ところで、水栓を開けた場合、配管内を多量の水(例えば、3リットル/分以上の流量)が流れる。これに対して、漏水や水栓の閉め忘れが生じた場合、僅かずつながら配管内を水などが流れ続けることになる。ここから、配管に流量計などの流量計測手段を設けることで、流量計測手段により計測される流量から水漏れの発生や水栓の閉め忘れを検知することが考えられる。
しかしながら、水漏れや水栓の閉め忘れを検知するためには、例えば、1リットル/分未満の僅かな流量を検出できる高精度で高価な流量計を用いる必要がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、流量を高精度で検知できる流量計を用いることなく、水漏れや水栓の締め忘れなどの漏水を検知できる漏水検知システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための第1の態様は、一端が給湯器に接続されて建物内に配索されると共に、他端に前記給湯器から出湯される温水を使用する給湯機器が接続された給湯配管の前記給湯機器側の湯温を検出する第1湯温検出手段と、前記給湯機器において温水の使用が停止され、かつ温水の使用の停止状態が所定時間継続したときに、前記第1湯温検出手段により検出される湯温と基準温度との温度差が所定温度以上である場合に、前記給湯配管を介した給湯経路に漏水が生じていると判定する判定手段と、前記判定手段により判定された漏水の発生を報知する報知手段と、を備えている。
第1の態様では、給湯器と給湯機器とを接続する給湯配管の給湯機器側に第1湯温検出手段を設けて、給湯機器側における給湯配管の温水の温度を対象湯温として検出する。判定手段は、対象湯温と基準温度とを比較し、温度差が通常状態の温度差よりも大きい所定温度以上であった場合に、対象としている給湯配管を介した給湯経路に漏水が生じていると判定する。また、報知手段は、漏水が生じていると判定された場合に、漏水が生じていることを報知する。基準温度は、給湯器において予め設定される温水の温度(設定温度)を適用しても良く、また、複数の給湯配管が設けられている場合、他の給湯配管において検出される温水の温度(湯温)を適用しても良い。また、所定温度は、基準温度と漏水が生じていない通常状態において第1湯温検出手段により検出される湯温に基づいて定められていれば良い。
ここで、給湯器は、予め設定されている温度(設定温度、例えば40°C)の温水を出湯する。この際、給湯器は、設定温度より高い温水と水とを混合することで、設定温度の温水を出湯し、出湯された温水が給湯配管を介して水栓などの給湯機器に供給される。また、水栓を閉めるなどして給湯機器における温水の使用が停止されると、給湯器からの出湯が停止される。
給湯機器が温水の使用と停止し、給湯器が出湯を停止した状態が継続していると、給湯配管内に残っている温水から僅かずつながら放熱されて、第1湯温検出手段により検出される給湯配管内の温水の温度(湯温)が徐々に低下する。このため、給湯配管を介した給湯経路において、漏水等が生じていない通常状態においても、第1湯温検出手段により検出される対象湯温は、時間経過に伴って僅かずつ低下する。
しかし、給湯機器と給湯配管との接続部分に水漏れが生じている場合や、給湯機器として給湯配管に接続されている水栓が締め切られておらず水栓の蛇口から滴等となって僅かずつ温水が流れ出ている場合(閉め忘れが生じている場合)などの漏水が生じている状態では、給湯配管内から僅かずつ温水が流れ出る。給湯器では、流量が少ないと温水ではなく水が流れ出るので、この水が給湯配管内に流れ込む。これにより、給湯配管を介した給湯経路において漏水が生じていると、時間経過に伴って給湯配管内の温水が徐々に水に置き換わり、第1湯温検出手段により検出される対象湯温は、漏水が生じていない通常状態よりも大きく低下する。この際、経過時間に対する対象湯温の低下度合は、漏水により流れ出る温水の量が多いほど大きくなる。
これにより、判定手段は、対象湯温の温度変化が漏水の生じていない場合に比べて大きいか否かから漏水が生じているか否かを判定できる。従って、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、給湯配管を介した給湯経路に生じている漏水を検知して報知することができる。
第2の態様は、第1の態様において、各々の前記給湯機器側に前記第1湯温検出手段が設けられた複数の前記給湯配管の各々の前記給湯機器側に設けられて、前記給湯配管の前記給湯器側の湯温を検出する第2湯温検出手段を更に備え、前記判定手段は、複数の前記給湯配管のうちの一の給湯配管に対して、前記一の給湯配管と異なる前記給湯配管の前記第2湯温検出手段により検出される湯温を前記基準温度として、前記一の給湯配管を介した給湯経路の漏水を判定する。
第2の態様では、給湯器に複数の給湯配管が接続される共に、各々の給湯配管に給湯機器に接続されている。複数の給湯配管の各々には、給湯機器側に第1湯温検出手段が設けられていると共に、給湯器側に第2湯温検出手段が設けられている。給湯配管に漏水が生じていると、その給湯配管の給湯器側の湯温は低下するが、各々に漏水が生じていない給湯配管の間では、給湯器側の湯温の間で温度差が少なく略同じとみなすことができる。
ここから、判定手段は、漏水判定の対象とする給湯配管(一の給湯配管)の第1湯温検出手段により検出される湯温を対象湯温とし、漏水判定の対象とする給湯配管と異なる給湯配管(一の給湯配管と異なる給湯配管)の第2湯温検出手段により検出される湯温を基準温度として漏水判定を行う。これにより、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、給湯配管を介した給湯経路に生じている漏水を検知する際、漏水判定を行うための基準温度を予め記憶しておくことなく、漏水検知を行うことができる。
第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記給湯器から出湯される温水の流量から前記給湯機器が温水を使用しているか否かを検出可能な流量計を備え、前記判定手段は、前記流量計が検出する流量から前記給湯機器において温水の使用が停止されているか否かを判定する。
第3の態様では、給湯機器において温水の使用が停止されているか否かを、流量計を用いて判定する。この際、流量計としては、給湯機器が温水を使用しているか否かを判定できる程度の計測精度を備えれば良い。従って、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、給湯配管を介した給湯経路に生じている漏水を検知できる。
なお、第1湯温検出手段により検出される湯温は、環境温度により異なることがある。ここから、第1から第3の態様においては、給湯機器及び前記給水配管の環境温度を検出する環境温度検出手段を備え、判定手段は、環境温度に基づいて所定温度を補正することが好ましく、これにより、給湯経路に生じた漏水をより精度良く検知できる。
第4の態様は、一端に地中の給水源に接続されて地中を配索された給水配管の他端側に接続されて建物内を配索されると共に、他端に水を使用する給水機器に接続された機器側配管の前記給水機器側の水温を検出する第1水温検出手段と、前記給水機器及び前記機器側配管の環境温度を検出する環境温度検出手段と、前記環境温度が予め定められた温度範囲を外れて、前記給水機器において水の使用が停止され、かつ水の使用の停止状態が所定時間継続したときに、前記第1水温検出手段により検出される水温と基準温度との温度差が所定温度以内である場合に、前記機器側配管を介した給水経路に漏水が生じていると判定する判定手段と、前記判定手段により判定された漏水の発生を報知する報知手段と、を備えている。
第4の態様では、給水配管の一端側に給水源が接続され、他端側に機器側配管が接続されて、この機器側配管に給水機器が接続されており、給水源から給水配管及び機器側配管を介して水栓などの給水機器に水が供給される。この機器側配管の給水機器側には、機器側配管内の水温を検出する第1水温検出手段が設けられている。判定手段は、第1水温検出手段により検出される対象水温と基準温度とを比較して、機器側配管を介する給水経路に漏水が生じているか否かを判定する。この際、基準温度は、給水源の水の温度、又は、給水源の水の温度が外気温等に応じて変化した際の水温を適用できる。また、所定の温度範囲は、この基準温度に応じて設定したものであれば良い。
一般に、水道本管などの給水源は、地中に埋設されており、給水源の水温は、環境温度の変化の影響を受け難く、季節変化はあるが短い時間内(例えば、1時間程度)であれば、温度変化が生じないと見做すことができる。しかし、機器側配管は、建物の床下、壁面、壁の内部などに配索されており、給水機器への給水が停止している状態では、給水源の水温に対して環境温度が数°C(例えば2°C)以上離れていると、機器側配管内に残っている水の温度が環境温度の影響を受けて変化する。例えば、環境温度が給水源の水温より高い場合、機器側配管内の水温は高くなり、環境温度が給水源の水温より低い場合、機器側配管内の水温が低くなる。
ここで、機器側配管の給水機器側に漏水が生じていると、機器側配管内に残っている水が徐々に流れ出し、これに伴って、給水源からの水が機器側配管内に徐々に流れ込む。このために、給水機器への給水が停止されている状態では、機器側配管内に残っている水の水温の変化が抑えられる。
ここから、環境温度が予め定められた温度範囲を外れ、機器側配管の水温が変化する状態において、給水機器での水の使用が停止され、かつ水の使用の停止状態が所定時間継続したままであるときに第1水温検出手段により対象温度を検出する。判定手段は、第1水温検出手段により検出される水温が変化する環境において、対象水温と基準温度との温度差が所定温度以内であり、変化が少ないか或いは変化していないと判断される場合、機器側配管を介した給水経路に漏水が生じていると判定する。従って、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、給水経路に生じた漏水を検知することができる。
第5の態様は、第4の態様において、前記給水配管の前記給水源側の水温を検出する第2水温検出手段を備え、前記判定手段は、前記第2水温検出手段により検出される水温を前記基準温度として、前記機器側配管を介した給水経路の漏水を判定する。
第5の態様では、給水配管の給水源側に給水源から供給される水温を検出する第2水温検出手段を設けており、第2水温検出手段により検出される水温を基準温度として用いる。これにより、基準温度及び基準温度の変化等を記憶することなく、給水経路に生じた漏水を簡単に検知することができる。なお、給水配管には、複数の機器側配管が分岐されていても良い。この場合、複数の機器側配管の各々に第1水温検出手段を設け、第2水温検出手段により検出される基準温度と、機器側配管ごとの第1水温検出手段により検出される水温とを用いて、機器側配管ごとに漏水の検知を行えば良い。
第6の態様は、第4又は第5の態様において、前記給水源から供給される水の流量から前記給水機器において水が使用されているか否かを検出可能な流量計を備え、前記判定手段は、前記流量計が検出する流量から前記給水機器において水の使用が停止されているか否かを判定する。
第6の態様では、給水機器への給水が停止されているか否かの検出に流量計を用いる。この際、流量計としては、例えば、水栓が開かれているか否かなどの給水機器において水が使用されているか否かを判定できる程度の計測精度を備えれば良い。これにより、検出範囲の狭い流量計を用いることができるので、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、機器側配管を介した給水経路に生じている漏水を検知できる。
第7の態様は、第4の態様において、前記報知手段は、前記環境温度が予め定められた温度範囲内である場合に、前記給水経路の漏水判定ができなかったことを報知する。
第7の態様では、判定手段が給水経路に漏水が生じているか否かの判定を行わない場合に、報知手段は、漏水判定ができなかったことを報知する。判定手段は、環境温度が予め定められた温度範囲を外れている場合に、漏水検知の検知を行い、判定手段が漏水が検知されると、報知手段により報知されるので、漏水検知の検知が行われ、漏水が検知されたことが報知されないことで、漏水が発生していないと認識できる。
ここで、判定手段は、環境温度が予め定められた温度範囲以内である場合に、漏水が生じているか否かの判定を行わない。このため、漏水の発生が報知されないことで、漏水が生じていないと誤認されることがある。これに対して、漏水判定が行われない場合に、報知手段が漏水判定が行われなかったことを報知するので、漏水の発生が報知されないことで、漏水が発生していないと誤認されるのを防止できる。
以上説明したように第1の態様によれば、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、給湯器から給湯配管を介して給湯機器へ給湯する給湯経路に生じた漏水を検知して報知することができる、という効果を有する。
第2の態様によれば、基準温度を記憶することなく、給湯経路に生じた漏水を検知することができる、という効果を有する。第3の態様によれば、高精度で高価な流量計を用いることなく、給湯経路に生じた漏水を検知することができる、という効果を有する。
第4の態様によれば、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、給水配管から機器側配管を介して給水機器へ給水する給水経路に生じた漏水を検知して報知することができる、という効果を有する。
第5の態様によれば、基準温度を記憶することなく、給水経路に生じた漏水を検知することができる、という効果を有し、第6の態様によれば、高精度で高価な流量計を用いることなく、給水経路に生じた漏水を検知することができる、という効果を有する。
第7の態様によれば、漏水が検知されたことを報知されないために、漏水が生じていないと誤認されてしまうのを防止できる、という効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1には、本実施の形態に係る建物としての住宅10に設けられた給水設備12及び給湯設備14の概略構成が示されている。
図1に示されるように、住宅10は、一戸建てとされており、住宅10の敷地内に量水器ボックス16が設けられている。また、住宅10の敷地外には、0.6m以上の深さに給水源として本管(上水道本管)18が埋設されている。量水器ボックス16は、本管18側の住宅10の敷地周縁に埋設され、かつ内部が地上から点検可能にされている。また、量水器ボックス16の内部には、止水栓20及び量水器(水道メータ)22が収容されている。本管18には、引込管18Aの一端が接続されており、引込管18Aの他端が止水栓20を介して量水器22に接続されている。
給水設備12には、給水配管24が設けられており、給水配管24は、地中に埋設されて、一端が量水器22に接続されている。給水配管24の他端側は、住宅10近傍において地中から引き出されて、各々が住宅10内(例えば、住宅10の床下、壁面或いは壁の内部)を配索された複数の分岐配管26A〜26E(総称する場合、分岐配管26という)に分岐されている。分岐配管26は、機器側配管とされており、各々の給水配管24とは反対側の端部に給水機器が接続されている。なお、給水配管24及び分岐配管26の各々は、断熱材等が巻付けられて保護されている。
給水機器としては、水栓、水洗式トイレ、給湯器、食洗器などの水を使用する一般的機器が適用される。本実施の形態では、給水機器として給湯器28、流し台(シンク)30の水栓32(区別する場合、水栓32Aという)、浴槽34が設けられた浴室の水栓32(区別する場合、水栓32Bという)、洗面台36に設けられた水栓32(区別する場合、水栓32Cという)、及び水洗式トイレ38を適用している。給湯器28、水栓32A、32B、32C、及び水洗式トイレ38の各々は、分岐配管26A、26B、26C、26D、26Eが接続されている。これにより、給水設備12は、給水配管24及び分岐配管26A〜26Eにより給水経路が形成されて、本管18の水(水道水)が給湯器28、水栓32A、32B、32C、及び水洗式トイレ38へ給水される。
一方、給湯設備14には、給湯器28が含まれており、給湯器28が所定温度(例えば40°Cなどの予め設定された給湯温度)の温水を出湯する。給湯設備14には、温水を使用する給湯機器として流し台30の給湯用の水栓40(区別する場合、水栓40Aという)、浴室の給湯用の水栓40(区別する場合、水栓40Bという)、洗面台36の給湯用の水栓40(区別する場合、水栓40Cという)が設けられている。なお、本実施の形態では、水栓32(32A〜32C)と給湯用の水栓40(40A〜40C)とを分けているが、蛇口(カラン)を一つにした混合栓が用いられても良い。また、水栓32Bと水栓40Bとは、シャワーヘッドを備えた混合栓が用いられても良い。また、給湯機器は、温水を使用する機器(例えば、温水を使用する食洗器など)であれば任意の機器を適用できる。
給湯設備14には、複数の給湯配管42A〜42C(総称する場合、給湯配管42という)が設けられており、給湯配管42A〜42Cの各々の一端が給湯器28の出湯口に接続されている。また、給湯配管42A〜42Cには、給湯器28とは反対側に水栓40A〜40Cが接続されている。これにより、給湯設備14は、水栓40A〜40Cごとに個別の給湯経路が形成されている。
なお、給湯器28の出湯口(図示省略)の数が給湯配管42の数より少ない場合には、給湯器28の出湯口にヘッダを設けて給湯配管42を接続するヘッダ方式を適用しても良い。本実施の形態では、給湯口の近傍にヘッダ44が設けられて、ヘッダ44に3本の給湯配管42A〜42Cが接続されている。また、給湯配管42の各々は、断熱材又は保温材が巻かれて、給湯配管42内を流れる温水が保温されている。
給湯器28は、加熱手段としてガスを燃焼して水を加熱するバーナーを備えたガス給湯器が適用されている。ガス給湯器(給湯器28)は、貯湯タンクに熱水を貯留する貯湯式であっても良く、貯湯タンクを備えない瞬間式であっても良い。また、給湯器28は、ガス給湯器に限らず、加熱手段として電気ヒータを備える電気給湯器であっても良く、バーナーに供給される加熱用燃料として石油が用いられる石油給湯器であっても良く、太陽熱により水を加熱して温水又は熱水を生成する太陽熱給湯器であっても良い。さらに、給湯器28は、「エコジョーズ(登録商標)」及び「エコフィール(登録商標)」などに用いられる潜熱回収型給湯器であっても良く、空気熱でお湯を沸かす「エコキュート(登録商標)」であっても良い。また、給湯器28は、「エネファーム(登録商標)」などの家庭用燃料電池コジェネレーションシステム及び「エコウィル(登録商標)」などのガスエンジンで発電する家庭用コジェネレーションに設けられて、排熱を給湯に利用する給湯器であっても良い。
給湯設備14では、給湯用の水栓40が開けられると、分岐配管26から給湯器28に給水されると共に、給湯器28から出湯されて、水栓40の蛇口から温水が流れ落ちる。また、給湯設備14では、水栓40が閉じられることで、蛇口からの温水の流出が止まると共に、給湯器28からの温水の出湯が停止される。
給湯器28は、設定された給湯温度よりも高い温水(熱水)と水とを混合しながら設定された給湯温度の温水を出湯しているため、出湯する温水の量が少ないと温水の温度が不安定となってしまう。ここから、給湯器28は、出湯される温水の流量を検出する流量計が設けられていると共に、最低作動流量が設定された一般的構成とされている。給湯器28は、流量計により検出される温水の流量が最低作動流量に満たない場合に作動(出湯)を停止し、出湯される温水の温度が不安定となるのが防止されている。また、最低作動流量に満たない場合、給湯器28からは、分岐配管26Aから供給される水が流れ出る。なお、給湯器としては、流量計に代えて圧力を検出するものであっても良い。
ところで、住宅10には、漏水検知システム46が設けられている。図2には、漏水検知システム46の概略構成が系統図にて示されている。
図2に示されるように、漏水検知システム46は、給湯設備14に対する漏水を検知する漏水検知部46Aとしての機能、及び給水設備12に対する漏水を検知する漏水検知部46Bとしての機能を合わせ持っている。なお、以下では、漏水検知部46A、46Bを設けた漏水検知システム46を例に説明するが、漏水検知部46Aを持つ漏水検知システム(又は漏水検知装置)と、漏水検知部46Bを持つ漏水検知システム(又は漏水検知装置)とが別々であっても良い。また、住宅10には、漏水検知部46Aを持つ漏水検知システム、及び漏水検知部46Bを持つ漏水検知システムの何れか一方が設けられてもの良い。
漏水検知システム46には、判定手段としてのコントローラ48が設けられている。コントローラ48は、CPU、ROM、RAM、EPROMなどの不揮発性記憶媒体(不揮発性メモリ)、及び入出力ポートを備え、これらがバスによって接続されたマイクロコンピュータ(図示省略)を備えている。ROM及び不揮発性メモリには、オペレーションプログラム、漏水検知システム46を漏水検知部46Aとして機能させるプログラム、及び漏水検知システム46を漏水検知部46Bとして機能させるプログラムが記憶されている。また、不揮発性メモリには、各種のデータが記憶される。これにより、CPUがROM及び不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行することで、コントローラ48は、漏水検知部46A、46Bの判定手段として機能する。
また、コントローラ48には、報知手段としての報知部50が設けられている。報知部50は、漏水検知部46A及び漏水検知部46Bの少なくとも一方が漏水を検知した場合、検知結果を居住者に報知する。報知部50は、検知結果を図示しないディスプレイに表示して報知しても良く、アラームなどによって報知しても良い。
また、報知部50は、住宅10に設けられているHEMS(Home Energy Management System)52が接続されても良い。HEMS52は、住宅10内のエネルギーの管理及び制御を行う。このHEMS52には、居住者のスマートフォン及びタブレット端末などの携帯端末が接続可能となっている。報知部50は、HEMS52を介して予め設定されている居住者の携帯端末に検知結果を送信して報知する機能を備えても良い。
漏水検知部46Aには、第2湯温検出手段としての複数の温度センサ54A〜54C(総称する場合、温度センサ54という)、及び第1湯温検出手段としての複数の温度センサ56A〜56C(総称する場合、温度センサ56という)が設けられている。温度センサ54、56は、給湯配管42ごとに設けられている。
温度センサ56A〜56Cは、給湯配管42A〜42Cの各々の水栓40A〜40Cの近傍に設けられている。温度センサ56A〜56Cは、水栓40A〜40C近傍における給湯配管42A〜42C内の温水温度を第1湯温Ta1、Ta2、Ta3(総称する場合、第1湯温Taという)として検出する。また、温度センサ54A〜54Cは、給湯配管42A〜42Cの各々の給湯器28側であるヘッダ44の近傍に設けられている。温度センサ54A〜54Cは、給湯器28側(ヘッダ44の近傍)における給湯配管42A〜42C内の温水の温度を基準温度としての第2湯温Tb1〜Tb3(総称する場合、第2湯温Tbという)を検出する。
漏水検知部46Aには、給湯停止検出手段としての流量計58が設けられている。流量計58は、ヘッダ44の給湯器28側に設けられて、給湯器28から出湯される温水の流量を計測(検出)する。この流量計58としては、水栓40A〜40Cの何れかが開かれた給湯中であるか否かを判断できる検出精度及び検出範囲であれば良い。例えば、給湯器28に流量計が設けられている場合、給湯器28の流量計を流量計58として用いても良い。
温度センサ54A〜54C、56A〜56C及び流量計58は、コントローラ48に接続されている。コントローラ48は、温水の流量が減少されて流量計58により検出し得ない流量となっていると、水栓40A〜40Cへの給湯が停止されていると判断する。また、コントローラ48は、水栓40A〜40Cへの給湯が停止されていると判断すると、所定時間(例えば、20分以上の予め設定された時間)が経過したときの第1湯温Ta1〜Ta3及び第2湯温Tb1〜Tb3の各々を読み込む。また、コントローラ48は、給湯配管42ごとに、その給湯配管42における第2湯温Tbと他の給湯配管42における第1湯温Taとを温度差を求め、温度差ΔTaが所定温度として予め設定されているしきい値の温度ΔTahを超えているか否かから水漏れ及び水栓40の締め忘れが生じていると判断する(漏水検知)。
なお、給湯配管42内の温水の温度変化は、給湯配管42の設置環境に影響する。給湯配管42は、住宅10の屋外、壁面、壁の内部及び床下などに配索されているので、給湯配管42の設置環境の温度を外気温とみなせる。ここから、漏水検知システム46には、環境温度検出手段として外気温センサ60が設けられており、外気温センサ60がコントローラ48に接続されている。コントローラ48は、外気温センサ60により検出される外気温TAに基づいて、しきい値の温度ΔTahの補正等が可能となっている。
一方、漏水検知部46Bには、第2水温検出手段としての温度センサ62及び第1水温検出手段としての複数の温度センサ64A〜64E(総称する場合、温度センサ64という)が設けられている。温度センサ64A〜64Eは、分岐配管26A〜26Eの各々の給水機器側に設けられて、給水機器側の分岐配管26A〜26E内の水温を対象水温としての第1水温Tc1〜Tc5(総称する場合、第1水温Tcという)として検出する。また、温度センサ62は、給水配管24の量水器22側に設けられて、地中に埋設された量水器22近傍の給水配管24内の水温を基準温度としての第2水温Tdとして検出する。
また、漏水検知部46Bには、給水停止検出手段としての流量計66が設けられている。流量計66は、給水配管24の量水器22側の端部に設けられて、給水配管24を流れて給水機器の各々に供給される水の流量を検出する。この流量計66としては、水栓32A〜32Cの何れかが開かれているか、給湯器28又は水洗式トイレ38へ給水されていることを判定できる流量、即ち、複数の給水機器の何れかへの給水がなされているかを判定できる流量を検知し得る検出精度及び検出範囲のものが用いられる。
温度センサ62、64(64A〜64E)及び流量計66の各々は、コントローラ48に接続されている。また、給水配管24及び分岐配管26は、住宅10の屋外、壁面、壁の内部及び床下などに配索されており、外気温センサ60により検出される外気温TAを給水配管24及び分岐配管26の設置環境の温度として見做される。ここから、漏水検知部46Bは、外気温センサ60を環境温度検出手段として用いる。
コントローラ48は、外気温センサ60により検出される外気温TAが予め設定された温度範囲を外れている状態(外気温TAが予め設定された温度範囲を超えているか、又は温度範囲未満の状態)で、流量計66により給水機器への給水がなされていないと判断されると、所定時間(例えば、20分以上の予め設定された時間)が経過したときの第1水温Tc(Tc1〜Tc5)の各々、及び第2水温Tdを読み込む。また、コントローラ48は、第1水温Tc1〜Tc5の各々について第2水温Tdと比較し、温度差が予め設定されているしきい値の温度ΔTchに満たないか否かから分岐配管26A〜26Eの各々の水漏れの有無及び水栓32の締め忘れの有無を検知する(漏水検知)。
なお、温度センサ54(54A〜54C)、56(56A〜56C)、62、64(64A〜64E)及び外気温センサ60としては、熱電対センサが使用できる。また、温度センサ54(54A〜54C)、56(56A〜56C)、62、64(64A〜64E)及び外気温センサ60としては、サーミスタ又は測温抵抗体などが用いられた抵抗温度センサであっても良い。
次に本実施の形態の作用として、漏水検知システム46による漏水の検知を説明する。
図3には、コントローラ48が漏水検知システム46の漏水検知部46Aとして機能する際の漏水検知処理の概略が流れ図にて示されている。給湯設備14では、給湯用の水栓40A〜40Cの何れかが開かれると、給湯器28から出湯されて、開いた水栓40の蛇口から流れ出す。また、給湯設備14では、水栓40A〜40Cの各々が閉じられると蛇口の温水が止まると共に、給湯器28からの出湯が停止される。
図3のフローチャートは、予め定められた時間間隔で実行され、流量計58により検出される温水の流量から給湯機器での温水の使用が停止されたか否かを確認する。ここで、水栓40A〜40Cの全てが閉じられて、全ての給湯機器での温水の使用が停止されると、流量計58を流れる温水の流量が減少して流量計58の検出範囲を外れる。これにより、ステップ100で肯定判定されてステップ102へ移行して漏水検知を開始する。なお、本実施の形態では、流量計58が検出可能な流量を1リットル/分以上としており、温水の流量が1リットル/分未満となるとステップ100において肯定判定される。
漏水検知では、ステップ102において図示しないタイマをリセット/スタートさせて、温水の使用が停止されてからの時間経過(経過時間t)を計測する。この後、経過時間tが所定の時間ts(例えば、ts=20分)に達して(t≧ts)、漏水判定を行うタイミングとなると、ステップ102で肯定判定されてステップ104へ移行する。なお、漏水判定を行うタイミングに達する前(経過時間tが時間tsに達する前)に、水栓40A〜40Cの何れかが開かれて、流量計58により温水の使用が開始されたことが検出されると、今回の漏水検知を終了(中止)する。また、時間tsは、給湯配管42内の温水の温度変化を的確に検出し得るように設定された時間が適用されれば良い。
ステップ104では、温度センサ56A〜56Cの各々で検出されている第1湯温Ta1〜Ta3を読み込むと共に、温度センサ54A〜54Cの各々で検出されている第2湯温Tb1〜Tb3を読み込む。次のステップ106では、第1湯温Ta(Ta1〜Ta3)の各々を順に対象湯温とすると共に、第2湯温Tb(Tb1〜Tb3)の何れかを基準温度とし、給湯配管42A〜42Cを介した給湯経路ごとに漏水判定を行う。この際、給湯配管42Aが形成する給湯経路において漏水判定を行う場合、給湯配管42Aに設けられた温度センサ56Aにより検出された第1湯温Ta1を対象湯温とする。また、基準温度とする第2湯温Tbは、給湯配管42A以外の給湯配管である給湯配管42Bに設けられた温度センサ54Bにより検出される第2湯温Tb2、及び給湯配管42Cに設けられた温度センサ54Cにより検出され第2湯温Tbの少なくとも一方を適用する(双方を順に用いても良い)。
ここで、図4(A)には、時間に対する水栓40側の給湯配管42内の湯温の変化の概略が示されている。水栓40が閉じられて給湯器28からの給湯が停止された直後(経過時間t=0分)では、給湯配管42内の湯温が、給湯器28の設定温度Ts(例えば、Ts=40°C)となっている。給湯配管42は、保温材などが巻かれているが、給湯が停止された状態が経過すると、時間経過に伴って湯温が徐々に低下する。
給湯配管42を介した水栓40への給湯経路に水漏れや水栓40の締め忘れなどの漏水が生じていない状態において、温度センサ56により検出される湯温は、図4(A)に実線で示すように緩やかとなっている。また、給湯配管42を介した水栓40への給湯経路に漏水が生じていない状態において、温度センサ54により検出される給湯器28側の湯温Tb(図4(A)に点線参照)は、水栓40側の湯温に比べて変化が少ない。
これに対して、給湯経路に漏水が生じている場合、漏水によって給湯配管42又は水栓40から温水が流れ出ることで、給湯器28から給湯配管42内に水が流れ込む。このため、給湯経路に漏水が生じた給湯配管42では、内部に残っている温水が、給湯器28から流れ込む水に徐々に置き換わる。これにより、漏水が生じた給湯経路の温度センサ56により検出される湯温は、漏水が生じていないときに比して低下し、漏水の量が多い程、湯温の低下が大きくなる。
一般に、給湯配管42と水栓40との接続には、配管継手が用いられる。配管継手には、シールリングが設けられており、このシールリングが劣化することで配管継手から温水が滲み出る水漏れが生じる。この場合、温度センサ56により検出される湯温Taの変化は、水漏れが生じていない場合によりも僅かに大きくなる(図4(A)の破線参照)。
また、水栓40を閉じたときに完全に閉めきられていない締め忘れが生じていると、水栓40の蛇口から温水が滴などとなって流れ出る。水栓40の締め忘れの場合、給湯配管42から漏れ出る温水の量が、水漏れ時に滲み出る温水の量より多くなるので、温度センサ56により検出される湯温Taの変化は、図4(A)に水漏れ時の破線よりも短い破線で示すように、配管継手に漏水が生じていた場合によりも更に大きくなる。また、漏水が生じている配管系統の給湯配管42においては、水栓40側の第1湯温Taと共に給湯器28側の第2湯温Tbも低下する。
ここから、漏水検知部46Aでは、漏水が生じていない状態で所定の時間tsが経過したときの第2湯温Tbと第1湯温Taの温度差よりも僅かに大きい温度をしきい値の温度ΔTahとして設定されている。コントローラ48は、対象湯温の第1湯温Taと基準温度としての第2湯温Tbとの温度差ΔTaが、温度ΔTahを超えている場合(ΔTa>ΔTah)、対象としている給湯配管42の給湯経路に漏水が生じていると判定する。
また、コントローラ48は、給湯配管42A〜42Cの各々について漏水検知を行う。この後、図3に示されるフローチャートでは、給湯配管42A〜42Cの給湯経路の何れかに漏水が生じていると判定されると、ステップ110において肯定判定されてステップ112へ移行する。このステップ112では、水栓40A〜40Cへ温水を供給する給湯経路の何れかに漏水が生じていることを居住者に報知する。
これにより、漏水検知システム46(漏水検知部46A)では、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、給湯器28から給湯配管42を介して水栓40へ給湯する給湯経路に生じた漏水を的確に検知して報知することができる。
また、漏水検知部46Aに用いられる流量計58は、温水を使用するために水栓40が開かれているか否かを検出し得るものであれば良いので、漏水を検知するために設けられる流量計に比べて計測精度及び計測範囲の狭い流量計を用いることができる。このために、漏水検知システム46は、低コストの流量計58を用いて、的確に漏水を検知できる。
なお、給湯が停止された状態において給湯配管42内の温度の変化は、給湯配管42が配索されている環境温度(例えば外気温TA)に応じて変化し、また、外気温TAも季節に応じて変化する。給湯配管42における第1湯温Ta及び第2湯温Tbは、給湯器28の設定温度Tsが同じであっても、外気温TAに応じて変化し、外気温TAが高い場合、外気温TAが低い場合よりも温度変化が少ない。
ここから、漏水検知部46Aの判定手段として機能するコントローラ48は、外気温センサ60により検出される外気温TAに応じ、外気温TAが高い場合よりも外気温TAが低い場合の方がしきい値とする温度ΔTahが高くなる(数値が大きくなる)ように補正する。これにより、給湯経路に生じた漏水をより的確に検知することができる。
また、温度センサ56により検出される第1湯温Taは、時間ts及び外気温TAのみではなく、給湯配管42の長さ(給湯経路の経路長、即ち、給湯配管42内に残る温水の量)に影響する。ここから、給湯配管42ごとに、時間tsに対して温度センサ56により検出される第1湯温Ta、及び温度センサ54により検出される第2湯温Tbを予め測定して、検知タイミングの時間ts、及び外気温TAに対する温度変化のマップや、しきい値とする温度ΔTahのマップとして記憶しても良い。これにより、住宅10の設置環境や給湯設備14の設置状況に応じて、給湯設備14についての的確な漏水検知が可能となる。
なお、対象湯温(第1湯温Ta)と比較する基準温度として、漏水検知の対象としている給湯配管42と異なる給湯配管42における第2湯温Tbを適用したが、基準温度は、これに限るものではない。基準温度は、給湯器28の設定温度Tsを適用しても良く、また、漏水が生じていない状態における第1湯温Taよりも高い(第1湯温Ta以上)の温度であれば任意の温度を適用できる。この際、しきい値の温度ΔTahは、基準温度及び漏水が生じていない場合の第1湯温Taに基づいて、漏水が生じている場合の第1湯温Taが定まるように設定されていれば良い。
次に、図4(B)及び図5を参照しながら、漏水検知システム46の漏水検知部46Bによる給水設備12の漏水検知を説明する。なお、図4(B)には、分岐配管26に設けた温度センサ64により検出される第1水温の変化の概略が示されている。また、図5には、コントローラ48が漏水検知システム46の漏水検知部46Bとして機能する際の漏水検知処理の概略が流れ図にて示されている。
給水設備12では、水栓32A〜32Cの何れかが開かれている場合、給湯器28が温水を出湯している場合、或いは水洗式トイレ38が使用された場合などの給水機器が使用されている場合、本管18の水が使用されている給水機器に供給される。また、給水設備12では、給水機器の水の使用が停止されると、本管18からの水の供給が停止される。
図5のフローチャートは、予め定められた時間間隔で実行され、ステップ120において流量計66により計測される水の流量から給水機器での水の使用が停止されたかを確認する。ここで、水栓32A〜32Cの全てが閉じられ、給湯器28及び水洗式トイレ38の使用が停止されると、流量計66を流れる水の流量が減少して流量計66の検出範囲を外れる。これにより、ステップ120で肯定判定されて、ステップ121へ移行する。なお、本実施の形態では、流量計66が検出可能な流量を1リットル/分以上としており、流量計66により計測された水の流量が1リットル/分未満となると、各給水機器における水の使用が停止されていると判定する。
コントローラ48は、ステップ121において漏水検知が可能な環境であるか否かを確認する。このステップ121では、外気温センサ60により外気温TAを検出すると共に、温度センサ62により検出される水温を本管18の水の水温として読み込む。この後、コントローラ48は、外気温センサ60により検出される外気温TAが温度センサ62により検出される第2水温Tdを基準とする所定の範囲内である場合(外気温TAが温度TA1(例えば、TA1=Td+2°)以下で、かつ温度TA2(例えば、TA2=Td−2°C)以上である場合、図4(B)参照)、ステップ121において否定判定して漏水検知を実行しない(中止する)ようにしている。
これに対して、外気温センサ60により検出される外気温TAが温度センサ62により検出される第2水温Tdを基準とする所定の範囲外である場合(外気温TAが温度TA1(例えば、TA1=Td+2°)超えているか、又は温度TA2(例えば、TA2=Td−2°C)未満である場合、図4(B)参照)、ステップ121において肯定判定されて漏水検知を開始する。
漏水検知においては、ステップ122において図示しないタイマをリセット/スタートさせて、水の使用が停止されてからの時間経過(経過時間t)を計測する。この後、経過時間tが所定の時間ts(例えば、ts=20分)に達して(t≧ts)、漏水判定を行うタイミングとなると、ステップ124で肯定判定されてステップ126へ移行する。なお、漏水判定を行うタイミングに達する前(経過時間tが時間tsに達する前)に、水栓32A〜32Cの何れかが開かされるか、給湯器28及び水洗式トイレ38の一方が使用されて、流量計66により計測される流量から水の使用が開始されたことが検出されると、今回の漏水検知を終了(中止)する。なお、時間tsは、温度変化を的確に検出し得るように設定された時間としており、漏水検知部46Aに設定される時間tsと同じであっても良く、また、異なっていても良い。
ステップ126では、温度センサ64A〜64Eの各々で検出されている第1水温Tc1〜Tc5を読み込むと共に、温度センサ62で検出される第2水温Tdを読み込む。次のステップ128では、第2水温Tdを基準温度として、第1湯温Ta(Ta1〜Ta3)の各々を対象水温として、分岐配管26A〜26Eを介した給水経路の各々について漏水判定を行う。
ここで、図4(B)には、時間に対する分岐配管26の給水機器側の水の温度(第1水温Tc)の変化の概略が示されている。給水機器への給水が停止された直後(経過時間t=0分)では、分岐配管26内の水温が、本管18内の水温T0(図4(B)に二点鎖線で示す)となっている。外気温TAが所定の温度範囲を外れている場合、分岐配管26を介した給水機器への給水経路に水漏れや水栓32の締め忘れなどの漏水が生じていなければ、分岐配管26に断熱材等が巻かれているにも関わらず、第1水温Tcは、外気温TAに応じて徐々に変化する。即ち、外気温TAが温度TA1よりも高い場合(TA>TA1)、第1水温Tcは、時間経過に伴って徐々に高くなり、外気温TAが温度TA2よりも低い場合(TA<TA2)、第1水温Tcは、時間経過に伴って徐々に低くなる(図4(B)の実線参照)。
これに対して、給水経路に漏水が生じている場合、漏水によって分岐配管26又は水栓32から水が流れ出ることで、本管18の水が給水配管24を経て分岐配管26に流れ込む。このため、給水経路に漏水が生じた分岐配管26では、内部に残っている水が本管18から新たに供給される水に徐々に置き換わる。これにより、漏水が生じた給水経路の温度センサ64により検出される第1水温Tcの変化が、漏水が生じていない場合よりも小さくなる(図4(B)の破線参照)。
漏水検知部46Aでは、漏水が生じていない状態で所定の時間tsが経過したときの第2水温Tdと第1水温Tcの温度差よりも僅かに小さい温度をしきい値の温度ΔTchとして設定されている。コントローラ48は、対象水温の第1水温Tcと基準温度としての第2水温Tdとの温度差ΔTcが、温度ΔTchに満たない場合(ΔTc<ΔTch)、即ち、温度差ΔTcが、(Td+ΔTch)>ΔTc>(Td−ΔTch)である場合、対象の給水系統において漏水が生じていると判定する。
また、コントローラ48は、分岐配管26A〜26Eの各々において漏水検知を行う。この後、図5に示されるフローチャートでは、分岐配管26A〜26Eの何れかに漏水が生じていると判定されると、ステップ130において肯定判定されてステップ132へ移行して、給水経路において漏水が生じていることを居住者に報知する。
これにより、漏水検知システム46(漏水検知部46B)では、漏水を検知可能な高精度の流量計を用いることなく、分岐配管26A〜26Eを介した給水経路に生じた漏水を的確に検知して報知することができる。また、漏水検知部46Bに用いられる流量計66は、給水機器の何れかで水が使用されているか否かを検出し得るものであれば良いので、漏水の流量を検知するために設けられる流量計に比べて計測精度及び計測範囲の狭い流量計を用いることができる。このために、漏水検知システム46は、低コストの流量計66を用いて、給水設備12の給水経路に生じた漏水を的確に検知できる。
また、本管18の水温は、季節ごとの外気温(季節ごとの平均気温)や住宅10設置環境(設置されている地域)に応じて変化することがあるが、基準温度として温度センサ62により検出される第2水温Tdを用いる。このため、季節や住宅10の設置環境に応じた基準温度の補正が不要となる。
なお、分岐配管26の水温の変化は、外気温TAに影響する。ここから、コントローラ48は、漏水検知を行う場合の外気温TAの温度範囲(温度TA1、TA2)やしきい値とする温度ΔTchを、外気温センサ60により検出される外気温TAに応じて補正する。この際、コントローラ48は、外気温TAが水温T0より高い場合、外気温TAが高くなるほど外気温TAの温度範囲(温度TA1、TA2)及びしきい値とする温度ΔTchが高くなるように補正する。また、コントローラ48は、外気温TAが水温T0より低い場合、外気温TAが低くなるほど外気温TAの温度範囲(温度TA1、TA2)及びしきい値とする温度ΔTchが低くなるように補正する。これにより、給水経路に生じた漏水をより的確に検知することができる。
また、温度センサ64により検出される第1水温Tcは、検知タイミングの時間ts及び外気温TAのみではなく、給水配管24及び分岐配管26の長さ(給水経路の経路長)、給水経路における埋設部分の長さと露出部分の長さ等に影響する。ここから、分岐配管26(給水経路)ごとに、時間tsに対する温度センサ64により検出される第1水温Tcを予め測定して、時間ts、及び外気温TAに対する温度変化のマップや、しきい値とする温度ΔTchのマップとして記憶しても良い。これにより、住宅10の設置環境や給水設備12の設置状況に応じて、給水設備12についての的確な漏水検知が可能となる。
なお、対象水温(第1水温Tc)と比較する基準温度として、地中に埋設された給水配管24の量水器22側の第2水温tdを適用したが、基準温度は、これに限るものではない。基準温度としては、給水源である本管18の水の温度を適用しても良い。この場合、給水源の水の温度は、季節や住宅10の設定環境(住宅10が設置されている地域など)等により変化し、また、外気温TAの影響を受ける。ここから、基準温度を本管18の水の温度として予め設定しておく場合、住宅10における本管18の水の温度を、各季節において測定するなどして、外気温に対する基準温度のマップとして予め記憶されていれば良い。また、しきい値とする温度ΔTchは、マップから取得される基準温度及び漏水が生じていない場合の第1水温Tcに基づいて、漏水が生じている第1水温Tcを判定し得るように設定されていれば良い。
一方、ステップ121において否定判定された場合、ステップ134へ移行する。なお、漏水検知を実行している途中で水の使用が開始されたが、経過時間tが所定の時間tsに達する前(ステップ124で肯定判定される前)に、水が使用されたことが検出されたために漏水検知を中止した場合においても、ステップ134に移行しても良い。
このステップ134では、給水設備12の給水経路に対する漏水判定(漏水検知)が行われなかったことを居住者に通知する。漏水が生じているか否かの判定を行い、漏水が生じていない(漏水が検知されていない)場合、ステップ132において漏水の検知結果が通知されない。このため、漏水判定が行われなかった場合にも、ステップ132は実行されないので、居住者が漏水が生じてていないと認識(誤認)してしまうことがある。ここで、漏水判定が行われなかった場合に、漏水判定が行われなかったこと(漏水検知が中止されたこと)を居住者に通知することで、居住者が漏水が生じていないと誤認してしまうのを防止できる。
なお、以上説明した本実施の形態では、給湯器28及びHEMS52とは別に漏水検知システム46を設けた。しかしながら、漏水検知システム46は、コントローラ48を給湯器28に設けても良く、これにより、コントローラ48と 温度センサ54(54A〜54C)、56(56A〜56C)、62、64(64A〜64E)、外気温センサ60、流量計58、66の各々との信号配線を給水設備12及び給湯設備14の配管に沿わせることができるので、信号配線の配索が容易となる。また、漏水検知システム46は、コントローラ48の機能をHEMS52に持たせても良く、これにより、住宅10のエネルギー管理と共に漏水管理をできる。さらに、漏水検知システム46は、コントローラ48の機能が、HEMS52又はネットワーク通信手段を介して各温度センサが接続されたネットワーク上のサーバに設けられても良く、この場合、報知手段としては、このサーバとネットワーク接続されるスマートフォンやタブレット端末などを適用できる。
なお、本実施の形態では、給水設備12において漏水判定(検知)が行われなかった場合に、漏水判定が行われなったことを居住者に通知するようにした。しかしながら、給水設備12において漏水判定が行われなかった場合に限らず、給水設備12において、漏水検知を行った結果として、漏水が発生していると判定されなかった場合にも居住者に通知しても良い。また、給湯設備14において、漏水判定を行った結果として、漏水が発生していると判定されなかった場合にも居住者に通知しても良い。また、これらの通知は、漏水が発生している場合に比べて緊急度が低いので、ディスプレイ等に表示するのに代えて、又はディスプレイ等に表示するのに加えて、予め設定された居住者の携帯端末等へ電子メール等によって通知するようにしても良い。
さらに、以上説明した本実施の形態では、一戸建ての住宅10に設けた給水設備及び給湯設備を例に説明した。しかしながら、給湯設備についての漏水検知は、集合住宅に設けたに給湯設備の漏水検知にも適用できる。