリンカーの第2の端に結合した第2の酸素濃度応答性りん光団とを含む化合物であって、該第1のリンカー及び該第2のリンカーがアルギニンを含む、[1]記載の化合物。
[5] 第1のリンカーと、第2のリンカーと、第3のリンカーと、該第1のリンカーの第1の端に結合した第1の蛍光団と、該第1のリンカーの第2の端に結合し、該第2のリンカーの第1の端に結合し、該第3のリンカーの第1の端に結合した酸素濃度応答性りん光団と、該第2のリンカーの第2の端に結合した第2の蛍光団と、該第3のリンカーの第2の端に結合した第3の蛍光団とを含む化合物であって、該第1のリンカー、該第2のリンカー及び該第3のリンカーがアルギニンを含む、[1]記載の化合物。
[6] 第1のリンカーと、第2のリンカーと、第3のリンカーと、該第1のリンカーの第1の端に結合した第1の酸素濃度応答性りん光団と、該第1のリンカーの第2の端に結合し、該第2のリンカーの第1の端に結合し、該第3のリンカー第1の端に結合した蛍光団と、該第2のリンカーの第2の端に結合した第2の酸素濃度応答性りん光団と、該第3のリンカーの第2の端に結合した第3の酸素濃度応答性りん光団とを含む化合物であって、該第1のリンカー、該第2のリンカー及び該第3のリンカーがアルギニンを含む、[1]記載の化合物。
[7] 酸素濃度応答性りん光団がイリジウム錯体又は白金錯体を含む基である、[1]〜[
6]の何れかに記載の化合物。
[8] イリジウム錯体が下記(1)〜(7)の何れかの構造を有する、[7]に記載の化合物。
Figure 0006834112
Figure 0006834112
[9] 蛍光団が下記いずれかの基を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の化合物。
Figure 0006834112
Figure 0006834112
Figure 0006834112
[10] リンカーが下記で示されるオリゴアルギニンを含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の化合物。
Figure 0006834112
nは4〜20の整数である。
[11] 式(A)で表される化合物である、[2]に記載の化合物。
Figure 0006834112
(A)
式(A)中、nは4〜20の整数である。
[12] リンカーがさらにプロリンを含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物。
[13] リンカーがプロリンとオリゴアルギニンから構成される、[12]に記載の化合物。
[14] リンカーが下記で示されるプロリンとオリゴアルギニンから構成される、[13]に記載の化合物。
Figure 0006834112
nは4〜20の整数である。
[15] 式(B)で表される化合物である、[14]に記載の化合物。
Figure 0006834112
(B)
式(B)中、nは4〜20の整数である。
[16] [1]〜[15]のいずれかに記載の化合物を含む酸素濃度測定試薬。
本発明により、細胞内移行性を向上させたプローブ分子を提供できる。また、細胞などのミクロ環境の酸素濃度を発光スペクトル変化から高感度リアルタイムで定量するための発光試薬を提供することができる。
本発明の試薬により、蛍光とりん光のレシオを計測することで細胞内の酸素濃度を簡便に測定できる。本発明の試薬を細胞培地に添加し、蛍光顕微鏡で発光画像を取得することで酸素濃度イメージング画像が得られる。また、マイクロプレートリーダーを用いることで、リアルタイムで酸素濃度を測定することができる。
図1は本発明の一態様に係る酸素濃度測定試薬の概念図である。 図2は本発明の一態様に係る酸素濃度測定試薬の概念図である。 図3は本発明の一態様に係る酸素濃度測定試薬の概念図である。 図4は酸素応答性発光プローブにおける、蛍光団とりん光団の励起状態緩和過程における好ましいエネルギー関係を示す図である。 図5は(A)7DEAC-Arg8-BTQphen、(B)7DEAC-Arg8-OH、(C)BTQphenのアセトニトリル中における吸収、発光スペクトルをそれぞれ示す図である。 図6はアセトニトリル中の7DEAC-Arg8-BTQphenについて、溶存酸素分圧を変えて測定した発光スペクトルを示す図である。 図7はアセトニトリル中の7DEAC-Arg8-BTQphenについて、470nmでモニターした蛍光強度(If)と653nmでモニターしたりん光強度(I)のレシオ(りん光強度/蛍光強度)(RI=Ip/If)の比(RI 0/RI)を酸素分圧(pO2)に対してプロットした結果を示す図である。 図8は、HeLa細胞において、C343-Pro8-BTQphen、7DEAC-Arg8-BTQphen溶液を添加し、2時間培養した後に、蛍光顕微鏡で観察した顕微画像(励起波長:400−410nm、観測波長:>455nm)を示す(図面代用写真)。 図9は、蛍光プレートリーダーを用いて、C343-Pro8-BTQphen、7DEAC-Arg8-BTQphen溶液をHeLa細胞に添加し、21%および2.5%酸素分圧下で2時間培養した後に測定した発光強度を示す図である。 図10は、HeLa細胞において、C343-Pro8-BTQphen、C343-Arg8-BTQphen溶液を添加し、6時間培養した後に、蛍光顕微鏡で観察した顕微画像(励起波長:400−410nm、観測波長:>455nm)を示す(図面代用写真)。 図11は、MCF-7細胞に7DEAC-Arg8-BTQphenを添加し、溶存酸素分圧を変えて測定した発光スペクトルを示す図である。 図12は、MCF-7細胞において、7DEAC-Arg8-BTQphenを添加し2時間培養した後に、FCCP又はアンチマイシンAをそれぞれ添加して470nmでモニターした蛍光強度と660nmでモニターしたりん光強度のレシオ(660nm/470nm)の時間に対するプロットを示す図である。 図13は化合物(NBD-ProArg7-BTQphen)の空気飽和下(実線)又は窒素置換下(破線)のアセトニトリル中における吸収、発光スペクトルを示す図である。 図14はHeLa細胞において、NBD-ProArg7-BTQphen溶液を添加し、2時間培養した後に、蛍光顕微鏡で観察した顕微画像(励起波長:400-440nm、観測波長:>475nm)を示す(図面代用写真)。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。すなわち、本明細書に記載された各実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲内で、様々に変形することができ、かつ、実施可能な範囲内で、他の実施形態により説明された特徴と組み合わせることができる。
本発明の一態様は、少なくとも1つのリンカーと、少なくとも1つの蛍光団と、少なくとも1つのりん光団とを含み、該蛍光団と該りん光団とが該リンカーを介して連結され、該リンカーがアルギニンを含むことを特徴とする化合物である。
本発明の一態様は、リンカーと、該リンカーの第1の端に結合した酸素濃度応答性りん光団と、該リンカーの第2の端に結合した蛍光団とを含む化合物であって、該リンカーがアルギニンを含むことを特徴とする化合物である。すなわち、本発明の一態様である化合物は、図1に示されるように、酸素濃度応答性りん光団と蛍光団とが、それぞれリンカーの第1及び第2の端に結合して連結されたものである。
また、本発明の他の一態様は、第1のリンカーと、第2のリンカーと、該第1のリンカーの第1の端に結合した第1の蛍光団と、該第1のリンカーの第2の端に結合し、かつ、該第2のリンカーの第1の端に結合した酸素濃度応答性りん光団と、該第2のリンカーの第2の端に結合した第2の蛍光団とを含む化合物であって、該第1のリンカー及び該第2のリンカーがアルギニンを含むことを特徴とする化合物である。すなわち、図2に示されるように、蛍光団を末端に有し、第1のリンカーと第2のリンカーが酸素濃度応答性りん光団を介して連結されている化合物である。なお、第1のリンカーと第2のリンカーはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。第1の蛍光団と第2の蛍光団はそれぞれ同一であっても異なっていてもよいが、合成容易の観点から、同一であることが好ましい。
また、本発明の他の一態様は、第1のリンカーと、第2のリンカーと、該第1のリンカーの第1の端に結合した第1の酸素濃度応答性りん光団と、該第1のリンカーの第2の端に結合し、かつ、該第2のリンカーの第1の端に結合した蛍光団と、該第2のリンカーの第2の端に結合した第2の酸素濃度応答性りん光団とを含む化合物であって、該第1のリンカー及び該第2のリンカーがアルギニンを含む化合物である。すなわち、酸素濃度応答性りん光団を末端に有し、第1のリンカーと第2のリンカーが蛍光団を介して連結されている化合物である。なお、第1のリンカーと第2のリンカーはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。第1の酸素濃度応答性りん光団と第2の酸素濃度応答性りん光団はそれぞれ同一であっても異なっていてもよいが、合成容易の観点から、同一であることが好ましい。
また、本発明の他の一態様は、第1のリンカーと、第2のリンカーと、第3のリンカー
と、該第1のリンカーの第1の端に結合した第1の蛍光団と、該第1のリンカーの第2の端に結合し、該第2のリンカーの第1の端に結合し、該第3のリンカーの第1の端に結合した酸素濃度応答性りん光団と、該第2のリンカーの第2の端に結合した第2の蛍光団と、該第3のリンカーの第2の端に結合した第3の蛍光団とを含む化合物であって、該第1のリンカー、該第2のリンカー及び該第3のリンカーがアルギニンを含む化合物である。すなわち、図3に示されるように、蛍光団を末端に有し、第1のリンカーと第2のリンカーと第3のリンカーが酸素濃度応答性りん光団を介して連結されている化合物である。なお、第1のリンカー、第2のリンカー及び第3のリンカーはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。第1の蛍光団、第2の蛍光団及び第3の蛍光団はそれぞれ同一であっても異なっていてもよいが、合成容易の観点から、同一であることが好ましい。
また、本発明の他の一態様は、第1のリンカーと、第2のリンカーと、第3のリンカーと、該第1のリンカーの第1の端に結合した第1の酸素濃度応答性りん光団と、該第1のリンカーの第2の端に結合し、該第2のリンカーの第1の端に結合し、該第3のリンカーの第1の端に結合した蛍光団と、該第2のリンカーの第2の端に結合した第2の酸素濃度応答性りん光団と、該第3のリンカーの第2の端に結合した第3の酸素濃度応答性りん光団とを含む化合物であって、該第1のリンカー、該第2のリンカー及び該第3のリンカーがアルギニンを含む化合物である。すなわち、酸素濃度応答性りん光団を末端に有し、第1のリンカーと第2のリンカーと第3のリンカーが蛍光団を介して連結されている化合物である。なお、第1のリンカー、第2のリンカー及び第3のリンカーはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。第1の酸素濃度応答性りん光団、第2の酸素濃度応答性りん光団及び第3の酸素濃度応答性りん光団はそれぞれ同一であっても異なっていてもよいが、合成容易の観点から、同一であることが好ましい。
本発明の一態様である化合物は、一つの分子内に短寿命(ナノ秒オーダー)の蛍光を発する蛍光団と長寿命(マイクロ秒オーダー)のりん光を発するりん光団を有する。蛍光は寿命が短いために溶存酸素の影響をほとんど受けない。一方、りん光は、寿命が長いため、励起寿命内に酸素分子と衝突し顕著な消光を受ける。従って、例えば、蛍光団に緑色の発光を与える分子を、りん光団に赤色の発光を与える分子を用いれば、酸素が存在しないときには、両発光団の発光が混ざり合うために黄色の発光を与え、酸素が存在すると、赤色りん光が消光するため緑色の発光を与えるインテリジェントな発光プローブとなる。さらにこのプローブを用いて発光スペクトルを測定すれば、蛍光強度とりん光強度の比を取るレシオ法によって簡便に酸素濃度を定量することができる。
蛍光団の三重項準位がりん光団の三重項準位よりも低いとりん光団から蛍光団にエネルギー移動が起こり、りん光強度の著しい低下をきたすことがあるので、酸素濃度に依存して発光色が変化する発光プローブを設計するには、図4に示すように、蛍光団の励起三重項(T)準位が、りん光団の励起三重項(T’)準位よりも高くなるように発光団を組み合わせることが好ましい。
酸素濃度応答性りん光団としては、酸素濃度に依存したりん光を発する基であり、具体的にはイリジウム錯体を含む基、白金錯体を含む基、である。
イリジウム錯体としては、カチオン性イリジウム錯体や中性イリジウム錯体が挙げられる。カチオン性イリジウム錯体は、Ir(III)を中心金属とし、芳香族系分子を配位子とする金属錯体であってカチオン性のものを意味し、中性イリジウム錯体はIr(III)を中心金属とし、芳香族系分子を配位子とする金属錯体であって中性のものを意味するが、例えば、下記の(1)〜(7)のイリジウム錯体が挙げられる。本発明では、リンカーとしてアルギニンを含むことで、カチオン性部位が増加し、培養液中での凝集が抑制され細胞内移行性が大幅に増加すると考えられる。ここで、アルギニンリンカーは、例え
ば、オクタアルギニンでは電荷は+8になり、カチオン性イリジウム錯体が付くと+9、中性では+8のままである。つまり、アルギニンの数が多いときは、カチオン性でも中性でもさほど電荷の数は変化しないため、カチオン性イリジウム錯体だけでなく、中性イリジウム錯体を用いることができる。
配位子は、例えば、置換基を有していてもよい、フェナントロリン、ビピリジン、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、ジアゾールなどを含む芳香族系分子が挙げられる。
なお、カチオン性イリジウム錯体は、陰イオンとの間で塩を形成していてもよい。陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、トリフルオロ酢酸イオン(CFCOO)などが挙げられる。
Figure 0006834112
Figure 0006834112
なお、これらりん光団の励起三重項(T’)準位はそれぞれ、(1)が181.5kJ/mol、(2)が175.1kJ/mo1、(3)が167.8kJ/mol、(4)が176.2kJ/mo1、(5)が201.4kJ/mo1、(6)が168.5kJ/mo1、(7)が184.0kJ/mo1である。
上記のイリジウム錯体の合成方法は、特開2015−101570号公報、J. Photochem. Photobiol. A: Chem, 299, 172, 2015.、Inorg. Chem. 49, 6077, 2010.の記載を参
照することができる。
白金錯体としては、カチオン性白金錯体や中性白金錯体が挙げられる。カチオン性白金錯体は、Pt(II)を中心金属とし、芳香族系分子を配位子とする金属錯体であってカチオン性のものを意味し、中性白金錯体はPt(II)を中心金属とし、芳香族系分子を配位子とする金属錯体であって中性のものを意味するが、例えば、下記の白金錯体が挙げられる。
配位子は、例えば、置換基を有していてもよい、フェナントロリン、ビピリジン、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、ジアゾールなどを含む芳香族系分子が挙げられる。
なお、カチオン性白金錯体は、陰イオンとの間で塩を形成していてもよい。陰イオンとしては、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、トリフルオロ酢酸イオン(CFCOO)などが挙げられる。
Figure 0006834112
Figure 0006834112
Figure 0006834112
Figure 0006834112
Figure 0006834112
Figure 0006834112
Figure 0006834112
蛍光団は上記りん光団に応じて適宜選択することができ、4−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)、ジメチルアミノスルホニルベンゾオキサジアゾール(DBD)、ジメチルアミノスルホニルベンゾチアジアゾール(DBThD)、ジメチルアミノスルホニルベンゾセレナジアゾール(DBSeD)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、またはクマリン系色素、ローダミン類、ボロンジピロメテン(BODIPY)、シアニン系色素などが例示される。蛍光団の発光波長の観点から、下記のNBD、FITC、C343、7−ジエチルアミノクマリン(7DEAC)、DBD、DBThD、DBSeD,ローダミンB(RhB)が好ましい。中でも、蛍光団の三重項エネルギーの観点から、7DEAC及びNBDが好ましい。また、細胞の自家蛍光や細胞へのダメージ抑制の観点から、長波長で励起可能であるNBDが好ましい。NBDは緑色蛍光を示す。これら蛍光団は市販のものを用いることができる。
Figure 0006834112
Figure 0006834112
Figure 0006834112
なお、これら蛍光団の励起三重項(T)準位はそれぞれNBDが181kJ/mol、FITCが197kJ/mol、C343が206、kJ/mol、7DEACが210kJ/mol、DBDが173kJ/mol、DBThDが179kJ/mol、DBSeDが144kJ/mol、RhBが173kJ/molである。
蛍光団とりん光団を連結するリンカーは両者を化学的に結合するものであり、本発明の一態様に係る化合物は、該リンカーがアルギニンを含むことを特徴とする。
蛍光団とりん光団との近接を避けるため、蛍光団とりん光団を連結するリンカーは、できるだけ剛直であることが望ましい。また、その長さは20Å以上であることが好ましい。長さの上限は特に制限はないが、30Å以下であることが好ましい。
リンカーを構成するアルギニンのアミノ酸残基数は細胞膜透過性の観点から好ましくは4〜20、より好ましくは6〜15、さらに好ましくは7〜12である。
また、本発明の一態様に係る化合物は、該リンカーがさらにプロリンを含むことが好ましい。リンカーを構成するプロリンのアミノ酸残基数は細胞膜透過性の観点から好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。プロリンとアルギニンの合計として、4〜20、より好ましくは6〜15、さらに好ましくは7〜12である。この場合、アルギニンとプロリンの配列はブロックとして存在してもよく、交互に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
リンカー部分の分子量としては、細胞膜透過性の観点から500以上5000以下が好ましい。
本発明の一態様に係る化合物は、リンカーが下記で示されるオリゴアルギニンであることが好ましい。
Figure 0006834112
ここで、nは4〜20の整数である。好ましくは、nは6〜15の整数であり、より好ましくは7〜12の整数である。
本発明の一態様である化合物は、リンカーとしてアルギニンを含むことにより、従来のプローブ分子より細胞内移行性の大幅な向上を達成するものである。後述する実施例に示されるとおり、C343−Pro−BTQphenと7DEAC-Arg8-BTQを添
加した細胞培養液の発光強度の比較から、7DEAC-Arg8-BTQの発光強度は、リ
ンカーがプロリンのみから構成されるC343−Pro−BTQphenよりも12倍程度増加した。つまり、測定感度が10倍以上向上することが示された。
本発明の一態様である化合物においては、本発明の効果を損なわない範囲で、リンカーとしてアルギニン以外の基を含んでいてもよい。
アルギニン以外の基は1種を含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。また、リンカー中、アルギニンとアルギニン以外の基はブロックであってもよく、交互に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。リンカーがオリゴアルギニンを含む場合、オリゴアルギニン以外の基は、オリゴアルギニンの末端に結合していてもよい。すなわち、オリゴアルギニン以外の基は、オリゴアルギニンと蛍光団及びりん光団のいずれかとの間に存在してもよいし、オリゴアルギニンと蛍光団との間に存在し、かつオリゴアルギニンとりん光団との間に存在していてもよい。また、オリゴアルギニン以外の基はオリゴアルギニンとオリゴアルギニンとの間に存在してもよいし、アルギニンとオリゴアルギニンとの間に存在してもよい。さらに、これらの組み合わせであってもよく、オリゴアルギニンとアルギニン以外の基が交互に存在していてもよいし、ランダムに存在していてもよい。
一般に、ステロイド、ポリペプチドは比較的容易に発光団と結合させることができるため、リンカーとして好適に使用しうる。アルギニン以外の基として、例えば、ポリプロリンが例示される。また、ペプチド残基としてアスパラギン酸、リシンのような水溶性アミ
ノ酸を含むペプチドを用いれば、化合物に水溶性を持たせることもできる。
リンカーに含まれるポリペプチド全体としては、好ましくはアミノ酸残基数4〜20、より好ましくはアミノ酸残基数6〜15、さらに好ましくはアミノ酸残基数7〜12である。
オリゴアルギニン以外のペプチドとしては合成容易性の観点からプロリンが好ましい。また、化合物に水溶性を持たせられるため、アスパラギン酸、リシンも好ましい。本発明の一態様である化合物においては、リンカーがプロリンとオリゴアルギニンから構成されることも好ましい。この場合、アミノ酸残基数が、プロリンとオリゴアルギニンの合計で4〜20であればよく、プロリンとオリゴアルギニンは交互に結合していてもよいし、ランダムに結合していてもよい。プロリンがオリゴプロリンであってもよい。
本発明の一態様である化合物においては、リンカーが下記で示されるプロリンとオリゴアルギニンから構成されることも好ましい。
Figure 0006834112
ここで、nは4〜20の整数である。好ましくは、nは6〜15の整数であり、より好ましくは7〜12の整数である。
本発明の一態様である化合物として、より具体的には、下記の化合物が挙げられる。ただし、本発明の一態様である化合物はリンカーとしてオリゴアルギニンを含み酸素濃度に依存した発色を示すものである限り、下記化合物に限定されるものではない。
Figure 0006834112
ここで、nは4〜20の整数である。
この化合物は上記のエネルギー関係T>T’を満たしている。
Figure 0006834112
ここで、nは4〜20の整数である。
この化合物は上記のエネルギー関係T>T’を満たしている。
Figure 0006834112
ここで、nは4〜20の整数である。
この化合物は上記のエネルギー関係T>T’を満たしている。
本発明の一態様である化合物は、例えば、りん光団化合物と、蛍光団化合物を両端に反応性の基を有するリンカー化合物と反応させることによって得ることができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法に従って合成することができる。
また、上記化合物において7DEAC及びNBDに代えて他の蛍光団を用いることもできるし、イリジウム錯体を含む基に代えて白金錯体を含む基を用いることもできる。
本発明の一態様である化合物は、酸素濃度に応じてその発光色が変化するため、その発色に基づいて酸素濃度を測定するための酸素濃度測定試薬として用いることができる。例えば、化合物NBD−PR−BTQphenの場合、赤色のときは酸素濃度が低く、緑色のときは酸素濃度が高いというような判定ができる。また、化合物7DEAC−Arg−BTQphenの場合、赤色のときは酸素濃度が低く、青色のときは酸素濃度が高いというような判定ができる。
また、あらかじめ酸素濃度と、りん光強度と蛍光強度の比(I/I)との関係を求めておくことにより、酸素濃度を定量的に測定することも可能である。
Figure 0006834112
本発明の一態様である酸素濃度測定試薬は、本発明の一態様である化合物を含む。
本発明の一態様である酸素濃度測定試薬を用いて試料中の酸素濃度を検出する場合、本発明の酸素濃度測定試薬を試料に添加してインキュベートした後、化合物を励起してりん光を観察できるような蛍光顕微鏡、蛍光測定装置、蛍光イメージング装置、マイクロプレートリーダーなどを用いてりん光および蛍光を観察することができる。それにより、細胞内酸素濃度を定量またはイメージングできる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<合成例1:7DEAC−Arg−BTQphenの合成>
(7DEAC−[Arg(pbf)]−OHの合成)
7DEAC−[Arg(pbf)]−OHは全自動マイクロウェーブペプチド合成装置(Initiator+Alstra、Biotage(登録商標))を用いてFmoc固相合成法にて合成した。樹脂はFmoc−Arg−OHが導入されているクロロトリチルレジン(1.1g、アミノ酸導入モル数:0.38mmol/g)を用いた。縮合反応は、アミノ酸として0.5MのFmoc−Arg−OHのジメチルホルムアミド(DMF)溶液、縮合剤として0.6MのN,N,N’,N’−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)のDMF溶液、添加剤として0.5Mの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)のDMF溶液、塩基として2.0MのN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を用い、それぞれアミノ酸導入モル数に対して3等量、3等量、3等量、6等量加え、室温にて1時間反応させた。Fmoc保護基の脱保護は、2%ジアザビシクロウンデセン(DBU)のDMF溶液を用いて、アミノ酸導入モル数に対して3.5等量加え、室温にて5分反応させた。脱保護を完全に行うため、再度、同条件で10分反応させた。ペプチドを7DEACで標識するために、ペプチドの樹脂が入ったバイアルに、7DEAC(110mg、0.42mmol)、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウム ヘキサフルオロホスファート(HATU)(190mg、0.50mmol)、DIEA(0.34mL、2.0mmol)のDMF溶液6mLを加えて、室温にて24時間反応させた。樹脂をDMFで洗浄し、未反応の7DEACおよび縮合剤を除去した。ペプチドを樹脂から切り出すために、ペプチドの樹脂が入ったバイアルに、1%トリフルオロ酢酸(TFA)のジクロロメタン溶液10mLを加え、室温にて90分反応させた。切り出したペプチドの溶液を減圧乾固させ、少量のアセトニトリルに再度溶解させた。その溶液を50mL遠沈管に移し、水を加えて固体を析出させた。得られた固体を遠心し(3500rpm、5分間)、水を除去し、再度水を加えて遠心した。この操作を2回繰り返した。バイアル内の水を凍結乾燥より除去し、黄色固体を得た(590mg、粗生成物収率:40%)。
Figure 0006834112
(7DEAC−[Arg(pbf)]−BTQphenの合成)
50mLナス型フラスコに7DEAC−[Arg(pbf)]−OH(353mg、0.10mmol)、(btq)Ir(phen−pipe)・PF・CFCOO(136mg、0.11mmol)、HOBt(30mg、0.22mmol)HATU(190mg、0.5mmol)を加え、脱水DMF2mLに溶解させた。この溶液にDIEAを0.34mL加え、窒素置換下、室温にて24時間撹拌した。溶液を50mL遠沈管に移し、水を加えて固体を析出させた。得られた固体を遠心し(3500rpm、5分間)、水を除去し、再度水を加えて遠心した。この操作を2回繰り返した。バイアル内の水を凍結乾燥より除去し、赤色固体を得た(455mg、粗生成物収率:98%)。
(7DEAC−Arg−BTQphenの合成)
50mL遠沈管に7DEAC−[Arg(pbf)]−BTQphen(224mg、0.044mmol)を量りとり、TFA:水:TIPS(95:2.5:2.5)を1mL加え、室温にて2時間反応させた。溶液に冷ジエチルエーテルを加えて固体を析出させた。得られた固体を遠心し(3500rpm、5分間)、ジエチルエーテルを除去し、再度ジエチルエーテルを加えて遠心した。この操作を2回繰り返した。バイアル内のジエチルエーテルを除去し、デシケータ内で乾燥させ赤色固体を得た(93mg、粗生成物収率:58%)。赤色固体を逆相HPLCで精製して7DEAC−Arg−BTQphenを得た。同定はESI−MSスペクトルを用いて行い、2価イオンピーク(m/2Z)を検出した。calcd.:1234.6 [M−PF +2H]2+,found:1234.5
Figure 0006834112
<合成例2:7DEAC−Arg12−BTQphenの合成>
(7DEAC−[Arg(pbf)]12−OHの合成)
7DEAC−[Arg(pbf)]12−OHは全自動マイクロウェーブペプチド合成装置(Initiator+Alstra、Biotage)を用いてFmoc固相合成法にて合成した。樹脂はFmoc−Arg−OHが導入されているクロロトリチルレジン(1.03g、アミノ酸導入モル数:0.31mmol/g)を用いた。縮合反応は、アミノ酸として0.6MのFmoc−Arg−OHのDMF溶液、縮合剤として0.5MのHBTUのDMF溶液、添加剤として0.5MのHOBtのDMF溶液、塩基として2.0MのDIEAのNMP溶液を用い、それぞれアミノ酸導入モル数に対して3等量、3等量、3等量、6等量加え、室温にて1時間反応させた。Fmoc保護基の脱保護は、2%DBUのDMF溶液を用いて、アミノ酸導入モル数に対して3.5等量加え、室温にて5分反応させた。脱保護を完全に行うため、再度、同条件で10分反応させた。ペプチドを7DEACで標識するために、ペプチドの樹脂が入ったバイアルに、7DEAC(104mg、0.40mmol)、HATU(233mg、0.61mmol)、DIEA(0.34mL、2.0mmol)のDMF溶液6mLを加えて、室温にて24時間反応させた。樹脂をDMFで洗浄し、未反応の7DEACおよび縮合剤を除去した。ペプチドを樹脂から切り出すために、ペプチドの樹脂が入ったバイアルに、1%TFAのジクロロメタン溶液10mLを加え、室温にて90分反応させた。切り出したペプチドの溶液を減圧乾固させ、少量のアセトニトリルに再度溶解させた。その溶液を50mL遠沈管に移し、水を加えて固体を析出させた。得られた固体を遠心し(3500rpm、5分間)、水を除去し、再度水を加えて遠心した。この操作を2回繰り返した。バイアル内の水を凍結乾燥より除去し、黄色固体を得た(1.00g、粗生成物収率:63%)。
(7DEAC−[Arg(pbf)]12−BTQphenの合成)
50mLナス型フラスコに7DEAC−[Arg(pbf)]12−OH(276mg、0.05mmol)、(btq)Ir(phen−pipe)・PF・CFCOO(56mg、0.05mmol)、HATU(190mg、0.5mmol)を加え、脱水DMF1mLに溶解させた。この溶液にDIEAを0.17mL加え、窒素置換下、室温にて24時間撹拌した。溶液を50mL遠沈管に移し、水を加えて固体を析出させた。得られた固体を遠心し(3500rpm、5分間)、水を除去し、再度水を加えて遠心した。この操作を2回繰り返した。バイアル内の水を凍結乾燥より除去し、赤色固体を得た(332mg、粗生成物収率:106%)。
(7DEAC−Arg12−BTQphenの合成)
50mL遠沈管に7DEAC−[Arg(pbf)]12−BTQphen(303mg、0.048mmol)を量りとり、TFA:水:TIPS(95:2.5:2.5)を1mL加え、室温にて2時間反応させた。溶液に冷ジエチルエーテルを加えて固体を析出させた。得られた固体を遠心し(3500rpm、5分間)、ジエチルエーテルを除去し、再度ジエチルエーテルを加えて遠心した。この操作を2回繰り返した。バイアル内のジエチルエーテルを除去し、デシケータ内で乾燥させ赤色固体を得た(121mg、粗生成物収率:81%)。赤色固体を逆相HPLCで精製して7DEAC−Arg12−BTQphenを得た。同定はES5I−MSスペクトルを用いて行い、3価イオンピーク(m/3Z)を検出した。calcd.:1032.2[M−PF +3H]3+,found:1032.1
<合成例3:NBD−ProArg−BTQphenの合成>
(H−Pro[Arg(pbf)]−OHの合成)
H−Pro[Arg(pbf)]−OHは全自動マイクロウェーブペプチド合成装置(Initiator+Alstra、Biotage(登録商標))を用いてFmoc固相合成法にて合成した。樹脂はFmoc−Arg−OHが導入されているクロロトリチルレジン(1.67g、アミノ酸導入モル数:0.30mmol/g)を用いた。縮合反応は、アミノ酸として0.5MのFmoc−Arg−OHおよびFmoc−Pro−OHのDMF溶液、縮合剤として0.6MのHBTUのDMF溶液、添加剤として0.5MのHOBtのDMF溶液、塩基として2.0MのDIEAのNMP溶液を用い、それぞれアミノ酸導入モル数に対して3等量、3等量、3等量、6等量加え、室温にて1時間反応させた。Fmoc保護基の脱保護は、2%DBUのDMF溶液を用いて、アミノ酸導入モル数に対して3.5等量加え、室温にて5分反応させた。脱保護を完全に行うため、再度、同条件で10分反応させた。樹脂をDMFで洗浄し、ペプチドを樹脂から切り出すために、ペプチドの樹脂が入ったバイアルに、1%TFAのジクロロメタン溶液10mLを加え、室温にて90分反応させた。切り出したペプチドの溶液を減圧乾固させ、少量のアセトニトリルに再度溶解させた。その溶液を50mL遠沈管に移し、水を加えて固体を析出させた。バイアル内の水を凍結乾燥より除去し、白色固体を得た(1.18g、粗生成物収率:79.5%)。
Figure 0006834112
(NBD−Pro[Arg(pbf)]−OHの合成)
100mLナス型フラスコにH−Pro[Arg(pbf)]−OH(956mg、0.32mmol)、NBD−Cl(196mg、0.98mmol)を加え、アセトニトリル50mLに溶解させた。この溶液にDIEAを0.34mL加え、窒素置換下、室温にて24時間撹拌した。生成物をジオールカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=99:1)で精製し褐色固体を得た。精製が不十分であったため、さらに褐色固体をフラッシュ自動精製装置(Isoleraspectra、Biotage)を用いて精製し、NBD−Pro[Arg(pbf)]−OHを得た(240mg、0.076mmol)。
(NBD−Pro[Arg(pbf)]−BTQphenの合成)
50mLナス型フラスコにNBD−Pro[Arg(pbf)]−OH(160mg、0.05mmol)、(btq)Ir(phen−pipe)・PF・CFCOO(62mg、0.05mmol)、HATU(46mg、0.12mmol)を加え、脱水DMF1mLに溶解させた。この溶液にDIEAを0.17mL加え、窒素置換下、室温にて24時間撹拌した。溶液を50mL遠沈管に移し、水を加えて固体を析出させた。得られた固体を遠心し(3500rpm、5分間)、水を除去し、再度水を加えて遠心した。この操作を2回繰り返した。バイアル内の水を凍結乾燥より除去し、赤色固体を得た(185mg、粗生成物収率:85%)。
Figure 0006834112
(NBD−ProArg−BTQphenの合成)
50mL遠沈管にNBD−Pro[Arg(pbf)]−BTQphen(135mg、0.032mmol)を量りとり、TFA:水:TIPS(95:2.5:2.5)を1mL加え、室温にて2時間反応させた。溶液に冷ジエチルエーテルを加えて固体を析出させた。得られた固体を遠心し(3500rpm、5分間)、ジエチルエーテルを除去し、再度ジエチルエーテルを加えて遠心した。この操作を2回繰り返した。バイアル内のジエチルエーテルを除去し、デシケータ内で乾燥させ赤色固体を得た(126mg、粗生
成物収率:120%)。赤色固体を逆相HPLCで精製してNBD−ProArg−BTQphenを得た。同定はES5I−MSスペクトルを用いて行い、2価イオンピーク(m/2Z)を検出した。calcd.:1166.0 [M−PF +H]2+,found:1165.8
Figure 0006834112
<化合物の評価>
合成例1により得られた化合物(7DEAC-Arg8-BTQphen)のアセトニトリル中における吸収、発光スペクトルを図5の(A)にそれぞれ示す。7DEAC-Arg8-BTQphenは、蛍光団として青色蛍光を示す7-ジエチルアミノクマリン(7DEAC)、りん光団として赤色りん光を示
すカチオン性イリジウム錯体(BTQphen)、リンカーとしてオクタアルギニンから構成さ
れている。405nmを励起波長として発光スペクトルを測定したところ、7DEACに由来する蛍光およびBTQphenに由来するりん光が観測された。蛍光のピークは約470nmであり、りん光のピークは約653nmであった。(B)は蛍光団の参照化合物である7DEAC-Arg8-OHの吸収、発光スペクトルであり、(C)はりん光団の参照化合物であるBTQphenの吸収、発光
スペクトルである。
図6に7DEAC-Arg8-BTQphenの発光スペクトルの酸素分圧依存性を示す。発光スペクトルはアセトニトリル中、405nmを励起波長として溶存酸素分圧を変えて測定した。7DEACに由来する蛍光強度(If)は、酸素分圧変化に対して一定であるのに対して、BTQphenに由来
するりん光強度(Ip)は、酸素分圧の増加にともない減少した。
図7に酸素分圧(pO2)に対する、レシオ(RI=Ip/If)の比(RI 0/RI)のプロットを示
す。このプロットを、式(1)を用いて解析した。 ここで、RI 0(=Ip/If)は、酸素分
圧0mmHgのときのRI、KSVはStern-Volmer定数である。解析した結果、KSV値は0.12mmHgと
求められた。
Figure 0006834112
図8にC343-Pro8-BTQphen、7DEAC-Arg8-BTQphen溶液をHeLa細胞の培養液に最終濃
度2μMになるように添加し、2時間培養後洗浄し、蛍光顕微鏡で観察した顕微画像(励起波長:400−410nm、観測波長:>455nm)を示す。図8からわかるように、7DEAC-Arg8-BTQphenにおいてのみ明瞭な発光画像が得られた。
C343-Pro8-BTQphenは、蛍光団として青色蛍光を示すクマリン系蛍光団(C343)、りん
光団として赤色りん光を示すカチオン性イリジウム錯体(BTQphen)から構成されている
点において7DEAC-Arg8-BTQphenと共通するが、リンカーがオリゴプロリンから構成されている点において相違する。特許文献1に開示されているC343-Pro4-BTPphenは高い脂溶性
のため、培養液中で一部のプローブ分子が凝集し細胞内移行性が十分得られなかったことが問題であり、特許文献2に開示されているC343-Pro8-BTQphenはC343-Pro4-BTPに比べて細胞内移行性が向上し、市販の蛍光プレートリーダーを用いて細胞内からの発光を測定することができたが、顕微鏡下の観察において凝集体が見られるなど、定量的に酸素濃度計測を行うためには、さらなる細胞内移行性の向上が求められるものである。本発明では、リンカーとしてオリゴアルギニンを用いたことで、カチオン性部位が増加し、培養液中での凝集が抑制され細胞内移行性が大幅に増加したと考えられる。
また、細胞内移行性を定量化するために、蛍光プレートリーダーを用いて発光強度の比較を行った。
図9は、C343−Pro−BTQphen、7DEAC−Arg−BTQphen溶液をHeLa細胞の培養液に最終濃度5μMになるように添加し、2時間培養後洗浄し、蛍光プレートリーダーを用いて測定を行った結果である。測定においては、21%、2.5%酸素濃度で実施した。それぞれの酸素濃度において、7DEAC-Arg8-BTQphenの発光強度は、C343-Pro8-BTQphenと比較して、12倍程度増加している。この結果は、測定感度が10倍以上向上したことを示している。
また、図10に、C343-Pro8-BTQphen、C343-Arg8-BTQphen溶液をHeLa細胞の培養液に最終濃度5μMになるように添加し、6時間培養後洗浄し、蛍光顕微鏡で観察した顕微画像(励起波長:400−410nm、観測波長:>455nm)を示す。以上の結果は、蛍光団を7DEACからC343に変えても同様の傾向を示していることから、オリゴアルギニ
ンをリンカーに用いることで細胞内移行性が大幅に増加することがわかる。合成の観点から考えると、蛍光団として7DEACを用いた方が容易である。
MCF-7細胞に7DEAC-Arg8-BTQphenを添加し、蛍光プレートリーダーを用いて細胞内に分
布している7DEAC-Arg8-BTQphenの発光スペクトルを測定したところ、図11に示すように、7DEACに由来する蛍光とBTQphenに由来するりん光が観測された。また、培養酸素分圧(溶存酸素分圧)を21、10、2.5%と変えたところ、蛍光強度は一定であるのに対して、りん光強度は酸素分圧の減少に伴い増加した。よって、7DEAC-Arg8-BTQphenは、細胞内酸素濃度を定量するための校正曲線の作成が可能であることがわかった。
<添加剤効果実験>
また、細胞内酸素レベルを確認するために、添加剤効果実験を行った。添加剤としては、呼吸促進剤であるFCCPあるいは、呼吸阻害剤であるアンチマイシンAを用いた。96ウェルプレートにMCF-7細胞を播種し(5.0×104個/ウェル)48時間培養した。その後、7DEAC-Arg8-BTQphen溶液を最終濃度2μMになるように添加し2時間培養し、細胞に取り込まれなかった7DEAC-Arg8-BTQphenを洗浄により除去した。測定直前に、FCCP溶液あるいはアンチマイシンA溶液をそれぞれ最終濃度1μM、10μMになるように添加し、測定を開始した。励起波長は405nm、7DEACの蛍光は470nm、BTQphenのりん光は660nmを観測波長とした。図12に、時間に対するりん光強度のレシオ(660nm/470nm)のプロットを示す。FCCP添加においては、レシオは時間経過につれて増加し、約40分後から一定値となった。FCCPは呼吸促進剤であり、添加により細胞内酸素消費速度が増加したため、細胞内が低酸素状態になったことを示している。これに対して、アンチマイシンA添加では、レシオの増加は観測されなかった。これはアンチマイシンAが呼吸阻害剤であるため、細胞内酸素消費速度が減少するためである。以上の結果より、7DEAC-Arg8-BTQphenと蛍光プレートリーダーを用いることで細胞内酸素レベルのリアルタイム追跡が可能であることが明らかとなった。
図13に、合成例3により得られたNBD-ProArg7-BTQphenのアセトニトリル中における
吸収、発光スペクトルを示す。実線は空気飽和下、破線は窒素置換下のスペクトルである。NBD-ProArg7-BTQphenは、480nm付近に吸収極大を示すため、7DEAC-Arg8-BTQphenと比較して、70nm長波長の光を用いることができる。また、480nmの光は、汎用性の高い色素として細胞生物学分野で使用されているフルオレセインや緑色蛍光たんぱく質であるGFPの励起波長とほぼ同じである。また、NBD-ProArg7-BTQphenの蛍光強度は、酸素濃度に対して一定であるのに対して、りん光強度は酸素濃度が増加すると減少することから、レシオプローブ分子としての特徴を有する。
図14にNBD-ProArg7-BTQphen溶液をHeLa細胞の培養液に最終濃度2μMになるよ
うに添加し、2時間培養後洗浄し、蛍光顕微鏡で観察した顕微画像(励起波長:400−440nm、観測波長:>475nm)を示す。細胞内から明瞭な発光が観察されているため、NBD-ProArg7-BTQphenは細胞内に移行していることがわかる。また、蛍光プレートリーダーを用いて細胞内に分布しているNBD-ProArg7-BTQphenの発光スペクトルを測定したところ、NBDに由来する蛍光とBTQphenに由来するりん光観測された。さらに、溶存酸素分圧を21、10、2.5%と変えたところ、蛍光強度は一定であるのに対して、りん光強度は酸素分圧の減少に伴い増加した。よって、7DEAC-ProArg7-BTQphenは、細胞内酸素濃度を定量するための校正曲線の作成が可能であることがわかった。
本発明の一態様である酸素濃度測定試薬は分析化学、生命科学、バイオイメージング分野、医療診断、細胞生物学、環境計測などの分野に用いることができる。具体的には、酸素濃度定量試薬、低酸素細胞画像化試薬、低酸素腫瘍診断試薬などとして用いることができる。

Claims (4)

  1. 式(A)で表される化合物
    Figure 0006834112
    (A)
    式(A)中、nは4〜20の整数である。
  2. 式(B)で表される化合物
    Figure 0006834112
    (B)
    式(B)中、nは4〜20の整数である。
  3. 式(C)で表される化合物。
    Figure 0006834112
    (C)
    式(C)中、nは4〜20の整数である。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含む酸素濃度測定試薬。
JP2016205799A 2016-10-20 2016-10-20 レシオ法を用いた細胞内酸素濃度測定試薬 Active JP6834112B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016205799A JP6834112B2 (ja) 2016-10-20 2016-10-20 レシオ法を用いた細胞内酸素濃度測定試薬

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016205799A JP6834112B2 (ja) 2016-10-20 2016-10-20 レシオ法を用いた細胞内酸素濃度測定試薬

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018065768A JP2018065768A (ja) 2018-04-26
JP6834112B2 true JP6834112B2 (ja) 2021-02-24

Family

ID=62085766

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016205799A Active JP6834112B2 (ja) 2016-10-20 2016-10-20 レシオ法を用いた細胞内酸素濃度測定試薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6834112B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018065768A (ja) 2018-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kovacs et al. Coordination environment-controlled photoinduced electron transfer quenching in luminescent europium complexes
CN104974745B (zh) 两亲性的具有聚集诱导发光特性的发光物及其应用
Ferri et al. Luminescent conjugates between dinuclear rhenium (I) complexes and peptide nucleic acids (PNA) for cell imaging and DNA targeting
Solomatina et al. Water-soluble cyclometalated platinum (II) and iridium (III) complexes: Synthesis, tuning of the photophysical properties, and in vitro and in vivo phosphorescence lifetime imaging
Junker et al. Kinetically inert lanthanide complexes as reporter groups for binding of potassium by 18-crown-6
Vedamalai et al. Design and synthesis of BODIPY-clickate based Hg 2+ sensors: the effect of triazole binding mode with Hg 2+ on signal transduction
EP2348314B1 (en) Novel compound and functional luminescent probe comprising the same
JP6090934B2 (ja) 酸性環境検出蛍光プローブ
CN105924410B (zh) 一种聚集诱导发光的配体及配合物
EP3818131A1 (en) Ultrabright luminescent lanthanide nanoparticles comprising terbium, with longer excited-state lifetime
Proverbio et al. Luminescent conjugates between dinuclear rhenium complexes and 17α-ethynylestradiol: synthesis, photophysical characterization, and cell imaging
WO2009078000A2 (en) Imaging dyes and use thereof
US10927221B2 (en) Dendrimeric metallacrowns
Krawczyk et al. Synthesis, photophysical and biological properties of a new oxazolone fluorescent probe for bioimaging: an experimental and theoretical study
JP6834112B2 (ja) レシオ法を用いた細胞内酸素濃度測定試薬
Li et al. Zn2+-enhanced Ru (II) photoluminescence directed by double-clamp structural ligand for selective Zn2+ sensing and live-cell imaging
JP4392502B2 (ja) 蛍光性アミノ酸誘導体
EP3464299B1 (en) Lanthanide toolbox for organelle specific molecular imaging
JP6319874B2 (ja) 新規化合物およびそれを利用した酸素濃度測定試薬
Starck et al. Multifunctionalized luminescent lanthanide complexes from nonadentate phosphonylated bis-pyrazolyl-pyridine ligands
Hirayama et al. Selective labeling of tag-fused protein by tryptophan-sensitized luminescence of a terbium complex
JP2016196608A (ja) 蛍光色素
安カ川真美 Synthesis and Biological Applications of Phosphorescent Ir (III) Complex-based Probes with Arginine Peptide
JP7621655B2 (ja) 細胞および組織内酸素濃度測定試薬
Popov et al. Ytterbium Complexes with Chlorin E6 Derivatives for Targeted NIR-II Bioimaging

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191009

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6834112

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150